説明

検体分析装置

【課題】排出した熱が検体分析装置自身または周囲の分析装置を暖めることを回避することが可能な検体分析装置を提供する。
【解決手段】この検体分析装置100は、装置本体を覆うとともに、上面11に排気口13を有する筐体1と、筐体1の内側に設けられ、検体と反応させるための試薬を保冷するための試薬保冷庫20と、筐体1の内側に設けられ、試薬保冷庫20の冷却に伴って発生した熱により暖められた空気を筐体1の外部へ排出するためのダクト50とを備え、ダクト50は、排気口13から暖められた空気を排出するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体分析装置に関し、特に、排気口を有する検体分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排気口を有する検体分析装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。検体分析装置には、分析に用いる試薬を保冷するための試薬保冷庫などの温度調節を必要とする機器が設けられる。このような試薬保冷庫や、検体分析装置の電源部からは使用時に熱が発生する。検体分析装置による分析では検体と試薬とを所定温度で反応させる必要があるため、装置内の温度が上がり過ぎないよう、試薬保冷庫や電源部で発生した熱を装置外に排出する必要がある。
【0003】
上記特許文献1には、一端が吸気口に接続され、他端が排気口に接続されたダクトと、ダクト内の空気を排気口に向けて送り出すファンとを備え、ダクト内に放熱器や電源部などの熱源が配置された検体分析装置が開示されている。この検体分析装置では、冷却媒体である空気をダクト内の各熱源に接触させ、各熱源から熱を奪った空気が、分析装置(筐体)の側面に設けられた排気口から装置外へ排出されるように構成されている。また、上記特許文献1には、排気口は装置側面の中でも装置後面に設けることが望ましいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−201162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、検体分析装置が設置される検査室などでは、スペースの制約から複数の分析装置が前後または左右に近接して設置される場合がある。このような場合に、上記特許文献1に記載の検体分析装置では、装置の側面(後面)に設けられた排気口から排出された熱が隣接する他の分析装置を暖めてしまうという問題点がある。また、上記特許文献1に記載の検体分析装置が壁際に設置された場合には、排気された空気が壁によって跳ね返され、排気した検体分析装置自身を暖めてしまうという問題点が生じることになる。このように排出した熱によって検体分析装置自身、または周囲の他の分析装置が暖められた場合には、暖められた装置の分析の精度に影響を及ぼすおそれがある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の1つの目的は、排出した熱が検体分析装置自身または周囲の分析装置を暖めることを回避することが可能な検体分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による検体分析装置は、装置本体を覆うとともに、上面に排気口を有する筐体と、筐体の内側に設けられ、検体と反応させるための試薬を保冷するための試薬保冷庫と、筐体の内側に設けられ、試薬保冷庫の冷却に伴って発生した熱により暖められた空気を筐体外へ排出するための導管とを備え、導管は、排気口から暖められた空気を排出するよう構成されている。
【0008】
この発明の一の局面による検体分析装置では、上記のように、試薬保冷庫の冷却に伴って発生した熱により暖められた空気を筐体外へ排出するための導管を設けるとともに、導管が筐体の上面の排気口から暖められた空気を排出するよう構成することによって、装置内で発生した熱により暖められた空気を導管を介して筐体の上面の排気口から外部に排出することができる。これにより、暖められた空気が検体分析装置の側方に向かって排出されることを防止することができるので、他の分析装置が隣接して配置されている場合には、周囲の分析装置を暖めることを回避することができる。また検体分析装置が壁際に設置された場合には、暖められた空気が壁によって跳ね返され検体分析装置自身を暖めることを回避することができる。
【0009】
上記一の局面による検体分析装置において、好ましくは、試薬保冷庫は、冷却素子を有し、冷却素子は、試薬保冷庫を冷却する際に熱を発生するように構成されている。このように構成すれば、冷却素子を用いて試薬保冷庫を効果的に冷却することができる。この場合にも、冷却素子から発生した熱により暖められた空気を導管を介して筐体の上面の排気口から外部(上方)に排出することができるので、冷却素子から排出した熱が検体分析装置自身または周囲の分析装置を暖めることを回避することができる。
【0010】
この場合において、好ましくは、冷却素子に空気を接触させるための冷却用ファンをさらに備える。このように構成すれば、冷却用ファンにより、冷却素子から発生した熱を効果的に冷却することができる。
【0011】
上記一の局面による検体分析装置において、好ましくは、試薬保冷庫の冷却に伴って発生した熱により暖められた空気を収容可能な空気誘導部をさらに備え、導管は空気誘導部に接続されている。このように構成すれば、試薬保冷庫の冷却に伴って発生した熱により暖められた空気を空気誘導部および導管を経由して筐体の上面の排気口まで送り出すことができる。この際、導管が空気誘導部に接続されるため、空気誘導部に収容された空気(試薬保冷庫の冷却に伴って発生した熱により暖められた空気)を装置内部に逃がすことなく、より確実に導管から排出することができる。
【0012】
この場合において、好ましくは、空気誘導部は、断熱材を含む壁部により取り囲まれている。このように構成すれば、試薬保冷庫の冷却に伴って発生した熱により暖められた空気が空気誘導部に収容された場合に、断熱材を含む壁部によって空気誘導部の外部に熱を拡散させることを抑制することができる。これにより、試薬保冷庫の冷却に伴って発生した熱を筐体(装置)の内部に逃がすことなく筐体(装置)の外部に排出することができる。
【0013】
上記冷却素子を備える構成において、好ましくは、冷却素子は、試薬保冷庫内部を冷却する吸熱部と、試薬保冷庫を冷却する際に、試薬保冷庫の外部において熱を発生する排熱部とを含む。このように構成すれば、試薬保冷庫の冷却に伴って発生する熱の熱源(排熱部)を、試薬保冷庫の外部に配置することができるので、試薬保冷庫の内部を効果的に冷却することができるとともに、試薬保冷庫の外部の排熱部から発生した熱により暖められた空気を容易に導管に送ることができる。
【0014】
この場合において、好ましくは、冷却素子は、ペルチェ素子である。このように構成すれば、素子の一方面側で吸熱(冷却)し、他方面側で発熱(排熱)させることが可能な性質を有するペルチェ素子を用いることにより、容易に、吸熱部によって試薬保冷庫内部を冷却させ、排熱部により試薬保冷庫の外部で排熱させる構成を得ることができる。
【0015】
上記冷却素子が吸熱部と排熱部とを含む構成において、好ましくは、冷却素子の排熱部に空気を接触させるための冷却用ファンと、試薬保冷庫の冷却に伴って発生した熱により暖められた空気を収容可能な空気誘導部とをさらに備え、冷却用ファンは、上流側の空気を冷却素子の排熱部と接触させながら引き込み、下流側で排熱部に接触させた空気を空気誘導部へ送り出すように構成されている。このように構成すれば、冷却用ファンが上流側の空気を引き込む際に排熱部を冷却することができるとともに、引き込んだ空気を下流側に送り出すことにより、排熱部の熱により暖められた空気を空気誘導部へ送り出すことができる。これにより、共通の冷却用ファンによって、排熱部の冷却を行うことができるだけでなく、排熱部の熱により暖められた空気を確実に空気誘導部に収容させることができる。
【0016】
この場合において、好ましくは、筐体内部を上下に仕切るとともに、上面側に試薬保冷庫が設置される仕切板をさらに備え、空気誘導部は、仕切板の下面側であって、試薬保冷庫の下方の位置に配置されている。このように構成すれば、空気誘導部が仕切板の下面側に配置されるので、試薬保冷庫を含む各種の機構の配置スペース(仕切板の上面側)に空気誘導部を設けずに済む。さらに、空気誘導部が試薬保冷庫の下方の位置に配置されるため、試薬保冷庫の冷却に伴って発生した熱により暖められた空気を容易に収容することができる。
【0017】
上記一の局面による検体分析装置において、好ましくは、導管は、上下に延びるように設けられ、排気口側の一端における水平断面の面積が、導管の一端と他端との間の中間部における水平断面の面積よりも大きくなるように構成されている。ここで、検体分析装置の装置本体には、検体の分析を行うために、試薬保冷庫を含む各種の機構が設けられる。このため、上下に延びるように設けられた導管の中間部における水平断面の面積を小さくすることによって、装置本体の各種機構の設置スペースの制約を低減することができる。また、導管の一端における水平断面の面積を、導管の中間部における水平断面の面積よりも大きくするように構成することによって、導管の一端側の空気圧を中間部よりも低圧にすることができるため、容易に、導管内部の空気を排気口近傍の一端側まで送ることができる。
【0018】
上記一の局面による検体分析装置において、好ましくは、導管内の空気を筐体外へ排出するための排気用ファンをさらに備える。このように構成すれば、排気用ファンにより、試薬保冷庫の冷却に伴って発生した熱により暖められた空気を容易に排気口から外部に排出することができる。
【0019】
この場合において、好ましくは、排気用ファンは、排気口の近傍に設けられている。このように構成すれば、導管内の空気を筐体の上面の排気口の近傍まで引き込み、引き込んだ導管内の空気を効率良く排気口から外部に送り出すことができる。また、通常、筐体内部の上面近傍の位置は設置スペースに余裕があるため、装置本体の各種機構の設置スペースを制限することなく排気用ファンを設けることができる。
【0020】
上記一の局面による検体分析装置において、好ましくは、電源部をさらに備え、電源部において発生した熱により暖められた空気が、導管を介して筐体外へ排出されるよう構成されている。このように構成すれば、試薬保冷庫の冷却に伴って発生した熱により暖められた空気だけでなく、電源部において発生した熱により暖められた空気も、導管を介して筐体外へ排出することができる。これにより、試薬保冷庫以外の装置内部で発生した熱も筐体外へ排出することができ、この場合にも、検体分析装置自身が暖められることを回避することができる。
【0021】
この場合において、好ましくは、導管内の空気を筐体外へ排出するための複数の排気用ファンをさらに備え、複数の排気用ファンは、電源部において発生した熱により暖められた空気の排出と、試薬保冷庫の冷却に伴って発生した熱により暖められた空気の排出と、に共用される。このように構成すれば、例えば電源部により暖められた空気を排出する際に、電源部により暖められた空気の排出のためのみに個別に排気用ファンを設ける場合に比べ、効率よく熱を排出できる。
【0022】
上記一の局面による検体分析装置において、好ましくは、排気口は、筐体上面の後部に配置されている。このように構成すれば、試薬保冷庫の冷却に伴って発生した熱により暖められた空気が筐体上面の後部から排出されるため、検体分析装置を使用する際に筐体の正面(前方側)からユーザがアクセスした場合に、ユーザに対して排気(熱を含んだ空気)を届き難くすることができる。これにより、検体分析装置を使用するユーザにも配慮して、排気を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態による検体分析装置の外観を示した斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による検体分析装置の筐体の内部の構成を示した斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態による検体分析装置のダクトを説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態による検体分析装置の内部構造を説明するための斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態による検体分析装置の試薬保冷庫、空気誘導部および電源部の平面的な配置を説明するための模式図である。
【図6】本発明の一実施形態による検体分析装置の試薬保冷庫および空気誘導部の構造を説明するための断面図である。
【図7】本発明の一実施形態による検体分析装置の空気誘導部の内部構造を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
まず、図1〜図7を参照して、本発明の一実施形態による検体分析装置100の構成について説明する。
【0026】
本発明の一実施形態による検体分析装置100は、血液などの検体に試薬を反応させて測定試料を調製し、測定対象物質を分析する免疫分析装置である。
【0027】
図1および図2に示すように、検体分析装置100は、装置本体を覆う筐体1を備える。この筐体1内に、試薬を収容した試薬容器110(図4参照)を保持する試薬保冷庫20を含む測定機構部2や、電源部30などの各種設備が収容されている。
【0028】
図1に示すように、筐体1は、装置本体を取り囲むように、上面11、底面、および、側面12を有する。筐体の上面11には、矩形状の排気口13が設けられている。本実施形態では、排気口13は、筐体1の上面11において、検体分析装置100の後方(矢印Y2方向)の端部近傍に配置されている。排気口13は、装置内部の熱を含んだ空気を装置上方(矢印Z1方向)に排出する機能を有する。なお、矢印Y1方向側が装置の前方であり、検体分析装置100の使用時にユーザは、矢印Y1方向側から装置の各部にアクセスする。
【0029】
筐体1は、内部がベース板40によって上下に仕切られた2段構造を有する。ベース板40の上面側の領域には、試薬保冷庫20を含む測定機構部2が配置されており、ベース板40の下面側の領域は、電源部30や制御部などの各種設備の収容部となっている。測定機構部2は、試薬保冷庫20のほか、検体と試薬とを反応させる反応容器の供給部や、試薬保冷庫20に設置された試薬容器から試薬を吸引し、反応容器に分注するための分注アーム、反応容器を移送する移送部、反応容器内の試薬と検体とを反応させて測定試料を調製する反応部、および、測定対象物質の含有量に応じた光学的情報を測定試料から検出する検出部などを含む。ベース板40の下面側の領域には、電源部30が設置される電源収容部3や、後述する空気誘導部60が設けられている。電源部30は、検体分析装置100の各部への電力供給を行う機能を有し、電源部30はこの電力供給に伴って発熱する。
【0030】
また、ベース板40の上面側(筐体1内上段)には、筐体1の上面11の排気口13に接続された排気用のダクト50が設けられている。ダクト50は、試薬保冷庫20の冷却に伴って発生した熱、および、電源部30で発生した熱により暖められた空気を排気口13から排出するように構成されている。本実施形態では、ダクト50は、排気口13の直下の位置(装置後方、矢印Y2方向側)において、上下(Z方向)に延びるように形成されている。図3に示すように、ダクト50の上端部50aが排気口13と連通するように接続されており、ダクト50の下端部50bがベース板40に形成された開口部43および44を介してベース板40の下面側(矢印Z2方向側)に連通している。
【0031】
ダクト50の上端部50aには、排気口13の近傍(直下)の位置に4つの排気用ファン51a〜51dが並んで設けられている。これらの排気用ファン51a〜51dは平面的に見て矩形状(図2参照)であり、排気口13(図1参照)はこれらの排気用ファン51a〜51dに対応するように長方形状に形成されている。これらの排気用ファン51a〜51dは、ダクト50内の空気を取り込むとともに、排気口13を介して、取り込んだ空気を筐体1の外部へ向けて上方に送り出す機能を有する。
【0032】
ダクト50は、内部が仕切り50dによって仕切られることにより、大きさ(通路内断面積)の異なる2つの空気通路52および53が形成されている。
【0033】
大型の空気通路52は、上端が3つの排気用ファン51a〜51cに接続されており、下端がベース板40の開口部43を介して空気誘導部60(図4参照)に接続されている。小型の空気通路53は、上端が1つの排気用ファン51dに接続されており、下端がベース板40の開口部44に接続されている。これらの空気通路52および53は、互いに個別に設けられており、空気通路52と空気通路53との間で空気は流通しない。
【0034】
また、空気通路52は、上端部50aと下端部50bとにおける水平断面積(空気通路の通路断面積)が、上端部50aと下端部50bとの間の中間部50cの水平断面積(空気通路の通路断面積)よりも大きくなるように形成されている。具体的には、図3および図4に示すように、上端部50aの空気通路52は幅W1および奥行きD1を有し、下端部50bの空気通路52は幅W2および奥行きD2を有し、中間部50cの空気通路52は、幅W3および下端部50bと同じ奥行きD2を有する。幅および奥行きのそれぞれの関係は、W1>W2>W3、および、D1>D2となっている。したがって、上端部50aにおける空気通路52の水平断面積S1(W1×D1)と、下端部50bにおける空気通路52の水平断面積S2(W2×D2)と、中間部50cにおける空気通路52の水平断面積S3(W3×D2)とは、S1>S2>S3の関係を有する。
【0035】
また、上端部50aにおいて、空気通路53は幅W4および奥行きD1を有し、下端部50bおよび中間部50cにおいて、空気通路53は幅W5および奥行きD2を有する。それぞれの幅の関係は、W4>W5となっている。したがって、上端部50aにおける空気通路53の水平断面積S4(W4×D1)と、下端部50bにおける空気通路53の水平断面積S5(W5×D2)と、中間部50cにおける空気通路53の水平断面積S6(W5×D2)とは、S4>S5=S6の関係を有する。
【0036】
このため、ダクト50全体の空気通路について、上端部50aの水平断面積S7(S1+S4)と、下端部50bの水平断面積S8(S2+S5)と、中間部50cの水平断面積S9(S3+S6)とは、S7>S8>S9の関係を有する。
【0037】
図4に示すように、試薬保冷庫20は、円筒状形状を有し、内部に複数の試薬容器110がセットされている。試薬保冷庫20は、検体と反応させるための試薬を保冷する機能を有する。試薬保冷庫20の外壁20aは断熱材を含み、試薬保冷庫20の外部と内部との熱交換を遮断している。図5に示すように、試薬保冷庫20の内底部には、試薬保冷庫20の内部を冷却するための3つの冷却部21が同心円上に等角度(約120度)間隔で設けられている。
【0038】
3つの冷却部21は同一構造を有する。具体的には、図6に示すように、冷却部21は、冷却素子22と、冷却素子22に取り付けられたヒートシンク(放熱器)23とを有する。冷却素子22はペルチェ素子からなり、冷却素子22に電流を流すことにより、上面部22aで吸熱(冷却)し、下面部22bで発熱するように構成されている。3つの冷却素子22(冷却部21)は、それぞれ、上面部22aが試薬保冷庫20の内部に露出するとともに、試薬保冷庫20内に設けられた金属板24と接触するように設けられている。図4に示すように、金属板24は、アルミニウムまたは銅などの熱伝導性の高い金属からなるとともに、試薬保冷庫20の底部全体にわたって拡がる円板状形状を有する。各冷却素子22は、この金属板24を介して試薬保冷庫20内の熱を吸収(冷却)する。
【0039】
図6に示すように、冷却素子22の発熱面である下面部22bは、試薬保冷庫20の外底面において外部に露出するとともに、露出した表面にヒートシンク23が取り付けられている。ヒートシンク23は、下方(矢印Z2方向)に向けて突出する多数の柱状の放熱部23aが互いに間隔を隔てて配列されており、表面積(放熱面積)を増大させるように構成されている。下面部22bとヒートシンク23とは、一体となって冷却素子22の排熱部として機能する。
【0040】
また、3つの冷却部21のヒートシンク23の下側には、それぞれ1つずつ、冷却用ファン41が設けられている。3つの冷却用ファン41は、それぞれ、上方から空気を取り込み、取り込んだ空気をベース板40に形成された3つの開口部42から下方に向けて送り出すように設けられている。このため、冷却用ファン41の送風によって、ヒートシンク23の側方の空気がヒートシンク23の放熱部23aの間を通過して冷却用ファン41に流入し、ベース板40の開口部42を介して下方に設けられた空気誘導部60に流入するように構成されている。なお、冷却用ファン41の周囲は断熱材41aにより囲まれており、冷却用ファン41とベース板40の開口部42との間などから熱(熱を含んだ空気)が漏れるのを抑制している。これにより、ヒートシンク23の放熱部23aの間を通過する際にヒートシンク23と接触した空気が、ヒートシンク23から熱を奪うとともに空気誘導部60に送り込まれる。
【0041】
空気誘導部60は、ベース板40の下面側に設けられ、3つの冷却用ファン41から送られた熱を含んだ空気を収容可能に構成されている。図5に示すように、空気誘導部60は、平面的に見て、3つの冷却部21(開口部42)を取り囲むように形成されている。図6に示すように、空気誘導部60は、断熱材を含む壁部61により取り囲まれた箱状形状を有し、ベース板40の3つの開口部42を介して空気を受入可能な3つの受入口62(図5参照)と、ベース板40の開口部43を介してダクト50の空気通路52と連通する1つの連通口63とを有する。つまり、空気誘導部60内部は、3つの冷却用ファン41(開口部42)に対応する3つの受入口62と、ダクト50に対応する連通口63とでのみ、外部と連通している。
【0042】
また、空気誘導部60の連通口63は、ベース板40の開口部43に下面側から接続されている。開口部43にはダクト50(空気通路52)の下端部50bが上面側から接続されているため、空気誘導部60とダクト50の空気通路52とは、開口部43および連通口63を介して連通している。空気誘導部60は、底部が平坦に形成され、ダクト50(開口部43)との接続部分(連通口63)に向けて斜め上方に傾斜する傾斜部64が形成されている。これにより、3つの冷却用ファン41から空気誘導部60内に送り込まれた空気を、空気誘導部60内で滞留させることなく傾斜部64に沿ってダクト50に送り出すことが可能である。
【0043】
なお、3つの冷却用ファン41により空気誘導部60に送り込まれる空気流量と、ダクト50の空気通路52を介して3つの排気用ファン51a〜51c(図3参照)により排気口13から送り出される空気流量とが、ほぼ同一となるように構成されている。このため、空気誘導部60から排気口13に至る空気の流通経路において、流れが滞ることなくスムーズに空気を送り出すことが可能である。
【0044】
また、図7に示すように、空気誘導部60の傾斜部64の側方には、壁部61により隔てられた接続部65が形成されている。接続部65は、空気誘導部60の壁部61を利用して、空気誘導部60と一体的に形成されている。なお、図7および図5に示すように、電源収容部3は、接続部65の直下の位置に設けられている。そして、接続部65は、上端でベース板40の開口部44(図3参照)を介してダクト50の空気通路53と連通するとともに、下端で下方に配置された電源部30の電源収容部3に接続されている。これにより、電源部30で発生した熱を含む空気は、電源収容部3から接続部65を通過して空気通路53へと流入することが可能なように構成されている。なお、電源部30から接続部65を介して空気通路53へと至る経路には冷却用ファンが配置されていないため、電源部30で発生した熱を含む空気は、ダクト50の上端部50aの排気用ファン51dによって吸い上げられるようにして筐体1外まで送出されるように構成されている。
【0045】
次に、図3〜図7を参照して、本実施形態の検体分析装置100における排気動作を説明する。
【0046】
まず、試薬保冷庫20の冷却部21から発生した熱を含む空気を、空気誘導部60およびダクト50(空気通路52)を介して排気口13から排気する動作を説明する。
【0047】
3つの冷却部21(図5参照)の各々では、図6に示すように、試薬保冷庫20内の冷却に伴って冷却素子22の下面部22bで発生した熱が、ヒートシンク23の多数の放熱部23aまで伝達する。
【0048】
冷却用ファン41が駆動されることにより、ヒートシンク23の放熱部23aの側方から冷却媒体である空気が流入し、冷却用ファン41に引き込まれる。この際、冷却用ファン41に流れ込む空気の流れの上流側で、冷却媒体である空気が放熱部23aと接触することによって、放熱部23aの熱を奪って冷却する。
【0049】
放熱部23aから奪った熱を含む空気は、冷却用ファン41によって下方に送り出され、開口部42を通過して受入口62から空気誘導部60内に流れ込む。
【0050】
図4に示すように、冷却用ファン41による空気の送り込み(正圧)と、排気口13から装置外部に空気を送り出す排気用ファン51a〜51cの排気(負圧)とによって空気の流れが形成されることにより、空気誘導部60に流入した空気は、空気誘導部60内をダクト50に向けて流通する。空気誘導部60内部は冷却用ファン41とダクト50とにのみ接続されており、かつ、空気誘導部60の壁部61が断熱材を含むため、空気誘導部60内から筐体1内の他の部分への熱(および熱により暖められた空気)の流出が抑制される。
【0051】
また、熱により暖められた空気が空気誘導部60の連通口63からダクト50に流入する際には、傾斜部64に沿って空気が流れるため、冷却用ファン41側への逆流または滞留が生じることなく空気の流通方向がスムーズに上方に変化する。さらに、ダクト50の空気流入口である下端部50bの空気通路52の水平断面積S2が中間部50cの空気通路52の水平断面積S3よりも大きくなっているため、傾斜部64に沿って流れる空気が、容易にダクト50の空気通路52に進入する。
【0052】
図3に示すように、ダクト50の下端部50bの空気通路52に進入した空気は、3つの排気用ファン51a〜51cによって引き上げられるようにして上端部50aまで上昇し、排気用ファン51a〜51cに流れ込む。そして、排気用ファン51a〜51cに流れ込んだ空気が、筐体1の上面11の排気口13から装置外部に上方に向けて排出される。ここで、上端部50aの空気通路52の水平断面積S1が中間部50cの水平断面積S3よりも大きくなっているため、空気通路52内は、断面積の増大とともに低圧になりやすい。このため、熱を含んだ空気を上方に引き上げる吸引力を大きくすることが可能であり、熱を含んだ空気を効率よく装置外部に排出することが可能である。
【0053】
次に、電源部30側で発生した熱を含む空気を、接続部65およびダクト50の空気通路53を介して排気口13から排気する動作を説明する。
【0054】
図3に示すように、排気用ファン51dが駆動されることにより、空気通路53の空気が外部に排出される。図7に示すように、この排気にともなって、開口部44および接続部65を介して空気通路53と連通する電源収容部3内の空気が引き上げられる。
【0055】
この結果、電源部30で発生した熱により暖められた空気は、電源収容部3に接続された接続部65を介してダクト50の空気通路53に流入する。
【0056】
図3に示すように、下端部50bの空気通路53に進入した空気は、排気用ファン51dによって引き上げられるようにして上端部50aの空気通路53まで上昇し、排気用ファン51dに流れ込む。排気用ファン51dに流れ込んだ空気は、筐体1の上面11の排気口13から装置外部に上方に向けて排出される。
【0057】
本実施形態では、上記のように、装置内で発生した熱により暖められた空気をダクト50を介して筐体1の上面11の排気口13から外部に排出することができる。これにより、暖められた空気が検体分析装置100の側方に向かって排出されることを防止することができるので、他の分析装置が隣接して配置されている場合には、周囲の分析装置を暖めることを回避することができる。また検体分析装置100が壁際に設置された場合には、暖められた空気が壁によって跳ね返され検体分析装置100自身を暖めることを回避することができる。以上により、本実施形態による検体分析装置100では、排出した熱が検体分析装置100自身または周囲の分析装置を暖めることを回避することができる。
【0058】
また、本実施形態では、試薬保冷庫20の冷却に伴って発生した熱により暖められた空気を、ダクト50を通じて試薬保冷庫20よりも高い位置において装置外に排出するようにしている。これにより、排出した空気が試薬保冷庫20を暖めることを確実に回避することが出来る。
【0059】
また、本実施形態では、上記のように、試薬保冷庫20は、試薬保冷庫20内を冷却するとともに、冷却する際に熱を発生する冷却素子22が設けられている。このように構成すれば、冷却素子22を用いて試薬保冷庫20を効果的に冷却することができる。この場合にも、冷却素子22から発生した熱により暖められた空気をダクト50を介して筐体1の上面11の排気口13から外部(上方)に排出することができるので、冷却素子22から排出した熱が検体分析装置100自身または周囲の分析装置を暖めることを回避することができる。
【0060】
また、本実施形態では、上記のように、ダクト50の他端が空気誘導部60に接続されている。このように構成すれば、試薬保冷庫20(冷却素子22)によって発生した熱により暖められた空気を、空気誘導部60およびダクト50を経由して筐体1の上面11の排気口13まで送り出すことができる。この際、ダクト50の上端部50aが排気口13に接続され、ダクト50の他端が空気誘導部60に接続されるため、空気誘導部60に収容された空気(試薬保冷庫20の冷却に伴って発生した熱により暖められた空気)を装置(筐体1)内部に逃がすことなく、より確実にダクト50から排出することができる。
【0061】
また、本実施形態では、上記のように、空気誘導部60は、断熱材を含む壁部61により取り囲まれている。このように構成すれば、試薬保冷庫20において発生した熱により暖められた空気が空気誘導部60に収容された場合に、断熱材を含む壁部61によって空気誘導部60の外部に熱を拡散させることを抑制することができる。この結果、試薬保冷庫20において発生した熱を筐体1(装置)の内部に逃がすことなく筐体1(装置)の外部に排出することができる。
【0062】
また、本実施形態では、上記のように、空気誘導部60は、平面的に見て、3つの冷却素子22を取り囲むように形成されている。このように構成すれば、3つの冷却素子22から発生した熱を含んだ空気を1つの空気誘導部60により収容することができるので、3つの冷却素子に対して個別に空気誘導部を設ける場合に比べて、構造を簡素化することができる。
【0063】
また、本実施形態では、上記のように、排気口13に接続されるダクト50の上端部50aにおける水平断面の面積S7が、ダクト50の中間部50cにおける水平断面の面積S9よりも大きくなるように構成されている。ここで、検体分析装置100の装置本体には、検体の分析を行うために、試薬保冷庫20を含む各種の機構(測定機構部2)が設けられる。測定機構部2には、試薬容器から試薬を吸引し、反応容器に分注するための分注アームなどの可動機構が含まれるため、設置スペースの確保が必要となる。このため、ダクト50の中間部50cにおける水平断面の面積S9を小さくすることによって、測定機構部2の設置スペース上の制約を低減することができる。また、ダクト50の上端部50aは筐体1の上面11の排気口13に接続されるため、上端部50aを大型にしても測定機構部2の設置スペースには影響しない。この点を考慮して、本実施形態では、ダクト50の上端部50aにおける水平断面の面積S7を、ダクト50の中間部50cにおける水平断面の面積S9よりも大きくすることによって、ダクト50の上端部50a側の空気圧を中間部50cよりも低圧にすることができるため、容易に、ダクト50内部の空気を排気口13近傍の上端部50a側まで送ることができる。
【0064】
また、本実施形態では、試薬保冷庫20の冷却に伴って発生した熱により暖められた空気は、試薬保冷庫20の下方に誘導されて空気誘導部60内に収容され、その後、筐体1の側壁近傍に測定機構部2の側方を通過するよう設けられたダクト50を介して、上方へ誘導され、筐体1の上面11側から排出される。このように構成することで、測定機構部2における各種機構の設置スペースが大量に必要な場合であっても、それらの設置スペースに影響を与えずに、試薬保冷庫20の冷却に伴って発生した熱を容易に筐体1(装置)の外部に排出することができる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のように、冷却素子22は、試薬保冷庫20内部を冷却する上面部22aと、試薬保冷庫20を冷却する際に、試薬保冷庫20の外部において熱を発生する下面部22bおよびヒートシンク23とを含む。このように構成すれば、試薬保冷庫20の冷却に伴って発生する熱の熱源(下面部22bおよびヒートシンク23)を、試薬保冷庫20の外部に配置することができるので、試薬保冷庫20の内部を効果的に冷却することができる。また、試薬保冷庫20の外部の下面部22bおよびヒートシンク23から発生した熱により暖められた空気を、容易にダクト50に送ることができる。
【0066】
また、本実施形態では、上記のように、冷却用ファン41は、上流側の空気を冷却素子22の下面部22bおよびヒートシンク23と接触させながら引き込み、下流側で下面部22bおよびヒートシンク23に接触させた空気を空気誘導部60へ送り出すように構成されている。このように構成すれば、冷却用ファン41が上流側の空気を引き込む際に下面部22bおよびヒートシンク23を冷却することができるとともに、引き込んだ空気を下流側に送り出すことにより、下面部22bおよびヒートシンク23の熱により暖められた空気を空気誘導部60へ送り出すことができる。これにより、共通の冷却用ファン41によって、下面部22bおよびヒートシンク23の冷却を行うことができるだけでなく、下面部22bおよびヒートシンク23の熱により暖められた空気を確実に空気誘導部60に送り込むことができる。
【0067】
また、本実施形態では、上記のように、上面側に試薬保冷庫20(測定機構部2)が設置されるベース板40をさらに備え、空気誘導部60は、ベース板40の下面側であって、試薬保冷庫20の下方の位置に配置されている。このように構成すれば、空気誘導部60がベース板40の下面側に配置されるので、試薬保冷庫20を含む測定機構部2の設置スペース(ベース板40の上面側)に空気誘導部60を設けずに済む。さらに、空気誘導部60が試薬保冷庫20の下方の位置に配置されるため、試薬保冷庫20(冷却素子22)によって発生した熱により暖められた空気を容易に収容することができる。
【0068】
また、本実施形態では、上記のように、ダクト50内の空気を筐体1外へ排出するための排気用ファン51a〜51cが設けられている。このように構成すれば、排気用ファン51a〜51cにより、試薬保冷庫20(冷却素子22)によって発生した熱により暖められた空気を容易に排気口13から外部に排出することができる。
【0069】
また、本実施形態では、上記のように、排気用ファン51a〜51c(51d)は、排気口13の近傍に設けられている。このように構成すれば、ダクト50内の空気を筐体1の上面11の排気口13の近傍まで引き込み、引き込んだダクト50内の空気を効率良く排気口13から外部に送り出すことができる。また、筐体1内部の上面11近傍の位置は設置スペースに余裕があるため、測定機構部2の設置スペースを制限することなく排気用ファン51a〜51dを配置することができる。
【0070】
また、本実施形態では、上記のように、電源部30において発生した熱により暖められた空気が、ダクト50(空気通路53)を介して筐体1外へ排出されるよう構成されている。このように構成すれば、試薬保冷庫20(冷却素子22)によって発生した熱により暖められた空気だけでなく、電源部30において発生した熱により暖められた空気も、ダクト50を介して筐体1外へ排出することができる。
【0071】
また、本実施形態では、上記のように、ダクト50は、試薬保冷庫20(冷却素子22)によって発生した熱により暖められた空気を排出するための空気通路52と、空気通路52とは別個に設けられ、電源部30によって発生した熱により暖められた空気を排出するための空気通路53とを有する。このように構成すれば、試薬保冷庫20の冷却に伴って発生した熱により暖められた空気が電源部30側に流入したり、電源部30によって発生した熱により暖められた空気が試薬保冷庫20側に流入することを防止することができ、その結果、より確実に、試薬保冷庫20および電源部30によって発生した熱により暖められた空気を装置外部に排出することができる。
【0072】
また、本実施形態では、上記のように、3つの排気用ファン51a〜51cが空気通路52に対応して設けられ、1つの排気用ファン51dが空気通路53に対応して設けられている。このように構成すれば、空気通路52と空気通路53とを個別に設けた構成においても、空気通路52および空気通路53に対応するそれぞれの排気用ファン51a〜51dによって、効率よくダクト50(空気通路52および空気通路53)内の空気を筐体1の外部へ排出することができる。
【0073】
また、本実施形態では、上記のように、排気口13は、筐体1の上面11の後部に配置されている。このように構成すれば、試薬保冷庫20の冷却に伴って発生した熱により暖められた空気が筐体1の上面11の後部から排出されるため、検体分析装置100を使用する際に筐体1の正面(前方側、矢印Y1方向側)からユーザがアクセスした場合に、ユーザに対して排気(熱を含んだ空気)を届き難くすることができる。これにより、検体分析装置100を使用するユーザにも配慮して、排気を行うことができる。
【0074】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0075】
たとえば、上記実施形態では、本発明の検体分析装置を検体(血液)に試薬を反応させて検体に含まれる測定対象物質を分析する免疫分析装置である検体分析装置100に適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。試薬を保冷する試薬保冷庫を備えた検体分析装置であれば本発明は適用可能であり、免疫分析装置以外の検体分析装置、例えば血液凝固分析装置や生化学分析装置にも適用可能である。
【0076】
また、上記実施形態では、ペルチェ素子からなる冷却素子を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ペルチェ素子以外の冷却手段によって試薬保冷庫を冷却するようにしてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、冷却素子を3つ設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、冷却素子を1つ、2つまたは4つ以上設けてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、冷却素子に空気を接触させる冷却用ファンを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、冷却用ファンを設けなくてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、3つの冷却素子に対応させて3つの冷却用ファンを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、複数の冷却素子につき1つだけ冷却用ファンを設けてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、冷却用ファンが上流側で空気を取り込む際にヒートシンクと空気とを接触させ、取り込んだ空気を下流側の空気誘導部に送り込むように構成された例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ヒートシンクの放熱部が空気誘導部内部に露出するように設けるとともに、空気誘導部内に冷却用ファンを設けて、冷却用ファンが空気誘導部内部の空気を放熱部に向けて送風するように構成してもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、試薬保冷庫(冷却素子)によって暖められた空気を収容する空気誘導部を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、空気誘導部を設けることなく、試薬保冷庫(冷却素子)によって暖められた空気を直接ダクトに送り込むように構成してもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、空気誘導部の壁部が断熱材を含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、壁部が断熱材を含まなくともよい。また、壁部は、断熱材と熱伝導性を有する部材との両方を含んでいてもよく、たとえば、金属製の壁部の外表面を断熱材が覆うような構成であってもよい。
【0083】
また上記実施形態において、ダクトを断熱材で覆うように構成してもよい。あるいは、ダクト自体に断熱性の高い素材を用いてもよい。このように構成することにより、試薬保冷庫の冷却によって発生した熱により暖められた空気がダクト内を通過する際、その熱がダクトを介して筐体内に伝導することを防ぐことが出来る。
【0084】
また、上記実施形態では、平面的に見て、空気誘導部が3つの冷却素子を取り囲むように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、複数(3つ)の冷却素子に対して個別に空気誘導部を設けてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、ダクトの上端部における水平断面の面積が、中間部における水平断面の面積よりも大きくなるように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ダクトの水平断面の面積が上端部、中間部および下端部で一定となるように構成してもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、筐体内部を上下に仕切るベース板を設け、空気誘導部をベース板の下面側に配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、空気誘導部をベース板の上面側に配置してもよい。また、ベース板を設けなくともよい。
【0087】
また、上記実施形態では、ダクトに4つの排気用ファンを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、排気用ファンを設けなくともよい。また、1〜3個または5個以上の排気用ファンを設けてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、4つの排気用ファンをダクトの上端部の排気口の近傍に設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、排気用ファンをダクトの中間部または下端部に設けてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、ダクトに2つの空気通路を個別に設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ダクトに1つの空気通路のみを設けてもよいし、ダクトに3つ以上の空気通路を設けてもよい。また、複数の空気通路を設けた場合に、それらの空気通路が内部で連通していてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、ダクトに2つの空気通路を設け、それぞれの空気通路に対応する排気用ファンを個別に設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。具体的には、上記実施形態では、ダクト50内において仕切り50dにより空気通路52と空気通路53が個別に設けられ、空気通路52については3つの排気用ファン51a〜51cが、空気通路53については1つの排気用ファン51dが、それぞれ設けられている。しかし仕切り50dを設けずに、試薬誘導部60からの空気、すなわち試薬保冷庫20の冷却に伴って発生した熱により暖められた空気と、電源収容部3からの空気、すなわち電源部30において発生した熱により暖められた空気と、を共通の空気通路によって排気口13へ導き、排気用ファン51a〜51dを共用して装置外部へ排気するようにしてもよい。このように構成することで、電源部30で発生する熱の量が大きい場合には、排気用ファン51dのみで排気するのに比べて効率よく熱を排出できる。
【0091】
また、上記実施形態では、排気口を筐体の上面の後方側の端部に設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、排気口を筐体の上面の中央部に設けてもよいし、前方側に設けてもよい。また、排気口は1つである必要はなく、たとえば上面の両側部(X方向両側)近傍に排気口をそれぞれ設けてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 筐体
11 上面
13 排気口
20 試薬保冷庫
22 冷却素子
22a 上面部
22b 下面部
30 電源部
40 ベース板
41 冷却用ファン
50 ダクト
50a 上端部
50b 下端部
51a、51b、51c、51d 排気用ファン
52 空気通路
53 空気通路
60 空気誘導部
61 壁部
100 検体分析装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体を覆うとともに、上面に排気口を有する筐体と、
前記筐体の内側に設けられ、検体と反応させるための試薬を保冷するための試薬保冷庫と、
前記筐体の内側に設けられ、前記試薬保冷庫の冷却に伴って発生した熱により暖められた空気を前記筐体外へ排出するための導管とを備え、
前記導管は、前記排気口から前記暖められた空気を排出するよう構成されている、検体分析装置。
【請求項2】
前記試薬保冷庫は、冷却素子を有し、
前記冷却素子は、前記試薬保冷庫を冷却する際に熱を発生するように構成されている、請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項3】
前記冷却素子に空気を接触させるための冷却用ファンをさらに備える、請求項2に記載の検体分析装置。
【請求項4】
前記試薬保冷庫の冷却に伴って発生した熱により暖められた空気を収容可能な空気誘導部をさらに備え、
前記導管は前記空気誘導部に接続されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項5】
前記空気誘導部は、断熱材を含む壁部により取り囲まれている、請求項4に記載の検体分析装置。
【請求項6】
前記冷却素子は、
前記試薬保冷庫内部を冷却する吸熱部と、
前記試薬保冷庫を冷却する際に、前記前記試薬保冷庫の外部において熱を発生する排熱部とを含む、請求項2に記載の検体分析装置。
【請求項7】
前記冷却素子は、ペルチェ素子である、請求項6に記載の検体分析装置。
【請求項8】
前記冷却素子の前記排熱部に空気を接触させるための冷却用ファンと、
前記試薬保冷庫の冷却に伴って発生した熱により暖められた空気を収容可能な空気誘導部とをさらに備え、
前記冷却用ファンは、上流側の空気を前記冷却素子の前記排熱部と接触させながら引き込み、前記排熱部に接触させた空気を下流側で前記空気誘導部へ送り出すように構成されている、請求項6または7に記載の検体分析装置。
【請求項9】
前記筐体内部を上下に仕切るとともに、上面側に前記試薬保冷庫が設置される仕切板をさらに備え、
前記空気誘導部は、前記仕切板の下面側であって、前記試薬保冷庫の下方の位置に配置されている、請求項8に記載の検体分析装置。
【請求項10】
前記導管は、
上下に延びるように設けられ、
前記排気口側の一端における水平断面の面積が、前記一端と他端との間の中間部における水平断面の面積よりも大きくなるように構成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項11】
前記導管内の空気を前記筐体外へ排出するための排気用ファンをさらに備える、請求項1〜10のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項12】
前記排気用ファンは、前記排気口の近傍に設けられている、請求項11に記載の検体分析装置。
【請求項13】
電源部をさらに備え、
前記電源部において発生した熱により暖められた空気が、前記導管を介して前記筐体外へ排出されるよう構成されている、請求項1〜12のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項14】
前記導管内の空気を前記筐体外へ排出するための複数の排気用ファンをさらに備え、
前記複数の排気用ファンは、前記電源部において発生した熱により暖められた空気の排出と、前記試薬保冷庫の冷却に伴って発生した熱により暖められた空気の排出と、に共用される、請求項11または12に記載の検体分析装置。
【請求項15】
前記排気口は、前記筐体上面の後部に配置されている、請求項1〜14のいずれか1項に記載の検体分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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