説明

検体分析装置

【課題】 吸引管が外力を受けてもすぐに元の形状に復帰し、吸引管の洗浄等の動作を確実に行うことができる検体分析装置を提供する。
【解決手段】 吸引管13を超弾性金属製とし、吸引管13を洗浄する洗浄部を設ける。採血管3の内壁が吸引管13に当接することにより吸引管13が外力を受けても、外力を取り除けばすぐに元の真っ直ぐな形状に復帰する。したがって、洗浄部の貫通路を吸引管13が進行するときには吸引管13が真っ直ぐな状態となるので、吸引管13が洗浄部内を円滑に進行することができ、吸引管13の洗浄を確実に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体容器に収容された血液検体、尿検体等の検体を吸引し、当該検体を分析する検体分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検査者から採取した血液、尿等の検体を自動的に分析する検体分析装置が広く用いられている。このような検体分析装置による分析には、検体を収容する収容容器として、採血した真空採血管等の密封容器や、上部が開放された開放容器等が用いられ、検体分析装置も密封容器専用のもの、開放容器専用のもの、並びに密封容器及び開放容器の両方に対応可能なものが存在する。さらに多数の収容容器を自動的に搬送する搬送機構を備え、それぞれの容器から検体を自動的に吸引する検体分析装置や、手動で収容容器から一つずつ検体を吸引させる検体分析装置がある。
【0003】
また、この種の検体分析装置は、収容容器から検体を吸引する吸引管と、吸引管を洗浄する貫通型の洗浄用部材、及び検体と試薬とを混合して試料を調製する試料調整部を備えており、検体を吸引した吸引管を洗浄用部材で洗浄し、この吸引管を試料調整部に移動させ、試料調整部にて吸引管に所定量の検体を吐出させるように構成されたものが多い。例えば、特許文献1には、貫通型の洗浄用部材を備え、吸引管を洗浄用部材の貫通路に貫通させた状態で洗浄する構成の検体分析装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平7−229905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような検体分析装置では、試料調整部に設けられた挿入口に吸引管を挿入したり、洗浄用部材の貫通路内で吸引管を昇降させたりする必要があり、高い位置決め精度、組み立て精度、部品の寸法精度等が要求される。また、昨今の装置の小型化、検体の少量化に伴ってより一層高い寸法精度等が要求されている。特に、貫通型の洗浄用部材は、その性質上、貫通路の内径寸法を吸引管の外径寸法より大幅に大きくすることができず、吸引管が僅かに湾曲しただけでも正常な洗浄動作を行うことができない。
【0006】
また、手動で開放容器から検体を吸引させる際に、オペレータは吸引ミスを防ぐために、吸引管の先端が検体中に入っていることを確認しながら操作することが好ましい。ところが、検体分析装置における吸引管の位置、検体分析装置の設置場所、オペレータの体格等によっては、オペレータが吸引管の先端を確認しづらい場合がある。かかる場合、オペレータは収容容器の内面を吸引管に押し当てて吸引操作をすることがあるが、一般的な硬度の高い金属製(例えば、ステンレス綱製)の吸引管を備えた従来の分析装置にあっては、横方向の外力を繰り返し受けたり、大きな外力を受けると吸引管が塑性変形し、正常な動作を行えなくなる虞があった。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、オペレータの吸引操作に応じて吸引管が変形可能であるため使い勝手がよく、しかも吸引管が外力を受けてもすぐに元の形状に復帰し、正常な動作を確実に行うことができる検体分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る検体分析装置は、吸引管により上部が開口した検体容器から検体を吸引して、検体を分析する検体分析装置において、超弾性金属により構成された吸引管と、当該吸引管を挿入する挿入口を有し、当該挿入口に挿入された吸引管から吐出された検体から試料を調製する試料調整部と、検体を吸引する吸引位置と、前記試料調整部の挿入口に挿入された挿入位置との間で、前記吸引管を移動させる移動機構と、前記吸引管が貫通する貫通路、前記貫通路に洗浄液を供給する供給路、及び前記貫通路から洗浄液を排出する排出路を有し、前記貫通路を貫通した吸引管を洗浄する洗浄部と、前記試料調整部によって調製された試料を分析する分析部とを備えることを特徴とする。
【0009】
このようにすることにより、吸引管が超弾性金属製であるので、オペレータの吸引操作に応じて吸引管が容易に変形し、オペレータに対する利便性が向上する。また、吸引管が外力を受けてもすぐに元の形状に復帰し、検体分析装置が正常な動作を確実に行うことができる。
【0010】
上記発明においては、前記移動機構は、前記吸引管と前記洗浄部とを前記吸引管の長手方向へ相対的に移動させるように構成されていることが好ましい。これにより、吸引管と洗浄部とを長手方向に沿って相対的に移動させながら吸引管を洗浄することができ、吸引管を略全長にわたって洗浄することができる。
【0011】
上記発明においては、前記吸引管で検体を定量吸引する定量吸引部と、前記吸引管の内部に洗浄液を供給する供給部とを更に備え、当該供給部により前記吸引管の内部に洗浄液を供給することにより、吸引管の内部を洗浄すると共に、前記吸引管の内部に洗浄液を充填するように構成されていることが好ましい。これにより、吸引管の外周だけでなく内部をも洗浄することが可能となるだけでなく、洗浄液を吸引管に充填することにより、検体の定量を高精度に行うことが可能となる。また、吸引管が超弾性金属製であるので、合成樹脂等のように過度に膨張することがなく、高い定量精度を確保することができる。
【0012】
上記発明においては、前記移動機構により前記吸引管が移動されるときに、前記洗浄部が前記吸引管と一体的に移動するように構成されていることが好ましい。これにより、吸引管が洗浄部に貫通されたままとなるので、吸引管を洗浄する場合に吸引管が洗浄部の貫通路に挿入されるように正確に位置決めする必要がない。
【0013】
上記発明においては、前記吸引管に接続されており、前記吸引管に負圧を与えて検体を吸引させる吸引機構と、
外部から検体の吸引開始の指示を受け付ける指示受付部と、前記吸引機構及び前記移動機構の動作を制御する制御部とを更に備え、前記制御部は、前記指示受付部が吸引開始の指示を受け付けたときに、前記吸引管を停止させたまま前記吸引管から検体を吸引させるように前記吸引機構及び前記移動機構を動作制御する構成とすることができる。
【0014】
上記発明においては、前記吸引管は、チタン−ニッケル合金、銅−アルミニウム−ニッケル合金、又はチタン合金製であることが好ましい。
【0015】
上記発明においては、前記検体は、血液検体であることが好ましい。
【0016】
本発明に係る検体分析装置は、吸引管により上部が開口した検体容器から検体を吸引して、検体を分析する検体分析装置において、超弾性金属により構成された吸引管と、前記吸引管が貫通する貫通路と、前記貫通路に洗浄液を供給する供給路と、前記貫通路から洗浄液を排出する排出路とを有し、前記貫通路を貫通した吸引管を洗浄する洗浄部と、前記吸引管と前記洗浄部とを前記吸引管の長手方向へ相対的に移動させる移動機構と、前記吸引管によって吸引された検体を分析する分析部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る検体分析装置によれば、吸引管が超弾性金属製であるので、オペレータの吸引操作に応じて吸引管が容易に変形し、オペレータに対する利便性が向上する。また、吸引管が外力を受けてもすぐに元の形状に復帰し、検体分析装置が正常な動作を確実に行うことができる等、本発明は優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る検体分析装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0019】
図1は本発明の一実施の形態に係る検体分析装置Sの全体斜視図であり、図2は、この検体分析装置Sの正面図であり、図3は、この検体分析装置Sの、ケーシング1を除去した状態の斜視図であり、図4は、同じくケーシングを除去した状態の正面説明図である。
【0020】
前記検体分析装置Sは、ディスプレイ、入力装置、CPU、メモリ等を有する処理装置PC(典型的には、必要なコンピュータプログラムがインストールされたパーソナルコンピュータ)と通信可能に接続され(図15参照)、検体分析装置Sと処理装置PCとによって試料分析システムが構成されている。処理装置PCは、検体分析装置Sの操作、分析に関する各種設定、分析結果の表示等を行うための検体分析装置用ソフトウェアがインストールされており、検体分析装置Sとの間での通信により、検体分析装置Sに対して指令を与えたり、検体分析装置Sから測定データを受信したりすることができる。検体分析装置Sは、上部が開放された容器(試料の初期収容容器)である採血管3内に収容されている血液(試料)の測定を行う装置(血液分析装置)であり、装置本体2と、この装置本体2を収納するケーシング1とで主に構成されている。
【0021】
ケーシング1は合成樹脂や防錆処理が施された鋼板等で作製されており、ボルト等の固着手段を用いて装置本体2に固定されている。ケーシング1の正面(図1において左側の側面)の右下部分には凹部5が形成されており、この凹部5の上面から後述する吸引管13が突出している(図2参照)。これにより、オペレータが手に持った採血管3を移動させて、吸引管13を採血管3に下方から挿入させることができるようになっている。また、凹部5の奥側面には、マイクロスイッチから構成されたスタートスイッチ6が設けられており、オペレータは吸引管13を採血管3に挿入させた状態で、軽くスタートスイッチ6に触れることで血液の吸引を指示することができる。
【0022】
装置本体2は、採血管3内の血液を定量、希釈等して分析用の混合試料を調整するための試料調製部と、希釈等された血液の測定(検出)を行う検出部D1、D2、D3と、前記試料調整部及び検出部を電気的に駆動制御する制御部とを備えている。本発明の液体試料吸引装置は、前記試料調整部及び制御部のうち、密封容器から試料を吸引するための要素ないしは機構からなっている。
【0023】
前記試料調製部は、採血管3内から所定量の血液を吸引して第1混合チャンバMC1又は第2混合チャンバMC2内で試薬と混合することにより各種分析用の混合試料を調整する部位であり、採血管3内の試料を吸引する吸引管13と、この吸引管13を水平に移動させる水平駆動部20と、前記吸引管13を垂直に移動させる垂直駆動部60と、前記採血管3内を大気に開放するとともに当該採血管3内の試料を吸引するための吸引機構と、前記水平駆動部、垂直駆動部及び吸引機構の動作を制御するための制御部とを備えている。本実施の形態に係る試料調製部は、また、前記水平駆動部20により水平に移動される垂直駆動部40を備えており、この垂直駆動部40は、前記採血管3を保持するとともに、そのガイド機構により垂直移動可能にされている。
【0024】
前記吸引管13は、横断面形状が円形であり、内部に長手方向に延びる流路を有するとともに、試料又は空気を吸引する吸引口が先端付近に形成されている。また、この吸引管13は、チタン−ニッケル合金製の超弾性金属管であり、湾曲された場合であっても塑性変形せず、元の真っ直ぐな状態に復帰するようになっている。また、吸引管13の下端は略水平面となっており、この下端には吸引口が開口している。なお、かかる吸引管13はチタン−ニッケル合金製に限定されるものではなく、銅−アルミニウム−ニッケル合金、チタン合金等の他の超弾性金属により構成されていてもよい。
【0025】
また、図11及び図12の流体回路図に示すように、装置本体2には、試薬を収容するための試薬容器が設けられている。具体的には、試薬容器としては、希釈液(洗浄液)EPKを収容するための希釈液容器EPK−V、ヘモグロビン溶血剤SLSを収容するためのヘモグロビン溶血剤容器SLS−V、白血球分類用溶血剤FFDを収容するための白血球分類用溶血剤容器FFD−V、及び、白血球分類用染色液FFSを収容するための白血球分類用染色液容器FFS−Vが備わっている。
【0026】
図5は図1に示される検体分析装置の水平駆動部の正面説明図であり、水平駆動部20は、図示されているように、前記垂直駆動部40(詳細は後述する)が固定される移動パネル21と、この移動パネル21を水平移動させる駆動機構22と、前記移動パネル21の水平移動をガイドするガイド機構23とを備えている。前記移動パネル21は、金属又は合成樹脂で作製された縦長の板体からなっており、その上部及び下部には、垂直駆動部40を固定するためのビス孔24が形成されている。駆動機構22は、支持パネル25の表面(図5において手前側の面)上に回動自在に設けられた駆動プーリ26及び従動プーリ27と、前記支持パネル25の裏面側に配設され、前記駆動プーリ26を回転駆動するステッピングモータ28と、前記駆動プーリ26及び従動プーリ27間に張設されたタイミングベルト29と、このタイミングベルト29の内周面と前記移動パネル21の裏面の両面に固定された連結部材30とで構成されている。
【0027】
支持パネル25の上端縁には、前記移動パネル21の上端をガイドする上部ガイド31が設けられており、一方、当該支持パネル25の表面であって前記タイミングベルト29の下方には、移動パネル21の下部をガイドする下部ガイド32が設けられている。そして、前記ガイド機構23は、この上部ガイド31と下部ガイド32とで構成されている。上部ガイド31は、支持パネル25の上端縁から表面側に突出した水平部31aと、この水平部31aの先端から下方に垂下された垂直部31bとからなっており、移動パネル21の上端付近に形成された裏面側挟持片33と、同じく上端付近において表面側に突出して形成された断面略C字状の表面側挟持片34とで前記垂直部31bを挟持するようになっている。一方、下部ガイド32は、タイミングベルト29の下方において当該タイミングベルト29の移動方向と平行に配設されたガイドシャフト35と、このガイドシャフト35が摺動可能な通路を内部に有する摺動部材36とを備えており、この摺動部材36は、前記移動パネル21の裏面に固定されている。
【0028】
かかる構成において、ステッピングモータ28を駆動させると、タイミングベルト29に固定されている連結部材30が図4において左又は右方向に移動し、これにより当該連結部材30に固定されている移動パネル21を左又は右方向に移動させることができる。この場合に、移動パネル21は、上端及び下部付近を前記上部ガイド31及び下部ガイド32でそれぞれガイドされているので、移動に際し前後左右又は上下方向にがたつくことなくスムーズに移動させることができる。
【0029】
つぎに垂直駆動部40について詳述する。図6は図1に示される検体分析装置Sの垂直駆動部の正面説明図、及び図7は同じく垂直駆動部と水平駆動部の左側面説明図である。垂直駆動部40は、図6〜7に示されるように、支持体41と、この支持体41に垂直に支持されたガイドシャフト42と、前記吸引管13を保持するとともに前記ガイドシャフト42上を摺動する吸引管保持部43とを備えている。
【0030】
前記支持体41は、前記移動パネル21又は支持パネル25と平行な縦長の奥面部41aと、この奥面部41aと垂直に設けられており、同じく縦長の側面部41bと、前記奥面部41aの上下端において当該奥面部41aと垂直に設けられた上面部41c及び下面部41dとで構成されている。そして、前記側面部41bには、吸引管保持部43から水平方向に突出するガイド棒44を案内する縦長のガイドスリット45が形成されている。また、前記上面部41cと下面部41dとの間にガイドシャフト42が垂直に支持されている。なお、46は、垂直駆動部40を前記水平駆動部20の移動パネル21に固定するビスを貫通させるために前記奥面部41aに形成された切欠き部である。
【0031】
吸引管保持部43は略立方体からなる摺動部43aと、この摺動部43aの一面(図6において左側の面)に形成された係合部43bとを備えている。係合部43bは、図7に示されるように、断面が十字状であり、後述する垂直駆動部のアームの断面十字状の凹部と係合し、吸引管13を垂直に移動させる。摺動部43aの他の面(図6において紙面手前側の面)には、軸47が突設されており、この軸47にはガイドローラ48が回転自在に装着されている。このガイドローラ48は、後述する垂直駆動部60のガイドアームと係合し、当該ガイドアームに連動して吸引管保持部43が垂直方向に移動するようになっている。
【0032】
前記支持体41の下面部41dには、ブラケット49を介して、吸引管13の内外周を洗浄するための洗浄部CSが固定されている。また、支持体41の側面部41bの下部には、給排液用ニップル50、51、52が固定されており、それぞれチューブ53、54、55を介して吸引管13の基端及び洗浄部CSに接続されている。
【0033】
図8は、洗浄部CSの構成を示す側面断面図である。図に示すように、洗浄部CSは円柱状をなしており、この洗浄部CSには、吸引管13が遊嵌状に挿通される垂直な貫通路15と、この貫通路15へ洗浄液を供給するための供給路16と、貫通路15の洗浄液および血液を排出するための排出路17とが設けられている。貫通路15、供給路16および排出路17は、いずれも横断面形状が円形である。
【0034】
貫通路15は、吸引管13との間隙がより狭い小径部15aと、この小径部15aの下側に設けられ、吸引管13との間隙がより広い大径部15bとを有してなる。小径部15aと大径部15bとの間には、末広がり状のテーパ部15cが設けられている。小径部15aの直径は、吸引管13の外形よりも若干大きくなっており、これにより吸引管13が小径部15aに遊嵌可能となっている。
【0035】
供給路16は、貫通路15の大径部15bの上端に開口しており、貫通路15から側方へ延び、その途中で下方へ屈曲して洗浄部CSの下面で開口している。一方、排出路17は、貫通路15の小径部15aの下端寄りの箇所に開口しており、貫通路15から側方へ延び、その途中で上方へ屈曲して洗浄部CSの上面で開口している。また、排出路17は、その直径が供給路16の直径よりも大きく構成されている。
【0036】
洗浄部CSには、小ニップル18および大ニップル19が、いずれも一部埋め込み状にかつ垂直に取り付けられている。小ニップル18は供給路16に接続されており、洗浄部CSの下面から下方に突出している。また小ニップル18の下端部には、洗浄液供給用のチューブ55の一端が接続されている。大ニップル19は排出路17に接続されており、洗浄部CSの上面から上方に突出している。また大ニップル19の上端部には、洗浄液・試料排出用のチューブ54の一端が接続されている。
【0037】
つぎに吸引管13の垂直駆動部60について詳述する。図9は図1に示される検体分析装置Sの垂直駆動部の左側面説明図であり、図10は図9のC−C矢視断面図である。垂直駆動部60は、前述した垂直駆動部40とともに、本発明の液体試料吸引装置における吸引管移動機構を構成し、図9に示されるように、水平方向に沿って配設された細長体からなるアーム61と、このアーム61を直交方向(垂直方向)に貫通し、支持パネル62に配設された軸受63に回転自在に支持されたネジ軸64と、このネジ軸64と螺合するネジ部を有しており、前記アーム61に固定されたナット部65と、前記ネジ軸64と平行になるように支持パネル62に配設されたスライドレール66と、前記アーム61の一端部(装置本体2内部側端部)に設けられ、前記スライドレール66と摺動自在に係合して当該アーム61を垂直方向に案内する摺動部材67と、前記支持パネル62に固定されたステッピングモータ68とを備えている。
【0038】
前記ネジ軸64の上端とステッピングモータ68の出力軸には、それぞれプーリ69、70が固定されており、これらプーリ69、70間にタイミングベルト71が張設されている。また、前記アーム61の他端(装置本体2表面側端部)には、前記垂直駆動部40のガイドローラ48と係合する(図9参照)断面コの字状のガイドアーム72が水平に(図9において紙面に垂直に)固定されている。前記アーム61は、また、前記ガイドアーム72側の端部付近であって前記吸引管保持部43の断面十字状の係合部43bと対向する面に断面十字状の凹部73を有している。前記係合部43bは、図10に示されるように、矢印X方向から適度なクリアランスを保ちつつ前記断面十字状の凹部73に嵌入されるようになっている。この嵌入した状態において、吸引管13が採血管3の直上にくるように位置決めされており、吸引管13が採血管3の栓体3aを穿刺する際、アーム61の上下運動の力が直接吸引管保持部43に伝達されるようになっている。
【0039】
以上説明をした水平駆動部20のステッピングモータ28及び垂直駆動部60のステッピングモータ68の駆動を前記装置本体2の制御部により適宜制御することで、吸引管保持部43、すなわち吸引管13を水平又は垂直に駆動して、採血管3から試料を吸引したり、混合チャンバMC1,MC2に試料を供給したりすることができる。そして、試料吸引時には、吸引管13が採血管3の栓体3aを穿刺する動作が含まれるため、吸引管保持部43の係合部43bがアーム61の断面十字状の凹部73と嵌合し、大きな力が当該吸引管保持部43に伝達される。一方、吸引管13が混合チャンバMC1,MC2上に移動し、当該混合チャンバMC1,MC2に試料を供給する際には、垂直駆動部60のステッピングモータ68の駆動力は、アーム61、ガイドアーム72及びガイドローラ48を介して吸引管保持部43に伝達される。
【0040】
本実施の形態にかかわる検体分析装置Sは、図3〜4に示されるように、赤血球、ヘモグロビン及び血小板に関する測定をするための混合試料を調整する第1混合チャンバMC1、白血球に関する測定をするための混合試料を調整する第2混合チャンバMC2、赤血球に関する測定を行う第1検出部D1、ヘモグロビンに関する測定を行う第2検出部D2、及び白血球に関する測定を行う第3検出部D3を備えている。
【0041】
前記装置本体2は、図15に示されるように、前記試料調製部及び測定部D1、D2、D3を制御する制御部100を備えている。この制御部100は、CPU、ROM、RAMにより構成されている。また、装置本体2は、試料調製部等を構成する流体回路中の電磁弁SV1〜SV33、SV40、SV41や各種ポンプ・モータ28、68、SP1、SP2、P、V、DP1、DP2、DP3、DP4、DP5等を駆動するための駆動回路部110も備えており、制御部100は、駆動回路部110を介して前記電磁弁等を駆動する。制御部100は、図示しない通信インターフェースを介して、処理装置PCと通信可能であり、各種信号やデータなどを処理装置PCとの間でやり取りすることができる。
【0042】
図11〜14は、本実施の形態に係る検体分析装置Sの流体回路の構成を示す流体回路図である。図11〜14において、SP1及びSP2は試料(血液)の吸引及び供給をするためのシリンジポンプであり、CSは吸引管の洗浄をするための洗浄部であり、DP1〜DP5は希釈液、溶血剤、染色液等の液体を定量するためのダイヤフラムポンプである。また、WC1〜WC2は排液チャンバであり、EPK−CはEPK(希釈液)収容容器であり、SV1〜SV33は流路開閉用の電磁バルブである。これらのバルブSV1〜SV33は、通常は閉じられている、常閉タイプのバルブである。
【0043】
図に示すように、吸引管13は、シリンジポンプSP1にチューブを介して接続されており、シリンジポンプSP1が動作することにより吸引管13に負圧を与えて検体を吸引することが可能である。またダイヤフラムポンプDP1を駆動してシリンジポンプSP1に供給された洗浄液を、シリンジポンプSP1の動作により吸引管13に供給することが可能である。また、洗浄部CSの供給路16には、収容容器EPK−Cにチューブを介して接続されており、当該収容容器EPK−Cから洗浄液の供給を受けるようになっている。洗浄部CSの排出路17は、排液チャンバWC1にチューブを介して接続されている。この排液チャンバWC1は、排液チャンバWC1を溢れ出た排液の緩衝用のチャンバを介して真空ポンプVに接続されており、この真空ポンプによって排液チャンバWC1を介して排出路17に負圧を与えて排液(洗浄液・血液)を吸引するようになっている。
【0044】
つぎに図11〜14に示される流体回路図及び図16に示されるフローチャートを参照しつつ、本発明の実施の形態に係る検体分析装置Sの動作について説明する。以下には、検体分析装置Sの動作の一例として、検体に含まれる白血球の分類を行う分析動作について説明する。まず、検体分析装置Sは、吸引管13が下限位置に位置し、凹部5の上面から下方に突出した状態で待機する。以下、吸引管13のこの位置を初期位置という。つまり、この初期位置においては、吸引管13が外部に露出されている。また、吸引管13が初期位置で待機しているときには、吸引管13内に洗浄液が充填されている。この吸引管13への洗浄液の充填については、後述する。吸引管13が初期位置にあるときに、オペレータは採血管3を手に持ち、吸引管13の下方から採血管3を上方へ持ち上げる。これにより、吸引管13が採血管3に挿入される。
【0045】
このとき、オペレータが吸引管13を挿入した状態で採血管3を移動させ、採血管3の内壁で吸引管13の下端を押したり、吸引管13の下端が採血管3の底に当たる場合がある。このような場合には、吸引管13が外力を受け、変形することとなる。図17は、吸引管13の変形例を示した模式図である。図に示すように、採血管3の内面に吸引管13が当接し、吸引管13の一部(例えば、下端)が押されることにより、吸引管13は湾曲される。吸引管13は超弾性金属製であるため容易に湾曲し、また採血管3が吸引管13から外される等、外力が取り除かれた場合には、その弾性により元の真っ直ぐな形状に復帰する。
【0046】
このように吸引管13が採血管3に挿入され、吸引管13の下端が検体の内部に浸かった状態で、オペレータはスタートスイッチ6に触れ、吸引開始を指示する。かかる吸引開始の指示を受け付けたとき(ステップS1でYes)、制御部100は、吸引管13の位置を移動させないまま、つまり吸引管13を初期位置に位置させたまま、シリンジポンプSP1を駆動して所定量の試料を定量吸引させる(ステップS2)。また、溶血剤が溶血剤容器FFD−Vから第2混合チャンバMC2に供給される(ステップS3)。なお、ここでは第2混合チャンバMC2への溶血剤の供給を、試料(検体)の吸引の後に実行わけではなく、これらの動作は同時に行われる。以下の各動作についても、説明を簡略化するために逐次的に実行するように記載しているが、一部の動作は同時に実行されるようになっている。
【0047】
ステップS3では、具体的には、バルブSV19を開いてバルブSV20を閉じるとともに、バルブSV22を開いてバルブS21を閉じることで、FFD用ダイヤフラムポンプD4が陰圧駆動され、溶血剤FFDが溶血剤容器FFD−VからFFD用ダイヤフラムポンプD4へ補給される。そして、バルブSV19を閉じてバルブSV20を開くとともに、バルブS21を開いてバルブS22を閉じることで、FFD用ダイヤフラムポンプD4が陽圧駆動され、ダイヤフラムポンプD4によって溶血剤FFDが第2混合チャンバMC2に供給される。さらに、バルブS19を開いてバルブS20を閉じるとともに、バルブS21を閉じてバルブS22を開くことで、FFD用ダイヤフラムポンプD4が陰圧駆動され、再度、溶血剤FFDが溶血剤容器FFD−VからFFD用ダイヤフラムポンプD4へ補給される。
【0048】
次に、水平駆動部20及び垂直駆動部30の動作により吸引管13が上昇されるとともに、吸引管13の洗浄が行われる(ステップS4)。図18は、吸引管13が初期位置にあるときの吸引管13と洗浄部CSとの位置関係を示す垂直駆動部20と水平駆動部20の正面図である。図に示すように、吸引管13が初期位置にあるときには、吸引管保持部43が洗浄部CSに近接した位置に位置し、洗浄部CSが吸引管13の上端付近に位置することとなる。ステップS4は、具体的には、吸引管13がこのような初期位置にある状態で、バルブSV15及びバルブSV23を閉じ、バルブSV14を開いて、第1排液チャンバWC1を陰圧状態にする。その後、吸引管13を上昇させ、バルブSV11及びバルブSV51を開き、吸引管13の上昇動作と並行して当該吸引管13の外周を洗浄する。このとき、洗浄部CSの供給路16から洗浄液が貫通路15内に供給されるとともに、貫通路15内の洗浄液及び試料(検体)が負圧により排出路17から排出される。また、吸引管13は、この上昇動作により、吸引管13の先端(吸引口)が洗浄部CSの内部に位置する位置(以下、上限位置という)まで上昇される。このように、初期位置から上限位置まで吸引管13を移動させながら、洗浄部CSによる吸引管13の洗浄を行うので、吸引管を略全長にわたって洗浄することができる。
【0049】
次に、吸引管13が第2混合チャンバMC2に降下される(ステップS5)。図19は、第2混合チャンバMC2の上部開口に吸引管13を挿入した状態を示す側面断面図である。図に示すように、第1混合チャンバMC2の上部には、吸引管13を挿入させるための挿入口80が設けられている。この挿入口80は、吸引管13の挿入が可能な程度の大きさであって、しかも異物の混入等を防ぐために可及的に小さくする必要がある。したがって、挿入口80の形状は吸引管13の外径よりも若干大きい円形とされている。ステップS5では、吸引管13を挿入口80の上方に位置させ、その位置から吸引管13を降下させることにより、吸引管13の先端が挿入口80から第2混合チャンバMC2の内部に到達する。このとき、吸引管13が超弾性金属製であるため真っ直ぐな状態となっており、吸引管13を挿入口80に確実に挿入することができる。なお、第1混合チャンバMC1、排液チャンバWC1〜WC3も同様に挿入口が設けられているが、ここではその説明を省略する。
【0050】
そして、このように吸引管13が挿入口80に挿入されている状態でシリンジポンプSP1が駆動されることにより、吸引管13の吸引口より全血試料(ステップS2において吸引した試料の一部)が第2混合チャンバMC2に吐出される(ステップS6)。
【0051】
吐出完了後、染色液FFSを第2混合チャンバMC2へ入れる(ステップS7)。ステップS7は、具体的には、染色液補給用バルブSV40を開き、染色液供給用バルブSV41を閉じた状態で、バルブSV22を開くとともにバルブSV21を閉じることで、染色液供給用ダイヤフラムポンプ(FFS用ダイヤフラムポンプ)DP5を陰圧駆動し、FFS用ダイヤフラムポンプDP5に染色液FFSを補給する。さらに、バルブSV40を閉じ、バルブSV41を開くとともに、バルブSV21を開き、バルブSV22を閉じて、FFS用ダイヤフラムポンプDP5を陽圧駆動することで、染色液FFSを第2混合チャンバMC2へ入れる。
【0052】
続いて、溶血剤FFDを第2混合チャンバMC2へ入れる(ステップS8)。つまり、バルブSV22、バルブSV19を閉じて、バルブSV21、バルブSV20を開き、FFD用ダイヤフラムポンプDP4を用いて、溶血剤FFDを第2混合チャンバMC2へ入れ、全血試料を流入攪拌して調製することにより、第2混合チャンバMC内に赤血球が溶解され白血球が染色された測定用試料が作成される(ステップS9)。
【0053】
そして、測定用試料を対象にWBC検出部D3にて測定(分析)が行われる(ステップS10)。ステップS10は、具体的には、バルブSV4、バルブSV29、バルブSV22を開き、バルブSV21を閉じることで、チャージング用ダイヤフラムポンプDP2が駆動され、測定用試料が正確に所定量だけチャージングされる。そして、バルブSV4、バルブSV29、バルブSV22が閉じられ、WBC検出部D3へのチャージングが完了する。その後、バルブSV9とバルブSV31を開くことで、EPK収容容器EPK−Cからシース液(希釈液)EPKがWBC検出部へ供給される。続いて、バルブSV1が閉じた状態でバルブSV3を開くとともに、試料供給シリンジポンプSP2を駆動し、WBC検出部D3において測定を行う。
【0054】
試料分析装置Sは、上記測定では、全血試料と白血球分類用溶血剤と白血球分類用染色液を混合して測定用試料を作成し、この測定用試料を光学検出部D3にてフローサイトメトリー法によって測定する。ここでの測定としては、白血球数の測定と、白血球5分類の測定とが行われる。
【0055】
また、吸引管13の内部の洗浄が行われる(ステップS11)。ステップS11は、具体的には、水平駆動部20及び垂直駆動部30の動作により吸引管13が移動され、第1混合チャンバMC1に降下される。これに伴って、バルブSV32及びSV33を開いた状態で、バルブSV22を開くとともにバルブSV21を閉じることで、ダイヤフラムポンプDP1を陰圧駆動し、ダイヤフラムポンプDP1に希釈液を補給する。そして、バルブSV22を閉じてバルブSV21、バルブSV15及びバルブSV16を開き、その後バルブSV15を閉じる。これにより、ダイヤフラムポンプDP1に陽圧をかけ、試料吸引ライン(チューブ)及び吸引管13内を洗浄液で満たす。このとき、吸引管13の吸引口から余分の洗浄液が第1混合チャンバMC1へ吐出される。このようにして吸引管13の内部が洗浄される。また、第1混合チャンバへ吐出された排液は、バルブSV23が開かれることにより排液チャンバWC1へ排出される。このとき、吸引管13の内部及び試料供給ラインには、希釈液が充填された状態となっている。この状態でシリンジポンプSP1で吸引し、吸引管13先端にエアギャップを形成する。そして、水平駆動部20及び垂直駆動部30の動作により吸引管13が初期位置にまで移動される(ステップS12)。
【0056】
以上詳述したように、本実施の形態に係る検体分析装置Sにおいては、吸引管13を超弾性金属製としたので、オペレータが採血管3を手に持って採血位置に位置させるときに、採血管の内壁を吸引管13に当接させて吸引管13を容易に変形させることができ、このためオペレータが容易に吸引管の先端を目視で確認することができる。また、このように吸引管13が外力を受けても、超弾性金属製の吸引管13は外力を取り除けばすぐに元の真っ直ぐな形状に復帰する。したがって、洗浄部CSの貫通路15を吸引管13が進行するときには吸引管13が真っ直ぐな状態となるので、吸引管13が洗浄部CS内を円滑に進行することができ、吸引管13の洗浄を確実に行うことができる。また、第1混合チャンバMC1、第2混合チャンバMC2、又は排液チャンバWC1〜WC3の上部の開口に吸引管13を確実に挿入することができる。さらに、吸引管13が超弾性金属製であるので、合成樹脂等のように水分を含んで膨張することがなく、高い定量精度を確保することができる。
【0057】
なお、本実施の形態においては、洗浄部CSを水平駆動部20に固定し、吸引管13を垂直駆動部20で駆動することにより、吸引管13を上昇させながら洗浄部CSにより吸引管13の外周を洗浄する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、吸引管13を固定して洗浄部CSを昇降させてもよいし、吸引管13及び洗浄部CSの両方を昇降させる構成としてもよい。また、吸引管13を下降させながら洗浄部CSで吸引管13を洗浄する構成としてもよい。
【0058】
また、吸引管13の内部に洗浄液を供給することにより、吸引管13の内部を洗浄すると共に、吸引管13の内部に洗浄液を充填するように構成したので、吸引管13の外周だけでなく内部をも洗浄することが可能となるだけでなく、洗浄液を吸引管13に充填することにより、検体の定量を高精度に行うことが可能となる。
【0059】
また、水平駆動部20に洗浄部CSを固定し、吸引管13が洗浄部CSに貫通されたまま、洗浄部CSが吸引管13と一体的に水平移動する構成としたので、吸引管13を洗浄する場合に吸引管13が洗浄部CSの貫通路15に挿入されるように正確に位置決めする必要がない。
【0060】
また、オペレータから検体の吸引開始の指示を受け付けるスタートスイッチ6を、吸引管13の近傍に配置したので、オペレータが、吸引管13が採血管3に挿入される位置(吸引位置)に採血管3を移動させたときに、採血管3を持っている手でスタートスイッチを操作することができ、採血管の吸引位置へのセットと吸引開始の指示を容易且つ連続的に行うことができ、オペレータにとって便利な操作性を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係る検体分析装置は、オペレータの吸引操作に応じて吸引管が容易に変形し、オペレータに対する利便性が向上するとともに、吸引管が外力を受けてもすぐに元の形状に復帰し、検体分析装置が正常な動作を確実に行うことができるという効果を奏し、検体容器に収容された血液検体、尿検体等の検体を吸引し、当該検体を分析する検体分析装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施の形態に係る検体分析装置の全体斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る検体分析装置の正面図である。
【図3】図1に示される検体分析装置の、ケーシングを除去した状態の斜視図である。
【図4】図1に示される検体分析装置の、ケーシングを除去した状態の正面説明図である。
【図5】図1に示される検体分析装置の水平駆動部の正面説明図である。
【図6】図1に示される検体分析装置の垂直駆動部と水平駆動部の正面説明図である。
【図7】図1に示される検体分析装置の垂直駆動部と水平駆動部の左側面説明図である。
【図8】洗浄部の構成を示す側面断面図である。
【図9】図1に示される検体分析装置の垂直駆動部の左側面説明図である。
【図10】図8のC−C矢視断面図である。
【図11】図1に示される検体分析装置の流体回路図の前半部分である。
【図12】図1に示される検体分析装置の流体回路図の後半部分である。
【図13】排液チャンバ回りの流体回路図である。
【図14】ダイヤフラムポンプ回りの流体回路図である。
【図15】図1に示される検体分析装置の制御ブロック図である。
【図16】図1に示される検体分析装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図17】吸引管の変形例を示す模式図である。
【図18】吸引管が初期位置にあるときの吸引管と洗浄部との位置関係を示す垂直駆動部と水平駆動部の正面図である。
【図19】第2混合チャンバの上部開口に吸引管を挿入した状態を示す側面断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 ケーシング
2 装置本体
3 採血管
4 試料セット部
13 吸引管
15 貫通路
16 供給路
17 排出路
20 水平駆動部
21 移動パネル
22 駆動機構
23 ガイド機構
28 ステッピングモータ
40 垂直駆動部
41 支持体
42 ガイドシャフト
43 吸引管保持部
60 垂直駆動部
61 アーム
64 ネジ軸
65 ナット部
66 スライドレール
67 摺動部材
68 ステッピングモータ
72 ガイドアーム
80 挿入口
S 試料分析装置
CS 洗浄部
MC2 第2混合チャンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引管により上部が開口した検体容器から検体を吸引して、検体を分析する検体分析装置において、
超弾性金属により構成された吸引管と、
当該吸引管を挿入する挿入口を有し、当該挿入口に挿入された吸引管から吐出された検体から試料を調製する試料調整部と、
検体を吸引する吸引位置と、前記試料調整部の挿入口に挿入された挿入位置との間で、前記吸引管を移動させる移動機構と、
前記吸引管が貫通する貫通路、前記貫通路に洗浄液を供給する供給路、及び前記貫通路から洗浄液を排出する排出路を有し、前記貫通路を貫通した吸引管を洗浄する洗浄部と、
前記試料調整部によって調製された試料を分析する分析部と
を備える検体分析装置。
【請求項2】
前記移動機構は、前記吸引管と前記洗浄部とを前記吸引管の長手方向へ相対的に移動させるように構成されている請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項3】
前記吸引管で検体を定量吸引する定量吸引部と、
前記吸引管の内部に洗浄液を供給する供給部とを更に備え、
当該供給部により前記吸引管の内部に洗浄液を供給することにより、吸引管の内部を洗浄すると共に、前記吸引管の内部に洗浄液を充填するように構成されている請求項1又は2に記載の検体分析装置。
【請求項4】
前記移動機構により前記吸引管が移動されるときに、前記洗浄部が前記吸引管と一体的に移動するように構成されている請求項1乃至3のいずれかに記載の検体分析装置。
【請求項5】
前記吸引管に接続されており、前記吸引管に負圧を与えて検体を吸引させる吸引機構と、
外部から検体の吸引開始の指示を受け付ける指示受付部と、
前記吸引機構及び前記移動機構の動作を制御する制御部とを更に備え、
前記制御部は、前記指示受付部が吸引開始の指示を受け付けたときに、前記吸引管を停止させたまま前記吸引管から検体を吸引させるように前記吸引機構及び前記移動機構を動作制御する請求項1乃至4のいずれかに記載の検体分析装置。
【請求項6】
前記吸引管は、チタン−ニッケル合金、銅−アルミニウム−ニッケル合金、又はチタン合金製である請求項1乃至5のいずれかに記載の検体分析装置。
【請求項7】
前記検体は、血液検体である請求項1乃至6のいずれかに記載の検体分析装置。
【請求項8】
吸引管により上部が開口した検体容器から検体を吸引して、検体を分析する検体分析装置において、
超弾性金属により構成された吸引管と、
前記吸引管が貫通する貫通路と、前記貫通路に洗浄液を供給する供給路と、前記貫通路から洗浄液を排出する排出路とを有し、前記貫通路を貫通した吸引管を洗浄する洗浄部と、
前記吸引管と前記洗浄部とを前記吸引管の長手方向へ相対的に移動させる移動機構と、
前記吸引管によって吸引された検体を分析する分析部と
を備える検体分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−101311(P2007−101311A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−290249(P2005−290249)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】