説明

検体希釈装置を備えた分析装置

【課題】様々な形態の検体を取り扱うことができ、かつ構造が簡単で廉価な希釈装置を備えた分析装置を提供する。
【解決手段】溶液を送液する送液手段1と、試料を充填可能なループ6と前記ループに試料を充填する試料充填手段とを設け前記ループに試料を充填可能な状態と前記ループに充填した試料を送液可能な状態とを切り替え可能な試料導入手段2と、検出手段5とを備えた分析装置であって、前記試料充填手段が、試料を希釈する希釈液の供給部と、試料を負荷し前記希釈液により前記試料の希釈を行なう希釈部14と、吸引口および吐出口を有し前記希釈液を当該吸引口から吐出口に送液可能な希釈液送液手段17と液体を保留可能なダイヤフラムと吸引吐出口とを有し当該ダイヤフラム内の液体を吸引吐出可能な一以上の吸引吐出手段18とを設けた前記希釈液の送液および前記希釈部により希釈された希釈試料の吸引吐出が可能な送液部15と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導入する試料(検体)を希釈する装置を備えた、試料の分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液や尿のような生体試料中に含まれる成分を分離分析する場合、液体クロマトグラフ装置(図1)を使用することが多々ある。しかしながら、これら生体試料は多種多様な成分を含む一方、分離分析しようとする成分(目的成分)の量はごく僅かな場合が多い。そのため生体試料を直接液体クロマトグラフ装置に備えた分析カラムに導入すると、当該分析カラムにダメージを与えたり、目的成分の分離分析を妨害することが多い。したがって、液体クロマトグラフ装置を用いて生体試料中の目的成分の分離分析を行なう場合、通常は生体試料を希釈してから液体クロマトグラフ装置に導入することが多い。また、生体試料が血液であり、血球中の目的成分を分離分析する場合は、液体クロマトグラフ装置に導入する前に溶血剤や溶血液により溶血させる必要がある。
【0003】
生体試料を自動で希釈する方法や、血液試料に溶血剤を添加する方法については、これまで多く商品化または開示されている。その一例として、シリンジポンプおよびニードルを備えた分注手段を用いて、少量の空気、所定量の希釈液、少量の空気、所定量の試料液の順にニードルに吸引したのち希釈容器に吐出分注し、続いて前記希釈容器内でニードルによる吸引/吐出で撹拌することにより希釈試料を調製する方法がある(特許文献1)。別の例としては、一定量の液体を保持可能な希釈ポートに希釈液を事前に溜めておき、分注手段により液体試料(検体)を前記ポートに排出し撹拌することで希釈試料を調製する方法がある(特許文献2および3)。なお、前述の方法で希釈された検体は、シリンジなどの分注手段を用いて分析カラムに導入される。その他の方法としては、液体試料(検体)と希釈液とを配管内に混在させ、自然拡散によるオンラインで希釈を行なう方法も開示されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−013045号公報
【特許文献2】特開2002−031626号公報
【特許文献3】特開平9−178719号公報
【特許文献4】特開2001−343371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液体クロマトグラフ装置などの分析装置に導入する生体試料を自動で希釈する方法や、血液試料に溶血剤を添加する方法については、前述したようにこれまでも多く商品化または開示されている。しかしながら、前述したいずれの方法も、試料(検体)は採血管や試料カップ等に収容された液体状態であり、他の様態の検体を取り扱うことは困難である。また、前述した方法で用いる手段(ユニット)は高価なシリンジユニット等で構成されるため、動作も複雑であり、価格も高価になりがちである。
【0006】
そこで本発明は、様々な形態の検体を取り扱うことができ、かつ構造が簡単で廉価な希釈装置を備えた分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を鑑みてなされた本発明は、以下の態様を包含する。
【0008】
すなわち本発明の第一の態様は、
溶液を送液する送液手段と、
試料を充填可能なループと前記ループに試料を充填する試料充填手段とを設け、前記試料充填手段で前記ループに試料を充填可能な状態と前記ループに充填した試料を前記送液手段で送液された溶液により送液可能な状態とを切り替え可能な、試料導入手段と、
検出手段と、を備えた分析装置であって、
前記試料充填手段が、
試料を希釈する希釈液の供給部と、
試料を負荷し前記希釈液により前記試料の希釈を行なう希釈部と、
吸引口および吐出口を有し前記希釈液を当該吸引口から吐出口に送液可能な希釈液送液手段と、液体を保留可能なダイヤフラムと吸引吐出口とを有し当該ダイヤフラム内の液体を吸引吐出可能な一以上の吸引吐出手段と、を設けた、前記希釈液の送液および前記希釈部により希釈された希釈試料の吸引吐出が可能な送液部と、
を備えた手段である、前記装置である。
【0009】
また本発明の第二の態様は、
第1の溶液を送液する送液手段と、
第2の溶液を充填可能なループと前記ループに第2の溶液を充填する第1の充填手段とを設け、第1の充填手段で第2の溶液を前記ループに充填可能な状態と前記ループに充填した第2の溶液を送液手段で送液された第1の溶液により送液可能な状態とを切り替え可能な、第1の流路切り替え手段と、
第n(nは3以上)の溶液を充填可能なループと前記ループに第nの溶液を充填する第(n−1)の充填手段とを設け、第(n−1)の充填手段で第nの溶液を前記ループに充填可能な状態と前記ループに充填した第nの溶液を送液手段で送液された第1の溶液により送液可能な状態とを切り替え可能な、第(n−1)の流路切り替え手段と、
を備え、第(n−1)の流路切り替え手段を第(n−2)の流路切り替え手段に設けたループに備えた、流路系と、
試料を充填可能なループと前記ループに試料を充填する試料充填手段とを設け、前記試料充填手段で試料を充填可能な状態と前記ループに充填した試料を前記送液手段で送液された第1の溶液により送液可能な状態とを切り替え可能な、試料導入手段と、
検出手段と、
を備えた分析装置であって、前記試料充填手段が、
試料を希釈する希釈液の供給部と、
試料を負荷し前記希釈液により前記試料の希釈を行なう希釈部と、
吸引口および吐出口を有し前記希釈液を当該吸引口から吐出口に送液可能な希釈液送液手段と、液体を保留可能なダイヤフラムと吸引吐出口とを有し当該ダイヤフラム内の液体を吸引吐出可能な一以上の吸引吐出手段と、を設けた、前記希釈液の送液および前記希釈部により希釈された希釈試料の吸引吐出が可能な送液部と、
を備えた手段である、前記装置である。
【0010】
また本発明の第三の態様は、
前記希釈部が、
希釈液または希釈検体を保留し、かつ検体の負荷が可能な希釈ポートと、
前記希釈ポートの外周部に設けた、希釈液または希釈検体の排出が可能なドレンポートと、
前記希釈ポートの底部と前記吸引吐出手段が有する吸引吐出口の一つとを連通させるための第一の流路と、
前記希釈ポートの側面部と第一の流路とを連通させるための第二の流路と、
を設け、前記第一の流路および第二の流路にそれぞれ逆止弁を有した、前記第一または第二の態様に記載の分析装置である。
【0011】
また本発明の第四の態様は、分析装置が液体クロマトグラフ装置である、前記第一から第三のいずれかの態様に記載の分析装置である。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明の分析装置の一例を示した模式図を図2に示す。図2に示す本発明の分析装置は、
溶離液(8)を送液する送液ポンプ(1)と、
試料を充填可能なループ(6)と前記ループに試料(検体)を充填する試料充填手段とを設け、前記試料充填手段で試料(検体)を充填可能な状態と前記ループに充填した試料(検体)を送液ポンプ(1)で送液された溶離液(8)により送液可能な状態とを切り替え可能な、試料導入バルブ(2)とを設けた試料導入手段と、分析カラム(3)と検出器(5)とを設けた検出手段と、を備えており、前記試料充填手段が、
試料(検体)を希釈する希釈液(13)の供給部と、
試料を負荷し、希釈液(13)により前記試料の希釈を行なう希釈部(14)と、
吸引口および吐出口を有し前記希釈液を当該吸引口から吐出口に送液可能な希釈液送液手段(17)と、液体を保留可能なダイヤフラムと吸引吐出口とを有し当該ダイヤフラム内の液体を吸引吐出可能な一以上の吸引吐出手段(18)と、を有した、希釈液(13)の送液および希釈部(14)により希釈された希釈試料の吸引吐出が可能な送液部(15)と、
を設けた手段である、分析装置である。なお、本発明において、希釈液とは、生体試料(検体)中に含まれる目的成分およびその他の成分の濃度を低減させるために、検体に添加する液体のことをいい、生体試料(検体)が血液である場合、血球中の目的成分を分離分析するために血液検体に添加する、溶血剤を含む液体も、本発明の希釈液に該当する。
【0014】
本発明の分析装置では、試料導入バルブ(2)の出口側に何を設けるかにより、様々な種類の流れ分析装置を構築することができる。例えば、試料導入バルブ(2)の出口側に検体(試料)に適した分離手段(例えば分析カラム(3))を備えることで、液体クロマトグラフ装置、ガスクロマトグラフ装置、キャピラリー電気泳動装置等の分析装置を構築することができる。また、試料導入バルブ(2)の出口側に反応場としての配管(22)を設けることによりフローインジェクション分析装置を構築することができる。
【0015】
本発明の分析装置に備える試料導入手段のうち、試料充填手段における希釈装置(希釈部および送液部)の一例を図3に示す。図3に示す希釈装置において送液部(15)は、
吸引口および吐出口を有し、希釈液(13)を当該吸引口から吐出口へ送液可能な希釈液送液手段(17)と、
液体を保留可能なダイヤフラム(41)と二つの吸引吐出口を有し、前記ダイヤフラム(41)内の液体を吸引吐出可能な、二つの吸引吐出手段(18a、18b)と、
を備えており、
希釈液送液手段(17)が有する吐出口と、吸引吐出手段(18a)が有する吸引吐出口の一方とが連通し、
吸引吐出手段(18a)が有する吸引吐出口の他方と、吸引吐出手段(18b)が有する吸引吐出口の一方とが連通し、
吸引吐出手段(18b)が有する吸引吐出口の他方と、希釈部(14)とが連通可能となっている。
【0016】
図3に示す希釈装置における希釈液送液手段(17)の一例として、逆止弁(21a、21b)により希釈液を一方向に(吸引口から吐出口へ)送液可能な簡易ポンプがあげられる。簡易ポンプの代表的な例としては、近年商品化された電磁式ダイアフラムポンプがあげられる。電磁式ダイアフラムポンプは、
液体を保留可能な、ゴム等の柔軟性のある材質で作られたダイアフラム(41)と、
ダイアフラム(41)と接合されたピストン(42)と、
ピストン(42)を一方向に駆動させるための電磁コイル(45)と、
ピストン(42)を逆方向に駆動させるためのスプリング(43)と、
ピストン(42)の移動距離を決定するための調整ねじ(44)と、
を有しており、電磁コイル(45)への電源をON/OFFすることでダイアフラム(41)が変形し、希釈液を一方向(吸引口から吐出口へ)に送液することができる(図4a)。なお希釈液送液手段(17)は、前述した電磁式ダイアフラムポンプに限らず、逆止弁(21a、21b)等により希釈液を一方向(吸引口から吐出口へ)に送液可能なポンプであればよい。一例として、モータまたは圧電素子によりピストン(ダイヤフラム)を駆動させるダイヤフラムポンプや、ペリスタリックポンプに代表されるチューブポンプ等があげられる。
【0017】
図3に示す希釈装置における吸引吐出手段(18a、18b)の一例として、
液体を保留可能な、ゴム等の柔軟性のある材質で作られたダイヤフラム(41)と、
ダイヤフラム(41)と接合されたピストン(42)と、
ピストン(42)を一方向に駆動させるための電磁コイル(45)と、
ピストン(42)を逆方向に駆動させるためのスプリング(43)と、
ピストン(42)の駆動距離を決定するための調整ねじ(44)と、
を有した手段があり、電磁コイル(45)への電源をON/OFFすることでダイヤフラム(41)が変形し、ダイヤフラム(41)内の液体を移動させることができる(図4b)。図4bに示す吸引吐出手段は、前述した電磁式ダイヤフラムポンプ(図4a)と酷似した構造および外観を有しており、価格的にも安価であるため好ましい。なお、吸引吐出手段(18a)が有するダイアフラム(41)の容量と、吸引吐出手段(18b)が有するダイアフラム(41)の容量は、同一容量であってもよいし、異なる容量であってもよい。
【0018】
図3に示す希釈装置における送液部(15)に備えた希釈液送液手段(17)および一以上の吸引吐出手段(18)は、
(A)個別の手段として配置し、各々を外部配管で接続した態様であってもよいし、
(B)1つのマニホールド(61)の形に集約した態様(図5および6)、
であってもよいが、前記(B)の態様を採用すると、希釈装置を省スペース化できる点で好ましい。なお、図5および6に示す希釈装置において、希釈液送液手段(17)は、吸引吐出手段(18c)を含んだブロックと逆止弁(21)を含んだブロックとから構成されている。
【0019】
図3に示す希釈装置における希釈部(14)の一例を図7aに示す。図7aに示す希釈部は、
希釈液または希釈検体を一定量保留し、かつ検体の負荷が可能な希釈ポート(31)と、
希釈ポート(31)の外周部に設けた、希釈ポートからオーバーフローした希釈液または希釈検体を受け止めるドレン受け(32)と、
希釈ポート(31)の外周部に設けた、ドレン受け(32)に溜まった希釈液または希釈検体を系外に排出可能なドレンポート(33)と、
希釈ポート(31)の底部に設けた、送液部と希釈液または希釈検体の出入りを行なう流路(34)と、
を備えている。なお、希釈ポート(31)の外形は、オーバーフローした希釈液がドレン溝方向にスムーズに流れる形状であればよく、図7aに示す、単純な円錐または円錐台状であってもよいし、その他の形状であってもよい。
【0020】
図3に示す希釈装置における希釈部(14)の別の例を図7bに示す。図7bに示す希釈部は、
希釈液または希釈検体を一定量保留し、かつ検体の負荷が可能な希釈ポート(31)と、
希釈ポート(31)の外周部に設けた、希釈ポートからオーバーフローした希釈液または希釈検体を受け止めるドレン受け(32)と、
希釈ポート(31)の外周部に設けた、ドレン受け(32)に溜まった希釈液または希釈検体を系外に排出可能なドレンポート(33)と、
希釈ポート(31)の底部に設けた、送液部と希釈液または希釈検体の出入りを行なう第一の流路(34a)と、
希釈ポート(31)の側面部と第一の流路(34a)とを連通させる第二の流路(34b)と、
を備えており、第一の流路(34a)と第二の流路(34b)にはそれぞれ逆止弁(21b、21a)を有している。第一の流路(34a)のうち第二の流路(34b)との分岐部から希釈ポート(31)までの流路は逆止弁(21b)により希釈ポート(31)から送液部への送液のみ可能であり、第二の流路(34b)は逆止弁(21a)により送液部から希釈ポート(31)への送液のみ可能である。なお、希釈ポート(31)の外形は、図7aに示す希釈部と同様、オーバーフローした希釈液がドレン溝方向にスムーズに流れる形状であればよく、図7bに示す、単純な円錐や円錐台状であってもよいし、その他の形状であってもよい。
【0021】
図3に示す希釈装置における希釈部(14)に設けた希釈ポートの内部形状は、負荷する検体の形態により最適な形状を選択すればよい。例えば、液滴を検体として使用する場合は内部形状が円柱状の希釈ポート(図8a)が好ましく、試験片を検体として使用する場合は内部形状が直方体の希釈ポート(図8b)が好ましい。この他にも、円錐または円錐台状の内部形状を有した希釈ポート(図8c)もあげられる。また、希釈ポートの容積は、目的とする検体希釈量や希釈倍率を考慮し適宜決定すればよい。
【0022】
本発明の分析装置における希釈部(14)に設けた希釈ポート(31)に負荷する検体の態様は特に限定されない。一例として、
(A)液体検体をシリンジやピペットなどの分注器を用いて直接負荷する方法、
(B)液体検体を毛細管を用いて吸引し、検体を吸引した毛細管ごと負荷する方法、
(C)穿刺器具を用いて自己採血した血液試料(検体)を採血部位ごとそのまま負荷する方法、
(D)綿棒(16a)または試験片(16b)の先端に設けた吸収部(16aa、16ba)に検体を吸収させ、吸収させた綿棒(16a)または試験片(16b)ごと負荷する方法(図9から12)、
があげられる。また、分注器で採取した検体、毛細管で吸引した検体、自己採血した検体等をあわせて一つの試験片に吸収後、当該試験片ごと希釈ポートに負荷してもよい。
【0023】
なお希釈部を図7bに示す態様とすると、希釈ポート(31)に負荷する検体が、あらかじめ綿棒や試験片のような媒体の先端に吸収させた検体である場合、特に有用である。その理由として、図7bに示す希釈部は、送液部から吐出される希釈液が希釈ポート(31)の側面部から吐出されるため、当該吐出位置に綿棒や試験片(16b)中の検体吸収部(16ba)をあわせることで、吐出された希釈液が直接検体吸収部(16ba)に吹き付けられ、希釈効率を高めることが期待できるからである(図13)。
【0024】
図2に示す分析装置のうち、試料充填手段が図3に示す希釈部(14)と送液部(15)とを備えた手段であり、試料導入バルブ(2)の出口側に分析カラム(3)を備えた態様における、検体(試料)の希釈および希釈検体の分析の流れを、図14から16を用いて詳細に説明する。
【0025】
(a)希釈ポート洗浄工程(図14(a))
希釈液送液手段(17)により希釈液(13)を送液する場合は、下流に備えた2つの吸引吐出手段(18a、18b)を貫通した状態にする必要がある。吸引吐出手段(18a、18b)が図4bに示した態様の場合、電磁コイル(45)への電源をONにしピストン(42)を上方に移動させダイヤフラム(41)を膨らんだ状態にすることで、吸引吐出手段(18a、18b)を貫通状態にすることができる。この状態で、希釈液送液手段(17)を駆動させる(具体的には、周期的に電源のON/OFFを繰り返す)ことで、希釈液が、希釈液送液手段(17)、吸引吐出手段(18a)、吸引吐出手段(18b)、希釈部(14)の順に送液され、希釈部(14)から希釈液がオーバーフローすることで、希釈部(14)および送液部(15)内の洗浄ならびに希釈液への置換が行なわれる。なお、試料導入バルブ(2)は後述の(d)希釈工程まで、希釈部(14)−ループ(6)−送液部(15)との間が連通した状態(Load状態)とし、Load状態では送液ポンプ(1)により送液される溶離液(8)は直接分析カラム(3)に導入される。
【0026】
(b)排出工程(図14(b))
希釈液送液手段(17)を停止した状態(すなわちダイヤフラムがしぼんだ状態)で、吸引吐出手段(18a、18b)に設けた電磁コイルへの電源をOFFにしピストンを下方に移動させダイヤフラム(41)がしぼんだ状態にすることで、ダイヤフラム(41)容量分の希釈液が排出される。なお希釈液送液手段(17)の吐出口側の逆止弁により、希釈液送液手段(17)側は閉状態(OFF状態)になることから、希釈部(14)側にのみ希釈液が排出される。
【0027】
(c)検体負荷工程(図15(c))
希釈部(14)にて検体(7)が負荷された後、希釈液送液手段(17)は停止したまま、吸引吐出手段(18a、18b)に設けた電磁コイルへの電源をONにしピストンを上方に移動させダイヤフラム(41)を膨らんだ状態にすることで、ダイヤフラム(41)内に検体を含んだ希釈液(希釈検体)が吸引される。なお希釈液送液手段(17)の吐出口側の逆止弁により、希釈液送液手段(17)側は閉状態になることから、吸引吐出手段(18a、18b)が有するダイヤフラム(41)にのみ希釈検体が吸引される。
【0028】
(d)希釈工程(図15(d))
吸引吐出手段(18b)に設けた電磁コイルに対し周期的に電源のON/OFFを行なうことで、吸引吐出手段(18b)に設けたダイヤフラム(41)容量分の検体希釈液を吸引吐出し、当該ダイアフラムの容量分だけ液体を往復動作させることで、検体の希釈を行なう。
【0029】
(e)希釈検体導入工程(図16(e))
検体希釈終了後、試料導入バルブ(2)をLoad状態から、溶離液(8)−ループ(6)−分析カラム(3)との間が連通した状態(Injection状態)に切り替える。ループ(6)に充填した希釈検体を溶離液(8)で押し出す形で分析カラム(3)に導入し、溶離液による検体成分の溶出および分析を行なう。
【0030】
図14から16に示す分析装置を用いて、検体(試料)希釈および分析を行なう場合における、希釈液送液手段(17)および吸引吐出手段(18a、18b)の吸引吐出状態、希釈部に設けた希釈ポート(31)の液面位置、ならびに試料導入バルブ(2)の切り替え位置をまとめたダイアグラムを図17にまとめる。なお、図17において、各工程に付された記号は図14から16の記号と対応している。
【0031】
本発明の分析装置の別の例を図27に示す。図27に示す分析装置は、
溶離液A(バッファA:押出液を兼ねる)(8a)を送液する送液ポンプ(1a)と、溶離液B(バッファB)(8b)を分析カラム(3)へ導入するための第1の流路切り替えバルブ(12a)と、溶離液C(バッファC)(8c)を分析カラム(3)へ導入するための第2の流路切り替えバルブ(12b)と、バッファBを充填可能なループ(6b)と、バッファCを充填可能なループ(6c)と、を備え、第2の流路切り替えバルブ(12b)は第1の流路切り替えバルブ(12a)に設けたループ(6b)に備えた、流路系と、
第1の流路切り替えバルブ(12a)の出口側に設けた、図14から図16に示す分析装置と同様な試料充填手段と試料導入バルブ(2)とを有した試料導入手段と、
分析カラム(3)および検出器(5)とを備えた装置である。第1の流路切り替えバルブ(12a)、第2の流路切り替えバルブ(12b)、および試料導入バルブ(2)は、通常液体クロマトグラフで用いられる、二位置切り替え六方バルブを用いることができる。
【0032】
図27に示す分析装置における、検体(試料)の希釈および希釈検体の分析の流れを、図28から図34を用いて詳細に説明する。
【0033】
(a)希釈ポート洗浄工程(図28)から(e)希釈撹拌工程(図32)まで
図14(a)から図15(d)と同様な方法で、検体(試料)の希釈を行なう。なお、試料導入バルブ(2)は、希釈部(14)−ループ(6a)−送液部(15)との間が連通した状態(Load状態)とし、Load状態では送液ポンプ(1a)により送液されるバッファA(8a)は直接分析カラム(3)に導入される。また、第1の流路切り替えバルブ(12a)はループ(6b)にバッファB(8b)を充填可能な状態(OFF状態)、第2の流路切り替えバルブ(12b)はループ(6c)にバッファC(8c)を充填可能な状態(OFF状態)とする。
【0034】
(f)希釈検体導入工程(図33)
検体希釈終了後、試料導入バルブ(2)をLoad状態から、溶離液(8)−ループ(6a)−分析カラム(3)との間が連通した状態(Injection状態)に切り替える。ループ(6a)に充填した希釈検体をバッファA(押出液)(8a)で押し出す形で分析カラム(3)に導入し、バッファA(8a)による試料成分の溶出および分析を行なう。
【0035】
(g)ステップグラジエント分析工程(図34)
希釈検体導入終了後、試料導入バルブ(2)をInjection状態からLoad状態に戻し、再び検体(試料)の希釈が可能な状態とする。一方、第1の流路切り替えバルブ(12a)はバッファA(8a)を送液する流路とバッファBを充填したループ(6b)とを連結した状態(ON状態)に、第2の流路切り替えバルブ(12b)はバッファBを充填したループ(6b)とバッファCを充填したループ(6c)とを連結した状態(ON状態)に、それぞれ切り替える。これにより、バッファA(押出液)で押し出される形でバッファB、バッファCの順に分析カラム(3)へ導入され、バッファBによる試料成分の溶出、引き続きバッファCによる試料成分の溶出および分析を行なう。
【0036】
図27に示す分析装置を用いて、検体(試料)希釈および分析を行なう場合における、希釈液送液手段(17)および吸引吐出手段(18a、18b)の吸引吐出状態(ON・/OFF状態)、希釈部に設けた希釈ポート(31)の液面位置、ならびに試料導入バルブ(2)および流路切り替えバルブ(12a、12b)の切り替え位置をまとめたダイアグラムを図35にまとめる。なお、図35において、各工程に付された記号は図28から34の記号と対応している。
【0037】
図27に示す分析装置では、分析カラムに送液する溶離液(バッファ)の種類は3種類であり、流路切り替え手段を2つ設けた分析装置であったが、分析カラムに送液する溶離液(バッファ)の種類に限定はなく、分析カラムに送液する溶離液(バッファ)の種類がn種類の場合は、流路切り替え手段を(n−1)個設ければよい。
【0038】
図27に示す分析装置では高圧状態での切り替え(すなわち圧力変動)が常に2回で済むため、分析装置に備えた検出器に余分なノイズを与えることがなくなり、より高精度な分析を可能とするため好ましい。なお、試料導入手段を第1の流路切り替え手段に設けたループに備えてもよく、その場合は高圧状態での切り替え(すなわち圧力変動)は常に1回で済むため、さらに高精度な分析が可能となることが予想される(特願2010−268560号)。
【0039】
図14から16および図27に示す分析装置の希釈装置に備えた送液部では吸引吐出手段を二つ備えているが、吸引吐出手段を一つ備えた送液部であっても、図14から15および図27から32に示す方法と同様な方法で検体の希釈が可能である。吸引吐出手段を一つ備えた場合、希釈工程において、吸引吐出手段が吸引状態にあるときは当該手段が有するダイヤフラムの容量分だけ希釈部に設けた希釈ポートの液面が低下し、吸引吐出手段が吐出状態にあるときは前記希釈ポートの液面は最上面まで上昇する。そのため、吸引吐出手段が吐出状態の時、希釈部に衝撃等何らかの外部要因が生じると、希釈ポートの最上面にある希釈検体がこぼれ落ち、希釈性能が悪化する恐れがある。一方、吸引吐出手段を二つ以上備えた場合、希釈(撹拌)工程において、吸引吐出手段が吸引状態にあるときは当該手段が有するダイヤフラムの合計容量(図14から16および図27に示す分析装置の希釈装置に備えた送液部の場合は吸引吐出手段(18a、18b)が有するダイヤフラム(41)の合計容量)分だけ希釈部に設けた希釈ポートの液面が低下し、吸引吐出手段が吐出状態にあるときは前記希釈ポートの液面が吸引吐出手段一つ分の容量(図14から16および図27に示す分析装置の希釈装置に備えた送液部の場合は吸引吐出手段(18a)が有するダイヤフラム(41)の容量)分だけ低下した位置まで液面が上昇する。つまり、液面が希釈ポートの最上面より低くなるため、希釈部に衝撃等何らかの外部要因が生じても検体希釈液がこぼれ落ちることはなく、より安定した希釈性能を発揮することが可能である。
【発明の効果】
【0040】
本発明の分析装置は、溶液を送液する送液手段と、試料を充填可能なループと前記ループに試料を充填する試料充填手段とを設け前記試料充填手段で前記ループに試料を充填可能な状態と前記ループに充填した試料を前記送液手段で送液された溶液により送液可能な状態とを切り替え可能な試料導入手段と、検出手段と、を備え、かつ前記試料充填手段が、試料を希釈する希釈液の供給部と、試料を負荷し前記希釈液により前記試料の希釈を行なう希釈部と、吸引口および吐出口を有し前記希釈液を当該吸引口から吐出口に送液可能な希釈液送液手段と液体を保留可能なダイヤフラムと吸引吐出口とを有し当該ダイヤフラム内の液体を吸引吐出可能な一以上の吸引吐出手段とを設けた前記希釈液の送液および前記希釈部により希釈された希釈試料の吸引吐出が可能な送液部と、を備えていることを特徴としている。
【0041】
本発明の分析装置に備えた試料充填手段では、送液部に備えた吸引吐出手段を、液体を保留可能なダイヤフラムと吸引吐出口とを有し、かつ前記ダイヤフラム内の液体を吸引吐出可能な手段とすることで、例えば吸引吐出手段が有する電磁式部品への電源のON/OFF操作のみで液体を吸引吐出することができる。したがって、装置構成を大幅に簡素化することができ、製造コストを大幅に低減させることが可能となる。さらに送液部を構成する各手段はマニホールドに集約することができ、これにより分析装置に占める試料充填手段の容積を大幅に小さくすることが可能となる。
【0042】
なお、本発明の分析装置に備えた試料充填手段における希釈部を、
希釈液または希釈検体を保留し、かつ検体の負荷が可能な希釈ポートと、
前記希釈ポートの外周部に設けた、希釈液または希釈検体の排出が可能なドレンポートと、
前記希釈ポートの底部と前記吸引吐出手段が有する吸引吐出口の一つとを連通させるための第一の流路と、
前記希釈ポートの側面部と第一の流路とを連通させるための第二の流路と、
を設け、前記第一の流路および第二の流路にそれぞれ逆止弁を有した、希釈部とすると、濾紙片、綿棒、試験片等の媒体に吸収させた検体からの希釈を行なうとき、第二の流路から吐出する希釈液が、検体を吸収させた箇所に直接吹き付けられるため、より効率的な検体希釈が可能となる。よって結果として、分析装置による検体成分の分析精度を向上させることができる。なお、前記希釈部は、希釈液および試料(検体)を循環させる形式のため、試料負荷量が多い場合でも効率的な検体希釈が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】一般的な液体クロマトグラフ装置の流路系を示した図である。
【図2】本発明の分析装置の一例を示した模式図である。
【図3】本発明の分析装置に備えた希釈装置の一例を示した図である。
【図4】図3に示す希釈装置に備えた送液手段および吸引吐出手段の基本動作を示した図である。
【図5】図3に示す希釈装置に備えた希釈装置のうち送液部を一つのマニホールドに集約した態様の一例を示す図である。aが全体図、bが分解図である。
【図6】図3に示す希釈装置に備えた希釈装置のうち送液部を一つのマニホールドに集約した態様の別の例を示す図である。aが全体図、bおよびcが分解図である。
【図7】図3に示す希釈装置に備えた希釈装置のうち希釈部の基本構造を示した図である。aは液体を吸引するときの流路と吐出するときの流路とを共通にした態様を、bは液体を吸引するときの流路と吐出するときの流路とを分離した態様を、それぞれ示している。
【図8】図3に示す希釈装置に備えた希釈装置のうち、希釈部が有する希釈ポートの形状の例を示した図である。
【図9】本発明の分析装置で分析する検体の負荷に用いる綿棒の一例を示した図である。
【図10】図9に示す綿棒を用いた、本発明の分析装置に備えた試料導入手段への検体負荷態様の一例を示した図である。
【図11】本発明の分析装置で分析する検体の負荷に用いる試験片の一例を示した図である。
【図12】図11に示す試験片を用いた、本発明の分析装置に備えた試料導入手段への検体負荷態様の一例を示した図である。
【図13】図11に示す試験片に吸収させた検体を、図7bに示す希釈部で希釈したときの希釈態様を示した図である。
【図14】本発明の分析装置の一例における各工程の動作を示した図である。(a)は希釈ポート洗浄工程における動作を、(b)は排出工程における操作を、それぞれ示している。
【図15】本発明の分析装置の一例における各工程の動作を示した図である。(c)は検体負荷工程における動作を、(d)は希釈工程における操作を、それぞれ示している。
【図16】本発明の分析装置の一例における(e)希釈検体導入工程の動作を示した図である。
【図17】本発明の分析装置の一例を用いて検体を分析する際の、各構成要素(送液手段、吸引吐出手段、希釈部、試料導入手段)の動作を示したダイヤグラムである。なお、本図において、各工程に付された記号は図14から16の記号と一致している。
【図18】実施例1で希釈率を算出するために使用した検量線である。
【図19】実施例1で試料負荷量を10μLに固定し、試料濃度を変化させた場合の、希釈の過程を示したクロマトグラムである。横軸が測定回数(#1から#13)、縦軸が検出器の出力を示している。
【図20】図19を基に、各試料濃度におけるピーク面積(測定13回目、図19aから19eの#13)をプロットした結果を示す図である。
【図21】実施例1で試料濃度を50mg/50mLに固定し、試料負荷量を変化させた場合の、希釈の過程を示したクロマトグラムである。横軸が測定回数、縦軸が検出器の出力を示している。
【図22】図21を基に、各試料負荷量におけるピーク面積(測定13回目、図21aから21fの#13)をプロットした結果を示す図である。
【図23】実施例1において、測定(#1から#13)ごとのクロマトグラムをまとめた結果である。各クロマトグラムにおいて、横軸は溶出時間、縦軸は検出器出力を示し、上部に示した回数は希釈操作における通算の吸引/吐出回数を示す。
【図24】実施例1で再現性を確認した結果を示す図である。縦軸は測定13回目(#13)におけるピーク面積を、横軸は実施回数(n)を示す。
【図25】実施例2の分析装置において、試料濃度を50mg/50mLに固定し、試料負荷量を変化させた場合の、希釈の過程を示したクロマトグラムである。横軸が測定回数(#1から#13)、縦軸が検出器の出力を示している。
【図26】図25を基に、各検体(試料)負荷量におけるピーク面積(測定13回目、図25aから25gの#13)をプロットした結果を示す図である。
【図27】本発明の分析装置の別の例を示した図である。
【図28】図27に示す分析装置の、(a)希釈ポート洗浄工程における動作を示した図である。
【図29】図27に示す分析装置の、(b)希釈液排出工程(計量工程)における動作を示した図である。
【図30】図27に示す分析装置の、(c)検体負荷用隙間作成工程における動作を示した図である。
【図31】図27に示す分析装置の、(d)検体負荷工程における動作を示した図である。
【図32】図27に示す分析装置の、(e)希釈撹拌工程における動作を示した図である。
【図33】図27に示す分析装置の、(f)希釈検体導入工程における動作を示した図である。
【図34】図27に示す分析装置の、(g)ステップグラジエント分析工程における動作を示した図である。
【図35】図27に示す分析装置を用いて検体を分析する際の、各構成要素(送液手段、吸引吐出手段、希釈部、試料導入手段、流路切り替え手段)の動作を示したダイヤグラムである。なお、本図において、各工程に付された記号は図28から34の記号と一致している。
【図36】実施例3で試料負荷量を変化させた場合の、負荷量に対するクロマトグラムの変化を示した図である。横軸が測定時間、縦軸が検出器の出力を示している。
【図37】図36を基に、各試料負荷量における(a)A1cまたは(b)A0のピーク面積値をプロットした結果を示す図である。
【図38】実施例3で試料希釈率を変化させた場合の、希釈率に対するクロマトグラムの変化を示した図である。横軸が測定時間、縦軸が検出器の出力を示している。
【図39】図38を基に、各試料希釈率における(a)A1cまたは(b)A0のピーク面積値をプロットした結果を示す図である。
【図40】図27に示す分析装置において、液体試料を直接負荷した場合の再現性を評価した結果を示す図である。(a)は代表的なクロマトグラム、(b)は各測定におけるA1cおよびA0の保持時間(R.T.)の推移、(c)は各測定におけるA1c(%)の推移、(d)は希釈率を算出するために使用した検量線である。
【図41】図27に示す分析装置において、試料液を綿棒の吸収体に吸収させた態様で負荷したときの再現性を評価した結果を示す図である。(a)は代表的なクロマトグラム、(b)は各測定におけるA1cおよびA0の保持時間(R.T.)の推移、(c)は各測定におけるA1c(%)の推移、(d)は希釈率を算出するために使用した検量線である。
【図42】実施例4の分析装置により、試料液を試験片の吸収体に吸収させた態様で負荷したときの再現性を評価した結果を示す図である。(a)は代表的なクロマトグラム、(b)は各測定におけるA1cおよびA0の保持時間(R.T.)の推移、(c)は各測定におけるA1c(%)の推移、(d)は希釈率を算出するために使用した検量線である。
【実施例】
【0044】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例は本発明を限定するものではない。
【0045】
実施例1
図14から16に示す本発明の分析装置を用いて、本発明の分析装置の有用性を評価した。
【0046】
送液ポンプ(1)は東ソー製DP−8020を、試料導入バルブ(2)は2位置切り替えバルブを、ループ(6)は0.5μLの容量のループを、分析カラム(3)は東ソー製TSKgel ODS−100V(内径1mmID、長さ35mm、粒径3μm)を、検出器(5)は東ソー製紫外可視検出器UV−8020(マイクロセル)(検出波長:550nm)を、溶離液(バッファ)(8)および希釈液(13)は30%アセトニトリル水溶液を、それぞれ用い、試料(検体)として緑色色素であるアリザリングリーン(和光純薬製)を用いた。
【0047】
希釈部(14)は図7aに示す吸引/吐出の流路が共通の形式(往復動作方式)を採用した。なお、希釈ポート(31)は直径5mmΦ×深さ20mmの円柱形状(図8a)であり、容積は約400μLである。希釈液送液手段(17)は電磁式ダイアフラムポンプである高砂電気製定量吐出ポンプMVP−50を、吸引吐出手段(18a)は希釈液送液手段(17)と同じポンプから逆止弁を除いたものを、吸引吐出手段(18b)は高砂電気製定量吐出ポンプPKP−500から逆止弁を除いたものを、それぞれ用いた。
【0048】
試料の希釈および希釈試料の分析は以下の方法で行なった。
(a)吸引吐出手段(18a、18b)のダイヤフラム(41)が膨らんだ状態(ON状態)で、希釈液送液手段(17)のON/OFF状態を約0.3分間、3秒間隔で切り替えることで、希釈液を送液し希釈ポート(31)内を洗浄する(図14(a))。
(b)吸引吐出手段(18a、18b)のダイヤフラム(41)がしぼんだ状態(OFF状態)にし、希釈液を排出させることで、希釈ポート(31)内の希釈液容量を一定にする(図14(b))。
(c)吸引吐出手段(18a、18b)をON状態して希釈液を吸引することで、希釈ポート(31)内に一定容量の隙間を作成し、試料を負荷する(図15(c))。
(d)吸引吐出手段(18b)のON/OFF状態を2.4秒間隔で5往復することで、試料を希釈する(図15(d))。
(e)試料導入バルブ(2)をLoad状態からInjection状態に切り替え、ループ(6)内の希釈試料を、溶離液(8)で押し出す形で分析カラム(3)に導入した(図16(e))。
(f)約15秒待機(その間試料導入バルブ(2)をInjection状態からLoad状態に切り替える)後、(a)から(e)の操作を再び行ない、希釈試料の導入を通算13回行なった。
【0049】
希釈率を算出するために用いる検量線を図18に示す。図18は、用手法で試料(アリザリングリーン)を1倍(50mg/50mL(1mg/mL))、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、200倍に希釈した溶液を分析カラム(3)に導入して得られた結果を基に作成している(図18aは整数軸、図18bは縦軸横軸とも対数軸で表示)。
【0050】
図14から16に示す本発明の分析装置を用いた試料分析において、試料負荷量を10μLに固定し、試料濃度を変化させたときのピーク面積(高さ)の傾向を示したクロマトグラムを図19に示す。負荷した試料(アリザニングリーン)の濃度は、25mg/50mL(a)、50mg/50mL(b)、75mg/50mL(c)、100mg/50mL(d)、125mg/50mL(e)である。いずれの濃度の試料液を用いたときも、4から5回目の試料希釈から一定のピーク高さ、すなわち一定の希釈率を示すことが分かる。4から5回目の試料希釈を吸引吐出手段(18b)におけるON/OFF状態の往復数に換算すると、20から25往復に相当する。
【0051】
試料希釈13回目(図19aから19eの#13)のときの、負荷した試料液の濃度とピーク面積との関係を図20に示す。図20より、試料負荷量が一定の場合、試料濃度とピーク面積との間に良好な直線関係が認められ、定量的な希釈が行なわれていることがわかる。
【0052】
図14から16に示す本発明の分析装置を用いた試料分析において、試料濃度を50mg/50mL(1mg/mL)に固定し、試料負荷量を変化させたときのピーク面積(高さ)の傾向を示したクロマトグラムを図21に示す。負荷した試料(アリザニングリーン)液の量は、2.5μL(a)、5μL(b)、10μL(c)、15μL(d)、20μL(e)、25μL(f)である。いずれの試料量を用いたときも、4から5回目の試料希釈から一定のピーク高さ、すなわち一定の希釈率を示すことが分かる。4から5回目の試料希釈を吸引吐出手段(18b)におけるON/OFF状態の往復数に換算すると、20から25往復に相当する。
【0053】
試料希釈13回目(図21aから21fの#13)のときの、試料負荷量とピーク面積との関係を図22に示す。図22より、試料濃度が一定の場合、2.5μLから15μLの範囲(図21aから21d)では、試料負荷量とピーク面積との間に良好な直線関係が認められ、定量的な希釈が行なわれているものの、それ以上の負荷量では当該直線関係から外れる傾向(グラフが寝る傾向)となった。この理由として、図14から図16に示す本発明の分析装置では、吸引吐出手段(18b)のダイヤフラム容量分往復動作を行なうことで試料の希釈撹拌を行なうため対流が不十分で、試料負荷量が過大になると、試料と希釈液の界面から遠い原液濃度の試料が希釈されにくい傾向を示すためと考えられる。
【0054】
図14から16に示す本発明の分析装置の再現性を確認した結果を図23から24および表1に示す。負荷した試料液の量は10μL(マイクロシリンジ使用)、濃度は50mg/50mL(希釈率1)であり、試料希釈および希釈試料の分析を13回実施している図23は各測定回数(#1から#13)におけるクロマトグラムの一例である。図23において、各クロマトグラム上部に記載の回数は、吸引吐出手段(18b)におけるON/OFF状態の通算往復数である。4から5回目の試料希釈(#4から#5)から一定のピーク高さ、すなわち一定の希釈率を示すことが分かる。4から5回目の試料希釈を吸引吐出手段(18b)におけるON/OFF状態の往復数に換算すると20から25往復に相当し、時間に換算すると1.6から2.0分に相当する。
【0055】
図24および表1は試料希釈13回目(図23の#13)におけるピーク面積(高さ)や希釈率を、測定サイクル実施(n)毎にまとめた結果である。本条件では、約100倍の希釈が行われており、ピーク高さの変動でCV=5.3%程度、面積、面積から換算した希釈率および希釈率の逆数ではCV=3.8%程度と良好な値を示しており、図14から16に示す本発明の分析装置は、試料を安定的に希釈し分析できることがわかる。
【0056】
【表1】

実施例2
図14から16に示す本発明の分析装置のうち、希釈部(14)を図7bに示す吸引/吐出の流路が異なる形式(循環動作方式)とし、希釈ポート(31)を2mm×5mm×深さ20mmの直方体形状(図8b)とした分析装置(以下、実施例2の分析装置とする)を用いて、実施例1と同様に、試料の希釈および希釈試料の分析を行なった。
【0057】
実施例2の分析装置を用いた試料分析において、試料濃度を50mg/50mLに固定し、試料負荷量を変化させたときのピーク面積(高さ)の傾向を示したクロマトグラムを図25に示す。負荷した試料(アリザニングリーン)液の量は、2.5μL(a)、5μL(b)、10μL(c)、15μL(d)、20μL(e)、25μL(f)、50μL(g)である。いずれの試料量を用いたときも、4から5回目の試料希釈から一定のピーク高さ、すなわち一定の希釈率を示すことが分かる。4から5回目の試料希釈を吸引吐出手段(18b)におけるON/OFF状態の往復数に換算すると、20から25往復に相当する。
【0058】
試料希釈13回目(図25aから25gの#13)のときの、試料負荷量とピーク面積との関係を図26に示す。2.5μLから50μLの広い範囲で良好な直線関係が認められ、定量的な希釈が行なわれていることがわかる。前述したように、希釈部(14)に往復動作方式(図7a)を採用した、図14から図16に示す本発明の分析装置では、直線関係が得られたのが15μLまでであったため、実施例2の分析装置により直線関係が得られる容量が2倍以上拡大していることがわかる。よって、希釈部(14)に循環動作方式(図7b)を採用した、実施例2の分析装置は、効率的に撹拌希釈操作が行なえるため、試料負荷量が多い場合でも高精度に試料成分の分析が行なえる。
【0059】
実施例3
特願2010−268560号で開示のステップグラジエント流路系を利用した本発明の分析装置(図27)を用いて、血液成分中のグリコヘモグロビン量の分析を行なった。
【0060】
送液ポンプ(1a、1b、1c)はUNIFLOWS製UP002SZWB、試料導入バルブ(2)および流路切り替えバルブ(12a、12b)は、少なくとも2つの貫通孔を設けた第1のステータと第1のステータと同じ数の貫通孔を設けた第2のステータと第1のステータおよび第2のステータにより液密に挟まれ、かつ第1のステータと第2のステータに設けた貫通孔を連通可能な外周部に歯車を設けたロータシールとを備えた流路切り替えバルブと、駆動手段と前記ロータシールの外周部に設けた歯車と噛合させて前記駆動手段からの動力を伝達する手段とを備えたロータシール回転手段と、を備えたバルブ(特願2010−031095号)を、ループ(6a)として試料導入バルブ(2)のロータシールに設けた0.5μLの溝を、ループ(6b)は流路切り替えバルブ(12a)外部に設けた容量11μLのループを、ループ(6c)は流路切り替えバルブ(12b)外部に設けた容量47μLのループを、分析カラム(3)は東ソー製TSKgel SP−NPR(内径0.3mmID、長さ35mm、粒径3μm)を、検出器(5)は東ソー製紫外可視検出器UV−8020(マイクロセル)(検出波長:415nm)を、溶離液(バッファ)(8a、8b、8c)は東ソー製グリコヘモグロビン分析計HLC−723GHbVIII用溶離液を基本に一部濃度変更したものを、試料(検体)(7)は東ソー製HbA1cコントロール(レベル1または2)または東ソー製HbA1cキャリブレーター(CALIB_1またはCALIB_2)を純水で希釈したものを用いた。
【0061】
希釈部(14)は図7bに示す吸引/吐出の流路が異なる形式(循環動作方式)を採用した。なお、希釈ポート(31)は2mm×5mm×深さ20mmの直方体形状(図8b)である。希釈液送液手段(17)は電磁式ダイアフラムポンプである高砂電気製定量吐出ポンプMVP−50を、吸引吐出手段(18a)は希釈液送液手段(17)と同じポンプから逆止弁を除いたものを、吸引吐出手段(18b)は高砂電気製定量吐出ポンプPKP−500から逆止弁を除いたものを、それぞれ用いた。
【0062】
試料の希釈および希釈試料の分析は以下の方法で行なった。
(I)実施例1の(a)から(d)と同様な方法で試料の負荷および希釈を行なった(図28から32)。なお、付加した試料の形態は、
(I−1)液体試料を直接負荷する形態、
(I−2)約0.5mmφ(アルミ材)の芯棒部と脱脂綿を巻き付けた約1mmφの吸収部(16aa)からなる、アズピュア工業用綿棒AP−8(アズワン製、品番:1−8584−08)(16a)の吸収部(16aa)に試料液に浸漬し、余分な液滴を排除した形態(図9および10)、
(I−3)幅2.5mm、長さ200mm、厚み200μmの樹脂シートの先端に、横2.5ミリ、幅2.5ミリのセルロース濾紙からなる吸収部(16ba)を熱融着させた試験片(16b)に試料液に浸漬し、余分な液滴を排除した形態(図11および12)、
のいずれかである。
(II)試料希釈終了後、試料導入バルブ(2)をLoad状態からInjection状態)に切り替え、ループ(6a)に充填した希釈試料を、バッファA(押出液)(8a)で押し出す(毎分11μL)形で分析カラム(3)に導入する(図33)。
(III)分析カラム(3)へのバッファA(押出液)(8a)の導入開始0.25分後に、試料導入バルブ(2)をInjection状態からLoad状態に戻し、再び検体(試料)の希釈が可能な状態とする。一方、2つの流路切り替えバルブ(12a、12b)はそれぞれOFF状態からON状態に切り替えることで、ループ(6b、6c)に充填したバッファBおよびバッファCが、バッファAで押し出す形で分析カラムに導入されるようにする。これにより、導入開始後0から0.25分はバッファA、0.25から1.25分はバッファB、1.25分以降はバッファCが送液されるステップグラジエントが行なわれることになる(図34)。
【0063】
図27に示す本発明の分析装置を用いた試料分析において、HbA1cキャリブレータ(CALIB_2)凍結乾燥品を純水0.5mLに溶解して得られた試料を直接、5μL(a)、10μL(b)、15μL(c)、20μL(d)、40μL(e)負荷したときのクロマトグラムを図36に示す。また、図36の結果を基に、試料負荷量に対するA1cおよびA0のピーク面積値をプロットした結果を図37に示す。負荷した試料量に比例してA1cおよびA0の面積が増加しており、相関性も良好であることがわかる。
【0064】
図27に示す本発明の分析装置を用いた試料分析において、HbA1cキャリブレータ(CALIB_2)凍結乾燥品を純水0.25mLに溶解して得られた試料(原液)(a)および、用手法により2倍(b)、4倍(c)、8倍(d)希釈した試料を、それぞれ10μLずつ直接負荷したときのクロマトグラムを図38に示す。また、図38の結果を基に、負荷した試料液の濃度(希釈率)に対するA1cおよびA0のピーク面積値をプロットした結果を図39に示す。負荷した試料濃度(希釈率)に比例してA1cおよびA0の面積が増加しており、相関性も良好であることがわかる。
【0065】
図27に示す本発明の分析装置を用いて、液体試料を直接負荷したときの再現性評価結果を図40および表2に示す。試料は東ソー製HbA1cコントロール(レベル2)凍結乾燥品を純水0.5mLに溶解したものを使用した。図40aは代表的なクロマトグラム、図40bは測定毎のA1cおよびA0の溶出時間をプロットした結果、図40cは測定毎のA1c(%)をプロットした結果、図40dは希釈率を算出するために用いた検量線、表2は測定毎のA1cおよびA0の溶出時間ならびにピーク面積、A1c(%)をまとめたものである。A1cおよびA0の溶出時間の再現性(CV)は、それぞれ0.51%、0.47%と良好であり、希釈装置を介して試料導入を行なっても、試料の空打ちなどの現象が生じていないことを示唆している。A1cおよびA0の面積の再現性(CV)は、それぞれ7.2%、7.3%程度であったが、A1c(%)の再現性(CV)は0.52%と非常に良好であり、定量性には問題ないことが確認できた。なお、用手法で事前に作製した検量線(図40d)から、本条件で得られた希釈率は1/45.5と算出された。
【0066】
【表2】

液体試料の代わりに、綿棒(図9)先端の吸収部に試料を吸収させた形態で負荷したときの、再現性評価結果を図41および表3に示す。試料は東ソー製HbA1cコントロール(レベル2)凍結乾燥品を純水0.25mLに溶解したものを使用した。図41aは代表的なクロマトグラム、図41bは測定毎のA1cおよびA0の溶出時間をプロットした結果、図41cは測定毎のA1c(%)をプロットした結果、図41dは希釈率を算出するために用いた検量線、表3は測定毎のA1cおよびA0の溶出時間ならびにピーク面積、A1c(%)をまとめたものである。綿棒を媒体として試料を負荷および希釈操作を行ない、その希釈検体を液体クロマトグラフに導入、分析を行なっても良好なクロマトグラムが得られていることがわかる(図41a)。A1cおよびA0の溶出時間の再現性(CV)はそれぞれ、0.71%、0.44%と良好であり、希釈装置を介して注入を行なっても、試料の空打ちなどの現象が生じていないことを示唆している。A1cおよびA0のピーク面積の再現性(CV)はそれぞれ、13.5%、13.5%程度と、前記の液体試料を直接負荷する方式より劣っていたものの、A1c(%)の再現性(CV)は0.17%と非常に良好であり、定量性には問題ないことが確認できた。なお、用手法で事前に作製した検量線(図41d)から、本条件で得られた希釈率は1/55.3と算出された。
【0067】
【表3】

実施例4
図27に示す本発明の分析装置のうち、希釈部(14)を図7aに示す吸引/吐出の流路が共通の形式(往復動作方式)とし、希釈ポート(31)を直径5mmΦ×深さ20mmの円柱形状(図8a)(容積は約400μL)とした分析装置(以下、実施例4の分析装置)を用いて、実施例3と同様に、試料の希釈および希釈試料の分析を行なった。
【0068】
図27に示す本発明の分析装置を用いて、試験片(図11)先端の吸収部に試料を吸収させた形態で負荷したときの再現性評価結果を図42および表4に示す。試料は東ソー製HbA1cコントロール(レベル2)凍結乾燥品を純水0.25mLに溶解したものを使用した。図42aは代表的なクロマトグラム、図42bは測定毎のA1cおよびA0の溶出時間をプロットした結果、図42cは測定毎のA1c(%)をプロットした結果、図42dは希釈率を算出するために用いた検量線、表4は測定毎のA1cおよびA0の溶出時間ならびにピーク面積、A1c(%)をまとめたものである。試料片を媒体として試料を負荷および希釈操作を行ない、その希釈検体を液体クロマトグラフに導入、分析を行なっても良好なクロマトグラムが得られていることがわかる(図42a)。A1cおよびA0の溶出時間の再現性(CV)はそれぞれ、0.39%、0.29%と良好であり、希釈装置を介して注入を行なっても、試料の空打ちなどの現象が生じていないことを示唆している。A1cおよびA0のピーク面積の再現性(CV)はそれぞれ、16.0%、15.5%程度と、前記の液状検体を直接負荷する方式より劣っていたものの、A1c(%)の再現性(CV)は1.3%と良好であり、定量性には問題ないことが確認できた。ただし、希釈部(14)に循環動作方式(図7b)を採用した図27に示す分析装置と比較すると、A1c(%)の再現性は悪化していることから、綿棒や試験片の吸収部に試料を吸収させたものを負荷して測定する場合は、希釈部(14)に循環動作方式(図7b)を採用した分析装置が好ましいといえる。なお、用手法で事前に作製した検量線(図42d)から、本条件で得られた希釈率は1/94.0と算出された。
【0069】
【表4】

【符号の説明】
【0070】
1:送液ポンプ
2:試料導入バルブ
3:分析カラム
4:カラム恒温槽
5:検出器
6:ループ
7:試料(検体)
8:溶離液(バッファ)
9:洗浄液
10:シリンジ
11:電磁弁
12:希釈液
13:流路切り替えバルブ
14:希釈部
15:送液部
16a:綿棒
16b:試験片
17:希釈液送液手段
18:吸引吐出手段
19:吸引口
20:吸引吐出口
21:逆止弁
22:反応用配管
31:希釈ポート
32:ドレン受け
33:ドレンポート
34:流路
41:ダイヤフラム
42:ピストン
43:スプリング
44:容量調整ねじ
45:電磁コイル
46:電源
51:マニホールド
52:流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液を送液する送液手段と、
試料を充填可能なループと前記ループに試料を充填する試料充填手段とを設け、前記試料充填手段で前記ループに試料を充填可能な状態と前記ループに充填した試料を前記送液手段で送液された溶液により送液可能な状態とを切り替え可能な、試料導入手段と、
検出手段と、を備えた分析装置であって、
前記試料充填手段が、
試料を希釈する希釈液の供給部と、
試料を負荷し前記希釈液により前記試料の希釈を行なう希釈部と、
吸引口および吐出口を有し前記希釈液を当該吸引口から吐出口に送液可能な希釈液送液手段と、液体を保留可能なダイヤフラムと吸引吐出口とを有し当該ダイヤフラム内の液体を吸引吐出可能な一以上の吸引吐出手段と、を設けた、前記希釈液の送液および前記希釈部により希釈された希釈試料の吸引吐出が可能な送液部と、
を備えた手段である、前記装置。
【請求項2】
第1の溶液を送液する送液手段と、
第2の溶液を充填可能なループと前記ループに第2の溶液を充填する第1の充填手段とを設け、第1の充填手段で第2の溶液を前記ループに充填可能な状態と前記ループに充填した第2の溶液を送液手段で送液された第1の溶液により送液可能な状態とを切り替え可能な、第1の流路切り替え手段と、
第n(nは3以上)の溶液を充填可能なループと前記ループに第nの溶液を充填する第(n−1)の充填手段とを設け、第(n−1)の充填手段で第nの溶液を前記ループに充填可能な状態と前記ループに充填した第nの溶液を送液手段で送液された第1の溶液により送液可能な状態とを切り替え可能な、第(n−1)の流路切り替え手段と、
を備え、第(n−1)の流路切り替え手段を第(n−2)の流路切り替え手段に設けたループに備えた、流路系と、
試料を充填可能なループと前記ループに試料を充填する試料充填手段とを設け、前記試料充填手段で試料を充填可能な状態と前記ループに充填した試料を前記送液手段で送液された第1の溶液により送液可能な状態とを切り替え可能な、試料導入手段と、
検出手段と、
を備えた分析装置であって、前記試料充填手段が、
試料を希釈する希釈液の供給部と、
試料を負荷し前記希釈液により前記試料の希釈を行なう希釈部と、
吸引口および吐出口を有し前記希釈液を当該吸引口から吐出口に送液可能な希釈液送液手段と、液体を保留可能なダイヤフラムと吸引吐出口とを有し当該ダイヤフラム内の液体を吸引吐出可能な一以上の吸引吐出手段と、を設けた、前記希釈液の送液および前記希釈部により希釈された希釈試料の吸引吐出が可能な送液部と、
を備えた手段である、前記装置。
【請求項3】
前記希釈部が、
希釈液または希釈検体を保留し、かつ検体の負荷が可能な希釈ポートと、
前記希釈ポートの外周部に設けた、希釈液または希釈検体の排出が可能なドレンポートと、
前記希釈ポートの底部と前記吸引吐出手段が有する吸引吐出口の一つとを連通させるための第一の流路と、
前記希釈ポートの側面部と第一の流路とを連通させるための第二の流路と、
を設け、前記第一の流路および第二の流路にそれぞれ逆止弁を有した、請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項4】
分析装置が液体クロマトグラフ装置である、請求項1から3のいずれかに記載の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2013−40879(P2013−40879A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178995(P2011−178995)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】