説明

検体分析装置および検体分析システム

【課題】検体に対する処理を効率的に行うことが可能な検体分析装置および検体分析システムを提供する。
【解決手段】検体分析装置1は、検体を測定する第1測定装置11と第2測定装置12と、複数の検体容器51を保持した検体ラック50を搬送する搬送装置20を備える。搬送装置20には、第1測定装置11に検体を供給する第1供給位置26aと、第2測定装置12に検体を供給する第2供給位置26bが設定されている。第1供給位置26aと第2供給位置26bの距離は、検体ラック50に保持された隣接する検体容器51の距離の倍数に設定される。これにより、検体ラック50の異なる2つの保持部に保持された検体容器51を、第1供給位置26aと第2供給位置26bに同時に位置付けることができるため、2つの検体を同時に処理することができ、検体に対する処理を効率的に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿や血液等の検体に対し、検査・分析等の所定の処理を行う検体分析装置および検体分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の分析装置と、該複数の分析装置に検体を搬送する搬送装置と、を備えた検体分析システムが知られている。
【0003】
このような検体分析システムとして、例えば、特許文献1には、尿中成分検査装置と、尿沈渣検査装置と、これら装置に検体を直線的に搬送する試料搬送装置とを備えた尿沈渣検査システムが開示されている。尿中成分検査装置と尿沈渣検査装置は、それぞれ、試料搬送装置上の所定の位置に位置付けられた検体に対して処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−49346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の尿沈渣検査システムでは、尿中成分検査装置によって試料搬送装置上の所定の位置で処理された検体は、搬送装置上を搬送された後、下流側の尿沈渣検査装置によって試料搬送装置上の所定の位置で処理される。この場合、上流側の尿中成分検査装置にて検体処理を行いながら、同時に、下流側の尿沈渣検査装置で他の検体を処理できれば、検体に対する処理を効率的に行える。しかしながら、特許文献1には、そのための構成が開示されていない。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、検体に対する処理を効率的に行うことが可能な検体分析装置および検体分析システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、複数の検体容器を保持したラックを搬送し、検体を分析する検体分析装置に関する。本態様に係る検体分析装置は、検体を測定する第1測定装置と、前記第1測定装置に対して搬送方向下流側に配置され、検体を測定する第2測定装置と、前記第1測定装置に検体を供給する第1供給位置と前記第2測定装置に検体を供給する第2供給位置とに検体を搬送する搬送装置と、を備える。ここで、前記搬送装置は、前記第1供給位置から前記第2供給位置まで直線的にラックを搬送するとともに、前記第1供給位置と前記第2供給位置の距離は、ラックに保持された隣接する検体容器間の距離の倍数である。
【0008】
本態様に係る検体分析装置によれば、第1供給位置と第2供給位置の距離は、ラックに保持された隣接する検体容器間の距離の倍数であるので、一の検体を第1供給位置まで搬送すると、それと同時に他の検体を第2供給位置に位置付けることができる。従って、2つの検体を同時に処理することができるため、検体に対する処理を効率的に行うことができる。
【0009】
本態様に係る検体分析装置において、前記搬送装置は、共通の搬送機構により、一の検体を前記第1供給位置に搬送するとともに、他の検体を前記第2供給位置に搬送する構成
とされ得る。こうすると、検体分析装置の構成を簡略化することができる。
【0010】
また、本態様に係る検体分析装置において、前記第1供給位置と前記第2供給位置の距離は、1つのラックに保持された一端の検体容器から他端の検体容器までの距離以下であるよう構成され得る。こうすると、第1供給位置と第2供給位置との距離を小さくすることができ、第2測定装置による測定結果または解析結果を迅速に取得することができる。また、検体分析装置を小型化することができる。
【0011】
また、本態様に係る検体分析装置において、前記第1測定装置の測定結果に基づいて、前記第2測定装置による測定が必要であるか否かを判定する判定手段をさらに備えるよう構成され得る。
【0012】
この場合に、前記第1供給位置と前記第2供給位置の距離は、検体が前記第1測定装置に供給されてから前記判定手段による判定が可能となるまでに該検体が搬送される距離以上に設定され得る。こうすると、第2供給位置に検体が到着したときには、判定手段による判定が可能となっているため、第2供給位置での検体の処理を迅速かつ円滑に行うことができる。
【0013】
または、この場合に、前記搬送装置は、前記判定手段により、前記第2測定装置による測定が必要であるか否かが判定されるまで、前記第2供給位置の下流に判定対象の検体を搬送しないよう構成され得る。こうすると、第2供給位置に検体が到着したときに、たとえば、判定手段による判定が可能となっていなくても、第2供給位置に位置付けられている検体のうち、第2測定装置で測定の必要がある検体が吸引されずに下流側へ搬送されることを防ぐことができる。
【0014】
また、本態様に係る検体分析装置において、前記第1測定装置は、前記第1供給位置に存在する検体を吸引するように構成されており、前記第2測定装置は、前記第2供給位置に存在する検体を吸引するように構成され得る。
【0015】
また、本態様に係る検体分析装置において、前記第1測定装置は、尿定性測定装置であり、前記第2測定装置は、尿沈渣測定装置であるよう構成され得る。
【0016】
本発明の第2の態様は、検体分析システムに関する。本態様に係る検体分析システムは、複数の検体容器を保持したラックを搬送し、検体を分析する検体分析装置と、前記検体分析装置と通信可能なコンピュータと、を備える。前記検体分析装置は、検体を測定する第1測定装置と、前記第1測定装置に対して搬送方向下流側に配置され、検体を測定する第2測定装置と、前記第1測定装置に検体を供給する第1供給位置と前記第2測定装置に検体を供給する第2供給位置とに検体を搬送する搬送装置と、を備える。ここで、前記搬送装置は、前記第1供給位置から前記第2供給位置まで直線的にラックを搬送するとともに、前記第1供給位置と前記第2供給位置の距離は、ラックに保持された隣接する検体容器間の距離の倍数である。前記コンピュータは、前記第1測定装置の測定結果に基づいて、前記第2測定装置による測定が必要であるか否かを判定する判定手段を備える。本態様に係る検体分析システムによれば、第1の態様の検体分析装置と同様、検体に対する処理を効率的に行うことができる。
【0017】
第2の態様に係る検体分析システムにおいて、前記第1供給位置と前記第2供給位置の距離は、検体が前記第1測定装置に供給されてから前記判定手段による判定が完了するまでに該検体が搬送される距離以上に設定され得る。こうすると、第2供給位置に検体が到着したときには、判定手段による判定が完了しているため、第2供給位置での検体の処理を迅速かつ円滑に行うことができる。
【0018】
なお、上記の各態様において「前記第1供給位置と前記第2供給位置の距離は、ラックに保持された隣接する検体容器間の距離の倍数である」とは、前記第1供給位置と前記第2供給位置の距離が、厳密にラックに保持された隣接する検体容器間の距離の倍数であることを意味するものではない。ラックや検体容器の寸法の誤差などにより、第1供給位置と第2供給位置の距離がラックに保持された隣接する検体容器間の距離の倍数と厳密に一致しなくても、第1供給位置と第2供給位置において2つの検体を同時に処理することができれば、「前記第1供給位置と前記第2供給位置の距離は、ラックに保持された隣接する検体容器間の距離の倍数である」という概念に包含される。
【0019】
本発明の第3の態様は、複数の検体容器を保持したラックを搬送し、検体を分析する検体分析装置に関する。本態様に係る検体分析装置は、検体を測定する第1測定装置と、前記第1測定装置に対して搬送方向下流側に配置され、検体を測定する第2測定装置と、前記第1測定装置に検体を供給する第1供給位置と前記第2測定装置に検体を供給する第2供給位置とに検体を搬送する搬送装置と、を備える。ここで、前記搬送装置は、前記第1供給位置から前記第2供給位置まで直線的にラックを搬送するとともに、前記第1供給位置と前記第2供給位置の距離は、1つのラックに保持された一端の検体容器から他端の検体容器までの距離以下である。
【0020】
本態様に係る検体分析装置によれば、第1供給位置と第2供給位置の距離は、1つのラックに保持された一端の検体容器から他端の検体容器までの距離以下であるので、第1供給位置と第2供給位置との距離を小さくすることができ、第2測定装置による測定結果または解析結果を迅速に取得することができる。
【0021】
本発明の第4の態様は、複数の検体容器を保持したラックを搬送し、検体を分析する検体分析装置に関する。本態様に係る検体分析装置は、検体を測定する第1測定装置と、前記第1測定装置に対して搬送方向下流側に配置され、検体を測定する第2測定装置と、前記第1測定装置に検体を供給する第1供給位置と、前記第2測定装置に検体を供給する第2供給位置と、に検体を搬送する搬送装置と、を備える。ここで前記搬送装置は、複数のラックを互いに隣接させた状態で前記第1供給位置から前記第2供給位置まで直線的に搬送し、さらに前記搬送装置は、前記複数のラックのうち第1のラックに保持された検体を前記第1供給位置に、前記複数のラックのうち前記第1のラックより搬送方向下流側にある第2のラックに保持された検体を前記第2供給位置に、それぞれ同時に位置づける。
【0022】
本態様に係る検体分析装置によれば、第1のラック上の一の検体を第1供給位置まで搬送すると、それと同時に第2のラック上の他の検体を第2供給位置に位置付けることができる。従って、2つの検体を同時に処理することができるため、検体に対する処理を効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のとおり、本発明によれば、検体に対する処理を効率的に行うことが可能な検体分析装置および検体分析システムを提供することができる。
【0024】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態により何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施の形態に係る検体分析装置を含むシステム全体の構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係る搬送装置を上から見た場合の構成を示す平面図である。
【図3】実施の形態に係る第1供給位置と第2供給位置との距離を示す図である。
【図4】実施の形態に係る第1測定装置、第2測定装置、搬送装置およびホストコンピュータの回路構成を示す図である。
【図5】実施の形態に係る情報処理装置の回路構成を示す図である。
【図6】実施の形態に係る第1測定装置の測定処理および搬送処理を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態に係る第2測定装置の測定処理を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態に係る第2測定装置のコマンド送信処理および情報処理装置のオーダ処理を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態に係る情報処理装置の表示処理を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態に係るホストコンピュータのオーダ決定処理およびオーダ回答処理を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態に係る第1供給位置と第2供給位置との距離の設定方法を説明する図である。
【図12】実施の形態に係る第1供給位置と第2供給位置との距離の変更例を示す図である。
【図13】実施の形態の変更例に係る情報処理装置の表示処理およびオーダ生成処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本実施の形態は、尿蛋白、尿糖等の検査(尿定性の検査)、および、尿中に含まれる赤血球、白血球、上皮細胞等の検査(尿沈渣の検査)を行う臨床検体分析装置に本発明を適用したものである。尿沈渣の検査は、尿定性の検査が行われた結果、さらに尿沈渣の検査が必要であるとされた検体について行われる。本実施の形態では、異なる検体を収容する複数の検体容器がラックにセットされ、このラックが検体分析装置にセットされて各検体の検査が行われる。
【0027】
以下、本実施の形態に係る検体分析装置について、図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、検体分析装置1を含むシステム全体の構成を示す図である。本実施の形態に係る検体分析装置1は、検体測定装置10と、搬送装置20と、情報処理装置30からなっている。
【0029】
検体測定装置10は、尿定性の検査を行う第1測定装置11と、尿沈渣の検査を行う第2測定装置12からなっている。第1測定装置11と第2測定装置12とは、互いに通信可能に接続されている。また、第1測定装置11と第2測定装置12は、それぞれ、情報処理装置30と通信可能に接続されている。さらに、第1測定装置11は、搬送装置20と通信可能に接続されている。
【0030】
搬送装置20は、第1測定装置11および第2測定装置12に共通の単一ユニットである。搬送装置20は、検体測定装置10の前面に装着されており、搬送路21を備えている。搬送路21は、搬送装置20上面よりも一段低い平板状の底面を有している。搬送路21上を搬送される検体ラック50には、10本の検体容器51を保持できるよう10個の保持部が形成されている。検体容器51は、検体ラック50の保持部に保持されることにより、検体ラック50とともに搬送路21上を搬送される。検体容器51の側面には、検体を特定するためのバーコードラベル(図示せず)が貼付されている。情報処理装置30は、通信回線を介してホストコンピュータ40と通信可能に接続されている。
【0031】
図2は、搬送装置20を上から見た場合の構成を示す平面図である。
【0032】
搬送装置20は、搬送路21と、透過型のセンサ22a、22bと、ベルト23、28と、押出し機構24と、横送りセンサ25a、25bと、反射型のセンサ27a、27bとを含んでいる。搬送路21は、右槽領域21aと、左槽領域21bと、連結領域21cを有し、右槽領域21aと左槽領域21bとは、連結領域21cによって連結されている。
【0033】
透過型のセンサ22a、22bは、発光部と受光部からなり、右槽領域21a上の手前側(Y軸負方向の端)に位置付けられた検体ラック50を検出する。センサ22a、22bの出力信号により、ユーザによって右槽領域21aの手前側に検体ラック50が載置されたことが検出される。ベルト23は、右槽領域21aに設置され、右槽領域21aに載置された検体ラック50を、Y軸正方向に移動させ、右槽領域21aの奥側(Y軸正方向の端)に位置付ける。
【0034】
押出し機構24は、搬送路21よりも奥側に駆動部(図示せず)を備え、右槽領域21aの右奥から左槽領域21bの左奥まで、左右(X軸方向)に、押出し用の爪が移動するよう構成されている。図2には、押出し機構24の爪のみが図示されている。押出し機構24が検体ラック50の右端側面を押すことにより、右槽領域21aの奥側に位置付けられた検体ラック50は、連結領域21cを経由して、左槽領域21bの奥側まで移動される。なお、連結領域21c付近における検体ラック50の搬送処理は、後述するように、第1測定装置11と第2測定装置12の測定動作の状況に合わせて、適宜行われる。
【0035】
バーコードリーダ116は、バーコードリーダ116の手前(Y軸負方向)に位置付けられた検体容器51に貼付されたバーコードラベルからバーコード情報を読み出す。なお、バーコードリーダ116は、後述するように第1測定装置11の制御部により制御されている。
【0036】
横送りセンサ25a、25bは、それぞれ、搬送路21(連結領域21c)の底面から上方向(Z軸正方向)に僅かに突出したツメを有している。検体ラック50が右から左(X軸正方向)に移動すると、検体ラック50の底面に検体容器51の保持部の間隔ごとに形成された開口部分と非開口部分により、横送りセンサ25a、25bのツメが、搬送路21の底面から突出した状態と突出していない状態とに変化する。これにより、押出し機構24が移動した距離と、検体ラック50が移動した距離が一致しているか否かが適宜判定される。
【0037】
第1供給位置26aと第2供給位置26bは、それぞれ、第1測定装置11と第2測定装置12により、検体容器51に収容された検体が吸引される位置である。たとえば、図2に破線で示すように、連結領域21cに検体ラック50が位置づけられる。第1供給位置26aと第2供給位置26bとの距離は、検体ラック50の左端(同図X軸正方向の端)の保持部に保持される検体容器51と、右端(同図X軸負方向の端)の保持部に保持される検体容器51との距離以下に設定されている。また、1つの検体ラック50の異なる2つの保持部に保持される検体容器51が、第1供給位置26aと第2供給位置26bに同時に位置付けられるよう、第1供給位置26aと第2供給位置26bとの間隔が設定されている。
【0038】
図3は、第1供給位置26aと第2供給位置26bとの距離を示す図である。なお、検体ラック50に保持される隣接する検体容器51間の距離は、何れもdに設定されている。
【0039】
同図(a)に示す如く、本実施の形態では、第1供給位置26aと第2供給位置26bとの距離は6dに設定されている。このように、第1供給位置26aと第2供給位置26
bとの距離がdの倍数となるように設定されると、1つの検体ラック50の異なる2つの保持部に保持される検体容器51を、第1供給位置26aと第2供給位置26bに同時に位置付けることができる。
【0040】
なお、同図(b)および(c)に示す如く、第1供給位置26aと第2供給位置26bとの距離が、たとえば、dおよび9dに設定されても良い。この場合も、1つの検体ラック50の異なる2つの保持部に保持される検体容器51を、第1供給位置26aと第2供給位置26bに同時に位置付けることができる。
【0041】
図2に戻って、第1測定装置11により測定が行われる場合、第1供給位置26aに位置付けられた検体容器51に、第1測定装置11に備えられたノズル(図示せず)が挿入される。続いて、かかるノズルにより検体容器51に収容された検体が吸引される。吸引された検体は、第1測定装置11内で測定される。吸引が完了すると、かかるノズルが検体容器51から抜き出され、この検体容器51を保持する検体ラック50が、押出し機構24により左方向に移動される。
【0042】
また、第2測定装置12により測定が行われる場合も、同様に、第2供給位置26bに位置付けられた検体容器51に、第2測定装置12に備えられたノズル(図示せず)が挿入される。続いて、かかるノズルにより検体容器51に収容された検体が吸引される。吸引された検体は、第2測定装置12内で測定される。吸引が完了すると、かかるノズルが検体容器51から抜き出され、この検体容器51を保持する検体ラック50が、押出し機構24により左方向に移動される。
【0043】
反射型のセンサ27a、27bは、それぞれ、反射型のセンサ27a、27bの手前(Y軸正方向)に位置付けられた検体ラック50の検体容器51を保持するための保持部に、検体容器51が保持されているか否かを検出する。これにより、バーコードリーダ116でバーコード情報を読み出した検体容器51が、再度吸引前に、該当する検体ラック50の保持部に保持されているかを確認することができる。
【0044】
ベルト28は、左槽領域21bに設置されており、左槽領域21bの奥側(Y軸正方向の端)に位置付けられている検体ラック50を、Y軸負方向に移動させ、左槽領域21bの手前(Y軸負方向の端)に位置付ける。こうして、左槽領域21bの手前に位置付けられた検体ラック50は、ユーザにより取り出される。
【0045】
図4は、第1測定装置11と、第2測定装置12と、搬送装置20と、ホストコンピュータ40の回路構成を示す図である。
【0046】
第1測定装置11は、制御部111と、通信部112と、吸引部113と、試験紙供給部114と、検出部115と、バーコードリーダ116を含んでいる。制御部111は、CPU111aと記憶部111bを有している。CPU111aは、記憶部111bに記憶されているコンピュータプログラムを実行すると共に、第1測定装置11の各部を制御する。また、CPU111aは、通信部112を介して、搬送装置20の各部を制御する。記憶部111bは、ROM、RAM、ハードディスク等の記憶手段を備える。
【0047】
通信部112は、制御部111からの信号を処理して、第2測定装置12と、搬送装置20と、情報処理装置30に出力すると共に、第2測定装置12と、搬送装置20と、情報処理装置30からの信号を処理して制御部111に出力する。吸引部113は、第1供給位置26aに位置付けられている検体容器51内の検体を、第1測定装置11のノズルを介して吸引する。試験紙供給部114は、測定に必要な試験紙を、試験紙が収容されている試験紙フィーダから取り出し、取り出した試験紙に吸引部113により吸引された検
体を点着させる。検出部115は、検体が点着された試験紙を測定する。かかる測定により得られた測定結果は、制御部111に出力され、制御部111により解析される。バーコードリーダ116は、検体容器51に貼付されたバーコードラベルからバーコード情報を読み出し、制御部111に出力する。
【0048】
第2測定装置12は、制御部121と、通信部122と、吸引部123と、試料調製部124と、検出部125を含んでいる。制御部121は、CPU121aと記憶部121bを有している。CPU121aは、記憶部121bに記憶されているコンピュータプログラムを実行すると共に、第2測定装置12の各部を制御する。記憶部121bは、ROM、RAM、ハードディスク等の記憶手段を備える。
【0049】
通信部122は、制御部121からの信号を処理して、第1測定装置11と情報処理装置30に出力すると共に、第1測定装置11と情報処理装置30からの信号を処理して制御部111に出力する。吸引部123は、第2供給位置26bに位置付けられている検体容器51内の検体を、第2測定装置12のノズルを介して吸引する。試料調製部124は、吸引部123により吸引された検体と、測定に必要な試薬とを混合攪拌し、検出部125による測定用の試料を調製する。検出部125は、試料調製部124により調製された試料を測定する。かかる測定により得られた測定結果は、制御部121に出力される。
【0050】
搬送装置20は、通信部201と、搬送駆動部202と、センサ部203とを含んでいる。通信部201は、第1測定装置11からの信号を処理して、搬送装置20の各部に出力すると共に、搬送装置20の各部からの信号を処理して、第1測定装置11に出力する。
【0051】
搬送駆動部202は、第1測定装置11のCPU111aにより制御される。なお、搬送駆動部202には、図2で示した、ベルト23、28と、押出し機構24が含まれる。センサ部203は、各種センサからの出力信号を、通信部201を介して第1測定装置11に出力する。なお、センサ部203には、図2で示した、センサ22a、22bと、横送りセンサ25a、25bと、センサ27a、27bが含まれる。
【0052】
ホストコンピュータ40は、制御部401と通信部402を含んでいる。制御部401は、CPU401aと記憶部401bを有している。CPU401aは、記憶部401bに記憶されているコンピュータプログラムを実行すると共に、情報処理装置30からオーダの問い合わせがあると、記憶部401bに記憶しているオーダを返す。また、CPU401aは、情報処理装置30を介して第1測定装置11から受信した解析結果と、記憶部401bに記憶している測定要否の基準とに基づいて、第2測定装置12のオーダを決定する。記憶部401bは、ROM、RAM、ハードディスク等の記憶手段を備える。
【0053】
図5は、情報処理装置30の回路構成を示す図である。
【0054】
情報処理装置30は、パーソナルコンピュータからなり、本体300と、入力部310と、表示部320から構成されている。本体300は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、ハードディスク304と、読出装置305と、入出力インターフェース306と、画像出力インターフェース307と、通信インターフェース308を有する。
【0055】
CPU301は、ROM302に記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM303にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM303は、ROM302およびハードディスク304に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM303は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、
CPU301の作業領域としても利用される。
【0056】
ハードディスク304には、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU301に実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。すなわち、ハードディスク304には、第1測定装置11と第2測定装置12から送信された後述するオーダの問い合わせに基づいて、ホストコンピュータ40にオーダ問い合わせを行うプログラムや、ホストコンピュータ40から送信されたオーダを、第1測定装置11と第2測定装置12に送信するプログラム等がインストールされている。また、ハードディスク304には、第1測定装置11から送信された解析結果に基づいて表示部320に表示等を行うプログラムや、第2測定装置12から送信された測定結果を解析し、かかる解析結果に基づいて表示部320に表示等を行うプログラム等がインストールされている。
【0057】
読出装置305は、CDドライブまたはDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムおよびデータを読み出すことができる。入出力インターフェース306には、マウスやキーボードからなる入力部310が接続されており、ユーザが入力部310を使用することにより、情報処理装置30にデータが入力される。画像出力インターフェース307は、ディスプレイ等で構成された表示部320に接続されており、画像データに応じた映像信号を、表示部320に出力する。表示部320は、入力された映像信号をもとに、画像を表示する。また、通信インターフェース308により、第1測定装置11と、第2測定装置12と、ホストコンピュータ40に対してデータの送受信が可能となる。
【0058】
図6(a)は、第1測定装置11の測定処理を示すフローチャートである。
【0059】
第1測定装置11のCPU111aは、バーコードリーダ116によって、検体容器51に貼付されたバーコードラベルからバーコード情報を読み出すと(S101:YES)、このバーコード情報が示す検体について第1測定装置11のオーダを、情報処理装置30に問い合わせる(S102)。他方、バーコード情報が読み出されていないと(S101:NO)、処理がS108に進められる。
【0060】
次に、CPU111aは、情報処理装置30からオーダを受信するまで処理を待機させる(S103)。情報処理装置30からオーダを受信すると(S103:YES)、CPU111aは、S101で読み出したバーコード情報が示す検体について、第1測定装置11で測定の必要があるかを判定する(S104)。なお、このオーダには、第1測定装置11で行う測定の種類や、測定の要否が含まれており、S104の判定は、受信したオーダ内容に基づいて行われる。
【0061】
CPU111aは、第1測定装置11で測定を行う必要があると判定すると(S104:YES)、第1測定装置11で測定を行う(S105)。すなわち、CPU111aは、押出し機構24により検体ラック50を移動させることにより、S104で測定の必要ありと判定された検体を収容する検体容器51を、第1供給位置26aに位置づける。しかる後、CPU111aは、第1測定装置11のノズルにより、この検体容器51から検体を吸引し、第1測定装置11内で測定を行う。続いて、CPU111aは、この検体の測定結果を解析し(S106)、解析結果を情報処理装置30に送信する(S107)。他方、CPU111aは、第1測定装置11で測定の必要なしと判定すると(S104:NO)、この検体について測定を行わず、処理がS108に進められる。
【0062】
このように、S101〜S107の処理は、第1測定装置11がシャットダウンされるまで(S108:YES)、繰り返し行われる。
【0063】
図6(b)は、第1測定装置11の搬送処理を示すフローチャートである。なお、以下の搬送処理は、第1供給位置26aに位置付けられた検体ラック50の保持部が、図3に示した保持部の間隔dだけ左方向(X軸正方向)に移動するよう、検体ラック50が搬送される場合の搬送処理である。
【0064】
第1測定装置11のCPU111aは、第1供給位置26aに位置づけられている検体容器51内の検体について、第1測定装置11での測定動作が完了したかを判定する(S111)。
【0065】
すなわち、第1供給位置26aに位置づけられている検体容器51内の検体について、図6(a)のS104において測定の必要ありと判定されて、S105において吸引が完了した場合、または、S104において測定の必要なしと判定された場合に、CPU111aは、図6(b)のS111で測定動作が完了したと判定する。また、第1供給位置26aに位置付けられた検体ラック50の保持部に、検体容器51が保持されていない場合も、S111においてYESと判定される。
【0066】
第1測定装置11での測定動作が完了したと判定されると(S111:YES)、CPU111aは、第2測定装置12から直近に受信したコマンドが搬送可能を示すようになるまで処理を待機させる(S112)。なお、第2測定装置12から送信されるコマンドについては、追って、図7を参照して説明する。他方、第1測定装置11での測定動作が完了していないと判定すると(S111:NO)、処理がS116に進められる。
【0067】
第2測定装置12から直近に受信したコマンドが搬送可能を示すと判定されると(S112:YES)、CPU111aは、押出し機構24を駆動することにより、検体ラック50を保持部の間隔dだけ左方向(X軸正方向)に搬送する。これにより、第1供給位置26aに位置づけられていた検体ラック50の保持部が、保持部の間隔dだけ左方向(X軸正方向)に移動する。
【0068】
S113の搬送により、第2供給位置26bに検体容器51が位置づけられると(S114:YES)、CPU111aは、この検体容器51内の検体を吸引するよう、第2測定装置12に吸引指示を送信する(S115)。他方、S113の搬送により、第2供給位置26bに検体容器51が位置づけられていないと(S114:NO)、処理がS116に進められる。
【0069】
このように、S111〜S115の処理は、第1測定装置11がシャットダウンされるまで(S116:YES)、繰り返し行われる。
【0070】
図7は、第2測定装置12の測定処理を示すフローチャートである。
【0071】
第2測定装置12のCPU121aは、第1測定装置11から吸引指示を受信すると(S201:YES)、搬送不可を示すコマンドを、第2測定装置12の記憶部121b内のバッファに書き込む(S202)。他方、CPU121aは、第1測定装置11から吸引指示を受信していないと(S201:NO)、搬送可能を示すコマンドを、記憶部121b内のバッファに書き込む(S209)。なお、記憶部121b内のバッファには、搬送可能を示すコマンド、または、搬送不可を示すコマンドの何れか一方が書き込まれている。
【0072】
次に、CPU121aは、第2供給位置26bに位置付けられた検体容器51内の検体について第2測定装置12のオーダを、情報処理装置30に問い合わせる(S203)。
CPU121aは、情報処理装置30からオーダを受信するまで処理を待機させる(S204)。情報処理装置30からオーダが受信されると(S204:YES)、CPU121aは、第2供給位置26bに位置付けられた検体容器51内の検体について、第2測定装置12で測定の必要があるかを判定する(S205)。なお、このオーダには、第2測定装置12で行う測定の種類や、測定の要否が含まれており、S205の判定は、受信したオーダ内容に基づいて行われる。
【0073】
CPU121aは、第2測定装置12で測定を行う必要があると判定すると(S205:YES)、第2測定装置12で測定を行う(S206)。すなわち、S205で測定の必要ありと判定された検体を収容する検体容器51が、第2測定装置12のノズルにより吸引され、第2測定装置12内で測定が行われる。続いて、CPU121aは、測定結果を情報処理装置30に送信する(S207)。
【0074】
続いて、CPU121aは、第2供給位置26bに位置付けられた検体容器51内の検体について第2測定装置12のノズルによる吸引動作が完了して、この検体容器51を保持する検体ラック50が搬送可能になるまで、処理を待機させる(S208)。この検体の吸引動作が完了して搬送可能になると(S208:YES)、CPU121aは、搬送可能を示すコマンドを、記憶部121b内のバッファに書き込む(S209)。
【0075】
また、CPU121aは、第2供給位置26bに位置付けられた検体容器51内の検体について、第2測定装置12で測定の必要がないと判定した場合も(S205:NO)、搬送可能を示すコマンドを、記憶部121b内のバッファに書き込む(S209)。
【0076】
このように、S201〜S209の処理は、第2測定装置12がシャットダウンされるまで(S210:YES)、繰り返し行われる。
【0077】
図8(a)は、第2測定装置12のコマンド送信処理を示すフローチャートである。
【0078】
第2測定装置12のCPU121aは、まず、経過時間のカウントを開始する(S211)。次に、CPU121aは、経過時間のカウントに基づいて、所定時間が経過したかを判定する(S212)。所定時間が経過しているとき(S212:YES)、CPU121aは、第2測定装置12の記憶部121b内に記憶しているコマンドを、第1測定装置11に送信し(S213)、経過時間をリセットする(S214)。
【0079】
このように、S212〜S214の処理は、第2測定装置12がシャットダウンされるまで(S215:YES)、繰り返し行われる。これにより、所定時間ごとに、第2測定装置12の記憶部121b内に記憶されているコマンドが、第1測定装置11に送信される。
【0080】
図8(b)は、情報処理装置30のオーダ処理を示すフローチャートである。
【0081】
情報処理装置30のCPU301は、第1測定装置11または第2測定装置12からオーダ問い合わせがあるまで、処理を待機させる(S301)。オーダ問い合わせがあると(S301:YES)、CPU301は、このオーダ問い合わせに基づいて、ホストコンピュータ40にオーダ問い合わせをする(S302)。ホストコンピュータ40は、オーダの問い合わせに応じてオーダの決定を行う。
【0082】
CPU301は、S302でオーダ問い合わせを行った結果、ホストコンピュータ40からオーダを受信するまで、処理を待機させる(S303)。オーダが受信されると(S303:YES)、CPU301は、受信したオーダを、元のオーダ問い合わせを受信し
た第1測定装置11または第2測定装置12に送信する(S304)。
【0083】
このように、S301〜S304の処理は、情報処理装置30がシャットダウンされるまで(S305:YES)、繰り返し行われる。なお、このオーダ処理は、第1測定装置11と第2測定装置12からオーダ問い合わせがあると、並行して実行される。
【0084】
図9は、情報処理装置30の表示処理を示すフローチャートである。同図(a)は、第1測定装置11の解析結果を表示する処理であり、同図(b)は、第2測定装置12の解析結果を表示する処理である。
【0085】
同図(a)を参照して、情報処理装置30のCPU301は、第1測定装置11から解析結果を受信すると(S311:YES)、情報処理装置30の表示部320に解析結果を表示する(S312)。続いて、CPU301は、解析結果をホストコンピュータ40に送信する(S313)。
【0086】
このように、S311〜S313の処理は、情報処理装置30がシャットダウンされるまで(S314:YES)、繰り返し行われる。
【0087】
次に、同図(b)を参照して、情報処理装置30のCPU301は、第2測定装置12から測定結果を受信すると(S321:YES)、この測定結果を解析し(S322)、情報処理装置30の表示部320に解析結果を表示する(S323)。続いて、CPU301は、解析結果をホストコンピュータ40に送信する(S324)。
【0088】
このように、S321〜S324の処理は、情報処理装置30がシャットダウンされるまで(S325:YES)、繰り返し行われる。
【0089】
図10(a)は、ホストコンピュータ40のオーダ決定処理を示すフローチャートである。
【0090】
ホストコンピュータ40のCPU401aは、図9(a)のS313で情報処理装置30から送信された第1測定装置11の解析結果を受信すると(S401:YES)、この解析結果を記憶部401bに記憶する(S402)。続いて、CPU401aは、S401で受信した第1測定装置11の解析結果と、記憶部401bに予め記憶している測定要否の基準とに基づいて、第2測定装置12のオーダを決定する(S403)。例えば、ある検体に対する第1測定装置11での解析結果のうち、特定の種類の測定項目について所定の値を超えた場合には、該検体に対し第2測定装置12での測定が必要であるという内容及び行うべき測定の種類を含むオーダを決定する。決定された第2測定装置12のオーダは、記憶部401bに記憶される(S404)。
【0091】
このように、S401〜S404の処理は、ホストコンピュータ40がシャットダウンされるまで(S405:YES)、繰り返し行われる。
【0092】
なお、CPU401aは、図9(b)のS324で情報処理装置30から送信された第2測定装置12の解析結果を受信すると、この解析結果を記憶部401bに記憶する。
【0093】
図10(b)は、ホストコンピュータ40のオーダ回答処理を示すフローチャートである。
【0094】
ホストコンピュータ40のCPU401aは、図8(b)のS302で情報処理装置30からオーダの問い合わせがあると(S411:YES)、記憶部401bに記憶してい
る第1測定装置11または第2測定装置12のオーダを、情報処理装置30に送信する(S412)。
【0095】
このように、S411〜S412の処理は、ホストコンピュータ40がシャットダウンされるまで(S413:YES)、繰り返し行われる。
【0096】
なお、S412にて情報処理装置30に送信されたオーダは、図8(b)のS304にて、第1測定装置11または第2測定装置12に送信される。こうして送信されたオーダに基づき、第1測定装置11または第2測定装置12は、図6(a)のS104または図7のS205において、当該検体に対する測定の要否を判定する。
【0097】
以上、本実施の形態によれば、第1供給位置26aと第2供給位置26bとの距離は、検体ラック50の左端の保持部に保持される検体容器51と、右端の保持部に保持される検体容器51との距離以下に設定される。また、第1供給位置26aと第2供給位置26bとの間隔が、検体ラック50に保持される隣接する検体容器51間の距離dの倍数となるように設定される。これにより、1つの検体ラック50の異なる2つの保持部に保持された検体容器51を、第1供給位置26aと第2供給位置26bに同時に位置付けることができるため、検体に対する処理を効率的に行うことができる。
【0098】
また、本実施の形態によれば、図7において、第2測定装置12が吸引指示を受けてから(S201:YES)、少なくとも、第2測定装置12で測定の必要があるかが判定されるまで(S205)、記憶部121b内のバッファには搬送不可を示すコマンドが書き込まれている。これにより、第2供給位置26bに位置付けられている検体のうち、第2測定装置12で測定の必要がある検体が吸引されずに下流側へ搬送されることを防ぐことができる。
【0099】
なお、本実施の形態では、図7において、情報処理装置30に対してオーダの問い合わせが行われた後(S203)、第2測定装置12がオーダを受信するまで処理が待機された(S204)。S204における待機処理が長くなると、かかる待機処理中には、検体ラック50を下流方向(図2のX軸正方向)に搬送することができないため、第1供給位置26aに位置付けられた後続の検体の第1測定装置11への供給が滞る。S204における待機時間が問題となる場合、図2に示した本実施の形態における第1供給位置26aと第2供給位置26bとの距離を、適宜広げるように調整しても良い。
【0100】
図11は、第1供給位置26aと第2供給位置26bとの距離の設定方法を説明する図である。
【0101】
同図(a)は、第1供給位置26aに検体が位置付けられてから、この検体について第2測定装置12による吸引が行われるまでの流れを模式的に示すタイムチャートである。図示の如く、第1測定装置11による吸引が開始されてから、ホストコンピュータ40で第2測定装置12のオーダが決定されるまでに要する時間はTsとなっている。
【0102】
同図(b)は、検体ラック50の左端の保持部に保持されている検体容器51が、第1供給位置26aに位置付けられた後、第2供給位置26bに位置付けられるまでの流れを模式的に示す平面図である。
【0103】
検体容器51は、第2供給位置26bに位置付けられてから、第2測定装置12のオーダ問い合わせが行われる。かかるオーダ問い合わせ時に、ホストコンピュータ40において第2測定装置12のオーダが決定されていないと、第2供給位置26bでの検体容器51の待ち時間が長くなってしまう。
【0104】
なお、ここでは、検体ラック50の左端の保持部以外の保持部には、検体容器51が保持されていないものとする。このように、検体ラック50の左端の保持部のみに検体容器51が保持されている場合、第1供給位置26aにおいて第1測定装置11による吸引が開始されてから、第2供給位置26bに位置付けられるまでの時間T0は、最も小さくなる。
【0105】
ここで、時間Tsが時間T0よりも短くなるように、第1供給位置26aと第2供給位置26bとの距離が設定されれば良い。すなわち、第1供給位置26aと第2供給位置26bとの距離は、第1供給位置26aで検体容器51の検体が吸引されてから、時間Tsの間にこの検体容器51が搬送される距離以上に設定されれば良い。なお、この場合も、図3に示したように、第1供給位置26aと第2供給位置26bとの距離は、dの倍数とされる。こうすると、第2供給位置26bでの待機時間が短くなるため、第2供給位置26bにおける検体の処理を円滑かつ迅速に行うことができるようになる。これにより、第1供給位置26aに位置付けられた後続の検体の第1測定装置11への供給が迅速に行われ得る。
【0106】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態はこれらに限定されるものではない。
【0107】
たとえば、上記実施の形態では、測定対象として尿を例示したが、血液についても測定対象とされ得る。すなわち、血液を検査する検体分析装置にも本発明を適用することができ、さらに、他の臨床検体を検査する臨床検体分析装置に本発明を適用することもできる。
【0108】
また、上記実施の形態では、第1供給位置26aと第2供給位置26bに位置付けられた検体容器51から検体が吸引されているが、これに限らず、第1供給位置26aと第2供給位置26bに位置付けられた検体容器51が、それぞれ、第1測定装置11と第2測定装置12の内部に取り込まれ、装置内で検体容器51から検体が吸引されるようにしても良い。
【0109】
また、上記実施の形態では、第1供給位置26aと第2供給位置26bとの距離は、検体ラック50の左端の保持部に保持される検体容器51と、右端の保持部に保持される検体容器51との距離以下に設定された。しかしながら、これに限らず、第1供給位置26aと第2供給位置26bとの距離は、検体ラック50の左端の保持部に保持される検体容器51と、右端の保持部に保持される検体容器51との距離よりも長く設定されても良い。この場合、図2の連結領域21cにおいて、2つの検体ラック50が隣り合うよう並べられたとき、下流側の検体ラック50の右端の保持部に保持される検体容器51と、上流側の検体ラック50の左端の保持部に保持される検体容器51との距離がdの倍数となるよう、検体ラック50が構成される。また、この場合、上流側の検体ラック50を搬送することにより、上流側の検体ラック50が下流側の検体ラック50を押して、両方の検体ラック50が搬送されるよう、搬送装置20が構成される。
【0110】
図12は、第1供給位置26aと第2供給位置26bとの距離の変更例を示す図である。
【0111】
同図(a)〜(c)において、第1供給位置26aと第2供給位置26bとの距離は、それぞれ、11d、12d、13dとなっている。また、同図(a)〜(c)において、下流側の検体ラック50の右端の保持部に保持される検体容器51と、上流側の検体ラック50の左端の保持部に保持される検体容器51との距離は、それぞれ、d、2d、3d
となっている。さらに、同図(a)〜(c)に示すように、上流側の検体ラック50の右端側面が押出し機構24によって押されることにより、上流側の検体ラック50が下流側の検体ラック50を押して、これら隣接する2つの検体ラック50が、同時に下流方向に搬送される。
【0112】
こうすると、1つの検体ラック50の異なる保持部に保持されている検体が、第1供給位置26aと第2供給位置26bに同時に位置付けられることはないものの、隣り合う検体ラック50の保持部に保持されている検体が、第1供給位置26aと第2供給位置26bに同時に位置付けられる。これにより、上記実施の形態と同様、2つの検体を同時に処理することができ、検体に対する処理を効率的に行うことができる。
【0113】
また、上記実施の形態では、検体ラック50には、10本の検体容器51を保持するよう10個の保持部が形成されていたが、これに限らず、検体ラックには、10本以外、例えば5本の検体容器51を保持するよう5個の保持部が形成されても良い。
【0114】
また、上記実施の形態では、ホストコンピュータ40によって、第1測定装置11の解析結果に基づいて、第2測定装置12のオーダが決定された。また、ホストコンピュータ40の記憶部401bに、第1測定装置11と第2測定装置12のオーダが記憶された。しかしながら、これらの処理を情報処理装置30によって行われるようにしても良い。
【0115】
図13は、情報処理装置30の表示処理およびオーダ決定処理を示すフローチャートである。かかる処理は、上記実施の形態の図9(a)の処理に替えて行われる。
【0116】
情報処理装置30のCPU301は、第1測定装置11から解析結果を受信すると(S331:YES)、この解析結果をハードディスク304に記憶し(S332)、表示部320に表示する(S312)。続いて、CPU301は、S331で受信した第1測定装置11の解析結果と、ハードディスク304に予め記憶している測定要否の基準とに基づいて、第2測定装置12のオーダを決定する(S334)。決定された第2測定装置12のオーダは、ハードディスク304に記憶される(S335)。
【0117】
このように、S331〜S335の処理は、情報処理装置30がシャットダウンされるまで(S336:YES)、繰り返し行われる。
【0118】
なお、情報処理装置30のCPU301が、第2測定装置12から測定結果を受信した場合、この測定結果を解析して、解析結果をハードディスク304に記憶し、表示部320に表示する。また、情報処理装置30のCPU301が、第1測定装置11または第2測定装置12からオーダの問い合わせを受けた場合、図10(b)と同様の処理手順に従って、CPU301は、ハードディスク304に記憶している第1測定装置11または第2測定装置12のオーダを、対応する装置に送信する。
【0119】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0120】
1 … 検体分析装置
11 … 第1測定装置
12 … 第2測定装置
20 … 搬送装置
40 … ホストコンピュータ(コンピュータ)
50 … 検体ラック(ラック)
51 … 検体容器
121a … CPU(判定手段)
301 … CPU(判定手段)
401a … CPU(判定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検体容器を保持したラックを搬送し、検体を分析する検体分析装置であって、
検体を測定する第1測定装置と、
前記第1測定装置に対して搬送方向下流側に配置され、検体を測定する第2測定装置と、
前記第1測定装置に検体を供給する第1供給位置と、前記第2測定装置に検体を供給する第2供給位置と、に検体を搬送する搬送装置と、を備え、
前記搬送装置は、前記第1供給位置から前記第2供給位置まで直線的にラックを搬送するとともに、前記第1供給位置と前記第2供給位置の距離は、ラックに保持された隣接する検体容器間の距離の倍数である、
ことを特徴とする検体分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検体分析装置において、
前記搬送装置は、共通の搬送機構により、一の検体を前記第1供給位置に搬送するとともに、他の検体を前記第2供給位置に搬送する、
ことを特徴とする検体分析装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の検体分析装置において、
前記第1供給位置と前記第2供給位置の距離は、1つのラックに保持された一端の検体容器から他端の検体容器までの距離以下である、
ことを特徴とする検体分析装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の検体分析装置において、
前記第1測定装置の測定結果に基づいて、前記第2測定装置による測定が必要であるか否かを判定する判定手段をさらに備える、
ことを特徴とする検体分析装置。
【請求項5】
請求項4に記載の検体分析装置において、
前記第1供給位置と前記第2供給位置の距離は、検体が前記第1測定装置に供給されてから前記判定手段による判定が可能となるまでに該検体が搬送される距離以上に設定されている、
ことを特徴とする検体分析装置。
【請求項6】
請求項4に記載の検体分析装置において、
前記搬送装置は、前記判定手段により、前記第2測定装置による測定が必要であるか否かが判定されるまで、前記第2供給位置の下流に判定対象の検体を搬送しない、
ことを特徴とする検体分析装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか一項に記載の検体分析装置において、
前記第1測定装置は、前記第1供給位置に存在する検体を吸引するように構成されており、前記第2測定装置は、前記第2供給位置に存在する検体を吸引するように構成されている、
ことを特徴とする検体分析装置。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一項に記載の検体分析装置において、
前記第1測定装置は、尿定性測定装置であり、前記第2測定装置は、尿沈渣測定装置である、
ことを特徴とする検体分析装置。
【請求項9】
複数の検体容器を保持したラックを搬送し、検体を分析する検体分析装置と、
前記検体分析装置と通信可能なコンピュータと、を備え、
前記検体分析装置は、
検体を測定する第1測定装置と、
前記第1測定装置に対して搬送方向下流側に配置され、検体を測定する第2測定装置と、
前記第1測定装置に検体を供給する第1供給位置と、前記第2測定装置に検体を供給する第2供給位置と、に検体を搬送する搬送装置と、を備え、
前記搬送装置は、前記第1供給位置から前記第2供給位置まで直線的にラックを搬送するとともに、前記第1供給位置と前記第2供給位置の距離は、ラックに保持された隣接する検体容器間の距離の倍数であり、
前記コンピュータは、前記第1測定装置の測定結果に基づいて、前記第2測定装置による測定が必要であるか否かを判定する判定手段を備える、
ことを特徴とする検体分析システム。
【請求項10】
請求項9に記載の検体分析システムにおいて、
前記第1供給位置と前記第2供給位置の距離は、検体が前記第1測定装置に供給されてから前記判定手段による判定が完了するまでに該検体が搬送される距離以上に設定されている、
ことを特徴とする検体分析システム。
【請求項11】
複数の検体容器を保持したラックを搬送し、検体を分析する検体分析装置であって、
検体を測定する第1測定装置と、
前記第1測定装置に対して搬送方向下流側に配置され、検体を測定する第2測定装置と、
前記第1測定装置に検体を供給する第1供給位置と、前記第2測定装置に検体を供給する第2供給位置と、に検体を搬送する搬送装置と、を備え、
前記搬送装置は、前記第1供給位置から前記第2供給位置まで直線的にラックを搬送するとともに、前記第1供給位置と前記第2供給位置の距離は、1つのラックに保持された一端の検体容器から他端の検体容器までの距離以下である、
ことを特徴とする検体分析装置。
【請求項12】
複数の検体容器を保持したラックを搬送し、検体を分析する検体分析装置であって、
検体を測定する第1測定装置と、
前記第1測定装置に対して搬送方向下流側に配置され、検体を測定する第2測定装置と、
前記第1測定装置に検体を供給する第1供給位置と、前記第2測定装置に検体を供給する第2供給位置と、に検体を搬送する搬送装置と、を備え、
前記搬送装置は、複数のラックを互いに隣接させた状態で前記第1供給位置から前記第2供給位置まで直線的に搬送し、
さらに前記搬送装置は、前記複数のラックのうち第1のラックに保持された検体を前記第1供給位置に、前記複数のラックのうち前記第1のラックより搬送方向下流側にある第2のラックに保持された検体を前記第2供給位置に、それぞれ同時に位置づける、
ことを特徴とする検体分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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