説明

検体分析システム

【課題】検体処理効率が低下することを抑制しながら、必要な再検査を行うことが可能な検体分析システムを提供する。
【解決手段】検体分析システム1は、3台の測定ユニット41と、測定ユニット41にそれぞれ対応する搬送ユニット31〜33と、情報処理ユニット42を備え、外部のホストコンピュータ6と通信可能に接続されている。測定ユニット41で測定が行われた検体は、測定ラインに位置している間に、情報処理ユニット42により再検査の要否が判定される。再検査が必要となると、当該測定ユニット41で検体の再検査が行われる。検体が測定ラインから前方に送り込まれると、ホストコンピュータ6により再検査の要否が判定される。再検査が必要となると、下流側の測定ユニット41で検体の再検査が行われる。これにより、検体処理効率の低下を抑制しながら、必要な再検査を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体容器内の検体を測定するための測定装置が複数配置された検体分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送装置を用いて複数の検体測定装置に検体を搬送し、検体の測定結果に応じて検体測定装置で再検査を行う検体検査システムが知られている。
【0003】
たとえば、以下の特許文献1には、検体容器内の検体を測定する複数の測定ユニットと、複数の測定ユニットにそれぞれ対応する複数の検体搬送装置と、各測定ユニットでの検体測定によって得られた測定結果を受信する検査情報管理装置と、を備えた検体検査システムが開示されている。各検体搬送装置は、複数の検体容器を収納したサンプルラックを搬送するように構成され、測定前の検体容器を収納したサンプルラックを保持する分析前ラック保持部と、測定ユニットに検体を供給するための検体供給位置に、分析前ラック保持部から受け入れたサンプルラックを搬送するラック搬送部と、分析が完了したサンプルラックをラック搬送部から受け入れて保持する分析後ラック保持部とが設けられている。
【0004】
この検体検査システムでは、検体の第一回目の測定(初検)が終了した検体の再検査の要否が検査情報管理装置によって判定されるまでは、その検体を保持したサンプルラックをラック搬送部に待機させておき、再検査が必要な場合は、検体供給位置にサンプルラックが戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−236952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の検体検査システムでは、検査情報管理装置が、再検査が必要となる可能性のある全ての測定項目について、検体の再検査の要否を判定するため、判定が完了するまでに時間がかかることがある。そのため、ラック搬送部にサンプルラックを長い時間待機させなければならないことがあり、その間、他のサンプルラックをラック搬送部によって搬送することが困難となる。これにより、検体処理効率が落ちる惧れがある。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、検体処理効率が低下することを抑制しながら、必要な再検査を行うことが可能な検体分析システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主たる態様に係る検体分析システムは、第1測定ユニットと、前記第1測定ユニットの下流側に配された少なくとも一つの第2測定ユニットと、前記第1測定ユニットに対応して配置された第1搬送部および前記第2測定ユニットに対応して配置された第2搬送部を含む搬送装置と、前記第1または第2測定ユニットで測定された検体の測定結果を取得する情報処理部と、を備える。ここで、前記第1搬送部は、前記第1測定ユニットへの第1検体供給位置に検体容器を搬送するための第1供給部と、検体容器を下流側へ送り出すための送出部と、を備える。また、前記第2搬送部は、上流側から送出された検体
容器を前記第2測定ユニットへの第2検体供給位置に搬送するための第2供給部を備える。前記情報処理部は、前記第1測定ユニットで測定された検体の測定結果に基づいて前記第1測定ユニットにおける当該検体の再検の要否を判定し、前記第1測定ユニットでの再検が必要である場合、前記第1供給部により当該検体を収容した検体容器を前記第1検体供給位置に搬送して前記第1測定ユニットに当該検体の測定を実行させる処理を実行する。
【0009】
本態様に係る検体分析システムによれば、各測定ユニットの測定項目の範囲で各測定ユニットにおける再検の要否が判定されるため、当該要否判定が迅速に行われ得る。このため、要否判定の結果に応じて、各測定ユニットでの再検を迅速に行うことができるとともに、各供給部から検体容器をすぐに搬出して、他の検体容器を各供給部に迅速に搬入することができる。よって、検体の処理効率の低下を抑制しながら、必要な再検を行うことができる。
【0010】
本態様に係る検体分析システムにおいて、前記第1測定ユニットは、第1測定項目について検体を測定可能であり、前記第2測定ユニットは、前記第1測定項目に加えて第2測定項目を測定可能であり、前記情報処理部は、外部の検査情報管理装置と通信可能であり、前記検査情報管理装置は、前記第1測定ユニットで測定された検体の測定結果に加えて、当該検査情報管理装置に記憶されている他の検査情報に基づいて、前記第1測定ユニットで測定された検体を前記第2測定ユニットで測定する必要があるか否かを判定し、前記情報処理部は、前記第1測定ユニットで測定された検体の測定結果を前記検査情報管理装置に送信する処理と、前記検体を前記第2測定ユニットで測定する必要があるか否かの判定結果を前記検査情報管理装置から受信する処理と、を実行するよう構成され得る。こうすると、第1測定ユニットでの再検が不要と判定された検体についても、第2測定ユニットでの測定の要否を検査情報管理装置から取得することにより、必要に応じて第2測定ユニットによって測定を実行することができる。
【0011】
この場合に、前記第1搬送部は、前記第1供給部から搬出された検体容器を貯留する貯留部を備え、前記情報処理部は、前記第1測定ユニットで測定された検体について前記第1測定ユニットでの再検が不要と判定した場合、当該検体を収容した検体容器を前記貯留部に搬出する処理と、前記貯留部に搬出された検体容器の検体について前記第2測定ユニットでの測定が必要か否かの判定結果を前記検査情報管理装置から受信するまで、前記検体容器を前記貯留部で待機させる処理と、を実行するように構成され得る。こうすると、検体容器が貯留部に貯留されている間は、第1供給部における検体容器の搬送の妨げとはならないため、検査情報管理装置による判定に時間がかかった場合であっても、検体処理効率が低下することを抑制することができる。
【0012】
この場合に、前記情報処理部は、前記検査情報管理装置から前記第2測定ユニットでの測定が必要であるとの判定結果を受信すると、対応する前記第2測定ユニットの前記第2検体供給位置に当該検体容器を搬送して前記第2測定ユニットに当該検体の測定を実行させる。こうすると、検体の処理効率を妨げることなく、検査情報管理装置から受信した判定結果に応じて、適宜、第2測定ユニットにて測定を実行することができる。これにより、検体処理効率が低下するのを抑制しながら、必要な再検査を行うことができる。
【0013】
本態様に係る検体分析システムにおいて、前記情報処理部は、各測定ユニットでの再検が必要か否かを判定するための判定条件を各測定ユニットについてそれぞれ記憶し、前記第1測定ユニットで測定された検体の測定結果が、前記第1測定ユニットに対応する判定条件に合致する場合に、前記第1測定ユニットでの再検が必要と判定する構成とされ得る。こうすると、各測定ユニットでの再検の要否を迅速に判定できる。
【0014】
また、本態様に係る検体分析システムにおいて、前記情報処理部は、前記検査情報管理装置に管理されている検査情報を使用せず、前記第1測定ユニットで測定された検体の測定結果に基づいて当該第1測定ユニットでの再検の要否を判定するよう構成され得る。こうすると、検査情報管理装置に管理されている情報を用いずに再検の要否判定を行うことができるため、より迅速に再検の要否を判定することができる。
【0015】
また、本態様に係る検体分析システムにおいて、前記検査情報管理装置は、前記第1測定ユニットで測定された検体について当該第1測定ユニットで再検が行われた場合、その再検の測定結果に基づいて、前記第2測定ユニットにおける前記検体の測定の要否を判定する構成とされ得る。こうすると、より信頼性が高いと想定される再検の結果に基づき第2測定ユニットにおける測定の要否が判定されるため、第2測定ユニットにおける測定の要否判定がより適正なものとなり得る。
【0016】
また、本態様に係る検体分析システムは、検体容器を前記搬送装置に搬入する搬入ユニットを備える構成とされ得る。ここで、前記第1測定ユニットは、前記搬入ユニット側に位置し、前記第2測定ユニットは、前記搬入ユニットに対して前記第1測定ユニットの下流側に位置する構成とされ得る。こうすると、測定可能な測定項目が第2測定ユニットよりも少ない第1測定ユニットを初検用に設置できるので、検査コストの削減を図ることができる。また、上流側の第1測定ユニットでは測定できない項目について、下流側の第2測定ユニットで測定を行うことができるので、精査かつ効率的に検体処理を行うことができる。
【0017】
また、本態様に係る検体分析システムは、前記第1搬送部は、前記送出部として、上流側から搬出された検体容器を受け入れて下流側に搬出可能な容器搬送部を備え、さらに、前記容器搬送部上の検体容器を前記第1供給部に移送可能な容器移送部を備える構成とされ得る。こうすると、上流側の第1測定ユニットでは測定できない項目の測定が必要な検体を、上流側の第1供給部を経由することなく下流側の第2供給部に搬入することができるので、下流側の第2測定ユニットで測定が必要な検体の測定を迅速に行うことができる。
【0018】
また、本態様に係る検体分析システムは、測定が終了した検体容器を前記搬送装置から回収するための回収ユニットを備える構成とされ得る。ここで、前記各搬送部は、測定が終了した検体容器を前記回収ユニット側に搬送するための容器回収部を備え、前記情報処理部は、下流側の第2測定ユニットでの測定が不要と前記検査情報管理装置により判定された検体容器を、対応する搬送部の容器回収部を用いて前記回収ユニットに搬送させる構成とされ得る。こうすると、回収ユニットに検体容器を搬送するための容器回収部が容器搬送部とは別個に設けられているので、容器搬送部に空きを多く作ることができ、より迅速に検体容器を各測定ユニットに搬送することができる。
【0019】
また、本態様に係る検体分析システムにおいて、前記搬送装置は、複数の検体容器を保持した検体ラックを搬送するように構成され、前記情報処理部は、前記第1測定ユニットにおいて検体ラックの一の検体容器内の検体が測定されている間に、検体ラックの他の検体容器内の検体について前記第1測定ユニットでの再検の要否を判定する構成とされ得る。こうすると、より迅速に第1測定ユニットでの再検を実行することができる。
【0020】
また、本態様に係る検体分析システムにおいて、前記情報処理部は、前記第1測定ユニットでの検体の再検の要否判定および前記第2測定ユニットでの検体の再検の要否判定を行う第1判定制御部と、前記第1測定ユニットで測定された検体について前記第2測定ユニットでの測定が必要か否かの判定結果を前記検査情報管理装置から受信する第2判定制御部と、を含み、前記第1判定制御部が、第1、第2測定ユニットおよび第1、第2供給
部の動作を制御し、前記第2判定制御部が、送出部の動作を制御する構成とされ得る。こうすると、各測定ユニットでの検体の再検の要否判定を行う第1判定処理部が、第1、第2測定ユニットおよび第1、第2供給部を制御するので、円滑かつ迅速に、検体の再検を実行することができる。また、第1測定ユニットで測定された検体を第2測定ユニットで測定するか否かの判定結果を取得する第2判定制御部が送出部を制御するので、円滑かつ迅速に第2測定ユニットに検体を送出することができる。
【0021】
また、本態様に係る検体分析システムにおいて、前記情報処理部は、前記第1測定ユニットで測定された検体の測定結果を取得すると、当該情報処理部による再検の要否判定に関わらず、前記測定結果を前記検査情報管理装置に送信する構成とされ得る。こうすると、検体の測定結果を用いて検査情報管理装置がすぐに第2測定ユニットでの測定の要否判定をすることができるので、第2測定ユニットでの測定の要否判定結果を検査情報管理装置から取得するための待ち時間を減らすことが可能となる。
【0022】
また、本態様に係る検体分析システムにおいて、前記情報処理部は、前記各測定ユニットのそれぞれから測定結果を受信して解析するとともに、前記各測定ユニットと各供給部の制御を行う1つのコンピュータ装置を含む構成とされ得る。こうすると、各測定ユニットに対応して複数のコンピュータ装置を設ける必要がないので、製品コストを低減させることができる。
【0023】
また、本態様に係る検体分析システムにおいて、前記情報処理部は、前記第1測定ユニットに対応して設けられた第1情報処理ユニットと、前記第2測定ユニットに対応して設けられた第2情報処理ユニットとを含む構成とされ得る。
【発明の効果】
【0024】
以上のとおり、本発明によれば、検体処理効率が低下することを抑制しながら、必要な再検査を行うことが可能な検体分析システムを提供することができる。
【0025】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態により何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施の形態に係る検体分析システムを上側から見た場合の構成を模式的に示す図である。
【図2】実施の形態に係る検体容器および検体ラックの構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係る搬送ユニットを上側から見た場合の構成を示す図である。
【図4】実施の形態に係る検体分析システムのユニットおよび装置の相互の接続関係を模式的に示す図である。
【図5】実施の形態に係る搬送コントローラ、ホストコンピュータおよび前処理ユニットの構成の概要を示す図である。
【図6】実施の形態に係る搬送ユニット、測定ユニットおよび情報処理ユニットの構成の概要を示す図である。
【図7】実施の形態に係る検体情報テーブルおよび優先テーブルの構成を概念的に示す図である。
【図8】実施の形態に係る情報処理ユニットによる測定動作を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態に係る測定ユニットで得られた検体のデータを用いた情報処理ユニットによる処理を示すフローチャートおよびホストコンピュータによる第2再検の要否判定処理を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態に係る左テーブルに検体ラックが搬入されたときの搬送コントローラによる処理を示すフローチャートおよびホストコンピュータによる第2再検の要否送信処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本実施の形態は、血液に関する検査および分析を行うための検体分析システムに本発明を適用したものである。以下、本実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、検体分析システム1を上側から見た場合の構成を模式的に示す図である。本実施の形態に係る検体分析システム1は、回収ユニット21と、投入ユニット22と、前処理ユニット23と、搬送ユニット31〜33と、3台の測定ユニット41と、情報処理ユニット42と、搬送コントローラ5から構成されている。また、本実施の形態の検体分析システム1は、通信ネットワークを介してホストコンピュータ6と通信可能に接続されている。
【0029】
回収ユニット21と、投入ユニット22と、前処理ユニット23は、検体ラックLの受け渡しが可能となるように、図示の如く、左右に隣接するよう配置されている。また、これらのユニットは、10本の検体容器Tを保持可能な複数の検体ラックLが載置可能となるよう構成されている。
【0030】
図2は、検体容器Tと検体ラックLの構成を示す図である。同図(a)は、検体容器Tの外観を示す斜視図であり、同図(b)は、10本の検体容器Tが保持されている検体ラックLの外観を示す斜視図である。なお、同図(b)には、検体ラックLが投入ユニット22に載置されるときの向き(図1の前後左右)が併せて示されている。
【0031】
図2(a)を参照して、検体容器Tは、透光性を有するガラスまたは合成樹脂により構成された管状容器であり、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。バーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。
【0032】
図2(b)を参照して、検体ラックLには、10本の検体容器Tを垂直状態(立位状態)で並べて保持することが可能となるよう、図示の如く保持位置1〜10に10個の保持部が形成されている。また、検体ラックLの後方の側面には、図示の如く、バーコードラベルBL2が貼付されている。バーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0033】
図1に戻って、回収ユニット21は、後述する回収ラインを通って回収された検体ラックLを収容する。
【0034】
投入ユニット22は、ユーザが投入した検体ラックLを収容し、収容している検体ラックLを前処理ユニット23に搬出する。ユーザは、検体の測定を開始する場合、まず、検体を収容する検体容器Tを検体ラックLにセットし、この検体ラックLを投入ユニット22に載置する。しかる後に、この検体ラックLが下流側(左側)のユニットに順次搬送され、測定が行われる。
【0035】
前処理ユニット23は、バーコードユニットBにより、投入ユニット22から搬出された検体ラックLのラックIDと、検体ラックLの保持位置に対応付けられた検体容器Tの検体IDを読み取る。しかる後、前処理ユニット23は、バーコードユニットBにより読み取られた情報を搬送コントローラ5へ送信し、読み取りが完了した検体ラックLを搬送
ユニット31に搬出する。
【0036】
搬送ユニット31〜33は、検体ラックLの受け渡しが可能となるように、図示の如く、左右に隣接するよう配置されている。搬送ユニット31の右端は、検体ラックLの受け渡しが可能となるよう前処理ユニット23に接続されている。搬送ユニット31〜33は、図示の如く、それぞれ、3台の測定ユニット41の前方に配置されている。
【0037】
搬送ユニット31〜33には、図示の如く、それぞれに対応する測定ユニット41に検体ラックLが搬送される場合と搬送されない場合とに分けて、2通りの搬送ラインが設定されている。すなわち、測定ユニット41で測定が行われる場合は、後方の左向きの矢印で示された“測定ライン”に沿って検体ラックLが搬送される。測定ユニット41で測定が行われず、下流側(左側)で測定が行われる場合は、当該測定ユニット41をスキップするよう、中段の左向きの矢印で示された“供給ライン”に沿って検体ラックLが搬送される。また、搬送ユニット31〜33には、図示の如く、検体ラックLを回収ユニット21に搬送するための右向きの搬送ラインが設定されている。すなわち、下流側で測定が行われる必要がなくなった検体ラックLは、前方の右向きの矢印で示された“回収ライン”に沿って搬送され、回収ユニット21に回収される。
【0038】
3台の測定ユニット41は、それぞれ前方に配置された搬送ユニット31〜33の測定ライン上の所定の位置(図中点線矢印)において、検体ラックLから検体容器Tを抜き出して、この検体容器Tに収容された検体を測定する。具体的には、測定ユニット41は、検体ラックLから抜き出した検体容器Tを後方に移動させて内部に取り込み、この検体容器Tに収容されている検体を吸引し、吸引した検体の測定を行う。測定ユニット41は、検体に対して光学測定を行うための光学検出器を有する。この光学検出器には、検体と所定の試薬とから調製された測定試料が供給され、このときに光学検出器によって測定試料中の各血球から光学情報(側方蛍光信号、前方散乱光信号、側方散乱光信号)が検体のデータとして検出される。測定ユニット41で得られた検体のデータは、情報処理ユニット42により解析され、赤血球数、白血球数等の測定結果が生成される。測定ユニット41内での測定が完了すると、測定ユニット41は、この検体容器Tを再び元の検体ラックLの保持部に戻す。
【0039】
情報処理ユニット42は、3台の測定ユニット41と通信可能に接続されており、3台の測定ユニット41の動作を制御する。情報処理ユニット42は、3台の測定ユニット41で得られた検体のデータを取得して解析処理を行う。また、情報処理ユニット42は、ホストコンピュータ6と通信ネットワークを介して通信可能に接続されており、解析処理により生成した測定結果をホストコンピュータ6に送信する。
【0040】
搬送コントローラ5は、回収ユニット21と、投入ユニット22と、前処理ユニット23と、搬送ユニット31〜33の検体リレー部3a(図4参照)の搬送動作を制御する。また、搬送コントローラ5は、ホストコンピュータ6と通信ネットワークを介して通信可能に接続されている。搬送コントローラ5は、前処理ユニット23から検体IDを受信すると、ホストコンピュータ6に測定オーダの問い合わせを行う。しかる後、搬送コントローラ5は、ホストコンピュータ6から受信した測定オーダに基づき、前処理ユニット23から搬出される検体ラックLの搬送先を決定し、検体ラックLが搬送先に搬送されるよう、搬送ユニット31〜33の検体リレー部3a(図4参照)を制御する。
【0041】
ここで、本実施の形態では、3台の測定ユニット41のうち、右端と中央の測定ユニット41においてCBC項目とDIFF項目の測定が可能であり、左端の測定ユニット41においてCBC項目と、DIFF項目と、RET項目の測定が可能となっている。CBC項目は、WBC(白血球)、RBC(赤血球)、PLT(血小板)、HGB(ヘモグロビ
ン)等を含み、DIFF項目は、MONO(単球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)等を含み、RET項目は、RET(網赤血球)等を含む。このため、検体ラックLに保持される検体の測定オーダに、CBC項目とDIFF項目のみが含まれる場合には、この検体ラックLは右端または中央の測定ユニット41に搬送される。検体ラックLに保持される検体の測定オーダに、RET項目が含まれる場合には、この検体ラックLは左端の測定ユニット41に搬送される。検体ラックLは、搬送先の測定ユニット41まで搬送されると、当該測定ユニット41で検体に対する最初の測定(以下、「初検」という)が行われる。情報処理ユニット42は、測定ユニット41で得られた検体のデータを解析し、白血球数、赤血球数、血小板数、ヘモグロビン濃度、単球数、網赤血球数等の測定結果を生成する。
【0042】
また、本実施の形態では、初検の測定結果に基づいて、再度測定が行われることがある。この場合の測定(以下、「再検」という)には、初検が行われた測定ユニット41で行われる再検(以下、「第1再検」という)と、初検が行われた測定ユニット41よりも下流側(左側)で行われる再検(以下、「第2再検」という)が含まれる。第1再検と第2再検が必要と判定される手順については、追って、図8、9を参照して説明する。
【0043】
図3は、搬送ユニット31を上側から見た場合の構成を示す図である。なお、搬送ユニット32、33も、搬送ユニット31と同様に構成される。
【0044】
搬送ユニット31は、右テーブル310と、ラック搬送部320と、左テーブル330と、ラック搬送部340、350とを備えている。ラック搬送部320により、図1の測定ラインが構成される。また、ラック搬送部340により図1の供給ラインが構成され、ラック搬送部350により図1の回収ラインが構成される。
【0045】
上流側(右側)から搬出された検体ラックLに対する測定が、搬送ユニット31に対応する測定ユニット41で行われない場合、この検体ラックLは、ラック搬送部340のベルト341a、341bにより、ラック搬送部340の右端から左端へと供給ラインに沿って直線的に送られる。しかる後、この検体ラックLは、ラック搬送部340のベルト341bによって下流側(左側)の搬送ユニット32に搬出される。
【0046】
次に、上流側(右側)から搬出された検体ラックLに対する測定が、搬送ユニット31に対応する測定ユニット41で行われる場合、この検体ラックLは、ラック搬送部340の右端位置に位置付けられる。すなわち、ベルト341aが駆動された状態で、壁部342aが図示の状態から供給ライン上に僅かに出るよう、ラック押出し機構342が後方に移動される。これにより、上流側から搬出された検体ラックLは、壁部342aに当たって停止し、ラック搬送部340の右端位置に位置付けられる。続いて、ラック押出し機構342がさらに後方に移動されることにより、この検体ラックLが右テーブル310の搬送路311の前方位置に押し出される。
【0047】
なお、検体ラックLが搬送路311の前方位置に押し出されるとき、搬送コントローラ5は、この検体ラックLのラックIDと、この検体ラックLに保持されている検体容器Tの検体IDを、情報処理ユニット42に送信する。
【0048】
搬送路311上に押し出された検体ラックLが、透過型のセンサ312a、312bにより検出されると、ラック送込機構313が検体ラックLの前端に係合した状態で後方に移動し、検体ラックLが後方に送られる。こうして、検体ラックLがラック搬送部320の右端位置に送り込まれる。
【0049】
ラック搬送部320のベルト321a、321bは、異なるステッピングモータ(図示
せず)により別々に駆動可能となるよう構成されており、ベルト321a、321bは、何れも左方向と右方向に駆動可能となっている。また、ベルト321a、321bには、それぞれ、検体ラックLの左右方向の幅よりも若干大きい幅を有する2つの突起片(図示せず)が設けられている。ラック搬送部320上の検体ラックLは、ベルト321aの突起片またはベルト321bの突起片に保持されることにより、測定ラインに沿って左方向と右方向に搬送可能となる。検体ラックLがラック搬送部320の右端位置に位置付けられると、検体ラックLは、ベルト321aまたはベルト321bにより測定ラインに沿って左方向に搬送される。
【0050】
検体ラックLがラック搬送部320の右端位置から左方向に搬送されることにより、接触式の容器センサ322の真下位置を検体容器Tが通過すると、容器センサ322の接触片が検体容器Tにより屈曲される。これにより、検体ラックLのどの保持位置に検体容器Tが保持されているかが検出される。
【0051】
容器センサ322により検出された検体容器Tは、供給位置に位置付けられると、測定ユニット41のハンド部(図示せず)が、検体ラックLからこの検体容器Tを取り出す。取り出された検体容器Tは、測定ユニット41内で測定に用いられた後、再び検体ラックLに戻される。なお、検体容器Tが測定ユニット41内に取り込まれている間、検体ラックLは搬送ライン上を左右に搬送され、適宜、他の保持位置の検体容器Tの存在が容器センサ322により検出される。
【0052】
ここで、上述したように、測定ユニット41内で測定が行われると、情報処理ユニット42は、測定ユニット41で得られた検体のデータに基づいて解析処理を行う。情報処理ユニット42は、解析処理によって生成した測定結果に基づき、測定結果の元となった検体について、この測定ユニット41において再度の測定(第1再検)が必要か否か(要否)の判定を行う。第1再検が必要と判定されると、検体ラックLが測定ラインに沿って右方向に搬送され、第1再検の対象となった検体容器Tが再び供給位置に位置付けられ、再度、この検体容器Tに対して測定ユニット41内で測定(第1再検)が行われる。
【0053】
こうして、検体ラックLに保持された検体容器Tのうち、この測定ユニット41の測定対象となった全ての検体容器Tについて、測定および必要な第1再検が全て終了すると、検体ラックLは、ベルト321a、321bによって、ラック搬送部320の左端の“搬出位置”まで送られる。しかる後、検体ラックLは、ラック押出し機構323により、左テーブル330の搬送路331の後方位置に押し出される。
【0054】
搬送路331上に押し出された検体ラックLが、透過型のセンサ332a、332bにより検出されると、ラック送込機構333が検体ラックLの後端に係合した状態で前方に移動し、検体ラックLが前方に送られる。こうして、検体ラックLが左テーブル330の前方位置に送り込まれる。左テーブル330の前方位置近傍には、透過型のセンサ334a、334bが設置されている。センサ334a、334bにより、左テーブル330の前方位置に位置付けられた検体ラックLが検出される。
【0055】
ここで、搬送路331上に検体ラックLが位置付けられると、搬送コントローラ5は、この検体ラックLに保持されている各検体について、後段の測定ユニット41による再度の測定(第2再検)の要否を、ホストコンピュータ6に問い合わせる。ホストコンピュータ6は、情報処理ユニット42から受信した測定結果等に基づいて、後段の測定ユニット41による第2再検の要否を予め判定しており、搬送コントローラ5の問い合わせに応じて第2再検の要否を送信する。検体ラックLに保持されている検体のうち、1以上の検体について第2再検が必要である場合、この検体ラックLは下流側(左側)に搬送される。他方、検体ラックLに保持されている全ての検体について、第2再検が不要である場合、
この検体ラックLは回収ラインに沿って上流側(右側)に搬送される。
【0056】
なお、本実施の形態では、右側2つの搬送ユニット31、32の左テーブル330に検体ラックLが位置付けられているときに第2再検が必要と判定されると、この検体ラックLは下流側(左側)の搬送ユニットに搬出され、左端の測定ユニット41において第2再検が行われる。また、最も左(最下流)の搬送ユニット33の左テーブル330に検体ラックLが位置付けられているときには、第2再検の要否は判定されず、この検体ラックLは回収ラインに沿って上流側(右側)に搬送される。
【0057】
続いて、左テーブル330の前方にあって、ラック搬送部340と350の間にある仕切り部352が開閉制御され、検体ラックLが、ラック搬送部340の左端位置またはラック搬送部350の左端位置に位置付けられる。
【0058】
検体ラックLが下流側(左側)にある測定ユニット41に搬送される場合、仕切り部352によりラック搬送部340、350が仕切られた状態で、検体ラックLが、ラック送込機構333によりラック搬送部340の左端位置まで移動される。しかる後、この検体ラックLは、ラック搬送部340のベルト341bによって下流側の搬送ユニット32に搬出される。
【0059】
他方、検体ラックLが下流側(左側)にある測定ユニット41に搬送されない場合、仕切り部352の上面が、ラック搬送部340のベルト341bの上面と同じ高さまで下げられる。しかる後、検体ラックLが、ラック送込機構333によって、ラック搬送部340を横切って、ラック搬送部350の左端位置まで移動される。続いて、この検体ラックLは、ラック搬送部350のベルト351により、ラック搬送部350の左端から右端へと回収ラインに沿って直線的に送られ、搬送ユニット31の上流側(右側)に配置されている前処理ユニット23に搬出される。こうして、回収ラインに沿って右方向に搬送された検体ラックLは、最終的に回収ユニット21に収容される。
【0060】
図4は、検体分析システム1のユニットおよび装置の相互の接続関係を模式的に示す図である。
【0061】
ここで、搬送ユニット31〜33は、それぞれ、検体リレー部3a、検体供給部3bに分けて図示されている。具体的には、検体リレー部3aは、図3の左テーブル330と、ラック搬送部340、350を含む部分であり、隣り合う2台の搬送ユニットのうちの一方から検体ラックLを受け取り、他方の搬送ユニットに搬送する。検体供給部3bは、図3の右テーブル310とラック搬送部320を含む部分であり、測定ユニット41による検体の測定のために、検体ラックLを供給位置に搬送する。
【0062】
集線装置11には、回収ユニット21と、投入ユニット22と、前処理ユニット23と、3台の検体リレー部3aと、搬送コントローラ5が、通信可能となるよう接続されている。集線装置12には、3台の検体リレー部3aと、情報処理ユニット42が通信可能となるよう接続されている。集線装置13には、3台の検体供給部3bと、情報処理ユニット42が通信可能となるよう接続されている。集線装置14には、3台の測定ユニット41と情報処理ユニット42が通信可能となるよう接続されている。集線装置15には、情報処理ユニット42と、搬送コントローラ5と、通信ネットワークを介したホストコンピュータ6が、通信可能となるよう接続されている。
【0063】
図5は、搬送コントローラ5と、ホストコンピュータ6と、前処理ユニット23の構成の概要を示す図である。
【0064】
搬送コントローラ5は、制御部501と、通信部502と、ハードディスク503と、表示入力部504を備える。
【0065】
制御部501は、メモリ501aを備える。制御部501は、メモリ501aまたはハードディスク503に記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより、回収ユニット21と、投入ユニット22と、前処理ユニット23と、搬送ユニット31〜33の検体リレー部3aを制御する。通信部502は、Ethernet(登録商標)規格に基づいて外部の装置とデータ通信を行うための通信インターフェースを備え、集線装置11、15との間でデータ通信を行う。
【0066】
ハードディスク503には、対象装置を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。表示入力部504は、ディスプレイや入力デバイスにより構成されており、制御部501から出力される映像信号に基づいてディスプレイに画像を表示すると共に、入力デバイスを介してユーザからの入力を受け付ける。
【0067】
ホストコンピュータ6は、搬送コントローラ5と同様の構成となっており、制御部601と、通信部602と、ハードディスク603と、表示入力部604を備える。ハードディスク603には、複数の被検者の過去の測定結果や疾患情報等を含む検査情報と、3台の測定ユニット41で測定可能な全ての測定項目が記憶されている。
【0068】
前処理ユニット23は、制御部231と、通信部232と、駆動部233と、センサ部234と、バーコードユニットBを備える。
【0069】
制御部231は、メモリ231aを備える。制御部231は、搬送コントローラ5の制御部501からの指示に従って、制御部231内のメモリ231aに記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより、前処理ユニット23内の各部を制御する。通信部232は、搬送コントローラ5の通信部502と同様に、集線装置11との間でデータ通信を行う。
【0070】
バーコードユニットBにより読み取られた情報は、制御部231に出力される。制御部231は、バーコードユニットBから受信した情報をメモリ231aに記憶し、通信部232を介して、搬送コントローラ5に送信する。駆動部233は、前処理ユニット23上の検体ラックLを搬送するための機構を含んでおり、センサ部234は、前処理ユニット23上の検体ラックLを検出するためのセンサを含んでいる。
【0071】
なお、回収ユニット21と投入ユニット22は、前処理ユニット23からバーコードユニットBが省略された構成となっているため、便宜上、ここでは構成の図示および説明を省略する。
【0072】
図6は、搬送ユニット31と、測定ユニット41と、情報処理ユニット42の構成の概要を示す図である。なお、図6には、便宜上、搬送ユニット31と測定ユニット41がそれぞれ1台のみ示されているが、搬送ユニット32、33と他の測定ユニット41も同様に構成される。
【0073】
搬送ユニット31は、図5の前処理ユニット23から、バーコードユニットBが省略され、通信部302bと、駆動部303bと、センサ部304bが追加された構成となっている。
【0074】
通信部302aは、集線装置11、12との間でデータ通信を行い、通信部302bは、集線装置13との間でデータ通信を行う。駆動部303aは、制御部301により制御
され、駆動部303bは、通信部302bを介して、情報処理ユニット42により制御される。センサ部304aは、検出信号を制御部301に出力し、センサ部304bは、検出信号を、通信部302bを介して、情報処理ユニット42に出力する。
【0075】
通信部302bと、駆動部303bと、センサ部304bは、図4の検体供給部3bに含まれており、通信部302bと、駆動部303bと、センサ部304b以外の搬送ユニット31の各部は、図4の検体リレー部3aに含まれている。駆動部303aとセンサ部304aは、図3の左テーブル330と、ラック搬送部340、350上にある検体ラックLを、それぞれ搬送および検出するための機構を含んでいる。駆動部303bとセンサ部304bは、図3の右テーブル310とラック搬送部320上にある検体ラックLを、それぞれ搬送および検出するための機構を含んでいる。
【0076】
測定ユニット41は、通信部411と、駆動部412と、センサ部413と、試料調製部414と、検出部415を備える。
【0077】
通信部411は、搬送ユニット31の通信部302bと同様にして、集線装置14との間でデータ通信を行う。駆動部412は、検体の測定を行うための機構を含み、センサ部413は、検体容器Tの位置を検出するためのセンサ等を含んでいる。試料調製部414は、測定ユニット41内で吸引された検体と、試薬とを混合攪拌し、測定用の試料を調製する。検出部415は、試料調製部414により調製された試料を測定する。かかる測定により得られた検体のデータは、通信部411を介して情報処理ユニット42に送信され、情報処理ユニット42において解析処理が行われる。
【0078】
情報処理ユニット42は、図5の搬送コントローラ5と同様の構成となっている。
【0079】
制御部421は、通信部422と集線装置13を介して、搬送ユニット31の各部を制御し、センサ部304bの検出信号を受信する。また、制御部421は、通信部422と集線装置14を介して、測定ユニット41の各部を制御し、センサ部413の検出信号と、検出部415により測定された検体のデータを受信する。ハードディスク423には、測定ユニット41で行われる測定に関する情報(検体情報テーブル)と、測定ユニット41に供給される検体の優先順位に関する情報(優先テーブル)が記憶される。検体情報テーブルと優先テーブルは、それぞれ測定ユニット41ごとに設定されている。
【0080】
図7(a)は、検体情報テーブルの構成を概念的に示す図である。
【0081】
検体情報テーブルには、ラックIDを記憶するラックID項目と、検体IDを記憶する検体ID項目と、検体容器Tの保持位置を記憶する保持位置項目と、測定ユニット41における測定回数を記憶する測定回数項目と、得られた測定結果が最終結果であるか否かを記憶する結果項目が設定されている。なお、同図(a)には、結果項目の各欄に便宜上“最終”または“最終でない”の文字が示されているが、実際は、結果項目の各欄に“最終”または“最終でない”を示すフラグが保持される。
【0082】
情報処理ユニット42は、上述したように、検体ラックLが右テーブル310の搬送路311上に押し出されたときに、搬送コントローラ5からラックIDと検体IDを受信している。検体ラックLが測定ラインに沿って搬送され、当該測定ユニット41で測定を行う検体容器Tが容器センサ322により検知されると、情報処理ユニット42は、この検体を検体情報テーブルに登録する。
【0083】
検体情報テーブルに検体が登録されるとき、測定回数項目は“0”となり、結果項目は“最終でない”となる。その後、検体に対する初検が行われると、測定回数項目は“1”
となる。初検の測定結果に基づいて、第1再検の必要がないと判定されると、結果項目が“最終”となる。さらに、検体に対する第1再検が終了すると、測定回数は“2”となり、結果項目は“最終”となる。測定回数項目と結果項目の状態遷移については、追って図8、9を参照して説明する。
【0084】
図7(b)は、優先テーブルの構成を概念的に示す図である。
【0085】
優先テーブルは、測定ユニット41に供給される検体の優先順位を示している。当該測定ユニット41で測定を行う検体容器Tが容器センサ322により検知されると、情報処理ユニット42は、各検体を検知された順に優先テーブルに登録する。これにより、たとえば図7(b)に示す如く、先に登録された検体が上に、後に登録された検体が下に位置付けられる。図7(b)には、検体ラックLの10の保持位置の全てに検体容器Tが保持されている場合の優先テーブルの一例が示されている。優先テーブルの状態遷移については、追って、図8、9を参照して説明する。
【0086】
図8は、情報処理ユニット42による測定動作を示すフローチャートである。
【0087】
情報処理ユニット42の制御部421は、センサ312a、312bにより右テーブル310に検体ラックLがあると判定すると(S101:YES)、ラック送込機構313を介して、検体ラックLをラック搬送部320(測定ライン)に送り込む(S103)。測定ラインに送り込まれた検体ラックLは、適宜左方向に搬送されて、容器センサ322により、検体ラックLに保持されている検体容器Tの有無が検出される。これにより、検体が検体情報テーブルと優先テーブルに登録される。
【0088】
なお、右テーブル310に検体ラックLがあるか否かの判定(S101)は、情報処理ユニット42のシャットダウン処理が行われるまで(S102:YES)、繰り返し行われる。
【0089】
続いて、制御部421は、優先テーブルに基づいて、優先度の最も高い検体容器Tを供給位置に搬送する(S104)。供給位置に検体容器Tが位置付けられると、制御部421は、この検体容器Tを測定ユニット41内に取り込んで、検体容器Tから検体を吸引する(S105)。吸引が完了すると、制御部421は、検体容器Tを元の検体ラックLの保持位置に戻し、この検体を優先テーブルから削除する(S106)。なお、制御部421は、検体の吸引が完了すると、他の検体の吸引動作に並行して測定および解析を行う。
【0090】
続いて、制御部421は、優先テーブルに検体がないかを判定する(S107)。たとえば、検体の吸引動作が順次進行すると、S106により優先テーブルから順次検体が削除されるため、やがて、優先テーブルから全ての検体がなくなる。また、既に吸引が完了して優先テーブルから削除された検体であっても、後述するように、第1再検が必要と判定されると、この検体が優先テーブルに再び追加されることになる。このとき、検体ラックLは、ベルト321aまたは321bが右方向に駆動されることにより、測定ラインを右方向に搬送される。これにより、検体容器Tが供給位置に位置付けられる。制御部421は、このように測定を繰り返しながら、優先テーブルに検体がないと判定されるまで(S107:YES)、S104〜S106の処理を繰り返す。優先テーブルに検体がなくなると(S107:YES)、制御部421は、この検体ラックLをラック搬送部320の左端位置(搬出位置)まで搬送する(S108)。
【0091】
なお、S107で優先テーブルに検体がなくなったタイミングにおいて、未だ、第1再検の要否が判定されていない検体が残っている場合がある。このような場合、要否未判定の残りの検体について第1再検が必要と判定されると、S107にて検体がないと判定さ
れた優先テーブルに、再び、当該検体が登録されることになる。この場合、後述するS111においてYESと判定され、この検体の処理が行われる。他方、要否未判定の残りの検体の何れについても第1再検が必要と判定されなければ、S107にて検体がないと判定された優先テーブルは、検体がないままの状態となる。
【0092】
次に、制御部421は、検体情報テーブルを参照して、この検体ラックLに保持されている全ての検体の結果項目が“最終”となっているかを判定する(S109)。全ての結果項目が“最終”となっていると(S109:NO)、制御部421は、この検体ラックLを、左テーブル330に押し出して(S110)、処理をS101に戻す。他方、全ての結果項目が“最終”となっていないと(S109:NO)、制御部421は、優先テーブルに、再度、当該検体ラックLの検体が登録されたかを判定する(S111)。なお、結果項目が、初期状態の“最終でない”から“最終”に変更される手順については、追って図9(a)を参照して説明する。
【0093】
優先テーブルに検体があると(S111:YES)、制御部421は、優先度の最も高い検体容器Tを供給位置に搬送する(S112)。このときも、検体ラックLは、ベルト321aまたは321bが右方向に駆動されることにより、測定ラインを右方向に搬送される。これにより、検体容器Tが供給位置に位置付けられる。
【0094】
続いて、制御部421は、この検体容器Tから検体を吸引し(S113)、この検体を優先テーブルから削除し(S114)、処理をS109に戻す。この場合も、制御部421は、検体の吸引が完了すると、他の検体の吸引動作に並行して測定および解析を行う。他方、優先テーブルに検体がない場合も(S111:NO)、制御部421は処理をS109に戻す。なお、処理がS109に戻された後、S109でNOと判定され、さらにS111でNOと判定されると、検体ラックLは再度搬出位置まで搬送される。こうして、全ての検体の結果項目が“最終”となるまで測定が繰り返し行われる。
【0095】
図9(a)は、測定ユニット41で得られた検体のデータを用いた情報処理ユニット42による処理を示すフローチャートである。
【0096】
情報処理ユニット42の制御部421は、検体のデータを測定ユニット41から受信すると(S121:YES)、受信したデータに基づいて解析処理を行う(S123)。なお、測定ユニット41からデータを受信したか否かの判定(S121)は、情報処理ユニット42のシャットダウン処理が行われるまで(S122:YES)、繰り返し行われる。
【0097】
続いて、制御部421は、S121で受信したデータが初検により得られたデータであるか否かを判定する(S124)。具体的には、制御部421は、データの元となる検体について検体情報テーブルを参照し、測定回数が“0”となっていると、初検により得られたデータであると判定し、測定結果が“1”となっていると、初検により得られたデータでないと判定する。
【0098】
S121で受信したデータが初検のデータであると(S124:YES)、制御部421は、S123で得られた測定結果に基づいて第1再検の要否判定を行う(S125)。なお、第1再検の要否に用いられる判定条件は、測定ユニット41ごとに対応付けて、情報処理ユニット42のハードディスク423に記憶されている。第1再検の要否判定では、S123の解析処理で得られた各測定項目の数値、たとえば赤血球数や白血球数が所定の範囲から外れている場合に、第1再検が必要と判定される。この判定処理は、S123で得られた測定結果以外の検査情報は用いずに行われる。
【0099】
第1再検の要否に用いられる判定条件としては、たとえば「IF WBC > 100 THEN Retest(DIFF)」という再検ルールが設定されている。かかるルールはIF-THEN文として記述され
、IF部(条件部)には所定の事実発生の有無が設定され、THEN部には再検実行のアクションコマンドが設定される。この例では、WBCの測定結果が100より大きければ、DIFF項目の再検の実行が指示される。また、たとえば「IF RBC < 30 THEN Retest(CBC)」という再検ルールが設定されている場合には、RBCの測定結果が30より小さければ、CBC項目の再検の実行が指示される。
【0100】
第1再検の要否判定の結果、この検体について第1再検の必要ありと判定されると(S126:YES)、制御部421は、この検体の測定結果に、最終結果でない旨の情報を付加して、ホストコンピュータ6に送信する(S127)。また、制御部421は、この検体を優先テーブルに追加し(S128)、検体情報テーブルの測定回数項目を1増やす(S131)。ここで、優先テーブルの最上位の検体が吸引動作中である場合には、S128で追加する検体は、優先テーブルの上から2番目に追加される。優先テーブルの最上位の検体が吸引動作中でない場合には、S128で追加する検体は、優先テーブルの最上位に追加される。これにより、第1再検が必要と判定された検体は、他の検体に先んじて、吸引および測定が行われる。
【0101】
他方、S121で受信した測定結果が初検の測定結果でないとき(S124:NO)、および、この検体について第1再検の必要なしと判定されたとき(S126:NO)、制御部421は、この検体の測定結果に、最終結果である旨の情報を付加して、ホストコンピュータ6に送信する(S129)。なお、本実施の形態では、初検に基づく第1再検の回数は最大1回とされる。
【0102】
続いて、制御部421は、この検体について、検体情報テーブルの結果項目を“最終”に変更し(S130)、さらに、検体情報テーブルの測定回数項目を1増やす(S131)。こうして、検体ラックLに保持される全ての検体について結果項目が“最終”となると、図8のS109においてYESと判定され、この検体ラックLが測定ラインから左テーブル330に押し出される。
【0103】
図9(b)は、ホストコンピュータ6による第2再検の要否判定処理を示すフローチャートである。
【0104】
ホストコンピュータ6の制御部601は、S127およびS129において情報処理ユニット42から測定結果を受信すると(S301:YES)、この検体について、第2再検の要否判定を行う(S302)。また、第2再検が必要と判定されると(S303:YES)、制御部601は、第2再検を行う測定ユニット41を決定する(S304)。第2再検の要否判定と、第2再検を行う測定ユニット41の決定は、この検体を採取した患者の過去の測定結果や疾患情報等を含む検査情報と、3台の測定ユニット41で測定可能な全ての測定項目に基づいて、所定の判定条件に従って行われる。かかる検査情報と測定項目は、ハードディスク603に予め記憶されている。この処理では、たとえば、特定の測定項目について、今回の測定結果(今回値)と、前回の測定結果(前回値)とを比較し、両者の差分を基準値と比較することで、今回値が前回値と基準値以上に乖離している場合には、今回値が信頼できないと判断され、今回の測定結果と同一の測定項目について再検査が必要と判定される。また、再検査が必要と判定された測定項目を測定可能な測定ユニット41のうち、測定負荷が少ないほうの測定ユニット41が第2再検を行う測定ユニット41として決定される。
【0105】
ホストコンピュータ6に記憶されている判定条件としては、たとえば「IF Anemia? THEN Retest(RET)」という再検ルールが設定されている。この例では、被検者が貧血である
ことを示す疾患情報がホストコンピュータ6に記憶されていれば、RETの再検の実行が指示される。また、「IF WBC(this time) - WBC(last time) > 30 THEN Retest(DIFF)」
という再検ルールが設定されている場合には、今回のWBCの測定結果(今回値)と、前回のWBCの測定結果(前回値)とが比較され、両者の差分が基準値以上に乖離している場合には、今回値が信頼できないと判断され、WBCを測定項目に含むDIFF項目について再検査の実行が指示される。
【0106】
続いて、制御部601は、S302で得られた第2再検の要否と、第2再検が必要と判定された場合に第2再検を行う測定ユニット41と、測定結果とをハードディスク603に記憶する(S305)。S301〜S305の処理は、ホストコンピュータ6のシャットダウン処理が行われるまで(S306:YES)、繰り返し行われる。
【0107】
なお、情報処理ユニット42における第1再検の要否の判定条件と、ホストコンピュータ6における第2再検の要否の判定条件は、それぞれ、ユーザにより任意に設定され得る。ユーザは、各測定ユニット41で測定可能な測定項目の範囲内において、各測定ユニット41に対する第1再検の要否の判定条件を設定可能である。たとえば、本実施の形態では、3台の測定ユニット41のうち、右端と中央の測定ユニット41ではCBC項目とDIFF項目の測定が可能であるため、これらの測定ユニット41に対しては、CBC項目とDIFF項目の範囲内で、第1再検の要否の判定条件が設定可能である。左端の測定ユニット41では、CBC項目と、DIFF項目の他、RET項目の測定が可能であるため、この測定ユニット41に対しては、CBC項目、DIFF項目およびRET項目の範囲内で、第1再検の要否の判定条件が設定可能である。ホストコンピュータ6では、CBC項目、DIFF項目およびRET項目の範囲内で、第2再検の要否の判定条件が設定可能である。この場合、ユーザは、これら測定項目の他、患者の過去の測定結果の履歴等をも含めて、第2再検の要否の判定条件を設定することができる。
【0108】
図10(a)は、図8のS110で左テーブル330に検体ラックLが搬入されたときの、搬送コントローラ5による処理を示すフローチャートである。
【0109】
搬送コントローラ5の制御部501は、センサ332a、332bにより、左テーブル330の搬送路331上の検体ラックLを検出すると(S201:YES)、この検体ラックLに保持されている検体のうち、当該測定ユニット41で測定が行われた検体について、ホストコンピュータ6に第2再検の要否を問い合わせる(S203)。なお、搬送路331上の検体ラックLが検出されたか否かの判定(S201)は、搬送コントローラ5のシャットダウン処理が行われるまで(S202:YES)、繰り返し行われる。
【0110】
制御部501は、ホストコンピュータ6から第2再検の要否を受信すると(S204:YES)、受信内容に基づいて、検体ラックLに保持されている検体に、第2再検が必要となっている検体があるかを判定する(S205)。第2再検が必要となっている検体があると(S205:YES)、制御部501は、この検体ラックLを後段の測定ユニット41に搬送する(S206)。他方、第2再検が必要となっている検体がないと(S205:NO)、この検体ラックLを回収ラインに送り込んで、回収ユニット21に搬送する(S207)。
【0111】
図10(b)は、ホストコンピュータ6による第2再検の要否送信処理を示すフローチャートである。
【0112】
ホストコンピュータ6の制御部601は、搬送コントローラ5から第2再検の要否の問合せを受信すると(S311:YES)、この検体について、ハードディスク603に記憶している第2再検の要否と、第2再検が必要である場合には第2再検を行う測定ユニッ
ト41とを、搬送コントローラ5に送信する(S312)。S311〜S312の処理は、ホストコンピュータ6のシャットダウン処理が行われるまで(S313:YES)、繰り返し行われる。
【0113】
以上、本実施の形態によれば、初検が行われた測定ユニット41で再検査(第1再検)が必要と判定されると、当該測定ユニット41の測定ライン上に位置付けられている検体ラックLが、適宜測定ラインに沿って左右方向に搬送され、検体が測定ユニット41に供給される。ここで、第1再検の判定は、情報処理ユニット42の制御部421によって行われるため、迅速に行われる。これにより、検体の再検査(第1再検)が迅速に行われ得る。
【0114】
また、当該測定ユニット41の測定ライン上に位置付けられている検体ラックLに保持されている全ての検体について、結果項目が“最終”となり、再検査(第1再検)が不要と判定されると、この検体ラックLは測定ラインから左テーブル330に押し出される。この場合も、結果項目が“最終”であるかの判定と第1再検の判定は、情報処理ユニット42の制御部421によって行われるため、迅速に行われる。これにより、処理済みの検体ラックLが測定ラインから左テーブル330に迅速に押し出され、他の検体ラックLが測定ラインに迅速に搬入され得る。
【0115】
さらに、左テーブル330に押し出された検体ラックL中の検体について他の測定ユニット41で再検査(第2再検)が必要と判定されると、検体ラックLは下流側(左側)の他の測定ユニット41に搬送されて、再検査(第2再検)が行われる。これにより、初検が行われた測定ユニット41では実行できない再検査も、他の測定ユニット41で確実に行われ得る。ここで、第2再検の判定は、ホストコンピュータ6の制御部601によって、過去の検査情報と、3台の測定ユニット41で測定可能な全ての測定項目に基づいて行われる。これにより、全ての測定項目について漏れなく判定することができると共に、検体をどの測定ユニット41に搬送すれば良いかを決定することができる。また、左テーブル330に検体ラックLが貯留されている間は、測定ラインや供給ラインにおける他の検体ラックLの搬送の妨げとはならないため、ホストコンピュータ6による判定に時間がかかった場合であっても、検体処理効率が低下することを抑制することができる。
【0116】
また、本実施の形態によれば、情報処理ユニット42の制御部421は、第1再検の要否に拘わらず、測定結果をホストコンピュータ6に送信する(図9(a)のS127、S129)。これにより、ホストコンピュータ6において第2再検の要否を予め判定しておくことができるため、搬送コントローラ5の制御部601が、第2再検の要否を問い合わせてから(図10(a)のS203)、第2再検の要否を取得するまでの待ち時間が低減され得る。
【0117】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態はこれらに限定されるものではない。
【0118】
たとえば、上記実施の形態では、測定対象として血液を例示したが、尿についても測定対象とされ得る。すなわち、尿を検査する検体分析システムにも本発明を適用することができ、さらに、他の臨床検体を検査する臨床検体分析システムに本発明を適用することもできる。
【0119】
また、上記実施の形態では、各測定ユニット41に対応する搬送ユニット31〜33を連結して搬送システムを構成しているが、各測定ユニット41に対応する領域に検体リレー部3aおよび検体供給部3bがそれぞれ設けられた一つの搬送装置を用いてもよい。
【0120】
また、上記実施の形態では、搬送ユニット31〜33は、それぞれ、検体リレー部3aと検体供給部3bとに分離して構成されたが、これに限らず、検体リレー部3aと検体供給部3bとが、一体となって構成されても良い。
【0121】
また、上記実施の形態では、右テーブル310とラック搬送部320における検体ラックLの搬送は、情報処理ユニット42により行われたが、これに限らず、情報処理ユニット42以外のユニットまたは装置、たとえば、搬送コントローラ5により行われても良い。
【0122】
また、上記実施の形態では、左テーブル330と、ラック搬送部340、350における検体ラックLの搬送は、搬送コントローラ5により行われたが、これに限らず、搬送コントローラ5以外のユニットまたは装置、たとえば、情報処理ユニット42により行われても良い。
【0123】
また、上記実施の形態では、投入ユニット22に載置された検体ラックLは、測定ユニット41に向けて下流方向(左方向)に搬送されて、測定が終了すると、上流方向(右方向)に搬送されて、投入ユニット22側に設置された回収ユニット21に回収された。しかしながら、これに限らず、測定が終了すると、下流方向(左方向)に搬送されて、搬送ユニット33の左隣りに設置された回収ユニットに回収されるようにしても良い。この場合も、上記実施の形態と同様、搬送ユニット31〜33の回収ラインを通って検体ラックLが回収されるように構成される。
【0124】
なお、図3のラック搬送部320に位置付けられる検体ラックLは必ずしも1つである必要はなく、2つの検体ラックLを同時にラック搬送部320に位置付け、各検体ラックLを2つのベルト321a、321bで並列に移動させて、各検体ラックLの検体を処理するようにしても良い。
【0125】
また、上記実施の形態では、情報処理ユニット42は、検体の解析処理が終了すると、すぐにホストコンピュータ6に測定結果を送信した。しかしながら、これに限らず、情報処理ユニット42は、検体ラックLが測定ライン(ラック搬送部320)から左テーブル330に押し出されるタイミングで、測定結果をホストコンピュータ6に送信しても良い。
【0126】
また、上記実施の形態では、3台の測定ユニット41で得られた検体のデータを取得して解析処理を行うコンピュータとして、1台の情報処理ユニット42が配置されたが、これに限らず、解析処理を行うためのコンピュータとして、3台の測定ユニット41にそれぞれ対応するように3台の情報処理ユニットが配置されても良い。
【0127】
また、上記実施の形態では、第1再検の判定は初検が行われた情報処理ユニット42で行われ、第2再検の判定はホストコンピュータ6で行われた。しかしながら、これに限らず、第1再検の判定の一部がホストコンピュータ6で行われるようにしても良く、第2再検の判定の一部が情報処理ユニット42で行われるようにしても良い。
【0128】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0129】
1 … 検体分析システム
5 … 搬送コントローラ
6 … ホストコンピュータ
21 … 回収ユニット
23 … 前処理ユニット
31〜33 … 搬送ユニット
41 … 測定ユニット
42 … 情報処理ユニット
310 … 右テーブル
320 … ラック搬送部
330 … 左テーブル
340 … ラック搬送部
341a、341b … ベルト
342 … ラック押出し機構
421 … 制御部
501 … 制御部
601 … 制御部
L … 検体ラック
T … 検体容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1測定ユニットと、
前記第1測定ユニットの下流側に配された少なくとも一つの第2測定ユニットと、
前記第1測定ユニットに対応して配置された第1搬送部および前記第2測定ユニットに対応して配置された第2搬送部を含む搬送装置と、
前記第1または第2測定ユニットで測定された検体の測定結果を取得する情報処理部と、を備え、
前記第1搬送部は、前記第1測定ユニットへの第1検体供給位置に検体容器を搬送するための第1供給部と、検体容器を下流側へ送り出すための送出部と、を備え、
前記第2搬送部は、上流側から送出された検体容器を前記第2測定ユニットへの第2検体供給位置に搬送するための第2供給部を備え、
前記情報処理部は、
前記第1測定ユニットで測定された検体の測定結果に基づいて前記第1測定ユニットにおける当該検体の再検の要否を判定し、前記第1測定ユニットでの再検が必要である場合、前記第1供給部により当該検体を収容した検体容器を前記第1検体供給位置に搬送して前記第1測定ユニットに当該検体の測定を実行させる処理を実行する、
ことを特徴とする検体分析システム。
【請求項2】
請求項1に記載の検体分析システムにおいて、
前記第1測定ユニットは、第1測定項目について検体を測定可能であり、
前記第2測定ユニットは、前記第1測定項目に加えて第2測定項目を測定可能であり、
前記情報処理部は、外部の検査情報管理装置と通信可能であり、
前記検査情報管理装置は、前記第1測定ユニットで測定された検体の測定結果に加えて、当該検査情報管理装置に記憶されている他の検査情報に基づいて、前記第1測定ユニットで測定された検体を前記第2測定ユニットで測定する必要があるか否かを判定し、
前記情報処理部は、
前記第1測定ユニットで測定された検体の測定結果を前記検査情報管理装置に送信する処理と、
前記検体を前記第2測定ユニットで測定する必要があるか否かの判定結果を前記検査情報管理装置から受信する処理と、を実行する、
ことを特徴とする検体分析システム。
【請求項3】
請求項2に記載の検体分析システムにおいて、
前記第1搬送部は、前記第1供給部から搬出された検体容器を貯留する貯留部を備え、
前記情報処理部は、
前記第1測定ユニットで測定された検体について前記第1測定ユニットでの再検が不要と判定した場合、当該検体を収容した検体容器を前記貯留部に搬出する処理と、
前記貯留部に搬出された検体容器の検体について前記第2測定ユニットでの測定が必要か否かの判定結果を前記検査情報管理装置から受信するまで、前記検体容器を前記貯留部で待機させる処理と、を実行する、
ことを特徴とする検体分析システム。
【請求項4】
請求項3に記載の検体分析システムにおいて、
前記情報処理部は、前記検査情報管理装置から前記第2測定ユニットでの測定が必要であるとの判定結果を受信すると、対応する前記第2測定ユニットの前記第2検体供給位置に当該検体容器を搬送して前記第2測定ユニットに当該検体の測定を実行させる、
ことを特徴とする検体分析システム。
【請求項5】
請求項2ないし4の何れか一項に記載の検体分析システムにおいて、
前記情報処理部は、各測定ユニットでの再検が必要か否かを判定するための判定条件を各測定ユニットについてそれぞれ記憶し、前記第1測定ユニットで測定された検体の測定結果が、前記第1測定ユニットに対応する判定条件に合致する場合に、前記第1測定ユニットでの再検が必要と判定する、
ことを特徴とする検体分析システム。
【請求項6】
請求項2ないし5の何れか一項に記載の検体分析システムにおいて、
前記情報処理部は、前記検査情報管理装置に管理されている検査情報を使用せず、前記第1測定ユニットで測定された検体の測定結果に基づいて当該第1測定ユニットでの再検の要否を判定する、
ことを特徴とする検体分析システム。
【請求項7】
請求項2ないし6の何れか一項に記載の検体分析システムにおいて、
前記検査情報管理装置は、前記第1測定ユニットで測定された検体について当該第1測定ユニットで再検が行われた場合、その再検の測定結果に基づいて、前記第2測定ユニットにおける前記検体の測定の要否を判定する、
ことを特徴とする検体分析システム。
【請求項8】
請求項2ないし7の何れか一項に記載の検体分析システムにおいて、
検体容器を前記搬送装置に搬入する搬入ユニットを備え、
前記第1測定ユニットは、前記搬入ユニット側に位置し、
前記第2測定ユニットは、前記搬入ユニットに対して前記第1測定ユニットの下流側に位置する、
ことを特徴とする検体分析システム。
【請求項9】
請求項2ないし8の何れか一項に記載の検体分析システムにおいて、
前記第1搬送部は、
前記送出部として、上流側から搬出された検体容器を受け入れて下流側に搬出可能な容器搬送部を備え、さらに、
前記容器搬送部上の検体容器を前記第1供給部に移送可能な容器移送部を備える、
ことを特徴とする検体分析システム。
【請求項10】
請求項2ないし9の何れか一項に記載の検体分析システムにおいて、
測定が終了した検体容器を前記搬送装置から回収するための回収ユニットを備え、
前記各搬送部は、測定が終了した検体容器を前記回収ユニット側に搬送するための容器回収部を備え、
前記情報処理部は、下流側の第2測定ユニットでの測定が不要と前記検査情報管理装置により判定された検体容器を、対応する搬送部の容器回収部を用いて前記回収ユニットに搬送させる、
ことを特徴とする検体分析システム。
【請求項11】
請求項2ないし10の何れか一項に記載の検体分析システムにおいて、
前記搬送装置は、複数の検体容器を保持した検体ラックを搬送するように構成され、
前記情報処理部は、前記第1測定ユニットにおいて検体ラックの一の検体容器内の検体が測定されている間に、検体ラックの他の検体容器内の検体について前記第1測定ユニットでの再検の要否を判定する、
ことを特徴とする検体分析システム。
【請求項12】
請求項2ないし11の何れか一項に記載の検体分析システムにおいて、
前記情報処理部は、前記第1測定ユニットでの検体の再検の要否判定および前記第2測
定ユニットでの検体の再検の要否判定を行う第1判定制御部と、前記第1測定ユニットで測定された検体について前記第2測定ユニットでの測定が必要か否かの判定結果を前記検査情報管理装置から受信する第2判定制御部と、を含み、
前記第1判定制御部が、第1、第2測定ユニットおよび第1、第2供給部の動作を制御し、
前記第2判定制御部が、送出部の動作を制御する、
ことを特徴とする検体分析システム。
【請求項13】
請求項2ないし12の何れか一項に記載の検体分析システムにおいて、
前記情報処理部は、前記第1測定ユニットで測定された検体の測定結果を取得すると、当該情報処理部による再検の要否判定に関わらず、前記測定結果を前記検査情報管理装置に送信する、
ことを特徴とする検体分析システム。
【請求項14】
請求項1ないし13の何れか一項に記載の検体分析システムにおいて、
前記情報処理部は、前記各測定ユニットのそれぞれから測定結果を受信して解析するとともに、前記各測定ユニットと各供給部の制御を行う1つのコンピュータ装置を含む、
ことを特徴とする検体分析システム。
【請求項15】
請求項1ないし13の何れか一項に記載の検体分析システムにおいて、
前記情報処理部は、前記第1測定ユニットに対応して設けられた第1情報処理ユニットと、前記第2測定ユニットに対応して設けられた第2情報処理ユニットとを含む、
ことを特徴とする検体分析システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−211786(P2012−211786A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76740(P2011−76740)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】