説明

検体分析装置および識別子読取方法

【課題】読取部によりスリット等の間隙を介して識別子を読み取る場合において、間隙部分の停止位置ずれ等に起因した読み取りミスが発生することなく、良好に識別子を読み取ることができる検体分析装置および識別子読取方法を提供する。
【解決手段】検体分析装置は、識別子を読み取る読取部と、識別子が付された容器を環状に配置可能であるとともに回転可能に設けられた第1配置部と、前記第1配置部の外側に同心円状に配設されるとともに、識別子が付された容器を環状に配置可能であり、前記第1配置部とは独立して回転可能に設けられ、間隙を有する第2配置部と、前記読取部により前記間隙を介して前記第1配置部に配置された容器の識別子を読み取る際に、前記間隙が前記読取部と前記識別子との間を通過するように前記第2配置部を回転させる駆動制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体容器や試薬容器に付された識別子を読み取る機構を備えた検体分析装置および検体容器や試薬容器に付された識別子の読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血液等の検体の分析を自動で行う自動分析装置においては、分析対象の検体を収容した検体容器や試薬を収容した試薬容器を配置するための容器配置部が設けられることがある。例えば、特許文献1においては、検体容器を配置する回転式のサンプラーが示され、特許文献2においては、試薬容器を配置する回転式の試薬庫が示されている。そして、特許文献1や特許文献2においては、容器の取り間違い防止と省力化のため、バーコードを容器に貼付し、バーコードリーダがそのバーコードを読み取ることによって、検体や試薬の情報を識別する構成が示されている。
【0003】
また、特許文献1や特許文献2には、同心円状に多重に配設された回転式の容器配置部が記載されている。そして、外側の容器配置部にスリットを設け、バーコードリーダと対向する位置でスリット部分が停止するよう容器配置部の回転を制御することで、バーコードリーダにより、スリットを介して内側の容器配置部に配置された容器のバーコードを読み取ることを可能にしている。
【0004】
ところで、近年の多くの自動分析装置にあっては、多数の検体を短時間で分析したり、多くの項目を分析したりすることが求められている。そして、このような要求に応えるためには、多数の容器を配置するスペースを容器配置部に確保することが望まれている。
【0005】
しかしながら、容器配置部における容器配置用スペースを多くすると、上述したスリットの幅を狭くする必要が生じ、装置の制御誤差によるスリット部分の停止位置ずれや、バーコードの貼付位置ずれ等に起因して、バーコードの読み取りミスが発生し、スリットを介してバーコードを良好に読み取ることができない場合がある。
【0006】
【特許文献1】特開平6−230016号公報
【特許文献2】特開平9−72915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、読取部によりスリット等の間隙を介して識別子を読み取る場合において、間隙部分の停止位置ずれ等に起因した読み取りミスが発生することなく、良好に識別子を読み取ることができる検体分析装置および識別子読取方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑み、本願第1発明は、検体と試薬とを混合して調製された測定試料を分析する検体分析装置であって、識別子を読み取る読取部と、識別子が付された容器を環状に配置可能であるとともに回転可能に設けられた第1配置部と、前記第1配置部の外側に同心円状に配設されるとともに、識別子が付された容器を環状に配置可能であり、前記第1配置部とは独立して回転可能に設けられ、間隙を有する第2配置部と、前記読取部により前記間隙を介して前記第1配置部に配置された容器の識別子を読み取る際に、前記間隙が前記読取部と前記識別子との間を通過するように前記第2配置部を回転させる駆動制御部と、を備える検体分析装置を提供する。
【0009】
また、本願第2発明は、検体と試薬とを混合して調製された測定試料を分析する検体分析装置であって、識別子を読み取り可能であり、移動可能に設けられた読取部と、識別子が付された容器を環状に配置可能であるとともに回転可能に設けられた第1配置部と、前記第1配置部の外側に同心円状に配設されるとともに、識別子が付された容器を環状に配置可能であり、間隙を有する第2配置部と、前記読取部により前記間隙を介して前記第1配置部に配置された容器の識別子を読み取る際に、前記間隙との対向位置において前記読取部を揺動させる駆動制御部と、を備える検体分析装置を提供する。
【0010】
また、本願第3発明は、同心円状に配設された複数の容器配置部のうち内側の容器配置部に配置された容器の識別子を、外側の容器配置部に設けられた間隙を介して読み取る識別子読取方法であって、前記外側の容器配置部を回転させながら、前記間隙を介して、前記内側の容器配置部に配置された容器の識別子を読み取る識別子読取方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、読取部によりスリット等の間隙を介して識別子を読み取る場合において、間隙部分の停止位置ずれ等に起因した読み取りミスが発生することなく、良好に識別子を読み取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳しく説明する。
【0013】
検体分析装置1は、血液の凝固・線溶機能に関連する特定の物質の量や活性の度合いを光学的に測定して分析するための装置であり、検体として血漿を用いる。検体分析装置1は、図1〜図4に示すように、測定機構部2と、測定機構部2の前面側に配置された搬送機構部3と、測定機構部2に電気的に接続された制御装置4とにより構成されている。
【0014】
搬送機構部3は、定機構部2に検体を供給するために、検体を収容した複数(本実施形態では、10本)の試験管250が載置されたラック251を測定機構部2の吸引位置2a(図2参照)に搬送する機能を有している。
【0015】
制御装置4は、パーソナルコンピュータ401(PC)などからなり、図1に示すように、制御部4aと、表示部4bと、キーボード4cとを含んでいる。制御部4aは、後述する測定機構部2の制御部501に、測定機構部2および搬送機構部3の動作開始の信号を伝えるとともに、測定機構部2で得られた検体の光学的な情報を分析するための機能を有している。この制御部4aは、CPU、ROM、RAMなどからなる。また、表示部4bは、制御部4aで得られた分析結果などを表示するために設けられている。
【0016】
次に、制御装置4の構成について詳細に説明する。制御部4aは、図5に示すように、CPU401aと、ROM401bと、RAM401cと、ハードディスク401dと、読出装置401eと、入出力インタフェース401fと、通信インタフェース401gと、画像出力インタフェース401hとから主として構成されている。CPU401a、ROM401b、RAM401c、ハードディスク401d、読出装置401e、入出力インタフェース401f、通信インタフェース401g、および画像出力インタフェース401hは、バス401iによって接続されている。
【0017】
CPU401aは、ROM401bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM401cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するようなアプリケーションプログラム404aをCPU401aが実行することにより、コンピュータ401が制御装置4として機能する。
【0018】
ROM401bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどによって構成されており、CPU401aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータなどが記録されている。
【0019】
RAM401cは、SRAMまたはDRAMなどによって構成されている。RAM401cは、ROM401bおよびハードディスク401dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401aの作業領域として利用される。
【0020】
ハードディスク401dは、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU401aに実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。
【0021】
読出装置401eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブなどによって構成されており、可搬型記録媒体404に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体404には、本実施形態に係るアプリケーションプログラム404aが格納されており、コンピュータ401がその可搬型記録媒体404からアプリケーションプログラム404aを読み出し、そのアプリケーションプログラム404aをハードディスク401dにインストールすることが可能である。
【0022】
なお、上記アプリケーションプログラム404aは、可搬型記録媒体404によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ401と通信可能に接続された外部の機器から上記電気通信回線を通じて提供することも可能である。たとえば、上記アプリケーションプログラム404aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ401がアクセスして、そのアプリケーションプログラム404aをダウンロードし、これをハードディスク401dにインストールすることも可能である。
【0023】
また、ハードディスク401dには、たとえば、米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのグラフィカルユーザインタフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施形態に係るアプリケーションプログラム404aは上記オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0024】
入出力インタフェース401fは、たとえば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインタフェース、およびD/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインタフェースなどから構成されている。入出力インタフェース401fには、キーボード4cが接続されており、ユーザがそのキーボード4cを使用することにより、コンピュータ401にデータを入力することが可能である。
【0025】
通信インタフェース401gは、たとえば、Ethernet(登録商標)インタフェースである。コンピュータ401は、その通信インタフェース401gにより、所定の通信プロトコルを使用して測定機構部2との間でデータの送受信が可能である。
【0026】
画像出力インタフェース401hは、LCDまたはCRTなどで構成された表示部4bに接続されており、CPU401aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部4bに出力するようになっている。表示部4bは、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0027】
ここで、本実施形態では、表示部4bは、図6に示すように、後述する試薬保存部6の試薬の配置を表示する試薬配置画面410を表示することが可能である。試薬配置画面410は、試薬配置表示領域420と、試薬情報表示領域430と、コマンド表示領域440とを有する。また、試薬配置画面410には、検体分析装置1の測定を開始するための測定開始ボタン411と、測定を停止するための測定停止ボタン412とが設けられている。なお、表示部4bは、タッチパネル機能を有し、試薬配置画面410に表示されるボタンなどをユーザが直接触れることによって選択または操作可能である。
【0028】
試薬配置表示領域420は、後述する第1試薬テーブル11に配置されている試薬が表示される複数の第1試薬表示領域421と、後述する第2試薬テーブル12に配置されている試薬が表示される複数の第2試薬表示領域422とを含む。第1試薬表示領域421は、試薬の位置を表示する位置表示部421aと、試薬名を表示する試薬名表示部421bと、試薬の残量を表示する残量表示部421cとを含む。また、第2試薬表示領域422は、試薬の位置を表示する位置表示部422aと、試薬名を表示する試薬名表示部422bと、試薬の残量を表示する残量表示部422cとを含む。試薬名表示部421aおよび422aに表示される試薬の位置は、後述する第1試薬容器ラック310のバーコード311b、312bおよび第2試薬容器ラック320のバーコード321b〜326bをバーコードリーダ350により読み取ることによって表示される。また、試薬名表示部421bおよび422bに表示される試薬名は、試薬容器300のバーコード300aをバーコードリーダ350により読み取った値を元に、別途用意された一覧表を参照して表示される。また、残量表示部421cおよび422cに表示される試薬の残量は、試薬が収容される容器の種類およびその試薬が吸引された回数などから算出した値を元に表示される。
【0029】
また、第1試薬表示領域421は、第1試薬テーブル11に配置される2つの試薬容器300を保持可能な5つの第1試薬容器ラック310に対応する領域毎に2つずつ分割されて表示される。また、第2試薬表示領域422は、第2試薬テーブル12に配置される6つの試薬容器300を保持可能な5つの第2試薬容器ラック320に対応する領域毎に6つずつ分割されて表示される。すなわち、試薬配置画面410では、どの試薬テーブル(第1試薬テーブル11または第2試薬テーブル12)の、どの試薬容器ラック(第1試薬容器ラック310または第2試薬容器ラック320)の、どの位置に試薬が配置されているかを確認することが可能である。
【0030】
また、第1試薬容器ラック310または第2試薬容器ラック320が第1試薬テーブル11または第2試薬テーブル12に配置されていない場合には、第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422には、何も表示されない。また、第1試薬容器ラック310または第2試薬容器ラック320が第1試薬テーブル11または第2試薬テーブル12に配置されており、試薬容器ラックに保持される試薬容器300がない場合には、第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422には、位置表示部421aまたは位置表示部422aのみに表示がなされる。この点については、後に詳細に説明する。
【0031】
また、試薬情報表示領域430には、第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422において指定された試薬の属性情報(試薬名、使用順、使用可能な残量(使用可能量)、残りテスト数、攪拌の有無、ロット番号、試薬容器の種類、試薬の有効期限、セット日、セット時刻など)およびホルダ番号が表示される。この試薬の属性情報によって、ユーザは、試薬の交換時期を判断することが可能である。
【0032】
また、コマンド表示領域440には、試薬の交換または追加を指示するための交換・追加指示ボタン440aと、試薬情報の編集を行うための編集ボタン440bと、試薬ロットをマニュアルで入力するための試薬ロット設定ボタン440cとを含む。本実施形態では、試薬が指定された状態で、交換・追加指示ボタン440aが選択されることによって、指定された試薬が収容された試薬容器300を保持する第1試薬容器ラック310または第2試薬容器ラック320が、検体分析装置1から取り出し可能な取出位置に移動されるように構成されている。なお、試薬の追加が行われる場合には、試薬が配置されていない第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422が指定された状態で、交換・追加指示ボタン440aが選択される。これにより、試薬が収容されていない第1試薬容器ラック310または第2試薬容器ラック320が取出位置に移動される。
【0033】
測定機構部2は、搬送機構部3から供給された検体に対して光学的な測定を行うことにより、供給された検体に関する光学的な情報を取得することが可能なように構成されている。本実施形態では、搬送機構部3のラック251に載置された試験管250から測定機構部2のキュベット200内に分注された検体に対して光学的な測定が行われる。
【0034】
測定機構部2は、図7に示すように、第1駆動部502と、第2駆動部503と、第1ロック検知部504と、第2ロック検知部505と、バーコードリーダ350と、光学的情報取得部140と、搬送機構部3などに電気的に接続された制御部501を有している。
【0035】
第1駆動部502は、後述する第1試薬テーブル11(図4参照)を回転させる機能を有する第1ステッピングモータ(図示せず)と、第1ステッピングモータを駆動させるための駆動回路(図示せず)とを備えている。そして、第1試薬テーブル11は、制御部501から第1駆動部502に供給された駆動パルス信号のパルス数に応じた分だけ回転し、停止する。
【0036】
同様に、第2駆動部503は、後述する第2試薬テーブル12(図4参照)を回転させる機能を有する第2ステッピングモータ(図示せず)と、第2ステッピングモータを駆動させるための駆動回路(図示せず)とを備えている。そして、第2試薬テーブル12は、制御部501から第2駆動部503に供給された駆動パルス信号のパルス数に応じた分だけ回転し、停止する。
【0037】
なお、制御部501は、供給した駆動パルス信号のパルス数をカウントすることにより、第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12の原点位置からの各試薬テーブル11,12の回転移動量を決定し、各試薬テーブル11,12の回転移動を制御することが可能である。
【0038】
第1ロック検知部504は、後述の第1蓋部30(図13参照)のロック状態を検知するとともに、ロックされた時にロック信号を制御部501に送信する機能を有している。
【0039】
同様に、第2ロック検知部505は、後述の第2蓋部40(図13参照)のロック状態を検知するとともに、ロックされた時にロック信号を制御部501に送信する機能を有している。
【0040】
バーコードリーダ350は、第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12上の各バーコードを読み取る機能を有しており、後述する試薬保存部6の側面21の近傍に、試薬保存部6と所定の距離を隔てて設けられている(図2〜図4参照)。このバーコードリーダ350は、制御部501との間でデータの送受信を行うことが可能であるとともに、バーコードリーダ350をON/OFF制御するための駆動回路(図示せず)を備えている。なお、バーコードリーダ350の位置は常に固定されている。
【0041】
光学的情報取得部140(図2、図4参照)は、検体の光学的な情報を取得するための機能を有しており、制御部501との間でデータの送受信を行うことが可能なように構成されている。光学的情報取得部140の詳細については、後述する。
【0042】
制御部501は、図8に示すように、CPU501aと、ROM501bと、RAM501cと、入出力インタフェース501dとから主として構成されている。
【0043】
CPU501aは、ROM501bに記憶されているコンピュータプログラム及びRAM501cに読み出されたコンピュータプログラムを実行することが可能である。
ROM501bは、CPU501aに実行させるためのコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータ等を記憶している。
RAM501cは、ROM501bに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU501aの作業領域として利用される。
【0044】
通信インタフェース501dは、制御装置4に接続されており、検体の光学的な情報を制御装置4に送信するとともに、制御装置4の制御部4aからの信号を受信するための機能を果たす。また、通信インタフェース501dは、搬送機構部3および測定機構部2の各部にも接続されており、搬送機構部3および測定機構部2の各部を駆動するためのCPU501aからの指令を送信するための機能を果たす。
【0045】
また、測定機構部2は、図2に示すように、試薬を保存するための試薬保存部6と、試薬を交換または追加するための試薬交換部7とを含んでいる。
【0046】
試薬保存部6は、キュベット200内の検体に添加される試薬を収容した試薬容器300を、低温(約10℃)で冷蔵保存するとともに、回転方向に搬送するために設けられている。試薬を低温で保存することにより、試薬が変質することが抑制される。また、試薬保存部は、図2、図4に示すように、試薬の保持および回転搬送を行う試薬搬送部10と、試薬搬送部10の周囲および上方を覆うように設けられた外壁部20とを含んでいる。また、試薬が保持される試薬搬送部10は、外壁部20と、後述する試薬交換部7の第1蓋部30および第2蓋部40とにより形成される冷蔵領域に配置される。
【0047】
この試薬搬送部10は、図4に示すように、円形状の第1試薬テーブル11と、円形状の第1試薬テーブル11の外側に、第1試薬テーブル11に対して同心円状に配置された円環形状の第2試薬テーブル12とを含む。また、第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12は、それぞれ、試薬容器300を保持する第1試薬容器ラック310および第2試薬容器ラック320が着脱可能に配置されるように構成されている。また、外壁部20は、側面21と、側面21に固定されている上面22と、取り外し可能な蓋部23とにより構成されている。
【0048】
第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12は、それぞれ、時計回り方向および反時計回り方向の両方に回転可能で、かつ、各々のテーブルが互いに独立して回転可能なように構成されている。これにより、試薬が収容された試薬容器300を保持する第1試薬容器ラック310および第2試薬容器ラック320は、それぞれ、第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12によって回転方向に搬送される。また、試薬容器300を回転方向に搬送することによって、後述する試薬分注アーム130が試薬を分注する際に、分注対象の試薬を試薬分注アーム130の近傍に配置させることが可能である。
【0049】
また、外壁部20の側面21には、断熱材(図示せず)が取り付けられており、試薬保存部6(冷蔵領域)内の冷気を逃がさないように構成されている。また、図3に示すように、外壁部20の側面21のバーコードリーダ350の対向位置には、開閉可能なシャッタ21aが設けられている。このシャッタ21aは、バーコードリーダ350によって試薬容器300、第1試薬容器ラック310および第2試薬容器ラック320のバーコードを読み取る時にのみ開くように構成されている。これにより、試薬保存部6(冷蔵領域)内の冷気が外部に逃げることが抑制される。
【0050】
また、図2、図13に示すように、外壁部20の上面22は、3つの穴部22a、22bおよび22cを含む。この3つの穴部22a、22bおよび22cを介して、試薬分注アーム130により試薬保存部6に保存されている試薬の吸引が行われる。なお、穴部22aは、第1試薬容器ラック310に保持されている試薬容器300の上方に位置する。この穴部22aを介して、第1試薬容器ラック310に保持されている試薬容器300から試薬の吸引が行われる。また、穴部22bおよび22cは、それぞれ、第2試薬容器ラック320の後列および前列に保持されている試薬容器300の上方に位置する。この穴部22bおよび22cを介して、第2試薬容器ラック320の後列および前列に保持されている試薬容器300から試薬の吸引が行われる。
【0051】
また、蓋部23が後述する第1蓋部30および第2蓋部40とともに取り外されることによって、試薬保存部6(冷蔵領域)に半円形状の開口が形成される。この開口を介して、検体分析装置1において測定を開始する際に、試薬保存部6に第1試薬容器ラック310および第2試薬容器ラック320が配置される。
【0052】
また、図4に示すように、第1試薬容器ラック310は、第1試薬テーブル11に5つ配置可能である。そして、この5つの第1試薬容器ラック310に、試薬容器300が円環状に配置される。第1試薬容器ラック310は、図9に示すように、試薬容器300を保持するための2つの保持部311および312と、保持部311および312の前面側にそれぞれ設けられた切欠部311aおよび312aと、上方に突出するように設けられた把持部313とを含む。また、保持部311および312は、平面的に見て円形状に形成されており、図10に示すように、円筒形状の試薬容器300が差し込まれることにより試薬容器300を保持可能である。また、アダプタ(図示せず)を保持部311または312に取り付けることにより、上記保持部311または312の内径よりも小さい外径を有する試薬容器300を保持部311または312に保持させることが可能である。なお、試薬容器300には、検体から測定用試料を調製する際に添加される種々の試薬が収容される。また、第1試薬容器ラック310は、保持部311および312の内径の組み合わせが異なるように形成された2種類のラックを含む。ユーザは、適宜ラックの種類を変えることによって、様々な大きさの試薬容器300に対応可能である。また、保持部311および312の外側面の前面側には、それぞれ、バーコード311bおよび312bが設けられており、保持部311および312の内側面には、それぞれ、バーコード311cおよび312cが設けられている。
【0053】
切欠部311aおよび312aは、それぞれ、バーコード311cおよび312cをバーコードリーダ350によって読み取るために設けられている。また、把持部313は、第1試薬容器ラック310を試薬保存部6から取り出す時などに把持される。
【0054】
バーコード311bおよび312bには、それぞれ、保持部311および312の位置を識別するための位置情報が含まれている。また、バーコード311cおよび312cには、保持部311および312に保持される試薬容器300は存在しないことを示す情報(試薬容器無し情報)が含まれている。また、試薬容器300のバーコード300aには、試薬容器300に収容されている試薬の属性情報(試薬名、試薬容器の種類、ロット番号、試薬の有効期限などの情報)を特定するための情報が含まれている。すなわち、試薬名、試薬容器の種類、ロット番号、試薬の有効期限などは、バーコードリーダ350により読み取られた試薬容器300のバーコード300aを元に、別途用意された一覧表を参照して特定される。また、ホルダ番号は、バーコードリーダ350により読み取られたバーコード311bおよび312bを元に特定される。
【0055】
なお、試薬容器300が保持部311に保持されている場合には、バーコード311cは読み取られず、試薬容器300のバーコード300aが読み取られる。すなわち、バーコードリーダ350によってバーコード311bを読み取った後にバーコード300aを読み取った場合は、制御部501は、バーコード300aによる試薬情報を有する試薬が保持部311に保持されていると認識する。また、バーコードリーダ350によってバーコード311bを読み取った後にバーコード311cを読み取った場合は、制御部501は、保持部311に試薬容器300は存在しないと認識する。また、バーコードリーダ350によってバーコード311bを読み取った後にバーコード300aまたはバーコード311cのいずれも読み取らなかった場合(試薬容器300が横を向いている場合など)には、制御部501は、読み取りエラーを認識するとともに、表示部4bにおいて、読み取りが失敗したことが表示される。
【0056】
また、第2試薬容器ラック320は、図4に示すように、第2試薬テーブル12に5つ配置可能である。この5つの第2試薬容器ラック320に、試薬容器300が円環状に配置される。また、第2試薬テーブル12に配置された互いに隣接する第2試薬容器ラック320の5箇所の隙間のうち、1箇所が他の4箇所の隙間の間隔よりも大きい間隔を有するよう、第2試薬テーブル12における第2試薬容器ラックの配置位置が既定されている。この大きい間隔を有する隙間12a(図4、図17〜18参照)を介して、試薬保存部6の外部に位置するバーコードリーダ350により、第2試薬テーブル12の内側に位置する第1試薬テーブル11に配置される第1試薬容器ラック310のバーコード311bおよび312bと、第1試薬容器ラック310に保持される試薬容器300のバーコード300a(試薬容器300が存在しない場合はバーコード311cおよび312c)とが読み取られる。なお、この隙間12a(図4、図17〜18参照)の幅は約10mmである。また、第2試薬容器ラック320は、図11に示すように、試薬容器300を保持するための6つの保持部321〜326と、保持部321〜326の前面側にそれぞれ設けられた切欠部321a〜326aと、上方に突出するように設けられた把持部327とを含む。また、第2試薬容器ラック320の保持部321〜326は、第1試薬容器ラック310と同様に、平面的に見て円形状に形成されており、図12に示すように、円筒形状の試薬容器300が差し込まれることにより試薬容器300を保持可能である。この第2試薬容器ラック320は、保持部321〜326の内径の組み合わせがそれぞれ異なるように形成された3種類のラックを含む。また、第2試薬容器ラック320には、第1試薬容器ラック310に配置された試薬と同じ試薬を配置することが可能に構成されている。
【0057】
また、切欠部321aの両側には、バーコード321bと322bとが設けられている。また、同様に、切欠部323aの両側および切欠部325aの両側には、それぞれ、バーコード323bおよび324b、および、バーコード325bおよび326bが設けられている。また、保持部321〜326の内側面には、それぞれ、バーコード321c〜326cが設けられている。
【0058】
このバーコード321b〜326bには、それぞれ、保持部321〜326の位置を識別するための位置情報が含まれている。また、バーコード321cおよび326cには、保持部321〜326に保持される試薬容器300は存在しないことを示す情報(試薬容器無し情報)が含まれている。
【0059】
また、バーコードリーダ350によって読み取られた試薬情報または試薬容器無し情報は、位置情報と対応させて制御部501のハードディスク(図示せず)に記憶される。また、ハードディスクに記憶された情報は、制御装置4の制御部4aにより表示部4bの試薬配置画面410に反映される。
【0060】
また、バーコード311b、312bおよび321b〜326bは、4桁の値を示している。1桁目は、「A」または「B」の値をとり、「A」は、試薬容器300が第2試薬テーブル12に配置されていることを示し、「B」は、試薬容器300が第1試薬テーブル11に配置されていることを示す。また、2桁目は、「1」〜「5」の値をとり、「1」〜「3」は、それぞれ、第2試薬容器ラック320の3種類の形状を示し、「4」および「5」は、それぞれ、第1試薬容器ラック310の2種類の形状を示す。また、3桁目は、「0」〜「9」の値をとり、第1試薬容器ラック310または第2試薬容器ラック320の番号を示す。また、4桁目は、第1試薬容器ラック310のバーコード311bおよび312bでは、「1」または「2」の値をとり、「1」および「2」は、それぞれ、保持部311および312を示す。また、第2試薬容器ラック320のバーコード321b〜326bでは、「1」〜「6」の値をとり、「1」〜「6」は、それぞれ、保持部321〜326を示す。このバーコード(バーコード311b、312bおよび321b〜326b)の値は、図6に示すように、試薬配置画面410の試薬表示領域(第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422)の位置表示部421aまたは422aに反映される。たとえば、バーコードの値が「A15−6」であった場合には、第2試薬テーブル12に配置可能であるとともに、3種類の内の「1」に対応するラック(第2試薬容器ラック320)であり、ラック番号5の第2試薬容器ラック320の6番目の保持部(保持部326)を表す。
【0061】
また、属性情報のうちの試薬名または試薬容器無し情報は、試薬配置画面410の第1試薬表示領域421および第2試薬表示領域422の試薬名表示部421bおよび422bに反映される。すなわち、図6に示すように、試薬が配置されていた場合には、試薬名表示部421bまたは422bに試薬名が表示され、試薬が配置されていない場合には、試薬名表示部421bまたは422bには何も表示されない。たとえば、図6では、試薬位置「A15−6」には、試薬名「PT−TPC+」が配置されており、試薬位置「A28−1」には、試薬が配置されていない。なお、試薬容器ラック自体が配置されていない場合には、バーコードリーダ350は、バーコードを読み取ることがないため、第1試薬容器ラック310または第2試薬容器ラック320が配置されていない領域に対応する第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422には、何も表示されない。
【0062】
なお、測定項目、検体数および分析に使用する試薬の種類等に応じて各試薬テーブル11,12に配置される試薬容器300の数は異なる。そのため、第1試薬容器ラック310には、試薬容器300が2つ全て保持されるとは限らず、第2試薬容器ラック320には、試薬容器300が6つ全て保持されるとは限らない。また、同様に、第1試薬テーブル11には第1試薬容器ラック310が5つ全て配置されるとは限らず、第2試薬テーブル12にも第2試薬容器ラック320が5つ全て配置されるとは限らない。
【0063】
また、試薬交換部7は、図1および図2に示すように、検体分析装置1の中央部近傍に設けられている。ここで、本実施形態では、試薬交換部7は、図13に示すように、ロック機構(図示せず)をそれぞれ備えた取り外し可能な第1蓋部30および第2蓋部40と、ユーザに第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12の搬送状態を通知する通知部60とを含んでいる。
【0064】
第1蓋部30は、第1試薬テーブル11(第1試薬容器ラック310)に配置された試薬容器300の交換が行われる際に取り外すことが可能なように構成されている。第1蓋部30は扇形状であり、第1試薬テーブル11の上方に取り付けられる。また、第1蓋部30の大きさおよび形状は、第1蓋部30を取り外した状態で第1試薬容器ラック310を1つだけ取り出すことが可能なように形成されている。また、第1蓋部30のロック機構(図示せず)は、検体分析装置1の分析動作中、または、試薬の交換または追加が終了した後に、第1蓋部30が外れないようにロックするとともに、第1試薬テーブル11における試薬の交換または追加が終了したことを制御部501に認識させるために設けられている。
【0065】
また、第2蓋部40は、第2試薬テーブル12(第2試薬容器ラック320)に配置された試薬容器300の交換の際に取り外すことが可能なように構成されている。第2蓋部40は、第1蓋部30の外側に取り付けられ、第2試薬テーブル12の上方に取り付けられる。また、第2蓋部40の大きさおよび形状は、第2蓋部40を取り外した状態で第2試薬容器ラック320を1つだけ取り出すことが可能に形成されている。また、第2蓋部40のロック機構(図示せず)は、検体分析装置1の分析動作中、または、試薬の交換が終了した後に、第2蓋部40が外れないようにロックするとともに、第2試薬テーブル12における試薬の交換または追加が終了したことを制御部501に認識させるために設けられている。
【0066】
また、通知部60は、3つのLEDインジケータ61、62および63を含む。図2および図13に示すように、3つのLEDインジケータ61、62および63は、第2蓋部40の近傍に所定の間隔を隔てて一列に配置されており、検体分析装置1の外部からユーザが視認可能である。
【0067】
LEDインジケータ61は、ユーザが試薬配置画面410において指定した第1試薬テーブル11の試薬に対応する第1試薬容器ラック310が、試薬の交換が可能な取出位置(第1蓋部30の下方)に移動されたことをユーザに通知する機能を有する。これにより、ユーザに、試薬の交換または追加のために第1蓋部30を取り外すタイミングを通知することが可能である。
【0068】
また、LEDインジケータ62は、ユーザが試薬配置画面410において指定した第2試薬テーブル12の試薬に対応する第2試薬容器ラック320が、試薬の交換が可能な取出位置(第2蓋部40の下方)に移動されたことをユーザに通知する機能を有する。
【0069】
また、LEDインジケータ63は、後述するキュベット搬送テーブル71の動作状況をユーザに通知する機能を有する。すなわち、ユーザは、所定の物質を測定する場合において、専用のキュベット(図示せず)をキュベット搬送テーブル71に追加または交換する際に、キュベット搬送テーブル71の上方に位置する蓋73(図13参照)を取り外すタイミングをLEDインジケータ63によって確認可能である。
【0070】
また、測定機構部2は、さらに、図2〜図4に示すように、キュベット搬送部70と、検体分注アーム80と、加温部110と、キュベット移送部120と、試薬分注アーム130と、光学的情報取得部140と、キュベット供給機構部170などを備えている。
【0071】
キュベット搬送部70は、キュベット200を検体分析装置1の各部分に搬送する機能を有する。キュベット搬送部70は、円環形状の第2試薬テーブル12の外側に配置された円環形状のキュベット搬送テーブル71と、キュベット搬送テーブル71上に円周方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられた円筒形状の複数のキュベット保持部72と、キュベット搬送テーブル71の上方に設けられる蓋73(図13参照)とからなる。キュベット保持部72は、キュベット200を1つずつ保持するために設けられている。また、蓋73には、穴部73aが設けられており、後述する検体分注アーム80によって、穴部73aを介して、キュベット200に検体が分注される。キュベット搬送テーブル71のキュベット保持部72に保持されたキュベット200には、搬送機構部3の試験管250に収容されている検体および試薬保存部6に保存されている試薬が分注され、測定用試料が調製される。
【0072】
検体分注アーム80は、搬送機構部3により吸引位置2aに搬送された試験管250に収容される検体を吸引するとともに、吸引した検体をキュベット搬送テーブル71のキュベット保持部72に保持されたキュベット200内に、穴部73aを介して分注する機能を有している。
【0073】
また、キュベット移送部120は、キュベット200を、キュベット搬送部70と、加温部110と、光学的情報取得部140との間を移送させるために設けられている。
【0074】
試薬分注アーム130は、図2〜図4に示すように、試薬保存部6に載置された試薬容器300内の試薬をキュベット200に分注することにより、キュベット200内の検体に試薬を混合するために設けられている。具体的には、前述した試薬保存部6の外壁部20の穴部22a、22bまたは22cを介して試薬の吸引を行い、加温が完了したキュベット200を移送用キャッチャ部121が加温部110のキュベット保持部111aから取り出し、把持した状態で、吸引した試薬をキュベット200に分注する。なお、試薬分注アーム130のピペット部分には、加温機能が設けられており、吸引された試薬は、瞬間的に約37℃に加温される。すなわち、試薬保存部6で低温(約10℃)保存されている試薬は、試薬分注アーム130によって約37℃に加温された状態で、加温が完了した約37℃の検体と混合される。
【0075】
ここで、本実施形態では、試薬分注アーム130の動作中に試薬の交換が指示された場合に、指定された試薬が含まれる試薬テーブルから分注対象の試薬の分注作業が行われている場合には、指定された試薬が含まれる試薬テーブルからの試薬分注アーム130による分注対象の試薬の分注作業が停止される。この場合、分注対象の試薬が指定された試薬が含まれる試薬テーブルと別の試薬テーブルにも含まれる場合には、試薬分注アーム130は、指定された試薬が含まれる試薬テーブルの分注対象の試薬の分注作業を停止し、もう一方の試薬テーブルに含まれる分注対象の試薬から分注作業を継続する。また、分注対象の試薬が、交換が指示された試薬が含まれる試薬テーブルにのみ配置されている場合には、試薬分注アーム130は、交換指示時に加温部110において加温中の検体に対する分注対象の試薬の分注を終了させてから分注動作を停止するように構成されている。これにより、交換指示時に加温部110において加温中の検体も、加温後、一定時間内に測定が行われる。
【0076】
光学的情報取得部140は、測定用試料から光学的な情報を取得するための機能を有している。この光学的情報取得部140は、図2、図4に示すように、キュベット載置部141と、キュベット載置部141の下方に配置された検出部142とにより構成されている。
【0077】
検出部142は、キュベット200内の測定用試料に対して複数の条件下で光学的な測定を行うことが可能なように構成されている。また、光学的情報取得部140は、制御部501を介して制御装置4の制御部4aに電気的に接続されており、取得したデータ(光学的な情報)を制御装置4の制御部4aに送信する。これにより、制御装置4において、光学的情報取得部140から送信されたデータ(光学的な情報)が分析されて、表示部4bに表示される。
【0078】
また、キュベット供給機構部170は、ユーザによって無造作に投入された複数のキュベット200をキュベット搬送部70に順次供給することが可能なように構成されている。
【0079】
[検体分析装置1の分析動作]
次に、検体分析装置1の検体の分析動作について説明する。
【0080】
まず、図1に示した検体分析装置1の測定機構部2および制御装置4の電源をそれぞれオン状態にすることにより、検体分析装置1の初期設定が行われる。これにより、キュベット200を移動させるための機構と各分注アーム(検体分注アーム80および試薬分注アーム130)とを初期位置に戻すための動作や、第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12の原点検出や、制御装置4の制御部4aおよび測定機構部2の制御部501に記憶されているソフトウェアの初期化などが行われる。
【0081】
そして、試薬容器300を保持する第1試薬容器ラック310および第2試薬容器ラック320を、それぞれ、第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12に配置することにより、制御部501により自動的に各試薬テーブル11,12およびバーコードリーダ350が制御され、各試薬容器ラックおよび各試薬容器に貼付されたバーコードの読み取りが行われる。なお、試薬容器ラックに試薬容器300を収容する際は、バーコード300aが外側を向くように配置する。バーコードの読み取り動作については後述する。
【0082】
バーコードの読み取り動作の後、分析動作開始の入力がユーザにより行われる。分析動作開始の入力が行われると、搬送機構部3によって、検体を収容した試験管250が載置されたラック251の搬送が行われる。これにより、ラックセット領域3aのラック251が測定機構部2の吸引位置2aに対応する位置まで搬送される。
【0083】
そして、検体分注アーム80により試験管250から所定量の検体の吸引が行われる。そして、検体分注アーム80をキュベット搬送部70のキュベット搬送テーブル71に保持されたキュベット200の上方に移動させる。その後、検体分注アーム80からキュベット搬送テーブル71のキュベット200内に検体が吐出されることにより、キュベット200内に検体が分取される。
【0084】
そして、キュベット200は、キュベット移送部120により、キュベット搬送テーブル71から加温部110に移送される。そして、加温部110において約37℃になった検体を収容したキュベット200は、キュベット移送部120の移送用キャッチャ部121によって把持される。そして、移送用キャッチャ部121によってキュベット200が把持された状態で、試薬分注アーム130を駆動させて、試薬テーブル(第1試薬テーブル11または第2試薬テーブル12)に載置された試薬容器300内の試薬をキュベット200内の検体に添加され測定用試料の調製が行われる。そして、そのまま、キュベット移送部120により、測定用試料が収容されたキュベット200を光学的情報取得部140のキュベット載置部141に移動させる。
【0085】
そして、光学的情報取得部140の検出部142によりキュベット200内の測定用試料に対して複数の条件下で光学的な測定が行われることによって、測定用試料から光学的な情報が取得される。そして、取得された光学的情報は、制御装置4の制御部4aに順次送信される。
【0086】
そして、制御装置4の制御部4aは、受信した光学的情報に基づいて分析結果を出力し、得られた分析結果を制御装置4の表示部4bに表示する。このようにして、検体分析装置1の検体の分析動作が終了する。
【0087】
[バーコード読み取り動作]
図14〜図16は、第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12に第1試薬容器ラック310および第2試薬容器ラック320を載置した後に自動的に行われるバーコードの読み取り動作の第1の実施形態を示したフローチャートである。なお、図17に示されるように、第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12には、第1試薬容器ラック310および第2試薬容器ラック320がそれぞれ5つずつ載置されている。
【0088】
まず、制御部501は、第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12への第1試薬容器ラック310および第2試薬容器ラック320の載置が完了したか否かを判定する(ステップS1)。具体的には、第1蓋部30がロック機構によってロックされると、第1ロック検知部504からロック信号が出力される。制御部501は、このロック信号の受信に基づいて、第1試薬テーブル11への第1試薬容器ラック310の載置完了の判定を行う。同様に、第2蓋部40がロック機構によってロックされると、第2ロック検知部505からロック信号が出力され、制御部501は、このロック信号に基づいて、第2試薬テーブル12への第2試薬容器ラック320の載置完了の判定を行う。そして、第1試薬容器ラック310および第2試薬容器ラック320の載置が完了したと判定されると、ステップS2に移行する。
【0089】
ステップS2においては、バーコードリーダ350が、第2試薬テーブル12上の各第2試薬容器ラック320に貼付された各バーコードと、各第2試薬容器ラック320に保持された各試薬容器300に貼付されたバーコードの読み取りを実行する。以下、このバーコード読み取りを、「第2試薬テーブル12のバーコード読み取り」と略す。なお、バーコードリーダ350は、オン状態の時に、1秒間に約500回読取光を照射し、バーコードからの反射光を読み取ることが可能である。
【0090】
制御部501は、まず、第1駆動部502にパルス数N1の駆動パルス信号を供給する(ステップS21)。パルス数N1は、第1試薬テーブル11への試薬容器ラックの載置完了時に図17の第1試薬容器ラック310Bの近くに位置している第1試薬容器ラック310を、上記第1試薬容器ラック310Bの位置に移動させるパルス数である。本ステップにおける動作により、第1試薬テーブル11が回転して、第1試薬容器ラック310Bがバーコードリーダ350に対して図17に示される所定の位置に到達した時に第1試薬テーブル11が停止する。上述した所定の位置とは、第1試薬容器ラック310Bの切欠部312aの左側の前面がバーコードリーダ350に対向する位置である(図10参照)。この切欠部312aの左側の前面は、バーコードが貼付されていない壁面となっている。このため、第2試薬テーブル12を回転させながら第2試薬テーブル12のバーコード読み取りを実行する際に、バーコードリーダ350が、隙間12aを介して、第1試薬テーブル11上のバーコード(第1試薬容器ラック310に貼付されたバーコードおよび第1試薬容器ラック310に収容された各試薬容器300に貼付されたバーコード)を誤って読み取ることを防止することができる。
【0091】
次に、制御部501は、第2駆動部503にパルス数N2の駆動パルス信号を供給する(ステップS22)。パルス数N2は、第2試薬テーブル12への試薬容器ラックの載置完了時の第2試薬容器ラック320Aを、図18に示す第2試薬容器ラック320Aの位置に移動させるパルス数である。本ステップにおける動作により、第2試薬テーブル12が回転して、図18に示されるように、第2試薬容器ラック320AのA地点がバーコードリーダ350の対向位置に到達した時に第2試薬テーブル12が停止する。なお、A地点とは、第2試薬容器ラック320Aの最も右側のバーコード321bの右隣の前面に相当する部分である(図12参照)。
【0092】
次に、制御部501は、バーコードリーダ350をオン状態にする(ステップS23)。そして、第2駆動部503にパルス数N3の駆動パルス信号を供給する(ステップS24)。パルス数N3は、第2試薬テーブル12を反時計回りに一周させるパルス数である。本ステップにおける動作により、第2試薬テーブル12が反時計回りに一周し、第2試薬容器ラック320AのA地点がバーコードリーダ350の対向位置に到達した時に第2試薬テーブル12が停止する。この回転に伴い、位置情報(バーコード321b〜326b)、位置情報に対応する試薬情報(バーコード300a)または容器無し情報(バーコード321c〜326c)が順次バーコードリーダ350により読み取られる。なお、バーコードリーダ350によって読み取られた位置情報、試薬情報および容器無し情報は、図示しないハードディスクに記憶される。
【0093】
第2試薬テーブル12が停止すると、制御部501は、バーコードリーダ350をオフ状態にする(ステップS25)。バーコードリーダ350をオフ状態にした後、ステップS3に移行する。
【0094】
ステップS3においては、バーコードリーダ350が、第1試薬テーブル11上の各第1試薬容器ラック310に貼付されたバーコードおよび各第1試薬容器ラック310に保持された各試薬容器300に貼付されたバーコードの読み取りを実行する。以下、このバーコード読み取りを、「第1試薬テーブル11のバーコード読み取り」と略す。
【0095】
制御部501は、まず、バーコードリーダ350の対向位置に、図18に示されるA地点とB地点とが隙間12aを介して交互に到達するように、第2試薬テーブル12を往復回転させる(ステップS31)。なお、B地点とは、第2試薬容器ラック320Bの切欠部326aの左側の前面(図11参照)に相当する部分である。ステップS31における第2試薬テーブル12の往復回転について、以下に説明する。
【0096】
制御部501は、まず、第2駆動部503にパルス数N4の駆動パルス信号を供給する。パルス数N4は、第2試薬テーブル12を時計回りに回転させて、バーコードリーダ350の対向位置に上述のA地点からB地点を到達させるパルス数である。これにより、第2試薬テーブル12が時計回りに回転し、バーコードリーダ350の対向位置に上述のA地点からB地点が到達した時に、第2試薬テーブル12が停止する(図19参照)。続いて、制御部501は、第2ステッピングモータにパルス数N5の駆動パルス信号を供給する。パルス数N5は、第2試薬テーブル12を反時計回りに回転させて、バーコードリーダ350の対向位置に上述のB地点からA地点を到達させるパルス数である。これにより、第2試薬テーブル12が反時計回りに回転し、バーコードリーダ350の対向位置に上述のA地点が再び到達した時に、第2試薬テーブル12が停止する(図18参照)。以上の動作を繰り返すことにより、制御部501は、バーコードリーダ350の対向位置に上述のA地点とB地点とが隙間12aを介して交互に到達するように、第2試薬テーブル12を往復回転させる。なお、第2試薬テーブル12がこの往復回転を行うことにより、隙間12aは、バーコードリーダ350の対向位置を往復して通過する。
【0097】
次に、制御部501は、第1駆動部502にパルス数N6の駆動パルス信号を供給する(ステップS32)。パルス数N6は、第1試薬テーブル11を反時計回りに回転させて、図19に示す第1試薬容器ラック310Aを、図20に示す第1試薬容器ラック310Aの位置に移動させるパルス数である。本ステップにおける動作により、第1試薬テーブル11が反時計回りに回転し、第1試薬テーブル11の第1試薬容器ラック310Aがバーコードリーダ350に対して図20に示される所定の位置に到達した時に、第1試薬テーブル11の回転が停止する。なお、図20に示される所定の位置とは、第1試薬容器ラック310Aの最も右側のバーコード311bの右隣の前面(図10参照)がバーコードリーダ350に対向する位置である。
【0098】
次に、制御部501は、バーコードリーダ350をオン状態にする(ステップS33)。そして、第1駆動部502にパルス数N7の駆動パルス信号を供給する(ステップS34)。パルス数N7は、第1試薬テーブル11を反時計回りに一周させるパルス数である。本ステップにおける動作により、第1試薬テーブル11が反時計回りに一周して停止する。この第1試薬テーブル11の回転に伴い、位置情報(バーコード311b,312b)、位置情報に対応する試薬情報(バーコード300a)または容器無し情報(バーコード311c,312c)が順次バーコードリーダ350により読み取られる。なお、バーコードリーダ350によって読み取られた位置情報、試薬情報および容器無し情報は、図示しないハードディスクに記憶される。
【0099】
第1試薬テーブルが停止すると、制御部501は、バーコードリーダ350をオフ状態にする(ステップS35)。その後、制御部501は、第2駆動部503への駆動パルス信号の供給を停止することにより、第2試薬テーブル12の往復回転を停止させる(ステップS36)。
【0100】
以上のように、本実施形態では、第2試薬テーブル12の往復回転により、隙間12aを揺動させながら、バーコードリーダ350による第1試薬テーブル11のバーコード読み取りを実行している。このようにすることによって、第2試薬テーブル12を停止させた状態で、隙間12aを介して、第1試薬テーブル11上の各バーコードをバーコードリーダ350で読み取る場合に比べて、バーコードリーダ350に対する第2試薬テーブル12の隙間12aの位置ずれや、第1試薬テーブル11上の各バーコードの貼付位置ずれ等に起因する読み取りミスの発生を防止することができる。
【0101】
また、第2試薬テーブル12を揺動させることにより第1試薬テーブル11上のバーコードの読み取り精度が向上されているため、隙間12aの幅を狭くすることができる。そのため、第2試薬テーブル12に第2試薬容器ラック320を載置するスペースをより多く確保することができ、結果として、より多くの試薬容器300を保持することができる。
【0102】
次に、ユーザが測定作業の過程で試薬容器300の交換・追加作業を行った場合のバーコード読み取り動作について説明する。
[試薬交換・追加時のバーコード読み取り動作]
検体分析装置1は、交換または追加された試薬容器300が収容された第1試薬容器ラック310または第2試薬容器ラック320に保持される全ての試薬容器300のバーコード300aの読み取りが行われるように構成されている。これにより、例えば、1つの試薬の交換を指示した際に、同じ試薬容器ラック内の交換指示されていない試薬を交換した場合であっても、交換後の試薬の配置が正しく試薬配置画面410に反映される。
【0103】
例えば、第2試薬容器ラック320の試薬容器300の交換・追加を行った場合には、当該第2試薬容器ラック320の321b〜326b、および、当該第2試薬ラック320に保持されている試薬容器300のバーコード300aまたは321c〜326cの読み取りが行われる。その際には、第2試薬テーブル12が反時計回りに回転されながら、最初に位置情報を識別するためのバーコード321bを読み取る。その後、試薬情報を識別するためのバーコード300aまたは容器無し情報を識別するためのバーコード321cを読み取り、その後、位置情報を表すバーコード322bを読み取る。このように、位置情報(バーコード321b〜326b)と位置情報に対応する試薬情報(バーコード300a)または容器無し情報(バーコード321c〜326c)とを交互に読み取っていく。
【0104】
また、第1試薬容器ラック310の試薬容器300の交換・追加を行った場合には、外側の第2試薬テーブル12が往復回転を開始するとともに、交換・追加された試薬容器300を収容する第1試薬容器ラック310のバーコード311bがバーコードリーダ350の対向位置で停止するよう、内側の第1試薬テーブル11が回転する。そして、第1試薬テーブル11が反時計回りに回転されながら、最初に位置情報を識別するためのバーコード311bを読み取る。その後、試薬情報を識別するためのバーコード300aまたは容器無し情報を識別するためのバーコード311cを読み取り、その後、位置情報を表すバーコード312bを読み取る。このように、位置情報(バーコード311b,312b)と位置情報に対応する試薬情報(バーコード300a)または容器無し情報(バーコード311c,312c)とを交互に読み取っていく。
【0105】
なお、本実施形態では、第1試薬テーブル11上の各バーコードを読み取る際に(図14に示すステップS3)、制御部501が、第1試薬テーブル11を途中で停止させることなく一周させているが、本発明の実施形態はこれに限られない。図21は、本発明の第2実施形態における、第1試薬テーブル11のバーコード読み取り動作(ステップS3A)を示したフローチャートである。第2実施形態においては、第1試薬テーブル11のバーコード読み取りを実行する際に、第1試薬テーブル上の各バーコードがバーコードリーダ350の対向位置に到達する毎に第1試薬テーブル11の回転が停止し、第1試薬テーブル11の停止中にバーコードリーダ350により第1試薬テーブル11上の各バーコードを読み取るよう構成している。ステップS3Aにおける各ステップについて、以下に説明する
まず、制御部501は、第2試薬テーブル12を往復回転させ(ステップS31A)、第1駆動部502にパルス数N6の駆動パルス信号を供給し(ステップS32A)、バーコードリーダ350をオン状態にする(ステップS33A)。このステップS31A〜S33Aの動作は第1実施形態におけるステップS31〜S33と同じであり、この時点において、第1試薬テーブル11の第1試薬容器ラック310Aはバーコードリーダ350に対して図20に示される位置に到達している。
【0106】
次に、制御部501は、第1試薬テーブル11上の各バーコードがバーコードリーダ350の対向位置に到達して停止するよう、所定のパルス数の駆動パルス信号を第1駆動部502に供給する(ステップS34A)。これにより、各バーコードがバーコードリーダ350の対向位置で停止することにより、より精度よくバーコードの読み取りが可能となる。
【0107】
次に、制御部501は、ステップS33A以降に第1駆動部502に供給した駆動パルス信号のパルス数の合計がN7に達したか否かを判断する(ステップS35A)。なお、パルス数の合計がN7に達した時に、第1試薬テーブル11は、上記の図20に示される位置から一周した状態となる。パルス数の合計がN7に達していないと判断した場合は、所定時間T経過後(ステップS36A)、ステップS34Aに戻る。
【0108】
ステップS35Aにおいて、パルス数の合計がN7に達したと判断すると、制御部501はバーコードリーダ350をオフ状態にする(ステップS37A)。その後、制御部501は、第2駆動部503への駆動パルス信号の供給を停止することにより、第2試薬テーブル12の往復回転を停止させる(ステップS38A)。
【0109】
なお、この第2実施形態においては、第1試薬テーブル11上の各バーコードがバーコードリーダ350の対向位置に到達していない間はバーコードリーダ350をオフ状態にし、各バーコードがバーコードリーダ350の対向位置に到達した時にバーコードリーダ350をオン状態にしてもよい。
【0110】
また、第3実施形態として、第1試薬テーブル11のバーコード読み取りを実行する際に、第2試薬テーブル12の往復回転に合わせて、制御部501が第1試薬テーブル11の回転・停止を制御してもよい。第3実施形態では、例えば、第2試薬テーブル12の往復回転により、バーコードリーダ350の対向位置に、図18等に示される第2試薬容器ラック320AのA地点から第2試薬容器ラック320BのB地点が到達するのに同期して、第1試薬テーブル11上のバーコードがバーコードリーダ350の対向位置を通過するよう第1試薬テーブル11を反時計回りに回転させる。次いで、第2試薬テーブル12が反転して、バーコードリーダ350の対向位置に上述のB地点からA地点が到達するのに同期して、第1試薬テーブル11上の次のバーコードがバーコードリーダ350の対向位置を通過するよう第1試薬テーブル11を反時計回りに回転させる。このような動作を繰り返すことにより第1試薬テーブル11上の全てのバーコードの読み取りが実行される。図22は、本発明の第3実施形態における、第1試薬テーブル11のバーコード読み取り動作(ステップS3B)を示したフローチャートである。ステップS3Bにおける各ステップについて、以下に説明する。
【0111】
まず、制御部501は、第2試薬テーブル12を往復回転させ(ステップS31B)、第1駆動部502にパルス数N6の駆動パルス信号を供給し(ステップS32B)、バーコードリーダ350をオン状態にする(ステップS33B)。このステップS31B〜S33Bの動作は、第1実施形態におけるステップS31〜S33および第2実施形態におけるステップS31A〜S33Aと同じである。なお、この時点において、第1試薬テーブル11の第1試薬容器ラック310Aはバーコードリーダ350に対して図20に示される位置に到達しているとともに、バーコードリーダ350の対向位置には、第2試薬容器ラック320BのB地点が到達している。
【0112】
次に、制御部501は、第2試薬テーブル12の反転と略同時に、所定のパルス数の駆動パルス信号を第1駆動部502に供給する(ステップS34B)。本ステップにおける動作により、例えば、第1試薬容器ラック310のバーコード311bがバーコードリーダ350の対向位置を通過するのと同期して、バーコードリーダ350の対向位置に上述のB地点からA地点が到達する。
【0113】
次に、制御部501は、ステップS33B以降に第1駆動部502に供給した駆動パルス信号のパルス数の合計がN7に達したか否かを判断する(ステップS35B)。なお、パルス数の合計がN7に達した時に、第1試薬テーブル11は、上記の図20に示される位置から一周した状態となる。
【0114】
ステップS35Bにおいて、パルス数の合計がN7に達したと判断すると、制御部501はバーコードリーダ350をオフ状態にする(ステップS36B)。その後、制御部501は、第2駆動部503への駆動パルス信号の供給を停止することにより、第2試薬テーブル12の往復回転を停止させる(ステップS37B)。
【0115】
なお、この第3実施形態においても、第1試薬テーブル11上の各バーコードがバーコードリーダ350の対向位置に到達していない間はバーコードリーダ350をオフ状態にし、各バーコードがバーコードリーダ350の対向位置に到達した時にバーコードリーダ350をオン状態にしてもよい。
【0116】
上記各実施形態では、第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12が、試薬容器300を収容した第1試薬容器ラック310および第2試薬容器ラック320を着脱可能に保持できるよう構成している。このため、試薬容器300の交換や追加を行う際に、試薬容器ラックを取り出して、試薬容器の交換や追加の作業を行うことができる。
【0117】
また、上記各実施形態では、第2試薬容器ラック320において、試薬容器300を千鳥状に収容している。これにより、第2試薬容器ラック320において試薬容器300をより多く収容できるとともに、バーコードリーダ350による試薬容器300のバーコード300aの読み取りも良好に行うことができる。
【0118】
また、上記各実施形態では、同心円状に2重に配設された第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12を用いているが、同心円状に3重に配設された試薬テーブルを用いてもよい。その場合には、最内周の試薬テーブル以外の各試薬テーブルには、内側の試薬テーブル上のバーコードを読み取るための隙間12aをそれぞれ設ける。
【0119】
また、上記各実施形態では、隙間12aを介して第1試薬テーブル11上の各バーコードを読み取る際、隙間12aを有する第2試薬テーブル12を往復回転させているが、必ずしも往復回転でなくてもよく、第2試薬テーブル12を一方向に回転させるよう構成してもよい。
【0120】
また、上記各実施形態では、バーコードリーダ350により第1試薬テーブル11のバーコード読み取りを実行する際に、固定されたバーコードリーダ350に対して第2試薬テーブル12が揺動するよう構成しているが、第2試薬テーブル12を停止させた状態で、隙間12aに対してバーコードリーダ350を揺動させるようにしてもよい。すなわち、図23に示すように、第2試薬容器ラック320AのA地点の対向位置と第2試薬容器ラック320BのB地点の対向位置とをバーコードリーダ350が往復するよう、図示しないバーコードリーダ駆動装置によりバーコードリーダ350を揺動させる。そして、隙間12aを介して、第1試薬テーブル11上の各バーコードの読み取りを実行できるよう、バーコードリーダ350をオン状態にするとともに、第1試薬テーブル11を反時計回りに回転させる。このように構成しても、隙間12aの停止位置ずれ等に起因した読み取りミスが発生することなく、隙間12aを介して良好にバーコードを読み取ることが可能となる。
【0121】
また、識別子としては、上記各実施形態で用いた一次元バーコード以外に、二次元バーコードを用いてもよく、その場合には、当該二次元バーコードを読み取り可能なバーコードリーダを用いればよい。識別子として二次元バーコードを用いれば、より多くの識別情報を記録することができる。
【0122】
また、上記各実施形態では、試薬を収容する試薬容器300にバーコード300aを貼付しているが、血液等の検体を収容する検体容器にバーコードを貼付し、バーコードリーダがそのバーコードを読み取ることにより検体の識別情報を取得してもよい。
【0123】
また、上記各実施形態では、バーコードリーダ350および隙間12aをそれぞれ1個ずつ設けた構成を示しているが、1個ずつに限らず、それぞれ2個以上ずつ設けるよう構成してもよい。このように構成すれば、同一試薬テーブル上に多数の試薬容器300を載置した場合にも、短時間の内に所望の試薬容器300のバーコード300aを読み取ることが可能となる。
【0124】
また、上記各実施形態では、上方と下方が突き抜けている隙間12aを介してバーコードを読み取っているが、上方と下方の少なくとも一方が閉塞している隙間を介してバーコードを読み取るよう構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明の一実施形態による検体分析装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による検体分析装置の全体構成を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態による検体分析装置の内部を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態による検体分析装置の内部を示す平面図である。
【図5】本発明の一実施形態による検体分析装置の制御装置を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態による制御装置の表示部に表示される試薬配置画面を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態による測定機構部の制御部を示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態による測定機構部の制御部を示すブロック図である。
【図9】一実施形態による第1試薬容器ラックを示す斜視図である。
【図10】図9に示した第1試薬容器ラックに試薬容器が保持された状態を示す斜視図である。
【図11】一実施形態による第2試薬容器ラックを示す斜視図である。
【図12】図11に示した第2試薬容器ラックに試薬容器が保持された状態を示す斜視図である。
【図13】本発明の一実施形態による検体分析装置の試薬保存部、試薬交換部、キュベット搬送部、第1蓋部および第2蓋部を示す平面図である。
【図14】本発明の第1実施形態による制御部のバーコード読み取りのための制御手順を示すフローチャートである。
【図15】本発明の第1実施形態による制御部のバーコード読み取りのための制御手順を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第1実施形態による制御部のバーコード読み取りのための制御手順を示すフローチャートである。
【図17】本発明の一実施形態によるバーコード読み取り時の第1試薬テーブルおよび第2試薬テーブルの動作状況を示す模式図である。
【図18】本発明の一実施形態によるバーコード読み取り時の第1試薬テーブルおよび第2試薬テーブルの動作状況を示す模式図である。
【図19】本発明の一実施形態によるバーコード読み取り時の第1試薬テーブルおよび第2試薬テーブルの動作状況を示す模式図である。
【図20】本発明の一実施形態によるバーコード読み取り時の第1試薬テーブルおよび第2試薬テーブルの動作状況を示す模式図である。
【図21】本発明の一実施形態によるバーコード読み取り時の第1試薬テーブルおよび第2試薬テーブルの動作状況を示す模式図である。
【図22】本発明の一実施形態によるバーコード読み取り時の第1試薬テーブルおよび第2試薬テーブルの動作状況を示す模式図である。
【図23】本発明の一実施形態によるバーコード読み取り時の第1試薬テーブル、第2試薬テーブルおよびバーコードリーダの動作状況を示す模式図である。
【符号の説明】
【0126】
1 検体分析装置
2 測定機構部
4a 制御部
11 第1試薬テーブル
12 第2試薬テーブル
300 試薬容器
310 第1試薬容器ラック
311、312 保持部
320 第2試薬容器ラック
321〜326 保持部
350 バーコードリーダ
300a バーコード
311b、312b、321b〜326b バーコード
311c、312c、321c〜326c バーコード
501 制御部
502 第1駆動部
503 第2駆動部





【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体と試薬とを混合して調製された測定試料を分析する検体分析装置であって、
識別子を読み取る読取部と、
識別子が付された容器を環状に配置可能であるとともに回転可能に設けられた第1配置部と、
前記第1配置部の外側に同心円状に配設されるとともに、識別子が付された容器を環状に配置可能であり、前記第1配置部とは独立して回転可能に設けられ、間隙を有する第2配置部と、
前記読取部により前記間隙を介して前記第1配置部に配置された容器の識別子を読み取る際に、前記間隙が前記読取部と前記識別子との間を通過するように前記第2配置部を回転させる駆動制御部と、を備える検体分析装置。
【請求項2】
前記駆動制御部は、前記読取部により前記第1配置部に配置された容器の識別子を読み取る際に、前記間隙が揺動するように前記第2配置部を往復回転させる請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項3】
前記駆動制御部は、前記読取部により前記第1配置部に配置された容器の識別子を読み取る際に、前記第1配置部を移動させる請求項2に記載の検体分析装置。
【請求項4】
前記第1配置部および第2配置部に配置される容器は、検体容器または試薬容器である請求項1〜3のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項5】
前記第1配置部は、識別子が付された容器を複数収容可能な第1ラック及び識別子が付された容器を複数収容可能な第2ラックを着脱可能に保持可能である請求項1〜4のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項6】
前記第2配置部は、識別子が付された容器を複数収容可能な第3ラック及び識別子が付された容器を複数収容可能な第4ラックを着脱可能に保持可能である請求項1〜5のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項7】
前記第2配置部は、前記第3ラックと第4ラックとの間に前記間隙が形成されるように前記第3ラックおよび第4ラックを保持する請求項6に記載の検体分析装置。
【請求項8】
前記第1ラック、第2ラック、第3ラックおよび第4ラックには識別子が付されている請求項5〜7のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項9】
前記第3ラックおよび第4ラックの少なくとも1つは、容器を千鳥状に収容可能である請求項6〜8のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項10】
前記第2配置部に配置された容器の識別子を前記読取部が読み取る際、前記駆動制御部は、前記第1配置部に配置された容器の識別子が前記読取部と対向しないように前記第1配置部を制御する請求項1〜9のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項11】
前記識別子はバーコードであり、前記読取部はバーコードリーダである請求項1〜10のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項12】
検体と試薬とを混合して調製された測定試料を分析する検体分析装置であって、
識別子を読み取り可能であり、移動可能に設けられた読取部と、
識別子が付された容器を環状に配置可能であるとともに回転可能に設けられた第1配置部と、
前記第1配置部の外側に同心円状に配設されるとともに、識別子が付された容器を環状に配置可能であり、間隙を有する第2配置部と、
前記読取部により前記間隙を介して前記第1配置部に配置された容器の識別子を読み取る際に、前記間隙との対向位置において前記読取部を揺動させる駆動制御部と、を備える検体分析装置。
【請求項13】
同心円状に配設された複数の容器配置部のうち内側の容器配置部に配置された容器の識別子を、外側の容器配置部に設けられた間隙を介して読み取る識別子読取方法であって、
前記外側の容器配置部を回転させながら、前記間隙を介して、前記内側の容器配置部に配置された容器の識別子を読み取る識別子読取方法。











【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2008−20335(P2008−20335A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−192662(P2006−192662)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】