検体分析装置、検体分析方法及びコンピュータプログラム
【課題】検体分析装置の使用者が、信頼性が低いことを認識することなく分析結果を報告することを未然に防止することができる検体分析装置、検体分析方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】検体を測定して測定データを出力する測定ユニットを備え、測定ユニットから出力された測定データの分析結果を取得し、取得した分析結果を出力する。不正プログラムを検知し、不正プログラムが検知された場合、検知後に取得した分析結果の出力を制限する。
【解決手段】検体を測定して測定データを出力する測定ユニットを備え、測定ユニットから出力された測定データの分析結果を取得し、取得した分析結果を出力する。不正プログラムを検知し、不正プログラムが検知された場合、検知後に取得した分析結果の出力を制限する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿等の検体を分析する検体分析装置、検体分析方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液、尿等の検体中の細胞粒子のサイズを測定して、その分布状態を分析する装置等、様々な検体分析装置が開発されている。
【0003】
検体分析装置は、ネットワークを介して外部のコンピュータと接続され、データ通信することがある。例えば特許文献1では、電子メールを用いて各分析装置の状態、分析結果等に関する情報を指定されたターミナル(パソコン)へ送信することができる自動分析装置が開示されている。
【特許文献1】特開平10−308737号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ネットワークを介してデータ通信することにより、検体分析装置がコンピュータウイルスに感染するリスクも増大している。コンピュータウイルスに感染したソフトウェアで動作する検体分析装置での分析結果は、その信頼性を保証することができないにもかかわらず、従来の検体分析装置では、コンピュータウイルスに感染した後に取得した分析結果も感染前に取得した分析結果と区別することなく出力されていた。このため、取得した分析結果の信頼性が低いにもかかわらず、検体分析装置の使用者は、その事実を認識することなく医師、患者等に報告するおそれがあった。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、検体分析装置の使用者が、信頼性が低いことを認識することなく分析結果を報告することを未然に防止することができる検体分析装置、検体分析方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために第1発明に係る検体分析装置は、検体を測定して測定データを出力する測定ユニットと、該測定ユニットから出力された測定データの分析結果を取得する分析結果取得手段と、取得した分析結果を出力する出力手段と、不正プログラムを検知する不正プログラム検知手段と、該不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、検知後に前記分析結果取得手段で取得した分析結果の出力を制限する出力制限手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、第2発明に係る検体分析装置は、第1発明において、前記出力制限手段は、前記不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、検知後に前記分析結果取得手段で取得した分析結果に、前記不正プログラムが検知された旨を示す警告情報を付加して前記出力手段にて出力することを特徴とする。
【0008】
また、第3発明に係る検体分析装置は、第1発明において、前記出力制限手段は、前記不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、検知後に前記分析結果取得手段で取得した分析結果の前記出力手段での出力を停止することを特徴とする。
【0009】
また、第4発明に係る検体分析装置は、第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置を備え、前記不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、前記搬送装置による検体の供給を停止する供給停止手段を備えることを特徴とする。
【0010】
また、第5発明に係る検体分析装置は、第4発明において、前記供給停止手段で検体の供給を停止した状態で不正プログラムを検知する停止後不正プログラム検知手段と、該停止後不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知されない場合、前記搬送装置による検体の供給を再開する供給再開手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、第6発明に係る検体分析装置は、第1乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、ネットワークとの接続を切断する切断手段を備えることを特徴とする。
【0012】
また、第7発明に係る検体分析装置は、第6発明において、前記切断手段でネットワークとの接続を切断した状態で不正プログラムを検知する切断後不正プログラム検知手段と、該切断後不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知されない場合、ネットワークと再接続する再接続手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、第8発明に係る検体分析装置は、第1乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記測定ユニットによる検体の測定開始指示を受け付ける開始指示受付手段と、前記不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、前記開始指示受付手段による測定開始指示の受け付けを停止する開始指示受付停止手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、第9発明に係る検体分析装置は、第1乃至第8発明のいずれか1つにおいて、外部の機器とデータ通信することが可能にネットワーク接続ができるようにしてあることを特徴とする。
【0015】
次に、上記目的を達成するために第10発明に係る検体分析方法は、検体を測定して測定データを出力する測定ユニットを備える検体分析装置で実行することが可能な検体分析方法であって、前記測定ユニットから出力された測定データの分析結果を取得し、取得した分析結果を出力し、不正プログラムを検知し、不正プログラムが検知された場合、検知後に取得した分析結果の出力を制限することを特徴とする。
【0016】
次に、上記目的を達成するために第11発明に係るコンピュータプログラムは、検体を測定して測定データを出力する測定ユニットを備える検体分析装置で実行することが可能なコンピュータプログラムあって、前記検体分析装置を、前記測定ユニットから出力された測定データの分析結果を取得する分析結果取得手段、取得した分析結果を出力する出力手段、不正プログラムを検知する不正プログラム検知手段、及び該不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、検知後に前記分析結果取得手段で取得した分析結果の出力を制限する出力制限手段として機能させることを特徴とする。
【0017】
第1発明、第10発明、及び第11発明では、検体を測定して測定データを出力する測定ユニットを備える。測定ユニットから出力された測定データの分析結果を取得し、取得した分析結果を出力する。不正プログラムを検知し、不正プログラムが検知された場合、検知後に取得した分析結果の出力を制限する。検体分析装置にて不正プログラムが検知された場合、不正プログラムが検知された後に取得した測定データの分析結果の出力を制限することにより、検体分析装置の使用者が、信頼性が低いことを認識することなく分析結果を報告することを未然に防止することが可能となる。
【0018】
第2発明では、不正プログラムが検知された場合、不正プログラムが検知された後に取得した分析結果に、不正プログラムが検知された旨を示す警告情報を付加して出力することにより、不正プログラムが検知された後の分析結果であるか否かを識別することができ、検体分析装置の使用者が、信頼性が低いことを認識することなく分析結果を報告することを未然に防止することが可能となる。
【0019】
第3発明では、不正プログラムが検知された場合、不正プログラムが検知された後に取得した分析結果の出力を停止することにより、不正プログラムが検知された後の分析結果が出力されることが無く、検体分析装置の使用者が、信頼性が低いことを認識することなく分析結果を報告することを未然に防止することが可能となる。
【0020】
第4発明では、測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置を備えている。不正プログラムが検知された場合、搬送装置による検体の供給を停止することにより、不正プログラムが検知された後は検体の測定データを取得することができず、分析結果が出力されることが無いので、検体分析装置の使用者が、信頼性が低いことを認識することなく分析結果を報告することを未然に防止することが可能となる。
【0021】
第5発明では、検体の供給を停止した状態で不正プログラムを検知し、不正プログラムが検知されない場合、搬送装置による検体の供給を再開することにより、分析結果の信頼性を維持した状態で測定ユニットから分析結果を取得することが可能となる。
【0022】
第6発明では、不正プログラムが検知された場合、ネットワークとの接続を切断することにより、別のコンピュータウイルスの侵入、重要な情報のネットワークへの流出等の被害の拡大を未然に防止することが可能となる。
【0023】
第7発明では、ネットワークとの接続を切断した状態で不正プログラムを検知し、不正プログラムが検知されない場合、ネットワークと再接続することにより、分析結果の信頼性を維持した状態で測定ユニットから分析結果を取得することが可能となる。
【0024】
第8発明では、測定ユニットによる検体の測定開始指示を受け付ける。不正プログラムが検知された場合、測定開始指示の受け付けを停止することにより、測定ユニットにて測定が開始されないので、分析結果が出力されることが無く、検体分析装置の使用者が、信頼性が低いことを認識することなく分析結果を報告することを未然に防止することが可能となる。
【0025】
第9発明では、外部の機器とデータ通信することが可能にネットワーク接続ができるようにしてあることにより、各検体分析装置での精度管理検体の分析結果を収集することができ、統計的分析を実行することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
上記構成によれば、検体分析装置にて不正プログラムが検知された場合、不正プログラムが検知された後に取得した測定データの分析結果の出力を制限することにより、検体分析装置の使用者が、検体分析装置の使用者が、信頼性が低いことを認識することなく分析結果を報告することを未然に防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本実施の形態では、複数種類の測定ユニットを接続して構成された血液等の検体分析装置を一例とし、図面に基づいて具体的に説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態に係る検体分析装置の概略構成を示す模式図である。本発明の実施の形態に係る検体分析装置1は、検体容器を収容したサンプルラックを投入する検体投入装置2、検体を測定する複数の測定ユニット5(5a、5b、5c、5d)、測定ユニット5ごとに設けてある、サンプルラックを搬送する検体搬送装置(搬送装置)3、3、・・・、検体採取後のサンプルラックを収容する検体収容装置4、搬送制御装置8を備えている。
【0029】
複数の測定ユニット5、5、・・・は、同一種類の測定ユニットであっても良いし、複数種類の測定ユニット5a、5b、5c、5dであっても良い。測定ユニット5、5、・・・は所定数ごとに一の制御装置9に接続線6を介して接続されている。本実施の形態では測定ユニット5、5、5が3個ごとに一の制御装置9に接続されており、接続線6としてUSBケーブルを用いている。
【0030】
検体投入装置2は、複数の検体容器を収容したサンプルラックを検体搬送装置3、3、・・・へ送出するように構成されている。サンプルラックの送出は、検体投入装置2にLAN7を介してデータ通信することが可能に接続されている搬送制御装置8によって制御される。
【0031】
搬送制御装置8と制御装置9とは、LAN7を介してデータ通信することが可能に接続されており、制御装置9で取得した測定ユニット5、5、・・・の接続状態に関する接続状態情報等に応じてサンプルラックの送出を制御する。LAN7は外部のネットワーク10とも接続されており、ネットワーク10は、外部のサーバコンピュータ11にも接続されている。また、サーバコンピュータ11は、それぞれ別の施設に設置された複数の他の検体分析装置1、1、・・・ともネットワーク10を介してデータ通信することが可能に接続されている。また、サーバコンピュータ11は、各検体分析装置1の使用者の施設に設置されており、各検体分析装置1での精度管理検体の分析結果を集計して外部精度管理を実行したり、各検体分析装置1からの動作ログを収集してリモートメンテナンスを実行したりすることができる。
【0032】
図2は、検体容器の外観を示す斜視図である。図3は、サンプルラックの外観を示す斜視図である。図2に示すように、検体容器Tは管状をなしており、上端が開口している。内部には、例えば患者から採取した血液検体が収容され、上端の開口は蓋Cにより密封することができる。検体容器Tの側面には、検体を識別するバーコードが印刷されたバーコードラベルBL1が貼付されている。また図3に示すように、サンプルラックLは10本の検体容器Tを垂直状態(立位状態)で保持するように構成されている。サンプルラックLの側面には、サンプルラックLを識別するバーコードが印刷されたバーコードラベルBL2が貼付されている。
【0033】
図1の例に示す検体分析装置1は、4つの検体搬送装置3、3、・・・が、4つの測定ユニット5a、5b、5c、5dの前方(図1の紙面に向かって下方向)に配置されている。隣接する検体搬送装置3、3間では、サンプルラックLが受渡しされる。また、図1の紙面に向かって最も右側の検体搬送装置3は、検体投入装置2から搬出されたサンプルラックLの搬送を開始する。図1の紙面に向かって最も左側の検体搬送装置3は、検体収容装置4へサンプルラックLを搬送する。
【0034】
図4は、測定ユニット5及び検体搬送装置3の概略構成を示す模式図である。図4に示すように、検体搬送装置3は、測定前の検体を収容する検体容器Tを支持する複数のサンプルラックLを一時的に保持する分析前ラック保持部31と、分析後ラック保持部32と、サンプルラックLを矢印X方向へ直線移動させるラック搬送部33と、バーコードを読み取るバーコード読取部34と、分析後ラック保持部32へサンプルラックLを送出するラック送出部35と、サンプルラックLを矢印X方向へ移動させるラック移送部36と、サンプルラックLを分析前ラック保持部31へ送出するラック送出部37とを備えている。
【0035】
分析前ラック保持部31には、ラック送出部37の矢印Y方向への移動によりサンプルラックLが送出される。送出されたサンプルラックLがラック検出位置311に位置する場合、分析前ラック保持部31の両側面から内側へ向けてラック送込部312が突出することにより、サンプルラックLと係合する。ラック送込部312が、ラック搬送部33に近接する方向へ移動するに伴って、係合したサンプルラックLもラック搬送部33に近接する方向へ移動する。なお、サンプルラックLの位置はセンサ(図示せず)によって検出すれば良い。
【0036】
ラック搬送部33は、分析前ラック保持部31によって移送されたサンプルラックLをX方向へ(図4の紙面に向かって右から左へ)搬送する。検体供給位置331に搬送された検体容器Tは、測定ユニット5の把持部が検体容器Tを把持し、サンプルラックLから検体容器Tを取り出し、検体を吸引することにより、検体が測定ユニット5に供給され、検体容器TがサンプルラックLへ戻される。
【0037】
ラック送出部35は、ラック搬送部33を挟んで分析後ラック保持部32に対向するように配置されており、矢印Y方向に直線移動する。分析後ラック保持部32には、ラック送出部35の矢印Y方向への移動によりラック搬送部33からサンプルラックLが送出される。サンプルラックLが送出された場合、分析後ラック保持部32の両側面から内側へ向けてラック送込部321が突出することにより、サンプルラックLと係合する。ラック送込部321がラック移送部36に近接する方向へ移動するに伴って、係合したサンプルラックLもラック移送部36に近接する方向へ移動する。
【0038】
検体収容装置4は、複数のサンプルラックLを収容することができる。測定ユニット5、5、・・・にて検体の吸引を終了した検体容器Tを支持したサンプルラックLは、検体搬送装置3により搬送され、検体収容装置4に収容される。
【0039】
検体搬送装置3によるサンプルラックLの搬送は、検体搬送装置3にLAN7を介してデータ通信することが可能に接続された搬送制御装置8により制御される。すなわち、搬送制御装置8は、サンプルラックLの検体投入装置2による投入から検体搬送装置3による搬送、及び検体搬送装置3から検体収容装置4への収容を制御する。
【0040】
なお、検体投入装置2、検体搬送装置3、3、・・・、及び検体収容装置4は、それぞれ搬送制御装置8及び制御装置9とデータ通信することが可能に接続された制御部を備えていてもよい。この場合、搬送制御装置8は、どのサンプルラックLを、どのルートを介して、どの測定ユニット5に搬送するかを決定し、各制御部に指令する制御を実行し、各制御部は、決定されたルートに従ってサンプルラックLの搬送を制御する。
【0041】
図5は、本発明の実施の形態に係る搬送制御装置8の構成を示すブロック図である。図5に示すように、搬送制御装置8は、CPU81、RAM82、記憶装置83、入出力インタフェース84、ビデオインタフェース85、可搬型ディスクドライブ86、通信インタフェース87及び上述したハードウェアを接続する内部バス88で構成されている。
【0042】
CPU81は、内部バス88を介して搬送制御装置8の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置83に記憶されている搬送制御プログラム101に従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。RAM82は、SRAM、SDRAM等の揮発性メモリで構成され、搬送制御プログラム101の実行時にロードモジュールが展開され、搬送制御プログラム101の実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0043】
記憶装置83は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)、ROM等で構成されている。記憶装置83に記憶されている搬送制御プログラム101は、プログラム及びデータ等の情報を記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体80から、可搬型ディスクドライブ86によりダウンロードされ、実行時には記憶装置83からRAM82へ展開して実行される。もちろん、通信インタフェース87を介してネットワークに接続されている外部のコンピュータからダウンロードされたコンピュータプログラムであっても良い。
【0044】
通信インタフェース87は内部バス88に接続されており、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワークに接続されることにより、外部のコンピュータ等とデータ送受信を行うことが可能となっている。本実施の形態ではLAN7を介して制御装置9、検体搬送装置3、3、・・・等と接続されている。ネットワーク10を介してサーバコンピュータ11ともデータ送受信することが可能に接続されている。
【0045】
入出力インタフェース84は、キーボード、マウス等の入力部110と接続され、データの入力を受け付ける。また、ビデオインタフェース85は、CRTモニタ、LCD等の画像表示部120と接続され、所定の画像を表示する。
【0046】
サーバコンピュータ11は、搬送制御装置8と同様に構成されており、CPU、RAM、記憶装置、入出力インタフェース、ビデオインタフェース、可搬型ディスクドライブ、通信インタフェース及び上述したハードウェアを接続する内部バスで構成されている。
【0047】
複数の測定ユニット5、5、・・・は、同種類の構成であっても異種類の構成であっても良い。図1の例では、2つの測定ユニット5a、5cは同種の測定ユニットであるが、残りの測定ユニット5b、5dは異種の測定ユニットである。具体的には、測定ユニット5a、5cは、血球分析装置であり、例えば測定ユニット5aでは電気抵抗式の血球計数を、測定ユニット5cでは光学式の血球計数を、それぞれ実施して、血球の種類ごとに色分けされたスキャッタグラムを作成して、これを表示する。測定ユニット5bは、血液検体中のヘモグロビンA1c(HgbA1c)濃度を測定するヘモグロビン濃度測定装置であり、測定ユニット5dは、塗抹標本を作成する塗抹標本作成装置である。
【0048】
図4には、測定ユニット5が血球分析装置又はヘモグロビン濃度測定装置(測定ユニット5a、5b、5c)である場合の概略構成を記載している。測定ユニット5は、検体である血液を検体容器Tから吸引する検体吸引部51と、吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部55と、バーコード読取部56と、吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部52と、調製された測定試料から血球数等を検出する検出部53とを有している。
【0049】
検体容器搬送部55は、検体容器Tを把持する把持部54及び検体容器Tを挿入する穴部を有する検体容器セット部551を備えている。検体容器搬送部55では、サンプルラックLに収容されて検体供給位置331に位置する検体容器Tを、把持部54にて把持して矢印Y方向へ移動し、検体容器Tを検体容器セット部551の穴部に挿入する。そして、検体容器セット部551が移動し、バーコード読取部56でバーコードが読み取られ、検体吸引部51にて検体容器Tから検体が吸引される。
【0050】
試料調製部52では、検体容器Tから吸引された検体に、供給された試薬を加える等して試料を調製する。検出部53では、例えばWBC検出(白血球の検出)の場合、フローサイトメトリー方式によって調製された試料にレーザ光を照射し、試料中の白血球を検出する。検出結果は電気信号として制御装置9に送信される。
【0051】
図6は、測定ユニット5が塗抹標本作成装置である場合の構成例を示すブロック図である。図6に示すように、塗抹標本作製装置として使用する測定ユニット5dは、検体分注部511と、塗抹部512と、スライドガラス搬送部513と、染色部514とを備えている。
【0052】
検体分注部511は、図4に示した検体容器搬送部55、検体吸引部51等と同様に構成され、検体吸引部51に相当する吸引管(図示せず)にて検体容器Tから吸引した血液検体をスライドガラス上に滴下するように構成されている。塗抹部512は、スライドガラス上に滴下された血液検体を塗抹して乾燥させ、スライドガラスに識別情報を印字するように構成されている。
【0053】
スライドガラス搬送部513は、血液検体が塗抹されたスライドガラスを搬送用のカセットに収容する。染色部514は、カセットに収容されて染色位置に搬送されたスライドガラスに染色液を供給する。塗抹及び染色によって作成された塗抹標本は、血球画像表示装置(図示せず)にて処理される。したがって、塗抹標本を作成する測定ユニット5dでは、検体の検出は行われない。なお、測定ユニット5の種類はこれらに限定されるものではなく、尿分析装置、血液凝固測定装置、免疫分析装置、遺伝子増幅測定装置等であっても良いことは言うまでもない。
【0054】
図7は、本発明の実施の形態に係る検体分析装置1の測定ユニット5及び制御装置9の構成を示すブロック図である。図7の例では、血球分析装置である測定ユニット5aの構成例を示している。図7に示すように、測定ユニット5(5a)は、試料取得部50、試料取得部50を駆動させる駆動回路501、試料調製部52、試料調製部52を駆動させる駆動回路502、検出部53、検出部53を駆動させる駆動回路503、及び検出部53が出力する電気信号に対して波形処理を行う波形処理回路504を備えている。
【0055】
試料取得部50及び試料調製部52は、各々、駆動回路501及び駆動回路502がレジスタ505に記憶されている制御データに応じた制御信号を出力することにより駆動される。検出部53は、例えば取得した光信号から電気信号に変換し、波形処理回路504は、変換されて伝達された電気信号を増幅し、増幅した電気信号を波形処理する。レジスタ505は、波形処理された電気信号を記憶する。
【0056】
通信インタフェース506は、USBのシリアルインタフェースであり、制御装置9の通信インタフェース97との間をUSBケーブル20にて接続してある。これにより、USBケーブル20により接続された時点で、制御装置9は接続された測定ユニット5(5a)に関する情報を取得することができる。
【0057】
また、制御装置9は、CPU91、RAM92、記憶装置93、入出力インタフェース94、ビデオインタフェース95、可搬型ディスクドライブ96、通信インタフェース97及び上述したハードウェアを接続する内部バス98で構成されている。
【0058】
CPU91は、内部バス98を介して制御装置9の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置93に記憶されているコンピュータプログラム100に従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。RAM92は、SRAM、SDRAM等の揮発性メモリで構成され、コンピュータプログラム100の実行時にロードモジュールが展開され、コンピュータプログラム100の実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0059】
記憶装置93は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)、ROM等で構成されている。記憶装置93に記憶されているコンピュータプログラム100は、プログラム及びデータ等の情報を記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体90から、可搬型ディスクドライブ96によりダウンロードされ、実行時には記憶装置93からRAM92へ展開して実行される。もちろん、通信インタフェース97を介してネットワークに接続されている外部のコンピュータからダウンロードされたコンピュータプログラムであっても良い。
【0060】
通信インタフェース97は内部バス98に接続されており、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワークに接続されることにより、外部のコンピュータ等とデータ送受信を行うことが可能となっている。本実施の形態ではLAN7を介して搬送制御装置8、検体搬送装置3、3、・・・等と接続されている。ネットワーク10を介してサーバコンピュータ11ともデータ送受信することが可能に接続されている。
【0061】
入出力インタフェース94は、キーボード、マウス等の入力部130と接続され、データの入力を受け付ける。また、ビデオインタフェース95は、CRTモニタ、LCD等の表示部140と接続され、所定の画像を表示する。
【0062】
本実施の形態に係る検体分析装置1では、複数の測定ユニット5、5、・・・にて測定された測定データの分析結果を制御装置9が取得し、所定の分析結果を選択し、ネットワーク10を介してサーバコンピュータ11へ送信する。ネットワーク10を介してデータ通信することが可能に接続されていることから、サーバコンピュータ11あるいは他の外部コンピュータがコンピュータウイルスに感染していた場合、データ通信するデータによっては、制御装置9、搬送制御装置8、測定ユニット5、5、・・・を動作させるコンピュータプログラムにコンピュータウイルスが感染する可能性が高くなる。
【0063】
そこで、本実施の形態では、制御装置9及び搬送制御装置8にて不正プログラムが存在するか否かを判断し、不正プログラムが存在すると判断した場合には、出力される分析結果に信頼性が無いものと判断して種々の処理を実行するようにしている。不正プログラムが存在するか否かは、初期設定時に導入されているべきコンピュータプログラムのリスト以外にプログラムが存在するか否かで判断しても良いし、市販のウイルス検知プログラムを用いても良い。
【0064】
図8は、本発明の実施の形態に係る検体分析装置1の制御装置9のCPU91及び搬送制御装置8のCPU81の分析結果出力処理の手順を示すフローチャートである。図8において、本実施の形態に係る検体分析装置1の制御装置9のCPU91は、不正プログラムの検知を開始する(ステップS801)。具体的には、事前に導入されているプログラムリストを記憶装置93に記憶しておき、起動時に導入されているプログラム名を照会して、記憶装置93に記憶されていないプログラム名が存在するか否かを判断する。もちろん、市販のウイルス検知プログラムを起動させても良い。
【0065】
CPU91は、検体測定開始指示を受け付けたか否かを判断し(ステップS802)、CPU91が、検体測定開始指示を受け付けていないと判断した場合(ステップS802:NO)、CPU91は、待ち状態となる。CPU91が、検体測定開始指示を受け付けたと判断した場合(ステップS802:YES)、CPU91は、検体の搬送指示を搬送制御装置8へ送信する(ステップS803)。具体的には、制御装置9のスタートボタン等の押し下げにより、搬送指示を送信する。
【0066】
搬送制御装置8のCPU81は、不正プログラムの検知を開始する(ステップS811)。具体的には、事前に導入されているプログラムリストを記憶装置83に記憶しておき、起動時に導入されているプログラム名を照会して、記憶装置83に記憶されていないプログラム名が存在するか否かを判断する。もちろん、市販のウイルス検知プログラムを起動させても良い。
【0067】
CPU81は、検体の搬送指示を受信したか否かを判断し(ステップS812)、CPU81が、搬送指示を受信していないと判断した場合(ステップS812:NO)、CPU81は、待ち状態となる。CPU81が、搬送指示を受信したと判断した場合(ステップS812:YES)、CPU81は、記憶装置83に記憶されている搬送制御プログラム101に従って、検体の搬送を開始する(ステップS813)。
【0068】
制御装置9のCPU91は、不正プログラムの存在を検知したか否かを判断し(ステップS804)、CPU91が、不正プログラムの存在を検知したと判断した場合(ステップS804:YES)、CPU91は、不正プログラムを検知した旨を示す情報を搬送制御装置8へ送信する(ステップS805)。CPU91が、不正プログラムの存在を検知していないと判断した場合(ステップS804:NO)、CPU91は、搬送制御装置8から不正プログラムを検知した旨を示す情報を受信したか否かを判断する(ステップS806)。CPU91が、搬送制御装置8から不正プログラムを検知した旨を示す情報を受信していないと判断した場合(ステップS806:NO)、CPU91は、処理をステップS804へ戻して上述した処理を繰り返す。
【0069】
搬送制御装置8のCPU81は、不正プログラムの存在を検知したか否かを判断し(ステップS814)、CPU81が、不正プログラムの存在を検知したと判断した場合(ステップS814:YES)、CPU81は、不正プログラムを検知した旨を示す情報を制御装置9へ送信する(ステップS815)。CPU81が、不正プログラムの存在を検知していないと判断した場合(ステップS814:NO)、CPU81は、制御装置9から不正プログラムを検知した旨を示す情報を受信したか否かを判断する(ステップS816)。CPU81が、制御装置9から不正プログラムを検知した旨を示す情報を受信していないと判断した場合(ステップS816:NO)、CPU81は、処理をステップS814へ戻して上述した処理を繰り返す。
【0070】
制御装置9のCPU91が、搬送制御装置8から不正プログラムを検知した旨を示す情報を受信したと判断した場合(ステップS806:YES)、CPU91は、ネットワーク10との接続を切断し(ステップS807)、検体測定開始指示の受け付けを停止する(ステップS808)。CPU91は、検知された不正プログラムを削除し(ステップS809)、表示部140に警告情報を表示する(ステップS810)。
【0071】
また、搬送制御装置8のCPU81が、制御装置9から不正プログラムを検知した旨を示す情報を受信したと判断した場合(ステップS816:YES)、CPU81は、検体の搬送を中断し(ステップS817)、ネットワーク10との接続を切断する(ステップS818)。CPU81は、検知された不正プログラムを削除し(ステップS819)、画像表示部120に警告情報を表示する(ステップS820)。
【0072】
図9は、制御装置9の表示部140又は搬送制御装置8の画像表示部120に表示される警告情報表示画面の例示図である。図9に示すように、不正プログラムがコンピュータウイルスであった場合、コンピュータウイルスが検知された旨のメッセージ、及び以後の指示の入力を促すメッセージが表示される。「測定中止」ボタン92がマウス等でクリック操作された場合、測定処理を中止する。「検索後、測定再開」ボタン91がマウス等でクリック操作された場合、測定環境を整えた上で測定処理を再開する。
【0073】
図10は、本発明の実施の形態に係る検体分析装置1の制御装置9のCPU91及び搬送制御装置8のCPU81の測定再開処理の手順を示すフローチャートである。図10において、本実施の形態に係る検体分析装置1の制御装置9のCPU91は、例えば図4に示した測定ユニット5の検体吸引部51にて吸引され、分析結果の出ていない検体が有るか否かを判断する(ステップS1001)。斯かる判断処理は接続線6、すなわちUSBケーブルを介して実行することができるので、LAN7を介してネットワーク10との接続が切断されている場合であっても実行することが可能である。
【0074】
CPU91が、吸引され、分析結果の出ていない検体が有ると判断した場合(ステップS1001:YES)、CPU91は、該検体についての測定及び分析を続行する指示を測定ユニット5、5、・・・へ送信し(ステップS1002)、分析結果に警告情報を付加する(ステップS1003)。CPU91が、吸引され、分析結果の出ていない検体が無いと判断した場合(ステップS1001:NO)、CPU91は、ステップS1002及びS1003をスキップし、再度不正プログラムの検知を開始する(ステップS1004)。なお、CPU91が、吸引され、分析結果の出ていない検体が有ると判断した場合(ステップS1001:YES)、CPU91は、分析結果の出力自体を停止しても良い。また、測定処理を中止することによって分析結果を取得することができないようにしても良い。
【0075】
CPU91は、不正プログラムの存在を検知したか否かを判断し(ステップS1005)、CPU91が、不正プログラムの存在を検知したと判断した場合(ステップS1005:YES)、CPU91は、再度不正プログラムを検知した、すなわち不正プログラムが削除されていないと判断し、表示部140に警告情報を表示する(ステップS1006)。
【0076】
一方、搬送制御装置8のCPU81も、再度不正プログラムの検知を開始する(ステップS1010)。CPU81は、不正プログラムの存在を検知したか否かを判断し(ステップS1011)、CPU81が、不正プログラムの存在を検知したと判断した場合(ステップS1011:YES)、CPU81は、再度不正プログラムを検知した、すなわち不正プログラムが削除されていないと判断し、画像表示部120に警告情報を表示する(ステップS1012)。CPU81が、不正プログラムの存在を検知していないと判断した場合(ステップS1011:NO)、CPU81は、ネットワーク10に再接続する(ステップS1013)。
【0077】
制御装置9のCPU91が、不正プログラムの存在を検知していないと判断した場合(ステップS1005:NO)、CPU91は、ネットワーク10に再接続して(ステップS1007)、搬送制御装置8がネットワーク10に接続されているか否かを判断する(ステップS1008)。CPU91が、搬送制御装置8がネットワーク10に接続されていないと判断した場合(ステップS1008:NO)、CPU91は、待ち状態となる。
【0078】
CPU91が、搬送制御装置8がネットワーク10に接続されていると判断した場合(ステップS1008:YES)、CPU91は、検体の測定開始指示の受け付けを再開し(ステップS1009)、処理を終了する。
【0079】
搬送制御装置8のCPU81は、制御装置9がネットワーク10に接続されているか否かを判断する(ステップS1014)。CPU81が、制御装置9がネットワーク10に接続されていないと判断した場合(ステップS1014:NO)、CPU81は、待ち状態となる。
【0080】
CPU81が、制御装置9がネットワーク10に接続されていると判断した場合(ステップS1014:YES)、CPU81は、検体を直近のバーコード読取部34へ搬送する(ステップS1015)。CPU81は、検体IDをバーコード読取部34で読み取ることにより検体ごとに現在の搬送位置を確認することができ、位置の誤認による誤搬送を防止することができる。CPU81は、検体の位置の確認を完了した後、検体の搬送を再開して(ステップS1016)、処理を終了する。
【0081】
図11は、制御装置9の表示部140に表示される警告情報付与時の分析結果表示画面の例示図である。図11は、図10のステップS1003にて表示される画面であり、不正プログラム(コンピュータウイルス)を検知した旨を示すメッセージを示すとともに、検体を識別する検体IDごとに表示される分析結果の数値に対して、不正プログラム検知後の分析結果である旨を示す警告マークを付与して表示している。
【0082】
図12は、制御装置9の表示部140又は搬送制御装置8の画像表示部120に表示される警告情報表示画面の例示図である。図12は、図10のステップS1006及びステップS1012にて表示される画面であり、不正プログラムの削除処理を実行したにもかかわらず、再度不正プログラムが検知されていることから、処理を続行すること無くカスタマーサポートによる処理を促すメッセージを表示している。
【0083】
なお、不正プログラムの検知をウイルス検知プログラムで実行した場合、コンピュータウイルスがいつから感染していたのか不明であることから、検知した時点で既に感染後に出力した分析結果が存在する可能性がある。したがって、不正プログラムを検知した時点よりも所定期間前に出力された分析結果に警告情報を付加しても良い。所定期間は特に限定されるものではなく、1時間、1日等任意の期間で有れば足りるが、使用者により設定することが可能であることが望ましい。また、不正プログラムの検知時間をタイムスタンプで記録しておき、前回不正プログラムを検知しなかった時刻まで遡って出力された分析結果に警告情報を付加しても良い。
【0084】
以上のように本実施の形態によれば、検体分析装置1にてコンピュータウイルスのような不正プログラムが検知された場合、不正プログラムが検知された後に取得した測定データの分析結果の出力を停止する、又は警告情報を付加することにより、検体分析装置の使用者が、信頼性が低いことを認識することなく分析結果を報告することを未然に防止することが可能となる。
【0085】
上述した実施の形態では、複数の測定ユニット5、5、・・・に搬送装置3、3、・・・が接続されている検体分析装置1が開示されているが、単一の測定ユニット5に搬送装置3が接続されていても良いし、搬送装置を備えていなくても良い。また、制御装置9を測定ユニット5に組み込み、一体化しても良い。さらに、血球分析装置に限定されるものではなく、免疫分析装置、血液凝固測定装置、生化学分析装置、尿分析装置等に適用することができることは言うまでもない。
【0086】
また、上述した実施の形態では、検体分析装置1は、ネットワーク10に接続することが可能な形態で構成されているが、近年では、USBメモリ等の可搬型メモリを介してコンピュータウイルスに感染するリスクもある。したがって、検体分析装置1は、必ずしもネットワークに接続することが可能な形態で構成されている必要はない。
【0087】
また、上述した実施の形態では、不正プログラム検知の有無の判断(ステップS804及びS814)を、検体測定開始の指示を受け付けた後に開始しているが、不正プログラム検知の有無の判断を、検体測定開始の指示を受け付ける前に開始するようにしても良い。
【0088】
その他、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変形、置換等が可能である。例えば搬送制御装置8及び制御装置9を複数備えていても良いし、ネットワーク構成は特に制約を受けるものではない。また、搬送制御装置8と制御装置9との機能を備えた一の制御コンピュータを用いても良いことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の形態に係る検体分析装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】検体容器の外観を示す斜視図である。
【図3】サンプルラックの外観を示す斜視図である。
【図4】測定ユニット及び検体搬送装置の概略構成を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る搬送制御装置の構成を示すブロック図である。
【図6】測定ユニットが塗抹標本作成装置である場合の構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る検体分析装置の測定ユニット及び制御装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る検体分析装置の制御装置のCPU及び搬送制御装置のCPUの分析結果出力処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】制御装置の表示部又は搬送制御装置の画像表示部に表示される警告情報表示画面の例示図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る検体分析装置の制御装置のCPU及び搬送制御装置のCPUの測定再開処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】制御装置の表示部に表示される警告情報付与時の分析結果表示画面の例示図である。
【図12】制御装置の表示部又は搬送制御装置の画像表示部に表示される警告情報表示画面の例示図である。
【符号の説明】
【0090】
1 検体分析装置
2 検体投入装置
3 検体搬送装置(搬送装置)
4 検体収容装置
5、5a、5b、5c、5d 測定ユニット
6 接続線
7 LAN
8 搬送制御装置
9 制御装置
11 サーバコンピュータ
81、91 CPU
82、92 RAM
83、93 記憶装置
84、94 入出力インタフェース
85、95 ビデオインタフェース
86、96 可搬型ディスクドライブ
87、97 通信インタフェース
88、98 内部バス
100 コンピュータプログラム
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿等の検体を分析する検体分析装置、検体分析方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液、尿等の検体中の細胞粒子のサイズを測定して、その分布状態を分析する装置等、様々な検体分析装置が開発されている。
【0003】
検体分析装置は、ネットワークを介して外部のコンピュータと接続され、データ通信することがある。例えば特許文献1では、電子メールを用いて各分析装置の状態、分析結果等に関する情報を指定されたターミナル(パソコン)へ送信することができる自動分析装置が開示されている。
【特許文献1】特開平10−308737号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ネットワークを介してデータ通信することにより、検体分析装置がコンピュータウイルスに感染するリスクも増大している。コンピュータウイルスに感染したソフトウェアで動作する検体分析装置での分析結果は、その信頼性を保証することができないにもかかわらず、従来の検体分析装置では、コンピュータウイルスに感染した後に取得した分析結果も感染前に取得した分析結果と区別することなく出力されていた。このため、取得した分析結果の信頼性が低いにもかかわらず、検体分析装置の使用者は、その事実を認識することなく医師、患者等に報告するおそれがあった。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、検体分析装置の使用者が、信頼性が低いことを認識することなく分析結果を報告することを未然に防止することができる検体分析装置、検体分析方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために第1発明に係る検体分析装置は、検体を測定して測定データを出力する測定ユニットと、該測定ユニットから出力された測定データの分析結果を取得する分析結果取得手段と、取得した分析結果を出力する出力手段と、不正プログラムを検知する不正プログラム検知手段と、該不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、検知後に前記分析結果取得手段で取得した分析結果の出力を制限する出力制限手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、第2発明に係る検体分析装置は、第1発明において、前記出力制限手段は、前記不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、検知後に前記分析結果取得手段で取得した分析結果に、前記不正プログラムが検知された旨を示す警告情報を付加して前記出力手段にて出力することを特徴とする。
【0008】
また、第3発明に係る検体分析装置は、第1発明において、前記出力制限手段は、前記不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、検知後に前記分析結果取得手段で取得した分析結果の前記出力手段での出力を停止することを特徴とする。
【0009】
また、第4発明に係る検体分析装置は、第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置を備え、前記不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、前記搬送装置による検体の供給を停止する供給停止手段を備えることを特徴とする。
【0010】
また、第5発明に係る検体分析装置は、第4発明において、前記供給停止手段で検体の供給を停止した状態で不正プログラムを検知する停止後不正プログラム検知手段と、該停止後不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知されない場合、前記搬送装置による検体の供給を再開する供給再開手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、第6発明に係る検体分析装置は、第1乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、ネットワークとの接続を切断する切断手段を備えることを特徴とする。
【0012】
また、第7発明に係る検体分析装置は、第6発明において、前記切断手段でネットワークとの接続を切断した状態で不正プログラムを検知する切断後不正プログラム検知手段と、該切断後不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知されない場合、ネットワークと再接続する再接続手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、第8発明に係る検体分析装置は、第1乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記測定ユニットによる検体の測定開始指示を受け付ける開始指示受付手段と、前記不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、前記開始指示受付手段による測定開始指示の受け付けを停止する開始指示受付停止手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、第9発明に係る検体分析装置は、第1乃至第8発明のいずれか1つにおいて、外部の機器とデータ通信することが可能にネットワーク接続ができるようにしてあることを特徴とする。
【0015】
次に、上記目的を達成するために第10発明に係る検体分析方法は、検体を測定して測定データを出力する測定ユニットを備える検体分析装置で実行することが可能な検体分析方法であって、前記測定ユニットから出力された測定データの分析結果を取得し、取得した分析結果を出力し、不正プログラムを検知し、不正プログラムが検知された場合、検知後に取得した分析結果の出力を制限することを特徴とする。
【0016】
次に、上記目的を達成するために第11発明に係るコンピュータプログラムは、検体を測定して測定データを出力する測定ユニットを備える検体分析装置で実行することが可能なコンピュータプログラムあって、前記検体分析装置を、前記測定ユニットから出力された測定データの分析結果を取得する分析結果取得手段、取得した分析結果を出力する出力手段、不正プログラムを検知する不正プログラム検知手段、及び該不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、検知後に前記分析結果取得手段で取得した分析結果の出力を制限する出力制限手段として機能させることを特徴とする。
【0017】
第1発明、第10発明、及び第11発明では、検体を測定して測定データを出力する測定ユニットを備える。測定ユニットから出力された測定データの分析結果を取得し、取得した分析結果を出力する。不正プログラムを検知し、不正プログラムが検知された場合、検知後に取得した分析結果の出力を制限する。検体分析装置にて不正プログラムが検知された場合、不正プログラムが検知された後に取得した測定データの分析結果の出力を制限することにより、検体分析装置の使用者が、信頼性が低いことを認識することなく分析結果を報告することを未然に防止することが可能となる。
【0018】
第2発明では、不正プログラムが検知された場合、不正プログラムが検知された後に取得した分析結果に、不正プログラムが検知された旨を示す警告情報を付加して出力することにより、不正プログラムが検知された後の分析結果であるか否かを識別することができ、検体分析装置の使用者が、信頼性が低いことを認識することなく分析結果を報告することを未然に防止することが可能となる。
【0019】
第3発明では、不正プログラムが検知された場合、不正プログラムが検知された後に取得した分析結果の出力を停止することにより、不正プログラムが検知された後の分析結果が出力されることが無く、検体分析装置の使用者が、信頼性が低いことを認識することなく分析結果を報告することを未然に防止することが可能となる。
【0020】
第4発明では、測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置を備えている。不正プログラムが検知された場合、搬送装置による検体の供給を停止することにより、不正プログラムが検知された後は検体の測定データを取得することができず、分析結果が出力されることが無いので、検体分析装置の使用者が、信頼性が低いことを認識することなく分析結果を報告することを未然に防止することが可能となる。
【0021】
第5発明では、検体の供給を停止した状態で不正プログラムを検知し、不正プログラムが検知されない場合、搬送装置による検体の供給を再開することにより、分析結果の信頼性を維持した状態で測定ユニットから分析結果を取得することが可能となる。
【0022】
第6発明では、不正プログラムが検知された場合、ネットワークとの接続を切断することにより、別のコンピュータウイルスの侵入、重要な情報のネットワークへの流出等の被害の拡大を未然に防止することが可能となる。
【0023】
第7発明では、ネットワークとの接続を切断した状態で不正プログラムを検知し、不正プログラムが検知されない場合、ネットワークと再接続することにより、分析結果の信頼性を維持した状態で測定ユニットから分析結果を取得することが可能となる。
【0024】
第8発明では、測定ユニットによる検体の測定開始指示を受け付ける。不正プログラムが検知された場合、測定開始指示の受け付けを停止することにより、測定ユニットにて測定が開始されないので、分析結果が出力されることが無く、検体分析装置の使用者が、信頼性が低いことを認識することなく分析結果を報告することを未然に防止することが可能となる。
【0025】
第9発明では、外部の機器とデータ通信することが可能にネットワーク接続ができるようにしてあることにより、各検体分析装置での精度管理検体の分析結果を収集することができ、統計的分析を実行することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
上記構成によれば、検体分析装置にて不正プログラムが検知された場合、不正プログラムが検知された後に取得した測定データの分析結果の出力を制限することにより、検体分析装置の使用者が、検体分析装置の使用者が、信頼性が低いことを認識することなく分析結果を報告することを未然に防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本実施の形態では、複数種類の測定ユニットを接続して構成された血液等の検体分析装置を一例とし、図面に基づいて具体的に説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態に係る検体分析装置の概略構成を示す模式図である。本発明の実施の形態に係る検体分析装置1は、検体容器を収容したサンプルラックを投入する検体投入装置2、検体を測定する複数の測定ユニット5(5a、5b、5c、5d)、測定ユニット5ごとに設けてある、サンプルラックを搬送する検体搬送装置(搬送装置)3、3、・・・、検体採取後のサンプルラックを収容する検体収容装置4、搬送制御装置8を備えている。
【0029】
複数の測定ユニット5、5、・・・は、同一種類の測定ユニットであっても良いし、複数種類の測定ユニット5a、5b、5c、5dであっても良い。測定ユニット5、5、・・・は所定数ごとに一の制御装置9に接続線6を介して接続されている。本実施の形態では測定ユニット5、5、5が3個ごとに一の制御装置9に接続されており、接続線6としてUSBケーブルを用いている。
【0030】
検体投入装置2は、複数の検体容器を収容したサンプルラックを検体搬送装置3、3、・・・へ送出するように構成されている。サンプルラックの送出は、検体投入装置2にLAN7を介してデータ通信することが可能に接続されている搬送制御装置8によって制御される。
【0031】
搬送制御装置8と制御装置9とは、LAN7を介してデータ通信することが可能に接続されており、制御装置9で取得した測定ユニット5、5、・・・の接続状態に関する接続状態情報等に応じてサンプルラックの送出を制御する。LAN7は外部のネットワーク10とも接続されており、ネットワーク10は、外部のサーバコンピュータ11にも接続されている。また、サーバコンピュータ11は、それぞれ別の施設に設置された複数の他の検体分析装置1、1、・・・ともネットワーク10を介してデータ通信することが可能に接続されている。また、サーバコンピュータ11は、各検体分析装置1の使用者の施設に設置されており、各検体分析装置1での精度管理検体の分析結果を集計して外部精度管理を実行したり、各検体分析装置1からの動作ログを収集してリモートメンテナンスを実行したりすることができる。
【0032】
図2は、検体容器の外観を示す斜視図である。図3は、サンプルラックの外観を示す斜視図である。図2に示すように、検体容器Tは管状をなしており、上端が開口している。内部には、例えば患者から採取した血液検体が収容され、上端の開口は蓋Cにより密封することができる。検体容器Tの側面には、検体を識別するバーコードが印刷されたバーコードラベルBL1が貼付されている。また図3に示すように、サンプルラックLは10本の検体容器Tを垂直状態(立位状態)で保持するように構成されている。サンプルラックLの側面には、サンプルラックLを識別するバーコードが印刷されたバーコードラベルBL2が貼付されている。
【0033】
図1の例に示す検体分析装置1は、4つの検体搬送装置3、3、・・・が、4つの測定ユニット5a、5b、5c、5dの前方(図1の紙面に向かって下方向)に配置されている。隣接する検体搬送装置3、3間では、サンプルラックLが受渡しされる。また、図1の紙面に向かって最も右側の検体搬送装置3は、検体投入装置2から搬出されたサンプルラックLの搬送を開始する。図1の紙面に向かって最も左側の検体搬送装置3は、検体収容装置4へサンプルラックLを搬送する。
【0034】
図4は、測定ユニット5及び検体搬送装置3の概略構成を示す模式図である。図4に示すように、検体搬送装置3は、測定前の検体を収容する検体容器Tを支持する複数のサンプルラックLを一時的に保持する分析前ラック保持部31と、分析後ラック保持部32と、サンプルラックLを矢印X方向へ直線移動させるラック搬送部33と、バーコードを読み取るバーコード読取部34と、分析後ラック保持部32へサンプルラックLを送出するラック送出部35と、サンプルラックLを矢印X方向へ移動させるラック移送部36と、サンプルラックLを分析前ラック保持部31へ送出するラック送出部37とを備えている。
【0035】
分析前ラック保持部31には、ラック送出部37の矢印Y方向への移動によりサンプルラックLが送出される。送出されたサンプルラックLがラック検出位置311に位置する場合、分析前ラック保持部31の両側面から内側へ向けてラック送込部312が突出することにより、サンプルラックLと係合する。ラック送込部312が、ラック搬送部33に近接する方向へ移動するに伴って、係合したサンプルラックLもラック搬送部33に近接する方向へ移動する。なお、サンプルラックLの位置はセンサ(図示せず)によって検出すれば良い。
【0036】
ラック搬送部33は、分析前ラック保持部31によって移送されたサンプルラックLをX方向へ(図4の紙面に向かって右から左へ)搬送する。検体供給位置331に搬送された検体容器Tは、測定ユニット5の把持部が検体容器Tを把持し、サンプルラックLから検体容器Tを取り出し、検体を吸引することにより、検体が測定ユニット5に供給され、検体容器TがサンプルラックLへ戻される。
【0037】
ラック送出部35は、ラック搬送部33を挟んで分析後ラック保持部32に対向するように配置されており、矢印Y方向に直線移動する。分析後ラック保持部32には、ラック送出部35の矢印Y方向への移動によりラック搬送部33からサンプルラックLが送出される。サンプルラックLが送出された場合、分析後ラック保持部32の両側面から内側へ向けてラック送込部321が突出することにより、サンプルラックLと係合する。ラック送込部321がラック移送部36に近接する方向へ移動するに伴って、係合したサンプルラックLもラック移送部36に近接する方向へ移動する。
【0038】
検体収容装置4は、複数のサンプルラックLを収容することができる。測定ユニット5、5、・・・にて検体の吸引を終了した検体容器Tを支持したサンプルラックLは、検体搬送装置3により搬送され、検体収容装置4に収容される。
【0039】
検体搬送装置3によるサンプルラックLの搬送は、検体搬送装置3にLAN7を介してデータ通信することが可能に接続された搬送制御装置8により制御される。すなわち、搬送制御装置8は、サンプルラックLの検体投入装置2による投入から検体搬送装置3による搬送、及び検体搬送装置3から検体収容装置4への収容を制御する。
【0040】
なお、検体投入装置2、検体搬送装置3、3、・・・、及び検体収容装置4は、それぞれ搬送制御装置8及び制御装置9とデータ通信することが可能に接続された制御部を備えていてもよい。この場合、搬送制御装置8は、どのサンプルラックLを、どのルートを介して、どの測定ユニット5に搬送するかを決定し、各制御部に指令する制御を実行し、各制御部は、決定されたルートに従ってサンプルラックLの搬送を制御する。
【0041】
図5は、本発明の実施の形態に係る搬送制御装置8の構成を示すブロック図である。図5に示すように、搬送制御装置8は、CPU81、RAM82、記憶装置83、入出力インタフェース84、ビデオインタフェース85、可搬型ディスクドライブ86、通信インタフェース87及び上述したハードウェアを接続する内部バス88で構成されている。
【0042】
CPU81は、内部バス88を介して搬送制御装置8の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置83に記憶されている搬送制御プログラム101に従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。RAM82は、SRAM、SDRAM等の揮発性メモリで構成され、搬送制御プログラム101の実行時にロードモジュールが展開され、搬送制御プログラム101の実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0043】
記憶装置83は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)、ROM等で構成されている。記憶装置83に記憶されている搬送制御プログラム101は、プログラム及びデータ等の情報を記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体80から、可搬型ディスクドライブ86によりダウンロードされ、実行時には記憶装置83からRAM82へ展開して実行される。もちろん、通信インタフェース87を介してネットワークに接続されている外部のコンピュータからダウンロードされたコンピュータプログラムであっても良い。
【0044】
通信インタフェース87は内部バス88に接続されており、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワークに接続されることにより、外部のコンピュータ等とデータ送受信を行うことが可能となっている。本実施の形態ではLAN7を介して制御装置9、検体搬送装置3、3、・・・等と接続されている。ネットワーク10を介してサーバコンピュータ11ともデータ送受信することが可能に接続されている。
【0045】
入出力インタフェース84は、キーボード、マウス等の入力部110と接続され、データの入力を受け付ける。また、ビデオインタフェース85は、CRTモニタ、LCD等の画像表示部120と接続され、所定の画像を表示する。
【0046】
サーバコンピュータ11は、搬送制御装置8と同様に構成されており、CPU、RAM、記憶装置、入出力インタフェース、ビデオインタフェース、可搬型ディスクドライブ、通信インタフェース及び上述したハードウェアを接続する内部バスで構成されている。
【0047】
複数の測定ユニット5、5、・・・は、同種類の構成であっても異種類の構成であっても良い。図1の例では、2つの測定ユニット5a、5cは同種の測定ユニットであるが、残りの測定ユニット5b、5dは異種の測定ユニットである。具体的には、測定ユニット5a、5cは、血球分析装置であり、例えば測定ユニット5aでは電気抵抗式の血球計数を、測定ユニット5cでは光学式の血球計数を、それぞれ実施して、血球の種類ごとに色分けされたスキャッタグラムを作成して、これを表示する。測定ユニット5bは、血液検体中のヘモグロビンA1c(HgbA1c)濃度を測定するヘモグロビン濃度測定装置であり、測定ユニット5dは、塗抹標本を作成する塗抹標本作成装置である。
【0048】
図4には、測定ユニット5が血球分析装置又はヘモグロビン濃度測定装置(測定ユニット5a、5b、5c)である場合の概略構成を記載している。測定ユニット5は、検体である血液を検体容器Tから吸引する検体吸引部51と、吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部55と、バーコード読取部56と、吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部52と、調製された測定試料から血球数等を検出する検出部53とを有している。
【0049】
検体容器搬送部55は、検体容器Tを把持する把持部54及び検体容器Tを挿入する穴部を有する検体容器セット部551を備えている。検体容器搬送部55では、サンプルラックLに収容されて検体供給位置331に位置する検体容器Tを、把持部54にて把持して矢印Y方向へ移動し、検体容器Tを検体容器セット部551の穴部に挿入する。そして、検体容器セット部551が移動し、バーコード読取部56でバーコードが読み取られ、検体吸引部51にて検体容器Tから検体が吸引される。
【0050】
試料調製部52では、検体容器Tから吸引された検体に、供給された試薬を加える等して試料を調製する。検出部53では、例えばWBC検出(白血球の検出)の場合、フローサイトメトリー方式によって調製された試料にレーザ光を照射し、試料中の白血球を検出する。検出結果は電気信号として制御装置9に送信される。
【0051】
図6は、測定ユニット5が塗抹標本作成装置である場合の構成例を示すブロック図である。図6に示すように、塗抹標本作製装置として使用する測定ユニット5dは、検体分注部511と、塗抹部512と、スライドガラス搬送部513と、染色部514とを備えている。
【0052】
検体分注部511は、図4に示した検体容器搬送部55、検体吸引部51等と同様に構成され、検体吸引部51に相当する吸引管(図示せず)にて検体容器Tから吸引した血液検体をスライドガラス上に滴下するように構成されている。塗抹部512は、スライドガラス上に滴下された血液検体を塗抹して乾燥させ、スライドガラスに識別情報を印字するように構成されている。
【0053】
スライドガラス搬送部513は、血液検体が塗抹されたスライドガラスを搬送用のカセットに収容する。染色部514は、カセットに収容されて染色位置に搬送されたスライドガラスに染色液を供給する。塗抹及び染色によって作成された塗抹標本は、血球画像表示装置(図示せず)にて処理される。したがって、塗抹標本を作成する測定ユニット5dでは、検体の検出は行われない。なお、測定ユニット5の種類はこれらに限定されるものではなく、尿分析装置、血液凝固測定装置、免疫分析装置、遺伝子増幅測定装置等であっても良いことは言うまでもない。
【0054】
図7は、本発明の実施の形態に係る検体分析装置1の測定ユニット5及び制御装置9の構成を示すブロック図である。図7の例では、血球分析装置である測定ユニット5aの構成例を示している。図7に示すように、測定ユニット5(5a)は、試料取得部50、試料取得部50を駆動させる駆動回路501、試料調製部52、試料調製部52を駆動させる駆動回路502、検出部53、検出部53を駆動させる駆動回路503、及び検出部53が出力する電気信号に対して波形処理を行う波形処理回路504を備えている。
【0055】
試料取得部50及び試料調製部52は、各々、駆動回路501及び駆動回路502がレジスタ505に記憶されている制御データに応じた制御信号を出力することにより駆動される。検出部53は、例えば取得した光信号から電気信号に変換し、波形処理回路504は、変換されて伝達された電気信号を増幅し、増幅した電気信号を波形処理する。レジスタ505は、波形処理された電気信号を記憶する。
【0056】
通信インタフェース506は、USBのシリアルインタフェースであり、制御装置9の通信インタフェース97との間をUSBケーブル20にて接続してある。これにより、USBケーブル20により接続された時点で、制御装置9は接続された測定ユニット5(5a)に関する情報を取得することができる。
【0057】
また、制御装置9は、CPU91、RAM92、記憶装置93、入出力インタフェース94、ビデオインタフェース95、可搬型ディスクドライブ96、通信インタフェース97及び上述したハードウェアを接続する内部バス98で構成されている。
【0058】
CPU91は、内部バス98を介して制御装置9の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置93に記憶されているコンピュータプログラム100に従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。RAM92は、SRAM、SDRAM等の揮発性メモリで構成され、コンピュータプログラム100の実行時にロードモジュールが展開され、コンピュータプログラム100の実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0059】
記憶装置93は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)、ROM等で構成されている。記憶装置93に記憶されているコンピュータプログラム100は、プログラム及びデータ等の情報を記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体90から、可搬型ディスクドライブ96によりダウンロードされ、実行時には記憶装置93からRAM92へ展開して実行される。もちろん、通信インタフェース97を介してネットワークに接続されている外部のコンピュータからダウンロードされたコンピュータプログラムであっても良い。
【0060】
通信インタフェース97は内部バス98に接続されており、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワークに接続されることにより、外部のコンピュータ等とデータ送受信を行うことが可能となっている。本実施の形態ではLAN7を介して搬送制御装置8、検体搬送装置3、3、・・・等と接続されている。ネットワーク10を介してサーバコンピュータ11ともデータ送受信することが可能に接続されている。
【0061】
入出力インタフェース94は、キーボード、マウス等の入力部130と接続され、データの入力を受け付ける。また、ビデオインタフェース95は、CRTモニタ、LCD等の表示部140と接続され、所定の画像を表示する。
【0062】
本実施の形態に係る検体分析装置1では、複数の測定ユニット5、5、・・・にて測定された測定データの分析結果を制御装置9が取得し、所定の分析結果を選択し、ネットワーク10を介してサーバコンピュータ11へ送信する。ネットワーク10を介してデータ通信することが可能に接続されていることから、サーバコンピュータ11あるいは他の外部コンピュータがコンピュータウイルスに感染していた場合、データ通信するデータによっては、制御装置9、搬送制御装置8、測定ユニット5、5、・・・を動作させるコンピュータプログラムにコンピュータウイルスが感染する可能性が高くなる。
【0063】
そこで、本実施の形態では、制御装置9及び搬送制御装置8にて不正プログラムが存在するか否かを判断し、不正プログラムが存在すると判断した場合には、出力される分析結果に信頼性が無いものと判断して種々の処理を実行するようにしている。不正プログラムが存在するか否かは、初期設定時に導入されているべきコンピュータプログラムのリスト以外にプログラムが存在するか否かで判断しても良いし、市販のウイルス検知プログラムを用いても良い。
【0064】
図8は、本発明の実施の形態に係る検体分析装置1の制御装置9のCPU91及び搬送制御装置8のCPU81の分析結果出力処理の手順を示すフローチャートである。図8において、本実施の形態に係る検体分析装置1の制御装置9のCPU91は、不正プログラムの検知を開始する(ステップS801)。具体的には、事前に導入されているプログラムリストを記憶装置93に記憶しておき、起動時に導入されているプログラム名を照会して、記憶装置93に記憶されていないプログラム名が存在するか否かを判断する。もちろん、市販のウイルス検知プログラムを起動させても良い。
【0065】
CPU91は、検体測定開始指示を受け付けたか否かを判断し(ステップS802)、CPU91が、検体測定開始指示を受け付けていないと判断した場合(ステップS802:NO)、CPU91は、待ち状態となる。CPU91が、検体測定開始指示を受け付けたと判断した場合(ステップS802:YES)、CPU91は、検体の搬送指示を搬送制御装置8へ送信する(ステップS803)。具体的には、制御装置9のスタートボタン等の押し下げにより、搬送指示を送信する。
【0066】
搬送制御装置8のCPU81は、不正プログラムの検知を開始する(ステップS811)。具体的には、事前に導入されているプログラムリストを記憶装置83に記憶しておき、起動時に導入されているプログラム名を照会して、記憶装置83に記憶されていないプログラム名が存在するか否かを判断する。もちろん、市販のウイルス検知プログラムを起動させても良い。
【0067】
CPU81は、検体の搬送指示を受信したか否かを判断し(ステップS812)、CPU81が、搬送指示を受信していないと判断した場合(ステップS812:NO)、CPU81は、待ち状態となる。CPU81が、搬送指示を受信したと判断した場合(ステップS812:YES)、CPU81は、記憶装置83に記憶されている搬送制御プログラム101に従って、検体の搬送を開始する(ステップS813)。
【0068】
制御装置9のCPU91は、不正プログラムの存在を検知したか否かを判断し(ステップS804)、CPU91が、不正プログラムの存在を検知したと判断した場合(ステップS804:YES)、CPU91は、不正プログラムを検知した旨を示す情報を搬送制御装置8へ送信する(ステップS805)。CPU91が、不正プログラムの存在を検知していないと判断した場合(ステップS804:NO)、CPU91は、搬送制御装置8から不正プログラムを検知した旨を示す情報を受信したか否かを判断する(ステップS806)。CPU91が、搬送制御装置8から不正プログラムを検知した旨を示す情報を受信していないと判断した場合(ステップS806:NO)、CPU91は、処理をステップS804へ戻して上述した処理を繰り返す。
【0069】
搬送制御装置8のCPU81は、不正プログラムの存在を検知したか否かを判断し(ステップS814)、CPU81が、不正プログラムの存在を検知したと判断した場合(ステップS814:YES)、CPU81は、不正プログラムを検知した旨を示す情報を制御装置9へ送信する(ステップS815)。CPU81が、不正プログラムの存在を検知していないと判断した場合(ステップS814:NO)、CPU81は、制御装置9から不正プログラムを検知した旨を示す情報を受信したか否かを判断する(ステップS816)。CPU81が、制御装置9から不正プログラムを検知した旨を示す情報を受信していないと判断した場合(ステップS816:NO)、CPU81は、処理をステップS814へ戻して上述した処理を繰り返す。
【0070】
制御装置9のCPU91が、搬送制御装置8から不正プログラムを検知した旨を示す情報を受信したと判断した場合(ステップS806:YES)、CPU91は、ネットワーク10との接続を切断し(ステップS807)、検体測定開始指示の受け付けを停止する(ステップS808)。CPU91は、検知された不正プログラムを削除し(ステップS809)、表示部140に警告情報を表示する(ステップS810)。
【0071】
また、搬送制御装置8のCPU81が、制御装置9から不正プログラムを検知した旨を示す情報を受信したと判断した場合(ステップS816:YES)、CPU81は、検体の搬送を中断し(ステップS817)、ネットワーク10との接続を切断する(ステップS818)。CPU81は、検知された不正プログラムを削除し(ステップS819)、画像表示部120に警告情報を表示する(ステップS820)。
【0072】
図9は、制御装置9の表示部140又は搬送制御装置8の画像表示部120に表示される警告情報表示画面の例示図である。図9に示すように、不正プログラムがコンピュータウイルスであった場合、コンピュータウイルスが検知された旨のメッセージ、及び以後の指示の入力を促すメッセージが表示される。「測定中止」ボタン92がマウス等でクリック操作された場合、測定処理を中止する。「検索後、測定再開」ボタン91がマウス等でクリック操作された場合、測定環境を整えた上で測定処理を再開する。
【0073】
図10は、本発明の実施の形態に係る検体分析装置1の制御装置9のCPU91及び搬送制御装置8のCPU81の測定再開処理の手順を示すフローチャートである。図10において、本実施の形態に係る検体分析装置1の制御装置9のCPU91は、例えば図4に示した測定ユニット5の検体吸引部51にて吸引され、分析結果の出ていない検体が有るか否かを判断する(ステップS1001)。斯かる判断処理は接続線6、すなわちUSBケーブルを介して実行することができるので、LAN7を介してネットワーク10との接続が切断されている場合であっても実行することが可能である。
【0074】
CPU91が、吸引され、分析結果の出ていない検体が有ると判断した場合(ステップS1001:YES)、CPU91は、該検体についての測定及び分析を続行する指示を測定ユニット5、5、・・・へ送信し(ステップS1002)、分析結果に警告情報を付加する(ステップS1003)。CPU91が、吸引され、分析結果の出ていない検体が無いと判断した場合(ステップS1001:NO)、CPU91は、ステップS1002及びS1003をスキップし、再度不正プログラムの検知を開始する(ステップS1004)。なお、CPU91が、吸引され、分析結果の出ていない検体が有ると判断した場合(ステップS1001:YES)、CPU91は、分析結果の出力自体を停止しても良い。また、測定処理を中止することによって分析結果を取得することができないようにしても良い。
【0075】
CPU91は、不正プログラムの存在を検知したか否かを判断し(ステップS1005)、CPU91が、不正プログラムの存在を検知したと判断した場合(ステップS1005:YES)、CPU91は、再度不正プログラムを検知した、すなわち不正プログラムが削除されていないと判断し、表示部140に警告情報を表示する(ステップS1006)。
【0076】
一方、搬送制御装置8のCPU81も、再度不正プログラムの検知を開始する(ステップS1010)。CPU81は、不正プログラムの存在を検知したか否かを判断し(ステップS1011)、CPU81が、不正プログラムの存在を検知したと判断した場合(ステップS1011:YES)、CPU81は、再度不正プログラムを検知した、すなわち不正プログラムが削除されていないと判断し、画像表示部120に警告情報を表示する(ステップS1012)。CPU81が、不正プログラムの存在を検知していないと判断した場合(ステップS1011:NO)、CPU81は、ネットワーク10に再接続する(ステップS1013)。
【0077】
制御装置9のCPU91が、不正プログラムの存在を検知していないと判断した場合(ステップS1005:NO)、CPU91は、ネットワーク10に再接続して(ステップS1007)、搬送制御装置8がネットワーク10に接続されているか否かを判断する(ステップS1008)。CPU91が、搬送制御装置8がネットワーク10に接続されていないと判断した場合(ステップS1008:NO)、CPU91は、待ち状態となる。
【0078】
CPU91が、搬送制御装置8がネットワーク10に接続されていると判断した場合(ステップS1008:YES)、CPU91は、検体の測定開始指示の受け付けを再開し(ステップS1009)、処理を終了する。
【0079】
搬送制御装置8のCPU81は、制御装置9がネットワーク10に接続されているか否かを判断する(ステップS1014)。CPU81が、制御装置9がネットワーク10に接続されていないと判断した場合(ステップS1014:NO)、CPU81は、待ち状態となる。
【0080】
CPU81が、制御装置9がネットワーク10に接続されていると判断した場合(ステップS1014:YES)、CPU81は、検体を直近のバーコード読取部34へ搬送する(ステップS1015)。CPU81は、検体IDをバーコード読取部34で読み取ることにより検体ごとに現在の搬送位置を確認することができ、位置の誤認による誤搬送を防止することができる。CPU81は、検体の位置の確認を完了した後、検体の搬送を再開して(ステップS1016)、処理を終了する。
【0081】
図11は、制御装置9の表示部140に表示される警告情報付与時の分析結果表示画面の例示図である。図11は、図10のステップS1003にて表示される画面であり、不正プログラム(コンピュータウイルス)を検知した旨を示すメッセージを示すとともに、検体を識別する検体IDごとに表示される分析結果の数値に対して、不正プログラム検知後の分析結果である旨を示す警告マークを付与して表示している。
【0082】
図12は、制御装置9の表示部140又は搬送制御装置8の画像表示部120に表示される警告情報表示画面の例示図である。図12は、図10のステップS1006及びステップS1012にて表示される画面であり、不正プログラムの削除処理を実行したにもかかわらず、再度不正プログラムが検知されていることから、処理を続行すること無くカスタマーサポートによる処理を促すメッセージを表示している。
【0083】
なお、不正プログラムの検知をウイルス検知プログラムで実行した場合、コンピュータウイルスがいつから感染していたのか不明であることから、検知した時点で既に感染後に出力した分析結果が存在する可能性がある。したがって、不正プログラムを検知した時点よりも所定期間前に出力された分析結果に警告情報を付加しても良い。所定期間は特に限定されるものではなく、1時間、1日等任意の期間で有れば足りるが、使用者により設定することが可能であることが望ましい。また、不正プログラムの検知時間をタイムスタンプで記録しておき、前回不正プログラムを検知しなかった時刻まで遡って出力された分析結果に警告情報を付加しても良い。
【0084】
以上のように本実施の形態によれば、検体分析装置1にてコンピュータウイルスのような不正プログラムが検知された場合、不正プログラムが検知された後に取得した測定データの分析結果の出力を停止する、又は警告情報を付加することにより、検体分析装置の使用者が、信頼性が低いことを認識することなく分析結果を報告することを未然に防止することが可能となる。
【0085】
上述した実施の形態では、複数の測定ユニット5、5、・・・に搬送装置3、3、・・・が接続されている検体分析装置1が開示されているが、単一の測定ユニット5に搬送装置3が接続されていても良いし、搬送装置を備えていなくても良い。また、制御装置9を測定ユニット5に組み込み、一体化しても良い。さらに、血球分析装置に限定されるものではなく、免疫分析装置、血液凝固測定装置、生化学分析装置、尿分析装置等に適用することができることは言うまでもない。
【0086】
また、上述した実施の形態では、検体分析装置1は、ネットワーク10に接続することが可能な形態で構成されているが、近年では、USBメモリ等の可搬型メモリを介してコンピュータウイルスに感染するリスクもある。したがって、検体分析装置1は、必ずしもネットワークに接続することが可能な形態で構成されている必要はない。
【0087】
また、上述した実施の形態では、不正プログラム検知の有無の判断(ステップS804及びS814)を、検体測定開始の指示を受け付けた後に開始しているが、不正プログラム検知の有無の判断を、検体測定開始の指示を受け付ける前に開始するようにしても良い。
【0088】
その他、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変形、置換等が可能である。例えば搬送制御装置8及び制御装置9を複数備えていても良いし、ネットワーク構成は特に制約を受けるものではない。また、搬送制御装置8と制御装置9との機能を備えた一の制御コンピュータを用いても良いことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の形態に係る検体分析装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】検体容器の外観を示す斜視図である。
【図3】サンプルラックの外観を示す斜視図である。
【図4】測定ユニット及び検体搬送装置の概略構成を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る搬送制御装置の構成を示すブロック図である。
【図6】測定ユニットが塗抹標本作成装置である場合の構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る検体分析装置の測定ユニット及び制御装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る検体分析装置の制御装置のCPU及び搬送制御装置のCPUの分析結果出力処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】制御装置の表示部又は搬送制御装置の画像表示部に表示される警告情報表示画面の例示図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る検体分析装置の制御装置のCPU及び搬送制御装置のCPUの測定再開処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】制御装置の表示部に表示される警告情報付与時の分析結果表示画面の例示図である。
【図12】制御装置の表示部又は搬送制御装置の画像表示部に表示される警告情報表示画面の例示図である。
【符号の説明】
【0090】
1 検体分析装置
2 検体投入装置
3 検体搬送装置(搬送装置)
4 検体収容装置
5、5a、5b、5c、5d 測定ユニット
6 接続線
7 LAN
8 搬送制御装置
9 制御装置
11 サーバコンピュータ
81、91 CPU
82、92 RAM
83、93 記憶装置
84、94 入出力インタフェース
85、95 ビデオインタフェース
86、96 可搬型ディスクドライブ
87、97 通信インタフェース
88、98 内部バス
100 コンピュータプログラム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を測定して測定データを出力する測定ユニットと、
該測定ユニットから出力された測定データの分析結果を取得する分析結果取得手段と、
取得した分析結果を出力する出力手段と、
不正プログラムを検知する不正プログラム検知手段と、
該不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、検知後に前記分析結果取得手段で取得した分析結果の出力を制限する出力制限手段と
を備えることを特徴とする検体分析装置。
【請求項2】
前記出力制限手段は、
前記不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、検知後に前記分析結果取得手段で取得した分析結果に、前記不正プログラムが検知された旨を示す警告情報を付加して前記出力手段にて出力することを特徴とする請求項1記載の検体分析装置。
【請求項3】
前記出力制限手段は、
前記不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、検知後に前記分析結果取得手段で取得した分析結果の前記出力手段での出力を停止することを特徴とする請求項1記載の検体分析装置。
【請求項4】
前記測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置を備え、
前記不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、前記搬送装置による検体の供給を停止する供給停止手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の検体分析装置。
【請求項5】
前記供給停止手段で検体の供給を停止した状態で不正プログラムを検知する停止後不正プログラム検知手段と、
該停止後不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知されない場合、前記搬送装置による検体の供給を再開する供給再開手段と
を備えることを特徴とする請求項4記載の検体分析装置。
【請求項6】
前記不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、ネットワークとの接続を切断する切断手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の検体分析装置。
【請求項7】
前記切断手段でネットワークとの接続を切断した状態で不正プログラムを検知する切断後不正プログラム検知手段と、
該切断後不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知されない場合、ネットワークと再接続する再接続手段と
を備えることを特徴とする請求項6記載の検体分析装置。
【請求項8】
前記測定ユニットによる検体の測定開始指示を受け付ける開始指示受付手段と、
前記不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、前記開始指示受付手段による測定開始指示の受け付けを停止する開始指示受付停止手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の検体分析装置。
【請求項9】
外部の機器とデータ通信することが可能にネットワーク接続ができるようにしてあることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の検体分析装置。
【請求項10】
検体を測定して測定データを出力する測定ユニットを備える検体分析装置で実行することが可能な検体分析方法であって、
前記測定ユニットから出力された測定データの分析結果を取得し、
取得した分析結果を出力し、
不正プログラムを検知し、
不正プログラムが検知された場合、検知後に取得した分析結果の出力を制限することを特徴とする検体分析方法。
【請求項11】
検体を測定して測定データを出力する測定ユニットを備える検体分析装置で実行することが可能なコンピュータプログラムあって、
前記検体分析装置を、
前記測定ユニットから出力された測定データの分析結果を取得する分析結果取得手段、
取得した分析結果を出力する出力手段、
不正プログラムを検知する不正プログラム検知手段、及び
該不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、検知後に前記分析結果取得手段で取得した分析結果の出力を制限する出力制限手段
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項1】
検体を測定して測定データを出力する測定ユニットと、
該測定ユニットから出力された測定データの分析結果を取得する分析結果取得手段と、
取得した分析結果を出力する出力手段と、
不正プログラムを検知する不正プログラム検知手段と、
該不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、検知後に前記分析結果取得手段で取得した分析結果の出力を制限する出力制限手段と
を備えることを特徴とする検体分析装置。
【請求項2】
前記出力制限手段は、
前記不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、検知後に前記分析結果取得手段で取得した分析結果に、前記不正プログラムが検知された旨を示す警告情報を付加して前記出力手段にて出力することを特徴とする請求項1記載の検体分析装置。
【請求項3】
前記出力制限手段は、
前記不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、検知後に前記分析結果取得手段で取得した分析結果の前記出力手段での出力を停止することを特徴とする請求項1記載の検体分析装置。
【請求項4】
前記測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置を備え、
前記不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、前記搬送装置による検体の供給を停止する供給停止手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の検体分析装置。
【請求項5】
前記供給停止手段で検体の供給を停止した状態で不正プログラムを検知する停止後不正プログラム検知手段と、
該停止後不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知されない場合、前記搬送装置による検体の供給を再開する供給再開手段と
を備えることを特徴とする請求項4記載の検体分析装置。
【請求項6】
前記不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、ネットワークとの接続を切断する切断手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の検体分析装置。
【請求項7】
前記切断手段でネットワークとの接続を切断した状態で不正プログラムを検知する切断後不正プログラム検知手段と、
該切断後不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知されない場合、ネットワークと再接続する再接続手段と
を備えることを特徴とする請求項6記載の検体分析装置。
【請求項8】
前記測定ユニットによる検体の測定開始指示を受け付ける開始指示受付手段と、
前記不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、前記開始指示受付手段による測定開始指示の受け付けを停止する開始指示受付停止手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の検体分析装置。
【請求項9】
外部の機器とデータ通信することが可能にネットワーク接続ができるようにしてあることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の検体分析装置。
【請求項10】
検体を測定して測定データを出力する測定ユニットを備える検体分析装置で実行することが可能な検体分析方法であって、
前記測定ユニットから出力された測定データの分析結果を取得し、
取得した分析結果を出力し、
不正プログラムを検知し、
不正プログラムが検知された場合、検知後に取得した分析結果の出力を制限することを特徴とする検体分析方法。
【請求項11】
検体を測定して測定データを出力する測定ユニットを備える検体分析装置で実行することが可能なコンピュータプログラムあって、
前記検体分析装置を、
前記測定ユニットから出力された測定データの分析結果を取得する分析結果取得手段、
取得した分析結果を出力する出力手段、
不正プログラムを検知する不正プログラム検知手段、及び
該不正プログラム検知手段にて不正プログラムが検知された場合、検知後に前記分析結果取得手段で取得した分析結果の出力を制限する出力制限手段
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−133839(P2010−133839A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310428(P2008−310428)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
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