説明

検体処理装置

【課題】操作者を特定することができる検体処理装置を提供する。
【解決手段】識別情報取得部32は、本分注装置の利用を許可された複数の許可者の各々が所有する識別ツールから識別情報を取得する。識別ツールとしては、電波を発するRFタグや非接触式ICカードなどが好適である。操作権限判断部24は、取得された識別情報の権限レベルを確認する。権限レベルは、本分注装置を利用する利用者の役割に応じて設定され、一般操作者、管理者、サービスマンの三つに分けられる。操作権限判断部24は、一般操作者であれば一般操作者権限に設定し、管理者であれば管理者権限に設定し、サービスマンであればサービスマン権限に設定する。その結果、権限に応じて操作が制限される。また、操作が行われた場合、操作ログ生成部26は、操作者IDと操作内容とを対応付けた操作ログを生成し、ハードディスク16に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体処理装置に関し、特に、操作者を特定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
検体処理装置として分注装置や分析装置を挙げることができる。分注装置は、例えば、人体から採取した血液、尿などの液体試料を複数の容器に分注する装置である。また、分析装置は、液体試料などを分析する装置である。一般に、分注装置や分析装置などの検体処理装置は、複数の利用者によって共用される。
【0003】
複数の利用者が装置を共用する形態において、装置の操作性を向上させる技術が知られている。例えば、特許文献1には、複数の画面から利用者に応じた画面を新たにメニュー画面として登録することにより、操作性を向上させる分析装置が示されている。また、特許文献2には、利用者が言語の切り替え操作をすることなく、その利用者が所望する言語を自動で表示する分析装置が示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−148197号公報
【特許文献2】特開2002−351591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記各特許文献に記載の装置によれば、複数の利用者が装置を共用する形態において、装置の操作性を向上させることができる。ところが、このような共用形態においては、装置の操作性以外にも問題が挙げられる。
【0006】
例えば、分注装置において、試料の分注ミスなどのトラブルが発生した場合、そのトラブルの発生状況や対処状況の確認が困難となる。装置に起因するトラブルに関しては、操作の履歴情報などを含むログを装置に記憶しておくことで、原因究明の手がかりとなる場合がある。しかしながら、複数の利用者が共用する形態では、どの利用者によるトラブルなのかを特定するのが極めて困難である。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みて成されたものであり、その目的は、操作者を特定することができる検体処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の好適な態様である検体処理装置は、検体に対して、分注処理および分析処理のうちの少なくとも一方を施す検体処理装置において、本装置の利用を許可された複数の許可者の各々が所有する識別ツールから識別情報を取得する識別情報取得部を有し、前記複数の許可者のうちの本装置を操作する操作者が所有する識別ツールから識別情報を取得してその識別情報から当該操作者を特定する、ことを特徴とする。
【0009】
望ましくは、前記特定された操作者による操作の履歴情報とその操作者の識別子とを対応付けた操作ログを記憶することを特徴とする。望ましくは、前記特定された操作者に対応する識別情報に基づいて当該操作者の操作権限レベルを特定し、その操作権限レベルに基づいて当該操作者による操作を制限することを特徴とする。望ましくは、前記特定された操作者が所有する識別ツールから間欠的に前記識別情報の取得を繰り返し、前記識別情報が取得できなくなった場合に、当該操作者による操作を制限する、ことを特徴とする。
【0010】
望ましくは、前記識別ツールは、自発的に識別情報を発信又は出力するものである、ことを特徴とする。望ましくは、前記識別ツールは、電波を発するRFタグであり、本装置から所定距離の範囲内に存在するRFタグから電波を介して取得された識別情報に基づいて本装置の操作者を特定する、ことを特徴とする。望ましくは、前記識別ツールは、前記識別情報を記憶した非接触式ICカードであり、本装置から所定距離の範囲内に存在する非接触式ICカードから電波を介して取得された識別情報に基づいて本装置の操作者を特定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、複数の許可者の中から装置の操作者を特定することができる。このため、例えば、操作の履歴情報とその操作者の識別子とを対応付けた操作ログを記憶することにより、分注あるいは分析におけるトラブルの原因究明が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1には、本発明に係る検体処理装置の好適な実施形態が示されており、図1は、検体処理装置である分注装置の全体構成を示すブロック図である。
【0014】
分注処理部10は、試験管に収められた液体試料などの検体に対して分注処理を行うための機構が含まれる。つまり、分注処理部10は、試験管を収容する検体ラック、検体を吸引吐出する分注ノズル、および、分注ノズルを搬送する搬送機構などを含んでおり、分注処理部10において、検体が複数の試験管に分注される。
【0015】
ちなみに、検体処理装置としては、分注装置の他、分析装置が挙げられる。分析装置の場合、図1における分注処理部10に換えて、分析処理の機構を有する分析処理部が設けられる。なお、検体処理装置として、分注および分析の両方の機能を備えた装置を構成してもよい。以下においては、検体処理装置の代表例である分注装置について説明する。
【0016】
制御部20は、分注装置全体の動作を制御するものであり、例えば、CPUなどの演算処理回路で構成される。制御部20には、操作者を特定してその操作者に応じた制御を行うために、操作者特定部22、操作権限判断部24および操作ログ生成部26が含まれている。これらの動作については後に詳述する。
【0017】
操作部12は、操作者からの指示を受け付けるユーザインターフェースであり、例えば、キーボードなどで構成される。ディスプレイ14は、操作者が分注装置を操作する際のメニュー画面や分注結果画面などを表示する。ディスプレイ14は、メニュー画面の表示に加えて、タッチパネルの機能を提供してもよい。
【0018】
ハードディスク16は、分注装置で利用される各種データが記憶される。例えば、後に詳述する操作ログなどが記憶される。プリンタ18は、分注装置の分注処理結果や、ハードディスク16に記憶された操作ログ(操作ログの部分情報を含む)などを印刷する。
【0019】
通信インターフェース(通信IF)30は、分注装置と外部機器とのインターフェースであり、本分注装置は、この通信IF30を介して、例えば、ホストコンピュータなどに接続される。
【0020】
識別情報取得部32は、本分注装置の利用を許可された複数の許可者の各々が所有する識別ツールから識別情報を取得する。識別ツールとしては、許可者が特別な操作を行うことなく、自発的に識別情報を発信又は出力できるもの、例えば、電波を発するRFタグや非接触式ICカードなどが好適である。識別ツールに応じて、識別情報取得部32の具体的構成が決定される。
【0021】
図2は、識別ツールとしてRFタグを利用した場合の構成を説明するための図である。RFタグ40は、所定の微弱な電波を発するタグである。識別ツールがRFタグ40の場合、識別情報取得部としてリーダ32aが利用される。リーダ32aは、RFタグ40が発する電波を受信する。
【0022】
本分注装置の利用を許可された複数の許可者の各々はRFタグ40を携帯する。RFタグ40には各許可者を識別する識別情報が記憶されており、RFタグ40は電波によって識別情報を出力する。RFタグ40が発する電波の強度は微弱であるため、RFタグ40がリーダ32aに接近した場合にのみ、RFタグ40からリーダ32aに識別情報が伝えられる。このため、RFタグ40を携帯する許可者が、本分注装置に接近した場合に、つまり、本分注装置を操作する場合に、その許可者が所有するRFタグ40の識別情報がリーダ32aに伝えられ、この識別情報によって、本分注装置の操作者を特定することが可能になる。リーダ32aは、取得した識別情報を制御部20へ出力する。
【0023】
ちなみに、RFタグ40としては、それに内蔵された電池の電力を利用して電波を発するもの、あるいは、電池を内蔵せずリーダ32aから電波を受信し、受信した電波に起因する起電力を利用して電波を発するもの、などが挙げられる。
【0024】
図3は、識別ツールとして非接触式ICカードを利用した場合の構成を説明するための図である。識別ツールが非接触式ICカード(カード)40´の場合、識別情報取得部としてカードリーダ32bが利用される。本分注装置の利用を許可された複数の許可者の各々は、非接触式ICカード40´を所有する。非接触式ICカード40´には、それを所有する許可者を識別する識別情報が記憶されており、カードリーダ32bからの電波による電力供給によって電波を発し、識別情報を出力する。許可者は、本分注装置を操作する場合に、その許可者が所有する非接触式ICカード40´をカードリーダ32bのカード読み取り部33にかざして、識別情報をカードリーダ32bに読み取らせる。この識別情報によって、本分注装置の操作者を特定することが可能になる。カードリーダ32bは、取得した識別情報を制御部20へ出力する。なお、本分注装置では、後述するように間欠的にID監視を行うため、装置の操作中はカード40´をカード読み取り部33の上に置いておく。
【0025】
以下、図1の分注装置の動作について詳述する。なお、以下の説明において図1に示した部分には図1の符号を付して説明する。
【0026】
図4は、図1の分注装置による操作者の特定動作を説明するためのフローチャートである。
【0027】
操作者特定部22は、識別情報取得部32において識別情報(許可者のID)が取得されたか否かを監視し(S401)、IDが取得された場合にはS402へ進み、IDが取得されない場合にはS411へ進む。
【0028】
IDが取得された場合、操作権限判断部24は、取得したIDの権限レベルを確認する(S402)。権限レベルは、本分注装置を利用する利用者の役割に応じて設定され、本実施形態では、利用者の役割が、一般操作者、管理者、サービスマンの三つに分けられる。一般操作者は、本分注装置を利用して分注作業を行う作業員である。管理者は、本分注装置の管理と一般操作者である作業員を管理する役割を担い、例えば、各作業員に対して分注作業を指示する。サービスマンは、本分注装置のメンテナンスを担当する。一般に、サービスマンは、装置の製造メーカなどから必要に応じて派遣される。本分注装置には、一般操作者、管理者、サービスマンの各々に対応する権限レベルが予め設定される。権限レベルの確認として、例えば、操作権限判断部24は、ハードディスク16等に予め格納されている、IDと権限レベルの情報とが対応付けられたテーブルにアクセスし、当該テーブルから取得したIDに対応する権限レベルの情報を読み出す。
【0029】
S402において、操作権限判断部24は、取得したIDからそのIDを所有する操作者の権限レベルを判断し、一般操作者であれば一般操作者権限に設定され(S403)、管理者であれば管理者権限に設定され(S404)、サービスマンであればサービスマン権限に設定される(S405)。
【0030】
そして、一般操作者権限に設定された場合、本分注装置の機能のうち、一般操作者用の機能のみを利用可能とし、管理者権限に設定された場合、一般操作者用及び管理者用の機能を利用可能とし、サービスマン権限に設定された場合、一般操作者用、管理者用及びサービスマン用の機能を利用可能とする。利用できる機能の制限は、例えば、メニュー画面の利用を制限することによって実現される。
【0031】
図7は、このメニュー画面による機能の制限を説明するための図であり、ディスプレイ14に表示されるメニュー画面を示している。
【0032】
一般メニュー画面50は、一般操作者が利用できるメニュー画面である。つまり、一般操作者以上の権限が設定された場合に、この一般メニュー画面50の利用が可能になる。ちなみに、この一般メニュー画面50は、操作者のIDを認識したか否かに関わらず、常にスタート画面としてディスプレイ14に表示させてもよい。ただし、操作者のIDを認識していない状態では、権限レベルが設定されず、一般メニュー画面50の表示のみで操作は禁止される。
【0033】
一般操作者用の機能が利用できる状態では、一般操作者は、この一般メニュー画面50を利用して、例えば、分注プロトコル(分注処理に関する諸条件)を選択して分注処理を行う。もちろん、分注プロトコルの選択以外の機能を一般メニュー画面50で実行できるようにしてもよい。ただし、一般操作者による、メンテナンスメニュー画面52や管理者メニュー画面54への遷移は禁止される。
【0034】
管理者メニュー画面54は、管理者が利用できるメニュー画面である。つまり、管理者以上の権限が設定された場合に、一般メニュー画面50から管理者メニュー画面54に遷移することが可能になる。
【0035】
管理者は、この管理者メニュー画面54を利用して、例えば、分注プロトコルの設定などを行う。前述のように、一般操作者は、この管理者メニュー画面54を利用することができない。つまり、管理者メニュー画面54で実行される分注プロトコルの設定などの操作の権限は、一般操作者には与えられない。このように、操作者の権限に応じて、装置の操作が制限される。
【0036】
メンテナンスメニュー画面52は、サービスマンが利用できるメニュー画面である。つまり、サービスマン権限が設定された場合に、一般メニュー画面50からメンテナンスメニュー画面52に遷移することが可能になる。
【0037】
サービスマンは、このメンテナンスメニュー画面52を利用して、例えば、装置の動作テストなどの装置メンテナンスを行う。また、メンテナンスメニュー画面52を利用して、ハードディスク16に記憶された各種データや操作ログなどが閲覧できる。一般操作者や管理者は、このメンテナンスメニュー画面52を利用することができない。なお、装置全般のメンテナンスを行うために、サービスマンが管理者メニュー画面54を利用できるようにしてもよい。操作権限の設定として、例えば、操作権限判断部24は、ハードディスク16等に予め格納されている、権限レベルと利用可能な機能の情報とが対応付けられたテーブルにアクセスし、確認された権限レベルに対応する機能を利用可能とする。
【0038】
図4に戻り、S403からS405において、操作権限が設定されると(例えば、権限に応じてメニュー画面の利用が許可されると)、操作者のID(識別情報)が保存される(S409)。そして、操作者を認識した旨、例えば「操作員を検知しました。」などの表示がディスプレイ14に出力され、操作者は権限に応じた操作を行うことが可能となる(S410)。
【0039】
S401においてIDが取得された場合の動作は以上のとおりであるが、S401におけるIDの監視は、所定時間ごとに間欠的に行われる。つまり、S410において操作者を認識した後もIDの監視が行われる。また、本分注装置が操作者によって利用されていない場合にもIDの監視が行われる。
【0040】
そして、IDが取得されない場合には、操作権限の設定がされているか否かを確認する(S411)。本分注装置が操作者によって利用されていない場合には、操作権限の設定(S403,S404,S405)が行われていないため、本フローが終了して、所定時間後に再びS401が実行される。
【0041】
本分注装置が操作者によって利用されている場合、つまり、操作権限の設定(S403,S404,S405)が行われている場合には、操作権限をクリアする(S412)。すなわち、操作者が装置から離れるなどしてIDが取得できなくなったと判断し、操作者に許可されていた機能の利用を禁止する。なお、この場合には、「操作員を見失いました。」などの画面をディスプレイ14に表示させてもよい。本分注装置は、一度に複数の操作者のIDを認識して、各操作者に応じた操作権限を設定してもよい。この場合、各操作者の特定は、図4のフローチャートに従って行うようにすることが好適である。
【0042】
図5は、操作者が特定された後の図1の分注装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【0043】
操作者が特定され、その操作者に応じた操作権限の設定が成されている状態で操作者が何らかの操作を行うと、操作権限判断部24は、その操作の内容を特定し(S501)、その操作が操作権限からみて有効か否かを判断する(S502)。そして、その操作が無効であると判断されると、その操作を禁止して次の操作の内容を特定し、有効性を判断する。
【0044】
例えば、一般操作者が管理者メニュー画面(図7の符号54)やメンテナンスメニュー画面(図7の符号52)などへ遷移する操作などは無効と判断される。もちろん、メニュー画面以外の操作に対して、権限に応じて有効、無効を判断してもよい。
【0045】
S502において操作が有効であると判断されると、制御部20は、装置内の各部を制御して、その操作に応じた動作を実行する。そして、操作ログ生成部26は、操作者IDと操作内容(操作の履歴情報)とを対応付けた操作ログを生成し、ハードディスク16に記憶する(S503)。
【0046】
図8は、操作ログの一例を示す図であり、一般操作者である作業員による分注処理の操作ログを示している。操作ログには、作業員の操作者IDが記録され、そして、その作業員が実行した操作が適宜記録される。例えば、分注プロトコル番号、元検体のID、子検体番号とその分注量/吐出量などが記録される。また、装置エラーが発生した場合にも、エラー発生の旨とその症状(分注動作におけるツマリなど)が記録される。
【0047】
この操作ログを見ることにより、分注装置が分注処理を正常に行ったか否かを調べることができ、さらに、その分注を指示した作業員を特定することができる。
【0048】
なお、操作ログは、作業員による分注処理に限定されず、作業員が行う他の操作に関するログを記録してもよい。もちろん、管理者や、必要に応じてサービスマンの行う操作のログを記憶してもよい。また、操作権限に応じて、閲覧できる操作ログの内容を制限してもよい。
【0049】
図6は、図1の分注装置において分注トラブルが発生した場合の対処を説明するためのフローチャートである。
【0050】
所望の検体に対して分注が行われなかった、あるいは、所望の分注量で分注が行われなかったなど、分注処理に関するトラブルが発生した場合、ハードディスク16のログ記憶領域から操作ログが読み出される(S601)。例えば、管理者またはサービスマンがその操作権限に基づいて操作ログを読み出す。操作ログの内容は、プリンタ18で印刷されてもよく、あるいは、ディスプレイ14に表示されてもよい。プリンタ18やディスプレイ14に出力される操作ログの内容は、ハードディスク16に収められた全ての操作ログ内容の一部、あるいは、要約などでもよい。
【0051】
操作ログが読み出されると、その操作ログから、トラブルの内容と操作者IDが調べられる(S602)。そして、その操作者に対してトラブルの内容を確認する(S603)などして、操作者のミスか否かを判断する(S604)。操作ログの内容や操作者への確認内容から、装置は正常に動作しており、操作者の操作ミスであることが判明すれば、その操作者に対して操作方法の指導(S605)などを行う。一方、操作者が正しい操作を行ったにも関わらず装置の動作に問題があることが判明すれば、例えば、サービスマンが装置のメンテナンスを行う(S606)。
【0052】
このように、図1の分注装置では、仮にトラブルが発生した場合でも、操作ログに記録された操作者IDから操作者を特定することができ、必要に応じて、その操作者からトラブルの発生状況や対処状況などを聞き取ることが可能になる。そして、操作ログや操作者からの聞き取り内容などから、装置の動作不具合に起因するトラブルなのか、操作者の操作ミスなどによるトラブルなのかを判断することができる。
【0053】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【0054】
また、本発明の別の実施形態として、操作者の特定は、操作者の情報が格納されたホストとの間で双方向通信によって行うようにしてもよい。以下、その実施形態の構成と動作について図1を利用して説明する。
【0055】
分注装置は、通信IF30を介して、操作者のIDと権限レベルとが対応付けられて登録されているホストと通信回線で接続される。分注装置において、識別情報取得部32が識別情報(許可者のID)を取得すると、制御部20は、IDを通信回線を介してホストへ送信する。ホストは、受信したIDに対応する権限レベルを特定し、通信回線を介して分注装置に送信する。権限レベルの情報を受信すると、分注装置の制御部20は、受信した権限レベルを判断して、対応する操作情報を設定し、操作者に利用可能な機能を提供する。
【0056】
上述した通信回線を用いた操作者特定によれば、ホスト側において操作者の特定を行うため、分注装置側では操作者に関する情報を登録しておく必要がなく、分注装置の管理の負担を軽減することができる。特に、分注装置を複数有するような場合には、これらの分注装置をホストと接続することで、複数の分注装置について操作者の一元管理を実現でき、分注装置の管理の負担を大幅に軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る分注装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】RFタグを利用した場合の構成を説明するための図である。
【図3】非接触式ICカードを利用した場合の構成を説明するための図である。
【図4】操作者の特定動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】操作者が特定された後の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】トラブルが発生した場合の対処を説明するためのフローチャートである。
【図7】メニュー画面による機能の制限を説明するための図である。
【図8】操作ログの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
22 操作者特定部、24 操作権限判断部、26 操作ログ生成部、32 識別情報取得部、40 RFタグ、40´ 非接触式ICカード(カード)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体に対して、分注処理および分析処理のうちの少なくとも一方を施す検体処理装置において、
本装置の利用を許可された複数の許可者の各々が所有する識別ツールから識別情報を取得する識別情報取得部を有し、
前記複数の許可者のうちの本装置を操作する操作者が所有する識別ツールから識別情報を取得してその識別情報から当該操作者を特定する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検体処理装置において、
前記特定された操作者による操作の履歴情報とその操作者の識別子とを対応付けた操作ログを記憶する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の検体処理装置において、
前記特定された操作者に対応する識別情報に基づいて当該操作者の操作権限レベルを特定し、その操作権限レベルに基づいて当該操作者による操作を制限する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の検体処理装置において、
前記特定された操作者が所有する識別ツールから間欠的に前記識別情報の取得を繰り返し、前記識別情報が取得できなくなった場合に、当該操作者による操作を制限する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の検体処理装置において、
前記識別ツールは、自発的に識別情報を発信又は出力するものである、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の検体処理装置において、
前記識別ツールは、電波を発するRFタグであり、
本装置から所定距離の範囲内に存在するRFタグから電波を介して取得された識別情報に基づいて本装置の操作者を特定する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項に記載の検体処理装置において、
前記識別ツールは、前記識別情報を記憶した非接触式ICカードであり、
本装置から所定距離の範囲内に存在する非接触式ICカードから電波を介して取得された識別情報に基づいて本装置の操作者を特定する、
ことを特徴とする検体処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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