検体処理装置
【課題】使用者の操作性が損なわれることを抑制しつつ、動作機構が不用意に使用者によって移動されることを防止して検体を円滑に処理することが可能な検体処理装置を提供する。
【解決手段】検体処理装置の測定ユニット10の動作機構は、本体カバーC1により覆われている。また測定ユニット10には、本体カバーC1をロックして本体カバーC1の開放を禁止するロック機構が設置されている。本体カバーC1は、検体の測定動作中はロックされており、検体の測定動作が終了した後も、情報処理装置の表示部に表示される中断ボタンがユーザにより押下されるまでは、本体カバーC1のロックは継続される。これにより、測定動作が終了した後も本体カバーC1に覆われた動作機構がユーザにより移動されることがない。よって、搬送ユニット114により検体が搬送されてくるたびに動作機構を原点位置に合わせる必要がなくなり、測定の遅延を防止できる。
【解決手段】検体処理装置の測定ユニット10の動作機構は、本体カバーC1により覆われている。また測定ユニット10には、本体カバーC1をロックして本体カバーC1の開放を禁止するロック機構が設置されている。本体カバーC1は、検体の測定動作中はロックされており、検体の測定動作が終了した後も、情報処理装置の表示部に表示される中断ボタンがユーザにより押下されるまでは、本体カバーC1のロックは継続される。これにより、測定動作が終了した後も本体カバーC1に覆われた動作機構がユーザにより移動されることがない。よって、搬送ユニット114により検体が搬送されてくるたびに動作機構を原点位置に合わせる必要がなくなり、測定の遅延を防止できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿等の検体に対し所定の処理を行う検体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の装置に検体を搬送する搬送ラインを設け、この搬送ラインにより複数の検体を各装置に搬送して分析作業を実行する自動分析システムが知られている(たとえば、特許文献1、2)。上記搬送ラインに接続される検体処理装置は、通常、装置内の動作機構を覆うカバーを備え、試薬の交換、メンテナンス等を使用者が行えるように、カバーは開閉可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−3361号公報
【特許文献2】特開2010−190844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の検体処理装置が搬送ラインに接続された場合、搬送ラインは、他の装置における検体処理が終了したタイミングに応じた不規則な時間間隔で検体を検体処理装置に搬送するため、検体処理装置は測定停止状態になることが多い。このため、測定停止状態の間に、検体処理装置内の動作機構が不用意に使用者に触れられ、移動することがある。動作機構が移動されていると、検体処理動作を再開した際に、動作機構を、装置が意図した位置に正しく位置付けることができないことがある。そのため、上述のような検体処理装置では、搬送ラインによって搬送された検体を処理するたびに、カバーの開閉の有無を検知する処理、動作機構を一旦原点位置に移動させる処理等が必要になり、円滑に検体を処理することが困難となる。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、使用者の操作性が損なわれることを抑制しつつ、動作機構が不用意に使用者によって移動されることを防止して検体を円滑に処理することが可能な検体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の主たる態様は、検体を処理するための検体処理装置に関する。この態様に係る検体処理装置は、動作機構を備えると共に前記動作機構を動作させて検体の処理動作を実行する処理装置本体と、少なくとも一つの前記動作機構を覆うカバーと、前記カバーをロックして前記カバーの開放を禁止するロック機構と、前記ロック機構を制御する制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記動作機構による検体の処理動作が終了した後、使用者からのロックの解除指示を受け付けるまでは前記カバーのロックを解除しない第1モードと、前記動作機構による検体の処理動作が終了した後、自動的に前記カバーのロックを解除する第2モードとを設定可能に構成されている。
【0007】
本態様に係る検体処理装置によれば、検体の処理動作が終了した後もカバーのロックを継続するモードを備えているため、このモードを設定した場合には、検体処理の終了後に、カバーに覆われた動作機構が不用意に使用者によって移動されることが防止される。これにより、検体を処理する都度、動作機構を原点位置に合わせる必要がなくなり、円滑に検体処理を行うことができる。また、検体の処理動作が終了した後に自動的にカバーのロックを解除するモードを備えているため、このモードを設定した場合には、検体処理終了
後に使用者がロック解除指示を行わなくても、カバーを開放することができる。そのため、使用者の操作性が損なわれることを抑制することができる。
【0008】
また、本態様に係る検体処理装置は、複数の装置に検体を搬送する搬送ラインに接続可能であってもよく、この場合には、前記制御部は、少なくとも前記搬送ラインによって搬送された検体を処理するときに前記第1モードを設定してもよい。これにより、搬送ラインによって検体が不定期に搬送されてくる場合であっても、処理動作の終了後もカバーのロックが継続されるため、検体が搬送されてくるたびに動作機構を原点位置に合わせる必要がなくなる。そのため、円滑に検体を処理することができる。
【0009】
ここで、当該検体処理装置は、当該検体処理装置のみに検体を搬送する専用搬送装置に接続可能であってもよく、この場合、前記制御部は、前記専用搬送装置によって搬送された検体を処理するが、前記搬送ラインによって搬送された検体を処理しないときに、前記第2モードを設定してもよい。これにより、第2モードが設定されているときには、処理動作の終了後に、試薬交換やメンテナンスのためにカバーのロックを解除する操作が不要となり、操作が簡略化される。
【0010】
なお、第2モードでは、使用者は多数の検体をまとめて専用搬送装置にセットするのが一般的である。この場合、一連の検体について処理動作が継続され、当該処理動作の終了後にカバーのロックが解除される。第2モードでは処理終了後にカバーのロックが解除されるので、まとめてセットされた多数の検体のうち最初の検体の処理前には、動作機構を原点位置に合わせてから処理を開始する必要があるが、その回数は少ない。このため、動作機構を原点位置に合わせることによる処理の遅延は小さいと言える。
【0011】
ここで、前記第1モードは、前記搬送ラインによって搬送された検体の処理に加えて、前記専用搬送装置によって搬送された検体の処理を行うモードであってもよい。
【0012】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記制御部は、前記専用搬送装置に設置された検体の処理動作の開始指示を使用者から受け付けると、前記カバーのロックを行ってもよい。
【0013】
ここで、前記制御部は、前記カバーのロック中に前記第1モードに移行したとき、使用者からのロックの解除指示を受け付けるまでは前記カバーのロックを継続してもよい。
【0014】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記制御部は、前記第1モードにおいて、検体の処理動作の終了後に前記カバーがロックされているときに、前記第1モードが前記第2モードに切り替わると、自動的に前記カバーのロックを解除する構成とされ得る。こうすると、モードが切り替わった後に、カバーのロックを解除する操作が不要となり、操作が簡略化される。
【0015】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記制御部は、前記第2モードが設定されているときに、前記搬送ラインによって搬送された検体が当該検体処理装置に到着すると、前記第2モードから前記第1モードに切り替える構成とされ得る。こうすると、使用者の操作を介することなく、第1モードに切り替えることができる。
【0016】
ここで、前記制御部は、前記第1モードが設定されているときに、前記搬送ライン上に検体が存在しないと判定すると、前記第1モードから前記第2モードに切り替えてもよい。こうすると、使用者の操作を介することなく、第2モードに切り替えることができる。
【0017】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記制御部は、前記第1モードが設定され
ているときに、検体の処理動作が終了した後、前記検体処理装置を省電力モードに移行させ、前記省電力モードに移行後も、使用者からの前記ロックの解除指示を受け付けるまでは、前記カバーのロックを継続する構成とされ得る。こうすると、処理動作が終了した後、検体処理装置が省電力モードに移行されるため、検体処理装置の使用電力を低く抑えることができると共に、検体処理装置内の部品の劣化を抑制することができる。
【0018】
ここで、前記処理装置本体は、処理のための圧力を生成する圧力源を備え、前記制御部は、前記省電力モードにおいて前記圧力源の動作を停止する構成とされ得る。
【0019】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記ロックの解除指示は、試薬交換のための指示であるよう構成され得る。こうすると、試薬交換を行うときに、カバーのロックを解除する操作が不要となり、操作が簡略化される。
【0020】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記処理装置本体は、検体の処理動作の終了から検体の処理動作の再開時まで前記カバーが開いていなければ、前記カバーに隠れていた前記動作機構の少なくとも一部を原点に戻さずに、検体の処理動作を開始する構成とされ得る。こうすると、カバーが開いていない場合、すなわち、ユーザによりカバーに隠れていた動作機構の位置が変更された可能性が無い場合、カバーに隠れていた動作機構の少なくとも一部が原点に戻されず、検体の処理動作が開始される。これにより、検体が搬送されてくるたびに、原点位置に合わせる必要のない動作機構を原点位置に合わせる必要がなくなり、検体の処理の遅延を防止できる。
【0021】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記処理装置本体は、検体の処理動作の終了から検体の処理動作の再開時まで前記カバーのロックが解除されていなければ、前記カバーに隠れていた前記動作機構の少なくとも一部を原点に戻さずに、検体の処理動作を開始する構成とされ得る。こうすると、カバーのロックが解除されていない場合、すなわち、ユーザによりカバーに隠れていた動作機構の位置が変更された可能性が無い場合、カバーに隠れていた動作機構の少なくとも一部が原点に戻されず、検体の処理動作が開始される。これにより、検体が搬送されてくるたびに、原点位置に合わせる必要のない動作機構を原点位置に合わせる必要がなくなり、検体の処理の遅延を防止できる。
【0022】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記動作機構は、検体処理に用いられる試薬が収容された試薬容器を保持する保持部を備え、当該保持部を移動可能な試薬保持機構、および、試薬の分注動作を行うための試薬分注機構の少なくとも何れかを含む構成とされ得る。
【0023】
本発明の他の態様は、複数の装置に検体を搬送する搬送ラインに接続可能な検体処理装置に関する。この態様に係る検体処理装置は、動作機構を備えると共に前記動作機構を動作させて検体の処理動作を実行する処理装置本体と、少なくとも一つの前記動作機構を覆うカバーと、前記カバーをロックして前記カバーの開放を禁止するロック機構と、前記ロック機構を制御する制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記搬送ラインにより搬送された検体の処理動作を実行するよう前記動作機構を制御し、前記検体の処理動作中は前記カバーをロックし、処理動作が終了した後も、使用者からの前記ロックの解除指示を受け付けるまでは前記カバーのロックを継続する。
【0024】
本態様に係る検体処理装置によれば、搬送ラインによって搬送された検体の処理動作が終了した後もカバーのロックが継続されるため、カバーに覆われた動作機構が不用意に使用者によって移動されることがない。これにより、搬送ラインによって検体が搬送されてくるたびに動作機構を原点位置に合わせる必要がなくなり、円滑に検体処理を行うことができる。
【0025】
ここで、当該検体処理装置は、当該検体処理装置のみに検体を搬送する専用搬送装置に接続されてもよく、前記制御部は、少なくとも前記搬送ラインによって搬送された検体を処理する第1モードと、前記専用搬送装置によって搬送された検体を処理するが、前記搬送ラインによって搬送された検体を処理しない第2モードの何れが設定されているかを識別し、前記第1モードが設定されているときは、処理動作が終了した後も、使用者からの前記ロックの解除指示を受け付けるまでは前記カバーのロックを継続し、前記第2モードが設定されているときは、処理動作が終了すると、自動的に前記カバーのロックを解除してもよい。
【0026】
こうすると、検体が不定期に搬送されてくる第1モードが設定されている場合には、処理動作の終了後もカバーのロックが継続されるため、検体が搬送されてくるたびに動作機構を原点位置に合わせる必要がなくなる。また、第2モードが設定されているときには、処理動作が終了した後に、カバーのロックが解除されるため、処理動作の終了後に、試薬交換やメンテナンスのためにカバーのロックを解除する操作が不要となり、操作が簡略化される。
【0027】
なお、第2モードでは、使用者は多数の検体をまとめて専用搬送装置にセットするのが一般的である。この場合、一連の検体について処理動作が継続され、当該処理動作の終了後にカバーのロックが解除される。第2モードでは処理終了後にカバーのロックが解除されるので、まとめてセットされた多数の検体のうち最初の検体の処理前には、動作機構を原点位置に合わせてから処理を開始する必要があるが、その回数は少ない。このため、動作機構を原点位置に合わせることによる処理の遅延は小さいと言える。
【0028】
ここで、前記第1モードは、前記搬送ラインによって搬送された検体の処理に加えて、前記専用搬送装置によって搬送された検体の処理を行うモードであってもよい。
【0029】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記制御部は、前記専用搬送装置に設置された検体の処理動作の開始指示を使用者から受け付けると、前記カバーのロックを行ってもよい。
【発明の効果】
【0030】
以上のとおり、本発明によれば、使用者の操作性が損なわれることを抑制しつつ、動作機構が不用意に使用者によって移動されることを防止して検体を円滑に処理することが可能な検体処理装置を提供することができる。
【0031】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態により何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施の形態に係る検体処理システムを上側から見た場合の構成を示す平面図である。
【図2】実施の形態に係る検体容器と検体ラックの構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係る検体分析装置の構成を示す外観図である。
【図4】実施の形態に係るロック機構により本体カバーがロック状態またはロック解除状態となることを説明する図である。
【図5】実施の形態に係る測定装置と搬送ユニットを上側から見た場合の平面図である。
【図6】実施の形態に係る測定装置の構成を示す図である。
【図7】実施の形態に係る情報処理装置の構成を示す図である。
【図8】実施の形態に係る検体分析装置のモードと状態を示す図、ローカルモード変更画面、およびモード表示領域の表示内容を示す図である。
【図9】実施の形態に係る情報処理装置の表示部に表示されるメニュー画面を示す図である。
【図10】実施の形態に係るスタンバイへの移行条件、待機への移行条件、スタンバイへの移行処理、待機への移行処理、スタンバイの解除条件、待機の解除条件、スタンバイの解除処理、および基本解除処理を示す図である。
【図11】実施の形態に係る情報処理装置による処理を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態に係るローカル測定からの状態変更処理およびリモート測定からの状態変更処理を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態に係るローカルスタンバイからの状態変更処理およびリモート待機からの状態変更処理を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態に係る選択解除処理の内容を説明する図および選択解除処理を示すフローチャートである。
【図15】実施の形態に係るローカル中断からの状態変更処理およびリモート中断からの状態変更処理を示すフローチャートである。
【図16】実施の形態に係る情報処理装置によるモードの変更を示すフローチャートである。
【図17】変更例に係るリモート待機からの状態変更処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本実施の形態は、血液に関する検査および分析を行うための検体分析装置に本発明を適用したものである。
【0034】
以下、本実施の形態に係る検体分析装置について、図面を参照して説明する。
【0035】
図1は、検体分析装置1を含む検体処理システム100を上側から見た場合の構成を示す平面図である。
【0036】
検体分析装置1は、検体(血漿)に試薬を添加することで調製された測定試料に光を照射して、凝固法、合成基質法、免疫比濁法および凝集法を用いて、検体の光学的な測定および分析を行う血液凝固分析装置である。検体分析装置1は、検体(血漿)に含まれる成分を光学的に測定する測定装置2と、測定装置2による測定データを分析するとともに、測定装置2に操作指示を与える情報処理装置3とで構成されている。測定装置2と情報処理装置3とは、通信可能に接続されている。
【0037】
検体処理システム100は、ラックセット装置101と、遠心分離器102と、容器収容装置103と、2台の検体分析装置1と、搬送システム110と、搬送コントローラ120を備えている。搬送システム110は、搬送ユニット111〜113と、2台の搬送ユニット114を備えている。遠心分離器102と容器収容装置103は、それぞれ、搬送ユニット111、113の右隣りに配置されている。検体分析装置1は、搬送ユニット114の右隣りに配置されている。
【0038】
検体容器Tに収容された検体の測定を行う場合、ユーザは検体容器Tを検体ラックLにセットし、この検体ラックLを測定装置2またはラックセット装置101にセットする。本実施の形態では、検体ラックLが測定装置2とラックセット装置101の何れにセットされた場合も、この検体ラックLに保持されている検体容器T内の検体の測定を開始することができる。
【0039】
図2(a)、(b)は、それぞれ、検体容器Tと検体ラックLの構成を示す図である。
【0040】
図2(a)を参照して、検体容器Tは、透光性を有するガラスまたは合成樹脂により構成された管状容器であり、上端が開口している。検体容器Tの側面には、バーコードラベルT1が貼付されている。バーコードラベルT1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。検体容器Tは、患者から採取された血液検体を収容しており、上端の開口は蓋部T2により密封されている。
【0041】
図2(b)を参照して、検体ラックLには、10本の検体容器Tを垂直に保持することが可能な保持部が形成されている。検体ラックLの側面には、バーコードラベルL1が貼付されている。バーコードラベルL1には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0042】
図1に戻り、測定装置2に検体ラックLがセットされた場合、この検体ラックLは測定装置2内で搬送され、検体容器Tが吸引位置P1に順次位置付けられる。吸引位置P1に検体容器Tが位置付けられると、この検体容器Tから検体が吸引され、測定装置2において検体の測定が行われる。
【0043】
他方、ラックセット装置101に検体ラックLがセットされた場合、この検体ラックLはラックセット装置101により左方向に搬送され、ラックセット装置101の左隣りに配置されている遠心分離器102にセットされる。遠心分離器102にセットされた検体ラックLは、遠心分離器102により遠心分離処理が行われ、遠心分離器102の左端に位置付けられる。
【0044】
搬送システム110の各搬送ユニットは、搬送システム110内で検体容器Tを破線矢印方向に搬送するための環状の搬送ラインLnを備えている。検体容器Tは容器保持部130(図5参照)に保持された状態で、個別に搬送ラインLnに沿って搬送される。遠心分離器102の左端に位置付けられた検体ラックLに保持されている検体容器Tは、搬送ユニット111の搬送ラインLn上の容器保持部130にセットされ、搬送ラインLn上を搬送ユニット114に向けて搬送される。
【0045】
搬送ユニット111から後方側の搬送ユニット114に搬送される検体容器Tは、この搬送ユニット114の右隣りの検体分析装置1において、検体の測定を行う場合と行わない場合とで、それぞれ、搬送ラインLa、Lbに搬送される。すなわち、検体分析装置1において検体の測定を行う場合、検体容器Tは搬送ラインLaに搬送され、吸引位置P2に位置付けられる。吸引位置P2に検体容器Tが位置付けられると、この検体容器Tから検体が吸引され、測定装置2において検体の測定が行われる。検体分析装置1において検体の測定を行わない場合、検体容器Tは搬送ラインLbに搬送され、この搬送ユニット114の前方の搬送ユニットに向けて搬送される。
【0046】
なお、後方側の搬送ユニット114から前方側の搬送ユニット114に搬送される検体容器Tについても、前方側の搬送ユニット114と、この搬送ユニット114の右隣りの検体分析装置1において、上記と同様に処理が行われる。
【0047】
前方側の搬送ユニット114から搬送ユニット112に搬送された検体容器Tは、搬送ラインLn上を後方に向けて搬送される。搬送ユニット111から搬送ユニット113に搬送される検体容器Tは、所定の位置で取り出されて、容器収容装置103に収容される。
【0048】
搬送コントローラ120は、ラックセット装置101と、遠心分離器102と、容器収容装置103と、2台の検体分析装置1と、搬送システム110の各搬送ユニットと通信可能に接続されている。搬送コントローラ120は、ラックセット装置101と、遠心分離器102と、容器収容装置103と、搬送システム110の動作を制御する。また、搬送コントローラ120は、搬送システム110内での検体容器Tの搬送状況を、2台の検体分析装置1に送信する。
【0049】
図3は、検体分析装置1の構成を示す外観図である。
【0050】
測定装置2は、検体の測定を行う測定ユニット10と、検体ラックLを搬送するための搬送ユニット50を備えている。また、測定装置2には、測定ユニット10内の各動作機構を覆う本体カバーC1と、測定ユニット10内に配されたロック機構C2と、希釈液交換位置P3(図5参照)を覆う希釈液カバーC3が設けられている。
【0051】
ロック機構C2は、本体カバーC1の内側であって、測定ユニット10の左前方付近に設置されている。本体カバーC1は、ロック機構C2によりロック状態またはロック解除状態となる。本体カバーC1がロック解除状態であると、ユーザは、軸C11を回転の軸として本体カバーC1を上方向に開けて、測定ユニット10の各機構に対してアクセスすることができる。これにより、ユーザは測定ユニット10内の試薬容器の交換や、測定ユニット10内のメンテナンスを行うことができる。
【0052】
希釈液カバーC3は、図示しないロック機構によりロック状態またはロック解除状態となる。希釈液カバーC3がロック解除状態であると、ユーザは、希釈液カバーC3を上方向に開けて、希釈液交換位置P3にアクセスすることができる。これにより、ユーザは、本体カバーC1を開けることなく、希釈液交換位置P3に位置付けられた希釈液搬送器16(図5参照)に保持された希釈液容器の交換を行うことができる。
【0053】
図4(a)、(b)は、ロック機構C2により本体カバーC1がロック解除状態またはロック状態となることを説明する図である。図4(a)は、本体カバーC1がロック解除状態であるときの側面図であり、図4(b)は、本体カバーC1がロック状態であるときの側面図である。
【0054】
本体カバーC1の左側面の前方の内側には、支持部C12が設置されている。支持部C12の右端部分には、Y−Z平面に平行な鍔部C12aが形成されている。鍔部C12aの下端付近には、鍔部C12aをX軸方向に貫通する孔C12bが形成されている。
【0055】
ロック機構C2は、軸C21と、係合板C22と、バネC23と、モータC24からなる。軸C21は、Y軸方向に長さを有し、測定装置2内に設置されている。係合板C22は、軸C21を中心軸としX−Z平面内で回転可能となるよう軸C21に支持されている。係合板C22には、上端にL字型の係合部C22aが形成されており、下端近傍にY軸に対して平行な面を有する鍔部C22bが形成されている。バネC23の下端は、測定装置2内に固定されており、上端は、係合板C22に固定されている。モータC24は、X軸方向に長さを有する軸C24aを備えており、軸C24aの左端には押出し部材C24bが設置されている。
【0056】
図4(a)は、本体カバーC1が開けられた状態から閉められた直後の状態を示している。このとき、押出し部材C24bは鍔部C22bに当接しておらず、係合板C22がバネC23によって引っ張られている。これにより、係合部C22aは左側に傾けられており、本体カバーC1はロック解除状態となっている。
【0057】
ここで、モータC24が駆動されて軸C24aが左方向に移動すると、押出し部材C24bが鍔部C22bに当接し、係合板C22がバネC23による張力に抗して、軸C21を中心としてY軸まわりに回転する。これにより、係合部C22aが右側に移動し、図4(b)に示すように、孔C12bに挿入される。こうして、本体カバーC1がロック状態となり、ユーザは本体カバーC1を開けることができなくなる。
【0058】
続いて、本体カバーC1がロック状態のときに、モータC24が駆動されて軸C24aが右方向に移動すると、係合板C22がバネC23により引っ張られ、図4(a)に示すように左側に傾けられる。こうして、本体カバーC1がロック解除状態となり、ユーザは本体カバーC1を開けることができるようになる。なお、希釈液カバーC3についても、本体カバーC1と同様のロック機構が配されている。
【0059】
図5は、測定装置2と搬送ユニット114を上側から見た場合の平面図である。なお、図5は、本体カバーC1が透過されている状態として図示されている。
【0060】
図5に示すように、測定ユニット10の本体カバーC1内には、試薬テーブル11、12と、キュベットテーブル13と、加温テーブル14と、キュベット搬送器15と、希釈液搬送器16と、分注ユニット21〜25と、キャッチャユニット26〜28(以下、これらを総称して「動作機構群」という)が配されている。本体カバーC1がロック状態のとき、ユーザは動作機構群に対してアクセスすることはできず、本体カバーC1がロック解除状態のとき、ユーザは本体カバーC1を開けて、動作機構群に対してアクセスすることができ、動作機構群を移動させることができる。
【0061】
まず、搬送ユニット50による検体ラックLの搬送動作について説明する。
【0062】
搬送ユニット50には、検体ラックLを載置可能なラックセット領域51と、搬送領域52と、搬送領域52から搬出された検体ラックLを取り出し可能に配置するラック収容領域53が設けられている。
【0063】
ラックセット領域51に配されたセンサ(図示せず)の検出信号に基づいて、ラックセット領域51に検体ラックLがセットされていることが検出されると、ラックセット領域51上の検体ラックLは、搬送領域52の右端に送り込まれる。
【0064】
搬送領域52の右端に位置づけられた検体ラックLは、検体ラックLを左右方向に搬送するための機構部(図示せず)により、搬送領域52に沿って左方向に搬送される。搬送領域52の中央近傍には、左右方向に移動可能なバーコードリーダ54が設置されている。バーコードリーダ54は、検体容器Tと検体ラックLにそれぞれ貼付されたバーコードラベルT1、L1を読み取る。
【0065】
また、搬送領域52には、図1にも示したように吸引位置P1が設定されている。吸引位置P1に位置付けられた検体容器T内の検体は、分注ユニット21によって吸引される。検体ラックLに保持されている検体容器Tの検体が全て吸引されると、検体ラックLは、搬送領域52の左端まで搬送される。
【0066】
搬送領域52の左端に位置付けられた検体ラックLは、前方に送り込まれ、ラック収容領域53に収容される。こうして、検体ラックLの搬送動作が終了する。搬送ユニット50の搬送動作は、ラックセット領域51にセットされた全ての検体ラックLに対して行われる。
【0067】
次に、測定ユニット10による検体の測定動作について説明する。
【0068】
試薬テーブル11、12は、試薬容器を保持し、回転可能となるよう構成されている。キュベットテーブル13と加温テーブル14は、キュベットを保持し、回転可能となるよう構成されている。キュベット搬送器15と希釈液搬送器16は、それぞれ、キュベットと希釈液容器を保持し、左右方向に移動可能となるよう構成されている。
【0069】
分注ユニット21は、支持部21aと、支持部21aに支持されたアーム21bと、ピペット21cを備えている。支持部21aは、上下移動および回転が可能となるよう構成されている。これにより、アーム21bの先端に取り付けられたピペット21cが、上下方向に移動可能となり、且つ、支持部21aを中心として回転可能となっている。分注ユニット22〜25も、分注ユニット21と同様に構成される。キャッチャユニット26、27は、キュベットを把持し、伸縮および回転が可能となるよう構成されている。キャッチャユニット28は、キュベットを把持し、伸縮および左右方向の移動が可能となるよう構成されている。
【0070】
吸引位置P1に位置付けられた検体容器T内の検体は、分注ユニット21のピペット21cにより吸引され、キュベットテーブル13にセットされた新しいキュベットに吐出される。分注ユニット22は、キュベットテーブル13にセットされているキュベット内の検体を吸引し、キュベット搬送器15にセットされた新しいキュベットに吐出する。また、分注ユニット22は、希釈液搬送器16にセットされている希釈液容器内の希釈液を吸引して検体に混和することができる。
【0071】
なお、キュベットテーブル13とキュベット搬送器15には、キュベット供給ユニット36から供給される新しいキュベットが、それぞれ、キャッチャユニット26、27により順次セットされる。
【0072】
キュベット搬送器15にセットされているキュベットに検体が吐出されると、キュベット搬送器15が右方向に駆動され、このキュベットは、キャッチャユニット26により把持されて加温テーブル14にセットされる。加温テーブル14にセットされたキュベットは、加温テーブル14により加温された後、キャッチャユニット27、28により、検出ユニット40にセットされる。その際、分注ユニット23〜25により、適宜、試薬テーブル11、12に保持された試薬容器内の試薬がキュベットに分注される。
【0073】
試薬が分注された検体(測定試料)は、検出ユニット40による処理が行われ、測定試料に含まれる成分を反映した光学的情報が検出される。こうして、検体の測定が終了する。測定が終了し不要となったキュベットは、キャッチャユニット27、28により把持され、廃棄口37、38に廃棄される。なお、分注ユニット21〜25のピペットは、適宜、洗浄器31〜35に収容されて水洗浄される。
【0074】
本実施の形態では、上記のように、吸引位置P1に位置付けられた検体容器T内の検体だけでなく、吸引位置P2に位置付けられた検体容器T内の検体の測定を行うことができる。
【0075】
図5の左側を参照して、検体容器Tは、搬送ユニット114の搬送ラインLnに沿って搬送される容器保持部130に保持されて搬送される。検体容器Tがこの搬送ユニット114に対応する検体分析装置1で測定が行われる場合、この検体容器Tは、搬送ラインLaに沿って搬送され、バーコードリーダBの前方に位置付けられる。バーコードリーダBは、前方に位置付けられた検体容器TのバーコードラベルT1から検体IDを読み取る。このとき、搬送コントローラ120は、バーコードリーダBにより読み取られた検体IDと共に、バーコードリーダBに検体容器Tが到着したこと示すコマンドを、対応する検体
分析装置1の情報処理装置3に送信する。
【0076】
続いて、この検体容器Tは吸引位置P2に位置付けられる。このとき、搬送コントローラ120は、吸引位置P2に検体容器Tが位置付けられたことを示すコマンドを、対応する検体分析装置1の情報処理装置3に送信する。吸引位置P2に位置付けられた検体容器T内の検体は、吸引位置P1に位置付けられた検体容器Tの場合と同様、分注ユニット21のピペット21cにより吸引され、キュベットテーブル13にセットされた新しいキュベットに吐出される。このとき、情報処理装置3は、吸引位置P2の検体容器Tから検体を吸引したことを示すコマンドを搬送コントローラ120に送信する。こうして、搬送ラインLnに沿って搬送される検体についても、検体分析装置1において測定が行われる。
【0077】
図6は、測定装置2の構成を示す図である。
【0078】
測定装置2は、制御部200と、ステッピングモータ部211と、ロータリーエンコーダ部212と、空圧源213と、センサ部214と、ロック機構部215と、機構部216と、バーコードリーダ54を含んでいる。また、制御部200は、CPU201と、ROM202と、RAM203と、ハードディスク204と、通信インターフェース205と、I/Oインターフェース206を有する。
【0079】
CPU201は、ROM202に記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM203にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM203は、ROM202およびハードディスク204に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM203は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU201の作業領域としても利用される。
【0080】
ハードディスク204には、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU201に実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびコンピュータプログラムの実行に用いるデータが記憶されている。CPU201は、通信インターフェース205を介して、情報処理装置3とデータの送受信を行う。
【0081】
また、CPU201は、I/Oインターフェース206を介して、ステッピングモータ部211と、ロータリーエンコーダ部212と、空圧源213と、センサ部214と、ロック機構部215と、機構部216と、バーコードリーダ54に接続されている。CPU201は、これらの機構から信号を受信すると共に、これらの機構を制御する。
【0082】
ステッピングモータ部211は、試薬テーブル11、12と、キュベットテーブル13と、加温テーブル14と、キュベット搬送器15と、希釈液搬送器16と、分注ユニット21〜25と、キャッチャユニット26〜28と、搬送ユニット50上で検体ラックLを移動させるための機構と、をそれぞれ駆動するためのステッピングモータを含んでいる。ロータリーエンコーダ部212は、ステッピングモータ部211に含まれる各ステッピングモータの回転変位量に応じたパルス信号を出力するロータリーエンコーダを含んでいる。ロータリーエンコーダ部212に含まれる各ロータリーエンコーダから出力されるパルス数に基づいて、ステッピングモータ部211に含まれる各ステッピングモータの回転量を検出することができる。
【0083】
空圧源213は、分注ユニット21〜25による分注動作が行われるよう、それぞれ分注ユニット21〜25に圧力を供給する空圧源である。センサ部214は、ステッピングモータ部211の各ステッピングモータにより駆動される機構が原点位置に位置付けられたかを検出する原点位置センサと、搬送ユニット50上の所定の位置において検体ラックLを検出するための種々のセンサを含んでいる。なお、分注ユニット21〜25の各ピペ
ットが、それぞれ洗浄器31〜35上に位置付けられると、分注ユニット21〜25が、回転方向において原点位置に位置付けられることになる。
【0084】
ロック機構部215は、本体カバーC1をロック状態とロック解除状態とに切り替えるためのロック機構C2と、希釈液カバーC3をロック状態とロック解除状態とに切り替えるためのロック機構を含んでいる。機構部216は、洗浄器31〜35に位置付けられた分注ユニット21〜25のピペットを水洗浄するための機構と、上記動作機構群を含む測定装置2内のその他の機構部を含んでいる。
【0085】
図7は、情報処理装置3の構成を示す図である。
【0086】
情報処理装置3は、パーソナルコンピュータからなり、本体30と、入力部31と、表示部32から構成されている。本体30は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、ハードディスク304と、読出装置305と、入出力インターフェース306と、画像出力インターフェース307と、通信インターフェース308を有する。
【0087】
CPU301は、ROM302に記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM303にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM303は、ROM302およびハードディスク304に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM303は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU301の作業領域としても利用される。
【0088】
ハードディスク304には、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU301に実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびコンピュータプログラムの実行に用いるデータが記憶されている。
【0089】
読出装置305は、CDドライブまたはDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムおよびデータを読み出すことができる。入出力インターフェース306には、マウスやキーボードからなる入力部31が接続されており、ユーザが入力部31を使用することにより、情報処理装置3にデー指示およびデータが入力される。画像出力インターフェース307には、ディスプレイ等で構成された表示部32が接続されており、画像データに応じた映像信号を表示部32に出力する。表示部32は、入力された映像信号に基づいて画像を表示する。通信インターフェース308により、測定装置2と搬送コントローラ120に対してデータの送受信が可能となる。
【0090】
図8(a)は、検体分析装置1のモードと状態を示す図である。
【0091】
検体分析装置1には、“ローカル変動”と、“ローカル固定”と、“リモート”の3種類のモードがある。また、モードがローカル変動とローカル固定の場合(以下、併せて「ローカル」という)、“測定”と、“中断”と、“スタンバイ”の3種類の状態があり、モードがリモートの場合、“測定”と、“中断”と、“待機”の3種類の状態がある。なお、検体分析装置1のモードと状態は、情報処理装置3のハードディスク304に記憶される。
【0092】
モードがローカルであるとき、検体分析装置1では、吸引位置P1に位置付けられた検体容器Tから順次検体が吸引され、搬送システム110の搬送ラインLnに沿って搬送される検体容器Tから検体は吸引されない。他方、モードがリモートであるとき、検体分析装置1では、吸引位置P1と吸引位置P2に位置付けられた検体容器Tから順次検体が吸引される。
【0093】
また、モードがローカル変動のとき、情報処理装置3が、後述するように、搬送コントローラ120からリモート要求(バーコードリーダBにより読み取られた検体IDと共にバーコードリーダBに検体容器Tが到着したことを示すコマンド)を受信すると、モードはリモートに変更される。モードがローカル固定のとき、情報処理装置3が搬送コントローラ120からリモート要求を受信しても、モードはリモートに変更されず、ローカル固定のまま維持される。
【0094】
状態が測定のとき、吸引位置P1または吸引位置P2に位置付けられた検体容器Tから検体が吸引され、測定ユニット10で検体の測定が行われる。検体分析装置1の状態が中断になると、測定装置2の動作が一時的に中断される。状態がスタンバイまたは待機になると、測定装置2内が所定の状態となる。スタンバイまたは待機については、追って図10(a)〜(d)を参照して説明する。
【0095】
図9は、情報処理装置3の表示部32に表示されるメニュー画面Aを示す図である。
【0096】
メニュー画面Aは、ツールバー領域A10と、情報表示領域A20と、コントロール領域A30から構成されている。
【0097】
ツールバー領域A10は、開始ボタンA11と中断ボタンA12を含んでおり、メニュー画面Aに常に表示されている。開始ボタンA11は、検体分析装置1の状態が、スタンバイ、待機または中断のときに、状態を測定に変更するためのボタンである。中断ボタンA12は、検体分析装置1の状態が、測定または待機のときに、状態を中断に変更するためのボタンである。
【0098】
情報表示領域A20には、ツールバー領域A10とコントロール領域A30の操作に応じた内容が表示される。情報表示領域A20に図9に示すようなメニューが表示されているとき、情報表示領域A20は、試薬情報ボタンA21を含んでいる。ユーザは、試薬交換を行う場合、まず、試薬情報ボタンA21を押下して、表示部32に図示しない試薬情報画面を表示させる。ユーザは、かかる試薬情報画面を介して、測定ユニット10内の試薬テーブル11、12に保持されている試薬容器の交換を行う指示を入力する。これにより、検体分析装置1の状態が中断となる。こうして、ユーザは、本体カバーC1を開けて試薬の交換を行うことができるようになる。
【0099】
コントロール領域A30は、モード表示領域A31を含んでおり、メニュー画面Aに常に表示されている。モード表示領域A31は、ボタンA31aを含んでおり、検体分析装置1のモードが、ローカル変動、ローカル固定またはリモートの何れであるかを表示する。ユーザによりボタンA31aが押下されると、図8(b)に示すローカルモード変更画面A32が表示部32に表示される。
【0100】
図8(b)を参照して、ローカルモード変更画面A32は、モードをリモートからローカル固定に変更する場合と、モードをローカル固定からローカル変動に変更する場合に用いるチェックボックスA32aを含んでいる。モードがリモートとローカル変動のとき、チェックボックスA32aのチェックはOFFとなっており、モードがローカル固定のとき、チェックボックスA32aのチェックはONとなっている。モードがリモートとローカル変動のときに、チェックボックスA32aのチェックをOFFからONに変更してOKボタンを押下すると、モードがローカル固定になる。モードがローカル固定のときに、チェックボックスA32aのチェックをONからOFFに変更してOKボタンを押下すると、モードがローカル変動になる。
【0101】
なお、モードをローカル変動からリモートに変更する場合、搬送コントローラ120を
介して検体分析装置1に対してリモート要求(バーコードリーダBにより読み取られた検体IDと共にバーコードリーダBに検体容器Tが到着したことを示すコマンド)を送信する。また、モードをローカル固定からリモートに変更する場合、ローカルモード変更画面A32を介してモードをローカル変動に変更した後で、搬送コントローラ120を介して検体分析装置1に対してリモート要求を送信する。
【0102】
図8(c)〜(f)は、モード表示領域A31の表示内容を示す図である。
【0103】
測定装置2の電源がOFFになっているとき、図8(c)に示すように、モード表示領域A31には“OFF”と表示される。モードがローカル変動のとき、図8(d)に示すように、モード表示領域A31には“Local”と表示される。モードがローカル固定のとき、図8(e)に示すように、モード表示領域A31には“Local”と鍵マークが表示される。モードがリモートのとき、図8(f)に示すように、モード表示領域A31には“Remote”と表示される。
【0104】
図10(a)、(b)は、それぞれ、モードがローカルのときに状態が測定からスタンバイに移行する条件(スタンバイへの移行条件)を示す図と、モードがリモートのときに状態が測定から待機に移行する条件(待機への移行条件)を示す図である。
【0105】
図10(a)を参照して、条件1〜3が全て満たされるとき、検体分析装置1の状態が測定からスタンバイに変更される。条件1は、分注ユニット21により吸引された全ての検体について、検出ユニット40による処理が終了した状態を示す。条件2は、キュベットテーブル13に、検体を含むキュベットが保持されていない状態を示す。条件3は、ラックセット領域51に配されたセンサと、搬送領域52内で検体ラックLを搬送するための機構部の搬送状態に基づいて、ラックセット領域51と搬送領域52に検体ラックLがないと判断される状態を示す。
【0106】
図10(b)を参照して、条件1〜4が全て満たされるとき、検体分析装置1の状態が測定から待機に変更される。条件1〜3は、図10(a)の条件1〜3と同じである。条件4は、対応する搬送ユニット114のバーコードリーダBにより検体IDが読み取られた検体容器T内の検体が、分注ユニット21により未だ吸引されていない状態ではない状態を示す。言い替えれば、条件4は、搬送コントローラ120から送信されるコマンドに基づいて、バーコードリーダBによる読み取りが終了した検体容器Tが、バーコードリーダBと吸引位置P2との間に存在しないと判断される状態を示す。
【0107】
図10(c)、(d)は、それぞれ、図10(a)の条件が全て満たされて状態が測定からスタンバイに移行するときに行われる処理(スタンバイへの移行処理)を示す図と、図10(b)の条件が全て満たされて状態が測定から待機に移行するときに行われる処理(待機への移行処理)を示す図である。
【0108】
図10(c)を参照して、図10(a)の条件が全て満たされて状態が測定からスタンバイに移行するときに、処理1〜4が行われる。処理1は、空圧源213の駆動がOFFにされる処理を示す。処理2は、分注ユニット21〜25の各ピペットが、それぞれ洗浄器31〜35の真上に位置付けられるよう、各アームが回転させられる処理を示す。処理3は、希釈液搬送器16が、希釈液カバーC3の真下に移動される処理、すなわち、左右方向の搬送範囲のうち最も右端に位置付けられる処理を示す。処理4は、希釈液カバーC3のロックがロック機構により解除される処理を示す。
【0109】
図10(d)を参照して、図10(b)の条件が全て満たされて状態が測定から待機に移行するときに、処理1〜3が行われる。処理1〜3は、図10(c)の処理1〜3と同
じである。
【0110】
図10(e)、(f)は、それぞれ、モードがローカルのときに状態がスタンバイから測定に移行する条件(スタンバイの解除条件)を示す図と、モードがリモートのときに状態が待機から測定に移行する条件(待機の解除条件)を示す図である。
【0111】
図10(e)を参照して、条件1が満たされるとき、検体分析装置1の状態がスタンバイから測定に変更される。条件1は、図9に示す開始ボタンA11が押下された状態を示す。
【0112】
図10(f)を参照して、条件1〜3の何れかが満たされるとき、検体分析装置1の状態が待機から測定に変更される。条件1は、図10(e)の条件1と同じである。条件2は、ラックセット領域51に配されたセンサに基づいて、ラックセット領域51に検体ラックLが置かれたと判断される状態を示す。条件3は、対応する搬送ユニット114のバーコードリーダBにより検体IDが読み取られた検体容器T内の検体が、分注ユニット21により未だ吸引されていない状態を示す。言い替えれば、条件3は、バーコードリーダBによる読み取りが終了した検体容器Tが、バーコードリーダBと吸引位置P2との間に存在する状態を示す。
【0113】
図10(g)、(h)は、それぞれ、図10(e)の条件が満たされて状態がスタンバイから測定に移行するときに行われる処理(スタンバイの解除処理)を示す図と、図10(f)の何れかの条件が満たされて状態が待機から測定に移行するときに必ず行われる処理(基本解除処理)を示す図である。
【0114】
図10(g)を参照して、図10(e)の条件が満たされて状態がスタンバイから測定に移行するときに、処理1〜9が行われる。処理1は、空圧源213の駆動がONにされる処理を示す。処理2は、分注ユニット21〜25のアーム位置を初期化する処理、すなわち、分注ユニット21〜25の回転位置が、それぞれ対応する原点位置センサに基づいて原点位置に位置付けられる処理を示す。処理3は、分注ユニット21〜25の各ピペットが洗浄器31〜35において水洗浄される処理を示す。
【0115】
処理4は、試薬テーブル11、12の位置を初期化する処理、すなわち、試薬テーブル11、12の回転位置が、それぞれ対応する原点位置センサに基づいて、原点位置に位置付けられる処理を示す。処理5は、搬送ユニット50を初期化する処理、すなわち、搬送ユニット50上で検体ラックLを移動させるための機構が、対応する原点位置センサに基づいて、原点位置に位置付けられる処理を示す。処理6は、バーコードリーダ54を初期化する処理、すなわち、バーコードリーダ54が、対応する原点位置センサに基づいて、原点位置に位置付けられる処理を示す。処理7は、キュベットテーブル13と加温テーブル14を初期化する処理、すなわち、キュベットテーブル13と加温テーブル14が、対応する原点位置センサに基づいて、原点位置に位置付けられる処理を示す。処理8は、キャッチャユニット27、28を初期化する処理、すなわち、キャッチャユニット27、28が、対応する原点位置センサに基づいて、原点位置に位置付けられる処理を示す。処理9は、加温テーブル14にセットされている全てのキュベットが廃棄される処理を示す。
【0116】
図10(h)を参照して、図10(f)の何れかの条件が満たされて状態が待機から測定に移行するときに、必ず処理1〜3が行われる。処理1〜3は、図10(g)の処理1〜3と同じである。
【0117】
図11は、情報処理装置3による処理を示すフローチャートである。
【0118】
図11のフローチャートは、測定装置2の電源がONされると開始される。なお、測定装置2の電源がONされると、検体分析装置1のモードはローカル変動となり、状態はスタンバイとなる。このとき、本体カバーC1と希釈液カバーC3は、ロック解除状態とされる。
【0119】
情報処理装置3のCPU301は、ハードディスク304に記憶されているモードに基づいて、検体分析装置1のモードがローカルであるかを判定する(S11)。モードがローカルであるとき(S11:YES)およびモードがリモートであるとき(S11:NO)、CPU301は、ハードディスク304に記憶されている状態に基づいて、検体分析装置1の状態を判定する(S12、S15、S18、S21)。そして、以下に示すように、CPU301は、検体分析装置1のモードと状態に応じて処理を行い、シャットダウンの指示が行われるまで、S11〜S23の処理を繰り返し行う(S24)。
【0120】
検体分析装置1のモードがローカルであり(S11:YES)、状態が測定である場合(S12:YES)、CPU301は、吸引位置P1に位置付けられた検体容器Tのみから順次検体を吸引して測定を行うよう、測定装置2を制御する(S13)。続いて、CPU301は、“ローカル測定からの状態変更処理”を行う(S14)。ローカル測定からの状態変更処理については、追って図12(a)を参照して説明する。
【0121】
検体分析装置1のモードがローカルであり(S11:YES)、状態がスタンバイである場合(S12:NO、S15:YES)、CPU301は、“ローカルスタンバイからの状態変更処理”を行う(S16)。ローカルスタンバイからの状態変更処理については、追って図13(a)を参照して説明する。
【0122】
検体分析装置1のモードがローカルであり(S11:YES)、状態が中断である場合(S12:NO、S15:NO)、CPU301は、“ローカル中断からの状態変更処理”を行う(S17)。ローカル中断からの状態変更処理については、追って図15(a)を参照して説明する。
【0123】
検体分析装置1のモードがリモートであり(S11:NO)、状態が測定である場合(S18:YES)、CPU301は、吸引位置P1、P2に位置付けられた検体容器Tから順次検体を吸引して測定を行うよう、測定装置2を制御する(S19)。なお、CPU301は、搬送コントローラ120から送信された、吸引位置P2に検体容器Tが位置付けられたことを示すコマンドに基づいて、吸引位置P2に位置付けられた検体容器T内の検体を吸引する。続いて、CPU301は、“リモート測定からの状態変更処理”を行う(S20)。リモート測定からの状態変更処理については、追って図12(b)を参照して説明する。
【0124】
検体分析装置1のモードがリモートであり(S11:NO)、状態が待機であると(S18:NO、S21:YES)、CPU301は、“リモート待機からの状態変更処理”を行う(S21)。リモート待機からの状態変更処理については、追って図13(b)を参照して説明する。
【0125】
検体分析装置1のモードがリモートであり(S11:NO)、状態が中断であると(S18:NO、S21:NO)、CPU301は、“リモート中断からの状態変更処理”を行う(S23)。リモート中断からの状態変更処理については、追って図15(b)を参照して説明する。
【0126】
図12(a)は、“ローカル測定からの状態変更処理”を示すフローチャートである。
【0127】
なお、以降の説明において、検体分析装置1のモードと状態を変更する場合、CPU301は、ハードディスク304に記憶されているモードと状態を変更すると共に、搬送コントローラ120に対しても変更後のモードと状態を送信する。また、上述したように、ユーザにより試薬情報ボタンA21が押下され、図示しない試薬情報画面を介して試薬容器の交換を行う指示が入力された場合も、中断ボタンA12が押下されたと判定される。
【0128】
情報処理装置3のCPU301は、ユーザにより中断ボタンA12が押下されたかを判定する(S111)。中断ボタンA12が押下されると(S111:YES)、CPU301は、本体カバーC1のロックを解除し(S112)、状態を中断に変更する(S113)。
【0129】
また、CPU301は、中断ボタンA12が押下されたか否かの判定に加えて、検体分析装置1の状況が、図10(a)に示すスタンバイへの移行条件に合致しているかを判定する(S114)。検体分析装置1の状況がスタンバイへの移行条件に合致していると(S114:YES)、CPU301は、図10(c)に示すスタンバイへの移行処理を行い(S115)、本体カバーC1のロックを解除し(S116)、状態をスタンバイに変更する(S117)。
【0130】
図12(b)は、“リモート測定からの状態変更処理”を示すフローチャートである。
【0131】
情報処理装置3のCPU301は、ユーザにより中断ボタンA12が押下されたかを判定する(S121)。中断ボタンA12が押下されると(S121:YES)、CPU301は、本体カバーC1のロックを解除し(S122)、状態を中断に変更する(S123)。
【0132】
また、CPU301は、中断ボタンA12が押下されたか否かの判定に加えて、検体分析装置1の状況が、図10(b)に示す待機への移行条件に合致しているかを判定する(S124)。検体分析装置1の状況が待機への移行条件に合致していると(S124:YES)、CPU301は、図10(d)に示す待機への移行処理を行い(S125)、状態を待機に変更する(S126)。
【0133】
図13(a)は、“ローカルスタンバイからの状態変更処理”を示すフローチャートである。
【0134】
情報処理装置3のCPU301は、検体分析装置1の状況が、図10(e)に示すスタンバイの解除条件に合致しているかを判定する(S211)。検体分析装置1の状況がスタンバイの解除条件に合致していると(S211:YES)、CPU301は、本体カバーC1をロックし(S212)、図10(g)に示すスタンバイの解除処理を行い(S213)、状態を測定に変更する(S214)。
【0135】
図13(b)は、“リモート待機からの状態変更処理”を示すフローチャートである。
【0136】
情報処理装置3のCPU301は、中断ボタンA12が押下されたかを判定する(S221)。中断ボタンA12が押下されると(S221:YES)、CPU301は、本体カバーC1のロックを解除し(S222)、状態を中断に変更する(S223)。
【0137】
また、CPU301は、中断ボタンA12が押下されたか否かの判定に加えて、検体分析装置1の状況が、図10(f)に示す待機の解除条件に合致しているかを判定する(S224)。検体分析装置1の状況が待機の解除条件に合致していると(S224:YES)、CPU301は、図10(h)に示す基本解除処理を行う(S225)。続いて、C
PU301は、ハードディスク304に記憶した変数nに1をセットする(S226)。そして、CPU301は、変数nを利用して必要な処理のみを行う“選択解除処理”を行い(S227)、状態を測定に変更する(S228)。選択解除処理については、追って図14(a)、(b)を参照して説明する。
【0138】
図14(a)は、“選択解除処理”の内容を説明する図である。
【0139】
“対象機構”の項目には、1〜9の番号が付与された機構が示されている。“確認内容”の項目には、対象機構の9つの機構に対応する確認内容が示されている。“処理内容”の項目には、対象機構の9つの機構に対応する処理内容が示されている。
【0140】
図14(b)は、“選択解除処理”を示すフローチャートである。
【0141】
情報処理装置3のCPU301は、予め設定された変数nに基づいて、図14(a)のn番目の対象機構の状況が、対応する確認内容に合致したかを判定する(S51)。この対象機構の状況が確認内容に合致していると(S51:YES)、CPU301は、この対象機構について対応する処理内容を実行する(S52)。他方、この対象機構の状況が確認内容に合致していないと(S51:NO)、処理がS53に進められる。
【0142】
なお、1番目の試薬テーブル11、12については、何れか一方の試薬テーブルが動かされていれば、試薬テーブル11、12が動かされたと判定される。また、対象機構が動かされたか否かの判定は、対象機構を駆動させるステッピングモータに対応するロータリーエンコーダから出力されるパルス信号に基づいて判定される。
【0143】
続いて、CPU301は、変数nの値を1増やし(S53)、変数nの値が9よりも大きいかを判定する(S54)。変数nの値が9以下であると(S54:NO)、処理がS51に戻され、変数nの値が9より大きいと(S54:YES)、処理が終了する。このように、選択解除処理では、図14(a)に示す全ての対象機構のうち、初期化が必要な対象機構のみについて初期化の処理が行われ、初期化が必要でない対象機構については初期化の処理は行われない。
【0144】
図15(a)は、“ローカル中断からの状態変更処理”を示すフローチャートである。
【0145】
情報処理装置3のCPU301は、開始ボタンA11が押下されたかを判定する(S311)。開始ボタンA11が押下されると(S311:YES)、CPU301は、本体カバーC1をロックする(S312)。続いて、CPU301は、図13(b)のS225〜S228と同様、基本解除処理を行い(S313)、変数nに1をセットし(S314)、“選択解除処理”を行う(S315)。そして、CPU301は、状態を測定に変更する(S316)。
【0146】
開始ボタンA11が押下されていない場合(S311:NO)、CPU301は、処理を行わずにローカル中断からの状態変更処理を終了する。
【0147】
図15(b)は、“リモート中断からの状態変更処理”を示すフローチャートである。
【0148】
情報処理装置3のCPU301は、開始ボタンA11が押下されたかを判定する(S321)。開始ボタンA11が押下されると(S321:YES)、CPU301は、図15(a)のS312〜S316と同様の処理を行う(S322〜S326)。
【0149】
開始ボタンA11が押下されていない場合(S321:NO)、CPU301は、処理
を行わずにリモート中断からの状態変更処理を終了する。
【0150】
図16は、情報処理装置3によるモードの変更を示すフローチャートである。
【0151】
図16のフローチャートは、測定装置2の電源がONされると開始される。なお、測定装置2の電源がONされた際、検体分析装置1のモードは自動的にローカル変動になる。
【0152】
情報処理装置3のCPU301は、検体分析装置1のモードがローカルであるときに(S401:YES)、搬送コントローラ120からリモート要求(バーコードリーダBにより読み取られた検体IDと共にバーコードリーダBに検体容器Tが到着したことを示すコマンド)を受信したかを判定する(S402)。CPU301は、リモート要求を受信すると(S402:YES)、モードがローカル変動であるかを判定する(S403)。
【0153】
モードがローカル変動であると(S403:YES)、CPU301は、状態がスタンバイであるかを判定する(S404)。モードがローカル固定であると(S403:NO)、処理がS417に進められる。
【0154】
状態がスタンバイであると(S404:YES)、CPU301は、搬送コントローラ120にNGコマンド、すなわち、検体分析装置1のモードをリモートに変更できない旨(搬送ラインLn上の検体を受け取れない旨)を送信する(S405)。他方、状態がスタンバイでないと(S404:NO)、CPU301は、モードをリモートに変更する(S406)。すなわち、モードがローカルで状態が測定である場合、モードがリモートで状態が測定に変更され、モードがローカルで状態が中断である場合、モードがリモートで状態が中断に変更される。
【0155】
また、CPU301は、搬送コントローラ120からリモート要求を受信していないと(S402:NO)、ユーザによりローカルモードの設定指示が行われたかを判定する(S407)。かかる設定指示は、図8(b)に示すローカルモード変更画面A32のOKボタンが押下されることにより行われる。チェックボックスA32aのチェックがONでOKボタンが押下されると、CPU301は、モードをローカル固定とし、チェックボックスA32aのチェックがOFFでOKボタンが押下されると、CPU301は、モードをローカル変動とする(S408)。
【0156】
次に、CPU301は、モードがリモートであるときに(S401:NO)、搬送コントローラ120からローカル要求(容器収容装置103に搬送すべき検体容器がなくなり、搬送ラインLnを停止させることの通知)を受信したかを判定する(S409)。CPU301は、ローカル要求を受信すると(S409:YES)、モードをローカル変動に変更する(S410)。なお、状態はリモートのときの状態が維持される。
【0157】
他方、CPU301は、ローカル要求を受信していないと(S409:NO)、ユーザによりローカル固定指示が行われたかを判定する(S411)。かかる固定指示は、図8(b)に示すローカルモード変更画面A32のチェックボックスA32aのチェックがOFFからONに変更され、OKボタンが押下されることにより行われる。ローカル固定指示が行われると(S411:YES)、CPU301は、モードをローカル固定に変更する(S412)。なお、状態はリモートのときの状態が維持される。
【0158】
続いて、状態が待機であると(S413:YES)、CPU301は、図10(c)に示すスタンバイへの移行処理を行い(S414)、本体カバーC1のロックを解除し(S415)、状態をスタンバイに変更する(S416)。他方、状態が待機でないと(S413:NO)、処理がS417に進められる。
【0159】
このように、CPU301は、シャットダウンの指示が行われるまで、S401〜S416の処理を繰り返し行う(S417)。
【0160】
以上、本実施の形態によれば、図12(b)のS124以降に示すように、モードがリモートで状態が測定のとき、検体分析装置1の状況が待機への移行条件に合致しても、本体カバーC1のロックは解除されない。これにより、モードがリモートで状態が待機のときに、本体カバーC1内の動作機構群がユーザにより移動されることがない。よって、搬送ユニット114の搬送ラインLnに沿って検体容器Tが搬送されて、状態が待機から測定に変更されるたびに、動作機構群に含まれる全ての動作機構を原点位置に合わせる必要がなくなり、測定の遅延を防止することができる。
【0161】
より詳細に説明すると、搬送ユニット50(専用搬送装置)を用いた測定では、通常、ユーザは複数の検体ラックLをまとめて搬送ユニット50にセットし、測定を行う。そのため、まとめてセットした複数の検体ラックL間でスタンバイ状態に入ることなく、測定状態が継続される。これに対し、搬送ラインLnを用いた測定では、検体は間隔をおいて1つずつ他の装置から搬送されてくるため、検体間で待機状態に入る機会が増加する。その都度、本体カバーC1のロックを解除すると、次の検体の測定のたびに動作機構の原点出しが必要となり、測定が遅延するが、本実施の形態ではロックを継続することにより原点出しをすることなく測定を遅延なく実施することができる。
【0162】
また、モードがローカルのときに測定が終了して、状態がスタンバイに移行した際には、自動的に本体カバーC1のロックが解除されるため、ユーザが本体カバーC1のロックを解除する操作が不要となり、ユーザの操作を簡略化することができる。そのため、試薬の交換等を円滑に実施することが可能となる。
【0163】
また、本実施の形態によれば、図13(b)のS224以降に示すように、モードがリモートで状態が待機のとき、ロックされている本体カバーC1は、ユーザにより中断ボタンA12が押下されると解除される。これにより、状態が待機であっても、ユーザは必要に応じて本体カバーC1のロックを解除することができる。
【0164】
また、本実施の形態によれば、図12(a)のS114以降に示すように、モードがローカルで状態が測定のとき、検体分析装置1の状況がスタンバイへの移行条件に合致すると、本体カバーC1のロックが解除される。これにより、搬送ユニット50のラックセット領域51にセットされた検体ラックLの検体容器Tについて全て測定が終了すると、本体カバーC1のロックが解除されることとなる。よって、ユーザは、測定の終了後に、試薬交換やメンテナンスのために、本体カバーC1のロックを解除する操作を行う必要がないため、ユーザによる操作が簡略化される。
【0165】
また、本実施の形態によれば、モードがリモートで状態が待機のとき、図16のS410またはS412においてモードがローカルに変更されると、図16のS415に示すように、本体カバーC1のロックが解除される。これにより、ユーザは、モードがリモートからローカルに切り替えられた後に、本体カバーC1のロックを解除する操作を行う必要がないため、ユーザによる操作が簡略化される。
【0166】
また、本実施の形態によれば、図12(b)のS124以降に示すように、モードがリモートで状態が測定のとき、検体分析装置1の状況が待機への移行条件に合致すると、空圧源213の駆動がOFFされる処理を含む、待機への移行処理が行われる。これにより、状態が待機となったときに、検体分析装置1の使用電力を低く抑えることができると共に、空圧源213の劣化を抑制することができる。
【0167】
以上、本発明の実施の形態ついて説明したが、本発明は、上記実施の形態に制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も上記以外に種々の変更が可能である。
【0168】
たとえば、上記実施の形態では、検体分析装置1を血液凝固分析装置としたが、これに限らず、検体分析装置1は、どのような検体分析装置であっても良い。たとえば、検体分析装置1は、血清を測定する免疫分析装置、血液中の血球を計数する血球計数装置、尿を測定する尿分析装置、または骨髄液を分析する分析装置であっても良い。
【0169】
また、本実施の形態では、検体分析装置1に本発明を適用した例が示されたが、本発明は、検体を分析する検体分析装置に限らず、検体に対して所定の処理を行う検体処理装置に適用され得る。たとえば、本発明は、塗抹標本を作製する塗抹標本作製装置、検体容器Tを遠心分離するための遠心分離器、または検体容器Tを並べ替えるための検体並べ替え装置に適用されても良い。
【0170】
また、上記実施の形態では、搬送システム110の搬送ラインLnに沿って配置される装置には、検体分析装置1のほかに、遠心分離器102が含まれたが、これに限らず、他の検体分析装置または他の検体処理装置が含まれても良い。
【0171】
また、上記実施の形態では、図13(b)のS226、S227において、初期化が必要な対象機構のみについて処理が行われたが、これに限らず、本体カバーC1のロックが解除されたか否かに基づいて、対象機構の初期化の処理を行うようにしても良い。
【0172】
図17(a)は、この場合の“リモート待機処理”を示すフローチャートである。図17(a)では、図13(b)のS226に替えて、S231〜S233の処理が追加されている。以下、この部分についてのみ説明する。
【0173】
S231の処理が開始されるとき状態は待機であるため、通常、本体カバーC1はロックされている。しかしながら、状態が測定から待機へと変更されてからS231の判定が開始されるまでの間(以下、「ロック検証期間」という)に、本体カバーC1のロックがエラー等により解除されている可能性がある。ロック検証期間において本体カバーC1のロックが解除されていると、本体カバーC1内の機構の位置が変化している可能性がある。
【0174】
情報処理装置3のCPU301は、ロック検証期間に本体カバーC1のロックが解除されたかを判定する(S231)。ロック検証期間に本体カバーC1のロックが解除されていると(C231:YES)、CPU301は、変数nに1をセットする(S232)。そして、図14(a)に示す番号1〜9の対象機構について初期化の処理が行われる(S227)。なお、ロックの解除の判定は、ロック検証期間中に、図4(a)、(b)に示すモータC24が動作したかによって判定される。この他、係合板C22が図4(b)の状態から図4(a)の状態へと移行するとONされるスイッチを設け、このスイッチの出力を監視することによりロックの解除がなされたかが判定されても良い。
【0175】
他方、ロック検証期間に本体カバーC1のロックが解除されていないと(C231:NO)、CPU301は、変数nに8をセットする(S233)。そして、図14(a)に示す番号8、9の対象機構についてのみ初期化の処理が行われる(S227)。これにより、本体カバーC1のロックが解除されておらず本体カバーC1内の機構の位置が変化している可能性がないと、本体カバーC1に覆われている番号1〜7の対象機構については初期化の処理が行われなくなる。よって、本体カバーC1に覆われている動作機構群の一部については原点位置に戻されることがないため、測定の遅延を防止することができる。
【0176】
また、図17(a)では、本体カバーC1のロックが解除されたか否かに基づいて、対象機構の初期化の処理が行われたが、これに替えて、本体カバーC1がユーザによって実際に開けられたか否かに基づいて、対象機構の初期化の処理が行われるようにしても良い。この場合、ロック機構C2付近に、本体カバーC1が閉じられた状態か開けられた状態かを判定することが可能なセンサが配され、かかるセンサにより本体カバーC1の実際の開閉が判定される。
【0177】
図17(b)は、この場合の処理を示すフローチャートの一部である。図17(b)では、図17(a)のS231に替えてS234の処理が追加されている。この場合も、本体カバーC1が開けられていないと(S234:NO)、本体カバーC1に覆われている動作機構群の一部については原点位置に戻されることがないため、測定の遅延を防止することができる。
【0178】
さらに、本体カバーC1のロックが解除されたか否か、および、本体カバーC1がユーザにより実際に開けられたか否かに基づいて、対象機構の初期化の処理が行われるようにしても良い。
【0179】
図17(c)は、この場合の処理を示すフローチャートの一部である。図17(c)では、図17(a)のS231に替えてS235、S236の処理が追加されている。この場合、本体カバーC1のロックが解除され、且つ、本体カバーC1が開けられている場合に限り(S235:YES、S236:YES)、図14(a)に示す番号1〜9の対象機構について初期化の処理が行われる。このような場合以外では、本体カバーC1に覆われている動作機構群の一部については原点位置に戻されることがないため、測定の遅延を防止することができる。
【0180】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0181】
1 … 検体分析装置
2 … 測定装置
3 … 情報処理装置
10 … 測定ユニット
11、12 … 試薬テーブル
13 … キュベットテーブル
14 … 加温テーブル
15 … キュベット搬送器
16 … 希釈液搬送器
21〜25 … 分注ユニット
26〜28 … キャッチャユニット
50 … 搬送ユニット
201 … CPU
301 … CPU
110 … 搬送システム
114 … 搬送ユニット
213 … 空圧源
C1 … 本体カバー
C2 … ロック機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿等の検体に対し所定の処理を行う検体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の装置に検体を搬送する搬送ラインを設け、この搬送ラインにより複数の検体を各装置に搬送して分析作業を実行する自動分析システムが知られている(たとえば、特許文献1、2)。上記搬送ラインに接続される検体処理装置は、通常、装置内の動作機構を覆うカバーを備え、試薬の交換、メンテナンス等を使用者が行えるように、カバーは開閉可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−3361号公報
【特許文献2】特開2010−190844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の検体処理装置が搬送ラインに接続された場合、搬送ラインは、他の装置における検体処理が終了したタイミングに応じた不規則な時間間隔で検体を検体処理装置に搬送するため、検体処理装置は測定停止状態になることが多い。このため、測定停止状態の間に、検体処理装置内の動作機構が不用意に使用者に触れられ、移動することがある。動作機構が移動されていると、検体処理動作を再開した際に、動作機構を、装置が意図した位置に正しく位置付けることができないことがある。そのため、上述のような検体処理装置では、搬送ラインによって搬送された検体を処理するたびに、カバーの開閉の有無を検知する処理、動作機構を一旦原点位置に移動させる処理等が必要になり、円滑に検体を処理することが困難となる。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、使用者の操作性が損なわれることを抑制しつつ、動作機構が不用意に使用者によって移動されることを防止して検体を円滑に処理することが可能な検体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の主たる態様は、検体を処理するための検体処理装置に関する。この態様に係る検体処理装置は、動作機構を備えると共に前記動作機構を動作させて検体の処理動作を実行する処理装置本体と、少なくとも一つの前記動作機構を覆うカバーと、前記カバーをロックして前記カバーの開放を禁止するロック機構と、前記ロック機構を制御する制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記動作機構による検体の処理動作が終了した後、使用者からのロックの解除指示を受け付けるまでは前記カバーのロックを解除しない第1モードと、前記動作機構による検体の処理動作が終了した後、自動的に前記カバーのロックを解除する第2モードとを設定可能に構成されている。
【0007】
本態様に係る検体処理装置によれば、検体の処理動作が終了した後もカバーのロックを継続するモードを備えているため、このモードを設定した場合には、検体処理の終了後に、カバーに覆われた動作機構が不用意に使用者によって移動されることが防止される。これにより、検体を処理する都度、動作機構を原点位置に合わせる必要がなくなり、円滑に検体処理を行うことができる。また、検体の処理動作が終了した後に自動的にカバーのロックを解除するモードを備えているため、このモードを設定した場合には、検体処理終了
後に使用者がロック解除指示を行わなくても、カバーを開放することができる。そのため、使用者の操作性が損なわれることを抑制することができる。
【0008】
また、本態様に係る検体処理装置は、複数の装置に検体を搬送する搬送ラインに接続可能であってもよく、この場合には、前記制御部は、少なくとも前記搬送ラインによって搬送された検体を処理するときに前記第1モードを設定してもよい。これにより、搬送ラインによって検体が不定期に搬送されてくる場合であっても、処理動作の終了後もカバーのロックが継続されるため、検体が搬送されてくるたびに動作機構を原点位置に合わせる必要がなくなる。そのため、円滑に検体を処理することができる。
【0009】
ここで、当該検体処理装置は、当該検体処理装置のみに検体を搬送する専用搬送装置に接続可能であってもよく、この場合、前記制御部は、前記専用搬送装置によって搬送された検体を処理するが、前記搬送ラインによって搬送された検体を処理しないときに、前記第2モードを設定してもよい。これにより、第2モードが設定されているときには、処理動作の終了後に、試薬交換やメンテナンスのためにカバーのロックを解除する操作が不要となり、操作が簡略化される。
【0010】
なお、第2モードでは、使用者は多数の検体をまとめて専用搬送装置にセットするのが一般的である。この場合、一連の検体について処理動作が継続され、当該処理動作の終了後にカバーのロックが解除される。第2モードでは処理終了後にカバーのロックが解除されるので、まとめてセットされた多数の検体のうち最初の検体の処理前には、動作機構を原点位置に合わせてから処理を開始する必要があるが、その回数は少ない。このため、動作機構を原点位置に合わせることによる処理の遅延は小さいと言える。
【0011】
ここで、前記第1モードは、前記搬送ラインによって搬送された検体の処理に加えて、前記専用搬送装置によって搬送された検体の処理を行うモードであってもよい。
【0012】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記制御部は、前記専用搬送装置に設置された検体の処理動作の開始指示を使用者から受け付けると、前記カバーのロックを行ってもよい。
【0013】
ここで、前記制御部は、前記カバーのロック中に前記第1モードに移行したとき、使用者からのロックの解除指示を受け付けるまでは前記カバーのロックを継続してもよい。
【0014】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記制御部は、前記第1モードにおいて、検体の処理動作の終了後に前記カバーがロックされているときに、前記第1モードが前記第2モードに切り替わると、自動的に前記カバーのロックを解除する構成とされ得る。こうすると、モードが切り替わった後に、カバーのロックを解除する操作が不要となり、操作が簡略化される。
【0015】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記制御部は、前記第2モードが設定されているときに、前記搬送ラインによって搬送された検体が当該検体処理装置に到着すると、前記第2モードから前記第1モードに切り替える構成とされ得る。こうすると、使用者の操作を介することなく、第1モードに切り替えることができる。
【0016】
ここで、前記制御部は、前記第1モードが設定されているときに、前記搬送ライン上に検体が存在しないと判定すると、前記第1モードから前記第2モードに切り替えてもよい。こうすると、使用者の操作を介することなく、第2モードに切り替えることができる。
【0017】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記制御部は、前記第1モードが設定され
ているときに、検体の処理動作が終了した後、前記検体処理装置を省電力モードに移行させ、前記省電力モードに移行後も、使用者からの前記ロックの解除指示を受け付けるまでは、前記カバーのロックを継続する構成とされ得る。こうすると、処理動作が終了した後、検体処理装置が省電力モードに移行されるため、検体処理装置の使用電力を低く抑えることができると共に、検体処理装置内の部品の劣化を抑制することができる。
【0018】
ここで、前記処理装置本体は、処理のための圧力を生成する圧力源を備え、前記制御部は、前記省電力モードにおいて前記圧力源の動作を停止する構成とされ得る。
【0019】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記ロックの解除指示は、試薬交換のための指示であるよう構成され得る。こうすると、試薬交換を行うときに、カバーのロックを解除する操作が不要となり、操作が簡略化される。
【0020】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記処理装置本体は、検体の処理動作の終了から検体の処理動作の再開時まで前記カバーが開いていなければ、前記カバーに隠れていた前記動作機構の少なくとも一部を原点に戻さずに、検体の処理動作を開始する構成とされ得る。こうすると、カバーが開いていない場合、すなわち、ユーザによりカバーに隠れていた動作機構の位置が変更された可能性が無い場合、カバーに隠れていた動作機構の少なくとも一部が原点に戻されず、検体の処理動作が開始される。これにより、検体が搬送されてくるたびに、原点位置に合わせる必要のない動作機構を原点位置に合わせる必要がなくなり、検体の処理の遅延を防止できる。
【0021】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記処理装置本体は、検体の処理動作の終了から検体の処理動作の再開時まで前記カバーのロックが解除されていなければ、前記カバーに隠れていた前記動作機構の少なくとも一部を原点に戻さずに、検体の処理動作を開始する構成とされ得る。こうすると、カバーのロックが解除されていない場合、すなわち、ユーザによりカバーに隠れていた動作機構の位置が変更された可能性が無い場合、カバーに隠れていた動作機構の少なくとも一部が原点に戻されず、検体の処理動作が開始される。これにより、検体が搬送されてくるたびに、原点位置に合わせる必要のない動作機構を原点位置に合わせる必要がなくなり、検体の処理の遅延を防止できる。
【0022】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記動作機構は、検体処理に用いられる試薬が収容された試薬容器を保持する保持部を備え、当該保持部を移動可能な試薬保持機構、および、試薬の分注動作を行うための試薬分注機構の少なくとも何れかを含む構成とされ得る。
【0023】
本発明の他の態様は、複数の装置に検体を搬送する搬送ラインに接続可能な検体処理装置に関する。この態様に係る検体処理装置は、動作機構を備えると共に前記動作機構を動作させて検体の処理動作を実行する処理装置本体と、少なくとも一つの前記動作機構を覆うカバーと、前記カバーをロックして前記カバーの開放を禁止するロック機構と、前記ロック機構を制御する制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記搬送ラインにより搬送された検体の処理動作を実行するよう前記動作機構を制御し、前記検体の処理動作中は前記カバーをロックし、処理動作が終了した後も、使用者からの前記ロックの解除指示を受け付けるまでは前記カバーのロックを継続する。
【0024】
本態様に係る検体処理装置によれば、搬送ラインによって搬送された検体の処理動作が終了した後もカバーのロックが継続されるため、カバーに覆われた動作機構が不用意に使用者によって移動されることがない。これにより、搬送ラインによって検体が搬送されてくるたびに動作機構を原点位置に合わせる必要がなくなり、円滑に検体処理を行うことができる。
【0025】
ここで、当該検体処理装置は、当該検体処理装置のみに検体を搬送する専用搬送装置に接続されてもよく、前記制御部は、少なくとも前記搬送ラインによって搬送された検体を処理する第1モードと、前記専用搬送装置によって搬送された検体を処理するが、前記搬送ラインによって搬送された検体を処理しない第2モードの何れが設定されているかを識別し、前記第1モードが設定されているときは、処理動作が終了した後も、使用者からの前記ロックの解除指示を受け付けるまでは前記カバーのロックを継続し、前記第2モードが設定されているときは、処理動作が終了すると、自動的に前記カバーのロックを解除してもよい。
【0026】
こうすると、検体が不定期に搬送されてくる第1モードが設定されている場合には、処理動作の終了後もカバーのロックが継続されるため、検体が搬送されてくるたびに動作機構を原点位置に合わせる必要がなくなる。また、第2モードが設定されているときには、処理動作が終了した後に、カバーのロックが解除されるため、処理動作の終了後に、試薬交換やメンテナンスのためにカバーのロックを解除する操作が不要となり、操作が簡略化される。
【0027】
なお、第2モードでは、使用者は多数の検体をまとめて専用搬送装置にセットするのが一般的である。この場合、一連の検体について処理動作が継続され、当該処理動作の終了後にカバーのロックが解除される。第2モードでは処理終了後にカバーのロックが解除されるので、まとめてセットされた多数の検体のうち最初の検体の処理前には、動作機構を原点位置に合わせてから処理を開始する必要があるが、その回数は少ない。このため、動作機構を原点位置に合わせることによる処理の遅延は小さいと言える。
【0028】
ここで、前記第1モードは、前記搬送ラインによって搬送された検体の処理に加えて、前記専用搬送装置によって搬送された検体の処理を行うモードであってもよい。
【0029】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記制御部は、前記専用搬送装置に設置された検体の処理動作の開始指示を使用者から受け付けると、前記カバーのロックを行ってもよい。
【発明の効果】
【0030】
以上のとおり、本発明によれば、使用者の操作性が損なわれることを抑制しつつ、動作機構が不用意に使用者によって移動されることを防止して検体を円滑に処理することが可能な検体処理装置を提供することができる。
【0031】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態により何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施の形態に係る検体処理システムを上側から見た場合の構成を示す平面図である。
【図2】実施の形態に係る検体容器と検体ラックの構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係る検体分析装置の構成を示す外観図である。
【図4】実施の形態に係るロック機構により本体カバーがロック状態またはロック解除状態となることを説明する図である。
【図5】実施の形態に係る測定装置と搬送ユニットを上側から見た場合の平面図である。
【図6】実施の形態に係る測定装置の構成を示す図である。
【図7】実施の形態に係る情報処理装置の構成を示す図である。
【図8】実施の形態に係る検体分析装置のモードと状態を示す図、ローカルモード変更画面、およびモード表示領域の表示内容を示す図である。
【図9】実施の形態に係る情報処理装置の表示部に表示されるメニュー画面を示す図である。
【図10】実施の形態に係るスタンバイへの移行条件、待機への移行条件、スタンバイへの移行処理、待機への移行処理、スタンバイの解除条件、待機の解除条件、スタンバイの解除処理、および基本解除処理を示す図である。
【図11】実施の形態に係る情報処理装置による処理を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態に係るローカル測定からの状態変更処理およびリモート測定からの状態変更処理を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態に係るローカルスタンバイからの状態変更処理およびリモート待機からの状態変更処理を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態に係る選択解除処理の内容を説明する図および選択解除処理を示すフローチャートである。
【図15】実施の形態に係るローカル中断からの状態変更処理およびリモート中断からの状態変更処理を示すフローチャートである。
【図16】実施の形態に係る情報処理装置によるモードの変更を示すフローチャートである。
【図17】変更例に係るリモート待機からの状態変更処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本実施の形態は、血液に関する検査および分析を行うための検体分析装置に本発明を適用したものである。
【0034】
以下、本実施の形態に係る検体分析装置について、図面を参照して説明する。
【0035】
図1は、検体分析装置1を含む検体処理システム100を上側から見た場合の構成を示す平面図である。
【0036】
検体分析装置1は、検体(血漿)に試薬を添加することで調製された測定試料に光を照射して、凝固法、合成基質法、免疫比濁法および凝集法を用いて、検体の光学的な測定および分析を行う血液凝固分析装置である。検体分析装置1は、検体(血漿)に含まれる成分を光学的に測定する測定装置2と、測定装置2による測定データを分析するとともに、測定装置2に操作指示を与える情報処理装置3とで構成されている。測定装置2と情報処理装置3とは、通信可能に接続されている。
【0037】
検体処理システム100は、ラックセット装置101と、遠心分離器102と、容器収容装置103と、2台の検体分析装置1と、搬送システム110と、搬送コントローラ120を備えている。搬送システム110は、搬送ユニット111〜113と、2台の搬送ユニット114を備えている。遠心分離器102と容器収容装置103は、それぞれ、搬送ユニット111、113の右隣りに配置されている。検体分析装置1は、搬送ユニット114の右隣りに配置されている。
【0038】
検体容器Tに収容された検体の測定を行う場合、ユーザは検体容器Tを検体ラックLにセットし、この検体ラックLを測定装置2またはラックセット装置101にセットする。本実施の形態では、検体ラックLが測定装置2とラックセット装置101の何れにセットされた場合も、この検体ラックLに保持されている検体容器T内の検体の測定を開始することができる。
【0039】
図2(a)、(b)は、それぞれ、検体容器Tと検体ラックLの構成を示す図である。
【0040】
図2(a)を参照して、検体容器Tは、透光性を有するガラスまたは合成樹脂により構成された管状容器であり、上端が開口している。検体容器Tの側面には、バーコードラベルT1が貼付されている。バーコードラベルT1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。検体容器Tは、患者から採取された血液検体を収容しており、上端の開口は蓋部T2により密封されている。
【0041】
図2(b)を参照して、検体ラックLには、10本の検体容器Tを垂直に保持することが可能な保持部が形成されている。検体ラックLの側面には、バーコードラベルL1が貼付されている。バーコードラベルL1には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0042】
図1に戻り、測定装置2に検体ラックLがセットされた場合、この検体ラックLは測定装置2内で搬送され、検体容器Tが吸引位置P1に順次位置付けられる。吸引位置P1に検体容器Tが位置付けられると、この検体容器Tから検体が吸引され、測定装置2において検体の測定が行われる。
【0043】
他方、ラックセット装置101に検体ラックLがセットされた場合、この検体ラックLはラックセット装置101により左方向に搬送され、ラックセット装置101の左隣りに配置されている遠心分離器102にセットされる。遠心分離器102にセットされた検体ラックLは、遠心分離器102により遠心分離処理が行われ、遠心分離器102の左端に位置付けられる。
【0044】
搬送システム110の各搬送ユニットは、搬送システム110内で検体容器Tを破線矢印方向に搬送するための環状の搬送ラインLnを備えている。検体容器Tは容器保持部130(図5参照)に保持された状態で、個別に搬送ラインLnに沿って搬送される。遠心分離器102の左端に位置付けられた検体ラックLに保持されている検体容器Tは、搬送ユニット111の搬送ラインLn上の容器保持部130にセットされ、搬送ラインLn上を搬送ユニット114に向けて搬送される。
【0045】
搬送ユニット111から後方側の搬送ユニット114に搬送される検体容器Tは、この搬送ユニット114の右隣りの検体分析装置1において、検体の測定を行う場合と行わない場合とで、それぞれ、搬送ラインLa、Lbに搬送される。すなわち、検体分析装置1において検体の測定を行う場合、検体容器Tは搬送ラインLaに搬送され、吸引位置P2に位置付けられる。吸引位置P2に検体容器Tが位置付けられると、この検体容器Tから検体が吸引され、測定装置2において検体の測定が行われる。検体分析装置1において検体の測定を行わない場合、検体容器Tは搬送ラインLbに搬送され、この搬送ユニット114の前方の搬送ユニットに向けて搬送される。
【0046】
なお、後方側の搬送ユニット114から前方側の搬送ユニット114に搬送される検体容器Tについても、前方側の搬送ユニット114と、この搬送ユニット114の右隣りの検体分析装置1において、上記と同様に処理が行われる。
【0047】
前方側の搬送ユニット114から搬送ユニット112に搬送された検体容器Tは、搬送ラインLn上を後方に向けて搬送される。搬送ユニット111から搬送ユニット113に搬送される検体容器Tは、所定の位置で取り出されて、容器収容装置103に収容される。
【0048】
搬送コントローラ120は、ラックセット装置101と、遠心分離器102と、容器収容装置103と、2台の検体分析装置1と、搬送システム110の各搬送ユニットと通信可能に接続されている。搬送コントローラ120は、ラックセット装置101と、遠心分離器102と、容器収容装置103と、搬送システム110の動作を制御する。また、搬送コントローラ120は、搬送システム110内での検体容器Tの搬送状況を、2台の検体分析装置1に送信する。
【0049】
図3は、検体分析装置1の構成を示す外観図である。
【0050】
測定装置2は、検体の測定を行う測定ユニット10と、検体ラックLを搬送するための搬送ユニット50を備えている。また、測定装置2には、測定ユニット10内の各動作機構を覆う本体カバーC1と、測定ユニット10内に配されたロック機構C2と、希釈液交換位置P3(図5参照)を覆う希釈液カバーC3が設けられている。
【0051】
ロック機構C2は、本体カバーC1の内側であって、測定ユニット10の左前方付近に設置されている。本体カバーC1は、ロック機構C2によりロック状態またはロック解除状態となる。本体カバーC1がロック解除状態であると、ユーザは、軸C11を回転の軸として本体カバーC1を上方向に開けて、測定ユニット10の各機構に対してアクセスすることができる。これにより、ユーザは測定ユニット10内の試薬容器の交換や、測定ユニット10内のメンテナンスを行うことができる。
【0052】
希釈液カバーC3は、図示しないロック機構によりロック状態またはロック解除状態となる。希釈液カバーC3がロック解除状態であると、ユーザは、希釈液カバーC3を上方向に開けて、希釈液交換位置P3にアクセスすることができる。これにより、ユーザは、本体カバーC1を開けることなく、希釈液交換位置P3に位置付けられた希釈液搬送器16(図5参照)に保持された希釈液容器の交換を行うことができる。
【0053】
図4(a)、(b)は、ロック機構C2により本体カバーC1がロック解除状態またはロック状態となることを説明する図である。図4(a)は、本体カバーC1がロック解除状態であるときの側面図であり、図4(b)は、本体カバーC1がロック状態であるときの側面図である。
【0054】
本体カバーC1の左側面の前方の内側には、支持部C12が設置されている。支持部C12の右端部分には、Y−Z平面に平行な鍔部C12aが形成されている。鍔部C12aの下端付近には、鍔部C12aをX軸方向に貫通する孔C12bが形成されている。
【0055】
ロック機構C2は、軸C21と、係合板C22と、バネC23と、モータC24からなる。軸C21は、Y軸方向に長さを有し、測定装置2内に設置されている。係合板C22は、軸C21を中心軸としX−Z平面内で回転可能となるよう軸C21に支持されている。係合板C22には、上端にL字型の係合部C22aが形成されており、下端近傍にY軸に対して平行な面を有する鍔部C22bが形成されている。バネC23の下端は、測定装置2内に固定されており、上端は、係合板C22に固定されている。モータC24は、X軸方向に長さを有する軸C24aを備えており、軸C24aの左端には押出し部材C24bが設置されている。
【0056】
図4(a)は、本体カバーC1が開けられた状態から閉められた直後の状態を示している。このとき、押出し部材C24bは鍔部C22bに当接しておらず、係合板C22がバネC23によって引っ張られている。これにより、係合部C22aは左側に傾けられており、本体カバーC1はロック解除状態となっている。
【0057】
ここで、モータC24が駆動されて軸C24aが左方向に移動すると、押出し部材C24bが鍔部C22bに当接し、係合板C22がバネC23による張力に抗して、軸C21を中心としてY軸まわりに回転する。これにより、係合部C22aが右側に移動し、図4(b)に示すように、孔C12bに挿入される。こうして、本体カバーC1がロック状態となり、ユーザは本体カバーC1を開けることができなくなる。
【0058】
続いて、本体カバーC1がロック状態のときに、モータC24が駆動されて軸C24aが右方向に移動すると、係合板C22がバネC23により引っ張られ、図4(a)に示すように左側に傾けられる。こうして、本体カバーC1がロック解除状態となり、ユーザは本体カバーC1を開けることができるようになる。なお、希釈液カバーC3についても、本体カバーC1と同様のロック機構が配されている。
【0059】
図5は、測定装置2と搬送ユニット114を上側から見た場合の平面図である。なお、図5は、本体カバーC1が透過されている状態として図示されている。
【0060】
図5に示すように、測定ユニット10の本体カバーC1内には、試薬テーブル11、12と、キュベットテーブル13と、加温テーブル14と、キュベット搬送器15と、希釈液搬送器16と、分注ユニット21〜25と、キャッチャユニット26〜28(以下、これらを総称して「動作機構群」という)が配されている。本体カバーC1がロック状態のとき、ユーザは動作機構群に対してアクセスすることはできず、本体カバーC1がロック解除状態のとき、ユーザは本体カバーC1を開けて、動作機構群に対してアクセスすることができ、動作機構群を移動させることができる。
【0061】
まず、搬送ユニット50による検体ラックLの搬送動作について説明する。
【0062】
搬送ユニット50には、検体ラックLを載置可能なラックセット領域51と、搬送領域52と、搬送領域52から搬出された検体ラックLを取り出し可能に配置するラック収容領域53が設けられている。
【0063】
ラックセット領域51に配されたセンサ(図示せず)の検出信号に基づいて、ラックセット領域51に検体ラックLがセットされていることが検出されると、ラックセット領域51上の検体ラックLは、搬送領域52の右端に送り込まれる。
【0064】
搬送領域52の右端に位置づけられた検体ラックLは、検体ラックLを左右方向に搬送するための機構部(図示せず)により、搬送領域52に沿って左方向に搬送される。搬送領域52の中央近傍には、左右方向に移動可能なバーコードリーダ54が設置されている。バーコードリーダ54は、検体容器Tと検体ラックLにそれぞれ貼付されたバーコードラベルT1、L1を読み取る。
【0065】
また、搬送領域52には、図1にも示したように吸引位置P1が設定されている。吸引位置P1に位置付けられた検体容器T内の検体は、分注ユニット21によって吸引される。検体ラックLに保持されている検体容器Tの検体が全て吸引されると、検体ラックLは、搬送領域52の左端まで搬送される。
【0066】
搬送領域52の左端に位置付けられた検体ラックLは、前方に送り込まれ、ラック収容領域53に収容される。こうして、検体ラックLの搬送動作が終了する。搬送ユニット50の搬送動作は、ラックセット領域51にセットされた全ての検体ラックLに対して行われる。
【0067】
次に、測定ユニット10による検体の測定動作について説明する。
【0068】
試薬テーブル11、12は、試薬容器を保持し、回転可能となるよう構成されている。キュベットテーブル13と加温テーブル14は、キュベットを保持し、回転可能となるよう構成されている。キュベット搬送器15と希釈液搬送器16は、それぞれ、キュベットと希釈液容器を保持し、左右方向に移動可能となるよう構成されている。
【0069】
分注ユニット21は、支持部21aと、支持部21aに支持されたアーム21bと、ピペット21cを備えている。支持部21aは、上下移動および回転が可能となるよう構成されている。これにより、アーム21bの先端に取り付けられたピペット21cが、上下方向に移動可能となり、且つ、支持部21aを中心として回転可能となっている。分注ユニット22〜25も、分注ユニット21と同様に構成される。キャッチャユニット26、27は、キュベットを把持し、伸縮および回転が可能となるよう構成されている。キャッチャユニット28は、キュベットを把持し、伸縮および左右方向の移動が可能となるよう構成されている。
【0070】
吸引位置P1に位置付けられた検体容器T内の検体は、分注ユニット21のピペット21cにより吸引され、キュベットテーブル13にセットされた新しいキュベットに吐出される。分注ユニット22は、キュベットテーブル13にセットされているキュベット内の検体を吸引し、キュベット搬送器15にセットされた新しいキュベットに吐出する。また、分注ユニット22は、希釈液搬送器16にセットされている希釈液容器内の希釈液を吸引して検体に混和することができる。
【0071】
なお、キュベットテーブル13とキュベット搬送器15には、キュベット供給ユニット36から供給される新しいキュベットが、それぞれ、キャッチャユニット26、27により順次セットされる。
【0072】
キュベット搬送器15にセットされているキュベットに検体が吐出されると、キュベット搬送器15が右方向に駆動され、このキュベットは、キャッチャユニット26により把持されて加温テーブル14にセットされる。加温テーブル14にセットされたキュベットは、加温テーブル14により加温された後、キャッチャユニット27、28により、検出ユニット40にセットされる。その際、分注ユニット23〜25により、適宜、試薬テーブル11、12に保持された試薬容器内の試薬がキュベットに分注される。
【0073】
試薬が分注された検体(測定試料)は、検出ユニット40による処理が行われ、測定試料に含まれる成分を反映した光学的情報が検出される。こうして、検体の測定が終了する。測定が終了し不要となったキュベットは、キャッチャユニット27、28により把持され、廃棄口37、38に廃棄される。なお、分注ユニット21〜25のピペットは、適宜、洗浄器31〜35に収容されて水洗浄される。
【0074】
本実施の形態では、上記のように、吸引位置P1に位置付けられた検体容器T内の検体だけでなく、吸引位置P2に位置付けられた検体容器T内の検体の測定を行うことができる。
【0075】
図5の左側を参照して、検体容器Tは、搬送ユニット114の搬送ラインLnに沿って搬送される容器保持部130に保持されて搬送される。検体容器Tがこの搬送ユニット114に対応する検体分析装置1で測定が行われる場合、この検体容器Tは、搬送ラインLaに沿って搬送され、バーコードリーダBの前方に位置付けられる。バーコードリーダBは、前方に位置付けられた検体容器TのバーコードラベルT1から検体IDを読み取る。このとき、搬送コントローラ120は、バーコードリーダBにより読み取られた検体IDと共に、バーコードリーダBに検体容器Tが到着したこと示すコマンドを、対応する検体
分析装置1の情報処理装置3に送信する。
【0076】
続いて、この検体容器Tは吸引位置P2に位置付けられる。このとき、搬送コントローラ120は、吸引位置P2に検体容器Tが位置付けられたことを示すコマンドを、対応する検体分析装置1の情報処理装置3に送信する。吸引位置P2に位置付けられた検体容器T内の検体は、吸引位置P1に位置付けられた検体容器Tの場合と同様、分注ユニット21のピペット21cにより吸引され、キュベットテーブル13にセットされた新しいキュベットに吐出される。このとき、情報処理装置3は、吸引位置P2の検体容器Tから検体を吸引したことを示すコマンドを搬送コントローラ120に送信する。こうして、搬送ラインLnに沿って搬送される検体についても、検体分析装置1において測定が行われる。
【0077】
図6は、測定装置2の構成を示す図である。
【0078】
測定装置2は、制御部200と、ステッピングモータ部211と、ロータリーエンコーダ部212と、空圧源213と、センサ部214と、ロック機構部215と、機構部216と、バーコードリーダ54を含んでいる。また、制御部200は、CPU201と、ROM202と、RAM203と、ハードディスク204と、通信インターフェース205と、I/Oインターフェース206を有する。
【0079】
CPU201は、ROM202に記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM203にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM203は、ROM202およびハードディスク204に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM203は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU201の作業領域としても利用される。
【0080】
ハードディスク204には、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU201に実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびコンピュータプログラムの実行に用いるデータが記憶されている。CPU201は、通信インターフェース205を介して、情報処理装置3とデータの送受信を行う。
【0081】
また、CPU201は、I/Oインターフェース206を介して、ステッピングモータ部211と、ロータリーエンコーダ部212と、空圧源213と、センサ部214と、ロック機構部215と、機構部216と、バーコードリーダ54に接続されている。CPU201は、これらの機構から信号を受信すると共に、これらの機構を制御する。
【0082】
ステッピングモータ部211は、試薬テーブル11、12と、キュベットテーブル13と、加温テーブル14と、キュベット搬送器15と、希釈液搬送器16と、分注ユニット21〜25と、キャッチャユニット26〜28と、搬送ユニット50上で検体ラックLを移動させるための機構と、をそれぞれ駆動するためのステッピングモータを含んでいる。ロータリーエンコーダ部212は、ステッピングモータ部211に含まれる各ステッピングモータの回転変位量に応じたパルス信号を出力するロータリーエンコーダを含んでいる。ロータリーエンコーダ部212に含まれる各ロータリーエンコーダから出力されるパルス数に基づいて、ステッピングモータ部211に含まれる各ステッピングモータの回転量を検出することができる。
【0083】
空圧源213は、分注ユニット21〜25による分注動作が行われるよう、それぞれ分注ユニット21〜25に圧力を供給する空圧源である。センサ部214は、ステッピングモータ部211の各ステッピングモータにより駆動される機構が原点位置に位置付けられたかを検出する原点位置センサと、搬送ユニット50上の所定の位置において検体ラックLを検出するための種々のセンサを含んでいる。なお、分注ユニット21〜25の各ピペ
ットが、それぞれ洗浄器31〜35上に位置付けられると、分注ユニット21〜25が、回転方向において原点位置に位置付けられることになる。
【0084】
ロック機構部215は、本体カバーC1をロック状態とロック解除状態とに切り替えるためのロック機構C2と、希釈液カバーC3をロック状態とロック解除状態とに切り替えるためのロック機構を含んでいる。機構部216は、洗浄器31〜35に位置付けられた分注ユニット21〜25のピペットを水洗浄するための機構と、上記動作機構群を含む測定装置2内のその他の機構部を含んでいる。
【0085】
図7は、情報処理装置3の構成を示す図である。
【0086】
情報処理装置3は、パーソナルコンピュータからなり、本体30と、入力部31と、表示部32から構成されている。本体30は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、ハードディスク304と、読出装置305と、入出力インターフェース306と、画像出力インターフェース307と、通信インターフェース308を有する。
【0087】
CPU301は、ROM302に記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM303にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM303は、ROM302およびハードディスク304に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM303は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU301の作業領域としても利用される。
【0088】
ハードディスク304には、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU301に実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびコンピュータプログラムの実行に用いるデータが記憶されている。
【0089】
読出装置305は、CDドライブまたはDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムおよびデータを読み出すことができる。入出力インターフェース306には、マウスやキーボードからなる入力部31が接続されており、ユーザが入力部31を使用することにより、情報処理装置3にデー指示およびデータが入力される。画像出力インターフェース307には、ディスプレイ等で構成された表示部32が接続されており、画像データに応じた映像信号を表示部32に出力する。表示部32は、入力された映像信号に基づいて画像を表示する。通信インターフェース308により、測定装置2と搬送コントローラ120に対してデータの送受信が可能となる。
【0090】
図8(a)は、検体分析装置1のモードと状態を示す図である。
【0091】
検体分析装置1には、“ローカル変動”と、“ローカル固定”と、“リモート”の3種類のモードがある。また、モードがローカル変動とローカル固定の場合(以下、併せて「ローカル」という)、“測定”と、“中断”と、“スタンバイ”の3種類の状態があり、モードがリモートの場合、“測定”と、“中断”と、“待機”の3種類の状態がある。なお、検体分析装置1のモードと状態は、情報処理装置3のハードディスク304に記憶される。
【0092】
モードがローカルであるとき、検体分析装置1では、吸引位置P1に位置付けられた検体容器Tから順次検体が吸引され、搬送システム110の搬送ラインLnに沿って搬送される検体容器Tから検体は吸引されない。他方、モードがリモートであるとき、検体分析装置1では、吸引位置P1と吸引位置P2に位置付けられた検体容器Tから順次検体が吸引される。
【0093】
また、モードがローカル変動のとき、情報処理装置3が、後述するように、搬送コントローラ120からリモート要求(バーコードリーダBにより読み取られた検体IDと共にバーコードリーダBに検体容器Tが到着したことを示すコマンド)を受信すると、モードはリモートに変更される。モードがローカル固定のとき、情報処理装置3が搬送コントローラ120からリモート要求を受信しても、モードはリモートに変更されず、ローカル固定のまま維持される。
【0094】
状態が測定のとき、吸引位置P1または吸引位置P2に位置付けられた検体容器Tから検体が吸引され、測定ユニット10で検体の測定が行われる。検体分析装置1の状態が中断になると、測定装置2の動作が一時的に中断される。状態がスタンバイまたは待機になると、測定装置2内が所定の状態となる。スタンバイまたは待機については、追って図10(a)〜(d)を参照して説明する。
【0095】
図9は、情報処理装置3の表示部32に表示されるメニュー画面Aを示す図である。
【0096】
メニュー画面Aは、ツールバー領域A10と、情報表示領域A20と、コントロール領域A30から構成されている。
【0097】
ツールバー領域A10は、開始ボタンA11と中断ボタンA12を含んでおり、メニュー画面Aに常に表示されている。開始ボタンA11は、検体分析装置1の状態が、スタンバイ、待機または中断のときに、状態を測定に変更するためのボタンである。中断ボタンA12は、検体分析装置1の状態が、測定または待機のときに、状態を中断に変更するためのボタンである。
【0098】
情報表示領域A20には、ツールバー領域A10とコントロール領域A30の操作に応じた内容が表示される。情報表示領域A20に図9に示すようなメニューが表示されているとき、情報表示領域A20は、試薬情報ボタンA21を含んでいる。ユーザは、試薬交換を行う場合、まず、試薬情報ボタンA21を押下して、表示部32に図示しない試薬情報画面を表示させる。ユーザは、かかる試薬情報画面を介して、測定ユニット10内の試薬テーブル11、12に保持されている試薬容器の交換を行う指示を入力する。これにより、検体分析装置1の状態が中断となる。こうして、ユーザは、本体カバーC1を開けて試薬の交換を行うことができるようになる。
【0099】
コントロール領域A30は、モード表示領域A31を含んでおり、メニュー画面Aに常に表示されている。モード表示領域A31は、ボタンA31aを含んでおり、検体分析装置1のモードが、ローカル変動、ローカル固定またはリモートの何れであるかを表示する。ユーザによりボタンA31aが押下されると、図8(b)に示すローカルモード変更画面A32が表示部32に表示される。
【0100】
図8(b)を参照して、ローカルモード変更画面A32は、モードをリモートからローカル固定に変更する場合と、モードをローカル固定からローカル変動に変更する場合に用いるチェックボックスA32aを含んでいる。モードがリモートとローカル変動のとき、チェックボックスA32aのチェックはOFFとなっており、モードがローカル固定のとき、チェックボックスA32aのチェックはONとなっている。モードがリモートとローカル変動のときに、チェックボックスA32aのチェックをOFFからONに変更してOKボタンを押下すると、モードがローカル固定になる。モードがローカル固定のときに、チェックボックスA32aのチェックをONからOFFに変更してOKボタンを押下すると、モードがローカル変動になる。
【0101】
なお、モードをローカル変動からリモートに変更する場合、搬送コントローラ120を
介して検体分析装置1に対してリモート要求(バーコードリーダBにより読み取られた検体IDと共にバーコードリーダBに検体容器Tが到着したことを示すコマンド)を送信する。また、モードをローカル固定からリモートに変更する場合、ローカルモード変更画面A32を介してモードをローカル変動に変更した後で、搬送コントローラ120を介して検体分析装置1に対してリモート要求を送信する。
【0102】
図8(c)〜(f)は、モード表示領域A31の表示内容を示す図である。
【0103】
測定装置2の電源がOFFになっているとき、図8(c)に示すように、モード表示領域A31には“OFF”と表示される。モードがローカル変動のとき、図8(d)に示すように、モード表示領域A31には“Local”と表示される。モードがローカル固定のとき、図8(e)に示すように、モード表示領域A31には“Local”と鍵マークが表示される。モードがリモートのとき、図8(f)に示すように、モード表示領域A31には“Remote”と表示される。
【0104】
図10(a)、(b)は、それぞれ、モードがローカルのときに状態が測定からスタンバイに移行する条件(スタンバイへの移行条件)を示す図と、モードがリモートのときに状態が測定から待機に移行する条件(待機への移行条件)を示す図である。
【0105】
図10(a)を参照して、条件1〜3が全て満たされるとき、検体分析装置1の状態が測定からスタンバイに変更される。条件1は、分注ユニット21により吸引された全ての検体について、検出ユニット40による処理が終了した状態を示す。条件2は、キュベットテーブル13に、検体を含むキュベットが保持されていない状態を示す。条件3は、ラックセット領域51に配されたセンサと、搬送領域52内で検体ラックLを搬送するための機構部の搬送状態に基づいて、ラックセット領域51と搬送領域52に検体ラックLがないと判断される状態を示す。
【0106】
図10(b)を参照して、条件1〜4が全て満たされるとき、検体分析装置1の状態が測定から待機に変更される。条件1〜3は、図10(a)の条件1〜3と同じである。条件4は、対応する搬送ユニット114のバーコードリーダBにより検体IDが読み取られた検体容器T内の検体が、分注ユニット21により未だ吸引されていない状態ではない状態を示す。言い替えれば、条件4は、搬送コントローラ120から送信されるコマンドに基づいて、バーコードリーダBによる読み取りが終了した検体容器Tが、バーコードリーダBと吸引位置P2との間に存在しないと判断される状態を示す。
【0107】
図10(c)、(d)は、それぞれ、図10(a)の条件が全て満たされて状態が測定からスタンバイに移行するときに行われる処理(スタンバイへの移行処理)を示す図と、図10(b)の条件が全て満たされて状態が測定から待機に移行するときに行われる処理(待機への移行処理)を示す図である。
【0108】
図10(c)を参照して、図10(a)の条件が全て満たされて状態が測定からスタンバイに移行するときに、処理1〜4が行われる。処理1は、空圧源213の駆動がOFFにされる処理を示す。処理2は、分注ユニット21〜25の各ピペットが、それぞれ洗浄器31〜35の真上に位置付けられるよう、各アームが回転させられる処理を示す。処理3は、希釈液搬送器16が、希釈液カバーC3の真下に移動される処理、すなわち、左右方向の搬送範囲のうち最も右端に位置付けられる処理を示す。処理4は、希釈液カバーC3のロックがロック機構により解除される処理を示す。
【0109】
図10(d)を参照して、図10(b)の条件が全て満たされて状態が測定から待機に移行するときに、処理1〜3が行われる。処理1〜3は、図10(c)の処理1〜3と同
じである。
【0110】
図10(e)、(f)は、それぞれ、モードがローカルのときに状態がスタンバイから測定に移行する条件(スタンバイの解除条件)を示す図と、モードがリモートのときに状態が待機から測定に移行する条件(待機の解除条件)を示す図である。
【0111】
図10(e)を参照して、条件1が満たされるとき、検体分析装置1の状態がスタンバイから測定に変更される。条件1は、図9に示す開始ボタンA11が押下された状態を示す。
【0112】
図10(f)を参照して、条件1〜3の何れかが満たされるとき、検体分析装置1の状態が待機から測定に変更される。条件1は、図10(e)の条件1と同じである。条件2は、ラックセット領域51に配されたセンサに基づいて、ラックセット領域51に検体ラックLが置かれたと判断される状態を示す。条件3は、対応する搬送ユニット114のバーコードリーダBにより検体IDが読み取られた検体容器T内の検体が、分注ユニット21により未だ吸引されていない状態を示す。言い替えれば、条件3は、バーコードリーダBによる読み取りが終了した検体容器Tが、バーコードリーダBと吸引位置P2との間に存在する状態を示す。
【0113】
図10(g)、(h)は、それぞれ、図10(e)の条件が満たされて状態がスタンバイから測定に移行するときに行われる処理(スタンバイの解除処理)を示す図と、図10(f)の何れかの条件が満たされて状態が待機から測定に移行するときに必ず行われる処理(基本解除処理)を示す図である。
【0114】
図10(g)を参照して、図10(e)の条件が満たされて状態がスタンバイから測定に移行するときに、処理1〜9が行われる。処理1は、空圧源213の駆動がONにされる処理を示す。処理2は、分注ユニット21〜25のアーム位置を初期化する処理、すなわち、分注ユニット21〜25の回転位置が、それぞれ対応する原点位置センサに基づいて原点位置に位置付けられる処理を示す。処理3は、分注ユニット21〜25の各ピペットが洗浄器31〜35において水洗浄される処理を示す。
【0115】
処理4は、試薬テーブル11、12の位置を初期化する処理、すなわち、試薬テーブル11、12の回転位置が、それぞれ対応する原点位置センサに基づいて、原点位置に位置付けられる処理を示す。処理5は、搬送ユニット50を初期化する処理、すなわち、搬送ユニット50上で検体ラックLを移動させるための機構が、対応する原点位置センサに基づいて、原点位置に位置付けられる処理を示す。処理6は、バーコードリーダ54を初期化する処理、すなわち、バーコードリーダ54が、対応する原点位置センサに基づいて、原点位置に位置付けられる処理を示す。処理7は、キュベットテーブル13と加温テーブル14を初期化する処理、すなわち、キュベットテーブル13と加温テーブル14が、対応する原点位置センサに基づいて、原点位置に位置付けられる処理を示す。処理8は、キャッチャユニット27、28を初期化する処理、すなわち、キャッチャユニット27、28が、対応する原点位置センサに基づいて、原点位置に位置付けられる処理を示す。処理9は、加温テーブル14にセットされている全てのキュベットが廃棄される処理を示す。
【0116】
図10(h)を参照して、図10(f)の何れかの条件が満たされて状態が待機から測定に移行するときに、必ず処理1〜3が行われる。処理1〜3は、図10(g)の処理1〜3と同じである。
【0117】
図11は、情報処理装置3による処理を示すフローチャートである。
【0118】
図11のフローチャートは、測定装置2の電源がONされると開始される。なお、測定装置2の電源がONされると、検体分析装置1のモードはローカル変動となり、状態はスタンバイとなる。このとき、本体カバーC1と希釈液カバーC3は、ロック解除状態とされる。
【0119】
情報処理装置3のCPU301は、ハードディスク304に記憶されているモードに基づいて、検体分析装置1のモードがローカルであるかを判定する(S11)。モードがローカルであるとき(S11:YES)およびモードがリモートであるとき(S11:NO)、CPU301は、ハードディスク304に記憶されている状態に基づいて、検体分析装置1の状態を判定する(S12、S15、S18、S21)。そして、以下に示すように、CPU301は、検体分析装置1のモードと状態に応じて処理を行い、シャットダウンの指示が行われるまで、S11〜S23の処理を繰り返し行う(S24)。
【0120】
検体分析装置1のモードがローカルであり(S11:YES)、状態が測定である場合(S12:YES)、CPU301は、吸引位置P1に位置付けられた検体容器Tのみから順次検体を吸引して測定を行うよう、測定装置2を制御する(S13)。続いて、CPU301は、“ローカル測定からの状態変更処理”を行う(S14)。ローカル測定からの状態変更処理については、追って図12(a)を参照して説明する。
【0121】
検体分析装置1のモードがローカルであり(S11:YES)、状態がスタンバイである場合(S12:NO、S15:YES)、CPU301は、“ローカルスタンバイからの状態変更処理”を行う(S16)。ローカルスタンバイからの状態変更処理については、追って図13(a)を参照して説明する。
【0122】
検体分析装置1のモードがローカルであり(S11:YES)、状態が中断である場合(S12:NO、S15:NO)、CPU301は、“ローカル中断からの状態変更処理”を行う(S17)。ローカル中断からの状態変更処理については、追って図15(a)を参照して説明する。
【0123】
検体分析装置1のモードがリモートであり(S11:NO)、状態が測定である場合(S18:YES)、CPU301は、吸引位置P1、P2に位置付けられた検体容器Tから順次検体を吸引して測定を行うよう、測定装置2を制御する(S19)。なお、CPU301は、搬送コントローラ120から送信された、吸引位置P2に検体容器Tが位置付けられたことを示すコマンドに基づいて、吸引位置P2に位置付けられた検体容器T内の検体を吸引する。続いて、CPU301は、“リモート測定からの状態変更処理”を行う(S20)。リモート測定からの状態変更処理については、追って図12(b)を参照して説明する。
【0124】
検体分析装置1のモードがリモートであり(S11:NO)、状態が待機であると(S18:NO、S21:YES)、CPU301は、“リモート待機からの状態変更処理”を行う(S21)。リモート待機からの状態変更処理については、追って図13(b)を参照して説明する。
【0125】
検体分析装置1のモードがリモートであり(S11:NO)、状態が中断であると(S18:NO、S21:NO)、CPU301は、“リモート中断からの状態変更処理”を行う(S23)。リモート中断からの状態変更処理については、追って図15(b)を参照して説明する。
【0126】
図12(a)は、“ローカル測定からの状態変更処理”を示すフローチャートである。
【0127】
なお、以降の説明において、検体分析装置1のモードと状態を変更する場合、CPU301は、ハードディスク304に記憶されているモードと状態を変更すると共に、搬送コントローラ120に対しても変更後のモードと状態を送信する。また、上述したように、ユーザにより試薬情報ボタンA21が押下され、図示しない試薬情報画面を介して試薬容器の交換を行う指示が入力された場合も、中断ボタンA12が押下されたと判定される。
【0128】
情報処理装置3のCPU301は、ユーザにより中断ボタンA12が押下されたかを判定する(S111)。中断ボタンA12が押下されると(S111:YES)、CPU301は、本体カバーC1のロックを解除し(S112)、状態を中断に変更する(S113)。
【0129】
また、CPU301は、中断ボタンA12が押下されたか否かの判定に加えて、検体分析装置1の状況が、図10(a)に示すスタンバイへの移行条件に合致しているかを判定する(S114)。検体分析装置1の状況がスタンバイへの移行条件に合致していると(S114:YES)、CPU301は、図10(c)に示すスタンバイへの移行処理を行い(S115)、本体カバーC1のロックを解除し(S116)、状態をスタンバイに変更する(S117)。
【0130】
図12(b)は、“リモート測定からの状態変更処理”を示すフローチャートである。
【0131】
情報処理装置3のCPU301は、ユーザにより中断ボタンA12が押下されたかを判定する(S121)。中断ボタンA12が押下されると(S121:YES)、CPU301は、本体カバーC1のロックを解除し(S122)、状態を中断に変更する(S123)。
【0132】
また、CPU301は、中断ボタンA12が押下されたか否かの判定に加えて、検体分析装置1の状況が、図10(b)に示す待機への移行条件に合致しているかを判定する(S124)。検体分析装置1の状況が待機への移行条件に合致していると(S124:YES)、CPU301は、図10(d)に示す待機への移行処理を行い(S125)、状態を待機に変更する(S126)。
【0133】
図13(a)は、“ローカルスタンバイからの状態変更処理”を示すフローチャートである。
【0134】
情報処理装置3のCPU301は、検体分析装置1の状況が、図10(e)に示すスタンバイの解除条件に合致しているかを判定する(S211)。検体分析装置1の状況がスタンバイの解除条件に合致していると(S211:YES)、CPU301は、本体カバーC1をロックし(S212)、図10(g)に示すスタンバイの解除処理を行い(S213)、状態を測定に変更する(S214)。
【0135】
図13(b)は、“リモート待機からの状態変更処理”を示すフローチャートである。
【0136】
情報処理装置3のCPU301は、中断ボタンA12が押下されたかを判定する(S221)。中断ボタンA12が押下されると(S221:YES)、CPU301は、本体カバーC1のロックを解除し(S222)、状態を中断に変更する(S223)。
【0137】
また、CPU301は、中断ボタンA12が押下されたか否かの判定に加えて、検体分析装置1の状況が、図10(f)に示す待機の解除条件に合致しているかを判定する(S224)。検体分析装置1の状況が待機の解除条件に合致していると(S224:YES)、CPU301は、図10(h)に示す基本解除処理を行う(S225)。続いて、C
PU301は、ハードディスク304に記憶した変数nに1をセットする(S226)。そして、CPU301は、変数nを利用して必要な処理のみを行う“選択解除処理”を行い(S227)、状態を測定に変更する(S228)。選択解除処理については、追って図14(a)、(b)を参照して説明する。
【0138】
図14(a)は、“選択解除処理”の内容を説明する図である。
【0139】
“対象機構”の項目には、1〜9の番号が付与された機構が示されている。“確認内容”の項目には、対象機構の9つの機構に対応する確認内容が示されている。“処理内容”の項目には、対象機構の9つの機構に対応する処理内容が示されている。
【0140】
図14(b)は、“選択解除処理”を示すフローチャートである。
【0141】
情報処理装置3のCPU301は、予め設定された変数nに基づいて、図14(a)のn番目の対象機構の状況が、対応する確認内容に合致したかを判定する(S51)。この対象機構の状況が確認内容に合致していると(S51:YES)、CPU301は、この対象機構について対応する処理内容を実行する(S52)。他方、この対象機構の状況が確認内容に合致していないと(S51:NO)、処理がS53に進められる。
【0142】
なお、1番目の試薬テーブル11、12については、何れか一方の試薬テーブルが動かされていれば、試薬テーブル11、12が動かされたと判定される。また、対象機構が動かされたか否かの判定は、対象機構を駆動させるステッピングモータに対応するロータリーエンコーダから出力されるパルス信号に基づいて判定される。
【0143】
続いて、CPU301は、変数nの値を1増やし(S53)、変数nの値が9よりも大きいかを判定する(S54)。変数nの値が9以下であると(S54:NO)、処理がS51に戻され、変数nの値が9より大きいと(S54:YES)、処理が終了する。このように、選択解除処理では、図14(a)に示す全ての対象機構のうち、初期化が必要な対象機構のみについて初期化の処理が行われ、初期化が必要でない対象機構については初期化の処理は行われない。
【0144】
図15(a)は、“ローカル中断からの状態変更処理”を示すフローチャートである。
【0145】
情報処理装置3のCPU301は、開始ボタンA11が押下されたかを判定する(S311)。開始ボタンA11が押下されると(S311:YES)、CPU301は、本体カバーC1をロックする(S312)。続いて、CPU301は、図13(b)のS225〜S228と同様、基本解除処理を行い(S313)、変数nに1をセットし(S314)、“選択解除処理”を行う(S315)。そして、CPU301は、状態を測定に変更する(S316)。
【0146】
開始ボタンA11が押下されていない場合(S311:NO)、CPU301は、処理を行わずにローカル中断からの状態変更処理を終了する。
【0147】
図15(b)は、“リモート中断からの状態変更処理”を示すフローチャートである。
【0148】
情報処理装置3のCPU301は、開始ボタンA11が押下されたかを判定する(S321)。開始ボタンA11が押下されると(S321:YES)、CPU301は、図15(a)のS312〜S316と同様の処理を行う(S322〜S326)。
【0149】
開始ボタンA11が押下されていない場合(S321:NO)、CPU301は、処理
を行わずにリモート中断からの状態変更処理を終了する。
【0150】
図16は、情報処理装置3によるモードの変更を示すフローチャートである。
【0151】
図16のフローチャートは、測定装置2の電源がONされると開始される。なお、測定装置2の電源がONされた際、検体分析装置1のモードは自動的にローカル変動になる。
【0152】
情報処理装置3のCPU301は、検体分析装置1のモードがローカルであるときに(S401:YES)、搬送コントローラ120からリモート要求(バーコードリーダBにより読み取られた検体IDと共にバーコードリーダBに検体容器Tが到着したことを示すコマンド)を受信したかを判定する(S402)。CPU301は、リモート要求を受信すると(S402:YES)、モードがローカル変動であるかを判定する(S403)。
【0153】
モードがローカル変動であると(S403:YES)、CPU301は、状態がスタンバイであるかを判定する(S404)。モードがローカル固定であると(S403:NO)、処理がS417に進められる。
【0154】
状態がスタンバイであると(S404:YES)、CPU301は、搬送コントローラ120にNGコマンド、すなわち、検体分析装置1のモードをリモートに変更できない旨(搬送ラインLn上の検体を受け取れない旨)を送信する(S405)。他方、状態がスタンバイでないと(S404:NO)、CPU301は、モードをリモートに変更する(S406)。すなわち、モードがローカルで状態が測定である場合、モードがリモートで状態が測定に変更され、モードがローカルで状態が中断である場合、モードがリモートで状態が中断に変更される。
【0155】
また、CPU301は、搬送コントローラ120からリモート要求を受信していないと(S402:NO)、ユーザによりローカルモードの設定指示が行われたかを判定する(S407)。かかる設定指示は、図8(b)に示すローカルモード変更画面A32のOKボタンが押下されることにより行われる。チェックボックスA32aのチェックがONでOKボタンが押下されると、CPU301は、モードをローカル固定とし、チェックボックスA32aのチェックがOFFでOKボタンが押下されると、CPU301は、モードをローカル変動とする(S408)。
【0156】
次に、CPU301は、モードがリモートであるときに(S401:NO)、搬送コントローラ120からローカル要求(容器収容装置103に搬送すべき検体容器がなくなり、搬送ラインLnを停止させることの通知)を受信したかを判定する(S409)。CPU301は、ローカル要求を受信すると(S409:YES)、モードをローカル変動に変更する(S410)。なお、状態はリモートのときの状態が維持される。
【0157】
他方、CPU301は、ローカル要求を受信していないと(S409:NO)、ユーザによりローカル固定指示が行われたかを判定する(S411)。かかる固定指示は、図8(b)に示すローカルモード変更画面A32のチェックボックスA32aのチェックがOFFからONに変更され、OKボタンが押下されることにより行われる。ローカル固定指示が行われると(S411:YES)、CPU301は、モードをローカル固定に変更する(S412)。なお、状態はリモートのときの状態が維持される。
【0158】
続いて、状態が待機であると(S413:YES)、CPU301は、図10(c)に示すスタンバイへの移行処理を行い(S414)、本体カバーC1のロックを解除し(S415)、状態をスタンバイに変更する(S416)。他方、状態が待機でないと(S413:NO)、処理がS417に進められる。
【0159】
このように、CPU301は、シャットダウンの指示が行われるまで、S401〜S416の処理を繰り返し行う(S417)。
【0160】
以上、本実施の形態によれば、図12(b)のS124以降に示すように、モードがリモートで状態が測定のとき、検体分析装置1の状況が待機への移行条件に合致しても、本体カバーC1のロックは解除されない。これにより、モードがリモートで状態が待機のときに、本体カバーC1内の動作機構群がユーザにより移動されることがない。よって、搬送ユニット114の搬送ラインLnに沿って検体容器Tが搬送されて、状態が待機から測定に変更されるたびに、動作機構群に含まれる全ての動作機構を原点位置に合わせる必要がなくなり、測定の遅延を防止することができる。
【0161】
より詳細に説明すると、搬送ユニット50(専用搬送装置)を用いた測定では、通常、ユーザは複数の検体ラックLをまとめて搬送ユニット50にセットし、測定を行う。そのため、まとめてセットした複数の検体ラックL間でスタンバイ状態に入ることなく、測定状態が継続される。これに対し、搬送ラインLnを用いた測定では、検体は間隔をおいて1つずつ他の装置から搬送されてくるため、検体間で待機状態に入る機会が増加する。その都度、本体カバーC1のロックを解除すると、次の検体の測定のたびに動作機構の原点出しが必要となり、測定が遅延するが、本実施の形態ではロックを継続することにより原点出しをすることなく測定を遅延なく実施することができる。
【0162】
また、モードがローカルのときに測定が終了して、状態がスタンバイに移行した際には、自動的に本体カバーC1のロックが解除されるため、ユーザが本体カバーC1のロックを解除する操作が不要となり、ユーザの操作を簡略化することができる。そのため、試薬の交換等を円滑に実施することが可能となる。
【0163】
また、本実施の形態によれば、図13(b)のS224以降に示すように、モードがリモートで状態が待機のとき、ロックされている本体カバーC1は、ユーザにより中断ボタンA12が押下されると解除される。これにより、状態が待機であっても、ユーザは必要に応じて本体カバーC1のロックを解除することができる。
【0164】
また、本実施の形態によれば、図12(a)のS114以降に示すように、モードがローカルで状態が測定のとき、検体分析装置1の状況がスタンバイへの移行条件に合致すると、本体カバーC1のロックが解除される。これにより、搬送ユニット50のラックセット領域51にセットされた検体ラックLの検体容器Tについて全て測定が終了すると、本体カバーC1のロックが解除されることとなる。よって、ユーザは、測定の終了後に、試薬交換やメンテナンスのために、本体カバーC1のロックを解除する操作を行う必要がないため、ユーザによる操作が簡略化される。
【0165】
また、本実施の形態によれば、モードがリモートで状態が待機のとき、図16のS410またはS412においてモードがローカルに変更されると、図16のS415に示すように、本体カバーC1のロックが解除される。これにより、ユーザは、モードがリモートからローカルに切り替えられた後に、本体カバーC1のロックを解除する操作を行う必要がないため、ユーザによる操作が簡略化される。
【0166】
また、本実施の形態によれば、図12(b)のS124以降に示すように、モードがリモートで状態が測定のとき、検体分析装置1の状況が待機への移行条件に合致すると、空圧源213の駆動がOFFされる処理を含む、待機への移行処理が行われる。これにより、状態が待機となったときに、検体分析装置1の使用電力を低く抑えることができると共に、空圧源213の劣化を抑制することができる。
【0167】
以上、本発明の実施の形態ついて説明したが、本発明は、上記実施の形態に制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も上記以外に種々の変更が可能である。
【0168】
たとえば、上記実施の形態では、検体分析装置1を血液凝固分析装置としたが、これに限らず、検体分析装置1は、どのような検体分析装置であっても良い。たとえば、検体分析装置1は、血清を測定する免疫分析装置、血液中の血球を計数する血球計数装置、尿を測定する尿分析装置、または骨髄液を分析する分析装置であっても良い。
【0169】
また、本実施の形態では、検体分析装置1に本発明を適用した例が示されたが、本発明は、検体を分析する検体分析装置に限らず、検体に対して所定の処理を行う検体処理装置に適用され得る。たとえば、本発明は、塗抹標本を作製する塗抹標本作製装置、検体容器Tを遠心分離するための遠心分離器、または検体容器Tを並べ替えるための検体並べ替え装置に適用されても良い。
【0170】
また、上記実施の形態では、搬送システム110の搬送ラインLnに沿って配置される装置には、検体分析装置1のほかに、遠心分離器102が含まれたが、これに限らず、他の検体分析装置または他の検体処理装置が含まれても良い。
【0171】
また、上記実施の形態では、図13(b)のS226、S227において、初期化が必要な対象機構のみについて処理が行われたが、これに限らず、本体カバーC1のロックが解除されたか否かに基づいて、対象機構の初期化の処理を行うようにしても良い。
【0172】
図17(a)は、この場合の“リモート待機処理”を示すフローチャートである。図17(a)では、図13(b)のS226に替えて、S231〜S233の処理が追加されている。以下、この部分についてのみ説明する。
【0173】
S231の処理が開始されるとき状態は待機であるため、通常、本体カバーC1はロックされている。しかしながら、状態が測定から待機へと変更されてからS231の判定が開始されるまでの間(以下、「ロック検証期間」という)に、本体カバーC1のロックがエラー等により解除されている可能性がある。ロック検証期間において本体カバーC1のロックが解除されていると、本体カバーC1内の機構の位置が変化している可能性がある。
【0174】
情報処理装置3のCPU301は、ロック検証期間に本体カバーC1のロックが解除されたかを判定する(S231)。ロック検証期間に本体カバーC1のロックが解除されていると(C231:YES)、CPU301は、変数nに1をセットする(S232)。そして、図14(a)に示す番号1〜9の対象機構について初期化の処理が行われる(S227)。なお、ロックの解除の判定は、ロック検証期間中に、図4(a)、(b)に示すモータC24が動作したかによって判定される。この他、係合板C22が図4(b)の状態から図4(a)の状態へと移行するとONされるスイッチを設け、このスイッチの出力を監視することによりロックの解除がなされたかが判定されても良い。
【0175】
他方、ロック検証期間に本体カバーC1のロックが解除されていないと(C231:NO)、CPU301は、変数nに8をセットする(S233)。そして、図14(a)に示す番号8、9の対象機構についてのみ初期化の処理が行われる(S227)。これにより、本体カバーC1のロックが解除されておらず本体カバーC1内の機構の位置が変化している可能性がないと、本体カバーC1に覆われている番号1〜7の対象機構については初期化の処理が行われなくなる。よって、本体カバーC1に覆われている動作機構群の一部については原点位置に戻されることがないため、測定の遅延を防止することができる。
【0176】
また、図17(a)では、本体カバーC1のロックが解除されたか否かに基づいて、対象機構の初期化の処理が行われたが、これに替えて、本体カバーC1がユーザによって実際に開けられたか否かに基づいて、対象機構の初期化の処理が行われるようにしても良い。この場合、ロック機構C2付近に、本体カバーC1が閉じられた状態か開けられた状態かを判定することが可能なセンサが配され、かかるセンサにより本体カバーC1の実際の開閉が判定される。
【0177】
図17(b)は、この場合の処理を示すフローチャートの一部である。図17(b)では、図17(a)のS231に替えてS234の処理が追加されている。この場合も、本体カバーC1が開けられていないと(S234:NO)、本体カバーC1に覆われている動作機構群の一部については原点位置に戻されることがないため、測定の遅延を防止することができる。
【0178】
さらに、本体カバーC1のロックが解除されたか否か、および、本体カバーC1がユーザにより実際に開けられたか否かに基づいて、対象機構の初期化の処理が行われるようにしても良い。
【0179】
図17(c)は、この場合の処理を示すフローチャートの一部である。図17(c)では、図17(a)のS231に替えてS235、S236の処理が追加されている。この場合、本体カバーC1のロックが解除され、且つ、本体カバーC1が開けられている場合に限り(S235:YES、S236:YES)、図14(a)に示す番号1〜9の対象機構について初期化の処理が行われる。このような場合以外では、本体カバーC1に覆われている動作機構群の一部については原点位置に戻されることがないため、測定の遅延を防止することができる。
【0180】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0181】
1 … 検体分析装置
2 … 測定装置
3 … 情報処理装置
10 … 測定ユニット
11、12 … 試薬テーブル
13 … キュベットテーブル
14 … 加温テーブル
15 … キュベット搬送器
16 … 希釈液搬送器
21〜25 … 分注ユニット
26〜28 … キャッチャユニット
50 … 搬送ユニット
201 … CPU
301 … CPU
110 … 搬送システム
114 … 搬送ユニット
213 … 空圧源
C1 … 本体カバー
C2 … ロック機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を処理するための検体処理装置であって、
動作機構を備えると共に前記動作機構を動作させて検体の処理動作を実行する処理装置本体と、
少なくとも一つの前記動作機構を覆うカバーと、
前記カバーをロックして前記カバーの開放を禁止するロック機構と、
前記ロック機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記動作機構による検体の処理動作が終了した後、使用者からのロックの解除指示を受け付けるまでは前記カバーのロックを解除しない第1モードと、前記動作機構による検体の処理動作が終了した後、自動的に前記カバーのロックを解除する第2モードとを設定可能に構成されている、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検体処理装置において、
当該検体処理装置は、複数の装置に検体を搬送する搬送ラインに接続可能であり、
前記制御部は、少なくとも前記搬送ラインによって搬送された検体を処理するときに前記第1モードを設定する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の検体処理装置において、
当該検体処理装置は、当該検体処理装置のみに検体を搬送する専用搬送装置に接続可能であり、
前記制御部は、前記専用搬送装置によって搬送された検体を処理するが、前記搬送ラインによって搬送された検体を処理しないときに、前記第2モードを設定する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の検体処理装置において、
前記第1モードは、前記搬送ラインによって搬送された検体の処理に加えて、前記専用搬送装置によって搬送された検体の処理を行うモードである、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記専用搬送装置に設置された検体の処理動作の開始指示を使用者から受け付けると、前記カバーのロックを行う、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記カバーのロック中に前記第1モードに移行したとき、使用者からのロックの解除指示を受け付けるまでは前記カバーのロックを継続する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記第1モードにおいて、検体の処理動作の終了後に前記カバーがロックされているときに、前記第1モードが前記第2モードに切り替わると、自動的に前記カバーのロックを解除する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項8】
請求項2ないし6の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記第2モードが設定されているときに、前記搬送ラインによって搬送
された検体が当該検体処理装置に到着すると、前記第2モードから前記第1モードに切り替える、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記第1モードが設定されているときに、前記搬送ライン上に検体が存在しないと判定すると、前記第1モードから前記第2モードに切り替える、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記第1モードが設定されているときに、検体の処理動作が終了した後、前記検体処理装置を省電力モードに移行させ、前記省電力モードに移行後も、使用者からの前記ロックの解除指示を受け付けるまでは、前記カバーのロックを継続する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項11】
請求項10に記載の検体処理装置において、
前記処理装置本体は、処理のための圧力を生成する圧力源を備え、
前記制御部は、前記省電力モードにおいて前記圧力源の動作を停止する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項12】
請求項1ないし11の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記ロックの解除指示は、試薬交換のための指示である、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項13】
請求項1ないし12の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記処理装置本体は、検体の処理動作の終了から検体の処理動作の再開時まで前記カバーが開いていなければ、前記カバーに隠れていた前記動作機構の少なくとも一部を原点に戻さずに、検体の処理動作を開始する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項14】
請求項1ないし13の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記処理装置本体は、検体の処理動作の終了から検体の処理動作の再開時まで前記カバーのロックが解除されていなければ、前記カバーに隠れていた前記動作機構の少なくとも一部を原点に戻さずに、検体の処理動作を開始する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項15】
請求項1ないし14の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記動作機構は、検体処理に用いられる試薬が収容された試薬容器を保持する保持部を備え、当該保持部を移動可能な試薬保持機構、および、試薬の分注動作を行うための試薬分注機構の少なくとも何れかを含む、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項16】
複数の装置に検体を搬送する搬送ラインに接続可能な検体処理装置であって、
動作機構を備えると共に前記動作機構を動作させて検体の処理動作を実行する処理装置本体と、
少なくとも一つの前記動作機構を覆うカバーと、
前記カバーをロックして前記カバーの開放を禁止するロック機構と、
前記ロック機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記搬送ラインにより搬送された検体の処理動作を実行するよう前記動作機構を制御し、前記検体の処理動作中は前記カバーをロックし、処理動作が終了した後
も、使用者からの前記ロックの解除指示を受け付けるまでは前記カバーのロックを継続する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項17】
請求項16に記載の検体処理装置において、
当該検体処理装置は、当該検体処理装置のみに検体を搬送する専用搬送装置に接続され、
前記制御部は、少なくとも前記搬送ラインによって搬送された検体を処理する第1モードと、前記専用搬送装置によって搬送された検体を処理するが、前記搬送ラインによって搬送された検体を処理しない第2モードの何れが設定されているかを識別し、
前記第1モードが設定されているときは、処理動作が終了した後も、使用者からの前記ロックの解除指示を受け付けるまでは前記カバーのロックを継続し、前記第2モードが設定されているときは、処理動作が終了すると、自動的に前記カバーのロックを解除する、ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項18】
請求項17に記載の検体処理装置において、
前記第1モードは、前記搬送ラインによって搬送された検体の処理に加えて、前記専用搬送装置によって搬送された検体の処理を行うモードである、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項19】
請求項17または18に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記専用搬送装置に設置された検体の処理動作の開始指示を使用者から受け付けると、前記カバーのロックを行う、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項1】
検体を処理するための検体処理装置であって、
動作機構を備えると共に前記動作機構を動作させて検体の処理動作を実行する処理装置本体と、
少なくとも一つの前記動作機構を覆うカバーと、
前記カバーをロックして前記カバーの開放を禁止するロック機構と、
前記ロック機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記動作機構による検体の処理動作が終了した後、使用者からのロックの解除指示を受け付けるまでは前記カバーのロックを解除しない第1モードと、前記動作機構による検体の処理動作が終了した後、自動的に前記カバーのロックを解除する第2モードとを設定可能に構成されている、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検体処理装置において、
当該検体処理装置は、複数の装置に検体を搬送する搬送ラインに接続可能であり、
前記制御部は、少なくとも前記搬送ラインによって搬送された検体を処理するときに前記第1モードを設定する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の検体処理装置において、
当該検体処理装置は、当該検体処理装置のみに検体を搬送する専用搬送装置に接続可能であり、
前記制御部は、前記専用搬送装置によって搬送された検体を処理するが、前記搬送ラインによって搬送された検体を処理しないときに、前記第2モードを設定する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の検体処理装置において、
前記第1モードは、前記搬送ラインによって搬送された検体の処理に加えて、前記専用搬送装置によって搬送された検体の処理を行うモードである、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記専用搬送装置に設置された検体の処理動作の開始指示を使用者から受け付けると、前記カバーのロックを行う、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記カバーのロック中に前記第1モードに移行したとき、使用者からのロックの解除指示を受け付けるまでは前記カバーのロックを継続する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記第1モードにおいて、検体の処理動作の終了後に前記カバーがロックされているときに、前記第1モードが前記第2モードに切り替わると、自動的に前記カバーのロックを解除する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項8】
請求項2ないし6の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記第2モードが設定されているときに、前記搬送ラインによって搬送
された検体が当該検体処理装置に到着すると、前記第2モードから前記第1モードに切り替える、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記第1モードが設定されているときに、前記搬送ライン上に検体が存在しないと判定すると、前記第1モードから前記第2モードに切り替える、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記第1モードが設定されているときに、検体の処理動作が終了した後、前記検体処理装置を省電力モードに移行させ、前記省電力モードに移行後も、使用者からの前記ロックの解除指示を受け付けるまでは、前記カバーのロックを継続する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項11】
請求項10に記載の検体処理装置において、
前記処理装置本体は、処理のための圧力を生成する圧力源を備え、
前記制御部は、前記省電力モードにおいて前記圧力源の動作を停止する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項12】
請求項1ないし11の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記ロックの解除指示は、試薬交換のための指示である、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項13】
請求項1ないし12の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記処理装置本体は、検体の処理動作の終了から検体の処理動作の再開時まで前記カバーが開いていなければ、前記カバーに隠れていた前記動作機構の少なくとも一部を原点に戻さずに、検体の処理動作を開始する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項14】
請求項1ないし13の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記処理装置本体は、検体の処理動作の終了から検体の処理動作の再開時まで前記カバーのロックが解除されていなければ、前記カバーに隠れていた前記動作機構の少なくとも一部を原点に戻さずに、検体の処理動作を開始する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項15】
請求項1ないし14の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記動作機構は、検体処理に用いられる試薬が収容された試薬容器を保持する保持部を備え、当該保持部を移動可能な試薬保持機構、および、試薬の分注動作を行うための試薬分注機構の少なくとも何れかを含む、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項16】
複数の装置に検体を搬送する搬送ラインに接続可能な検体処理装置であって、
動作機構を備えると共に前記動作機構を動作させて検体の処理動作を実行する処理装置本体と、
少なくとも一つの前記動作機構を覆うカバーと、
前記カバーをロックして前記カバーの開放を禁止するロック機構と、
前記ロック機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記搬送ラインにより搬送された検体の処理動作を実行するよう前記動作機構を制御し、前記検体の処理動作中は前記カバーをロックし、処理動作が終了した後
も、使用者からの前記ロックの解除指示を受け付けるまでは前記カバーのロックを継続する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項17】
請求項16に記載の検体処理装置において、
当該検体処理装置は、当該検体処理装置のみに検体を搬送する専用搬送装置に接続され、
前記制御部は、少なくとも前記搬送ラインによって搬送された検体を処理する第1モードと、前記専用搬送装置によって搬送された検体を処理するが、前記搬送ラインによって搬送された検体を処理しない第2モードの何れが設定されているかを識別し、
前記第1モードが設定されているときは、処理動作が終了した後も、使用者からの前記ロックの解除指示を受け付けるまでは前記カバーのロックを継続し、前記第2モードが設定されているときは、処理動作が終了すると、自動的に前記カバーのロックを解除する、ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項18】
請求項17に記載の検体処理装置において、
前記第1モードは、前記搬送ラインによって搬送された検体の処理に加えて、前記専用搬送装置によって搬送された検体の処理を行うモードである、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項19】
請求項17または18に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記専用搬送装置に設置された検体の処理動作の開始指示を使用者から受け付けると、前記カバーのロックを行う、
ことを特徴とする検体処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−76678(P2013−76678A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218039(P2011−218039)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
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