説明

検体分析装置

【課題】部品点数が増加するのを抑制するとともに、装置本体が大型化するのを抑制することが可能な検体分析装置を提供する。
【解決手段】この免疫分析装置1(検体分析装置)は、試薬情報が記録されたICタグ23が付されたR2試薬容器21を保持するR2設置部162と、試薬情報が記録されたICタグ22が付されたR1試薬容器19を保持するとともに、R2設置部162の内周側に配置されるR1/R3設置部161と、R2設置部162の外周側に配置され、ICタグ22および23のそれぞれから電波を受信するアンテナ部18と、アンテナ部18が受信した電波に基づいて、ICタグ22および23に記録された試薬情報を取得するリーダライタ基板17aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体分析装置に関し、特に、試薬情報が記録された電子タグが付された試薬容器を搭載する検体分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、試薬情報が記録された電子タグが付された試薬容器を搭載する検体分析装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、試薬情報が記録された無線ICタグが付された複数の試薬容器を内周列および外周列の二列で保持する円環状の試薬容器保持部と、内周列の試薬容器保持部に保持された試薬容器の無線ICタグに対して電波を発信する内周側アンテナ部と、外周列の試薬容器保持部に保持された試薬容器の無線ICタグに対して電波を発信する外周側アンテナ部と、無線ICタグから返ってきた電波を内周側アンテナ部および外周側アンテナ部から受け取る情報読取・記録部とを備えた自動分析装置が開示されている。この特許文献1に記載された自動分析装置では、内周側アンテナ部は、内周列の試薬容器保持部の内側に配置され、外周側アンテナ部は、外周列の試薬容器保持部の外側に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−210444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の自動分析装置では、内周列の試薬容器保持部の内側と外周列の試薬容器保持部の外側とにそれぞれアンテナ部を配置する必要がある。このため、部品点数が増加するという問題点がある。さらに、内周列の試薬容器保持部の内側の領域と外周列の試薬容器保持部の外側の領域とをアンテナ部を配置するために確保しなければならないため、装置本体が大型化するという問題点もある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の1つの目的は、部品点数が増加するのを抑制するとともに、装置本体が大型化するのを抑制することが可能な検体分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による検体分析装置は、試薬容器内の試薬を用いて検体の分析を行う検体分析装置であって、試薬に関する試薬情報が記録された第1電子タグが付された第1試薬容器を保持する第1試薬容器保持部と、試薬に関する試薬情報が記録された第2電子タグが付された第2試薬容器を保持するとともに、第1試薬容器保持部に対して一方側に配置される第2試薬容器保持部と、第1試薬容器保持部に対して他方側に配置され、第1試薬容器の第1電子タグおよび第2試薬容器の第2電子タグのそれぞれから電波を受信するアンテナ部と、アンテナ部が受信した電波に基づいて、第1電子タグに記録された試薬情報および第2電子タグに記録された試薬情報を取得する試薬情報取得部とを備える。
【0008】
この発明の一の局面による検体分析装置では、上記のように、一つのアンテナ部によって、第1試薬容器保持部に保持された第1試薬容器に付された第1電子タグおよび第2試薬容器保持部に保持された第2試薬容器に付された第2電子タグのそれぞれから電波が受信されるように構成されている。これによって、第1試薬容器保持部および第2試薬容器保持部のそれぞれに対して個別にアンテナ部を設ける必要がない。そのため、その分、部品点数が増加するのを抑制することができる。また、第1試薬容器保持部の他方側の領域のみをアンテナ部を配置するために確保すればよく、第2試薬容器保持部の一方側の領域を確保する必要がないので、その分、装置本体が大型化するのを抑制することができる。
【0009】
上記一の局面による検体分析装置において、好ましくは、第1試薬容器保持部およびアンテナ部の少なくとも一方を移動させる駆動部と、第2試薬容器の第2電子タグからアンテナ部が電波を受信する際に、アンテナ部と対向する位置から第1試薬容器を退避させるように駆動部を制御する駆動制御部とをさらに備える。このように構成すれば、アンテナ部と対向する位置に第1試薬容器が位置することに起因して第2電子タグからの電波を受信しにくくなるのを抑制することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、第1試薬容器保持部は、複数の第1試薬容器を並んだ状態で保持し、駆動制御部は、第2試薬容器の第2電子タグからアンテナ部が電波を受信する際に、第1試薬容器保持部の隣接する第1試薬容器同士の間の間隙が第2電子タグとアンテナ部とが対向する領域に位置するように駆動部を制御するように構成されている。このように構成すれば、隣接する第1試薬容器同士の間の間隙を介して第2電子タグとアンテナ部とを互いに対向させることができるので、アンテナ部によって第2電子タグからの電波を容易に受信することができる。
【0011】
上記第2電子タグとアンテナ部とが対向する領域に間隙が位置する検体分析装置において、好ましくは、アンテナ部は、所定位置に固定され、駆動部は、第1試薬容器保持部および第2試薬容器保持部を移動させ、駆動制御部は、第2試薬容器の第2電子タグからアンテナ部が電波を受信する際に、所定位置に固定されたアンテナ部に対して第1試薬容器保持部を移動させることにより、間隙と第2電子タグとが共にアンテナ部の正面位置に位置するように駆動部を制御するように構成されている。このように構成すれば、アンテナ部を所定位置に固定することによってアンテナ部の電波受信位置を固定することができるので、アンテナ部によって第1電子タグおよび第2電子タグからの電波をより容易に受信することができる。また、アンテナ部の正面位置に間隙と第2電子タグとが共に位置することにより、アンテナ部によって第2電子タグからの電波をさらに容易に受信することができる。
【0012】
上記アンテナ部と対向する位置から第1試薬容器を退避させる駆動制御部を備える検体分析装置において、好ましくは、駆動制御部は、第2試薬容器の第2電子タグからアンテナ部が電波を受信する際に、第1試薬容器の第1電子タグがアンテナ部と対向しない位置に位置するように駆動部を制御するように構成されている。このように構成すれば、アンテナ部と対向しない位置に位置する第1電子タグからの電波をアンテナ部は受信しにくいので、アンテナ部と対向しない位置に位置する第1電子タグからの電波をアンテナ部が誤って受信するのを抑制することができる。これにより、アンテナ部によって第2電子タグからの電波をさらに容易に受信することができる。
【0013】
上記一の局面による検体分析装置において、好ましくは、アンテナ部は、第1試薬容器の第1電子タグおよび第2試薬容器の第2電子タグのそれぞれに対して電波を発信するとともに、アンテナ部からの電波に応答して第1電子タグおよび第2電子タグのそれぞれから発信される電波を受信するように構成され、第1試薬容器保持部は、複数の第1試薬容器を並んだ状態で保持し、第1試薬容器の第1電子タグに対してアンテナ部が発信する電波の到達範囲が、第2試薬容器の第2電子タグに対してアンテナ部が発信する電波の到達範囲よりも小さくなるようにアンテナ部を制御するアンテナ制御部をさらに備える。このように構成すれば、第1電子タグに対して第1電波を発信する際に、隣接する周囲の複数の第1電子タグおよび第2電子タグに対して第1電波が誤って到達してしまうのを抑制することができる。
【0014】
上記一の局面による検体分析装置において、好ましくは、アンテナ部から発信される電波の到達範囲およびアンテナ部による電波の受信範囲の少なくとも一方を制限する読取制限部材をさらに備える。このように構成すれば、試薬情報の読み取りまたは書き込みを行う必要のない電子タグについてアンテナ部が誤って試薬情報の読み取りまたは書き込みを行ってしまうのを抑制することができる。
【0015】
上記一の局面による検体分析装置において、好ましくは、第1試薬容器保持部は、複数の第1試薬容器を保持し、第2試薬容器保持部は、複数の第2試薬容器を保持し、アンテナ部は、第1試薬容器保持部に保持された複数の第1試薬容器のそれぞれの第1電子タグから電波を受信し、第2試薬容器保持部に保持された複数の第2試薬容器のそれぞれの第2電子タグから電波を受信するように構成されている。このように構成すれば、アンテナ部によって、複数の第1試薬容器のそれぞれの第1電子タグおよび複数の第2試薬容器のそれぞれの第2電子タグから電波を受信することができるので、より多くの電子タグから電波を受信することができる。
【0016】
上記一の局面による検体分析装置において、好ましくは、第1試薬容器保持部は、平面的に見て、略円環状に形成されており、第2試薬容器保持部は、平面的に見て、第1試薬容器保持部の内周側に略円環状に形成されており、アンテナ部は、第1試薬容器保持部の外周側に配置されている。このように構成すれば、外周側の第1試薬容器保持部の周の長さは内周側の第2試薬容器保持部の周の長さよりも大きいので、複数の試薬容器を第1試薬容器保持部および第2試薬容器保持部のそれぞれに配置した場合、第2試薬容器保持部よりも第1試薬容器保持部の方が、隣接する試薬容器同士の間隔を大きくすることができる。そのため、第1試薬容器保持部の外周側にアンテナ部を配置することによって、第2試薬容器の第2電子タグから試薬情報を読み取る際に、第1試薬容器の第1電子タグから誤って試薬情報を読み取ってしまうことを抑制することができる。
【0017】
上記一の局面による検体分析装置において、好ましくは、試薬情報の読取対象の電子タグからアンテナ部が電波を受信したか否かを判断する第1判断制御部をさらに備える。このように構成すれば、読取対象でない電子タグからの電波が読取対象の電子タグからの電波として誤って用いられるのを抑制することができる。
【0018】
この場合、好ましくは、電子タグに記録された試薬情報は、試薬の種類を特定するための種類特定情報を含み、第1判断制御部は、試薬情報取得部により取得された試薬情報に含まれる種類特定情報に基づいて、読取対象の電子タグからアンテナ部が電波を受信したか否かを判断するように構成されている。このように構成すれば、種類特定情報を用いることによって、読取対象でない電子タグからの電波が読取対象の電子タグからの電波として誤って用いられるのをより抑制することができる。
【0019】
上記一の局面による検体分析装置において、好ましくは、アンテナ部は、第1試薬容器の第1電子タグおよび第2試薬容器の第2電子タグのそれぞれに対して書込用電波を発信することによって、第1電子タグおよび第2電子タグのそれぞれに試薬情報を書き込むことが可能なように構成されており、試薬情報の書込対象の電子タグに対してアンテナ部が書込用電波を発信する前に、書込対象の電子タグとアンテナ部とが通信可能か否かを判断する第2判断制御部をさらに備える。このように構成すれば、第2判断制御部は、書込対象の電子タグに試薬情報を書き込む前に、書込対象の電子タグと通信可能か否かを予め判断することができる。これにより、より確実に、書込対象の電子タグに試薬情報を書き込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態による免疫分析装置の全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した一実施形態による免疫分析装置の全体構成を示した平面図である。
【図3】図1に示した一実施形態による免疫分析装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図4】図1に示した一実施形態による免疫分析装置の試薬設置部の内部を示した斜視図である。
【図5】図1に示した一実施形態による免疫分析装置の試薬設置部の内部を示した平面図である。
【図6】図1に示した一実施形態による試薬設置部のR2試薬容器のICタグを読み込む際の状態を示した拡大平面図である。
【図7】図1に示した一実施形態による試薬設置部のR1試薬容器のICタグを読み込む際の状態を示した拡大平面図である。
【図8】図1に示した一実施形態による試薬設置部のアンテナ部を示した斜視図である。
【図9】図8の200−200線に沿った試薬設置部のアンテナ部を示した断面図である。
【図10】図1に示した一実施形態によるアンテナ部のアンテナ基板を示した平面図である。
【図11】図1に示した一実施形態による試薬設置部のR1試薬容器を示した側面図である。
【図12】図1に示した一実施形態による試薬設置部のR2試薬容器を示した側面図である。
【図13】図1に示した一実施形態によるICタグに記録されている固有情報および試薬情報を示す概念図である。
【図14】図1に示した一実施形態による免疫分析装置の測定動作を示すフローチャートである。
【図15】図1に示した一実施形態による免疫分析装置の試薬情報読取処理を示すフローチャートである。
【図16】図1に示した一実施形態による免疫分析装置の試薬吸引・試薬情報書込処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
まず、図1〜図13を参照して、本発明の第1実施形態による免疫分析装置1の構成について説明する。
【0023】
本発明の一実施形態による免疫分析装置1は、血液などの検体を用いて感染症(B型肝炎、C型肝炎など)に関連するタンパク質、腫瘍マーカおよび甲状腺ホルモンなど種々の項目の検査を行うための装置である。
【0024】
この免疫分析装置1は、測定対象である血液などの検体(血液試料)に含まれる抗原や抗体などを定量測定または定性測定する装置である。検体に含まれる抗原を定量測定する場合には、この免疫分析装置1は、検体に含まれる抗原に結合した捕捉抗体(R1試薬)に磁性粒子(R2試薬)を結合させた後に、結合(Bound)した抗原、捕捉抗体および磁性粒子を1次BF(Bound Free)分離部11の磁石(図示せず)に引き寄せることにより、未反応(Free)の捕捉抗体を含むR1試薬を除去するように構成されている。そして、免疫分析装置1は、磁性粒子が結合した抗原と標識抗体(R3試薬)とを結合させた後に、結合(Bound)した磁性粒子、抗原および標識抗体を2次BF分離部12の磁石(図示せず)に引き寄せることにより、未反応(Free)の標識抗体を含むR3試薬を除去する。さらに、分散液(R4試薬)、および、標識抗体との反応過程で発光する発光基質(R5試薬)を添加した後、標識抗体と発光基質との反応によって生じる発光量を測定する。このような工程を経て、標識抗体に結合する検体に含まれる抗原を定量的に測定している。
【0025】
また、免疫分析装置1は、図1および図2に示すように、測定機構部2と、測定機構部2に隣接するように配置された検体搬送部(サンプラ)3と、測定機構部2に電気的に接続されたPC(パーソナルコンピュータ)からなる制御装置4とを備えている。
【0026】
検体搬送部3は、検体を収容した図示しない複数の試験管が載置されたラックを搬送可能に構成されている。また、検体搬送部3は、検体を収容した試験管を検体分注アーム5による検体吸引位置まで搬送するように構成されている。
【0027】
制御装置4は、図3に示すように、CPU4a、表示部4b、入力部4cおよび記憶部4dを含む。CPU4aは、ユーザが入力部4cを用いて入力した測定条件などに基づいて、測定機構部2(後述するCPU2a)に測定を行わせるとともに、測定機構部2により得られた測定結果を分析し、その分析結果を表示部4bに表示する機能を有する。記憶部4dはハードディスクからなり、後述するR1試薬容器19、R3試薬容器20およびR2試薬容器21の各々の試薬情報および位置情報が個別に記憶される。なお、記憶部4dに関しては、後に詳細に説明する。
【0028】
また、測定機構部2は、図2に示すように、検体分注アーム5と、R1試薬分注アーム6と、R2試薬分注アーム7と、R3試薬分注アーム8と、反応部9と、キュベット供給部10と、1次BF分離部11と、2次BF分離部12と、ピペットチップ供給部13と、検出部14と、R4/R5試薬供給部15と、試薬設置部16と、RFID(Radio Frequency IDentification)モジュール17とから構成されている。
【0029】
また、図3に示すように、測定機構部2における各機構部(各種分注アームおよび反応部9など)は、測定機構部2に設けられたCPU2aにより制御されている。また、検体搬送部3もCPU2aによって制御されるように構成されている。さらに、測定機構部2には、記憶部2bが設けられており、記憶部2bには、測定機構部2の各機構部の動作制御をCPU2aに実行させるための制御プログラムが記憶されている。この制御プログラムに基づいて、CPU2aは、後述する試薬情報読取処理および試薬吸引・試薬情報書込処理を行うように構成されている。
【0030】
図2に示すように、キュベット供給部10は、図示しない複数のキュベットを収納可能に構成されており、検体分注アーム5による検体吐出位置にキュベットを1つずつ順次供給する機能を有している。
【0031】
R1試薬分注アーム6は、試薬設置部16に設置されたR1試薬を吸引し、吸引したR1試薬を検体吐出位置に載置されたキュベットに分注(吐出)するように構成されている。また、R1試薬分注アーム6は、図示しないキャッチャにより検体吐出位置に載置されたキュベットを反応部9に移送する機能を有している。
【0032】
ピペットチップ供給部13は、投入された複数のピペットチップ(図示せず)を1つずつ検体分注アーム5によるチップ装着位置まで搬送する機能を有している。そして、ピペットチップは、チップ装着位置において、検体分注アーム5のピペット先端に取り付けられる。
【0033】
検体分注アーム5は、チップ装着位置においてピペットチップを装着した後、検体搬送部3により検体吸引位置に搬送された試験管内の検体を吸引し、R1試薬分注アーム6によりR1試薬が分注された検体吐出位置のキュベットに検体を分注(吐出)する機能を有している。
【0034】
R2試薬分注アーム7は、試薬設置部16に設置されたR2試薬を吸引する機能を有している。また、R2試薬分注アーム7は、R1試薬および検体を収容するキュベットに吸引したR2試薬を分注(吐出)するように構成されている。
【0035】
反応部9は、平面的に見て略円形形状を有する試薬設置部16の周囲を取り囲むように略円環状に形成されている。また、反応部9は、時計回り方向に回転可能に構成されており、キュベット保持部9aに保持されたキュベットを各種処理(試薬の分注など)が行われる各々の処理位置まで移動させる機能を有している。
【0036】
1次BF分離部11は、検体、R1試薬およびR2試薬を収容するキュベットを図示しないキャッチャにより反応部9から1次BF分離部11に移送した後、キュベット内の試料から未反応のR1試薬(不要成分)と磁性粒子とを分離(B/F分離)するように構成されている。
【0037】
R3試薬分注アーム8は、試薬設置部16に設置されたR3試薬を吸引する機能を有している。また、R3試薬分注アーム8は、1次BF分離部11によるB/F分離後の試料を収容するキュベットが1次BF分離部11から反応部9に移送されると、吸引したR3試薬をそのキュベットに分注(吐出)するように構成されている。
【0038】
2次BF分離部12は、1次BF分離部11によるB/F分離後の試料およびR3試薬を収容するキュベットを図示しないキャッチャにより反応部9から2次BF分離部12に移送した後、キュベット内の試料から未反応のR3試薬(不要成分)と磁性粒子とを分離するように構成されている。
【0039】
R4/R5試薬供給部15は、図示しないチューブにより、2次BF分離部12によるB/F分離後の試料を収容するキュベットに、R4試薬およびR5試薬を順に分注するように構成されている。
【0040】
検出部14は、所定の処理が行なわれた検体の抗原に結合する標識抗体と発光基質との反応過程で生じる光を光電子増倍管(Photo Multiplier Tube)で取得することにより、その検体に含まれる抗原の量を測定するために設けられている。
【0041】
試薬設置部16は、図2に示すように、略円筒状の形状を有する筐体16a(図4参照)と、筐体16aを上方から覆うように配置される蓋部16bと、蓋部16bに設けられ、ユーザが後述するR1試薬容器19、R3試薬容器20およびR2試薬容器21を交換する際に開閉される開閉部16cとを含む。また、R1試薬、R2試薬およびR3試薬の吸引位置に対応する蓋部16bの上面には、開閉可能な窓部(図示せず)が形成されている。この窓部を介して、R1試薬分注アーム6、R2試薬分注アーム7およびR3試薬分注アーム8によって、それぞれ、R1試薬、R2試薬およびR3試薬が吸引される。
【0042】
ここで、本実施形態では、図4および図5に示すように、試薬設置部16の筐体16aには、アンテナ部18が1つ取り付けられている。具体的には、図4〜図7に示すように、筐体16aは、側壁の一部が鉛直方向(図4参照)に沿って切り欠かれた切り欠き部116aを有している。この切り欠き部116aには、アンテナ部18の樹脂製の係止部18aが係止されるように構成されている。すなわち、アンテナ部18は、試薬設置部16に固定されている。
【0043】
また、アンテナ部18は、図8および図9に示すように、上記した係止部18aに加えて、アンテナ基板18bと、アンテナ基板18bが内部に固定される基板取付部18cと、アンテナ基板18bを外側(矢印X2方向側)から覆う蓋部材18dと、基板取付部18cのアンテナ基板18bとは反対側(矢印X1方向側)の表面に取り付けられる金属板18eとを含んでいる。
【0044】
アンテナ基板18bは、図10に示すように、板状の基板の矢印X1方向側の表面(図9参照)にコイル状のアンテナ配線180bが形成されており、このコイル状のアンテナ配線180bを介して電波を送受信することが可能なように構成されている。また、アンテナ基板18bは、図6および図7に示すように、アンテナ基板18bの矢印X1方向側の表面が筐体16aの中心O(図5参照)と対向するように基板取付部18cの内部に配置されている。
【0045】
また、アンテナ基板18bは、読取用電波および書込用電波を試薬設置部16の内側(図5の中心O側(矢印X1方向側))に向かって発信することが可能なように構成されているとともに、読取用電波に応答して後述するICタグ22および23から発信される応答電波を受信することが可能なように構成されている。なお、アンテナ基板18bは、RFIDモジュール17の後述するリーダライタ基板17aに接続されている。
【0046】
基板取付部18cおよび蓋部材18dは、共に電波を透過可能な樹脂からなる。また、図9に示すように、基板取付部18cおよび蓋部材18dは、アンテナ基板18bを結露などから保護するために設けられており、基板取付部18cおよび蓋部材18dによって、アンテナ基板18bは外部から隔離されている。また、アンテナ基板18bは、ネジ18fおよびナット18gにより基板取付部18cに固定されている。
【0047】
金属板18eは、電波(読取用電波、書込用電波および応答電波)を吸収することが可能なアルミニウムの板材からなる。また、金属板18eは、図8に示すように、基板取付部18cの矢印X1方向側の表面に配置されるように、ネジ18hおよび図示しないナットにより基板取付部18cに固定されている。また、金属板18eには、略U字状の切り欠き18iが形成されている。この切り欠き18iを介して、アンテナ基板18bは試薬設置部16の内側(矢印X1方向側)に向かって電波を発信する一方、切り欠き18iを通過しないアンテナ基板18bの電波は、金属板18eによって吸収されるように構成されている。すなわち、金属板18eは、アンテナ基板18bから発信される電波の範囲およびアンテナ基板18bが受信する電波の範囲を制限することによって、アンテナ部18(アンテナ基板18b)の読取範囲および書込範囲を制限する機能を有する。
【0048】
また、図5に示すように、筐体16aの内部には、平面的に見て、筐体16aの中心Oと略同一の中心を有して略円環状に形成されたR1/R3設置部161と、筐体16aの中心Oと略同一の中心を有して略円環状に形成されたR2設置部162とが配置されている。また、平面的に見て、R1/R3設置部161は、R2設置部162の内周側(中心O側)に設けられているとともに、1つのアンテナ部18は、R2設置部162の外周側(中心Oとは反対側)に設けられている。
【0049】
また、試薬設置部16には、中心Oを回転中心としてR1/R3設置部161を矢印C1方向および矢印C2方向に回転させるための内側回転駆動部16d(図3参照)と、中心Oを回転中心としてR2設置部162を矢印D1方向および矢印D2方向に回転させるための外側回転駆動部16e(図3参照)とが設けられている。また、内側回転駆動部16dと外側回転駆動部16eとは、CPU2aによって個別に駆動が制御されるように構成されている。また、筐体16aの底部には、R1試薬、R2試薬およびR3試薬を冷却するための図示しないペルチェ素子およびファン16fが設けられている。この冷却によって、試薬設置部16内に結露が生じる場合がある。
【0050】
また、R1/R3設置部161には、図5に示すように、電波を透過可能な樹脂からなるR1/R3保持部材161aが等角度(約14.4度)間隔で25個配置されている。このR1/R3保持部材161aの各々には、捕捉抗体を含むR1試薬が収容されるR1試薬容器19と標識抗体を含むR3試薬が収容されるR3試薬容器20とが保持されている。なお、R1/R3保持部材161aは、外側(R2設置部162側)にR1試薬容器19が保持され、内側(中心O側)にR3試薬容器20が保持されるように構成されている。
【0051】
また、R2設置部162には、電波を透過可能な樹脂からなるR2保持部材162aが等角度(約14.4度)間隔で25個配置されている。このR2保持部材162aの各々には、磁性粒子を含むR2試薬が収容されるR2試薬容器21が保持されている。また、R1試薬容器19、R3試薬容器20およびR2試薬容器21は、ユーザにより設置および交換可能なように構成されている。
【0052】
また、図11に示すように、R1試薬容器19には、R1試薬を吸引する際に開閉される蓋19aと、R1試薬が収容される試薬収容部19bとが形成されている。また、図12に示すように、R2試薬容器21には、R2試薬を吸引する際に開閉される蓋21aと、R2試薬が収容される試薬収容部21bとが形成されている。また、図6および図7に示すように、R3試薬容器20はR1試薬容器19と略同様の形状を有しており、R3試薬容器20には、R3試薬を吸引する際に開閉される蓋20aと、R3試薬が収容される図示しない試薬収容部とが形成されている。なお、蓋19aおよび20aは、R1/R3設置部161の回転に伴い開閉されるとともに、蓋21aは、R2設置部162の回転に伴い開閉されるように構成されている。
【0053】
また、図11に示すように、R1試薬容器19の試薬収容部19bの外側(図6の矢印X2方向側)に配置される側面には、ICタグ22が取り付けられるICタグ取り付け部19cが形成されている。また、図12に示すように、R2試薬容器21の試薬収容部21bの外側(図6の矢印X2方向側)に配置される側面には、ICタグ23が取り付けられるICタグ取り付け部21cが形成されている。すなわち、R1試薬容器19のICタグ22は、図6および図7に示すように、R1/R3設置部161に配置された際、試薬設置部16の外側(矢印X2方向側)を向くように取り付けられている。また、R2試薬容器21のICタグ23は、R2設置部162に配置された際、試薬設置部16の外側を向くように取り付けられている。なお、R3試薬容器20の側面には、R1試薬容器19と異なりICタグは取り付けられていない。
【0054】
また、ICタグ22には、R1試薬容器19のR1試薬の試薬情報と、R1試薬容器19と共通のR1/R3保持部材161aに保持されているR3試薬容器20のR3試薬の試薬情報とが記録される。また、ICタグ23には、R2試薬容器21のR2試薬の試薬情報が記録される。
【0055】
また、図13に示すように、ICタグ22および23には、128byteの情報を記憶することができるよう構成されている。この記憶容量128byteのうち、固有情報を示すユニークID領域には16byte、試薬情報を示すユーザデータ領域には112byteが割り当てられている。ユニークID領域は、ICタグ22および23を個別に識別可能なユニークIDが記録される領域であり、読み込みのみが可能である。一方、ユーザデータ領域は、ユーザが自由に情報を書き込みできる領域である。ユーザデータ領域には、読み込みだけを行い書込みを行わない領域(読み込み専用領域)と、読み込みと書き込みの両方を行う領域(書き込み可能領域)とが設定されている。
【0056】
また、ユニークIDは、CPU2aが試薬情報を暗号化する際に用いられる。これにより、試薬情報が別のICタグに複製された場合であっても、ユニークIDが異なっていることにより試薬情報の暗号解読ができないので、試薬情報と試薬容器の試薬とが誤って対応付けられてしまうのを抑制することが可能である。
【0057】
読み込み専用領域には、ICタグ(ICタグ22または23)が付された試薬容器(R1試薬容器19またはR2試薬容器21)に関する、測定項目と、ロット番号と、シリアル番号と、試薬種別(種類特定情報)と、保存期限と、充填量とが記録されており、書き込み可能領域には、残量と、使用期限とが書き込まれるように構成されている。また、R1/R3設置部161に初めて設置されるR1試薬容器19に貼付されたICタグ22と、R2設置部162に初めて設置されるR2試薬容器21に貼付されたICタグ23との書き込み可能領域には、情報が書き込まれていない。
【0058】
測定項目は、このICタグが貼付されている試薬容器に収容されている試薬により行われる測定項目を示す。試薬種別は、このICタグが貼付されている試薬容器が、R1試薬容器19であるか、または、R2試薬容器21であるかを示す。保存期限は、この試薬が保存可能な期限を示す。充填量は、この試薬により行うことのできる測定回数を示す。残量は、この試薬により行うことのできる残り測定回数を示す。使用期限は、この試薬が使用可能な期限を示す。使用期限は、この試薬が使用され始めたときに設定される。
【0059】
また、本実施形態では、図6および図7に示すように、ICタグ22および23は、アンテナ部18の正面位置(正対する位置)において、読み取りおよび書き込みが行われるように構成されている。この際、ICタグ22および23は、アンテナ部18から発信された読取用電波に基づいて、ICタグ22および23に記録されている試薬情報を含む応答電波を発信するように構成されている。また、ICタグ22および23は、アンテナ部18から発信された書込用電波に基づいて、ICタグ22および23に記録されている試薬情報を書込用電波に含まれる新たな試薬情報に書き換えるように構成されている。なお、試薬情報は、暗号化された状態でICタグ22および23に記録されている。
【0060】
また、R1試薬容器19のICタグ22は、アンテナ部18から発信される範囲B(図7の太い二点鎖線)の長距離読取用電波および長距離書込用電波によって、読み取りおよび書き込みが行われるように構成されている。また、特定のICタグ22に対して読み取りおよび書き込みが行われている際に他のICタグ22に対して読み取りおよび書き込みが行われないように、隣り合うR1/R3保持部材161a同士の間隔および範囲Bが設定されている。
【0061】
また、R2試薬容器21のICタグ23は、アンテナ部18から発信され、範囲Bよりも小さい範囲A(図6の太い一点鎖線)の短距離読取用電波および短距離書込用電波によって、読み取りおよび書き込みが行われるように構成されている。また、特定のICタグ23に対して読み取りおよび書き込みが行われている際に他のICタグ23に対して読み取りおよび書き込みが行われないように、隣り合うR2保持部材162a同士の間隔および範囲Aが設定されている。
【0062】
また、ICタグ22および23には、試薬情報に加えて、個々のICタグ22および23に固有のユニークIDが記録されている。このユニークIDは、CPU2aが試薬情報を暗号化する際に用いられる。これにより、試薬情報が別のICタグに複製された場合であっても、ユニークIDが異なっていることにより試薬情報の暗号解読ができないので、試薬情報と試薬容器の試薬とが誤って対応付けられてしまうのを抑制することが可能である。
【0063】
また、制御装置4の記憶部4dには、図3に示すように、ICタグ22および23とは別に、25個のR1試薬容器19、25個のR2試薬容器21および25個のR3試薬容器20の各々の試薬情報が個別に記憶される。また、記憶部4dには、25個のR1試薬容器19、25個のR3試薬容器20および25個のR2試薬容器21の各々の初期位置と、R1/R3設置部161およびR2設置部162の各々の初期位置からの回転角度とが位置情報として記憶される。これにより、記憶部4dには、25個のR1試薬容器19、25個のR3試薬容器20および25個のR2試薬容器21の位置情報と試薬情報とが対応付けられた状態で記憶される。なお、制御装置4の記憶部4dには、試薬情報が暗号解読された状態で記録される。
【0064】
免疫分析装置1の電源(図示せず)が投入されると、CPU2aにより試薬設置部16に設置されている全ての試薬容器(R1試薬容器19およびR2試薬容器21)のICタグ(ICタグ22および23)が読み取られ、各試薬容器の位置情報と試薬情報とが取得されるように構成されている。制御装置4のCPU4aは、記憶部4dに試薬情報が記憶されている場合には、記憶部4dに記憶されている試薬情報を、電源投入時にICタグから取得した試薬情報に更新するように構成されている。これにより、免疫分析装置1の電源が切られている間に、R1試薬容器19、R3試薬容器20およびR2試薬容器21が、それぞれ、新たなR1試薬容器19、R3試薬容器20およびR2試薬容器21に取り替えられた場合であっても、制御装置4の記憶部4dに記憶されている試薬情報を、現に試薬設置部16に設置されている試薬の情報に更新することが可能である。
【0065】
また、RFIDモジュール17は、図2に示すように、試薬設置部16の外部に設けられており、図3に示すように、リーダライタ基板17aと、リーダライタ基板17aとCPU2aとを仲介するインターフェイス基板17bとを含む。
【0066】
リーダライタ基板17aは、アンテナ部18と接続されており、CPU2aからの指示に基づいて、アンテナ部18から約13.56MHzの周波数帯の読取用電波および書込用電波を発信させるように構成されている。さらに、リーダライタ基板17aは、読取用電波に応答してICタグ22および23から発信され、アンテナ部18によって受信した応答電波から試薬情報を取得するとともに、試薬情報をCPU2aに出力するように構成されている。
【0067】
また、リーダライタ基板17aは、アンテナ基板18bへの送信出力の設定値を格納するための設定値記憶部17cを含み、この設定値がCPU2aにより設定されるように構成されている。CPU2aが設定値記憶部17cの設定値を変更することにより、リーダライタ基板17aからアンテナ基板18bへの送信出力が切り替えられ、読取範囲の大きい範囲B(図7の太い二点鎖線)の長距離読取用電波と読取範囲の小さい範囲A(図6の太い一点鎖線)の短距離読取用電波の2種類の読取用電波をアンテナ部18に発信させることが可能である。また、同様に、CPU2aが設定値記憶部17cの設定値を変更することにより、書込範囲の大きい範囲Bの長距離書込用電波と書込範囲の小さい範囲Aの短距離書込用電波の2種類の書込用電波をアンテナ部18に発信させることが可能である。これにより、CPU2aおよびリーダライタ基板17aによって、アンテナ部18から発信される読取用電波の読取範囲および書込用電波の書込範囲を、図6の範囲A(太い一点鎖線)と、範囲Aよりも大きい図7の範囲B(太い二点鎖線)とに切り替えることが可能である。
【0068】
次に、図3および図14を参照して、本発明の一実施形態による免疫分析装置1(測定機構部2)の測定動作について説明する。
【0069】
まず、測定機構部2のCPU2aは、測定機構部2の電源が投入されると、ステップS1において、プログラムの初期化、測定機構部2の各部の動作チェック等の初期化処理を実行する。
【0070】
この後、ステップS2において、試薬情報読取処理が行われる。この試薬情報読取処理については、後に詳細に説明する。
【0071】
この後、ステップS3において、CPU2aによって、ユーザによる測定指示が行われたか否かが判断される。このユーザによる測定指示は、制御装置4(図3参照)を介して、CPU2aに伝達される。また、ユーザによる測定指示が行われていないと判断された場合には、ステップS6に進む。
【0072】
また、ステップS3において、ユーザによる測定指示が行われたと判断された場合には、ステップS4において、CPU2aによって、試薬吸引・試薬情報書込処理が行われる。この試薬吸引・試薬情報書込処理については、後に詳細に説明する。
【0073】
この後、ステップS5において、検体の測定が行われる。そして、ステップS6において、CPU2aによって、ユーザによるシャットダウンの指示が行われたか否かが判断される。シャットダウンの指示がないと判断された場合には、ステップS3に戻る。また、シャットダウンの指示が行われたと判断された場合には、ステップS7において、CPU2aによって、測定機構部2のシャットダウンが行われる。このようにして、測定機構部2の測定動作は終了される。
【0074】
次に、図6、図7および図15を参照して、図14のステップS2に示した本発明の一実施形態による免疫分析装置1の試薬情報読取処理について詳細に説明する。
【0075】
まず、ステップS201において、CPU2aによって、読取対象のICタグがR1試薬容器19のICタグ22か否かが判断される。読取対象のICタグがR1試薬容器19のICタグ22である場合には、ステップS202に進む。読取対象のICタグがR2試薬容器21のICタグ23である場合には、ステップS206に進む。
【0076】
ステップS202においては、CPU2aによって、アンテナ部18が範囲B(図7参照)の長距離読取用電波を発信するように、リーダライタ基板17aからアンテナ基板18bへの送信出力が設定される。すなわち、アンテナ部18の読取範囲が大きくなるようにリーダライタ基板17aの設定値記憶部17cの設定値がCPU2aにより設定される。この後、ステップS203において、CPU2aによって、読取対象のICタグ22がアンテナ部18と正対する位置(正面位置)に位置するように、R1/R3設置部161が矢印C1方向または矢印C2方向に回転される。
【0077】
そして、ステップS204において、CPU2aによって、R2試薬容器21がアンテナ部18と正対する位置近傍の領域E(図6参照)に位置するか否かが判断される。この際、R2試薬容器21の位置情報に基づいてR2試薬容器21が領域Eに位置するか否かが判断される。R2試薬容器21が領域Eに位置する場合には、R2試薬容器21に収容されるR2試薬に電波が吸収されることに起因して、アンテナ部18が範囲B(図7参照)の長距離読取用電波および長距離書込用電波を発信しても、ICタグ22の読み取りおよび書き込みを行うことができない恐れがある。そのため、R2試薬容器21が領域Eに位置すると判断された場合には、ステップS205において、CPU2aによって、領域Eに位置するR2試薬容器21を領域Eから退避させるように、R2設置部162が矢印D1方向または矢印D2方向に回転される。これにより、図7に示すように、隣接するR2試薬容器21同士の間の間隙Fと読取対象のICタグ22とが、アンテナ部18と正対する位置に配置されるとともに、R2試薬容器21のICタグ23がアンテナ部18と対向しない位置に配置される。そして、ステップS208に進む。また、ステップS204において、R2試薬容器21のいずれも領域Eに位置しないと判断された場合にも、ステップS208に進む。
【0078】
一方、ステップS201において、読取対象のICタグがR2試薬容器21のICタグ23であると判断された場合には、ステップS206において、CPU2aによって、アンテナ部18が範囲A(図6参照)の短距離読取用電波を発信するように、リーダライタ基板17aからアンテナ基板18bへの送信出力が設定される。すなわち、アンテナ部18の読取範囲が小さくなるように、リーダライタ基板17aの設定値記憶部17cの設定値がCPU2aにより設定される。この後、ステップS207において、CPU2aによって、読取対象のICタグ23がアンテナ部18と正対する位置に位置するように、R2設置部162が矢印D1方向または矢印D2方向に回転される。そして、ステップS208に進む。
【0079】
そして、ステップS208において、CPU2aおよびリーダライタ基板17aの制御によって、アンテナ部18から範囲Bの長距離読取用電波または範囲Aの短距離読取用電波が読取対象のICタグ22またはICタグ23に対して発信される。
【0080】
この後、ステップS209において、CPU2aによって、長距離読取用電波または短距離読取用電波に対応してICタグ22またはICタグ23から発せられた応答電波を、アンテナ部18が所定の時間内に受信したか否かが判断される。すなわち、CPU2aによって、アンテナ部18から受信した応答電波に基づいてRFIDモジュール17のリーダライタ基板17aが取得した試薬情報が、所定時間内にCPU2aに出力されたか否かが判断される。アンテナ部18が応答電波を所定の時間内に受信しなかったと判断された場合には、ステップS210において、CPU2aによって、制御装置4に読取エラー情報が送信される。そして、制御装置4の表示部4bに所定の位置に位置する試薬容器の試薬情報(読取対象とした試薬容器の試薬情報)の読み取りに失敗した旨が表示される。そして、ステップS213に進む。
【0081】
また、ステップS209において、アンテナ部18が応答電波を所定の時間内に受信したと判断された場合には、ステップS211において、CPU2aによって、アンテナ部18が受信した応答電波に含まれる試薬情報が読取対象の試薬情報であるか否かが判断される。この際、CPU2aは、応答電波から得られた試薬種別(種類特定情報)に基づいて、読取対象の試薬情報であるか否かを判断する。応答電波に含まれる試薬情報が読取対象の試薬情報でないと判断された場合には、上記したステップS210に進む。
【0082】
また、応答電波に含まれる試薬情報が読取対象の試薬情報であると判断された場合には、ステップS212において、応答電波に含まれる読取対象の試薬情報がCPU2aから制御装置4に送信される。なお、複数の応答電波をアンテナ部18が受信するとともに、複数の応答電波の中に読取対象の試薬情報がある場合には、読取対象の試薬情報のみが制御装置4に送信される。そして、制御装置4においては、CPU2aから受信した読取対象の試薬情報に基づいて記憶部4dの試薬情報が更新される。そして、ステップS213に進む。
【0083】
最後に、ステップS213において、CPU2aによって、25個のICタグ22および25個のICタグ23の全ての読み取りが完了したか否かが判断される。まだ読み取りが完了していないと判断された場合には、ステップS201に戻り、新たなICタグの読み取りが行われる。全ての読み取りが完了したと判断された場合には、試薬情報読取処理が終了されて、図14に示すステップS3に進む。
【0084】
次に、図6、図7および図16を参照して、図14のステップS4に示した本発明の一実施形態による免疫分析装置1の試薬吸引・試薬情報書込処理について詳細に説明する。
【0085】
まず、ステップS401において、CPU2aによって、試薬を吸引する対象(吸引対象)の試薬容器がR1試薬容器19またはR3試薬容器20であるか否かが判断される。なお、吸引対象の試薬容器は、ユーザによって入力部4cに入力された測定条件などに基づいて、CPU4aを介してCPU2aに伝えられる。
【0086】
吸引対象の試薬容器がR1試薬容器19またはR3試薬容器20であると判断された場合には、ステップS402において、CPU2aによって、R1試薬分注アーム6(R3試薬分注アーム8)によってR1試薬(R3試薬)が吸引される吸引位置に吸引対象のR1試薬容器19(R3試薬容器20)が位置するように、R1/R3設置部161が矢印C1方向または矢印C2方向に回転される。この際、R1試薬容器19の蓋19a(R3試薬容器20の蓋20a)は、R1/R3設置部161の回転に伴い開かれる。
【0087】
そして、ステップS403において、R1試薬分注アーム6(R3試薬分注アーム8)によってR1試薬(R3試薬)が吸引される。その後、ステップS404において、CPU2aによって、アンテナ部18(アンテナ)が範囲B(図7参照)の長距離読取用電波および長距離書込用電波を発信するように、リーダライタ基板17aからアンテナ基板18bへの送信出力が設定される。すなわち、アンテナ部18の読取範囲および書込範囲が大きくなるように、リーダライタ基板17aの設置値記憶部17cの設置値がCPU2aにより設定される。そして、ステップS405において、CPU2aによって、書込対象のR1試薬容器19のICタグ22がアンテナ部18と正対する位置に位置するように、R1/R3設置部161が矢印C1方向または矢印C2方向に回転される。この際、R1試薬容器19の蓋19a(R3試薬容器20の蓋20a)は、R1/R3設置部161の回転に伴い閉じられる。
【0088】
そして、ステップS406において、CPU2aによって、R2試薬容器21がアンテナ部18と正対する位置近傍の領域E(図6参照)に位置するか否かが判断される。この際、R2試薬容器21の位置情報に基づいてR2試薬容器21が領域Eに位置するか否かが判断される。R2試薬容器21が領域Eに位置すると判断された場合には、ステップS407において、CPU2aによって、領域Eに位置するR2試薬容器21を領域Eから退避させるように、R2設置部162が矢印D1方向または矢印D2方向に回転される。そして、ステップS412に進む。
【0089】
一方、ステップS401において、CPU2aによって、吸引対象の試薬容器がR2試薬容器21であると判断された場合には、ステップS408において、CPU2aによって、R2試薬分注アーム7によってR2試薬が吸引される吸引位置に吸引対象のR2試薬容器21が位置するように、R2設置部162が矢印D1方向または矢印D2方向に回転される。この際、R2試薬容器21の蓋21aは、R2設置部162の回転に伴い開かれる。
【0090】
そして、ステップS409において、R2試薬分注アーム7によってR2試薬が吸引される。その後、ステップS410において、CPU2aによって、アンテナ部18が範囲A(図6参照)の短距離読取用電波および短距離書込用電波を発信するように、リーダライタ基板17aからアンテナ基板18bへの送信出力が設定される。すなわち、アンテナ部18の読取範囲および書込範囲が小さくなるように、リーダライタ基板17aの設置値記憶部17cの設置値がCPU2aにより設定される。そして、ステップS411において、CPU2aによって、書込対象のR2試薬容器21のICタグ23がアンテナ部18と正対する位置に位置するように、R2設置部162が矢印D1方向または矢印D2方向に回転される。この際、R2試薬容器21の蓋21aは、R2設置部162の回転に伴い閉じられる。そして、ステップS412に進む。
【0091】
そして、ステップS412において、CPU2aによって、アンテナ部18から範囲Bの長距離読取用電波(範囲Aの短距離読取用電波)が書込対象のICタグ22(ICタグ23)に対して発信される。その後、ステップS413において、CPU2aによって、アンテナ部18が応答電波を所定の時間内に受信したか否かが判断される。アンテナ部18が応答電波を所定の時間内に受信しなかったと判断された場合には、ステップS414において、CPU2aによって、制御装置4に読取エラー情報が送信され、制御装置4の表示部4bに書込対象のICタグに試薬情報の書き込みができなかった旨が表示される。そして、試薬吸引・試薬情報書込処理が終了し、図14に示すステップS5に進む。
【0092】
また、ステップS413において、アンテナ部18が応答電波を所定の時間内に受信したと判断された場合には、ステップS415において、CPU2aによって、アンテナ部18が受信した応答電波に含まれる試薬情報が書込対象のICタグに記録された試薬情報であるか否かが判断される。この際、CPU2aは、応答電波から得られた試薬種別(種類特定情報)に基づいて、書込対象のICタグに記録された試薬情報であるか否かを判断する。応答電波に含まれる試薬情報が書込対象のICタグに記録された試薬情報でないと判断された場合には、上記したステップS414に進む。
【0093】
また、応答電波に含まれる試薬情報が書込対象のICタグに記録された試薬情報であると判断された場合には、ステップS416において、試薬の残量情報などが含まれる長距離書込用電波または短距離書込用電波が、アンテナ部18から書込対象のICタグ22またはICタグ23に対して送信される。そして、ステップS417において、書込対象のICタグ22またはICタグ23に書き込まれた試薬情報と同じ情報がCPU2aにより制御装置4に送信された後、試薬吸引・試薬情報書込処理が終了されて、図14に示すステップS5に進む。なお、制御装置4においては、CPU2aから送信された試薬情報に基づいて、記憶部4dの試薬情報が更新される。
【0094】
本実施形態では、上記のように、1つのアンテナ部18によって、R2設置部162に配置されたR2試薬容器21に付されたICタグ23に記録された試薬情報およびR1/R3設置部161に配置されたR1試薬容器19に付されたICタグ22に記録された試薬情報を読み取っている。これによって、R1/R3設置部161およびR2設置部162のそれぞれに対して個別にアンテナ部18を設ける必要がないので、その分、部品点数が増加するのを抑制することができる。また、R2設置部162の外周側の領域のみをアンテナ部18を配置するために確保すればよく、R1/R3設置部161の内周側の領域を確保する必要がないので、R1/R3設置部161の内周側の領域を小さくすることができる。これにより、その分、免疫分析装置1本体が大型化するのを抑制することができる。
【0095】
また、本実施形態では、上記のように、アンテナ部18が範囲Bの長距離読取用電波を発信する際に、領域Eに位置するR2試薬容器21を領域Eから退避させている。これによって、R2試薬容器21が領域Eに位置することに起因してR1試薬容器19のICタグ22が読み取りにくくなるのを抑制することができる。
【0096】
また、本実施形態では、上記のように、隣接するR2試薬容器21同士の間の間隙Fと読取対象のR1試薬容器19のICタグ22とを、固定されたアンテナ部18と対向する正面位置(正対する位置)に配置している。これによって、間隙Fを介して、ICタグ22とアンテナ部18とを互いにアンテナ部18の正面位置で対向させることができるので、アンテナ部18によってICタグ22を容易に読み取ることができる。また、アンテナ部18を所定位置に固定することにより、アンテナ部18の読取位置を固定することができるので、アンテナ部18によってICタグ22および23をより容易に読み取ることができる。
【0097】
また、本実施形態では、上記のように、アンテナ部18が範囲Bの長距離読取用電波を発信する際に、R2試薬容器21のICタグ23をアンテナ部18と対向しない位置に移動させている。これによって、アンテナ部18と対向しない位置に位置するICタグ23はアンテナ部18にとって読み取りにくくなるので、読取対象でないICタグ23をアンテナ部18が誤って読み取るのを抑制することができる。これにより、アンテナ部18によって読取対象のR1試薬容器19のICタグ22をさらに容易に読み取ることができる。
【0098】
また、本実施形態では、上記のように、R1試薬容器19のICタグ22に対して、範囲Bの長距離読取用電波および長距離書込用電波によって読み取りおよび書き込みを行うとともに、R2試薬容器21のICタグ23に対して、範囲Bよりも小さい範囲Aの短距離読取用電波および短距離書込用電波によって読み取りおよび書き込みを行っている。これによって、読取対象のICタグ23を読み取る際に、読取対象でないR1試薬容器19のICタグ22や、読取対象ICタグ22が付されたR2試薬容器21に隣接する周囲のR2試薬容器21のICタグ23をアンテナ部18が誤って読み取ってしまうのを抑制することができる。また、書込対象でないR1試薬容器19のICタグ22や、書込対象のR2試薬容器21に隣接する周囲のR2試薬容器21のICタグ23に誤って書込対象の試薬情報を書き込んでしまうのを抑制することができる。
【0099】
また、本実施形態では、上記のように、アンテナ部18の読取範囲を制限する金属板18eを設けることによって、アンテナ部18の読取範囲を読取対象のR1試薬容器19のICタグ22のみが位置する範囲またはR2試薬容器21のICタグ23のみが位置する範囲に制限することができる。そのため、読取対象でないICタグ22および23をアンテナ部18が誤って読み取ってしまうのを抑制することができる。
【0100】
また、本実施形態では、上記のように、アンテナ部18が、25個のR1試薬容器19にそれぞれ付されたICタグ22に記録された試薬情報と、25個のR2試薬容器21にそれぞれ付されたICタグ23に記録された試薬情報とを読み取ることが可能なように構成することによって、より多くのICタグ22および23から電波を受信することができる。
【0101】
また、本実施形態では、上記のように、CPU2aが、応答電波に含まれる試薬種別(種類特定情報)に基づいて、アンテナ部18が受信した応答電波に含まれる試薬情報が読取対象の試薬情報であるか否かを判断している。これによって、読取対象でないICタグ22および23からの応答電波が読取対象の応答電波として誤って用いられるのをより抑制することができる。
【0102】
また、本実施形態では、上記のように、読取用電波および書込用電波に応答してICタグ22および23から発信され、アンテナ部18により受信した応答電波から試薬情報を取得するリーダライタ基板17aを設けている。これによって、リーダライタ基板17aにより取得したICタグ22および23の試薬情報に基づいて、R1試薬容器19の試薬、R3試薬容器20の試薬およびR2試薬容器21の試薬を個別に管理することができる。
【0103】
また、本実施形態では、上記のように、応答電波に含まれる試薬情報が読取対象の試薬情報であると判断された場合に、更新される試薬情報が含まれる長距離書込用電波(短距離書込用電波)をアンテナ部18から書込対象のICタグ22(ICタグ23)に対して送信している。これによって、CPU2aは、書込対象のICタグ22または23に試薬情報を書き込む前に、書込対象のICタグ22または23と通信可能か否かを予め判断することができる。これにより、より確実に、書込対象のICタグ22および23に試薬情報を書き込むことができる。
【0104】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0105】
たとえば、上記実施形態では、本発明の検体分析装置を免疫分析装置1に適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。電子タグの試薬情報を読み取るために用いられるアンテナ部を備える装置であれば本発明は適用可能であり、免疫分析装置以外にも、血液凝固分析装置、尿試料測定装置、遺伝子増幅検出装置などにも適用可能である。
【0106】
また、上記実施形態では、アンテナ部18をR2設置部162の外周側に設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、アンテナ部をR1設置部の内周側に設けてもよい。この場合、R2設置部の外周側の領域をアンテナ部のために確保する必要がないので、装置本体が大型化するのを抑制することが可能である。
【0107】
また、上記実施形態では、リーダライタ基板17aの出力を切り替えることによって、アンテナ部18から発信される読取用電波の読取範囲および書込用電波の書込範囲を切り替えた例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、CPUにより金属板(読取制限部材)の切り欠きの形状および大きさを適宜調整することが可能なように構成することによって、読取用電波の読取範囲および書込用電波の書込範囲を切り替えるように構成してもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、R1/R3設置部161とR2設置部162とを略円環状に設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、R1/R3設置部とR2設置部とを、各々が並列に並んだ状態で所定の方向に直線状に延びるように設けてもよい。
【0109】
また、上記実施形態では、アンテナ基板18b(アンテナ部18)を読取用電波および書込用電波を発信することが可能なように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、アンテナ部を読取用電波または書込用電波のいずれか一方のみを発信することが可能なように構成してもよい。
【0110】
また、上記実施形態では、ICタグ22が付されたR1試薬容器19と、ICタグ23が付されたR2試薬容器21と、ICタグが付されていないR3試薬容器20とを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ICタグが付されていない試薬容器を含まずに、ICタグが付された試薬容器のみからなるように構成してもよい。
【0111】
また、上記実施形態では、R1試薬容器19のR1試薬の試薬情報と、R1試薬容器19と共通のR1/R3保持部材161aに保持されているR3試薬容器20のR3試薬の試薬情報とをICタグ22に記録した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、3つ以上の試薬情報を1つのICタグに記録してもよい。
【0112】
また、上記実施形態では、25個のR1試薬容器19と、25個のR3試薬容器20と、25個のR2試薬容器21とを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、R1試薬容器とR3試薬容器とR2試薬容器との各々の個数を異ならせてもよい。また、R1試薬容器(R3試薬容器、R2試薬容器)の個数は、25個以外でもよい。たとえば、R1試薬容器とR3試薬容器とR2試薬容器とが各々1個のみ設けられていてもよい。
【0113】
また、上記実施形態では、内側回転駆動部16dおよび外側回転駆動部16eによって、R1/R3設置部161およびR2設置部162をそれぞれ回転させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、R1/R3設置部およびR2設置部を回転させないように構成する一方、アンテナ部を回転させるための駆動部を設けることによって、アンテナ部を回転させてもよい。この際、隣接するR2試薬容器の間の間隙がR1/R3設置部のR1試薬容器とアンテナ部とが対向する領域に位置するのが好ましい。
【0114】
また、上記実施形態では、アンテナ部18が範囲Bの長距離読取用電波を発信する際に、領域Eに位置するR2試薬容器21を領域Eから退避させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、アンテナ部がR1試薬容器のICタグを読み取ることが可能であれば、領域Eに位置するR2試薬容器を領域Eから退避させなくてもよい。たとえば、R2試薬容器内の試薬残量が少なくなり、アンテナ部からの電波がR2試薬容器内の試薬によって吸収されない状態であれば、R2試薬容器を領域Eから退避させなくてもよい。また、R2試薬容器の全体を領域Eから退避させなくてもよく、R2試薬容器の一部が領域Eに位置してもよい。
【0115】
また、上記実施形態では、隣接するR2試薬容器21同士の間の間隙Fと読取対象のR1試薬容器19のICタグ22とをアンテナ部18と正対する位置に配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、R1試薬容器のICタグが読み取り可能であれば、間隙Fと読取対象のR1試薬容器のICタグとをアンテナ部と正対する位置に配置しなくてもよい。
【0116】
また、上記実施形態では、アンテナ部18が範囲Bの長距離読取用電波を発信する際に、R2試薬容器21のICタグ23をアンテナ部18と対向しない位置に配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、R2試薬容器のICタグをアンテナ部と対向する位置に配置してもよい。この際、R2試薬容器のICタグを読み取った場合であっても、試薬種別(種類特定情報)に基づいて読取対象のR1試薬容器のICタグの試薬情報のみを制御装置に送信することが可能である。
【0117】
また、上記実施形態では、R2試薬容器21がアンテナ部18と正対する位置近傍の領域Eに位置するか否かをCPU2aが判断した後に、試薬情報の読み取りおよび書き込みを行った例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、先に試薬情報の読み取りおよび書き込みを行い、試薬情報の読み取りおよび書き込みが失敗した場合にのみ、領域Eに位置するR2試薬容器を領域Eから退避させるように、R2設置部を移動させてもよい。
【0118】
また、上記実施形態では、R1試薬容器19のICタグ22に対して、範囲Bの長距離読取用電波および長距離書込用電波によって読み取りおよび書き込みを行うとともに、R2試薬容器21のICタグ23に対して、範囲Bよりも小さい範囲Aの短距離読取用電波および短距離書込用電波によって読み取りおよび書き込みを行った例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、R1試薬容器のICタグおよびR2試薬容器のICタグに対して、同一の範囲の読取用電波および書込用電波によって読み取りおよび書き込みを行ってもよい。
【0119】
また、上記実施形態では、R1試薬容器19のICタグ22に対する読み取り(書き込み)と、R2試薬容器21のICタグ23に対する読み取り(書き込み)とを別々に行っているが、ICタグ22に対する読み取り(書き込み)とICタグ23に対する読み取り(書き込み)とを並行して同時に行ってもよい。
【符号の説明】
【0120】
1 免疫分析装置
2a CPU
16d 内側回転駆動部
16e 外側回転駆動部
17a リーダライタ基板
18 アンテナ部
18e 金属板
19 R1試薬容器
20 R3試薬容器
21 R2試薬容器
22 ICタグ
23 ICタグ
161 R1/R3設置部
162 R2設置部
E 領域
F 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬容器内の試薬を用いて検体の分析を行う検体分析装置であって、
試薬に関する試薬情報が記録された第1電子タグが付された第1試薬容器を保持する第1試薬容器保持部と、
試薬に関する試薬情報が記録された第2電子タグが付された第2試薬容器を保持するとともに、前記第1試薬容器保持部に対して一方側に配置される第2試薬容器保持部と、
前記第1試薬容器保持部に対して他方側に配置され、前記第1試薬容器の第1電子タグおよび前記第2試薬容器の第2電子タグのそれぞれから電波を受信するアンテナ部と、
前記アンテナ部が受信した電波に基づいて、前記第1電子タグに記録された試薬情報および前記第2電子タグに記録された試薬情報を取得する試薬情報取得部とを備える、検体分析装置。
【請求項2】
前記第1試薬容器保持部および前記アンテナ部の少なくとも一方を移動させる駆動部と、
前記第2試薬容器の第2電子タグに対して前記アンテナ部が前記読取用電波を発信する際に、前記アンテナ部と対向する位置から前記第1試薬容器を退避させるように前記駆動部を制御する駆動制御部とをさらに備える、請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項3】
前記第1試薬容器保持部は、複数の前記第1試薬容器を並んだ状態で保持し、
前記駆動制御部は、前記第2試薬容器の第2電子タグから前記アンテナ部が電波を受信する際に、前記第1試薬容器保持部の隣接する前記第1試薬容器同士の間の間隙が前記第2電子タグと前記アンテナ部とが対向する領域に位置するように前記駆動部を制御するように構成されている、請求項2に記載の検体分析装置。
【請求項4】
前記アンテナ部は、所定位置に固定され、
前記駆動部は、前記第1試薬容器保持部および前記第2試薬容器保持部を移動させ、
前記駆動制御部は、前記第2試薬容器の第2電子タグから前記アンテナ部が電波を受信する際に、前記所定位置に固定されたアンテナ部に対して前記第1試薬容器保持部および前記第2試薬容器保持部を移動させることにより、前記間隙と前記第2電子タグとが共に前記アンテナ部の正面位置に位置するように前記駆動部を制御するように構成されている、請求項3に記載の検体分析装置。
【請求項5】
前記駆動制御部は、前記第2試薬容器の第2電子タグから前記アンテナ部が電波を受信する際に、前記第1試薬容器の第1電子タグが前記アンテナ部と対向しない位置に位置するように前記駆動部を制御するように構成されている、請求項2〜4のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項6】
前記アンテナ部は、前記第1試薬容器の第1電子タグおよび前記第2試薬容器の第2電子タグのそれぞれに対して電波を発信するとともに、前記アンテナ部から発信される電波に応答して前記第1電子タグおよび前記第2電子タグのそれぞれから発信される電波を受信するように構成され、
前記第1試薬容器保持部は、複数の前記第1試薬容器を並んだ状態で保持し、
前記第1試薬容器の第1電子タグに対して前記アンテナ部が発信する電波の到達範囲が、前記第2試薬容器の第2電子タグに対して前記アンテナ部が発信する電波の到達範囲よりも小さくなるように前記アンテナ部を制御するアンテナ制御部をさらに備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項7】
前記アンテナ部から発信される電波の到達範囲および前記アンテナ部による電波の受信範囲の少なくとも一方を制限する制限部材をさらに備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項8】
前記第1試薬容器保持部は、複数の前記第1試薬容器を保持し、
前記第2試薬容器保持部は、複数の前記第2試薬容器を保持し、
前記アンテナ部は、前記第1試薬容器保持部に保持された前記複数の第1試薬容器のそれぞれの第1電子タグから電波を受信し、前記第2試薬容器保持部に保持された前記複数の第2試薬容器のそれぞれの第2電子タグから電波を受信するように構成されている、請求項1〜7のいずれかに記載の検体分析装置。
【請求項9】
前記第1試薬容器保持部は、平面的に見て、略円環状に形成されており、
前記第2試薬容器保持部は、平面的に見て、前記第1試薬容器保持部の内周側に略円環状に形成されており、
前記アンテナ部は、前記第1試薬容器保持部の外周側に配置されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項10】
試薬情報の読取対象の電子タグから前記アンテナ部が電波を受信したか否かを判断する第1判断制御部をさらに備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項11】
前記電子タグに記録された試薬情報は、試薬の種類を特定するための種類特定情報を含み、
前記第1判断制御部は、前記試薬情報取得部により取得された試薬情報に含まれる種類特定情報に基づいて、前記読取対象の電子タグから前記アンテナ部が電波を受信したか否かを判断するように構成されている、請求項10に記載の検体分析装置。
【請求項12】
前記アンテナ部は、前記第1試薬容器の第1電子タグおよび前記第2試薬容器の第2電子タグのそれぞれに対して書込用電波を発信することによって、前記第1電子タグおよび前記第2電子タグのそれぞれに試薬情報を書き込むことが可能なように構成されており、
試薬情報の書込対象の電子タグに対して前記アンテナ部が前記書込用電波を発信する前に、前記書込対象の電子タグと前記アンテナ部とが通信可能か否かを判断する第2判断制御部をさらに備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載の検体分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−196751(P2011−196751A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62097(P2010−62097)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】