説明

検体処理装置及びコンピュータプログラム

【課題】 従来に比してユーザが簡便に各検体処理ユニットに関する操作を行うことが可能な検体処理装置及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】
血球分析装置の情報処理ユニットは、3つの測定ユニットに接続されている。情報処理ユニットの表示画面D1には、ツールバー領域A1と、メイン領域A2と、操作領域A3とが設けられている。メイン領域A2は、各測定ユニットに関する情報の表示に共用される。操作領域A3には、3つの測定ユニット操作部M1,M2,M3が設けられる。測定ユニット操作部M1,M2,M3は、3つの測定ユニットのそれぞれに個別に対応しており、各測定ユニットの操作に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体の測定、塗抹標本の作製等の処理を行う検体処理装置及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の検体処理ユニットと、それらに接続された表示装置とを備える検体処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、2つの分析機と、これらの分析機の操作画面を表示するための表示装置とを備えた自動分析装置が開示されている。この自動分析装置では、測定データの一覧・集計画面等を2つの分析機の操作画面として、また2つの分析機に共用される画面として表示装置に表示する。また、この自動分析装置では、各分析機のメンテナンス用画面を表示する際には、表示装置のウインドウ枠を2つに分割し、一方の表示領域に一方の分析機のメンテナンス用画面を表示し、他方の表示領域には他方の分析機のメンテナンス用画面を表示する。このメンテナンス用画面には、例えば光度計チェックボタンが表示され、ユーザがこの光度形チェックボタンを選択することにより、分析機のメンテナンスとして光度計チェックを実行することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−38889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の自動分析装置では、2つの分析機に共用される一覧・集計画面等を表示装置に表示させている間は、各分析機に固有のメンテナンス用画面を表示させることができない。このため、ユーザは、一覧・集計画面等が表示されている場合に各分析機のメンテナンスを実行する際には、一覧・集計画面等の表示を消した後にメンテナンス用画面を表示させる必要があり、手間が煩雑になるという問題がある。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、従来に比してユーザが簡便に各検体処理ユニットに関する操作を行うことが可能な検体処理装置及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体処理装置は、検体を処理する複数の検体処理ユニットと、前記複数の検体処理ユニットのそれぞれと通信可能に接続されたデータ処理ユニットと、を備え、前記データ処理ユニットは、表示部、入力部、及び、前記複数の検体処理ユニットに関する情報の表示に共用される共用領域と、前記複数の検体処理ユニットの操作を行うために各検体処理ユニットに対して個別に設けられた複数の操作部とを有する画面を前記表示部に表示させ、ユーザによる前記入力部を用いた各操作部の操作に応じて、対応する検体処理ユニットを制御する制御部、を具備する。
【0008】
この態様において、前記制御部は、前記複数の操作部とは独立して、前記共用領域の表示を切替可能に構成されていてもよい。
【0009】
また、上記態様において、前記制御部は、前記共用領域に、一の検体処理ユニットによって処理された一の検体に関する情報と、他の検体処理ユニットによって処理された他の検体に関する情報とを同時に表示可能であるように構成されていてもよい。
【0010】
また、上記態様において、前記制御部は、前記共用領域に、各検体処理ユニットによって処理された検体の識別情報と処理日時とを一覧表示可能であるように構成されていてもよい。
【0011】
また、上記態様において、前記制御部は、前記共用領域に、一の検体処理ユニットによって処理された一の検体に関する情報を表示し、当該一の検体に関する情報から、他の検体処理ユニットによって処理された他の検体に関する情報へ前記共用領域の表示を切替可能であるように構成されていてもよい。
【0012】
また、上記態様において、前記制御部は、前記一の検体に関する情報として、前記一の検体の処理結果を示す情報を前記共用領域に表示し、前記他の検体に関する情報として、前記他の検体の処理結果を示す情報を前記共用領域に表示可能であるように構成されていてもよい。
【0013】
また、上記態様において、前記制御部は、前記共用領域に、前記複数の検体処理ユニットに共用される画面を呼び出すための複数のオブジェクトを同時に表示可能であるように構成されていてもよい。
【0014】
また、上記態様において、前記制御部は、対応する検体処理ユニットの操作を行うためのオブジェクトを前記複数の操作部のそれぞれに表示させ、前記入力部を介して前記オブジェクトを選択する操作を受け付けるように構成されていてもよい。
【0015】
また、上記態様において、前記制御部は、前記入力部を介して一の操作部に設けられたオブジェクトを選択する操作を受け付けたときに、前記一の操作部に対応する検体処理ユニットの操作を行うための操作画面を前記表示部に表示させるように構成されていてもよい。
【0016】
また、上記態様において、前記制御部は、前記入力部を介して前記オブジェクトを選択する操作を受け付けたときに、前記共用領域内の前記オブジェクトに隣接した位置に前記操作画面を表示させるように構成されていてもよい。
【0017】
また、上記態様において、前記制御部は、前記入力部を介して前記オブジェクトを選択する操作を受け付けたときに、前記共用領域よりも面積が小さい前記操作画面を表示させるように構成されていてもよい。
【0018】
また、上記態様において、前記制御部は、前記操作画面として、検体処理ユニットに生じたエラーの対処に関するエラー対処画面、検体処理ユニットの動作モードを設定するための動作モード設定画面、及び検体処理ユニットの検体処理動作の開始に関する処理開始画面の少なくとも1つを前記表示部に表示可能に構成されていてもよい。
【0019】
また、上記態様において、前記制御部は、2以上の操作部に対応する2以上の操作画面を同時に前記表示部に表示させるように構成されていてもよい。
【0020】
また、上記態様において、前記制御部は、複数の操作画面を非表示にするための選択可能なオブジェクトを前記画面にさらに表示させ、前記入力部を介して前記オブジェクトを選択する操作を受け付けたときに、表示されている複数の操作画面を非表示にするように構成されていてもよい。
【0021】
また、上記態様において、前記制御部は、画面を切り替えるための選択可能な複数のオブジェクトが表示されるツールバー領域を前記画面の上端に、前記複数の操作部を含む操作領域を前記画面の下端に、前記共用領域を前記ツールバー領域と前記操作領域の間に表示させるように構成されていてもよい。
【0022】
また、上記態様において、前記制御部は、各操作部に、対応する検体処理ユニットの状態を示す状態情報を表示させるように構成されていてもよい。
【0023】
また、上記態様において、前記制御部は、前記状態情報として、検体処理ユニットにエラーが発生していることを示すエラー情報、検体処理ユニットにおいて検体処理に用いられる試薬の残量を示す試薬残量情報、検体処理ユニットにおいて処理される検体を特定する検体特定情報、検体処理ユニットにおいて設定されている動作モードを示す動作モード情報、及び検体処理ユニットにおいて検体の処理が行われる処理項目を示す処理項目情報の少なくとも1つを各操作部に表示させるように構成されていてもよい。
【0024】
また、上記態様において、前記複数の検体処理ユニットのそれぞれは、複数の測定項目について検体を測定可能に構成されており、各検体処理ユニットの測定項目の少なくとも一部は互いに共通していてもよい。
【0025】
また、本発明の一の態様のコンピュータプログラムは、検体を処理する複数の検体処理ユニットのそれぞれと通信可能に接続されており、表示部を備えるコンピュータに、前記複数の検体処理ユニットの検体処理に関する画面の表示処理を実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記複数の検体処理ユニットに関する情報の表示に共用される共用領域と、前記複数の検体処理ユニットの操作を行うために各検体処理ユニットに対して個別に設けられた複数の操作部とを有する画面を前記表示部に表示させるステップ、及び、ユーザによる各操作部の操作に応じて、対応する検体処理ユニットを制御するステップを、前記コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る検体処理装置及びコンピュータプログラムによれば、従来に比してユーザが簡便に各検体処理ユニットに関する操作を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図。
【図2】実施の形態に係る血球分析装置が備える測定ユニットの構成を示すブロック図。
【図3】実施の形態に係る血球分析装置が備える情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図4】情報処理ユニットのメニュー画面を示す図。
【図5】図4に示す測定ユニット操作部の構成を示す拡大図。
【図6】情報処理ユニットの画面表示切替動作の手順を示すフローチャート。
【図7】情報処理ユニットの測定結果リスト画面を示す図。
【図8】メニューが表示された場合の測定結果リスト画面を示す図。
【図9】情報処理ユニットの測定結果詳細画面を示す図。
【図10】情報処理ユニットの測定操作メニュー表示動作の手順を示すフローチャート。
【図11】操作部メニュー画面を示す図。
【図12】マニュアル測定画面を示す図。
【図13】試薬交換画面を示す図。
【図14】エラー対処画面及び測定モード設定画面が表示されたメニュー画面を示す図。
【図15】他の実施の形態に係る血球分析装置の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0029】
[検体処理システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図である。図1に示すように、検体処理システム1は、検体発送装置2と、検体搬送装置3と、血球分析装置5と、塗抹標本作製装置6と、検体回収装置7と、システム制御装置8とを備えている。また、本実施の形態に係る検体処理システム1は、通信ネットワークを介して検査情報管理装置9と通信可能に接続されている。
【0030】
検体搬送装置3は、検体搬送ユニット3a,3b,3c及び4を有し、これらの検体搬送ユニット3a,3b,3c及び4は図中横方向に延びるように互いに直列的に接続されている。血球分析装置5は、3つの測定ユニット51,52,53と情報処理ユニット54を具備しており、検体搬送ユニット3aの後方には測定ユニット51が、検体搬送ユニット3bの後方には測定ユニット52が、検体搬送ユニット3cの後方には測定ユニット53が配置されている。また、検体搬送ユニット4の後方には塗抹標本作製装置6が配置されている。
【0031】
この検体処理システム1においては、複数の検体容器が収納された検体ラックがオペレータによって検体発送装置2のラック収容部201にセットされる。検体容器の側面には、検体IDを示すバーコードラベルが印刷され、検体ラックの側面には、ラックIDを示すバーコードラベルが貼付されている。ラック収容部201にセットされた検体ラックは、バーコードリーダ22bおよび222aを経由して、ラック送出位置223から検体搬送装置3の搬送ライン3Fに搬出される。なお、バーコードリーダ22bおよび222aによって読み取られた検体IDおよびラックIDに基づいて、当該検体ラックの搬送先となる測定ユニットが決定される。
【0032】
搬送ライン3Fに搬出された検体ラックは図中左方向へ搬送される。検体搬送装置3には、搬送ライン3Fと測定ライン3Mとが設けられており、搬送ライン3Fと測定ライン3Mとの間で検体ラックの受け渡しを行うことが可能である。検体発送装置2から発送された検体ラックは、搬送ライン3Fおよび測定ライン3Mによって搬送先の測定ユニットへ搬送される。
【0033】
検体が測定ユニット51〜53又は塗抹標本作製装置6に供給された後、検体ラックは搬送ライン3Fにより左方向へ搬送されて、検体回収装置7に回収される。
【0034】
<血球分析装置5の構成>
血球分析装置5は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、血液検体に含まれる血球に関して側方散乱光強度、蛍光強度等を取得し、これらに基づいて検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数する。また血球分析装置5は、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成し、これを表示する。かかる血球分析装置5は、血液検体を測定する測定ユニット51,52,53と、コンピュータから構成され、測定ユニット51,52,53から出力された測定データを処理し、血液検体の分析結果を表示する情報処理ユニット54とを備えている。
【0035】
血球分析装置5は、図1に示すように、3つの測定ユニット51,52,53と、1つの情報処理ユニット54とを備えている。情報処理ユニット54は、3つの測定ユニット51,52,53と通信可能に接続されており、これらの3つの測定ユニット51,52,53の動作をそれぞれ制御可能である。また、情報処理ユニット54は、3つの測定ユニット51,52,53の前側にそれぞれ配置された3つの検体搬送ユニット3a,3b,3cとも通信可能に接続されている。
【0036】
図2は、測定ユニット51の構成を示すブロック図である。図2に示すように、測定ユニット51は、検体である血液を検体容器(採血管)Tから吸引する検体吸引部511と、検体吸引部511により吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部512と、試料調製部512により調製された測定試料から血球を検出する検出部513とを有している。また、測定ユニット51は、検体搬送ユニット3aの測定ライン3Mによって搬送された検体ラックに収容された検体容器を測定ユニット51の内部に取り込むための取込口(図示せず)と、検体ラックから検体容器を測定ユニット51の内部に取り込み、検体吸引部511による吸引位置まで検体容器を搬送する検体容器搬送部515と、測定ユニット51に取り込まれた検体容器のバーコードから検体IDを読み取るバーコードリーダ516とをさらに有している。
【0037】
試料調製部512は、複数の混合チャンバを備えている。検体吸引部511は、シリンジポンプ(図示せず)によって検体容器から所定量の全血検体を吸引し、前記シリンジポンプによって、それぞれのチャンバへ所定量の全血検体を分配供給する。試料調製部512には、希釈液、NRBC(網状赤血球)測定用の染色試薬及び溶血剤、DIFF(白血球分類)測定用の染色試薬及び溶血剤等の各種試薬を収容した複数の試薬容器が接続されており、これらの試薬容器から試薬を混合チャンバへ供給して、混合チャンバ内で検体及び試薬を混合撹拌することにより、検体の測定に供される測定試料を調製するようになっている。
【0038】
検出部513は、RBC(赤血球)検出及びPLT(血小板)検出をシースフローDC検出法により行うことが可能である。また、検出部513は、HGB(ヘモグロビン)検出をSLS−ヘモグロビン法により行うことが可能であり、WBC(白血球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。RBC,PLT,HGB,WBCの各測定項目は、ディスクリート項目“CBC”に含まれている。つまり、測定オーダによってCBCの測定が指示された場合には、RBC,PLT,HGB,WBCの各項目について検体の測定が行われる。なお、ディスクリート項目とは、オペレータが複数の測定項目の測定をまとめて装置に指示する際に選択される項目である。
【0039】
また、検出部513は、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により、白血球分類(ディスクリート項目“DIFF”)の測定を行うことができる。白血球分類測定では、白血球分類用の試薬が検体と混合され、この混合液である試料がフローサイトメータに供給され、試料中に含まれる血球に光が照射されたときに生じる光学情報(側方散乱光、前方散乱光、蛍光)が検出される。この光学情報が情報処理ユニット54に出力され、情報処理ユニットがデータ処理を行って検体中の白血球を5つのサブクラス(NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、及びMONO(単球))に分類し、各サブクラスの血球数を計数する。つまり、測定オーダによってDIFFの測定が指示された場合には、NEUT、LYMPH、EO、BASO、及びMONOの各項目について検体の測定が行われる。
【0040】
測定ユニット52は、測定ユニット51と同様の構成であり、検体吸引部、試料調製部、検出部、及び検体容器搬送部を備えている。
【0041】
測定ユニット53は、上述したCBC、DIFF以外に、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により、RET(網状赤血球)の測定が可能である。かかる測定ユニット53は、RETの測定が可能である他は、測定ユニット51と同様の構成であり、検体吸引部、試料調製部、検出部、及び検体容器搬送部を備えている。
【0042】
上記のような測定ユニット51,52,53は、検体搬送装置3によって自動的に搬送された検体ラックから検体容器を取り込み、この検体容器に収容されている検体を測定するサンプラ測定モードと、ユーザが手作業で検体容器搬送部515に載置した検体容器を取り込み、この検体容器に収容されている検体を測定するマニュアル測定モードとのいずれかにより動作可能である。かかる測定モードの設定は、測定ユニット51,52,53のそれぞれに設けられたモード設定スイッチ(図示せず)をユーザが操作することにより行われる。
【0043】
図3は、本実施の形態に係る情報処理ユニット54の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット54は、コンピュータ54aによって実現される。図3に示すように、コンピュータ54aは、本体541と、画像表示部542と、入力部543とを備えている。本体541は、CPU541a、ROM541b、RAM541c、ハードディスク541d、読出装置541e、入出力インタフェース541f、通信インタフェース541g、及び画像出力インタフェース541hを備えており、CPU541a、ROM541b、RAM541c、ハードディスク541d、読出装置541e、入出力インタフェース541f、通信インタフェース541g、及び画像出力インタフェース541hは、バス541jによって接続されている。
【0044】
読出装置541eは、コンピュータを情報処理ユニット54として機能させるためのコンピュータプログラム544aを可搬型記録媒体544から読み出し、当該コンピュータプログラム544aをハードディスク541dにインストールすることが可能である。
【0045】
入出力インタフェース541fは、USB、IEEE1394等のインタフェースであり、測定ユニット51,52,53とデータ通信可能に接続されている。
【0046】
通信インタフェース541gは、Ethernet(登録商標)インタフェースであり、検体搬送装置3、システム制御装置8、及び検査情報管理装置9のそれぞれと通信可能に接続されている。
【0047】
かかる情報処理ユニット54は、測定ユニット51,52,53を制御して検体の測定を実行させ、測定ユニット51,52,53から出力された測定データを受信し、測定データを解析処理することにより検体の分析結果を生成する。
【0048】
<塗抹標本作製装置6の構成>
塗抹標本作製装置6は、血液検体を吸引し、スライドガラス上に滴下して、その血液検体をスライドガラス上で薄く引き延ばし、乾燥させた上で、当該スライドガラスに染色液を供給してスライドガラス上の血液を染色することにより、塗抹標本を作製する。
【0049】
<システム制御装置8の構成>
システム制御装置8は、コンピュータにより構成されており、検体処理システム1の全体を制御する。このシステム制御装置8は、検体発送装置2からラックID及び検体IDを受け付け、そのラックID及び検体IDにより検査情報管理装置9へ測定オーダの問い合わせを行う。また、システム制御装置8は、検体ラックの搬送先を決定し、搬送先を示す搬送コマンドを検体搬送装置3へ送信する。
【0050】
システム制御装置8は、コンピュータによって実現される。当該コンピュータは、本体と、画像表示部と、入力部とを備えている(図示せず)。本体は、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、入出力インタフェース、通信インタフェース等を備える。なお、システム制御装置8を構成するコンピュータの構成は、情報処理ユニット54を構成するコンピュータ54aの構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0051】
<検査情報管理装置9の構成>
検査情報管理装置9は、施設内における検査に関する情報を管理する装置、所謂LIS(Laboratory Information System)であり、血球分析装置5だけでなく、他の臨床検体検査装置にも接続されている。かかる検査情報管理装置9は、操作者から入力されたり、電子カルテシステム等の他の装置から送信された測定オーダを受け付け、測定オーダを記憶、管理する。さらに、検査情報管理装置9は、システム制御装置8又は血球分析装置5からのオーダ要求を受け付け、要求された測定オーダをシステム制御装置8又は血球分析装置5へ送信する。また、検査情報管理装置9は、血球分析装置5から分析結果を受信し、この分析結果を記憶、管理する。
【0052】
検査情報管理装置9は、コンピュータにより構成されており、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、通信インタフェース等を備えている。通信インタフェースは、上述したLANに接続されており、システム制御装置8、及び血球分析装置5の情報処理ユニット54と通信することが可能である。また、ハードディスクには、測定オーダが格納されている。測定オーダには、検体ID及び実施対象の測定項目の情報が含まれている。検査情報管理装置9は、他の装置から検体IDを含む測定オーダの要求データを受信したときには、この検体IDに対応する測定データをハードディスクから読み出し、要求元の装置へ送信するように構成されている。その他、検査情報管理装置9の構成は、上述した他のコンピュータの構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0053】
[検体処理システムの動作]
次に、本実施の形態に係る検体処理システムの動作について説明する。
【0054】
まず、本実施の形態に係る血球分析装置5の検体測定動作について説明する。ここでは、検体搬送装置3によって自動的に検体ラックを搬送し、搬送された検体ラックに保持された検体を自動的に各測定ユニット51〜53で測定するサンプラ測定動作について説明する。
【0055】
検体処理システム1を使用して検体の測定を行う場合には、まず検体発送装置2、検体搬送装置3、血球分析装置5、塗抹標本作製装置6、検体回収装置7、及びシステム制御装置8を起動する。なお、検査情報管理装置9は、一般的には停止されることはなく、常時動作している。血球分析装置5を起動するためには、測定ユニット51,52,53及び情報処理ユニット54の全てを起動させる必要がある。
【0056】
ここで情報処理ユニット54の起動動作について説明する。情報処理ユニット54が起動されると、情報処理ユニット54のCPU541aは、初期化処理を実行する。この初期化処理には、RAM541cの初期化、及び各種設定値の読み出し等が含まれる。続いてCPU541aは、メニュー画面を画像表示部542に表示させる。以上により、情報処理ユニット54の起動動作が完了する。このメニュー画面を表示した後は、情報処理ユニット54がオペレータからの各種入力を受け付けることが可能となる。メニュー画面の詳細は後述する。
【0057】
検体処理システム1の各構成要素の起動が完了すると、検体の測定が可能となる。血球分析装置5の各測定ユニット51,52,53は、起動直後はサンプラ測定モードに設定されている。
【0058】
この状態において、オペレータが、検体容器を収容した検体ラックをラック収容ユニット21に載置し、検体処理システム1に処理開始の指示を与えることによって、検体ラックの移送が開始される。システム制御装置8によって検体ラックの搬送先が決定され、決定された搬送先の測定ユニットへ検体搬送装置3によって検体ラックが搬送される。
【0059】
ここで、測定ユニット51に検体ラックが搬送された場合における血球分析装置5の動作について説明する。検体搬送ユニット3aの測定ライン3Mまで検体ラックが搬送された後、情報処理ユニット54のCPU541aの制御により、検体容器が吸引位置へ搬送され、測定項目に必要な量の検体が検体容器から吸引される。
【0060】
また、情報処理ユニット54のCPU541aは、試料調製部512を制御し、測定項目に応じて測定試料を調製し、検出部513に測定試料を供給して、検出部513により検体の測定を行う。これにより、CPU541aは、検出部513から出力される測定データを取得する。CPU541aは、測定データの解析処理を実行し、検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成する。測定データの解析処理により生成された測定結果データは、測定オーダに含まれる患者情報等と共にハードディスクに格納され、また、システム制御装置8及び検査情報管理装置9のそれぞれへ送信される。血球分析装置5は、かかる検体測定動作を検体ラックに保持されている各検体に対して順次実行する。
【0061】
なお、測定ユニット52,53が搬送先とされた場合については、上記と同様であるので、その説明を省略する。
【0062】
また、塗沫標本作製装置6による塗抹標本の作製が指示された検体については、当該検体を保持した検体ラックが検体搬送ユニット4の測定ライン3Mまで搬送され、塗抹標本が作製される。
【0063】
検体ラックに保持された全ての検体について、測定オーダにしたがった測定(又は塗抹標本の作製)が行われると、当該検体ラックは検体搬送装置3により搬送され、検体回収装置7に回収される。
【0064】
<画面表示切替動作>
図4は、情報処理ユニット54のメニュー画面を示す図である。メニュー画面D1は、上述したように情報処理ユニット54が起動された後最初に表示される画面である。かかるメニュー画面D1からは、後述する測定結果リスト画面、測定結果詳細画面、精度管理画面等の他の画面に移行することが可能である。
【0065】
図に示すように、メニュー画面D1には、ツールバーが表示されるツールバー領域A1、他の画面へ移行するための複数のアイコンが表示されるメイン領域A2、及び測定ユニット51,52,53を操作するための測定操作領域A3が設けられている。ツールバー領域A1及び測定操作領域A3は、メニュー画面D1だけでなく、情報処理ユニットの他の画面にも設けられた共通の領域である。また、ツールバー領域A1は左側の領域と右側の領域に分割されており、左側の領域はどの画面であっても共通のボタンが表示される固定ボタン領域A11であり、右側の領域は画面毎に表示されるボタンが変わる可変ボタン領域A12である。固定ボタン領域A11には、メニュー画面を表示させるための「メニュー」ボタンB11、精度管理画面を表示させるための「QCファイル」ボタンB12、測定オーダの登録画面を表示させるための「測定登録」ボタンB13、測定結果リスト画面を表示させるための「エクスプローラ」ボタンB14、及び測定結果詳細画面を表示させるための「ブラウザー」ボタンB15が表示される。一方、メニュー画面D1における可変ボタン領域A12には、メニュー画面D1の表示形態を設定するための「表示設定」ボタンが表示される。
【0066】
なお、ここでいう「アイコン」とは、特定の機能が割り当てられ、当該機能を象徴的に表すようにデザインされた画像をいい、ウィンドウ内において表示されるものを含む。
【0067】
ツールバー領域A1は、画面の最上部に設けられている。このツールバー領域A1の下方にメイン領域A2が設けられ、さらにその下方に測定操作領域A3が設けられている。メイン領域A2は、ツールバー領域A1及び測定操作領域A3よりも大きい面積の領域であり、その画面の主要なコンテンツが表示される。メニュー画面D1のメイン領域A2には、取扱説明書を表示するための「取扱説明書」アイコンC11、精度管理画面を表示するための「QCファイル」アイコンC12、測定オーダ登録画面を表示するための「測定登録」アイコンC13、患者情報登録画面を表示するための「患者登録」アイコンC14、測定結果詳細画面を表示するための「データーブラウザー」アイコンC15、測定結果リスト画面を表示するための「サンプルエクスプローラー」アイコンC16、情報処理ユニット54の設定に用いられるIPU設定画面を表示するための「設定」アイコンC17、測定ユニット51,52,53の設定に用いられる測定部設定画面を表示するための「測定部設定」アイコンC18、情報処理ユニット54をシャットダウンするための「IPU終了」アイコンC19、及びユーザが情報処理ユニット54からログオフするための「ログオフ」アイコンC110が設けられている。アイコンC12〜C18は、メニュー画面D1から他の画面に表示を切り替える機能が割り当てられており、これらのアイコンC12〜C18の何れかがマウスのクリック操作により選択されると、対応する画面に切り替わるようになっている。また、ボタンB12には、アイコンC12と同じ機能が割り当てられており、ボタンB12又はアイコンC12が選択されると、精度管理画面の表示を指示するコマンドがCPU541aにより発行され、このコマンドにしたがって精度管理画面が表示される。同様に、ボタンB13にはアイコンC13と同じ機能が割り当てられ、ボタンB14にはアイコンC16と同じ機能が割り当てられ、ボタンB15にはアイコンC15と同じ機能が割り当てられている。
【0068】
次に、測定操作領域A3について説明する。測定操作領域A3は、画面D1の横幅全体にわたって、画面D1の最下部に設けられた領域であり、当該測定操作領域A3には、測定ユニットの数と同数(本実施の形態においては3つ)の測定ユニット操作部M1〜M3が左右方向に並べて表示される。図5は、測定ユニット操作部M1の構成を示す拡大図である。測定ユニット操作部M1は測定ユニット51の操作に用いられ、測定ユニット操作部M2は測定ユニット52の操作に用いられ、測定ユニット操作部M3は測定ユニット53の操作に用いられる。また、各測定ユニット操作部M1〜M3は、測定ユニット51〜53の配置と同じ関係で配置される。即ち、最も右側に配置されている測定ユニット51(図1参照)に対応する測定ユニット操作部M1は最も右側に配置され(図4参照)、中央に配置されている測定ユニット52(図1参照)に対応する測定ユニット操作部M2は中央に配置され(図4参照)、最も左側に配置されている測定ユニット53(図1参照)に対応する測定ユニット操作部M3は左側に配置される(図4参照)。
【0069】
測定ユニット操作部M1の左上部には、測定ユニット51の状態を示す情報を表示するための機器ステータス表示部P1が設けられている。この機器ステータス表示部P1には、対応する測定ユニット(測定ユニット操作部M1の場合には測定ユニット51)を特定するためのユニットID(図4の場合では“SYSMEX1”)と、3つのアイコンC21,C22,C23とが表示される。アイコンC21は、通常の検体を使用した精度管理(XbarM)機能が有効であることを示している。即ち、このアイコンC21が表示されている場合には、対応する測定ユニットにおいてXbarM機能が有効になっている。一方、対応する測定ユニットにおいてXbarM機能が無効となっている場合には、アイコンC21が表示されない。アイコンC22は、対応する測定ユニットの血液吸引センサがオンに設定されていることを示す。対応する測定ユニットの血液吸引センサがオフに設定されている場合には、アイコンC22が表示されない。また、アイコンC23は、蓋が取り付けられておらず、上端が開口した検体容器から検体を吸引し、測定する「オープン測定モード」が設定されていることを示す。蓋が取り付けられた検体容器から検体を吸引し、測定する「クローズ測定モード」が設定されている場合には、アイコンC23が表示されない。図5において、アイコンC23が破線によって示されているが、これはアイコンC23が表示されていないことを示している。
【0070】
機器ステータス表示部P1の右側には、4つのボタンB31,B32,B33,B34が表示される。ボタンB31は、対応する測定ユニット51にエラーが発生したときに用いられる。対応する測定ユニット51にエラーが発生すると、ボタンB31に図中破線で示す図形(以下、「エラー警告アイコン」という。)が表示される。図5において、エラー警告アイコンが破線によって示されているが、これはこの例においてはエラー警告アイコンが表示されていないことを示している。エラー警告アイコンが表示されているときに、このボタン31が選択される操作が行われると、測定ユニット操作部M1の上方においてメイン領域A2の一部と重なるように、発生しているエラーに対する対処方法が掲載された画面(ウィンドウ)が表示される。オペレータは、かかるエラーに対する対処方法が掲載された画面(以下、「エラー対処画面」という。)を利用することで、対応する測定ユニット51に発生しているエラーを解消することができる。なお、エラー対処画面の詳細については後述する。
【0071】
また、ボタンB32は、測定ユニット51の測定モードを切り替えるための測定モード切替画面を表示するために用いられる。つまり、このボタンB32が選択される操作が行われると、測定ユニット操作部M1の上方のメイン領域A2の一部に重畳して、測定モード切替画面が表示される。オペレータは、かかる測定モード切替画面に対して操作入力を行うことで、通常測定モード、希釈測定モード、体液測定モード等の測定モードの中から一つの測定モードを選択し、対応する測定ユニット51をこの測定モードに設定することができる。なお、測定モード切替画面の詳細については後述する。
【0072】
対応する測定ユニット51において、サンプラ測定モードが設定されている場合には、サンプラ測定モードに対応する図形(図5参照)がボタンB33に表示され、マニュアル測定モードが設定されている場合には、マニュアル測定モードに対応する図形がボタンB33に表示される。測定ユニット51がサンプラ測定モードに設定されている状態において、ボタンB33が選択される操作が行われると、測定ユニット操作部M1の上方においてメイン領域A2の一部に重なるように、サンプラ測定動作の指示を行うためのサンプラ測定画面が表示される。また、測定ユニット51がマニュアル測定モードに設定されている状態において、ボタンB33が選択される操作が行われると、測定ユニット操作部M1の上方においてメイン領域A2の一部に重なるように、マニュアル測定画面が表示される。オペレータはサンプラ測定画面に対して操作入力を行うことで、対応する測定ユニット51に対してサンプラ測定動作を指示することができる。また、オペレータはマニュアル測定画面に対して操作入力を行うことで、対応する測定ユニット51に対してマニュアル測定動作を指示することができる。なお、マニュアル測定画面の詳細については後述する。
【0073】
また、ボタンB34は、対応する測定ユニット51に対して各種動作指示を行うための測定部メニュー画面を表示するために用いられる。つまり、このボタンB34が選択される操作が行われると、測定ユニット操作部M1の上方においてメイン領域A2の一部と重なるように、測定部メニュー画面が表示される。オペレータはかかる測定部メニュー画面を操作することで、対応する測定ユニット51に対して精度管理測定の指示、XbarMの設定、試薬交換動作の実行指示等を行うことができる。なお、かかる測定部メニュー画面の詳細については後述する。
【0074】
機器ステータス表示部P1のアイコンC21の下側には、対応する測定ユニット51の状態を通知するためのステータス通知部P2が設けられている。このステータス通知部P2は、四角形の領域であり、測定ユニット51(測定ユニット操作部M2においては測定ユニット52、測定ユニット操作部M3においては測定ユニット53)が正常に動作している場合には、緑色に表示される。また、測定ユニット51(測定ユニット操作部M2においては測定ユニット52、測定ユニット操作部M3においては測定ユニット53)に異常が発生している場合には、当該ステータス通知部P2が赤色に表示される。
【0075】
機器ステータス表示部P1の下側であって、ステータス通知部P2の右側には、対応する測定ユニット51が現在測定している検体の検体番号が表示され、また、検体番号の下側には、当該検体において測定される測定項目が表示される。“WB”と表記されたアイコンC41は、「通常検体測定モード」を示している。つまり、アイコンC41が表示されている場合には、当該測定ユニット51は通常検体測定モードで稼働している。アイコンC41の位置に、“PD”と表記されたアイコンが表示されている場合には、測定ユニット51は「希釈検体測定モード」で稼働しており、“BF”と表記されたアイコンが表示されている場合には、測定ユニット51は「体液測定モード」で稼働している。ここで、通常検体測定とは、希釈されていない血液検体(全血)の測定をいい、希釈検体測定とは、希釈液により所定倍(通常検体測定時よりも高い希釈倍率)に血液検体を希釈した上で行われる検体測定をいい、体液測定とは、血液とは異なる体液(例えば脳脊髄液)の測定をいう。なお、測定ユニット51が現在検体の測定を行っていない場合には、ステータス通知部P2の右側には、次に測定する予定の検体の検体番号がその先頭に“>”を付して表示される。
【0076】
アイコンC41の右側には、ディスクリート項目“CBC”,“DIFF”のそれぞれに対応するアイコンC42,C43が表示されている。これらのアイコンC42,C43は、対応する測定ユニット51が測定可能なディスクリート項目に対応している。つまり、測定ユニット51では“RET”の測定が行えないため、測定ユニット操作部M1には、“RET”に対応するアイコンは表示されない。一方、“RET”の測定が可能な測定ユニット53に対応する測定ユニット操作部M3には、“RET”に対応するアイコンが表示される。
【0077】
また、アイコンC42,C43は、表示されている検体の測定オーダにおいて測定が指示されているディスクリート項目と、測定が指示されていないディスクリート項目とでは異なる態様にて表示される。つまり、測定指示されているディスクリート項目のアイコンは所定のレベルの輝度で表示(以下、「通常表示」という。)され、測定指示されていないディスクリート項目のアイコンは前記通常表示より低いレベルの輝度(以下、「淡色表示」という。)で表示される。これにより、測定指示されている項目と、測定指示されていない項目とが区別可能となる。図5において、実線で表記されたアイコンC42は通常表示であり、破線で表記されたアイコンC43は淡色表示であることを示している。つまり、図5の場合、検体番号“00803”の検体について、ディスクリート項目“CBC”の測定が指示され、項目“DIFF”の測定は指示されていないことが分かる。
【0078】
アイコンC42、C43の右側には、試薬残量アイコンC44が表示される。試薬残量表示アイコンC44は、対応する測定ユニット51の試料調製部512に接続された試薬容器の試薬残量の表示に用いられる。試薬残量表示アイコンC44は、前記試料調製部514に接続された各試薬容器を示す複数の枠状の図形から構成されており、各試薬容器の枠の図形中には、試薬の残量を示すインジケータが表示される。試料調製部512に接続された試薬容器には、その種類毎に固有の色のラベルが貼布されている(例えば、DIFF測定用の染色試薬には赤、希釈液には青のラベルが貼布される等)。試薬残量表示アイコンC44に含まれる各枠図形は、対応する試薬容器のラベルと同一の色により表示されている。これにより、どの枠図形がどの試薬容器に対応しているかが容易に理解される。
【0079】
アイコンC41〜C44の下側、即ち測定ユニット操作部M1の下端の帯状のエラーメッセージ領域P6には、対応する測定ユニット51にエラーが発生したときに、エラーメッセージが表示される。例えば、特定の試薬の残量がなくなった場合には、当該試薬の交換を促すエラーメッセージがこの領域に表示される(図14参照)。
【0080】
なお、測定ユニット操作部M2及びM3の構成は、測定ユニットM1の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0081】
上記のような各測定ユニット操作部M1〜M3のそれぞれの下方には、検体搬送装置3にエラーが発生したときに、エラーメッセージが表示される帯状の領域である搬送エラー表示部P4が設けられている。かかる搬送エラー表示部P4には、検体搬送装置3にエラーが発生したときに、エラーメッセージが表示される(図14参照)。また、それぞれの搬送エラー表示部P4は、検体搬送ユニット3a〜3cに対応している。つまり、測定ユニット操作部M1の下方に表示されている搬送エラー表示部P4は、測定ユニット操作部M1に対応する測定ユニット51の前側に配置されている検体搬送ユニット3aに対応しており、検体搬送ユニット3aにエラーが発生したときに、そのエラーに対応するエラーメッセージが当該エラー表示部P4に表示される。同様に、測定ユニット操作部M2の下方に表示されている搬送エラー表示部P4は、測定ユニット操作部M2に対応する測定ユニット52の前側に配置されている検体搬送ユニット3bに対応しており、測定ユニット操作部M3の下方に表示されている搬送エラー表示部P4は、測定ユニット操作部M3に対応する測定ユニット53の前側に配置されている検体搬送ユニット3cに対応している。例えば、検体搬送ユニット3aの搬送路の途中で検体ラックが詰まり、搬送エラーが発生した場合には、検体ラックの搬送エラーを通知するエラーメッセージが、測定ユニット操作部M1の下方に配置された搬送エラー表示部P4に表示される。
【0082】
図4に示すように、各搬送エラー表示部P4の左側には、検体搬送ユニット3a〜3cの状態を各別に通知するためのステータス通知部P5が設けられている。検体搬送ユニット3aに対応する搬送エラー表示部P4の左側に隣接して設けられたステータス通知部P5は、検体搬送ユニット3aに対応している。同様に、検体搬送ユニット3bに対応する搬送エラー表示部P4の左側に隣接して設けられたステータス通知部P5は、検体搬送ユニット3bに対応しており、検体搬送ユニット3cに対応する搬送エラー表示部P4の左側に隣接して設けられたステータス通知部P5は、検体搬送ユニット3cに対応している。これらのステータス通知部P5は、横長の長円形の領域であり、対応する検体搬送ユニット3a〜3cが正常に動作している場合には、緑色に表示される。また、検体搬送ユニット3a〜3cの何れかに異常が発生している場合には、異常が発生している検体搬送ユニットに対応するステータス通知部P5が赤色に表示される。
【0083】
測定ユニット操作部M1〜M3のボタンB31〜B34が操作されると、測定ユニット操作部M1〜M3の上部において、メイン領域A2に表示されているコンテンツを隠すように、選択されたボタンB31〜B34に対応する画面が表示される。詳しくは後述するが、これらの画面の複数を同時に表示することも可能である。例えば、測定ユニット操作部M1のボタンB31が選択され、エラーの対処方法が掲載された画面が測定ユニット操作部M1の上方に表示されている間に、測定ユニット操作部M2のボタンB32が選択されると、測定ユニット操作部M2の上方に測定ユニット52用の測定モード切替画面が表示される。図4に示すように、最も左側の測定ユニット操作部M3の左側には、複数の画面を同時に非表示にし、また非表示にされた複数の画面を同時に再表示するためのボタンB5が設けられている。上記のように複数の画面がメイン領域A2に重畳して表示されている場合に、ボタンB5が選択される操作が行われると、表示されていた全ての画面が同時に非表示とされる。また、複数の画面が非表示とされている場合に、ボタンB5が選択される操作が行われると、非表示であった全ての画面が同時に表示される。
【0084】
上述したメイン領域A2は、各測定ユニット51〜53の全てに共通に利用される。つまり、図4に示すように、メニュー画面D1のメイン領域A2には、各測定ユニット51〜53に共用されるアイコンが表示される。例えば、精度管理画面は各測定ユニット51〜53において行われた精度管理結果が表示される画面であり、この精度管理画面を表示するためのアイコンC12は、測定ユニット51〜53の全てに共用されるアイコンといえる。また、測定結果リスト画面は、各測定ユニット51〜53の検体測定結果を一覧形式で表示するための画面であり、この測定結果リスト画面を表示するためのアイコンC16は、測定ユニット51〜53の全てに共用されるアイコンといえる。さらに、測定結果詳細画面は、各測定ユニット51〜53の検体測定結果を1画面につき1検体ずつ詳細に表示するための画面であり、この測定結果詳細画面を表示するためのアイコンC15は、測定ユニット51〜53の全てに共用されるアイコンといえる。
【0085】
一方、測定ユニット操作部M1〜M3は、対応する測定ユニット51〜53についてのみ使用される。つまり、測定ユニット操作部M1〜M3のそれぞれは、対応する測定ユニット51〜53のみを操作するための当該測定ユニット固有の操作部である。
【0086】
図6は、情報処理ユニット54の画面表示切替動作の手順を示すフローチャートである。上述したように、情報処理ユニット54が起動されると、CPU541aにより画像表示部542にメニュー画面が表示される(ステップS101)。次にCPU541aは、画面の表示切替指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS102)。上述したように、メニュー画面D1のメイン領域A2に表示されているアイコンC12〜C18の何れか、又はツールバー領域A1に表示されているボタンB11〜B15の何れかが選択される操作により、オペレータは画面の表示切替指示を情報処理ユニット54に与えることが可能である。CPU541aは、かかる画面表示切替指示を受け付けると(ステップS102においてYES)、表示指示された画面を画像表示部542に表示させる(ステップS103)。一方、CPU541aは、画面表示の切替指示を受け付けていない場合には(ステップS103においてNO)、ステップS104へ処理を進める。
【0087】
この表示画面において、オペレータは画面に応じたデータの処理が可能である。例えば、測定結果リスト画面及び測定結果詳細画面では、測定結果を表示し、さらにオペレータからの指示により、選択された(表示された)測定結果を承認するバリデーション処理を行うことが可能である。また、精度管理画面では、精度管理物質の測定結果の履歴である精度管理データを表示し、オペレータからの指示に応じて、当該精度管理データを外部のプリンタに出力して印刷を行ったり、外部のコンピュータへ精度管理データを送信したりすることが可能である。測定オーダ登録画面では、測定オーダの登録が可能である。測定オーダの登録では、オペレータが入力部53を操作して測定対象のディスクリート項目を指定する入力を行い、登録実行を指示することで、ハードディスク541dに設けられた図示しない測定オーダデータベースに、指定されたディスクリート項目を含む測定オーダが記憶される。患者情報登録画面では、患者情報の登録が可能である。患者情報の登録では、オペレータが入力部543を操作して患者ID、患者の氏名、担当医等の患者情報を入力し、登録実行を指示することで、ハードディスク541dに設けられた患者情報データベースに、入力された患者情報が記憶される。このように、CPU541aは、表示されている画面に応じたデータ処理の指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS104)。CPU541aは、かかるデータ処理の実行指示を受け付けていない場合には(ステップS104においてNO)、ステップS106へ処理を移す。
【0088】
ステップS104において、データ処理の実行指示を受け付けた場合には(ステップS104においてYES)、CPU541aは、指示されたデータ処理を実行し(ステップS105)、ステップS106へ処理を移す。
【0089】
ステップS106において、CPU541aは、情報処理ユニット54のシャットダウンの指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS106)。例えばメニュー画面D1が表示されている場合においては、アイコンC19の選択により、情報処理ユニット54のシャットダウン指示が可能である。ステップS106において、情報処理ユニット54のシャットダウン指示を受け付けていない場合には(ステップS106においてNO)、CPU541aはステップS102へ処理を戻し、再度画面表示の切替指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS102)。ここで、メニュー画面D1以外の画面が表示されている場合におけるステップS102の処理は、ツールバー領域A1に表示されているボタンB11〜B15の何れかが選択されたか否かを判定することにより行われる。
【0090】
一方、ステップS106において情報処理ユニット54のシャットダウン指示を受け付けた場合には(ステップS106においてYES)、CPU541aは、シャットダウン処理を実行し(ステップS107)、処理を終了する。
【0091】
次に、測定結果リスト画面に表示が切り替えられた場合の情報処理ユニット54の動作について説明する。図7は、情報処理ユニット54の測定結果リスト画面を示す図である。
【0092】
測定結果リスト画面D2には、他の画面と同様に、ツールバー領域A1、メイン領域A2、及び測定操作領域A3が設けられている。ツールバー領域A1の固定ボタン領域A11、及び測定操作領域A3に表示される内容については、上述したメニュー画面D1と同様であるので、その説明を省略する。
【0093】
測定結果リスト画面D2におけるメイン領域A2には、検体の情報が一覧表示される。図7に示すように、この検体情報リストL21には、検体毎に検体に関する情報が1行ずつ表示される。検体情報リストL21には、後述する認証の有無を表示するためのフィールドF21、検体番号を表示するためのフィールドF23、測定日時を表示するためのフィールドF24、測定オーダの受付日時を表示するためのフィールドF26等が設けられている。なお、測定ユニット51〜53のそれぞれで測定された検体の情報がまとめてメイン領域A2に表示されることにより、メイン領域A2は測定ユニット51〜53に関する情報の表示に共用されている。
【0094】
検体情報リストL21の各行はマウスのクリック操作等により選択可能である。検体情報リストL21の右側には、検体の測定結果を表示するための測定結果リストL22が表示される。上記のようにして1つの検体情報が選択されると、測定結果リストL22に、選択された検体の測定結果の数値データが一覧表示されるようになっている。
【0095】
かかる測定結果リスト画面D2では、検体の測定結果の認証(バリデーション)、その他の測定結果データの処理を行うことが可能である。測定結果リスト画面D2における可変ボタン領域A12には、検体情報等の修正を行うための「修正」ボタンB16、検体の測定結果のバリデーション(認証)を行うための「バリデート」ボタンB17、特定の条件に合致する検体情報のみを検体情報リストL21に表示させるための「フィルタ」ボタンB18、検体情報リストL21における検体情報の並び順を変更するための「ソート」ボタンB19等が設けられている。
【0096】
測定結果のバリデーションを行う場合、オペレータは、図に示すように検体情報リストL21に表示されている1つの検体情報を選択する。図7においては、選択された検体情報を斜線で示している。オペレータは、測定結果リストL22に表示されている各項目の測定データを確認し、医師に測定結果を報告してもよいと判断すれば、「バリデーション」ボタンB17を選択する。これにより、選択されている測定結果のバリデーションが実行される。バリデーションが行われた検体情報のフィールドF21には、バリデーション済であることを示す“V”マークが表示される。これと共に、ハードディスク51dの測定結果データベースにおいて、当該測定結果のバリデーションが行われたことを示す情報が登録される。
【0097】
次に、検体情報の並び順の変更について説明する。検体情報リストL21に表示されている検体情報の並び順を変更する場合には、ボタンB19が用いられる。ボタンB19が選択されると、並び順を設定するためのメニューが、ボタンB19の下方に表示される。図8は、メニューが表示された場合の測定結果リスト画面を示す図である。図8に示すように、ボタンB19が選択されると、メイン領域A2の検体情報に重畳して、ボタンB19の下方にメニューN1が表示される。メニューN1には、測定日時によって検体情報の並び替えを行うためのメニュー項目N11と、測定オーダの受付日時によって検体情報の並び替えを行うためのメニュー項目N12と、検体番号によって検体情報の並び替えを行うためのメニュー項目N13とが設けられている。各メニュー項目N11〜N13は選択可能であり、選択されたメニュー項目に対応する条件で検体情報の並び替えが実行される。また、各メニュー項目N11〜N13には昇順、降順の何れかを設定するためのボタンが設けられており、オペレータが何れかのボタンを選択することで、昇順、降順の何れかを設定可能である。
【0098】
また、かかるメニューN1においては、ユーザが設定可能なメニュー項目N14,N15が設けられている。このメニュー項目N14,15に設けられた「設定変更」ボタンが選択されると、並び順の条件設定用のダイアログ画面が表示されるようになっている(図示せず)。これにより、ユーザが新たな並び順の条件を追加することが可能である。
【0099】
また、メニューN1がボタンB19が選択されたことにより表示されたものであることを示すために、上記のメニューN1の上部からは三角形上の突起がボタンB19へ向けて突出するように設けられており、メニューN1が吹き出し状となるように表示される。他のボタンが選択された場合にも、三角形の形状が選択されたボタンへ向かって突出するように、吹き出し状のメニューが表示される。これにより、表示中のメニューが何れのボタンに係るものであるかが容易に理解される。
【0100】
次に、測定結果詳細画面について説明する。図9は、測定結果詳細画面を示す図である。
【0101】
測定結果詳細画面D3には、他の画面と同様に、ツールバー領域A1、メイン領域A2、及び測定操作領域A3が設けられている。ツールバー領域A1の固定ボタン領域A11、及び測定操作領域A3に表示される内容については、上述したメニュー画面D1と同様であるので、その説明を省略する。
【0102】
測定結果詳細画面D3におけるメイン領域A2には、測定ユニット51〜53のいずれかで測定された検体の測定結果の数値データ及び図形データ(分布図)が表示される。図9に示すように、メイン領域A2の上部には、表示中の測定結果が陽性である場合、即ち測定データの何れかに所定の基準範囲を超えた異常が含まれている場合に、当該測定結果が陽性であることを示す陽性情報を表示するための領域P31、表示中の測定結果がバリデーション済であるか否かを示すバリデーション情報を表示するための領域P32、検体番号、測定日時及び時刻等の検体情報を表示するための領域P33、及び患者の氏名、患者ID、担当医等の患者情報を表示するための領域P34等が設けられている。なお、図9に示すメイン領域A2には、測定ユニット51〜53の何れか1つの測定ユニットで測定された検体の測定結果のみが表示されているが、この測定結果に切り替えて、他の測定ユニットで測定された検体の測定結果をメイン領域A2に表示することができる。このようにして、メイン領域A2は測定ユニット51〜53に関する情報の表示に共用されている。
【0103】
また、領域P31〜P34の下方左側には、測定結果の数値データが表示される領域P35が設けられており、領域P31〜P34の下方右側には、測定結果の分布図データが表示される領域P36が設けられている。領域P35には、各項目毎に数値データが一覧形式で表示される。領域P36には、検体測定において作成されたスキャッタグラム及びヒストグラムが表示される。
【0104】
かかる測定結果詳細画面D3では、検体の測定結果のバリデーション及び修正を行うことが可能である。測定結果詳細画面D3における可変ボタン領域A12には、検体情報等の修正を行うための「修正」ボタンB16、検体の測定結果のバリデーションを行うための「バリデーション」ボタンB17等が設けられている。
【0105】
測定結果のバリデーションを行う場合、オペレータは、図に示すように領域P35,P36に表示されている各項目の測定データ及び分布図データを確認し、医師に測定結果を報告してもよいと判断すれば、「バリデーション」ボタンB17を選択する。これにより、選択されている測定結果のバリデーションが実行される。バリデーションが行われた場合、領域P32にバリデーション済であることを示す情報が表示される。これと共に、ハードディスク51dの測定結果データベースにおいて、当該測定結果のバリデーションが行われたことを示す情報が登録される。
【0106】
<測定操作メニュー表示動作>
上述したような画面の何れが表示されている場合であっても、測定ユニット操作部M1〜M3は常時表示されている。また、何れの画面が表示されている場合であっても、オペレータはこれらの測定ユニット操作部M1〜M3を操作することができ、これにより測定ユニット51〜53の操作が可能である。以下、測定ユニット操作部M1〜M3が操作されたときの画面表示について説明する。
【0107】
図10は、情報処理ユニット54の測定操作メニュー表示動作の手順を示すフローチャートである。オペレータは情報処理ユニット54の入力部543を操作して、測定ユニット操作部M1〜M3を操作して、測定ユニット51〜53に動作指示を与えることができる。測定ユニット操作部M1〜M3のボタンB31〜B34はオペレータの操作により選択可能であり、これらのボタンB31〜B34が選択されると、対応する画面(メニューを含む)が表示される。これらの画面(以下、「操作画面」という。)を操作することで、オペレータは測定ユニット51への動作指示又は設定等を行うことができる。
【0108】
CPU541aは、測定ユニット操作部M1〜M3のボタンB31〜B34の選択を受け付ける(ステップS201)。CPU541aにおいて、測定ユニット操作部M1〜M3のボタンB31〜B34の選択を受け付けるイベントが発生すると、ステップS202の処理が呼び出される。
【0109】
ステップS202において、CPU541aは、図11に示すように、選択されたボタンに対応する操作画面を表示する(ステップS202)。このとき、メイン領域A2の内部であって、選択されたボタンを有する測定ユニット操作部の上方の位置に、当該測定ユニット操作部と近接して当該操作画面が表示される。この際、選択されたボタンに係る操作画面であることが容易に理解されるように、図11に示されるように、三角形状の突起が選択されたボタンに向けて突出するように、吹き出し形状の操作画面が表示される。
【0110】
このように選択されたボタンB31〜B34に対応する操作画面が表示されている間に、オペレータがツールバー領域A1又はメイン領域A2に対する操作を行うことが必要となる場合がある。本実施形態では、ボタンB31〜B34のうちの何れかが選択され、選択されたボタンに対応する操作画面が表示されている状態において、オペレータが再び当該ボタン(表示された操作画面に対応するボタン)を選択する操作を行うと、ボタンに対応する操作画面に対してそれまで入力された情報が保持され、当該操作画面が隠され、ツールバー領域A1及びメイン領域A2への操作が可能となる。これにより、本実施形態では、現時点までに行ってきた操作入力を破棄することなく、選択されたボタンに対応する操作画面の表示を一時的に中断し、ツールバー領域A1及びメイン領域A2に対する操作を可能とすることができる。
【0111】
また、ボタンB31〜B34の何れかが選択されたことにより操作画面が表示されているときに、ツールバー領域A1及びメイン領域A2の中の任意の一点を選択する操作を行っても、選択されたボタンに対応する操作画面を隠す機能が実現される。複数の操作画面が表示されている場合に、この操作が行われると、全ての操作画面が一括して隠される。このとき、各操作画面において入力された情報は、全て保持される。
【0112】
複数の操作画面の一括非表示機能は、測定ユニット操作部M3の左側に設けられたボタンB35(図4参照)の選択によっても実現される。つまり、2以上の測定ユニット操作部M1〜M3においてボタンB31〜B34の何れかが選択され、2以上の操作画面が表示されている場合において、ボタンB35が選択されると、全ての操作画面が一括して隠される。このとき、各操作画面において入力された情報は、全て保持される。
【0113】
CPU541aは、上記のような操作画面を隠す指示を受け付けたか否かを判定し(ステップS203)、指示を受け付けた場合には(ステップS203においてYES)、非表示にされた操作画面において行われてきた操作入力の情報をRAM541cに記憶し(ステップS204)、操作画面を非表示にする(ステップS205)。これにより、ツールバーA1及びメイン領域A2へのオペレータの操作が可能となる。
【0114】
次にCPU541aは、隠された操作画面の再表示指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS206)。操作画面が隠されたときには、隠された操作画面に対応する測定ユニット操作部のボタンB31〜B34の位置に、ボタンB31〜B34に代えて、操作画面が隠されていることを示すボタンが表示される(図示せず)。このボタンが選択されることによって、隠されていた操作画面が、隠される直前の状態で再表示される。また、操作画面が隠されている状態において、ボタンB35が選択されることによっても、隠されていた操作画面が再表示される。また、ボタンB35は、複数のボタンを一括して再表示することが可能である。即ち、複数の操作画面が隠されている状態において、ボタンB35が選択されると、隠されている全ての操作画面が、隠される直前の状態で再表示される。
【0115】
ステップS206において、隠された操作画面の再表示指示を受け付けなかった場合には(ステップS206においてNO)、CPU541aは、ステップS206へ処理を戻す。これにより、再表示指示を行うまで、オペレータはツールバー領域A1及びメイン領域A2の操作を行うことが可能である。
【0116】
ステップS206において、隠された操作画面の再表示指示を受け付けた場合には(ステップS206においてYES)、CPU541aは、RAM541cに記憶された操作入力の情報を読み出し(ステップS207)、隠されていた操作画面を画像表示部542に再表示させる(ステップS208)。その後、CPU541aはステップS203へ処理を戻す。
【0117】
ステップS203において、操作画面を隠す指示を受け付けなかった場合には(ステップS203においてNO)、CPU541aは、操作画面に対する操作、即ち、測定ユニット51〜53に対する動作又は設定の指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS209)。ステップS209において、操作画面に対する操作を受け付けた場合には(ステップS209においてYES)、CPU541aは、指示された動作又は設定に対応する処理を実行し(ステップS210)、操作画面を閉じ(ステップS211)、処理を終了する。即ち、ステップS210において測定ユニットに対する動作指示を受け付けた場合には、当該動作を測定ユニットに実行させるために前記測定ユニットを制御する処理を実行し、測定ユニットに対する設定指示を受け付けた場合には、入力された設定値によりハードディスク541dの測定ユニットの設定情報を更新する。例えば、測定ユニット51に対する検体のマニュアル測定動作の指示を受け付けた場合には、CPU541aは、測定ユニット51を制御して、検体のマニュアル測定動作を実行させ、測定ユニット52に対する試薬交換動作の指示を受け付けた場合には、測定ユニット52を制御して、試薬の交換動作を実行させる。
【0118】
ステップS209において、操作画面の操作を受け付けなかった場合には(ステップS209においてNO)、CPU541aは、操作画面を閉じる指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS212)。ここで、操作画面を閉じる指示とは、上記の操作画面を隠す指示とは異なり、それまでに受け付けた操作画面に対する操作入力を破棄して、操作画面を非表示にする動作の指示である。オペレータは、操作画面に表示されたキャンセルボタンを選択することにより、かかる操作画面を閉じる指示を情報処理ユニット54に与えることができる。ステップS212において、操作画面を閉じる指示を受け付けた場合には(ステップS212においてYES)、CPU541aは、ステップS211へ処理を移し、操作画面を閉じ(ステップS211)、処理を終了する。一方、ステップS212において、操作画面を閉じる指示を受け付けなかった場合には(ステップS212においてNO)、CPU541aは、ステップS203へ処理を戻す。
【0119】
次に、測定ユニットに対してメンテナンス動作の指示が与えられる場合の画面表示について具体的に説明する。測定ユニット操作部M1〜M3のボタンB34が選択されると、操作部メニュー画面が表示される。図11は、操作部メニュー画面を示す図である。操作部メニュー画面P51には、対応する測定ユニットに対して精度管理測定を実行させるためのメニュー項目P51aと、対応する測定ユニットのXbarM設定を実行させるためのメニュー項目P51bと、対応する測定ユニットに対して校正動作を実行させるためのメニュー項目P51cと、対応する測定ユニットに対してメンテナンス動作を実行させるためのメニュー項目P51dと、対応する測定ユニットに対して自動洗浄動作を実行させるためのメニュー項目P51eと、対応する測定ユニットに対してシャットダウン動作を実行させるためのメニュー項目P51fと、対応する測定ユニットに対して試薬交換動作を実行させるためのメニュー項目P51gとが設けられている。各メニュー項目P51a〜P51gはオペレータの入力部543の操作により選択可能であり、1つのメニュー項目が選択されることにより、そのメニュー項目に対応する動作指示又は設定指示がCPU541aにより発行される。
【0120】
図11に示すように、操作メニュー画面P51は、選択されたボタンB34が設けられた測定ユニット操作部M3の直上に、測定ユニット操作部M3と近接して表示される。また、操作メニュー画面P51の幅は、測定ユニット操作部M3の幅と同一とされる。このように、ボタンB31〜B34の1つが選択されたときに、選択されたボタンが設けられた測定ユニット操作部の直上に、測定ユニット操作部と同一の幅の操作画面を表示させることにより、隣り合う測定ユニット操作部の操作画面が表示されたときに、各操作画面が重なり合うことがない。
【0121】
また、操作メニュー画面P51のメニュー項目P51dが選択されると、操作メニュー画面P51の右側に、メンテナンスメニュー画面P52が表示される。このメンテナンスメニュー画面P52には、対応する測定ユニットに対してメンテナンス動作を実行させるための複数のメニュー項目が設けられる。このメンテナンスメニュー画面P52に含まれるメニュー項目の中には、例えば、対応する測定ユニット53にクリーニング動作を実行させるためのメニュー項目P52a、対応する測定ユニット53の検出部513の洗浄動作を実行させるためのメニュー項目P52b等が含まれる。
【0122】
次に、オペレータが手作業で測定ユニット51,52,53の何れかに検体容器をセットし、検体容器をセットされた測定ユニットが当該検体容器に収容された検体を測定するマニュアル測定動作について説明する。以下の説明では、測定ユニット51によるマニュアル測定動作について説明する。
【0123】
マニュアル測定動作を実行する際には、測定ユニット51がマニュアル測定モードに設定されている必要がある。測定ユニット51がマニュアル測定モードに設定されていない場合、オペレータは、測定ユニット51の筐体に設けられたモード設定スイッチ(図示せず)を操作する。これにより、測定ユニット51がサンプラ測定モードからマニュアル測定モードへ移行する。
【0124】
測定ユニット51がマニュアル測定モードに設定されると、測定ユニット51に対応する測定ユニット操作部M1のボタンB33に、マニュアル測定モードに対応する図形が表示される。このボタンB33が選択されると、測定ユニット操作部M1の直上に、測定ユニット操作部M1と同一幅のマニュアル測定画面が表示される。図12は、マニュアル測定画面を示す図である。マニュアル測定画面P53には、検体番号を入力するための入力領域P53aと、患者IDを入力するための入力領域P53bと、測定を行うディスクリート項目を選択するための選択領域P53cと、微量測定を指示するための選択領域P53dと、検査情報管理装置9への測定オーダの問い合わせを指示するための選択領域P53eと、血液吸引センサをオンに設定指示するための選択領域P53fと、マニュアル測定の開始を指示するためのボタンB531と、当該マニュアル測定画面P53に対する操作入力を破棄してマニュアル測定画面P53を非表示にするためのボタンB532とが設けられている。
【0125】
オペレータは、マニュアル測定画面P53に対してマニュアル測定に必要な情報を入力し、ボタンB531を選択する操作を行うことによって、情報処理ユニット54に対して、測定ユニット51による検体のマニュアル測定動作の指示を与える。この後、オペレータは、測定ユニット51の筐体に設けられたスイッチ(図示せず)を操作することにより、測定ユニット51の検体容器搬送部515を筐体の外部に移動させる指示を情報処理ユニット54に与える。これにより、情報処理ユニット54のCPU541aが測定ユニット51を制御し、検体容器搬送部515が測定ユニット51の筐体の外部に移動する。オペレータは、オープン測定モードが設定されている場合には、蓋無しの検体容器を、クローズ測定モードが設定されている場合には、蓋付きの検体容器を、検体容器搬送部515の検体容器保持位置に載置し、測定ユニット51の筐体に設けられた前記スイッチを操作することにより、測定ユニット51の内部への検体容器の取り込みを情報処理ユニット54に指示する。CPU541aは、測定ユニット51を制御し、検体容器搬送部515を測定ユニット51の筐体の内部に移動させる。
【0126】
情報処理ユニット54のCPU541aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器を吸引位置へ搬送し、検体吸引部511を制御し、マニュアル測定画面P53の選択領域P53cにおいて指定された測定項目に必要な量の検体を検体容器から吸引する。検体の吸引が完了した後には、CPU541aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器搬送部515を測定ユニット51の外部へ移動させ、検体容器を測定ユニット51の内部から排出する。オペレータは、検体容器搬送部515から検体容器を取り外し、引き続き別の検体のマニュアル測定を行う場合には、別の検体容器を検体容器搬送部515に載置する。
【0127】
また、情報処理ユニット54のCPU541aは、試料調製部512を制御し、マニュアル測定画面P53の選択領域P53cにおいて指定された測定項目に応じて測定試料を調製し、検出部513に測定試料を供給して、検出部513により検体の測定を行う。これにより、CPU541aは、検出部513から出力される測定データを取得する。CPU541aは、上述したサンプラ測定動作と同様に測定データの解析処理を実行し、マニュアル測定画面P53の選択領域P53cにおいて指定された測定項目についての検体の測定結果を得る。測定データの解析処理により生成された測定結果データは、ハードディスクに格納される。
【0128】
なお、測定ユニット52,53が搬送先とされた場合については、上記と同様であるので、その説明を省略する。
【0129】
次に、測定ユニット53に対して試薬交換動作の指示が与えられる場合の画面表示について具体的に説明する。図11に示すように、測定ユニット操作部M3のボタンB34が選択されると、操作メニュー画面P51が表示される。操作メニュー画面P51のメニュー項目P51gが選択されると、操作メニュー画面P51に代えて、測定ユニット操作部M3と同一幅の試薬交換画面が表示される。図13は、試薬交換画面を示す図である。この試薬交換画面P54には、対応する測定ユニット53の試料調製部512に接続された各試薬容器と対応する複数のアイコンP54a〜P54hが表示されている。それぞれのアイコンP54a〜P54hは、対応する試薬容器のラベルと同一の色により表示されている。これにより、どのアイコンがどの試薬容器に対応しているかが容易に理解される。
【0130】
また、各アイコンP54a〜P54hの内部には、対応する試薬の情報、即ち、使用期限、ロット番号、残テスト数、試薬名称のそれぞれが表示される。また、交換が必要な試薬に対応するアイコンには、残テスト数に代えて、交換が必要である旨の警告情報P54iが表示される。各アイコンP54a〜P54hは、オペレータによる入力部543の操作によって選択可能である。また、各アイコンP54a〜P54hは、枠状の図形として表示される。それぞれの枠の内部には、色分けされた2つの領域が設けられる。これらの領域はアイコンの枠が上下に分割されることにより形成されており、枠の内部全体が試薬容器の容量に対応し、下側の領域が試薬の残量に対応している。つまり、試薬の残量が試薬容器の全容量の50%の場合には、丁度枠内の上下方向中央位置において2つの領域が分割され、試薬の残量が試薬容器の全容量の70%の場合には、アイコンの枠内の全高さの70%の高さの位置で2つの領域が分割される。また、試薬が試薬容器に満杯の場合には、アイコンの枠内は分割されない。このように、一目で各試薬の大まかな残量が把握できるようになっている。
【0131】
また、試薬交換画面P54には、選択されたアイコンに対応する試薬の交換動作の実行を指示するためのボタンB541と、当該試薬交換画面P54に対する操作入力を破棄して試薬交換画面P54を非表示にするためのボタンB542とが設けられている。オペレータは、アイコンP54a〜P54hのうち、交換する試薬に対応する1つを選択し、ボタンB541を選択する操作を行うことで、情報処理ユニット54に当該試薬の交換動作を指示する。CPU541aは、この指示を受け付けると、測定ユニット51を制御して、試薬交換動作を実行させる。即ち、オペレータは、不要となった試薬容器を測定ユニット51から取り外し、新しい試薬容器のラベルに印刷されているバーコードを、測定ユニット51に設けられた図示しない試薬バーコードリーダによって読み取らせ、この新しい試薬容器を測定ユニット51に接続する。試薬交換動作を指示されたCPU541aは、試薬バーコードリーダを制御して試薬バーコードを読み取らせ、試薬に関する情報、即ち、使用期限、ロット番号、残テスト数、及び試薬名称の各情報を取得する。CPU541aは、ハードディスク541dに設けられた試薬データベース(図示せず)に、取得した試薬情報を登録し、この登録した情報によって、交換された試薬に対応するアイコンの表示を更新する。これにより、試薬交換動作が完了する。
【0132】
次に、測定ユニット53にエラーが発生した場合の画面表示について具体的に説明する。測定ユニット53にエラーが発生した場合、図14に示すように、対応する測定ユニット操作部M3のボタンB31にエラー警告アイコンが表示される。また、ステータス通知部P2が赤色に表示され、測定ユニット操作部M3のエラーメッセージ領域P6に当該エラーに係るエラーメッセージが表示される。エラー警告アイコンが表示されているボタンB31が選択されると、エラー対処画面が測定ユニット操作部M3の直上に表示される。
【0133】
図14は、エラー対処画面が表示されたメニュー画面を示す図である。図14に示すように、エラー対処画面P310がボタンB31が選択されたことにより表示されたものであることを示すために、上記のエラー対処画面P310の下端からは三角形状の突起が測定ユニット操作部M3のボタンB31へ向けて突出するように設けられており、エラー対処画面P310が吹き出し状となるように表示される。これにより、エラー対処画面P310が何れのボタンに係るものであるかが容易に理解される。
【0134】
エラー対処画面P310には、どのようなエラーが生じたのかを示すエラーメッセージを表示するエラーメッセージリスト領域P311が設けられる。このエラーメッセージリスト領域P311には、その時点において測定ユニット53に生じている全てのエラーに関するエラーメッセージが一覧表示される。図14に示す例では、試薬切れ、精度管理異常、環境温度サーミスタ断線の3つのエラーに関するエラーメッセージが表示されている。試薬切れのエラーが発生した場合には、「セルパックがなくなりました」のように試薬切れとなった試薬の種類を明示したエラーメッセージが表示される。「精度管理異常」は、精度管理測定に関するエラーである。また、「環境温度サーミスタ断線」は、測定ユニット51に設けられた温度センサであるサーミスタが断線するエラーである。このように、どのようなエラーが発生しているかをオペレータが把握可能なエラーメッセージがエラーメッセージリスト領域P311に表示される。
【0135】
また、図14に示す例では、エラーメッセージ領域P6に「試薬を交換してください。」のエラーメッセージが表示されている。さらにこの例では、検体搬送ユニット3cにおいて検体ラックの移動エラーが発生しており、測定ユニット操作部M3の下方に設けられた搬送エラー表示部P4には「ラック移動エラー」のエラーメッセージが表示されている。
【0136】
エラーメッセージリスト領域P311の右上には、アラーム停止ボタンP312が表示される。このアラーム停止ボタンP312は選択可能なオブジェクト(コントロール)であり、かかるアラーム停止ボタンP312が選択されると、ステータス通知部P5が赤色から緑色に変化し、エラーメッセージ領域P6においてエラーメッセージが非表示となる。また、エラーの発生によって動作していたアラーム表示、アラーム音が停止される。
【0137】
エラーメッセージリスト領域P311の下方には、エラーの対処方法が表示される対処方法表示領域P313が設けられている。エラーメッセージリスト領域P311に表示されているエラーメッセージはオペレータによる入力部543の操作によって選択可能であり、選択されたエラーメッセージに対応するエラーの対処方法を示すテキストが対処方法表示領域P313に表示される。図14に示す例では、「[実行]ボタンを押すと試薬交換画面を開きます。」のテキストメッセージが対処方法表示領域P313に表示されている。また、さらに詳細なエラーの対処方法を示すことができる場合には、対処方法表示領域P313の内部に詳細な手順を表示するためのボタンP314が表示される。このボタンP314は選択可能なコントロールであり、かかるボタンP314が選択されると、新たなウィンドウが表示され、このウィンドウにエラーの詳細な対処方法が示される(図示せず)。
【0138】
対処方法表示領域P313の下方には、3つのボタンP315,P316,P317が設けられている。これらのボタンP315〜P317のそれぞれは、選択可能なコントロールである。ボタンP315には取扱説明書を表示する機能が割り当てられている。かかるボタンP315が選択されると、ハードディスク541dに記憶されている取扱説明書のデータ(図示せず)が読み出され、取扱説明書が画像表示部542に表示される。オペレータは、この取扱説明書を参照して、エラーに対処したり、エラーの詳細な内容を確認したりすることができる。エラーメッセージリスト領域P311において選択されているエラーメッセージに係るエラーを解消するための処理、例えば、エラー復帰動作を測定ユニットに実行させる制御処理等を情報処理ユニットが実行可能である場合、ボタンP316にはかかるエラー解消処理の実行開始が割り当てられる。図6の例では、当該ボタンP316上に「実行」の文字が表示され、このボタンP316には試薬交換画面を表示する機能が割り当てられている。オペレータは、このボタンP316を選択することで、試薬交換画面を表示することができ、この試薬交換画面を利用して試薬を交換することで、試薬切れのエラーを解消することができる。また、ボタンP317にはエラー対処画面P310を非表示にする機能が割り当てられている。かかるボタンP317が選択されると、それまでにエラー対処画面P310に入力された情報が破棄され、エラー対処画面P310が閉じられる。
【0139】
このようなエラー対処画面P310は、選択されたボタンB31が設けられている測定ユニット操作部M3の直上のメイン領域A2内の位置に表示される。即ち、測定ユニット操作部M3に対して、測定ユニット操作部M1〜M3の並設方向と直交する方向である上方向の位置に、エラー対処画面P310は表示される。また、エラー対処画面P310の横幅は、測定ユニット操作部M3の横幅と同じであり、エラー対処画面P310の両側端の位置は、測定ユニット操作部M3の両側端の位置と合わせられている。
【0140】
さらに図14に示す例では、測定ユニット操作部M2に係る測定モード切替画面が表示されている。図14に示すように、測定ユニット操作部M2のボタンB32が選択されると、測定モード切替画面P320が測定ユニット操作部M2の直上に表示される。このとき、測定モード切替画面P320が測定ユニット操作部M2のボタンB32が選択されたことにより表示されたものであることを示すために、測定モード切替画面P320は、その下端から三角形状の突起が測定ユニット操作部M2のボタンB32へ向けて突出するように設けられ、全体として吹き出し状となるように表示される。
【0141】
測定モード切替画面P320は、通常検体測定モード、希釈検体測定モード、体液測定モードの中から何れか1つの測定モードを設定するための画面である。かかる測定モード切替画面P320には、対応する測定ユニット52を通常検体測定モードに設定するためのラジオボタンP321と、同じく希釈検体測定モードに設定するためのラジオボタンP322と、同じく体液測定モードに設定するためのラジオボタンP323とが設けられている。これらのラジオボタンP321〜P323のそれぞれは、何れか1つを選択可能なコントロールである。つまり、ラジオボタンP321〜P323の中の2以上を同時に選択することはできない。また、測定モード切替画面P320の下部には、選択された測定モードの設定を実行するためのボタンB325と、測定モードの設定を行わずに測定モード切替画面を非表示にするためのボタンB326とが設けられている。これらのボタンP321〜P323およびB325、B326のそれぞれは、選択可能なコントロールである。即ち、ラジオボタンP321が選択された状態で、ボタンB325が選択される操作がオペレータにより行われると、対応する測定ユニット52が通常検体測定モードに設定される。つまり、情報処理ユニット54のハードディスク541dには、各測定ユニット51〜53の測定モードの設定値を格納する領域が設けられており、上記のような操作入力を情報処理ユニット54が受け付けると、ハードディスク541dの測定ユニット52の測定モードの設定値を格納する領域に、通常検体測定モードを示す設定値が格納され、これによって測定ユニット52が通常検体測定モードに設定される。ボタンB325が選択された後は、測定モード切替画面P320は非表示とされる。また、ラジオボタンP321〜P323の1つが選択された状態で、ボタンB326が選択される操作がユーザにより行われると、ラジオボタンP321〜P323の1つが選択された入力情報が破棄され、測定モード切替画面P320が非表示とされる。
【0142】
このような測定モード切替画面P320は、選択されたボタンB32が設けられている測定ユニット操作部M2の直上のメイン領域A2内の位置に表示される。即ち、測定ユニット操作部M2に対して、測定ユニット操作部M1〜M3の並設方向と直交する方向である上方向の位置に、測定モード切替画面P320は表示される。また、エラー対処画面310の場合と同様に、測定モード切替画面P320の横幅は、測定ユニット操作部M2の横幅と同じであり、測定モード画面P31の両側端の位置は、測定ユニット操作部M2の両側端の位置と合わせられている。つまり、図14に示すように、測定ユニット操作部M3及びM2は互いに隣接して設けられているため、測定ユニット操作部M3に対応するエラー対処画面P310と、測定ユニット操作部M2に対応する測定モード切替画面P320は互いに隣接して表示され、互いに重なり合うことがない。これにより、図14におけるエラー対処画面P310及び測定モード切替画面P320のように、隣接する測定ユニット操作部のそれぞれに対応して2以上の操作画面が表示された場合には、これらの操作画面が互いに重なり合うことがなく、オペレータは各操作画面に対して容易に操作を行うことができる。
【0143】
以上に詳述した如く、本実施の形態に係る検体処理システム1においては、メイン領域A2と、各測定ユニット51〜53に各別に対応した3つの測定ユニット操作部M1〜M3を含む操作領域A3とを情報処理ユニット54の表示画面中に設けたため、オペレータは、測定結果詳細画面、測定オーダの登録画面等をメイン領域A2に表示させながら、各測定ユニット51〜53に関する操作を行うことができる。このため、オペレータは簡便に各測定ユニット51の操作を行うことができる。
【0144】
また、本実施形態では、メイン領域A2の表示を切り替えても、測定ユニット操作部M1〜M3が継続して表示されるため、オペレータはいつでも即座に測定ユニット操作部M1〜M3を利用して測定ユニット51〜53の動作指示又は設定を実行することができる。このため、オペレータは簡便に各測定ユニット51の操作を行うことができる。
【0145】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、血球分析装置5及び塗抹標本作成装置6を備える検体処理システム1における情報処理ユニット54の表示画面について説明したが、これに限定されるものではない。図15は、他の実施の形態に係る血球分析装置の構成を示す斜視図である。図に示すように、血球分析装置100は、2つの測定ユニット201,202と、検体搬送ユニット300と、情報処理ユニット400とを備えている。この情報処理ユニット400の画面において、上述したような画面を表示する構成としてもよい。
【0146】
また、上述した実施の形態においては、測定ユニットの操作を行うためのオブジェクトとして、測定ユニット操作部M1,M2,M3にボタンB31,B32,B33,B34が設けられているが、上記オブジェクトとして、アイコン、又はプルダウンメニュー若しくはポップアップメニューを表示するためのメニューボタン等が測定ユニット操作部M1,M2,M3に設けられていてもよい。
【0147】
また、上述した実施の形態においては、メニュー画面D1のメイン領域A2に表示されるオブジェクトとしてアイコンが表示されているが、メイン領域A2に表示されるオブジェクトとしてボタン、又はプルダウンメニューを表示するためのメニューボタン等が設けられてもよい。
【0148】
また、上述した実施の形態においては、図7に示すように、メイン領域A2に一覧表示される情報として、検体番号、測定日時、測定オーダの受付日時等が示されているが、患者ID、患者の氏名、担当医等の患者情報をメイン領域A2に一覧表示してもよい。
【0149】
また、上述した実施の形態においては、図9に示すように、いずれかの測定ユニットで測定された一の検体の測定結果がメイン領域A2に表示されるが、測定結果ではなく、又は測定結果と共に、当該一の検体を提供した患者の疾患情報(患者が有する可能性のある疾患名、当該疾患に特徴的な測定結果、当該疾患に関する参考文献等)をメイン領域A2に表示する構成としてもよい。
【0150】
また、測定ユニット51,52,53が、測定ライン3M上の検体ラックに保持されたままの検体容器から直接検体を吸引する構成としてもよい。
【0151】
また、上述した実施の形態においては、測定ユニット51,52においてCBC,DIFFについて検体の測定が可能であるがRETについて検体の測定はできず、測定ユニット53においてCBC,DIFF,RETについて検体の測定が可能な構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、測定ユニット51,52,53の全てが同一の測定項目(CBC,DIFF,RET)について検体を測定可能な構成としてもよい。
【0152】
また、上述した実施の形態においては、測定ユニット操作部M1〜M3のボタンB31〜B34が操作されると、測定ユニット操作部M1〜M3の上部において、メイン領域A2に表示されているコンテンツを隠すように、選択されたボタンB31〜B34に対応する操作画面が表示される構成について述べたが、これに限定されるものではない。表示する操作画面を半透明にし、当該操作画面の後側に重なるメイン領域Aのコンテンツが操作画面を透過して表示される構成としてもよい。
【0153】
また、上述した実施の形態においては、血球分析装置5における情報処理ユニット54の表示画面について説明したが、これに限定されるものではない。複数の検体処理ユニットを有する他の検体処理装置、例えば、尿中有形成分分析装置、血液凝固測定装置、免疫分析装置、生化学分析装置、塗抹標本作成装置の表示画面において、検体の処理結果を含むコンテンツを表示するメイン領域とは別に、各検体処理ユニットに対応した複数の検体処理ユニット操作部を有する画面を表示させる構成としてもよい。
【0154】
また、上述した実施の形態においては、血球分析装置5が3つの測定ユニット51,52,53及び情報処理ユニット54を備えた構成について述べたが、これに限定されるものではない。測定ユニットは3つ以外の複数でもよい。また、情報処理ユニット54によって測定ユニット51,52,53の機構の制御を行うのではなく、それぞれの測定ユニットがCPU及びメモリ等からなる制御部を備え、情報処理ユニット54から各制御部に各測定ユニット51〜53の動作指示を与え、これらの制御部によって各測定ユニットの制御が行われる構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明の検体処理装置及びコンピュータプログラムは、検体の測定、塗抹標本の作製等の処理を行う検体処理装置及びコンピュータプログラムとして有用である。
【符号の説明】
【0156】
1 検体処理システム
2 検体発送装置
22b バーコードリーダ
3 検体搬送装置
3a,3b,3c、4 検体搬送ユニット
3F 搬送ライン
3M 測定ライン
5 血球分析装置
51,52,53 測定ユニット
511 検体吸引部
512 試料調製部
513 検出部
516 バーコードリーダ
54 情報処理ユニット
6 塗抹標本作製装置
7 検体回収装置
8 システム制御装置
9 検査情報管理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を処理する複数の検体処理ユニットと、
前記複数の検体処理ユニットのそれぞれと通信可能に接続されたデータ処理ユニットと、
を備え、
前記データ処理ユニットは、
表示部、
入力部、及び、
前記複数の検体処理ユニットに関する情報の表示に共用される共用領域と、前記複数の検体処理ユニットの操作を行うために各検体処理ユニットに対して個別に設けられた複数の操作部とを有する画面を前記表示部に表示させ、ユーザによる前記入力部を用いた各操作部の操作に応じて、対応する検体処理ユニットを制御する制御部、
を具備する、
検体処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の操作部とは独立して、前記共用領域の表示を切替可能に構成されている、
請求項1に記載の検体処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記共用領域に、一の検体処理ユニットによって処理された一の検体に関する情報と、他の検体処理ユニットによって処理された他の検体に関する情報とを同時に表示可能である、
請求項1又は2に記載の検体処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記共用領域に、各検体処理ユニットによって処理された検体の識別情報と処理日時とを一覧表示可能である、
請求項3に記載の検体処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記共用領域に、一の検体処理ユニットによって処理された一の検体に関する情報を表示し、当該一の検体に関する情報から、他の検体処理ユニットによって処理された他の検体に関する情報へ前記共用領域の表示を切替可能である、
請求項1又は2に記載の検体処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記一の検体に関する情報として、前記一の検体の処理結果を示す情報を前記共用領域に表示し、前記他の検体に関する情報として、前記他の検体の処理結果を示す情報を前記共用領域に表示可能である、
請求項5に記載の検体処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記共用領域に、前記複数の検体処理ユニットに共用される画面を呼び出すための複数のオブジェクトを同時に表示可能である、
請求項1又は2に記載の検体処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、対応する検体処理ユニットの操作を行うためのオブジェクトを前記複数の操作部のそれぞれに表示させ、前記入力部を介して前記オブジェクトを選択する操作を受け付けるように構成されている、
請求項1乃至7の何れかに記載の検体処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記入力部を介して一の操作部に設けられたオブジェクトを選択する操作を受け付けたときに、前記一の操作部に対応する検体処理ユニットの操作を行うための操作画面を前記表示部に表示させるように構成されている、
請求項8に記載の検体処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記入力部を介して前記オブジェクトを選択する操作を受け付けたときに、前記共用領域内の前記オブジェクトに隣接した位置に前記操作画面を表示させるように構成されている、
請求項9に記載の検体処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記入力部を介して前記オブジェクトを選択する操作を受け付けたときに、前記共用領域よりも面積が小さい前記操作画面を表示させるように構成されている、
請求項10に記載の検体処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記操作画面として、検体処理ユニットに生じたエラーの対処に関するエラー対処画面、検体処理ユニットの動作モードを設定するための動作モード設定画面、及び検体処理ユニットの検体処理動作の開始に関する処理開始画面の少なくとも1つを前記表示部に表示可能に構成されている、
請求項9乃至11の何れかに記載の検体処理装置。
【請求項13】
前記制御部は、2以上の操作部に対応する2以上の操作画面を同時に前記表示部に表示させるように構成されている、
請求項9乃至12の何れかに記載の検体処理装置。
【請求項14】
前記制御部は、複数の操作画面を非表示にするための選択可能なオブジェクトを前記画面にさらに表示させ、前記入力部を介して前記オブジェクトを選択する操作を受け付けたときに、表示されている複数の操作画面を非表示にするように構成されている、
請求項13に記載の検体処理装置。
【請求項15】
前記制御部は、画面を切り替えるための選択可能な複数のオブジェクトが表示されるツールバー領域を前記画面の上端に、前記複数の操作部を含む操作領域を前記画面の下端に、前記共用領域を前記ツールバー領域と前記操作領域の間に表示させるように構成されている、
請求項1乃至14の何れかに記載の検体処理装置。
【請求項16】
前記制御部は、各操作部に、対応する検体処理ユニットの状態を示す状態情報を表示させるように構成されている、
請求項1乃至15の何れかに記載の検体処理装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記状態情報として、検体処理ユニットにエラーが発生していることを示すエラー情報、検体処理ユニットにおいて検体処理に用いられる試薬の残量を示す試薬残量情報、検体処理ユニットにおいて処理される検体を特定する検体特定情報、検体処理ユニットにおいて設定されている動作モードを示す動作モード情報、及び検体処理ユニットにおいて検体の処理が行われる処理項目を示す処理項目情報の少なくとも1つを各操作部に表示させるように構成されている、
請求項16に記載の検体処理装置。
【請求項18】
前記複数の検体処理ユニットのそれぞれは、複数の測定項目について検体を測定可能に構成されており、各検体処理ユニットの測定項目の少なくとも一部は互いに共通している
請求項1乃至17の何れかに記載の検体処理装置。
【請求項19】
検体を処理する複数の検体処理ユニットのそれぞれと通信可能に接続されており、表示部を備えるコンピュータに、前記複数の検体処理ユニットの検体処理に関する画面の表示処理を実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記複数の検体処理ユニットに関する情報の表示に共用される共用領域と、前記複数の検体処理ユニットの操作を行うために各検体処理ユニットに対して個別に設けられた複数の操作部とを有する画面を前記表示部に表示させるステップ、及び、
ユーザによる各操作部の操作に応じて、対応する検体処理ユニットを制御するステップを、
前記コンピュータに実行させる、
コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−93326(P2012−93326A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243033(P2010−243033)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】