説明

検体処理装置

【課題】 施設への導入が容易であり、且つ、検体容器に応じた適切な検体の吸引制御が可能な検体処理装置を提供する。
【解決手段】
検体処理装置1は、検体投入装置2に設けられたカメラによって検体容器を撮像する。撮像画像に含まれる検体容器の蓋部の画像がシステム制御装置8によって処理され、検体容器の種類が判定される。血球分析装置5の測定ユニット51は、判定された検体容器の種類に対応した下降量を決定し、決定された下降量で吸引管を下降させ、検体容器から検体を吸引する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉容器から吸引部により吸引された検体を処理可能な検体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体容器を密封する蓋を吸引管に貫通させて検体容器から検体を吸引し、吸引した検体の処理を行う検体処理装置が知られている(例えば特許文献1参照)。このような検体処理装置に用いられる検体容器には寸法及び形状の異なるものが複数存在しており、例えば蓋の厚みが異なる検体容器、及び上端の開口から内底面までの距離が異なる検体容器などが存在する。そのため、これらの検体容器が混在している場合であっても、検体容器に応じた適切な検体の吸引動作を行えることが望まれている。
【0003】
特許文献1には、密閉容器に吸引管を突き刺して血液を吸引し、吸引した血液を分析する検体分析装置が開示されている。この特許文献1に記載された検体分析装置では、検体識別情報と容器種類情報とを含むバーコードが密閉容器の側面に貼布されており、バーコードリーダによって読み取られた容器種類情報に基づいて、検体容器の種類に応じた吸引管の進入量が決定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−264340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、バーコードに記録する情報の種類は検査センター又は病院などの検体分析装置を導入している施設によって定められるのが通常であり、上記の特許文献1に記載された検体分析装置を導入するためには、その施設におけるバーコードのコード体系を変更する必要がある。このようなバーコードのコード体系の変更は、その施設内の他のシステムを前記コード体系に適合させるために変更する必要がある等、他のシステムに多大な影響を与える。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、施設への導入が容易であり、且つ、検体容器に応じた適切な検体の吸引制御が可能な検体処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体処理装置は、検体を収容する蓋付きの検体容器の前記蓋を撮像する撮像部と、移動することにより前記検体容器の蓋を貫通し、前記検体容器に収容された検体を処理に供するために吸引する吸引部と、前記撮像部により得られた撮像画像に基づいて、前記検体容器内への前記吸引部の進入量を制御する吸引制御手段と、前記吸引部により吸引された検体を処理する検体処理部と、を備える。
【0008】
この態様においては、前記吸引制御手段が、前記撮像部により得られた撮像画像に基づいて、前記吸引部の移動量を決定し、決定した移動量に応じて移動することにより前記検体容器内に進入するように前記吸引部を制御するように構成されていることが好ましい。
【0009】
上記態様においては、前記検体処理装置が、検体容器の蓋の特徴を示す基準蓋特徴情報を記憶する記憶部と、前記撮像画像に基づいて、前記蓋の特徴を示す蓋特徴情報を取得する蓋特徴情報取得手段と、前記蓋特徴情報取得手段によって取得された蓋特徴情報と前記記憶部に記憶されている基準蓋特徴情報とを比較する比較手段と、をさらに備え、前記吸引制御手段が、前記比較手段による比較結果に基づいて、前記検体容器内への前記吸引部の進入量を制御するように構成されていることが好ましい。
【0010】
上記態様においては、前記撮像部が、画素毎に色に関する情報を含む撮像画像を取得するように構成されており、前記記憶部が、検体容器の蓋の色に関する情報を含む基準蓋特徴情報を記憶しており、前記蓋特徴情報取得手段が、前記撮像画像における前記蓋の色に関する情報を含む蓋特徴情報を取得するように構成されていることが好ましい。
【0011】
上記態様においては、前記記憶部が、検体容器の蓋の形状に関する情報を含む基準蓋特徴情報を記憶しており、前記蓋特徴情報取得手段が、前記撮像画像に基づいて、検体容器の蓋の形状に関する情報を含む蓋特徴情報を取得するように構成されていることが好ましい。
【0012】
上記態様においては、前記記憶部が、検体容器の長さに関する情報を含む基準蓋特徴情報を記憶しており、前記蓋特徴情報取得手段が、前記撮像画像に基づいて、撮像された検体容器の長さに関する情報を含む蓋特徴情報を取得するように構成されていることが好ましい。
【0013】
上記態様においては、前記撮像部が、検体容器を複数収容する検体ラックに収容された状態の検体容器の蓋を撮像するように構成されており、前記蓋特徴情報取得手段が、前記撮像画像における前記検体容器の蓋の位置と前記検体ラックの位置とに基づいて、前記検体容器の長さに関する情報を含む蓋特徴情報を取得するように構成されていることが好ましい。
【0014】
上記態様においては、前記検体処理装置が、一定の物理的特性を示す標識部をさらに備え、前記撮像部が、前記標識部をさらに撮像するように構成されており、前記吸引制御手段が、前記撮像部により得られた前記標識部の画像と、前記撮像部により得られた前記蓋の画像とに基づいて、前記検体容器内への前記吸引部の進入量を制御するように構成されていることが好ましい。
【0015】
上記態様においては、前記検体処理装置が、前記撮像部により得られた前記標識部の画像に基づいて、前記標識部の前記物理的特性に関する特性情報を取得する特性情報取得手段と、前記撮像部により得られた前記蓋の画像に基づいて、前記蓋の特徴を示す蓋特徴情報を取得する蓋特徴情報取得手段と、前記蓋特徴情報取得手段によって取得された蓋特徴情報を、前記特性情報取得手段によって取得された特性情報に基づいて補正する補正手段と、をさらに備え、前記吸引制御手段が、前記補正手段による補正後の蓋特徴情報に基づいて、前記検体容器内への前記吸引部の進入量を制御するように構成されていることが好ましい。
【0016】
上記態様においては、前記検体処理装置が、前記標識部の前記物理的特性に対応する基準特性情報を記憶する記憶部と、前記特性情報取得手段により得られた特性情報と前記記憶部に記憶されている基準特性情報とを比較する比較手段と、をさらに備え、前記補正手段が、前記比較手段による比較結果に基づいて、前記蓋特徴情報を補正するように構成されていることが好ましい。
【0017】
上記態様においては、前記検体処理装置が、前記撮像部により得られた前記標識部の画像に基づいて、前記標識部の前記物理的特性に関する特性情報を取得する特性情報取得手段と、前記特性情報取得手段によって取得された特性情報と、前記撮像部により得られた前記蓋の画像とに基づいて、前記蓋の特徴を示す蓋特徴情報を取得する蓋特徴情報取得手段と、をさらに備え、前記吸引制御手段が、前記蓋特徴情報取得手段によって取得された蓋特徴情報に基づいて、前記検体容器内への前記吸引部の進入量を制御するように構成されていることが好ましい。
【0018】
上記態様においては、前記蓋特徴情報取得手段が、前記特性情報取得手段によって取得された特性情報に基づいて、前記撮像部により得られた前記蓋の画像の処理条件を決定し、決定した前記処理条件に基づいて前記蓋の画像を処理することで得られた画像に基づいて前記蓋特徴情報を取得するように構成されていることが好ましい。
【0019】
上記態様においては、前記撮像部が、撮像環境に関する設定を変更可能に構成されており、前記検体処理装置が、前記撮像部により得られた前記標識部の画像に基づいて、前記標識部の前記物理的特性に関する特性情報を取得する特性情報取得手段と、前記特性情報取得手段により得られた特性情報に基づいて、前記撮像部の撮像環境に関する設定を変更する変更手段と、をさらに備えることが好ましい。
【0020】
上記態様においては、前記検体処理装置が、前記撮像部により得られた前記標識部の画像に基づいて、前記標識部の画像の輝度を示す輝度情報を取得する輝度情報取得手段と、前記輝度情報取得手段により得られた前記輝度情報に基づいて、前記撮像部の異常を検出する検出手段と、をさらに備えることが好ましい。
【0021】
上記態様においては、前記検体処理装置が、前記撮像部により得られた前記標識部の画像に基づいて、前記撮像部により得られた前記蓋の画像に由来する情報から、前記撮像部による撮像環境の誤差成分を除去する除去手段をさらに備え、前記吸引制御手段が、前記除去手段により誤差成分が除去された前記蓋の画像に由来する情報に基づいて、前記検体容器内への前記吸引部の進入量を制御するように構成されていることが好ましい。
【0022】
上記態様においては、前記検体処理装置が、前記撮像部により得られた撮像画像に基づいて、検体容器の種類を識別する識別手段をさらに備え、前記吸引制御手段が、前記識別手段により識別された検体容器の種類に基づいて、前記検体容器内への前記吸引部の進入量を制御するように構成されていることが好ましい。
【0023】
上記態様においては、前記検体処理装置が、前記識別手段により検体容器の種類が識別されなかった場合、検体容器の種類が不明であることを通知する通知手段をさらに備えることが好ましい。
【0024】
上記態様においては、前記検体処理装置が、前記吸引部を具備する検体処理部と、種類が不明な検体容器を収容する検体容器収容部と、検体容器を前記検体処理部へ搬送する搬送部と、前記識別手段により種類が識別された検体容器を前記搬送部へ向けて送出し、前記識別手段により種類が識別されなかった検体容器を前記検体容器収容部へ向けて送出する送出部と、をさらに備えることが好ましい。
【0025】
上記態様においては、前記吸引部が、下降することにより検体容器内に進入するように構成されており、前記吸引制御手段が、前記撮像部により得られた撮像画像に基づいて、前記検体容器内への前記吸引部の下降量を制御するように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る検体処理装置によれば、施設への導入が容易であり、検体容器に応じた適切な検体の吸引制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施の形態1に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図。
【図2】検体容器の外観を示す斜視図。
【図3】サンプルラックの外観を示す斜視図。
【図4】検体投入ユニットの構成を示す平面図。
【図5】実施の形態1に係る検体容器収容ユニットの構成を示す平面図。
【図6】実施の形態1に係る検体容器収容ユニットにおけるカメラと、白色と、検体容器との位置関係及び白色LEDから発せられた光の進行方向を説明するための模式図。
【図7】検体搬送装置の構成を示す平面図。
【図8】検体搬送装置の第1ベルトの構成を示す正面図。
【図9】検体搬送装置の第2ベルトの構成を示す正面図。
【図10】検体分析装置が備える測定ユニットの構成を示すブロック図。
【図11】検体分析装置が備える情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図12】下降量テーブルの構造を示す模式図。
【図13】塗抹標本作製装置の概略構成を示すブロック図。
【図14】システム制御装置の構成を示すブロック図。
【図15】検体容器テーブルの構造を示す模式図。
【図16A】検体投入装置の検体仕分け動作の流れを示すフローチャート(前半)。
【図16B】検体投入装置の検体仕分け動作の流れを示すフローチャート(後半)。
【図17】貯留指示データの構造を示す模式図。
【図18】貯留ラック情報の構造を示す模式図。
【図19】検体投入装置の退避ラック情報表示動作の流れを示すフローチャート。
【図20】貯留ラックリスト画面の一例を示す図。
【図21】サンプルラックの詳細情報画面の一例を示す図。
【図22】システム制御装置の測定オーダ取得動作の流れを示すフローチャート
【図23】検体容器の形状の例を示す図。
【図24】実施の形態1に係るシステム制御装置の検体容器種類識別処理の流れを示すフローチャート。
【図25】実施の形態1に係る撮像画像における検体容器の蓋部の形状及び位置を検出する処理を説明するための模式図。
【図26】システム制御装置による仕分け指示処理の手順を示すフローチャート。
【図27A】システム制御装置の第1搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図27B】システム制御装置の第2搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図28A】検体搬送装置の制御部による搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート(前半)。
【図28B】検体搬送装置の制御部による搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート(後半)。
【図29A】実施の形態1に係る血球分析装置による検体の分析動作の手順を示すフローチャート(前半)。
【図29B】実施の形態1に係る血球分析装置による検体の分析動作の手順を示すフローチャート(後半)。
【図30】実施の形態2に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図。
【図31】実施の形態2に係る検体容器収容ユニットの構成を示す平面図。
【図32】実施の形態2に係るカメラによる撮像範囲を説明する図。
【図33】実施の形態2に係るシステム制御装置の構成を示すブロック図。
【図34】実施の形態2に係るシステム制御装置の検体容器種類識別処理の流れを示すフローチャート。
【図35】実施の形態2に係るシステム制御装置による特徴情報補正処理の手順を示すフローチャート。
【図36】実施の形態3に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図。
【図37】実施の形態3に係る検体容器収容ユニットの構成を示す平面図。
【図38】実施の形態3に係るカメラによる撮像範囲を説明する図。
【図39】実施の形態3に係るシステム制御装置の構成を示すブロック図。
【図40】実施の形態3に係るシステム制御装置の検体容器種類識別処理の流れを示すフローチャート。
【図41】検体処理装置の他の構成の一例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0029】
(実施の形態1)
本実施の形態は、検体容器の撮像画像に基づいて測定ユニットにおける検体の吸引制御を行う検体処理装置である。
【0030】
[検体処理システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図である。図1に示すように、検体処理システム1は、検体投入装置2と、検体搬送装置3,301と、処理完了検体収容装置4と、血球分析装置5と、塗抹標本作製装置6と、システム制御装置8とを備えている。また、本実施の形態に係る検体処理システム1は、通信ネットワークを介してホストコンピュータ9と通信可能に接続されている。
【0031】
<検体投入装置2の構成>
検体投入装置2は、検体投入ユニット21と、検体容器収容ユニット22と、検体送出ユニット23とを備えている。当該検体投入装置2は、サンプルラックに収納された複数の検体容器を載置することができる。また、検体投入装置2はCPU及びメモリから構成された制御部2aを備え、この制御部2aにより検体投入ユニット21、検体容器収容ユニット22、及び検体送出ユニット23の動作機構を制御することができる。また、検体投入装置2は通信ネットワークを解してシステム制御装置8と接続されており、システム制御装置8に対してデータ通信可能となっている。
【0032】
図2は、検体容器の外観を示す斜視図であり、図3は、サンプルラックの外観を示す斜視図である。図2に示すように、検体容器Tは、管状をなしており、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。検体容器Tは、透光性を有するガラス又は合成樹脂により構成されており、内部の血液検体が視認可能となっている。また、検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。このバーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。サンプルラックLは、10本の検体容器Tを並べて保持することが可能である。サンプルラックLでは、各検体容器Tが垂直状態(立位状態)で保持される。また、サンプルラックLの側面には、バーコードラベルBL2が貼付されている。このバーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0033】
図4は、検体投入ユニット21の構成を示す平面図である。図4に示すように、検体投入ユニット21は、検体容器Tを収容したサンプルラックLを載置するための凹状のラック載置部211を有している。このラック載置部211は、長方形状をなしており、複数のサンプルラックLを同時に載置することが可能である。なお、サンプルラックLは、横方向に検体容器Tが並ぶように前記ラック載置部211に載置される。ラック載置部211には、サンプルラックLを検出するためのセンサ212、213と、サンプルラックLを移送するための係合部211aとが設けられている。センサ212及び213は、光学式センサであり、センサ212は発光部212aと受光部212bとを、センサ213は発光部213aと受光部213bとをそれぞれ備えている。発光部212aはラック載置部211の左前側の位置に配置され、受光部212bはラック載置部211の右側中央の位置に配置されている。また、発光部213aはラック載置部211の左後側の位置に配置され、受光部213bはラック載置部211の右側中央の位置に配置されている。発光部212aは、右斜め後方へ向けて光を発するように配置されており、受光部212bはラック載置部211を跨いでこの光を受けるように配置されている。また、発光部213aは、右斜め前方へ向けて光を発するように配置されており、受光部213bはラック載置部211を跨いでこの光を受けるように配置されている。したがって、ラック載置部211に載置されたサンプルラックLによって、発光部212a又は213aから発せられた光が遮られ、受光部212b又は213bの受光レベルが下がることにより、当該サンプルラックLがラックセンサ212又は213により検出される。ラックセンサ212,213で検出されたサンプルラックLは、係合部211aに係合され、係合部211aがサンプルラックLに係合した状態で前後方向へ移動することで、ラック載置部211上でサンプルラックLが移送されるようになっている。
【0034】
検体投入ユニット21は、ラック載置部211の奥側にバーコード読取部21aを備えている。かかるバーコード読取部21aは、サンプルラックLに収容されている複数の検体容器Tの検体バーコードを同時に読出す検体バーコードリーダ21bと、サンプルラックLのラックバーコードを読出すラックバーコードリーダ21cとを備えている。また、バーコード読取部21aは、ラック載置部211における最も奥側のバーコード読出位置の直上に、複数の検体容器Tを同時に水平回転させる水平回転機構21dを備えている。ラック載置部211に投入されたサンプルラックLは、ラック載置部211上を手前側から奥側へ向かう方向、つまり後方向へ移送され、バーコード読出位置に到達する。その後、サンプルラックLに収容される検体容器Tが水平回転機構21dにより水平回転されながら、検体バーコードリーダ21bによってバーコードラベルBL1から検体IDが読み出される。また、ラックバーコードリーダ21cによってサンプルラックLのバーコードラベルBL2からラックIDが読み出される。読み取られたラックID及び検体IDは、システム制御装置8へ送信される。
【0035】
さらに、検体投入ユニット21は、検体容器収容ユニット22の右側に配置されている(図1参照)。バーコード読取位置においてラックバーコード及び検体バーコードが読み取られたサンプルラックLは、バーコード読取位置の左側に設けられたラック送出口215から検体容器収容ユニット22へ搬出される。
【0036】
また、図4に示すように、検体投入ユニット21には、操作パネル214が設けられている。ユーザはこの操作パネル214を操作して、検体処理システム1に分析開始の指示又は分析終了の指示を与えることができる。
【0037】
図5は、検体容器収容ユニット22の構成を示す平面図である。図5に示すように、検体容器収容ユニット22は、複数のサンプルラックLを収容可能な平面視四角形状のラック収容部221を備えている。また、検体容器収容ユニット22は、ユーザが手作業で使用するハンディバーコードリーダ222cと、検体容器TのバーコードラベルBL1の有無を検出するための光学センサ223aと、検体容器Tを撮像するカメラ225aと、液晶表示部227とを備えている。
【0038】
ラック収容部221は、平面視において長方形状をなす凹状に窪んだ部分である。当該ラック収容部221の奥側端の右側壁部には、検体投入ユニット21からサンプルラックLを導入するためのラック導入口221aが設けられている。また、ラック収容部221の奥側端の左側壁部には、ラック送出部23へサンプルラックLを送出するためのラック送出口221bが設けられている。かかるラック導入口221aとラック送出口221bとの間の部分には、サンプルラックLを搬送するための搬送ベルト228が設けられている。搬送ベルト228は、環状のベルトであり、図示しないステッピングモータで駆動されることにより、搬送ベルト228上に載置されたサンプルラックLが図中左方向へ搬送される。また、搬送ベルト228のさらに奥側には、ラック送出部229が設けられている。このラック送出部229は、図示しないステッピングモータ等により駆動され、搬送ベルト228上のサンプルラックLを前側に押し出すことが可能となっている。ラック送出部229によって前側に送り出されたサンプルラックLは、ラック収容部221で貯留される。
【0039】
搬送ベルト228により、サンプルラックLは、隣り合う検体容器Tの間隔を1ピッチとしたピッチ送りで左方向へ間欠的に移送される。搬送ベルト228による搬送路上には、検体容器Tの種類を判別するための画像を撮像する撮像位置224が設けられている。
【0040】
サンプルラックLに収容された検体容器Tは、サンプルラックLが左方向へ移送されることにより撮像位置224まで到達する。撮像位置224の前方には、光学センサ223aが配置される。かかる光学センサ223aは、発光素子223bと受光素子223cとにより構成されている。撮像位置224に検体容器Tが到達したときに、発光素子223bにより検体容器Tに光が照射される。この光は、検体容器Tによって反射され、当該反射光が受光素子223cによって受光される。一方、撮像位置224に検体容器Tが存在しない場合は、発光素子223bの光が反射されず、反射光が受光素子223cにより受光されない。したがって、検体容器Tが撮像位置にある場合の受光素子223cの受光レベルは、検体容器Tが撮像位置にない場合のそれに比べて高くなる。この受光レベルの違いにより、撮像位置224に検体容器Tが存在するか否かが判定される。
【0041】
また、撮像位置224にある検体容器Tの前方には、カメラ225aが配置されている。カメラ225aは、撮像位置224にある検体容器Tの蓋部CPがその撮像範囲に入るように配置されている。また、白色LED225cがカメラ225aに対して所定の位置に配置されており、この白色LED225cにより検体容器Tが照明される。
【0042】
図6は、カメラ225aと、白色LED225cと、検体容器Tとの位置関係及び白色LEDから発せられた光の進行方向を説明するための模式図である。図6に示すように、白色LED225cは撮像位置224にある検体容器Tへ向けて光を発し、且つ、その検体容器Tの反射光が、検体容器Tの前方に位置するカメラ225aに直接入射しない位置及び向きに配置されている。これにより、反射光がカメラ225aに直接当たることがなく、露出オーバーによるいわゆる白飛びを防止することができる。
【0043】
撮像位置224においてサンプルラックLに保持されたままの検体容器Tは、カメラ225aにより撮像され、これによって得られた撮像画像データは、システム制御装置8へ送信される。全ての検体容器Tの撮像が完了したサンプルラックLは、搬送ベルト228によりラック送出口221bから送出される。
【0044】
また、光学センサ223a、カメラ225a、及び白色LED225cは、図示しない垂直駆動機構により上下方向に移動可能となっている。かかる光学センサ223a、カメラ225a、及び白色LED225cは、サンプルラックLがラック載置部221の上記搬送路上にあるときには、サンプルラックLの前側に配置される。また、サンプルラックLがラック載置部221の前方に移送される際には、光学センサ223aが、サンプルラックLの移送に干渉しない位置まで、上記垂直駆動機構により上昇される。
【0045】
バーコードリーダ222cは、発光部と受光部(ラインセンサ)を備えており(図示せず)、電気信号を送信するための柔軟なケーブルにより検体容器収容ユニット22の本体と接続されている。かかるバーコードリーダ222cは、バーコードリーダ222bでは読み取り不能であったバーコードをユーザが手作業で再度読み取るような場合に使用される。
【0046】
検体容器収容ユニット22の左側に配置されている検体送出ユニット23は、複数のサンプルラックLが載置されるラック再投入部231を備えている(図1参照)。かかるラック再投入部231は、検体投入ユニット21のラック載置部211と同様に平面視において直方体形状をなしている。かかるラック再投入部231の奥側の右方壁部は欠落しており、ラック導入口が形成されている。このラック導入口によって検体容器収容ユニット22から検体送出ユニット23にサンプルラックLが導入されるようになっている。また、検体送出ユニット23のラック再投入部231の前側(正面側)の左方壁部も欠落しており、この部分がラック送出口となっている。ラック導入口から導入されたサンプルラックLは、ラック再投入部231により前方に移送され、最も前方の位置に到達した後、ラック送出口から左方へ送出される。また、検体送出ユニット23には、ラックバーコードを読み取るバーコードリーダ23aが設けられており、かかるバーコードリーダによってラック再投入部231を搬送されるサンプルラックLのラックIDが読み出され、後段の検体搬送装置3へサンプルラックLを搬出する前に、このラックIDを含む搬出要求データがシステム制御装置8へ送信される。
【0047】
<検体搬送装置3の構成>
次に、検体搬送装置3の構成について説明する。図1に示すように、検体処理システム1は、3つの検体搬送装置3を備えている。血球分析装置5の3つの測定ユニット51,51,51の前方には、各別に検体搬送装置3,3,3が配置されている。隣り合う検体搬送装置3,3は接続されており、サンプルラックLを受渡しすることが可能である。また、最も右側の検体搬送装置3は、上述した検体投入装置2に接続されており、検体投入装置2から搬出されたサンプルラックLを導入することが可能となっている。最も左側の検体搬送装置3は、検体搬送装置301に接続されており、検体搬送装置301へサンプルラックLを搬出することが可能となっている。
【0048】
図7は、検体搬送装置3の構成を示す平面図である。図7に示すように、検体搬送装置3は、検体を搬送する搬送機構31と、搬送機構31を制御する制御部32とを備えている。搬送機構31は、分析が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析前ラック保持部33と、測定ユニット51によって検体が吸引された検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析後ラック保持部34と、検体を測定ユニット51に供給するために、サンプルラックLを図中矢印X方向へ水平に直線移動させ、分析前ラック保持部33から受け付けたサンプルラックLを分析後ラック保持部34へ搬送するラック搬送部35と、搬送上流側の装置(検体投入装置2又は検体搬送装置3)からサンプルラックLを搬入し、このサンプルラックLに収容された検体を測定ユニット51に供給せずに、搬送下流側の装置(検体搬送装置3又は検体搬送装置301)へとサンプルラックLを搬出するラック搬送部321とを備えている。
【0049】
分析前ラック保持部33は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析前ラック保持部33は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析前のサンプルラックLが載置される。分析前ラック保持部33は、ラック搬送部321に連なっており、後述するラック送出部322によって、ラック搬送部321からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。この分析前ラック保持部33の近傍には、ラックセンサ37が取り付けられており、ラックセンサ37によってサンプルラックLが検出されるラック検出位置33aが、分析前ラック保持部33上に設けられている。ラックセンサ37は、光学式センサであり、発光部37aと受光部37bとを備えている。発光部37aは、ラック検出位置33aの側方に設けられており、受光部37bは、ラック検出位置33aの前方に設けられている。発光部37aは、斜め前方へ向けて光を発するように配置されており、受光部37bはこの光を受けるように配置されている。したがって、ラック搬送部321から送り込まれたサンプルラックLは、ラック検出位置33aに位置し、これによって発光部37aから発せられた光がサンプルラックLによって遮られ、受光部37bの受光レベルが下がることにより、当該サンプルラックLがラックセンサ37により検出される。また、分析前ラック保持部33の両側面からは、内側へ向けてラック送込部33bが突出可能に設けられている。ラックセンサ37によりサンプルラックLが検出されたときに、このラック送込部33bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で後方(ラック搬送部35に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが後方へと移送される。かかるラック送込部33bは、分析前ラック保持部33の下方に設けられたステッピングモータ33cによって駆動可能に構成されている。
【0050】
ラック搬送部35は、図7に示すように、分析前ラック保持部33によって移送されたサンプルラックLを、前記X方向へと移送可能となっている。このラック搬送部35によるサンプルラックLの搬送経路上には、検体容器センサ38によって検体容器が検出される検体容器検出位置35a、及び血球分析装置5の測定ユニット51へ検体を供給するための検体供給位置35cが存在する。ラック搬送部35は、検体容器検出位置35aを経由して、検体供給位置35cに検体が搬送されるようにサンプルラックLを搬送可能に構成されている。検体供給位置35cは、検体容器検出位置35aから検体1つ分だけ搬送方向下流側の位置であり、ラック搬送部35により検体供給位置35cに検体が搬送された場合には、後述する血球分析装置5の測定ユニット51のハンド部が当該検体の検体容器Tを把持し、サンプルラックLから検体容器Tを取り出し、検体容器Tから検体の吸引を行うことによって、検体が測定ユニット51に供給される。ラック搬送部35は、かかる検体供給位置35cに検体容器を搬送した後、検体の供給が完了し、当該検体容器TがサンプルラックLへ戻されるまでの間、サンプルラックLの搬送を待機する。
【0051】
また、ラック搬送部35は、それぞれ独立して動作可能な第1ベルト351及び第2ベルト352の2つのベルトを有している。また、第1ベルト351及び第2ベルト352の矢印Y方向の幅b1及びb2は、それぞれサンプルラックLの矢印Y方向の幅Bの半分以下の大きさである。かかる第1ベルト351及び第2ベルト352は、ラック搬送部35がサンプルラックLを搬送するときにサンプルラックLの幅Bからはみ出ないように並列に配置されている。図8は、第1ベルト351の構成を示す正面図であり、図9は、第2ベルト352の構成を示す正面図である。図8及び図9に示すように、第1ベルト351及び第2ベルト352は、それぞれ環状に形成されており、第1ベルト351はローラ351a〜351cを取り囲むように配置され、第2ベルト352はローラ352a〜352cを取り囲むように配置されている。また、第1ベルト351の外周部には、サンプルラックLのX方向の幅Wよりも若干(例えば、1mm)大きい内幅w1を有するように2つの突起片351dが設けられており、同様に、第2ベルト352の外周部には、前記内幅w1と同程度の内幅w2を有するように2つの突起片352dが設けられている。第1ベルト351は、2つの突起片351dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ351e(図7参照)によりローラ351a〜351cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。第2ベルト352は、2つの突起片352dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ352e(図7参照)によりローラ352a〜352cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。また、第1ベルト351及び第2ベルト352は、互いに独立してサンプルラックLを移送可能に構成されている。
【0052】
検体容器センサ38は、接触型のセンサであり、のれん形状の接触片、光を出射する発光素子、及び受光素子(図示せず)をそれぞれ有している。検体容器センサ38は、接触片が検出対象の被検出物に当接することにより屈曲され、その結果、発光素子から出射された光が接触片により反射されて受光素子に入射するように構成されている。これにより検体容器センサ38の下方をサンプルラックLに収容された検出対象の検体容器Tが通過する際に、接触片が検体容器Tにより屈曲されて、検体容器Tを検出することが可能である。
【0053】
ラック搬送部35を挟んで後述する分析後ラック保持部34に対向するようにラック送出部39が配置されている。かかるラック送出部39は、ステッピングモータ39aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析後ラック保持部34とラック送出部39との間の位置391(以下、「分析後ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部39を分析後ラック保持部34側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析後ラック保持部34内に移動することが可能である。このようにして、分析が完了したサンプルラックLが、ラック搬送部35から分析後ラック保持部34へ送出される。
【0054】
ラック搬送部321は、図中矢印X方向へ延びており、サンプルラックLを矢印X方向へ水平に直線移動させることが可能である。かかるラック搬送部321は、環状のベルト321a及びステッピングモータ321bを有しており、ステッピングモータ321bの駆動力によってベルト321aを矢印X方向へ回転させるように構成されている。これにより、ベルト321aの上に載置されたサンプルラックLをX方向へ移動可能である。また、分析前ラック保持部33の前側には、ラック搬送部321を挟んで分析前ラック保持部321に対向するようにラック送出部322が配置されている。かかるラック送出部322は、ステッピングモータ322aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析前ラック保持部33とラック送出部322との間の位置323(以下、「分析前ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部322を分析前ラック保持部33側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析前ラック保持部33内のラック検出位置33aに移動することが可能である。
【0055】
分析後ラック保持部34は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析後ラック保持部34は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析が完了したサンプルラックLが載置される。分析後ラック保持部34は、上記のラック搬送部35に連なっており、上述したように、ラック送出部39によって、ラック搬送部35からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。分析後ラック保持部34の両側面からは、内側へ向けてラック送込部34bが突出可能に設けられている。ラック送出部39によりサンプルラックLが搬入されたときに、このラック送込部34bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で前方(ラック搬送部321に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが前方へと移送される。かかるラック送込部34bは、分析後ラック保持部34の下方に設けられたステッピングモータ34cによって駆動可能に構成されている。
【0056】
かかる構成とすることにより、搬送機構31には、検体供給位置35cを経由するサンプルラックLの搬送ラインである測定ラインL1と、検体供給位置35cを経由せずに、搬入したサンプルラックLをそのまま下流側の装置へ搬出する搬送ラインであるスキップラインL2とが形成されている。
【0057】
上記のような構成の搬送機構31は、制御部32によって制御される。制御部32は、CPU、ROM、及びRAM等(図示せず)から構成されており、ROMに格納された搬送機構31の制御プログラムをCPUで実行することが可能である。また、かかる制御部32は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット52及びシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
【0058】
上記のような構成とすることにより、検体搬送装置3は、検体投入装置2から搬送されたサンプルラックLを、ラック搬送部321により分析前ラック送出位置323へ搬送し、ラック送出部322により分析前ラック保持部33へ移送し、このサンプルラックLを分析前ラック保持部33からラック搬送部35へと送出し、さらにラック搬送部35によって搬送することにより、検体を血球分析装置5の測定ユニット51へと供給することができる。また、吸引が完了した検体を収容するサンプルラックLは、ラック搬送部35により、分析後ラック送出位置391へと移送され、ラック送出部39により分析後ラック保持部34へ送出される。分析後ラック保持部34に保持されたサンプルラックLは、ラック搬送部321へと移送され、ラック搬送部321により、後段の装置(検体搬送装置3又は301)へ搬出される。また、搬送下流側の測定ユニット51又は塗抹標本作成装置6にて処理する検体若しくは分析が完了した検体を収容するサンプルラックLを前段の装置から検体搬送装置3が受け入れた場合は、ラック搬送部321によってこのサンプルラックLが矢印X方向へと搬送され、後段の検体搬送装置3へそのまま搬出される。
【0059】
<検体搬送装置301の構成>
図1に示すように、塗抹標本作製装置6の前側には、検体搬送装置301が配置されている。この検体搬送装置301は、その右側端が、3つの検体搬送装置3,3,3の内、最も搬送下流側(図中左側)に位置する検体搬送装置3と接続されており、その左側端が、処理完了検体収容装置4に接続されている。
【0060】
検体搬送装置301は、コンベア302とラックスライダ303とを備えている。コンベア302には、それぞれ左右方向へ延びた2つのラック搬送路302a,302bが設けられている。塗抹標本作製装置6に近接するラック搬送路302aは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容するサンプルラックLを搬送するための測定ラインである。一方、塗抹標本作製装置6から離れたラック搬送路302bは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容していないサンプルラックLを搬送するためのスキップラインである。また、コンベア302は、CPU及びメモリを備えており、各動作機構を制御する制御部(図示せず)を備えている。
【0061】
ラックスライダ303は、コンベア302の右側に配置されており、コンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bへサンプルラックLの振り分け投入を行う。
【0062】
<処理完了検体収容装置4の構成>
処理完了検体収容装置4は、複数のサンプルラックLを載置することができるように構成されている。かかる処理完了検体収容装置4は、分析又は塗抹標本作製を終了したサンプルラックLを検体搬送装置301から受け取り、収容する。
【0063】
<血球分析装置5の構成>
血球分析装置5は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、血液検体に含まれる血球に関して側方散乱光強度、蛍光強度等を取得し、これらに基づいて検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成し、これを表示する。かかる血球分析装置5は、血液検体を測定する測定ユニット51と、測定ユニット51から出力された測定データを処理し、血液検体の分析結果を表示する情報処理ユニット52とを備えている。
【0064】
血球分析装置5は、図1に示すように、3つの測定ユニット51,51,51と、1つの情報処理ユニット52とを備えている。情報処理ユニット52は、3つの測定ユニット51,51,51と通信可能に接続されており、これらの3つの測定ユニット51,51,51の動作をそれぞれ制御可能である。また、情報処理ユニット52は、3つの測定ユニット51,51,51の前側にそれぞれ配置された3つの検体搬送装置3,3,3とも通信可能に接続されている。
【0065】
3つの測定ユニット51,51,51は、同一の構成である。図10は、測定ユニット51の構成を示すブロック図である。図10に示すように、測定ユニット51は、検体である血液を検体容器(採血管)Tから吸引する検体吸引部511と、検体吸引部511により吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部512と、試料調製部512により調製された測定試料から血球を検出する検出部513とを有している。また、測定ユニット51は、検体搬送装置3のラック搬送部35によって搬送されたサンプルラックLに収容された検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込むための取込口(図示せず)と、サンプルラックLから検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込み、検体吸引部511による吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部515とをさらに有している。
【0066】
検体吸引部511の先端部には、吸引管511aが設けられている。また、検体吸引部511は、ベルト及びモータを含む駆動機構511bを備えており、この駆動機構511bの駆動力によって吸引管511aを鉛直方向に移動可能となっている。後述するように検体容器の種類によって定められる下降量により吸引管511aが下方に移動され、吸引位置まで搬送された検体容器Tの蓋部CPを前記吸引管511aが貫通し、内部の血液を吸引するように構成されている。
【0067】
なお、吸引管511aはステンレス鋼製のパイプからなり、パイプの中心に吸引流路(図示せず)を備える。吸引管511aの先端にはその頂点に向かって先細る鋭利な三角錐状の錐形部が形成されている。これによって、吸引管511aの下降力が頂点に集中し、検体容器Tの蓋部CPを吸引管511aが容易に突き破れるようになっている。
【0068】
さらに、吸引管511aは、中心軸と平行に一列に延びる3つの溝状の細長い凹部を外周面に有している。これらの凹部はそれぞれ所定の間隔を置いて設けられている。このように構成された吸引管511aが下降してその先端が蓋部CPを貫通したとき、吸引管511aの外周面の凹部によって検体容器Tの内部が直ちに外気に解放され、検体容器T内の圧力が大気圧に戻される。これにより、検体容器T内の血液は円滑に吸引管511aにより吸引され、精度よく血液を定量吸引することができる。なお、吸引管511aの外周面の凹部によって検体容器T内を大気解放することについては、特開2004−170156号公報に詳しく記載されている。
【0069】
試料調製部512は、複数の反応チャンバ(図示せず)を備えている。また、試料調製部512は、図示しない試薬容器に接続されており、染色試薬、溶血剤、及び希釈液等の試薬を反応チャンバに供給することが可能である。試料調製部512は、検体吸引部511の吸引管511aとも接続されており、吸引管511aにより吸引された血液検体を反応チャンバに供給することが可能である。かかる試料調製部512は、反応チャンバ内で検体と試薬とを混合撹拌し、検出部513による測定用の試料(測定試料)を調製する。
【0070】
検出部513は、RBC(赤血球)検出及びPLT(血小板)検出をシースフローDC検出法により行うことが可能である。このシースフローDC検出法によるRBC及びPLTの検出においては、検体と希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりRBC及びPLTの測定が行われる。また、検出部513は、HGB(ヘモグロビン)検出をSLS−ヘモグロビン法により行うことが可能であり、WBC(白血球)、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、及びMONO(単球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。この検出部513では、白血球の5分類を伴わないWBCの検出、すなわち、NEUT、LYMPH、EO、BASO、MONOの検出を伴わないWBCの検出と、白血球の5分類を伴うWBCの検出とでは、検出方法が異なっている。白血球5分類を伴わないWBCの検出では、検体と、溶血剤と、希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりWBCの測定が行われる。一方、白血球5分類を伴うWBCの検出では、染色試薬と、溶血剤と、希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりNEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO、及びWBCの測定が行われる。
【0071】
検体容器搬送部515は、検体容器Tを把持可能なハンド部515aを備えている。ハンド部515aは、互いに対向して配置された一対の把持部材を備えており、この把持部材を互いに近接及び離反させることが可能である。かかる把持部材を、検体容器Tを挟んだ状態で近接させることにより、検体容器Tを把持することができる。また、検体容器搬送部515は、ハンド部515aを上下方向及び前後方向(Y方向)に移動させることができ、さらに、ハンド部515aを揺動させることができる。これにより、サンプルラックLに収容され、供給位置35cに位置した検体容器Tをハンド部515aにより把持し、その状態でハンド部515aを上方に移動させることによりサンプルラックLから検体容器Tを抜き出し、ハンド部515aを揺動させることにより、検体容器T内の検体を撹拌することができる。
【0072】
また、検体容器搬送部515は、検体容器Tを挿入可能な穴部を有する検体容器セット部515bを備えている。上述したハンド部515aによって把持された検体容器Tは、撹拌完了後移動され、把持した検体容器Tを検体容器セット部515bの穴部に挿入する。その後、把持部材を離反させることにより、ハンド部515aから検体容器Tが開放され、検体容器セット部515bに検体容器Tがセットされる。かかる検体容器セット部515bは、図示しないステッピングモータの動力によって、Y方向へ水平移動可能である。測定ユニット51の内部には、バーコード読取部516が設けられている。検体容器セット部515bは、バーコード読取部516の近傍のバーコード読取位置516a及び検体吸引部511による吸引位置511aへ移動可能である。検体容器セット部515bがバーコード読取位置516aへ移動したときには、セットされた検体容器Tが図示しない回転機構により水平回転され、バーコード読取部516により検体バーコードが読み取られる。これにより、検体容器TのバーコードラベルBL1がバーコード読取部516に対して反対側に位置する場合でも、検体容器Tを回転させることにより、バーコードラベルBL1をバーコード読取部516へ向けることができ、バーコード読取部516に検体バーコードを読み取らせることが可能である。また、検体容器セット部515bが吸引位置へ移動したときには、検体吸引部511により、セットされた検体容器Tから検体が吸引される。
【0073】
次に、情報処理ユニット52の構成について説明する。情報処理ユニット52は、コンピュータにより構成されている。図11は、情報処理ユニット52の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット52は、コンピュータ52aによって実現される。図11に示すように、コンピュータ52aは、本体521と、画像表示部522と、入力部523とを備えている。本体521は、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hを備えており、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hは、バス521jによって接続されている。
【0074】
CPU521aは、RAM521cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するような検体分析用及び測定ユニット51の制御用のコンピュータプログラム524aを当該CPU521aが実行することにより、コンピュータ52aが情報処理ユニット52として機能する。
【0075】
ROM521bは、マスクROM、PROM、EPROM、又はEEPROM等によって構成されており、CPU521aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0076】
RAM521cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。RAM521cは、ハードディスク521dに記録されているコンピュータプログラム524aの読み出しに用いられる。また、CPU521aがコンピュータプログラムを実行するときに、CPU521aの作業領域として利用される。
【0077】
ハードディスク521dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU521aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するコンピュータプログラム524aも、このハードディスク521dにインストールされている。
【0078】
読出装置521eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体524に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体524には、コンピュータを情報処理ユニット52として機能させるためのコンピュータプログラム524aが格納されており、コンピュータ52aが当該可搬型記録媒体524からコンピュータプログラム524aを読み出し、当該コンピュータプログラム524aをハードディスク521dにインストールすることが可能である。
【0079】
なお、前記コンピュータプログラム524aは、可搬型記録媒体524によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ52aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記コンピュータプログラム524aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ52aがアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク521dにインストールすることも可能である。
【0080】
また、ハードディスク521dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るコンピュータプログラム524aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0081】
また、ハードディスク521dには、検体吸引部511の下降量を決定するために用いられる下降量テーブルTBL1が設けられている。図12は、下降量テーブルTBL1の構造を示す模式図である。図に示すように、下降量テーブルTBL1は、2次元の表形式のデータであり、各行が検体容器の種類に対応している。各行には、検体容器の種類を特定する容器種類IDと、この検体容器から検体を吸引する場合の検体吸引部511の下降量が含まれている。
【0082】
入出力インタフェース521fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース521fには、キーボード及びマウスからなる入力部523が接続されており、ユーザが当該入力部523を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力することが可能である。また、入出力インタフェース521fは、3つの測定ユニット51,51,51に接続されている。これにより、3つの測定ユニット51,51,51のそれぞれとの間でデータの送受信が可能となっている。
【0083】
通信インタフェース521gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース521gはLANを介してシステム制御装置8に接続されている。コンピュータ52aは、通信インタフェース521gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続されたシステム制御装置8との間でデータの送受信が可能である。また、かかる通信インタフェース521gは、上記のLANを介してホストコンピュータ9及び各検体搬送装置3,3,3に通信可能に接続されている。
【0084】
画像出力インタフェース521hは、LCDまたはCRT等で構成された画像表示部522に接続されており、CPU521aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部522に出力するようになっている。画像表示部522は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0085】
<塗抹標本作製装置6の構成>
塗抹標本作製装置6は、血液検体を吸引し、スライドガラス上に滴下して、その血液検体をスライドガラス上で薄く引き延ばし、乾燥させた上で、当該スライドガラスに染色液を供給してスライドガラス上の血液を染色することにより、塗抹標本を作製する。
【0086】
図13は、塗抹標本作製装置6の概略構成を示すブロック図である。図13に示すように、塗抹標本作製装置6は、検体分注部61と、塗抹部62と、スライドガラス搬送部63と、染色部64と、制御部65とを備えている。
【0087】
検体分注部61は、吸引管(図示せず)を備えており、この吸引管を検体搬送装置3の測定ライン31a上を搬送されたサンプルラックLの検体容器Tの蓋部CPに突き刺して、この検体容器Tから血液検体を吸引する。また、検体分注部61は、吸引した血液検体をスライドガラス上に滴下するように構成されている。塗抹部62は、スライドガラス上に滴下された血液検体を塗抹して乾燥させ、さらに、スライドガラスに印字するように構成されている。
【0088】
スライドガラス搬送部63は、塗抹部62によって血液検体が塗抹されたスライドガラスを図示しないカセットに収容させ、さらにそのカセットを搬送するために設けられている。染色部64は、スライドガラス搬送部63によって染色位置まで搬送されたカセット内のスライドガラスに対して、染色液を供給する。制御部65は、検体搬送装置3から与えられた標本作製指示にしたがって、検体分注部61、塗抹部62、スライドガラス搬送部63、及び染色部64を制御し、上記の塗抹標本作製動作を実行させる。このようにして作製された塗抹標本は、血球画像表示装置7へと送出される。
【0089】
制御部65は、CPU及びメモリを備えている。このメモリには、不揮発性メモリが含まれており、この不揮発性メモリに下降量テーブルTBL2が格納されている。下降量テーブルTBL2は、上述した下降量テーブルTBL1と同様に、容器種類IDと下降量とが対応付けられた2次元テーブルである。ただし、血球分析装置5と塗抹標本作製装置6とでは、同一の種類の検体容器でも吸引管の下降量が異なるため、この下降量テーブルTBL2に記憶されている下降量は、検体分注部61の吸引管が下降したときに吸引管の先端が検体容器Tの底面の近くまで接近するが、検体容器Tの底面に当接しない程度の下降量となっており、下降量テーブルTBL1に記憶されている下降量とは異なっている。
【0090】
<システム制御装置8の構成>
図14は、本実施の形態に係るシステム制御装置8の構成を示すブロック図である。システム制御装置8は、コンピュータにより構成されており、検体処理システム1の全体を制御する。このシステム制御装置8は、検体投入装置2からサンプルラックLの番号を受け付け、そのサンプルラックLの搬送先を決定する。
【0091】
システム制御装置8は、コンピュータ8aによって実現される。図14に示すように、コンピュータ8aは、本体81と、画像表示部82と、入力部83とを備えている。本体81は、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hを備えており、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hは、バス81jによって接続されている。
【0092】
ハードディスク81dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU81aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するシステム制御プログラム84aも、このハードディスク81dにインストールされている。
【0093】
また、ハードディスク81dには、検体容器の種類を識別するために用いられる検体容器テーブルTBL3が設けられている。図15は、検体容器テーブルTBL3の構造を示す模式図である。図に示すように、検体容器テーブルTBL3は、2次元の表形式のデータであり、各行が検体容器の種類に対応している。各行には、検体容器の特徴を示す特徴情報の基準値(以下、「基準特徴情報」という。)が記憶されている。具体的には、この基準特徴情報には、検体容器の種類を特定する容器種類ID、検体容器の長さ(高さ)、蓋部の長さ、蓋部の直径、2段型キャップ(小径部と大径部の2つのキャップ径を有する蓋部)の小径部の長さ、小径部の直径、及び蓋部の色情報(R値(赤色成分の輝度)、G値(緑色成分の輝度)、B値(青色成分の輝度))が含まれている。
【0094】
読出装置81eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体84に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体84には、コンピュータをシステム制御装置8として機能させるためのシステム制御プログラム84aが格納されており、コンピュータ8aが当該可搬型記録媒体84からシステム制御プログラム84aを読み出し、当該システム制御プログラム84aをハードディスク81dにインストールすることが可能である。
【0095】
入出力インタフェース81fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース81fには、キーボード及びマウスからなる入力部83が接続されており、ユーザが当該入力部83を使用することにより、コンピュータ8aにデータを入力することが可能である。
【0096】
通信インタフェース81gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース81gはLANを介して検体投入装置2、検体搬送装置3、処理完了検体収容装置4、情報処理ユニット52、及びホストコンピュータ9に接続されている。コンピュータ8aは、通信インタフェース81gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された上記の各装置との間でデータの送受信が可能である。
【0097】
なお、システム制御装置8のその他の構成は、上述した情報処理ユニット52の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0098】
<ホストコンピュータ9の構成>
ホストコンピュータ9は、コンピュータにより構成されており、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、通信インタフェース等を備えている。通信インタフェースは、上述したLANに接続されており、システム制御装置8、血球分析装置5の情報処理ユニット52、血球画像表示装置7の画像処理ユニット73、検体投入装置2、検体搬送装置3、及び処理完了検体収容装置4と通信することが可能である。また、ハードディスクには、測定オーダが格納されている。測定オーダには、検体ID及び実施対象の測定項目の情報が含まれている。ホストコンピュータ9は、他の装置から検体IDを含む測定オーダの要求データを受信したときには、この検体IDに対応する測定データをハードディスクから読み出し、要求元の装置へ送信するように構成されている。その他、ホストコンピュータ9の構成は、上述した他のコンピュータの構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0099】
以下、本実施の形態に係る検体処理システム1の動作について説明する。
【0100】
<検体投入装置2の動作>
検体仕分け動作
検体が検体処理システム1に投入されると、検体投入装置2がサンプルラックLを、測定ユニット51へ搬送すべきものと搬送すべきでないものとに仕分ける。図16A及び図16Bは、検体投入装置2の検体仕分け動作の流れを示すフローチャートである。ユーザは、検体容器Tを収容したサンプルラックLを検体投入ユニット21のラック載置部211に載置し、検体投入ユニット21の操作パネル214を操作して、検体処理システム1に分析開始の指示を与える。検体投入装置2の制御部2aは、かかる分析開始の指示を受け付けると、ラック載置部211に投入されたサンプルラックLをセンサ212,213により検出する(ステップS101)。このセンサ212及び213がサンプルラックLを検出するイベントが発生すると、制御部2aはサンプルラックLの移送を開始する。検体投入ユニット21のラック載置部211に載置されたサンプルラックLは、ラック載置部211上を後方へ移送され、バーコード読取位置に到達する(ステップS102)。
【0101】
次に、制御部2aは、バーコードリーダ21b及び21cにより、サンプルラックLに収容されている検体の検体ID及び当該サンプルラックLのラックIDを読み出す(ステップS103)。このとき、水平回転機構21dにより各検体容器TがサンプルラックLに保持されたまま水平回転され、バーコードラベルBL1がバーコードリーダ21bに対向したときに検体バーコードが読み取られる。また、制御部2aは、読み出した検体ID及びラックIDをシステム制御装置8へ送信する(ステップS104)。ステップS104において送信されるデータでは、サンプルラックLにおける検体容器Tの保持位置(1〜10)と、保持されている検体容器の検体IDとが対応付けられている。制御部2aは、その後、サンプルラックLを左方向へと移送し、検体容器収容ユニット22へと送出する。また、検体バーコードの読み取り不良により、検体IDが取得できなかった場合には、保持位置に対応付けて検体バーコードの読み取り不良を示すデータが送信される。
【0102】
検体容器収容ユニット22に導入されたサンプルラックLは、制御部2aにより、ラック収容部221の搬送ベルト228により左方向へ1ピッチ毎に移送される(ステップS105)。制御部2aは、検体容器Tが撮像位置224に存在するか否かを判定する(ステップS106)。この処理は、光学センサ223aの受光素子223cの受光レベルを参照することにより行われる。検体容器Tが撮像位置224に存在しない場合には(ステップS106においてNO)、制御部2aは、処理をステップS108に移す。一方、検体容器Tが撮像位置224に位置したときには(ステップS106においてYES)、制御部2aは、システム制御装置8へ画像取込指示信号を送信する(ステップS107)。画像取込指示信号には、このラックのラックID、この検体の検体ID、並びにこの検体容器のサンプルラックLにおける保持位置の情報が含まれている。システム制御装置8は、後述するように、この画像取込指示信号を受信すると、カメラ225aの撮像画像を取り込み、その後、この撮像画像に対して画像処理を実行し、検体容器Tの種類を判定する。
【0103】
制御部2aは、サンプルラックLに収容された全ての検体容器Tに対して上記の処理を完了したか否か、正確には、サンプルラックLの右端の検体容器保持位置が撮像位置224に位置しているか否かを判定し(ステップS108)、サンプルラックLの右端がまだ撮像位置224に到達していない場合には(ステップS108においてNO)、サンプルラックLを1ピッチ左方向へ移送し(ステップS109)、処理をステップS106へ戻す。
【0104】
サンプルラックLの右端が撮像位置224に到達した場合には(ステップS108においてYES)、制御部2aは、仕分け準備完了データをシステム制御装置8へ送信し(ステップS110)、その後、搬送指示データ又は貯留指示データの受信を待機する(ステップS111においてNO)。搬送指示データは、このサンプルラックLが血球分析装置5の血球分析に供すべき検体のみを収容している場合にシステム制御装置8から送信され、貯留指示データは、サンプルラックLが血球分析装置5の血球分析に供すべきでない検体を収容している場合にシステム制御装置8から送信される。
【0105】
制御部2aは、搬送指示データ又は貯留指示データを受信すると(ステップS111においてYES)、受信したデータが貯留指示データであるか否かを判別する(ステップS112)。図17は、貯留指示データの構造を示す模式図である。貯留指示データD1には、そのサンプルラックLのラックID、サンプルラックLにおける検体容器Tの保持位置(1〜10)、各検体容器Tの検体ID、及び、異常の内容を示すエラー情報(異常コード)が含まれている。検体容器Tの保持位置、検体ID、及びエラー情報は互いに対応付けられており、エラーが発生した検体容器Tの保持位置、検体ID、及びエラー情報が特定可能となっている。
【0106】
ステップS112において、受信したデータが貯留指示データである場合には(ステップS112においてNO)、制御部2aは、この貯留指示データに基づいて、制御部2aが備えるメモリ中の貯留ラック情報にこのサンプルラックLの情報を追加する(ステップS113)。図18は、貯留ラック情報の構造を示す模式図である。図に示すように、貯留ラック情報D2には、ラックID、各保持位置の検体ID、及び各保持位置のエラー情報が含まれている。検体IDとエラー情報とは対応付けられており、どの検体にどのようなエラーが発生したのかを特定可能となっている。かかる貯留ラック情報D2には、ラック収容部221に収容されている全てのサンプルラックLに関する情報が含まれている。その後、制御部2aは、ラック送出部229によりサンプルラックLをラック収容部221へ移送し(ステップS114)、処理を終了する。
【0107】
制御部2aは、ステップS112において、受信したデータが搬送指示データである場合には(ステップS112においてYES)、サンプルラックLをさらに左方向へ移送して、検体送出ユニット23へこのサンプルラックLを送出する(ステップS115)。制御部2aは、バーコードリーダ23aによりサンプルラックLのラックバーコードを読み出し(ステップS116)、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3へ搬出するためのラック搬出位置までこのサンプルラックLを移送する(ステップS117)。その後、制御部2aは、このサンプルラックLのラックIDを含む搬出要求データをシステム制御装置8へ送信し(ステップS118)、システム制御装置8から送信される搬出指示データを待機する(ステップS119においてNO)。検体投入装置2は、システム制御装置8から搬出指示データを受信したときには(ステップS119においてYES)、サンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し(ステップS120)、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS121)。その後、制御部2aは、処理を終了する。
【0108】
退避ラック情報表示動作
上述のように検体容器収容ユニット22のラック収容部221に退避されたサンプルラックLに関する情報が、検体容器収容ユニット22の液晶表示部227に表示される。図19は、かかる退避ラック情報表示動作の流れを示すフローチャートである。システム制御装置8から貯留指示データD1が送信され、制御部2aの貯留ラック情報D2が更新され、サンプルラックLがラック収容部221に移送された場合には、制御部2aが貯留ラック情報D2に基づいて液晶表示部227に貯留ラックリスト画面を表示させる(ステップS131)。
【0109】
図20は、貯留ラックリスト画面の一例を示す図である。図に示すように、貯留ラックリスト画面W1には、異常が検出されたサンプルラックLのラックIDが一覧表示されるリスト表示領域A1が設けられている。このリスト表示領域A1では、各ラックIDをオペレータが指で触れることで選択可能となっている。選択されたラックIDは、選択されていないラックIDとは異なる色で表示される。また、貯留ラックリスト画面W1には、リスト表示領域A1で選択されたラックIDの詳細情報画面に画面表示を切替えるための表示切替ボタンB1が設けられている。制御部2aは、オペレータからのラックIDの選択及びそのサンプルラックLの詳細情報画面の表示指示を受け付けると(ステップS132)、詳細情報画面を液晶表示部227に表示させる(ステップS133)。また、オペレータがタッチパネルを操作してラックIDの選択及び詳細情報画面の表示指示を入力するのではなく、オペレータがサンプルラックLのラックバーコードをハンディバーコードリーダ222cにより読み取ることで、読み出されたラックIDが制御部2aに入力され、これによりこのサンプルラックLの詳細情報画面を表示させることもできる。詳細情報画面を表示させた後、制御部2aは、処理を終了する。
【0110】
図21は、サンプルラックLの詳細情報画面の一例を示す図である。図に示すように、詳細情報画面W2には、ラックID200aと、サンプルラックの各保持位置の番号200bと、保持位置に対応付けられたエラー情報200c,200dとが含まれる。エラー情報200cは、検体バーコード読み取り不良を示す情報であり、エラー情報200dは、検体容器種類エラーを示す情報である。また、詳細情報画面W2には、このサンプルラックLの情報を削除するための第1削除ボタンB21と、選択されたエラー情報を削除するための第2削除ボタンB22と、この画面の表示終了を指示するためのクローズボタンB23とが設けられている。また、この詳細情報画面W2においては、オペレータがタッチパネルを操作することにより、所望のエラー情報を選択することができる。また、オペレータは、このようにエラー情報が選択されている状態で、第2削除ボタンB22を選択することにより、そのエラー情報の削除指示を入力可能である。また、オペレータは、検体バーコード読取エラーを選択し、かかるサンプルラックLから検体バーコード読取不良の検体容器Tを取り出し、ハンディバーコードリーダ222cにより再度検体バーコードを読み取らせることで、この検体バーコードの読取エラーを解消することができる。
【0111】
また、オペレータは、かかる詳細情報画面を確認することにより、検体容器形状エラーの検体容器TをサンプルラックLから取り出し、当該検体を別の検体容器に移し替えたり、バーコード読み取り不良の検体容器Tを取り出し、ハンディバーコードリーダ222cにより再度検体バーコードの読み取りを行った上で、当該検体容器をサンプルラックLの元の保持位置に戻し、このサンプルラックLを検体送出ユニット23のラック再投入部231に載置する等、適切な処置を取ることができる。ラック再投入部231に再投入されたサンプルラックLは、自動的に検体搬送装置3へと搬出される。
【0112】
<システム制御装置8の動作>
次に、システム制御装置8の動作について説明する。
【0113】
測定オーダ取得動作
システム制御装置8は、検体投入装置2から検体IDを受信し、この検体IDをキーとしてホストコンピュータ9に測定オーダを問い合わせる。ここで、測定オーダとは、検体に対して分析を行うべき分析項目の指示を示すデータであり、検体ID、患者ID及び患者氏名等の検体の属性情報と、分析項目の情報とが含まれる。以下、この動作を詳しく説明する。
【0114】
図22は、システム制御装置8の測定オーダ取得動作の流れを示すフローチャートである。上述したように、検体投入装置2は、バーコードリーダ21b及び21cにより読み出した検体ID及びラックIDをシステム制御装置8へ送信する。かかるラックID及び検体IDは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS201)。CPU81aにおいて、ラックID及び検体IDを受信するイベントが発生すると、ステップS202の処理が呼び出される。
【0115】
ステップS202において、CPU81aは、受信したデータに検体ID読取不良データが含まれているか否かを判定する(ステップS202)。受信データに検体ID読取不良データが含まれている場合には(ステップS202においてYES)、CPU81aは、このサンプルラックLのラックID(ラックID読取不良の場合には、投入されたサンプルラックLに順番に割り当てられるラックシーケンシャル番号)、及び、検体容器の保持位置に対応付けて、検体バーコードの読取不良が発生したことを示す検体バーコード読取エラー情報をハードディスク51dに記憶し(ステップS203)、処理をステップS204へ進める。一方、上記の検体ID読取不良データが含まれていない場合には(ステップS202においてNO)、CPU81aは、処理をステップ204へと進める。
【0116】
ステップS204において、CPU81aは、受信した検体IDのうちの1つをホストコンピュータ9へ送信し、ホストコンピュータ9にその検体IDに対応する測定オーダを要求する(ステップS204)。CPU81aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS205)、ホストコンピュータ9から送信された測定オーダがシステム制御装置8に受信されると(ステップS205において「受信成功」)、受信した測定オーダをラックIDに対応付けてハードディスク81dに記憶する(ステップS206)。一方、検体IDに対応する測定オーダを受信できなかった場合(所定の受信可能期間までに測定オーダを受信しなかった場合、又は、ホストコンピュータ9から該当する測定オーダが存在しない旨の情報を受け付けた場合)には(ステップS205において「受信失敗」)、測定オーダが存在しない旨を示す情報(測定オーダ取得エラー情報)がラックID及び当該検体容器Tの保持位置に対応付けて記憶される(ステップS207)。
【0117】
次に、CPU71aは、ラックIDに対応している検体ID、即ち、そのラックIDのサンプルラックLに収容されている全ての検体の検体IDについて測定オーダの問い合わせが完了したか否かを判定し(ステップS208)、測定オーダの問い合わせをしていない検体IDが存在する場合には(ステップS208においてNO)、ステップS204に処理を戻し、まだ測定オーダの問い合わせを行っていない検体IDに対応する測定オーダをホストコンピュータ9に要求する。
【0118】
一方、全ての検体IDについて測定オーダの問い合わせが完了した場合には(ステップS208においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0119】
検体容器種類識別処理
図23は、検体容器の形状の例を示す図である。現在、様々な種類の検体容器が市販されている。これらの検体容器は、その種類によって、検体容器全体の高さ、幅(太さ)、内底面の高さ等の形状が異なっている。また、蓋部CPの厚み及び幅も、検体容器の種類によって異なっている。このような複数種類の検体容器が混在した場合に、最も大きな問題となるのは検体容器の内底面の高さがまちまちなことである。内底面の高さが異なる検体容器では、容器毎に測定ユニット51の検体吸引部511の吸引管の進入量を変えなければ、吸引管が検体容器の内底面に当たって突き刺さったり、進入量が十分でなく測定に必要な量の検体を吸引できなかったりする吸引不良の原因となる。
【0120】
自動的に検体を搬送する搬送装置を有する検体処理システムでは、蓋部によって密閉された検体容器が用いられる。これらの検体容器は、種類によって蓋部の形状及び色が異なることが多い。したがって、本実施の形態のシステム制御装置8は、検体投入装置2に投入された検体容器Tの画像を取得し、この画像における蓋部の画像に基づいて検体容器の種類を識別する。以下、この動作を詳しく説明する。
【0121】
図24は、本実施の形態に係るシステム制御装置8の検体容器種類識別処理の流れを示すフローチャートである。図24に示すように、システム制御装置8のCPU81aにおいて、検体投入装置2から送信された画像取込指示信号がシステム制御装置8に受信されるイベントが発生すると(ステップS211)、ステップS212の処理が呼び出される。
【0122】
ステップS212においては、CPU81aは、その時点におけるカメラ225aの撮像画像を取り込む(ステップS212)。この撮像画像には、検体容器Tの蓋部CPの全体像が含まれている。次にCPU81aは、取り込んだ撮像画像における検体容器Tの蓋部CPの形状及び位置を検出する(ステップS213)。以下、この処理について詳述する。
【0123】
図25は、撮像画像における検体容器Tの蓋部CPの形状及び位置を検出する処理を説明するための模式図である。CPU81aは、まず、画像100において検体容器Tの蓋部の形状及び位置を検出するための処理領域101に対して以下の処理を行う。なお、本実施の形態においては、カメラ225aにより撮像される画像の背景部分が蓋部の画像よりも明るくなるように、検体容器Tの後方に白い壁面等を配置した状態で撮像が行われる。また、処理領域101は所定の領域であり、検体容器Tの蓋部の像を含む領域とされる。CPU81aは、処理領域101内のY座標毎に、処理領域101内のX方向の各画素の輝度値を累積する。つまり、処理領域101に含まれる上端の横に一列の画素群に対して、各画素の輝度値の累積値(以下、「横方向累積輝度値」という。)を算出し、次に1つ下側の横一列の画素群に対して、横方向累積輝度値を算出する。これをY座標値をインクリメントしながら処理領域101の下端に到達するまで繰り返す。この横方向累積輝度値HDは、以下の式(1)により示される。
【数1】

ここで、XLを処理領域101の左端のX座標値とし、XRを処理領域101の右端のX座標値としている。また、ある画素(座標=x,y)の輝度値Yは、次式(2)で求められる。
Y(x,y)=R(x,y)×0.30+G(x,y)
×0.59+B(x,y)×0.11 …(2)
ここで、Rは赤色成分の輝度、Gは緑色成分の輝度、Bは青色成分の輝度を意味している。
【0124】
図25において、101aは上述したようにして求めた処理領域101における横方向輝度累積値のグラフである。処理領域101における横方向輝度累積値は、背景画像の部分では高く、検体容器Tの蓋部CPの像の部分では低くなる。したがって、CPU81aは、この横方向輝度累積値のY方向の微分を行い、処理領域101の上端から下方に向かって、横方向輝度累積値の急な立下がり部分を検出する。これにより、蓋部CPの上端位置が検出される。
【0125】
CPU81aは、さらに処理領域101の下方に向かって横方向輝度累積値をチェックする。ここで、横方向輝度累積値の急な立下がり部分が検出されれば、この位置が2段型キャップ(小径部と大径部の2つのキャップ径を有する蓋部)における段部(小径部と大径部との境界位置)と判断される。
【0126】
CPU81aは、さらに処理領域101の下方に向かって横方向輝度累積値をチェックし、横方向輝度累積値の急な立上り部分を検出する。これにより、蓋部CPの下端位置が検出される。なお、上記の2段型キャップの段部が検出されずに、蓋部CPの下端位置が検出された場合は、この蓋部は1段型キャップ(段部がなく全体に亘って直径が同一の蓋部)とされる。
【0127】
さらに処理領域101の下方に向かって、横方向輝度累積値の急な立下がり部分を検出する。その位置が規定範囲内の位置であれば、サンプルラックLの上端と認識する。
【0128】
以上のようにして得た情報により、CPU81aは、蓋部の上端から下端までの長さ(以下、「キャップ長」という。)、2段型キャップの上端から段部までの長さ(以下、「キャップ小径部長」という。)、検体容器の長さ(高さ)を求める。なお、検体容器の長さは、蓋部の上端位置からラック上端位置までの長さとサンプルラックLにおける検体容器の挿入深さ(所定値)とを加算することにより求められる。
【0129】
さらにCPU81aは、上記のようにして取得した蓋部の上端位置及び下端位置をそれぞれ上端及び下端とし、処理領域101の左右端を左右端とする四角の処理領域102を決定する。そして、CPU81aは、処理領域102におけるX座標値毎に累積輝度値(以下、「縦方向累積輝度値」という。)を算出する。つまり、処理領域102に含まれる左端の縦に一列の画素群に対して、各画素の輝度値の累積値(縦方向累積輝度値)を算出し、次に1つ右側の縦一列の画素群に対して、縦方向累積輝度値を算出する。これをX座標値をインクリメントしながら処理領域102の右端に到達するまで繰り返す。この縦方向累積輝度値VDは、以下の式(3)により示される。
【数2】

ここで、YTを処理領域102の上端のY座標値とし、YBを処理領域102の下端のY座標値としている。
【0130】
図中102aは、処理領域102における縦方向累積輝度値のグラフである。グラフ102aに示すとおり、縦方向累積輝度値は、背景部分において高く、検体容器Tの蓋部CPの像の部分では低くなる。また、2段型キャップでは、大径部の縦方向累積輝度値が小径部のそれよりも低くなる。そこで、CPU81aは、この縦方向輝度累積値のX方向の微分を行い、処理領域102の左端から右方に向かって、縦方向輝度累積値の急な立下がり部分を検出する。これにより、蓋部CPの左端位置が検出される。
【0131】
CPU81aは、さらに処理領域102の右方に向かって縦方向輝度累積値をチェックする。ここで、縦方向輝度累積値の急な立下がり部分が検出されれば、この位置が2段型キャップにおける小径部の左端と判断される。この2段型キャップの左端位置が検出された場合には、CPU81aは、さらに処理領域102の右方に向かって縦方向輝度累積値をチェックし、縦方向輝度累積値の急な立上り部分を小径部の右端とする。
【0132】
CPU81aは、さらに処理領域102の右方に向かって縦方向輝度累積値をチェックし、急な立上り部分を検出する。これにより、蓋部CPの右端位置が検出される。なお、上記の2段型キャップの左端及び右端が検出されずに、蓋部の右端位置が検出された場合は、この蓋部は1段型キャップである。
【0133】
以上のようにして得た情報により、CPU81aは、蓋部の直径(蓋部左端から右端までの長さ。以下、「キャップ径」という。)、2段型キャップの小径部の直径(小径部左端から小径部右端までの長さ。以下、「キャップ小径」という。)を求める。
【0134】
CPU81aは、上記の処理による検体容器の蓋部の形状及び位置の検出が成功したか否かを判別し(ステップS214)、蓋部の形状及び位置の検出に失敗した場合には(ステップS214においてNO)、このサンプルラックLのラックID、この検体の検体ID、及びこの検体容器TのサンプルラックLにおける保持位置と対応付けて、検体容器の蓋部がないことを示す検体容器蓋エラー情報をハードディスク81dに記憶し(ステップS215)、処理を終了する。
【0135】
一方、蓋部の形状及び位置の検出に成功した場合には(ステップS214においてYES)、CPU81aは、上記のようにして得られた蓋部の上下左右端の位置、2段型キャップの場合は上記に加えて段部位置、小径部の左右端位置によって撮像画像における蓋部の領域を特定し、この領域内の各画素のR値、G値、B値を取得し、R値、G値、B値のそれぞれの平均値を算出する(ステップS216)。
【0136】
次に、CPU81aは、上記の処理によって得られた検体容器の特徴情報、即ち、検体容器の長さ、蓋部の形状情報(キャップ長、キャップ径、キャップ小径部長、キャップ小径)、及び蓋部の色情報(R値、G値、B値の各平均値)と、検体容器テーブルTBL3に登録されている各種の検体容器の基準特徴情報とを比較し、この検体容器Tと所定の誤差範囲内で一致する検体容器の種類があるか否かを判定する(ステップS217)。所定の誤差範囲内で一致する検体容器の種類が存在する場合には(ステップS217においてYES)、CPU81aは、このサンプルラックLのラックID、この検体の検体ID、及びこの検体容器TのサンプルラックLにおける保持位置と対応付けて、検体容器の種類を特定する容器種類IDをハードディスク81dに記憶し(ステップS218)、処理を終了する。一方、所定の誤差範囲内で一致する検体容器の種類が存在しない場合には(ステップS217においてNO)、CPU81aは、このサンプルラックLのラックID、この検体の検体ID、及びこの検体容器TのサンプルラックLにおける保持位置と対応付けて、検体容器の種類異常を示す検体容器種類エラー情報をハードディスク81dに記憶し(ステップS219)、処理を終了する。
【0137】
仕分け指示処理
システム制御装置8は、検体投入装置2に対して、後段の測定ユニット51へ搬送する検体(サンプルラックL)と、測定ユニット51へ搬送しない検体(サンプルラックL)とを仕分けるための仕分け指示を行う。以下、この処理について詳述する。
【0138】
図26は、システム制御装置8による仕分け指示処理の手順を示すフローチャートである。図26に示すように、CPU81aにおいて、検体投入装置2から送信された仕分け準備完了データがシステム制御装置8に受信されるイベントが発生すると(ステップS241)、ステップS242の処理が呼び出される。
【0139】
仕分け準備完了データには、ラックIDが含まれている。CPU81aは、かかる仕分け準備完了データを受信すると、その仕分け準備完了データに含まれるラックIDに対応する検体ID、検体バーコード読取エラー情報(検体IDの読み取りに失敗したことを示す情報)、検体容器蓋エラー情報(検体容器に蓋がついていないことを示す情報)、測定オーダ取得エラー情報(検体IDに対応する測定オーダが存在していないことを示す情報)、及び検体容器種類エラー情報(検体容器の種類が不明であることを示す情報)をハードディスク51dから読み出す(ステップS242)。その後、CPU81aは、このラックIDに対応する全ての検体容器について上記のエラー情報が存在するか否かを判別し(ステップS243)、全ての検体容器について上記のエラー情報が存在しない場合には(ステップS243においてYES)、搬送指示データを検体投入装置2へ送信し(ステップS244)、処理を終了する。一方、ステップS243において、少なくとも1つの検体容器について上記のエラー情報が存在する場合には(ステップS243においてNO)、CPU81aは、上記読み出したエラー情報を含む貯留指示データD1(図17参照)を検体投入装置2へ送信し(ステップS245)、処理を終了する。なお、この仕分け指示処理では、仕分け準備完了データにラックIDが含まれていない場合(ラックバーコードの読み取りに失敗した場合)にも、ラックID読取エラー情報を含む貯留指示データが送信される。
【0140】
搬送指示処理
システム制御装置8は、検体投入装置2から搬出要求データを受信し、この搬出要求データに含まれる検体IDを用いて、サンプルラックLの搬送先を決定し、決定した搬送先へ搬送するよう各装置へ搬送を指示する。以下、この動作を詳しく説明する。
【0141】
図27Aは、システム制御装置8の第1搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。第1搬送指示処理では、サンプルラックLの搬送先が決定され、搬送方向最上流側の測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3に搬送指示が与えられる。検体投入装置2から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS251)。CPU81aにおいて、搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS252の処理が呼び出される。
【0142】
ステップS252において、CPU81aは、受信した搬出要求データに含まれるラックIDをキーにして、ハードディスク81dに記憶されている測定オーダを検索する(ステップS252)。次に、CPU81aは、受信した各測定オーダに含まれる測定項目に基づいて、このサンプルラックLの搬送先を決定する(ステップS253)。この処理では、その時点において測定を行っていない測定ユニット51又は測定の予約数が最も少ない測定ユニット51であって、測定オーダに含まれる測定項目を全て実行可能な測定ユニット51が測定先として決定される。
【0143】
次に、CPU81aは、検体投入装置2に隣接する検体搬送装置3(つまり、図1中で最も右側の検体搬送装置3)へ、決定した搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS254)。この搬入準備指示データは、この検体搬送装置3においてサンプルラックLを搬送する搬送ライン(測定ラインL1又はスキップラインL2)を示すデータ(以下、「使用搬送ライン指示データ」という)、及びサンプルラックLの各検体の測定オーダ及び各検体容器の容器種類IDを含んでいる。つまり、このサンプルラックLの搬送先が、サンプルラックLの搬送方向において最も上流側の測定ユニット51である場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとして測定ラインL1を示すデータがセットされる。一方、それ以外の測定ユニット51が搬送先として決定されている場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとしてスキップラインL2を示すデータがセットされる。この搬入準備指示データを受信した検体搬送装置3は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データによって示される搬送機構の準備動作(サンプルラックLの受け入れを可能とする動作)を実行し、その後、搬入準備完了データを送信する。
【0144】
CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS255においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS255においてYES)、CPU81aは、検体投入装置2へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS256)。検体投入装置2は、上述したように、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前記検体投入装置2から搬出完了データを待機する(ステップS257においてNO)。搬出完了データが検体投入装置2から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS257においてYES)、CPU81aは、検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS258においてNO)。搬入完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS258においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0145】
次に、システム制御装置8の第2搬送指示処理について説明する。第2搬送指示処理では、サンプルラックLの搬送方向において2番目又は3番目の測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3に搬送指示が与えられる。図27Bは、第2搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。検体搬送装置3によりサンプルラックLが搬送され、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3(又は検体搬送装置301)へ搬出するための搬出位置にサンプルラックLが到達したときには、このサンプルラックLのラックIDを含む搬出要求データが検体搬送装置3から送信される。検体搬送装置3から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS261)。CPU81aにおいては、検体搬送装置3から搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS262の処理が呼び出される。
【0146】
ステップS262において、CPU81aは、当該検体搬送装置3の後段の検体搬送装置3へ、搬送先決定処理で決定された搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS262)。この搬入準備指示データは、上述した搬入準備指示データと同様であるので、その説明を省略する。
【0147】
次に、CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS263においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS263においてYES)、CPU81aは、前段(搬出側)の検体搬送装置3へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS264)。前段の検体搬送装置3は、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前段の検体搬送装置3から搬出完了データを待機し(ステップS265においてNO)、搬出完了データが前段の検体搬送装置3から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS265においてYES)、CPU81aは、後段の検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS266においてNO)。搬入完了データが後段の検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS266においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0148】
<検体搬送装置3の制御部32の動作>
ここでは、測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3の制御部32の動作について説明する。図28A及び図28Bは、制御部32による搬送機構31の制御処理の流れを示すフローチャートである。システム制御装置8から送信された搬入準備指示データは、制御部32により受信される(ステップS301)。制御部32のCPUにより実行される搬送制御プログラムはイベントドリブン型のプログラムであり、制御部32においては、搬入準備指示データを受信するイベントが発生すると、ステップS302の処理が呼び出される。
【0149】
ステップS302において、制御部32は、搬送機構31のベルト321aを駆動する等して、搬入準備動作を実行する(ステップS302)。搬入準備が完了したときには、制御部32は、搬入準備が完了したことを通知するための搬入準備完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS303)。
【0150】
搬入準備完了データの送信に応じて、サンプルラックLが前段の装置から搬出され、これによってサンプルラックLが搬送機構31に搬入される(ステップS304)。サンプルラックLの搬入が完了したときには、制御部32は、サンプルラックLの搬入完了を通知するための搬入完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS305)。
【0151】
次に、制御部32は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが、測定ラインL1及びスキップラインL2のいずれを示しているか、すなわち、測定ラインL1及びスキップラインL2のいずれが使用対象の搬送ラインであるかを判定する(ステップS306)。ステップS306において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが測定ラインLを示している場合、すなわち、測定ラインL1が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS306において「測定ラインL1」)、制御部32は、搬送機構31を制御して、サンプルラックLの検体容器Tの保持部の内、図3において最も左側に位置する保持部が検体容器検出位置に到達するまで移送する(ステップS307)。次に、制御部32は、サンプルラックLにおける検体容器Tの保持位置を示す変数iに1をセットし(ステップS308)、検体容器センサ38によって検体容器検出位置に検体容器Tが検出されたか否かを判定し(ステップS309)、検体容器Tが検出された場合には(ステップS309においてYES)、サンプルラックLを1検体分左方向へ移送し(ステップS310)、情報処理ユニット52へ検体の吸引指示を示す検体吸引指示データを送信する(ステップS311)。この検体吸引指示データには、当該検体の検体容器の種類を特定する容器種類IDが含まれている。かかる検体吸引指示データを情報処理ユニット52が受信すると、後述するように、検体容器センサ38によって検出された検体容器Tが検体供給位置35cまで搬送され、この検体容器Tが測定ユニット51内に取り込まれ、検体容器Tの種類に応じた下降量で検体吸引部511が下降されて、検体が吸引される。検体の吸引が完了すると、情報処理ユニット52は検体吸引完了データを送信する。制御部32は、検体吸引完了データを受信するまで待機し(ステップS312においてNO)、検体吸引完了データを受信した場合に(ステップS312においてYES)、処理をステップS314へ進める。
【0152】
一方、ステップS309において検体容器Tが検出されなかった場合には(ステップS309においてNO)、制御部32は、サンプルラックLを1検体分左方向へ移送し(ステップS313)、処理をステップS314へ進める。ステップS314において、制御部32は、iが10以上であるか否かを判定し(ステップS314)、iが10未満である場合には(ステップS314においてNO)、iを1インクリメントし(ステップS315)、ステップS309へ処理を戻す。
【0153】
ステップS314において、iが10以上である場合には(ステップS314においてYES)、制御部32は、搬送機構31を制御することにより、サンプルラックLを搬出するための搬出位置にサンプルラックLを到達させる(ステップS316)。その後、制御部32は、処理をステップS318へ移す。
【0154】
一方、ステップS306において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データがスキップラインL2を示している場合、すなわち、スキップラインL2が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS306において「スキップラインL2」)、制御部32は、搬送機構31を制御して、サンプルラックLをスキップラインL2上で移送し、サンプルラックLを搬出するための搬出位置に到達させる(ステップS317)。その後、制御部32は、処理をステップS318へ移す。
【0155】
ステップS318において、制御部32は、システム制御装置8へサンプルラックLに割り当てられたラックIDを含む搬出要求データを送信する(ステップS318)。その後、制御部32は、システム制御装置8から搬出指示データを待機し(ステップS319においてNO)、搬出指示データを受信したときには(ステップS319においてYES)、ステッピングモータ321bを駆動してサンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し(ステップS320)、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS321)。そして、制御部32は、処理を終了する。
【0156】
<血球分析装置5の動作>
次に、血球分析装置5の動作について説明する。情報処理ユニット52は、測定ユニット51,51,51の動作を制御して検体の測定を行い、また測定によって得られた測定データを解析する。
【0157】
図29A及び図29Bは、本実施の形態に係る血球分析装置5による検体の分析動作の手順を示すフローチャートである。まず、検体搬送装置3の制御部32から送信された吸引指示データを情報処理ユニット52が受信する(ステップS401)。CPU521aにおいて、吸引指示データを受信するというイベントが発生すると、ステップS402の処理が呼び出される。この吸引指示データには、動作対象の測定ユニット51の測定ユニットID及び対象となる検体容器Tの種類に応じた容器種類IDが含まれる。
【0158】
ステップS402において、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御し、供給位置35cにある検体容器TをサンプルラックLから抜き出し(ステップS402)、ハンド部515aを制御して検体容器Tを揺動させ、内部の検体を撹拌する(ステップS403)。次に、CPU521aは、ハンド部515aを制御して、検体容器セット部515bに検体容器Tをセットし(ステップS404)、さらに検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tをバーコード読取位置516aへ搬送する(ステップS405)。次に、CPU521aは、バーコード読取部516により検体容器Tの検体バーコードを読み取り、検体IDを取得する(ステップS406)。さらにCPU521aは、検体IDを含むオーダ要求データを通信インタフェース521gにホストコンピュータ9へ送信させ(ステップS407)、測定オーダを問い合わせる。その後、CPU521aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS408においてNO)、ホストコンピュータ9から送信された測定オーダが情報処理ユニット52の通信インタフェース521gにより受信されると(ステップS408においてYES)、受信した測定オーダをハードディスク521dに記憶する(ステップS409)。
【0159】
また、CPU521aは、検体容器の種類に応じた検体吸引部511の下降量を決定する(ステップS410)。上述したように、ハードディスク521dには、下降量テーブルTBL1が設けられており、下降量の設定はこの下降量テーブルTBL1を用いて行われる。この処理においては、CPU521aは、吸引指示データから容器種類IDを抽出し、この容器種類IDに対応する下降量を下降量テーブルTBL1から取得する。これにより、検体吸引部511の下降量が決定される。
【0160】
次に、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tを吸引位置へ搬送し(ステップS411)、検体吸引部511を制御して、決定された下降量だけ吸引管511aを下降させる(ステップS412)。これにより、検体容器Tの種類に適した位置まで吸引管511aを下降させることができる。そのため、吸引管511aの進入量が不足したことにより空気を吸引してしまったり、吸引管511aが検体容器Tの内底面に突き刺さったりする吸引不良を抑制することができる。次に、CPU521aは、検体吸引部511を制御し、記憶した測定オーダに含まれる測定項目に必要な量の検体を検体容器Tから吸引する(ステップS413)。検体の吸引が完了した後には、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器TをサンプルラックLへ戻し(ステップS414)、検体吸引完了データを、このサンプルラックLを搬送している検体搬送装置3へ送信する(ステップS415)。これにより、上述したようにサンプルラックLがラック搬送部35により搬送される。
【0161】
また、CPU521aは、試料調製部512を制御し、測定項目に応じて測定試料を調製し(ステップS416)、検出部513に測定試料を供給して、検出部513により検体の測定を行う(ステップS417)。これにより、CPU521aは、検出部513から出力される測定データを取得する。CPU521aは、測定データの解析処理を実行し(ステップS418)、検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成する。測定データの解析処理により生成された分析結果データは、測定オーダに含まれる患者情報等と共にハードディスク521aに格納され(ステップS419)、また、ホストコンピュータ9へ送信される(ステップS420)。ホストコンピュータ9は、上述した測定オーダに分析結果データを統合してハードディスクに記憶する。ステップS420の処理を完了した後、CPU521aは、処理を終了する。
【0162】
<検体搬送装置301の動作>
搬送方向において最も下流側に位置する検体搬送装置3から送出されたサンプルラックLは、ラックスライダ303に導入される。ラックスライダ303は、詳細は省略するが、システム制御装置8からの指示を受け付け、サンプルラックLをコンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bの何れかへ送出する。測定ライン302aにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部が測定ライン302aを動作させ、塗抹標本作製装置6へ検体を供給する供給位置に塗抹標本作製対象の検体容器Tが位置するように、サンプルラックLを搬送する。ここで検体搬送装置301の制御部は、容器種類IDを含む吸引指示データを塗抹標本作製装置6へ送信する。塗抹標本作製装置6の制御部65は、下降量テーブルTBL2から容器の種類に対応した下降量を取得し、この下降量で分注部61の吸引管を下降させて、検体を吸引する。吸引が完了した後は、検体容器TがサンプルラックLに戻される。このような塗抹標本作製装置6への検体の供給が完了した後は、さらに測定ライン302aが駆動され、処理完了検体収容装置4へとサンプルラックLが搬出される。また、スキップライン302bにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部がスキップライン302bを動作させ、サンプルラックLをスキップライン302上で搬送して、処理完了検体収容装置4へ搬出する。
【0163】
<処理完了検体収容装置4の動作>
検体搬送装置301から送出されたサンプルラックLは、処理完了検体収容装置4に導入される。処理完了検体収容装置4は、かかるサンプルラックLをラック載置部上で搬送し、収容する。
【0164】
以上のような構成とすることにより、検体容器に貼られたバーコードラベルの有無、及び検体容器中の検体量の多少では影響されない検体容器の蓋部の画像に基づいて、検体容器の種類が判定されるため、画像処理によって正確に検体容器の種類を判定することができ、これによって検体容器の種類に適した吸引管511aの下降量を定めることができる。
【0165】
また、特徴情報には、検体容器の蓋部の特徴を示す蓋部の寸法及び色の情報を含んでおり、検体容器の種類が蓋部の寸法及び色に基づいて判定される。各種類の検体容器はそれぞれ特徴のある専用の蓋部を備えているため、これによっても検体容器の種類の判定精度が向上する。
【0166】
また、撮像画像から抽出した検体容器の特徴情報を、検体容器テーブルTBL3に登録されている基準特徴情報と比較することで、検体容器の種類を判定し、判定された検体容器の種類の容器種類IDに対応する下降量を、下降量テーブルTBL1から取得する構成としたので、新たな検体容器の種類の基準特徴情報を検体容器テーブルTBL3に追加し、この検体容器の種類に対応する下降量を下降量テーブルTBL1に追加するだけで、容易に新しい種類の検体容器にシステムを対応させることができる。
【0167】
また、下降量テーブルTBL1,TBL2を血球分析装置5及び塗抹標本作製装置6に別個に設ける構成とした。血球分析装置5と塗抹標本作製装置6とでは、同一の種類の検体容器でも吸引管の下降量が異なるが、このようにすることによって、血球分析装置5及び塗抹標本作製装置6に個別に適切な下降量を設定することができる。また、他の検体処理装置をシステムに追加する際には、その検体処理装置の検体分注機構に適合した下降量テーブルを検体処理装置に設けることで、システム制御装置8等の構成を変更しなくても容易に検体処理装置の増設が可能となる。
【0168】
また、サンプルラックLに収容された検体容器Tからは蓋部CPがサンプルラックLの上面から突出しているため、蓋部CPを撮像するのに検体容器TをサンプルラックLから抜き出す必要がない。このため、検体容器TをサンプルラックLから抜き出す機構を設ける必要がなく、システムの複雑化及び高コスト化を抑制できる。
【0169】
また、種類が不明な検体容器又は蓋部がついていない検体容器が投入された場合は、自動的にこのような検体容器が検出され、検体容器収容ユニット22のラック収容部221に収容される。これにより、検体処理システム1による他の検体の処理を継続したまま、オペレータは種類が不明な検体容器からシステムに適合している検体容器に検体を移し替えたり、蓋部を検体容器に取り付けたりする等、適切な処置をとることができる。また、種類が不明な検体容器の底面に吸引管が突き刺さることによる装置の故障が防止され、また、蓋部のない検体容器が搬送されて検体がこぼれることによる汚染が防止される。
【0170】
また、検体容器種類エラー又は検体容器蓋エラーが検出された場合には、貯留ラックリスト画面及び詳細情報画面が検体容器収容ユニット22の液晶表示部227に表示されるため、かかるエラーが発生したことをオペレータは容易に知ることができる。また、どのサンプルラックLのどの検体容器Tに上記エラーが発生したのかを容易に確認することができる。
【0171】
また、上記の詳細情報画面には、どのようなエラーが生じたのかが特定可能に表示されるため、オペレータは液晶表示部227に表示されている詳細情報画面を確認するだけで、どのような異常が生じているかを特定することができ、このため、どのような処置が必要になるかを容易且つ迅速に判断することができる。
【0172】
また、検体容器収容ユニット22の後段に設けられた検体送出ユニット23にラック再投入部231を設けたため、一旦は測定に供すべきでないと判別されたが、使用者の操作(例えば、適切な検体容器への検体の移し替え、蓋部の取り付けなど)により、サンプルラックLに収容される検体が全て測定可能となった場合に、オペレータは当該サンプルラックLを検体投入ユニット21ではなく検体送出ユニット23のラック再投入部231に投入することができる。これにより、かかるサンプルラックLの各検体の検体IDを再度検体バーコードリーダ21bで読み取る必要がなく、システムの処理効率を向上させることができる。
【0173】
(実施の形態2)
本実施の形態は、一定の色及び大きさを有する標識部を撮像し、撮像された標識部の画像に基づいて、検体容器の蓋部の撮像画像から得られる特徴情報を補正し、補正後の特徴情報に基づいて検体容器の種類を識別する検体処理装置である。
【0174】
[検体処理システムの構成]
図30は、本実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図である。図30に示すように、本実施の形態に係る検体処理システム1Aは、検体投入装置2A及びシステム制御装置8Aを備えている。かかる検体投入装置2Aは、検体容器収容ユニット22Aを具備する。本実施の形態に係る検体処理システム1Aのその他の構成は、実施の形態1に係る検体処理システム1の構成と同様であるので、同一構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0175】
図31は、本実施の形態に係る検体容器収容ユニット22Aの構成を示す平面図である。検体容器収容ユニット22Aにおいては、撮像位置224の近傍にカラーバー241が設けられている。また、かかるカラーバー241は、搬送ベルト228によるサンプルラックLの搬送を妨げることなく、しかもカメラ225aによる撮像範囲内にその一部(後述する標識部242を含む部分)が収まるように設けられている。
【0176】
図32は、本実施の形態に係るカメラ225aによる撮像範囲を説明する図である。図に示すように、カメラ225aによる撮像範囲の中央部に、サンプルラックLに保持され、撮像位置224に位置する検体容器Tの蓋部CPが位置するようにカメラ225aが配置されている。撮像位置224に位置する検体容器Tのカメラ225aから見て右側には、カラーバー241が配置されている。撮像範囲にはカラーバー241の一部(標識部242)も収まっているため、撮像位置224に位置する検体容器Tがカメラ225aにより撮像されるときに、同時にカラーバー241の一部(標識部242)も撮像されることとなる。
【0177】
カラーバー241は、立設された直方体板状をなしており、正面(カメラ225aに対向する面)に、後述する蓋特徴情報を補正するための基準となる標識部242が設けられている。かかる標識部242は、白色領域242a、赤色領域242b、緑色領域242c、及び青色領域242dの4つの領域に区分けされている。標識部242は、その縦方向の長さが正確に規定されている。また、白色領域242aの白色の色相、彩度、及び明度が予め規定されており、同様に、赤色領域242bの赤色、緑色領域242cの緑色、青色領域242dの青色の色相、彩度、及び明度はそれぞれ予め規定されている。したがって、2つの検体処理システム1Aにおける標識部242はその個体差が殆んどなく、長さ及び色が概ね同一とされる。
【0178】
図33は、本実施の形態に係るシステム制御装置8Aの構成を示すブロック図である。システム制御装置8Aは、コンピュータにより構成されており、検体処理システム1Aの全体を制御する。
【0179】
システム制御装置8Aは、コンピュータ810aによって実現される。図33に示すように、コンピュータ810aは、本体811と、画像表示部812と、入力部813とを備えている。本体811は、CPU811a、ROM811b、RAM811c、ハードディスク811d、読出装置811e、入出力インタフェース811f、通信インタフェース811g、及び画像出力インタフェース811hを備えており、CPU811a、ROM811b、RAM811c、ハードディスク811d、読出装置811e、入出力インタフェース811f、通信インタフェース811g、及び画像出力インタフェース811hは、バス811jによって接続されている。
【0180】
ハードディスク811dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU811aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するシステム制御プログラム814aも、このハードディスク811dにインストールされている。
【0181】
また、ハードディスク811dには、検体容器の種類を識別するために用いられる検体容器テーブルTBL3が設けられている。検体容器TBL3の構成は、実施の形態1において説明したものと同様であるので、その説明を省略する。また、ハードディスク811dには、カラーバー基準データCBが記憶されている。このカラーバー基準データCBは、カラーバー241の標識部242の長さ、各色領域242a,242b,242c,242dの色情報を含んでいる。即ち、カラーバー基準データCBには、カメラ225aによる撮像画像に含まれる標識部242の部分画像における縦方向の画素数L2、白色領域242aの部分画像の基準となる輝度値(以下、「基準輝度」という。)LU2並びに当該部分における輝度値の上限値N及び下限値M、赤色領域242bの部分画像の基準となるR値(以下、「基準R値」という。)r2、緑色領域242cの部分画像の基準となるG値(以下、「基準G値」という。)g2、並びに青色領域242dの部分画像の基準となるB値(以下、「基準B値」という。)b2の各情報が含まれている。上限値N及び下限値Mは、カメラ225a及び白色LED225cが正常な場合においてカメラ225aにより撮像された画像に含まれる白色領域242aの部分画像の平均輝度の上限値及び下限値を示している。つまり、カメラ225aにより撮像された画像に含まれる白色領域242aの部分画像の平均輝度値が上限値Nを上回るか、又は下限値Mを下回る場合には、カメラ225a又は白色LED225cが異常であると判断できる。
【0182】
読出装置811eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体814に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体814には、コンピュータをシステム制御装置8Aとして機能させるためのシステム制御プログラム814aが格納されており、コンピュータ810aが当該可搬型記録媒体814からシステム制御プログラム814aを読み出し、当該システム制御プログラム814aをハードディスク811dにインストールすることが可能である。
【0183】
入出力インタフェース811fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース811fには、キーボード及びマウスからなる入力部813が接続されており、ユーザが当該入力部813を使用することにより、コンピュータ810aにデータを入力することが可能である。
【0184】
通信インタフェース811gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース81gはLANを介して検体投入装置2A、検体搬送装置3、処理完了検体収容装置4、情報処理ユニット52、及びホストコンピュータ9に接続されている。コンピュータ810aは、通信インタフェース811gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された上記の各装置との間でデータの送受信が可能である。
【0185】
なお、システム制御装置8Aのその他の構成は、実施の形態1で説明したシステム制御装置8と同様であるので、その説明を省略する。
【0186】
[検体処理システムの動作]
次に、本実施の形態に係る検体処理システム1Aの動作について説明する。本実施の形態に係る検体処理システム1Aは、上述したように、検体容器Tが検体容器収容ユニット22Aの撮像位置224に位置したときに、カメラ225aによって、検体容器Tの蓋部CPだけでなく、カラーバー241の標識部242が撮像される。検体処理システム1Aは、検体容器種類識別処理において、光源である白色LED225cの光量、カメラ225aの受光感度、及びカメラ225aの取付位置等の装置の個体差による識別誤差を排除するために、カメラ225aによる撮像画像中の標識部242の部分を用いて特徴情報を補正する。以下、本実施の形態に係るシステム制御装置8Aによる検体容器種類識別処理について説明する。
【0187】
図34は、本実施の形態に係るシステム制御装置8Aの検体容器種類識別処理の流れを示すフローチャートである。図34に示すように、システム制御装置8AのCPU811aにおいて、検体投入装置2から送信された画像取込指示信号がシステム制御装置8Aに受信されるイベントが発生すると(ステップS271)、ステップS272の処理が呼び出される。
【0188】
ステップS272においては、CPU811aは、その時点におけるカメラ225aの撮像画像を取り込む(ステップS272)。この撮像画像には、検体容器Tの蓋部CPの全体像及びカラーバー241の標識部242の全体像が含まれている。次にCPU811aは、撮像画像における標識部242を含む部分に対して輝度値の微分処理を行う等の方法により標識部242を検出し、この標識部242の長さ(縦方向の画素数)L1、白色領域242aの部分画像の平均輝度値LU1、赤色領域242bの部分画像の平均R値r1、緑色領域242cの部分画像の平均G値g1、及び青色領域242dの部分画像の平均B値b1を取得する(ステップS273)。
【0189】
次にCPU811aは、取得した白色領域242aの部分画像の平均輝度値LU1を、カラーバー基準データCBに含まれる上限値N及び下限値Mと比較し、M≦LU1≦Nが成立しているか否かを判定する(ステップS274)。この処理により、カメラ225aによる撮像状態が正常か否かが判断される。即ち、M≦LU1≦Nが成立している場合には、カメラ225aの感度及び白色LEDの光量共に正常であり、M≦LU1≦Nが成立していない場合には、カメラ225aの感度又は白色LEDの光量が異常であることが判断できる。ここでM≦LU1≦Nが成立していない場合には(ステップS274においてNO)、CPU811aは、ラックID、検体ID、及び保持位置に対応付けて撮像エラー情報をハードディスク811dに記憶し(ステップS275)、処理を終了する。撮像エラー情報が記憶された場合には、検体容器収容ユニット22のサンプルラックLの詳細情報画面(図21参照)において、保持位置に対応付けられて「撮像エラー」と表示される(図示せず)。ユーザ又はサービスマンは、この撮像エラーの表示を確認することで、カメラ225aの感度又は白色LEDの光量が異常であることを認識することができ、カメラ225aの感度調整、白色LED225cの光量調整、白色LED225cの交換等の必要な措置を取ることができる。
【0190】
一方、ステップS274においてM≦LU1≦Nが成立している場合には(ステップS274においてYES)、CPU811aは、取り込んだ撮像画像における検体容器Tの蓋部CPの形状及び位置を検出する(ステップS276)。この処理は、実施の形態1で説明したステップS213の処理と同様であるので、その説明を省略する。
【0191】
次にCPU81aは、上記の処理による検体容器の蓋部の形状及び位置の検出が成功したか否かを判別し(ステップS277)、蓋部の形状及び位置の検出に失敗した場合には(ステップS277においてNO)、このサンプルラックLのラックID、この検体の検体ID、及びこの検体容器TのサンプルラックLにおける保持位置と対応付けて、検体容器の蓋部がないことを示す検体容器蓋エラー情報をハードディスク811dに記憶し(ステップS278)、処理を終了する。
【0192】
一方、蓋部の形状及び位置の検出に成功した場合には(ステップS277においてYES)、CPU811aは、上記のようにして得られた蓋部の上下左右端の位置、2段型キャップの場合は上記に加えて段部位置、小径部の左右端位置によって撮像画像における蓋部の領域を特定し、この領域内の各画素のR値、G値、B値を取得し、R値、G値、B値のそれぞれの平均値を算出する(ステップS279)。
【0193】
次に、CPU811aは、上記の処理によって得られた検体容器の特徴情報、即ち、検体容器の長さ、蓋部の形状情報(キャップ長、キャップ径、キャップ小径部長、キャップ小径)、及び蓋部の色情報(R値、G値、B値の各平均値)を補正する特徴情報補正処理を実行する(ステップS280)。
【0194】
図35は、本実施の形態に係るシステム制御装置8Aによる特徴情報補正処理の手順を示すフローチャートである。特徴情報補正処理においては、CPU811aは、まずハードディスク811dから、カラーバー基準データCBに含まれる標識部242の長さL2を読み出す(ステップS280a)。次に、CPU811aは、長さL2に対する長さL1の比率L1/L2を算出する(ステップS280b)。さらにCPU811aは、比率L1/L2を特徴情報に含まれる検体容器の長さ、及び蓋部の形状情報(キャップ長、キャップ小径部長、キャップ径、キャップ小径)に乗じることにより、特徴情報に含まれる検体容器の長さ、及び蓋部の形状情報を補正する(ステップS280c)。
【0195】
次いでCPU811aは、ハードディスク811dから、カラーバー基準データCBに含まれる基準R値r2、基準G値g2、及び基準B値b2をそれぞれ読み出す(ステップS280d)。さらにCPU811aは、基準R値r2に対する平均R値r1の比率r1/r2、基準G値g2に対する平均G値g1の比率g1/g2、基準B値b2に対する平均B値b1の比率b1/b2をそれぞれ算出する(ステップS280e)。さらに、CPU811aは、比率r1/r2を特徴情報に含まれる蓋部の平均R値に乗じ、比率g1/g2を特徴情報に含まれる蓋部の平均G値に乗じ、比率b1/b2を特徴情報に含まれる蓋部の平均B値に乗じることにより、特徴情報に含まれる蓋部の色情報を補正する(ステップS280f)。
【0196】
次にCPU811aは、ハードディスク811dから、カラーバー基準データCBに含まれる基準輝度LU2を読み出し(ステップS280g)、輝度LU2に対する輝度LU1の比率LU1/LU2を算出する(ステップS280h)。さらにCPU811aは、比率LU1/LU2を、ステップS280fで得た補正後のR値、G値、B値にそれぞれ乗じることにより、蓋部のR値、G値、及びB値をさらに補正し(ステップS280i)、特徴情報補正処理の呼出アドレスへ処理をリターンする。
【0197】
次に、CPU811aは、上記の処理によって得られた検体容器の補正後の特徴情報、即ち、検体容器の長さ、蓋部の形状情報(キャップ長、キャップ径、キャップ小径部長、キャップ小径)、及び蓋部の色情報(R値、G値、B値の各平均値)と、検体容器テーブルTBL3に登録されている各種の検体容器の基準特徴情報とを比較し、この検体容器Tと所定の誤差範囲内で一致する検体容器の種類があるか否かを判定する(ステップS281)。所定の誤差範囲内で一致する検体容器の種類が存在する場合には(ステップS281においてYES)、CPU811aは、このサンプルラックLのラックID、この検体の検体ID、及びこの検体容器TのサンプルラックLにおける保持位置と対応付けて、検体容器の種類を特定する容器種類IDをハードディスク811dに記憶し(ステップS282)、処理を終了する。一方、所定の誤差範囲内で一致する検体容器の種類が存在しない場合には(ステップS281においてNO)、CPU811aは、このサンプルラックLのラックID、この検体の検体ID、及びこの検体容器TのサンプルラックLにおける保持位置と対応付けて、検体容器の種類異常を示す検体容器種類エラー情報をハードディスク811dに記憶し(ステップS283)、処理を終了する。
【0198】
本実施の形態に係るシステム制御装置8Aのその他の動作については、実施の形態1に係るシステム制御装置8と同様であるので、その説明を省略する。また、本実施の形態に係る検体処理システム1Aのその他の動作については、実施の形態1に係る検体処理システム1と同様であるので、その説明を省略する。
【0199】
上述したような構成とすることにより、本実施の形態に係る検体処理システム1Aでは、検体容器Tの蓋部CPを撮像することによって得られた蓋部CPの特徴情報を補正することにより、装置の個体差による誤差を防止することができ、より一層高精度に検体容器の種類を識別することができる。
【0200】
(実施の形態3)
本実施の形態は、一定の色(白色)を示す標識部を撮像し、撮像された標識部の画像に基づいて、検体容器の蓋部が撮像された画像の2値化処理における閾値を決定し、決定された閾値によって前記画像の2値化処理を実行し、2値化画像から検体容器の蓋部の特徴を示す特徴情報を取得し、この特徴情報に基づいて検体容器の種類を識別する検体処理装置である。
【0201】
[検体処理システムの構成]
図36は、本実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図である。図36に示すように、本実施の形態に係る検体処理システム1Bは、検体投入装置2B及びシステム制御装置8Bを備えている。かかる検体投入装置2Bは、検体容器収容ユニット22Bを具備する。本実施の形態に係る検体処理システム1Bのその他の構成は、実施の形態2に係る検体処理システム1Aの構成と同様であるので、同一構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0202】
図37は、本実施の形態に係る検体容器収容ユニット22Bの構成を示す平面図である。検体容器収容ユニット22Bにおいては、撮像位置224の近傍に基準バー251が設けられている。また、かかる基準バー251は、搬送ベルト228によるサンプルラックLの搬送を妨げることなく、しかもカメラ225aによる撮像範囲内にその一部(後述する白色部252を含む部分)が収まるように設けられている。
【0203】
図38は、本実施の形態に係るカメラ225aによる撮像範囲を説明する図である。図に示すように、カメラ225aによる撮像範囲の中央部に、サンプルラックLに保持され、撮像位置224に位置する検体容器Tの蓋部CPが位置するようにカメラ225aが配置されている。撮像位置224に位置する検体容器Tのカメラ225aから見て右側には、基準バー251が配置されている。撮像範囲には基準バー251の一部(白色部252)も収まっているため、撮像位置224に位置する検体容器Tがカメラ225aにより撮像されるときに、同時に基準バー251の一部(白色部252)も撮像されることとなる。
【0204】
基準バー251は、立設された直方体板状をなしており、正面(カメラ225aに対向する面)に、後述する2値化処理で用いられる閾値を決定するための基準となる白色部252が設けられている。かかる白色部252は、色相、彩度、及び明度が予め規定された白色とされている。したがって、2つの検体処理システム1Bにおける白色部252はその個体差が殆んどなく、概ね同一の白色とされる。
【0205】
図39は、本実施の形態に係るシステム制御装置8Bの構成を示すブロック図である。システム制御装置8Bは、コンピュータにより構成されており、検体処理システム1Bの全体を制御する。
【0206】
システム制御装置8Bは、コンピュータ820aによって実現される。図39に示すように、コンピュータ820aは、本体821と、画像表示部822と、入力部823とを備えている。本体821は、CPU821a、ROM821b、RAM821c、ハードディスク821d、読出装置821e、入出力インタフェース821f、通信インタフェース821g、及び画像出力インタフェース821hを備えており、CPU821a、ROM821b、RAM821c、ハードディスク821d、読出装置821e、入出力インタフェース821f、通信インタフェース821g、及び画像出力インタフェース821hは、バス821jによって接続されている。
【0207】
ハードディスク821dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU821aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するシステム制御プログラム824aも、このハードディスク821dにインストールされている。
【0208】
また、ハードディスク821dには、検体容器の種類を識別するために用いられる検体容器テーブルTBL31が設けられている。検体容器テーブルTBL31は、2次元の表形式のデータであり、各行が検体容器の種類に対応している。各行には、検体容器の特徴を示す基準特徴情報が記憶されている。具体的には、この基準特徴情報には、検体容器の種類を特定する容器種類ID、検体容器の長さ(高さ)、並びに、蓋部の長さ、蓋部の直径、2段型キャップ(小径部と大径部の2つのキャップ径を有する蓋部)の小径部の長さ、及び小径部の直径からなる蓋部の形状を示す情報が含まれている(図示せず)。また、ハードディスク821dには、係数Pが記憶されている。この係数Pは、特徴情報を取得するための2値化処理において用いられる閾値を定めるための係数である。
【0209】
読出装置821eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体824に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体824には、コンピュータをシステム制御装置8Bとして機能させるためのシステム制御プログラム824aが格納されており、コンピュータ820aが当該可搬型記録媒体824からシステム制御プログラム824aを読み出し、当該システム制御プログラム824aをハードディスク821dにインストールすることが可能である。
【0210】
入出力インタフェース821fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース821fには、キーボード及びマウスからなる入力部823が接続されており、ユーザが当該入力部823を使用することにより、コンピュータ820aにデータを入力することが可能である。
【0211】
通信インタフェース821gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース82gはLANを介して検体投入装置2A、検体搬送装置3、処理完了検体収容装置4、情報処理ユニット52、及びホストコンピュータ9に接続されている。コンピュータ820aは、通信インタフェース821gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された上記の各装置との間でデータの送受信が可能である。
【0212】
なお、システム制御装置8Bのその他の構成は、実施の形態1で説明したシステム制御装置8と同様であるので、その説明を省略する。
【0213】
[検体処理システムの動作]
次に、本実施の形態に係る検体処理システム1Bの動作について説明する。本実施の形態に係る検体処理システム1Bは、サンプルラックLが検体容器収容ユニット22Bに搬入される前に一度、カメラ225cにより基準バー251の一部(白色部252を含む部分)を含む領域を撮像し、これによりバックグラウンド画像を得る。その後、検体容器Tが検体容器収容ユニット22Bの撮像位置224に位置したときに、カメラ225aによって、検体容器Tの蓋部CPが撮像される。検体処理システム1Bは、検体容器種類識別処理において、光源である白色LED225cの光量、カメラ225aの受光感度、及びカメラ225aの取付位置等の装置の個体差による識別誤差を排除するために、カメラ225aによる撮像画像中の白色部252の部分を用いて2値化処理に用いられる閾値を決定し、検体容器を撮像した画像とバックグラウンド画像との差分画像を取得して、その差分画像を前記閾値により2値化し、これによって蓋部CPの特徴を示す特徴情報を取得する。以下、本実施の形態に係るシステム制御装置8Bによる検体容器種類識別処理について説明する。
【0214】
システム制御装置8BのCPU821aは、サンプルラックLが検体容器収容ユニット22Bに搬入される前に、一度だけカメラ225aによる撮像画像を取り込む。このとき撮像位置224には検体容器Tが存在しておらず、システム制御装置8BのCPU821aはこの画像をバックグラウンド画像としてハードディスク821dに保存する。また、システム制御装置8BのCPU821aは、バックグラウンド画像に含まれている白色部252の部分画像から、その部分の平均輝度値Wを求め、これをハードディスク821dに記憶している。この状態で、下記の検体容器識別処理が実行される。
【0215】
図40は、本実施の形態に係るシステム制御装置8Bの検体容器種類識別処理の流れを示すフローチャートである。図40に示すように、システム制御装置8BのCPU821aにおいて、検体投入装置2から送信された画像取込指示信号がシステム制御装置8Bに受信されるイベントが発生すると(ステップS501)、ステップS502の処理が呼び出される。
【0216】
ステップS502においては、CPU821aは、その時点におけるカメラ225aの撮像画像を取り込む(ステップS502)。この撮像画像には、検体容器Tの蓋部CPの全体像が含まれている。次にCPU821aは、ハードディスク821dから前述したバックグラウンド画像を読み出し(ステップS503)、ステップS502で取り込んだ撮像画像と、バックグラウンド画像とのそれぞれ対応する画素の差分を求め、差分画像を取得する(ステップS504)。
【0217】
次にCPU821aは、ハードディスク821dから平均輝度値W及び係数Pを読み出す(ステップS505)。さらにCPU821aは、平均輝度値Wと係数Pの積算の結果を閾値WPとして求める(ステップS506)。
【0218】
CPU821aは、ステップS504において取得した差分画像を閾値WPで2値化し、2値化画像を得る(ステップS507)。差分画像は、検体容器Tが撮像された画像から、蓋部の特徴情報を取得するのに不要な背景(バックグラウンド)部分が除去されたものであるため、かかる2値化処理により、検体容器Tの蓋部CPを他の部分と区別可能な2値化画像を得ることができる。
【0219】
次にCPU821aは、上記の2値化画像から蓋部の特徴を示す特徴情報を取得する(ステップS508)。これは、2値化画像では蓋部の領域の画素が他の領域の画素とは異なる値となっていることから、2値化画像では蓋部CPの形状を認識することができる。したがって、上記特徴情報は、蓋部の形状(蓋部の長さ、蓋部の直径、2段型キャップ(小径部と大径部の2つのキャップ径を有する蓋部)の小径部の長さ、小径部の直径)を示す情報である。
【0220】
次に、CPU821aは、上記の処理によって得られた特徴情報、即ち、蓋部の形状情報(キャップ長、キャップ径、キャップ小径部長、キャップ小径)と、検体容器テーブルTBL31に登録されている各種の検体容器の基準特徴情報とを比較し、この検体容器Tと所定の誤差範囲内で一致する検体容器の種類があるか否かを判定する(ステップS509)。所定の誤差範囲内で一致する検体容器の種類が存在する場合には(ステップS509においてYES)、CPU821aは、このサンプルラックLのラックID、この検体の検体ID、及びこの検体容器TのサンプルラックLにおける保持位置と対応付けて、検体容器の種類を特定する容器種類IDをハードディスク821dに記憶し(ステップS510)、処理を終了する。一方、所定の誤差範囲内で一致する検体容器の種類が存在しない場合には(ステップS509においてNO)、CPU821aは、このサンプルラックLのラックID、この検体の検体ID、及びこの検体容器TのサンプルラックLにおける保持位置と対応付けて、検体容器の種類異常を示す検体容器種類エラー情報をハードディスク821dに記憶し(ステップS511)、処理を終了する。
【0221】
本実施の形態に係るシステム制御装置8Bのその他の動作については、実施の形態1に係るシステム制御装置8と同様であるので、その説明を省略する。また、本実施の形態に係る検体処理システム1Bのその他の動作については、実施の形態1に係る検体処理システム1と同様であるので、その説明を省略する。
【0222】
上述したような構成とすることにより、本実施の形態に係る検体処理システム1Bでは、蓋部CPの特徴情報を取得するために実行される検体容器Tの蓋部CPの撮像画像に対する2値化処理において用いられる閾値を、基準となる輝度が予め定められている白色部252の撮像画像に基づいて決定することにより、装置の個体差による誤差を防止することができ、より一層高精度に検体容器の種類を識別することができる。
【0223】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態1〜3においては、複数の測定ユニット51,51,51を備え、各測定ユニットに検体を搬送する検体処理システムについて述べたが、これに限定されるものではない。1つの測定ユニットと、検体搬送ユニットとを備え、検体搬送ユニットによって測定ユニットに検体を搬送する構成の検体分析装置としてもよい。この場合には、検体搬送ユニットが分析前の検体を収容したサンプルラックを複数載置可能な投入エリアと、分析後の検体を収容したサンプルラックを複数載置可能な貯留エリアと、カメラとを備え、投入エリアのサンプルラックLに収容された検体容器の蓋部を撮像し、この画像から検体容器の種類を判定し、検体容器の種類に応じた下降量で吸引管を下降させて、当該検体容器から検体を吸引し、検体の測定を実行する。
【0224】
図41は、検体処理装置の他の構成の一例を示す斜視図である。本例における検体処理装置は、血液検体に含まれる血球(白血球、赤血球、血小板等)を検出し、各血球を計数する多項目血球分析装置である。図41に示すように、検体処理装置1Cは、第1測定ユニット2Cと、第2測定ユニット3Cと、第1測定ユニット2C及び第2測定ユニット3Cの前面側に配置された検体搬送ユニット4Cと、第1測定ユニット2C、第2測定ユニット3C、及び検体搬送ユニット4Cを制御可能な情報処理ユニット5Cとを備えている。第1測定ユニット2C及び第2測定ユニット3Cは、実施の形態1〜3における血球分析装置5の測定ユニット51と同様の構成である。検体搬送ユニット4Cは、サンプルラックLを搬送して、サンプルラックLに保持された検体容器Tを第1測定ユニット2C及び第2測定ユニット3Cへ供給する。かかる検体搬送ユニット4Cには、光源である白色LED401及び撮像部であるカメラ402が設けられている。情報処理ユニット5Cは、かかる白色LED及びカメラ402を駆動制御可能であり、搬送されているサンプルラックLに保持されている検体容器Tの蓋部CPを白色LEDによって照明し、その蓋部CPをカメラ402で撮像する。情報処理ユニット5Cは、カメラ402により撮像された画像を用いて、上述した実施の形態1〜3と同様な処理によって検体容器の種類を識別する。第1測定ユニット2C及び第2測定ユニット3Cは、それぞれの内部に設けられた吸引部によって検体を吸引する際に、前述したように識別された検体容器の種類に応じて、吸引部の下降量を決定し、検体の吸引を実行する。吸引された検体は、上述した実施の形態1〜3と同様に、第1測定ユニット2C又は第2測定ユニット3Cによって測定される。また、この構成においても、上述した実施の形態2,3と同様に、一定の色又は大きさを有する標識部を撮像し、撮像された標識部の画像を用いることにより、装置の個体差による撮像誤差を防止して、より一層高精度に検体容器の種類を識別する構成としてもよい。
【0225】
また、上述した実施の形態1〜3においては、システム制御装置8が検体容器の種類を判定し、血球分析装置5及び塗抹標本作製装置6が検体容器の種類に応じた吸引管の下降量を決定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。システム制御装置8,8A,8Bが検体容器の蓋の画像から血球分析装置5及び塗抹標本作製装置6の吸引管の下降量を決定し、決定された下降量を血球分析装置5及び塗抹標本作製装置へ通知する構成としてもよいし、血球分析装置5及び塗抹標本撮像装置(又はそのどちらか一方)が検体容器の蓋部の撮像画像を取得し、画像解析を行い、吸引管の下降量を決定する構成としてもよい。
【0226】
また、上述した実施の形態1,2においては、蓋部の画像から蓋部の形状(寸法)及び色の情報を抽出し、これらを用いて検体容器の種類を判定する構成について、実施の形態3においては、蓋部の画像から蓋部の形状(寸法)の情報を抽出し、これを用いて検体容器の種類を判定する構成について述べたが、これらに限定されるものではない。蓋部の画像から蓋部の色の情報を抽出し、これを用いて検体容器の種類を判定する構成としてもよい。また、蓋部の基準画像を検体容器の種類毎に記憶しておき、撮像した蓋部の画像と前記基準画像とをパターンマッチングにより照合し、検体容器の種類を判定する構成としてもよい。
【0227】
また、上述した実施の形態1〜3においては、サンプルラックLに収容された状態の検体容器Tを撮像し、この撮像画像を用いて検体容器の種類を判定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。サンプルラックLから検体容器Tを抜き出す機構を設け、サンプルラックLから抜き出した検体容器を撮像し、その撮像画像を用いて検体容器の種類を判定する構成としてもよい。
【0228】
また、上述した実施の形態1〜3においては、測定ユニット51が、鉛直方向に移動可能な吸引管511aを備え、検体容器Tの蓋部CPを撮像して得られた撮像画像に基づいて、検体容器の種類に対応した吸引管511aの下降量を決定し、この下降量で吸引管511aを下降させる構成について述べたが、これに限定されるものではない。測定ユニットが、検体容器を把持して蓋部が検体容器の底部よりも下に位置する様に傾倒させる機構と、吸引管を斜め上方に移動させることによって、傾倒された検体容器の蓋部に吸引管を貫通させる吸引部とを備え、検体容器の蓋部の画像に基づいて吸引管の移動量を決定し、この移動量で吸引管を斜め上方に移動させて検体容器の蓋部に吸引管を貫通させ、検体の吸引を行う構成としてもよい。この場合には、検体容器の底部の位置(深さ)ではなく、蓋部の厚さ、蓋部の長さ等の蓋部の形状に適した移動量が決定される。
【0229】
また、上述した実施の形態1〜3においては、蓋部の画像に基づいて決定された下降量だけ、吸引管511aを下降させることにより、検体容器の蓋部に吸引管511aを貫通させ、検体を吸引させる構成について述べたが、これに限定されるものではない。吸引管の先端が蓋部に当接したことを検出するように吸引部を構成し、蓋部の画像に基づいて吸引管511aの蓋部からの下降量(差し込み量)を決定し、検体を吸引するときに、吸引管を下降させて吸引管の先端が蓋部に当接したことを検出したときから、決定された下降量分だけさらに吸引管を下降させた後、検体を吸引させる構成としてもよい。
【0230】
また、上述した実施の形態1〜3においては、検体処理システム1,1A,1Bが、検体に含まれる血球を分類し、また血球種毎に血球を計数する血球分析装置5を備える構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体処理システムが、免疫分析装置、血液凝固測定装置、生化学分析装置、尿分析装置等の血球分析装置以外の検体分析装置を備え、かかる検体分析装置の測定ユニットへ血液検体又は尿検体を搬送する構成としてもよい。
【0231】
また、上述した実施の形態1〜3においては、コンピュータがコンピュータプログラム84a,814a,824aの検体容器種類識別処理を実行することにより、システム制御装置8,8A,8Bとして動作するコンピュータが検体容器の種類を判定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。前記コンピュータプログラムと同様の処理を実行することが可能なFPGA又はASIC等の専用ハードウェアにより、検体容器種類識別処理を実行する構成としてもよい。
【0232】
また、上述した実施の形態1〜3においては、単一のコンピュータ8a,810a,820aによりコンピュータプログラム84a,814a,824aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム84a,814a,824aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
【0233】
また、上述した実施の形態1〜3においては、検体容器種類エラーが検出された場合には、検体容器種類エラー情報(検体容器の種類が検体容器テーブルTBL3,TBL31に未登録であることを示す情報)を液晶表示部227に表示させているが、検体容器種類エラー情報を液晶表示部227に表示するだけでなく、液晶表示部227において、検体容器種類エラーが検出された検体容器の種類の基準特徴情報を検体容器テーブルTBL3,TBL31に新規に登録し、この検体容器の種類に対応する下降量を下降量テーブルTBL1に新規に登録するための登録画面を表示するようにしてもよい。また、この登録画面は、液晶表示部227以外の表示部に表示するようにしてもよい。
【0234】
また、上述した実施の形態1,2では、検体容器の種類を判定する際に、撮像画像における特定領域内の各画素のR値、G値、B値を取得し、R値、G値、B値のそれぞれの平均値を算出して、R値、G値、B値の各平均値を蓋部の色情報として用いているが、これに限定されるものではなく、蓋部の色情報として、G値の平均値を100としたR値、B値の相対平均値を用いてもよい。検体容器を同じ色で照明した場合であっても、照明の明るさによってR値、G値、B値のそれぞれはばらついてしまうところ、G値に対するR値、B値の相対平均値を用いることにより、照明の明るさによる影響を抑制して、精度良く検体容器の種類を判定することができる。
【0235】
また、上述した実施の形態1〜3では、検体容器Tの蓋部CPを撮像し、この撮像画像に基づいて、検体容器Tの種類に対応した吸引管511aの下降量を決定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。蓋部CPを含めた検体容器Tの全体を撮像し、その撮像画像における蓋部の画像に基づいて検体容器Tの種類を識別し、検体容器Tの種類に対応した吸引管511aの下降量を決定する構成としてもよい。
【0236】
また、上述した実施の形態2においては、検体容器Tの蓋部CPと共に標識部242を撮像する構成について、実施の形態3においては、検体容器Tの蓋部CPと共に白色部252を撮像する構成についてそれぞれ述べたが、これらに限定されるものではない。検体容器Tの蓋部CPとは別に、標識部242又は白色部252を単独で撮像し、この撮像画像に基づいて、特徴情報の補正又は2値化処理の閾値の決定を行う構成としてもよい。例えば、装置を起動すると自動的に標識部242又は白色部252を撮像し、装置のシャットダウンを行うまでは、この撮像画像に基づいて特徴情報の補正又は2値化処理の閾値の決定を行う構成としてもよい。
【0237】
また、上述した実施の形態2においては、白色領域242aの部分画像の平均輝度値が基準となる上限値Nを上回るか、下限値Mを下回る場合には、カメラ225aによる撮像状態が異常であると判断し、ユーザ又はサービスマンにカメラ225aの感度調整、白色LED225cの光量調整、白色LED225cの交換等の必要な措置を取ることを促すために、撮像エラーを出力する構成について述べたが、これに限定されるものではない。光源である白色LED225cに印加する電圧を調節することにより光量をシステム制御装置から制御可能とし、カメラ225aによる撮像状態が異常と判断された場合に、システム制御装置が白色LED225cの光量を自動調整する構成としてもよいし、撮像部225aであるカメラの受光感度をシステム制御装置から制御可能とし、カメラ225aによる撮像状態が異常と判断された場合に、システム制御装置がカメラ225aの感度を自動調整する構成としてもよいし、白色LED225cの光量調整及びカメラ225aの感度調整の両方を行う構成としてもよい。
【0238】
また、上述した実施の形態2においては、撮像画像中の標識部242の部分画像から得た標識部242の形状(長さ)、輝度及び色情報に基づいて、蓋部CPの特徴情報を補正し、補正後の特徴情報に基づいて検体容器の種類を識別する構成について述べ、実施の形態3においては、撮像画像中の白色部252の部分画像から得た輝度情報に基づいて、2値化処理の閾値の決定し、この閾値によって差分画像を2値化して得た2値化画像から特徴情報を取得し、この特徴情報に基づいて検体容器の種類を識別する構成について述べたが、これらに限定されるものではない。標識部242の形状(長さ)、輝度及び色情報又は白色部252の部分画像の輝度情報に基づいて、特徴情報の比較対象である基準特徴情報を補正し、特徴情報と補正後の基準特徴情報とを比較することで検体容器の種類を識別する構成としてもよいし、特徴情報と基準特徴情報との差分を求め、この差分を標識部242の形状(長さ)、輝度及び色情報又は白色部252の部分画像の輝度情報に基づいて補正し、補正後の差分が誤差範囲内で0に近い場合に、その基準特徴情報に対応する検体容器の種類が撮像された検体容器の種類であると判断する構成としてもよい
【0239】
また、上述した実施の形態2においては、カラーバー241を撮像位置224の近傍に配置する構成について述べ、実施の形態3においては、基準バー251を撮像位置224の近傍に配置する構成について述べたが、これらに限定されるものではない。カラーバー241及び基準バー251は、検体容器Tの蓋部CPを撮像する際にカメラ225aの撮像範囲内にあればどこに設けてもよい。例えば、サンプルラックLに設けてもよい。また、カラーバー241、基準バー251でなくても、一定の色、大きさを有する有体物であればどのようなものであってもよい。例えば、カメラ225aが白黒の撮像画像を得る構成であり、カメラ225aによって得られた白黒の撮像画像を解析することで蓋の特徴情報を取得する構成の場合には、標識部としてグレースケールを用いてもよい。これにより画像の解析処理を簡易にすることができる。
【0240】
また、実施の形態2においては、検体容器の撮像のために中央部が開口したカラーバー241を設けた構成について述べたが、このカラーバー241の開口部分の幅の情報を画像から取得し、これによって蓋の長さ情報を補正する構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0241】
本発明の検体処理装置は、密閉容器から吸引部に吸引された検体を処理可能な検体処理装置として有用である。
【符号の説明】
【0242】
1,1A,1B 検体処理システム
2,2A,2B 検体投入装置
3,301 検体搬送装置
31 搬送機構
32 制御部
4 処理完了検体収容装置
5 血球分析装置
51 測定ユニット
52 情報処理ユニット
52a コンピュータ
521a CPU
521b ROM
521c RAM
521d ハードディスク
522 画像表示部
523 入力部
524 可搬型記録媒体
524a コンピュータプログラム
6 塗抹標本作製装置
8,8A,8B システム制御装置
8a,810a,820a コンピュータ
81a,811a,821a CPU
81b,811b,821b ROM
81c,811c,821c RAM
81d,811d,821d ハードディスク
9 ホストコンピュータ
L サンプルラック
T 検体容器
CP 蓋部
TBL1,TBL2 下降量テーブル
TBL3,TBL31 検体容器テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を収容する蓋付きの検体容器の前記蓋を撮像する撮像部と、
移動することにより前記検体容器の蓋を貫通し、前記検体容器に収容された検体を処理に供するために吸引する吸引部と、
前記撮像部により得られた撮像画像に基づいて、前記検体容器内への前記吸引部の進入量を制御する吸引制御手段と、
前記吸引部により吸引された検体を処理する検体処理部と、
を備える、検体処理装置。
【請求項2】
前記吸引制御手段は、前記撮像部により得られた撮像画像に基づいて、前記吸引部の移動量を決定し、決定した移動量に応じて移動することにより前記検体容器内に進入するように前記吸引部を制御する、請求項1に記載の検体処理装置。
【請求項3】
検体容器の蓋の特徴を示す基準蓋特徴情報を記憶する記憶部と、
前記撮像画像に基づいて、前記蓋の特徴を示す蓋特徴情報を取得する蓋特徴情報取得手段と、
前記蓋特徴情報取得手段によって取得された蓋特徴情報と前記記憶部に記憶されている基準蓋特徴情報とを比較する比較手段と、
をさらに備え、
前記吸引制御手段は、前記比較手段による比較結果に基づいて、前記検体容器内への前記吸引部の進入量を制御するように構成されている、請求項1又は2に記載の検体処理装置。
【請求項4】
前記撮像部は、画素毎に色に関する情報を含む撮像画像を取得するように構成されており、
前記記憶部は、検体容器の蓋の色に関する情報を含む基準蓋特徴情報を記憶しており、
前記蓋特徴情報取得手段は、前記撮像画像における前記蓋の色に関する情報を含む蓋特徴情報を取得するように構成されている、請求項3に記載の検体処理装置。
【請求項5】
前記記憶部は、検体容器の蓋の形状に関する情報を含む基準蓋特徴情報を記憶しており、
前記蓋特徴情報取得手段は、前記撮像画像に基づいて、検体容器の蓋の形状に関する情報を含む蓋特徴情報を取得するように構成されている、請求項3又は4に記載の検体処理装置。
【請求項6】
前記記憶部は、検体容器の長さに関する情報を含む基準蓋特徴情報を記憶しており、
前記蓋特徴情報取得手段は、前記撮像画像に基づいて、撮像された検体容器の長さに関する情報を含む蓋特徴情報を取得するように構成されている、請求項3乃至5の何れかに記載の検体処理装置。
【請求項7】
前記撮像部は、検体容器を複数収容する検体ラックに収容された状態の検体容器の蓋を撮像するように構成されており、
前記蓋特徴情報取得手段は、前記撮像画像における前記検体容器の蓋の位置と前記検体ラックの位置とに基づいて、前記検体容器の長さに関する情報を含む蓋特徴情報を取得するように構成されている、請求項6に記載の検体処理装置。
【請求項8】
一定の物理的特性を示す標識部をさらに備え、
前記撮像部は、前記標識部をさらに撮像するように構成されており、
前記吸引制御手段は、前記撮像部により得られた前記標識部の画像と、前記撮像部により得られた前記蓋の画像とに基づいて、前記検体容器内への前記吸引部の進入量を制御するように構成されている、請求項1乃至7の何れかに記載の検体処理装置。
【請求項9】
前記撮像部により得られた前記標識部の画像に基づいて、前記標識部の前記物理的特性に関する特性情報を取得する特性情報取得手段と、
前記撮像部により得られた前記蓋の画像に基づいて、前記蓋の特徴を示す蓋特徴情報を取得する蓋特徴情報取得手段と、
前記蓋特徴情報取得手段によって取得された蓋特徴情報を、前記特性情報取得手段によって取得された特性情報に基づいて補正する補正手段と、
をさらに備え、
前記吸引制御手段は、前記補正手段による補正後の蓋特徴情報に基づいて、前記検体容器内への前記吸引部の進入量を制御するように構成されている、請求項8に記載の検体処理装置。
【請求項10】
前記標識部の前記物理的特性に対応する基準特性情報を記憶する記憶部と、
前記特性情報取得手段により得られた特性情報と前記記憶部に記憶されている基準特性情報とを比較する比較手段と、
をさらに備え、
前記補正手段は、前記比較手段による比較結果に基づいて、前記蓋特徴情報を補正するように構成されている、請求項9に記載の検体処理装置。
【請求項11】
前記撮像部により得られた前記標識部の画像に基づいて、前記標識部の前記物理的特性に関する特性情報を取得する特性情報取得手段と、
前記特性情報取得手段によって取得された特性情報と、前記撮像部により得られた前記蓋の画像とに基づいて、前記蓋の特徴を示す蓋特徴情報を取得する蓋特徴情報取得手段と、
をさらに備え、
前記吸引制御手段は、前記蓋特徴情報取得手段によって取得された蓋特徴情報に基づいて、前記検体容器内への前記吸引部の進入量を制御するように構成されている、請求項8に記載の検体処理装置。
【請求項12】
前記蓋特徴情報取得手段は、前記特性情報取得手段によって取得された特性情報に基づいて、前記撮像部により得られた前記蓋の画像の処理条件を決定し、決定した前記処理条件に基づいて前記蓋の画像を処理することで得られた画像に基づいて前記蓋特徴情報を取得するように構成されている、請求項11に記載の検体処理装置。
【請求項13】
前記撮像部は、撮像環境に関する設定を変更可能に構成されており、
前記撮像部により得られた前記標識部の画像に基づいて、前記標識部の前記物理的特性に関する特性情報を取得する特性情報取得手段と、
前記特性情報取得手段により得られた特性情報に基づいて、前記撮像部の撮像環境に関する設定を変更する変更手段と、
をさらに備える、請求項8に記載の検体処理装置。
【請求項14】
前記撮像部により得られた前記標識部の画像に基づいて、前記標識部の画像の輝度を示す輝度情報を取得する輝度情報取得手段と、
前記輝度情報取得手段により得られた前記輝度情報に基づいて、前記撮像部の異常を検出する検出手段と、をさらに備える、請求項8乃至13の何れかに記載の検体処理装置。
【請求項15】
前記撮像部により得られた前記標識部の画像に基づいて、前記撮像部により得られた前記蓋の画像に由来する情報から、前記撮像部による撮像環境の誤差成分を除去する除去手段をさらに備え、
前記吸引制御手段は、前記除去手段により誤差成分が除去された前記蓋の画像に由来する情報に基づいて、前記検体容器内への前記吸引部の進入量を制御するように構成されている、請求項8に記載の検体処理装置。
【請求項16】
前記撮像部により得られた撮像画像に基づいて、検体容器の種類を識別する識別手段をさらに備え、
前記吸引制御手段は、前記識別手段により識別された検体容器の種類に基づいて、前記検体容器内への前記吸引部の進入量を制御するように構成されている、請求項1乃至15の何れかに記載の検体処理装置。
【請求項17】
前記識別手段により検体容器の種類が識別されなかった場合、検体容器の種類が不明であることを通知する通知手段をさらに備える、請求項16に記載の検体処理装置。
【請求項18】
前記吸引部を具備する検体処理部と、
種類が不明な検体容器を収容する検体容器収容部と、
検体容器を前記検体処理部へ搬送する搬送部と、
前記識別手段により種類が識別された検体容器を前記搬送部へ向けて送出し、前記識別手段により種類が識別されなかった検体容器を前記検体容器収容部へ向けて送出する送出部と、
をさらに備える、請求項16又は17に記載の検体処理装置。
【請求項19】
前記吸引部は、下降することにより検体容器内に進入するように構成されており、
前記吸引制御手段は、前記撮像部により得られた撮像画像に基づいて、前記検体容器内への前記吸引部の下降量を制御するように構成されている、請求項1乃至18の何れかに記載の検体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図26】
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【図27A】
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【図27B】
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【図28A】
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【図28B】
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【図29A】
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【図29B】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図25】
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【公開番号】特開2010−133925(P2010−133925A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155819(P2009−155819)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】