説明

検体分析装置

【課題】検体分析装置において、エラーが発生して測定が中断した場合に、ユーザーが、正確且つ迅速にエラー復旧後の測定再開を行うことができるようにする。
【解決手段】検体分析装置は、測定ユニットの動作中に、何らかのエラーが発生した場合に、エラー復帰用アイコン220を装置状態表示エリア202に表示する。測定開始ボタン204を選択するだけで測定再開可能なエラーの場合には、装置状態表示エリア202には測定開始アイコン220bのみが表示され、ラック再セット後に測定開始ボタン204を選択すれば測定再開可能であるエラーの場合には、ラック再セットアイコン220aと測定開始アイコン220bの両方が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫分析装置、血液凝固測定装置等の検体を分析する検体分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院や検査機関では、生体から採取される血液などの検体の性状についての項目を測定する検体分析装置が使用されている。下記特許文献1には、誤動作等のエラーが発生した場合に、制御装置の表示画面にエラーに関する説明やエラーの復旧方法を表示するようにした生体試料分析装置が開示されている。この装置では、ユーザーが表示画面に表示された説明等を読むことによってエラーの内容を認識し、復旧作業を行うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−71649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の技術では、エラーに関する説明やエラーの復旧方法が表示画面に文字で表示されるだけであ、これだけでは一般のユーザーが、エラーの発生によって中断した測定を、エラー復旧後に正確且つ迅速に再開できない場合があった。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、装置にエラーが発生して測定が中断した場合に、ユーザーが正確且つ迅速にエラー復旧後の測定再開を行うことができる検体分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、検体を分析する検体分析装置であって、ラックを搬送する検体搬送部と、前記検体搬送部によって搬送されたラック上の検体を吸引して測定を行う測定部と、表示部と、前記表示部に、装置の状態を表示する装置状態表示エリアおよび測定開始を指示するための測定開始ボタンを含むメインウィンドウを表示させる表示制御手段と、を備え、エラーの発生によってラックの搬送および新たな検体の吸引が停止した場合、前記表示制御手段は、前記エラーが、ラックを再セットすることなくラックの搬送および検体吸引を再開可能なエラーである場合には、前記測定開始ボタンの操作を促す情報を前記装置状態表示エリアに表示させ、前記エラーが、ラックを再セットすることによりラックの搬送および検体吸引を再開可能なエラーである場合には、ラックの再セットを促す情報と、前記測定開始ボタンの操作を促す情報を、前記装置状態表示エリアに表示させることを特徴としている。
【0007】
前記測定部は、エラーの発生によってラックの搬送および新たな検体の吸引が停止した場合、エラー発生時に既に吸引した検体の測定を継続することが可能であり、前記表示制御手段は、前記エラーが、既に吸引された検体の測定が終了するまで、ラックの搬送および検体吸引を再開できないエラーである場合、前記測定開始ボタンが操作できないことを示唆する情報を前記装置状態表示エリアに表示させる構成であってもよい。
【0008】
前記ラックの再セットを促す情報が、ラックを示す画像を含む構成であってもよい。
【0009】
前記測定開始ボタンの操作を促す情報が、前記測定開始ボタンを示す画像を含む構成であってもよい。
【0010】
前記表示制御手段は、前記装置の状態に応じて、前記装置状態表示エリアの表示色を切り換えるように構成されていてもよい。
【0011】
前記表示制御手段は、前記エラーが、ラックを再セットし、又はラックを再セットすることなく、ラックの搬送および検体吸引を再開可能なエラーである場合には、前記装置状態表示エリアを第1の表示色で表示させ、前記エラーが、ラックの搬送および検体吸引が再開できないエラーである場合には、前記装置状態表示エリアを第2の表示色で表示させる構成であってもよい。
【0012】
前記表示制御手段は、エラーが発生しておらず、且つ、測定開始ボタンを操作することによって、ラックの搬送および検体吸引を開始できる状態にある場合には、前記装置状態表示エリアを第3の表示色で表示させる構成であってもよい。
【0013】
前記表示制御手段は、エラーの発生によって、ラックの搬送および検体吸引が停止した場合、前記エラーを復旧するための復旧情報を含むヘルプウィンドウを、前記メインウィンドウの上に、前記測定開始ボタンおよび前記装置状態表示エリアに重ならないように表示させる構成であってもよい。
【0014】
前記エラーが、ラックを再セットすることによりラックの搬送および検体吸引を再開可能なエラーである場合、前記復旧情報は、ラックの再セットを促すメッセージを含む構成であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、装置にエラーが発生して測定が中断した場合に、ユーザーが、正確且つ迅速にエラー復旧後の測定再開を行うことができる
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の検体分析装置の一実施の形態の全体構成を示す平面説明図である。
【図2】図1に示される免疫分析装置における測定ユニットの構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示される免疫分析装置における制御装置のブロック図である。
【図4】図1に示される免疫分析装置を用いた免疫分析の全体フローを示す図である。
【図5】免疫分析装置の動作状態チェック処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】制御装置によるエラー処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】メインウィンドウ及び測定部ヘルプウィンドウを示す図である。
【図8】メインウィンドウ、測定部ヘルプウィンドウ及び異常箇所ダイアログを示す図である。
【図9】測定部ヘルプウィンドウ及び異常箇所ダイアログの他の例を示す図である。
【図10】測定部ヘルプウィンドウ及び異常箇所ダイアログの更に他の例を示す図である。
【図11】装置状態表示エリアのテキスト表示、表示色、エラー復帰用アイコン及び装置状態の対応関係を示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の検体分析装置の実施の形態を詳細に説明する。
[装置の全体構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る免疫分析装置(検体分析装置)の全体構成を示す平面説明図である。
本発明の一実施の形態に係る免疫分析装置1は、血液等の検体(試料)を用いてB型肝炎、C型肝炎、腫瘍マーカ及び甲状腺ホルモン等種々の項目の検査を行うための装置である。この免疫分析装置1は、図1に模式的に示されるように、複数の機構(コンポーネント)からなる測定ユニット(測定部)2と、この測定ユニット2に電気的に接続された、データ処理ユニットである制御装置400(図3参照)とから主に構成されている。
【0018】
測定ユニット2は、検体搬送部(サンプラ)10と、緊急検体・チップ搬送部20と、ピペットチップ供給装置30と、チップ脱離部40と、検体分注アーム50と、試薬設置部60a及び60bと、1次反応部80a及び2次反応部80bと、試薬分注アーム90a、90b及び90cと、1次BF分離部100a及び2次BF分離部100bと、検出部120と、前記検体搬送部(サンプラ)10や検体分注アーム50等の機構の動作制御を行う本体制御部140(図2参照)とを備えている。なお、本実施の形態に係る免疫分析装置1では、検体分注アーム50により吸引及び吐出された血液等の検体が他の検体と混ざり合うのを抑制するために、検体の吸引及び吐出を行う度に、使い捨てのピペットチップの交換を行っている。
【0019】
この免疫分析装置1では、測定対象である血液等の検体に含まれる抗原に結合した捕捉抗体(R1試薬)に磁性粒子(R2試薬)を結合させた後に、結合(Bound)した抗原、捕捉抗体及び磁性粒子を1次BF(Bound Free)分離部100aの磁石に引き寄せることにより、未反応(Free)の捕捉抗体を含むR1試薬を除去する。そして、磁性粒子が結合した抗原と標識抗体(R3試薬)とを結合させた後に、結合(Bound)した磁性粒子、抗原及び標識抗体を2次BF分離部100bの磁石に引き寄せることにより、未反応(Free)の標識抗体を含むR3試薬を除去する。さらに、標識抗体との反応過程で発光する発光基質(R5試薬)を添加した後、標識抗体と発光基質との反応によって生じる発光量を測定する。このような過程を経て、標識抗体に結合する検体に含まれる抗原を定量的に測定している。
【0020】
[制御装置の構成]
制御装置400は、パーソナルコンピュータ401(PC)等からなり、図1に示されるように、制御部400aと、表示部400bと、キーボードやマウス等の入力部(入力手段)400cとを含んでいる。制御部400aは、測定ユニット2における各機構の動作制御を行うとともに、測定ユニット2で得られた検体の光学的な情報を分析するための機能を有している。この制御部400aは、CPU、ROM、RAM等からなる。また、表示部400bは、制御部400aで得られた分析結果等の情報を表示したり、また、後述するエラーウィンドウ(測定部ヘルプウィンドウ)210等を表示したりするために用いられる。
【0021】
次に、制御装置400の構成について説明する。制御部400aは、図3に示されるように、CPU401aと、ROM401b,RAM401c及びハードディスク401d等からなる記憶部と、読出装置401eと、入出力インタフェース401fと、通信インタフェース401gと、画像出力インタフェース401hとから主として構成されている。
CPU401a、ROM401b、RAM401c、ハードディスク401d、読出装置401e、入出力インタフェース401f、通信インタフェース401g、及び画像出力インタフェース401hは、バス401iによって接続されている。
【0022】
CPU401aは、ROM401bに記憶されているコンピュータプログラム及びRAM401cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するようなアプリケーションプログラム404aをCPU401aが実行することにより、コンピュータ401が制御装置400として機能する。
ROM401bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM等によって構成されており、CPU401aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0023】
RAM401cは、SRAM又はDRAM等によって構成されている。RAM401cは、ROM401b及びハードディスク401dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401aの作業領域として利用される。
【0024】
ハードディスク401dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU401aに実行させるための種々のコンピュータプログラム404a及びそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。例えば、測定オーダを登録するためのアプリケーションプログラムや、後述するように測定ユニット2のエラーに関する情報を取得したり、表示したりするためのアプリケーションプログラムもこのハードディスク401dにインストールされている。また、ハードディスク401dには、後述するような異常箇所画像、エラー詳細メッセージ、装置状態表示エリア202の背景画像、及びエラー復帰用アイコンが装置状態と関連づけられて記憶されている。
【0025】
読出装置401eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、又はDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体404に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体404には、本実施の形態におけるアプリケーションプログラム404aが格納されており、コンピュータ401が、その可搬型記録媒体404からアプリケーションプログラム404aを読み出し、そのアプリケーションプログラム404aをハードディスク401dにインストールすることが可能である。
【0026】
なお、前記アプリケーションプログラム404aは、可搬型記録媒体404によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ401と通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記アプリケーションプログラム404aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ401がアクセスして、そのアプリケーションプログラム404aをダウンロードし、これをハードディスク401dにインストールすることも可能である。
【0027】
ハードディスク401dには、例えば、米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のグラフィカルユーザインタフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態におけるアプリケーションプログラム404aは前記オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0028】
入出力インタフェース401fは、例えば、USB、IEEE1394、RS−232C等のシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース401fには、キーボード400cが接続されており、ユーザーがそのキーボード400cを使用することにより、コンピュータ401にデータを入力することが可能である。
【0029】
通信インタフェース401gは、例えば、Ethernet(登録商標)インタフェースである。コンピュータ401は、その通信インタフェース401gにより、所定の通信プロトコルを使用して測定ユニット2との間でデータの送受信が可能である。
画像出力インタフェース401hは、LCD又はCRT等で構成された表示部400bに接続されており、CPU401aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部400bに出力するようになっている。表示部400bは、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0030】
[免疫分析装置の各機構の構成]
免疫分析装置1の各機構の構成としては、公知の構成を適宜採用することができるが、以下、それらについて簡単に説明をする。
検体搬送部10は、検体を収容した複数の試験管3が載置されたラック4を検体分注アーム50の吸引位置に対応する位置まで搬送するように構成されている。この検体搬送部10は、未処理の検体を収容した試験管3が載置されたラック4をセットするためのラックセット部10aと、分注処理済みの検体を収容した試験管3が載置されたラック4を貯留するためのラック貯留部10bとを有している。そして、未処理の検体を収容した試験管3を検体分注アーム50の吸引位置に対応する位置まで搬送することにより、検体分注アーム50により試験管3内の血液等の検体の吸引が行われて、その試験管3を載置したラック4がラック貯留部10bに貯留される。
【0031】
緊急検体・チップ搬送部20は、検体搬送部10により搬送される検体に割り込んで検査する必要がある緊急検体を収容した試験管3を検体分注アーム50の装着位置まで搬送するように構成されている。
ピペットチップ供給装置30は、投入したピペットチップを1つずつ緊急検体・チップ搬送部20の搬送ラック23のチップ設置部23aに載置する機能を有している。
チップ脱離部40は、後述する検体分注アーム50に装着されたピペットチップを脱離するために設けられている。
【0032】
検体分注アーム50は、検体搬送部10により吸引位置に搬送された試験管3内の検体を、後述する1次反応部80aの回転テーブル部81の保持部81aに保持されるキュベット(図示せず)内に分注する機能を有している。この検体分注アーム50は、アーム部51を、軸52を中心に回動させるとともに、上下方向(Z方向)に移動させることが可能なように構成されている。また、アーム部51の先端部には、検体の吸引及び吐出を行うノズル部が設けられており、このノズル部の先端には、緊急検体・チップ搬送部20の搬送ラック(図示せず)により搬送されるピペットチップが装着される。
【0033】
試薬設置部60aには、捕捉抗体を含むR1試薬が収容される試薬容器及び標識抗体を含むR3試薬が収容される試薬容器が設置されている。
一方、試薬設置部60bには、磁性粒子を含むR2試薬が収容される試薬容器が設置されている。
【0034】
1次反応部80aは、回転テーブル部81の保持部81aに保持されるキュベットを所定の期間(本実施の形態では、20秒)毎に所定の角度だけ回転移送するとともに、キュベット内の検体、R1試薬及びR2試薬を攪拌するために設けられている。つまり、1次反応部80aは、キュベット内で磁性粒子を有するR2試薬と検体中の抗原とを反応させるために設けられている。この1次反応部80aは、検体とR1試薬及びR2試薬とが収容されるキュベットを回転方向に搬送するための回転テーブル部81と、キュベット8内の検体、R1試薬及びR2試薬を攪拌するとともに、攪拌された検体、R1試薬及びR2試薬が収容されたキュベットを後述する1次BF分離部100aに搬送する容器搬送部82とから構成されている。
【0035】
前記容器搬送部82は、回転テーブル部81の中心部分に回転可能に設置されている。この容器搬送部82は、回転テーブル部81の保持部81aに保持されるキュベットを把持するとともにキュベット内の試料を攪拌する機能を有している。さらに、容器搬送部82は、検体、R1試薬及びR2試薬を攪拌してインキュベーションした試料を収容したキュベットを1次BF分離部100aに搬送する機能も有している。
【0036】
試薬分注アーム90aは、試薬設置部60aに設置される試薬容器内のR1試薬を吸引するとともに、その吸引したR1試薬を1次反応部80aのキュベット内に分注するための機能を有している。この試薬分注アーム90aは、アーム部91bを、軸91cを中心に回動させるとともに、上下方向に移動させることが可能なように構成されている。また、アーム部91bの先端部には、試薬容器内のR1試薬の吸引及び吐出を行うためのノズルが取り付けられている。
【0037】
試薬分注アーム90bは、試薬設置部60bに設置される試薬容器内のR2試薬を1次反応部80aの検体及びR1試薬が分注されたキュベット内に分注するための機能を有している。この試薬分注アーム90bは、アーム部92bを、軸92cを中心に回動させるとともに、上下方向(Z方向)に移動させることが可能なように構成されている。また、アーム部92bの先端部には、試薬容器内のR2試薬の吸引及び吐出を行うためのノズルが取り付けられている。
【0038】
本実施の形態では、1次BF分離部100aは、1次反応部80aの容器搬送部82によって搬送されたキュベット内の試料から未反応のR1試薬(不要成分)と磁性粒子とを分離するために設けられている。
未反応のR1試薬等が分離された1次BF分離部100aのキュベットは、搬送機構96により2次反応部80bの回転テーブル部83の保持部83aに搬送される。搬送機構96は、先端にキュベット把持部(図示せず)を有するアーム部96aを、軸96bを中心に回動させるとともに、上下方向(Z方向)に移動させることが可能なように構成されている。
【0039】
2次反応部80bは、1次反応部80aと同様の構成を有しており、回転テーブル部83の保持部83aに保持されるキュベットを所定の期間(本実施の形態では、20秒)毎に所定の角度だけ回転移送するとともに、キュベット内の検体、R1試薬、R2試薬、R3試薬及びR5試薬を攪拌するために設けられている。つまり、2次反応部80bは、キュベット内で標識抗体を有するR3試薬と検体中の抗原とを反応させるとともに、発光基質を有するR5試薬とR3試薬の標識抗体とを反応させるために設けられている。この2次反応部80bは、検体、R1試薬、R2試薬、R3試薬及びR5試薬が収容されるキュベット8を回転方向に搬送するための回転テーブル部83と、キュベット内の検体、R1試薬、R2試薬、R3試薬及びR5試薬を攪拌するとともに、攪拌された検体等が収容されたキュベットを後述する2次BF分離部100bに搬送する容器搬送部84とから構成されている。さらに、容器搬送部84は、2次BF分離部100bにより処理されたキュベットを再び回転テーブル部83の保持部83aに搬送する機能を有している。
【0040】
試薬分注アーム90cは、試薬設置部60aに設置される試薬容器内のR3試薬を吸引するとともに、その吸引されたR3試薬を2次反応部80bの検体、R1試薬及びR2試薬が分注されたキュベット内に分注するための機能を有している。この試薬分注アーム90cは、アーム部93bを、軸93cを中心に回動させるとともに、上下方向に移動させることが可能なように構成されている。また、アーム部93bの先端部には、試薬容器内のR3試薬の吸引及び吐出を行うためのノズルが取り付けられている。
【0041】
2次BF分離部100bは、1次BF分離部100aと同様の構成を有しており、2次反応部80bの容器搬送部84によって搬送されたキュベット内の試料から未反応のR3試薬(不要成分)と磁性粒子とを分離するために設けられている。
R4試薬供給部94及びR5試薬供給部95は、それぞれR4試薬及びR5試薬を2次反応部80bの回転テーブル部83の保持部83aに保持されたキュベット内に供給するために設けられている。
【0042】
検出部120は、所定の処理が行なわれた検体の抗原に結合する標識抗体と発光基質との反応過程で生じる光を光電子増倍管(Photo Multiplier Tube)で取得することにより、その検体に含まれる抗原の量を測定するために設けられている。この検出部120は、2次反応部80bの回転テーブル部83の保持部83aに保持されるキュベットを当該検出部120に搬送するための搬送機構部121を備えている。
測定済の試料が吸引された、使用済みキュベットは廃棄用孔130を介して免疫分析装置1の下部に配置される図示しないダストボックスに廃棄される。
【0043】
[全体プロセス]
免疫分析装置1による分析処理の全体のフローを図に示す。なお、以下のフローチャート中の判断において、「Yes」及び「No」を図示しない場合は、下がYes、右(左)がNoである。また、以下に説明する処理は、制御部400a及び本体制御部140によって制御される処理である。
【0044】
まず、免疫分析装置1の電源が投入されると、本体制御部140の初期化が行われる(ステップS1)。この初期化動作では、プログラムの初期化や免疫分析装置1の駆動部分の原位置復帰等が行われる。
一方、免疫分析装置1に通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ401の電源が投入されると、当該パーソナルコンピュータ401の制御部400aの初期化が行われる(ステップS101)。この初期化動作では、プログラムの初期化等が行われる。
【0045】
ついでステップS102において、制御部400aによって、測定開始の指示が行われたか否かが判断される。制御部400aは、測定開始の指示が行われたと判断した場合(Yes)にはステップS103へ処理を進め、測定開始の指示が行われなかったと判断した場合(No)にはステップS113へ処理を進める。そして、ステップS103において、測定開始信号が制御部400aから本体制御部140へ送信される。
ついでステップS2において、本体制御部140によって、測定開始信号の受信が行われたか否かが判断される。本体制御部140が、測定開始信号の受信が行われたと判断した場合(Yes)にはステップS3へ処理を進め、測定開始信号の受信が行われなかったと判断した場合(No)にはステップS14へ処理を進める。
【0046】
ついでステップS3において、検体搬送部10により、検体を収容した複数の試験管3が載置されたラック4が検体分注アーム50の吸引位置1aに対応する位置まで搬送される。前記ラック4には、当該ラック4を特定するための情報(ラック番号)が記録された、記録部であるバーコードが付されており、このラック4を所定の位置まで搬送する搬送路に設けられた検出部(図示せず)によって、前記バーコードが読み取られる(ステップS4)。読み取られたラック番号は、ステップS5において、本体制御部140によってパーソナルコンピュータ401側に送信される。
【0047】
ついでステップS104において、制御部400aによって、ラック番号の受信が行われたか否かが判断される。制御部400aが、ラック番号の受信が行われたと判断した場合(Yes)にはステップS105へ処理を進める。
ついでステップS105において、制御部400aによって、オーダページの検索が行われる。すなわち、制御部400aによって、ハードディスク401dの記憶領域に記憶されているオーダ情報から、ステップS104において受信したラック番号に係るオーダ情報が検索される。
【0048】
前記試験管3には、前記ラック4と同様に当該試験管3内の検体を特定するための情報(検体番号)が記録された、記録部であるバーコードが付されており、試験管3を載置したラック4を所定の位置まで搬送する搬送路に設けられた検出部(図示せず)によって、前記バーコードが読み取られる(ステップS6)。読み取られた検体番号は、ステップS7において、パーソナルコンピュータ401側に送信される。なお、試験管3とラック4のバーコードは、別々の検出部で読み取るようにしてもよいし、共通の検出部で読み取るようにしてもよい。
【0049】
ついでステップS106において、制御部400aによって、検体番号の受信が行われたか否かの判断をする。制御部400aが、検体番号の受信が行われたと判断した場合(Yes)にはステップS107へ処理を進める。
ついでステップS107において、制御部400aによって、オーダの検索が行われる。すなわち、制御部400aによって、ステップS105において検索された、特定のラック番号に係るオーダ情報から、ステップS106において受信した検体番号に係るオーダ情報が検索される。そして、ステップS108において、制御部400aによって、オーダの指示が本体制御部140へ送信される。
【0050】
ついでステップS8において、本体制御部140によって、オーダ指示の受信が行われたか否かが判断される。本体制御部140が、オーダ指示の受信が行われたと判断した場合(Yes)にはステップS9へ処理を進める。
ついでステップS9において、オーダされた項目についての測定が行われる。そして、測定結果が、本体制御部140によりパーソナルコンピュータ401側に送信される(ステップS10)。
【0051】
ついでステップS109において、制御部400aによって、測定結果の受信が行われたか否かが判断される。制御部400aが、測定結果の受信が行われたと判断した場合(Yes)にはステップS110へ処理を進める。
ステップS110では、本体制御部140側から送信された測定結果の解析処理が行われる。すなわち、制御部400aは、送信された測定結果と、予め標準試料を用いて作成され、前記ハードディスク401dに記憶されている検量線とから、測定対象の抗原の濃度を換算し、その結果(分析結果)を記憶する。また、制御部400aは、分析結果の出力を行う。
【0052】
ついでステップS111において、制御部400aによって、ラック4に保持されているすべての試験管3中の検体について測定が行われたか否かが判断される。制御部400aは、ラック4に保持されているすべての試験管3中の検体について測定が行われたと判断した場合(Yes)にはステップS112へ処理を進め、ラック4に保持されているすべての試験管3中の検体については測定が行われていないと判断した場合(No)にはステップS106へ処理を戻す。
【0053】
ついでステップS112において、制御部400aによって、すべてのラック4について測定が行われたか否かが判断される。制御部400aは、すべてのラック4について測定が行われたと判断した場合(Yes)にはステップS113へ処理を進め、すべてのラック4については測定が行われていないと判断した場合(No)にはステップS104へ処理を戻す。
ついでステップS113において、制御部400aによって、パーソナルコンピュータ401をシャットダウンする指示を受け付けているか否かが判断される。制御部400aは、シャットダウンする指示を受け付けていると判断した場合(Yes)にはステップS114へ処理を進め、シャットダウンする指示を受け付けていないと判断した場合(No)にはステップS102へ処理を戻す。
【0054】
ついでステップS114において、シャットダウン信号が制御部400aから本体制御部140へ送信される。
そして、ステップS115において、制御部400aにより、パーソナルコンピュータ401のシャットダウンが行われ、処理が終了する。
【0055】
また、ステップS11において、本体制御部140によって、ラック4に保持されているすべての試験管3中の検体について測定が行われたか否かが判断される。本体制御部140は、ラック4に保持されているすべての試験管3中の検体について測定が行われたと判断した場合(Yes)にはステップS13へ処理を進め、ラック4に保持されているすべての試験管3中の検体については測定が行われていないと判断した場合(No)には、ラック4を所定距離(次に測定される検体を収容する試験管が被吸引位置に到達する距離)だけ搬送し(ステップS12)、ステップS6へ処理を戻す。
【0056】
ついでステップS13において、本体制御部140によって、すべてのラック4について測定が行われたか否かが判断される。本体制御部140は、すべてのラック4について測定が行われたと判断した場合(Yes)にはステップS14へ処理を進め、すべてのラック4については測定が行われていないと判断した場合(No)にはステップS3へ処理を戻す。
ついでステップS14において、本体制御部140によって、シャットダウン信号の受信が行われたか否かが判断される。本体制御部140が、シャットダウン信号の受信が行われたと判断した場合(Yes)にはステップS15へ処理を進め、シャットダウン信号の受信が行われていないと判断した場合(Yes)にはステップS2へ処理を戻す。
【0057】
そして、ステップS15において、本体制御部140により、免疫分析装置1のシャットダウンが行われ、処理が終了する。
【0058】
[動作状態チェック処理]
次に、動作状態チェック処理について説明する。
図5は、免疫分析装置1の動作状態チェック処理の手順を示すフローチャートである。検体搬送部10や検体分注アーム50、試薬分注アーム90a〜90c等の測定ユニット2を構成する各機構(コンポーネント)には、各機構の動作状況を監視するセンサ(検知手段)が設けられている。本体制御部140は、ステップS301において、各センサから検出結果を取得する。また、本体制御部140は、ステップS302において、各センサから取得した検出結果(動作状態情報)を解析する。エラーが発生している場合には、この動作状態の解析処理によってエラーが検出される。次に、ステップS303において、本体制御部140はエラーが検出されたか否かを判定する。エラーが検出されていない場合には、ステップS301へ処理が戻される。ステップS303においてエラーが検出されたと判定された場合には、ステップS304においてエラー情報が読み出される。このエラー情報は、そのエラーを特定する情報(エラーID)である。そして、本体制御部140は、ステップS305において、エラー情報を制御部400aに送信し、処理を終了する。
【0059】
一方、制御部400aは、ステップS401において、エラー情報を受信したか否かを判定する。エラー情報が受信された場合には、ステップS406へ処理が進み、後述するエラー処理が実行される。一方、エラー情報が受信されていない場合には、制御部400aは、ステップS402において、制御装置400の動作状態情報を取得する。この動作状態情報には、ソフトウェアの内部状態情報や、通信インタフェース等のハードウェアの状態情報が含まれている。そして、制御部400aは、ステップS403において、取得した動作状態情報を解析する。エラーが発生している場合には、この動作状態の解析処理によってエラーが検出される。次に、ステップS404において、制御部400aはエラーが検出されたか否かを判定する。エラーが検出されていない場合には、ステップS401へ処理が戻される。ステップS404においてエラーが検出されたと判定された場合には、ステップS405においてエラー情報が読み出される。そして、制御部400aは、次に説明するエラー処理を実行し(ステップS406)、その後処理を終了する。
【0060】
このエラー処理は、図7に示すように、表示部400bに表示されたメインウィンドウ201の装置状態表示エリア202に所定の表示を行うとともに、測定部ヘルプウィンドウ(エラーウィンドウ)210を新たに表示部400bに表示することにより行われる。
【0061】
なお、メインウィンドウ201は、測定ユニット2を制御するためのアプリケーションプログラムを起動することによって表示部400bに表示されるウィンドウであり、タイトルバー201a、メニューバー201b、ツールバー201c、主表示区画201d、補助表示区画201eを有する。図7に示す例では、主表示区画201cにオーダ登録画面が表示されている。補助表示区画201dには、装置状態表示エリア202、メッセージ表示エリア203、消耗品情報表示エリア204が設けられている。測定部ヘルプウィンドウ210は、メインウィンドウ201の主表示区画201cに、先に表示されている画面上に重ねて表示される。
【0062】
制御部400aのハードディスク401dには、装置で起こり得る様々なエラーの態様について情報が予め記憶されている。具体的には、エラー名称(エラーの簡単な内容)、エラー発生箇所、エラーの復旧方法等の情報が互いに関連づけられた状態で記憶されている。また、エラー発生箇所についての情報は、当該箇所を3次元的又は2次元的に表現した画像(図面、写真、絵)による情報を含んでいる。
【0063】
図6は、制御部400aによるエラー処理の手順を示すフローチャートである。
図6のステップS411において、制御部400aは、検出されたエラーに対応するエラー名称、アクションメッセージ、及びエラー復帰用アイコンをハードディスク401dから読み出す処理を行う。ここで、アクションメッセージとは、主としてエラーの復旧方法に関する情報であって、エラーを復旧するための手順を文章(テキスト)で表したものである。エラー復帰用アイコン220は、同じくエラーの復旧方法に関する情報であって、図7に示すように、当該エラーから復帰するためにユーザーが行うべき動作を簡略的に図示したものである。
【0064】
図6のステップS412において、制御部400aは、検出されたエラーに対応する表示色で装置状態表示エリア202を表示し(図7に点線のハッチングで示す;表示色の詳細については後述する)、当該エラーに対応するエラー復帰用アイコン220がある場合は、そのエラー復帰用アイコン220を装置状態表示エリア202に表示する。さらに、図7に示すような測定部ヘルプウィンドウ210をメインウィンドウ201上に表示する(ステップS413)。また、測定部ヘルプウィンドウ210の表示とともにアラーム音を発生させる。
【0065】
この測定部ヘルプウィンドウ210の上部側にはエラーリスト(エラー名称表示エリア)210aが設けられ、このエラーリスト210aには、検出された1又は複数のエラー名称が表示される。図7に示す例では、エラーリスト210aに7個のエラー名称が上下に羅列して表示されている。このエラーリスト210aには優先順位の高い順番でエラー名称が表示される。エラーリスト210a内の右側には、エラー名称をスクロールさせるボタン210bが設けられている。また、測定部ヘルプウィンドウ210の下部側にはアクション表示エリア(復旧操作表示エリア)210cが設けられ、このアクション表示エリア210cには、エラーリスト210aで選択されたエラー名称に対応するアクションメッセージが表示される。
【0066】
測定部ヘルプウィンドウ210が立ち上がった直後の初期状態ではエラーリスト210a内の最上部のエラー名称が選択された状態になり、そのエラー名称に対応したアクションメッセージがアクション表示エリア210cに表示される。ユーザーが他のエラー名称を選択すると、そのエラー名称に対応したアクションメッセージがアクション表示エリア210cに表示される。
このような処理を行うため、制御部400aは、図6のステップS414において、エラーリスト210a内の他のエラー名称の選択を受け付けたか否かを判断する。制御部400aは、エラーリスト210a内の他のエラー名称の選択を受け付けた場合(Yes)、ステップS415へ処理を進め、当該選択を受け付けなかった場合(No)にはステップS416へ処理を進める。ステップS415において、制御部400aは、新たに選択されたエラー名称に対応するアクションメッセージをアクション表示エリア210cに表示する。
【0067】
ユーザーは、測定部ヘルプウィンドウ210に表示されたエラー名称とアクションメッセージを読み、アクションメッセージに表示された手順で操作を行うことによってエラーを復旧することが可能となる。また、アラームリセットボタン210dを選択することによってアラーム音を停止することができる。
【0068】
図7に示すように、装置状態表示エリア202には、「エラー」という文字が表示されるとともに、2つのエラー復帰用アイコン220a,220bが表示されている。一方のエラー復帰用アイコン220aは、ラック4の再セットを指示する「ラック再セットアイコン」であり、他方のエラー復帰用アイコン220bは、メインウィンドウ201の右上に表示された測定開始ボタン204の選択を指示する「測定開始アイコン」である。
【0069】
装置状態表示エリア202にこのようなラック再セットアイコン220aや測定開始アイコン220bが表示された場合、ユーザーは、検体搬送部10に対してラック4を再セットするとともに、メインウィンドウ201の測定開始ボタン204を選択(クリック)することによって、測定を再開することが可能となる。すなわち、装置状態表示エリア202に画像表示されたエラー復帰用アイコン220に従ってユーザーが操作することにより、エラー状態から復旧することが可能となっている。
【0070】
エラー復帰用アイコン220は、その画像のデザインによってユーザーが行うべき操作内容を認識できるように構成されている。例えば、ラック再セットアイコン220aは、ラック4を模写した簡略的な画像とラック4の再セットを表す矢印とから構成され、ユーザーはこの画像のデザインを見て行うべき操作を連想することが可能である。また、測定開始アイコン220bは、測定開始ボタン204と同じデザインとされており、これによってユーザーは、測定開始アイコン220bと同じ画像のボタンを探して選択すればよく、別のボタンを誤って選択してしまうような誤操作を防止することができる。
【0071】
制御部400aは、エラー処理に関する動作として、測定部ヘルプウィンドウ210に加えて異常箇所ダイアログ230(図8参照)の表示を行うことができる。この異常箇所ダイアログ230は、図7に示すように、測定部ヘルプウィンドウ210内の「異常箇所」ボタン210eを選択(クリック)することによって新たに立ち上がるウィンドウであり、ユーザーが測定部ヘルプウィンドウ210に表示された内容だけではエラー箇所を認識することができない場合や、そのエラーについての詳細な情報を知りたい場合に、必要に応じて表示させることができるものである。
【0072】
図8は、図7で示したものとは異なる内容の測定部ヘルプウィンドウ210と、この測定部ヘルプウィンドウ210に対応する異常箇所ダイアログ230を示す図である。この図8に示す例では、測定部ヘルプウィンド210のエラーリストには「ホストコンピュータ通信異常」というエラー名称が選択され、そのアクションメッセージとして、アクション表示エリア210cには、「ホストコンピュータとの接続設定をOFFにしています。ホストコンピュータに問題がない場合は、設定をONにしてください。」という復旧情報が表示されている。
【0073】
そして、ユーザーがこの測定部ヘルプウィンドウ210aの異常箇所ボタン210eを選択すると、その右側に示すような異常箇所ダイアログ230が立ち上がる。この異常箇所ダイアログ230の上部側には、エラー発生箇所を画像で表示するエラー箇所表示エリア230aが設けられている。エラー箇所表示エリア230aには、制御装置400(IPU)と、この制御装置400に通信可能に接続されたホストコンピュータ(HOST)との関係が3次元画像で表示されている。異常箇所ダイアログ230の下部側には、エラーの発生原因等のエラーに関する詳細内容を表示する詳細内容表示エリア230bが設けられている。このような異常箇所画像が表示されることにより、ユーザーは制御装置400でエラーが発生していることを視覚的に認識することができる。
【0074】
このような異常箇所ダイアログ230の表示を行うため、制御部400aは、図6のステップS416において、測定部ヘルプウィンドウ210の異常箇所ボタン210eがユーザーによって選択された否か、すなわち、異常箇所ダイアログ210eの表示指示を受け付けたか否かを判断する。異常箇所ダイアログ230の表示指示を受け付けた場合(Yes)、制御部400aはステップS417へ処理を進め、当該表示指示を受け付けなかった場合(No)はステップS421へ処理を進める。
【0075】
ステップS417において、制御部400aは、エラーリスト210aで選択されたエラー名称に対応する異常箇所画像及びエラー詳細メッセージをハードディスク401dから読み出し、ステップS418において異常箇所ダイアログ230を表示する。
ユーザーは、異常箇所ダイアログ230のエラー箇所表示エリア230aに表示された異常箇所画像からエラーが発生した箇所を視覚的に認識することができる。すなわち、測定部ヘルプウィンドウ210のアクションメッセージだけではエラー発生箇所が解り難い場合に、異常箇所ダイアログ230を表示させることで、操作経験の浅いユーザーであってもエラー発生箇所を正確に認識し、復旧させることが可能となる。また、詳細内容表示エリア230bに表示されたエラー詳細メッセージを読むことによってユーザーはエラーについてのより詳しい情報を得ることができる。
なお、測定部ヘルプウィンドウ210の表示内容だけでエラーの復旧が可能な場合には、ユーザーは、必ずしも異常箇所ダイアログ230を表示させなくてもよい。
【0076】
図9は、他の例に係る測定部ヘルプウィンドウ210と、この測定部ヘルプウィンドウ210に対応する異常箇所ダイアログ230を示す図である。この図9に示す例では、測定部ヘルプウィンド210のエラーリスト210aには「検体吸引センサ異常」というエラー名称が選択され、そのアクションメッセージとして、エラーに伴う測定ユニット2の動作内容、エラーの復旧手順が文章表示されている。さらに、ユーザーが異常箇所ボタン210eを選択すると異常箇所ダイアログ230が表示され、そのエラー箇所表示エリア230aには、検体吸引部位(検体分注アーム50)を中心とするその周囲の3次元画像が表示され、詳細内容表示エリア230bには、エラーの原因やエラーが復旧しなかった場合の対処法等が表示されている。エラー箇所表示エリア230aでは、エラー箇所に対してその部分が目立つような色(赤色等;ハッチングで示す)が付される。
【0077】
図10は、さらに他の例に係る測定部ヘルプウィンドウ210と、この測定部ヘルプウィンドウ210に対応する異常箇所ダイアログ230を示す図である。この図10に示す例では、測定部ヘルプウィンドウ210のエラーリスト210aで「操作カバーが開いています」というエラー名称が選択され、そのアクションメッセージとして、エラーに伴う測定ユニット2の動作内容、エラーの復旧手順が文章で表示されている。さらに、ユーザーが異常箇所ボタン210eを選択すると、異常箇所ダイアログ230が表示され、そのエラー箇所表示エリア230aには、測定部ユニット2の操作カバーを中心とするその周囲の3次元画像が表示され、詳細内容表示エリア230bには、エラー原因やエラーが復旧しなかった場合の対処法等が表示されている。エラー箇所表示エリア230aでは、エラーが発生した箇所に対してその部分が目立つような色(ハッチングで示す)が付される。
【0078】
ユーザーがエラーを復旧した後、異常箇所ダイアログ230を閉じる場合は、同ダイアログ230の「閉じる」ボタン230cを選択する。この際、制御部400aは、図6のステップS419において、ユーザーが異常箇所ダイアログの「閉じる」ボタン230cを選択したか否か、つまり異常箇所ダイアログ230の非表示指示を受け付けた否かを判断する。当該非表示指示を受け付けた場合(Yes)、制御部400aはステップS420へ処理を進め、異常箇所ダイアログ230を非表示にする(閉じる)処理を行う。
【0079】
ついで制御部400aは、ステップS421において、エラー復旧に必要な操作(処理)が行われたか否かを判断し、当該操作が行われた場合(Yes)はステップS422へ処理を進め、行われなかった場合にはステップS414へ処理を戻す。ステップS422において、制御部400aは、復旧されたエラー名称を測定部ヘルプウィンドウ210のエラーリスト210aから削除する。さらに、ステップS423において、制御部400aは、必要に応じて装置状態表示エリア202(図7参照)の表示色を切り換え、対応するエラー復旧用アイコン220を非表示にし、処理をステップS414に戻す。
【0080】
[装置状態表示エリア]
図11は、図7に示した装置状態表示エリア202のテキスト表示、表示色、エラー復帰用アイコン、及び装置状態の関係を対応づけて説明するテーブルである。メインウィンドウ201の装置状態表示エリア202には測定ユニット2の装置状態を表す文字情報(テキスト)が表示され、装置状態に応じて当該エリア202全体の色が灰、青、緑、黄、又は赤に切り換えられる。本実施の形態では、図11のNo.1〜No.15に示す各装置状態に応じて、装置状態表示エリア202に表示するテキストデータ、各表示色の装置状態表示エリア202の背景画像、及びエラー復帰用アイコンが予め設定されており、それぞれを対応づけて制御部400aのハードディスク401dに記憶させている。
【0081】
装置状態表示エリア202の色は、例えば、測定ユニット2の電源がオフ状態にあり測定ができない場合には「灰」とされ(No.1)、測定ユニット2の電源がオンであるが、すぐに測定を行うことができない状態(休止状態、スリープ状態等)では「青」とされ(No.2,3)、測定ユニット2は測定動作を行っていないが、すぐに又は間もなく測定を開始できる状態では「緑」とされ(No.4〜No.6)、測定ユニット2が測定動作、初期動作、保守動作等を行っている状態では「黄」とされる(No.7〜No.14)。また、測定中等に致命的なエラーが生じて測定できなくなった場合には「赤」とされる(No.15)。これらの各表示色の装置画像表示エリア202の背景画像がそれぞれの装置状態と対応づけられてハードディスク401dに記憶されている。
【0082】
本実施の形態では、測定ユニット2の動作中(表示色が「黄」)に、何らかのエラーが発生した場合に、上述したエラー復帰用アイコン220(図7参照)を装置状態表示エリア202に表示する。例えば、測定ユニット2の動作中に中断ボタン205(図7参照)が押されると、既に吸引された検体が測定中のままで新たな検体の吸引が停止される。この場合、図11のNo.11に示すように、装置状態表示エリア202には黄色の背景画像が表示され、「中断中」とテキスト表示されるとともに、エラー復帰用アイコン220として「測定開始アイコン」220bが表示される。ユーザーは、当該エラーが生じた場合には、測定開始アイコン220bに従って測定開始ボタン204(図7参照)を選択することにより測定を再開することができる。
【0083】
また、本実施の形態では、図11のNo.12〜No.14に示すように、測定ユニット2の動作中(表示色が「黄」)に「エラー」とテキスト表示されるパターンが3つある。いずれも既に吸引された検体は測定中であるが、新たな検体の吸引を停止した状態となるエラーであり、No.12は、単に測定開始ボタン204を選択することによって測定再開が可能なエラー、No.13は、ラック4を再セットし且つ測定開始ボタン204を選択することによって測定再開が可能なエラー、No.14は、ラック4を再セットした後、現在の測定が終了するまで測定再開ができないエラー(測定開始ボタン204の選択を受け付けないエラー)である。
【0084】
No.12では、測定開始ボタン204を選択するだけで測定再開可能であるので、装置状態表示エリア202には「測定開始アイコン」220bのみが表示され、No.13では、ラック再セット後に測定開始ボタン204を選択すれば測定再開可能であるので、「ラック再セットアイコン」220aと「測定開始アイコン」220bとの両方が表示される。No.14では、ラック4の再セットが必要であるが、測定開始ボタン204を選択できないので、「ラック再セットアイコン」220aと、「測定開始不可アイコン」(測定開始アイコンに×印をつけたもの)が表示されるようになっている。
【0085】
以上のように、装置状態表示エリア202には、測定ユニット2の装置状態に応じた色が付されるので、ユーザーは測定ユニット2が動作可能かどうか、既に動いているかどうか等の状態を一見して認識することが可能となっている。
【0086】
本発明は、上記実施の形態に限定されることなく適宜設計変更可能である。例えば、異常箇所ダイアログ230は、測定部ヘルプウィンドウ210と同時に表示部400aに表示させることもできるし、これらを1つのウィンドウとして表示させることもできる。本発明は、免疫分析装置に限らず、血液凝固測定装置、多項目血球分析装置、尿中有形成分分析装置、遺伝子増幅測定装置等の他の分析装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 免疫分析装置
140 本体制御部
210 測定部ヘルプウィンドウ
220 エラー復帰用アイコン
230 異常箇所ダイアログ
400 制御装置
400a 制御部
400b 表示部
400c 入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラックを搬送する検体搬送部と、
前記検体搬送部によって搬送されたラック上の検体を吸引して測定を行う測定部と、
表示部と、
前記表示部に、装置の状態を表示する装置状態表示エリアおよび測定開始を指示するための測定開始ボタンを含むメインウィンドウを表示させる表示制御手段と、を備え、
エラーの発生によってラックの搬送および新たな検体の吸引が停止した場合、前記表示制御手段は、
前記エラーが、ラックを再セットすることなくラックの搬送および検体吸引を再開可能なエラーである場合には、前記測定開始ボタンの操作を促す情報を前記装置状態表示エリアに表示させ、
前記エラーが、ラックを再セットすることによりラックの搬送および検体吸引を再開可能なエラーである場合には、ラックの再セットを促す情報と、前記測定開始ボタンの操作を促す情報を、前記装置状態表示エリアに表示させる、検体分析装置。
【請求項2】
前記測定部は、エラーの発生によってラックの搬送および新たな検体の吸引が停止した場合、エラー発生時に既に吸引した検体の測定を継続することが可能であり、
前記表示制御手段は、前記エラーが、既に吸引された検体の測定が終了するまで、ラックの搬送および検体吸引を再開できないエラーである場合、前記測定開始ボタンが操作できないことを示唆する情報を前記装置状態表示エリアに表示させる、請求項1の検体分析装置。
【請求項3】
前記ラックの再セットを促す情報が、ラックを示す画像を含む、請求項1または2に記載の検体分析装置。
【請求項4】
前記測定開始ボタンの操作を促す情報が、前記測定開始ボタンを示す画像を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の検体分析装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記装置の状態に応じて、前記装置状態表示エリアの表示色を切り換えるように構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の検体分析装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、
前記エラーが、ラックを再セットし、又はラックを再セットすることなく、ラックの搬送および検体吸引を再開可能なエラーである場合には、前記装置状態表示エリアを第1の表示色で表示させ、
前記エラーが、ラックの搬送および検体吸引が再開できないエラーである場合には、前記装置状態表示エリアを第2の表示色で表示させる、請求項5に記載の検体分析装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、エラーが発生しておらず、且つ、測定開始ボタンを操作することによって、ラックの搬送および検体吸引を開始できる状態にある場合には、前記装置状態表示エリアを第3の表示色で表示させる、請求項6に記載の検体分析装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、エラーの発生によって、ラックの搬送および検体吸引が停止した場合、前記エラーを復旧するための復旧情報を含むヘルプウィンドウを、前記メインウィンドウの上に、前記測定開始ボタンおよび前記装置状態表示エリアに重ならないように表示させる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の検体分析装置。
【請求項9】
前記エラーが、ラックを再セットすることによりラックの搬送および検体吸引を再開可能なエラーである場合、前記復旧情報は、ラックの再セットを促すメッセージを含む、請求項8に記載の検体分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−163567(P2012−163567A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−96129(P2012−96129)
【出願日】平成24年4月20日(2012.4.20)
【分割の表示】特願2007−243428(P2007−243428)の分割
【原出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】