説明

検体検査自動化装置,自動分析装置およびシステム

【課題】装置状態とオペレーター呼び出しの概要が認識可能である通知を行い、オペレーターの作業の無駄時間を短縮することができる検体検査自動化システムを提供することが目的である。
【解決手段】装置から離れた状態にいるオペレーターが認識可能な表示灯やスピーカなどの通知手段を備えた検体検査自動化システムにおいて、オペレーターを呼び出すための通知部と、装置のステータスを知らせる通知部を備え、これら通知部の通知の組み合わせにより装置状態と、オペレーターが行う作業の概要を簡便に認識できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液,尿などの生体サンプルの分析を行うための、サンプルの前処理を自動化する検体検査自動化システム、もしくは前処理が完了した生体サンプルの分析を行う自動分析システム、またはそれらを構成するユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
検体検査自動化システムは、臨床検査室で行われる業務のうち、検体の遠心分離,開栓,分注,識別情報の貼付けなど、検体の前処理を自動化するシステムである。検体検査自動化装置では、装置を操作するオペレーターの業務効率向上のため様々な改良がなされてきた。そのうちのひとつがオペレーターへ情報を通知する通知手段である。
【0003】
特許文献1では、緊急検体が投入されたことと前処理が終了したことを随時報知する報知手段を備えている。
【0004】
また特許文献2では、操作画面上に発生したアラームを表示するにあたって、緊急アラームレベル,注意アラームレベル,警告アラームレベルの3段階にアラームのレベル分けを行い、区別して表示することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−264884号公報
【特許文献2】特開平8−262031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
装置がオペレーターによる何らかの処置を必要とする状態となったことを通知するため、操作画面への表示や、表示ランプの搭載,通知音を発生するスピーカの搭載などが行われてきた。しかし、オペレーターが詳細な通知内容を知るためには、実際に操作画面上に表示されたアラーム内容を確認する必要があったため、オペレーターは何らかの処置が必要となったことを報知手段によって知った場合には、装置のそばまで来て操作画面上でアラーム内容と、緊急に対応する必要の有無を確認し、緊急に対応する必要ある場合にはその対応のための準備(消耗品の補充など)を行う必要があった。
【0007】
オペレーターによる緊急の介入を必要とする場合と、必要としない場合を、装置から離れた位置にいるオペレーターが識別するためには、オペレーターが発生しているアラーム内容を理解できる必要がある。しかし複雑化した装置やシステムに発生する、数多くのアラーム内容をオペレーターが理解するためには、複雑な報知手段が必要となる。
【0008】
特許文献1には、表示灯やスピーカ等の報知手段によって緊急検体の状態をオペレーターに報告する装置が開示されている。しかし、アラーム等が発生した場合において、オペレーターにアラーム内容を報知することは開示されていない。
【0009】
また、特許文献2に開示された装置では、発生したアラームをレベル分けして表示しているものの、その表示は操作部PC画面や印字によって表示されていたため、オペレーターはやはり装置の近くまで行ってアラーム内容を確認しなければならなかった。また、表示しているアラームレベルは、アラーム重要度や対策緊急度に基づいて分類されているが、発生したアラーム内容を、装置から離れた位置にいるオペレーターが理解できるものではない。
【0010】
また、従来の技術で装置から離れた位置にいるオペレーターに対して多くの情報を通知するためには、大型の液晶パネルを用いることや、オペレーターを呼ぶために再生する音声の種類を増やすことが考えられる。しかし、大型の液晶パネルは高価であり、装置のコストアップにつながってしまう。また、音声の種類を増やす場合には、制御の複雑化によるコストアップだけでなく、オペレーターに多くの種類の音声を覚える負担をかけることになる。また、周囲の環境によっては雑音のためオペレーターが音声による通知に気づかない恐れがある。
【0011】
本発明は、装置がオペレーターによってどのような作業を必要としているのか、装置から離れた場所からでも一目で認識可能である表示等を行い、オペレーターの作業の無駄時間を短縮することができる検体検査自動化システムをLEDなどの発光体を用い安価に提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を解決する検体検査自動化システムは以下の点を特徴として構成される。
【0013】
すなわち、生体試料を処理する検体検査自動化装置あるいは自動分析装置であって、当該装置の消耗品状態あるいは装置状態を知らせるステータス通知部と、当該装置へのオペレーターの呼び出しの必要性を知らせる呼び出し通知部と、を有する通知部と、前記ステータス通知部あるいは呼び出し通知部を一つずつあるいは複数同時に通知させる通知制御部と、を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上記構成を備えることにより、装置の動作状況や、オペレーターによる処理の必要性とその内容が装置から離れた場所でも一目で確認可能となる。それにより、確認のための時間が短縮し作業効率が向上する。また、オペレーターによる介入の必要性の度合いを通知部によって確認できるため、オペレーターが他に並行して仕事を行っている場合には、当該装置への対応と、他の仕事の優先度とを比較して、優先すべき仕事から適切な順番でこなしてゆくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】表示灯及びスイッチユニット。
【図2】図1の分解図。
【図3】図1の電気的なブロック図。
【図4】状態表示詳細。
【図5】表示灯のスイッチ入力による装置の状態遷移。
【図6】検体検査自動化システム全体の構成図。
【図7】検体エラー発生時の呼び出し表示動作シーケンス。
【図8】モジュール間での表示の組み合わせ。
【図9】モジュール間での表示の組み合わせ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施例について、図面に従って詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施例に係わる検体処理自動化システムの表示灯及びスイッチユニットの構成例である。図2は、図1の分解図である。図3は、図1の電気的なブロック図の構成例である。
【0018】
図1は表示灯およびスイッチユニットである。表示部カバー1の下部にスイッチがあり、それぞれ呼び出しクリアスイッチ2,スタートスイッチ3,一時停止スイッチ4,停止スイッチ5に分かれていて、内部にスイッチとLEDを有している。
【0019】
図2は、図1の分解図である。表示部カバー1の内部にはLEDブロックが備わる。それぞれ異なる色を発光させるLEDをプリント基板上に搭載している。左端は呼び出し通知部であり、呼び出しランプ7が備わっている。呼び出し通知部の右側にはステータス通知部があり、稼動ランプ8,一時停止ランプ9,停止ランプ10によって構成される。光の仕切り板6で、各LEDブロックの間で光が漏れることを防いでいる。本実施例では、呼び出しランプ7はオレンジ色で表示灯90の左端に位置しており、稼動ランプ8は緑色で表示灯90の左から2番目に位置しており、一時停止ランプ9は黄色で表示灯90の左から3番目に位置しており、停止ランプ10は白色で表示灯90の右端に位置しているものとして説明する。
【0020】
コネクター11は、呼び出しクリアスイッチ2,スタートスイッチ3,一時停止スイッチ4,停止スイッチ5、及び呼び出しランプ7,稼動ランプ8,一時停止ランプ9,停止ランプ10、への電源供給や信号入出力などの配線と接続する。
【0021】
防水カバー12は、表示灯90及びスイッチユニット上部からオペレーターが誤って液体をこぼしたときに、コネクター11に液体がかかりコネクター11内の配線同士の短絡などによる故障を防止する目的で備え付けられている。
【0022】
ここで実施例の説明で発光体をLEDで説明していくが、本発明はLEDに限定するものではない。例えば発光体は、電球やEL(Electro Luminescence)発光体類などの発光体も含んでいる。
【0023】
次に図3について説明する。図3は、図1の電気的なブロック図の構成例である。
【0024】
呼び出しクリアスイッチ2,スタートスイッチ3,一時停止スイッチ4,停止スイッチ5のスイッチは、前記説明と同じであり図3では内部構造を電気的な記号で表現している。また、呼び出しランプ7,稼動ランプ8,一時停止ランプ9,停止ランプ10は前記説明と同じであり、内部構造を電気的な記号で表現している。
【0025】
I/O基板13は、各スイッチの接点の開閉により信号をON或いはOFF信号に電気的な信号に変換する。また、各スイッチに設置されたLEDの点灯あるいは、消灯を制御する。また、各ランプ用のLEDブロックの点灯あるいは、消灯を制御する。
【0026】
制御部14はCPU15の指示によってI/O基板13に信号を送り各スイッチのLEDの点灯或いは消灯の制御を行う。また、各ランプ用のLEDブロックの点灯或いは消灯の制御を行う。
【0027】
各スイッチの接点状態をI/O基板13で電気的信号に変換された信号は、制御部14を経てCPU15に送られて処理される。
【0028】
ホストコンピュータ16は、CPU15とは電気的な通信手段で通信が可能でありCPU15から送られる各スイッチのスイッチ接点状態や、各スイッチに設置されたLEDの点灯,消灯の情報を収集する。また各ランプ用のLEDブロックの点灯,消灯情報を収集する。
【0029】
次に本実施の形態の表示灯の動作を説明する。
【0030】
呼び出しランプ7は装置がオペレーターを呼び出すために表示を行う呼び出し通知部であり、点灯または点滅で、呼び出しが発生しオペレーターの介入を要求していることをオペレーターに通知する。本実施の形態では発光体を使用するが、音声による通知を行っても良い。
【0031】
稼動ランプ8,一時停止ランプ9,停止ランプ10は、装置のステータスを表示する部分であり、装置が稼動状態,一時停止状態,停止状態の、どの状態であるか通知する。
【0032】
本実施の形態では呼び出し通知部とステータス通知部を、一つの表示ユニットにまとめて設置し装置に搭載しているが、これら通知部を別々の通知ユニットとして装置に搭載しても良い。
【0033】
図4は表示灯90が通知する情報を表すテーブルの例である。まず、ステータス通知部の表示と装置の動作状態の関係について説明する。
【0034】
装置の電源が入れられると、まず、装置はイニシャライズ動作を行う。イニシャライズ状態201は停止ランプ10の点滅により表示する。イニシャライズが終了すると装置はスタンバイ状態202となり、動作開始の信号の受付を始め、表示灯90は停止ランプ10を点灯する。
【0035】
リセット状態203は、スタンバイ状態から稼動状態への遷移のため、装置内に取り残された検体の排出や可動部のホームポジションへの移動を行う状態であり、表示灯は稼動ランプ8を点滅する。稼動状態204は、リセット動作が終了し装置が稼動している状態であり、表示灯90は稼動ランプ8を点灯する。一時停止状態205は一時停止ランプ9を点灯する。
【0036】
次に、呼び出し通知部と、ステータス通知部の、表示の組み合わせについて説明する。
【0037】
206はエラーによる装置緊急停止状態での表示灯90の表示である。バーコードラベルのはがれかけた検体が誤って投入されて、装置内でジャミングが発生し装置が緊急停止した場合等がこれに相当する。エラー発生のため、装置はオペレーターの介入を要求し、表示灯90に設置された、呼び出し通知部の呼び出しランプ7を点灯する。また、装置は緊急停止した状態であるため、ステータス通知部は、装置停止を表す停止ランプ10を点灯する。呼び出し通知部とステータス通知部の組み合わせにより、オペレーターは、装置がエラーなどによる緊急停止した状態であることを、表示灯90の表示から一目で認識することができる。このため、オペレーターは装置のエラーに緊急に対応することができる。
【0038】
202は単に装置が停止状態であることを示す。すでに誰かほかのオペレーターが作業を始めており改めて別のオペレーターを呼び出す必要がない場合等がこれに相当する。ステータス通知部で206と同じく停止ランプ10が点灯している状態であっても、呼び出し通知部の呼び出しランプ7は206と異なり点灯していないので、オペレーターは装置に行く必要がないことを認識できる。
【0039】
207は検体エラーが発生した場合の表示灯90の表示である。検体容器内にフィブリンなどの異物が存在し分注処理中にノズルつまりが発生した場合等がこれに相当する。検体エラーの発生はオペレーターの介入を必要とする状態であるため、装置は呼び出しランプ7を点灯する。また、このとき装置は継続して稼動状態であるため、ステータス通知部は、装置稼動中を表す稼動ランプ8を点灯した状態である。オペレーターは、呼び出し通知部とステータス通知部の表示の組み合わせにより装置はオペレーター介入の要求をしているが、稼動状態であり即座に対応しなくてもよいことを、一目で認識することができる。このため、オペレーターは、優先度の高い仕事からこなしていくことができる。
【0040】
208は消耗品の残数が装置に設定された値よりも少なくなった場合の表示灯90の表示である。装置は消耗品残数減少のため、呼び出しランプ7を点灯する。装置は稼動状態であるため、ステータス通知部は装置稼動中を表す稼動ランプ8が点灯した状態である。オペレーターは、呼び出し通知部とステータス通知部の点灯の組み合わせにより、装置が稼動状態であることが一目で認識できるため、オペレーターは、優先度の高い仕事からこなしていくことができる。
【0041】
209は消耗品の残数がなくなった場合の表示灯90の表示である。消耗品の補充が必要であるため、呼び出し通知部は呼び出しランプ7を点灯する。また、消耗品がなくなった場合、装置は稼動状態から一時停止状態になるため、ステータス通知部は稼動ランプ8を消灯し、一時停止を表す一時停止ランプ9を点灯する。オペレーターは呼び出し通知部とステータス通知部の表示の組み合わせにより、オペレーターを呼び出している装置が一時停止状態であることがわかるため、装置の異常ではなく、消耗品の供給など容易に対応することができる呼び出しであることが一目で認識できる。このため、オペレーターは装置の緊急停止など、より対処の難しい作業から優先して対応していくことができる。
【0042】
このように、表示灯90はオペレーターの介入を要求する呼び出しランプ7と装置ステータスを表す稼動ランプ8,一時停止ランプ9,停止ランプ10を搭載しているため、オペレーターは点灯の組み合わせによりオペレーター呼び出しの概要を一目で判断することができる。このため、オペレーターは優先度の高い仕事から対応することができ、オペレーター作業の効率を向上することができる。
【0043】
表示灯90はオレンジ,緑,黄色,白の異なる4色で表示を行うため、オペレーターは、装置の状態を、点灯したLEDブロックの色とその組み合わせから識別することができる。また、呼び出しランプ7,稼動ランプ8,一時停止ランプ9,停止ランプ10は表示灯90内の異なる位置に左から順に搭載されており、各モジュールの表示灯においてこれらのランプはすべて同じ順番で並んでいる。このため、各モジュールの状態を、点灯したLEDブロックの表示灯内の位置とその組み合わせから識別することができ、色弱のオペレーターでも装置の状態を識別することができる。
【0044】
次に、表示灯90の呼び出しクリアスイッチ2,スタートスイッチ3,一時停止スイッチ4,停止スイッチ5の動作について説明する。
【0045】
いずれかのスイッチがオペレーターによって押されると、制御部は入力を受け付けたことをスイッチ内部のLEDを点灯または点滅することで表示し、装置状態と入力スイッチにあわせた装置状態の遷移を行う。
【0046】
呼び出しクリアスイッチ2,スタートスイッチ3,一時停止スイッチ4,停止スイッチ5は呼び出しランプ7,稼動ランプ8,一時停止ランプ9,停止ランプ10と一対一で対応し、各ランプの下部に位置している。このため、スイッチによる操作と装置状態の関係がわかりやすくなっている。
【0047】
図5はスイッチ入力に対する装置動作状態の遷移を表す図であり、これについて説明する。
【0048】
装置にオペレーター介入の必要性があり、呼び出しランプ7が点灯しているときに、呼び出しクリアスイッチ2が押されることで、装置は呼び出しランプ7に表示された呼び出しを解除し点灯から消灯状態にする。
【0049】
スタートスイッチ3,一時停止スイッチ4、および停止スイッチ5は装置ステータス操作スイッチである。これらのスイッチの入力により装置は稼動状態,一時停止状態,停止状態のそれぞれに対応したステータスの遷移を行う。
【0050】
装置が停止状態202であるときに、スタートスイッチ3の入力を受け付けると、稼動状態204へステータスの遷移を行う。この状態遷移の際、停止状態202では装置内部の機構がどのような状態か情報を持っていないため、装置はリセット状態203を経て内部の機構の位置を初期化する。リセット動作の終了後、装置は稼動状態204となる。
【0051】
稼動状態204の装置が停止スイッチ5の入力を受け付けると、停止状態202へステータスの遷移を行う。この状態遷移の際、装置はイニシャライズ状態201へ遷移し、イニシャライズ動作終了後に停止状態202となる。
【0052】
また、稼動状態204の装置が一時停止スイッチ4の入力を受け付けると、一時停止状態205にステータス遷移を行う。
【0053】
一時停止状態205の装置がスタートスイッチ3の入力を受け付けると、一時停止状態205の装置は内部の機構の位置情報などを持っているため、リセット動作を行うことなく、稼動状態204に遷移する。また、一時停止状態205の装置が5の停止スイッチの入力を受け付けるとイニシャライズ状態201を経て、停止状態202に遷移する。
【0054】
このようにオペレーターの操作による装置の停止(停止状態202)では停止ランプの点灯のみの表示になる。これに対し、206のエラーによる装置緊急停止状態では、表示灯90は呼び出しランプ7と停止ランプ10の点灯した状態となる。オペレーターは、呼び出し通知部の表示と、ステータス通知部の表示の組み合わせとして状態を認識できるため、装置がオペレーターの操作によって停止しているのか、エラーの発生によって停止しているのか識別することができる。
【0055】
次に、本実施の形態の表示灯を各モジュールに搭載した検体検査自動化システムについて説明する。
【0056】
図6は一実施の形態を採用した検体検査自動化システムの構成例である。本実施例による検体検査自動化システム101は、検体投入モジュール110,開栓モジュール120,バーコード貼付けモジュール130,カップ供給モジュール140,分注モジュール150,検体収納モジュール180,ホストコンピュータ16、及び、表示灯90から構成される。
【0057】
投入モジュール110は、外部から検体を搬入する部位であり、検体検査自動化システム101の検体の入り口である。
【0058】
開栓モジュール120は、検体にされたキャップを取り外し、分注モジュールでの検体の小分けや、自動分析装置への投入ができる状態にする部位である。
【0059】
バーコード貼付けモジュール130は、分注モジュールで検体を小分けにする際に使用する空の試験管に検体を識別するためのバーコードを印刷し貼り付け分注モジュール150へ供給する部分である。
【0060】
カップ供給モジュール140は検体を小分けにするためのサンプルカップを分注モジュール150に自動的に供給する部分である。
【0061】
分注モジュール150は、元となる検体をバーコード貼付けモジュール130や、カップ供給モジュール140から供給される複数の容器へ小分けを行う部分である。
【0062】
収納モジュール180は、目的ごとに検体の分類を行い検体の収納,搬出を行う部分である。
【0063】
検体は、検体投入モジュール110からシステム内に取り込まれた後に、開栓モジュール120,バーコード貼付けモジュール130,分注モジュール150に立ち寄った後、検体収納モジュール180に向かう。システムによっては分析装置が接続されており、この場合、検体の一部は分注モジュール150から搬送部(図示せず)を通り自動分析装置(図示せず)へと搬送され、各種分析処理が施される。
【0064】
表示灯90は、検体検査自動化システムの各モジュールの上部で、前面,背面及び、上面から視認できる部位に搭載されており、表示灯90が搭載されたモジュールのステータスと呼び出しの発生状況をオペレーターに通知する。このため、オペレーターはエラー発生モジュールの特定など、各モジュールの状況識別を一目で行うことができる。また、操作スイッチが各モジュールの表示灯90に搭載されているために、エラーの発生したモジュールの復帰作業後にオペレーターはモジュールの表示灯90の操作スイッチを操作することで、操作部PCに移動しなくも装置を稼動状態に復帰することができ、オペレーターの作業効率が向上する。
【0065】
この検体検査自動化システム101において、検体に起因するエラーが発生した場合の表示灯90の動作について説明する。
【0066】
検体検査自動化システム101の各モジュールには検体を識別するために貼られたバーコードを読み取る手段(不図示)が備わり、ここでのバーコード読み取りエラーが発生した場合や、分注モジュール150においてサンプル不足やノズルつまりのため分注に失敗した場合など、検体の問題によるエラーが発生した場合、装置はエラーが発生した検体をエラー検体として排出し、エラーの種類ごとに登録されたエラー検体排出先に搬送する。エラー検体の排出先には、収納モジュール180や、投入モジュール110などがあり、システムにはエラーの種類ごとに排出先のモジュールの検体トレー(不図示)を登録することができる。このとき装置は、エラー検体が搬出先モジュールに搬出されたタイミングで、検体エラーが発生したモジュールの表示灯90の呼び出しランプと、検体が排出されるモジュールの表示灯90の呼び出しランプを同時に点灯させる制御を行う。
【0067】
開栓モジュール120でバーコード読み取りに失敗したエラー検体が発生し、エラー検体は収納モジュール180へ搬出される場合の呼び出し表示の動作シーケンスを図7により説明する。開栓モジュール130で開栓に失敗したエラー検体が発生する(S501)と、開栓モジュール120は、ホストコンピュータ16にエラー検体発生情報を送る(S502)。ホストコンピュータ16はエラー検体の情報を受信(S503)し、保存し、エラーの種類に応じて登録されたエラー検体排出先の情報を開栓モジュール120に送り返す(S504)。開栓モジュール120はエラー検体排出先の情報を受信し(S505)、エラー検体を搬出先の収納モジュール180に搬送する(S506)。収納モジュール180は搬送されてきた検体を受け付ける(S507)と、検体のバーコードを読み、ホストコンピュータに検体収納先の問い合わせを行う(S508)。この問い合わせに対し、ホストコンピュータ16は収納モジュール180にエラー検体の収納先を送信する(S509)。収納モジュール180はエラー検体収納先情報を受信し(S510)、情報に従いエラー検体をトレーに収納する(S511)。収納モジュール180は収納結果をホストコンピュータ16に報告する(S512)。ホストコンピュータ16は収納結果を受信(S513)した後、呼び出しランプ点灯指示を、エラー検体の発生した開栓モジュール130の表示灯90と、エラー検体の搬出先である収納モジュール180の表示灯90に送る(S515)。呼び出しランプ点灯指示を受信した2つのモジュールは、それぞれの表示灯90の7の呼び出しランプを同じタイミングで、2つ点灯し、エラーが発生したモジュールと搬出先のモジュールを表示する(S516)。
【0068】
図8は開栓モジュール120で検体エラーが発生し、収納モジュール180にエラー検体が収納された検体検査自動化システム101が検体エラーを表示している状態であり、開栓モジュール120と収納モジュール180の表示灯90のオペレーター呼び出しランプ7が同時に点灯している。ここでは、エラーが発生したモジュールと搬出先のモジュールの組み合わせを開栓モジュール120と収納モジュール180としたが、他のモジュールの組み合わせとしても良い。
【0069】
図9は、モジュール間での表示の組み合わせである。301は分注モジュール150でサンプル不足の検体エラーが発生し、収納モジュール180に収納された場合の表示の組み合わせであり、二つのモジュールの呼び出しランプ7の点灯の組み合わせにより表示する。
【0070】
302は分注モジュール150でノズルつまりの検体エラーが発生し、投入モジュール110に収納された場合の表示の組み合わせであり、二つのモジュールの呼び出しランプ7の点灯の組み合わせにより表示する。
【0071】
303はバーコード貼付けモジュール130でバーコードの残数がなくなり、分注モジュール150の分注動作が一時停止となった場合の表示の組み合わせであり、二つのモジュールの呼び出しランプ7と一時停止ランプ9の点灯の組み合わせにより表示する。
【0072】
304はカップ供給モジュール140でサンプルカップがなくなり、分注モジュール150の分注動作が一時停止となった場合の表示の組み合わせであり、二つのモジュールの呼び出しランプ7と一時停止ランプ9の点灯の組み合わせにより表示する。
【0073】
305は開栓モジュール120でバーコード読み取りの検体エラーが発生し、収納モジュール180に収納された場合の表示の組み合わせであり、二つのモジュールの呼び出しランプ7の点灯の組み合わせにより表示する。
【0074】
複数のモジュール間で表示灯90の表示を組み合わせ、情報を通知するため、オペレーターが一目でエラーの発生したモジュールとエラー検体の排出先を視認でき、これらの情報からエラーの種類を知ることができる。エラーの種類がわかることで、操作PCでのエラー内容の確認を行う手間を省くことができる。また、エラーの種類がわかることで、エラー検体の処理の緊急度も認識でき、オペレーターは優先して行うべき作業を行うことができる。これらの結果、オペレーターは効率的に作業を行うことができる。
【0075】
また、エラー検体の搬出先を一目で認識できることにより、複数ある搬出先のどこにエラー検体が搬出されたのか、搬出先を調べる必要がなくなる。このため、オペレーターの作業効率が向上する。また、緊急検体など一刻も早く処理を行う必要のある検体でエラーが発生した場合には、オペレーターによる処理の迅速化を図ることも可能となる。
【0076】
本実施例では、検体検査自動化システムを例として説明したが、本発明はこの実施例に限るものではない。例えば、複数の分析装置を連結して処理効率を向上させた自動分析システムであっても良い。更には、検体検査自動化システムと自動分析システムを連結したシステムであっても良い。その場合にも本発明と同様に、各ユニットが夫々呼び出し通知部とステータス通知部とを備えていることによって、オペレーターは遠くからでも対応の緊急度を確認することができる。
【0077】
また、本実施例では通知手段として表示灯を備えているが、装置から離れた位置に居るオペレーターに通知可能であるためには、その他の手段であっても良い。例えば、スピーカによって音を流しても良い。また、スピーカと表示灯を兼用した構成であっても良い。通知に音声を使用することで、装置に背を向けている等、装置を目視できない状態のオペレーターにも、装置からの情報を通知することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 表示部カバー
2 呼び出しクリアスイッチ
3 スタートスイッチ
4 一時停止スイッチ
5 停止スイッチ
6 光の仕切り板
7 呼び出しランプ
8 稼動ランプ
9 一時停止ランプ
10 停止ランプ
11 コネクター
12 防水用カバー
13 I/O基板
14 制御部
15 CPU
16 ホストコンピュータ
90 表示灯
101 検体検査自動化システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料を処理する検体検査自動化装置あるいは自動分析装置であって、
当該装置の消耗品状態あるいは装置状態を知らせるステータス通知部と、当該装置へのオペレーターの呼び出しの必要性を知らせる呼び出し通知部と、を有する通知部と、
前記ステータス通知部あるいは呼び出し通知部を一つずつあるいは複数同時に通知させる通知制御部と、を備えたことを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置であって、
前記ステータス通知部は、当該装置の稼動状態,一時停止状態,停止状態の少なくともいずれかを通知する複数の通知部からなることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1記載の装置であって、
前記通知部は発光体からなり、
前記通知制御部は、前記呼び出し通知部および前記ステータス通知部を点灯,点滅,消灯させることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置であって、
前記通知制御部は、当該装置がある状態から他の状態へ遷移途中である場合には、前記発光体を点滅させることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1記載の装置であって、
前記通知部に隣接した位置に設置され、前記ステータス通知部および前記呼び出し通知部に対応した少なくとも一つの入力手段と、
前記入力手段が入力された場合には、当該入力手段に対応して装置状態を遷移させる状態制御部と、を備えたことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5記載の装置であって、
前記入力手段は、オペレーターの呼び出し状態を解消する呼び出しクリアスイッチ、装置を一時停止状態あるいは停止状態から稼動状態へ遷移させるスタートスイッチ、装置を稼動状態から一時的に停止させる一時停止スイッチ、装置を稼動状態から停止させる停止スイッチ、を少なくとも備えたことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項5記載の装置であって、
前記入力手段は発光体を備え、
前記入力手段の入力に対応して前記発光体を点灯,点滅,消灯させる入力手段表示制御部を備えることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1記載の装置を複数連結したことを特徴とする検体検査自動化システムあるいは 自動分析システム。
【請求項9】
請求項8記載のシステムであって、
前記システムを構成する複数の装置に搭載された前記通知部を連携して動作させる制御部を備えたことを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−78264(P2012−78264A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225311(P2010−225311)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】