説明

検体分析装置

【課題】部品点数が増加するのを抑制するとともに、装置本体が大型化するのを抑制することが可能な検体分析装置を提供する。
【解決手段】この免疫分析装置1(検体分析装置)は、試薬容器内の試薬を用いて検体の分析を行う免疫分析装置1であって、R1試薬に関する試薬情報が記録されたICタグ24が付されたR1試薬容器21を保持するR1/R3設置部18と、R2試薬に関する試薬情報が記録されたICタグ25が付されたR2試薬容器23を保持するR2設置部19と、R1/R3設置部18とR2設置部19との間に配置され、ICタグ24および25のそれぞれから電波を受信するアンテナ部20と、アンテナ部20が受信した電波に基づいて、ICタグ24に記録された試薬情報およびICタグ25に記録された試薬情報を取得するRFIDモジュール17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体分析装置に関し、特に、試薬情報が記録された電子タグが付された試薬容器を搭載する検体分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、試薬情報が記録された電子タグが付された試薬容器を搭載する検体分析装置が知られている(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、試薬情報が記録された無線ICタグが付された複数の試薬容器を内周列および外周列の二列で保持する円環状の試薬容器保持部と、内周列の試薬容器保持部に保持された試薬容器の無線ICタグに対して電波を発信する内周側アンテナ部と、外周列の試薬容器保持部に保持された試薬容器の無線ICタグに対して電波を発信する外周側アンテナ部と、無線ICタグから返ってきた電波を内周側アンテナ部および外周側アンテナ部から受け取る情報読取・記録部とを備えた自動分析装置が開示されている。この特許文献1に記載された自動分析装置では、内周側アンテナ部は、内周列の試薬容器保持部の内側に配置され、外周側アンテナ部は、外周列の試薬容器保持部の外側に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−210444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の自動分析装置では、内周列の試薬容器保持部の内側と外周列の試薬容器保持部の外側とにそれぞれアンテナ部を配置する必要がある。このため、部品点数が増加するという問題点がある。さらに、内周列の試薬容器保持部の内側の領域と外周列の試薬容器保持部の外側の領域とをアンテナ部を配置するために確保しなければならないため、装置本体が大型化するという問題点もある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の1つの目的は、部品点数が増加するのを抑制するとともに、装置本体が大型化するのを抑制することが可能な検体分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による検体分析装置は、試薬容器内の試薬を用いて検体の分析を行う検体分析装置であって、試薬に関する試薬情報が記録された第1電子タグが付された第1試薬容器を保持する第1試薬容器保持部と、試薬に関する試薬情報が記録された第2電子タグが付された第2試薬容器を保持する第2試薬容器保持部と、第1試薬容器保持部と第2試薬容器保持部との間に配置され、第1電子タグおよび第2電子タグのそれぞれから電波を受信するアンテナ部と、アンテナ部が受信した電波に基づいて、第1電子タグに記録された試薬情報および第2電子タグに記録された試薬情報を取得する試薬情報取得部とを備える。
【0008】
この発明の一の局面による検体分析装置では、上記のように、アンテナ部によって、第1試薬容器保持部に保持された第1試薬容器に付された第1電子タグおよび第2試薬容器保持部に保持された第2試薬容器に付された第2電子タグのそれぞれから電波が受信されるように構成されている。これによって、第1試薬容器保持部および第2試薬容器保持部に個別にアンテナ部を設ける必要がないので、その分、部品点数が増加するのを抑制することができる。また、アンテナ部を第1試薬容器保持部と第2試薬容器保持部との間に配置することによって、第1試薬容器保持部と第2試薬容器保持部との間の領域のみをアンテナ部を配置するために確保すればよいので、アンテナ部を配置するために2つの領域を確保する必要がない。これにより、その分、装置本体が大型化するのを抑制することができる。また、アンテナ部を第1試薬容器保持部と第2試薬容器保持部との間に配置することによって、第1試薬容器とアンテナ部との間に第2試薬容器が位置しないとともに、第2試薬容器とアンテナ部との間に第1試薬容器が位置しない。これにより、第1試薬容器とアンテナ部との間に第2試薬容器が位置するかまたは第2試薬容器とアンテナ部との間に第1試薬容器が位置することに起因して、第1電子タグおよび第2電子タグの試薬情報の読み取りが妨害されることを抑制することができる。
【0009】
上記一の局面による検体分析装置において、好ましくは、第1試薬容器の第1電子タグは、第1試薬容器のアンテナ部に対向する側面に配置されており、第2試薬容器の第2電子タグは、第2試薬容器のアンテナ部に対向する側面に配置されている。このように構成すれば、第1試薬容器の第1電子タグおよび第2試薬容器の第2電子タグを、共にアンテナ部に対向するように位置させることができる。これにより、アンテナ部によって第1電子タグおよび第2電子タグを容易に読み取ることができる。
【0010】
上記一の局面による検体分析装置において、好ましくは、読取対象の電子タグからアンテナ部が電波を受信したか否かを判断する制御部をさらに備える。このように構成すれば、読取対象でない電子タグからの電波が読取対象の電子タグからの電波として誤って用いられるのを抑制することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、電子タグに記録された試薬情報は、試薬の種類を特定するための種類特定情報を含み、制御部は、試薬情報取得部により取得された試薬情報に含まれる種類特定情報に基づいて、読取対象の電子タグからアンテナ部が電波を受信したか否かを判断するように構成されている。このように構成すれば、種類特定情報を用いることによって、読取対象でない電子タグからの電波が読取対象の電子タグからの電波として誤って用いられるのをより抑制することができる。
【0012】
上記一の局面による検体分析装置において、好ましくは、アンテナ部は、第1試薬容器の第1電子タグおよび第2試薬容器の第2電子タグのそれぞれに対して書込用電波を発信することによって、第1電子タグおよび第2電子タグのそれぞれに試薬情報を書き込むことが可能なように構成されており、試薬情報の書込対象の電子タグに対してアンテナ部が書込用電波を発信する前に、書込対象の電子タグとアンテナ部とが通信可能か否かを判断する制御部をさらに備える。このように構成すれば、制御部は、書込対象の電子タグに試薬情報を書き込む前に、書込対象の電子タグと通信可能か否かを予め判断することができる。これにより、より確実に、書込対象の第1電子タグおよび第2電子タグに試薬情報を書き込むことができる。
【0013】
上記一の局面による検体分析装置において、好ましくは、アンテナ部は、第1試薬容器側および第2試薬容器側にそれぞれ一方表面および他方表面が位置する平板状のアンテナ基板を含み、第1試薬容器保持部および第2試薬容器保持部とアンテナ部との少なくとも一方を移動させる駆動部と、第1試薬容器の第1電子タグが読取対象である場合に、読取対象の第1電子タグをアンテナ基板の一方表面に対向する位置に位置させるように駆動部を制御するとともに、第2試薬容器の第2電子タグが読取対象である場合に、読取対象の第2電子タグをアンテナ基板の他方表面に対向する位置に位置させるように駆動部を制御する制御部とをさらに備える。このように構成すれば、制御部により、アンテナ基板の一方表面に対向する位置および他方表面に対向する位置に、読取対象の第1電子タグおよび第2電子タグをそれぞれ位置させることができるので、アンテナ部によって読取対象の第1電子タグおよび第2電子タグをより容易に読み取ることができる。
【0014】
上記一の局面による検体分析装置において、好ましくは、第1試薬容器保持部は、複数の第1試薬容器を保持するとともに、平面的に見て略円環状に形成され、第2試薬容器保持部は、複数の第2試薬容器を保持するとともに、平面的に見て第1試薬容器保持部の内周側に略円環状に形成され、第2試薬容器保持部の第2試薬容器に付された第2電子タグを読み取る場合のアンテナ部による読取可能範囲は、第1試薬容器保持部の第1試薬容器に付された第1電子タグを読み取る場合のアンテナ部による読取可能範囲よりも小さい。このように構成すれば、第1試薬容器保持部の内周側に略円環状に形成される第2試薬容器保持部の外周の長さは、略円環状の第1試薬容器保持部の内周の長さよりも小さいので、複数の第2試薬容器は複数の第1試薬容器よりも互いに近接した状態で配置されやすい。ここで、第2電子タグを読み取る場合の読取可能範囲を第1電子タグを読み取る場合の読取可能範囲よりも小さくすることにより、第1電子タグからの試薬情報の読み取りが失敗することを抑制することができるとともに、読取対象の第2電子タグとは異なる他の第2電子タグの試薬情報を誤って読み取ってしまうことを抑制することができる。
【0015】
この場合、好ましくは、少なくとも第2試薬容器保持部の第2試薬容器に付された第2電子タグとアンテナ部との間に設けられ、アンテナ部による読取可能範囲を制限する読取制限部材をさらに備える。このように構成すれば、互いに近接した第2試薬容器に付された第2電子タグから試薬情報を読み取る際に、読取対象の第2電子タグとは異なる他の第2電子タグの試薬情報を誤って読み取ってしまうのを容易に抑制することができる。
【0016】
上記少なくとも第2電子タグとアンテナ部との間に読取制限部材が設けられる検体分析装置において、好ましくは、第1試薬容器保持部の第1試薬容器に付された第1電子タグとアンテナ部との間には、アンテナ部による読取可能範囲を制限する読取制限部材が設けられていない。このように構成すれば、アンテナ部による読取可能範囲を制限する読取制限部材が、第2電子タグとアンテナ部との間に設けられている一方、第1電子タグとアンテナ部との間に設けられないので、容易に、第2電子タグを読み取る場合の読取可能範囲を第1電子タグを読み取る場合の読取可能範囲よりも小さくすることができる。
【0017】
上記第2電子タグを読み取る場合の読取可能範囲が第1電子タグを読み取る場合の読取可能範囲よりも小さい検体分析装置において、好ましくは、アンテナ部は、第1試薬容器の第1電子タグおよび第2試薬容器の第2電子タグのそれぞれに対して電波を発信するとともに、電波に応答して第1および第2電子タグのそれぞれから発信される電波を受信するように構成され、第1試薬容器保持部の第1試薬容器に付された第1電子タグから試薬情報を読み取る場合には、第1到達範囲の電波を第1電子タグに対して発信し、第2試薬容器保持部の第2試薬容器に付された第2電子タグから試薬情報を読み取る場合には、第1到達範囲よりも小さい第2到達範囲の電波を第2電子タグに対して発信するようにアンテナ部を制御する制御部をさらに備える。このように構成すれば、制御部によって、容易に、第2電子タグを読み取る場合の読取可能範囲を第1電子タグを読み取る場合の読取可能範囲よりも小さくすることができる。
【0018】
上記第2電子タグを読み取る場合の読取可能範囲が第1電子タグを読み取る場合の読取可能範囲よりも小さい検体分析装置において、好ましくは、第1試薬容器保持部は、所定数の第1試薬容器を等間隔を置いて保持するように構成され、第2試薬容器保持部は、所定数の第2試薬容器を等間隔を置いて保持するように構成されている。このように構成すれば、複数の第2試薬容器は複数の第1試薬容器よりも互いに近接した状態で配置される状態において、第2電子タグを読み取る場合の読取可能範囲が第1電子タグを読み取る場合の読取可能範囲よりも小さくなるように構成することによって、第1電子タグからの試薬情報の読み取りが失敗することをより抑制することができるとともに、読取対象の第2電子タグとは異なる他の第2電子タグの試薬情報を誤って読み取ってしまうことをより抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態による免疫分析装置の全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した一実施形態による免疫分析装置の全体構成を示した平面図である。
【図3】図1に示した一実施形態による免疫分析装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図4】図1に示した一実施形態による免疫分析装置の試薬設置部の内部を示した斜視図である。
【図5】図1に示した一実施形態による免疫分析装置の試薬設置部の内部を示した平面図である。
【図6】図1に示した一実施形態による試薬設置部の試薬容器のICタグを読み込む際の状態を示した拡大平面図である。
【図7】図1に示した一実施形態による試薬設置部のアンテナ部を示した斜視図である。
【図8】図1に示した一実施形態による試薬設置部のアンテナ部を示した正面図である。
【図9】図1に示した一実施形態によるアンテナ部のアンテナ基板を示した平面図である。
【図10】図1に示した一実施形態による試薬設置部のR1試薬容器を示した側面図である。
【図11】図1に示した一実施形態による試薬設置部のR2試薬容器を示した側面図である。
【図12】図1に示した一実施形態によるICタグに記憶されている固有情報および試薬情報を示す概念図である。
【図13】図1に示した一実施形態による免疫分析装置の測定動作を示すフローチャートである。
【図14】図1に示した一実施形態による免疫分析装置の試薬情報読取処理を示すフローチャートである。
【図15】図1に示した一実施形態による免疫分析装置の試薬吸引・試薬情報書込処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
まず、図1〜図12を参照して、本発明の第1実施形態による免疫分析装置1の構成について説明する。
【0022】
本発明の一実施形態による免疫分析装置1は、血液などの検体を用いて感染症(B型肝炎、C型肝炎など)に関連するタンパク質、腫瘍マーカおよび甲状腺ホルモンなど種々の項目の検査を行うための装置である。
【0023】
この免疫分析装置1は、測定対象である血液などの検体(血液試料)に含まれる抗原や抗体などを定量測定または定性測定する装置である。検体に含まれる抗原を定量測定する場合には、この免疫分析装置1は、検体に含まれる抗原に結合した捕捉抗体(R1試薬)に磁性粒子(R2試薬)を結合させた後に、結合(Bound)した抗原、捕捉抗体および磁性粒子を1次BF(Bound Free)分離部11の磁石(図示せず)に引き寄せることにより、未反応(Free)の捕捉抗体を含むR1試薬を除去するように構成されている。そして、免疫分析装置1は、磁性粒子が結合した抗原と標識抗体(R3試薬)とを結合させた後に、結合(Bound)した磁性粒子、抗原および標識抗体を2次BF分離部12の磁石(図示せず)に引き寄せることにより、未反応(Free)の標識抗体を含むR3試薬を除去する。さらに、分散液(R4試薬)、および、標識抗体との反応過程で発光する発光基質(R5試薬)を添加した後、標識抗体と発光基質との反応によって生じる発光量を測定する。このような工程を経て、標識抗体に結合する検体に含まれる抗原を定量的に測定している。
【0024】
また、免疫分析装置1は、図1および図2に示すように、測定機構部2と、測定機構部2に隣接するように配置された検体搬送部(サンプラ)3と、測定機構部2に電気的に接続されたPC(パーソナルコンピュータ)からなる制御装置4とを備えている。
【0025】
検体搬送部3は、検体を収容した図示しない複数の試験管が載置されたラックを搬送可能に構成されている。また、検体搬送部3は、検体を収容した試験管を検体分注アーム5による検体吸引位置まで搬送するように構成されている。
【0026】
制御装置4は、図3に示すように、CPU4a、表示部4b、入力部4cおよび記憶部4dを含む。CPU4aは、ユーザが入力部4cを用いて入力した測定条件などに基づいて、測定機構部2(後述するCPU2a)に測定を行わせるとともに、測定機構部2により得られた測定結果を分析し、その分析結果を表示部4bに表示する機能を有する。記憶部4dはハードディスクからなり、後述するR1試薬容器21、R3試薬容器22およびR2試薬容器23の各々の試薬情報および位置情報が個別に記憶される。なお、記憶部4dに関しては、後に詳細に説明する。
【0027】
また、測定機構部2は、図2に示すように、検体分注アーム5と、R1試薬分注アーム6と、R2試薬分注アーム7と、R3試薬分注アーム8と、反応部9と、キュベット供給部10と、1次BF分離部11と、2次BF分離部12と、ピペットチップ供給部13と、検出部14と、R4/R5試薬供給部15と、試薬設置部16と、RFID(Radio Frequency IDentification)モジュール17とから構成されている。
【0028】
また、図3に示すように、測定機構部2における各機構部(各種分注アームおよび反応部9など)は、測定機構部2に設けられたCPU2aにより制御されている。また、検体搬送部3もCPU2aによって制御されるように構成されている。さらに、測定機構部2には、記憶部2bが設けられており、記憶部2bには、測定機構部2の各機構部の動作制御をCPU2aに実行させるための制御プログラムが記憶されている。
【0029】
図2に示すように、キュベット供給部10は、図示しない複数のキュベットを収納可能に構成されており、検体分注アーム5による検体吐出位置にキュベットを1つずつ順次供給する機能を有している。
【0030】
R1試薬分注アーム6は、試薬設置部16に設置されたR1試薬を吸引し、吸引したR1試薬を検体吐出位置に載置されたキュベットに分注(吐出)するように構成されている。また、R1試薬分注アーム6は、図示しないキャッチャにより検体吐出位置に載置されたキュベットを反応部9に移送する機能を有している。
【0031】
ピペットチップ供給部13は、投入された複数のピペットチップ(図示せず)を1つずつ検体分注アーム5によるチップ装着位置まで搬送する機能を有している。そして、ピペットチップは、チップ装着位置において、検体分注アーム5のピペット先端に取り付けられる。
【0032】
検体分注アーム5は、チップ装着位置においてピペットチップを装着した後、検体搬送部3により検体吸引位置に搬送された試験管内の検体を吸引し、R1試薬分注アーム6によりR1試薬が分注された検体吐出位置のキュベットに検体を分注(吐出)する機能を有している。
【0033】
R2試薬分注アーム7は、試薬設置部16に設置されたR2試薬を吸引する機能を有している。また、R2試薬分注アーム7は、R1試薬および検体を収容するキュベットに吸引したR2試薬を分注(吐出)するように構成されている。
【0034】
反応部9は、平面的に見て略円形形状を有する試薬設置部16の周囲を取り囲むように略円環状に形成されている。また、反応部9は、時計回り方向に回転可能に構成されており、キュベット保持部9aに保持されたキュベットを各種処理(試薬の分注など)が行われる各々の処理位置まで移動させる機能を有している。
【0035】
1次BF分離部11は、検体、R1試薬およびR2試薬を収容するキュベットを図示しないキャッチャにより反応部9から1次BF分離部11に移送した後、キュベット内の試料から未反応のR1試薬(不要成分)と磁性粒子とを分離(B/F分離)するように構成されている。
【0036】
R3試薬分注アーム8は、試薬設置部16に設置されたR3試薬を吸引する機能を有している。また、R3試薬分注アーム8は、1次BF分離部11によるB/F分離後の試料を収容するキュベットが1次BF分離部11から反応部9に移送されると、吸引したR3試薬をそのキュベットに分注(吐出)するように構成されている。
【0037】
2次BF分離部12は、1次BF分離部11によるB/F分離後の試料およびR3試薬を収容するキュベットを図示しないキャッチャにより反応部9から2次BF分離部12に移送した後、キュベット内の試料から未反応のR3試薬(不要成分)と磁性粒子とを分離するように構成されている。
【0038】
R4/R5試薬供給部15は、図示しないチューブにより、2次BF分離部12によるB/F分離後の試料を収容するキュベットに、R4試薬およびR5試薬を順に分注するように構成されている。
【0039】
検出部14は、所定の処理が行なわれた検体の抗原に結合する標識抗体と発光基質との反応過程で生じる光を光電子増倍管(Photo Multiplier Tube)で取得することにより、その検体に含まれる抗原の量を測定するために設けられている。
【0040】
試薬設置部16は、図2に示すように、略円筒状の形状を有する筐体16a(図4参照)と、筐体16aを上方から覆うように配置される蓋部16bと、蓋部16bに設けられ、ユーザが後述するR1試薬容器21、R3試薬容器22およびR2試薬容器23を交換する際に開閉される開閉部16cとを含む。また、R1試薬、R2試薬およびR3試薬が吸引される位置に対応する蓋部16bの上面には、開閉可能な窓部(図示せず)が形成されている。この窓部を介して、R1試薬分注アーム6、R2試薬分注アーム7およびR3試薬分注アーム8によって、それぞれ、R1試薬、R2試薬およびR3試薬が吸引される。
【0041】
ここで、本実施形態では、図4および図5に示すように、試薬設置部16の筐体16a内部には、R1/R3設置部18と、R2設置部19と、1つのアンテナ部20とが設けられている。具体的には、図4〜図6に示すように、R1/R3設置部18およびR2設置部19は、平面的に見て、筐体16aの中心Oと略同一の中心Oを有して略円環状に形成されている。また、R1/R3設置部18は、R2設置部19の内周側(図5の中心O側)に設けられているとともに、アンテナ部20は、R1/R3設置部18の外周側(中心Oとは反対側)で、かつ、R2設置部19の内周側に設けられている。すなわち、アンテナ部20は、平面的に見て、R1/R3設置部18とR2設置部19との間に挟み込まれるように配置されている。
【0042】
また、アンテナ部20は、図7および図8に示すように、アンテナ基板20aと、アンテナ基板20aを外側(矢印X2方向側、図6参照)から固定する基板取付部20bと、アンテナ部20の内側(矢印X1方向側、図6参照)に配置され、アンテナ基板20aを基板取付部20bと共に挟み込むように基板取付部20bに取り付けられる金属板20cとを含んでいる。また、図6に示すように、基板取付部20bの下部は、ネジ20dによって筐体16aの底面に固定されている。すなわち、アンテナ部20は、筐体16aに固定されている。
【0043】
アンテナ基板20aは、図9に示すように、平板状の基板の矢印X1方向側の表面120a(図7参照)にコイル状のアンテナ配線220aが形成されることによって構成されている。このコイル状のアンテナ配線220aを介して電波を送受信することが可能である。また、アンテナ基板20aは、図6に示すように、アンテナ基板20aの矢印X1方向側の表面120aが筐体16aの中心O(図5参照)と対向するように基板取付部20bの内部に配置されている。
【0044】
また、本実施形態では、アンテナ基板20aは、矢印X1方向側の表面120aから読取用電波および書込用電波を試薬設置部16の内側(図5の中心O側(矢印X1方向側))に向かって発信することが可能なように構成されているとともに、矢印X2方向側の表面320aから読取用電波および書込用電波を外側(R2設置部19側(矢印X2方向側))に向かって発信することが可能なように構成されている。また、アンテナ基板20aは、読取用電波に応答して後述するICタグ24および25から発信される応答電波を受信可能なように構成されている。これにより、アンテナ部20は、矢印X1方向側に配置されるR1試薬容器21のICタグ24の読み取りおよび書き込みを行うことが可能なように構成されているとともに、矢印X2方向側に配置されるR2試薬容器23のICタグ25の読み取りおよび書き込みを行うことが可能なように構成されている。なお、アンテナ基板20aは、RFIDモジュール17の後述するリーダライタ基板17aに接続されている。
【0045】
基板取付部20bは、電波を透過可能な樹脂からなる。これにより、アンテナ基板20aの矢印X2方向側の表面320aから外側(矢印X2方向側)に向かって発信される読取用電波および書込用電波は、基板取付部20bを透過して、R2設置部19に到達することが可能であるとともに、後述するICタグ25から発信される応答電波は、基板取付部20bを透過して、アンテナ基板20aに到達することが可能なように構成されている。また、アンテナ基板20aは、図7に示すように、ネジ20eおよびナット20f(図6参照)により基板取付部20bに固定されている。
【0046】
金属板20cは、電波(読取用電波、書込用電波および応答電波)を吸収することが可能なアルミニウムの板材からなる。また、金属板20cは、基板取付部20bとアンテナ基板20aを挟み込んだ状態でアンテナ部20の矢印X1方向側に配置されるように、ネジ20gおよび図示しないナットにより基板取付部20bに固定されている。
【0047】
また、金属板20cには、略U字状の切り欠き20hが形成されている。この切り欠き20hを介して、アンテナ基板20aは試薬設置部16の内側(矢印X1方向側)に向かって電波を発信する一方、切り欠き20hを通過しないアンテナ基板20aの電波は、金属板20cによって吸収されるように構成されている。すなわち、金属板20cは、アンテナ基板20aから矢印X1方向側に向かって発信される読取用電波および書込用電波の範囲(図6に示す範囲A(太い一点鎖線))およびアンテナ基板20aが矢印X1方向側から受信する応答電波の範囲を制限することによって、アンテナ部20(アンテナ基板20a)の矢印X1方向側の読取範囲および書込範囲を制限する機能を有する。
【0048】
一方、アンテナ部20の矢印X2方向側には、金属板は配置されていない。これにより、アンテナ基板20aから矢印X2方向側に向かって発信される読取用電波および書込用電波の範囲(図6に示す範囲B(太い二点鎖線))およびアンテナ基板20aが矢印X2方向側から受信する応答電波の範囲は制限されないように構成されている。この結果、アンテナ基板20aから矢印X2方向側に向かって発信される読取用電波および書込用電波の範囲B(太い二点鎖線)は、アンテナ基板20aから矢印X1方向側に向かって発信される読取用電波および書込用電波の範囲A(太い一点鎖線)よりも大きくなるように構成されている。
【0049】
また、試薬設置部16には、中心Oを回転中心としてR1/R3設置部18を矢印C1方向および矢印C2方向に回転させるための内側回転駆動部16c(図3参照)と、中心Oを回転中心としてR2設置部19を矢印D1方向および矢印D2方向に回転させるための外側回転駆動部16d(図3参照)とが設けられている。また、内側回転駆動部16cと外側回転駆動部16dとは、CPU2aによって個別に駆動が制御されるように構成されている。
【0050】
また、R1/R3設置部18には、図5に示すように、電波を透過可能な樹脂からなるR1/R3保持部材18aが等角度(約14.4度)間隔で25個配置されている。このR1/R3保持部材18aの各々には、捕捉抗体を含むR1試薬が収容されるR1試薬容器21と標識抗体を含むR3試薬が収容されるR3試薬容器22とが保持されている。なお、R1/R3保持部材18aは、外側(R2設置部19側)にR1試薬容器21が保持され、内側(中心O側)にR3試薬容器22が保持されるように構成されている。
【0051】
また、R2設置部19には、電波を透過可能な樹脂からなるR2保持部材19aが等角度(約14.4度)間隔で25個配置されている。このR2保持部材19aの各々には、磁性粒子を含むR2試薬が収容されるR2試薬容器23が保持されている。
【0052】
ここで、R1/R3設置部18がR2設置部19の内周側に配置されるとともに、R1試薬容器21とR2試薬容器23とが同数(25個)配置されることにより、R1試薬容器21同士の間隔は、R2試薬容器23同士の間隔よりも小さくなる。すなわち、R1試薬容器21は、R2試薬容器23と比べて、より互いに近接した状態で配置されている。また、R1試薬容器21、R3試薬容器22およびR2試薬容器23は、ユーザにより設置および交換可能なように構成されている。
【0053】
また、図10に示すように、R1試薬容器21には、R1試薬を吸引する際に開閉される蓋21aと、R1試薬が収容される試薬収容部21bとが形成されている。また、図11に示すように、R2試薬容器23には、R2試薬を吸引する際に開閉される蓋23aと、R2試薬が収容される試薬収容部23bとが形成されている。また、図6に示すように、R3試薬容器22はR1試薬容器21と略同様の形状を有しており、R3試薬容器22には、R3試薬を吸引する際に開閉される蓋22aと、R3試薬が収容される図示しない試薬収容部とが形成されている。なお、蓋21aおよび22aは、R1/R3設置部18の回転に伴い開閉されるとともに、蓋23aは、R2設置部19の回転に伴い開閉されるように構成されている。
【0054】
また、本実施形態では、図10に示すように、R1試薬容器21の試薬収容部21bの外側(図6の矢印X2方向側)に配置される側面には、ICタグ24が取り付けられるICタグ取り付け部21cが形成されている。すなわち、R1試薬容器21のICタグ24は、図6に示すように、R1/R3設置部18に配置された際、試薬設置部16の外側(矢印X2方向側)を向くとともに、アンテナ基板20aの矢印X1方向側の表面120aの正面位置で対向する(正対する)ように試薬収容部21bの矢印X2方向側の側面に取り付けられている。
【0055】
また、図11に示すように、R2試薬容器23の試薬収容部23bの内側(図6の矢印X1方向側)に配置される側面には、ICタグ25が取り付けられるICタグ取り付け部23cが形成されている。すなわち、R2試薬容器23のICタグ25は、図6に示すように、R2設置部19に配置された際、試薬設置部16の内側(矢印X1方向側)を向くとともに、アンテナ基板20aの矢印X2方向側の表面320aの正面位置で対向する(正対する)ように試薬収容部23bの矢印X1方向側の側面に取り付けられている。なお、R3試薬容器22の側面には、R1試薬容器21と異なりICタグは取り付けられていない。
【0056】
また、ICタグ24には、R1試薬容器21のR1試薬の試薬情報と、R1試薬容器21と共通のR1/R3保持部材18aに保持されているR3試薬容器22のR3試薬の試薬情報とが記録される。また、ICタグ25には、R2試薬容器23のR2試薬の試薬情報が記録される。
【0057】
また、図12に示すように、ICタグ24および25には、128byteの情報を記憶することができるよう構成されている。この記憶容量128byteのうち、固有情報を示すユニークID領域には16byte、試薬情報を示すユーザデータ領域には112byteが割り当てられている。ユニークID領域は、ICタグ24および25を個別に識別可能なユニークIDが記録される領域であり、読み込みのみが可能である。一方、ユーザデータ領域は、ユーザが自由に情報を書き込みできる領域である。ユーザデータ領域には、読み込みだけを行い書込みを行わない領域(読み込み専用領域)と、読み込みと書き込みの両方を行う領域(書き込み可能領域)とが設定されている。
【0058】
また、ユニークIDは、CPU2aが試薬情報を暗号化する際に用いられる。これにより、試薬情報が別のICタグに複製された場合であっても、ユニークIDが異なっていることにより試薬情報の暗号解読ができないので、試薬情報と試薬容器の試薬とが誤って対応付けられてしまうのを抑制することが可能である。
【0059】
読み込み専用領域には、ICタグ(ICタグ24または25)が付された試薬容器(R1試薬容器21またはR2試薬容器23)に関する、測定項目と、ロット番号と、シリアル番号と、試薬種別(種類特定情報)と、保存期限と、充填量とが記録されており、書き込み可能領域には、残量と、使用期限とが書き込まれるように構成されている。また、ICタグ24には、R3試薬容器22に関する情報も合わせて記録されている。また、R1/R3設置部18に初めて設置されるR1試薬容器21に貼付されたICタグ24と、R2設置部19に初めて設置されるR2試薬容器23に貼付されたICタグ25との書き込み可能領域には、情報が書き込まれていない。
【0060】
測定項目は、このICタグが貼付されている試薬容器に収容されている試薬により行われる測定項目を示す。試薬種別は、このICタグが貼付されている試薬容器が、R1試薬容器21であるか、または、R2試薬容器23であるかを示す。保存期限は、この試薬が保存可能な期限を示す。充填量は、この試薬により行うことのできる測定回数を示す。残量は、この試薬により行うことのできる残り測定回数を示す。使用期限は、この試薬が使用可能な期限を示す。使用期限は、この試薬が使用され始めたときに設定される。
【0061】
また、本実施形態では、図6に示すように、ICタグ24および25は、アンテナ部20の正面位置(正対する位置)において、読み取りおよび書き込みが行われるように構成されている。すなわち、R1試薬容器21のICタグ24は、アンテナ部20の矢印X1方向側の表面120aと正対する位置に配置されるように構成されているとともに、R2試薬容器23のICタグ25は、アンテナ部20の矢印X2方向側の表面320aと正対する位置に配置されるように構成されている。
【0062】
また、ICタグ24および25は、アンテナ部20から発信された読取用電波に基づいて、ICタグ24および25に記録されている試薬情報を含む応答電波を発信するように構成されている。また、ICタグ24および25は、アンテナ部20から発信された書込用電波に基づいて、ICタグに記録されている試薬情報を書込用電波に含まれる新たな試薬情報に書き換えるように構成されている。なお、試薬情報は、暗号化された状態でICタグ24および25に記録されている。
【0063】
また、ICタグ24は、図6に示すように、アンテナ部20から発信される範囲A(太い一点鎖線)の読取用電波および書込用電波によって、読み取りおよび書き込みが行われるように構成されている。一方、ICタグ25は、アンテナ部20から発信される範囲B(太い二点鎖線)の読取用電波および書込用電波によって、読み取りおよび書き込みが行われるように構成されている。なお、特定のICタグ24に対して読み取りおよび書き込みが行われている際に他のICタグ24に対して読み取りおよび書き込みが行われないように、隣接するR1/R3保持部材18a同士の間隔および範囲Aが設定されている。また、特定のICタグ25に対して読み取りおよび書き込みが行われている際に他のICタグ25に対して読み取りおよび書き込みが行われないように、隣接するR2保持部材19a同士の間隔および範囲Bが設定されている。
【0064】
また、制御装置4の記憶部4dには、図3に示すように、ICタグ24および25とは別に、25個のR1試薬容器21、25個のR2試薬容器23および25個のR3試薬容器22の各々の試薬情報が個別に記憶される。また、記憶部4dには、25個のR1試薬容器21、25個のR3試薬容器22および25個のR2試薬容器23の各々の初期位置と、R1/R3設置部18およびR2設置部19の各々の初期位置からの回転角度とが位置情報として記憶される。これにより、記憶部4dには、25個のR1試薬容器21、25個のR3試薬容器22および25個のR2試薬容器23の位置情報と試薬情報とが対応付けられた状態で記憶される。なお、制御装置4の記憶部4dには、試薬情報が暗号解読された状態で記憶される。
【0065】
また、免疫分析装置1の電源(図示せず)が投入されると、試薬設置部16に設置されている全ての試薬容器のICタグ(ICタグ24および25)が読み取られ、各試薬容器の位置情報と試薬情報とが取得されるように構成されている。制御装置4のCPU4aは、記憶部4dに試薬情報が記憶されている場合には、記憶部4dに記憶されている試薬情報を、電源投入時にICタグから取得した試薬情報に更新するように構成されている。これにより、免疫分析装置1の電源が切られている間に、R1試薬容器21、R3試薬容器22およびR2試薬容器23が、それぞれ、新たなR1試薬容器21、R3試薬容器22およびR2試薬容器23に取り替えられた場合であっても、制御装置4の記憶部4dに記憶されている試薬情報を、現に試薬設置部16に設置されている試薬の情報に更新することが可能である。
【0066】
また、RFIDモジュール17は、図2に示すように、試薬設置部16の外部に設けられており、図3に示すように、リーダライタ基板17aと、リーダライタ基板17aとCPU2aとを仲介するインターフェイス基板17bとを含む。
【0067】
リーダライタ基板17aは、アンテナ部20と接続されており、CPU2aからの指示に基づいて、アンテナ部20から約13.56MHzの周波数帯の読取用電波および書込用電波を発信させるように構成されている。さらに、リーダライタ基板17aは、読取用電波に応答してICタグ24および25から発信され、アンテナ部20によって受信した応答電波から試薬情報を取得するとともに、試薬情報をCPU2aに出力するように構成されている。
【0068】
次に、図3および図13を参照して、本発明の一実施形態による免疫分析装置1(測定機構部2)の測定動作について説明する。
【0069】
まず、測定機構部2のCPU2aは、測定機構部2の電源が投入されると、ステップS1において、プログラムの初期化、測定機構部2の各部の動作チェック等の初期化処理を実行する。
【0070】
この後、ステップS2において、試薬情報読取処理が行われる。この試薬情報読取処理については、後に詳細に説明する。
【0071】
この後、ステップS3において、CPU2aによって、ユーザによる測定指示が行われたか否かが判断される。このユーザによる測定指示は、制御装置4(図3参照)を介して、CPU2aに伝達される。また、ユーザによる測定指示が行われていないと判断された場合には、ステップS6に進む。
【0072】
また、ステップS3において、ユーザによる測定指示が行われたと判断された場合には、ステップS4において、CPU2aによって、試薬吸引・試薬情報書込処理が行われる。この試薬吸引・試薬情報書込処理については、後に詳細に説明する。
【0073】
この後、ステップS5において、検体の測定が行われる。そして、ステップS6において、CPU2aによって、ユーザによるシャットダウンの指示が行われたか否かが判断される。シャットダウンの指示がないと判断された場合には、ステップS3に戻る。また、シャットダウンの指示が行われたと判断された場合には、ステップS7において、CPU2aによって、測定機構部2のシャットダウンが行われる。このようにして、測定機構部2の測定動作は終了される。
【0074】
次に、図6および図14を参照して、図13のステップS2に示した本発明の一実施形態による免疫分析装置1の試薬情報読取処理について詳細に説明する。
【0075】
まず、ステップS201において、CPU2aによって、読取対象のICタグ24(ICタグ25)が、アンテナ部20の矢印X1方向側の表面120a(矢印X2方向側の表面320a)と正対する位置(正面位置)に位置するように、R1/R3設置部18(R2設置部19)が矢印C1(D1)方向または矢印C2(D2)方向(図6参照)に回転される。そして、ステップS202において、CPU2aおよびリーダライタ基板17aの制御によって、アンテナ部20から読取用電波が読取対象のICタグ24(ICタグ25)に対して発信される。この際、読取対象でないICタグ25(ICタグ24)が、アンテナ部20から発信された読取用電波を受信して応答電波を発信する場合がある。
【0076】
この後、ステップS203において、CPU2aによって、読取用電波に対応してICタグ24(ICタグ25)から発せられた応答電波を、アンテナ部20が所定の時間内に受信したか否かが判断される。すなわち、CPU2aによって、アンテナ部20から受信した応答電波に基づいてRFIDモジュール17のリーダライタ基板17aが取得した試薬情報が、所定時間内にCPU2aに出力されたか否かが判断される。アンテナ部20が応答電波を所定の時間内に受信しなかったと判断された場合には、読み取りが失敗したと判断されて、ステップS204において、CPU2aによって、制御装置4に読取エラー情報が送信される。そして、制御装置4の表示部4bに所定の位置に位置する試薬容器の試薬情報(読取対象とした試薬容器の試薬情報)の読み取りに失敗した旨が表示される。そして、ステップS207に進む。
【0077】
また、ステップS203において、アンテナ部20が応答電波を所定の時間内に受信したと判断された場合には、ステップS205において、CPU2aによって、アンテナ部20が受信した応答電波に含まれる試薬情報が読取対象の試薬情報であるか否かが判断される。この際、CPU2aは、応答電波から得られた試薬種別(種類特定情報)に基づいて、読取対象の試薬情報であるか否かを判断する。応答電波に含まれる試薬情報が読取対象の試薬情報でないと判断された場合には、上記したステップS204に進む。これにより、読取対象でないICタグ25(ICタグ24)からの試薬情報が読取対象の試薬情報として誤って用いられるのを抑制することが可能である。
【0078】
また、応答電波に含まれる試薬情報が読取対象の試薬情報であると判断された場合には、ステップS206において、応答電波に含まれる読取対象の試薬情報がCPU2aから制御装置4に送信される。なお、複数の応答電波をアンテナ部20が受信するとともに、複数の応答電波の中に読取対象の試薬情報がある場合には、読取対象の試薬情報のみが制御装置4に送信される。そして、制御装置4においては、CPU2aから受信した読取対象の試薬情報に基づいて記憶部4dの試薬情報が更新される。そして、ステップS207に進む。
【0079】
最後に、ステップS207において、CPU2aによって、25個のICタグ24および25個のICタグ25の全ての読み取りが完了したか否かが判断される。まだ読み取りが完了していないと判断された場合には、ステップS201に戻り、新たなICタグの読み取りが行われる。全ての読み取りが完了したと判断された場合には、試薬情報読取処理が終了されて、図13に示すステップS3に進む。
【0080】
次に、図6および図15を参照して、図13のステップS4に示した本発明の一実施形態による免疫分析装置1の試薬吸引・試薬情報書込処理について詳細に説明する。
【0081】
まず、ステップS401において、CPU2aによって、吸引対象の試薬容器が試薬吸引位置に位置するように、R1/R3設置部18(R2設置部19)が矢印C1(D1)方向または矢印C2(D2)方向(図6参照)に回転される。この際、試薬容器の蓋は、R1/R3設置部18(R2設置部19)の回転に伴い開かれる。
【0082】
そして、ステップS402において、試薬が吸引される。その後、ステップS403において、CPU2aによって書込対象のICタグ24(ICタグ25)が、アンテナ部20の矢印X1方向側の表面120a(矢印X2方向側の表面320a)と正対する位置に位置するように、R1/R3設置部18(R2設置部19)が矢印C1(D1)方向または矢印C2(D2)方向に回転される。この際、試薬容器の蓋は、R1/R3設置部18(R2設置部19)の回転に伴い閉じられる。
【0083】
そして、ステップS404において、CPU2aによって、アンテナ部20から読取用電波が書込対象のICタグ24(ICタグ25)に対して発信される。その後、ステップS405において、CPU2aによって、アンテナ部20が応答電波を所定の時間内に受信したか否かが判断される。アンテナ部20が応答電波を所定の時間内に受信しなかったと判断された場合には、ステップS406において、CPU2aによって、制御装置4に読取エラー情報が送信され、制御装置4の表示部4bに書込対象のICタグに試薬情報の書き込みができなかった旨が表示される。そして、試薬吸引・試薬情報書込処理が終了し、図13に示すステップS5に進む。
【0084】
また、ステップS405において、アンテナ部20が応答電波を所定の時間内に受信したと判断された場合には、ステップS407において、CPU2aによって、アンテナ部20が受信した応答電波に含まれる試薬情報が書込対象のICタグに記録された試薬情報であるか否かが判断される。この際、CPU2aは、応答電波から得られた試薬種別(種類特定情報)に基づいて、書込対象のICタグに記録された試薬情報であるか否かを判断する。応答電波に含まれる試薬情報が書込対象のICタグに記録された試薬情報でないと判断された場合には、上記したステップS406に進む。
【0085】
また、応答電波に含まれる試薬情報が書込対象のICタグに記録された試薬情報であると判断された場合には、ステップS408において、試薬の残量情報などが含まれる書込用電波が、アンテナ部20から書込対象のICタグ24(ICタグ25)に対して送信される。そして、ステップS409において、ICタグに書き込まれた試薬情報と同じ情報が制御装置4に送信された後、試薬吸引・試薬情報書込処理が終了されて、図13に示すステップS5に進む。なお、制御装置4においては、CPU2aから送信された試薬情報に基づいて、記憶部4dの試薬情報が更新される。
【0086】
本実施形態では、上記のように、1つのアンテナ部20によって、R1/R3設置部18に配置されたR1試薬容器21のICタグ24の読み取りおよび書き込みを行うとともに、R2設置部19に配置されたR2試薬容器23のICタグ25の読み取りおよび書き込みを行っている。これによって、R1/R3設置部18およびR2設置部19のそれぞれに対して個別にアンテナ部20を設ける必要がないので、その分、部品点数が増加するのを抑制することができる。また、アンテナ部20をR1/R3設置部18とR2設置部19との間に配置することによって、R1/R3設置部18とR2設置部19との間の領域のみをアンテナ部20を配置するために確保すればよいので、アンテナ部20を配置するために2つの領域を確保する必要がない。これにより、その分、免疫分析装置1本体が大型化するのを抑制することができる。
【0087】
また、本実施形態では、上記のように、アンテナ部20を、平面的に見て、略円環状に形成されたR1/R3設置部18と略円環状に形成されたR2設置部19との間に挟み込むように配置している。これによって、R1試薬容器21とアンテナ部20との間にR2試薬容器23が位置しないとともに、R2試薬容器23とアンテナ部20との間にR1試薬容器21が位置しない。これにより、R1試薬容器21とアンテナ部20との間にR2試薬容器23が位置するかまたはR2試薬容器23とアンテナ部20との間にR1試薬容器21が位置することに起因して、ICタグ24および25の試薬情報の読み取りが妨害されることを抑制することができる。
【0088】
また、本実施形態では、上記のように、R1試薬容器21のICタグ24をアンテナ基板20aの矢印X1方向側の表面120aの正面位置で対向する(正対する)ようにR1試薬容器21の試薬収容部21bの矢印X2方向側の側面に取り付けるとともに、R2試薬容器23のICタグ25をアンテナ基板20aの矢印X2方向側の表面320aの正面位置で対向する(正対する)ようにR2試薬容器23の試薬収容部23bの矢印X1方向側の側面に取り付ける。これにより、R1試薬容器21のICタグ24およびR2試薬容器23のICタグ25を、共にアンテナ部20に対向するように位置させることができるので、アンテナ部20は、ICタグ24および25を容易に読み取ることができる。
【0089】
また、本実施形態では、上記のように、CPU2aが、応答電波に含まれる試薬種別(種類特定情報)に基づいて、アンテナ部20が受信した応答電波に含まれる試薬情報が読取対象の試薬情報であるか否かを判断するように構成している。これによって、読取対象でないICタグ24またはICタグ25からの応答電波が読取対象の応答電波として誤って用いられるのをより抑制することができる。
【0090】
また、本実施形態では、上記のように、読取用電波および書込用電波に応答してICタグ24および25から発信され、アンテナ部20により受信した応答電波から試薬情報を取得するリーダライタ基板17aを設けている。これによって、リーダライタ基板17aにより取得したICタグ24および25の試薬情報に基づいて、R1試薬容器21の試薬、R3試薬容器22の試薬およびR2試薬容器23の試薬を個別に管理することができる。
【0091】
また、本実施形態では、上記のように、応答電波に含まれる試薬情報が読取対象の試薬情報であると判断された場合に、更新される試薬情報が含まれる書込用電波をアンテナ部20から書込対象のICタグ24(ICタグ25)に対して送信している。これによって、CPU2aは、書込対象のICタグ24(ICタグ25)に試薬情報を書き込む前に、書込対象のICタグ24(ICタグ25)と通信可能か否かを予め判断することができる。これにより、より確実に、書込対象のICタグ24(ICタグ25)に試薬情報を書き込むことができる。
【0092】
また、本実施形態では、上記のように、R1試薬容器21のICタグ24の試薬情報を読み取る場合には、読取対象のICタグ24がアンテナ部20の矢印X1方向側の表面120aと対向する正面位置(正対する位置)に位置するように、内側回転駆動部16cによりR1/R3設置部18が矢印C1方向または矢印C2方向に回転されるとともに、R2試薬容器23のICタグ25の試薬情報を読み取る場合には、読取対象のICタグ25がアンテナ部20の矢印X2方向側の表面320aと正対する位置に位置するように、外側回転駆動部16dによりR2設置部19が矢印D1方向または矢印D2方向に回転されるように構成する。これにより、アンテナ基板20aの矢印X1方向側の表面120aに対向する位置および矢印X2方向側の表面320aに対向する位置に、読取対象のICタグ24および25をそれぞれ位置させることができるので、アンテナ部20によって読取対象のICタグ24および25をより容易に読み取ることができる。
【0093】
また、本実施形態では、上記のように、略円環状のR1/R3設置部18にR1試薬容器21を等角度(約14.4度)間隔で25個配置するとともに、R1/R3設置部18の外周側に配置された略円環状のR2設置部19にR2試薬容器23を等角度(約14.4度)間隔で25個配置した。さらに、金属板20cをアンテナ部20の矢印X1方向側にのみ配置し、アンテナ部20の矢印X2方向側には金属板を配置しなかった。これにより、R2設置部19の内周側に略円環状に形成されるR1/R3設置部18の外周の長さはR2設置部19の内周の長さよりも小さいので、複数のR1試薬容器21は複数のR2試薬容器23よりも互いに近接した状態で配置される状態において、金属板20cをアンテナ部20の矢印X1方向側に配置することによって、互いに近接したICタグ24を読み取る際に、アンテナ部20の読取範囲を読取対象のICタグ24のみが位置する範囲に制限することができるので、読取対象でないICタグ24をアンテナ部20が誤って読み取ってしまうのを容易に抑制することができる。一方、隣接するR2試薬容器23の間の間隙が広いR2設置部19側については、金属板をアンテナ部20の矢印X2方向側に配置しないことによって、アンテナ部20の読取可能範囲を容易に大きくすることができるので、R2試薬容器23に付されたICタグ25からの試薬情報の読み取りが失敗することをより抑制することができる。
【0094】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0095】
たとえば、上記実施形態では、本発明の検体分析装置を免疫分析装置1に適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。電子タグの試薬情報を読み取るために用いられるアンテナ部を備える装置であれば本発明は適用可能であり、免疫分析装置以外にも、血液凝固分析装置、尿試料測定装置、遺伝子増幅検出装置などにも適用可能である。
【0096】
また、上記実施形態では、R1/R3設置部18とR2設置部19とを略円環状に設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、R1/R3設置部とR2設置部とを、各々が並列に並んだ状態で所定の方向に直線状に延びるように設けてもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、内側回転駆動部16cおよび外側回転駆動部16dによって、R1/R3設置部18およびR2設置部19をそれぞれ回転させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、R1/R3設置部およびR2設置部を回転させないように構成する一方、アンテナ部を回転させるための駆動部を設けることによって、アンテナ部を回転させるように構成してもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、アンテナ基板20aを読取用電波および書込用電波を発信することが可能なように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、アンテナ部を読取用電波のみを発信することが可能なように構成してもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、金属板20cをアンテナ部20の矢印X1方向側に配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、金属板をアンテナ部の矢印X2方向側に配置してもよい。また、金属板をアンテナ部に配置しなくてもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、読取対象のICタグ24(ICタグ25)がアンテナ部20の矢印X1方向側の表面120a(矢印X2方向側の表面320a)と正対する位置に位置した場合において、読取対象でないICタグ25(ICタグ24)の位置に関する制御を行っていない例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、読取対象のR1試薬容器(R2試薬容器)のICタグがアンテナ部の表面と正対する位置に位置した場合に、読取対象でないR2試薬容器(R1試薬容器)を移動させることによって、読取対象でないR2試薬容器(R1試薬容器)のICタグを読み取らない位置に移動させてもよい。これにより、より確実に、読取対象のICタグのみを読み取ることが可能である。また、読取対象のR1試薬容器のICタグおよび読取対象のR2試薬容器のICタグを、アンテナ部の一方表面および他方表面と正対する位置にそれぞれ位置させた状態で、並行して同時に読取対象のR1試薬容器のICタグおよび読取対象のR2試薬容器のICタグを読み取るように構成してもよい。これにより、より短時間で、複数のICタグを読み取ることが可能である。
【0101】
また、上記実施形態では、ICタグ24を、アンテナ基板20aの矢印X1方向側の表面120aの正面位置で対向するようにR1試薬容器21の試薬収容部21bの矢印X2方向側の側面に取り付けた。また、ICタグ25を、アンテナ基板20aの矢印X2方向側の表面320aの正面位置で対向するようにR2試薬容器23の試薬収容部23bの矢印X1方向側の側面に取り付けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、アンテナ部によりICタグを読み取ることが可能であれば、たとえば、ICタグを試薬収容部のアンテナ部と対向しない側面に取り付けてもよい。
【0102】
また、上記実施形態では、試薬の吸引動作の後にICタグ24および25への書込処理を行った例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、試薬の吸引動作の前にICタグへの書込処理を行ってもよい。
【0103】
また、上記実施形態では、25個のR1試薬容器21と、25個のR3試薬容器22と、25個のR2試薬容器23とを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、R1試薬容器とR3試薬容器とR2試薬容器との各々の個数を異ならせてもよい。また、R1試薬容器(R3試薬容器、R2試薬容器)の個数は、25個以外でもよい。たとえば、R1試薬容器とR3試薬容器とR2試薬容器とが各々1個のみ設けられていてもよい。
【0104】
なお、上記実施形態では、金属板20cをアンテナ部20の矢印X1方向側にのみ配置し、アンテナ部20の矢印X2方向側には金属板を配置していないことによって、R1試薬容器のICタグから試薬情報を読み取る場合と、R2試薬容器のICタグから試薬情報を読み取る場合とでアンテナ部による読取範囲を異ならせた例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、アンテナ部の矢印X1方向側と矢印X2方向側の両方に金属板を配置し、矢印X1方向側の金属板の切り欠きの幅を、矢印X2方向側の金属板の切り欠きの幅よりも小さく形成することによって、アンテナ部による読取範囲を異ならせてもよい。また、R2試薬容器23のICタグ25から試薬情報を読み取る場合には、読取範囲(到達範囲)の大きい電波(第1到達範囲の電波)を発信するようCPU2aがリーダライタ基板17aを介してアンテナ基板20aを制御し、R1試薬容器21のICタグ24から試薬情報を読み取る場合には、読取範囲(到達範囲)の小さい電波(第1到達範囲より小さい第2到達範囲の電波)を発信するように、CPU2aがリーダライタ基板17aを介してアンテナ基板20aを制御する構成であってもよい。このように構成することによって、CPU2aにより、容易に、ICタグ24を読み取る場合の読取可能範囲をICタグ25を読み取る場合の読取可能範囲よりも小さくすることが可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 免疫分析装置
2a CPU
16d 内側回転駆動部
16e 外側回転駆動部
17 RFIDモジュール
18 R1/R3設置部
19 R2設置部
20 アンテナ部
20a アンテナ基板
20c 金属板
21 R1試薬容器
22 R3試薬容器
23 R2試薬容器
24 ICタグ
25 ICタグ
120a 表面
320a 表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬容器内の試薬を用いて検体の分析を行う検体分析装置であって、
試薬に関する試薬情報が記録された第1電子タグが付された第1試薬容器を保持する第1試薬容器保持部と、
試薬に関する試薬情報が記録された第2電子タグが付された第2試薬容器を保持する第2試薬容器保持部と、
前記第1試薬容器保持部と前記第2試薬容器保持部との間に配置され、前記第1電子タグおよび前記第2電子タグのそれぞれから電波を受信するアンテナ部と、
前記アンテナ部が受信した電波に基づいて、前記第1電子タグに記録された試薬情報および前記第2電子タグに記録された試薬情報を取得する試薬情報取得部とを備える、検体分析装置。
【請求項2】
前記第1試薬容器の第1電子タグは、前記第1試薬容器の前記アンテナ部に対向する側面に配置されており、
前記第2試薬容器の第2電子タグは、前記第2試薬容器の前記アンテナ部に対向する側面に配置されている、請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項3】
読取対象の電子タグから前記アンテナ部が電波を受信したか否かを判断する制御部をさらに備える、請求項1または2に記載の検体分析装置。
【請求項4】
前記電子タグに記録された試薬情報は、試薬の種類を特定するための種類特定情報を含み、
前記制御部は、前記試薬情報取得部により取得された試薬情報に含まれる前記種類特定情報に基づいて、前記読取対象の電子タグから前記アンテナ部が電波を受信したか否かを判断するように構成されている、請求項3に記載の検体分析装置。
【請求項5】
前記アンテナ部は、前記第1試薬容器の第1電子タグおよび前記第2試薬容器の第2電子タグのそれぞれに対して書込用電波を発信することによって、前記第1電子タグおよび前記第2電子タグのそれぞれに試薬情報を書き込むことが可能なように構成されており、
試薬情報の書込対象の電子タグに対して前記アンテナ部が書込用電波を発信する前に、前記書込対象の電子タグと前記アンテナ部とが通信可能か否かを判断する制御部をさらに備える、請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項6】
前記アンテナ部は、前記第1試薬容器側および前記第2試薬容器側にそれぞれ一方表面および他方表面が位置する平板状のアンテナ基板を含み、
前記第1試薬容器保持部および前記第2試薬容器保持部と前記アンテナ部との少なくとも一方を移動させる駆動部と、
前記第1試薬容器の第1電子タグが読取対象である場合に、前記読取対象の第1電子タグを前記アンテナ基板の一方表面に対向する位置に位置させるように前記駆動部を制御するとともに、前記第2試薬容器の第2電子タグが読取対象である場合に、前記読取対象の第2電子タグを前記アンテナ基板の他方表面に対向する位置に位置させるように前記駆動部を制御する制御部とをさらに備える、請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項7】
前記第1試薬容器保持部は、複数の前記第1試薬容器を保持するとともに、平面的に見て略円環状に形成され、
前記第2試薬容器保持部は、複数の前記第2試薬容器を保持するとともに、平面的に見て前記第1試薬容器保持部の内周側に略円環状に形成され、
前記第2試薬容器保持部の第2試薬容器に付された第2電子タグを読み取る場合の前記アンテナ部による読取可能範囲は、前記第1試薬容器保持部の第1試薬容器に付された第1電子タグを読み取る場合の前記アンテナ部による読取可能範囲よりも小さい、請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項8】
少なくとも前記第2試薬容器保持部の第2試薬容器に付された第2電子タグと前記アンテナ部との間に設けられ、前記アンテナ部による読取可能範囲を制限する読取制限部材をさらに備える、請求項7に記載の検体分析装置。
【請求項9】
前記第1試薬容器保持部の第1試薬容器に付された第1電子タグと前記アンテナ部との間には、前記アンテナ部による読取可能範囲を制限する前記読取制限部材が設けられていない、請求項8に記載の検体分析装置。
【請求項10】
前記アンテナ部は、前記第1試薬容器の第1電子タグおよび前記第2試薬容器の第2電子タグのそれぞれに対して電波を発信するとともに、前記電波に応答して前記第1および第2電子タグのそれぞれから発信される電波を受信するように構成され、
前記第1試薬容器保持部の第1試薬容器に付された第1電子タグから試薬情報を読み取る場合には、第1到達範囲の電波を前記第1電子タグに対して発信し、前記第2試薬容器保持部の第2試薬容器に付された第2電子タグから試薬情報を読み取る場合には、前記第1到達範囲よりも小さい第2到達範囲の電波を前記第2電子タグに対して発信するように前記アンテナ部を制御する制御部をさらに備える、請求項7〜9のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項11】
前記第1試薬容器保持部は、所定数の前記第1試薬容器を等間隔を置いて保持するように構成され、
前記第2試薬容器保持部は、前記所定数の前記第2試薬容器を等間隔を置いて保持するように構成されている、請求項7〜10のいずれか1項に記載の検体分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−203033(P2011−203033A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69186(P2010−69186)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】