説明

検体分析装置、検体分析方法及びコンピュータプログラム

【課題】搬送制御装置に障害が発生した場合であっても継続して検体の搬送を続行することが可能な検体分析装置、検体分析方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】検体を測定して測定データを出力する測定ユニットと、該測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置とを備える。搬送装置の動作を制御する第一の搬送制御手段又は第二の搬送制御手段のうち、第一の搬送制御手段又は第二の搬送制御手段に障害が発生した場合に、搬送装置の動作の制御を、第二の搬送制御手段又は第一の搬送制御手段へそれぞれ切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、血清、血漿、尿、髄液等の検体を分析する測定ユニットへ検体を搬送する搬送装置を備える検体分析装置、検体分析方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液、血清、血漿、尿、髄液等の検体を、分散配置されている生化学分析装置、免疫検査装置、血液検査装置、尿検査装置等の各測定ユニットへ搬送して、分析又は再分析を実行する検体分析装置が多々開発されている。斯かる検体分析装置では、各測定ユニットへ検体を搬送する搬送装置の動作を搬送制御装置が制御している。
【0003】
例えば特許文献1では、各種分析装置の生死状態を判断し、分析装置に障害が発生して停止している場合にはその旨を搬送制御装置を有するホストコンピュータに報知する検体搬送システムが開示されている。障害が発生した旨の報知を受けたホストコンピュータは、他の搬送ラインと情報の授受を行うことにより、障害が発生している分析装置をスキップして検体を他の分析装置へと搬送する。
【0004】
また、特許文献2では、同一のネットワークで接続された複数の分析装置を操作する複数の操作部のうち、一の操作部に障害が発生した場合、他の分析装置の操作を行う他の操作部が、一の操作部を代替して操作を行う自動分析装置が開示されている。一の操作部の異常が修復されるまでの期間、他の操作部により分析装置を操作することができる。
【特許文献1】特開平11−094838号公報
【特許文献2】特開平11−142410号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示してある検体搬送システムでは、障害が発生した分析装置に検体が搬送されることを回避することはできる。しかし、ホストコンピュータに障害が発生した場合にはすべての処理が停止し、検体搬送システムとして機能することができないという問題点があった。
【0006】
また、特許文献2では、操作部に障害が発生した場合に分析装置の操作を継続することはできる。しかし、複数の分析装置は搬送装置で接続されているわけではなく、このため、搬送制御装置に障害が発生した場合に搬送を継続することについては全く考慮されていない。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、搬送制御装置に障害が発生した場合であっても継続して検体の搬送を続行することが可能な検体分析装置、検体分析方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために第1発明に係る検体分析装置は、検体を測定して測定データを出力する測定ユニットと、該測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置とを備える検体分析装置において、前記搬送装置の動作を制御する第一の搬送制御手段及び第二の搬送制御手段と、前記第一の搬送制御手段又は前記第二の搬送制御手段に障害が発生した場合に、前記搬送装置の動作の制御を、前記第二の搬送制御手段又は前記第一の搬送制御手段へそれぞれ切り替える搬送制御切替手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、第2発明に係る検体分析装置は、第1発明において、前記第一の搬送制御手段又は前記第二の搬送制御手段は、所定の時間間隔で前記搬送装置とデータ通信しており、前記搬送制御切替手段は、前記第一の搬送制御手段又は前記第二の搬送制御手段と前記搬送装置との通信が所定時間中断したか否かを判断する通信判断手段と、該通信判断手段で、中断したと判断した場合、前記第二の搬送制御手段又は前記第一の搬送制御手段と前記搬送装置とのデータ通信に切り替える通信切替手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、第3発明に係る検体分析装置は、第2発明において、前記通信切替手段は、前記搬送装置の通信先アドレスを、前記第一の搬送制御手段又は前記第二の搬送制御手段から前記第二の搬送制御手段又は前記第一の搬送制御手段へ変更するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
また、第4発明に係る検体分析装置は、第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、検体を識別する検体識別情報を取得する識別情報取得手段を備え、前記搬送制御切替手段は、前記第二の搬送制御手段又は前記第一の搬送制御手段へ切り替えた後、前記識別情報取得手段で前記検体識別情報を再取得するよう前記搬送装置の動作を制御するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
また、第5発明に係る検体分析装置は、第1乃至第4発明のいずれか1つにおいて、前記第一の搬送制御手段及び前記第二の搬送制御手段は、前記測定ユニットの動作を制御することも可能としてあり、前記測定ユニットの動作の制御を、前記第一の搬送制御手段又は前記第二の搬送制御手段から、前記第二の搬送制御手段又は前記第一の搬送制御手段へ切り替える測定制御切替手段を備えることを特徴とする。
【0013】
また、第6発明に係る検体分析装置は、第1乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記第一の搬送制御手段と前記第二の搬送制御手段とは、互いにデータ通信することが可能に接続されており、所定の時間間隔で同一の情報を有するように同期処理を実行するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
また、第7発明に係る検体分析装置は、第1乃至第6発明のいずれか1つにおいて、前記測定ユニットは複数設けられており、前記搬送装置は、複数の該測定ユニットそれぞれに対して測定対象となる検体を搬送することを特徴とする。
【0015】
また、第8発明に係る検体分析装置は、第1乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記測定ユニットから出力された測定データを処理するデータ処理部を備え、前記第一の搬送制御手段及び第二の搬送制御手段の一方は、前記データ処理部に設けられていることを特徴とする。
【0016】
次に、上記目的を達成するために第9発明に係る検体分析方法は、検体を測定して測定データを出力する測定ユニットと、該測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置とを備える検体分析装置で実行することが可能な検体分析方法において、前記搬送装置の動作を、第一の搬送制御手段又は第二の搬送制御手段にて制御し、前記第一の搬送制御手段又は前記第二の搬送制御手段に障害が発生した場合に、前記搬送装置の動作の制御を、前記第二の搬送制御手段又は前記第一の搬送制御手段へそれぞれ切り替えることを特徴とする。
【0017】
次に、上記目的を達成するために第10発明に係るコンピュータプログラムは、検体を測定して測定データを出力する測定ユニットと、該測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置とを備える検体分析装置で実行することが可能なコンピュータプログラムにおいて、前記検体分析装置を、前記搬送装置の動作を制御する第一の搬送制御手段及び第二の搬送制御手段、及び前記第一の搬送制御手段又は前記第二の搬送制御手段に障害が発生した場合に、前記搬送装置の動作の制御を、前記第二の搬送制御手段又は前記第一の搬送制御手段へそれぞれ切り替える搬送制御切替手段として機能させることを特徴とする。
【0018】
第1発明、第9発明及び第10発明では、検体を測定して測定データを出力する測定ユニットと、該測定ユニットそれぞれに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置とを備え、搬送装置の動作を、第一の搬送制御手段又は第二の搬送制御手段にて制御する。第一の搬送制御手段又は第二の搬送制御手段に障害が発生した場合に、搬送装置の動作の制御を、第二の搬送制御手段又は第一の搬送制御手段へそれぞれ切り替える。これにより、搬送装置による検体の搬送を制御する主体である搬送制御手段自体に障害が発生した場合であっても、他の搬送制御手段が代替して検体の搬送を制御することができ、検体の搬送を停止することなく継続して行うことが可能となる。
【0019】
第2発明では、第一の搬送制御手段又は第二の搬送制御手段は、所定の時間間隔で常時搬送装置とデータ通信している。搬送制御切替手段は、第一の搬送制御手段又は第二の搬送制御手段と搬送装置との通信が所定時間中断したか否かを判断し、所定時間中断したと判断した場合、第二の搬送制御手段又は第一の搬送制御手段と搬送装置とのデータ通信に切り替える。これにより、所定時間通信が中断した事実をもっていずれか一方の搬送制御手段に障害が発生したと推認し、他方の搬送制御手段に切り替えることで検体の搬送を停止することなく継続して行うことが可能となる。
【0020】
第3発明では、搬送装置の通信先アドレスを、第一の搬送制御手段又は第二の搬送制御手段から第二の搬送制御手段又は第一の搬送制御手段へ変更することにより、搬送装置の動作を制御する第一の搬送制御手段又は第二の搬送制御手段に障害が発生した場合であっても確実に検体の搬送指示を受信することが可能となる。
【0021】
第4発明では、第二の搬送制御手段又は第一の搬送制御手段へ切り替えた後、検体識別情報を再取得するよう搬送装置の動作を制御することにより、第二の搬送制御手段又は第一の搬送制御手段での検体の搬送指示にアドレス誤り等が生じることを未然に防止することが可能となる。
【0022】
第5発明では、第一の搬送制御手段及び第二の搬送制御手段は、測定ユニットの動作を制御することも可能である。測定ユニットの動作の制御を、第一の搬送制御手段又は第二の搬送制御手段から、第二の搬送制御手段又は第一の搬送制御手段へ切り替えることにより、測定ユニットの動作を制御する制御装置に障害が発生した場合であっても、搬送制御手段が代替して測定ユニットの動作を制御することができ、検体の搬送を停止することなく継続して行うことが可能となる。
【0023】
第6発明では、第一の搬送制御手段と第二の搬送制御手段とは、互いにデータ通信することが可能に接続されており、所定の時間間隔で同一の情報を有するように同期処理を実行することにより、いずれか一方の搬送制御手段に障害が発生した場合であっても、他方の搬送制御手段が検体の搬送を停止することなく継続して行うことが可能となる。
【0024】
第7発明では、測定ユニットが複数設けられており、搬送装置は、複数の該測定ユニットそれぞれに対して測定対象となる検体を搬送することにより、測定ユニットの動作を制御する制御装置に障害が発生した場合であっても、搬送制御手段が適切な測定ユニットまで検体を搬送することが可能となる。
【0025】
第8発明では、測定ユニットから出力された測定データを処理するデータ処理部を備え、第一の搬送制御手段及び第二の搬送制御手段の一方は、該データ処理部に設けられていることにより、測定ユニットの動作制御及び検体の搬送制御を一のデータ処理部で実行することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
上記構成によれば、搬送装置による検体の搬送を制御する主体である搬送制御手段自体に障害が発生した場合であっても、他の搬送制御手段が代替して検体の搬送を制御することができ、検体の搬送を停止することなく継続して行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本実施の形態では、複数種類の測定ユニットを接続して構成された血液等の検体分析装置を一例とし、図面に基づいて具体的に説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態に係る検体分析装置の概略構成を示す模式図である。本発明の実施の形態に係る検体分析装置1は、検体容器を収容したサンプルラックを投入する検体投入装置2、検体を測定する複数の測定ユニット5(5a、5b、5c、5d)、測定ユニット5ごとに設けてある、サンプルラックを搬送する検体搬送装置(搬送装置)3、3、・・・、検体採取後のサンプルラックを収容する検体収容装置4、搬送制御装置8を備えている。
【0029】
複数の測定ユニット5、5、・・・は、同一種類の測定ユニットであっても良いし、複数種類の測定ユニットであっても良い。測定ユニット5、5、・・・は一の制御装置9にLAN7を介して接続されている。本実施の形態では制御装置9が測定ユニット5、5、・・・の動作を制御する。
【0030】
検体投入装置2は、複数の検体容器を収容したサンプルラックを検体搬送装置3、3、・・・へ送出するように構成されている。サンプルラックの送出は、検体投入装置2にLAN7を介してデータ通信することが可能に接続されている搬送制御装置8によって制御される。
【0031】
搬送制御装置8は、制御装置9に記憶されている測定ユニット5、5、・・・に関する情報、例えば測定ユニットの識別情報、種類に関する情報等を取得して、サンプルラックの送出を制御する。LAN7は外部のネットワーク10とも接続されており、ネットワーク10に接続されている外部の演算表示装置11により、測定ユニット5、5、・・・における測定データを処理、分析等した結果が表示される。
【0032】
図2は、検体容器の外観を示す斜視図である。図3は、サンプルラックの外観を示す斜視図である。図2に示すように、検体容器Tは管状をなしており、上端が開口している。内部には、例えば患者から採取した血液検体が収容され、上端の開口は蓋Cにより密封することができる。検体容器Tの側面には、検体を識別するバーコードが印刷されたバーコードラベルBL1が貼付されている。また図3に示すように、サンプルラックLは10本の検体容器Tを垂直状態(立位状態)で保持するように構成されている。サンプルラックLの側面には、サンプルラックLを識別するバーコードが印刷されたバーコードラベルBL2が貼付されている。
【0033】
図1の例に示す検体分析装置1は、4つの検体搬送装置3、3、・・・が、4つの測定ユニット5a、5b、5c、5dの手前側(図1の紙面に向かって下側)に配置されている。隣接する検体搬送装置3、3間では、サンプルラックLが受渡しされる。また、図1の紙面に向かって最も右側の検体搬送装置3は、検体投入装置2から投入されたサンプルラックLの搬送を開始する。図1の紙面に向かって最も左側の検体搬送装置3は、検体収容装置4へサンプルラックLを搬送する。
【0034】
図4は、測定ユニット5及び検体搬送装置3の概略構成を示す模式図である。図4に示すように、検体搬送装置3は、測定前の検体を収容する検体容器Tを支持する複数のサンプルラックLを一時的に保持する分析前ラック保持部31と、分析後ラック保持部32と、サンプルラックLを矢印X方向へ直線移動させるラック搬送部33と、バーコードを読み取るバーコード読取部34と、分析後ラック保持部32へサンプルラックLを送出するラック送出部35と、サンプルラックLを矢印X方向へ移動させるラック移送部36と、サンプルラックLを分析前ラック保持部31へ送出するラック送出部37とを備えている。
【0035】
分析前ラック保持部31には、ラック送出部37の矢印Y方向への移動によりサンプルラックLが送出される。送出されたサンプルラックLがラック検出位置311に位置する場合、分析前ラック保持部31の両側面から内側へ向けてラック送込部312が突出することにより、サンプルラックLと係合する。ラック送込部312が、ラック搬送部33に近接する方向へ移動するに伴って、係合したサンプルラックLもラック搬送部33に近接する方向へ移動する。なお、サンプルラックLの位置はセンサ(図示せず)によって検出すれば良い。
【0036】
ラック搬送部33は、分析前ラック保持部31によって移送されたサンプルラックLをX方向へ(図4の紙面に向かって右から左へ)搬送する。検体供給位置331に搬送された検体容器Tは、測定ユニット5の把持部が検体容器Tを把持し、サンプルラックLから検体容器Tを取り出し、検体を吸引することにより、検体が測定ユニット5に供給され、検体容器TがサンプルラックLへ戻される。
【0037】
ラック送出部35は、ラック搬送部33を挟んで分析後ラック保持部32に対向するように配置されており、矢印Y方向に直線移動する。分析後ラック保持部32には、ラック送出部35の矢印Y方向への移動によりラック搬送部33からサンプルラックLが送出される。サンプルラックLが送出された場合、分析後ラック保持部32の両側面から内側へ向けてラック送込部321が突出することにより、サンプルラックLと係合する。ラック送込部321がラック移送部36に近接する方向へ移動するに伴って、係合したサンプルラックLもラック移送部36に近接する方向へ移動する。
【0038】
検体収容装置4は、複数のサンプルラックLを収容することができる。測定ユニット5、5、・・・にて検体の吸引を終了した検体容器Tを支持したサンプルラックLは、検体搬送装置3により搬送され、検体収容装置4に収容される。
【0039】
検体搬送装置3によるサンプルラックLの搬送は、検体搬送装置3にLAN7を介してデータ通信することが可能に接続された搬送制御装置8により制御される。すなわち、搬送制御装置8は、サンプルラックLの検体投入装置2による投入から検体搬送装置3による搬送、及び検体搬送装置3から検体収容装置4への収容を制御する。なお、検体分析装置1として検体搬送装置3、3、・・・と測定ユニット5、5、・・・との動作の同期は、外部に接続してある演算表示装置11の指示に従う。
【0040】
なお、検体投入装置2、検体搬送装置3、及び検体収容装置4は、図1に示すように、それぞれCPU、ROM、RAM等から構成される制御部21、31、41を備えている。搬送制御装置8は、検体投入装置2、検体搬送装置3、及び検体収容装置4の制御部21、31、41とデータ通信を行うことにより、動作を制御することができる。また、制御装置9も検体投入装置2、検体搬送装置3、及び検体収容装置4の制御部21、31、41とデータ通信を行うことが可能に接続されている。
【0041】
図5は、本発明の実施の形態に係る搬送制御装置8の構成を示すブロック図である。図5に示すように、搬送制御装置8は、CPU81、RAM82、記憶装置83、入出力インタフェース84、ビデオインタフェース85、可搬型ディスクドライブ86、通信インタフェース87及び上述したハードウェアを接続する内部バス88で構成されている。
【0042】
CPU81は、内部バス88を介して搬送制御装置8の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置83に記憶されている搬送制御プログラム101に従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。RAM82は、SRAM、SDRAM等の揮発性RAMで構成され、搬送制御プログラム101の実行時にロードモジュールが展開され、搬送制御プログラム101の実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0043】
記憶装置83は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)、ROM等で構成されている。記憶装置83に記憶されている搬送制御プログラム101及び測定ユニット5、5、・・・の動作を制御する動作制御プログラム102は、プログラム及びデータ等の情報を記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体80から、可搬型ディスクドライブ86によりダウンロードされ、実行時には記憶装置83からRAM82へ展開して実行される。もちろん、通信インタフェース87を介してネットワークに接続されている外部のコンピュータからダウンロードされたコンピュータプログラムであっても良い。
【0044】
また記憶装置83は、LAN7に接続されている測定ユニット5の種類に応じた搬送制御のための設定項目情報等の搬送制御情報を記憶してある搬送制御情報記憶部831、及び接続されている測定ユニット5の識別情報、測定された結果に関する情報等を含む測定ユニット情報を記憶してある測定ユニット情報記憶部832を備えている。測定ユニット情報記憶部832に記憶する情報は、制御装置9にて更新された時点で制御装置9から送信された情報を受信して記憶する。
【0045】
通信インタフェース87は内部バス88に接続されており、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワークに接続されることにより、外部のコンピュータ等とデータ送受信を行うことが可能となっている。本実施の形態ではLAN7を介して制御装置9、検体搬送装置3、3、・・・等と接続されている。ネットワーク10を介して演算表示装置11ともデータ送受信することが可能に接続されている。
【0046】
入出力インタフェース84は、キーボード、マウス等の入力部110と接続され、データの入力を受け付ける。また、ビデオインタフェース85は、CRTモニタ、LCD等の画像表示部120と接続され、所定の画像を表示する。
【0047】
複数の測定ユニット5、5、・・・は、同種類の構成であっても異種類の構成であっても良い。図1の例では、2つの測定ユニット5a、5cは同種の測定ユニットであるが、残りの測定ユニット5b、5dは異種の測定ユニットである。具体的には、測定ユニット5a、5cは、血球分析装置であり、例えば測定ユニット5aでは電気抵抗式の血球計数を、測定ユニット5cでは光学式の血球計数を、それぞれ実施して、血球の種類ごとに色分けされたスキャッタグラムを作成して、これを表示する。測定ユニット5bは、血液検体中のヘモグロビンA1c(HgbA1c)濃度を測定するヘモグロビン濃度測定装置であり、測定ユニット5dは、塗抹標本を作成する塗抹標本作成装置である。
【0048】
図4には、測定ユニット5が血球分析装置又はヘモグロビン濃度測定装置(測定ユニット5a、5b、5c)である場合の概略構成を記載している。測定ユニット5は、検体である血液を検体容器Tから吸引する検体吸引部51と、吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部55と、バーコード読取部56と、吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部52と、調製された測定試料から血球数等を検出する検出部53とを有している。
【0049】
検体容器搬送部55は、検体容器Tを把持する把持部54及び検体容器Tを装入する穴部を有する検体容器セット部551を備えている。検体容器搬送部55では、サンプルラックLに収容されて検体供給位置331に位置する検体容器Tを、把持部54にて把持して矢印Y方向へ移動し、検体容器Tを検体容器セット部551の穴部に挿入する。そして、検体容器セット部551が移動し、バーコード読取部56でバーコードが読み取られ、検体吸引部51にて検体容器Tから検体が吸引される。
【0050】
試料調製部52では、検体容器Tから吸引された検体に、供給された試薬を加える等して試料を調製する。検出部53では、例えばWBC検出(白血球の検出)の場合、フローサイトメトリー方式によって調製された試料にレーザ光を照射し、試料中の白血球を検出する。検出結果は電気信号として制御装置9に送信される。
【0051】
測定ユニット5の種類はこれに限定されるものではなく、尿分析装置、血液凝固測定装置、免疫分析装置、遺伝子増幅測定装置等であっても良いことは言うまでもない。
【0052】
図6は、本発明の実施の形態に係る検体分析装置1の測定ユニット5及び制御装置9の構成を示すブロック図である。図6の例では、血球分析装置である測定ユニット5aの構成例を示している。図6に示すように、測定ユニット5(5a)は、試料取得部50、試料取得部50を駆動させる駆動回路501、試料調製部52、試料調製部52を駆動させる駆動回路502、検出部53、検出部53を駆動させる駆動回路503、及び検出部53が出力する電気信号に対して波形処理を行う波形処理回路504を備えている。
【0053】
試料取得部50及び試料調製部52は、各々、駆動回路501及び駆動回路502がレジスタ505に記憶されている制御データに応じた制御信号を出力することにより駆動される。検出部53は、例えば取得した光信号から電気信号に変換し、波形処理回路504は、変換されて伝達された電気信号を増幅し、増幅した電気信号を波形処理する。レジスタ505は、波形処理された電気信号を記憶する。
【0054】
通信インタフェース506は、LANインタフェースであり、制御装置9の通信インタフェース97との間をLANケーブル30にて接続してある。これにより、制御装置9からの測定ユニット5に関する情報の送信要求信号を受信した場合、プロセッサ507は、制御装置9に対して測定ユニット5(5a)に関する情報を送信する。
【0055】
また、制御装置9は、CPU91、RAM92、記憶装置93、入出力インタフェース94、ビデオインタフェース95、可搬型ディスクドライブ96、通信インタフェース97及び上述したハードウェアを接続する内部バス98で構成されている。
【0056】
CPU91は、内部バス98を介して制御装置9の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置93に記憶されている動作制御プログラム102に従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。RAM92は、SRAM、SDRAM等の揮発性RAMで構成され、動作制御プログラム102の実行時にロードモジュールが展開され、動作制御プログラム102の実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0057】
記憶装置93は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)、ROM等で構成されている。記憶装置93に記憶されている動作制御プログラム102及び搬送制御プログラム101は、プログラム及びデータ等の情報を記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体90から、可搬型ディスクドライブ96によりダウンロードされ、実行時には記憶装置93からRAM92へ展開して実行される。もちろん、通信インタフェース97を介してネットワークに接続されている外部のコンピュータからダウンロードされたコンピュータプログラムであっても良い。
【0058】
また記憶装置93は、接続されている測定ユニット5の識別情報、測定された結果に関する情報等を含む測定ユニット情報記憶部931及びLAN7に接続されている測定ユニット5の種類に応じた搬送制御のための設定項目情報等の搬送制御情報を記憶してある搬送制御情報記憶部932を備えている。搬送制御情報記憶部932に記憶する情報は、搬送制御装置8にて更新された時点で搬送制御装置8から送信された情報を受信して記憶する。
【0059】
通信インタフェース97は内部バス98に接続されており、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワークに接続されることにより、外部のコンピュータ等とデータ送受信を行うことが可能となっている。本実施の形態ではLAN7を介して搬送制御装置8、検体搬送装置3、3、・・・等と接続されている。ネットワーク10を介して演算表示装置11ともデータ送受信することが可能に接続されている。
【0060】
入出力インタフェース94は、キーボード、マウス等の入力部130と接続され、データの入力を受け付ける。また、ビデオインタフェース95は、CRTモニタ、LCD等の表示部140と接続され、所定の画像を表示する。
【0061】
本実施の形態に係る検体分析装置1では、搬送制御装置8と制御装置9とも、LAN7を介してデータ通信することが可能に接続されており、相互に確認信号及び応答信号を送受信している。搬送制御装置8は、制御装置9からの応答信号を、確認信号の送信時点から所定の時間内に受信したか否かを判断する。所定の時間内に応答信号を受信していないと判断した場合には、制御装置9に障害が発生していると判断することができる。
【0062】
同様に制御装置9は、搬送制御装置8からの応答信号を、確認信号の送信時点から所定の時間内に受信したか否かを判断する。所定の時間内に応答信号を受信しないと判断した場合には、搬送制御装置8に障害が発生していると判断することができる。
【0063】
搬送制御装置8及び制御装置9は、それぞれ情報交換をしている相手方である制御装置9及び搬送制御装置8に障害が発生したことを検知した場合、測定ユニット5、5、・・・及び検体搬送装置3、3、・・・の動作の制御を障害が発生していない自分自身、すなわち相手方の障害の発生を検知した搬送制御装置8及び制御装置9にて行う。
【0064】
具体的には、搬送制御装置8が制御装置9に障害が発生したことを検知した場合には、制御装置9の制御下にあった測定ユニット5の通信先アドレスを搬送制御装置8に変更する。そして、通常は制御装置9上で稼働している測定ユニット5、5、・・・の動作制御プログラム102を搬送制御装置8上で起動し、測定ユニット5、5、・・・の動作も搬送制御装置8が制御する。
【0065】
一方、制御装置9が搬送制御装置8に障害が発生したことを検知した場合には、搬送制御装置8の制御下にあった検体搬送装置3の通信先アドレスを制御装置9に変更する。そして、通常は搬送制御装置8上で稼働している検体搬送装置3、3、・・・の動作を制御する搬送制御プログラム101を制御装置9上で起動し、検体搬送装置3、3、・・・の動作も制御装置9が制御する。
【0066】
測定ユニット5、5、・・・の動作を制御する動作制御プログラム102及び検体搬送装置3、3、・・・の動作を制御する搬送制御プログラム101は、搬送制御装置8及び制御装置9の両方に記憶しておく。このようにすることで、いずれか一方に障害が発生した場合であっても、他方により測定ユニット5及び検体搬送装置3の動作を継続して制御することができる。もちろん、常時動作制御プログラム102及び搬送制御プログラム101を稼働させておいても良いし、必要になった時点で起動させても良い。
【0067】
以下、搬送制御装置8に障害が発生した場合の処理を例に挙げて説明する。図7は、本発明の実施の形態に係る検体分析装置1の制御装置9のCPU91及び搬送制御装置8のCPU81の障害発生検知処理及び切替処理の手順を示すフローチャートである。
【0068】
図7の例では、制御装置9が搬送制御装置8に対して確認信号を送信し、制御装置9は、所定の時間内に応答信号を受信したか否かで搬送制御装置8が正常に稼働しているか否かを判断し、搬送制御装置8は、制御装置9から所定の時間内に確認信号を繰り返し受信したか否かで制御装置9が正常に稼働しているか否かを判断している。
【0069】
図7において、本実施の形態に係る検体分析装置1の制御装置9のCPU91は、搬送制御装置8に対して、搬送制御装置8が正常に稼働しているか否かを判断するための確認信号を送信する(ステップS701)。確認信号の種類は特に限定されるものではない。例えば、搬送制御装置8に対する搬送制御情報の送信要求信号であっても良い。
【0070】
搬送制御装置8のCPU81は、確認信号を受信したか否かを判断する(ステップS711)。CPU81が、確認信号を受信していないと判断した場合(ステップS711:NO)、CPU81は、前回確認信号を受信してから所定時間が経過しているか否かを判断する(ステップS712)。
【0071】
CPU81が、前回確認信号を受信してから所定時間が経過していないと判断した場合(ステップS712:NO)、CPU81は、処理をステップS711へ戻し、上述した処理を繰り返す。CPU81が、確認信号を受信したと判断した場合(ステップS711:YES)、CPU81は、応答信号を制御装置9へ送信する(ステップS713)。
【0072】
制御装置9のCPU91は、搬送制御装置8から応答信号を受信したか否かを判断する(ステップS702)。受信するべき応答信号は特に限定されるものではない。CPU91が、応答信号を受信したと判断した場合(ステップS702:YES)、CPU91は、確認信号の送信時から一定時間が経過したか否かを判断する(ステップS703)。
【0073】
CPU91が一定時間経過していないと判断した場合(ステップS703:NO)、CPU91は、待ち状態となる。CPU91が、一定時間経過したと判断した場合(ステップS703:YES)、CPU91は、処理をステップS701へ戻し、上述した処理を繰り返す。すなわち、CPU91は、一定時間間隔で確認信号を送信する。
【0074】
CPU91が、応答信号を受信していないと判断した場合(ステップS702:NO)、CPU91は、確認信号の送信時から所定の時間が経過したか否かを判断する(ステップS704)。CPU91が、確認信号の送信時から所定の時間が経過していないと判断した場合(ステップS704:NO)、CPU91は、処理をステップS702へ戻し、上述した処理を繰り返す。
【0075】
CPU91が、確認信号の送信時から所定の時間が経過したと判断した場合(ステップS704:YES)、CPU91は、搬送制御装置8に障害が発生していると推認し、検体搬送装置3、3、・・・との間で通信を確立する(ステップS705)。CPU91は、検体搬送装置3、3、・・・と搬送制御装置8との通信を切断する指示を検体搬送装置3、3、・・・に送信する(ステップS706)。通信を切断する指示を受信した検体搬送装置3、3、・・・は、通信先アドレスを制御装置9へと切り替える。すなわち、各検体搬送装置3の制御部31は、内蔵するRAMに記憶してある通信先アドレスを制御装置9のアドレスへと更新する。
【0076】
CPU91は、搬送制御プログラム101を起動して(ステップS707)、検体の位置を確認して、検体ごとに直近のバーコード読取部34へ検体を収容しているサンプルラックLの移送指示を送信する(ステップS708)。CPU91は、バーコード読取部34(識別情報取得手段)が取得したバーコード情報、すなわち検体を識別する検体識別情報を受信し(ステップS709)、検体分析処理を継続して実行する(ステップS710)。
【0077】
障害発生直前の検体の搬送状態は、検体識別情報に基づいて確認することができる。したがって、検体識別情報を検体搬送装置3ごとのバーコード読取部34で取得することにより、検体の搬送位置を確認することができる。検体の搬送位置を確認してから継続して測定ユニットへの検体の搬送を実行することにより、検体の誤搬送を未然に防止することができ、測定の重複、測定漏れ等を防止することができる。
【0078】
なお、検体の搬送位置に関する情報等は、正常稼働時の搬送制御装置8の記憶装置83に状態情報として記憶されている。CPU91は、バーコード読取部34等で検体識別情報を読み取ることにより、記憶されている検体の搬送位置と一致しているか否かを確認することができる。一致していれば、そのまま継続して分析処理を実行し、一致していない場合には、一致する位置まで検体を移動してから分析処理を実行すれば良い。
【0079】
搬送制御装置8のCPU81が、前回の確認信号の受信時から所定の時間が経過したと判断した場合(ステップS712:YES)、CPU81は、制御装置9に障害が発生していると推認し、測定ユニット5、5、・・・との間で通信を確立する(ステップS714)。CPU81は、測定ユニット5、5、・・・と制御装置9との通信を切断する指示を測定ユニット5、5、・・・に送信する(ステップS715)。通信を切断する指示を受信した測定ユニット5、5、・・・は、通信先アドレスを搬送制御装置8へと切り替える。
【0080】
CPU81は、動作制御プログラム102を起動して(ステップS716)、検体分析処理を継続して実行する(ステップS717)。検体の搬送位置に関する情報等は、搬送制御装置8にて把握していることから、再度バーコード読取部34等を用いてバーコード情報、すなわち検体識別情報を取得する必要はない。
【0081】
逆に搬送制御装置8が、制御装置9に対して確認信号を送信し、一定時間内に応答信号を受信したか否かで制御装置9が正常に稼働しているか否かを判断し、制御装置9は、搬送制御装置8から一定時間内に確認信号を繰り返し受信するか否かで搬送制御装置8が正常に稼働しているか否かを判断しても良い。図8は、本発明の実施の形態に係る検体分析装置1の制御装置9のCPU91及び搬送制御装置8のCPU81の障害発生検知処理及び切替処理の他の手順を示すフローチャートである。
【0082】
図8において、本実施の形態に係る検体分析装置1の搬送制御装置8のCPU81は、制御装置9に対して、制御装置9が正常に稼働しているか否かを判断するための確認信号を送信する(ステップS801)。確認信号の種類は特に限定されるものではない。例えば、制御装置9に対する測定ユニット情報の更新部分の送信要求信号であっても良い。
【0083】
制御装置9のCPU91は、確認信号を受信したか否かを判断する(ステップS809)。CPU91が、確認信号を受信していないと判断した場合(ステップS809:NO)、CPU91は、前回確認信号を受信してから所定時間が経過しているか否かを判断する(ステップS810)。
【0084】
CPU91が、前回確認信号を受信してから所定時間が経過していないと判断した場合(ステップS810:NO)、CPU91は、処理をステップS809へ戻し、上述した処理を繰り返す。CPU91が、確認信号を受信したと判断した場合(ステップS809:YES)、CPU91は、応答信号を搬送制御装置8へ送信する(ステップS811)。
【0085】
搬送制御装置8のCPU81は、制御装置9から応答信号を受信したか否かを判断する(ステップS802)。受信するべき応答信号は特に限定されるものではない。CPU81が、応答信号を受信したと判断した場合(ステップS802:YES)、CPU81は、確認信号の送信時から一定時間が経過したか否かを判断する(ステップS803)。
【0086】
CPU81が一定時間経過していないと判断した場合(ステップS803:NO)、CPU81は、待ち状態となる。CPU81が、一定時間経過したと判断した場合(ステップS803:YES)、CPU81は、処理をステップS801へ戻し、上述した処理を繰り返す。すなわち、CPU81は、一定時間間隔で確認信号を送信する。
【0087】
CPU81が、応答信号を受信していないと判断した場合(ステップS802:NO)、CPU81は、確認信号の送信時から所定の時間が経過したか否かを判断する(ステップS804)。CPU81が、確認信号の送信時から所定の時間が経過していないと判断した場合(ステップS804:NO)、CPU81は、処理をステップS802へ戻し、上述した処理を繰り返す。
【0088】
CPU81が、確認信号の送信時から所定の時間が経過したと判断した場合(ステップS804:YES)、CPU81は、制御装置9に障害が発生していると推認し、測定ユニット5、5、・・・との間で通信を確立する(ステップS805)。CPU81は、測定ユニット5、5、・・・と制御装置9との通信を切断する指示を測定ユニット5、5、・・・に送信する(ステップS806)。通信を切断する指示を受信した測定ユニット5、5、・・・は、通信先アドレスを搬送制御装置8へと切り替える。
【0089】
CPU81は、動作制御プログラム102を起動して(ステップS807)、検体分析処理を継続して実行する(ステップS808)。検体の搬送位置に関する情報等は、搬送制御装置8にて把握していることから、再度バーコード読取部34等を用いてバーコード情報、すなわち検体識別情報を取得する必要はない。
【0090】
制御装置9のCPU91が、前回の確認信号の受信時から所定の時間が経過したと判断した場合(ステップS810:YES)、CPU91は、搬送制御装置8に障害が発生していると推認し、検体搬送装置3、3、・・・との間で通信を確立する(ステップS812)。CPU91は、検体搬送装置3、3、・・・と搬送制御装置8との通信を切断する指示を検体搬送装置3、3、・・・に送信する(ステップS813)。通信を切断する指示を受信した検体搬送装置3、3、・・・は、通信先アドレスを制御装置9へと切り替える。
【0091】
CPU91は、搬送制御プログラム101を起動して(ステップS814)、検体ごとに直近のバーコード読取部34へ検体を収容しているサンプルラックLの移送指示を送信する(ステップS815)。CPU91は、バーコード読取部34が取得したバーコード情報を受信し(ステップS816)、検体分析処理を継続して実行する(ステップS817)。
【0092】
障害発生直前の検体の搬送状態は、検体識別情報に基づいて確認することができる。したがって、検体識別情報を検体搬送装置3ごとのバーコード読取部34で取得することにより、検体の搬送位置を確認することができる。検体の搬送位置を確認してから継続して測定ユニットへの検体の搬送を実行することにより、検体の誤搬送を未然に防止することができ、測定の重複、測定漏れ等を防止することができる。
【0093】
なお、検体の搬送位置に関する情報等は、正常稼働時の搬送制御装置8の記憶装置83に状態情報として記憶されている。CPU91は、バーコード読取部34等で検体識別情報を読み取ることにより、記憶されている検体の搬送位置と一致しているか否かを確認することができる。一致していれば、そのまま継続して分析処理を実行し、一致していない場合には、一致する位置まで検体を移動してから分析処理を実行すれば良い。
【0094】
また、搬送制御装置8及び制御装置9が互いに確認信号を送信し、相手方から一定時間内に応答信号を受信するか否かで、相手方が正常に稼働しているか否かを判断しても良い。さらに、ネットワークを介して接続されている他のコンピュータを管理装置とし、管理装置が搬送制御装置8及び制御装置9へ確認信号を送信し、一定時間内に応答信号を受信したか否かで搬送制御装置8及び制御装置9が正常に稼働しているか否かを判断しても良い。
【0095】
なお、搬送制御装置8及び制御装置9が互いに確認信号を送信し、相手方から一定時間内に応答信号を受信する場合、互いが記憶している情報、すなわち搬送制御装置8が搬送制御情報記憶部831に記憶している搬送制御情報と、制御装置9が測定ユニット情報記憶部931に記憶している測定ユニット情報とを交換し合い、それぞれ搬送制御装置8の測定ユニット情報記憶部832、制御装置9の搬送制御情報記憶部932に記憶するようにすることが好ましい。互いの制御情報を同期させておくことにより、いずれか一方に障害が発生した場合に、それぞれ搬送制御プログラム101又は動作制御プログラム102を起動させるだけで、継続して分析処理を実行することができるからである。
【0096】
以上のように本実施の形態によれば、検体搬送装置による検体の搬送を制御する主体である搬送制御装置自体に障害が発生した場合であっても、他の制御装置が代替して検体の搬送を制御することができ、分析処理を停止することなく継続して行うことが可能となる。また、測定ユニットの動作を制御する主体である制御装置自体に障害が発生した場合であっても、他の搬送制御装置が代替して測定ユニットの動作を制御することができ、分析処理を停止することなく継続して行うことが可能となる。
【0097】
その他、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変形、置換等が可能である。例えば搬送制御装置8、制御装置9は単数であっても複数であっても良い。複数備えている場合、一の搬送制御装置8に障害が発生したときには他の搬送制御装置8、8、・・・のいずれかが、一の制御装置9に障害が発生したときには、他の制御装置9、9、・・・のいずれかが、それぞれ代替して分析処理を実行するようにしても良い。また、測定ユニット5,5・・・も、単数であっても複数であってもよい。
【0098】
また、障害が発生した場合には、搬送途上のすべての検体を検体収容装置4へ回収して、新たに検体をセットしなおすようにしても良い。さらに障害が発生した場合の検体搬送装置3、3、・・・又は測定ユニット5、5、・・・の通信先アドレスは、ユーザが手動で変更しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施の形態に係る検体分析装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】検体容器の外観を示す斜視図である。
【図3】サンプルラックの外観を示す斜視図である。
【図4】測定ユニット及び検体搬送装置の概略構成を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る搬送制御装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る検体分析装置の測定ユニット及び制御装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る検体分析装置の制御装置のCPU及び搬送制御装置のCPUの障害発生検知処理及び切替処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に係る検体分析装置の制御装置のCPU及び搬送制御装置のCPUの障害発生検知処理及び切替処理の他の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0100】
1 検体分析装置
2 検体投入装置
3 検体搬送装置(搬送装置)
4 検体収容装置
5、5a、5b、5c、5d 測定ユニット
7 LAN
8 搬送制御装置
9 制御装置
81、91 CPU
82、92 RAM
83、93 記憶装置
84、94 入出力インタフェース
85、95 ビデオインタフェース
86、96 可搬型ディスクドライブ
87、97 通信インタフェース
88、98 内部バス
101 搬送制御プログラム
102 動作制御プログラム
831、932 搬送制御情報記憶部
832、931 測定ユニット情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を測定して測定データを出力する測定ユニットと、
該測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置と
を備える検体分析装置において、
前記搬送装置の動作を制御する第一の搬送制御手段及び第二の搬送制御手段と、
前記第一の搬送制御手段又は前記第二の搬送制御手段に障害が発生した場合に、前記搬送装置の動作の制御を、前記第二の搬送制御手段又は前記第一の搬送制御手段へそれぞれ切り替える搬送制御切替手段と
を備えることを特徴とする検体分析装置。
【請求項2】
前記第一の搬送制御手段又は前記第二の搬送制御手段は、所定の時間間隔で前記搬送装置とデータ通信しており、
前記搬送制御切替手段は、
前記第一の搬送制御手段又は前記第二の搬送制御手段と前記搬送装置との通信が所定時間中断したか否かを判断する通信判断手段と、
該通信判断手段で、中断したと判断した場合、前記第二の搬送制御手段又は前記第一の搬送制御手段と前記搬送装置とのデータ通信に切り替える通信切替手段と
を備えることを特徴とする請求項1記載の検体分析装置。
【請求項3】
前記通信切替手段は、前記搬送装置の通信先アドレスを、前記第一の搬送制御手段又は前記第二の搬送制御手段から前記第二の搬送制御手段又は前記第一の搬送制御手段へ変更するようにしてあることを特徴とする請求項2記載の検体分析装置。
【請求項4】
検体を識別する検体識別情報を取得する識別情報取得手段を備え、
前記搬送制御切替手段は、前記第二の搬送制御手段又は前記第一の搬送制御手段へ切り替えた後、前記識別情報取得手段で前記検体識別情報を再取得するよう前記搬送装置の動作を制御するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の検体分析装置。
【請求項5】
前記第一の搬送制御手段及び前記第二の搬送制御手段は、前記測定ユニットの動作を制御することも可能としてあり、
前記測定ユニットの動作の制御を、前記第一の搬送制御手段又は前記第二の搬送制御手段から、前記第二の搬送制御手段又は前記第一の搬送制御手段へ切り替える測定制御切替手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の検体分析装置。
【請求項6】
前記第一の搬送制御手段と前記第二の搬送制御手段とは、互いにデータ通信することが可能に接続されており、所定の時間間隔で同一の情報を有するように同期処理を実行するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の検体分析装置。
【請求項7】
前記測定ユニットは複数設けられており、
前記搬送装置は、複数の該測定ユニットそれぞれに対して測定対象となる検体を搬送することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の検体分析装置。
【請求項8】
前記測定ユニットから出力された測定データを処理するデータ処理部を備え、
前記第一の搬送制御手段及び第二の搬送制御手段の一方は、前記データ処理部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の検体分析装置。
【請求項9】
検体を測定して測定データを出力する測定ユニットと、
該測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置と
を備える検体分析装置で実行することが可能な検体分析方法において、
前記搬送装置の動作を、第一の搬送制御手段又は第二の搬送制御手段にて制御し、
前記第一の搬送制御手段又は前記第二の搬送制御手段に障害が発生した場合に、前記搬送装置の動作の制御を、前記第二の搬送制御手段又は前記第一の搬送制御手段へそれぞれ切り替えることを特徴とする検体分析方法。
【請求項10】
検体を測定して測定データを出力する測定ユニットと、
該測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置と
を備える検体分析装置で実行することが可能なコンピュータプログラムにおいて、
前記検体分析装置を、
前記搬送装置の動作を制御する第一の搬送制御手段及び第二の搬送制御手段、及び
前記第一の搬送制御手段又は前記第二の搬送制御手段に障害が発生した場合に、前記搬送装置の動作の制御を、前記第二の搬送制御手段又は前記第一の搬送制御手段へそれぞれ切り替える搬送制御切替手段
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−101816(P2010−101816A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275016(P2008−275016)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】