説明

検体分析装置及びコンピュータプログラム

【課題】精度管理測定に使用された試薬の状態を容易に検証でき、精度管理測定の結果のばらつきの原因を容易に追究することが可能な検体分析装置及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】
検体分析装置は、試薬を使用して検体及び精度管理試料を測定する。精度管理試料の分析結果の詳細な情報を表示する指示が検体分析装置に与えられると、精度管理情報ダイアログD200が表示される。精度管理情報ダイアログD200には、精度管理チャートC201及び精度管理試料の分析結果の詳細情報C202が表示されると共に、精度管理試料の測定に使用された試薬に関する試薬情報C203が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿等の検体を分析する検体分析装置及び検体分析に関する処理に用いられるコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体分析による検体の分析結果の信頼性を確保するために、検体分析装置によって精度管理試料の測定を行う精度管理が実施されている。精度管理試料は既知の濃度の試料であり、かかる精度管理試料の測定結果が正常範囲内にあれば、測定を実施した検体分析装置が正常に機能していると判断される。
【0003】
特許文献1には、検体の測定結果画面から、精度管理試料の測定結果の表示を呼び出すことが可能な自動分析装置が開示されている。この特許文献1に記載された自動分析装置では、検体毎に複数の分析項目についての測定結果を測定結果画面に表示することができる。この測定結果画面において、カーソルにより分析項目の選択が可能であり、詳細情報と表記されたボタンの入力が行われると、選択された分析項目に関する分析情報(測定結果異常が発生した場合に原因を解析するために必要な情報)の画面が表示される。この分析情報には、試料の測定に使用された試薬の試薬ロット、試薬ボトルサイズ、及び有効期限情報、キャリブレーションが実施された日付、並びに精度管理試料の測定結果及び日時等が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−58129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
正常な検体分析装置によって精度管理試料の測定が適正に行われたとしても、精度管理測定の結果にばらつきが生じることがあり、測定に使用された試薬の状態(例えば試薬の劣化状態)がばらつきの一因になることがある。そのため、測定を実施した検体分析装置が正常に機能しているか否かを的確に判断するためには、精度管理測定に使用された試薬の状態を検証できることが要望されている。
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に記載されている自動分析装置にあっては、精度管理測定の結果とともにその測定の日時が表示されるものの、精度管理測定に使用された試薬の状態を検証するためには、精度管理測定に使用された試薬の情報をユーザ自身によって探索する必要があり、ユーザに多大な手間を要していた。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、精度管理測定に使用された試薬の状態を容易に検証でき、精度管理測定の結果のばらつきの原因を容易に追究することが可能な検体分析装置及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体分析装置は、精度管理試料を測定する精度管理測定を試薬を用いて行う測定部と、表示部と、前記測定部により得られた精度管理測定の結果と併せて、当該精度管理測定に使用された試薬の状態を検証するための試薬情報を前記表示部に表示させる制御部と、を備える。
【0009】
好ましくは、前記検体分析装置は、前記測定部により得られた精度管理測定の結果、及び、前記測定部による精度管理測定に使用された試薬に関する情報を記憶する記憶部をさらに備え、前記制御部は、前記記憶部に記憶された情報に基づき、前記測定部により得られた精度管理測定の結果と併せて、当該精度管理測定に使用された試薬の状態を検証するための試薬情報を前記表示部に表示させる。
【0010】
好ましくは、前記制御部は、前記精度管理測定に使用された試薬の状態を検証するための試薬情報として、前記精度管理測定に使用された試薬が前記測定部に設置されてから前記精度管理測定に使用されるまでの経過時間を前記表示部に表示させる。
【0011】
好ましくは、前記制御部は、前記精度管理測定に使用された試薬の状態を検証するための試薬情報として、前記精度管理測定に使用された試薬を収容していた試薬容器の識別情報を前記表示部に表示させる。
【0012】
好ましくは、前記制御部は、前記精度管理測定に使用された試薬の状態を検証するための試薬情報として、前記精度管理測定に使用された試薬を作製した試薬作製者を前記表示部に表示させる。
【0013】
好ましくは、前記制御部は、過去に行われた複数の精度管理測定の各測定結果を時系列に示し、且つ、測定結果のそれぞれを指定可能な精度管理結果画面を前記表示部に表示させ、測定結果が指定された場合に、指定された測定結果に対応する精度管理測定に使用された試薬の状態を検証するための試薬情報を前記表示部に表示させるように構成されている。
【0014】
好ましくは、前記測定部は、複数の測定項目について精度管理測定が可能であり、前記制御部は、複数の測定項目について行われた精度管理測定の結果を示し、且つ、測定項目のそれぞれを指定可能な精度管理結果画面を前記表示部に表示させ、測定項目が指定された場合に、指定された測定項目についての精度管理測定に使用された試薬の状態を検証するための試薬情報を前記表示部に表示させるように構成されている。
【0015】
好ましくは、前記制御部は、前記精度管理測定に使用された試薬を前記測定部に設置した設置者をさらに前記表示部に表示させる。
【0016】
好ましくは、前記制御部は、前記精度管理測定の指示を当該検体分析装置に対して行った測定者をさらに前記表示部に表示させる。
【0017】
好ましくは、前記制御部は、前記精度管理測定に使用された精度管理試料の状態を検証するための情報をさらに前記表示部に表示させる。
【0018】
好ましくは、前記測定部は、被検者の検体を測定する検体測定を行うように構成され、前記制御部は、前記測定部により測定された被検者の検体の測定結果と、ユーザが操作可能な所定の指示部とを含む検体測定結果画面を前記表示部に表示させ、前記指示部が操作された場合に、前記検体測定結果画面に表示されている測定結果の取得前に行われた精度管理測定の結果と併せて、前記精度管理測定に使用された試薬の状態を検証するための試薬情報を前記表示部に表示させるように構成されている。
【0019】
好ましくは、前記制御部は、前記精度管理測定の結果として、前記検体測定結果画面に表示されている検体測定の直近に行われた精度管理測定の結果を、前記表示部に表示させるように構成されている。
【0020】
本発明の他の態様の検体分析装置は、被検者の検体を測定する検体測定、及び、精度管理試料を測定する精度管理測定を、試薬を用いて行う測定部と、表示部と、前記測定部により測定された被検者の検体の測定結果を示す検体測定結果画面を前記表示部に表示させ、前記検体測定結果画面において所定の指示を受け付けると、前記検体測定結果画面に表示されている測定結果の取得前に行われた精度管理測定に使用された試薬の状態を検証するための試薬情報を前記表示部に表示させる制御部と、を備える。
【0021】
本発明の一の態様のコンピュータプログラムは、精度管理試料を測定する精度管理測定を試薬を用いて行う測定部に接続されたコンピュータを、前記測定部により得られた精度管理測定の結果と併せて、当該精度管理測定に使用された試薬の状態を検証するための試薬情報を、前記コンピュータに設けられた表示部に表示させる手段、として機能させる。
【0022】
本発明の他の態様のコンピュータプログラムは、被検者の検体を測定する検体測定、及び、精度管理試料を測定する精度管理測定を、試薬を用いて行う測定部に接続されたコンピュータを、前記測定部により測定された被検者の検体の測定結果を示す検体測定結果画面を、前記コンピュータに設けられた表示部に表示させる手段、及び、前記検体測定結果画面において所定の指示を受け付けると、前記検体測定結果画面に表示されている測定結果の取得前に行われた精度管理測定に使用された試薬の状態を検証するための試薬情報を前記表示部に表示させる手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る検体分析装置及びコンピュータプログラムによれば、精度管理測定に使用された試薬の状態を容易に検証でき、精度管理測定の結果のばらつきの原因を容易に追究することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態に係る検体分析装置の構成を示す斜視図。
【図2】実施の形態に係る検体分析装置が備える測定ユニットの概略構成を示す平面図。
【図3】実施の形態に係る検体分析装置が備える情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図4】試薬情報データベースの構成を示す模式図。
【図5】分析結果データベースの構成を示す模式図。
【図6】精度管理データベースの構成を示す模式図。
【図7】検量線データベースの構成を示す模式図。
【図8】実施の形態に係る検体分析装置の試薬情報登録動作の手順を示すフローチャート。
【図9A】実施の形態に係る検体分析装置の測定動作の手順を示すフローチャート。
【図9B】実施の形態に係る検体分析装置の測定動作の手順を示すフローチャート。
【図10】実施の形態に係る検体分析装置の精度管理結果表示動作の手順を示すフローチャート。
【図11】精度管理チャート画面の一例を示す図。
【図12】精度管理情報ダイアログの一例を示す図。
【図13】検量線情報ダイアログの一例を示す図。
【図14A】実施の形態に係る検体分析装置の検体分析結果表示動作の手順を示すフローチャート。
【図14B】実施の形態に係る検体分析装置の検体分析結果表示動作の手順を示すフローチャート。
【図15】ジョブリスト画面の一例を示す図。
【図16】分析結果詳細画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0026】
[検体分析装置の構成]
図1は、本実施の形態に係る検体分析装置1の構成を示す斜視図である。検体分析装置1は、被検者の血液の凝固機能を分析するための血液凝固分析装置であり、被検者の検体(血液)に含まれる成分を光学的に測定する測定ユニット2と、測定ユニット2による測定データを処理して検体の分析結果を得るとともに、測定ユニット2に操作指示を与える情報処理ユニット3とで構成されている。
【0027】
[検体分析装置の構成]
【0028】
図2は、測定ユニット2の概略構成を示す平面図である。測定ユニット2は、第1試薬テーブル11と、第2試薬テーブル12と、キュベットテーブル15と、加温テーブル16と、テーブルカバー17と、検体分注ユニット21,22と、試薬分注ユニット23〜25と、キャッチャユニット26〜28と、キュベット供給口34と、廃棄口35,36と、検出ユニット40と、搬送ユニット50とを備えている。
【0029】
第1試薬テーブル11、第2試薬テーブル12、キュベットテーブル15、及び加温テーブル16のそれぞれは、円形状のテーブルであり、時計回り及び反時計回りの両方向に、独立して回転駆動される。これらのテーブルの回転駆動は、それぞれ、下面裏側に配された複数のステッピングモータ(図示せず)により行われる。
【0030】
第1試薬テーブル11と第2試薬テーブル12の上面には、試薬容器を保持するための保持部が形成されている。
【0031】
検体分析装置1では、複数の分析項目について検体分析が可能である。第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12には、分析項目に対応する種類の試薬がセットされる。試薬には使用期限が設定されており、残料が切れるか、使用期限が経過した場合には、ユーザによって試薬が交換される。各試薬容器には、バーコードラベルが貼布されており、このバーコードラベルに試薬名、ロット番号、試薬容器の番号(バイアル番号)、各試薬に個別に割り当てられたシリアル番号、その試薬がいつまで使用可能かを示す使用期限、その試薬が何回測定に使用可能かを示す使用可能回数等の当該試薬に関する試薬情報を示すバーコードが印刷されている。なお、本実施の形態に係る血液凝固分析装置において分析に用いられる試薬の中には、冷凍保存していたものを解凍させて使用する試薬、又は凍結乾燥させた試薬粉末を精製水で溶かして使用する試薬が存在する。このような試薬を収容する試薬容器のバーコードには、試薬を作製したオペレータ(試薬作製者)のユーザIDも記録されている。第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12の近傍には、試薬バーコードを読み出すためのバーコードリーダ11aが設けられており、試薬がセットされたとき、即ち、検体分析装置1が起動された直後、及び、試薬の交換時に、第1紙薬テーブル11及び第2試薬テーブル12に収容された各試薬容器から試薬情報が当該バーコードリーダにより読み出される。こうして読み出された情報は、第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12における保持位置の情報と共に、後述する情報処理ユニット3に設けられたハードディスク404に記憶される。これにより、検体の測定が行われるときに、検体の測定に使用する試薬がどの保持位置に配置されているかを特定することができる。
【0032】
キュベットテーブル15と加温テーブル16には、図示の如く、それぞれ、円周に沿って複数のキュベット保持孔15a,16aが形成されている。キュベット保持孔15a,16aにキュベットがセットされると、かかるキュベットは、それぞれ、キュベットテーブル15と加温テーブル16の回転に合わせて、円周位置を移動することとなる。また、加温テーブル16は、保持孔16aにセットされたキュベットを、所定の温度にて加温する。
【0033】
検体分注ユニット21,22のそれぞれは、水平方向へ延びたアームを有しており、このアームを回転させることで、アームの先端に設けられたピペットを移動可能となっている。かかるピペットを用いて検体の吸引及び吐出が行われる。また、試薬分注ユニット23〜25のそれぞれも検体分注ユニットと同様の構成とされており、揺動可能なアームの先端に設けられたピペットにより、第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12にセットされた試薬容器から試薬を吸引し、キュベット内へ試薬を吐出することができる。
【0034】
また、測定ユニット2には、複数のキャッチャユニット26〜28が設けられている。これらのキャッチャユニット26〜28により、キュベットを移動することが可能である。
【0035】
キュベット供給口34には、常に新しいキュベットが供給される。新しいキュベットは、キャッチャユニット26,27により、キュベットテーブル15のキュベット保持孔15aにセットされる。廃棄口35、36は、分析が終了し不要となったキュベットを廃棄するための孔である。
【0036】
検出ユニット40は、上面にキュベットを収容する20個の保持孔41が設けられており、下面裏側に検出部(図示せず)が配されている。保持孔41にキュベットがセットされると、検出部により、キュベット中の測定試料から光学的情報が検出される。
【0037】
搬送ユニット50は、搬送路51を備えている。搬送路51の底面は、右側に分析前ラック保持領域、中央に搬送領域、左側に分析後ラック保持領域を有し、コの字型に形成されている。検体バーコードリーダ52は、搬送領域を搬送される検体ラック60に収容された検体容器61に貼付されたバーコードラベルのバーコードを読み取る。
【0038】
また、測定ユニット2には、測定ユニット2に設けられた各機構を制御するための制御部300が設けられている。制御部300は、図示しないメモリに記憶された制御プログラムを実行するためのCPU301を有している。また、制御部300は、情報処理ユニット3と通信可能に接続されている。
【0039】
図3は、情報処理ユニット3の構成を示すブロック図である。
【0040】
情報処理ユニット3は、パーソナルコンピュータからなっており、本体400と、入力部408と、表示部409とから構成されている。本体400は、CPU401と、ROM402と、RAM403と、ハードディスク404と、読出装置405と、入出力インターフェース406と、画像出力インターフェース407と、通信インターフェース410とを有する。
【0041】
CPU401は、ROM402に記憶されているコンピュータプログラム及びRAM402にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM403は、ROM402及びハードディスク404に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM403は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401の作業領域としても利用される。
【0042】
ハードディスク404には、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなど、CPU401に実行させるための種々のコンピュータプログラム及びコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。つまり、かかるハードディスク404には、コンピュータを本実施の形態に係る情報処理装置として機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされている。
【0043】
またハードディスク404には、測定ユニット2にセットされた試薬の情報を記憶するための試薬情報データベースDB1と、分析結果を格納するための分析結果データベースDB2と、精度管理試料の分析結果を格納するための精度管理データベースDB3と、検量線の情報を格納するための検量線データベースDB4とが設けられている。
【0044】
試薬情報データベースDB1には、過去に測定ユニット2にセットされた試薬の情報が格納される。図4は、試薬情報データベースDB1の構成を示す模式図である。図に示すように、試薬情報データベースDB1には、試薬名を格納するためのフィールドF101と、試薬のロット番号を格納するためのフィールドF102と、試薬が収容されていた試薬容器(バイアル)のバイアル番号を格納するためのフィールドF107と、試薬が測定ユニット2にセットされた日付及び時刻を格納するためのフィールドF103及びF104と、試薬を作製したオペレータ(試薬作製者)のユーザIDを格納するためのフィールドF108と、試薬を測定ユニット2にセットしたオペレータ(設置者)のユーザIDを格納するためのフィールドF105と、試薬のシリアル番号を格納するためのフィールドF106とが設けられている。上述のように、本実施の形態に係る血液凝固分析装置においては、冷凍保存していた試薬を解凍させたり、凍結乾燥させた試薬粉末を精製水で溶かしたりして使用する試薬が存在するため、試薬作製者によっては、同じロット番号の試薬であっても試薬容器(バイアル)ごとに試薬の濃度にばらつきが生じることがある。このようなばらつきは測定結果に影響を与え得る。試薬情報データベースDB1にはバイアル番号および試薬作製者のユーザIDが格納されており、バイアル番号と試薬作製者のユーザIDとが表示されることにより、どのバイアルの試薬が測定に使用されたか、試薬を作製したオペレータは誰かを容易に特定することができる。そのため、測定に使用された試薬の状態を容易に検証することができ、測定結果のばらつきの原因を容易に追究することが可能となる。なお、試薬は、通常夜間においては冷蔵庫内に保管され、毎朝施設の始業時に検体分析装置1の測定ユニット2にセットされる。また、試薬が消費され、試薬容器が空になったときには、新しい試薬に交換される。このような検体分析装置1の起動時及び試薬交換時において、セットされた試薬に関する試薬情報が試薬情報データベースDB1に格納される。
【0045】
分析結果データベースDB2には、検体分析装置1によって過去に分析された検体の分析結果が格納される。図5は、分析結果データベースDB2の構成を示す模式図である。図に示すように、分析結果データベースDB2には、測定された検体を特定するための検体IDを格納するためのフィールドF201と、測定項目を格納するためのフィールドF202と、検体の測定を実行したオペレータのユーザIDを格納するためのフィールドF203と、検体の分析結果を承認したオペレータのユーザIDを格納するためのフィールドF204と、検体の測定が行われた日付及び時刻を格納するためのフィールドF205及びF206と、検体の分析結果(測定値)を格納するためのフィールドF207と、測定データの解析に使用された検量線を示す検量線IDを格納するためのフィールドF208と、検体の測定に使用された試薬のシリアル番号を格納するためのフィールドF209とが設けられている。ここで、分析結果データベースDB2のフィールドF205及びF206に格納される日付及び時刻(測定日及び測定時刻)は、検体の各測定において、検体容器に貼布されたバーコードラベルから、検体バーコードリーダ52によって検体IDが読み取られた日付及び時刻とされる。なお、測定日及び測定時刻はこれに限られず、例えば、検体の分析が終了し、検体分析結果が分析結果データベースDB2に格納される日付及び時刻としてもよい。
【0046】
精度管理データベースDB3には、検体分析装置1によって過去に実施された精度管理試料の測定の測定結果が格納される。図6は、精度管理データベースDB3の構成を示す模式図である。図に示すように、精度管理データベースDB3には、測定された精度管理試料を特定するための精度管理試料IDを格納するためのフィールドF301と、精度管理試料の名称を格納するためのフィールドF302と、精度管理試料のロット番号を格納するためのフィールドF303と、精度管理試料が装置にセットされた日付及び時刻を格納するためのフィールドF304及びF305と、測定項目を格納するためのフィールドF306と、精度管理試料の測定を実行したオペレータのユーザIDを格納するためのフィールドF307と、精度管理結果を承認したオペレータのユーザIDを格納するためのフィールドF308と、精度管理試料の測定が行われた日付及び時刻を格納するためのフィールドF309及びF310と、精度管理試料の分析結果(測定値)を格納するためのフィールドF311と、測定データの解析に使用された検量線を示す検量線IDを格納するためのフィールドF312と、精度管理試料の測定に使用された試薬のシリアル番号を格納するためのフィールドF313とが設けられている。ここで、精度管理試料の使用が開始された日付及び時刻について説明する。1つの精度管理試料は複数回の測定に使用される。つまり、精度管理試料の容器が開封され、使用が開始された後、当該精度管理試料は複数回の測定に供される。精度管理試料の容器には、精度管理試料IDが記録されたバーコードが印刷されたバーコードラベルが貼布されており、精度管理試料が測定されるときには、上述した検体バーコードリーダ52によって当該バーコードが読み取られる。上述したフィールドF304及びF305には、1つの精度管理試料について初めて検体バーコードリーダ52によって精度管理試料IDが読み取られた日付及び時刻が、精度管理試料がセットされた日付及び時刻として格納される。
【0047】
また、精度管理データベースDB3のフィールドF309及びF310に格納される日付及び時刻(測定日及び測定時刻)は、精度管理試料の各測定において、精度管理試料の容器に貼布されたバーコードラベルから、検体バーコードリーダ52によって精度管理試料IDが読み取られた日付及び時刻とされる。なお、測定日及び測定時刻はこれに限られず、例えば、精度管理試料の測定が終了し、精度管理試料の分析結果が精度管理データベースDB3に格納される日付及び時刻としてもよい。
【0048】
検体又は精度管理試料が測定ユニット2によって測定されると、それによって生成された測定データが情報処理ユニット3に与えられる。情報処理ユニット3は、検量線を使用して測定データから分析結果(測定値)を生成する。検量線は、検量線作成専用の試料であるキャリブレータを、測定ユニット2によって測定することにより作成される。こうして作成された検量線に関する情報が、検量線データベースDB4に格納される。図7は、検量線データベースDB4の構成を示す模式図である。図に示すように、検量線データベースDB4には、検量線を特定するための検量線IDを格納するためのフィールドF401と、検量線の作成に使用されたキャリブレータの名称を格納するためのフィールドF402と、検量線の作成に使用されたキャリブレータのロット番号を格納するためのフィールドF403と、検量線の作成日及び作成時刻を格納するためのフィールドF404及びF405と、測定項目を格納するためのフィールドF406と、キャリブレータの測定に使用された試薬のシリアル番号を格納するためのフィールドF407とが設けられている。
【0049】
読出装置405は、CDドライブ又はDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体に記録されたコンピュータプログラム及びデータを読み出すことができる。入出力インターフェース406には、マウス及びキーボードからなる入力部408が接続されており、ユーザが入力部408を使用することにより、情報処理ユニット3にデータが入力される。画像出力インターフェース407は、CRT又は液晶パネル等で構成された表示部409に接続されており、画像データに応じた映像信号を、表示部409に出力する。表示部409は、入力された映像信号をもとに、画像を表示する。また情報処理ユニット3は、通信インターフェース410により測定ユニット2に対してデータの送受信が可能となる。
【0050】
[検体分析装置の動作]
以下、本実施の形態に係る検体分析装置1の動作について説明する。
【0051】
<試薬情報登録動作>
まず、測定ユニット2にセットされた試薬の情報を試薬情報データベースDB1に登録するときの検体分析装置1の動作について説明する。試薬情報の登録は、検体分析装置1の起動時及び試薬の交換時に行われる。ここでは、検体分析装置1の起動時における試薬情報の登録について説明する。
【0052】
図8は、試薬情報登録動作の手順を示すフローチャートである。検体分析装置1が起動されると情報処理ユニット3のCPU401が、表示部409にログイン画面を表示させる(ステップS101)。このログイン画面には、オペレータのユーザID及びパスワード(ログイン情報)を入力するための入力ボックスが設けられている。オペレータは、入力部408を操作してログイン情報を情報処理ユニット3に入力する。CPU401は、ログイン情報の入力を受け付けたか否かを判別する(ステップS102)。ログイン情報が受け付けられていない場合には(ステップS102においてNO)、CPU401は再度ステップS102の処理を実行する。また、ステップS102においてログイン情報の入力を受け付けた場合には(ステップS102においてYES)、CPU401は、受け付けたログイン情報を、ハードディスクに記憶している登録ユーザ情報と照合し、ログイン認証を実行する(ステップS103)。次にCPU401は、ログイン認証が成功したか否かを判別する(ステップS104)。認証が失敗した場合には(ステップS104においてNO)、CPU401は、処理をステップS102へ戻す。一方、ログイン認証が成功した場合には(ステップS104においてYES)、CPU401は、ステップS108へ処理を移す。
【0053】
一方、測定ユニット2においては、検体分析装置1が起動されると、制御部300のCPU301により、初期化処理が実行される(ステップS105)。その後CPU301は、第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12を回転駆動しながら試薬バーコードリーダ11aを駆動することにより、第1紙薬テーブル11及び第2紙薬テーブル12に保持されている各試薬容器のバーコードを読み取ることで試薬情報を取得し(ステップS106)、取得された試薬情報を情報処理ユニット3へ送信する(ステップS107)。ここで、当該試薬情報には、設置日及び設置時刻(フィールドF103及びF104に登録される情報)として、第1紙薬テーブル11及び第2紙薬テーブル12に保持されている各試薬容器のバーコードから試薬情報が読み取られた日付及び時刻が含まれる。ステップS107の後、CPU301は処理を終了する。
【0054】
ステップS108において、CPU401は、測定ユニット2から送信された試薬情報を受信する(ステップS108)。さらにCPU401は、受信した試薬情報及びその時点においてログインしているオペレータのユーザIDを、試薬情報データベースDB1に格納し(ステップS109)、処理を終了する。
【0055】
詳細な説明を省略するが、試薬交換においても新たにセットされた試薬の試薬情報が試薬情報データベースDB1に登録される。このように試薬交換において試薬情報データベースに登録される試薬の設置日及び設置時刻は、新たに設置された試薬容器のバーコードから試薬情報が読み取られた日付及び時刻とされる。
【0056】
<測定動作>
次に、検体分析装置1が被検者の検体又は精度管理試料を測定するときの動作について説明する。図9A及び図9Bは、測定動作の手順を示すフローチャートである。検体又は精度管理試料の測定を行うときには、オペレータは、検体を収容した検体容器、又は精度管理試料を収容した容器を検体ラックに保持させ、検体ラックを搬送ユニット50の分析前ラック保持領域に載置する。この状態で、情報処理ユニット3の入力部408を操作することで、測定開始の指示を検体分析装置1に与える。
【0057】
情報処理ユニット3のCPU401は、上記のような測定開始の指示を受け付けると(ステップS201)、測定開始を要求する要求データを測定ユニット2へ送信する(ステップS202)。測定ユニット2のCPU301は、かかる要求データを受信したか否かを判別し(ステップS203)、要求データを受信していない場合には(ステップS203においてNO)、再度ステップS203の処理を実行する。測定ユニット2が要求データを受信した場合には(ステップS203においてYES)、CPU301は、搬送ユニット50を制御し、搬送ユニット50に検体ラック60を搬送させる。検体ラック60は、分析前ラック保持領域において後方に移動された後、搬送領域において左方向に移動される。このとき、CPU301は、検体バーコードリーダ52を制御し、検体又は精度管理試料を収容した検体容器61に貼付されたバーコードラベルを検体バーコードリーダ52に読み取らせる(ステップS204)。次にCPU301は、検体バーコードリーダ52により読み取られた情報(以下、「バーコード情報」という。)を情報処理ユニット3へ送信する(ステップS205)。検体を収容した検体容器から読み出されたバーコード情報には、検体IDが含まれ、精度管理試料を収容した検体容器から読み出されたバーコード情報には、精度管理試料ID及び測定項目が含まれている。
【0058】
情報処理ユニット3のCPU401は、バーコード情報を受信したか否かを判別し(ステップS206)、バーコード情報を受信していない場合には(ステップS206においてNO)、再度ステップS206の処理を実行する。情報処理ユニット3がバーコード情報を受信した場合には(ステップS206においてYES)、CPU401は、バーコード情報に基づいて測定オーダを取得する(ステップS207)。測定対象が検体の場合、測定項目は、測定オーダにより指定される。検体分析装置1では、ユーザによる測定オーダの登録が可能であり、また図示しないサーバ装置から測定オーダを受け付けることも可能である。つまり、ユーザが測定オーダを登録する場合は、ユーザが情報処理ユニット3の入力部408を操作することにより、測定オーダを検体分析装置1に入力する。サーバ装置から測定オーダを受け付ける場合には、予めユーザがサーバ装置に測定オーダを登録しておく。本実施形態において、測定オーダとは、個々の検体に対して測定項目を一つ又は複数指定し、指定した測定項目の測定を検体分析装置1に命令することを意味する。したがって、一つの検体に対しては一つの測定オーダが入力され、一つの測定オーダには一又は複数の測定項目が含まれる。測定対象が検体の場合、情報処理ユニット3は、バーコード情報に含まれる検体IDをキーにして当該検体の測定オーダを取得する。つまり、測定オーダがユーザにより検体分析装置1に登録された場合には、当該検体IDに対応する測定オーダを情報処理ユニット3のハードディスク404から読み出され、測定オーダをサーバ装置から取得する場合には、検体IDが情報処理ユニット3からサーバ装置へ送信され、サーバ装置が、受信した検体IDに対応する測定オーダを情報処理ユニット3へと送信し、情報処理ユニット3が測定オーダを受信する。一方、測定対象が精度管理試料の場合には、バーコード情報に測定項目が含まれており、CPU401は、当該バーコード情報に含まれる測定項目から測定オーダを生成する。
【0059】
次にCPU401は、上記のようにして取得された測定オーダを測定ユニット2へ送信する(ステップS208)。測定ユニット2のCPU301は、かかる測定オーダを受信したか否かを判別し(ステップS209)、測定オーダを受信していない場合には(ステップS209においてNO)、再度ステップS209の処理を実行する。測定ユニット2が測定オーダを受信した場合には(ステップS209においてYES)、CPU301は、測定対象の検体又は精度管理試料の測定を実行する(ステップS210)。
【0060】
ステップS210の測定処理について説明する。なお、ここでは検体の測定について説明するが、精度管理試料の測定の場合も同様である。搬送ユニット50により搬送された検体ラック60は、搬送領域の所定の吸引位置に位置づけられる。この吸引位置において、検体が検体分注ユニット21又は22により吸引される。検体の吸引が終了すると、検体ラック60は、搬送領域において左方向に移動された後、分析後ラック保持領域において前方に移動される。
【0061】
キャッチャユニット27は、キュベット供給口34に供給されたキュベットを、キュベットテーブル15のキュベット保持孔15aにセットする。検体分注ユニット21は、搬送路51の搬送領域の所定の検体吸引位置53に位置づけられた検体容器61の検体を吸引する。検体分注ユニット21によって吸引された検体は、キュベットテーブル15の前方位置にある検体吐出位置18に位置づけられたキュベット保持孔15aにセットされたキュベットに吐出される。
【0062】
次に、検体分注ユニット21によって検体が吐出されたキュベットから、キュベットテーブル15にセットされた他のキュベットに、測定項目数分の検体が小分けされる。各キュベットは1つずつ測定項目に対応しており、キュベットに小分けされた検体は、当該キュベットに対応する測定項目について測定される。
【0063】
検体分注ユニット22により、キュベットテーブル15に保持されたキュベットから他のキュベットへ検体が分注される。検体が分注されたキュベットは、キャッチャユニット26により把持され、加温テーブル16のキュベット保持孔16aにセットされる。また、キュベットテーブル15のキュベット保持孔15aに保持されているキュベットは、検体が吸引されて不要となると、キャッチャユニット27により、廃棄口36に廃棄される。
【0064】
キュベットに収容された検体は、加温テーブル16において測定項目に応じた時間加温される。例えば、測定項目がPTの場合には、検体が3分間加温され、測定項目がAPTTの場合には、検体が1分間加温される。
【0065】
検体が加温された後、検体にトリガ試薬が混和される。例えば、測定項目がPTの場合、加温された検体を収容するキュベットにPT試薬(トリガ試薬)が分注され、その後検出ユニット40において光学測定される。
【0066】
この場合、加温テーブル16のキュベット保持孔16aに保持されているキュベットは、キャッチャユニット28により一旦キュベット保持孔16aから所定の位置へ移動され、ここで、試薬分注ユニット24又は25により、第1試薬テーブル11又は第2試薬テーブル12に配置されている所定の試薬容器200内のトリガ試薬が前記キュベット内へ分注される。なお、測定項目によっては、所定時間検体が加温された後、中間試薬がキュベット内に分注され、再度キュベットが所定時間加温された後、トリガ試薬が分注されるものもある。
【0067】
上記のようにトリガ試薬が吐出された後には、キャッチャユニット28は、試薬が吐出されたキュベットを検出ユニット40の保持孔41にセットする。その後、検出ユニット40においてキュベットに収容された測定試料から光学的情報が検出される。
【0068】
検出ユニット40による光学測定が終了し不要となったキュベットは、キャッチャユニット28によって、把持されたまま、廃棄口35の真上まで移動させられ、廃棄口35に廃棄される。以上で1つの検体の測定ユニット2による測定が完了する。
【0069】
測定ユニット2のCPU301は、検出ユニット40によって検出された光学的情報を含む測定データを情報処理ユニット3へ送信する(ステップS211)。情報処理ユニット3のCPU401は、測定データを受信したか否かを判別し(ステップS212)、測定データを受信していない場合には(ステップS212においてNO)、再度ステップS212の処理を実行する。情報処理ユニット3が測定データを受信した場合には(ステップS212においてYES)、CPU401は、測定データの解析を実行し、検体又は精度管理試料の分析結果を生成する(ステップS213)。この測定データの解析処理においては、対応する測定項目の検量線が使用される。つまり、CPU401は、検量線により測定データから分析結果(測定値)を生成する。
【0070】
次にCPU401は、ステップS213において得られた分析結果が検体のものか、精度管理試料のものであるかを判別する(ステップS214)。分析結果が検体のものである場合には(ステップS214において「検体」)、CPU401は、得られた分析結果を分析結果データベースDB2に格納する(ステップS215)。一方、分析結果が精度管理試料のものである場合には(ステップS214において「精度管理試料」)、CPU401は、得られた分析結果を精度管理データベースDB3に格納する(ステップS216)。上記のステップS215又はS216において、検体又は精度管理試料の分析を指示したオペレータのユーザIDとして、その時点においてログインしているオペレータのユーザIDが分析結果データベースDB2又は精度管理データベースDB3に格納される。
【0071】
検体又は精度管理試料の測定処理が終了した後、測定ユニット2のCPU301は、未測定の検体又は精度管理試料が存在するか否かを判別する(ステップS217)。未測定の検体又は精度管理試料が存在するか否かは、搬送ユニット50に設けられたセンサによって、搬送されている検体ラックにまだ測定されていない検体又は精度管理試料を収容した検体容器が保持されているか否かが検出されることで判断される。ステップS217において未測定の検体又は精度管理試料が存在すると判定された場合には(ステップS217においてYES)、CPU301は、ステップS204へ処理を戻す。一方、ステップS217において未測定の検体及び精度管理試料が存在しないと判定された場合には(ステップS217においてNO)、CPU301は、測定の終了を通知するための終了通知データを情報処理ユニット3へ送信し(ステップS218)、処理を終了する。
【0072】
一方、情報処理ユニット3のCPU401は、終了通知データを受信したか否かを判定する(ステップS219)。情報処理ユニット3が終了通知データを受信していない場合には(ステップS219においてNO)、CPU401は、ステップS206へ処理を戻す。また、情報処理ユニット3が終了通知データを受信した場合には(ステップS219においてYES)、CPU401は、処理を終了する。
【0073】
<精度管理結果表示動作>
次に上記のような測定動作によって得られた精度管理試料の分析結果を表示する精度管理結果表示動作について説明する。図10は、精度管理結果表示動作の手順を示すフローチャートである。オペレータは、情報処理ユニット3の入力部408を操作することにより、精度管理チャート画面の表示指示を与えることが可能である。例えば、後述するジョブリスト画面のツールバーA101に設けられたアイコンC103をマウスのクリック操作等によって選択することで(図15参照)、精度管理チャート画面の表示指示が情報処理ユニット3に与えられる。情報処理ユニット3のCPU401は、かかる精度管理チャート画面の表示指示を受け付けると(ステップS301)、精度管理データベースDB2に登録されている精度管理試料の分析結果のデータを読み出し(ステップS302)、精度管理チャート画面を表示部409に表示させる(ステップS303)。
【0074】
図11は、精度管理チャート画面の一例を示す図である。図11に示すように、精度管理チャート画面D100においては、画面上部の領域に複数のアイコンが並んだツールバーA101が設けられている。このツールバーA101は、情報処理ユニット3の他の画面にも共通して設けられる。つまり、情報処理ユニット3の一の画面から他の画面に表示が切り替わった場合に、画面切替の前後の両画面の何れにもツールバーA101は設けられている。ツールバーA101には、後述するジョブリスト画面へと表示を切り替えるためのアイコンC102と、他の画面から精度管理チャート画面D100へと表示を切り替えるためのアイコンC103と、測定ユニット2に対して検体又は精度管理試料の測定の開始を指示するためのアイコンC104と、測定ユニット2に対して測定動作の中断を指示するためのアイコンC105とが設けられている。
【0075】
ツールバーA101の下方には、精度管理チャート画面D100の大部分を占めるワーク領域A106が設けられている。ワーク領域A106には、精度管理試料の測定項目毎の分析結果のチャート(以下、「精度管理チャート」という。)C107〜C109が並べて表示される。精度管理チャートC107〜C109は、1つの精度管理試料の分析結果を示している。さらに詳細には、精度管理チャートC107〜C109には、1つの精度管理試料が複数回測定されたときの各分析結果が時系列グラフとして示される。精度管理チャートC107のグラフは折れ線グラフであり、各点が分析結果の値を示している。また、精度管理チャートC107〜C109は、測定項目毎に作成される。図11の例では、精度管理チャートC107が測定項目「PT」に、精度管理チャートC108が測定項目「APTT」に、精度管理チャートC109が測定項目「Fbg」に、それぞれ対応している。各精度管理チャートC107〜C109は、マウスのクリック操作等により選択可能である。1つの精度管理チャートが選択されると、選択された精度管理チャートの周囲に黒線の枠が表示され、選択状態であることが示される。図11の例では、精度管理チャートC109が選択状態である。また、精度管理チャート画面D100に表示されている精度管理チャートC107〜C109の1つに対して、マウスのダブルクリック操作が行われると、その精度管理チャートに対応する測定項目について、精度管理情報の表示指示が情報処理ユニット3に与えられる。精度管理情報については後述する。
【0076】
精度管理チャートC107〜C109のグラフ上において精度管理試料の分析結果として表示されている各点は、マウスのクリック操作等によって選択可能である。また、かかる精度管理チャートC107〜C109の右方及び下方には、表示をスクロールさせるためのスクロールボタンC110,C111が設けられている。
【0077】
スクロールボタンC110のさらに右方には、複数のアイコンが並べて配置されている。これらの中には、データ確認のためのアイコンC112が含まれる。アイコンC112は、マウスのクリック操作等により選択可能である。精度管理チャートC107〜C109の分析結果を表す点の1つが選択された状態で、アイコンC112が選択されると、この分析結果の承認(バリデーション)が実行される。精度管理試料の分析結果の承認を行う権限を有するオペレータは、分析結果が妥当であると判断すれば、承認を実行する。かかる分析結果の承認が実行されると、承認を実行したオペレータ、即ち、承認が実行された時点でログインしているオペレータのユーザIDが、精度管理データベースDB3における、承認された分析結果のレコードのフィールドF308に格納される。
【0078】
図10に示す精度管理結果表示動作の説明に戻る。CPU401は、上述したような精度管理試料の分析結果の承認の指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS304)。分析結果の承認指示を受け付けた場合には(ステップS304においてYES)、CPU401は、承認したオペレータのユーザIDを、精度管理データベースDB3の該当するレコードに登録し(ステップS305)、ステップS306へ処理を移す。一方、ステップS304において分析結果の承認指示を受け付けなかった場合には(ステップS304においてNO)、CPU401は、そのままステップS306へ処理を移す。
【0079】
ステップS306において、CPU401は、精度管理情報の表示指示を受け付けたか否かを判別する(ステップS306)。精度管理情報の表示指示を受け付けなかった場合には(ステップS306においてNO)、CPU401は、処理を終了する。一方、精度管理チャート画面D100に表示されている精度管理チャートC107〜C109の1つに対してマウスのダブルクリック操作が行われ、精度管理情報の表示指示が発生すると(ステップS306においてYES)、CPU401は、選択された精度管理チャートに係る精度管理試料の分析結果データを精度管理データベースDB3から読み出す(ステップS307)。この処理では、精度管理情報の表示指示が与えられ時点で精度管理チャートC107〜C109が示されている精度管理試料の分析結果のうち、精度管理情報の表示指示によって選択された測定項目、即ち、ダブルクリック操作が行われた精度管理チャートに対応する測定項目の分析結果が、精度管理データベースDB3から読み出される。また、選択された精度管理チャートに複数の分析結果が含まれている場合には、それらの分析結果の全てが精度管理データベースDB3から読み出される。
【0080】
また、CPU401は、ステップS307において読み出した分析結果を取得するための測定に使用された試薬に関する試薬情報を、試薬情報データベースDB1から読み出す(ステップS308)。このとき、ステップS307において複数の分析結果が読み出された場合には、それらのうちの最新の分析結果を取得するための測定に使用された試薬に関する試薬情報が読み出される。さらに詳しく説明すると、精度管理データベースDB3から読み出されたレコード(分析結果データ)に含まれる試薬のシリアル番号と同一のシリアル番号を含む試薬情報が、試薬情報データベースDB1から読み出される。
【0081】
次にCPU401は、上記のようにして読み出した精度管理試料の分析結果及び試薬情報に基づいて、精度管理情報ダイアログを表示部409に表示させる(ステップS309)。図12は、精度管理情報ダイアログの一例を示す図である。図12に示すように、精度管理情報ダイアログD200は、精度管理チャート画面D100において、精度管理情報の表示対象とされた精度管理チャートと同一の精度管理チャートC201を含んでいる。この精度管理チャートC201においては、精度管理チャート画面D100の精度管理チャートC107〜C109と同様に、分析結果を示す点を選択可能である。初期状態では、精度管理チャートC201に表示されている分析結果のうち最新の1つが選択状態とされる。選択された分析結果の点には、縦線状のカーソルCLが重ねて表示され、これによって選択状態であることが示される。
【0082】
精度管理情報ダイアログD200では、精度管理チャートC201の下方に、選択されている分析結果の詳細情報C202、試薬情報C203、精度管理試料の情報C204、及び検量線の情報C205が表示される。詳細情報C202には、測定項目(図中、「対象File」と表示されている。)、精度管理試料の測定を実行したオペレータのユーザID(図中、「測定者ID」と表示されている。)、分析結果の承認を実行したオペレータのユーザID(図中、「確認者ID」と表示されている。)、測定日、測定時刻、及び測定結果(測定値)が含まれている。
【0083】
詳細情報C202の右方には、試薬情報C203が表示され、さらに試薬情報C203の下方には、精度管理試料の情報C204及び検量線の情報C205が表示される。試薬情報C203には、2つの試薬に関する情報を表示可能である。測定項目には、1つの試薬しか使用されない測定項目と、2つの試薬が使用される測定項目とがある。2つの試薬が使用される測定項目についての精度管理情報が精度管理情報ダイアログD200に表示されるときには、この試薬情報C203に、測定に使用された2つの試薬に関する情報が表示される。また、図12に示すように、1つの試薬しか使用されない測定項目についての精度管理情報が精度管理情報ダイアログD200に表示されるときには、試薬情報C203に、測定に使用された1つの試薬に関する情報が表示される。かかる試薬情報C203には、試薬名、ロット番号、バイアル番号、試薬作製者、及び経過時間が含まれる。ロット番号が表示されることによって、例えば、測定に使用された試薬が、品質の経時変化が生じやすいロット番号の試薬であるか否かを確認することができ、精度管理測定の結果にばらつきが生じている場合に、そのばらつきの原因の一つの候補にすることができる。また、バイアル番号が表示されることによって、オペレータは、例えば同じバイアル番号の試薬で測定された他の試料の測定結果を併せて確認することで、そのバイアル番号の試薬の品質に異常があったか否かを検証することができる。また、試薬作製者が表示されることにより、試薬を作製したオペレータを容易に特定することができ、試薬が適切に作製されたか否かをそのオペレータに問い合わせることができる。これにより、測定に使用された試薬の状態を検証でき、精度管理測定の結果のばらつきが試薬作製者の操作に起因するのか否かを容易に確認することができる。「経過時間」は、試薬が測定ユニット2に初めて設置されてからその測定に使用されるまでの時間を示す。経過時間は、試薬情報データベースDB1から読み出したセット日およびセット時刻と、分析結果データベースDB2から読み出した測定日および測定時刻とに基づいて算出される。この経過時間が表示されることによって、オペレータは、精度管理試料が測定された時点における試薬の劣化状態を容易に把握することができ、精度管理測定の結果のばらつきが試薬の劣化に起因するのか否かを容易に判断することができる。
【0084】
精度管理情報ダイアログD200には、精度管理試料の情報C204として、ステップS307において読み出された精度管理試料に関する情報が表示される。この精度管理試料の情報C204には、精度管理試料の名称、ロット番号、及び経過時間が含まれる。「経過時間」は、精度管理試料が初めて装置にセットされてからその測定に使用されるまでの時間を示す。この経過時間により、オペレータは、精度管理試料が測定された時点における精度管理試料の劣化状態を容易に把握することができる。また、精度管理情報ダイアログD200には、検量線の情報C205として、選択されている精度管理試料の分析結果の生成に使用された検量線に関する情報が表示される。この検量線の情報C205には、キャリブレータの名称(図中、「標準品」と表示されている。)、ロット番号、検量線の作成日、及び作成時刻が含まれる。
【0085】
さらに、試薬情報C203と検量線情報C205との間には、検量線に関する詳細な情報を表示するためのボタンC206が設けられている。このボタンC206は、マウスのクリック操作等によって選択可能であり、当該ボタンC206が選択されると、選択されている精度管理試料の分析結果の生成に使用された検量線に関する詳細な情報の表示指示がCPU401に与えられる。
【0086】
図10に示す精度管理結果表示動作の説明に戻る。CPU401は、上述したような検量線に関する詳細情報の表示指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS310)。検量線に関する詳細情報の表示指示を受け付けなかった場合には(ステップS310においてNO)、CPU401は、ステップS313へ処理を移す。一方、検量線に関する詳細情報の表示指示を受け付けた場合には(ステップS310においてYES)、CPU401は、該当する検量線に関する情報を検量線データベースDB4から読み出し(ステップS311)、検量線情報ダイアログを表示部409に表示させる(ステップS312)。
【0087】
図13は、検量線情報ダイアログの一例を示す図である。検量線情報ダイアログD300には、測定項目C301と、キャリブレータの測定に使用された試薬のロット情報C302と、キャリブレータ測定結果C303と、検量線グラフC304と、表示されている検量線の作成に関する検量線作成情報C305とが示される。測定項目C301は、検量線情報ダイアログD300の左上隅部分に配置され、測定項目C301の右方には試薬ロット情報C302が配置される。また、測定項目C301及び試薬ロット情報C302の下方には、キャリブレータ測定結果C303が配置される。検量線の作成においては、濃度の異なる複数のキャリブレータが測定される。キャリブレータ測定結果C303には、かかる複数の測定結果(数値データ)と、各キャリブレータの濃度とが一覧表示される。キャリブレータ測定結果C303の右方には、検量線グラフC304が配置されている。検量線グラフC304は、キャリブレータ測定結果C303をグラフ化したものであり、各キャリブレータの測定データと、濃度との関係である検量線が示されている。検量線グラフC304の上方であり、試薬ロット情報C302の右方には、検量線作成情報C305が配置されている。検量線作成情報C305には、キャリブレータの測定を実行したオペレータのユーザID(図中、「測定者ID」と表示されている。)、検量線の承認を実行したオペレータのユーザID(図中、「確認者ID」と表示されている。)、検量線の作成日時、キャリブレータの名称、キャリブレータのロット番号が含まれる。かかる検量線情報ダイアログD300を、精度管理情報ダイアログD200から呼び出せることで、オペレータは、精度管理試料の分析に用いられた検量線を容易に確認することができ、精度管理結果の妥当性の検討を効率的に行うことが可能となる。
【0088】
図10に示す精度管理結果表示動作の説明に戻る。オペレータは、上述した精度管理情報ダイアログD200及び検量線情報ダイアログD300の右上隅に設けられた「×」と表示されたボタンをマウスでクリックすることで、これらのダイアログを閉じる指示を情報処理ユニット3に与えることが可能である。CPU401は、かかるダイアログの非表示指示を受け付けたか否かを判定し(ステップS313)、ダイアログの非表示指示を受け付けていない場合には(ステップS313においてNO)、ステップS313の処理を再度実行する。一方、ダイアログの非表示指示を受け付けた場合には(ステップS313においてYES)、CPU401は、精度管理情報ダイアログD200、検量線情報ダイアログD300を閉じ(ステップS314)、処理を終了する。
【0089】
<検体分析結果表示動作>
次に上記のような測定動作によって得られた検体の分析結果を表示する検体分析結果表示動作について説明する。図14A及び図14Bは、検体分析結果表示動作の手順を示すフローチャートである。オペレータは、情報処理ユニット3の入力部408を操作することにより、複数の検体分析結果を一覧表示するためのジョブリスト画面の表示指示を与えることが可能である。例えば、精度管理チャート画面D100のツールバーA101に設けられたアイコンC102をマウスのクリック操作等によって選択することで(図11参照)、ジョブリスト画面の表示指示が情報処理ユニット3に与えられる。情報処理ユニット3のCPU401は、かかるジョブリスト画面の表示指示を受け付けると(ステップS401)、分析結果データベースDB2に登録されている検体分析結果のデータを読み出し(ステップS402)、ジョブリスト画面を表示部409に表示させる(ステップS403)。
【0090】
図15は、ジョブリスト画面の一例を示す図である。精度管理チャート画面D100と同様に、ジョブリスト画面D400においては、画面上部の領域に複数のアイコンが並んだツールバーA101が設けられている。ツールバーA101には、アイコンC102〜C105が設けられている。
【0091】
また、精度管理チャート画面D100と同様に、ジョブリスト画面D400のツールバーA101の下方には、ジョブリスト画面D400の大部分を占めるワーク領域A106が設けられている。ワーク領域A106には、複数の検体の分析結果が一覧表示される分析結果テーブルC401が設けられている。分析結果テーブルC401は、一行に1つの分析結果が示される表である。かかる分析結果テーブルC401には、測定日が示される列と、測定時刻が示される列と、対応する検体が保持されていた検体ラックの番号及びその保持位置(図中では、「ラック番号・位置」と表示されている。)が示される列と、検体ID(図中では、「検体番号」と表示されている。)が示される列と、測定項目毎に分析結果(数値データ)が示される複数の列とが含まれている。分析結果テーブルC401の各行は、マウスのクリック操作等により選択可能であり、選択された行は選択されていない行とは異なる色で表示される。図15に示す例では、分析結果テーブルC401の最も上側の行が選択されている。
【0092】
また、かかる分析結果テーブルC401の右方及び下方には、表示をスクロールさせるためのスクロールボタンC402,C403が設けられている。
【0093】
スクロールボタンC402のさらに右方には、複数のアイコンが並べて配置されている。これらの中には、後述する分析結果詳細画面を表示するためのアイコンC404と、データ確認のためのアイコンC405とが含まれる。アイコンC404,C405は、マウスのクリック操作等により選択可能である。分析結果テーブルC401の行の1つが選択された状態で、アイコンC404が選択されると、この行の分析結果に関する詳細情報を示す分析結果詳細画面に表示が切り替わる。また、分析結果テーブルC401の行の1つが選択された状態で、アイコンC405が選択されると、この行の分析結果の承認(バリデーション)が実行される。検体の分析結果の承認を行う権限を有するオペレータは、分析結果が妥当であると判断すれば、承認を実行する。かかる分析結果の承認が実行されると、承認を実行したオペレータ、即ち、承認が実行された時点でログインしているオペレータのユーザIDが、分析結果データベースDB2における、承認された分析結果のレコードのフィールドF204に格納される。
【0094】
図14A及び図14Bに示す検体分析結果表示動作の説明に戻る。CPU401は、上述したような検体分析結果の詳細情報の表示指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS404)。検体分析結果の詳細情報の表示指示を受け付けなかった場合には(ステップS404においてNO)、CPU401は、処理を終了する。一方、検体分析結果の詳細情報の表示指示を受け付けた場合には(ステップS404においてYES)、CPU401は、指定された検体分析結果のデータを分析結果データベースDB2から読み出し(ステップS405)、分析結果詳細画面を表示部409に表示させる(ステップS406)。
【0095】
図16は、分析結果詳細画面の一例を示す図である。精度管理チャート画面D100及びジョブリスト画面D400と同様に、分析結果詳細画面D500においては、画面上部の領域に複数のアイコンが並んだツールバーA101が設けられている。ツールバーA101には、アイコンC102〜C105が設けられている。
【0096】
また、精度管理チャート画面D100及びジョブリスト画面D400と同様に、分析結果詳細画面D500のツールバーA101の下方には、分析結果詳細画面D500の大部分を占めるワーク領域A106が設けられている。ワーク領域A106には、分析結果の詳細な情報が示される。具体的には、分析結果詳細画面D500のワーク領域A106の左上側部分には、検体番号C501、測定日時C502、及び測定項目名C503が表示される。また、これらの情報C501〜C503の右方には、指定された検体の分析結果を示す数値データを表示するための数値データ表示部C504が設けられ、情報C501〜C503の下方には、指定された検体の測定データを示すグラフを表示するためのグラフ表示部C505が設けられている。グラフ表示部C505には、検出ユニット40によって検出された検体の光学的情報を時系列に示すグラフが表示される。即ち、このグラフの横軸は時間であり、縦軸は光学的情報(吸光度のレベル)である。
【0097】
数値データ表示部C504の下方であって、グラフ表示部C505の右方には、測定データの解析に使用されたパラメータ、測定に用いられた設定値等を表示するための分析関連情報表示部C506が設けられている。また、グラフ表示部C505の下方には、検量線情報ダイアログD300を表示するためのボタンC507と、精度管理情報ダイアログD200を表示するためのボタンC508とが設けられている。ボタンC507及びC508のそれぞれは、マウスのクリック操作等によって選択可能である。ボタンC507が選択されると、当該分析結果詳細画面D500に表示されている検体の分析に使用された検量線に関する詳細情報を含む検量線情報ダイアログD400が呼び出され、ボタンC508が選択されると、当該分析結果詳細画面D500に表示されている検体の測定の直近に実施された精度管理測定の結果を示す精度管理情報ダイアログD200が呼び出される。精度管理情報ダイアログD200には、上記分析結果詳細画面D500に表示されている検体の測定時点より前の時点で、且つ、その検体の測定時点に最も近い時点に実施された精度管理試料測定の分析結果が表示される。これにより、上記の検体測定を実施した検体分析装置1が正常に機能していたか否かを判断することができ、これにより検体の分析結果の信頼性を検証することができる。
【0098】
数値データ表示部C504及び分析関連情報表示部C506のさらに右方には、複数のアイコンが並べて配置されている。これらの中には、表示対象の分析結果を変更するためのアイコン、表示されている分析結果を印刷するためのアイコン等が含まれる。
【0099】
図14A及び図14Bに示す検体分析結果表示動作の説明に戻る。CPU401は、上述したような検量線に関する詳細情報の表示指示を受け付けたか否か、即ち、ボタンC507が選択されたか否かを判定する(ステップS407)。検量線に関する詳細情報の表示指示を受け付けた場合には(ステップS407においてYES)、CPU401は、分析結果詳細画面D500において表示されている検体の分析に使用された検量線に関する情報を検量線データベースDB4から読み出す(ステップS408)。具体的には、分析結果詳細画面D500において表示されている分析結果データに含まれる検量線ID(分析結果データベースDB2におけるフィールドF208に格納されているデータ)と同一の検量線IDを有するレコードが、検量線データベースDB4から読み出される。さらにCPU401は、読み出した情報に基づいて、検量線情報ダイアログを表示部409に表示させる(ステップS409)。なお、検量線情報ダイアログの構成は、上述したものと同様であるので、その説明を省略する。
【0100】
一方、ステップS407において、検量線に関する詳細情報の表示指示を受け付けなかった場合には(ステップS407においてNO)、CPU401は、上述したような精度管理試料の分析結果の表示指示を受け付けたか否か、即ち、ボタンC508が選択されたか否かを判定する(ステップS410)。かかる精度管理試料の分析結果の表示指示を受け付けなかった場合には(ステップS410においてNO)、CPU401は、ステップS407へ処理を戻す。一方、精度管理試料の分析結果の表示指示が発生すると(ステップS410においてYES)、CPU401は、当該分析結果詳細画面D500に表示されている検体の測定時点より前の時点で、且つ、その検体の測定時点に最も近い時点に実施された精度管理試料測定の分析結果データを精度管理データベースDB3から読み出す(ステップS411)。この処理では、分析結果詳細画面D500において表示されている分析結果データに含まれる測定項目(分析結果データベースDB2におけるフィールド202に格納されているデータ)と同一の測定項目を有するレコードであり、且つ、当該分析結果データに含まれる測定日及び測定時刻(分析結果データベースDB2におけるフィールドF205及びF206に格納されているデータ)の直近の測定日及び測定時刻を有するレコードが、精度管理データベースDB3から検索され、読み出される。また、前記直近の測定日及び測定時刻を有するレコードに含まれる精度管理試料ID及び測定項目と同一の精度管理試料ID及び測定項目を有する分析結果が複数存在する場合には、それらの分析結果の全てが精度管理データベースDB3から読み出される。
【0101】
また、CPU401は、ステップS411において読み出した分析結果データを取得するための精度管理試料の測定に使用された試薬に関する試薬情報を、試薬情報データベースDB1から読み出す(ステップS412)。具体的には、ステップS411において読み出された精度管理試料の分析結果データのうち、分析結果詳細画面D500において表示されている分析結果の測定日及び測定時刻の直近の測定日及び測定時刻を有する精度管理試料の分析結果データに含まれる試薬のシリアル番号と同一のシリアル番号を含む試薬情報が、試薬情報データベースDB1から読み出される。つまり、分析結果詳細画面D500において表示されている検体測定を行った検体分析装置1の精度管理測定に使用された試薬に関する試薬情報が、試薬情報データベースDB1から読み出される。
【0102】
次にCPU401は、上記のようにして読み出した精度管理試料の分析結果及び試薬情報に基づいて、精度管理情報ダイアログを表示部409に表示させる(ステップS413)。この精度管理情報ダイアログには、分析結果詳細画面D500において表示されている検体測定を実施した検体分析装置1の精度管理測定の結果と、その精度管理測定において使用された試薬の状態を検証するために用いられる情報(ロット番号、バイアル番号、試薬作製者、経過時間等)が示される。なお、精度管理情報ダイアログの構成は、上述したものと同様であるので、その説明を省略する。
【0103】
次にCPU401は、精度管理情報ダイアログにおいて、検量線に関する詳細情報の表示指示を受け付けたか否か、即ち、ボタンC206(図12参照)が選択されたか否かを判定する(ステップS414)。検量線に関する詳細情報の表示指示を受け付けなかった場合には(ステップS414においてNO)、CPU401は、ステップS415へ処理を移す。一方、検量線に関する詳細情報の表示指示を受け付けた場合には(ステップS414においてYES)、CPU401は、ステップS408へ処理を移し、分析結果詳細画面D500において表示されている検体の分析に使用された検量線に関する情報を検量線データベースDB4から読み出す。
【0104】
ステップS409の処理を実行して検量線情報ダイアログを表示した後、又は、ステップS414において検量線に関する詳細情報の表示指示を受け付けなかった場合には(ステップS414においてNO)、CPU401は、ダイアログの非表示指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS415)。ダイアログの非表示指示を受け付けていない場合には(ステップS415においてNO)、ステップS415の処理を再度実行する。一方、ダイアログの非表示指示を受け付けた場合には(ステップS415においてYES)、CPU401は、精度管理情報ダイアログD200、検量線情報ダイアログD300を閉じ(ステップS416)、処理を終了する。
【0105】
上記のような構成とすることにより、本実施の形態に係る検体分析装置は、精度管理測定の結果と、その精度管理測定に用いられた試薬の状態を検証するための情報(ロット番号、バイアル番号、試薬作製者、経過時間等)とが精度管理情報ダイアログに表示されるため、オペレータは、精度管理測定の結果を確認する際に、精度管理測定に使用された試薬の状態を検証するための情報も併せて確認することができる。これにより、オペレータは容易に精度管理測定に使用された試薬の状態を検証することができ、精度管理測定の結果のばらつきが試薬に起因しているのか否かを容易に追究することができる。
【0106】
また、本実施の形態に係る検体分析装置1では、精度管理情報ダイアログD200に、試薬が測定ユニットに初めて設置されてから精度管理測定に使用されるまでの経過時間が示される。これにより、オペレータは、精度管理測定が行われた時点における試薬の劣化状態を容易に把握することができる。また、精度管理情報ダイアログD200には、過去に行われた複数の精度管理測定の各分析結果の時系列グラフである精度管理チャートC201が示されるので、オペレータは、精度管理結果の推移を容易に把握することができ、しかも、精度管理試料の1つの分析結果だけでなく、その前後の分析結果も併せて確認することができる。
【0107】
また、本実施の形態に係る検体分析装置1では、精度管理情報ダイアログD200に、精度管理測定を実行したオペレータのユーザIDが示されるので、精度管理情報ダイアログD200を確認したオペレータは、例えば、複数の精度管理結果が分散し、精度管理結果が安定していないような場合には、精度管理測定を実行したオペレータに当時の状況等を確認する等の対処が容易となる。したがって、オペレータは精度管理測定の結果の信頼性を容易に評価することができる。
【0108】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態においては、精度管理試料の詳細な分析結果を表示する場合に、精度管理チャート画面から精度管理情報ダイアログを呼び出す構成について述べたが、これに限定されるものではない。精度管理チャート画面の表示を変化させることで、精度管理試料の詳細な分析結果を表示する構成としてもよい。例えば、精度管理チャート画面D100において、精度管理チャートC107〜C109のうちの1つが指定され、精度管理結果の詳細情報の表示指示が与えられた場合に、指定された精度管理チャート以外の精度管理チャートを非表示にし、指定された精度管理チャートを特定の位置(例えば、ワーク領域A106の最上部)に移動させ、空いた領域に、選択された精度管理結果の詳細情報及び試薬情報を表示させることも可能である。
【0109】
また、精度管理チャート画面において、精度管理試料の1つの分析結果(精度管理チャート上の点)が選択されたときに、選択された分析結果に係る試薬情報(精度管理試料の分析に使用された試薬に関する試薬情報)を精度管理チャート画面内に表示させてもよい。またこのとき、精度管理チャート画面内に、選択された分析結果の詳細情報を併せて表示させてもよい。
【0110】
また、精度管理測定の結果と併せて、検体分析装置1に試薬をセットしたオペレータのユーザIDを表示することもできる。これにより、精度管理結果が安定していないような場合に、精度管理測定の結果を確認しているオペレータが、前記試薬をセットしたオペレータにその原因を容易に確認することができる。
【0111】
また、上述した実施の形態においては、測定ユニット2で得られた精度管理測定の結果、及び、精度管理測定で使用された試薬に関する情報を、検体分析装置1内のハードディスク404に記憶させておき、ハードディスク404から読み出した情報に基づいて精度管理情報ダイアログD200を表示しているが、本発明はこれに限らない。検体分析装置1とネットワークを介して接続された外部のサーバに、測定ユニット2で得られた精度管理測定の結果、及び、精度管理測定で使用された試薬に関する情報を記憶させておき、精度管理情報ダイアログD200を表示する際にサーバから必要な情報をダウンロードしてもよい。
【0112】
また、上述した実施の形態においては、検体分析装置1を血液凝固測定装置とする構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体分析装置を、血球計数装置、免疫分析装置、尿中有形成分分析装置、又は尿定性分析装置のような血液凝固測定装置以外の検体分析装置とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明に係る検体分析装置及びコンピュータプログラムは、血液、尿等の検体を分析する検体分析装置及び検体分析に関する処理に用いられるコンピュータプログラム等として有用である。
【符号の説明】
【0114】
1 検体分析装置
2 測定ユニット
3 情報処理ユニット
300 制御部
301 CPU
401 CPU
402 ROM
403 RAM
404 ハードディスク
405 読出装置
406 入出力インターフェース
407 画像出力インターフェース
408 入力部
409 表示部
410 通信インターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
精度管理試料を測定する精度管理測定を試薬を用いて行う測定部と、
表示部と、
前記測定部により得られた精度管理測定の結果と併せて、当該精度管理測定に使用された試薬の状態を検証するための試薬情報を前記表示部に表示させる制御部と、
を備える、
検体分析装置。
【請求項2】
前記測定部により得られた精度管理測定の結果、及び、前記測定部による精度管理測定に使用された試薬に関する情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された情報に基づき、前記測定部により得られた精度管理測定の結果と併せて、当該精度管理測定に使用された試薬の状態を検証するための試薬情報を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記精度管理測定に使用された試薬の状態を検証するための試薬情報として、前記精度管理測定に使用された試薬が前記測定部に設置されてから前記精度管理測定に使用されるまでの経過時間を前記表示部に表示させる、
請求項1又は2に記載の検体分析装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記精度管理測定に使用された試薬の状態を検証するための試薬情報として、前記精度管理測定に使用された試薬を収容していた試薬容器の識別情報を前記表示部に表示させる、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記精度管理測定に使用された試薬の状態を検証するための試薬情報として、前記精度管理測定に使用された試薬を作製した試薬作製者を前記表示部に表示させる、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項6】
前記制御部は、過去に行われた複数の精度管理測定の各測定結果を時系列に示し、且つ、測定結果のそれぞれを指定可能な精度管理結果画面を前記表示部に表示させ、測定結果が指定された場合に、指定された測定結果に対応する精度管理測定に使用された試薬の状態を検証するための試薬情報を前記表示部に表示させるように構成されている、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項7】
前記測定部は、複数の測定項目について精度管理測定が可能であり、
前記制御部は、複数の測定項目について行われた精度管理測定の結果を示し、且つ、測定項目のそれぞれを指定可能な精度管理結果画面を前記表示部に表示させ、測定項目が指定された場合に、指定された測定項目についての精度管理測定に使用された試薬の状態を検証するための試薬情報を前記表示部に表示させるように構成されている、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記精度管理測定に使用された試薬を前記測定部に設置した設置者をさらに前記表示部に表示させる、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記精度管理測定の指示を当該検体分析装置に対して行った測定者をさらに前記表示部に表示させる、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記精度管理測定に使用された精度管理試料の状態を検証するための情報をさらに前記表示部に表示させる、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項11】
前記測定部は、被検者の検体を測定する検体測定を行うように構成され、
前記制御部は、前記測定部により測定された被検者の検体の測定結果と、ユーザが操作可能な所定の指示部とを含む検体測定結果画面を前記表示部に表示させ、前記指示部が操作された場合に、前記検体測定結果画面に表示されている測定結果の取得前に行われた精度管理測定の結果と併せて、前記精度管理測定に使用された試薬の状態を検証するための試薬情報を前記表示部に表示させるように構成されている、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記精度管理測定の結果として、前記検体測定結果画面に表示されている検体測定の直近に行われた精度管理測定の結果を、前記表示部に表示させるように構成されている、
請求項11に記載の検体分析装置。
【請求項13】
被検者の検体を測定する検体測定、及び、精度管理試料を測定する精度管理測定を、試薬を用いて行う測定部と、
表示部と、
前記測定部により測定された被検者の検体の測定結果を示す検体測定結果画面を前記表示部に表示させ、前記検体測定結果画面において所定の指示を受け付けると、前記検体測定結果画面に表示されている測定結果の取得前に行われた精度管理測定に使用された試薬の状態を検証するための試薬情報を前記表示部に表示させる制御部と、
を備える、
検体分析装置。
【請求項14】
精度管理試料を測定する精度管理測定を試薬を用いて行う測定部に接続されたコンピュータを、
前記測定部により得られた精度管理測定の結果と併せて、当該精度管理測定に使用された試薬の状態を検証するための試薬情報を、前記コンピュータに設けられた表示部に表示させる手段、
として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項15】
被検者の検体を測定する検体測定、及び、精度管理試料を測定する精度管理測定を、試薬を用いて行う測定部に接続されたコンピュータを、
前記測定部により測定された被検者の検体の測定結果を示す検体測定結果画面を、前記コンピュータに設けられた表示部に表示させる手段、及び、
前記検体測定結果画面において所定の指示を受け付けると、前記検体測定結果画面に表示されている測定結果の取得前に行われた精度管理測定に使用された試薬の状態を検証するための試薬情報を前記表示部に表示させる手段、
として機能させるためのコンピュータプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−19682(P2013−19682A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150853(P2011−150853)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】