説明

検体処理装置

【課題】 汚れ又は気泡等の付着の程度に応じて適切な洗浄を行うことができる検体処理装置を提供する。
【解決手段】
検体分析装置1は、検体の測定を行う第1及び第2測定ユニット2,3と、第1及び第2測定ユニット2,3の測定結果を各別に処理してそれぞれの分析結果を取得する情報処理ユニット5とを備える。情報処理ユニット5は、前回のシャットダウン完了時刻からの経過時間に応じて、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3のスタートアップ動作における洗浄動作の回数を変化させるように、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3の動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液検体又は尿検体を処理する検体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多項目血球分析装置、血液凝固測定装置、免疫分析装置、生化学分析装置、尿分析装置等の種々の検体分析装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、自動立ち上げ機構を設けて予め設定した時刻になると電源をオンにし、フローセル恒温槽などの温度を所定温度まで上げ、水ブランク測定まで、又はさらに試薬ブランク測定までを自動的に行う自動分析装置が開示されている。この特許文献1には、ピペッタや試薬分注器に洗剤を注入したりする自動洗浄機構を備え、電源オンの後に自動的に洗浄を行う構成が記載されている。
【特許文献1】特開平1−161155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
汚れ又は気泡等が自動分析装置に付着していると検体の測定に影響を与えるため、検体の測定前に汚れ又は気泡等を除去しておく必要がある。自動分析装置の洗浄が行われると、かかる汚れ又は気泡等は、測定結果に影響を与えない程度に抑えられる。しかし、洗浄が行われた後、長時間経過したような場合、微量ではあるが残留している細菌が繁殖したり、新たに気泡が発生したりする場合があり、測定結果に影響を与えるおそれがある。特許文献1に記載の自動分析装置にあっては、自動分析装置の洗浄が行われてからの経過時間とは関係なく、電源オンの後に一定の洗浄動作が実行される。したがって、前回の洗浄から長時間が経過している場合には、洗浄不足になるという問題があった。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、汚れ又は気泡等の発生の程度に応じて適切な洗浄を行うことができる検体処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体処理装置は、検体が通流する流路を具備し、該流路を通流した検体を処理する検体処理と、該検体が通流した前記流路を洗浄する洗浄動作とを実行する検体処理機構と、前記検体処理機構による前回の洗浄動作から経過した時間に基づいて、前記検体処理機構の洗浄動作を制御する制御手段と、を備える
【0007】
この態様においては、前記制御手段が、前記検体処理機構による前回の洗浄動作から経過した時間が長い程、前記検体処理機構の洗浄動作の時間を長くするように構成されていることが好ましい。
【0008】
また、上記態様においては、前記検体処理機構が、所定の手順で内部の洗浄を行う洗浄シーケンスを1回又は複数回繰り返して実行するように構成されており、前記制御手段が、前記検体処理機構による前回の洗浄動作から経過した時間が長い程、前記検体処理機構の洗浄シーケンスの実行回数を多くするように構成されていることが好ましい。
【0009】
また、上記態様においては、前記制御手段が、前記検体処理機構による前回の洗浄動作から経過した時間に基づいて前記洗浄シーケンスの実行回数を決定し、決定された回数の洗浄シーケンスを前記検体処理機構に実行させるように構成されていることが好ましい。
【0010】
また、上記態様においては、前記検体処理機構が、検体を吸引する吸引部と、試薬を供給する試薬供給部と、検体の特徴を示す特徴情報を検出する検出部とをさらに具備し、前記流路が、前記吸引部によって吸引された検体と前記試薬供給部によって供給された試薬とを前記検出部へ供給するように構成されており、前記制御手段が、前記吸引部から検体を吸引することなく、前記試薬供給部から供給された試薬を前記流路を通じて前記検出部へ供給する洗浄シーケンスの実行回数を、前記検体処理機構による前回の洗浄動作から経過した時間に基づいて変化させるように構成されていることが好ましい。
【0011】
また、上記態様においては、前記検体処理機構が、前記検体処理において検体と試薬とから測定試料を調製するとともに、前記洗浄動作において、前記検体処理と共通の試薬を用いて前記流路を洗浄するように構成されていることが好ましい。
【0012】
また、上記態様においては、前記制御手段が、検体処理装置のシャットダウン動作において、前記検体処理機構に洗浄動作を実行させ、前回のシャットダウン動作の後最初に実行される前記検体処理機構の洗浄動作において、前回のシャットダウン動作から経過した時間に基づいて、前記検体処理機構に洗浄動作を実行させるように構成されていることが好ましい。
【0013】
また、上記態様においては、前記制御手段が、検体処理装置のスタートアップ動作において、前回の洗浄動作から経過した時間に基づいて、前記検体処理機構に洗浄動作を実行させるように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る検体処理装置によれば、汚れ又は気泡等の付着の程度に応じて適切な洗浄を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0016】
本実施の形態は、電源を投入された直後に実行するスタートアップ動作において、前回のシャットダウン完了時刻からの経過時間に基づいて検体測定機構の洗浄動作を実行する検体分析装置である。
【0017】
[検体分析装置の構成]
図1A及び図1Bは、本実施の形態に係る検体分析装置の全体構成を示す斜視図である。本実施の形態に係る検体分析装置1は、血液検体に含まれる血球を白血球、赤血球、血小板等を検出し、各血球を計数する多項目血球分析装置である。図1A及び図1Bに示すように、検体分析装置1は、第1測定ユニット2と、第2測定ユニット3と、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3の前面側に配置された検体搬送ユニット4と、第1測定ユニット2、第2測定ユニット3、及び検体搬送ユニット4を制御可能な情報処理ユニット5とを備えている。
【0018】
図2は、検体を収容する検体容器の外観を示す斜視図であり、図3は、複数の検体容器を保持するサンプルラックの外観を示す斜視図である。図2に示すように、検体容器Tは、管状をなしており、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。検体容器Tは、透光性を有するガラス又は合成樹脂により構成されており、内部の血液検体が視認可能となっている。また、検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。このバーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。サンプルラックLは、10本の検体容器Tを並べて保持することが可能である。サンプルラックLでは、各検体容器Tが垂直状態(立位状態)で保持される。また、サンプルラックLの側面には、バーコードラベルBL2が貼付されている。このバーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0019】
<測定ユニットの構成>
次に、測定ユニットの構成について説明する。なお、第1測定ユニット2と第2測定ユニット3とは同様の構成であるため、以下では第1測定ユニット2の構成を説明することとし、第2測定ユニット3の構成の説明を省略する。図4は、測定ユニットの構成を示すブロック図であり、図5A及び図5Bは、測定ユニットが備える測定機構の構成を示す流体回路図である。また、図5Cは、測定機構が有するダイヤフラムポンプ回りの流体回路図である。図4に示すように、第1測定ユニット2は、検体である血液を検体容器(採血管)Tから吸引する検体吸引部21と、検体吸引部21により吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部22と、試料調製部22により調製された測定試料から血球を検出する検出部23とを含む測定機構2aを有している。また、第1測定ユニット2は、検体搬送ユニット4のラック搬送部43によって搬送されたサンプルラックLに収容された検体容器Tを第1測定ユニット2の内部に取り込むための取込口24(図1A及び図1B参照)と、サンプルラックLから検体容器Tを第1測定ユニット2の内部に取り込み、検体吸引部21による吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部25とをさらに有している。
【0020】
図4に示すように、検体吸引部21の先端部には、図5Aに示す吸引管211が設けられている。また、検体吸引部21は全血吸引シリンジポンプSP1を備えている。また、検体吸引部21は、鉛直方向に移動可能であり、下方に移動されることにより、吸引位置まで搬送された検体容器Tの蓋部CPを前記吸引管が貫通し、内部の血液を吸引するように構成されている。
【0021】
試料調製部22は、第1混合チャンバMC1及び第2混合チャンバMC2(図5A,図5B参照)を備えている。吸引管211は、全血吸引シリンジポンプSP1によって検体容器Tから所定量の全血検体を吸引し、吸引された検体は、第1混合チャンバMC1と第2混合チャンバMC2の位置へ移送され、全血吸引シリンジポンプSP1によって、それぞれのチャンバMC1,MC2へ所定量の全血検体を分配供給する。
【0022】
また、第1測定ユニット2には、試薬を収容するための試薬容器を設置することが可能であり、流体回路に試薬容器を接続することができるようになっている。具体的には、本実施形態で用いられる試薬容器は、希釈液(洗浄液)EPKを収容するための希釈液容器EPK−V、ヘモグロビン溶血剤SLSを収容するためのヘモグロビン溶血剤容器SLS−V、赤血球を溶解させる白血球分類用溶血剤FFDを収容するための白血球分類用溶血剤容器(共通試薬容器)FFD−V、及び、白血球分類用染色液FFSを収容するための白血球分類用染色液容器(専用試薬容器)FFS−Vである(図5A,図5B参照)。
【0023】
希釈液容器EPK−V及び溶血剤容器SLS−Vは、第1混合チャンバMC1に試薬を供給可能に接続されている。すなわち、希釈液容器EPK−Vから第1混合チャンバMC1へは、希釈液供給用(EPK用)ダイヤフラムポンプDP1によって、希釈液を供給可能となっており、このEPK用ダイヤフラムポンプDP1が希釈液用の試薬供給部を構成している。なお、図5A及び図5Bに示すダイヤフラムポンプDP1〜DP5は、図5Cに示すように電磁バルブSV21及びSV22を介して陽圧源及び陰圧源に接続されており、これらの陽圧源及び陰圧源により駆動されるように構成されている。
【0024】
また、溶血剤容器SLS−Vから第1混合チャンバMC1へは、溶血剤供給用(SLS用)ダイヤフラムポンプDP3によって、溶血剤を供給可能となっており、このSLS用ダイヤフラムポンプDP3が溶血剤用の試薬供給部を構成している。
【0025】
溶血剤容器FFD−V及び染色液容器FFS−Vは、第2混合チャンバMC2に試薬を供給可能に接続されている。すなわち、溶血剤容器FFD−Vから第2混合チャンバMC2へは、溶血剤用(FFD用)ダイヤフラムポンプDP4によって溶血剤を供給可能となっており、このFFD用ダイヤフラムポンプDP4が溶血剤用の試薬供給部を構成している。
【0026】
また、染色液容器FFS−Vから第2混合チャンバMC2へは、染色液用(FFS用)ダイヤフラムポンプDP5によって染色液を供給可能となっており、このFFS用ダイヤフラポンプDP5が染色液用の試薬供給部を構成している。
【0027】
希釈液容器EPK−Vから第1混合チャンバMC1へ至る試薬供給路と、溶血剤容器SLS−Vから第1混合チャンバMC1へ至る試薬供給路は、途中の合流点CR1で合流しており、両試薬に共通した試薬供給路T1が第1混合チャンバMC1に接続されている(図5A参照)。また、溶血剤容器FFD−Vから第2混合チャンバMC2へ至る試薬供給路と、染色液容器FFS−Vから第2混合チャンバMC2へ至る試薬供給路も、途中の合流点CR2で合流しており、両試薬に共通した試薬供給路T2が第2混合チャンバMC2に接続されている(図5B参照)。なお、試薬供給路T1,T2は試薬ごとに設けてもよい。すなわち、各チャンバMC1,MC2に試薬供給口が2つずつ設けられていても良い。
【0028】
検出部23は、赤血球及び血小板に関する測定を行う第1検出器D1、ヘモグロビンに関する測定を行う第2検出器D2、白血球に関する測定を行う第3検出器D3を備えている。
【0029】
前記第1混合チャンバMC1は、赤血球、血小板及びヘモグロビンに関する分析をするための測定試料を調製する部位であり、第1混合チャンバMC1で調製された測定試料が、第1検出器D1及び第2検出器D2での測定に用いられる。前記第2混合チャンバMC2は、白血球に関する分析をするための試料を調製する部位であり、第2混合チャンバMC2で調製された試料が第3検出器D3での測定に用いられる。
【0030】
第1検出器D1は、RBC測定(赤血球数の測定)及びPLT測定(血小板数測定)を行うRBC/PLT検出器として構成されている。このRBC/PLT検出器D1はシースフローDC検出法によりRBC及びPLTの測定を行うことができる。
【0031】
前記第2検出器D2は、HGB測定(血液中の血色素量の測定)を行うHGB検出器として構成されている。このHGB検出器D2は、SLS−ヘモグロビン法によりHGB測定を行うことができる。
【0032】
前記第3検出器D3は、WBC測定(白血球計数)及びDIFF測定(白血球分類)を行うことができる光学検出器として構成されている。この光学検出器D3は、WBC(白血球)、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、及びMONO(単球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。この検出部23では、白血球の5分類、すなわち、NEUT、LYMPH、EO、BASO、MONOの検出を伴わないWBCの検出と、白血球の5分類を伴うWBCの検出とでは、検出方法が異なっている。白血球5分類を伴わないWBCの検出では、検体と、溶血剤と、希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット5が解析処理することによりWBCの測定が行われる。一方、白血球5分類を伴うWBCの検出では、染色試薬と、溶血剤と、希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット5が解析処理することによりNEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO、及びWBCの測定が行われる。
【0033】
図6は、WBC/DIFF(白血球5分類)検出用の光学検出器D3の概要構成を示している。この光学検出器D3は、フローセル231に測定試料を送り込み、フローセル231中に液流を発生させ、フローセル231内を通過する液流に含まれる血球に半導体レーザ光を照射して測定するものであり、シースフロー系232、ビームスポット形成系233、前方散乱光受光系234、側方散乱光受光系235、側方蛍光受光系236を有している。
【0034】
シースフロー系232は、フローセル231内を試料がフローセル231内を直進するシース液に包まれた状態で血球が一列に並んだ状態で流れ、血球計数の正確度と再現性を向上させるものとなっている。このため、フローセル231内に気泡が混入している場合、気泡も粒子として検出してしまい、誤った分析結果を報告してしまう。ビームスポット形成系233は、半導体レーザ237から照射された光が、コリメータレンズ238とコンデンサレンズ239とを通って、フローセル231に照射されるよう構成されている。また、ビームスポット形成系233は、ビームストッパ240も備えている。
【0035】
前方散乱光受光系234は、前方への散乱光を前方集光レンズ241によって集光し、ピンホール242を通った光をフォトダイオード(前方散乱光受光部)243で受光するように構成されている。
【0036】
側方散乱光受光系235は、側方への散乱光を側方集光レンズ244にて集光するとともに、一部の光をダイクロイックミラー245で反射させ、フォトダイオード(側方散乱光受光部)246で受光するよう構成されている。
【0037】
光散乱は、光の進行方向に血球のような粒子が光の進行方向に障害物として存在すると、粒子により光がその進行方向を変えることによって生じる現象である。この散乱光を検出することによって、粒子の大きさや材質に関する情報を得ることができる。特に、前方散乱光からは、粒子(血球)の大きさに関する情報を得ることができる。また、側方散乱光からは、粒子内部の情報を得ることができる。血球粒子にレーザ光が照射された場合、側方散乱光強度は細胞内部の複雑さ(核の形状、大きさ、密度や顆粒の量)に依存する。したがって、側方散乱光強度のこの特性を利用することで、白血球の分類の測定その他の測定を行うことができる。
【0038】
側方蛍光受光系236は、ダイクロイックミラー245を透過した光をさらに分光フィルタ247に通し、フォトマルチプライヤ(蛍光受光部)248で受光するよう構成されている。
【0039】
染色された血球のような蛍光物質に光を照射すると、照射した光の波長より長い波長の光を発する。蛍光の強度はよく染色されていれば強くなり、この蛍光強度を測定することによって血球の染色度合いに関する情報を得ることができる。したがって、(側方)蛍光強度の差によって、白血球の分類の測定その他の測定を行うことができる。
【0040】
次に、図4に戻って、検体容器搬送部25の構成について説明する。検体容器搬送部25は、検体容器Tを把持可能なハンド部25aを備えている。ハンド部25aは、互いに対向して配置された一対の把持部材を備えており、この把持部材を互いに近接及び離反させることが可能である。かかる把持部材を、検体容器Tを挟んだ状態で近接させることにより、検体容器Tを把持することができる。また、検体容器搬送部25は、ハンド部25aを上下方向及び前後方向(Y方向)に移動させることができ、さらに、ハンド部25aを揺動させることができる。これにより、サンプルラックLに収容され、第1検体供給位置43aに位置した検体容器Tをハンド部25aにより把持し、その状態でハンド部25aを上方に移動させることによりサンプルラックLから検体容器Tを抜き出し、ハンド部25aを揺動させることにより、検体容器T内の検体を撹拌することができる。
【0041】
また、検体容器搬送部25は、検体容器Tを挿入可能な穴部を有する検体容器セット部25bを備えている。上述したハンド部25aによって把持された検体容器Tは、撹拌完了後移動され、把持した検体容器Tを検体容器セット部25bの穴部に挿入する。その後、把持部材を離反させることにより、ハンド部25aから検体容器Tが開放され、検体容器セット部25bに検体容器Tがセットされる。かかる検体容器セット部25bは、図示しないステッピングモータの動力によって、Y方向へ水平移動可能である。
【0042】
第1測定ユニット2の内部には、バーコード読取部26が設けられている。検体容器セット部25bは、バーコード読取部26の近傍のバーコード読取位置26a及び検体吸引部21による吸引位置21aへ移動可能である。検体容器セット部25bがバーコード読取位置26aへ移動したときには、セットされた検体容器Tが図示しない回転機構により水平回転され、バーコード読取部26により検体バーコードが読み取られる。これにより、検体容器TのバーコードラベルBL1がバーコード読取部26に対して反対側に位置する場合でも、検体容器Tを回転させることにより、バーコードラベルBL1をバーコード読取部26へ向けることができ、バーコード読取部26に検体バーコードを読み取らせることが可能である。また、検体容器セット部25bが吸引位置へ移動したときには、検体吸引部21により、セットされた検体容器Tから検体が吸引される。
【0043】
<検体搬送ユニットの構成>
次に、検体搬送ユニット4の構成について説明する。図1に示すように、検体分析装置1の第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3の前方には、検体搬送ユニット4が配置されている。かかる検体搬送ユニット4は、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3へ検体を供給するために、サンプルラックLを搬送することが可能である。
【0044】
図7は、検体搬送ユニット4の構成を示す平面図である。図7に示すように、検体搬送ユニット4は、分析が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析前ラック保持部41と、第1測定ユニット2又は第2測定ユニット3によって検体が吸引された検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析後ラック保持部42と、検体を第1測定ユニット2又は第2測定ユニット3に供給するために、サンプルラックLを図中矢印X方向へ水平に直線移動させ、分析前ラック保持部41から受け付けたサンプルラックLを分析後ラック保持部42へ搬送するラック搬送部43とを備えている。
【0045】
分析前ラック保持部41は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析前ラック保持部41は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析前のサンプルラックLが載置される。また、分析前ラック保持部41の両側面からは、内側へ向けてラック送込部41bが突出可能に設けられている。このラック送込部41bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で後方(ラック搬送部43に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが後方へと移送される。かかるラック送込部41bは、分析前ラック保持部41の下方に設けられた図示しないステッピングモータによって駆動可能に構成されている。
【0046】
ラック搬送部43は、図7に示すように、分析前ラック保持部41によって移送されたサンプルラックLを、前記X方向へと移送可能となっている。このラック搬送部43によるサンプルラックLの搬送経路上には、図4に示すように、第1測定ユニット2へ検体を供給するための第1検体供給位置43a及び第2測定ユニット3へ検体を供給するための第2検体供給位置43bが存在する。検体搬送ユニット4は、情報処理ユニット5によって制御され、第1検体供給位置43a又は第2検体供給位置43bに検体を搬送した場合には、対応する測定ユニットのハンド部25a又は35aが搬送された検体容器Tを把持し、サンプルラックLから検体容器Tを取り出すことで検体の供給が完了し、当該検体容器TがサンプルラックLへ戻されるまでの間、サンプルラックLの搬送を待機する。これにより、検体容器Tが第1検体供給位置43a又は第2検体供給位置43bに停止している状態で、ハンド部25a又は35aが、確実に検体容器TをサンプルラックLから取り出すことが可能である。さらに、ラック搬送部43は、検体容器検出位置43cまで検体容器Tを搬送するようにサンプルラックLを搬送可能である。
【0047】
また、ラック搬送部43は、図7に示すように、それぞれ独立して動作可能な第1ベルト431及び第2ベルト432の2つのベルトを有している。また、第1ベルト431及び第2ベルト432の矢印Y方向の幅b1,b1は、それぞれサンプルラックLの矢印Y方向の幅Bの半分以下の大きさである。かかる第1ベルト431及び第2ベルト432は、ラック搬送部43がサンプルラックLを搬送するときにサンプルラックLの幅Bからはみ出ないように並列に配置されている。図8は、第1ベルト431の構成を示す正面図であり、図9は、第2ベルト432の構成を示す正面図である。図8及び図9に示すように、第1ベルト431及び第2ベルト432は、それぞれ環状に形成されており、第1ベルト431はローラ431a〜431cを取り囲むように配置され、第2ベルト432はローラ432a〜432cを取り囲むように配置されている。また、第1ベルト431の外周部には、サンプルラックLのX方向の幅Wよりも若干(例えば、1mm)大きい内幅w1を有するように2つの突起片431dが設けられており、同様に、第2ベルト432の外周部には、前記内幅w1と同程度の内幅w2を有するように2つの突起片432dが設けられている。第1ベルト431は、2つの突起片431dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ(図示せず)によりローラ431a〜431cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。第2ベルト432は、2つの突起片432dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ(図示せず)によりローラ432a〜432cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。また、第1ベルト431及び第2ベルト432は、互いに独立してサンプルラックLを移送可能に構成されている。
【0048】
ラック搬送部43の搬送路上に検体容器センサ45が設けられている。検体容器センサ45は、接触型のセンサであり、のれん形状の接触片、光を出射する発光素子、及び受光素子(図示せず)を有している。検体容器センサ45は、接触片が検出対象の被検出物に当接することにより屈曲され、その結果、発光素子から出射された光が接触片により反射されて受光素子に入射するように構成されている。これにより検体容器センサ45の下方をサンプルラックLに収容された検出対象の検体容器Tが通過する際に、接触片が検体容器Tにより屈曲されて、検体容器Tを検出することが可能である。
【0049】
ラック搬送部43を挟んで後述する分析後ラック保持部42に対向するようにラック送出部46が配置されている。かかるラック送出部46は、図示しないステッピングモータの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析後ラック保持部42とラック送出部46との間の位置461(以下、「分析後ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部46を分析後ラック保持部42側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析後ラック保持部42内に移動することが可能である。
【0050】
分析後ラック保持部42は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析後ラック保持部42は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析が完了したサンプルラックLが載置される。分析後ラック保持部42は、上記のラック搬送部43に連なっており、上述したように、ラック送出部46によって、ラック搬送部43からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。
【0051】
上記のような構成とすることにより、検体搬送ユニット4は、分析前ラック保持部41に載置されたサンプルラックLをラック搬送部43へと移送し、さらにラック搬送部43によって搬送することにより、検体を第1測定ユニット2又は第2測定ユニット3へと供給することができる。また、吸引が完了した検体を収容するサンプルラックLは、ラック搬送部43により、分析後ラック送出位置461へと移送され、ラック送出部46により分析後ラック保持部42へ送出される。複数のサンプルラックLが分析前ラック保持部41に載置された場合では、分析が完了した検体を収容するサンプルラックLが次々にラック送出部46により分析後ラック保持部42へと送出され、これらの複数のサンプルラックLが分析後ラック保持部42に貯留されることとなる。
【0052】
<情報処理ユニットの構成>
次に、情報処理ユニット5の構成について説明する。情報処理ユニット5は、コンピュータにより構成されている。図10は、情報処理ユニット5の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット5は、コンピュータ5aによって実現される。図10に示すように、コンピュータ5aは、本体51と、画像表示部52と、入力部53とを備えている。本体51は、CPU51a、ROM51b、RAM51c、ハードディスク51d、読出装置51e、入出力インタフェース51f、通信インタフェース51g、画像出力インタフェース51h、及び内部時計51iを備えており、CPU51a、ROM51b、RAM51c、ハードディスク51d、読出装置51e、入出力インタフェース51f、通信インタフェース51g、画像出力インタフェース51h及び内部時計51iは、バス51jによって接続されている。
【0053】
CPU51aは、RAM51cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するような検体分析用並びに第1測定ユニット2、第2測定ユニット3及び検体搬送ユニット4の制御用のコンピュータプログラム54aを当該CPU51aが実行することにより、コンピュータ5aが情報処理ユニット5として機能する。
【0054】
ROM51bは、マスクROM、PROM、EPROM、又はEEPROM等によって構成されており、CPU51aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0055】
RAM51cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。RAM51cは、ハードディスク51dに記録されているコンピュータプログラム54aの読み出しに用いられる。また、CPU51aがコンピュータプログラムを実行するときに、CPU51aの作業領域として利用される。
【0056】
ハードディスク51dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU51aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するコンピュータプログラム54aも、このハードディスク51dにインストールされている。また、このコンピュータプログラム54aは、イベントドリブン型のコンピュータプログラムである。
【0057】
読出装置51eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体54に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体54には、コンピュータを情報処理ユニット5として機能させるためのコンピュータプログラム54aが格納されており、コンピュータ5aが当該可搬型記録媒体54からコンピュータプログラム54aを読み出し、当該コンピュータプログラム54aをハードディスク51dにインストールすることが可能である。
【0058】
なお、前記コンピュータプログラム54aは、可搬型記録媒体54によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ5aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記コンピュータプログラム54aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ5aがアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク51dにインストールすることも可能である。
【0059】
また、ハードディスク51dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るコンピュータプログラム54aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0060】
入出力インタフェース51fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース51fには、キーボード及びマウスからなる入力部53が接続されており、ユーザが当該入力部53を使用することにより、コンピュータ5aにデータを入力することが可能である。また、入出力インタフェース51fは、第1測定ユニット2、第2測定ユニット3、及び検体搬送ユニット4に接続されている。これにより、情報処理ユニット5は、第1測定ユニット2、第2測定ユニット3、及び検体搬送ユニット4のそれぞれを制御可能となっている。
【0061】
通信インタフェース51gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース51gはLANを介して図示しないホストコンピュータに接続されている。コンピュータ5aは、通信インタフェース51gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続されたホストコンピュータとの間でデータの送受信が可能である。
【0062】
画像出力インタフェース51hは、LCDまたはCRT等で構成された画像表示部52に接続されており、CPU51aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部52に出力するようになっている。画像表示部52は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0063】
内部時計51iは、現在の時刻を出力可能である。CPU51aは、この内部時計51iから現在時刻を取得することができる。
【0064】
[検体分析装置1の測定動作]
以下、本実施の形態に係る検体分析装置1の動作について説明する。
【0065】
<検体測定動作>
まず、本実施の形態に係る検体分析装置1の検体測定動作について説明する。検体分析装置1は、第3検出器D3を用いたCBC+DIFF測定と、第1検出器D1を用いたRBC/PLT測定と、第2検出器D2を用いたHGB測定とを実行可能である。
【0066】
CBC+DIFF測定
まず、CBC+DIFF測定について説明する。検体分析装置1は、CBC+DIFF測定では、全血検体(11μL)と白血球分類用溶血剤(1mL)と白血球分類用染色液(20μL)を混合してCBC+DIFF測定用試料を作成し、このCBC+DIFF測定用試料を光学検出器D3にてフローサイトメトリー法によって測定する。ここでの測定としては、白血球数の測定と、白血球5分類の測定とが行われる。
【0067】
図11は、CBC+DIFF測定での検体分析装置1の動作手順を示すフローチャートである。まず、溶血剤FFD(0.5mL)が溶血剤容器FFD−Vから第2混合チャンバMC2に供給される(ステップS101)。ステップS101の処理は、具体的には、バルブSV19を開いてバルブSV20を閉じるとともに、バルブSV22を開いてバルブSV21を閉じることで、FFD用ダイヤフラムポンプD4が陰圧駆動され、溶血剤FFDが溶血剤容器FFD−VからFFD用ダイヤフラムポンプDP4へ0.5mL補給される。そして、バルブSV19を閉じてバルブSV20を開くとともに、バルブSV21を開いてバルブSV22を閉じることで、FFD用ダイヤフラムポンプD4が陽圧駆動され、ダイヤフラムポンプDP4によって0.5mLの溶血剤FFDが第2混合チャンバMC2に供給される。さらに、バルブSV19を開いてバルブSV20を閉じるとともに、バルブSV21を閉じてバルブSV22を開くことで、FFDダイヤフラムポンプD4が陰圧駆動され、再度、溶血剤FFDが溶血剤容器FFD−VからFFD用ダイヤフラムポンプD4へ0.5mL補給される。
【0068】
次に、検体容器Tの全血検体が吸引管211によって定量吸引される(ステップS102)。ステップS102の処理は、具体的には、吸引管211が検体容器Tの中に挿入され、全血吸引シリンジポンプSP1の駆動によって、全血検体が定量(20μL)吸引される。そして、吸引管211が検体容器Tから引き抜かれ、吸引管211が第2混合チャンバMC2に降下される(ステップS103)。この状態で全血吸引シリンジポンプが駆動されることにより、吸引管211の吸引穴より11μLの全血検体(ステップS102において吸引した検体の一部)が第2混合チャンバMC2に吐出される(ステップS104)。
【0069】
吐出完了後、染色液FFSを第2混合チャンバMC2へ入れる(ステップS105)。ステップS105は、具体的には、染色液補給用バルブSV40を開き、染色液供給用バルブSV41を閉じた状態で、バルブSV22を開くとともにバルブSV21を閉じることで、染色液供給用ダイヤフラムポンプ(FFS用ダイヤフラムポンプ)DP5を陰圧駆動し、FFS用ダイヤフラムポンプDP5に染色液FFSを20μL補給する。さらに、バルブSV40を閉じ、バルブSV41を開くとともに、バルブSV21を開き、バルブSV22を閉じて、FFS用ダイヤフラムポンプDP5を陽圧駆動することで、20μLの染色液FFSを第2混合チャンバMC2へ入れる。
【0070】
続いて、溶血剤FFDを第2混合チャンバMC2へ入れる(ステップS106)。つまり、バルブSV22、バルブSV19を閉じて、バルブSV21、バルブSV20を開き、FFD用ダイヤフラムポンプDP4を用いて、0.5mLの溶血剤FFDを第2混合チャンバMC2へ入れ、全血検体を流入攪拌して調製することにより、第2混合チャンバMC内に赤血球が溶解され白血球が染色されたCBC+DIFF測定用試料が作成される(ステップS107)。
【0071】
そして、CBC+DIFF測定用試料を対象にWBC検出部(光学検出部)D3にてCBC+DIFF測定が行われる(ステップS108)。ステップS108の処理においては、具体的には、バルブSV4、バルブSV29、バルブSV22を開き、バルブSV21を閉じることで、チャージング用ダイヤフラムポンプDP2が駆動され、CBC+DIFF測定用試料が正確に1.0mLチャージングされる。そして、バルブSV4、バルブSV29、バルブSV22が閉じられ、WBC検出器D3へのチャージングが完了する。その後、バルブSV9とバルブSV31を開くことで、EPK収容容器EPK−Cからシース液(希釈液)EPKがWBC検出部へ供給される。続いて、バルブSV1が閉じた状態でバルブSV3を開くとともに、試料供給シリンジポンプSP2を駆動し、WBC検出器D3において測定を行う。これにより、CBC+DIFF測定動作が終了する。
【0072】
このようなWBC検出器D3により出力される出力信号(アナログ信号)は図示しないA/D変換器によりデジタル信号に変換され、図示しない信号処理回路により所定の信号処理が施されてデジタルデータである測定データに変換され、情報処理ユニット5にこの測定データが送信される。情報処理ユニット5のCPU51aは、測定データに対して所定の解析処理を実行することにより、NEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO、及びWBCの数値データを含む分析結果データを生成し、ハードディスク51dに分析結果データを記憶する。
【0073】
RBC/PLT測定
次に、RBC/PLT測定について説明する。RBC/PLT測定及び後述するHGB測定は、上述したCBC+DIFF測定と並行して行われる。
【0074】
図12は、RBC/PLT測定及びHGB測定での検体分析装置1の動作手順を示すフローチャートである。まず、ステップS102(図11参照)で、検体容器Tの全血検体を吸引管(ピアサ)211によって定量吸引(20μL)する。具体的には、吸引管211が検体容器Tの中に挿入され、全血吸引シリンジポンプSP1の駆動によって、全血検体が定量吸引される。その後、希釈液EPKが第1混合チャンバMC1へ供給される(ステップS201)。ステップS201の処理では、具体的には、第1混合チャンバMC1内部の液の排出をするため、バルブSV23を約1.0sec間開く。そして、バルブSV21及びバルブSV24を開き、予め希釈液EPKが補充されている希釈液用(EPK用)ダイヤフラムポンプDP1を用いて、1.0mLの希釈液EPKを第1混合チャンバMC1へ供給する。その後、バルブSV21及びバルブSV24を閉じて、バルブSV22及びバルブSV32を開き、EPK用ダイヤフラムポンプDP1に希釈液EPKを補充する。
【0075】
次に、吸引管211が第1混合チャンバMC1へ降下され(ステップS202),吸引管211の吸引穴より4μLの全血検体が第1混合チャンバMC1へ吐出される(ステップS203)。なお、ステップS202および203の処理は、ステップS104(図11参照)が実行された直後に実行される。
【0076】
吐出完了後、希釈液EPKが第1混合チャンバMC1へ再度供給される(ステップS204)。ステップS204の処理においては,具体的には、吐出完了後、EPK用ダイヤフラムポンプDP1を用いて1.0mLの希釈液EPKを第1混合チャンバMC1へ再度供給するため、バルブSV22及びバルブSV32を閉じて、バルブSV21及びバルブSV24を開く。これにより、第1混合チャンバMC1内で全血検体(4μL)と希釈液EPK(2mL)が攪拌され第1混合試料(RBC/PLT測定用混合試料)が調製される(ステップS205)。なお、第1混合試料調製後に、EPK用ダイヤフラムポンプに希釈液EPKを補給するため、バルブSV21及びバルブSV24が閉じられて、バルブSV22及びバルブSV32が開かれる。
【0077】
続いて、第1混合試料(RBC/PLT測定用混合試料)の一部がRBC/PLT検出器D1へ供給される(ステップS206)。ステップS206の処理では、具体的には、バルブSV2とバルブSV25を開いて、チャージング用ダイヤフラムポンプDP2により、第1混合試料を第1混合チャンバMC1とRBC/PLT検出器D1との間の流路上に正確に1.0mL(第1混合チャンバMC1内の第1混合試料の一部)をチャージングする。そして、バルブSV2、バルブSV25、バルブSV22、バルブSV32を閉じ、チャージングを完了させる。さらに、バルブSV8、バルブSV9を開き、RBC/PLT検出器D1へ測定のためのシース液を供給する。
【0078】
そして、チャージされた第1混合試料は、RBC/PLT検出器D1へ供給され、RBC/PLT測定が行われる(ステップS207)。ステップS207の処理では、具体的には、バルブSV1を開き、試料供給シリンジポンプSP2を駆動させて、流路上にチャージングされた第1混合試料を、RBC/PLT検出器D1へ供給し、RBC/PLT検出器D1による測定が行われる。これにより、RBC/PLT測定動作が終了する。
【0079】
このようなRBC/PLT検出器D1により出力される出力信号(アナログ信号)は図示しないA/D変換器によりデジタル信号に変換され、図示しない信号処理回路により所定の信号処理が施されてデジタルデータである測定データに変換され、情報処理ユニット5にこの測定データが上述したCBC+DIFF測定による測定データとともに送信される。情報処理ユニット5のCPU51aは、測定データに対して所定の解析処理を実行することにより、RBC及びPLTの数値データを含む分析結果データを生成し、ハードディスク51dに分析結果データを記憶する。
【0080】
HGB測定
RBC/PLT測定が完了しても、第1混合チャンバMC1には、1mLの第1混合試料が残試料として存在している。第2混合試料であるHGB測定用混合試料を調整するため、残試料がある第1混合チャンバMC1へは、さらに、溶血剤SLSが供給される(ステップS208)。ステップS208の処理では、具体的には、バルブSV21及びバルブSV18を開いて、予め溶血剤SLSが補給されたヘモグロビン溶血剤用(SLS用)ダイヤフラムポンプDP3により、溶血剤SLSを第1混合チャンバMC1へ供給する。これにより、溶血剤SLSと第1混合試料とが攪拌され、第1混合試料(1.0mL)に溶血剤SLS(0.5mL)を混合したHGB測定用混合試料(第2混合試料)が調製される。
【0081】
そして、HGB測定用混合試料の反応を待つ(ステップS209)。この反応を待つ間の任意の時間に、バルブSV21及びバルブSV27を開き、チャージング用ダイヤフラムポンプDP2の排出を行い、次チャージングの準備を行う。
【0082】
続いて、バルブSV22及びバルブSV28を開いてHGB測定用混合試料をHGB検出器D2にチャージングするのを開始し、バルブSV22及びバルブSV28を閉じることでチャージングが完了する(ステップS210)。そして、HGB測定が行われる(ステップS211)。これにより、HGB測定動作が終了する。
【0083】
このようなHGB検出器D2により出力される出力信号(アナログ信号)は図示しないA/D変換器によりデジタル信号に変換され、図示しない信号処理回路により所定の信号処理が施されてデジタルデータである測定データに変換され、情報処理ユニット5にこの測定データが上述したCBC+DIFF測定による測定データ及びRBC/PLT測定による測定データとともに送信される。情報処理ユニット5のCPU51aは、測定データに対して所定の解析処理を実行することにより、HGBの数値データを含む分析結果データを生成し、ハードディスク51dに分析結果データを記憶する。
【0084】
<シャットダウン動作>
図13は、検体分析装置1のシャットダウン動作の流れを示すフローチャートである。オペレータは、検体分析装置1をシャットダウンする場合、画像表示部52に表示されている画面中のシャットダウンボタン(図示せず)をマウスの左ボタンクリック等の所定の操作により選択することで、情報処理ユニット5にシャットダウンの指示を与える(ステップS401)。CPU51aは、かかるシャットダウンの指示を受け付けるイベントが発生すると、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3に所定のシャットダウン動作を実行させる(ステップS402)。このシャットダウン動作には、測定機構2aの洗浄動作と測定機構2a内の流路にシース液を充填する動作が含まれる。具体的には吸引管211より洗浄剤、たとえばシスメックス社製のセルクリーンを吸引し、吸引した洗浄剤にて
第1混合チャンバMC1、第2混合チャンバMC2、測定機構2a内の流路及び検出器D1〜D3の洗浄を行う。ついで、第1混合チャンバMC1、第2混合チャンバMC2、測定機構2a内の流路及び検出器D1〜D3内の洗浄剤をシース液にて洗い流す。ついで、シース液により洗浄剤の洗い流しが完了した後、測定機構2a内の流路にシース液を充填する。
【0085】
第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3のシャットダウン動作が完了すると、CPU51aは、内部時計51iから現在時刻を取得し(ステップS403)、この時刻をシャットダウン完了時刻としてハードディスク51dに記憶する(ステップS404)。その後、CPU51aは、処理を終了する。
【0086】
<スタートアップ動作>
本実施の形態に係る検体分析装置は、電源投入されたときに実行するスタートアップ動作において、前回のシャットダウン完了時刻からの経過時間に応じて、測定機構2aの洗浄動作を切り替えて実行する。以下、この動作について詳細に説明する。
【0087】
図14は、実施の形態に係る検体分析装置のスタートアップ動作の流れを示すフローチャートである。オペレータは、検体分析装置を使用する場合に、検体分析装置1の電源を投入する。電源が投入された後、情報処理ユニット5のCPU51aは、コンピュータプログラム54aを実行する。
【0088】
まず、CPU51aは、前回のシャットダウン完了時刻をハードディスク51dから読み出す(ステップS301)。次に、CPU51aは、内部時計51iから現在時刻を取得し(ステップS302)、シャットダウン完了時刻から現在時刻までの経過時間SPを算出する(ステップS303)。
【0089】
次に、CPU51aは、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3にそれぞれ初期動作を実行させる(ステップS304)。この初期動作は、各機構部分の位置決め動作、ヒータの加温動作等を含む。続いて、CPU51aは、第1洗浄動作を第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3にそれぞれ実行させる(ステップS305)。この第1洗浄動作は、測定機構2aにおいて検体の測定動作では実行されない動作(つまり、後述する第2洗浄動作では実行されない動作)であり、検出器D1〜D3にパルス電圧を印加することによるつまり除去動作及び検出部D1〜D3内の気泡の除去を行うフラッシング動作を含んでいる。
【0090】
次に、CPU51aは、経過時間SPが24時間以内か否かを判別する(ステップS306)。経過時間SPが24時間以内である場合には(ステップS306においてYES)、CPU51aは洗浄回数を示すパラメータRTに「1」をセットし(ステップS307)、処理をステップS311へ進める。
【0091】
一方、経過時間SPが24時間を越える場合には(ステップS306においてNO)、CPU51aは、経過時間SPが3日以内であるか否かを判別する(ステップS308)。経過時間SPが3日以内である場合には(ステップS308においてYES)、CPU51aはパラメータRTに「3」をセットし(ステップS309)、処理をステップS311へ進める。
【0092】
また、経過時間SPが3日を越える場合には(ステップS308においてNO)、CPU51aは、パラメータRTに「5」をセットし(ステップS310)、処理をステップS311へ進める。
【0093】
ステップS311において、CPU51aは、第2洗浄動作の繰り返し回数を示す変数iに「0」をセットする(ステップS311)。次にCPU51aは、iが洗浄回数RTよりも小さいか否かを判別し(ステップS312)、iが洗浄回数RTよりも小さい場合には(ステップS312においてYES)、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3に第2洗浄動作を実行させる(ステップS313)。
【0094】
ここで、第2洗浄動作について説明する。この第2洗浄動作は、検体を用いない測定動作である。つまり、第2洗浄動作では、上述したステップS102の吸引動作において、吸引管211により検体の代わりに空気を吸引し、その後はCBC+DIFF測定、RBC/PLT測定、及びHGB測定と同様の動作を実行する。1回の第2洗浄動作では、検体を用いないCBC+DIFF測定、RBC/PLT測定、及びHGB測定(以下、「空測定」という。)からなる洗浄シーケンスが1回実行される。
【0095】
検体分析装置1の第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3においては、空気が混入すると、正確な検体及び試薬の定量が行えなくなるため、図5A及び図5Bに示す流路中には希釈液(シース液)が常時充填される。これは検体分析装置1が起動していないときにおいても同様である。つまり、シャットダウン動作の際には、測定機構2aの流路中にシース液が充填され、この状態が次回の起動時まで維持される。このように測定機構2aの流路中にはシース液が充填されているが、前回のシャットダウンから電源が投入されるまでの期間が長期間に及ぶ場合には、流路中に充填されているシース液中に気泡が発生する。また、シャットダウンから電源が投入されるまでの期間が長くなるほど、このような気泡は多く発生する。検体を測定するときにおいて流路中に気泡が残っていると、気泡が測定用試料又はシース液に混入し、正確な測定が行えなくなる。このため、検体の測定開始前に気泡を除去しておく必要がある。
【0096】
また、第1混合チャンバMC1及び第2混合チャンバMC2には、測定の後又は洗浄の後にはシース液等の液体が除去され、空の状態とされる。したがって、シャットダウン後の検体分析装置1が停止している状態においては、第1混合チャンバMC1及び第2混合チャンバMC2は空となっている。シャットダウンの直後は、第1混合チャンバMC1及び第2混合チャンバMC2の内面はシース液等が付着して濡れた状態となっているが、第1混合チャンバMC1及び第2混合チャンバMC2が使用されない期間が長期間となると、第1混合チャンバMC1及び第2混合チャンバMC2の内面が乾燥し、シース液等の成分が結晶化した汚れがこれらの内面に残留することがある。このような汚れは、測定精度の悪化の原因となる。したがって、検体の測定開始前に、第1混合チャンバMC1及び第2混合チャンバMC2の内面を十分に濡らしておく必要がある。
【0097】
上記の空測定は、汚れ及び気泡の除去、並びに測定に使用される部分の濡れ性確保のために行われる。つまり、測定動作と同じ動作によって洗浄を行うことで、測定機構2aにおける測定に使用される流路が洗浄され、かかる流路から汚れ及び気泡が除去され、また流路を十分に濡らすことができる。
【0098】
CPU51aは、上記のような空測定を実行した後、変数iを1インクリメントし(ステップS314)、その後ステップS312へ処理を戻す。これにより、経過期間SPの長さに応じて、洗浄シーケンスの繰り返し回数が変化する。つまり、経過期間SPが24時間以内の場合には、空測定が1回行われ、経過期間SPが24時間〜3日間の場合には、空測定が3回行われ、経過期間SPが3日を越える場合には、空測定が5回行われる。経過期間SPが長くなるほど、空測定(洗浄シーケンス)の繰り返し回数を多くすることで、経過期間SPが長期間の場合には、流路中に多量に発生した気泡を効率的に除去することができ、経過期間SPが短期間の場合には、少量しか発生していない気泡を除去することができるとともに、洗浄動作の時間を抑制することができる。
【0099】
図14に戻り、ステップS312において、iが洗浄回数RT以下の場合には(ステップS312においてNO)、CPU51aは、ブランクチェック動作を実行する(ステップS315)。かかるブランクチェック動作は、上述した空測定と同じ動作、つまり、検体を用いない測定動作を第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3に実行させ、これらによって得られた測定データをCPU51aが解析処理を行い、RBC、PLT、HGB、NEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO、及びWBCの各測定項目の分析結果を得る動作である。CPU51aは、このようなブランクチェック動作によって得られた分析結果が所定の基準値以下であるか否かを判別し(ステップS316)、分析結果が基準値を越える測定項目が存在する場合には(ステップS316においてNO)、異常警告画面(図示せず)を画像表示部52に表示させ(ステップS317)、処理を終了する。一方、全ての測定項目のブランクチェックの分析結果が基準値以下である場合には(ステップS316においてYES)、CPU51aは、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3の状態を測定スタンバイ状態に移行させ(ステップS318)、処理を終了する。
【0100】
以上のような構成とすることにより、前回のシャットダウンから経過した時間に応じて適切な洗浄動作を行うことができる。前回のシャットダウンからの経過時間が長い場合には十分な洗浄を行うことで、気泡及び汚れ等の付着による測定精度の悪化を抑制することができる。前回のシャットダウンからの経過時間が短い場合には簡易な洗浄を行うことで、検体の測定可能な状態になるまでの待ち時間を短縮することができる。
【0101】
また、前回のシャットダウンからの経過時間が長い程、洗浄シーケンスである空測定の実行回数を多くするようにしたため、複数の洗浄動作用の制御プログラムを別々に設ける必要がなく、プログラムの設計の負担の増大を抑制しつつ、前記経過時間が長い程洗浄動作の時間を長くするような測定ユニットの制御を実現できる。また、洗浄シーケンスを空測定としたため、直接的に測定精度に関係する、検体の測定に使用される流路を確実に洗浄することができる。
【0102】
また、空測定ではシース液等の試薬を消費するが、前回のシャットダウンからの経過時間が短い場合には空測定の回数を少なくすることで、試薬の消費量を抑制することができる。
【0103】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、検体分析装置1を多項目血球分析装置としたが、これに限定されるものではなく、種々の検体処理装置に本発明を適用することができる。例えば、血液凝固測定装置、免疫分析装置、生化学分析装置、尿分析装置のような他の検体分析装置、または血液塗抹標本作製装置において、スタートアップ動作における洗浄動作を前回のシャットダウン動作における洗浄動作からの経過時間に応じて変化させる構成としてもよい。
【0104】
また、上述した実施の形態においては、前回のシャットダウン完了時刻からの経過時間に応じて洗浄動作を変化させる構成について述べたが、これに限定されるものではない。前回のシャットダウン開始時刻からの経過時間に応じて洗浄動作を変化させてもよい。また、前回の洗浄動作の開始時刻又は完了時刻からの経過時間に応じて洗浄動作を変化させる構成としてもよい。この場合には、シャットダウン動作における洗浄動作からの経過時間でなくてもよく、測定ユニットが稼働状態又は休止状態にある等、測定ユニットが起動している状態において、前回の洗浄動作からの経過時間に応じて次回の洗浄動作を変化させる構成としてもよい。
【0105】
また、上述した実施の形態においては、前回のシャットダウン完了時刻からの経過時間に応じて、洗浄シーケンスの繰り返し回数を変化させる構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、前回のシャットダウン完了時刻からの経過時間が所定時間よりも長い場合には、CBC+DIFF測定、RBC/PLT測定、及びHGB測定に使用する全ての流路を洗浄し、前回のシャットダウン完了時刻からの経過時間が所定時間よりも短い場合には、CBC+DIFF測定、及びRBC/PLT測定に使用する流路のみを洗浄し、HGB測定に使用する流路は洗浄しないというように、前回のシャットダウン完了時刻からの経過時間に応じて、測定機構2aの中の洗浄する部分を変える構成としてもよい。また、例えば、前回のシャットダウン完了時刻からの経過時間が所定時間よりも長い場合には、第1洗浄動作及び第2洗浄動作の両方を実行し、前回のシャットダウン完了時刻からの経過時間が所定時間よりも短い場合には、第2洗浄動作のみを実行するというように、前回のシャットダウン完了時刻からの経過時間に応じて、洗浄動作の内容を変える構成としてもよい。
また、前回のシャットダウン完了時刻からの経過時間が所定時間よりも長い場合には、洗浄力の強い洗浄液に切り替える構成としてもよい。
また、前回のシャットダウン完了時刻からの経過時間が所定時間よりも長い場合には、流路を洗浄する際に使用するシース液の流速を速くする構成としてもよい。
【0106】
また、上述した実施の形態においては、シャットダウン動作において行われる洗浄動作とスタートアップ時において行われる洗浄動作が異なる構成について述べたが、シャットダウン動作において行われる洗浄動作とスタートアップ動作において行われる洗浄動作とで共通の部分が洗浄される限り、洗浄動作の内容は限定されない。たとえば、シャットダウン動作において行われる洗浄動作とスタートアップ動作において行われる洗浄動作を共通としてもよい。
【0107】
また、上述した実施の形態においては、検体分析装置1が第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3を備える構成について述べたが、これに限定されるものではない。1つの測定ユニットと1つの情報処理ユニットとによって検体分析装置が構成されていてもよい。測定ユニットと情報処理ユニットとが別々に設けられている構成でなくてもよく、測定ユニットに相当する機能と情報処理ユニットに相当する機能とを1つの筐体内に備える検体分析装置であってもよい。
【0108】
また、上述した実施の形態においては、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3にはCPU等の演算部を設けず、情報処理ユニット5のCPU51aによって第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3の動作制御を行う構成について述べたが、これに限定されるものではない。測定ユニットにCPU及びメモリ等からなる制御部を設け、この制御部によって測定機構の動作制御を行う構成としてもよい。
【0109】
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ5aによりコンピュータプログラム54aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム54aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明の検体処理装置は、血液検体又は尿検体を処理する検体処理装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1A】実施の形態に係る検体分析装置の全体構成を示す斜視図。
【図1B】実施の形態に係る検体分析装置の全体構成を示す斜視図。
【図2】検体容器の外観を示す斜視図。
【図3】サンプルラックの外観を示す斜視図。
【図4】実施の形態に係る測定ユニットの構成を示すブロック図。
【図5A】測定機構の構成を示す流体回路図。
【図5B】測定機構の構成を示す流体回路図。
【図5C】ダイヤフラムポンプ回りの流体回路図。
【図6】WBC/DIFF(白血球5分類)検出用の光学検出部の概要構成を示す模式図。
【図7】検体搬送ユニットの構成を示す平面図。
【図8】検体搬送ユニットの第1ベルトの構成を示す正面図。
【図9】検体搬送ユニットの第2ベルトの構成を示す正面図。
【図10】実施の形態に係る情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図11】CBC+DIFF測定での検体分析装置の動作手順を示すフローチャート。
【図12】RBC/PLT測定及びHGB測定での検体分析装置の動作手順を示すフローチャート。
【図13】検体分析装置のシャットダウン動作の流れを示すフローチャート。
【図14】検体分析装置のスタートアップ動作の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0112】
1 検体分析装置
2 第1測定ユニット
2a 測定機構
21 検体吸引部
211 吸引管
231 フローセル
22 試料調製部
23 検出部
3 第2測定ユニット
3a 測定機構
4 検体搬送ユニット
5 情報処理ユニット
5a コンピュータ
51a CPU
51c RAM
51d ハードディスク
51i 内部時計
51j バス
54a コンピュータプログラム
D1〜D3 検出器
DP1〜DP5 ダイヤフラムポンプ
MC1 第1混合チャンバ
MC2 第2混合チャンバ
SP1,SP2 シリンジポンプ
T1,T2 試薬供給路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体が通流する流路を具備し、該流路を通流した検体を処理する検体処理と、該検体が通流した前記流路を洗浄する洗浄動作とを実行する検体処理機構と、
前記検体処理機構による前回の洗浄動作から経過した時間に基づいて、前記検体処理機構の洗浄動作を制御する制御手段と、を備える検体処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記検体処理機構による前回の洗浄動作から経過した時間が長い程、前記検体処理機構の洗浄動作の時間を長くするように構成されている、請求項1に記載の検体処理装置。
【請求項3】
前記検体処理機構は、所定の手順で内部の洗浄を行う洗浄シーケンスを1回又は複数回繰り返して実行するように構成されており、
前記制御手段は、前記検体処理機構による前回の洗浄動作から経過した時間が長い程、前記検体処理機構の洗浄シーケンスの実行回数を多くするように構成されている、請求項2に記載の検体処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記検体処理機構による前回の洗浄動作から経過した時間に基づいて前記洗浄シーケンスの実行回数を決定し、決定された回数の洗浄シーケンスを前記検体処理機構に実行させるように構成されている、請求項3に記載の検体処理装置。
【請求項5】
前記検体処理機構は、検体を吸引する吸引部と、試薬を供給する試薬供給部と、検体の特徴を示す特徴情報を検出する検出部とをさらに具備し、
前記流路は、前記吸引部によって吸引された検体と前記試薬供給部によって供給された試薬とを前記検出部へ供給するように構成されており、
前記制御手段は、前記吸引部から検体を吸引することなく、前記試薬供給部から供給された試薬を前記流路を通じて前記検出部へ供給する洗浄シーケンスの実行回数を、前記検体処理機構による前回の洗浄動作から経過した時間に基づいて変化させるように構成されている、請求項3または4に記載の検体処理装置。
【請求項6】
前記検体処理機構は、前記検体処理において検体と試薬とから測定試料を調製するとともに、前記洗浄動作において、前記検体処理と共通の試薬を用いて前記流路を洗浄するように構成されている、請求項1乃至5の何れかに記載の検体処理装置。
【請求項7】
前記制御手段は、検体処理装置のシャットダウン動作において、前記検体処理機構に洗浄動作を実行させ、前回のシャットダウン動作の後最初に実行される前記検体処理機構の洗浄動作において、前回のシャットダウン動作から経過した時間に基づいて、前記検体処理機構に洗浄動作を実行させるように構成されている、請求項1乃至6の何れかに記載の検体処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、検体処理装置のスタートアップ動作において、前回の洗浄動作から経過した時間に基づいて、前記検体処理機構に洗浄動作を実行させるように構成されている、請求項1乃至7の何れかに記載の検体処理装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−107398(P2010−107398A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280578(P2008−280578)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】