説明

検体分析装置

【課題】 装置内に試薬容器がセットされたときに試薬容器に付された記録媒体に確実に情報を書き込むことが可能な検体分析装置を提供する。
【解決手段】
検体分析装置は、書き込み可能なRFIDタグが付された試薬容器を設置可能な複数の試薬容器設置部62と、各試薬容器設置部に設置された試薬容器のRFIDタグに対して個別に情報を読み書きする複数のRFIDリーダライタ61a〜61eと、各試薬容器設置部に個別に設けられた開閉可能な複数のカバー63と、各カバーの開放を個別に検知する複数のカバー開閉センサとを備える。試薬容器設置部62に試薬容器300が設置され、その試薬容器設置部62に設けられたカバー63の閉鎖がカバー開閉センサによって検出された場合に、RFIDリーダライタにより当該試薬容器300のRFIDタグに情報が書き込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試薬を使用して検体を分析する検体分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
試薬情報を記憶するRFID(Radio Frequency Identification)タグが付された試薬容器から試薬を吸引し、当該試薬を使用して検体を分析する検体分析装置が知られている。特許文献1には、反応テーブル上に配列して搬送される反応容器に検体を分注するとともに、試薬庫内に収容された複数の試薬容器から分析項目に対応した試薬を分注して生化学分析を行う分析装置が記載されている。特許文献1記載の分析装置は、試薬容器に付されたRFIDタグからの情報の読み取り及びRFIDへの情報の書き込みを行うRFIDリーダライタを備えている。この特許文献1に開示された分析装置においては、分析装置の起動時に、各試薬容器のRFIDタグから情報が読み取られ、読み取られた情報に基づいて新たな試薬容器が設置されたか否かが判断され、新たな試薬容器が設置されている場合には、RFIDリーダライタによって、その試薬容器のRFIDタグに使用開始時期が書き込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−224384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検体分析装置としてフローサイトメトリー法により検体の分析を行う装置が知られている。フローサイトメトリー法による分析装置においては、分析項目毎に異なる試薬を使用して分析用試料を調製し、フローセルに供給する。このためフローセルに分析用試料を供給する流体系やそれに用いる試薬を設置する試薬設置部は、分析項目毎(分析試薬毎)に別々に設けられているため、試薬を交換する際には試薬設置部に設置された試薬容器に収容された試薬が正しい試薬であるかどうか確認する必要がある。上記特許文献1記載の分析装置は、試薬庫内に複数の試薬容器の収容室を備え、各収容室には試薬の種類にかかわらず試薬容器を設置できるように構成されており、特定の収容室(試薬設置部)に特定の試薬を収容する試薬容器が設置されたことを確認する、という技術的な必要性が全く存在しない装置である。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、交換の際に試薬容器が正しい試薬容器設置部に設置されたことを確認して試薬容器に付された記録媒体に情報の書き込みを行うことが可能な検体分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体分析装置は、情報の書き込みが可能であり且つ試薬情報が記憶された記録媒体が付されており、特定の試薬を収容した試薬容器を設置するための試薬容器設置部と、試薬容器設置部に設置された試薬容器に付された記録媒体に記憶された情報を読み出す処理が可能な読取部と、試薬容器設置部に設置された試薬容器に付された記録媒体に情報を書き込む処理が可能な書込部と、書込部による情報の書き込みの指示を行う書込指示部と、読取部により試薬容器設置部に設置された試薬容器の記録媒体から読み出された試薬情報に特定の試薬を示す情報が含まれており、且つ、書込指示部により書き込み指示があった場合に、試薬容器設置部に設置された試薬容器に付された記録媒体に情報を書き込むよう書込部を制御する制御部と、を備える。
【0007】
この態様において、前記検体分析装置は、情報の書き込みが可能であり且つ試薬情報が記憶された記録媒体が付されており、第2の特定の試薬を収容した第2試薬容器を設置するための第2試薬容器設置部と、第2試薬容器設置部に設置された試薬容器に付された記録媒体に記憶された情報を読み出す処理が可能な第2読取部と、第2試薬容器設置部に設置された試薬容器に付された記録媒体に情報を書き込む処理が可能な第2書込部と、第2書込部による情報の書き込みの指示を行う第2書込指示部と、を備え、前記制御部は、第2読取部により第2試薬容器設置部に設置された試薬容器の記録媒体から読み出された試薬情報に第2の特定の試薬を示す情報が含まれており、且つ、第2書込指示部により書き込み指示があった場合に、第2試薬容器設置部に設置された試薬容器に付された記録媒体に情報を書き込むよう第2書込部を制御する構成であってもよい。
【0008】
また、上記態様において、前記検体分析装置は、前記試薬容器設置部に設けられた開閉可能なカバーをさらに備え、前記書込指示部は、前記カバーの閉鎖を検知するセンサを備え、センサがカバーの閉鎖を検知することで、書き込み指示を行うように構成されていてもよい。
【0009】
また、上記態様において、前記書込指示部は、前記試薬容器設置部への試薬容器の設置を検出するセンサを備え、センサが試薬容器の設置を検知することで、書き込み指示を行うように構成されていてもよい。
【0010】
また、上記態様において、前記書込部は、交換後の試薬容器に収容されている試薬の使用開始時期に関する情報を、前記記録媒体に書き込むように構成されていてもよい。
【0011】
また、上記態様において、前記検体分析装置は、出力部をさらに備え、前記制御部は、前記記録媒体に書き込まれた使用開始時期に関する情報に基づいて、前記出力部に試薬の有効期限切れを示す情報を出力させるように構成されていてもよい。
【0012】
また、上記態様において、前記記録媒体には、試薬の製造後有効期限に関する情報が記憶されており、前記制御部は、前記使用開始時期に関する情報及び前記製造後有効期限に関する情報に基づいて、前記出力部に試薬の有効期限切れを示す情報を出力させるように構成されていてもよい。
【0013】
また、上記態様において、前記検体分析装置は、出力部をさらに備え、前記制御部は、前記記録媒体への情報の書き込み完了を確認した後に、試薬交換の完了を示す情報を前記出力部に出力させるように構成されていてもよい。
【0014】
また、上記態様において、前記制御部は、前記記録媒体への情報の書き込み完了を確認した後に、交換後の試薬容器に収容されている試薬を検体の分析に使用可能とするための試薬交換シーケンスを実行し、前記試薬交換シーケンスの完了後に、試薬交換の完了を示す情報を前記出力部に出力させるように構成されていてもよい。
【0015】
また、上記態様において、前記読取部及び前記書込部は、前記試薬容器設置部に設置された試薬容器に付された記録媒体から情報を読み出す読み出し処理と、前記試薬容器設置部に設置された試薬容器に付された記録媒体に情報を書き込む書き込み処理とを実行可能に構成された読み書き部であってもよい。
【0016】
また、上記態様において、前記制御部は、前記読取部により読み出された情報に使用開始時期に関する情報が含まれているか否かを判定し、使用開始時期に関する情報が含まれていない場合、設置された試薬容器に付された記録媒体に、設置された試薬容器に収容されている試薬の使用開始時期に関する情報を書き込むよう前記書込部を制御するように構成されていてもよい。
【0017】
また、上記態様において、前記制御部は、前記読取部により読み出された情報に使用開始時期に関する情報が含まれているか否かを判定し、使用開始時期に関する情報が含まれている場合には、読取部により読み出された試薬情報に特定試薬を示す情報が含まれており、且つ、書込指示部により書き込み指示がされた場合であっても、情報の書き込み処理を実行しないように前記書込部を制御するように構成されていてもよい。
【0018】
また、上記態様において、前記検体分析装置は、前記試薬容器設置部に設置された試薬容器から特定試薬を吸引する吸引管と、前記カバーを開放したときに前記吸引管が試薬容器から退出し、前記カバーを閉鎖したときに前記吸引管が試薬容器へ進入するように、前記カバーの開閉と連動して前記吸引管を移動させる連動部と、をさらに備えていてもよい。
【0019】
また、上記態様において、前記試薬容器は、前記吸引管により穿刺可能な蓋部を備え、前記連動部は、前記カバーを閉鎖したときに前記吸引管が蓋部を穿刺して試薬容器へ進入するように、前記カバーの開閉と連動して前記吸引管を移動させるように構成されていてもよい。
【0020】
また、上記態様において、前記制御部は、試薬容器の液量を監視し、監視結果に基づいて、試薬容器の交換が必要か否かを判定するように構成されていてもよい。
【0021】
また、上記態様において、前記検体分析装置は、試薬容器に収容された特定試薬と検体とから測定試料を調製する試料調製部と、前記試料調製部により調製された測定試料を導入するフローセルを備え、フローセルを通過する測定試料から、所定の血球を検出する検出部と、をさらに備えていてもよい。
【0022】
また、上記態様において、前記試薬容器設置部は、検体に含まれる所定の検出対象物を染色するための染色液が収容される試薬容器を設置するためのものであってもよい。
【0023】
本発明の他の態様の検体分析装置は、情報の書き込みが可能であり且つ試薬情報が記憶された記録媒体が付されており、特定の試薬を収容した試薬容器を設置するための試薬容器設置部と、試薬容器設置部に設置された試薬容器に付された記録媒体に記憶された情報を読み出す処理が可能な読取部と、試薬容器設置部に設置された試薬容器に付された記録媒体に情報を書き込む処理が可能な書込部と、前記読取部により試薬容器設置部に設置された試薬容器の記録媒体から特定の試薬を示す試薬情報が所定時間連続的に読み出された場合に、試薬容器設置部に設置された試薬容器に付された記録媒体に情報を書き込むよう書込部を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る検体分析装置によれば、交換後の試薬容器に付された記録媒体に確実に情報を書き込むことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施の形態1に係る検体分析装置の全体構成を示す斜視図。
【図2】実施の形態1に係る検体分析装置の構成を示す模式図。
【図3】実施の形態1に係る測定ユニットの構成を示す模式図。
【図4】実施の形態1に係る測定ユニットの試薬容器ホルダの構成を示す斜視図。
【図5】実施の形態1に係る測定ユニットの試薬容器ホルダの構成を示す正面図。
【図6】実施の形態1に係る試薬容器ホルダの内部構成を示す縦断面図。
【図7】実施の形態1に係る試薬容器ホルダの内部構成を示す縦断面図。
【図8】実施の形態1に係る試薬容器ホルダの内部構成を示す縦断面図。
【図9】実施の形態1に係る試薬容器の構成を示す斜視図。
【図10】実施の形態1に係る試薬容器の構成を示す斜視図。
【図11】実施の形態1に係る試薬容器に付されたRFIDタグに記憶される試薬情報を示す模式図。
【図12】実施の形態1に係る情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図13】実施の形態1に係る試薬コードテーブルの構造を示す模式図。
【図14】実施の形態1に係る情報処理ユニットによる検体分析制御処理の手順を示すフローチャート。
【図15A】実施の形態1に係る情報処理ユニットによる試薬交換制御処理の手順を示すフローチャート。
【図15B】実施の形態1に係る情報処理ユニットによる試薬交換制御処理の手順を示すフローチャート。
【図15C】実施の形態1に係る情報処理ユニットによる試薬交換制御処理の手順を示すフローチャート。
【図16】実施の形態1に係る情報処理ユニットによる試薬交換要否判定処理の手順を示すフローチャート。
【図17】実施の形態2に係る試薬容器に付されたRFIDタグに記憶される試薬情報を示す模式図。
【図18】実施の形態2に係る情報処理ユニットによる検体分析制御処理の手順を示すフローチャート。
【図19】実施の形態2に係る情報処理ユニットによる試薬交換制御処理の手順を示すフローチャート。
【図20】実施の形態2に係る情報処理ユニットによる試薬交換要否判定処理の手順を示すフローチャート。
【図21】実施の形態2に係る情報処理ユニットによる第1試薬チェック処理の手順を示すフローチャート。
【図22】実施の形態2に係る情報処理ユニットによる第2試薬チェック処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
(実施の形態1)
[検体分析装置の構成]
図1は、実施の形態1に係る検体分析装置の全体構成を示す斜視図である。本実施の形態に係る検体分析装置1は、血液検体に含まれる血球を白血球、赤血球、血小板等に分類し、各血球を計数する多項目血球分析装置である。本実施形態による検体分析装置1は、図1に示すように、矢印X2方向側に配置された第1測定ユニット3及び矢印X1方向側に配置された第2測定ユニット2の2つの測定ユニットと、第1測定ユニット3及び第2測定ユニット2の前面側(矢印Y1方向側)に配置された検体搬送ユニット(サンプラ)4と、第1測定ユニット3、第2測定ユニット2及び検体搬送ユニット4に電気的に接続されたPC(パーソナルコンピュータ)からなる情報処理ユニット5とを備えている。また、検体分析装置1は、情報処理ユニット5によりホストコンピュータ6(図2参照)に接続されている。
【0028】
<測定ユニットの構成>
図2は、本実施の形態に係る検体分析装置1の構成を示す模式図である。図1及び図2に示すように、第1測定ユニット3及び第2測定ユニット2は、実質的に同種類の測定ユニットであり、互いに隣り合って配置されている。具体的には、本実施の形態では、第2測定ユニット2は、第1測定ユニット3と同じ測定原理を使用して、同一の測定項目について検体を測定する。さらに、第2測定ユニット2は、第1測定ユニット3が分析しない測定項目についても測定する。また、図2に示すように、第2測定ユニット2及び第1測定ユニット3は、それぞれ、検体である血液をサンプル容器100から吸引する検体吸引部21及び31と、検体吸引部21及び31により吸引した血液から測定試料を調製する試料調製部22及び32と、試料調製部22及び32により調製された測定試料から血液の血球を検出する検出部23及び33とを有している。また図1に示すように、第1測定ユニット3及び第2測定ユニット2のそれぞれには、各機構部のアクチュエータを駆動し、センサの検出信号を受信するドライバ基板3a及び2aが設けられている。
【0029】
また、第2測定ユニット2及び第1測定ユニット3は、図2に示すように、それぞれ、検体吸引部21及び31、試料調製部22及び32等を内部に収容するユニットカバー24及び34と、サンプル容器100をユニットカバー24及び34の内部に取り込み、検体吸引部21及び31による吸引位置600及び700までサンプル容器100を搬送するサンプル容器搬送部25及び35と、吸引位置600及び700でサンプル容器100を固定保持する固定保持部26及び36とをさらに含んでいる。なお、上記のように第1測定ユニット3及び第2測定ユニット2は、実質的に同種類の測定ユニットであるので、以下では第2測定ユニット2について説明し、第1測定ユニット3についてはその説明を省略する。
【0030】
図3は、本実施の形態に係る第2測定ユニットの構成を示す模式図である。検体吸引部21は、図3に示すように、内部を試薬が通過する吸引管であるピアサ21a及び定量部21bを有している。ピアサ21aは、先端がサンプル容器100の後述する密閉蓋100aを貫通(穿刺)可能なように形成されている。また、ピアサ21aは、図示しないピアサ駆動部により鉛直方向(Z方向)に移動可能であり、後述する反応チャンバ221(221a〜221e)まで移動可能に構成されている。定量部21bはシリンジポンプなどからなり、ピアサ21aを介して、サンプル容器100から所定量の検体を吸引し、また吐出する機能を有する。これにより、サンプル容器100から検体測定に必要な所定量の検体が吸引され、反応チャンバ221(221a〜221e)に供給可能である。
【0031】
検出部23は、RBC検出(赤血球の検出)及びPLT検出(血小板の検出)をシースフローDC検出法により行い、またHGB検出(血液中の血色素の検出)をSLS−ヘモグロビン法により行う。また、検出部23は、図3に示すように、粒子が通過するフローセル23b、フローセル23bを通過する粒子に光を照射する半導体レーザ23c及び光が照射された粒子からの散乱光を受光する受光部23dを備えたFCM測定部23aを有している。FCM測定部23aは、WBC検出(白血球の検出)をフローサイトメトリー法により行う。また、検出部23で得られた検出結果は、検体の測定データ(測定結果)として、情報処理ユニット5に送信される。
【0032】
図3に示すように、第2測定ユニット2の試料調製部22は、反応チャンバ221(221a〜221e)と、反応チャンバ221(221a〜221e)に接続された試薬供給部222(222a〜222e)とを有している。反応チャンバ221(221a〜221e)は、検体吸引部21により吸引された検体(血液)と、試薬供給部222(222a〜222e)から供給される試薬とを混合及び反応させるように構成されている。反応チャンバ221(221a〜221e)は、測定種別に応じて複数設けられており、反応チャンバ221(221a〜221e)には測定項目に応じた複数種類の試薬(染色液など)が供給され、検体と試薬との混合及び反応過程を経て各種測定項目に応じた測定試料が調製される。調製された測定試料は、FCM測定部23aへと供給されるように構成されている。本実施の形態では、後述する5つのホルダ部60a、60b、60c、60d及び60eに設置される5種類の試薬に対応して、反応チャンバ221は、5つの反応チャンバ221a、221b、221c、221d及び221eを有している。また、試薬供給部222も、同様に、5つの試薬供給部222a、222b、222c、222d及び222eを有している。具体的には、ホルダ部60aに設置された試薬容器に収容された試薬は、試薬供給部222aによって反応チャンバ221aに供給される。また、後述するように、ホルダ部60aには、白血球の第1のサブクラス分類用の染色液を収容した試薬容器が設置されるため、反応チャンバ221a及び試薬供給部222aに供給されるのは、白血球の第1のサブクラス分類用の染色液である。
【0033】
本実施の形態では、試薬供給部222(222a〜222e)は、ユニットカバー24の内部に設けられ、所定量の試薬を収容した複数の試薬容器200(図9参照)又は300(図10参照)を保持する試薬容器ホルダ60を有している。かかる試薬容器ホルダ60は、5つのホルダ部60a、60b、60c、60d及び60eを有し、各ホルダ部(60a〜60e)のそれぞれには、試薬容器200(又は300)内の試薬を吸引するピアサ64(64a〜64e)が設けられている。また試薬供給部222(222a〜222e)は、気泡センサ223(223a〜223e)と、シリンジポンプ及びダイアフラムポンプなどからなる定量部224(224a〜224e)と、吸引された試薬を定量部224(224a〜224e)及び反応チャンバ221(221a〜221e)に移送する際の流路の開閉を行う電磁バルブ225(225a〜225e)及び226(226a〜226e)とを有している。図3に示すように、気泡センサ223(223a〜223e)は、ピアサ64(64a〜64e)と反応チャンバ221(221a〜221e)との間の流路中に設けられており、ピアサ64(64a〜64e)から吸引された液体中に含まれる気泡を検出する。さらに試薬供給部222(222a〜222e)は、試薬容器ホルダ60に保持された試薬容器200(又は300)の他、測定ユニットの外部に配置された大容量試薬容器110から試薬(溶血剤など)を移送するための定量部227(227a〜227e)と電磁バルブ228(228a〜228e)及び229(229a〜229e)とを有している。なお、本実施の形態では、図3に示すように、気泡センサ223、定量部224、電磁バルブ225、電磁バルブ226、定量部227、電磁バルブ228及び電磁バルブ229は、それぞれ5つずつ設けられている。また、試薬容器200及び300については、後に詳細に説明する。
【0034】
図1に示すように、ユニットカバー24の前面側には、開閉可能な前面カバー24aが設けられている。試薬容器ホルダ60は、第2測定ユニット2の前面上部に配置されており、前面カバー24aを開放することにより、外部に露出する。これにより、使用者は、試薬容器200及び300を容易に交換することができる。なお、第1測定ユニット3のユニットカバー34の前面側にも、開閉可能な前面カバー34aが設けられている。同様に、試薬容器ホルダ60は、第1測定ユニット3の前面上部に配置されており、前面カバー34aを開放することにより、外部に露出する。
【0035】
また、第1測定ユニット3及び第2測定ユニット2には、アラーム音を発するブザー39,29が設けられている。ブザー39,29はドライバ基板3a,2aに各別に接続されており、情報処理ユニット5の制御信号によりアラーム音を発生するようになっている。
【0036】
次に、試薬容器ホルダ60の構成について詳細に説明する。図4及び図5は、本実施の形態に係る第2測定ユニットの試薬容器ホルダの構成を示す斜視図及び正面図である。図4及び図5に示すように、試薬容器ホルダ60は、5つのホルダ部60a、60b、60c、60d及び60eを有し、合計5つ(5種類)の試薬容器200(又は300)を保持するように構成されている。試薬容器ホルダ60に保持される試薬容器200(又は300)は、FCM測定部23aにより複数の測定項目を測定するための、それぞれ異なる種類の試薬(染色液)を収容している。試薬容器は、試薬の種類に応じて大型(約100mL)の試薬容器200(図9参照)と、小型(約20mL)の試薬容器300(図10参照)とが用いられるが、各ホルダ部60a〜60eは試薬容器200又は300のいずれでも保持可能なように構成されている。つまり、5つのホルダ部60a〜60eはそれぞれ同様の構成を有する。3つのホルダ部60a〜60cには大型の試薬容器200がセットされ、2つのホルダ部60d及び60eには小型の試薬容器300(図4及び図5では図示せず)がセットされる。さらに詳しくは、ホルダ部60a〜60cには白血球のサブクラス分類用の染色液を収容した試薬容器200が設置され、ホルダ部60dには網状赤血球検出用の染色液を収容した試薬容器300が設置され、ホルダ部60eには血小板検出用の染色液を収容した試薬容器300が設置される。これらのホルダ部60a〜60eは、それぞれ、シャーシ61と、試薬容器設置部62と、試薬容器設置部62を開閉するためのカバー63と、上述したピアサ64(64a〜64e)と、ピアサ昇降機構65(65a〜65e)とを有している。
【0037】
ホルダ部60a〜60eのそれぞれには、RFID(Radio Frequency Identification)リーダライタ61a〜61eと、RFIDリーダライタ61a〜61eのそれぞれに1つずつ対応して接続されたアンテナ62a〜62eとが設けられている。試薬容器200及び300のそれぞれには、試薬に関する各種の情報を記憶するRFIDタグ260(360)が取り付けられている。RFIDタグ260(360)は、電池が不要なパッシブタグであり、アンテナ62a〜62eから発信された電波により駆動される。RFIDタグ260(360)には、試薬の種類を示す試薬コード、試薬の使用期限、試薬の最大使用回数、各試薬に個別に割り当てられたシリアル番号、ロット番号、開封後有効期限の各情報が記憶されている。RFIDリーダライタ61a〜61eは、RFIDタグ260(360)から試薬情報を読み取るとき、アンテナ62a〜62eから電波を発信する。アンテナ62a〜62eから電波が発信されると、その一部がRFIDタグ260(360)によって反射される。この反射波には、RFIDタグ260(360)に記憶された試薬情報が乗せられる。アンテナ62a〜62eは、RFIDタグ260(360)からの反射波を受信し、RFIDリーダライタ61a〜61eがこの反射波に含まれる試薬情報を取得する。
【0038】
試薬容器設置部62は、シャーシ61の下部(図5参照)に設けられ、その内部に試薬容器200(300)を設置するための空間が設けられている。
【0039】
図6〜図8は、本実施の形態に係る試薬容器ホルダの内部構成を模式的に示した縦断面図であり、図6は、試薬容器ホルダにおいて試薬容器を着脱する状態を示しており、図7は、試薬容器ホルダにおける試薬容器のセット状態を示しており、図8は、試薬容器ホルダのカバーを下降させた状態を示している。図6に示すように、試薬容器設置部62は、試薬容器200(300)を支持する支持部624と、支持部624を回動可能に支持する回動機構625とを有している。支持部624は、試薬容器200(300)の形状と対応する形状を有するように形成されており、試薬容器200(300)の前面及び下面が当接するようになっている。回動機構625は、支持部624の屈曲部付近に設けられた軸受625aを中心として、支持部624を回動させることが可能なように構成されている。
【0040】
さらに、シャーシ61の内部には、支持部624と当接することによって、回動する支持部624を係止する係止部626が設けられている。係止部626には磁石が設けられており、支持部624の前側部分と磁力により吸着する。これにより、支持部624は、試薬容器200(300)の下面が水平となる載置位置P1(図6参照)と、試薬容器200(300)の前側及び後側端面が垂直となるセット位置Q1(図7参照)との間で移動するように構成されている。図7に示すように、このセット位置Q1に配置された状態で、試薬容器200(300)の後述する開口部212(312)が、水平となり且つピアサ64の直下に位置するように構成されている。
【0041】
アンテナ62a〜62eのそれぞれは、各試薬容器設置部62の側面部分に取り付けられている。試薬容器200(300)がセット位置Q1に配置されたときに、その試薬容器200(300)のRFIDタグ260(360)が、当該試薬容器200(300)が設置された試薬容器設置部62におけるアンテナ62a〜62eと隣り合う位置に配置されるようになっている。これにより、試薬容器設置部62に設置された試薬容器200(300)のRFIDタグ260(360)からの反射波が、アンテナ62a〜62eのうち最も近接した(つまり隣り合う)1つによって受信される。RFIDタグ260(360)から発せられる反射波は非常に微弱であり、最も近接したアンテナ以外のアンテナによっては受信されることがない。
【0042】
カバー63は、図6に示すように、ホルダ部60a〜60e(シャーシ61)の各々の手前側(矢印Y1方向側)に配置され、ピアサ昇降機構65に取り付けられている。このピアサ昇降機構65により、カバー63は、試薬容器設置部62を開放する上昇位置P2(図7参照)と、試薬容器設置部62を覆う(閉鎖する)下降位置Q2(図8参照)とに移動可能に構成されている。また、図5に示すように、カバー63の所定位置には、開口からなる窓部631が設けられている。図8に示すように、カバー63が試薬容器設置部62を覆う(閉鎖する)下降位置Q2に位置した状態で、使用者がこの窓部631を介して、試薬容器200(300)に貼付されたラベル250(350、図10参照)を視認することが可能なように構成されている。ラベル250(350)の窓部631を介して視認可能な位置には、試薬容器200(300)の種類(試薬の種類)を識別する標識が印刷されている。また、カバー63には、試薬容器設置部62にセットされる試薬容器200(300)の種類(試薬の種類)を識別する標識が印刷されたラベル632が貼付される。すなわち、5つのホルダ部60a〜60eには、それぞれ定められた種類の試薬を収容する試薬容器200(300)がセットされるので、これに対応して、各ホルダ部60a〜60eのカバー63には、セットされるべき試薬の種類を識別するラベル632が貼付される。これにより、試薬容器設置部62に試薬容器200(300)をセットした状態(カバー63を下降位置Q2に降ろした状態)で、カバー63に付されたラベル632と、窓部631を介して視認されるラベル250(350)とから、正しい試薬が各ホルダ部60a〜60eにセットされているかを確認することが可能なように構成されている。
【0043】
またホルダ部60a〜60eのそれぞれには、対応するカバー63の開閉を検出するカバー開閉センサ63aが設けられている。カバー開閉センサ63aは、互いに対向配置された発光部と受光部とを有するフォトインタラプタであり、ピアサ昇降機構65に設けられた検出片65aを検出することにより、カバーの開閉を検出する。さらに詳しくは、下降位置Q2に位置するときに、検出片65aがカバー開閉センサ63aの発光部と受光部との間に配置され、発光部からの光を検出片65aが遮るのを受光部で検出することによって、カバー63が閉じられたことを検出し、発光部からの光を検出片65aに遮られることなく受光部で検出することによって、カバー63が開放されたことを検出する。
【0044】
図7に示すように、ピアサ64は、試薬容器設置部62の最奥部(矢印Y2方向側端部)の上方位置に配置され、ピアサ64を保持するピアサ昇降機構65により鉛直方向(Z方向)に移動されるように構成されている。ピアサ64は、先端が試薬容器200(300)の開口部212(312)を封止するためのシール材213(313)(図9及び図10参照)を貫通(穿刺)可能なように先鋭に形成されている。また、図3に示すように、ピアサ64の上端は、定量部224(224a〜224e)及び反応チャンバ221(221a〜221e)に至る流路(図6〜11では図示を省略)と接続されている。
【0045】
図7及び図8に示すように、ピアサ昇降機構65は、ピアサ64とカバー63とを保持するように構成されている。また、ピアサ昇降機構65は、シャーシ61に設けられた溝部611及び612に鉛直方向(Z方向)移動可能に係合している。これにより、ピアサ昇降機構65は、カバー63の開閉(昇降)に連動してピアサ64を鉛直方向(Z方向)に一体的に移動させるように構成されている。そして、図7に示すように、カバー63が上昇位置P2に配置された状態では、ピアサ64は試薬容器設置部62の上方の上昇位置P3に配置され、図8に示すように、カバー63が下降位置Q2に配置された状態では、ピアサ64は試薬容器200(300)の開口部212(312)直下の内底部に近接する下降位置Q3に配置されるように構成されている。
【0046】
図3に示すように、定量部224(224a〜224e)は、ピアサ64を試薬容器200(300)内部で下降位置Q3に配置した状態(図8参照)で、電磁バルブ225(225a〜225e)を開放するとともに電磁バルブ226(226a〜226e)を閉鎖することによって、ピアサ64を介して試薬容器200(300)内の所定量の試薬を定量部224(224a〜224e)内部に吸引することが可能なように構成されている。これにより、測定試料の調製に必要な所定量の試薬が定量される。また、定量部224(224a〜224e)は、電磁バルブ225(225a〜225e)を閉鎖するとともに電磁バルブ226(226a〜226e)を開放することによって、反応チャンバ221(221a〜221e)に定量部224(224a〜224e)内部で定量した試薬を移送することが可能なように構成されている。
【0047】
なお、外部に配置された大容量試薬容器110と接続された定量部227(227a〜227e)、電磁バルブ228(228a〜228e)及び229(229a〜229e)も同様であり、これら各部の動作が制御されることによって、反応チャンバ221(221a〜221e)内に各種試薬が移送されるように構成されている。また、第2測定ユニット2内部には、測定済み(調製済み)の試料を廃棄するための廃液チャンバ27が設けられており、電磁バルブ27aの開閉によって、測定済み(調製済み)試料の廃棄が行われるように構成されている。
【0048】
図2に示すように、サンプル容器搬送部25は、鉛直方向(矢印Z1及びZ2方向)に直線移動可能に構成され、サンプル容器100を把持することが可能なハンド部25aと、サンプル容器100を矢印Y1及びY2方向に水平移動させるサンプル容器移送部25bと、バーコード読取部25cとを有している。
【0049】
ハンド部25aは、検体搬送ユニット4が搬送するラック101の搬送路の上方に配置されている。また、ハンド部25aは、検体搬送ユニット4により所定の取込位置43bにサンプル容器100が搬送されると、下方(矢印Z2方向)に移動した後、ラック101に収容されたサンプル容器100を把持するように構成されている。
【0050】
また、ハンド部25aは、把持するサンプル容器100内の血液を攪拌することが可能である。また、攪拌終了後、サンプル容器移送部25bにより検体セット位置610に移動された検体セット部25dに、サンプル容器100をセットするように構成されている。なお、図2に示すように、平面的に見て、第2取込位置43bと検体セット位置610とは、重なるように配置されている。
【0051】
サンプル容器移送部25bは、図1及び図2に示すように、検体セット部25dを有し、検体セット部25dを測定処理の動作に応じた所定の位置に移動させることが可能である。具体的には、サンプル容器移送部25bにより、検体セット部25dを、図2に示す吸引位置600と、検体セット位置610とに配置させることが可能である。また、サンプル容器移送部25bは、図1に示すように、緊急検体の測定を行う場合や、検体搬送ユニット4を使用しない場合に使用者が手動でサンプル容器100をセットするように、ユニットカバー24の外部の所定位置まで移動することが可能なように構成されている。
【0052】
バーコード読取部25cは、各サンプル容器100に貼付されたバーコード(図示せず)を読み取るように構成されている。また、各サンプル容器100のバーコード(図示せず)は、各検体に固有に付されたものであり、各検体の分析結果の管理などに使用される。
【0053】
固定保持部26は、吸引位置600に移送されたサンプル容器100を固定保持するように構成されている。具体的には、固定保持部26は、図2に示すように、一対のチャック部26aを有し、一対のチャック部26aが互いに近接移動してサンプル容器100を挟持するように構成されている。
【0054】
次に、本実施形態による第2測定ユニット2及び第1測定ユニット3に用いられ、試薬容器ホルダ60にセットされる試薬容器200及び300について詳細に説明する。
【0055】
図9及び図10は、本実施の形態に係る試薬容器の構成を示す斜視図である。本実施の形態では、図9及び図10に示すように、大型(容量約100mL)の試薬容器200と、小型(容量約20mL)の試薬容器300とが、収容される試薬の種類に対応して用いられるように構成されている。即ち、大型の試薬容器200には、白血球のサブクラス分類用の染色液が収容され、小型の試薬容器300には、網状赤血球検出用の染色液及び血小板検出用の染色液が収容される。試薬容器200及び300は、それぞれ、ピアサ64が挿入される開口部212及び312を前端(試薬容器設置部62に挿入されるときの挿入方向側端)の上部に備えており、この開口部212及び312が設けられた前側部分の形状が互いに同一となっている。また、大型の試薬容器200は、その後側部分(開口部212が設けられた前側の反対側部分)の幅が広がっている。一方、小型の試薬容器300は、全長に亘ってその幅が均一に形成されている。このように、試薬容器200及び300は、それぞれの前側部分の形状が共通するため、同一形状を有するホルダ部60a〜60eの試薬容器設置部62に対してそれぞれセット可能となっている。さらに、図9及び図10に示すように、大型の試薬容器200及び小型の試薬容器300の両方の前側部分の側面には、対応する箇所にRFIDタグ260及び360が取り付けられている。この前側部分の形状は試薬容器200及び300において同一であるので、試薬容器200及び300が試薬容器設置部62に設置された状態においては、試薬容器200及び300の何れに設けられたRFIDタグ260及び360もそれぞれ対応するアンテナ62a〜62eと隣り合う位置に配置されることとなる。
【0056】
図11は、本実施の形態に係る試薬容器に付されたRFIDタグに記憶される試薬情報を示す模式図である。RFIDタグ260,360には、読み取り専用領域260aと、書き換え可能領域260bとが設けられている。読み取り専用領域260aには、試薬メーカから与えられた情報である変更不可試薬情報が格納される。変更不可試薬情報には、試薬の種類を示す試薬コード、試薬製造日から定められた試薬の使用期限(製造後有効期限;年月日で示される)、試薬の最大使用回数、各試薬に個別に割り当てられたシリアル番号、ロット番号、及び開封後有効期間が含まれる。かかる変更不可試薬情報は、試薬メーカによって定められた後は変更されることのない情報である。一方、書き換え可能領域260bには、ユーザによる試薬の使用の際に随時変更される情報である可変試薬情報が格納される。可変試薬情報には、試薬の使用開始日(開封日)及び使用回数が含まれる。RFIDタグ260,360には、試薬の使用開始日の初期値として予め「00000000」が格納されており、当該試薬容器200,300が試薬容器設置部62に設置され、カバー63が閉鎖されたときに、試薬開始日としてその日の日付が書き込まれる。また、RFIDタグ260,360には、試薬の使用回数の初期値として「0」が格納されており、一度使用される度に使用回数として格納されていた値より1大きい値が新たな使用回数として書き込まれる。
【0057】
開口部212(312)は、図9及び図10に示すように、試薬容器200及び300の前側部分から上方に突出する円筒状に形成されている。突出した開口部212(312)には、アルミ箔などからなるシール材213(313)が設けられ、試薬容器200(300)が封止されるように構成されている。上述したように、試薬容器200及び300が試薬容器設置部62に設置された状態で、カバー63が閉じられ、これと連動してピアサ64が下降したときに、ピアサ64の先端によってシール材213及び313が穿刺され、ピアサ64が開口部212及び312に挿入される。
【0058】
また、図9及び図10に示すように、各試薬容器200(300)には、それぞれ、収容する試薬の名称、試薬のロット番号、及び使用期限などが印刷されたラベル250(350)が貼付されている。このラベル250(350)は、各試薬容器200(300)の後側表面と、少なくとも一方の横側面とにわたって貼付される。またラベル250(350)の一部(各試薬容器200(300)の後側表面に相当する部分)又は全部には、収容する試薬の種類を示す色彩が付され、ラベル250(350)に表示された色によって試薬の種類を識別することが可能なように構成されている。このラベル250(350)と、試薬容器ホルダ60のカバー63に貼付されるラベル632(図5参照)とのそれぞれの色が一致するか否かによって、試薬容器200(300)が正しいホルダ部60a〜60eにセットされたか否かを確認することが可能である。
【0059】
<検体搬送ユニットの構成>
図1及び図2に示すように、検体搬送ユニット4は、分析が行われる前の検体を収容するサンプル容器100が収容された複数のラック101を保持することが可能な分析前ラック保持部41と、分析が行われた後の検体を収容するサンプル容器100が収容された複数のラック101を保持することが可能な分析後ラック保持部42と、ラック101を矢印X1及びX2方向に水平に直線移動するラック搬送部43と、バーコード読取部44と、サンプル容器100の有無を検知する有無検知センサ45と、分析後ラック保持部42内にラック101を移動するラック送出部46とを有している。
【0060】
分析前ラック保持部41は、ラック送込部411を有し、ラック送込部411が矢印Y2方向に移動することによって、分析前ラック保持部41に保持されたラック101を1つずつラック搬送部43上に押し出すように構成されている。
【0061】
ラック搬送部43は、図2に示すように、ラック101を搬送することにより、ラックに保持された所定のサンプル容器100を、第1測定ユニット3が検体を取り込む取込位置43a、及び、第2測定ユニット2が検体を取り込む取込位置43bに配置するように構成されている。また、ラック搬送部43は、有無検知センサ45がサンプル容器100の有無を確認する検体有無検知位置43cと、バーコード読取部44がサンプル容器100のバーコード(図示せず)(図4参照)を読み取る読取位置43dとにサンプル容器100を搬送可能に構成されている。
【0062】
ラック送出部46は、ラック搬送部43を挟んで分析後ラック保持部42に対向するように配置されており、矢印Y1方向に水平に移動するように構成されている。また、ラック送出部46は、矢印Y1方向に水平移動することによって、ラック搬送部43の分析後ラック保持部42とラック送出部46とに挟まれた位置に配置されたラック101を分析後ラック保持部42側に押し出すように構成されている。
【0063】
<情報処理ユニットの構成>
次に、情報処理ユニット5の構成について説明する。情報処理ユニット5は、コンピュータにより構成されている。図12は、情報処理ユニット5の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット5は、コンピュータ5aによって実現される。図12に示すように、コンピュータ5aは、本体51と、画像表示部52と、入力部53とを備えている。本体51は、CPU51a、ROM51b、RAM51c、ハードディスク51d、読出装置51e、入出力インタフェース51f、通信インタフェース51g、及び画像出力インタフェース51hを備えており、CPU51a、ROM51b、RAM51c、ハードディスク51d、読出装置51e、入出力インタフェース51f、通信インタフェース51g、及び画像出力インタフェース51hは、バス51jによって接続されている。
【0064】
読出装置51eは、コンピュータを情報処理ユニット5として機能させるためのコンピュータプログラム54aを可搬型記録媒体54から読み出し、当該コンピュータプログラム54aをハードディスク51dにインストールすることが可能である。
【0065】
ハードディスク51dには、ホルダ部60a〜60eを特定する情報と、各ホルダ部60a〜60eに設置可能な試薬の種類を示す試薬コードとが対応付けて記憶された試薬コードテーブルRCTが格納されている。図13は、試薬コードテーブルの構造を示す模式図である。上述したように、ホルダ部60a〜60e毎に、設置可能な試薬の種類が定まっている。即ち、ホルダ部60aは白血球の第1のサブクラス分類用の染色液を収容した試薬容器を設置するためのものであり、ホルダ部60bは白血球の第2のサブクラス分類用の染色液を収容した試薬容器を設置するためのものであり、ホルダ部60cは白血球の第3のサブクラス分類用の染色液を収容した試薬容器を設置するためのものであり、ホルダ部60dは網状赤血球検出用の染色液を収容した試薬容器を設置するためのものであり、ホルダ部60eは血小板検出用の染色液を収容した試薬容器を設置するためのものである。試薬コードテーブルRCTには、ホルダ部60aを示す試薬設置位置番号「1」に対応して、白血球の第1のサブクラス分類用の染色液の試薬コード「S001」が記憶され、ホルダ部60bを示す試薬設置位置番号「2」に対応して、白血球の第2のサブクラス分類用の染色液の試薬コード「S002」が記憶され、ホルダ部60cを示す試薬設置位置番号「3」に対応して、白血球の第3のサブクラス分類用の染色液の試薬コード「S003」が記憶され、ホルダ部60dを示す試薬設置位置番号「4」に対応して、網状赤血球検出用の染色液の試薬コード「S004」が記憶され、ホルダ部60dを示す試薬設置位置番号「5」に対応して、血小板検出用の染色液の試薬コード「S005」が記憶されている。
【0066】
またハードディスク51dには、試薬管理テーブルRMTの領域が設けられている。試薬管理テーブルRMTは、試薬容器ホルダ60に設置されている試薬を管理するためのテーブルであり、試薬の設置位置(ホルダ部)に対応付けて、設置されている試薬のシリアル番号を格納するようになっている。
【0067】
さらにハードディスク51dには、通知メッセージMSが記憶されている。通知メッセージMSは、試薬交換が必要になったとき又はユーザによる試薬交換作業の際に出力される文字情報である。具体的には、ハードディスク51dに、「有効期限が切れました。カバーを開けて試薬容器を交換してください。」、「試薬がありません。カバーを開けて試薬容器を交換してください。」、「交換対象ではないカバーが開けられました。閉じてください。」、「適切な試薬容器をセットしてください。」、「適切な試薬容器がセットされました。カバーを閉じてください。」、「試薬交換が完了しました。」の各通知メッセージMSが記憶されている。
【0068】
入出力インタフェース51fには、ケーブルを介して第1測定ユニット3及び第2測定ユニット2のそれぞれが接続されている。入出力インタフェース51fは、第1測定ユニット3及び第2測定ユニット2のドライバ基板3a及び2a通信可能に接続されており、制御信号をドライバ基板3a,2aに出力することが可能である。かかる制御信号を受信したドライバ基板3a,2aは、この制御信号をデコードし、制御信号に対応して各機構部のアクチュエータを駆動する。また、気泡センサ223(223a〜223e)、5つのカバー開閉センサ63a、及びRFIDリーダライタ61a〜61eはドライバ基板3a,2aに接続されており、気泡センサ223(223a〜223e)、カバー開閉センサ63a、及びRFIDリーダライタ61a〜61eから出力された信号はドライバ基板3a,2aを介して情報処理ユニット5へ送信される。
【0069】
[検体分析装置の動作]
以下、本実施の形態に係る検体分析装置1の動作について説明する。
【0070】
<検体分析動作>
まず、検体分析装置1による検体分析動作について説明する。検体分析は、情報処理ユニット5のCPU51aが検体分析制御処理を実行して、第1測定ユニット3、第2測定ユニット2、及び検体搬送ユニット4を制御することにより行われる。図14は、情報処理ユニット5による検体分析制御処理の手順を示すフローチャートである。ユーザは、検体分析装置1による検体分析を開始するとき、情報処理ユニット5を操作することで検体分析の開始指示を検体分析装置1に与える。CPU51aは、かかる検体分析の開始指示を受け付けを待機し(ステップS101においてNO)、検体分析の開始指示を受け付けると(ステップS101においてYES)、検体搬送ユニット4にラック101を搬送させ(ステップS102)、1つ目(ラック101において搬送方向最下流側)のサンプル容器100に貼布されたバーコードをバーコード読取部25cに読み取らせ、当該検体の検体情報(検体ID、測定オーダ、患者情報等)を取得する(ステップS103)。CPU51aは、この検体情報から、当該検体の測定を行う測定ユニットを第1測定ユニット3及び第2測定ユニット2から決定し(ステップS104)、決定した測定ユニットにサンプル容器100を取り込ませ、検体吸引部21又は31にサンプル容器100から検体を吸引させる(ステップS105)。検体の吸引が完了したサンプル容器100は、測定ユニットから排出され、ラック101の元の位置に返却される。なお、ステップS104においては、全ての試薬設置部に適切な試薬が設置され、検体を測定可能なスタンバイ状態になっている測定ユニットの中から検体の測定を行う測定ユニットが決定される。後述するように、ステップS104で決定された測定ユニットで検体の測定が実行される。
【0071】
検体の吸引の後、CPU51aは、試料調製部22に、当該検体と、その検体の測定項目に応じた試薬とが混合させ、測定試料を調製させる(ステップS106)。このように1回試薬が使用されて測定試料が調製されると、CPU51aは、使用された試薬を収容する試薬容器200,300が設置された試薬容器設置部62に設けられたRFIDリーダライタを駆動し、当該試薬容器200,300に付されたRFIDタグ260,360に記憶されている当該試薬の使用回数を1つ増加した値に更新する(ステップS107)。さらにCPU51aは、試料調製部22に、測定試料を検出部23へ供給させ、検出部23に検体の測定を実行させる(ステップS108)。CPU51aは、検体の測定データを取得し、この測定データを解析して、検体の分析結果を得る(ステップS109)。次にCPU51aは、ラック101に保持されている全てのサンプル容器100を測定ユニットに供給したか否かを判定し(ステップS110)、まだ測定ユニットに供給されていないサンプル容器100が存在する場合には(ステップS110においてNO)、処理をステップS102へ戻し、ラック101を搬送し、次のサンプル容器100に貼布されたバーコードをバーコード読取部25cに読み取らせて、当該検体の検体情報を取得する。その後、ステップS105以降の処理を実行し、当該検体の分析を行う。
【0072】
ステップS110において、全てのサンプル容器100が測定ユニットに供給されている場合には(ステップS110においてYES)、CPU51aは検体搬送ユニット4にラック101を分析後ラック保持部42まで搬送させ(ステップS111)、未測定のサンプル容器100を収容した次のラック101が存在するか否かを判定する(ステップS112)。次のラック101が存在する場合には(ステップS112においてYES)、CPU51aはステップS102へ処理を戻して、次のラック101に保持されている検体についてステップS102以下の処理を実行する。これにより、複数のラック101が連続して搬送され、これらのラック101に保持されている検体が順番に分析される。未測定のサンプル容器100を収容した次のラック101が存在しない場合には(ステップS112においてNO)、CPU51aはステップS101に処理を戻す。
【0073】
また、ここでは検体搬送ユニット4によるラック101の搬送を行う自動検体分析動作について説明したが、検体分析装置1は、検体搬送ユニット4を用いることなくユーザが1つずつサンプル容器100をセットし、セットされたサンプル容器100を測定ユニット内に取り込み、検体の分析を行うマニュアル検体分析動作も可能である。
【0074】
<試薬交換動作>
上記のような検体分析を行った結果試薬が消費された場合、又は試薬の使用期限が経過した場合等には、試薬を交換する必要が生じる。本実施の形態に係る検体分析装置1では、情報処理ユニット5のCPU51aが試薬交換制御処理を実行して、第1測定ユニット3又は第2測定ユニット2を制御することにより、試薬交換が行われる。試薬交換制御処理は、特定のタイミング、即ち、検体分析装置1の初期化動作実行中、日付の切り替わり後、及び第1測定ユニット3及び第2測定ユニット2による試薬吸引後にCPU51aにより実行される。図15A〜図15Cは、本実施の形態に係る情報処理ユニット5による試薬交換制御処理の手順を示すフローチャートである。まずCPU51aは、試薬交換要否判定処理を実行する(ステップS201)。図16は、図15AのステップS201の試薬交換要否判定処理の詳細な手順を示すフローチャートである。試薬交換要否判定処理においては、CPU51aは、まず各RFIDリーダライタ61a〜61eのうちの1つを駆動して、1つの試薬容器設置部62に設置されている1つの試薬容器200,300に付されているRFIDタグ260,360から試薬情報を読み出す(ステップS251)。
【0075】
次にCPU51aは、読み出した試薬の有効期限を算出する(ステップS252)。この処理では、CPU51aは、RFIDタグから読み出した使用開始日と開封後有効期間とから開封後有効期限を算出する。つまり、使用開始日から起算した開封後有効期間の末日が、当該試薬の使用開始日から求められる開封後有効期限とされる。次にCPU51aは、この開封後有効期限と、RFIDタグから読み出した使用期限(製造日から定められた使用期限)とを比較して、どちらの日付が先行するかを判断し、先行する日付を有効期限として採用する。例えば、開封後有効期限が2010年3月10日であり、使用期限が2010年3月20日である場合には、先行する日付である2010年3月10日が当該試薬の有効期限とされる。
【0076】
CPU51aは、上記のようにして求めた有効期限を現在の日付と比較して、有効期限が経過したか否かを判定する(ステップS253)。有効期限が経過した場合は(ステップS253においてYES)、CPU51aは、当該試薬の交換が必要であると判定する(ステップS254)。この処理においては、CPU51aがRAM51c又はハードディスク51dに、その試薬の設置位置の情報に対応付けて試薬交換が必要であることを示す情報を記録することにより、試薬の交換が必要であると判定される。
【0077】
ステップS253において有効期限が経過していない場合には(ステップS253においてNO)、CPU51aは、RFIDタグ260,360から読み出した使用回数が、RFIDタグ260,360から読み出した最大使用回数と一致するか否かを判定する(ステップS255)。使用回数と最大使用回数とが一致する場合には(ステップS255においてYES)、CPU51aは、処理をステップS254へ移し、試薬交換が必要であると判定する。
【0078】
一方、ステップS255において、使用回数と最大使用回数とが一致しない場合、即ち使用回数が最大使用回数よりも小さい場合には(ステップS255においてNO)、CPU51aは、気泡センサ223(223a〜223e)の出力信号に基づいて、試薬容器200又は300から反応チャンバ221(221a〜221e)へ供給される試薬中に気泡が検出されたか否かを判定する(ステップS256)。気泡が検出された場合には(ステップS256においてYES)、試薬の残料がなくなっていることが想定されるため、CPU51aは、処理をステップS254へ移し、試薬交換が必要であると判定する。
【0079】
ステップS256において、気泡が検出されなかった場合には(ステップS256においてNO)、CPU51aは、当該試薬の交換は不要であると判定する(ステップS257)。この処理においては、CPU51aがRAM51c又はハードディスク51dに、その試薬の設置位置の情報に対応付けて試薬交換が不要であることを示す情報を記録することにより、試薬の交換が不要であると判定される。
【0080】
ステップS254又はステップS257の処理を終了した後、CPU51aは、第1測定ユニット3及び第2測定ユニット2の試薬容器ホルダ60に設置されている全ての試薬について上記の処理を実行したか否かを判定し(ステップS258)、処理を実行していない試薬が残っている場合には(ステップS258においてNO)、ステップS251に処理を戻し、まだ上記の処理を実行していない試薬のRFIDタグ260,360から試薬情報を読み出す。一方、全ての試薬について上記処理を実行した場合には(ステップS258においてYES)、メインルーチンにおける試薬交換要否決定処理の呼出アドレスへと処理を戻す。
【0081】
上記の試薬交換要否判定処理において試薬交換が不要と判定された場合には(ステップS202においてNO)、CPU51aは、試薬交換制御処理を終了する。一方、試薬交換要否判定処理において試薬交換が必要と判定された場合には(ステップS202においてYES)、CPU51aは、第1測定ユニット3又は第2測定ユニット2の測定中断処理を実行する(ステップS203)。この測定中断処理とは、自動検体分析動作を実行中の場合には、まだ測定が行われていない検体については測定を開始せずに、その時点において測定を実行中の検体については最後まで検体の測定を行うように、第1測定ユニット3又は第2測定ユニット2を制御する処理であり、マニュアル検体分析動作を実行中の場合には、その時点において測定を実行中の検体については最後まで検体の測定を行い、新たな検体を受け付けないように、第1測定ユニット3又は第2測定ユニット2を制御する処理である。測定中断処理を実行すると、CPU51aは、ハードディスク51dから通知メッセージMSを読み出し、ユーザに試薬交換を促す通知メッセージを画像表示部52に表示させる(ステップS204)。また、ステップS204においては、CPU51aは上述した通知メッセージと合わせて、ブザー29、39からアラーム音を発生させる。
【0082】
ステップS204において表示される通知メッセージは、試薬交換が必要となった理由によって異なる。試薬交換要否判定処理において、有効期限が経過したことにより試薬交換が必要と判定された場合には、「有効期限が切れました。カバーを開けて試薬容器を交換してください。」の通知メッセージが表示される。試薬交換要否判定処理において、試薬残料がなくなったことにより、又は試薬が吸引されたときに気泡の混入が検出されたことにより、試薬交換が必要と判定された場合には、「試薬がありません。カバーを開けて試薬容器を交換してください。」の通知メッセージが表示される。
【0083】
ステップS204においては、上述した通知メッセージと合わせて、交換すべき試薬の名称、及び試薬の交換が必要な測定ユニットを示す情報が画像表示部52に表示される。表示される試薬の交換が必要な測定ユニットを示す情報としては、例えば、第1測定ユニット3又は第2測定ユニット2の名称、ユニット番号、「右側の測定ユニット」若しくは「左側の測定ユニット」等の文字情報、又は、第1測定ユニット3及び第2測定ユニット2を絵で表示し、そのうち試薬交換が必要な測定ユニットを試薬交換が不要な測定ユニットとは異なる色で表示する等、画像情報とすることもできるし、文字情報及び画像情報の両方を組み合わせることもできる。
【0084】
ユーザはかかる通知メッセージにより、試薬の交換が必要であることに加え、交換すべき試薬の種類及び試薬を交換する必要がある測定ユニットを知ることができる。ユーザは、交換する新しい試薬を用意し、試薬の交換が必要な測定ユニットの前面カバー24a又は34aを開く。ユーザは、試薬容器ホルダ60の各カバー63に付されたラベル632を確認し、ホルダ部60a〜60eのうち試薬の交換対象のホルダ部を特定し、試薬の交換対象のホルダ部におけるカバー63を開く。こうしてカバー63が開くと、そのカバー63に対応するカバー開閉センサ63aがカバー63の開放を検出し、検出信号を出力する。CPU51aは、このようなカバー開閉センサ63aの検出信号により、カバー63の開放が検出されたか否かを判定する(ステップS205)。カバー63の開放が検出されなければ(ステップS205においてNO)、CPU51aはカバー63の開放が検出されるまでステップS205の処理を繰り返す。
【0085】
一方、ステップS205においてカバー63の開放が検出された場合には(ステップS205においてYES)、CPU51aは、開放されたカバー63が試薬交換対象のホルダ部のカバーであるか否かを判定する(ステップS206)。開放されたカバー63が試薬交換対象のホルダ部のカバーとは異なる場合(ステップS206においてNO)、CPU51aは、ハードディスク51dから通知メッセージMSを読み出し、「交換対象ではないカバーが開けられました。閉じてください。」の通知メッセージを画像表示部52に表示させ、ブザー39,29にアラーム音を発生させる(ステップS207)。これにより、ユーザに試薬交換対象とは異なるホルダ部のカバーが開かれたことが通知され、注意が促される。
【0086】
開かれたカバー63がユーザにより閉じられると、このカバーに対応するカバー開閉センサ63aがカバーの閉鎖を検出する。CPU51aは、カバー開閉センサ63aの出力信号により、カバー63が閉じられたか否かを判定する(ステップS208)。カバー63の閉鎖が検出されなければ(ステップS208においてNO)、CPU51aはカバー63の閉鎖が検出されるまでステップS208の処理を繰り返す。なお、本実施形態では、カバー開閉センサ63aにより、カバー63の閉鎖が検出された場合に、ホルダ部に設置された試薬容器に付されているRFIDタグに使用開始日を書き込む指示がCPU51aに対して行われる。
【0087】
一方、ステップS208においてカバー63の閉鎖が検出された場合には(ステップS208においてYES)、CPU51aは、ブザー39,29にアラーム音を停止させ、通知メッセージの表示を終了する(ステップS209)。このとき、表示が終了される通知メッセージは、ステップS207において表示された、カバーの閉鎖を促す通知メッセージであり、ステップS204において表示された、試薬の交換を促す通知メッセージの表示は維持される。また、この時点において、後述するステップS212において表示された、適切な試薬の設置を促す通知メッセージが表示されている場合には、この通知メッセージの表示が終了される。
【0088】
ここで、一度カバー63が開かれたホルダ部においては、試薬容器が交換されている場合がある。例えば、交換対象の試薬以外の試薬であっても、試薬量が残り少ない、使用期限が近い等の理由により交換されることがある。また、ユーザが交換対象の試薬のホルダ部と間違えて別のホルダ部のカバー63を開き、そこの試薬容器を交換対象の新たな試薬容器と交換してしまうことも考えられる。そこで、CPU51aは、カバー63が閉じられたホルダ部のRFIDリーダライタを駆動し、当該ホルダ部に設置されている試薬容器200,300のRFIDタグ260,360から、試薬情報を読み出し(ステップS210)、設置されている試薬の適否を判定する(ステップS211)。この処理では、CPU51aは、試薬コードテーブルRCTからカバー63が開かれたホルダ部に対応する試薬コードを読み出し、RFIDタグ260,360から読み出された試薬情報に含まれる試薬コードと一致するか否かにより、ホルダ部に設置されている試薬容器が適切であるか否かが判定される。例えば、網状赤血球検出用の染色液を収容した試薬容器を設置するためのホルダ部60dに対応するカバー63が開かれた場合には、試薬コードテーブルRCTからホルダ部60dを示す試薬設置番号「4」に対応する網状赤血球検出用の試薬コード「S004」が読み出され、当該ホルダ部に設置されている試薬容器300のRFIDタグ360から読み出された試薬情報に含まれる試薬コードが「S004」であれば適切な試薬が設置されたと判定する。網状赤血球検出用の染色液を収容した試薬容器を設置するためのホルダ部60dに対応するカバー63が開かれた場合に、例えば、当該ホルダ部に設置されている試薬容器300のRFIDタグ360から読み出された試薬情報に含まれる試薬コードが血小板検出用の試薬コードである「S005」であれば適切な試薬が設置されていないと判定する。
【0089】
ステップS211において、交換された試薬が適切でない場合には(ステップS211においてNO)、CPU51aはハードディスク51dから通知メッセージMSを読み出し、「適切な試薬容器をセットしてください。」の通知メッセージを画像表示部52に表示させ、ブザー39,29にアラーム音を発生させる(ステップS212)。これにより、ユーザに、ホルダ部に設置された試薬が適切ではないことが通知され、適切な試薬の設置が促される。さらに、CPU51aは、カバー開閉センサ63aの検出信号により、再度カバー63の開放が検出されたか否かを判定する(ステップS213)。カバー63の開放が検出されなければ(ステップS213においてNO)、CPU51aはカバー63の開放が検出されるまでステップS213の処理を繰り返す。
【0090】
一方、ステップS213においてカバー63の開放が検出された場合には(ステップS213においてYES)、CPU51aは、処理をステップS208に戻し、カバー63が閉じられたか否かを判定する。
【0091】
また、ステップS211において、カバー63が閉じられたホルダ部に設置された試薬が適切な場合、即ち、そのホルダ部に設置されている試薬の試薬コードが、当該ホルダ部に対応付けられた試薬コードと一致する場合には(ステップS211においてYES)、CPU51aは、そのホルダ部において試薬が交換されたか否かを判定する(ステップS214)。試薬管理テーブルRMTには、設置されている試薬固有のシリアル番号が格納されている。つまり、RFIDタグ260,360から読み出されたシリアル番号が、試薬管理テーブルRMTに登録されている、その設置位置における試薬のシリアル番号と一致すれば、カバー63の開閉前に当該ホルダ部に設置されていた試薬と、カバー63の開閉後に当該ホルダ部に設置されている試薬とは同じであり、試薬の交換はされていないと判断できる。一方、RFIDタグ260,360から読み出されたシリアル番号が、試薬管理テーブルRMTに登録されている、その設置位置における試薬のシリアル番号と一致しなければ、カバー63の開閉前に当該ホルダ部に設置されていた試薬と、カバー63の開閉後に当該ホルダ部に設置されている試薬とは異なっており、試薬が交換されたと判断できる。ステップS214の処理では、CPU51aは、このようにRFIDタグ260,360から読み出された試薬のシリアル番号と、試薬管理テーブルRMTに登録されている、その設置位置における試薬のシリアル番号とを照合することにより、試薬が交換されたか否かを判断する。
【0092】
ステップS214において、前記ホルダ部において試薬が交換された場合には(ステップS214においてYES)、CPU51aは、その試薬が設置されているホルダ部のRFIDリーダライタを駆動して、当該試薬容器に付されているRFIDタグ260,360に、使用開始日を書き込み(ステップS215)、書き込みが完了したか否かを判定する(ステップS216)。RFIDタグ260,360への使用開始日の書き込みが完了していない場合には(ステップS216においてNO)、CPU51aは、書き込み完了が確認されるまでステップS216の処理を繰り返す。RFIDタグ260,360への使用開始日の書き込みが完了が確認されると(ステップS216においてYES)、CPU51aは当該RFIDタグ260,360に格納されているシリアル番号を、試薬管理テーブルRMTにおいて当該ホルダ部を示す設置位置に対応付けて記憶する(ステップS217)。この際、試薬管理テーブルRMTにおいてそれまで記憶されていた当該設置位置に対応するシリアル番号、即ち、交換前の試薬に関するシリアル番号は削除される。CPU51aは、ステップS217の処理を実行した後、処理をステップS205へ処理を戻す。一方、ステップS214において、前記ホルダ部において試薬が交換されていない場合には(ステップS214においてNO)、CPU51aは、処理をステップS217に進める。
【0093】
ステップS206において、開放されたカバー63が試薬交換対象のホルダ部のカバーである場合(ステップS206においてYES)、CPU51aは、ステップS204において表示された、試薬の交換を促す通知メッセージの表示を終了する(ステップS218)。
【0094】
次にCPU51aは、カバー63が開かれたホルダ部のRFIDリーダライタを駆動し、当該ホルダ部に設置されている試薬容器200,300のRFIDタグ260,360からの試薬情報の読み出しを開始する(ステップS219)。この処理では、RFIDリーダライタが駆動され、このRFIDリーダライタに接続されたアンテナからの電波の発信が開始される。ここで、当該ホルダ部において試薬容器200,300が交換されると、新しい試薬容器200,300に貼布されたRFIDタグ260,360からRFIDリーダライタによって試薬情報が読み出される。CPU51aは、こうして読み出した試薬情報に基づいて、新しい試薬容器が設置されたか否かを判定する(ステップS220)。この処理においては、CPU51aは、RFIDタグ260,360から読み出された試薬のシリアル番号と、試薬管理テーブルRMTに登録されている、その設置位置における試薬のシリアル番号とを照合し、両者が一致していれば、新しい試薬容器が設置されていないと判定し、両者が一致しなければ、新しい試薬容器が設置されたと判定する。CPU51aは、ステップS220において新しい試薬容器の設置が検出されない場合は(ステップS220においてNO)、新しい試薬容器の設置が検出されるまでステップS220の処理を繰り返す。
【0095】
一方、ステップS220において新しい試薬容器の設置が検出された場合には(ステップS220においてYES)、CPU51aは、交換された試薬の適否を判定する(ステップS221)。ステップS221の処理は、ステップS211の処理と同様であるので、その説明を省略する。
【0096】
ステップS221において、交換された試薬が適切でない場合には(ステップS221においてNO)、CPU51aはハードディスク51dから通知メッセージMSを読み出し、「適切な試薬容器をセットしてください。」の通知メッセージを画像表示部52に表示させ、ブザー39,29にアラーム音を発生させ(ステップS222)、処理をステップS220へ戻す。これにより、ユーザに、ホルダ部に設置された試薬が適切ではないことが通知され、正しい試薬の設置が促される。
【0097】
一方、ステップS221において、交換された試薬が適切な場合には(ステップS221においてYES)、CPU51aはハードディスク51dから通知メッセージMSを読み出し、「適切な試薬容器がセットされました。カバーを閉じてください。」の通知メッセージを画像表示部52に表示させる(ステップS223)。この場合において、他の通知メッセージが画像表示部に表示されており、またアラーム音が発せられている場合には、CPU51aは当該他の通知メッセージの表示を終了し、アラーム音を停止させる。これにより、試薬容器の設置が完了する。
【0098】
次にCPU51aは、カバー開閉センサ63aの出力信号により、カバー63が閉じられたか否か、すなわち、試薬容器の設置が完了したか否かを判定する(ステップS224)。カバー63の閉鎖、すなわち、試薬容器設置が完了が検出されなければ(ステップS224においてNO)、CPU51aはカバー63の閉鎖が検出されるまでステップS224の処理を繰り返す。
【0099】
一方、ステップS224においてカバー63の閉鎖が検出された場合には(ステップS224においてYES)、CPU51aは、ステップS223において表示された、カバーの閉鎖を促す通知メッセージの表示を終了し(ステップS225)、その試薬が設置されているホルダ部のRFIDリーダライタを駆動して、当該試薬容器に付されているRFIDタグ260,360に、使用開始日を書き込み(ステップS226)、書き込みが完了したか否かを判定する(ステップS227)。RFIDタグ260,360への使用開始日の書き込みが完了していない場合には(ステップS227においてNO)、CPU51aは、書き込み完了が確認されるまでステップS227の処理を繰り返す。RFIDタグ260,360への使用開始日の書き込みが完了が確認されると(ステップS227においてYES)、CPU51aは当該RFIDタグ260,360に格納されているシリアル番号を、試薬管理テーブルRMTにおいて当該ホルダ部を示す設置位置に対応付けて記憶する(ステップS228)。この処理では、試薬管理テーブルRMTにおいてそれまで記憶されていた当該設置位置に対応するシリアル番号、即ち、交換前の試薬に関するシリアル番号は削除され、RFIDタグ260,360から読み出されたシリアル番号が当該ホルダ部を示す設置位置に対応付けて記憶される。
【0100】
次にCPU51aは、駆動されていたRFIDリーダライタを停止させ、当該RFIDリーダライタが設けられているホルダ部に設置されている試薬容器200,300のRFIDタグ260,360からの試薬情報の読み出しを終了する(ステップS229)。
【0101】
また、CPU51aは、試薬交換シーケンスを実行する(ステップS230)。試薬交換シーケンスとは、第1測定ユニット3又は第2測定ユニット2において、試薬交換によってピアサ64から反応チャンバ221(221a〜221e)までの流路中に生じた気泡を排除するために、所定量の試薬を交換された試薬容器から吸引し、この結果反応チャンバ221(221a〜221e)に溜った試薬を廃棄するための第1測定ユニット3又は第2測定ユニット2の制御処理である。
【0102】
試薬交換シーケンスが終了すると、CPU51aは、ハードディスク51dから通知メッセージMSを読み出し、「試薬交換が完了しました。」の通知メッセージを画像表示部52に表示させる(ステップS231)。ステップS231において通知メッセージを表示してから所定時間経過後、CPU51aが当該通知メッセージの表示を終了し(ステップS232)、試薬交換制御処理を終了する。
【0103】
上記のような構成とすることにより、本実施の形態に係る検体分析装置1にあっては、カバー63の閉鎖がカバー開閉センサ63aにより検出されたときに、新たに設置された試薬容器200,300に付されたRFIDタグ260,360に情報が書き込まれるため、装置内に試薬容器200,300がセットされたときにそのRFIDタグ260,360に確実に情報を書き込むことができる。
【0104】
また、本実施の形態に係る検体分析装置1にあっては、カバー63の閉鎖がカバー開閉センサ63aにより検出されたときにRFIDタグ260,360に情報が書き込まれる情報を試薬の使用開始日としたため、試薬が装置にセットされ、使用が開始された日を確実に使用開始日としてRFIDタグ260,360に書き込むことができ、試薬の使用開始時期を適切に管理することができる。
【0105】
また、本実施の形態に係る検体分析装置1にあっては、試薬の有効期限切れにより試薬交換が必要と判定された場合に、「有効期限が切れました。カバーを開けて試薬容器を交換してください。」の通知メッセージが表示されるため、ユーザは、試薬交換の理由が有効期限切れであることを容易に認識することができる。また、試薬切れにより試薬交換が必要と判定された場合に、「試薬がありません。カバーを開けて試薬容器を交換してください。」の通知メッセージが表示されるため、ユーザは、試薬交換の理由が試薬切れであることを容易に認識することができる。
【0106】
また、本実施の形態に係る検体分析装置1にあっては、RFIDタグ260,360に記憶された使用開始日及び開封後有効期間によって求められた開封後有効期限と、製造日から定まる使用期限との両方によって試薬の有効期限を定めているため、適切に有効期限管理を行うことができる。
【0107】
また、本実施の形態に係る検体分析装置1にあっては、RFIDタグ260,360への使用開始日の書き込みが完了したことを確認した後に、試薬交換が完了した旨の通知メッセージを出力するため、試薬の交換が行われ、ユーザが当該通知メッセージを確認したときには、確実にRFIDタグ260,360への使用開始日の書き込みが完了している。
【0108】
また、本実施の形態に係る検体分析装置1にあっては、カバー63を閉鎖すると、カバー63の移動に連動してピアサ64が下降し、シール部材213、313が穿刺され、RFIDタグ260,360へ使用開始日が書き込まれるため、正確な使用開始日がRFIDタグ260,360に書き込まれる。
【0109】
(実施の形態2)
[検体分析装置の構成]
図17は、実施の形態2に係る試薬容器に付されたRFIDタグに記憶される試薬情報を示す模式図である。本実施の形態に係るRFIDタグ260,360の書き換え可能領域260bには、ユーザによる試薬の使用の際に随時変更される情報である可変試薬情報として、試薬の使用開始日(開封日)及び残使用回数が書き込まれる。RFIDタグ260,360には、試薬の残使用回数の初期値として予め当該試薬の最大使用回数と同一の値が格納されており、一度使用される度に残使用回数として格納されていた値より1少ない値が新たな残使用回数として書き込まれる。実施の形態2に係る検体分析装置のその他の構成は、実施の形態1に係る検体分析装置の構成と同様であるので、同一構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0110】
[検体分析装置の動作]
以下、本実施の形態に係る検体分析装置1の動作について説明する。
【0111】
<検体分析動作>
図18は、本実施の形態に係る情報処理ユニットによる検体分析制御処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態に係る情報処理ユニットのCPU51aは、検体の分析において1回試薬が使用されて測定試料が調製されると、使用された試薬を収容する試薬容器200,300が設置された試薬容器設置部62に設けられたRFIDリーダライタを駆動し、当該試薬容器200,300に付されたRFIDタグ260,360に記憶されている当該試薬の残使用回数を1つ減らした値に更新する(ステップS307)。実施の形態2に係る情報処理ユニット5の検体分析制御処理におけるステップS301〜S306及びS308〜S312の処理は、実施の形態1に係る情報処理ユニット5の検体分析制御処理におけるステップS101〜S106及びS108〜S112の処理と同様であるので、その説明を省略する。
【0112】
<試薬交換動作>
本実施の形態に係る検体分析装置1では、情報処理ユニット5のCPU51aが試薬交換制御処理を実行して、第1測定ユニット3又は第2測定ユニット2を制御することにより、試薬交換が行われる。試薬交換制御処理は、特定のタイミング、即ち、検体分析装置1の初期化動作実行中、日付の切り替わり後、及び第1測定ユニット3及び第2測定ユニット2による試薬吸引後にCPU51aにより実行される。図19は、本実施の形態に係る情報処理ユニット5による試薬交換制御処理の手順を示すフローチャートである。まずCPU51aは、試薬交換要否判定処理を実行する(ステップS401)。
【0113】
図20は、図19のステップS401の試薬交換要否判定処理の詳細な手順を示すフローチャートである。本実施の形態に係る情報処理ユニットのCPU51aは、試薬交換要否判定処理において、RFIDタグ260,360から読み出した残使用回数が「0」か否かを判定する(ステップS455)。残使用回数が「0」の場合には(ステップS455においてYES)、CPU51aは、処理をステップS454へ移し、試薬交換が必要であると判定する(ステップS454)。一方、ステップS255において、残使用回数が「0」でない場合、即ち残使用回数が「0」よりも大きい場合には(ステップS455においてNO)、CPU51aは、ステップS456へ処理を移す。実施の形態2に係る情報処理ユニット5の試薬交換制御処理におけるステップS451〜S454及びS456〜S458の処理は、実施の形態1に係る情報処理ユニット5の検体分析制御処理におけるステップS251〜S254及びS256〜S258の処理と同様であるので、その説明を省略する。
【0114】
図19に戻り、試薬交換要否判定処理が終了すると、CPU51aは、ステップS402以降の処理を実行する。ステップS402〜S405の処理は、実施の形態1において説明したステップS202〜S205の処理と同様であるので、説明を省略する。ステップS405においてカバー63の開放が検出された場合には(ステップS405においてYES)、CPU51aは、第1試薬チェック処理を実行する(ステップS406)。
【0115】
図21は、図19のステップS406の第1試薬チェック処理の詳細な手順を示すフローチャートである。CPU51aは、第1試薬チェック処理を起動すると、カバー63が開かれたホルダ部のRFIDリーダライタを駆動し、当該ホルダ部に設置されている試薬容器200,300のRFIDタグ260,360から試薬情報を読み出す(ステップS501)。ここで、当該ホルダ部に設置されている試薬容器200,300に貼布されたRFIDタグ260,360からRFIDリーダライタによって試薬情報が読み出される。CPU51aは、こうして読み出した試薬情報に基づいて、試薬が交換されたか否かを判定する(ステップS502)。当該ステップS502の処理では、ホルダ部から試薬容器が取り出され、その後試薬容器が当該ホルダ部に設置されたことを検出することで、試薬が交換されたと判断される。より具体的には、CPU51aは、ステップS501において一定時間ごとに継続的にホルダ部に設置されている試薬容器200,300のRFIDタグ260,360から試薬情報を読み出し、ステップS502において試薬情報が読み出せない状態から再び試薬情報が読み出せる状態になったことをもって試薬が交換されたと判断する。つまり、ホルダ部に設置されていた試薬容器とは別の試薬容器に交換された場合だけでなく、ホルダ部に設置されていた試薬容器が取り出され、同じ試薬容器が再度同じホルダ部に戻された場合にも、試薬が交換されたと判断される。CPU51aは、ステップS502において試薬の交換が検出されない場合は(ステップS502においてNO)、ステップS501へ処理を戻す。
【0116】
一方、ステップS502において試薬の交換が検出された場合には(ステップS502においてYES)、CPU51aは、交換された試薬の適否を判定する(ステップS503)。ステップS503においては、試薬容器がその設置位置に設置されるべきものであるか、つまり、読み取られた試薬コードが設置位置に対応する試薬コードと一致するか否かが判断される。
【0117】
ステップS503において、交換された試薬が適切でない場合には(ステップS503においてNO)、CPU51aはハードディスク51dから通知メッセージMSを読み出し、「適切な試薬容器をセットしてください。」の通知メッセージを画像表示部52に表示させ、ブザー39,29にアラーム音を発生させ(ステップS504)、処理をステップS501へ戻す。これにより、ユーザに、ホルダ部に設置された試薬が適切ではないことが通知され、正しい試薬の設置が促される。
【0118】
一方、ステップS503において、交換された試薬が適切な場合には(ステップS503においてYES)、CPU51aは適切な試薬を受け付けたことを示す「ピッ」という通知音をコンピュータ5aに設けられたスピーカー(図示せず)に出力させる(ステップS505)。この場合において、ステップS504における通知メッセージが画像表示部に表示されており、またアラーム音が発せられている場合には、CPU51aは当該通知メッセージの表示を終了し、アラーム音を停止させた上で、通知音を出力する。ステップS505の処理の後、CPU51aは、メインルーチンにおける第1試薬チェック処理の呼出アドレスへと処理を戻す。
【0119】
図19に戻り、第1試薬チェック処理が終了し、開かれたカバー63がユーザにより閉じられると、このカバーに対応するカバー開閉センサ63aがカバーの閉鎖を検出する。CPU51aは、カバー開閉センサ63aの出力信号により、カバー63が閉じられたか否かを判定する(ステップS407)。カバー63の閉鎖が検出されなければ(ステップS407においてNO)、CPU51aはカバー63の閉鎖が検出されるまでステップS407の処理を繰り返す。なお、本実施形態では、カバー開閉センサ63aにより、カバー63の閉鎖を検出することで、第2試薬チェック処理を実行し、第2試薬チェック処理において、ホルダ部に設置された試薬容器に付されているRFIDタグに使用開始日を書き込む指示がCPU51aに対して行われる。
【0120】
一方、ステップS407においてカバー63の閉鎖が検出された場合には(ステップS407においてYES)、CPU51aは、第2試薬チェック処理を実行する(ステップS408)。
【0121】
図22は、図19のステップS408の第2試薬チェック処理の詳細な手順を示すフローチャートである。CPU51aは、第2試薬チェック処理を起動すると、カバー63が閉じられたホルダ部のRFIDリーダライタを駆動し、当該ホルダ部に設置されている試薬容器200,300のRFIDタグ260,360から試薬情報を読み出す(ステップS601)。
【0122】
試薬容器200,300から試薬情報が読み出されると、CPU51aは、カバー63が閉じられたホルダ部に設置されている試薬の適否を判定する(ステップS602)。ステップS602においては、試薬容器がその設置位置に設置されるべきものであるか(つまり、読み取られた試薬コードが設置位置に対応する試薬コードと一致するか)、使用済(試薬の残量がない状態)でないか、使用期限切れでないか等が判断される。
【0123】
ステップS602において、交換された試薬が適切でない場合には(ステップS602においてNO)、CPU51aはハードディスク51dから通知メッセージMSを読み出し、「正しい試薬がセットされていません。」の通知メッセージを画像表示部52に表示させ、ブザー39,29にアラーム音を発生させ(ステップS603)、メインルーチンにおける第2試薬チェック処理の呼出アドレスへと処理を戻す。
【0124】
一方、ステップS602において、交換された試薬が適切な場合には(ステップS602においてYES)、CPU51aは、読み出した試薬情報に基づいて、当該試薬が未使用のものであるか否か(未開封の試薬か否か)を判定する(ステップSS604)。この処理では、試薬情報に含まれる使用開始日が「00000000」の場合、即ち、試薬開始日の情報が工場出荷状態から変更されていない場合には、当該試薬が未使用であると判定し、試薬情報に含まれる使用開始日が「00000000」以外の場合、即ち、試薬開始日の情報が工場出荷状態から変更されている場合には、当該試薬が使用開始後のものであると判定する。
【0125】
ステップS604において、未使用の試薬であると判定された場合には(ステップS604においてYES)、CPU51aは、その試薬が設置されているホルダ部のRFIDリーダライタを駆動して、当該試薬容器に付されているRFIDタグ260,360に、使用開始日を書き込み(ステップS605)、書き込みが完了したか否かを判定する(ステップS606)。RFIDタグ260,360への使用開始日の書き込みが完了していない場合には(ステップS606においてNO)、CPU51aは、書き込み完了が確認されるまでステップS606の処理を繰り返す。RFIDタグ260,360への使用開始日の書き込みが完了が確認されると(ステップS606においてYES)、CPU51aは、メインルーチンにおける第2試薬チェック処理の呼出アドレスへと処理を戻す。
【0126】
一方、ステップS604において、既に使用されている試薬であると判定された場合には(ステップS604においてNO)、CPU51aは、メインルーチンにおける第2試薬チェック処理の呼出アドレスへと処理を戻す。
【0127】
図19に戻り、第2試薬チェック処理が終了すると、CPU51aは、適切な試薬が設置されたか否かを判定し(ステップS409)、適切な試薬が設置されている場合には(ステップS409においてYES)、RFIDタグ260,360から読み出されたシリアル番号を、試薬管理テーブルRMTにおいて当該試薬が設置されたホルダ部を示す設置位置に対応付けて記憶する(ステップS410)。この処理は、実施の形態1において説明したステップS228の処理と同様であるので、説明を省略する。
【0128】
次にCPU51aは、ハードディスク51dから通知メッセージMSを読み出し、「試薬交換が完了しました。」の通知メッセージを画像表示部52に表示させる(ステップS411)。このとき、ステップS404において表示されたユーザに試薬交換を促す通知メッセージから、試薬交換の完了を示す通知メッセージへと表示が変更される。ステップS411において通知メッセージを表示してから所定時間経過後、CPU51aが当該通知メッセージの表示を終了し(ステップS412)、試薬交換制御処理を終了する。
【0129】
また、ステップS409において、適切な試薬が設置されていない場合には(ステップS409においてNO)、CPU51aは試薬交換制御処理を終了する。なお、ステップS409において適切な試薬が設置されていないとCPU51aが判定する場合には、すでにステップS408の第2試薬チェック処理の詳細なフロー中のステップS602において、交換された試薬が適切でないと判定されている(ステップS602においてNO)。そのため、CPU51aはステップS603においてすでにハードディスク51dから通知メッセージMSを読み出し、「正しい試薬がセットされていません。」の通知メッセージを画像表示部52に表示させ、ブザー39,29にアラーム音を発生させており、ステップS409において適切な試薬が設置されていないとCPU51aが判定する場合にもその状態は継続している。
【0130】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態1及び2においては、試薬交換が行われ、カバー63の閉鎖をカバー開閉センサ63aが検出したときに、RFIDタグ260,360に使用開始日を書き込む構成について述べたが、これに限定されるものではない。使用開始時期は特定せず、使用中であることを示す情報を書き込む構成としてもよい。例えば、RFIDタグ260,360の書き込み可能領域において、使用フラグとして定められた特定のアドレスに「1」がセットされているときには使用中であることを示し、当該アドレスに「0」がセットされているときには未使用であることを示す構成とした場合において、試薬交換が行われ、カバー63の閉鎖をカバー開閉センサ63aが検出したときに、RFIDの使用フラグに「1」をセットする構成としてもよい。
【0131】
また、上述した実施の形態1及び2においては、試薬の交換が必要と検体分析装置が判断した場合に、試薬交換動作を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体分析装置がユーザから試薬交換の指示を受け付けた場合に、試薬交換動作を実行する構成であってもよい。また、ユーザから試薬交換指示を受け付けなくても、カバーの開放を検出した場合に、実施の形態2の試薬交換制御処理におけるステップS406〜S412の処理を実行する構成としてもよい。
【0132】
また、上述した実施の形態1及び2においては、RFIDタグ260,360に、シリアル番号、ロット番号等の変更不可試薬情報が記憶されており、RFIDリーダライタ61a〜61eによってこれらの変更不可試薬情報を読み出す構成について述べたが、これに限定されるものではない。試薬容器200,300に付されたRFIDタグ260,360には、使用開始日及び使用回数の可変試薬情報のみを記憶し、シリアル番号、ロット番号等の変更不可試薬情報をバーコードとして記録されたバーコードラベルを別途試薬容器200,300に貼布しておき、各ホルダ部60a〜60eに設けたバーコードリーダによって、バーコードラベルから変更不可試薬情報を読み出す構成としてもよい。また、RFIDタグ260,360には、可変試薬情報に加え、変更不可試薬情報の一部(例えば、開封後有効期間)を記憶しておき、他の変更不可試薬情報をバーコードとして記録されたバーコードラベルを試薬容器200,300に貼布するようにしてもよい。
【0133】
また、上述した実施の形態1及び2においては、書き込み可能なRFIDタグ260,360に試薬情報を記憶させ、このRFIDタグが貼布された試薬容器200,300を試薬容器ホルダ60に設置する構成について述べたが、書き込み可能な記録媒体であれば、RFIDタグに限定されず、他の書き込み可能な記録媒体であってもよい。
【0134】
また、上述した実施の形態2においては、カバー63が開放されている間に第1試薬チェック処理において試薬容器が適切か否かが判定され、カバー63が閉鎖されたときに第1試薬チェック処理において試薬容器が適切か否かが判定される構成について述べたが、これに限定されるものではない。カバー63が閉鎖されたときに試薬容器が適切か否かを判定し、カバー63が開放されている間には試薬容器が適切か否かを判定しない構成としてもよい。また、カバー63が開放されている間に試薬容器が適切か否かを判定し、カバー63が閉鎖されたときには試薬容器が適切か否かを判定しない構成としてもよい。
【0135】
また、上述した実施の形態2においては、第1試薬チェック処理における試薬容器の適否判定は、その試薬容器のRFIDタグから読み出された試薬コードに基づいて、当該試薬容器がその設置位置に設置されるべきものであるか否かが判定される構成について述べたが、これに限定されるものではない。この適否判定において、試薬容器がその設置位置に設置されるべきものであるかどうかに加え、又はこれに代えて、当該試薬が未使用であるか否か、当該試薬の使用期限が切れているか否かを判定する構成としてもよい。
【0136】
また、上述した実施の形態2においては、RFIDタグから読み出した使用開始日の情報が工場出荷状態から変更されていない場合には、RFIDタグに使用開始日の情報を書き込み、RFIDタグから読み出した使用開始日の情報が工場出荷状態から変更されている場合には、RFIDタグに使用開始日の情報を書き込まない構成について述べたが、これに限定されるものではない。一度使用開始日の情報がRFIDタグに書き込まれると、使用開始日の情報が格納されている領域を書き込み不可の状態に変化させ、使用開始日の情報が工場出荷状態から変更されているか否かにかかわらず、適切な試薬に交換されていると判断された場合には、RFIDタグに使用開始日の情報の書き込みを行う構成としてもよい。この場合、未使用の試薬においてはRFIDタグの使用開始日の情報が格納されている領域が書き込み可の状態であるため使用開始日の情報が書き込まれ、使用開始されている試薬においてはRFIDタグの使用開始日の情報が格納されている領域が書き込み不可の状態であるため使用開始日の情報が書き込まれないこととなる。
【0137】
また、上述した実施の形態1及び2においては、RFリーダライタ61a〜61eによってRFIDタグに対して情報を読み書きする構成について述べたが、これに限定されるものではない。RFIDタグから情報を読み出すリーダ装置と、RFIDタグに情報を書き込むライタ装置とがそれぞれ独立して設けられていてもよい。
【0138】
また、上述した実施の形態1及び2においては、カバー63,663とピアサ64とをピアサ昇降機構65によって連結し、カバー63,663とピアサ64とがユーザの操作により一体的に昇降する構成について述べたが、これに限定されるものではない。ピアサ64を昇降するためのモータ等の駆動源を設け、カバー63,663を上下方向に移動させたときに、情報処理ユニット5が駆動源を制御して、カバー63,663の昇降と連動してピアサ64を昇降させる構成としてもよいし、カバー63,663とは独立してピアサ64を昇降させる構成としてもよい。
【0139】
また、上述した実施の形態1及び2においては、カバー63の開放は、カバー63が少しでも上昇したときに検知され、カバー63の閉鎖は、カバー63が完全に閉鎖されたときに検知される構成について述べたが、これに限定されるものではない。カバー63の開放が、カバー63が完全に開放されたときに検知され、カバー63の閉鎖が、カバー63が完全開放の状態から少しでも下降したときに検知されてもよい。また、カバー63の開放が、カバー63が所定の高さまで上昇したときに検知され、カバー63の閉鎖が、カバー63が当該所定の高さまで下降したときに検知されてもよい。
【0140】
また、上述した実施の形態1及び2においては、カバー開閉センサ63aにより試薬容器の設置完了を検知する構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、ピアサ64の移動を検知することにより試薬容器の設置操作を検知してもよいし、支持部624の回動を検知することにより試薬容器の設置操作を検知してもよいし、RFIDタグ260,360の読み取り結果により試薬容器の設置完了を検知してもよい。
【0141】
また、上述した実施の形態1及び2においては、第1測定ユニット及び第2測定ユニットが、それぞれサンプル容器100をユニット内部に取り込み、ユニット内部においてサンプル容器100から検体を吸引する構成について述べたが、これに限定されるものではない。第1測定ユニットが検体搬送ユニット上にあるサンプル容器100から直接検体を吸引する構成としてもよいし、第2測定ユニットが検体搬送ユニット上にあるサンプル容器100から直接検体を吸引する構成としてもよい。
【0142】
また、上述した実施の形態1及び2においては、検体分析装置が第1測定ユニット及び第2測定ユニットの2つの測定ユニットを備える構成としたが、これに限定されるものではない。検体分析装置が3つ以上の測定ユニットを備えていてもよいし、検体分析装置が1つの測定ユニットを備えていてもよい。
【0143】
また、上述した実施の形態1及び2においては、第1測定ユニット、第2測定ユニット及び検体搬送ユニットと別個に設けられた情報処理ユニットによって、第1測定ユニット、第2測定ユニット及び検体搬送ユニットを制御する構成について述べたが、これに限定されるものではない。第1測定ユニット、第2測定ユニット及び検体搬送ユニットのそれぞれの内部にCPU及びメモリ等を搭載した制御基板を設け、それぞれの制御基板を情報処理ユニットと通信可能に接続し、情報処理ユニットから送信されたコマンドにしたがって、制御基板が第1測定ユニット、第2測定ユニット及び検体搬送ユニットの各機構部分を制御する構成としてもよい。
【0144】
また、上述した実施の形態1及び2においては、検体分析装置が第1測定ユニット及び第2測定ユニットと別個に設けられた情報処理ユニットを備える構成としたが、これに限定されるものではない。測定ユニット及び情報処理ユニットを1つの筐体内に搭載した一体型の検体分析装置としてもよい。
【0145】
また、上述した実施の形態1及び2においては、多項目血球分析装置に本発明を適用した例を示したが、これに限定されるものではない。血液凝固測定装置、免疫分析装置、尿中有形成分分析装置、尿定性分析装置、生化学分析装置、又は免疫分析装置のような多項目血球分析装置以外の検体分析装置であって、複数種類の試薬を使用して検体を分析するものに本発明を適用してもよい。この場合、試薬容器設置部に設置される試薬容器は、血球分析用の染色液を収容した試薬容器に限られない。血液凝固測定装置においては、血液凝固測定用試薬を収容する試薬容器を、尿中有形成分分析装置においては、尿中有形成分分析用の試薬を収容する試薬容器を、尿定性分析装置においては、尿定性分析用試薬を収容する試薬容器を、生化学分析装置においては、生化学分析用試薬を収容する試薬容器を、免疫分析装置においては、免疫分析用試薬を収容する試薬容器を、それぞれ試薬容器設置部に設置する構成とすることができる。また、多項目血球分析装置においても、血球分析用の染色液以外の試薬、例えば溶血剤を収容した試薬容器を試薬容器設置部に設置する構成であってもよい。なお、本発明は、フローサイトメータを備えた粒子分析装置に特に好適に適用できる。フローサイトメータを備えた粒子分析装置としては例えば、多項目血球分析装置、尿中有形成分分析装置、及び血中がん細胞分析装置などが挙げられる。上記粒子分析装置においては、複数種類の染色試薬を用いて検出対象物の粒子を染色するため、流体系が染色試薬により汚染されやすく、また、染色試薬の種類も生化学分析装置のように多くない。このため、各染色試薬を分析装置に設置する位置が染色試薬の種類ごとに決まっており、粒子分析装置を使用する際に、設置された位置から染色試薬が動かされることはない。このように粒子分析装置は、染色試薬の設置位置が染色試薬の種類ごとに決まっているので、設置された試薬の種類が適切か否かの確認が行われることは粒子分析装置以外の分析装置に比べ有意義である。
【0146】
また、上述した実施の形態1及び2においては、単一のコンピュータ5aによりコンピュータプログラム54aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム54aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
【0147】
また、上述した実施の形態1及び2では、カバー63の閉鎖が検出された場合に、CPU51aは、その試薬が設置されているホルダ部のRFIDリーダライタを駆動して、当該試薬が収容されている試薬容器に付されているRFIDタグに、使用開始日を書き込んでいるが、本発明はこれに限らない。ホルダ部に機械スイッチが設けられており、試薬容器が設置された際に、試薬容器により該機械スイッチが押された場合に、CPU51aがRFIDタグに、使用開始日を書き込んでもよい。また、ホルダ部に発光部と受光部からなる光センサを備え、該光センサの発光部から受光部への光が試薬容器によりさえぎられた場合に、CPU51aがRFIDタグに、使用開始日を書き込んでもよい。さらに、一定時間ごとに継続的にホルダ部に設置されている試薬容器のRFIDタグから試薬情報が読み出され、所定時間連続的に試薬情報が読み出すことができた場合に、CPU51aがRFIDタグに、使用開始日を書き込んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明の検体分析装置は、試薬を使用して検体を分析する検体分析装置として有用である。
【符号の説明】
【0149】
1 検体分析装置
2 第2測定ユニット
3 第1測定ユニット
2a、3a ドライバ基板
21、31 検体吸引部
22、32 試料調製部
223(223a〜223e) 気泡センサ
23、33 検出部
27 廃液チャンバ
27a 電磁バルブ
29、39 ブザー
4 検体搬送ユニット
5 情報処理ユニット
5a コンピュータ
51a CPU
51b ROM
51c RAM
51d ハードディスク
52 画像表示部
54a コンピュータプログラム
60 試薬容器ホルダ
60a〜60e、660a〜660e ホルダ部
61 シャーシ
61a〜61e RFIDリーダライタ
62 試薬容器設置部
62a〜62e アンテナ
63 カバー
63a カバー開閉センサ
64(64a〜64e) ピアサ
65(65a〜65e) ピアサ昇降機構
65a 検出片
666 ロック部
666a 第1ロック穴
666b 第2ロック穴
667 押しボタンスイッチ
668 ソレノイド
668a プランジャ
200、300 試薬容器
260、360 RFIDタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報の書き込みが可能であり且つ試薬情報が記憶された記録媒体が付されており、特定の試薬を収容した試薬容器を設置するための試薬容器設置部と、
試薬容器設置部に設置された試薬容器に付された記録媒体に記憶された情報を読み出す処理が可能な読取部と、
試薬容器設置部に設置された試薬容器に付された記録媒体に情報を書き込む処理が可能な書込部と、
書込部による情報の書き込みの指示を行う書込指示部と、
読取部により試薬容器設置部に設置された試薬容器の記録媒体から読み出された試薬情報に特定の試薬を示す情報が含まれており、且つ、書込指示部により書き込み指示があった場合に、試薬容器設置部に設置された試薬容器に付された記録媒体に情報を書き込むよう書込部を制御する制御部と、
を備える、検体分析装置。
【請求項2】
情報の書き込みが可能であり且つ試薬情報が記憶された記録媒体が付されており、第2の特定の試薬を収容した第2試薬容器を設置するための第2試薬容器設置部と、
第2試薬容器設置部に設置された試薬容器に付された記録媒体に記憶された情報を読み出す処理が可能な第2読取部と、
第2試薬容器設置部に設置された試薬容器に付された記録媒体に情報を書き込む処理が可能な第2書込部と、
第2書込部による情報の書き込みの指示を行う第2書込指示部と、を備え、
前記制御部は、第2読取部により第2試薬容器設置部に設置された試薬容器の記録媒体から読み出された試薬情報に第2の特定の試薬を示す情報が含まれており、且つ、第2書込指示部により書き込み指示があった場合に、第2試薬容器設置部に設置された試薬容器に付された記録媒体に情報を書き込むよう第2書込部を制御する、請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項3】
前記試薬容器設置部に設けられた開閉可能なカバーをさらに備え、
前記書込指示部は、前記カバーの閉鎖を検知するセンサを備え、センサがカバーの閉鎖を検知することで、書き込み指示を行う、請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項4】
前記書込指示部は、前記試薬容器設置部への試薬容器の設置を検出するセンサを備え、センサが試薬容器の設置を検知することで、書き込み指示を行う、請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項5】
前記書込部は、交換後の試薬容器に収容されている試薬の使用開始時期に関する情報を、前記記録媒体に書き込む、請求項1乃至4の何れか1項に記載の検体分析装置。
【請求項6】
出力部をさらに備え、
前記制御部は、前記記録媒体に書き込まれた使用開始時期に関する情報に基づいて、前記出力部に試薬の有効期限切れを示す情報を出力させる、
請求項5に記載の検体分析装置。
【請求項7】
前記記録媒体には、試薬の製造後有効期限に関する情報が記憶されており、
前記制御部は、前記使用開始時期に関する情報及び前記製造後有効期限に関する情報に基づいて、前記出力部に試薬の有効期限切れを示す情報を出力させる、
請求項6に記載の検体分析装置。
【請求項8】
出力部をさらに備え、
前記制御部は、前記記録媒体への情報の書き込み完了を確認した後に、試薬交換の完了を示す情報を前記出力部に出力させる、
請求項1乃至7の何れか1項に記載の検体分析装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記記録媒体への情報の書き込み完了を確認した後に、交換後の試薬容器に収容されている試薬を検体の分析に使用可能とするための試薬交換シーケンスを実行し、前記試薬交換シーケンスの完了後に、試薬交換の完了を示す情報を前記出力部に出力させる、
請求項8に記載の検体分析装置。
【請求項10】
前記読取部および書込部は、前記試薬容器設置部に設置された試薬容器に付された記録媒体から情報を読み出す読み出し処理と、前記試薬容器設置部に設置された試薬容器に付された記録媒体に情報を書き込む書き込み処理とを実行可能に構成された読み書き部である、請求項1乃至9の何れか1項に記載の検体分析装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記読取部により読み出された情報に使用開始時期に関する情報が含まれているか否かを判定し、使用開始時期に関する情報が含まれていない場合、設置された試薬容器に付された記録媒体に、設置された試薬容器に収容されている試薬の使用開始時期に関する情報を書き込むよう前記書込部を制御する、請求項1乃至10の何れか1項に記載の検体分析装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記読取部により読み出された情報に使用開始時期に関する情報が含まれているか否かを判定し、使用開始時期に関する情報が含まれている場合には、読取部により読み出された試薬情報に特定試薬を示す情報が含まれており、且つ、書込指示部により書き込み指示がされた場合であっても、情報の書き込み処理を実行しないように前記書込部を制御する、請求項1乃至10の何れか1項に記載の検体分析装置。
【請求項13】
前記試薬容器設置部に設置された試薬容器から特定試薬を吸引する吸引管と、
前記カバーを開放したときに前記吸引管が試薬容器から退出し、前記カバーを閉鎖したときに前記吸引管が試薬容器へ進入するように、前記カバーの開閉と連動して前記吸引管を移動させる連動部と、
をさらに備える、請求項3に記載の検体分析装置。
【請求項14】
前記試薬容器は、前記吸引管により穿刺可能な蓋部を備え、
前記連動部は、前記カバーを閉鎖したときに前記吸引管が蓋部を穿刺して試薬容器へ進入するように、前記カバーの開閉と連動して前記吸引管を移動させる、請求項13に記載の検体分析装置。
【請求項15】
前記制御部は、試薬容器の液量を監視し、監視結果に基づいて、試薬容器の交換が必要か否かを判定する、請求項1乃至14の何れか1項に記載の検体分析装置。
【請求項16】
試薬容器に収容された特定試薬と検体とから測定試料を調製する試料調製部と、
前記試料調製部により調製された測定試料を導入するフローセルを備え、フローセルを通過する測定試料から、所定の血球を検出する検出部と、
をさらに備える、請求項1乃至15の何れか1項に記載の検体分析装置。
【請求項17】
前記試薬容器設置部は、検体に含まれる所定の検出対象物を染色するための染色液が収容される試薬容器を設置するためのものである、請求項1乃至16の何れか1項に記載の検体分析装置。
【請求項18】
情報の書き込みが可能であり且つ試薬情報が記憶された記録媒体が付されており、特定の試薬を収容した試薬容器を設置するための試薬容器設置部と、
試薬容器設置部に設置された試薬容器に付された記録媒体に記憶された情報を読み出す処理が可能な読取部と、
試薬容器設置部に設置された試薬容器に付された記録媒体に情報を書き込む処理が可能な書込部と、
前記読取部により試薬容器設置部に設置された試薬容器の記録媒体から特定の試薬を示す試薬情報が所定時間連続的に読み出された場合に、試薬容器設置部に設置された試薬容器に付された記録媒体に情報を書き込むよう書込部を制御する制御部と、
を備える、検体分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−227048(P2011−227048A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6813(P2011−6813)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】