説明

検体検出用抽出容器

【課題】ぬぐい液が混じった抽出試薬をアッセイストリップへ滴下する際に、最初の数滴を捨てる工程を省略でき、検出結果の信頼性を向上できる検体検出用抽出容器を提供することを目的とする。他の目的は、検査者の使い勝手を向上できるとともに、液漏れが発生しない検体検出用抽出容器を提供することを目的とする。
【解決手段】容器本体と、容器本体の口部3に装着される蓋体10とからなる検体検出用抽出容器であって;前記蓋体10は、前記容器口部3に装着され、前記容器口部を閉鎖する中栓12と、該中栓12とヒンジ14を介して連結されたノズル筒30とを備えており、前記中栓12の頂壁17には、開口用突起25が設けられ、前記ノズル筒30の内側には、フイルタ33が挿着され、その外側には、ノズル封止キャップ38が被着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者が感染症にかかっているかどうかを検出するための、検体検出用抽出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医師等の検査者は、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、RSウイルス等の感染症にかかっているかどうかを検出するために、検体検査を行う。この検査には、検体検出用抽出容器とアッセイストリップとの組み合わせが用いられ、例えば、コンタミネーションの発生を防止する、次の様な検体検出用抽出容器が使用されている。(例えば、特許文献1、参照)。
内部に検体抽出試薬を溜める液溜部と、前記抽出試薬を滴下するノズル部とを一体的に形成して容器本体となし、前記液溜部は、可撓性を有するとともに局所(例えば、鼻腔あるいは咽頭)に接触させた綿棒を挿入できるように形成され、前記ノズル部は、前記液溜部よりも小径に形成され、前記液溜部と前記ノズル部との間にフイルタ座を形成し、前記フイルタ座に前記抽出試薬を濾過するフイルタを装着し、前記ノズル部の周囲をノズル封止キャップで開閉可能に封止した検体検出用抽出容器。
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3107824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来例には、次のような問題がある。
(1)検査者は、予め検体抽出試薬が収容されている液溜部に、患者の局所に接触させた綿球を挿入して、綿球に吸着しているぬぐい液を検体抽出試薬と混合後、アッセイストリップへの滴下作業をおこなうが、綿球を挿入する前に前記液溜部の試薬がフイルタを通って小径部に少量流下して溜まってしまう。そのため、ノズル封止キャップを外して、アッセイストリップにノズルから滴下する最初の数滴は、ぬぐい液の混じっていない試薬が注出されるので、検査者は最初の数滴を捨てる工程を経た後、アッセイストリップへ滴下しなければならない。
【0005】
(2)容器本体に上キャップが螺着されているため、検査時には、前記上キャップを回して該容器本体に着脱しなければならないので、面倒である。又、上キャップを外したときに、該上キャップを無くしたり、又は、該上キャップにゴミ等が付着しやすい等衛生上の問題がある。
(3)容器本体に上キャップが螺着されているため、螺着が緩んだ場合、螺着部から液溜部内の検体抽出試薬が漏れる虞がある。
【0006】
この発明は、上記事情に鑑み、ぬぐい液が混じった検体抽出試薬をアッセイストリップへ滴下する際に、最初の数滴を捨てる工程を省略できる検体検出用抽出容器を提供することを目的とする。他の目的は、検査者の使い勝手を向上するとともに、液漏れが発生しない検体検出用抽出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、容器本体と、該容器本体の口部に装着される蓋体とからなる検体検出用抽出容器であって;前記蓋体は、前記容器の口部を閉鎖する中栓と、該中栓とヒンジを介して連結されたノズル筒とを備えており、前記中栓の頂壁には、開口手段が設けられ、前記ノズル筒の内側には、フイルタが挿着され、その外側には、ノズル封止キャップが着脱容易なスナップ係合等の手段により被着されていることを特徴とする。
【0008】
この発明の中栓は、容器口部の外周面に螺着される外筒と、該外筒に連続し、前記容器口部の内面に当接する内筒と、を備えており、ノズル筒は、ヒンジが連結される中栓当接筒部と、該中栓当接筒部に連続し、フイルタが挿着されているノズル部とを備えていることを特徴とする。この発明の開口手段が、開口用突起であることを特徴とする。この発明の中栓当接筒部の内側に、シールリングが設けられていることを特徴とする。この発明の中栓の頂壁に、ノズル筒に係合する係止突起が立設されていることを特徴とする。この発明の容器本体は、可撓性を有することを特徴とする。この発明の容器本体は、透明、もしくは半透明であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、以上のように構成したので、容器本体を逆さにしてノズルを下向きにしたときに初めて、ぬぐい液が混じった検体抽出試薬がフイルタを通り、ノズル筒から滴下する。そのため、最初の液滴から、検査の対象にすることができる。従って、従来例と異なり、最初の数滴を捨てる工程を省略することができる。
【0010】
また、中栓とノズル筒とがヒンジ結合されているので、従来例と異なり、開けやすく、又、落下等の虞もなく衛生的である。
さらに、中栓は、外筒に連続し、前記口部の内面に当接する内筒を備えているので、検体抽出試薬が漏れるのを防止することができる。また、中栓当接筒部の内側に、シールリングを設けたので、この部分から検体抽出試薬が漏れるのを防止することができる。
さらに、容器本体を可撓性のものとしたので、ぬぐい液の搾り出しと、アッセイストリップへの滴下が容易になる。また容器本体を、透明もしくは半透明としたので視認性が良好となり、作業効率が改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明の実施の形態を図1〜図3により説明する。
容器本体1は、合成樹脂により形成された薄肉で可撓性を有する、透明もしくは半透明な有底の円筒体である。容器本体の口部3外周には、ねじ部5が形成され、該ねじ部5の下部には、フランジ7が設けられている。
【0012】
容器本体1には、蓋体10が装着されている。蓋体10は、容器口部3に螺着される中栓12と、該中栓12とヒンジ14を介して連結されたノズル筒30とを備えている。
【0013】
前記中栓12は、外筒16と、該外筒16に頂壁17を介して連結されている内筒18と、該頂壁17の上面周縁側に形成された係止突起19と、該頂壁17の中央に形成された綿棒挿入口20と、を備えている。外筒16の内面には、容器口部のねじ部5と螺合するねじ部21が設けられており、その下端は、容器口部3のフランジ7に近接している。又、外筒16の外周面上端部には、指入れ凹部23が設けられている。
【0014】
内筒18は、容器口部3の内周面に液密に当接する。綿棒挿入口20は、開口手段、例えば、開口用突起25により閉鎖されている。開口用突起25は、前記綿棒挿入口20の縁部に破断可能な薄肉部を介して連結されている円筒基部27と、該円筒基部27に連続する円柱部28とを備えている。なお、前記円柱部28の先端部には、面取部29が設けられている。
【0015】
ノズル筒30は、ヒンジ14が連結される中栓当接筒部31と、該中栓当接筒部31に連続し、フイルタ33が挿着されているノズル部35と、を備えている。前記中栓当接筒部31の内面は前記係止突起19に当接し、又、その内側には、シールリング36が立設されている。ノズル部35の中間部にはノズル収容部37が設けられ、該フィルタ収容部37には、フイルタ33が挿着されている。ノズル筒30の先端部には、ノズル封止キャップ38が被着されている。
【0016】
次に、本実施の形態の作動について説明する。
容器本体1を手で握り、指入れ凹部23に指をかけて中栓12の指掛け部32を上方へ押し上げると、ノズル筒30はヒンジ14を中心に回転し、開口用突起25が露出する。この開口用突起25を指で摘んで押し倒すか、或いはノズル封止キャップ38をノズル部35から取り外し、開口用突起25に被せて押し倒すことにより、該開口用突起25の基部と綿棒挿入口20の縁部とを接続する薄肉部が裂き切れ、頂壁17から分離し、綿棒挿入口20が開口する。
【0017】
綿棒40を手で持ち、患者の咽喉などの局所に綿球42を接触させてぬぐい液Sを採取する。
【0018】
次に図2に示すように、ぬぐい液Sが付着した綿球42を綿棒挿入口20に挿入し、検体抽出試薬Tに浸しながらよく攪拌する。その後、容器本体1の外側から綿球42を摘み、数回しごいて検体Sを良く搾り出す。
【0019】
綿棒40を容器本体1から抜き出した後、ノズル筒30を指で掴み、ヒンジ14を中心に回転させ元の状態に戻す。この時、中栓当接筒部31の係合部34は、係止突起19に係止し、シールリング36の下端は頂壁17に液密に当接するので、液漏れの心配がない。
【0020】
ノズル封止キャップ38をノズル筒30から外した後、アッセイストリップ45の試料添加部46にぬぐい液Sと検体抽出試薬Tとの混合液Wを数滴滴下する。以降、アッセイストリップ45を用いて、検体を検出し、陽性/陰性の判定を行う。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本件発明の実施の形態を示す縦断面図である。
【図2】容器本体に綿棒を挿入した時の状態を示す縦断面図である。
【図3】検査時の状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 容器本体
3 容器口部
10 蓋体
12 中栓
14 ヒンジ
16 外筒
17 頂壁
18 内筒
20 綿棒挿入口
25 指押開口用突起
30 ノズル筒
33 フイルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、該容器本体の口部に装着される蓋体とからなる検体検出用抽出容器であって;
前記蓋体は、前記容器本体の口部を閉鎖する中栓と、該中栓にヒンジを介して連結されたノズル筒とを備えており、
前記中栓の頂壁には、開口手段が設けられ、
前記ノズル筒の内側には、フイルタが挿着され、その外側には、ノズル封止キャップが被着されていることを特徴とする検体検出用抽出容器。
【請求項2】
前記中栓は、容器口部の外周面に螺着される外筒と、該外筒に連続し、容器口部の内面に当接する内筒と、を備えており、
前記ノズル筒は、ヒンジが連結される中栓当接筒部と、該中栓当接筒部に連続し、フイルタが挿着されているノズル部とを備えていることを特徴とする請求項1記載の検体検出用抽出容器。
【請求項3】
前記開口手段が、開口用突起であることを特徴とする請求項1記載の検体検出用抽出容器。
【請求項4】
前記中栓当接筒部の内側に、シールリングが設けられていることを特徴とする請求項2記載の検体検出用抽出容器。
【請求項5】
前記中栓の頂壁に、ノズル筒に係合する係止突起が立設されていることを特徴とする請求項1記載の検体検出用抽出容器。
【請求項6】
前記容器本体は、可撓性を有することを特徴とする請求項1記載の検体検出用抽出容器。
【請求項7】
前記容器本体は、透明、もしくは半透明であることを特徴とする請求項1、又は6記載の検体検出用抽出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−40710(P2007−40710A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−221964(P2005−221964)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(598034720)株式会社ミズホメディー (17)
【出願人】(597101513)北村化学産業株式会社 (2)
【出願人】(000175397)三笠産業株式会社 (71)
【Fターム(参考)】