説明

検体処理装置

【課題】省スペース化を図るとともに、容器移動のバリエーションを増やしてユーザの利便性を向上させる動作を実行可能な検体処理装置を提供する。
【解決手段】検体処理装置は、測定装置2を備えている。測定装置2は、測定に用いる試薬を収容した試薬容器Cを保持する試薬ホルダBと、緊急測定を行う検体を収容した検体容器Tを保持する検体ホルダSと、試薬ホルダBと検体ホルダSを左右に搬送する搬送路32と、通常連続測定を行う検体を収容した検体容器Tを搬送する搬送ユニット50とを備えている。通常連続測定では、試薬ホルダBは搬送路32上を個別に移動される。緊急測定では、通常連続測定に割り込んで、緊急検体がセットされた検体ホルダSが試薬ホルダBと連結されて、この検体が吸引位置33または34で吸引される。これにより、搬送路32が簡素に構成されるとともに、緊急測定が迅速に行われ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液等の検体に対し所定の処理を行う検体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、試薬を用いて血液、尿などの検体を測定、分析するための検体処理装置が知られている。この種の検体処理装置では、複数の検体を連続的に処理可能なように、検体容器を保持した検体ラックを自動で搬送する搬送装置が配される。また、かかる搬送装置とは別に、急な測定を要する検体を受け付け可能とするための構成も配され得る(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の検体処理装置は、複数の検体の連続的な測定に緊急検体の測定を割り込ませることが可能に構成された緊急検体セット部を有する。緊急検体セット部には、緊急検体を収容した緊急検体容器の他に、定常的に使用する希釈液を収容した試薬容器が保持される。緊急検体セット部は、一つの搬送路上をスライド可能に構成されている。緊急検体セット部の移動に伴って、試薬容器および緊急検体容器が一体的に移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−70115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記検体処理装置では、緊急検体容器および試薬容器に一体的な移動しか行わせることができない。このため、緊急検体を測定する必要があるときに、定常的な連続測定が行われていると、希釈液の分注を中断して、緊急検体セット部を緊急検体のセット位置まで搬送する必要がある。
【0006】
なお、上記特許文献1には、緊急検体容器と試薬容器とを移送する構成が示されているが、これに限らず、たとえば、洗浄液と希釈液等、種類の異なる液体を収容した液体容器が同一の搬送路上を搬送される構成もとられ得る。このような場合も、これら容器が一体的に搬送されると、たとえば、一方の容器を交換する必要があるような場合に、他方の容器もまた交換位置に移送され、他方の容器に収容された液体を用いた処理が行えなくなってしまう。
【0007】
かかる事情に鑑み、本発明は、省スペース化を図るとともに、容器移動のバリエーションを増やしてユーザの利便性を向上させる動作を実行可能な検体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る検体処理装置は、搬送路と、前記搬送路上に配置され、第1液体を収容した第1液体容器を保持するための第1容器保持部と、前記搬送路上に配置され、第2液体を収容した第2液体容器を保持するための第2容器保持部と、前記搬送路に沿って、前記第1容器保持部および前記第2容器保持部の一体的な移動、並びに、前記第1容器保持部および前記第2容器保持部の個別の移動を行わせる移動機構と、前記第1容器保持部および前記第2容器保持部を一体的または個別に移動するよう、前記移動機構を制御する制御部と、を備える。
【0009】
本態様に係る検体処理装置によれば、同一の搬送路上に第1液体容器保持部と第2液体容器保持部が配置されるので、省スペース化を図ることができる。また、第1液体容器保持部および第2液体容器保持部の一体的な移動および個別移動を切り替えることができるため、ユーザの都合に合わせた移動を第1液体容器保持部および第2液体容器保持部に行わせることができる。そのため、省スペース化を図るとともに、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0010】
本態様に係る検体処理装置は、前記第2液体容器が前記第2容器保持部に保持されたことを検出する第2容器検出部を備える。ここで、前記制御部は、前記第2容器検出部による検出に応じて、前記第1容器保持部および前記第2容器保持部の移動を、個別の移動から一体的な移動に切り替えるよう構成され得る。こうすると、第2容器保持部に第2液体容器が保持されていないときは、第1容器保持部のみを個別に移送することによる処理を行うことができ、また、第2容器保持部に第2液体容器が保持されると、第1容器保持部と第2容器保持部とを一体的に移送して、各容器に保持された液体を用いた処理を行うことができる。
【0011】
本態様に係る検体処理装置において、前記第1液体容器は、検体の処理に用いる試薬を前記第1液体として収容する試薬容器であり、前記第2液体容器は、検体を前記第2液体として収容する検体容器である。ここで、本態様に係る検体処理装置は、前記試薬を用いて検体の処理を行う検体処理部をさらに備える構成とされ得る。
【0012】
本態様に係る検体処理装置は、前記第1容器保持部に前記試薬容器が保持されたことを検出する試薬容器検出部と、前記第2容器保持部に前記検体容器が保持されたことを検出する検体容器検出部と、をさらに備える。ここで、前記制御部は、前記第1容器保持部に前記試薬容器が保持され、前記第2容器保持部に前記検体容器が保持されていない場合、前記第2容器保持部を所定の容器設置位置に待機させたまま、前記第1容器保持部を前記検体処理部による試薬吸引位置に個別に移動させるよう、前記移動機構を制御する構成とされ得る。こうすると、ユーザは試薬による処理が行われている間にも、容器設置位置にある第2容器保持部に検体容器をセットすることができる。
【0013】
本態様に係る検体処理装置は、前記搬送路とは異なる他の搬送路をさらに備える構成とされ得る。ここで、前記第2容器保持部に保持された前記検体容器は、緊急な処理を要する緊急検体を前記第2液体として収容するものとされ得る。この場合、前記検体処理部は、前記他の搬送路に沿って搬送された複数の検体容器にそれぞれ収容された検体の連続的な処理を前記試薬容器に収容された前記試薬を用いて実行し、前記連続的な処理に割り込んで、前記搬送路に沿って移動された前記第2容器保持部に保持された前記検体容器に収容された前記緊急検体の処理を前記試薬容器に収容された前記試薬を用いて実行するように構成され得る。こうすると、検体処理部が試薬吸引動作を行っている間であっても、ユーザは容器設置位置において、割込検体を収容した検体容器を設置することができる。そのため、割込検体を収容した検体容器を設置する際にユーザに待ち時間が生じることを抑制することが可能となる。
【0014】
本態様に係る検体処理装置において、前記制御部は、前記第1容器保持部に前記試薬容器が保持され、前記第2容器保持部に前記検体容器が保持されている場合、前記第1容器保持部および前記第2容器保持部の一体的な移動を行わせるよう、前記移動機構を制御するよう構成され得る。こうすると、第1液体と第2液体を用いた処理を行うことができる。
【0015】
本態様に係る検体処理装置において、前記制御部は、前記検体処理部により前記第2容器保持部に保持された前記検体容器から検体が吸引されると、前記第1容器保持部および
前記第2容器保持部の移動を、一体的な移動から個別の移動に切り替える構成とされ得る。こうすると、たとえば、第2容器保持部を、容器を交換するための位置に待機させた状態で、第1容器保持部のみを個別に搬送することができる。これにより、検体容器の交換時等に、試薬容器に収容された試薬を用いた処理を行うことができる。
【0016】
本態様に係る検体処理装置は、画面を表示する表示部をさらに備える。ここで、前記制御部は、前記第2容器保持部に前記検体容器が保持されているかを前記表示部に表示させるよう構成され得る。
【0017】
本態様に係る検体処理装置において、前記制御部は、前記第2容器保持部における前記検体容器の保持位置に対応付けられた領域を前記画面に含めるとともに、前記保持位置に前記検体容器が保持された場合と保持されていない場合とで、前記領域の色を変化させるよう構成され得る。こうすると、ユーザは、検体容器が設置されているか否かを容易に把握することができる。
【0018】
本態様に係る検体処理装置において、前記制御部は、前記検体処理部による前記第2容器保持部に保持された前記検体容器からの検体の吸引が完了した場合と未完了の場合とで、前記領域の色を変化させるよう構成され得る。こうすると、検体吸引が完了して第2液体容器保持部から取り出すことができる検体容器を、ユーザが容易に把握することができる。
【0019】
本態様に係る検体処理装置において、前記第1液体容器は、第1試薬を前記第1液体として収容する第1試薬容器であり、前記第2液体容器は、第2試薬を前記第2液体として収容する第2試薬容器であり、前記第2試薬容器に収容された前記第2試薬が所定量を下回ったことを検出する試薬検出部を備える構成とされ得る。この場合、前記制御部は、前記試薬検出部による検出に応じて、前記第1容器保持部および前記第2容器保持部の移動を、一体的な移動から個別の移動に切り替える構成とされ得る。こうすると、第2試薬容器に収容された第2試薬が所定量を下回るまで、連続的に第2試薬を用いた処理を行うことができる。
【0020】
本態様に係る検体処理装置において、前記移動機構は、前記第1容器保持部と前記第2容器保持部とを連結および分離させる連結・分離部を含み、前記制御部は、前記連結・分離部を制御することにより、前記第1容器保持部および前記第2容器保持部の一体的な移動および個別の移動を切り替えるよう構成され得る。
【0021】
本態様に係る検体処理装置において、前記移動機構は、前記第1容器保持部と前記第2容器保持部の一体的な移動および個別の移動に共用される駆動源を含むよう構成され得る。こうすると、第1容器保持部と第2容器保持部の一体的な移動および個別移動とを共通の駆動源で行わせることができるので、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0022】
本態様に係る検体処理装置において、前記第1容器保持部は、第1の穴が設けられた第1板部材を含み、前記第2容器保持部は、第2の穴が設けられた第2板部材を含み、前記連結・分離部は、前記第1の穴と前記第2の穴にピンを通すことにより前記第1容器保持部と前記第2容器保持部とを連結し、前記第1の穴と前記第2の穴の少なくとも一方から前記ピンを抜き出すことにより前記第1容器保持部と前記第2容器保持部とを分離するよう構成され得る。こうすると、第1容器保持部と第2容器保持部の連結および分離を、容易に行うことができる。
【0023】
本発明の第2の態様は、複数の検体容器にそれぞれ収容された一般検体を順次処理する連続処理と、前記連続処理に割り込んで緊急検体を処理する割込処理とを実行することが
可能な検体処理装置に関する。本態様に係る検体処理装置は、第1搬送路と、前記第1搬送路とは異なる第2搬送路と、前記第1搬送路上に配置され、検体の処理に用いられる試薬を収容した試薬容器を保持するための試薬容器保持部と、前記第1搬送路上に配置され、緊急検体を収容した検体容器を保持するための緊急検体容器保持部と、前記第1搬送路に沿って、前記試薬容器保持部および前記緊急検体容器保持部の一体的な移動、並びに、前記試薬容器保持部および前記緊急検体容器保持部の個別の移動を行わせる移動機構と、前記試薬容器保持部および前記緊急検体容器保持部を一体的または個別に移動するよう、前記移動機構を制御する制御部と、前記第2搬送路に沿って搬送された複数の検体容器にそれぞれ収容された一般検体の連続処理を前記試薬容器に収容された前記試薬を用いて実行し、前記連続処理に割り込んで、前記第1搬送路に沿って搬送された検体容器に収容された緊急検体の割込処理を前記試薬容器に収容された前記試薬を用いて実行する検体処理部と、を備える。
【0024】
本態様に係る検体処理装置によれば、同一の搬送路上に試薬容器保持部と緊急検体容器保持部が配置されるので、上記第1の態様に係る検体処理装置と同様、省スペース化を図ることができる。一般検体の連続処理中であっても、緊急検体の処理を優先的に行わせることができるため、緊急検体の処理を行う際に、一般検体の連続処理が終了するまで待つ必要がなくなる。これにより、緊急検体の処理を適宜迅速に行うことができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上のとおり、本発明によれば、省スペース化を図るとともに、容器移動のバリエーションを増やしてユーザの利便性を向上させる動作を実行可能な検体処理装置を提供することができる。
【0026】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態により何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施形態に係る検体処理装置の構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る測定装置の内部の概略構成を示す平面図である。
【図3】第1の実施形態に係る検体容器、検体ラックおよび試薬容器の構成を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る搬送路の構成を示す側面図および搬送路の近傍の構成を示す平面図である。
【図5】第1の実施形態に係る試薬ホルダおよび検体ホルダの構成を示す斜視図である。
【図6】第1の実施形態に係る試薬ホルダと検体ホルダとの連結動作を説明する図である。
【図7】第1の実施形態に係る把持ユニットの構成を示す斜視図である。
【図8】第1の実施形態に係る試薬ホルダと検体ホルダが分離状態から連結状態へと移行する過程を説明する図である。
【図9】第1の実施形態に係る試薬ホルダと検体ホルダが分離状態から連結状態へと移行する過程を説明する図である。
【図10】第1の実施形態に係る蓋の構成を示す斜視図である。
【図11】第1の実施形態に係る測定装置の回路構成を示す図である。
【図12】第1の実施形態に係る情報処理装置の回路構成を示す図である。
【図13】第1の実施形態に係る情報処理装置の表示部に表示される緊急測定情報画面の例示図である。
【図14】第1の実施形態に係る緊急測定が行われる場合のユーザによる作業および情報処理装置による処理を示すフローチャートである。
【図15】第1の実施形態に係る緊急測定が行われる場合の測定装置による処理を示すフローチャートである。
【図16】第1の実施形態に係る試薬ホルダと検体ホルダの連結が回復される過程を説明する図である。
【図17】第2の実施形態に係る緊急測定中に試薬切れが生じた場合のユーザによる作業および情報処理装置による処理を示すフローチャートである。
【図18】第2の実施形態に係る緊急測定中に試薬切れが生じた場合の測定装置による処理を示すフローチャートである。
【図19】第2の実施形態に係るオーダリスト表示領域がマスクされることを示す図および情報処理装置の表示部に表示されるメッセージの例示図である。
【図20】実施形態に係る搬送路上のホルダの構成の変更例を示す図である。
【図21】実施形態に係る搬送路上のホルダの構成の変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本実施形態に係る検体処理装置について、図面を参照して説明する。
【0029】
図1は、本実施形態に係る検体処理装置1の構成を示す図である。検体処理装置1は、検体(血漿)に試薬を添加することで調製された測定試料に光を照射して、凝固法、合成基質法、免疫比濁法および凝集法を用いて、検体の光学的な測定および分析を行う血液凝固分析装置である。検体処理装置1は、検体(血漿)に含まれる成分を光学的に測定する測定装置2と、測定装置2による測定データを分析するとともに、測定装置2に操作指示を与える情報処理装置3とで構成されている。
【0030】
測定装置2には、図示の如く、蓋35が設けられている。蓋35が開けられることにより、ユーザは、後述する測定装置2内の試薬ホルダBと検体ホルダSにアクセスすることができる。蓋35の構成については、追って、図10を参照して説明する。
【0031】
図2は、測定装置2の内部を上方向から見たときの概略構成を示す平面図である。測定装置2は、測定ユニット10と、搬送ユニット50と、検出ユニット60とによって構成されている。
【0032】
搬送ユニット50には、図示の如く、検体ラックLを載置可能なラックセット領域51と、搬送領域52と、搬送領域52から搬出された検体ラックLを搬送ユニット50の外部に取り出し可能に配置するラック収容領域53が設けられている。検体ラックLには検体容器Tを複数保持できるよう保持部が形成されており、検体容器Tには測定を行う検体が収容されている。
【0033】
図3(a)は、検体容器Tの外観を示す斜視図である。
【0034】
検体容器Tは、透光性を有するガラスまたは合成樹脂により構成された管状容器であり、上端が開口している。検体容器Tの側面には、バーコードラベルT1が貼付されている。バーコードラベルT1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部T2により密封されている。
【0035】
図3(b)は、検体ラックLが搬送ユニット50にセットされたときに、検体ラックLを図2のY軸正方向に見たときの正面図である。
【0036】
検体ラックLには、10本の検体容器Tを垂直状態(立位状態)で並べて保持すること
が可能となるよう10個の保持部が形成されている。また、検体ラックLのY軸負方向側の側面には、バーコードラベルL1が貼付されている。バーコードラベルL1には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0037】
図2に戻って、ラックセット領域51にセットされた検体ラックLは、ラックセット領域51に沿って奥方向(Y軸負方向)に搬送され、搬送領域52の右端(X軸負方向の端)に送り出される。搬送領域52の右端に位置づけられた検体ラックLは、搬送領域52に沿って左方向(X軸正方向)に搬送される。
【0038】
搬送領域52には、図示の如く、バーコードリーダ54が設置されている。バーコードリーダ54は、検体容器Tと検体ラックLにそれぞれ貼付されたバーコードラベルT1、L1を、搬送領域52上の所定位置にて読み取る。また、搬送領域52の所定位置には、検体吸引位置55、56が設定されている。
【0039】
検体吸引位置55、56に検体容器Tが位置づけられると、かかる検体容器Tに収容されている検体は、それぞれ、後述する検体分注ユニット21、22によって吸引される。検体ラックLに保持されている検体容器Tの検体が全て吸引されると、かかる検体ラックLは、搬送領域52の左端まで搬送される。
【0040】
なお、本実施の形態の検体処理装置1は、“標準測定”と“微量測定”の2種類の測定モードが選択可能に構成されている。検体容器Tの検体は、標準測定時には検体吸引位置55において検体分注ユニット21により吸引され、微量測定時には検体吸引位置56において検体分注ユニット22により吸引される。
【0041】
搬送領域52の左端に位置づけられた検体ラックLは、ラック収容領域53に沿って手前方向(Y軸正方向)に移動され、かかる検体ラックLの搬送動作が終了する。搬送ユニット50の搬送動作は、ラックセット領域51にセットされた全ての検体ラックLに対して連続して行われる。
【0042】
検体分注ユニット21は、支持部21aと、支持部21aに支持されたアーム21bと、アーム21bの先端に取り付けられたピペット21cを備えている。支持部21aは、下面裏側に配されたステッピングモータ211a(図11参照)により回転駆動され、アーム21bは、ステッピングモータ211aにより上下方向(Z軸正方向および負方向)に駆動される。ピペット21cが用いられることにより検体が吸引され吐出される。支持部21aが回転駆動されると、ピペット21cが支持部21aを中心とした円周上を移動する。
【0043】
また、検体分注ユニット21のピペット21cには、ピペット21cの先端が液面に接触していることを検知するセンサ21d(図11参照)が配されている。これにより、ピペット21cによって検体の吸引が行われる際に、ピペット21cが下げられて検体の液面に接触したことが、このセンサからの検出信号により分かる。検体容器Tにピペット21cが挿入され、ピペット21cが所定幅下げられても液面が検知されない場合は、この検体容器Tには検体が含まれていないことが分かる。
【0044】
検体分注ユニット22も、検体分注ユニット21と同様の構成となっている。すなわち、検体分注ユニット22は、支持部22aと、アーム22bと、アーム22bの先端に取り付けられたピペット22cを備えている。支持部22aは、下面裏側に配されたステッピングモータ211b(図11参照)により回転駆動され、アーム22bは、ステッピングモータ211bにより上下方向に駆動される。ピペット22cが用いられることにより、検体が吸引され吐出される。
【0045】
また、検体分注ユニット22のピペット22cには、ピペット22cの先端が液面に接触していることを検知するセンサ22d(図11参照)が配されている。検体容器Tまたは試薬容器Cにピペット22cが挿入され、ピペット22cが所定幅下げられても液面が検知されない場合は、この検体容器Tまたは試薬容器Cには、それぞれ、検体または試薬が含まれていないことが分かる。
【0046】
検体吸引時、検体分注ユニット21、22は、まず、支持部21a、22aを回動させ、ピペット21c、22cを検体吸引位置55、56上に位置づける。しかる後、アーム21b、22bが下方向に駆動され、ピペット21c、22cが検体容器T内に挿入される。その後、吸引が完了すると、アーム21b、22bが上方向に駆動され、ピペット21c、22cが検体容器Tから抜き出される。
【0047】
検体吸引位置55、56にて吸引された検体は、直接またはキュベットテーブル15上のキュベットを経由して、キュベットテーブル15の手前に位置付けられたキュベットホルダ31上のキュベットに収容される。このとき、適宜、試薬ホルダBにセットされた試薬容器Cの試薬が、検体分注ユニット22により吸引され、キュベットに混和される。
【0048】
ここで、試薬容器Cは、試薬ホルダBによって保持されており、試薬ホルダBは、搬送路32のベルトに固定されている。かかるベルトが駆動されることにより、試薬ホルダBは、搬送路32に沿ってX軸方向に移動される。なお、搬送路32の構成については、追って図4を参照して、試薬ホルダBの構成については、追って図5を参照して説明する。
【0049】
図3(c)は、試薬容器Cの外観を示す斜視図である。
【0050】
図示の如く、試薬容器Cは、透光性を有するガラスまたは合成樹脂により構成された管状容器であり、上端が開口している。試薬容器Cの側面には、バーコードラベルC1が貼付されている。バーコードラベルC1には、試薬IDを示すバーコードが印刷されている。内部には検体容器に混和される希釈液等の試薬が収容されており、上端の開口は蓋部C2により密封されている。
【0051】
図2に戻って、試薬容器Cの試薬が吸引される場合、試薬ホルダBが搬送路32上をX軸方向に移動され、吸引対象の試薬を収容する試薬容器Cが吸引位置33に位置付けられ、検体分注ユニット22のピペット22cが、吸引位置33上に位置付けられる。しかる後、アーム22bが下方向に移動され、ピペット22cが試薬容器C内に挿入される。吸引が完了すると、アーム22bが上方向に駆動され、ピペット22cが試薬容器Cから抜き出される。吸引された試薬はキュベットホルダ31上のキュベットに吐出される。
【0052】
その後、キュベットホルダ31が右方向(X軸負方向)に駆動され、キュベットがキャッチャユニット26の前方(Y軸正方向)に搬送される。続いて、キャッチャユニット26により、キュベットホルダ31にセットされたキュベットが把持され、加温テーブル16にセットされる。しかる後に、キュベットは、キャッチャユニット27、28により搬送され、検出ユニット60にセットされる。その際、試薬分注ユニット23、24、25により、適宜、試薬テーブル11、12に保持された試薬がキュベットに注入される。その後、検出ユニット60による処理が行われ、キュベット中の測定試料に含まれる成分を反映した光学的情報が検出される。
【0053】
試薬テーブル11、12には、それぞれ、容器ラック13、14が載置されている。この容器ラック13、14には、複数の試薬容器が保持されており、かかる試薬容器に試薬が収容されている。
【0054】
キュベット供給ユニット41は、投入された複数のキュベットを、キュベット貯留部41aに順次供給することが可能に構成されている。キュベット貯留部41aに供給された新しいキュベットは、キャッチャユニット26、27により、それぞれ、キュベットテーブル15とキュベットホルダ31の保持孔にセットされる。また、分析が終了し不要となったキュベットは、キャッチャユニット27、28により、それぞれ、廃棄口42、43に廃棄される。
【0055】
なお、本実施形態では、上記手順で行われる複数の検体の連続的な測定(以下、「通常連続測定」という)の他に、通常連続測定に割り込んで、優先的に検体の測定が可能となる測定(以下、「緊急測定」という)が用意されている。すなわち、通常連続測定を行う検体(一般検体)が搬送ユニット50に存在する場合でも、通常連続測定を一時的に中断して、緊急に測定を行いたい検体(緊急検体)を測定することができる。
【0056】
この場合、ユーザは、蓋35(図1参照)を開けて、搬送路32の右端位置に位置付けられている検体ホルダSの保持部に、緊急に測定を行いたい検体を収容する検体容器Tをセットする。検体ホルダSは、検体容器Tを保持するための保持部を備えており、試薬ホルダBと連結・分離が可能となっている。なお、検体ホルダSの構成については、追って図5を参照して説明する。
【0057】
検体ホルダSに検体容器Tがセットされるまでは、試薬ホルダBは個別に駆動されて試薬の吸引位置33に位置づけられ、試薬の吸引・吐出動作が行われる。検体ホルダSに検体容器Tがセットされた後、検体ホルダSは試薬ホルダBと連結される。検体ホルダSは、試薬ホルダBの駆動に合わせて左方向(X軸正方向)に移動され、検体ホルダSにセットされた検体容器Tが、吸引位置33または34に位置付けられる。吸引位置33または34に位置付けられた検体容器Tは、検体分注ユニット21または22によって吸引されて、上記手順と同様に測定が行われる。
【0058】
検体ホルダSにセットされている全ての検体容器Tについて吸引が完了すると、検体ホルダSは、試薬ホルダBの駆動に合わせて、搬送路32の右端に位置付けられる。その後、検体ホルダSと試薬ホルダBとが分離され、試薬ホルダBは再び個別に駆動されて吸引位置33に位置づけられる。ユーザは検体ホルダSに保持されている検体容器Tを取り出し、緊急測定が終了する。
【0059】
なお、ユーザが、試薬ホルダBに保持されている試薬容器Cの交換等を行う場合と、検体ホルダSに検体容器Tのセット等を行う場合には、試薬ホルダBと検体ホルダSが、図示の如く、搬送路32の最も右端に並んで位置付けられる。以下、この場合の試薬ホルダBの位置を“試薬交換位置”と称し、検体ホルダSの位置を“検体交換位置”と称する。試薬ホルダBと検体ホルダSが、それぞれ、試薬交換位置と検体交換位置に位置付けられると、蓋35(図1参照)が開けられた場合に、ユーザが直接、試薬ホルダBと検体ホルダSにアクセス可能となる。
【0060】
図4(a)は、搬送路32の構成を示す側面図である。
【0061】
搬送路32は、搬送路32の両端部に配置された一対のプーリ32aと、プーリ32aに掛け渡されたベルト32bと、右側(X軸負方向側)のプーリ32aを回転させるステッピングモータ32cと、ステッピングモータ32cの回転数を検出するロータリーエンコーダ32dとを備えている。
【0062】
ここで、図4(a)および図5(a)に示すように、試薬ホルダBの下面(Z軸負方向
側の面)には、Y軸方向に垂直な平面を有する板状の鍔部B20cと、Z軸方向に垂直な平面を有する板状の鍔部B20eが形成されている。鍔部B20cは、先端に取付部B20dを有し、取付部B20dを介してベルト32bに固定されている。鍔部B20eは、鍔部B20eの上面に装着されたブロックB20fを介して、搬送路32の左右(X軸方向)に亘って伸びたガイドレールGによりZ軸方向に支持されている。また、かかるガイドレールGは、試薬ホルダBを支持するとともに、試薬ホルダBの位置がY軸方向にずれることを抑制している。
【0063】
このように、試薬ホルダBが搬送路32に対して設置されると、ステッピングモータ32cが駆動されてベルト32bが左右方向に移動することにより、試薬ホルダBは、ガイドレールGに支持されながら左右に移動する。試薬ホルダBの移動量は、ステッピングモータ32cの回転数としてロータリーエンコーダ32dによって検出される。ステッピングモータ32cは、ロータリーエンコーダ32dの検出結果に基づいて制御される。また、試薬ホルダBの移動始点位置は、試薬ホルダBの駆動範囲内の左端(X軸正方向の端)に設定されている。
【0064】
検体ホルダSは、ベルト32bに固定されておらず、試薬ホルダBと同様に、ガイドレールGに支持されている。このため、検体ホルダSは、試薬ホルダBと連結されるときにのみ、試薬ホルダBの駆動に合わせて、ガイドレールGに支持されながら左右に移動することが可能となる。
【0065】
図4(b)は、搬送路32の近傍の構成を示す平面図である。
【0066】
搬送路32の近傍には、5つの反射型のセンサ36と、発光部37aと受光部37bからなる透過型のセンサ37と、バーコードリーダ38と、反射型のセンサ39が配されている。
【0067】
5つのセンサ36は、検体交換位置に位置付けられた検体ホルダSの各保持位置に対応して配置され、各保持位置に検体容器Tがセットされているかを判別する。センサ37の発光部37aと受光部37bは、搬送路32の所定位置において、搬送路32を挟んでY軸方向に対向するように配されている。発光部37aから発せられた光が、受光部37bにて受光されるか否かにより、試薬ホルダBの各保持位置に試薬容器Cがセットされているかが判別される。バーコードリーダ38は、搬送路32の所定位置に隣接するように配されており、バーコードリーダ38のY軸負方向に位置付けられた検体容器T1のバーコードラベルT1と、試薬容器CのバーコードラベルC1とを読み取る。センサ39は、センサ39の真上(Z軸正方向)に鍔部B20eが位置付けられていることを検知する。これにより、試薬ホルダBが移動始点位置に位置付けられたか否かが判別される。
【0068】
図5(a)は、試薬ホルダBの構成を示す斜視図である。試薬ホルダBは、保持体B10と、保持体B10の下面(Z軸負方向側の面)に装着された金具B20から構成されている。
【0069】
保持体B10には、試薬容器Cを保持することができる保持部B10aが5つ形成されている。各保持部B10aの前側(Y軸正方向側)には、開口部B10bが形成されており、各保持部B10aの後側(Y軸負方向側)には、それぞれ、Y軸方向に貫通する孔B10cが2つ形成されている。各保持部B10aに試薬容器Cが保持されているか否かは、発光部37a(図4参照)から発せられた光が、開口部B10bと孔B10cを通して受光部38b(図4参照)にて受光されるか否かにより判別される。
【0070】
また、保持体B10には、2つのコマB11が、Y軸周りに回転可能となるように設置
されている。2つのコマB11は、図示しないシャシの上(Z軸正方向)に僅かに隙間を開けて位置付けられている。これにより、試薬ホルダBがユーザによって上から力を加えられて下方向に撓んだ場合にも、試薬ホルダBが2つのコマB11によってシャシに支持されることになる。
【0071】
金具B20には、支持部B20aと、上述の鍔部B20c、B20eが形成されている。支持部B20aは、Z軸方向に垂直な平面を有する平板となっており、支持部B20aの左右方向(X軸方向)の幅は、保持体B10の左右方向の幅に比べて僅かに長い。支持部B20aの右端には、Z軸方向に貫通する孔B20bが形成されている。孔B20bは、後述する試薬ホルダBと検体ホルダSとの連結時に用いられる。
【0072】
鍔部B20cは、Y軸方向に垂直な平面を有する平板であり、先端に取付部B20dを有する。取付部B20dは、ベルト32b(図4参照)に固定されている。鍔部B20eは、Z軸方向に垂直な平面を有する平板である。上述したように、鍔部B20eの上面側にはブロックB20fが設置されており、かかるブロックB20fを介して鍔部B20eがガイドレールGによって支持されている。
【0073】
図5(b)、(c)は、検体ホルダSの構成を示す斜視図である。検体ホルダSは、保持体S10と、保持体S10の後側(Y軸負方向側)の面に装着された金具S20と、金具S20に保持されているピンS30から構成されている。
【0074】
保持体S10には、検体容器Tを保持することができる保持部S10aが5つ形成されている。各保持部S10aの前側(Y軸正方向側)には、開口部S10bが形成されている。各保持部S10aに検体容器Tが保持されているか否かは、各保持部S10aに対応する5つのセンサ36(図4参照)によって、開口部S10bを介して判別される。
【0075】
また、保持体S10には、コマS11が、Y軸周りに回転可能となるように設置されている。コマS11は、図示しないシャシの上(Z軸正方向)に僅かに隙間を開けて位置付けられている。この他、検体ホルダSには、金具S20の後側(Y軸負方向側)の側面に、コマS11と同様のコマが2つ設置されている。これにより、検体ホルダSがユーザによって上から力を加えられて下方向に撓んだ場合にも、検体ホルダSが、これら3つのコマによってシャシに支持されることになる。
【0076】
金具S20には、支持部S20aと、鍔部S20b、S20c、S20hと、ピンホルダS20eが形成されている。
【0077】
支持部S20aは、Z軸方向に垂直な平面を有する平板であり、支持部S20aの左右方向(X軸方向)の幅は、保持体S10の左右方向の幅の2倍程度となっている。鍔部S20b、S20cは、Z軸方向に垂直な平面を有する平板であり、それぞれ、支持部S20aの左と右に形成されている。鍔部S20hは、鍔部S20bの下方に設けられており、試薬ホルダBの鍔部B20eと同様に、鍔部S20hの上面にブロックS20iが配置されている。かかるブロックS20iを介して鍔部S20hがガイドレールGによって支持されている。
【0078】
鍔部S20cの左端(X軸正方向の端)には、図5(c)に示す如く、Z軸方向に貫通する孔S20dが形成されている。孔S20dの径は、ピンS30の棒S31の径と略同じである。また、鍔部S20cの下面は、支持部S20aの上面よりも、上(Z軸正方向)に位置している。
【0079】
ピンホルダS20eは、図5(c)に示す如く、鍔部S20cの上面に形成されている
。また、ピンホルダS20eには、Z軸方向に垂直な平面を有する平板S20fが形成されている。平板S20fには、Z軸方向に貫通する孔S20gが形成されている。孔S20gの径は、ピンS30の棒S31の径と略同じである。
【0080】
ピンS30は、図5(c)に示す如く、棒S31と、鍔部S32と、ストッパS33から構成されている。棒S31は、上下方向に伸びた円柱状の棒である。鍔部S32は、後述するように、ピンS30が上下方向(Z軸方向)に移動されるときに把持される。ストッパS33は、棒S31の径よりも大きい径を有しており、ストッパS33がピンホルダS23の平板S20fに掛かることにより、ピン30がピンホルダS20eに対して所定高さに保持される。なお、ピンS30は、ピンホルダS20eから抜き取ることが可能となっている。
【0081】
図6は、試薬ホルダBと検体ホルダSとの連結を説明する図である。なお、同図においては、便宜上、検体ホルダSから、保持体S10の図示が省略されている。
【0082】
図6(a)は、搬送路32上にある試薬ホルダBと検体ホルダSを示す斜視図である。同図では、ピンS30のストッパS33が、ピンホルダS20eの平板S20fに掛かることにより、ピンS30が保持されている。
【0083】
図示の如く、試薬ホルダBと検体ホルダSが搬送路32上にあるとき、試薬ホルダBの支持部B20aのY軸方向の位置は、検体ホルダSの支持部S20aのY軸方向の位置と同じになる。また、試薬ホルダBの支持部B20aの下面は、検体ホルダSの支持部S20aの上面よりも、僅かに上(Z軸正方向)に位置する。
【0084】
図6(b)は、ピンホルダS20eに保持されているピンS30が、上方向(Z軸正方向)に所定幅だけ引き上げられた状態を示す斜視図である。
【0085】
ピンS30が所定幅だけ引き上げられると、図示の如く、ピンホルダS20eの下側から突出している棒S31の上下方向の突出幅は、同図(a)の場合に比べて短くなっている。試薬ホルダBと検体ホルダSが連結される場合には、このようにピン30が所定幅だけ引き上げられた状態で、同図(a)の状態から試薬ホルダBが右方向に移動される。試薬ホルダBの孔B20bのX軸方向の位置と、棒S31のX軸方向の位置が一致したときに、ピンS30が同図(b)の状態から下方向に戻されて、ストッパS33が平板S20fに掛けられる。こうすると、棒S31が、試薬ホルダBの孔B20bに通され、棒S31と孔20bが係合することとなる。こうして、試薬ホルダBと検体ホルダSとが、図6(c)に示す如く、連結される。
【0086】
図7は、把持ユニット100の構成を示す斜視図である。なお、同図(a)は、把持体120が下げられて、回転体130が傾けられている状態を示し、同図(b)は、把持体120が上げられて、回転体130が傾けられていない状態を示している。以下、同図(a)、(b)を参照して把持ユニット100について説明する。
【0087】
把持ユニット100は、保持体110と、把持体120と、回転体130から構成されている。
【0088】
保持体110には、プランジャ111と支軸112が設置されている。プランジャ111は、支軸111a(同図(b)参照)を介して把持体120を支持すると共に、把持体120の上下位置(Z軸方向の位置)を、同図(a)または(b)の如く設定する。支軸112は、把持体120を、把持体120の上下位置に合わせて支持している。また、支軸112には、バネ112aが配されており、バネ112aは、把持体120を押し上げ
ている。
【0089】
また、保持体110には、ピンS30の棒S31の上端をX軸負方向およびY軸方向から支持することができる開口110aが形成されている。なお、保持体110は、測定装置2内の搬送路32の右端(X軸負方向の端)の右側に固定されている。
【0090】
プランジャ111に電流が印加されると、同図(a)に示す如く、バネ112aの付勢に抗して把持体120が下に位置付けられる。他方、プランジャ111に電流が印加されない場合、同図(b)に示す如く、バネ112aの付勢により把持体120が上に位置付けられる。
【0091】
把持体120は、支持部121と、2つの把持部122から構成されている。支持部121は、プランジャ111の支軸111aと、支軸112によって支持され、バネ112aにより上向きに付勢されている。2つの把持部122は、支持部121の前後の側面(Y軸正方向と負方向の側面)に固定されている。また、把持部122には、ピンS30の鍔部S32を把持できる開口122aが形成されている。
【0092】
回転体130は、支軸131と、係合板132と、てこ板133から構成されている。支軸131は、係合板132と保持体110に形成された孔に通されている。これにより、係合板132は、支軸131を中心としてY軸周りに回転可能となっている。係合板132には、左端(X軸正方向の端)に係合部132aが形成されている。係合部132aは、開口110aに収容された棒S31の上端をX軸正方向およびZ軸正方向から支持することができる。てこ板133は、図示の如く、平板を90度折り曲げたような形状であり、係合板132に固定されている。これにより、てこ板133は、係合板132と同様、支軸131を中心に回転される。
【0093】
また、回転体130には、回転体130の回転角度が、同図(a)に示す状態に収束するようにバネ(図示せず)が設置されている。これにより、外部から力が加えられない場合、回転体130の回転角度は、同図(a)に示す如く水平方向に対してやや傾いた状態となる。他方、てこ板のZ軸負方向の端が、同図(b)に示す如く、X軸負方向(矢印方向)に押されると、回転体130は支軸131を中心にY軸周りに回転され、係合板132が保持体110の上面に接する。これにより、回転体130の回転角度は、同図(b)に示す如く水平方向に一致する。
【0094】
図8は、試薬ホルダBと検体ホルダSが、分離状態から連結状態へと移行する過程を説明する図である。
【0095】
同図(a)を参照して、通常連続測定において、試薬ホルダBと検体ホルダSは、図示の如く切り離されている。このとき、試薬ホルダBは、上述したように、搬送路32のステッピングモータ32c(図4(a)参照)の駆動により、搬送路32に沿って左右に移動される。他方、検体ホルダSは、搬送路32の右端位置(検体交換位置)に位置付けられている。このとき、把持ユニット100は、検体ホルダSのピンS30を上に所定幅持ち上げて把持している。
【0096】
図8(a)のようにピンS30が上に持ち上げられる手順、すなわち、検体ホルダSが試薬ホルダBから切り離される手順は、以下による。
【0097】
まず、把持ユニット100が図7(a)に示した状態とされる。すなわち、プランジャ111に電流が印加されて把持体120が下に位置付けられ、回転体130が回転体130内のバネにより傾けられた状態とされる。この状態で、検体ホルダSが、試薬ホルダB
と一体的に搬送ユニット32上を右方向に移動される。これにより、ピンS30の鍔部S32が開口122aに収容される。また、検体ホルダSの保持体S10の右側面(X軸負方向の側面)により、てこ板133が押され、回転ユニット130が水平状態とされる。図9(a)は、この状態を示す部分図である。
【0098】
図9(a)の状態から、次に、プランジャ111に対する電流の印加が停止され、支持部121が上方向に持ち上げられる。これにより、把持部122に把持されている鍔部S32が上に持ち上げられ、図9(b)に示す如く、棒S31の上端が係合部132aにより保持されることとなる。このようにして、通常連続測定時には、図8(a)に示す状態となる。なお、このとき、棒S31は、係合部132aに保持されているため、検体ホルダSが図8(a)の右端位置から動くことが抑制される。また、棒S31の下端は、試薬ホルダB側の孔20bから抜けるため、試薬ホルダBは個別に移動可能となる。
【0099】
次に、試薬ホルダBと検体ホルダSが連結される場合の手順について説明する。
【0100】
図8(b)を参照して、まず、試薬ホルダBの金具B20の孔B20bが、検体ホルダSの棒S31の真下に位置付けられるよう、試薬ホルダBが搬送路32上を右方向に移動される。孔B20bが棒S31の真下に位置付けられると、プランジャ111に電流が印加される。これにより、把持部122が下に移動され、棒S31の下端が孔B20bに挿入される。これにより、試薬ホルダBと検体ホルダSとが連結される。
【0101】
こうして、図8(c)に示す如く、検体ホルダSは、試薬ホルダBが搬送路32上を駆動されることにより、試薬ホルダBと一体となって搬送路32上を移動することとなる。しかる後、プランジャ111に対する電流の印加が停止され、バネ112aの付勢により把持部122が上に移動される。
【0102】
その後、試薬ホルダBと検体ホルダSが分離される場合は、上記連結の手順が逆に行われる。すなわち、プランジャ111に電流を印加して把持部122を下に移動させた後、一体となっている駆動試薬ホルダBと検体ホルダSが、図8(c)に示す状態から右端に移動される。試薬ホルダBと検体ホルダSが、それぞれ、試薬交換位置と検体交換位置に位置付けられると、把持ユニット100のプランジャ111に対する電流の印加が停止され、同図(b)に示す如く、把持部122が上に位置付けられる。こうして、試薬ホルダBと検体ホルダSが分離され、同図(a)に示す如く、試薬ホルダBが個別に移動されるようになる。
【0103】
図10は、蓋35の構成を示す斜視図である。
【0104】
同図(a)に示す如く、蓋35は、搬送ユニット50のラックセット領域51の奥側(Y軸負方向側)に位置している。蓋35の下面側には、プッシュラッチが配されている。これにより、蓋35が閉じられているとき(同図(a)の状態)、領域35aを押すとラッチが開放され、蓋35はバネの力で開く。蓋35が開いているとき(同図(b)の状態)、蓋35が閉じられて領域35aが押されると、ラッチにより蓋が閉じた状態に固定される。
【0105】
かかるプッシュラッチには、蓋35が閉じられているときに、ユーザによって蓋35が開けられないようにするロック機構(図示せず)が備えられている。ロックのON/OFFは、測定装置2のCPU201(図11参照)によって制御される。
【0106】
また、蓋35の手前(Y軸正方向)には、インジケータ35bが設置されている。インジケータ35bは、蓋35のロックがONに設定されているとオレンジ色に点灯し、蓋3
5のロックがOFFに設定されていると緑色に点灯する。さらに、蓋35にはセンサ35c(図11参照)が配置されている。センサ35cから出力される検出信号により、蓋35の開閉状態が分かる。
【0107】
なお、図10(b)に示す如く、蓋35が開かれると、この開かれた領域を介して、ユーザは、試薬交換位置にある試薬ホルダBと、検体交換位置にある検体ホルダSにアクセスすることができるようになる。
【0108】
図11は、測定装置2の回路構成を示す図である。
【0109】
測定装置2は、制御部200と、分注ユニットステッピングモータ部211と、分注ユニットロータリーエンコーダ部212と、モータ駆動回路213と、センサ部214と、ステッピングモータ32cと、ロータリーエンコーダ32dと、モータ駆動回路221と、センサ部222と、バーコードリーダ部223と、測定ユニット駆動部224を含んでいる。
【0110】
また、制御部200は、CPU201と、ROM202と、RAM203と、ハードディスク204と、通信インターフェース205と、I/Oインターフェース206を有する。
【0111】
CPU201は、ROM202に記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM203にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM203は、ROM202およびハードディスク204に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM203は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU201の作業領域としても利用される。ハードディスク204には、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU201に実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。また、通信インターフェース205により、情報処理装置3に対してデータの送受信が可能となる。
【0112】
また、CPU201は、I/Oインターフェース206を介して、分注ユニットロータリーエンコーダ部212と、モータ駆動回路213と、センサ部214と、ロータリーエンコーダ32dと、モータ駆動回路221と、センサ部222と、バーコードリーダ部223と、測定ユニット駆動部224とに接続されている。
【0113】
分注ユニットステッピングモータ部211は、検体分注ユニット21の支持部21a、検体分注ユニット22の支持部22aをそれぞれ独立して回転駆動させるステッピングモータ211a、211bで構成されている。分注ユニットロータリーエンコーダ部212は、検体分注ユニット21、22のそれぞれのステッピングモータ211a、211bに配されたロータリーエンコーダ212a、212bで構成されている。
【0114】
モータ駆動回路213は、CPU201の制御により、分注ユニットステッピングモータ部211に含まれるステッピングモータ211a、211bを駆動させる。モータ駆動回路221は、CPU201の制御により、ステッピングモータ32cを駆動させる。
【0115】
なお、分注ユニットロータリーエンコーダ部212を構成する各ロータリーエンコーダと、ロータリーエンコーダ32dには、インクリメンタル方式のものが用いられている。このロータリーエンコーダは、ステッピングモータの回転変位量に応じたパルス信号を出力するように構成されており、ロータリーエンコーダから出力されたパルス数をカウントすることで、ステッピングモータの回転量を検出することができる。
【0116】
センサ部214は、検体分注ユニット21のセンサ21dと、検体分注ユニット22のセンサ22dで構成されている。センサ部222は、センサ35c、36、37、39などで構成されている。
【0117】
バーコードリーダ部223は、バーコードリーダ38、54で構成されている。測定ユニット駆動部224は、インジケータ35bと、インジケータ35bを駆動させる駆動回路とを含んでいる。この他、測定ユニット駆動部224は、検体分注ユニット21、22と試薬分注ユニット23〜25の分注動作が行われるよう、これら分注ユニットに圧力を供給する空圧源と、各テーブル(試薬テーブル11、12、キュベットテーブル15、加温テーブル16)を駆動させる駆動部と、搬送ユニット50上で検体容器Tを搬送するための駆動部などを含んでいる。
【0118】
図12は、情報処理装置3の回路構成を示す図である。
【0119】
情報処理装置3は、パーソナルコンピュータからなっており、本体300と、入力部310と、表示部320から構成されている。本体300は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、ハードディスク304と、読出装置305と、入出力インターフェース306と、画像出力インターフェース307と、通信インターフェース308を有する。
【0120】
CPU301は、ROM302に記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM303にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM303は、ROM302およびハードディスク304に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM303は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU301の作業領域としても利用される。
【0121】
ハードディスク304には、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU301に実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。すなわち、ハードディスク304には、測定についてのスケジューリングを行うプログラムや、検体ホルダSが保持している検体容器Tの状態と、緊急測定を行う検体容器Tについてのオーダを表示部320上に表示等を行うプログラムや、測定装置2との間で緊急測定についての指示や通知を送受信するためのプログラム等がインストールされている。
【0122】
読出装置305は、CDドライブまたはDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムおよびデータを読み出すことができる。入出力インターフェース306には、マウスやキーボードからなる入力部310が接続されており、操作者が入力部310を使用することにより、情報処理装置3にデータが入力される。画像出力インターフェース307は、ディスプレイ等で構成された表示部320に接続されており、画像データに応じた映像信号を、表示部320に出力する。表示部320は、入力された映像信号をもとに、画像を表示する。また、通信インターフェース308により、測定装置2に対してデータの送受信が可能となる。
【0123】
図13は、情報処理装置3の表示部320に表示される緊急測定情報画面の例示図である。緊急測定情報画面には、インジケータ表示領域410と、オーダリスト表示領域420と、セット検査チェックボックス表示領域430と、操作パネル領域440が含まれている。
【0124】
インジケータ表示領域410には、検体ホルダSの5つの保持部S10aにそれぞれ対
応して、1〜5の番号が付されたアイコンが表示されている。保持部S10aに検体の吸引が完了した検体容器Tがあるとき、この保持部S10aに対応するアイコンは青色となる。また、保持部S10aに検体の吸引が未完了である検体容器Tがあるとき、この保持部S10aに対応するアイコンは赤色となる。また、保持部S10aに検体容器Tが保持されていないとき、この保持部S10aに対応するアイコンは白色となる。
【0125】
オーダリスト表示領域420には、5つの保持部S10aにそれぞれ対応して、5つのオーダリストが表示されている。各保持部S10aに対応するオーダには、検体を特定するための検体番号の他、この保持部S10aに保持されている検体について行う緊急測定の測定項目が表示される。ユーザは、保持部S10aと測定項目とに対応する枠内を押下し、チェックを表示させることによって、保持部S10aにセットされた検体容器Tのオーダを設定する。なお、インジケータ表示領域410のアイコンの色が赤色から青色に変更されると、このアイコンに対応する保持部S10aのオーダは削除される。
【0126】
オーダリスト表示領域420の下側および右側には、オーダリスト表示領域420の表示内容を、それぞれ、左右および上下に移動させるためのスクロールバー421、422が表示されている。セット検査チェックボックス表示領域430には、緊急測定の測定項目の設定の際に、あらかじめ決められた測定項目を一度に設定できるボタンが配されている。
【0127】
操作パネル領域440は、オーダ登録ボタン441と緊急測定開始ボタン442とを含んでいる。
【0128】
オーダ登録ボタン441が押下されると、オーダリスト表示領域420に表示されているオーダリストが登録される。検体ホルダSに緊急測定の対象となる検体容器Tがセットされ、オーダリストが登録されているときに、ユーザにより、緊急測定開始ボタン442が押下されると、緊急測定が開始される。緊急測定開始ボタン442は、緊急測定が開始可能である場合に有効表示されている。ユーザは、緊急測定開始ボタン442が有効表示となっている場合にのみ、押下することができる。
【0129】
なお、オーダ登録ボタン441によってオーダが登録される他に、緊急測定開始ボタン442が押下された後に、測定装置2からホストコンピュータ(図示せず)にオーダが問い合わされ、問い合わせ結果に基づいてオーダが登録されるようにしても良い。この場合、バーコードリーダ38により読み取られた検体容器TのバーコードラベルT1に基づいて、情報処理装置3と通信可能に接続されたホストコンピュータに、測定装置2からオーダが問い合わされる。
【0130】
測定装置2のCPU201は、緊急測定開始ボタン442がユーザにより押下されるまでは、上述した通常連続測定を行うように測定ユニット10および搬送ユニット50を制御し、この通常連続測定が行われている間は、検体ホルダSを搬送路32上の検体交換位置に待機させた状態で、試薬ホルダBを試薬の吸引位置33に個別に移動させている。
【0131】
図14(a)は、緊急測定が行われる場合のユーザによる作業を示すフローチャートである。
【0132】
ユーザは、まず、蓋35を開けて(S101)、検体交換位置にある検体ホルダSに緊急測定を行う検体容器Tをセットする(S102)。続いて、ユーザは、蓋35を閉めて(S103)、情報処理装置3の緊急測定開始ボタン442(図13参照)を押下する(S104)。これにより、緊急測定が開始される。
【0133】
次に、検体ホルダSに保持された全ての検体容器Tについて緊急測定が完了すると、ユーザは、蓋35を開けて(S105)、検体交換位置にある検体ホルダSにセットされている検体容器Tを取り出す(S106)。こうして処理が終了する。
【0134】
図15は、緊急測定が行われる場合の測定装置2による処理を示すフローチャートである。なお、検体ホルダSが検体交換位置にあるとき、各保持部S10aに検体容器Tがセットされているか否かは、測定装置2のCPU201により、センサ36の出力信号に基づいて常に監視されている。また、センサ36による監視結果は、逐一情報処理装置3に送信されている。
【0135】
CPU201は、ユーザにより蓋35が閉められたことがセンサ35c(図11参照)により検知されると(S201:YES)、検体交換位置にある検体ホルダSに検体容器Tが保持されているかを判定する(S202)。かかる判定は、センサ36による監視結果に基づいて行われる。
【0136】
CPU201は、検体ホルダSに1以上の検体容器Tが保持されていると判定すると(S202:YES)、検体容器Tがセットされていることを情報処理装置3に送信する(S203)。続いて、CPU201は、情報処理装置3から緊急測定開始指示を受信すると(S204:YES)、蓋35のロックをONにして、インジケータ35bをオレンジ色に点灯させる(S205)。
【0137】
次に、CPU201は、試薬ホルダBを搬送路32に沿って試薬交換位置に移動させる(S206)。さらにCPU201は、上述したように、試薬ホルダBと検体ホルダSを連結させた後(S207)、試薬ホルダBを移動させて、検体ホルダSをバーコードリーダ38による読取可能な位置に移動させる(S208)。
【0138】
続いて、CPU201は、バーコードリーダ38により、保持部S10aに保持されている検体容器TのバーコードラベルT1を順に読み取る(S209)。なお、このとき、バーコードリーダ38に対向する位置に位置付けられるのは、S201において蓋35が閉められた時点で検体容器Tが保持されていることが検知された保持部S10aのみである。
【0139】
次に、CPU201は、検体ホルダSを吸引位置33または34に位置付けて(S210)、検体容器Tに収容されている検体を検体分注ユニット21または22に吸引させ、吸引した検体についての測定を順に行う(S211)。なお、CPU201は、検体分注ユニット21または22により検体容器Tの吸引が行われると、この検体容器Tの吸引が完了したことを逐一情報処理装置3に送信する。
【0140】
検体ホルダSに保持されている全ての検体容器Tについて吸引が終了すると、CPU201は、一体となっている試薬ホルダBと検体ホルダSを、搬送路32の右端位置に位置付ける(S212)。すなわち、試薬ホルダBは試薬交換位置に、検体ホルダSは検体交換位置に位置付けられる。この状態で、CPU201は、上述したように、試薬ホルダBと検体ホルダSを分離し(S213)、通常連続測定のために、試薬ホルダBのみを左方向に移動させる(S214)。続いて、CPU201は、蓋35のロックをOFFにして、インジケータ35bを緑色に点灯させる(S215)。こうして処理が終了する。
【0141】
図14(b)は、緊急測定が行われる場合の情報処理装置3による処理を示すフローチャートである。なお、測定装置2から検体ホルダSにセットされている検体容器Tの検知情報が受信されると、インジケータ表示領域410内の対応するアイコンの色が更新される。
【0142】
情報処理装置3のCPU301は、測定装置2から検体ホルダSに検体容器Tがセットされていることを受信すると(S301:YES)、緊急測定開始ボタン442を有効表示にする(S302)。続いて、CPU301は、緊急測定開始ボタン442がユーザにより押下されたと判定すると(S303:YES)、緊急測定開始指示を測定装置2に送信し(S304)、緊急測定開始ボタン442を無効表示にする(S305)。こうして処理が終了する。
【0143】
なお、CPU301は、緊急測定中に、測定装置2から検体容器Tの吸引が完了したことを受信すると、インジケータ表示領域410内の、対応するアイコンの色を更新する。こうすると、インジケータ表示領域420のアイコンの色により、セットされている検体容器Tについて既に吸引が完了しているか否かが分かるため、ユーザは、検体ホルダSから取り出すことのできる検体容器Tを容易に把握することができる。
【0144】
以上、本実施形態によれば、試薬ホルダBと検体ホルダSが、1つの搬送路32上で移動される。これにより、試薬ホルダBと検体ホルダSが異なる搬送路上で移動される場合に比べ、測定装置2の省スペース化を図ることができる。
【0145】
また、本実施形態によれば、ユーザは、蓋35を開けて検体交換位置にある検体ホルダSに検体容器Tをセットすることができる。これにより、通常連続測定が行われている場合でも、緊急測定の対象となった検体を収容する検体容器Tを、検体ホルダSにセットすることができる。結果、この検体容器Tをセットする際に、ユーザに生じる待ち時間を抑制することができる。
【0146】
また、本実施形態によれば、検体ホルダSに検体容器Tがセットされて、緊急測定開始ボタン442が押下されると、通常連続測定に割り込んで、この検体容器Tに収容される検体の測定が行われる。これにより、通常連続測定が行われている場合でも、緊急測定の対象となった検体の測定が、迅速に行われ得る。
【0147】
また、本実施形態によれば、1つのステッピングモータ32cが駆動されることにより、試薬ホルダBと検体ホルダSが、搬送路32上を左右に移動される。これにより、搬送路32および搬送機構が簡素に構成されるため、測定装置2の小型化を図ることができる。
【0148】
また、本実施形態によれば、試薬ホルダBと検体ホルダSとが、試薬ホルダBの孔B20bにピンS30が挿入されることにより連結されるため、試薬ホルダBと検体ホルダSとの連結・分離が、容易に行われ得る。
【0149】
なお、本実施形態において、試薬ホルダBと検体ホルダSが連結して移動しているときに、搬送路32上で試薬ホルダBと検体ホルダSが分離してしまった場合でも、以下の手順により、試薬ホルダBと検体ホルダSの連結が回復され得る。
【0150】
図16は、試薬ホルダBと検体ホルダSの連結が回復される過程を説明する図である。なお、同図においては、便宜上、検体ホルダSから、保持体S10の図示が省略されている。
【0151】
同図(a)は、搬送路32上で試薬ホルダBと検体ホルダSが分離してしまった状態を示す斜視図である。なお、同図(a)の状態となる要因として、試薬ホルダBが個別に移動されている場合に、ユーザが検体交換位置にある検体ホルダSに接触して、検体ホルダSが把持ユニット100から外れて左方向に移動した場合が挙げられる。
【0152】
試薬ホルダBと検体ホルダSが同図(a)に示す状態にあるとき、まず、試薬ホルダBが右方向(X軸負方向)に移動される。こうすると、同図(b)に示す如く、試薬ホルダBの支持部B20aが、ピンS30の棒S31の下端側面を押すことになる。また、このとき、把持ユニット100の把持部122が下に位置付けられるように、プランジャ111に電流が印加される。
【0153】
こうして試薬ホルダBの支持部B20aが棒S31を押し続けると、ピンS30の鍔部S32が把持部122の開口122aに収容される。ここで把持部122が上に位置付けられるように、プランジャ111に対する電流の印加が停止されると、同図(c)に示す如く、棒S31の下端が支持部B20aの上面よりも僅かに上に位置付けられる。
【0154】
同図(c)の状態から、さらに試薬ホルダBが右方向に移動されると、試薬ホルダBの保持体B10の右側面が、ピンホルダS20eの左側面に接触する。このとき、検体ホルダSの保持体S10の右側面が把持ユニット100に押しあてられることにより、係合部132aが棒S31の上端に係合する。これにより、検体ホルダSが左右に移動しなくなる。また、このとき、孔B20bが棒31よりも僅かに右側に位置付けられる。
【0155】
同図(d)の状態で、支持部122が下に位置付けられるように、プランジャ111に電流が印加されると、棒S31の下端が支持部B20aの上面に押しつけられる。この状態で、試薬ホルダBが左方向に移動されると、孔B20bと棒S31の位置が一致したときに、棒S31が孔B20bに嵌め込まれる。こうして、試薬ホルダBと検体ホルダSの連結が回復される。
【0156】
次に、上記実施形態において緊急測定が行われる場合に、試薬切れが生じる場合について説明する。
【0157】
図17(a)は、緊急測定中に試薬切れが生じた場合のユーザによる作業を示すフローチャートである。緊急測定中に試薬切れが生じると、後述のように、緊急測定が中断されて、試薬ホルダBは試薬交換位置に位置付けられる。
【0158】
このとき、ユーザは、まず蓋35を開けて(S151)、試薬交換位置にある試薬ホルダBに必要な試薬を収容する試薬容器Cをセットする(S152)。続いて、ユーザは、蓋35を閉めて(S153)、情報処理装置3の緊急測定開始ボタン442(図13参照)を押下する(S154)。これにより、緊急測定が再開される。こうして処理が終了する。
【0159】
ここで、S151において蓋53が開けられてから、S153において蓋53が閉じられるまでの間(監視期間)において、検体ホルダSに保持されている検体容器Tの保持状態が変化していないかが、5つのセンサ36により監視される。検体容器Tの保持状態が監視されるのは、蓋35が開けられているために、誤った測定が行われないようにするためである。
【0160】
すなわち、蓋35が開けられていると、ユーザは、試薬交換位置にある試薬ホルダBだけでなく検体交換位置にある検体ホルダSにもアクセスすることができる。これにより、監視期間において、検体分注ユニット21、22による吸引が未完了(インジケータ表示領域410において赤色)である検体が抜き取られる場合が想定される。このように、監視期間において、検体容器Tが抜き出されると、蓋35が開けられる前のオーダリストに従って測定が行われてしまうため、適正な測定結果が得られなくなる。
【0161】
そこで本実施形態では、インジケータ表示領域410において赤色となっている保持部S10aに保持されている検体容器Tが、監視期間において抜き取られた場合には、図19(a)に示すように、オーダリスト表示領域420の該当行(図ではPos.2)がマスクされ、表示部320に図19(b)に示すメッセージが表示される。そして、この保持部S10aに対応するインジケータ表示領域410のアイコンの色が白色に変更される。
【0162】
なお、インジケータ表示領域410において青色となっている保持部S10aに保持されている検体容器Tが、監視期間において抜き出された場合には、測定結果に影響がないため、図19(b)に示すメッセージは表示されない。
【0163】
図18は、緊急測定中に試薬切れが生じた場合の測定装置2による処理を示すフローチャートである。なお、緊急測定中は、試薬ホルダBと検体ホルダSとが一体となって移動している。
【0164】
測定装置2のCPU201は、検体分注ユニット22により、試薬切れが検知されると(S251:YES)、緊急測定を中断する(S252)。すなわち、検体分注ユニット22のロータリーエンコーダ212b(図11参照)により、ピペット22cが試薬容器Cの底面近くまで下げられたと判断される場合に、センサ22dによりこの試薬容器C内の試薬の液面が検出されていないと、この試薬容器C内の試薬が空になっていると判断される。すなわち、試薬容器C内の試薬が所定量以下になったときに、試薬切れが検知される。こうして試薬切れが検知されると、検体ホルダSに保持されている検体容器Tの吸引が中断される。
【0165】
続いて、CPU201は、一体となっている試薬ホルダBと検体ホルダSを、搬送路32の右端位置に位置付ける(S253)。すなわち、試薬ホルダBは試薬交換位置に、検体ホルダSは検体交換位置に位置付けられる。また、CPU201は、蓋35のロックをOFFにして、インジケータ35bを緑色に点灯させる(S254)。さらに、CPU201は、情報処理装置3に緊急測定中断の通知を送信する(S255)。
【0166】
次に、CPU201は、ユーザにより試薬容器Cがセットされた後、蓋35が閉められたことをセンサ35b(図11参照)により検知すると(S256:YES)、情報処理装置3から緊急測定再開指示を受信したかを判定する(S257)。CPU201は、緊急測定再開指示を受信すると(S257:YES)、蓋35のロックをONにして、インジケータ35bをオレンジ色に点灯させる(S258)。
【0167】
続いて、CPU201は、試薬ホルダBをセンサ37の発光部37aと受光部37bとの間に位置付ける(S259)。CPU201は、センサ37に位置付けられた保持部B10aに試薬容器Cがあると判定すると(S260:YES)、試薬ホルダBをバーコード38の前に移動させて(S261)、バーコード38により、この保持部B10aにセットされた試薬容器CのバーコードラベルC1を読み取る(S262)。他方、CPU201は、センサ37に位置付けられた保持部B10aに試薬容器Cがないと判定すると(S260:NO)、処理がS263まで進められる。
【0168】
CPU201は、全ての保持部B10aに対して、S259〜S262までの処理が完了したと判定すると(S263:YES)、処理がS264に進められる。他方、CPU201は、全ての保持部B10aに対して、S259〜S262までの処理が完了していないと判定すると(S263:NO)、処理がS259に戻される。
【0169】
CPU201は、S260で判定した結果に基づき、試薬ホルダBに試薬容器Cが全く
保持されていないと判定すると(S264:YES)、処理がS253に戻される。他方、CPU201は、試薬ホルダBに1以上の試薬容器Cが保持されていると判定すると(S264:NO)、中断していた緊急測定を再開させ(S265)、処理が終了する。
【0170】
図17(b)は、緊急測定中に試薬切れが生じた場合の情報処理装置3による処理を示すフローチャートである。
【0171】
情報処理装置3のCPU301は、測定装置2から緊急測定中断の通知を受信すると(S351:YES)、緊急測定開始ボタン442を有効表示にする(S352)。また、CPU301は、図19(c)に示すように、表示部320に試薬切れが生じたことを示すメッセージを表示する(S353)。
【0172】
続いて、CPU301は、緊急測定開始ボタン442がユーザにより押下されたと判定すると(S354:YES)、緊急測定再開指示を測定装置2に送信する(S355)。こうして処理が終了する。
【0173】
以上、本発明の実施形態ついて説明したが、本発明は、上記実施形態に制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も上記以外に種々の変更が可能である。
【0174】
たとえば、上記実施形態では、検体処理装置1を血液凝固分析装置としたが、これに限定されるものではない。検体処理装置1は、例えば、血清を測定する免疫分析装置、血液中の血球を計数する血球計数装置、尿を測定する尿分析装置、又は骨髄液を分析する分析装置とすることもできる。
【0175】
また、上記実施形態では、搬送路32上の左側に試薬を保持する試薬ホルダBが、搬送路32上の右側に検体を保持する検体ホルダSが配されたが、搬送路32上に配される2つのホルダには、上記実施形態の組み合わせ以外のものが保持されるようにしても良い。
【0176】
図20(a)は、左側のホルダに試薬の一種である洗浄液が、右側のホルダに試薬の一種である希釈液がセットされている場合の搬送路32の平面図を模式的に示す図である。
【0177】
この場合、希釈液が十分収容されているときは、同図上段に示す如く、左右のホルダが連結して一体駆動される。ここで、検体分注ユニット22のセンサ22dにより、希釈液切れが検出されると、連結して一体駆動となっている2つのホルダは、同図中段に示す如く、それぞれ、搬送路32上右端にある各ホルダに対応した交換位置に位置付けられる。
【0178】
2つのホルダが交換位置に位置付けられると、これらホルダの連結が解除され、洗浄液を保持するホルダは、同図下段に示す如く、個別に移動される。洗浄液は、検体分注ユニット21、22のピペット21c、22cの洗浄に用いられる。他方、希釈液を保持するホルダに対応した交換位置では、希釈液の交換が行われる。
【0179】
希釈液の交換作業が終了し、且つ、洗浄作業が終了すると、個別移動されていた洗浄液を保持するホルダは、このホルダの交換位置まで移動され、2つのホルダが連結される。こうして、2つのホルダは、同図上段に示す如く、再び一体駆動される。
【0180】
図20(b)は、洗浄液および希釈液の組合せとは異なる組合せの2つの試薬が2つのホルダにセットされている場合の搬送路32の平面図を模式的に示す図である。
【0181】
この場合、左右のホルダに試薬が十分収容されているときは、同図上段に示す如く、左右のホルダは連結して一体駆動されている。ここで、検体分注ユニット22のセンサ22
dにより、右側のホルダの試薬切れが検出されると、これら2つのホルダは、同図中段に示す如く、各ホルダに対応した交換位置に位置付けられる。
【0182】
2つのホルダが交換位置に位置付けられると、これらホルダの連結が解除され、左側のホルダは、同図下段に示す如く、個別に移動される。このとき、左側のホルダに収容されている試薬だけを用いた測定動作が行われる。他方、右側のホルダに対応した交換位置では、右側のホルダの試薬の交換が行われる。
【0183】
右側のホルダの試薬交換作業が終了すると、個別移動されていた左側のホルダは、このホルダの交換位置まで移動され、2つのホルダが連結される。こうして、2つのホルダは、同図上段に示す如く、再び一体駆動される。
【0184】
また、2つのホルダの両方に試薬がセットされている場合に、2つのホルダに同じ種類の試薬がセットされるようにしても良い。この場合、左側のホルダの試薬のみが測定に用いられ、右側のホルダは、通常、このホルダに対応した交換位置(右端位置)に位置付けられている。ここで、左側のホルダの試薬の残量が所定量以下になると、左側のホルダを搬送路32の右端位置に移動させて左側のホルダと右側のホルダとを連結させ、連結された2つのホルダを搬送路上で移動させ、検体分注ユニット22により、右側のホルダの試薬容器から吸引された試薬が、左側のホルダに吐出されるようにする。こうすると、ユーザは右側のホルダを常に補充用のホルダとして使うことができる。
【0185】
図21(a)は、搬送路32の右端と左端に、それぞれ、右側のホルダの交換位置と左側のホルダの交換位置が設定されている場合の搬送路32の平面図を模式的に示す図である。なお、2つのホルダには、同じ試薬がセットされているものとする。また、右側のホルダの試薬が優先的に使用されるものとする。
【0186】
この場合、左右のホルダに試薬が十分収容されているときは、同図上段に示す如く、左右のホルダは連結して一体駆動されている。ここで、右側のホルダの試薬切れが検出されると、右側のホルダは、同図中段に示す如く、このホルダに対応した交換位置(右端位置)に位置付けられる。しかる後、これらホルダの連結が解除され、左側のホルダは、同図下段に示す如く、個別に移動される。このとき、左側のホルダを用いて測定動作が行われる。右側のホルダの試薬交換作業が終了すると、2つのホルダは連結され、同図上段に示す如く、再び一体駆動される。
【0187】
なお、左側のホルダの個別移動中に左側のホルダの試薬切れが検出されると、左側のホルダは、搬送路32の左端にある、このホルダの交換位置まで移動され、試薬交換作業が行われる。左側のホルダの試薬交換作業が終了すると、左側のホルダは再び個別移動される。
【0188】
左右のホルダの試薬切れは、図18のS251の場合と同様、ホルダ内の試薬が所定量以下になったかによって検出される。
【0189】
図21(b)は、1回目の測定結果によっては2回目の測定(再測定)が必要となり得る検体(リフレクト検体)が左側のホルダにセットされ、右側のホルダに緊急測定の対象となった通常の検体がセットされている場合の搬送路32の平面図を模式的に示す図である。
【0190】
この場合、同図中段に示す如く、左右のホルダに検体がセットされていない状態から、右側のホルダに検体がセットされて測定が行われると、同図上段に示す如く、2つのホルダが連結して一体駆動される。
【0191】
左右のホルダに検体がセットされていない状態から、左側のホルダにリフレクト検体がセットされて測定が行われると、同図下段に示す如く、左側のホルダのみが個別移動される。このとき、左側のホルダにセットされたリフレクト検体は、吸引位置33または34において吸引され、測定装置2により測定が行われる。かかる測定結果により再測定の要否が判定されるまで、左側のホルダは、搬送路32の左側の所定位置で待機される。しかる後に、この検体について再測定が必要と判定されると、待機していた左側のホルダが移動され、リフレクト検体が吸引位置33または34において吸引される。再測定が必要ないと判定されると、左側のホルダは、このホルダに対応した交換位置(右端位置)に位置付けられる。
【0192】
また、左側のホルダが搬送路32の左側の所定位置で待機しているときに、右側のホルダに検体がセットされて緊急測定が開始されると、左側のホルダは、このホルダに対応した交換位置(右端位置)に位置付けられ、同図中段に示す如く、2つのホルダが連結される。この状態から、右側のホルダにセットされた検体の測定が、同図上段に示す如く行われ、右側のホルダにセットされた検体の測定が終了すると、同図中段に示す如く、2つのホルダは右端位置に位置付けられる。
【0193】
また、上記実施形態では、通常のキュベットのみがキュベット供給ユニット41から供給されたが、検体交換位置に位置付けられている検体ホルダSにスターラ入りキュベットをセットし、スターラ入りキュベットが測定に用いられるようにしても良い。
【0194】
この場合、吸引位置33、34近傍に位置付けられた検体ホルダSにセットされたキュベットを把持し、キュベットホルダ31の保持孔にセットできるキャッチャユニットが、キュベットテーブル15の手前(Y軸正方向側)付近に配される。また、検出ユニット60には、スターラ入りキュベットのスターラを攪拌できる機構が設けられている。このように測定装置2が構成されると、蓋35を開けて、検体交換位置にある検体ホルダSに新しいスターラ入りキュベットをセットすると、このスターラ入りキュベットが測定に用いられるようになる。
【0195】
また、上記実施形態のインジケータ表示領域410の各アイコンの色は、セットされている検体容器Tについて吸引が完了しているか否かにより設定されたが、検体容器Tが保持されているか否かにより設定されるようにしても良い。
【0196】
また、上記実施形態では、測定を行う測定装置2と、測定指示を出す情報処理装置3が別々に構成されたが、これら2つの装置が1つの装置に実装されていても良い。この場合、たとえば、上記実施形態の測定装置2に、情報処理装置3の読出装置305と、入力部310と、表示部320とが備えられて、測定装置2のCPU201によって、図14(b)と図17(b)に示した処理が行われるようにしても良い。
【0197】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0198】
1 … 検体処理装置
32 … 搬送路
21d、22d、36、37 … センサ
21、22 … 検体分注ユニット
32c … ステッピングモータ
100 … 把持ユニット
201、301 … CPU
320 … 表示部
410 …インジケータ表示領域
B … 試薬ホルダ
C … 試薬容器
S … 検体ホルダ
T … 検体容器
B20a … 支持部
B20b … 孔
S20c … 鍔部
S20d … 孔
S30 … ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路と、
前記搬送路上に配置され、第1液体を収容した第1液体容器を保持するための第1容器保持部と、
前記搬送路上に配置され、第2液体を収容した第2液体容器を保持するための第2容器保持部と、
前記搬送路に沿って、前記第1容器保持部および前記第2容器保持部の一体的な移動、並びに、前記第1容器保持部および前記第2容器保持部の個別の移動を行わせる移動機構と、
前記第1容器保持部および前記第2容器保持部を一体的または個別に移動するよう、前記移動機構を制御する制御部と、
を備える検体処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検体処理装置において、
前記第2液体容器が前記第2容器保持部に保持されたことを検出する第2容器検出部を備え、
前記制御部は、前記第2容器検出部による検出に応じて、前記第1容器保持部および前記第2容器保持部の移動を、個別の移動から一体的な移動に切り替える、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の検体処理装置において、
前記第1液体容器は、検体の処理に用いる試薬を前記第1液体として収容する試薬容器であり、
前記第2液体容器は、検体を前記第2液体として収容する検体容器であり、
前記試薬を用いて検体の処理を行う検体処理部をさらに備える、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の検体処理装置において、
前記第1容器保持部に前記試薬容器が保持されたことを検出する試薬容器検出部と、
前記第2容器保持部に前記検体容器が保持されたことを検出する検体容器検出部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記第1容器保持部に前記試薬容器が保持され、前記第2容器保持部に前記検体容器が保持されていない場合、前記第2容器保持部を所定の容器設置位置に待機させたまま、前記第1容器保持部を前記検体処理部による試薬吸引位置に個別に移動させるよう、前記移動機構を制御する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の検体処理装置において、
前記搬送路とは異なる他の搬送路をさらに備え、
前記第2容器保持部に保持された前記検体容器は、緊急な処理を要する緊急検体を前記第2液体として収容し、
前記検体処理部は、前記他の搬送路に沿って搬送された複数の検体容器にそれぞれ収容された検体の連続的な処理を前記試薬容器に収容された前記試薬を用いて実行し、前記連続的な処理に割り込んで、前記搬送路に沿って移動された前記第2容器保持部に保持された前記検体容器に収容された前記緊急検体の処理を前記試薬容器に収容された前記試薬を用いて実行するように構成されている、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項6】
請求項3ないし5の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記第1容器保持部に前記試薬容器が保持され、前記第2容器保持部に前記検体容器が保持されている場合、前記第1容器保持部および前記第2容器保持部の一体的な移動を行わせるよう、前記移動機構を制御する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項7】
請求項3ないし6の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記検体処理部により前記第2容器保持部に保持された前記検体容器から検体が吸引されると、前記第1容器保持部および前記第2容器保持部の移動を、一体的な移動から個別の移動に切り替える、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項8】
請求項3ないし7の何れか一項に記載の検体処理装置において、
画面を表示する表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記第2容器保持部に前記検体容器が保持されているかを前記表示部に表示させる、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記第2容器保持部における前記検体容器の保持位置に対応付けられた領域を前記画面に含めるとともに、前記保持位置に前記検体容器が保持された場合と保持されていない場合とで、前記領域の色を変化させる、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項10】
請求項9に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記検体処理部による前記第2容器保持部に保持された前記検体容器からの検体の吸引が完了した場合と未完了の場合とで、前記領域の色を変化させる、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項11】
請求項1に記載の検体処理装置において、
前記第1液体容器は、第1試薬を前記第1液体として収容する第1試薬容器であり、
前記第2液体容器は、第2試薬を前記第2液体として収容する第2試薬容器であり、
前記第2試薬容器に収容された前記第2試薬が所定量を下回ったことを検出する試薬検出部を備え、
前記制御部は、前記試薬検出部による検出に応じて、前記第1容器保持部および前記第2容器保持部の移動を、一体的な移動から個別の移動に切り替える、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項12】
請求項1ないし11の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記移動機構は、前記第1容器保持部と前記第2容器保持部とを連結および分離させる連結・分離部を含み、
前記制御部は、前記連結・分離部を制御することにより、前記第1容器保持部および前記第2容器保持部の一体的な移動および個別の移動を切り替える、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項13】
請求項12に記載の検体処理装置において、
前記移動機構は、前記第1容器保持部と前記第2容器保持部の一体的な移動および個別の移動に共用される駆動源を含む、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項14】
請求項12または13に記載の検体処理装置において、
前記第1容器保持部は、第1の穴が設けられた第1板部材を含み、
前記第2容器保持部は、第2の穴が設けられた第2板部材を含み、
前記連結・分離部は、前記第1の穴と前記第2の穴にピンを通すことにより前記第1容器保持部と前記第2容器保持部とを連結し、前記第1の穴と前記第2の穴の少なくとも一方から前記ピンを抜き出すことにより前記第1容器保持部と前記第2容器保持部とを分離する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項15】
複数の検体容器にそれぞれ収容された一般検体を順次処理する連続処理と、前記連続処理に割り込んで緊急検体を処理する割込処理とを実行することが可能な検体処理装置であって、
第1搬送路と、
前記第1搬送路とは異なる第2搬送路と、
前記第1搬送路上に配置され、検体の処理に用いられる試薬を収容した試薬容器を保持するための試薬容器保持部と、
前記第1搬送路上に配置され、緊急検体を収容した検体容器を保持するための緊急検体容器保持部と、
前記第1搬送路に沿って、前記試薬容器保持部および前記緊急検体容器保持部の一体的な移動、並びに、前記試薬容器保持部および前記緊急検体容器保持部の個別の移動を行わせる移動機構と、
前記試薬容器保持部および前記緊急検体容器保持部を一体的または個別に移動するよう、前記移動機構を制御する制御部と、
前記第2搬送路に沿って搬送された複数の検体容器にそれぞれ収容された一般検体の連続処理を前記試薬容器に収容された前記試薬を用いて実行し、前記連続処理に割り込んで、前記第1搬送路に沿って搬送された検体容器に収容された緊急検体の割込処理を前記試薬容器に収容された前記試薬を用いて実行する検体処理部と、
を備える検体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−179919(P2011−179919A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43339(P2010−43339)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】