検体濃度を測定する指示計システム
品質の状態、果実の成熟度の表れを監視し、環境の殺菌剤、汚染物質および栄養素の濃度について監視し、フィルタの残存寿命を監視し、流れを監視するために、食品、飲料、および医薬品中の検体の優勢濃度または暴露履歴を測定し、報告する、反応フロントの空間的時間的拡散に基づく指示計システムを使った定量的感知の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、食品飲料品質、医薬品劣化、個人保護および環境保全の分野における品質管理に影響を及ぼす化学反応に関与する検体の濃度または検体の暴露履歴の変化を感知する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかのガス検知技術が有色指示薬を用いた電子計器に組み込まれており、通常、ルミネセンス技術、蛍光技術、反射率技術と組み合わされる。これらの計器は、訓練を受けた専門家による手動操作、較正、および解釈を必要とする。そのような計器を含む特許の例には、食品および血液中の細菌による腐敗生成物を検出するのに使用され得る英国特許第2102947号明細書、米国特許第5094955号明細書、国際公開第0077242号、国際公開第9627796号、米国特許第6908746号明細書、ならびにガス検知装置について記載され得る米国特許第2890177号明細書、米国特許第3068073号明細書、米国特許第3111610号明細書、米国特許第3754867号明細書などが含まれる。
【0003】
目視読み取り値を使って、Draeger(登録商標)製の試料管における値が解釈され、専門家は目視読み取り値を、吸引ポンピングを用いて気体試料を抽出し、試料管に入れた有色指示薬を標的分子に暴露して移動有色帯による目視測定を得るのに使用する。食品容器内の抽出腐敗ガスを手動で試料採取し、合否試験として所定の閾値の達成を報告する類似の技術が米国特許第5653941号明細書に開示されている。
【0004】
そのような技術を、暴露を計測し、専門家だけでなく専門外の受け手によっても解釈され得る値を報告するような専門的設計の下で動作する受動指示計システム、すなわち人間の介在を必要としないシステムに組み込むことができれば、有益な技術貢献となるはずである。そのような受動指示装置については、食品品質(微生物による腐敗)、果実表面の鮮度指示計、パッケージの完全性(不正開封防止措置を含む)、有毒ガスへの人体暴露、ガスマスク内のフィルタカートリッジの残存寿命、患者の肺からの呼気、蒸発/凝結指示計、血液および尿中の尿素検出用試料採取キットなどといったいくつかの工業的用途があるはずである。
【0005】
別の指示計の中には、アナログシステムを用いて実環境をシミュレートするものもある。中でも代表的なのは、熱モデル化されるシステムと類似の活性化エネルギーおよび速度定数を共有する反応物を伴う熱暴露を報告する時間−温度指示計であり、導出される相関関係は、実システムの条件に関する推論を提供する(Riva,M.1997年)。
【0006】
別の指示計の中には、アナログシステムを用いて実環境をシミュレートするものもある。中でも代表的なのは、熱モデル化されるシステムと類似の活性化エネルギーおよび速度定数を共有する反応物を伴う熱暴露を報告する時間−温度指示計であり、導出される相関関係は、実システムの条件に関する推論を提供する。環境変化の直接の原因である検体への暴露を計測するより新しい指示計が開発されている。しかし、その計測は、閾値の達成だけに限られており、したがって、その伝達情報は、結局は、オン/オフまたは合/否の読み取り値だけに限られる。そのような指示計は、食肉および魚介の品質測定用ではFood Quality International社によって、果実の成熟度用ではRipesense社によって市販されている。これらの装置の限界は、終点を判定するためのカラーチャートの参照による、観測者から見た可視色スペクトルの変化に依存することである。これらの装置では解釈のための数値尺度が得られず、判定のために色スペクトルの判断が観測者に委ねられており、そのために感度限界および正確さの問題をはらむ。
【0007】
しかし、捕集作用を使って、品質変化の原因である化学反応の標的分子、または環境の完全性の変化と関連付けられるマーカを、工学的構造により、観察される環境の品質変化と同調して移動フロントを確立する方向に能動的に拡散させる測定装置を含む応用は、どんな発明でもまだ主張していない。本発明では、この移動反応フロントを使って、標的分子(検体)の優勢レベルまたは暴露履歴を測定し、報告する計器内のセンサを作成する。
【0008】
本発明の新規な装置によって提供される読み取り値は、上限のない、連続した数値尺度に沿った1点を生成し、したがって、今日の医療産業の品質保証におけるハードデータの需要を満たすものである。
【0009】
検体の優勢レベルは、環境におけるその検体の濃度の許容度に関する情報を提供し、他方、報告される累積暴露は、装置が配置されている間の様々なときに検体に従って生じる反応の累積的蓄積から生じるものとされる。
【0010】
次に開示するそのような計器は、標的分子を含む実環境の任意の閉じた、もしくは一部が閉じられた、もしくは定常状態の条件の範囲内に、または標的分子が通過する、気体もしくは液体の、このような環境に流入し、もしくはこのような環境から流出する試料の流れに配置することができる。本発明の対象となる典型的な環境には、食品もしくは生物製品における生物学的劣化反応物もしくは生成物、環境汚染物質、または空気もしくは水の衛生化のための処理剤もしくは殺虫剤、およびパッケージにおけるガスシールの保全性が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の一般的目的は、閉じた、または一部閉じた実環境の化学暴露履歴を、その環境との関連で標的分子との接触または標的分子の放出を報告することによって提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、一態様において、本発明は、閉じた実環境の化学暴露履歴を、その環境との関連で標的分子との接触または標的分子の放出を報告することによって監視する方法であって、標的分子との接触または標的分子の放出との関連で環境の暴露履歴を提供するために、
透過性基質を有し、標的分子への暴露を、上記基質を通るそれらの分子の拡散を測定することによって記録する監視装置を、閉じた実環境の範囲内に、または標的分子がそこを通って上記環境に入り、もしくは上記環境から出る試料の流れに設置するステップと、
次いで、暴露期間の間および/または暴露期間の終わりに、周期的に、基質を通る標的分子の分子拡散の度合を記録するステップと、を含む方法に関するものである。
【0013】
標的分子は、品質管理の対象となる分子とすることができ、これには、生物学的劣化反応物もしくは生成物、汚染物質、または空気または水を処理して品質を改善するための殺菌用化学薬品が含まれ得る。対象となる標的分子は、食品腐敗、生物製剤劣化、微生物劣化および化学的劣化、個人保護具、環境保全ならびにその他の環境監視用途と関連付けられてもよい。
【0014】
適切には、監視装置の透過性基質は、この基質と共に配置される、基質中への標的分子の拡散を指示する1つまたは複数の化学指示薬を有する。
【0015】
適切には、標的分子は、基質において、基質内の標的分子の有無が指示されるような化学変化を誘導する。この化学変化は、酸化還元反応とすることもでき、pHの変化によって誘導されるようなイオン化反応とすることもできる。したがって化学指示薬計はpH指示薬とすることができる。
【0016】
密度や気孔率といった透過性基質の化学物理特性、および/または基質への取入れ口の開口のサイズは、基質を通る標的分子の拡散の速度を増加または減少させるように変化させてもよい。
【0017】
適切には、基質を通る標的分子の拡散の度合は、標的分子と化学指示薬との反応によって計測される。
【0018】
いくつかの実施形態においては、拡散の度合は標的分子の濃度を移動線状色帯または移動色環の連続尺度として報告する。
【0019】
適切には、監視装置は、基質がそこに配置されるチャンバを備え、上記チャンバは、連続尺度における距離を用いた変色の速度が、移行のフロントにおける反応時間が、基質中の標的分子の拡散と一致して進行するようにすることによって達成されるように構成される。
【0020】
監視装置は、標的分子の優勢レベルまたは標的分子への累積暴露を報告してもよく、あるいは一体型の装置として、優勢レベルと暴露履歴の両方を報告してもよい。
【0021】
監視装置は、指示装置の基質内における標的分子の拡散の度合に見合った反応フロントで構成され得る。
【0022】
指示装置は、指示薬媒質を狭く細長い管に入れ、指示計に沿った拡散を観測者から見て平面に沿った進行に限定することによって、指示薬反応フロントを連続尺度に沿って限定してもよい。
【0023】
監視装置は、基質を、不透過性の上下面を有する、薄い積層円盤または可変厚の2次元形態として配置し、拡散を、観測者から見て外縁から内心へ、または中心から外縁へと移行する進行に限定することによって、指示薬反応フロントを連続尺度に沿って限定してもよい。
【0024】
適切には、基質は、三角形などの2次元形態として、またはくさび形、円錐もしくは角錐形のような3次元形態として、またはその他の先細り形態もしくはその他の可変厚の形態として配置される。
【0025】
監視装置はさらに、本発明の温度計形態の場合のように、線状細片の長手方向に沿って指示薬を含む基質の厚さを変化させてくさび形を形成することにより、または、本発明の円盤形態の場合には、本発明の円盤形態に存在する円の円弧のラジアンに沿って厚さを増大させて半球形または半卵形を形成することにより、増大する非線状尺度に沿って拡散するように作成されてもよい。取入れ口端部を先細り状にすることにより、移行距離が増大するにつれて漸進的拡散がより非線形になる。代替として、装置の厚い端部から薄い端部へと拡散させることによって拡散をより線形なものとすることもできる。
【0026】
監視装置は、移動色帯上の観測点にマスキング用有色印刷を配置して、色帯の観測点への到達がその観測点における変色によって観測されるようにすることにより、標的分子の濃度を離散尺度として報告してもよく、あるいは帯自体の色が下の印刷の出現を隠蔽する場合には、色帯の漸進的移行が、前のマスキング帯における色消失および下にあるメッセージの出現により、観測者に新しい暴露レベルの達成を知らせる。
【0027】
監視装置は、二酸化炭素などの標的分子への累積暴露を、50〜80℃の範囲内のゆるい加熱で元に戻せる半安定な反応生成物を生成する基質内の反応物を使って、またはオーブン温度においてのみ可逆である安定した反応生成物を用いて報告してもよい。
【0028】
適切には、監視装置は、検体の優勢レベルの報告を生成するために、反応を即座に元に戻すことのできる周囲温度において不安定な反応生成物を生成する、基質と共に配置される緩衝剤を含む反応物によって標的分子の優勢レベルを報告する。
【0029】
監視装置は、優勢レベルまたは累積暴露を、おそらくは計器の視野内の反射光の量として、または色スペクトルもしくは色の濃さとして測定される可視の色移動もしくは空間的分離によるものであれ、スーパーマーケットにおけるバーコード読取機などのような、波長もしくは周波数、反射率、ルミネセンスもしくは蛍光もしくはその他の放射技術として発色を測定する計器を用いるものであれ、読み取り可能な尺度として報告してもよい。
【0030】
監視装置は、累積暴露の優勢レベルを、ディジタルディスプレイに接続される、または放射技術によって調整センターに送られ、おそらくはインターネットもしくは衛星通信を介して国際的に中継される電気信号の変化によって報告してもよい。
【0031】
監視装置は指示薬基質と有色剤とから構成され、または監視装置は、観測者から見た基質の色もしくは可読性を変化させるためのマスキングもしくは背景用の色層を使用してもよく、電子走査計で得られる読み取り値によるものでもよい。
【0032】
監視装置に関して、標的分子への装置の暴露を伝達する対象となる異なる受け手への伝達モードは、対象となる受け手の人々だけが解釈できる符号化伝達情報として変化させてもよい。
【0033】
監視装置は、特定の標的分子の有無を指示する適切な化学試薬、試薬の濃度の選択、または基質の透過性を変化させることによる指示薬媒質への拡散速度によって較正され得る。
【0034】
監視装置の透過性基質は、ある程度の屈曲を設け、それによって拡散を遅らせて、フロントにおける反応時間がその拡散速度で進行するようにし、移行速度を較正するために、管内に線状構成の微小球として配置されてもよい。
【0035】
監視装置は、指示試薬を捕集試薬と混合することによって累積暴露を測定してもよい。
【0036】
いくつかの実施形態においては、監視装置は、食品または生物製剤を含むパッケージまたは容器との熱接触する粘着ラベルまたはタグとして取り付けられてもよい。
【0037】
適切には、監視装置は、パッケージに挿入するための独立型の計器として、すなわち、パッケージの内壁に配置するための粘着ラベルまたは印刷として、耐溶剤性材料で保護された積層材として、あるいは透過性パッケージの外壁に配置され得る。
【0038】
測定される環境から非標的分子を捕集し、標的分子に関する測定に選択性を提供し、監視装置を耐溶剤性とするために、監視装置を覆って、または監視装置の近くに、保護濾過層が配置されてもよい。
【0039】
好ましくは、監視装置は、食品の監視、環境品質用途、および微生物の培養の成長を監視する用途に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
次に本発明を、図面に示す非限定的な例に基づいて説明する。
【0041】
【図1】指示薬ゲルが線状に配置されており、拡散を1次元に限定するための遮断層で覆われている指示計を示す図である。
【図2】線状指示装置の断面を示す図である。
【図3】液体に浸すためのディップスティック型計器の形態の指示装置を示す図である。
【図4】フィルムの縁部から中心に向かう2次元での平面的拡散を示す図である。
【図5】使用時に平面的移行を生じさせる円盤形態の指示計を上からみた図である。
【図6】変色が暴露の増大と共に細い先端部から厚い基部へと進行するような、くさび形、角錐、円錐、その他の先細り形状といった先細り形態の指示装置を示す図である。
【図7】左から右に移行する移動色帯を示す図である。
【図8】果実に適用された監視装置を示す図である。
【図9】土壌に挿入された監視装置を示す図である。
【図10】自動車の排気流に取り付けられた監視装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明においては優勢レベルと累積暴露という2種類の測定が可能である。第1の測定は測定時に記録される検体のレベルを測定し、第2の測定は累積的に蓄積された暴露単位を計測し、暴露の履歴を報告する。どちらの暴露の場合にも、計測および報告は、反応フロントの移動帯から生じる、離散目盛付き尺度に沿った、または連続尺度に沿ったものとすることができる。読み取り値は目視によるものでも電子的なものでもよい。観測は、目視読み取り値の場合のように非熟練者を対象としてもよく、あるいは計器の使用に熟練した者を対象とし、電波を使って、またはその他の電磁的手段によって送受信される電子的読み取り値の場合のように、遠隔制御センターに報告されてもよい。
【0043】
食品、および生物製剤は、流通時に、ある期間にわたって熱に暴露され、腐敗生物で汚染されると、その品質が損なわれる。品質低下および残存品質は、食品を腐敗させる細菌および菌類からの代謝の生成物を用いて測定することができる。検体の例には、二酸化炭素、硫化水素、二酸化硫黄、水素ガスおよびアンモニアガス、酢酸および乳酸、ケトンおよびアルデヒドが含まれる。食肉や魚介のような食品の冷蔵下での化学分解は、劣化タンパク質からのアミンの形成によって測定することができる。劣化オレンジジュース中の苦味生成物であるリモニンの形成も同様に計測することができる。また、包装食品における品質低下は、加工食品内の酸素流入および消費によって、また、呼吸する植物組織が食品包装の設計限界を超える温度に保持されたことから生じる嫌気性細菌による包装された農産物中の酸素濃度の低下によっても測定することができる。
【0044】
呼吸、腐敗作用および化学的劣化による分解生成物は、しばしば、酸、塩基または酸化還元生成物であり、反応物は典型的には酸素を含む。分解生成物の形成、すなわち反応生成物の利用度を監視すれば、生化学的、化学的作用の進捗を指示することができる。
【0045】
pH指示薬または酸化還元指示計を使って、パッケージの範囲内の、または作用部位の下流または上流で、環境変化を受けている拡散する気体流または液体流内の劣化を監視することができる。そのような指示計を包装環境、その他の密閉空間、または発生部位に近接した試料の流れの内部に配置して、暴露のレベルを監視することができる。
【0046】
指示計は、酸または塩基発生生成物と反応し、pH緩衝剤ありまたはなしのpH指示薬を使った共役酸/塩基の形成による動的暴露として滴定反応の進捗を計測することができる。同様に、酸化還元反応を用い、指示計を使って、酸素などの検体の変動濃度に対する経時的暴露に関する進捗を計測することもできる。同様に、食品のパッケージ内への水分移行の計測器として凝縮/蒸発指示計を配置することもできる。
【0047】
多くの食品、例えば乳などは、細菌個体数が低いときには安全である。一般消費者にとっての問題は品質であり、許容できる限度は個々の消費者によって異なり得る。度重なる熱暴露は腐敗生物の個体群を成長させる。乳などの製品はある時点までは販売可能であり、細菌がわずかしかない、または全くないことを知らせることにはほとんど価値がない。このような場合には、累積した二酸化炭素発生または腐敗酸などその他の腐敗生成物の測定を用いて細菌個体数およびその代謝を計測するのが有益である。指示計フィルムが変色する従来技術での問題は、これが単にある閾値の達成を報告するにすぎず、または色の濃さの機械的読み取り値を利用するにすぎなかったことである。本発明における改善は、読み取り値を、通常の色帯温度計のような暴露の増大と共に拡大する横方向の拡散として報告することである。
【0048】
家禽卵、果実、野菜、生花などの生鮮食品は、温度に伴うアレニウス速度で呼吸しており、この呼吸は酸素および二酸化炭素の様々な雰囲気によって変更することができる。表皮細胞の表面において果実ステッカとして、またはパッケージの壁の内部ステッカとして測定される酸素および二酸化炭素レベルの優勢レベルは、商品の賞味期間を維持するものであれ、損なうものであれ、温度および気体雰囲気の優勢な環境条件を反映する。同様に、ステッカを家禽卵の殻の外面に貼付して、卵の呼吸、殻の内側の細菌の腐敗生成物、またはこれら両方を計測することもできる。
【0049】
生鮮食品では、細胞集団の累積呼吸を使って、様々な切断された植物器官の「呼吸/寿命」として鮮度を計測することができる(Brashら、1995年、Bower,J.H.2001年)。
【0050】
エチレンの優勢レベルおよび累積レベルは、指による圧力試験で果実を傷つける必要もなく、ナシ、アボカド、キーウィフルーツといった果実が食べ頃であるときに、クリマクテリック果実の熟成の発現を知らせ、または熟成の段階を指示することができる。
【0051】
農作物器官の表皮には透過性の被覆層が存在する。植物中の酸素、二酸化炭素、エチレンおよびアルコールは、これらの表面を透過し、本発明による平衡レベルの測定の機会を提示する。
【0052】
農作物の細胞から生じ、拡散により表皮細胞を貫通して表面に達する発生二酸化炭素、エチレン、およびエタノールなどその他の気体を、本発明の指示装置により、農作物自体に取り付けられた被覆ステッカに、または農作物を販売する業界で使用される透過性包装の壁を通して包装の外側に取り付けられたステッカに捕集することができる。代替として、装置は、包装材料内の1層として組み込まれてもよく、独立の装置として、防水性および防漏性のパッケージに、または接続管を備える非透過性パッケージの外側に配置されてもよい。
【0053】
透明ガラスビンなど、その他の非透過性容器に入った食品、健康製品およびその他の腐敗しやすい製品や医学標本の場合には、内壁への耐溶剤性ラベルの貼付により発生する作用を計測し、報告することが可能になる。非透過性容器が使用される場合には、例えばポリエチレンやその他の重合体などの容器にピンホールをあけ、次いで、ラベル装置を、自転車用チューブのパンクを修理するのと同様のシールパッチとして貼り付けることができる。
【0054】
代替として、包装壁にあけたピンホールを通り、管を用いて計測用タグの取入れ口に連結された差込み器具を使って計測装置が配置されてもよい。これらの方法は、非透過性の容器およびコンテナで監視を行うことを可能にする。
【0055】
「パッケージ」の定義は、いくつかのより小型のパッケージの外装にまで拡大適用してもよく、輸送用コンテナを含む大型容器を含み得る。獲得される尺度には、現在の呼吸および成熟の状態、または農作物の呼吸もしくは熟成の履歴が含まれる。
【0056】
流通時の有効な品質管理のために、取引の透明性および説明責任が求められる最新の監査証跡においては、収穫または食品加工から最終的消費点に至るまでの商品の漸進的劣化について報告することが望ましい。したがって、搬送および貯蔵の各当事者の管理下にある間の商品の耐用期間の経過の度合を示す計測システムが求められる。
【0057】
生鮮食品の品質は、取扱いの遅れおよび流通時の最善でない温度管理により低下し、鮮度が失われる。取引における鮮度は、果実が収穫されるとき、または熟成が開始するときが最大である。加工食品および飲料に対する凍結、缶詰またはその他の食品保存方法によって提供される保存にもかかわらず、腐敗生物および化学的劣化による汚染が最終的には貯蔵および保管寿命を限定する。鮮度の状態を監視することが本発明の対処する課題である。
【0058】
食品の品質は、流通時の熱暴露により、汚染微生物が成長し、増殖するにつれて劣化する。微生物の代謝は、食品劣化の主要因であり、温度、酸素および二酸化炭素ガス濃度、培地、水分活性、成長抑制物質および防腐剤を含む要因によって調節される。したがって、温度/時間指示計は、特に混合食品の調製では、微生物の成長を調節する全ての環境要因を反映するものではなく、したがって、実システムでの変化を監視する方が、模擬システムでの予測よりも品質管理の正確さが増す。
【0059】
この流通の連鎖は、しばしば、収穫または食品加工から家庭での消費までの間において多くの異なる当事者の協働および加熱への暴露および遅延を伴う。鮮度は、製造される食品が包装されるときに最大となる。最新の流通システムには、流通連鎖内のあるリンクから次のリンクまでの通過を伴い、一般には、加工食品の製造者在庫、ならびに生鮮食品の包装出荷工場における収穫/冷却および包装/貯蔵が含まれる。次いで、流通は一般に道路、鉄道、海上または航空による輸送が伴い、その後に卸売在庫、小売在庫、小売陳列、顧客購入、顧客保管が続く。
【0060】
市場連鎖全体の流通の間には、様々な当事者が農作物および食品の品質に関心を持ち、これが、有益には、情報伝達装置によって個々の果実または食品パッケージの表面で報告されることになる。この情報は、マーケティング情報を表すことができ、ある当事者、例えば小売業者などが、情報が消費者/顧客に渡される前に社内品質管理のために食品の品質に関する早期警告を得ようとしてもよい。これは、小売業者が途中でその商品を販売から除去し、または迅速に販売するためにその商品を割引することを可能にするはずである。
【0061】
小売業者は、市場においてその商品が高品質であるという評判を守るために、食品品質に関して顧客に供与する情報を制限すると同時に、想定され、または感知される危険を顧客に知らせずに、陰で社内管理システムを用いてその食品の安全性を確認しようとする。同様に、小売業者は、購入に適さない卸売業者からの委託も拒絶しようとする。様々な受け手に対して品質状況の伝達を行うためには符号化信号を使用することが望ましい。
【0062】
本発明は、指示計の変色速度を色帯の移行を使った距離で伝達することによりこの必要を満たす。それによって本発明は、腐敗生物の集団およびその活動ならびに農作物細胞の代謝を報告する際により高い信頼性を実現する。本発明では、品質の状況に関する伝達情報が、流通連鎖に沿った個々の当事者を対象とし、劣化のレベルおよび腐敗生成物の遊離および/または反応物の消費に対応する。そのような情報適格性に応じた報告は、販売および流通の現実に適合するものである。
【0063】
そのような符号化メッセージングの一例は、まず、例えば、販売時点における在庫管理員またはレジ操作員のバーコードスキャンなどによる、早期の品質低下に対応する指示計の変化を電子的に検出するものである。より進行した段階では、目視メッセージングをバーコードと組み合わせ、販売後、顧客取扱い時に品質がさらに劣化する場合に顧客に提供することもできる。商品の顧客が家庭である場合、食品は、店からの帰宅する途中の暖かい車内において、また、冷蔵庫および台所における貯蔵時の不十分な温度管理のためにひどく劣化することがある。この流通の最後の当事者(最終使用者)のための食品品質に対する警告は、劣化がその食品を廃棄しなければならないほど進行しているときには、広く理解され、誰もが目にする警告記号や文字といった視覚形態の方がうまく伝達され得る。
【0064】
従来技術には、凍結融解などの場合における条件または熱暴露の度合を推論する指示計システムがある。この時間−温度装置は、食品および袋詰の血液のような生物製剤と熱接触するように配置され、流通される商品と同じ熱履歴を共有する。これらの装置における生化学的処理の酵素作用または物理的拡散過程は、シミュレートされる実システムのものとは異なる過程を伴い、相関関係に従って実システムを用いてモデル化され、較正される。
【0065】
従来技術には、例えば、凍結食品が融解するときに成長する酵母など、呼吸する微生物を培地に導入し、熱暴露に反応して呼吸により酸生成物を生成する装置がある。しかし、実システムにおいて調査対象とされる当該の種の培養を展開するものは従来技術にはない。乳および魚介の腐敗の場合、近年においては、冷蔵温度において成長する好冷菌(psychotroph)である特殊な細菌種が、現代の食品流通システムにおける食品腐敗の主要な原因であることが知られてきている。
【0066】
本発明は、実際の腐敗過程をより詳細かつ正確にシミュレートするはずである。食品容器の外壁上の粘着細片などの独立装置に、腐敗の原因であることが知られている特定の腐敗生物の培養を接種することができる。例えば、乾燥、凍結または真空パック形態の、おそらくは脱水された実システムを反映する微生物汚染のレベルを有する、実際の食品に近い配合の少量の試料を含む培地を備えるセンサの取入れ口の中に開口しているチャンバにおいて微生物を混合し、真空パック状態から水和作用、換気を伴う食品流通の初めに装置を使用し、または冷蔵温度から生物が成長し、増殖することができるような流通下の環境に移動させることができる。
【0067】
この方法によれば、通常の処理における汚染レベルでよく見られる、乾燥乳中の好冷(psychotropic)細菌の再水和培養の少量の試料から発する移動色帯指示によって乳劣化が報告されるはずであり、試料は、管を介して粘着細片に接続され、装置は、乳容器の外側に、流通および家庭での貯蔵時に食品乳内容物と熱接触するように取り付けられる。
【0068】
本発明の類似の用途は、真空パック食品のパッケージ内のシール損傷の有無を監視することである。これは、シールが損なわれると酸素が流入し、好気性で、無害であると分類されることが知られている不活性微生物の成長が誘発され、その成長および代謝に反応して指示計器の色が変化するからである。この場合装置は密閉パッケージ内に配置することができる。
【0069】
使用のためにパッケージが開けられるときに食品パッケージを取り囲む空気に指示計を暴露することにより、暴露タイマとして、空気(21%酸素)への暴露の経過時間を報告する、食品品質報告用の酸素指示計がある。よって、パッケージが開いたままの状態である時間を、空気中に浮遊する微生物に対する予期される暴露に関連付けることができる。これは、パッケージシールの除外効果が失われるからである。加えて、パッケージが消費者によって空気に開かれるときの予期される食品の酸化に対して何らかの大ざっぱな関連付けを行うこともできる。
【0070】
しかし、食品の品質は消費者まで流通する間に劣化し、製造者および販売者にとっては、真空包装として、もしくはガス交換を通さないように設計された包装材料を透過する、または貯蔵、輸送および販売の間のパッケージシールの破損から生じた間隙に浸透する可変数の酸素分子への暴露を測定することが望ましい。これにより流通時における食品自体の酸化の度合のより正確な測定値が提供されるはずである。さらに、最小限加工された野菜などの呼吸する農作物に対して透過性を有する特殊パッケージの内部酸素濃度の測定は、植物組織の急速な老化を引き起こすのみならず、人間の健康を脅かす危険な嫌気性細菌の成長をも助長する嫌気性細菌の増加を報告することは価値がある。
【0071】
透過性包装壁上への粘着ラベルの配置、透過性包装壁の組成、および、遮断フィルムを貫通してバッグインボックス包装のワイン「キャスク」内に保持されたワインのプラスチック袋などの中に入る、またはボトルのシールを貫通する酸素透過を測定し、報告するために食品パッケージ内に配置されるタグなどのパッケージ挿入物を用いてそのような測定を達成することが本発明の目的である。
【0072】
包装の完全性は、食品の品質および安全において重要であり、細菌細胞および菌類胞子は包装壁の隙間を通って侵入し得る。食品包装は損傷を受けるとそのシールが損なわれる。また、製造時の欠陥により有効なシールを実現できないこともある。多くのパッケージは、空気中の細菌細胞の侵入を防ぐシールを実現するように設計されているが、プラスチック製乳容器などの中には気密でないものもある。このような場合、腐敗報告装置の有効性は、腐敗の生成物である気体または液体の漏れを、それらが生成される際に捕集することができない限り、限られたものとなる。これらの気体または液体は、その反応が酸性であれアルカリ性であれ、あるいは酸化還元反応の生成物であれ、半安定な反応において指示薬と反応する必要があり、そうでなければ、報告技術に誤った信頼性を置くことになる。従来技術は、酸/塩基、または酸化還元生成物の閾値レベルの達成を報告するにすぎなかったが、この改善方法では、通常は検出されずにパッケージから排出されていた可能性のある、わずかな漏れまたは設計時の孔を伴うパッケージ内の発生反応生成物を捕集し、計測する。
【0073】
類似の用途では、包装製品の不正開封を報告する。食品、医薬品などの包装の不正開封は、好ましくは、販売の前に、走査装置を用いて電子的な方法で検出され、走査システムが新しい不正開封を検出できなかった場合にのみ顧客に報告される。包装環境における完全性の喪失を報告するいくつかの指示計が従来技術において公開されており、その中には酸素および二酸化炭素指示計が関与するものもある。食品販売者、特に小売業者は、包装の完全性に問題がある場合には早期に介入することを望み、さらに、その社内管理システムで問題を発見できなかった場合には一般消費者に健康上の危険を警告する義務がある。
【0074】
改善された工業的用途では、早期検出が、消失バーコードなどの早期警告システムを用いて小売業者に適切に報告され、指示薬とのより高レベルの反応による進行した段階の検出が、印刷メッセージまたは記号を用いて顧客に報告される。早期検出は本発明の計測システムによって設けられる離散尺度の下端において達成することができ、進行した段階の警告はより高い暴露レベルに設定される。伝達モードは異なるが、これらの検出は1つの離散尺度に沿った異なるレベルを反映するものである。
【0075】
汚染物質を含む標的分子の有無についての空気および水の環境監視が、受動監視装置として標的分子への暴露を監視するために本発明を配置することのできる別の用途である。
【0076】
環境内の優勢レベルは、特に、自動車の車室を汚染する一酸化炭素排気などが警報を発するのに十分な濃度にあるときには、これが急性中毒の危険を生じ得るために対象となるが、学校で使用される煙道のない燃焼暖房装置や、廃水中の重金属イオンの場合のように、慢性中毒を引き起こし得るより低い潜行レベルからの累積暴露もまた対象となる。
【0077】
自動車の排気の場合、排気流内に配置された試料採取装置への累積暴露で汚染車を報告し、または許可のために排気を計測して、汚染された都市の中心区域への接近を適合車両またはその汚染許可割り当て範囲内の車両だけに許可することもできる。
【0078】
通気孔やパイプから放出される汚染を伴う化学プロセスの排出を監視するときには、レベルが時間の経過と共に変動することがあり、経時的濃度が変動し、偶発的である場合には、離散的な時点における試料採取に依存すると誤りを生じるおそれがある。優勢レベルを繰り返し測定して暴露履歴を獲得するのは手間がかかり、高くつく。連続暴露を環境における化学的生成物の影響のより信頼性の高い尺度とすることができる。本発明の暴露指示計は、この必要を満たすことにおいて革新的である。組み合わせ煙突、廃水路といった試料の流れ、または気象観測用気球を用いて配置される陸塊上のオゾンなどの雰囲気内に遠隔配置するための分離センサは、データ記録と同様に、自動化システムにおいて複数の監視観測点を24時間休みなしで監視させることができる。監視期間の終わりに、専門家は、設けられた尺度に照らして解釈される、累積暴露の目視読み取り値または無線通信を得ることができる。電子データ記録装置に伴う製造コストが低いため、より多くの監視点で試料採取により多くの労力を割くことが可能になり、何らかの災難によりその安価な装置が失われても、研究予算に対する影響はあまり深刻なものではない。
【0079】
また、くん蒸および公衆衛生の用途も、検体のレベルを尺度として報告する監視技術の恩恵を得るはずである。また、飲料水、水泳プールの塩素処理または酸化処理などの水処理、乳児用おむつの殺菌、部屋、農作物パッケージ、土壌のくん蒸も暴露についての情報を必要とする。投与量は、典型的には、検体の濃度に時間をかけた計算によって求められる。優勢な暴露レベルおよび暴露履歴は、有利には、本発明を用い、環境内の代表的な試料採取点に感知指示装置を配置することによって報告されるはずである。
【0080】
試験容器環境を設けることに伴う問題は、前述のように、包装環境、建物内部の一室の範囲、測定試料の流れ、透過性もしくは多孔質のプラスチック食品袋の壁の通路、または汚染通気口またはパイプの内部に配置することをもって対処されている。植物の導管に管を取り付けることにより、試料採取用チャンバを設ける必要をなくすことができ、これは、排気パイプなどの検体の発生元に至る装置と連結された管を使用することによっても、配管を通る液体の流れを有する通路のために保護された、透過性を有するカプセル内に配置することによっても可能である。装置は、標的分子への暴露を獲得し、試料採取の流れを獲得するために、管および科学的計測に通常使用されるその他の装置と連結して使用することができる。
【0081】
本発明の受動監視装置は、包装された食品などの腐敗しやすい商品中の微生物腐敗および化学的劣化を監視するのに使用することができる。
【0082】
指示計を、食品もしくは生物製剤と直接接触させ、または食品もしくは生物製剤の実環境と熱接触する分離チャンバ内の食品もしくは生物製剤の試料と接触させ、指示計上に、標的とされる病原体に対する公知の抗体を結合し、または腐敗細菌の特定の酵素に選択的に反応することが知られているある指示薬を使用し、または抗原感受性分子の組成を用いて指示計を作成することによって、あるいは、監視対象とされない汚染微生物種に対して特定の作用を有するが、監視対象とされる種にとって無害な抗生物質、殺かび剤またはその他の成長抑制物質を選択的に使用することによって、包装された食品上で成長し、人間の健康を脅かす微生物への暴露を装置に選択的に計測させてもよい。
【0083】
装置は、食品品質の劣化を引き起こす、食品パッケージ内への酸素および水分移行を報告するのに使用されてもよい。装置は、パッケージの壁に含まれる積層材として、包装内容物と共に挿入するための耐溶剤性、非浸出性装置として、またはそのようなパッケージの透過性の壁に取り付けられる粘着ラベルとして配置されてもよい。
【0084】
装置は、農作物、すなわち果実、野菜、切り花等の鮮度を監視するのに使用されてもよい。装置は、植物組織の恒常性および老化の目安となる二酸化炭素、酸素、エチレン、アルコールおよびその他の蒸気の現在レベル、ならびに暴露履歴を報告してもよい。この情報を用いて、恒常性、老化、鮮度の現在の状態または成熟度の状態、ならびに貯蔵され、輸送され、販売される商品としての残存寿命を推論してもよい。また、雰囲気酸素および二酸化炭素の環境条件を監視することもできる。装置は、農作物パッケージの壁に含まれる積層材として、包装内容物と共に挿入するための、耐溶剤性、非浸出性の、(組成用材料選択による)飲み込んでも安全な装置として、またはそのようなパッケージの透過性壁面に取り付けられた粘着ラベルとして配置されてもよい。
【0085】
装置は、水、栄養素または植物食品および酵素の関連する導管への注入装置と連結することによって、または発生気体を捕集するために監視される植物組織の表皮上に粘着パッチとして装置を配置することによって、植物の健康および無傷の植物における恒常性を監視するのに使用されてもよい。
【0086】
装置は、食品加工および製造、ワイン造りならびに有機廃棄物および鉢植え用混合土の発酵乾燥における発酵処理を監視するのに使用されてもよい。同様に装置は土壌中の生物活性を監視するのに使用することもできる。
【0087】
装置は、ブドウのような包装食品の雰囲気中の、またはくん蒸された室内の、または土壌もしくは材木などの上に置かれたくん蒸ブランケットの下のくん蒸剤の優勢レベル、ならびに暴露履歴を監視するのに使用されてもよい。
【0088】
装置は、水泳プールの水の塩素処理および酸化の場合などのような殺菌剤を用いた水処理時の有効な添加、および携帯用の出所の疑わしい水を確認するための監視装置として使用されてもよい。
【0089】
装置は、家庭や教室といった建物内での薪および化石燃料の燃焼により生じる汚染気体の範囲の指示気体として一般に使用される、二酸化炭素など、空気中の汚染物質の優勢レベルおよび暴露履歴を監視するのに使用されてもよい。自動車の車室などの相対的に限定された空間における望ましくない気体、例えば、眠気を生じさせる二酸化炭素の蓄積が報告されてもよい。使用中の車室および建物を喚起する必要に関する判断が、装置が作成される情報によって裏付けられてもよい。
【0090】
装置は、放流管から導管を経由して水路に入る排出物のような水中の汚染物質の優勢レベルおよび暴露履歴を監視するのに使用されてもよく、試料採取に必要な深さに配置するために糸と浮きまたはおもりが取り付けられてもよい。
【0091】
装置は、緊急救命作業員、殺虫剤使用者、炭鉱坑内員、スプレー塗装工といった、有毒ガスと共に作業する人の密閉空間内での優勢レベルおよび暴露履歴を監視するのに使用されてもよく、作業場のより大きなチャンバに、または個人保護具として作業員が装着する呼吸用マスクのフィルタカートリッジに配置されてもよい。
【0092】
装置は、空気中の周囲酸素(21%)や二酸化炭素(0.04%)といった、暴露履歴の指示を生成するための目標とされる既知の濃度の分子を含む空気または水の流れを推論によって監視するのに使用されてもよい。濃度、流量および時間を変数とする暴露モデルを、流量計として、時間内に試料採取点を通過する気体または液体の量を計測するセンサを較正するために適合させることができる。
【0093】
この方法の1つの応用例は、農業用トラクタのような埃っぽい環境で動作する燃焼機関の空気清浄器や、清掃業において家庭で使用される真空掃除器や空調装置といった、空気または水の流れの中の濾過装置を監視し、交換するために前述の想定モデルを使用するものである。現行の業界の慣例は、これは一定のファン速度を前提として、何時間もの耐用期間の後でフィルタを交換し、または清掃するというものである。計測センサは、動作時のエンジンの偶発的エンジン回転数と関連付けられる可変のファン速度および吸気から生じる暴露を監視するように配置することができる。関連する応用例が、計測を行い、大量の水が水流の試料採取点を通過したときに水泳プールフィルタを清掃する必要を知らせるものである。機関運転時間または車両移動の走行距離計読み取り値という現在の尺度に優る改善された尺度として、エンジンの使用寿命の改善されたシミュレーションを使用することもできる。累積酸素吸気または二酸化炭素などの累積排気は、エンジンの使用寿命、よって残存寿命をより正確に表すことができ、修理要件およびエンジン交換の必要を喚起するのに使用することができる。
【0094】
装置は、水、空気、医学および獣医学標本、ならびに植物汁中の水素(H+)を含む特定のイオンの優勢レベルおよび暴露履歴を監視するのに使用されてもよい。
【0095】
装置は、公知の水分吸収体および凝縮指示計から指示計を構成することにより、パッケージおよび乾燥したままの状態であることが望ましいその他の空間への水分移行の指示計として使用されてもよい。
【0096】
監視装置は、典型的には、不活性担体媒質で構成され、不活性担体媒質は、ポリビニルアルコールなどの不活性水溶性炭質重合体で構成され得る。水性化学反応を保証するために、炭素重合体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンもしくは他の何らかの水溶性重合体、または食品および生物製剤の流通において使用される他の透明または半透明の包装材料とすることができる。
【0097】
担体媒質を通るのに必要な透過率を確立するための可塑剤には、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコールまたは任意のグリコールまたはポリヒドロキシル材料が含まれる。
【0098】
酸蒸気の有無を変色として報告するpH指示薬の例は、フェノールフタレイン、万能指示薬、もしくはpH8.0〜10.0の範囲の前後で変色するその他の指示薬、または他の任意のpH指示薬、または色の可能性を広げるための異なる指示薬の組み合わせ、または色の可能性を広げるための異なる指示薬の組み合わせなどとすることができ、まず、アルコール、または適切な高分子溶液に溶かされてもよい。
【0099】
アルカリ性捕集材料は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、あるいは強い有機もしくは無機カチオンの炭酸塩または水溶性のその他の強い有機もしくは無機カチオンの水酸化物もしくは酸化物、あるいは任意のアルカリ性材料とすることができる。例としては、アルカリ金属または強有機塩基の炭酸塩、水酸化物、または酸化物が含まれ、これらに酸蒸気を用いた中和処理が施される。
【0100】
酸性捕集材料は酢、酒石酸、クエン酸、およびその他の弱有機酸とすることができる。
【0101】
pH緩衝剤は、炭酸塩もしくはリン酸塩に基づくもの、カルボ/アミノ反応を受けるアミノ酸、またはpH変化に耐える任意の緩衝剤とすることができる。
【0102】
エチレンの存在を指示する試薬には、過マンガン酸カリウム(紫から無色または褐色に変色)およびテトラジン誘導体(青紫から無色に変色)が含まれる。
【0103】
酸素の存在を指示する試薬には、捕集および指示の標準例とみなすことのできるロイコメチレンブルーが、他の多くのロイコ染料と共に含まれる。ロイコMB[ロイコチオニン染料]に最も類似している試薬は、一般に無色であり、酸素の存在下において酸化されて青、緑または青紫の染料になる。別の指示薬染料が、鮮やかな橙色のルブレンであり、これは、光と酸素両方の存在下において無色になる。
【0104】
下の指示計への気体移行を妨げる遮断フィルムは、ポリオレフィンやポリ塩化ビニルといった透過性プラスチックフィルムで構成されてもよい。
【0105】
防水材料および指示装置から食品への試薬の移行を阻止すると同時に、二酸化炭素などの気体を迅速に透過させる材料の例には、シリコーンのようなシランが含まれる。
【0106】
二酸化炭素などの標的分子の選択的透過は、シリコーンやポリエチレンのような包装材料を用いて指示計の担体媒質を被覆することにより達成することができる。
【0107】
適切な指示薬、重合体およびその他の適切な反応性化学物質の例が国際公開第9209870号に開示されており、以下にこれらの開示から引用する。
【0108】
「多数の反応が変色と関連付けられる。各種の変色反応にはいくつかの化合物の分類があり、各分類は変色を生じるいくつかの化合物を有する。以下は、本発明の装置において指示薬および活性剤として使用することのできるある種の化合物の反応および分類である。
【0109】
変色反応および指示薬は、有機、無機および有機金属化合物の検出および監視に使用される。そのような変色反応および化合物は多数の書籍、記事および出版物に記載されており、これには以下の参照文献に記載されているものが含まれる。Justus G.Kirchner、「Detection of colourless compounds」、Thin Layer Chromatography、John Wiley & Sons、ニューヨーク、1976年;E.JungreisおよびL.Ben.Dor、「Organic Spot Test Analysis」、Comprehensive Analytical Chemistry、第X巻、1980年;B.S.Furniss、A.J.Hannaford、V.Rogers、P.W.SmithおよびA.R.Tatchell、「Vogel’s Textbook of Practical Organic Chemistry」、Longman London and New York、1063−1087頁、1986年;Nicholas D.Cheronis、「Techniques of Organic Chemistry,Micro and Semimicro Methods」、Interscience Publishers,Inc.、ニューヨーク、1954年、第VI巻、447−478頁;Henry Freiser、「Treatise on Analytical Chemistry」、John Wiley and Sons、ニューヨーク/シンチェスタ/ブリスベン/トロント/シンガポール、1983年、第3巻、397−568頁;「Indicators」、E.Bishop編、Pergamon Press、英国オックスフォード、1972年。これらの反応および化合物は、監視装置において暴露履歴を記録するのに使用することができる。
【0110】
酸化剤は還元染料を酸化し、変色を生じさせることができる。同様に、還元剤も酸化染料を還元し、変色を生じさせることができる。例えば、過硫酸アンモニウムは無色のロイコクリスタルバイオレットを酸化させて青紫色のクリスタルバイオレットにすることができる。亜硫酸ナトリウムなどの還元剤はクリスタルバイオレットを還元してロイコクリスタルバイオレットにすることができる。よって、酸化剤および還元剤を指示試薬として使用することができる。代表的な一般のオキシダント(酸化剤)には、過硫酸アンモニウム、過マンガン酸カリウム、二クロム酸カリウム、塩素酸カリウム、臭素酸カリウム、ヨウ素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、硝酸、塩素、臭素、ヨウ素、硫酸セリウム(IV)、塩化鉄(III)、過酸化水素、二酸化マンガン、ビスマス酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、および酸素が含まれる。代表的な一般の還元剤には、亜硫酸ナトリウム、ヒ酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸、チオ硫酸ナトリウム、硫化水素、ヨウ化水素、塩化第一錫、亜鉛などいくつかの金属、水素、硫酸鉄(II)または任意の鉄(II)塩、硫酸チタン(II)、塩化錫(II)およびシュウ酸が含まれる。
【0111】
酸塩基反応は無色であるが、pH感受性染料を用いて監視することができる。例えば、ブロモフェノールブルーは、水酸化ナトリウムなどの塩基に暴露されると青になる。青色のブロモフェノールブルーは、酢酸などの酸に暴露されると、青から緑、黄緑、黄色のような一連の変色を生じる。よって、酸および塩基を、pH依存染料と共に指示計システムとして使用することができる。塩基の検出に使用することのできる染料の代表例は以下のとおりである。アシッドブルー92;アシッドレッド1、アシッドレッド88、アシッドレッド151、アリザリンイエローR、アリザリンレッド%、アシッドバイオレット7、アズールA、ブリリアントイエロー、ブリリアントグリーン、ブリリアントブルーG、ブロモクレゾールパープル、ブロモチモールブルー、クレゾールレッド、m−クレゾールパープル、o−クレゾールフタレインコンプレキソン、o−クレゾールフタレイン、クルクミン、クリスタルバイオレット、1,5ジフェニルカルバジド、エチルレッド、エチルバイオレット、ファストブラックK塩、インジゴカルミン、マラカイトグリーン塩基、マラカイトグリーン塩酸、マラカイトグリーンシュウ酸、メチルグリーン、メチルバイオレット(塩基)、メチルチモールブルー、ムレキシド、ナフトールフタレイン、ニュートラルレッド、ナイルブルー、α−ナフトールベンゼイン、ピロカテコールバイオレット、4−フェニルアゾフェノール、1(2ピリジル−アゾ)−2−ナフトール、4(2−ピリジル−アゾ)レゾルシノールナトリウム塩、auinizarin、Quinalidineレッド、チモールブルー、テトラブロモフェノールブルー、チオニンおよびキシレノールオレンジ。
【0112】
酸の検出に使用することのできる染料の代表例は以下の通りである。アクリジンオレンジ、ブロモクレゾールグリーンナトリウム塩、ブロモクレゾールナトリウム塩、ブロモフェノールブルーナトリウム塩、コンゴーレッド、クレゾールレッド、クリソフェニン、クロロフェノールレッド、2,6−ジクロロインドフェノールナトリウム塩、エオシンブルーイッシュ、エリトロシンB、マラカイトグリーン塩基、マラカイトグリーン塩酸、メチルバイオレット塩基、ムレキシド、メタニルイエロー、メチルオレンジ、メチルバイオレット塩基、ムレキシド、メタニルイエロー、メチルオレンジ、メチルレッドナトリウム塩、ナフト−クロームグリーン、ナフトールグリーン塩基、フェノールレッド、4−フェニルアゾ−アニリン、ローズベンガル、リザズリンおよび2,2’4,4’,4”−ペンタメトキシトリフェニルメタノール。
【0113】
有機化学薬品は、その官能基の存在によって検出することができる。有機官能基試験は周知であり、ほとんどの有機官能基の検出について策定されており、指示薬−活性剤の組み合わせの基礎として使用することができる。例えば、硝酸セリウムは、官能基として脂肪族アルコール(−OH)を有する有機化合物と反応すると黄色から赤に変色する。以下の代表的官能基の1つまたは複数を有する有機化合物は、装置において活性剤として使用することができる。アルコール、アルデヒド、アリル化合物、アミド、アミン1アミノ酸、無水物、アゾ化合物、カルボニル化合物、カルボン酸、エステル、エトキシ、ヒドラジン、ヒドロキサム酸1イミド、ケトン、硝酸塩、ニトロ化合物、オキシム、フェノール、フェノールエステル、スルフィン酸、スルホンアミド、スルホン、スルホン酸、およびチオール。前述の各官能基分類の下には何千もの化合物がある。例えば、装置において活性剤として使用することのできる代表的アミノ酸のリストは以下の通りである。アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシリシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トリプトファン、チロシン、α−アミノアジピン酸、α−、γ−ジアミノ酪酸、オルニチンおよびサルコシン。あらゆるα−アミノ酸は、ニンヒドリンと反応すると、無色から紫/青紫色になる。加えて、以下にいくつかの具体的なアミノ酸試験を示す。1)ジアゾニウム塩がチロシンの芳香環およびヒスチジン残留物と結合して有色化合物を生成する。2)ジメチルアミノベンズアルデヒドが酸性条件下でトリプトファンのインドール環と共に凝縮して有色生成物を形成する。3)αナフトールおよび次亜塩素酸塩がグアニジン官能基(アルギニン)と反応して赤い生成物をもたらす。固体アミンとして使用することのできる代表的なα−アミノ酸は以下の通りである。リシン、ヒドロキシリシン、α−、γ−ジアミノ酪酸およびオルニチン。官能基試験試薬の存在下において変色を生じる有機化合物のいくつかの別の選択例は以下の通りである。すなわち、1次、2次および3次の脂肪族および芳香族アミノ基を、2,4−ジニトロクロロベンゼンを用いて検出することができる。観測される変色は、無色から黄褐色である。脂肪族アミン、1次芳香族アミン、2次芳香族アミンおよびアミノ酸は、氷酢酸中でフルフラールと反応して青紫のシッフ塩基をもたらす。様々なトリフェニルメタン染料は、亜硫酸と反応して無色のロイコスルホン酸誘導体を生成する。この誘導体を脂肪族または芳香族アルデヒドと反応させると、有色生成物が得られる。亜硫酸を用いて脱色したフクシンを脂肪族および芳香族アルデヒドに暴露すると、青紫色が生じる。亜硫酸を用いて脱色したマラカイトグリーンを脂肪族および芳香族アルデヒドに暴露すると、緑色が生じる。
【0114】
多数の反応が可視領域の変色ではなく蛍光の変化を伴う。いくつかの蛍光指示薬が知られている(「Vogel’s Textbook of Quantitative Inorganic Analysis,Fourth Edition」、Longman、776頁)。
【0115】
装置および装置の変形態は、変色を生じる化学反応と関連付けられる化学指示薬の組み合わせだけに限られるものではない。適切な分析装置によって観測することのできる、顕著な、または測定可能な物理変化を被り得る任意の2つ以上の化合物も含まれる。そのような変化には、粒径、透明度、導電率、磁性および溶解が含まれる。例えば、導電率の変化を電位計によって監視することができる。」(以上、国際公開第9209870号)
【0116】
本発明における受動感知指示計を用いて可能な測定と伝達の組み合わせの範囲を表1に明示する。
【0117】
【表1】
【0118】
指示薬中のフェノールフタレイン成分を用いて得ることのできる色の発現または消失の使用は好適な方法である。これは、反応が進む際に波長変化が生じず、吸光度変化が生じ、これが計測の進捗の目視検出および解釈においてより高い正確さを実現するからである。
【0119】
表1では、検体の優勢レベルまたは検体への累積暴露を、本発明による自動化受動装置を用いて監視し、報告することができることが分かる。また、優勢レベルと累積レベルの両方を同時に報告するために両用途を1つの装置に組み込むことも可能である。
【0120】
本発明では、酸塩基または酸化還元反応物または生成物の優勢濃度および累積暴露が6つの方式で計測される。
【0121】
第1に、ベールの法則による色の濃さの彩度を使って、感知指示計において形成される反応生成物の濃度に色の濃さを関連付けることにより、レベルが計測される。これは、肉眼の能力で、検体が移行フロントとして漸進的に感知指示計内に拡散し、結果として起きる反応が進行する際の色の濃さの発現を見分けることによって行われてもよい。結果として生じる色の濃さは、優勢な分子の濃度に、または累積暴露の場合には反応生成物の質量、したがって暴露履歴に比例する。
【0122】
本発明のこの形態は、試薬のより深い層への反応フロントの移行と同じ平面において最もよく観測され、これには、測色、反射率、ルミネセンスまたは蛍光から、信号または波長または周波数の強度を測定することのできる計器が関与してもよい。
【0123】
第2に、フィックの法則による反応速度を使って、検体のレベルを、色運動の速度および/または拡散を線または平面に限定する、感知指示装置の特殊なアーキテクチャによって定められる反応フロントに沿った色運動の距離に関連付けることにより、レベルが計測される。本発明のこの形態は、反応フロントの移行と直角をなす平面において最もよく観測される。
【0124】
第2の形態を説明する際に、検出フィルムの物質の上面および下面が遮断フィルムで覆ってシールされており、フィルムの縁部が露出している場合、活性試薬の接近を積層材の縁部だけに制限することができる。色縞が露出した縁部または領域から移動し、色移行の距離は、フィックの法則に従って時間の二乗に比例する。よって、一定濃度の標的分子の暴露下においては、1日に1mmの色移行が発現する場合、2日間で1.4mmが発現する。同じ指示計フィルムは、任意の特定用途について1回較正されればよい。
【0125】
代替として、第2の形態の感知指示計を、前述の感知指示計の薄い円盤の全ての縁部をシールし、このシールされた縁部を、後で円盤の中心に穴をあけ、変色の移行が中心から縁部へ向かうようにすることによって獲得することもできる。細長い線状細片をシールし、一端を検体に暴露することにより、線状色移行での類似の結果を生じさせることができる。本発明のこの第2の形態は、貯蔵、輸送、流通、販売および消費の間に監視される腐敗しやすい食品の取扱者など、複雑で精巧な計器の訓練を受けていない人々による目視読み取り値用の連続尺度に沿った計測を説明するものである。
【0126】
本発明の第3の形態では、本発明のセンサの導電率、電位差、または抵抗の変化の指示を検出することができる。電池や太陽電池といった分離電源により電源投入されると、食品パッケージ上のプリント回路として提供される無線周波数識別装置によって電気的読み取り値が伝えられる。信号は、無線信号のトランスポンダにより遠隔センターに送信することができる。そのような通信に工業的に利用できる技術がある。これらの技術に含まれるのは、流通時のパッケージ用の無線周波数識別(RFID)タグ、およびGSMベースのGPRS(General Packet Radio Service)であり、また、温度の読み取り値を取得し、利害関係者がインターネットを介して閲覧するために衛星リンクによる中継用の船上の基地局ユニットにその読み取り値を報告する容器センサユニットの記述が、Morrisら(2003)によって提供されている。これらは一般に、サーミスタセンサによって測定される温度を報告するが、本発明の移行反応フロントセンサを同様にそのような回路とリンクさせることができる。
【0127】
食品パッケージ、空気または水の流れ、室内の空気、大量の処理用水、農作物のカートン内のくん蒸剤といった空間は、ある程度まで閉じられており、標的分子のある一定の濃度がこれらの環境内で規定される。現在の状況を報告するための本発明の適用例は、一般に、そのような閉じられた空間内の濃度の上昇または低下を報告することを伴う。
【0128】
欧州特許第0627363号明細書では、生鮮食品パッケージ内の二酸化炭素レベルが、複数の個別センサを用いて離散尺度上で報告される。本発明の目的はこれと対照的に1つのセンサを複数の読み取り値を生成するように適合させることである。
【0129】
指示薬媒質において指示薬および較正試薬と緩衝剤とを混合するなど、可逆反応を使って環境における標的分子の優勢レベルを報告する計器を製造することができる。
【0130】
移動反応フロントの本発明においては、感知媒質内の動的平衡の化学反応に反応物が供給され、またはそこから生成物が発生する際に、カラムまたは平面に沿って標的分子を前後に拡散させるために装置内の高度の透過性を保証することによって、環境変化に対する迅速な反応が得られる。このように、外部環境における標的分子の濃度のわずかな変化に反応して計器内の新しいレベルに対する迅速な調整が行われ、適時に報告される。この作用は、毛管状の環境を使用し、材料の管への充填を少なくして屈曲を生じさせることによって得られる。
【0131】
指示薬媒質における高透過性は、指示成分用の透過性材料を選択し、細長い容器の範囲内の指示媒質として大量の多孔質微小球を質量比まで接触させることによって、または透過性または多孔度の改善を生じさせるための結晶化、可塑化、穿孔、重合体膨張、または重合体製造業界で既知の他の手段を使って指示薬媒質を製造することによって達成され得る。
【0132】
検体に対するわずかなpH変化を検出する際の装置の感度を向上させる第1の方法では、pH緩衝剤が使用され得る。緩衝剤は、望ましくは、測定される代表的環境のpK環境に近いpK値を有し、検体のごくわずかな変化に反応して十分な変色を生じさせる必要がある。二酸化炭素計測で説明すると、感度の向上は、アミノ酸またはホウ酸塩を緩衝剤として使用することによって達成され得る。カルボアミノ反応は、ホウ酸塩ありまたはなしで、リシンやグリシンのようなアミノ酸反応物の組み合わせを用いて調整され得る。望ましくは、pH緩衝剤は、測定される代表的環境のpK範囲に近いpK値を有し、水素濃度のごくわずかな変化に反応して十分な変色を生じさせる必要がある。類似の方法を使用し、酸素計測やその他の対象となる気体もしくは液体などを用いて、酸化状況のわずかな変化が測定されてもよい。
【0133】
第2の方法は、指示薬の捕集作用を使って計測装置の感度を向上させる。標的とされる化学イオンの低優勢レベルが報告されるときには、可逆反応に基づくセンサに対する反応は低くなり得る。これは、その低いレベルが計器の感度範囲外であるからである。低レベルの標的分子を、分子を相加的に蓄積するセンサに捕集することにより、検出可能な読み取り値が変色傾向として提示される。
【0134】
累積暴露を報告する本発明の形態は、通常の使用温度において相対的に反安定または安定である試薬を用いて製造することができる。約0〜60℃の使用温度範囲内では半安定な反応生成物を生成し、ゆるい加熱によって反応を逆転させて温度をゼロ値に戻すために装置に適用することのできる約60〜80℃の温度範囲内で逆転する試薬が選択される場合には、装置の回復機能を得ることができる。この要件を満たす試薬の1つが炭酸カリウムであり、酸蒸気への暴露を測定するのに使用することのできる試薬である。
【0135】
関連する適用例を、製造および貯蔵時の酸性の検体への暴露を測定するのに使用されるアルカリ性の捕集試薬の問題に適用することができる。これは、これらの試薬は、雰囲気中に存在する二酸化炭素と反応し、あまりにも早く作用を生じさせる可能性があるからである。重合体包装フィルムの製造時には、例えばフィルムをオーブン環境を通すなど、ゆるい加熱を用いて、貯蔵および取扱い時に吸収される二酸化炭素を除去することが望ましい。報告装置は、製品を包装する前に約60〜80℃までのゆるい加熱を行って、報告される測定値をゼロまたはゼロ近辺まで戻すことによって使用を開始してもよい。
【0136】
本発明の原理によれば、アルカリ性暴露計測の際の可逆性が、酢酸や酒石酸といった酸性の捕集試薬を加熱することによって実現され得るが、逆転を達成する温度範囲は異なってもよい。
【0137】
適用に際し、標的分子への暴露を測定する回復可能な計器の製造において回復機能が利用されてもよい。計器は、室温を上回るが、試薬の化学成分に有害な影響を及ぼす温度または計器の製造に使用される材料の融点を下回る温度で加熱することによって回復させることもできる。
【0138】
品質管理において、消費者は供給在庫のうちの最も新鮮なものを得ようとし、販売者は消費者の許容限度内の何らかの品質劣化を伴う在庫を販売しようとする。よって、劣化食品またはその他の生物製剤の鮮度をめぐる顧客と供給者の利害には若干の対立が存在する。
【0139】
本発明では、異なる受け手を伝達の対象とする配置によって計測を達成することができ、ある当事者には、暴露のレベルが低いときに早期警告として知らされ、別のクラスの受け手は、暴露のレベルがより高い、反応が先の段階まで進行しているときに伝達情報を受け取る。
【0140】
これには、以下の可能な色に関する項において開示する様々な計測モードを組み合わせてもよい。符号化メッセージは、バーコードスキャナなどの特殊な計測を使って業者の食品供給要員または品質管理要員によって受け取られ、発現または消失する指示薬を使ったバーコードの欠落または付加の形をとってもよい。また、測定値は、色の濃さや所与の空間に対して走査される色の量といった計測によって行われてもよい。
【0141】
在庫管理員などの特定の受け手クラスに対して符号化される電子伝達情報の形態は、反射率によって得られるバーコード読み取り値を含んでもよい。
【0142】
指示薬を混合して選択すべき幅広いスペクトルの変色を提供することができ、例えば、万能指示薬を用いた化学技術において酸から中性およびアルカリ性の環境への変化が広く公表されている。結果として生じる変色を様々なレベルの暴露と関連付けて尺度を実現することができる。
【0143】
電子バーコードスキャンが、腐敗しやすい、包装されたみじん切りおよび角切りの野菜の小売店舗までの流通において必要とされる用途の場合のような、淡紅色から黒など単一色の指示計を別の色に変化させる本発明による一方法は、色指示計をその上に配置した緑色の透明層または指示計の下の緑色の背景材料と対比させるものである。暴露時に、指示計の変色が淡紅色から無色へのものである場合、緑色の対比層の効果は、その変色を黒が緑に変わる変色に変えることである。
【0144】
代替として、変色を情報伝達により適した変色に変換する、暴露反応に関与しない有色試薬と指示薬が混合されてもよい。
【0145】
指示薬の変色を生じる多くの化学反応では変色が生じるかどうかが水の有無に依存する。すなわち、この依存関係には、標的分子の指示薬媒質への移行、可溶化およびイオン化のプロセスが関与し得る。したがって、そのような用途では親水性に有効な指示材料が選択され、湿潤剤が感知指示薬と混合され得る。湿潤な使用条件下では、吸湿により反応フロントが散逸し、尺度が失われることがあるため問題がある。この影響は、湿潤剤の濃度を調整することによって、もしくは感知指示薬への水分移行を制限するシリコーンやポリエチレンのような包装材料を通過する標的分子の選択的透過を確立することによって、または過剰な吸湿を防ぐ指示成分用の可塑剤を選択することによって、または湿度を特定の範囲内に調整することが知られている様々な塩類を指示計と共に配置することによって、またはこれらの方法の組み合わせによって制御することができる。
【0146】
本発明を使って酸性もしくはアルカリ性検体、または酸化もしくは還元検体を測定することも可能である。
【0147】
包装食品はイオン障害に弱い材料であり、パッケージの壁を貫通した感知材料へのイオンの漏れおよび移行は避けるべきであり、そうでなければ品質および安全性が損なわれ得る。非イオン分子の選択的透過が有利なはずであり、これは透過に際して選択的な分離層によって達成することができ、例えば、この分離層は、二酸化炭素のような非荷電分子だけを透過するシリコーンのようなシランで構成されてもよい。
【0148】
別の方法は、傷つきやすい貯蔵品と、小さい標的分子の拡散を許容すると同時に大きい非標的分子を排除するのに十分な狭さの直径を有する微小孔を備えるセンサとの間の膜としての重合体層を選択するものである。
【0149】
さらに別の方法は、濾過層またはスクラバを使って、発生源と指示装置との間で試料採取用の流れから紛らわしい分子を除去するものである。一例が、pHまたは酸化状態の大ざっぱな尺度と反対の紛らわしい化学種の分子が存在する場合である。例をあげると、腐敗しつつある魚介中に存在する揮発性塩基が魚介パッケージ内に存在し、分解細菌によって発生する二酸化炭素が指示薬と混合されたアルカリを用いて測定される場合などである。濾過層またはスクラバを配置すれば、食品パッケージから腐敗タンパク質およびアミンの紛らわしい分子が除去されるはずである。代替として、アルカリ性反応であるアミン形成をより正確に測定することができるように、酸蒸気である、細菌の代謝から発生する二酸化炭素を除去することもできる。
【0150】
読み取り値を優勢濃度または累積暴露に関連付けるには、暴露に対する指示薬の反応を較正することが重要である。工業的用途の中には、短期間にわたる低濃度への暴露が高い感度を必要とするものもあり、例えば、指示計が、空気中の酸素または二酸化炭素への暴露を伴う包装シールにおける完全性の喪失を報告するのに使用される場合などである。これと反対に、長期間にわたる車両排気を監視するには、相対的に高い暴露履歴が対象とされることになる。
【0151】
低優勢レベルの検出の一方法が、指示計と目標レベルとの間の小さい差を設定し、ごくわずかなpH変化にしか耐えないことが科学的に知られている緩衝剤を使って、化学的平衡のわずかな変化でセンサにおける反応を生じさせるものである。
【0152】
微調整というよりはむしろ粗調整としての、高暴露と低暴露の間で較正を行う一方法が、全ての分子ではなく、化学プロセスによって生成される分子の割合を計測することによるものである。これは、アクセス孔を狭くすることにより、または標的分子の発生源と感知指示装置との間の開口に蛇行状のアクセス経路を設けることにより、感知指示計へのアクセスを制限することによって達成することができる。
【0153】
同様に、感知指示材料の可変透過性および/または遮断フィルムなどの包装材料もしくは吸気装置の開口上の可変透過性を使用して、暴露に対する反応を較正することもでき、透過性を変化させる可能な方法の中には、材料選択、可塑剤組成または製造時の結晶化の度合を変化させることが含まれる。また、穿孔を使用して、指示計の体積に比べて標的分子に暴露させる表面積を増大させ、指示計の特定の領域における変色を強調し、それによって達成される暴露レベルの解釈を精緻なものにすることもできる。また、装置の取入れ口の単一開口のサイズを使用して拡散速度を較正することもできる。
【0154】
累積暴露の形態では、少数から多数までに及ぶ幅広い数の分子を捕集するのに十分な厚さを有する指示計を製造し、各用途ごとの解釈チャートで所与の用途に関連する解釈を提供するようにすることにより、幅広い用途のフィルムを作成することができる。これは、拡散速度が有する濃度勾配の独立性によって達成される。
【0155】
別の較正方法は、緩衝剤を用いて反応速度を変化させるものであり、別の代替方法は、様々な投与量の試薬および指示薬を配置し、所望の平衡に到達し、変色が発生するまで標的分子と反応する試薬/指示薬割合を変化させるものである。
【0156】
さらに別の方法は、指示計の厚さを変化させて、肉眼によって観測される可視色としての、または電子計器によって測定される色としての指示計の変化に対する反応の効果を変化させるものである。管として配置されるものであれフィルムとして配置されるものであれ、指示材料の厚さを増大させると、連続層を通る標的分子の漸進的移行により、未反応の色試薬に向かう反応フロントの移行が生じる。フィルム指示計に対して直角に見ると、厚さが増大すると暴露指示計の感度はより高い暴露に対して有用な計器として向上する。これは色の濃さが、暴露の増大と共により低速で低下するようになるからである。従来の温度計によって提供されるような帯読み取り値としての解釈を提供する装置の管状配置の場合のように、移行フロントと同じ平面で見ると、管またはフィルム細片が長いほど、暴露計測のために設けられる尺度が大きくなる。
【0157】
反応フロントの移行の速さ、すなわち速度は、時間の次元の用途での解釈のための較正方法として使用することができる。フロントが観測点から90°の角度で遠ざかって指示計のより深い層に向かう際の色の濃さの発現または喪失の進捗速度を較正方法として使用することができる。代替として、較正は、線状色帯装置の観測点と同じ平面における色帯の線状移行、または色環装置の場合の放射状移行の速度から得られてもよい。
【0158】
また、距離の尺度である、反応フロントの移行の程度を使用して暴露を計測し、暴露レベルに対する較正を得ることもできる。
【0159】
捕集センサの変化の電気的測定の場合には、反応フロントの移行に起因する、電流や抵抗といった電気的特性の時間的増加または減少が、周囲環境における変化を用いて較正されてもよい。
【0160】
これらの較正方法を、単独で、または組み合わせとして使用し、標的分子に対する暴露を計測することができる。
【0161】
前述のように、累積暴露指示計で測定には離散尺度と連続尺度の2種類の尺度がある。
【0162】
1つの形態は、品質の低下の度合を指示する連続尺度として生成物を形成するための試薬を用いた標的分子の漸進的暴露および反応であり、やはり装置の較正が重要である。
【0163】
計測は、反応の拡散を1次元に限定することにより連続尺度として伝達することができ、本発明で開示する方法に従って反応フロントの速度を調整することにより暴露に従って較正することができる。そのような一方法では、図1に示すように、1次拡散を一端が透過性または多孔質の細長い容器に限定する。図1を参照すると、印刷指示計、または指示フィルム、または指示薬ゲルを用いた流体充填シリンダが線状に配置されており(1)、遮断層(2)により拡散を1次元に限定するように被覆されていることが分かる。この1次元の進行は、測定される暴露を、視覚、反射率、ルミネセンス、蛍光、またはその他の放射技術によって伝達する。装置は、はさみなどによるシール層(3)の除去、または遮断フィルムの剥離、または穴をあける動作、またはブリスター包装の解除、またはシールを除去するための包装業界で既知の任意の手段によって使用開始され、(4)線状の色進行に沿って印刷された線状または非線状の尺度が読み取り値を提供し、解釈を円滑に行わせる。図には、暴露の結果として生じる、尺度上の4レベルのうちレベル2までの線状の変色進行が示されている。
【0164】
図2に、拡散がどのようにして、包装材料を用いて、すなわちこの形態では2つの積層材によってシールされた狭いフィルムで空間的に線状に限定されるかを例示する断面図を示す。これは、同様に、ゲル指示薬を充填した管によって実現されてもよい。
【0165】
装置は、図3に示すように、溶液中の検体の濃縮物からの暴露を計測するために、おそらくは計器を垂直に向けるための浮き環を備える液体に浸すためのディップスティック型計器の形態として作成することができる。図3を参照すると、検体の選択的透過のために選択された耐溶剤性保護チップ(1)が検体の測定管内への拡散を可能にし、次いで、拡散状態での試薬および指示薬との漸進的反応が管に沿った暴露に応じて色フロントを移行させ、読み取り値のための印刷尺度を使って解釈され(2)、管の反対端には不透過性シールが維持されている(3)ことが分かる。
【0166】
第2の方法は、図4に示すように、フィルムの縁部から中心に向かう2次元の平面的拡散を使用する。図4を参照すると、指示計プリントまたはフィルムの円盤(1)が、拡散を縁部から中心に向けて移行する平面に限定するためにサンドイッチのように遮断層で覆われており(2)、この進行が計測される暴露を、視覚、ルミネセンス、または蛍光によって伝達することが分かる。
【0167】
図5に、使用時の平面的移行に適用される円盤形態の上から見た図を示す。図5を参照すると、上部シール層への放射状の色の進行に沿った同心円として線状または非線状の尺度が印刷されていることが分かる。色は、この形態では、中心に向かって縁部を移行させる。これは、縁取りシールが破られ、暴露により反応が中心に向かうからである。各同心円における変色は、特定の工業的用途のために較正された解釈の尺度に従った暴露レベルの増大を表す。図6では、縁部から中心に向かって暴露の増大と共に色が有色から無色に変化することが分かる。標的分子への暴露により変色が外縁から中心に向けて印刷尺度状の1レベルずつ移動していることが分かる。代替として、装置をシールし、変色の移行が中心位置から放射状に広がるように装置の中心に穴をあけることもできる。
【0168】
図6に、変色が暴露の増大と共に細い先端から厚い基部へと進行するように指示計を、くさび形、角錐、円錐またはその他の3次元形状の先細り形態に形成する第3の形態を示す。図6を参照すると、暴露により変色のフロントがくさび形の薄い先端から厚い基部に向けて、解釈尺度上のレベル2まで移動していることが分かる。
【0169】
前述の実施形態における色帯移行の進行により、計測される暴露を視覚、ルミネセンス、または蛍光として伝達することができる。
【0170】
色帯がその取入れ口位置から終端までの行程を移行する間の加速または減速を達成する1つの方法が、取入れ用の開口に加えて、線に沿った各点に検体の別の入口を設けるものである。これは、色移行の線に沿った各点において、線のその部分の遮断フィルムの厚さ、または遮断フィルムの層数、または遮断フィルムに貫通される穿孔または切り込みを含めて遮断フィルムの透過性を低減することによって達成されてもよい。別の方法が、様々な別個の指示計の線を1つの連続する線に結合する、すなわち各部分の組成を、透過性、試薬の投与量、緩衝剤の選択または遮断レベルに関して異ならせるものである。
【0171】
工業的用途の中には、連続尺度と離散尺度の読み取り値の組み合わせが必要とされ得るものもある。異なる当事者を対象とする符号化情報伝達の使用の一例が、食品品質の劣化増大による暴露の度合を指示する食品の流通連鎖である。これは、連続尺度を目盛付き尺度に改変する移動色帯装置の特殊な適合によって達成することができる。
【0172】
移動色帯は、移動色帯の線の各部分を覆うマスキングを使用し、または指示計の帯の下に英数字または記号を印刷することによって目盛付き尺度になるように改変することができる。その目的は色拡散の線に沿って漸進的に変色を隠たり表したりすることである。
【0173】
例えば、移動色帯の連続尺度を目盛付き尺度とし、鮮度レベルに関して食品流通の様々な当事者に符号化された報告を提示させる。図7には、これをどのようにして達成し得るかが示されており、この例では、移動色帯は左から右に移行する。装置では、下にある紫の色帯を覆う各部分における層として紫のマスキングを使用する。地下鉄の鉄道車両にたとえて言えば、色帯は、それが線に沿って移行するにつれて、地下鉄に沿った各駅の鉄道車両のように目に見えるようになる。
【0174】
別の適合形態では、紫の指示計の帯が上塗り色として下の紫の印刷に覆いかぶさっており、変色が線状に移行する場合、無色に変わる反応フロントの通過によって下の紫の印刷が明らかになり、下の印刷が観測者に見えるようになる。
【0175】
この適用例では、移動色帯の連続尺度を目盛付き尺度とし、食品腐敗のレベルに関して食品流通の様々な当事者に符号化された報告を提示するように改変する。図7では、移動色帯が左から右に移行することが分かる。装置はマスキング層を使用し、適用例によって、移動色帯を覆う層を有するものもあり、指示計の帯が下にある有色印刷に覆いかぶさっているものもある。以下に色帯進行の段階AからEを示す。
【0176】
領域1は変色のフロントの進行の進行を観測者から隠す色プリントであり、変色は、下にある指示計を覆い隠すこれらのパネルの下で生じる。
【0177】
段階Aの製造在庫段階の反応フロントの移行では識別可能な商品劣化を生じていない。
【0178】
段階Bの製造者から卸売業者への商品の輸送段階の反応フロントの移行では許容される指示計の変化を生じ、領域2の色を淡紅色から透明に変化させている。
【0179】
段階Cの商品の卸売り段階の反応フロントの移行では、許容される指示計の変化を生じ、領域3の色を淡紅色から透明に変化させている。
【0180】
段階Dの商品の小売段階の反応フロントの移行では、許容される指示計の変化を生じ、4つのバーコードのうちの1つである領域4の色を淡紅色から透明に変化させ、消費者にはその状態を気付かせずに、小売店員だけが読み取れる符号化メッセージを伝えている。
【0181】
段階Eの領域5は指示計と同じ色のインクの印刷メッセージに重なる指示計の有色マスキング層を含む。反応フロントが移行するに従って、指示計の色が淡紅色から無色に変化し、マスキング層が消え、それまで元は淡紅色で現在は透明になっている色帯の下に覆われていた、淡紅色で印刷された一般的なメッセージを明らかにし、その商品が目的に適さないことを文字および/または記号で消費者に知らせる。
【0182】
図8に、熟成/老化を生じている果実の外面上に配置された本発明のステッカ形態を示す。この場合、装置は、その中心に穴があけられており、呼吸の蓄積および呼吸からの二酸化炭素への累積暴露または熟成過程によるエチレン暴露により、計測装置は、反応フロントが拡大するにつれて拡大する色環によるレベル1から3までの漸進的尺度を示す。装置は同様に、透過性食品包装の内部、または食肉や魚介のような包装食品などの不透過性の食品包装の内面に、または乳容器のねじ蓋内のガスケットとして配置することもできる。
【0183】
図9に、土壌生物の代謝か生じる二酸化炭素など、土壌中の気体レベルを監視する装置として配置すべく構成された図3に示した本発明の形態を示す。図9の段階Aでは装置が配置され、段階Bでは、土壌から捕集された累積二酸化炭素が色帯を所与の時間に、土壌表面に沿って土壌微生物の活性個体数に見合ったレベルまで移動させている。図9では、シールキャップ1は防水性であるが二酸化炭素を透過し、検出器部分に対して90度の角度を有する2で示すバレルには尺度となるように目盛が付けられており、土壌断面3が断面として示されている。
【0184】
図10に、自動車の排気流に配置するように構成された本発明の形態を示す。図10では、行政の規制担当者が汚染車両の背後を走る車両から行うように、排気管1が車両の背後から観測される。暴露装置は、段階Aで新しく配置され、段階Bでは、色帯2上の半分の尺度にあることを示している。許可を受けた汚染限度が図10の色帯の長さである場合、車両の所有者および行政執行者は、許容される排気のうちの50パーセントが排出されており、差し引くと、現在の許可のうちの50%が残されていると判断することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0185】
【非特許文献1】Bower,J.H.2001年、「The relationship between respiration rate and storage life of fresh produce」、博士論文、園芸植物科学センター、西シドニー大学、ホークスベリキャンパス
【非特許文献2】Brash,D.W.Charles,C.M.Wright,S.およびByreroft,B.L.1995年、「Shelf life of stored asparagus is strongly related to postharvest respiratory activity」、Postharvest Biology and Technology 5、77−81頁
【非特許文献3】Morris,S.C.Jobling,J.J.Tanner,D.J.およびForbes−Smith,M.2003年、「Predication of Shelf−life for Fresh Produce Transported by Refrigerated Containers」、Acta Horticulturae、604(1)、305−311頁
【非特許文献4】Riva,M.1997年、「Time−temperature indicators,a review by Marco Riva」、Universita degli Studi di Milano、イタリア
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、食品飲料品質、医薬品劣化、個人保護および環境保全の分野における品質管理に影響を及ぼす化学反応に関与する検体の濃度または検体の暴露履歴の変化を感知する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかのガス検知技術が有色指示薬を用いた電子計器に組み込まれており、通常、ルミネセンス技術、蛍光技術、反射率技術と組み合わされる。これらの計器は、訓練を受けた専門家による手動操作、較正、および解釈を必要とする。そのような計器を含む特許の例には、食品および血液中の細菌による腐敗生成物を検出するのに使用され得る英国特許第2102947号明細書、米国特許第5094955号明細書、国際公開第0077242号、国際公開第9627796号、米国特許第6908746号明細書、ならびにガス検知装置について記載され得る米国特許第2890177号明細書、米国特許第3068073号明細書、米国特許第3111610号明細書、米国特許第3754867号明細書などが含まれる。
【0003】
目視読み取り値を使って、Draeger(登録商標)製の試料管における値が解釈され、専門家は目視読み取り値を、吸引ポンピングを用いて気体試料を抽出し、試料管に入れた有色指示薬を標的分子に暴露して移動有色帯による目視測定を得るのに使用する。食品容器内の抽出腐敗ガスを手動で試料採取し、合否試験として所定の閾値の達成を報告する類似の技術が米国特許第5653941号明細書に開示されている。
【0004】
そのような技術を、暴露を計測し、専門家だけでなく専門外の受け手によっても解釈され得る値を報告するような専門的設計の下で動作する受動指示計システム、すなわち人間の介在を必要としないシステムに組み込むことができれば、有益な技術貢献となるはずである。そのような受動指示装置については、食品品質(微生物による腐敗)、果実表面の鮮度指示計、パッケージの完全性(不正開封防止措置を含む)、有毒ガスへの人体暴露、ガスマスク内のフィルタカートリッジの残存寿命、患者の肺からの呼気、蒸発/凝結指示計、血液および尿中の尿素検出用試料採取キットなどといったいくつかの工業的用途があるはずである。
【0005】
別の指示計の中には、アナログシステムを用いて実環境をシミュレートするものもある。中でも代表的なのは、熱モデル化されるシステムと類似の活性化エネルギーおよび速度定数を共有する反応物を伴う熱暴露を報告する時間−温度指示計であり、導出される相関関係は、実システムの条件に関する推論を提供する(Riva,M.1997年)。
【0006】
別の指示計の中には、アナログシステムを用いて実環境をシミュレートするものもある。中でも代表的なのは、熱モデル化されるシステムと類似の活性化エネルギーおよび速度定数を共有する反応物を伴う熱暴露を報告する時間−温度指示計であり、導出される相関関係は、実システムの条件に関する推論を提供する。環境変化の直接の原因である検体への暴露を計測するより新しい指示計が開発されている。しかし、その計測は、閾値の達成だけに限られており、したがって、その伝達情報は、結局は、オン/オフまたは合/否の読み取り値だけに限られる。そのような指示計は、食肉および魚介の品質測定用ではFood Quality International社によって、果実の成熟度用ではRipesense社によって市販されている。これらの装置の限界は、終点を判定するためのカラーチャートの参照による、観測者から見た可視色スペクトルの変化に依存することである。これらの装置では解釈のための数値尺度が得られず、判定のために色スペクトルの判断が観測者に委ねられており、そのために感度限界および正確さの問題をはらむ。
【0007】
しかし、捕集作用を使って、品質変化の原因である化学反応の標的分子、または環境の完全性の変化と関連付けられるマーカを、工学的構造により、観察される環境の品質変化と同調して移動フロントを確立する方向に能動的に拡散させる測定装置を含む応用は、どんな発明でもまだ主張していない。本発明では、この移動反応フロントを使って、標的分子(検体)の優勢レベルまたは暴露履歴を測定し、報告する計器内のセンサを作成する。
【0008】
本発明の新規な装置によって提供される読み取り値は、上限のない、連続した数値尺度に沿った1点を生成し、したがって、今日の医療産業の品質保証におけるハードデータの需要を満たすものである。
【0009】
検体の優勢レベルは、環境におけるその検体の濃度の許容度に関する情報を提供し、他方、報告される累積暴露は、装置が配置されている間の様々なときに検体に従って生じる反応の累積的蓄積から生じるものとされる。
【0010】
次に開示するそのような計器は、標的分子を含む実環境の任意の閉じた、もしくは一部が閉じられた、もしくは定常状態の条件の範囲内に、または標的分子が通過する、気体もしくは液体の、このような環境に流入し、もしくはこのような環境から流出する試料の流れに配置することができる。本発明の対象となる典型的な環境には、食品もしくは生物製品における生物学的劣化反応物もしくは生成物、環境汚染物質、または空気もしくは水の衛生化のための処理剤もしくは殺虫剤、およびパッケージにおけるガスシールの保全性が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の一般的目的は、閉じた、または一部閉じた実環境の化学暴露履歴を、その環境との関連で標的分子との接触または標的分子の放出を報告することによって提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、一態様において、本発明は、閉じた実環境の化学暴露履歴を、その環境との関連で標的分子との接触または標的分子の放出を報告することによって監視する方法であって、標的分子との接触または標的分子の放出との関連で環境の暴露履歴を提供するために、
透過性基質を有し、標的分子への暴露を、上記基質を通るそれらの分子の拡散を測定することによって記録する監視装置を、閉じた実環境の範囲内に、または標的分子がそこを通って上記環境に入り、もしくは上記環境から出る試料の流れに設置するステップと、
次いで、暴露期間の間および/または暴露期間の終わりに、周期的に、基質を通る標的分子の分子拡散の度合を記録するステップと、を含む方法に関するものである。
【0013】
標的分子は、品質管理の対象となる分子とすることができ、これには、生物学的劣化反応物もしくは生成物、汚染物質、または空気または水を処理して品質を改善するための殺菌用化学薬品が含まれ得る。対象となる標的分子は、食品腐敗、生物製剤劣化、微生物劣化および化学的劣化、個人保護具、環境保全ならびにその他の環境監視用途と関連付けられてもよい。
【0014】
適切には、監視装置の透過性基質は、この基質と共に配置される、基質中への標的分子の拡散を指示する1つまたは複数の化学指示薬を有する。
【0015】
適切には、標的分子は、基質において、基質内の標的分子の有無が指示されるような化学変化を誘導する。この化学変化は、酸化還元反応とすることもでき、pHの変化によって誘導されるようなイオン化反応とすることもできる。したがって化学指示薬計はpH指示薬とすることができる。
【0016】
密度や気孔率といった透過性基質の化学物理特性、および/または基質への取入れ口の開口のサイズは、基質を通る標的分子の拡散の速度を増加または減少させるように変化させてもよい。
【0017】
適切には、基質を通る標的分子の拡散の度合は、標的分子と化学指示薬との反応によって計測される。
【0018】
いくつかの実施形態においては、拡散の度合は標的分子の濃度を移動線状色帯または移動色環の連続尺度として報告する。
【0019】
適切には、監視装置は、基質がそこに配置されるチャンバを備え、上記チャンバは、連続尺度における距離を用いた変色の速度が、移行のフロントにおける反応時間が、基質中の標的分子の拡散と一致して進行するようにすることによって達成されるように構成される。
【0020】
監視装置は、標的分子の優勢レベルまたは標的分子への累積暴露を報告してもよく、あるいは一体型の装置として、優勢レベルと暴露履歴の両方を報告してもよい。
【0021】
監視装置は、指示装置の基質内における標的分子の拡散の度合に見合った反応フロントで構成され得る。
【0022】
指示装置は、指示薬媒質を狭く細長い管に入れ、指示計に沿った拡散を観測者から見て平面に沿った進行に限定することによって、指示薬反応フロントを連続尺度に沿って限定してもよい。
【0023】
監視装置は、基質を、不透過性の上下面を有する、薄い積層円盤または可変厚の2次元形態として配置し、拡散を、観測者から見て外縁から内心へ、または中心から外縁へと移行する進行に限定することによって、指示薬反応フロントを連続尺度に沿って限定してもよい。
【0024】
適切には、基質は、三角形などの2次元形態として、またはくさび形、円錐もしくは角錐形のような3次元形態として、またはその他の先細り形態もしくはその他の可変厚の形態として配置される。
【0025】
監視装置はさらに、本発明の温度計形態の場合のように、線状細片の長手方向に沿って指示薬を含む基質の厚さを変化させてくさび形を形成することにより、または、本発明の円盤形態の場合には、本発明の円盤形態に存在する円の円弧のラジアンに沿って厚さを増大させて半球形または半卵形を形成することにより、増大する非線状尺度に沿って拡散するように作成されてもよい。取入れ口端部を先細り状にすることにより、移行距離が増大するにつれて漸進的拡散がより非線形になる。代替として、装置の厚い端部から薄い端部へと拡散させることによって拡散をより線形なものとすることもできる。
【0026】
監視装置は、移動色帯上の観測点にマスキング用有色印刷を配置して、色帯の観測点への到達がその観測点における変色によって観測されるようにすることにより、標的分子の濃度を離散尺度として報告してもよく、あるいは帯自体の色が下の印刷の出現を隠蔽する場合には、色帯の漸進的移行が、前のマスキング帯における色消失および下にあるメッセージの出現により、観測者に新しい暴露レベルの達成を知らせる。
【0027】
監視装置は、二酸化炭素などの標的分子への累積暴露を、50〜80℃の範囲内のゆるい加熱で元に戻せる半安定な反応生成物を生成する基質内の反応物を使って、またはオーブン温度においてのみ可逆である安定した反応生成物を用いて報告してもよい。
【0028】
適切には、監視装置は、検体の優勢レベルの報告を生成するために、反応を即座に元に戻すことのできる周囲温度において不安定な反応生成物を生成する、基質と共に配置される緩衝剤を含む反応物によって標的分子の優勢レベルを報告する。
【0029】
監視装置は、優勢レベルまたは累積暴露を、おそらくは計器の視野内の反射光の量として、または色スペクトルもしくは色の濃さとして測定される可視の色移動もしくは空間的分離によるものであれ、スーパーマーケットにおけるバーコード読取機などのような、波長もしくは周波数、反射率、ルミネセンスもしくは蛍光もしくはその他の放射技術として発色を測定する計器を用いるものであれ、読み取り可能な尺度として報告してもよい。
【0030】
監視装置は、累積暴露の優勢レベルを、ディジタルディスプレイに接続される、または放射技術によって調整センターに送られ、おそらくはインターネットもしくは衛星通信を介して国際的に中継される電気信号の変化によって報告してもよい。
【0031】
監視装置は指示薬基質と有色剤とから構成され、または監視装置は、観測者から見た基質の色もしくは可読性を変化させるためのマスキングもしくは背景用の色層を使用してもよく、電子走査計で得られる読み取り値によるものでもよい。
【0032】
監視装置に関して、標的分子への装置の暴露を伝達する対象となる異なる受け手への伝達モードは、対象となる受け手の人々だけが解釈できる符号化伝達情報として変化させてもよい。
【0033】
監視装置は、特定の標的分子の有無を指示する適切な化学試薬、試薬の濃度の選択、または基質の透過性を変化させることによる指示薬媒質への拡散速度によって較正され得る。
【0034】
監視装置の透過性基質は、ある程度の屈曲を設け、それによって拡散を遅らせて、フロントにおける反応時間がその拡散速度で進行するようにし、移行速度を較正するために、管内に線状構成の微小球として配置されてもよい。
【0035】
監視装置は、指示試薬を捕集試薬と混合することによって累積暴露を測定してもよい。
【0036】
いくつかの実施形態においては、監視装置は、食品または生物製剤を含むパッケージまたは容器との熱接触する粘着ラベルまたはタグとして取り付けられてもよい。
【0037】
適切には、監視装置は、パッケージに挿入するための独立型の計器として、すなわち、パッケージの内壁に配置するための粘着ラベルまたは印刷として、耐溶剤性材料で保護された積層材として、あるいは透過性パッケージの外壁に配置され得る。
【0038】
測定される環境から非標的分子を捕集し、標的分子に関する測定に選択性を提供し、監視装置を耐溶剤性とするために、監視装置を覆って、または監視装置の近くに、保護濾過層が配置されてもよい。
【0039】
好ましくは、監視装置は、食品の監視、環境品質用途、および微生物の培養の成長を監視する用途に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
次に本発明を、図面に示す非限定的な例に基づいて説明する。
【0041】
【図1】指示薬ゲルが線状に配置されており、拡散を1次元に限定するための遮断層で覆われている指示計を示す図である。
【図2】線状指示装置の断面を示す図である。
【図3】液体に浸すためのディップスティック型計器の形態の指示装置を示す図である。
【図4】フィルムの縁部から中心に向かう2次元での平面的拡散を示す図である。
【図5】使用時に平面的移行を生じさせる円盤形態の指示計を上からみた図である。
【図6】変色が暴露の増大と共に細い先端部から厚い基部へと進行するような、くさび形、角錐、円錐、その他の先細り形状といった先細り形態の指示装置を示す図である。
【図7】左から右に移行する移動色帯を示す図である。
【図8】果実に適用された監視装置を示す図である。
【図9】土壌に挿入された監視装置を示す図である。
【図10】自動車の排気流に取り付けられた監視装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明においては優勢レベルと累積暴露という2種類の測定が可能である。第1の測定は測定時に記録される検体のレベルを測定し、第2の測定は累積的に蓄積された暴露単位を計測し、暴露の履歴を報告する。どちらの暴露の場合にも、計測および報告は、反応フロントの移動帯から生じる、離散目盛付き尺度に沿った、または連続尺度に沿ったものとすることができる。読み取り値は目視によるものでも電子的なものでもよい。観測は、目視読み取り値の場合のように非熟練者を対象としてもよく、あるいは計器の使用に熟練した者を対象とし、電波を使って、またはその他の電磁的手段によって送受信される電子的読み取り値の場合のように、遠隔制御センターに報告されてもよい。
【0043】
食品、および生物製剤は、流通時に、ある期間にわたって熱に暴露され、腐敗生物で汚染されると、その品質が損なわれる。品質低下および残存品質は、食品を腐敗させる細菌および菌類からの代謝の生成物を用いて測定することができる。検体の例には、二酸化炭素、硫化水素、二酸化硫黄、水素ガスおよびアンモニアガス、酢酸および乳酸、ケトンおよびアルデヒドが含まれる。食肉や魚介のような食品の冷蔵下での化学分解は、劣化タンパク質からのアミンの形成によって測定することができる。劣化オレンジジュース中の苦味生成物であるリモニンの形成も同様に計測することができる。また、包装食品における品質低下は、加工食品内の酸素流入および消費によって、また、呼吸する植物組織が食品包装の設計限界を超える温度に保持されたことから生じる嫌気性細菌による包装された農産物中の酸素濃度の低下によっても測定することができる。
【0044】
呼吸、腐敗作用および化学的劣化による分解生成物は、しばしば、酸、塩基または酸化還元生成物であり、反応物は典型的には酸素を含む。分解生成物の形成、すなわち反応生成物の利用度を監視すれば、生化学的、化学的作用の進捗を指示することができる。
【0045】
pH指示薬または酸化還元指示計を使って、パッケージの範囲内の、または作用部位の下流または上流で、環境変化を受けている拡散する気体流または液体流内の劣化を監視することができる。そのような指示計を包装環境、その他の密閉空間、または発生部位に近接した試料の流れの内部に配置して、暴露のレベルを監視することができる。
【0046】
指示計は、酸または塩基発生生成物と反応し、pH緩衝剤ありまたはなしのpH指示薬を使った共役酸/塩基の形成による動的暴露として滴定反応の進捗を計測することができる。同様に、酸化還元反応を用い、指示計を使って、酸素などの検体の変動濃度に対する経時的暴露に関する進捗を計測することもできる。同様に、食品のパッケージ内への水分移行の計測器として凝縮/蒸発指示計を配置することもできる。
【0047】
多くの食品、例えば乳などは、細菌個体数が低いときには安全である。一般消費者にとっての問題は品質であり、許容できる限度は個々の消費者によって異なり得る。度重なる熱暴露は腐敗生物の個体群を成長させる。乳などの製品はある時点までは販売可能であり、細菌がわずかしかない、または全くないことを知らせることにはほとんど価値がない。このような場合には、累積した二酸化炭素発生または腐敗酸などその他の腐敗生成物の測定を用いて細菌個体数およびその代謝を計測するのが有益である。指示計フィルムが変色する従来技術での問題は、これが単にある閾値の達成を報告するにすぎず、または色の濃さの機械的読み取り値を利用するにすぎなかったことである。本発明における改善は、読み取り値を、通常の色帯温度計のような暴露の増大と共に拡大する横方向の拡散として報告することである。
【0048】
家禽卵、果実、野菜、生花などの生鮮食品は、温度に伴うアレニウス速度で呼吸しており、この呼吸は酸素および二酸化炭素の様々な雰囲気によって変更することができる。表皮細胞の表面において果実ステッカとして、またはパッケージの壁の内部ステッカとして測定される酸素および二酸化炭素レベルの優勢レベルは、商品の賞味期間を維持するものであれ、損なうものであれ、温度および気体雰囲気の優勢な環境条件を反映する。同様に、ステッカを家禽卵の殻の外面に貼付して、卵の呼吸、殻の内側の細菌の腐敗生成物、またはこれら両方を計測することもできる。
【0049】
生鮮食品では、細胞集団の累積呼吸を使って、様々な切断された植物器官の「呼吸/寿命」として鮮度を計測することができる(Brashら、1995年、Bower,J.H.2001年)。
【0050】
エチレンの優勢レベルおよび累積レベルは、指による圧力試験で果実を傷つける必要もなく、ナシ、アボカド、キーウィフルーツといった果実が食べ頃であるときに、クリマクテリック果実の熟成の発現を知らせ、または熟成の段階を指示することができる。
【0051】
農作物器官の表皮には透過性の被覆層が存在する。植物中の酸素、二酸化炭素、エチレンおよびアルコールは、これらの表面を透過し、本発明による平衡レベルの測定の機会を提示する。
【0052】
農作物の細胞から生じ、拡散により表皮細胞を貫通して表面に達する発生二酸化炭素、エチレン、およびエタノールなどその他の気体を、本発明の指示装置により、農作物自体に取り付けられた被覆ステッカに、または農作物を販売する業界で使用される透過性包装の壁を通して包装の外側に取り付けられたステッカに捕集することができる。代替として、装置は、包装材料内の1層として組み込まれてもよく、独立の装置として、防水性および防漏性のパッケージに、または接続管を備える非透過性パッケージの外側に配置されてもよい。
【0053】
透明ガラスビンなど、その他の非透過性容器に入った食品、健康製品およびその他の腐敗しやすい製品や医学標本の場合には、内壁への耐溶剤性ラベルの貼付により発生する作用を計測し、報告することが可能になる。非透過性容器が使用される場合には、例えばポリエチレンやその他の重合体などの容器にピンホールをあけ、次いで、ラベル装置を、自転車用チューブのパンクを修理するのと同様のシールパッチとして貼り付けることができる。
【0054】
代替として、包装壁にあけたピンホールを通り、管を用いて計測用タグの取入れ口に連結された差込み器具を使って計測装置が配置されてもよい。これらの方法は、非透過性の容器およびコンテナで監視を行うことを可能にする。
【0055】
「パッケージ」の定義は、いくつかのより小型のパッケージの外装にまで拡大適用してもよく、輸送用コンテナを含む大型容器を含み得る。獲得される尺度には、現在の呼吸および成熟の状態、または農作物の呼吸もしくは熟成の履歴が含まれる。
【0056】
流通時の有効な品質管理のために、取引の透明性および説明責任が求められる最新の監査証跡においては、収穫または食品加工から最終的消費点に至るまでの商品の漸進的劣化について報告することが望ましい。したがって、搬送および貯蔵の各当事者の管理下にある間の商品の耐用期間の経過の度合を示す計測システムが求められる。
【0057】
生鮮食品の品質は、取扱いの遅れおよび流通時の最善でない温度管理により低下し、鮮度が失われる。取引における鮮度は、果実が収穫されるとき、または熟成が開始するときが最大である。加工食品および飲料に対する凍結、缶詰またはその他の食品保存方法によって提供される保存にもかかわらず、腐敗生物および化学的劣化による汚染が最終的には貯蔵および保管寿命を限定する。鮮度の状態を監視することが本発明の対処する課題である。
【0058】
食品の品質は、流通時の熱暴露により、汚染微生物が成長し、増殖するにつれて劣化する。微生物の代謝は、食品劣化の主要因であり、温度、酸素および二酸化炭素ガス濃度、培地、水分活性、成長抑制物質および防腐剤を含む要因によって調節される。したがって、温度/時間指示計は、特に混合食品の調製では、微生物の成長を調節する全ての環境要因を反映するものではなく、したがって、実システムでの変化を監視する方が、模擬システムでの予測よりも品質管理の正確さが増す。
【0059】
この流通の連鎖は、しばしば、収穫または食品加工から家庭での消費までの間において多くの異なる当事者の協働および加熱への暴露および遅延を伴う。鮮度は、製造される食品が包装されるときに最大となる。最新の流通システムには、流通連鎖内のあるリンクから次のリンクまでの通過を伴い、一般には、加工食品の製造者在庫、ならびに生鮮食品の包装出荷工場における収穫/冷却および包装/貯蔵が含まれる。次いで、流通は一般に道路、鉄道、海上または航空による輸送が伴い、その後に卸売在庫、小売在庫、小売陳列、顧客購入、顧客保管が続く。
【0060】
市場連鎖全体の流通の間には、様々な当事者が農作物および食品の品質に関心を持ち、これが、有益には、情報伝達装置によって個々の果実または食品パッケージの表面で報告されることになる。この情報は、マーケティング情報を表すことができ、ある当事者、例えば小売業者などが、情報が消費者/顧客に渡される前に社内品質管理のために食品の品質に関する早期警告を得ようとしてもよい。これは、小売業者が途中でその商品を販売から除去し、または迅速に販売するためにその商品を割引することを可能にするはずである。
【0061】
小売業者は、市場においてその商品が高品質であるという評判を守るために、食品品質に関して顧客に供与する情報を制限すると同時に、想定され、または感知される危険を顧客に知らせずに、陰で社内管理システムを用いてその食品の安全性を確認しようとする。同様に、小売業者は、購入に適さない卸売業者からの委託も拒絶しようとする。様々な受け手に対して品質状況の伝達を行うためには符号化信号を使用することが望ましい。
【0062】
本発明は、指示計の変色速度を色帯の移行を使った距離で伝達することによりこの必要を満たす。それによって本発明は、腐敗生物の集団およびその活動ならびに農作物細胞の代謝を報告する際により高い信頼性を実現する。本発明では、品質の状況に関する伝達情報が、流通連鎖に沿った個々の当事者を対象とし、劣化のレベルおよび腐敗生成物の遊離および/または反応物の消費に対応する。そのような情報適格性に応じた報告は、販売および流通の現実に適合するものである。
【0063】
そのような符号化メッセージングの一例は、まず、例えば、販売時点における在庫管理員またはレジ操作員のバーコードスキャンなどによる、早期の品質低下に対応する指示計の変化を電子的に検出するものである。より進行した段階では、目視メッセージングをバーコードと組み合わせ、販売後、顧客取扱い時に品質がさらに劣化する場合に顧客に提供することもできる。商品の顧客が家庭である場合、食品は、店からの帰宅する途中の暖かい車内において、また、冷蔵庫および台所における貯蔵時の不十分な温度管理のためにひどく劣化することがある。この流通の最後の当事者(最終使用者)のための食品品質に対する警告は、劣化がその食品を廃棄しなければならないほど進行しているときには、広く理解され、誰もが目にする警告記号や文字といった視覚形態の方がうまく伝達され得る。
【0064】
従来技術には、凍結融解などの場合における条件または熱暴露の度合を推論する指示計システムがある。この時間−温度装置は、食品および袋詰の血液のような生物製剤と熱接触するように配置され、流通される商品と同じ熱履歴を共有する。これらの装置における生化学的処理の酵素作用または物理的拡散過程は、シミュレートされる実システムのものとは異なる過程を伴い、相関関係に従って実システムを用いてモデル化され、較正される。
【0065】
従来技術には、例えば、凍結食品が融解するときに成長する酵母など、呼吸する微生物を培地に導入し、熱暴露に反応して呼吸により酸生成物を生成する装置がある。しかし、実システムにおいて調査対象とされる当該の種の培養を展開するものは従来技術にはない。乳および魚介の腐敗の場合、近年においては、冷蔵温度において成長する好冷菌(psychotroph)である特殊な細菌種が、現代の食品流通システムにおける食品腐敗の主要な原因であることが知られてきている。
【0066】
本発明は、実際の腐敗過程をより詳細かつ正確にシミュレートするはずである。食品容器の外壁上の粘着細片などの独立装置に、腐敗の原因であることが知られている特定の腐敗生物の培養を接種することができる。例えば、乾燥、凍結または真空パック形態の、おそらくは脱水された実システムを反映する微生物汚染のレベルを有する、実際の食品に近い配合の少量の試料を含む培地を備えるセンサの取入れ口の中に開口しているチャンバにおいて微生物を混合し、真空パック状態から水和作用、換気を伴う食品流通の初めに装置を使用し、または冷蔵温度から生物が成長し、増殖することができるような流通下の環境に移動させることができる。
【0067】
この方法によれば、通常の処理における汚染レベルでよく見られる、乾燥乳中の好冷(psychotropic)細菌の再水和培養の少量の試料から発する移動色帯指示によって乳劣化が報告されるはずであり、試料は、管を介して粘着細片に接続され、装置は、乳容器の外側に、流通および家庭での貯蔵時に食品乳内容物と熱接触するように取り付けられる。
【0068】
本発明の類似の用途は、真空パック食品のパッケージ内のシール損傷の有無を監視することである。これは、シールが損なわれると酸素が流入し、好気性で、無害であると分類されることが知られている不活性微生物の成長が誘発され、その成長および代謝に反応して指示計器の色が変化するからである。この場合装置は密閉パッケージ内に配置することができる。
【0069】
使用のためにパッケージが開けられるときに食品パッケージを取り囲む空気に指示計を暴露することにより、暴露タイマとして、空気(21%酸素)への暴露の経過時間を報告する、食品品質報告用の酸素指示計がある。よって、パッケージが開いたままの状態である時間を、空気中に浮遊する微生物に対する予期される暴露に関連付けることができる。これは、パッケージシールの除外効果が失われるからである。加えて、パッケージが消費者によって空気に開かれるときの予期される食品の酸化に対して何らかの大ざっぱな関連付けを行うこともできる。
【0070】
しかし、食品の品質は消費者まで流通する間に劣化し、製造者および販売者にとっては、真空包装として、もしくはガス交換を通さないように設計された包装材料を透過する、または貯蔵、輸送および販売の間のパッケージシールの破損から生じた間隙に浸透する可変数の酸素分子への暴露を測定することが望ましい。これにより流通時における食品自体の酸化の度合のより正確な測定値が提供されるはずである。さらに、最小限加工された野菜などの呼吸する農作物に対して透過性を有する特殊パッケージの内部酸素濃度の測定は、植物組織の急速な老化を引き起こすのみならず、人間の健康を脅かす危険な嫌気性細菌の成長をも助長する嫌気性細菌の増加を報告することは価値がある。
【0071】
透過性包装壁上への粘着ラベルの配置、透過性包装壁の組成、および、遮断フィルムを貫通してバッグインボックス包装のワイン「キャスク」内に保持されたワインのプラスチック袋などの中に入る、またはボトルのシールを貫通する酸素透過を測定し、報告するために食品パッケージ内に配置されるタグなどのパッケージ挿入物を用いてそのような測定を達成することが本発明の目的である。
【0072】
包装の完全性は、食品の品質および安全において重要であり、細菌細胞および菌類胞子は包装壁の隙間を通って侵入し得る。食品包装は損傷を受けるとそのシールが損なわれる。また、製造時の欠陥により有効なシールを実現できないこともある。多くのパッケージは、空気中の細菌細胞の侵入を防ぐシールを実現するように設計されているが、プラスチック製乳容器などの中には気密でないものもある。このような場合、腐敗報告装置の有効性は、腐敗の生成物である気体または液体の漏れを、それらが生成される際に捕集することができない限り、限られたものとなる。これらの気体または液体は、その反応が酸性であれアルカリ性であれ、あるいは酸化還元反応の生成物であれ、半安定な反応において指示薬と反応する必要があり、そうでなければ、報告技術に誤った信頼性を置くことになる。従来技術は、酸/塩基、または酸化還元生成物の閾値レベルの達成を報告するにすぎなかったが、この改善方法では、通常は検出されずにパッケージから排出されていた可能性のある、わずかな漏れまたは設計時の孔を伴うパッケージ内の発生反応生成物を捕集し、計測する。
【0073】
類似の用途では、包装製品の不正開封を報告する。食品、医薬品などの包装の不正開封は、好ましくは、販売の前に、走査装置を用いて電子的な方法で検出され、走査システムが新しい不正開封を検出できなかった場合にのみ顧客に報告される。包装環境における完全性の喪失を報告するいくつかの指示計が従来技術において公開されており、その中には酸素および二酸化炭素指示計が関与するものもある。食品販売者、特に小売業者は、包装の完全性に問題がある場合には早期に介入することを望み、さらに、その社内管理システムで問題を発見できなかった場合には一般消費者に健康上の危険を警告する義務がある。
【0074】
改善された工業的用途では、早期検出が、消失バーコードなどの早期警告システムを用いて小売業者に適切に報告され、指示薬とのより高レベルの反応による進行した段階の検出が、印刷メッセージまたは記号を用いて顧客に報告される。早期検出は本発明の計測システムによって設けられる離散尺度の下端において達成することができ、進行した段階の警告はより高い暴露レベルに設定される。伝達モードは異なるが、これらの検出は1つの離散尺度に沿った異なるレベルを反映するものである。
【0075】
汚染物質を含む標的分子の有無についての空気および水の環境監視が、受動監視装置として標的分子への暴露を監視するために本発明を配置することのできる別の用途である。
【0076】
環境内の優勢レベルは、特に、自動車の車室を汚染する一酸化炭素排気などが警報を発するのに十分な濃度にあるときには、これが急性中毒の危険を生じ得るために対象となるが、学校で使用される煙道のない燃焼暖房装置や、廃水中の重金属イオンの場合のように、慢性中毒を引き起こし得るより低い潜行レベルからの累積暴露もまた対象となる。
【0077】
自動車の排気の場合、排気流内に配置された試料採取装置への累積暴露で汚染車を報告し、または許可のために排気を計測して、汚染された都市の中心区域への接近を適合車両またはその汚染許可割り当て範囲内の車両だけに許可することもできる。
【0078】
通気孔やパイプから放出される汚染を伴う化学プロセスの排出を監視するときには、レベルが時間の経過と共に変動することがあり、経時的濃度が変動し、偶発的である場合には、離散的な時点における試料採取に依存すると誤りを生じるおそれがある。優勢レベルを繰り返し測定して暴露履歴を獲得するのは手間がかかり、高くつく。連続暴露を環境における化学的生成物の影響のより信頼性の高い尺度とすることができる。本発明の暴露指示計は、この必要を満たすことにおいて革新的である。組み合わせ煙突、廃水路といった試料の流れ、または気象観測用気球を用いて配置される陸塊上のオゾンなどの雰囲気内に遠隔配置するための分離センサは、データ記録と同様に、自動化システムにおいて複数の監視観測点を24時間休みなしで監視させることができる。監視期間の終わりに、専門家は、設けられた尺度に照らして解釈される、累積暴露の目視読み取り値または無線通信を得ることができる。電子データ記録装置に伴う製造コストが低いため、より多くの監視点で試料採取により多くの労力を割くことが可能になり、何らかの災難によりその安価な装置が失われても、研究予算に対する影響はあまり深刻なものではない。
【0079】
また、くん蒸および公衆衛生の用途も、検体のレベルを尺度として報告する監視技術の恩恵を得るはずである。また、飲料水、水泳プールの塩素処理または酸化処理などの水処理、乳児用おむつの殺菌、部屋、農作物パッケージ、土壌のくん蒸も暴露についての情報を必要とする。投与量は、典型的には、検体の濃度に時間をかけた計算によって求められる。優勢な暴露レベルおよび暴露履歴は、有利には、本発明を用い、環境内の代表的な試料採取点に感知指示装置を配置することによって報告されるはずである。
【0080】
試験容器環境を設けることに伴う問題は、前述のように、包装環境、建物内部の一室の範囲、測定試料の流れ、透過性もしくは多孔質のプラスチック食品袋の壁の通路、または汚染通気口またはパイプの内部に配置することをもって対処されている。植物の導管に管を取り付けることにより、試料採取用チャンバを設ける必要をなくすことができ、これは、排気パイプなどの検体の発生元に至る装置と連結された管を使用することによっても、配管を通る液体の流れを有する通路のために保護された、透過性を有するカプセル内に配置することによっても可能である。装置は、標的分子への暴露を獲得し、試料採取の流れを獲得するために、管および科学的計測に通常使用されるその他の装置と連結して使用することができる。
【0081】
本発明の受動監視装置は、包装された食品などの腐敗しやすい商品中の微生物腐敗および化学的劣化を監視するのに使用することができる。
【0082】
指示計を、食品もしくは生物製剤と直接接触させ、または食品もしくは生物製剤の実環境と熱接触する分離チャンバ内の食品もしくは生物製剤の試料と接触させ、指示計上に、標的とされる病原体に対する公知の抗体を結合し、または腐敗細菌の特定の酵素に選択的に反応することが知られているある指示薬を使用し、または抗原感受性分子の組成を用いて指示計を作成することによって、あるいは、監視対象とされない汚染微生物種に対して特定の作用を有するが、監視対象とされる種にとって無害な抗生物質、殺かび剤またはその他の成長抑制物質を選択的に使用することによって、包装された食品上で成長し、人間の健康を脅かす微生物への暴露を装置に選択的に計測させてもよい。
【0083】
装置は、食品品質の劣化を引き起こす、食品パッケージ内への酸素および水分移行を報告するのに使用されてもよい。装置は、パッケージの壁に含まれる積層材として、包装内容物と共に挿入するための耐溶剤性、非浸出性装置として、またはそのようなパッケージの透過性の壁に取り付けられる粘着ラベルとして配置されてもよい。
【0084】
装置は、農作物、すなわち果実、野菜、切り花等の鮮度を監視するのに使用されてもよい。装置は、植物組織の恒常性および老化の目安となる二酸化炭素、酸素、エチレン、アルコールおよびその他の蒸気の現在レベル、ならびに暴露履歴を報告してもよい。この情報を用いて、恒常性、老化、鮮度の現在の状態または成熟度の状態、ならびに貯蔵され、輸送され、販売される商品としての残存寿命を推論してもよい。また、雰囲気酸素および二酸化炭素の環境条件を監視することもできる。装置は、農作物パッケージの壁に含まれる積層材として、包装内容物と共に挿入するための、耐溶剤性、非浸出性の、(組成用材料選択による)飲み込んでも安全な装置として、またはそのようなパッケージの透過性壁面に取り付けられた粘着ラベルとして配置されてもよい。
【0085】
装置は、水、栄養素または植物食品および酵素の関連する導管への注入装置と連結することによって、または発生気体を捕集するために監視される植物組織の表皮上に粘着パッチとして装置を配置することによって、植物の健康および無傷の植物における恒常性を監視するのに使用されてもよい。
【0086】
装置は、食品加工および製造、ワイン造りならびに有機廃棄物および鉢植え用混合土の発酵乾燥における発酵処理を監視するのに使用されてもよい。同様に装置は土壌中の生物活性を監視するのに使用することもできる。
【0087】
装置は、ブドウのような包装食品の雰囲気中の、またはくん蒸された室内の、または土壌もしくは材木などの上に置かれたくん蒸ブランケットの下のくん蒸剤の優勢レベル、ならびに暴露履歴を監視するのに使用されてもよい。
【0088】
装置は、水泳プールの水の塩素処理および酸化の場合などのような殺菌剤を用いた水処理時の有効な添加、および携帯用の出所の疑わしい水を確認するための監視装置として使用されてもよい。
【0089】
装置は、家庭や教室といった建物内での薪および化石燃料の燃焼により生じる汚染気体の範囲の指示気体として一般に使用される、二酸化炭素など、空気中の汚染物質の優勢レベルおよび暴露履歴を監視するのに使用されてもよい。自動車の車室などの相対的に限定された空間における望ましくない気体、例えば、眠気を生じさせる二酸化炭素の蓄積が報告されてもよい。使用中の車室および建物を喚起する必要に関する判断が、装置が作成される情報によって裏付けられてもよい。
【0090】
装置は、放流管から導管を経由して水路に入る排出物のような水中の汚染物質の優勢レベルおよび暴露履歴を監視するのに使用されてもよく、試料採取に必要な深さに配置するために糸と浮きまたはおもりが取り付けられてもよい。
【0091】
装置は、緊急救命作業員、殺虫剤使用者、炭鉱坑内員、スプレー塗装工といった、有毒ガスと共に作業する人の密閉空間内での優勢レベルおよび暴露履歴を監視するのに使用されてもよく、作業場のより大きなチャンバに、または個人保護具として作業員が装着する呼吸用マスクのフィルタカートリッジに配置されてもよい。
【0092】
装置は、空気中の周囲酸素(21%)や二酸化炭素(0.04%)といった、暴露履歴の指示を生成するための目標とされる既知の濃度の分子を含む空気または水の流れを推論によって監視するのに使用されてもよい。濃度、流量および時間を変数とする暴露モデルを、流量計として、時間内に試料採取点を通過する気体または液体の量を計測するセンサを較正するために適合させることができる。
【0093】
この方法の1つの応用例は、農業用トラクタのような埃っぽい環境で動作する燃焼機関の空気清浄器や、清掃業において家庭で使用される真空掃除器や空調装置といった、空気または水の流れの中の濾過装置を監視し、交換するために前述の想定モデルを使用するものである。現行の業界の慣例は、これは一定のファン速度を前提として、何時間もの耐用期間の後でフィルタを交換し、または清掃するというものである。計測センサは、動作時のエンジンの偶発的エンジン回転数と関連付けられる可変のファン速度および吸気から生じる暴露を監視するように配置することができる。関連する応用例が、計測を行い、大量の水が水流の試料採取点を通過したときに水泳プールフィルタを清掃する必要を知らせるものである。機関運転時間または車両移動の走行距離計読み取り値という現在の尺度に優る改善された尺度として、エンジンの使用寿命の改善されたシミュレーションを使用することもできる。累積酸素吸気または二酸化炭素などの累積排気は、エンジンの使用寿命、よって残存寿命をより正確に表すことができ、修理要件およびエンジン交換の必要を喚起するのに使用することができる。
【0094】
装置は、水、空気、医学および獣医学標本、ならびに植物汁中の水素(H+)を含む特定のイオンの優勢レベルおよび暴露履歴を監視するのに使用されてもよい。
【0095】
装置は、公知の水分吸収体および凝縮指示計から指示計を構成することにより、パッケージおよび乾燥したままの状態であることが望ましいその他の空間への水分移行の指示計として使用されてもよい。
【0096】
監視装置は、典型的には、不活性担体媒質で構成され、不活性担体媒質は、ポリビニルアルコールなどの不活性水溶性炭質重合体で構成され得る。水性化学反応を保証するために、炭素重合体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンもしくは他の何らかの水溶性重合体、または食品および生物製剤の流通において使用される他の透明または半透明の包装材料とすることができる。
【0097】
担体媒質を通るのに必要な透過率を確立するための可塑剤には、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコールまたは任意のグリコールまたはポリヒドロキシル材料が含まれる。
【0098】
酸蒸気の有無を変色として報告するpH指示薬の例は、フェノールフタレイン、万能指示薬、もしくはpH8.0〜10.0の範囲の前後で変色するその他の指示薬、または他の任意のpH指示薬、または色の可能性を広げるための異なる指示薬の組み合わせ、または色の可能性を広げるための異なる指示薬の組み合わせなどとすることができ、まず、アルコール、または適切な高分子溶液に溶かされてもよい。
【0099】
アルカリ性捕集材料は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、あるいは強い有機もしくは無機カチオンの炭酸塩または水溶性のその他の強い有機もしくは無機カチオンの水酸化物もしくは酸化物、あるいは任意のアルカリ性材料とすることができる。例としては、アルカリ金属または強有機塩基の炭酸塩、水酸化物、または酸化物が含まれ、これらに酸蒸気を用いた中和処理が施される。
【0100】
酸性捕集材料は酢、酒石酸、クエン酸、およびその他の弱有機酸とすることができる。
【0101】
pH緩衝剤は、炭酸塩もしくはリン酸塩に基づくもの、カルボ/アミノ反応を受けるアミノ酸、またはpH変化に耐える任意の緩衝剤とすることができる。
【0102】
エチレンの存在を指示する試薬には、過マンガン酸カリウム(紫から無色または褐色に変色)およびテトラジン誘導体(青紫から無色に変色)が含まれる。
【0103】
酸素の存在を指示する試薬には、捕集および指示の標準例とみなすことのできるロイコメチレンブルーが、他の多くのロイコ染料と共に含まれる。ロイコMB[ロイコチオニン染料]に最も類似している試薬は、一般に無色であり、酸素の存在下において酸化されて青、緑または青紫の染料になる。別の指示薬染料が、鮮やかな橙色のルブレンであり、これは、光と酸素両方の存在下において無色になる。
【0104】
下の指示計への気体移行を妨げる遮断フィルムは、ポリオレフィンやポリ塩化ビニルといった透過性プラスチックフィルムで構成されてもよい。
【0105】
防水材料および指示装置から食品への試薬の移行を阻止すると同時に、二酸化炭素などの気体を迅速に透過させる材料の例には、シリコーンのようなシランが含まれる。
【0106】
二酸化炭素などの標的分子の選択的透過は、シリコーンやポリエチレンのような包装材料を用いて指示計の担体媒質を被覆することにより達成することができる。
【0107】
適切な指示薬、重合体およびその他の適切な反応性化学物質の例が国際公開第9209870号に開示されており、以下にこれらの開示から引用する。
【0108】
「多数の反応が変色と関連付けられる。各種の変色反応にはいくつかの化合物の分類があり、各分類は変色を生じるいくつかの化合物を有する。以下は、本発明の装置において指示薬および活性剤として使用することのできるある種の化合物の反応および分類である。
【0109】
変色反応および指示薬は、有機、無機および有機金属化合物の検出および監視に使用される。そのような変色反応および化合物は多数の書籍、記事および出版物に記載されており、これには以下の参照文献に記載されているものが含まれる。Justus G.Kirchner、「Detection of colourless compounds」、Thin Layer Chromatography、John Wiley & Sons、ニューヨーク、1976年;E.JungreisおよびL.Ben.Dor、「Organic Spot Test Analysis」、Comprehensive Analytical Chemistry、第X巻、1980年;B.S.Furniss、A.J.Hannaford、V.Rogers、P.W.SmithおよびA.R.Tatchell、「Vogel’s Textbook of Practical Organic Chemistry」、Longman London and New York、1063−1087頁、1986年;Nicholas D.Cheronis、「Techniques of Organic Chemistry,Micro and Semimicro Methods」、Interscience Publishers,Inc.、ニューヨーク、1954年、第VI巻、447−478頁;Henry Freiser、「Treatise on Analytical Chemistry」、John Wiley and Sons、ニューヨーク/シンチェスタ/ブリスベン/トロント/シンガポール、1983年、第3巻、397−568頁;「Indicators」、E.Bishop編、Pergamon Press、英国オックスフォード、1972年。これらの反応および化合物は、監視装置において暴露履歴を記録するのに使用することができる。
【0110】
酸化剤は還元染料を酸化し、変色を生じさせることができる。同様に、還元剤も酸化染料を還元し、変色を生じさせることができる。例えば、過硫酸アンモニウムは無色のロイコクリスタルバイオレットを酸化させて青紫色のクリスタルバイオレットにすることができる。亜硫酸ナトリウムなどの還元剤はクリスタルバイオレットを還元してロイコクリスタルバイオレットにすることができる。よって、酸化剤および還元剤を指示試薬として使用することができる。代表的な一般のオキシダント(酸化剤)には、過硫酸アンモニウム、過マンガン酸カリウム、二クロム酸カリウム、塩素酸カリウム、臭素酸カリウム、ヨウ素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、硝酸、塩素、臭素、ヨウ素、硫酸セリウム(IV)、塩化鉄(III)、過酸化水素、二酸化マンガン、ビスマス酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、および酸素が含まれる。代表的な一般の還元剤には、亜硫酸ナトリウム、ヒ酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸、チオ硫酸ナトリウム、硫化水素、ヨウ化水素、塩化第一錫、亜鉛などいくつかの金属、水素、硫酸鉄(II)または任意の鉄(II)塩、硫酸チタン(II)、塩化錫(II)およびシュウ酸が含まれる。
【0111】
酸塩基反応は無色であるが、pH感受性染料を用いて監視することができる。例えば、ブロモフェノールブルーは、水酸化ナトリウムなどの塩基に暴露されると青になる。青色のブロモフェノールブルーは、酢酸などの酸に暴露されると、青から緑、黄緑、黄色のような一連の変色を生じる。よって、酸および塩基を、pH依存染料と共に指示計システムとして使用することができる。塩基の検出に使用することのできる染料の代表例は以下のとおりである。アシッドブルー92;アシッドレッド1、アシッドレッド88、アシッドレッド151、アリザリンイエローR、アリザリンレッド%、アシッドバイオレット7、アズールA、ブリリアントイエロー、ブリリアントグリーン、ブリリアントブルーG、ブロモクレゾールパープル、ブロモチモールブルー、クレゾールレッド、m−クレゾールパープル、o−クレゾールフタレインコンプレキソン、o−クレゾールフタレイン、クルクミン、クリスタルバイオレット、1,5ジフェニルカルバジド、エチルレッド、エチルバイオレット、ファストブラックK塩、インジゴカルミン、マラカイトグリーン塩基、マラカイトグリーン塩酸、マラカイトグリーンシュウ酸、メチルグリーン、メチルバイオレット(塩基)、メチルチモールブルー、ムレキシド、ナフトールフタレイン、ニュートラルレッド、ナイルブルー、α−ナフトールベンゼイン、ピロカテコールバイオレット、4−フェニルアゾフェノール、1(2ピリジル−アゾ)−2−ナフトール、4(2−ピリジル−アゾ)レゾルシノールナトリウム塩、auinizarin、Quinalidineレッド、チモールブルー、テトラブロモフェノールブルー、チオニンおよびキシレノールオレンジ。
【0112】
酸の検出に使用することのできる染料の代表例は以下の通りである。アクリジンオレンジ、ブロモクレゾールグリーンナトリウム塩、ブロモクレゾールナトリウム塩、ブロモフェノールブルーナトリウム塩、コンゴーレッド、クレゾールレッド、クリソフェニン、クロロフェノールレッド、2,6−ジクロロインドフェノールナトリウム塩、エオシンブルーイッシュ、エリトロシンB、マラカイトグリーン塩基、マラカイトグリーン塩酸、メチルバイオレット塩基、ムレキシド、メタニルイエロー、メチルオレンジ、メチルバイオレット塩基、ムレキシド、メタニルイエロー、メチルオレンジ、メチルレッドナトリウム塩、ナフト−クロームグリーン、ナフトールグリーン塩基、フェノールレッド、4−フェニルアゾ−アニリン、ローズベンガル、リザズリンおよび2,2’4,4’,4”−ペンタメトキシトリフェニルメタノール。
【0113】
有機化学薬品は、その官能基の存在によって検出することができる。有機官能基試験は周知であり、ほとんどの有機官能基の検出について策定されており、指示薬−活性剤の組み合わせの基礎として使用することができる。例えば、硝酸セリウムは、官能基として脂肪族アルコール(−OH)を有する有機化合物と反応すると黄色から赤に変色する。以下の代表的官能基の1つまたは複数を有する有機化合物は、装置において活性剤として使用することができる。アルコール、アルデヒド、アリル化合物、アミド、アミン1アミノ酸、無水物、アゾ化合物、カルボニル化合物、カルボン酸、エステル、エトキシ、ヒドラジン、ヒドロキサム酸1イミド、ケトン、硝酸塩、ニトロ化合物、オキシム、フェノール、フェノールエステル、スルフィン酸、スルホンアミド、スルホン、スルホン酸、およびチオール。前述の各官能基分類の下には何千もの化合物がある。例えば、装置において活性剤として使用することのできる代表的アミノ酸のリストは以下の通りである。アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシリシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トリプトファン、チロシン、α−アミノアジピン酸、α−、γ−ジアミノ酪酸、オルニチンおよびサルコシン。あらゆるα−アミノ酸は、ニンヒドリンと反応すると、無色から紫/青紫色になる。加えて、以下にいくつかの具体的なアミノ酸試験を示す。1)ジアゾニウム塩がチロシンの芳香環およびヒスチジン残留物と結合して有色化合物を生成する。2)ジメチルアミノベンズアルデヒドが酸性条件下でトリプトファンのインドール環と共に凝縮して有色生成物を形成する。3)αナフトールおよび次亜塩素酸塩がグアニジン官能基(アルギニン)と反応して赤い生成物をもたらす。固体アミンとして使用することのできる代表的なα−アミノ酸は以下の通りである。リシン、ヒドロキシリシン、α−、γ−ジアミノ酪酸およびオルニチン。官能基試験試薬の存在下において変色を生じる有機化合物のいくつかの別の選択例は以下の通りである。すなわち、1次、2次および3次の脂肪族および芳香族アミノ基を、2,4−ジニトロクロロベンゼンを用いて検出することができる。観測される変色は、無色から黄褐色である。脂肪族アミン、1次芳香族アミン、2次芳香族アミンおよびアミノ酸は、氷酢酸中でフルフラールと反応して青紫のシッフ塩基をもたらす。様々なトリフェニルメタン染料は、亜硫酸と反応して無色のロイコスルホン酸誘導体を生成する。この誘導体を脂肪族または芳香族アルデヒドと反応させると、有色生成物が得られる。亜硫酸を用いて脱色したフクシンを脂肪族および芳香族アルデヒドに暴露すると、青紫色が生じる。亜硫酸を用いて脱色したマラカイトグリーンを脂肪族および芳香族アルデヒドに暴露すると、緑色が生じる。
【0114】
多数の反応が可視領域の変色ではなく蛍光の変化を伴う。いくつかの蛍光指示薬が知られている(「Vogel’s Textbook of Quantitative Inorganic Analysis,Fourth Edition」、Longman、776頁)。
【0115】
装置および装置の変形態は、変色を生じる化学反応と関連付けられる化学指示薬の組み合わせだけに限られるものではない。適切な分析装置によって観測することのできる、顕著な、または測定可能な物理変化を被り得る任意の2つ以上の化合物も含まれる。そのような変化には、粒径、透明度、導電率、磁性および溶解が含まれる。例えば、導電率の変化を電位計によって監視することができる。」(以上、国際公開第9209870号)
【0116】
本発明における受動感知指示計を用いて可能な測定と伝達の組み合わせの範囲を表1に明示する。
【0117】
【表1】
【0118】
指示薬中のフェノールフタレイン成分を用いて得ることのできる色の発現または消失の使用は好適な方法である。これは、反応が進む際に波長変化が生じず、吸光度変化が生じ、これが計測の進捗の目視検出および解釈においてより高い正確さを実現するからである。
【0119】
表1では、検体の優勢レベルまたは検体への累積暴露を、本発明による自動化受動装置を用いて監視し、報告することができることが分かる。また、優勢レベルと累積レベルの両方を同時に報告するために両用途を1つの装置に組み込むことも可能である。
【0120】
本発明では、酸塩基または酸化還元反応物または生成物の優勢濃度および累積暴露が6つの方式で計測される。
【0121】
第1に、ベールの法則による色の濃さの彩度を使って、感知指示計において形成される反応生成物の濃度に色の濃さを関連付けることにより、レベルが計測される。これは、肉眼の能力で、検体が移行フロントとして漸進的に感知指示計内に拡散し、結果として起きる反応が進行する際の色の濃さの発現を見分けることによって行われてもよい。結果として生じる色の濃さは、優勢な分子の濃度に、または累積暴露の場合には反応生成物の質量、したがって暴露履歴に比例する。
【0122】
本発明のこの形態は、試薬のより深い層への反応フロントの移行と同じ平面において最もよく観測され、これには、測色、反射率、ルミネセンスまたは蛍光から、信号または波長または周波数の強度を測定することのできる計器が関与してもよい。
【0123】
第2に、フィックの法則による反応速度を使って、検体のレベルを、色運動の速度および/または拡散を線または平面に限定する、感知指示装置の特殊なアーキテクチャによって定められる反応フロントに沿った色運動の距離に関連付けることにより、レベルが計測される。本発明のこの形態は、反応フロントの移行と直角をなす平面において最もよく観測される。
【0124】
第2の形態を説明する際に、検出フィルムの物質の上面および下面が遮断フィルムで覆ってシールされており、フィルムの縁部が露出している場合、活性試薬の接近を積層材の縁部だけに制限することができる。色縞が露出した縁部または領域から移動し、色移行の距離は、フィックの法則に従って時間の二乗に比例する。よって、一定濃度の標的分子の暴露下においては、1日に1mmの色移行が発現する場合、2日間で1.4mmが発現する。同じ指示計フィルムは、任意の特定用途について1回較正されればよい。
【0125】
代替として、第2の形態の感知指示計を、前述の感知指示計の薄い円盤の全ての縁部をシールし、このシールされた縁部を、後で円盤の中心に穴をあけ、変色の移行が中心から縁部へ向かうようにすることによって獲得することもできる。細長い線状細片をシールし、一端を検体に暴露することにより、線状色移行での類似の結果を生じさせることができる。本発明のこの第2の形態は、貯蔵、輸送、流通、販売および消費の間に監視される腐敗しやすい食品の取扱者など、複雑で精巧な計器の訓練を受けていない人々による目視読み取り値用の連続尺度に沿った計測を説明するものである。
【0126】
本発明の第3の形態では、本発明のセンサの導電率、電位差、または抵抗の変化の指示を検出することができる。電池や太陽電池といった分離電源により電源投入されると、食品パッケージ上のプリント回路として提供される無線周波数識別装置によって電気的読み取り値が伝えられる。信号は、無線信号のトランスポンダにより遠隔センターに送信することができる。そのような通信に工業的に利用できる技術がある。これらの技術に含まれるのは、流通時のパッケージ用の無線周波数識別(RFID)タグ、およびGSMベースのGPRS(General Packet Radio Service)であり、また、温度の読み取り値を取得し、利害関係者がインターネットを介して閲覧するために衛星リンクによる中継用の船上の基地局ユニットにその読み取り値を報告する容器センサユニットの記述が、Morrisら(2003)によって提供されている。これらは一般に、サーミスタセンサによって測定される温度を報告するが、本発明の移行反応フロントセンサを同様にそのような回路とリンクさせることができる。
【0127】
食品パッケージ、空気または水の流れ、室内の空気、大量の処理用水、農作物のカートン内のくん蒸剤といった空間は、ある程度まで閉じられており、標的分子のある一定の濃度がこれらの環境内で規定される。現在の状況を報告するための本発明の適用例は、一般に、そのような閉じられた空間内の濃度の上昇または低下を報告することを伴う。
【0128】
欧州特許第0627363号明細書では、生鮮食品パッケージ内の二酸化炭素レベルが、複数の個別センサを用いて離散尺度上で報告される。本発明の目的はこれと対照的に1つのセンサを複数の読み取り値を生成するように適合させることである。
【0129】
指示薬媒質において指示薬および較正試薬と緩衝剤とを混合するなど、可逆反応を使って環境における標的分子の優勢レベルを報告する計器を製造することができる。
【0130】
移動反応フロントの本発明においては、感知媒質内の動的平衡の化学反応に反応物が供給され、またはそこから生成物が発生する際に、カラムまたは平面に沿って標的分子を前後に拡散させるために装置内の高度の透過性を保証することによって、環境変化に対する迅速な反応が得られる。このように、外部環境における標的分子の濃度のわずかな変化に反応して計器内の新しいレベルに対する迅速な調整が行われ、適時に報告される。この作用は、毛管状の環境を使用し、材料の管への充填を少なくして屈曲を生じさせることによって得られる。
【0131】
指示薬媒質における高透過性は、指示成分用の透過性材料を選択し、細長い容器の範囲内の指示媒質として大量の多孔質微小球を質量比まで接触させることによって、または透過性または多孔度の改善を生じさせるための結晶化、可塑化、穿孔、重合体膨張、または重合体製造業界で既知の他の手段を使って指示薬媒質を製造することによって達成され得る。
【0132】
検体に対するわずかなpH変化を検出する際の装置の感度を向上させる第1の方法では、pH緩衝剤が使用され得る。緩衝剤は、望ましくは、測定される代表的環境のpK環境に近いpK値を有し、検体のごくわずかな変化に反応して十分な変色を生じさせる必要がある。二酸化炭素計測で説明すると、感度の向上は、アミノ酸またはホウ酸塩を緩衝剤として使用することによって達成され得る。カルボアミノ反応は、ホウ酸塩ありまたはなしで、リシンやグリシンのようなアミノ酸反応物の組み合わせを用いて調整され得る。望ましくは、pH緩衝剤は、測定される代表的環境のpK範囲に近いpK値を有し、水素濃度のごくわずかな変化に反応して十分な変色を生じさせる必要がある。類似の方法を使用し、酸素計測やその他の対象となる気体もしくは液体などを用いて、酸化状況のわずかな変化が測定されてもよい。
【0133】
第2の方法は、指示薬の捕集作用を使って計測装置の感度を向上させる。標的とされる化学イオンの低優勢レベルが報告されるときには、可逆反応に基づくセンサに対する反応は低くなり得る。これは、その低いレベルが計器の感度範囲外であるからである。低レベルの標的分子を、分子を相加的に蓄積するセンサに捕集することにより、検出可能な読み取り値が変色傾向として提示される。
【0134】
累積暴露を報告する本発明の形態は、通常の使用温度において相対的に反安定または安定である試薬を用いて製造することができる。約0〜60℃の使用温度範囲内では半安定な反応生成物を生成し、ゆるい加熱によって反応を逆転させて温度をゼロ値に戻すために装置に適用することのできる約60〜80℃の温度範囲内で逆転する試薬が選択される場合には、装置の回復機能を得ることができる。この要件を満たす試薬の1つが炭酸カリウムであり、酸蒸気への暴露を測定するのに使用することのできる試薬である。
【0135】
関連する適用例を、製造および貯蔵時の酸性の検体への暴露を測定するのに使用されるアルカリ性の捕集試薬の問題に適用することができる。これは、これらの試薬は、雰囲気中に存在する二酸化炭素と反応し、あまりにも早く作用を生じさせる可能性があるからである。重合体包装フィルムの製造時には、例えばフィルムをオーブン環境を通すなど、ゆるい加熱を用いて、貯蔵および取扱い時に吸収される二酸化炭素を除去することが望ましい。報告装置は、製品を包装する前に約60〜80℃までのゆるい加熱を行って、報告される測定値をゼロまたはゼロ近辺まで戻すことによって使用を開始してもよい。
【0136】
本発明の原理によれば、アルカリ性暴露計測の際の可逆性が、酢酸や酒石酸といった酸性の捕集試薬を加熱することによって実現され得るが、逆転を達成する温度範囲は異なってもよい。
【0137】
適用に際し、標的分子への暴露を測定する回復可能な計器の製造において回復機能が利用されてもよい。計器は、室温を上回るが、試薬の化学成分に有害な影響を及ぼす温度または計器の製造に使用される材料の融点を下回る温度で加熱することによって回復させることもできる。
【0138】
品質管理において、消費者は供給在庫のうちの最も新鮮なものを得ようとし、販売者は消費者の許容限度内の何らかの品質劣化を伴う在庫を販売しようとする。よって、劣化食品またはその他の生物製剤の鮮度をめぐる顧客と供給者の利害には若干の対立が存在する。
【0139】
本発明では、異なる受け手を伝達の対象とする配置によって計測を達成することができ、ある当事者には、暴露のレベルが低いときに早期警告として知らされ、別のクラスの受け手は、暴露のレベルがより高い、反応が先の段階まで進行しているときに伝達情報を受け取る。
【0140】
これには、以下の可能な色に関する項において開示する様々な計測モードを組み合わせてもよい。符号化メッセージは、バーコードスキャナなどの特殊な計測を使って業者の食品供給要員または品質管理要員によって受け取られ、発現または消失する指示薬を使ったバーコードの欠落または付加の形をとってもよい。また、測定値は、色の濃さや所与の空間に対して走査される色の量といった計測によって行われてもよい。
【0141】
在庫管理員などの特定の受け手クラスに対して符号化される電子伝達情報の形態は、反射率によって得られるバーコード読み取り値を含んでもよい。
【0142】
指示薬を混合して選択すべき幅広いスペクトルの変色を提供することができ、例えば、万能指示薬を用いた化学技術において酸から中性およびアルカリ性の環境への変化が広く公表されている。結果として生じる変色を様々なレベルの暴露と関連付けて尺度を実現することができる。
【0143】
電子バーコードスキャンが、腐敗しやすい、包装されたみじん切りおよび角切りの野菜の小売店舗までの流通において必要とされる用途の場合のような、淡紅色から黒など単一色の指示計を別の色に変化させる本発明による一方法は、色指示計をその上に配置した緑色の透明層または指示計の下の緑色の背景材料と対比させるものである。暴露時に、指示計の変色が淡紅色から無色へのものである場合、緑色の対比層の効果は、その変色を黒が緑に変わる変色に変えることである。
【0144】
代替として、変色を情報伝達により適した変色に変換する、暴露反応に関与しない有色試薬と指示薬が混合されてもよい。
【0145】
指示薬の変色を生じる多くの化学反応では変色が生じるかどうかが水の有無に依存する。すなわち、この依存関係には、標的分子の指示薬媒質への移行、可溶化およびイオン化のプロセスが関与し得る。したがって、そのような用途では親水性に有効な指示材料が選択され、湿潤剤が感知指示薬と混合され得る。湿潤な使用条件下では、吸湿により反応フロントが散逸し、尺度が失われることがあるため問題がある。この影響は、湿潤剤の濃度を調整することによって、もしくは感知指示薬への水分移行を制限するシリコーンやポリエチレンのような包装材料を通過する標的分子の選択的透過を確立することによって、または過剰な吸湿を防ぐ指示成分用の可塑剤を選択することによって、または湿度を特定の範囲内に調整することが知られている様々な塩類を指示計と共に配置することによって、またはこれらの方法の組み合わせによって制御することができる。
【0146】
本発明を使って酸性もしくはアルカリ性検体、または酸化もしくは還元検体を測定することも可能である。
【0147】
包装食品はイオン障害に弱い材料であり、パッケージの壁を貫通した感知材料へのイオンの漏れおよび移行は避けるべきであり、そうでなければ品質および安全性が損なわれ得る。非イオン分子の選択的透過が有利なはずであり、これは透過に際して選択的な分離層によって達成することができ、例えば、この分離層は、二酸化炭素のような非荷電分子だけを透過するシリコーンのようなシランで構成されてもよい。
【0148】
別の方法は、傷つきやすい貯蔵品と、小さい標的分子の拡散を許容すると同時に大きい非標的分子を排除するのに十分な狭さの直径を有する微小孔を備えるセンサとの間の膜としての重合体層を選択するものである。
【0149】
さらに別の方法は、濾過層またはスクラバを使って、発生源と指示装置との間で試料採取用の流れから紛らわしい分子を除去するものである。一例が、pHまたは酸化状態の大ざっぱな尺度と反対の紛らわしい化学種の分子が存在する場合である。例をあげると、腐敗しつつある魚介中に存在する揮発性塩基が魚介パッケージ内に存在し、分解細菌によって発生する二酸化炭素が指示薬と混合されたアルカリを用いて測定される場合などである。濾過層またはスクラバを配置すれば、食品パッケージから腐敗タンパク質およびアミンの紛らわしい分子が除去されるはずである。代替として、アルカリ性反応であるアミン形成をより正確に測定することができるように、酸蒸気である、細菌の代謝から発生する二酸化炭素を除去することもできる。
【0150】
読み取り値を優勢濃度または累積暴露に関連付けるには、暴露に対する指示薬の反応を較正することが重要である。工業的用途の中には、短期間にわたる低濃度への暴露が高い感度を必要とするものもあり、例えば、指示計が、空気中の酸素または二酸化炭素への暴露を伴う包装シールにおける完全性の喪失を報告するのに使用される場合などである。これと反対に、長期間にわたる車両排気を監視するには、相対的に高い暴露履歴が対象とされることになる。
【0151】
低優勢レベルの検出の一方法が、指示計と目標レベルとの間の小さい差を設定し、ごくわずかなpH変化にしか耐えないことが科学的に知られている緩衝剤を使って、化学的平衡のわずかな変化でセンサにおける反応を生じさせるものである。
【0152】
微調整というよりはむしろ粗調整としての、高暴露と低暴露の間で較正を行う一方法が、全ての分子ではなく、化学プロセスによって生成される分子の割合を計測することによるものである。これは、アクセス孔を狭くすることにより、または標的分子の発生源と感知指示装置との間の開口に蛇行状のアクセス経路を設けることにより、感知指示計へのアクセスを制限することによって達成することができる。
【0153】
同様に、感知指示材料の可変透過性および/または遮断フィルムなどの包装材料もしくは吸気装置の開口上の可変透過性を使用して、暴露に対する反応を較正することもでき、透過性を変化させる可能な方法の中には、材料選択、可塑剤組成または製造時の結晶化の度合を変化させることが含まれる。また、穿孔を使用して、指示計の体積に比べて標的分子に暴露させる表面積を増大させ、指示計の特定の領域における変色を強調し、それによって達成される暴露レベルの解釈を精緻なものにすることもできる。また、装置の取入れ口の単一開口のサイズを使用して拡散速度を較正することもできる。
【0154】
累積暴露の形態では、少数から多数までに及ぶ幅広い数の分子を捕集するのに十分な厚さを有する指示計を製造し、各用途ごとの解釈チャートで所与の用途に関連する解釈を提供するようにすることにより、幅広い用途のフィルムを作成することができる。これは、拡散速度が有する濃度勾配の独立性によって達成される。
【0155】
別の較正方法は、緩衝剤を用いて反応速度を変化させるものであり、別の代替方法は、様々な投与量の試薬および指示薬を配置し、所望の平衡に到達し、変色が発生するまで標的分子と反応する試薬/指示薬割合を変化させるものである。
【0156】
さらに別の方法は、指示計の厚さを変化させて、肉眼によって観測される可視色としての、または電子計器によって測定される色としての指示計の変化に対する反応の効果を変化させるものである。管として配置されるものであれフィルムとして配置されるものであれ、指示材料の厚さを増大させると、連続層を通る標的分子の漸進的移行により、未反応の色試薬に向かう反応フロントの移行が生じる。フィルム指示計に対して直角に見ると、厚さが増大すると暴露指示計の感度はより高い暴露に対して有用な計器として向上する。これは色の濃さが、暴露の増大と共により低速で低下するようになるからである。従来の温度計によって提供されるような帯読み取り値としての解釈を提供する装置の管状配置の場合のように、移行フロントと同じ平面で見ると、管またはフィルム細片が長いほど、暴露計測のために設けられる尺度が大きくなる。
【0157】
反応フロントの移行の速さ、すなわち速度は、時間の次元の用途での解釈のための較正方法として使用することができる。フロントが観測点から90°の角度で遠ざかって指示計のより深い層に向かう際の色の濃さの発現または喪失の進捗速度を較正方法として使用することができる。代替として、較正は、線状色帯装置の観測点と同じ平面における色帯の線状移行、または色環装置の場合の放射状移行の速度から得られてもよい。
【0158】
また、距離の尺度である、反応フロントの移行の程度を使用して暴露を計測し、暴露レベルに対する較正を得ることもできる。
【0159】
捕集センサの変化の電気的測定の場合には、反応フロントの移行に起因する、電流や抵抗といった電気的特性の時間的増加または減少が、周囲環境における変化を用いて較正されてもよい。
【0160】
これらの較正方法を、単独で、または組み合わせとして使用し、標的分子に対する暴露を計測することができる。
【0161】
前述のように、累積暴露指示計で測定には離散尺度と連続尺度の2種類の尺度がある。
【0162】
1つの形態は、品質の低下の度合を指示する連続尺度として生成物を形成するための試薬を用いた標的分子の漸進的暴露および反応であり、やはり装置の較正が重要である。
【0163】
計測は、反応の拡散を1次元に限定することにより連続尺度として伝達することができ、本発明で開示する方法に従って反応フロントの速度を調整することにより暴露に従って較正することができる。そのような一方法では、図1に示すように、1次拡散を一端が透過性または多孔質の細長い容器に限定する。図1を参照すると、印刷指示計、または指示フィルム、または指示薬ゲルを用いた流体充填シリンダが線状に配置されており(1)、遮断層(2)により拡散を1次元に限定するように被覆されていることが分かる。この1次元の進行は、測定される暴露を、視覚、反射率、ルミネセンス、蛍光、またはその他の放射技術によって伝達する。装置は、はさみなどによるシール層(3)の除去、または遮断フィルムの剥離、または穴をあける動作、またはブリスター包装の解除、またはシールを除去するための包装業界で既知の任意の手段によって使用開始され、(4)線状の色進行に沿って印刷された線状または非線状の尺度が読み取り値を提供し、解釈を円滑に行わせる。図には、暴露の結果として生じる、尺度上の4レベルのうちレベル2までの線状の変色進行が示されている。
【0164】
図2に、拡散がどのようにして、包装材料を用いて、すなわちこの形態では2つの積層材によってシールされた狭いフィルムで空間的に線状に限定されるかを例示する断面図を示す。これは、同様に、ゲル指示薬を充填した管によって実現されてもよい。
【0165】
装置は、図3に示すように、溶液中の検体の濃縮物からの暴露を計測するために、おそらくは計器を垂直に向けるための浮き環を備える液体に浸すためのディップスティック型計器の形態として作成することができる。図3を参照すると、検体の選択的透過のために選択された耐溶剤性保護チップ(1)が検体の測定管内への拡散を可能にし、次いで、拡散状態での試薬および指示薬との漸進的反応が管に沿った暴露に応じて色フロントを移行させ、読み取り値のための印刷尺度を使って解釈され(2)、管の反対端には不透過性シールが維持されている(3)ことが分かる。
【0166】
第2の方法は、図4に示すように、フィルムの縁部から中心に向かう2次元の平面的拡散を使用する。図4を参照すると、指示計プリントまたはフィルムの円盤(1)が、拡散を縁部から中心に向けて移行する平面に限定するためにサンドイッチのように遮断層で覆われており(2)、この進行が計測される暴露を、視覚、ルミネセンス、または蛍光によって伝達することが分かる。
【0167】
図5に、使用時の平面的移行に適用される円盤形態の上から見た図を示す。図5を参照すると、上部シール層への放射状の色の進行に沿った同心円として線状または非線状の尺度が印刷されていることが分かる。色は、この形態では、中心に向かって縁部を移行させる。これは、縁取りシールが破られ、暴露により反応が中心に向かうからである。各同心円における変色は、特定の工業的用途のために較正された解釈の尺度に従った暴露レベルの増大を表す。図6では、縁部から中心に向かって暴露の増大と共に色が有色から無色に変化することが分かる。標的分子への暴露により変色が外縁から中心に向けて印刷尺度状の1レベルずつ移動していることが分かる。代替として、装置をシールし、変色の移行が中心位置から放射状に広がるように装置の中心に穴をあけることもできる。
【0168】
図6に、変色が暴露の増大と共に細い先端から厚い基部へと進行するように指示計を、くさび形、角錐、円錐またはその他の3次元形状の先細り形態に形成する第3の形態を示す。図6を参照すると、暴露により変色のフロントがくさび形の薄い先端から厚い基部に向けて、解釈尺度上のレベル2まで移動していることが分かる。
【0169】
前述の実施形態における色帯移行の進行により、計測される暴露を視覚、ルミネセンス、または蛍光として伝達することができる。
【0170】
色帯がその取入れ口位置から終端までの行程を移行する間の加速または減速を達成する1つの方法が、取入れ用の開口に加えて、線に沿った各点に検体の別の入口を設けるものである。これは、色移行の線に沿った各点において、線のその部分の遮断フィルムの厚さ、または遮断フィルムの層数、または遮断フィルムに貫通される穿孔または切り込みを含めて遮断フィルムの透過性を低減することによって達成されてもよい。別の方法が、様々な別個の指示計の線を1つの連続する線に結合する、すなわち各部分の組成を、透過性、試薬の投与量、緩衝剤の選択または遮断レベルに関して異ならせるものである。
【0171】
工業的用途の中には、連続尺度と離散尺度の読み取り値の組み合わせが必要とされ得るものもある。異なる当事者を対象とする符号化情報伝達の使用の一例が、食品品質の劣化増大による暴露の度合を指示する食品の流通連鎖である。これは、連続尺度を目盛付き尺度に改変する移動色帯装置の特殊な適合によって達成することができる。
【0172】
移動色帯は、移動色帯の線の各部分を覆うマスキングを使用し、または指示計の帯の下に英数字または記号を印刷することによって目盛付き尺度になるように改変することができる。その目的は色拡散の線に沿って漸進的に変色を隠たり表したりすることである。
【0173】
例えば、移動色帯の連続尺度を目盛付き尺度とし、鮮度レベルに関して食品流通の様々な当事者に符号化された報告を提示させる。図7には、これをどのようにして達成し得るかが示されており、この例では、移動色帯は左から右に移行する。装置では、下にある紫の色帯を覆う各部分における層として紫のマスキングを使用する。地下鉄の鉄道車両にたとえて言えば、色帯は、それが線に沿って移行するにつれて、地下鉄に沿った各駅の鉄道車両のように目に見えるようになる。
【0174】
別の適合形態では、紫の指示計の帯が上塗り色として下の紫の印刷に覆いかぶさっており、変色が線状に移行する場合、無色に変わる反応フロントの通過によって下の紫の印刷が明らかになり、下の印刷が観測者に見えるようになる。
【0175】
この適用例では、移動色帯の連続尺度を目盛付き尺度とし、食品腐敗のレベルに関して食品流通の様々な当事者に符号化された報告を提示するように改変する。図7では、移動色帯が左から右に移行することが分かる。装置はマスキング層を使用し、適用例によって、移動色帯を覆う層を有するものもあり、指示計の帯が下にある有色印刷に覆いかぶさっているものもある。以下に色帯進行の段階AからEを示す。
【0176】
領域1は変色のフロントの進行の進行を観測者から隠す色プリントであり、変色は、下にある指示計を覆い隠すこれらのパネルの下で生じる。
【0177】
段階Aの製造在庫段階の反応フロントの移行では識別可能な商品劣化を生じていない。
【0178】
段階Bの製造者から卸売業者への商品の輸送段階の反応フロントの移行では許容される指示計の変化を生じ、領域2の色を淡紅色から透明に変化させている。
【0179】
段階Cの商品の卸売り段階の反応フロントの移行では、許容される指示計の変化を生じ、領域3の色を淡紅色から透明に変化させている。
【0180】
段階Dの商品の小売段階の反応フロントの移行では、許容される指示計の変化を生じ、4つのバーコードのうちの1つである領域4の色を淡紅色から透明に変化させ、消費者にはその状態を気付かせずに、小売店員だけが読み取れる符号化メッセージを伝えている。
【0181】
段階Eの領域5は指示計と同じ色のインクの印刷メッセージに重なる指示計の有色マスキング層を含む。反応フロントが移行するに従って、指示計の色が淡紅色から無色に変化し、マスキング層が消え、それまで元は淡紅色で現在は透明になっている色帯の下に覆われていた、淡紅色で印刷された一般的なメッセージを明らかにし、その商品が目的に適さないことを文字および/または記号で消費者に知らせる。
【0182】
図8に、熟成/老化を生じている果実の外面上に配置された本発明のステッカ形態を示す。この場合、装置は、その中心に穴があけられており、呼吸の蓄積および呼吸からの二酸化炭素への累積暴露または熟成過程によるエチレン暴露により、計測装置は、反応フロントが拡大するにつれて拡大する色環によるレベル1から3までの漸進的尺度を示す。装置は同様に、透過性食品包装の内部、または食肉や魚介のような包装食品などの不透過性の食品包装の内面に、または乳容器のねじ蓋内のガスケットとして配置することもできる。
【0183】
図9に、土壌生物の代謝か生じる二酸化炭素など、土壌中の気体レベルを監視する装置として配置すべく構成された図3に示した本発明の形態を示す。図9の段階Aでは装置が配置され、段階Bでは、土壌から捕集された累積二酸化炭素が色帯を所与の時間に、土壌表面に沿って土壌微生物の活性個体数に見合ったレベルまで移動させている。図9では、シールキャップ1は防水性であるが二酸化炭素を透過し、検出器部分に対して90度の角度を有する2で示すバレルには尺度となるように目盛が付けられており、土壌断面3が断面として示されている。
【0184】
図10に、自動車の排気流に配置するように構成された本発明の形態を示す。図10では、行政の規制担当者が汚染車両の背後を走る車両から行うように、排気管1が車両の背後から観測される。暴露装置は、段階Aで新しく配置され、段階Bでは、色帯2上の半分の尺度にあることを示している。許可を受けた汚染限度が図10の色帯の長さである場合、車両の所有者および行政執行者は、許容される排気のうちの50パーセントが排出されており、差し引くと、現在の許可のうちの50%が残されていると判断することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0185】
【非特許文献1】Bower,J.H.2001年、「The relationship between respiration rate and storage life of fresh produce」、博士論文、園芸植物科学センター、西シドニー大学、ホークスベリキャンパス
【非特許文献2】Brash,D.W.Charles,C.M.Wright,S.およびByreroft,B.L.1995年、「Shelf life of stored asparagus is strongly related to postharvest respiratory activity」、Postharvest Biology and Technology 5、77−81頁
【非特許文献3】Morris,S.C.Jobling,J.J.Tanner,D.J.およびForbes−Smith,M.2003年、「Predication of Shelf−life for Fresh Produce Transported by Refrigerated Containers」、Acta Horticulturae、604(1)、305−311頁
【非特許文献4】Riva,M.1997年、「Time−temperature indicators,a review by Marco Riva」、Universita degli Studi di Milano、イタリア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
品質の状態、果実の成熟度の表れを監視し、環境の殺菌剤、汚染物質および栄養素の濃度について監視し、フィルタの残存寿命を監視し、流れを監視するために、食品、飲料、および医薬品中の検体の優勢濃度または暴露履歴を測定し、報告する、反応フロントの空間的時間的拡散に基づく指示計システムを使った定量的感知の方法であって、
a.化学反応の発生場所となり、前記検体の制御された拡散を可能にする不活性担体媒質と、
b.密度、気孔率、透過性、結晶化を変化させ、または微小球のカラムを配置することによって設けられる透過性または多孔質の担体媒質の測定可能な連続体に沿った前記指示計システムに前記検体の拡散を限定し、送り込むための幾何学的構成および不透過性遮断材料と、
c.前記担体媒質に加えられる、前記検体を前記装置に捕集し、前記検体と反応して、化学的に安定、半安定または不安定な反応における判定を提供する試薬と、
d.拡散する検体と試薬との相互作用の前記反応フロントにおける漸進的終点の判定の達成を報告する指示計システムと、
e.目視読み取り値のための計量用連続体に沿った目盛として、または電気化学的もしくは電磁的特性の変化の強さの信号としての暴露の測定のための定量尺度と、
f.前記測定可能な連続体に沿った前記検体の拡散によって生成される前記移行反応フロントの進捗を目視で監視するための窓と、
g.前記検体の前記監視装置への取込みおよび吸収のための開口と、
h.前記検体の発生源から発散する試料の流れとの関連で、または前記発生源を覆うチャンバの部分的限定範囲内に前記装置を位置決めするための取り付け手段と、
i.数値的な尺度の目盛(定量的)または科学者によって策定される等級または専門家による品質判定(定性的)である、前記反応フロントの移動の解釈のための基準尺度と、
を備え、
空間的時間的に計量用連続体に沿った前記検体の測定可能な能動拡散が、前記移動色フロントの変異の到達する検出時間、または前記移動色フロントの度合と、生成される前記検体の濃度または分子数を用いた相関表とを比較することによって、測定される前記検体に対する周囲環境の変化と数学的に相関し、それによって測定される環境中の前記検体の品質変化の重大度評価尺度を確立し、医薬物質または装置の対応する状態を報告する、方法および装置。
【請求項2】
前記相関表が、移動色フロントによって包装の完全性の喪失を報告するために、無菌処理包装された医薬品パッケージへの酸素または二酸化炭素の侵入を、包装シールの破裂の開口と関連付けるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記相関表が、移動色フロントによって傷の状況を報告するために、粘着創傷被覆材の下の二酸化炭素発生を創傷治癒と関連付けるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記相関表が、移動色フロントにより薬物の皮膚パッチまたは皮膚移植材料中の化学残留物の濃度を関連付けるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記担体媒質が、密度および気孔率、結晶化、可塑化、穿孔、重合体膨張といった、前記反応フロントの移行を較正するための化学物理特性を有する水溶性の炭素質重合体または任意の重合体で構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記担体媒質および周囲遮断材料が、おそらくは可変の厚さ、または拡散の取入れ口および経路における屈曲、または前記取入れ口の単一開口の可変サイズ、または可変数の取入れ口、またはこれらの方法の組み合わせを有する、微小球のカラムまたはフィルムの細片もしくは円盤として、前記反応フロントの移行を構成するように可変的な方式で幾何学的に構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記担体媒質に加えられる、前記検体を前記装置に捕集し、前記検体と反応して判定を提供する前記試薬には、化学判定を達成するのに一般に使用される滴定試薬および酸化還元試薬が含まれ、または免疫反応の指示計として使用されるときには、前記指示計が、希釈剤、結合体および基質を含む前記反応に必要とされる試薬で構成され、前記指示装置が抗原または抗体で被覆される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記指示計システムが、観測点から見える移動色帯指示によって前記反応フロントにおける前記漸進的終点の判定の達成を報告する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記指示計システムが、前記装置を電気回路に組み込むことから生じる電気的特性の変化によって前記反応フロントにおける前記漸進的終点の判定の達成を報告する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
暴露の測定のための前記定量尺度が、目視読み取り値のために前記移行色フロントと並行して英数字を配置することによる目視読み取り値用の計量用連続体に沿った目盛によって、または電気回路内の受信点に対して電気化学的もしくは電磁的特性の変化の強さの信号を生成することによって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記移行反応フロントの進捗を目視で監視するための窓が、前記移動色フロントを覆う透明または半透明材料の使用によって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記検体の前記監視装置への取込みおよび吸収のための開口が、暴露される入口点を、剥離、切取り、引きはがし、気泡破裂などといったシール除去に際して前記検体の分子への前記指示装置の捕集作用に暴露され得る選択的透過性を有する材料で覆うことによって、または、前記監視装置を、シールの完全性が試験されるべき指定環境内に配置し、医薬品内容物を覆う外装の包装および密閉が行われる際に前記装置の使用を開始することによって設けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記検体の前記発生源から発散する前記検体の分子の試料の流れとの関連で、または前記発生源を覆うチャンバの部分的限定範囲内に前記装置を位置決めするための取り付け手段が、前記監視装置がパッケージに挿入するための独立型計器として配置されるように前記監視装置を覆うこと、前記監視装置がパッケージの内壁に配置するためのラベルまたは印刷として添付されるように片面に接着剤を構成し、前記監視装置を、粘着皮膚パッチもしくは創傷被覆材として、かつ/または透過性パッケージまたは粘着皮膚パッチもしくは創傷被覆材の外壁に配置すること、あるいは前記監視装置を、耐溶剤性材料で保護された、包装材料中の積層材、皮膚パッチまたは粘着創傷被覆材として厚生することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記計器上の、または前記計器近くの読み取り値を解釈するための前記基準尺度が、空間的移動の判定を測定可能な距離とすることができるような連続尺度に沿った定量的読み取り値のための英数字または記号である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記計器上の、または前記計器近くの読み取り値を解釈するための前記基準尺度が、空間的移動の判定を測定可能な距離とすることができるように、前記線または接線に沿ったいくつかの点において、行程のある部分では前記移動色フロントを隠し、別の部分では明らかにする前記色フロントを覆う部分としてのマスキングを使って目盛付き尺度として作成される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
透明オーバーレイ中に存在するマスキング色、または前記移動色帯の下の背景色を使用して、前記指示計の移動色と対比されるときに前記観測点/目盛における信号変色を発生させる、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記計器上の、または前記計器近くの読み取り値を解釈するための前記基準尺度が、前記検体が最初に吸収された前記指示薬媒質の表面から100ミクロンを超えるだけ空間的に移動する色縞の移動によって最初の読み取り値が得られるように配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
1つのセンサから多数の目視読み取り値が取得され、前記反応フロントの空間的変異に対して検体濃度または前記検体の生成分子数が関連付けられ、前記センサの環境における変化を評価するためにこれのx−yプロットから回帰関係が生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
読み取り値が、電子的手段、それだけに限らないがおそらくは、前記指示計から発せられる感知光によって取得され、前記感知光が伝達装置に中継され、生成されるデータが遠隔調整センターに送られる、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
粗調整および微調整を行う手段として暴露を測定するために、1つまたは複数の装置が同時に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
本発明は、本明細書に示す特徴の任意の代替の組み合わせにも存するものである。これらの特徴のあらゆる均等物は包含すべきものとみなす。
【請求項1】
品質の状態、果実の成熟度の表れを監視し、環境の殺菌剤、汚染物質および栄養素の濃度について監視し、フィルタの残存寿命を監視し、流れを監視するために、食品、飲料、および医薬品中の検体の優勢濃度または暴露履歴を測定し、報告する、反応フロントの空間的時間的拡散に基づく指示計システムを使った定量的感知の方法であって、
a.化学反応の発生場所となり、前記検体の制御された拡散を可能にする不活性担体媒質と、
b.密度、気孔率、透過性、結晶化を変化させ、または微小球のカラムを配置することによって設けられる透過性または多孔質の担体媒質の測定可能な連続体に沿った前記指示計システムに前記検体の拡散を限定し、送り込むための幾何学的構成および不透過性遮断材料と、
c.前記担体媒質に加えられる、前記検体を前記装置に捕集し、前記検体と反応して、化学的に安定、半安定または不安定な反応における判定を提供する試薬と、
d.拡散する検体と試薬との相互作用の前記反応フロントにおける漸進的終点の判定の達成を報告する指示計システムと、
e.目視読み取り値のための計量用連続体に沿った目盛として、または電気化学的もしくは電磁的特性の変化の強さの信号としての暴露の測定のための定量尺度と、
f.前記測定可能な連続体に沿った前記検体の拡散によって生成される前記移行反応フロントの進捗を目視で監視するための窓と、
g.前記検体の前記監視装置への取込みおよび吸収のための開口と、
h.前記検体の発生源から発散する試料の流れとの関連で、または前記発生源を覆うチャンバの部分的限定範囲内に前記装置を位置決めするための取り付け手段と、
i.数値的な尺度の目盛(定量的)または科学者によって策定される等級または専門家による品質判定(定性的)である、前記反応フロントの移動の解釈のための基準尺度と、
を備え、
空間的時間的に計量用連続体に沿った前記検体の測定可能な能動拡散が、前記移動色フロントの変異の到達する検出時間、または前記移動色フロントの度合と、生成される前記検体の濃度または分子数を用いた相関表とを比較することによって、測定される前記検体に対する周囲環境の変化と数学的に相関し、それによって測定される環境中の前記検体の品質変化の重大度評価尺度を確立し、医薬物質または装置の対応する状態を報告する、方法および装置。
【請求項2】
前記相関表が、移動色フロントによって包装の完全性の喪失を報告するために、無菌処理包装された医薬品パッケージへの酸素または二酸化炭素の侵入を、包装シールの破裂の開口と関連付けるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記相関表が、移動色フロントによって傷の状況を報告するために、粘着創傷被覆材の下の二酸化炭素発生を創傷治癒と関連付けるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記相関表が、移動色フロントにより薬物の皮膚パッチまたは皮膚移植材料中の化学残留物の濃度を関連付けるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記担体媒質が、密度および気孔率、結晶化、可塑化、穿孔、重合体膨張といった、前記反応フロントの移行を較正するための化学物理特性を有する水溶性の炭素質重合体または任意の重合体で構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記担体媒質および周囲遮断材料が、おそらくは可変の厚さ、または拡散の取入れ口および経路における屈曲、または前記取入れ口の単一開口の可変サイズ、または可変数の取入れ口、またはこれらの方法の組み合わせを有する、微小球のカラムまたはフィルムの細片もしくは円盤として、前記反応フロントの移行を構成するように可変的な方式で幾何学的に構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記担体媒質に加えられる、前記検体を前記装置に捕集し、前記検体と反応して判定を提供する前記試薬には、化学判定を達成するのに一般に使用される滴定試薬および酸化還元試薬が含まれ、または免疫反応の指示計として使用されるときには、前記指示計が、希釈剤、結合体および基質を含む前記反応に必要とされる試薬で構成され、前記指示装置が抗原または抗体で被覆される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記指示計システムが、観測点から見える移動色帯指示によって前記反応フロントにおける前記漸進的終点の判定の達成を報告する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記指示計システムが、前記装置を電気回路に組み込むことから生じる電気的特性の変化によって前記反応フロントにおける前記漸進的終点の判定の達成を報告する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
暴露の測定のための前記定量尺度が、目視読み取り値のために前記移行色フロントと並行して英数字を配置することによる目視読み取り値用の計量用連続体に沿った目盛によって、または電気回路内の受信点に対して電気化学的もしくは電磁的特性の変化の強さの信号を生成することによって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記移行反応フロントの進捗を目視で監視するための窓が、前記移動色フロントを覆う透明または半透明材料の使用によって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記検体の前記監視装置への取込みおよび吸収のための開口が、暴露される入口点を、剥離、切取り、引きはがし、気泡破裂などといったシール除去に際して前記検体の分子への前記指示装置の捕集作用に暴露され得る選択的透過性を有する材料で覆うことによって、または、前記監視装置を、シールの完全性が試験されるべき指定環境内に配置し、医薬品内容物を覆う外装の包装および密閉が行われる際に前記装置の使用を開始することによって設けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記検体の前記発生源から発散する前記検体の分子の試料の流れとの関連で、または前記発生源を覆うチャンバの部分的限定範囲内に前記装置を位置決めするための取り付け手段が、前記監視装置がパッケージに挿入するための独立型計器として配置されるように前記監視装置を覆うこと、前記監視装置がパッケージの内壁に配置するためのラベルまたは印刷として添付されるように片面に接着剤を構成し、前記監視装置を、粘着皮膚パッチもしくは創傷被覆材として、かつ/または透過性パッケージまたは粘着皮膚パッチもしくは創傷被覆材の外壁に配置すること、あるいは前記監視装置を、耐溶剤性材料で保護された、包装材料中の積層材、皮膚パッチまたは粘着創傷被覆材として厚生することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記計器上の、または前記計器近くの読み取り値を解釈するための前記基準尺度が、空間的移動の判定を測定可能な距離とすることができるような連続尺度に沿った定量的読み取り値のための英数字または記号である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記計器上の、または前記計器近くの読み取り値を解釈するための前記基準尺度が、空間的移動の判定を測定可能な距離とすることができるように、前記線または接線に沿ったいくつかの点において、行程のある部分では前記移動色フロントを隠し、別の部分では明らかにする前記色フロントを覆う部分としてのマスキングを使って目盛付き尺度として作成される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
透明オーバーレイ中に存在するマスキング色、または前記移動色帯の下の背景色を使用して、前記指示計の移動色と対比されるときに前記観測点/目盛における信号変色を発生させる、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記計器上の、または前記計器近くの読み取り値を解釈するための前記基準尺度が、前記検体が最初に吸収された前記指示薬媒質の表面から100ミクロンを超えるだけ空間的に移動する色縞の移動によって最初の読み取り値が得られるように配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
1つのセンサから多数の目視読み取り値が取得され、前記反応フロントの空間的変異に対して検体濃度または前記検体の生成分子数が関連付けられ、前記センサの環境における変化を評価するためにこれのx−yプロットから回帰関係が生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
読み取り値が、電子的手段、それだけに限らないがおそらくは、前記指示計から発せられる感知光によって取得され、前記感知光が伝達装置に中継され、生成されるデータが遠隔調整センターに送られる、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
粗調整および微調整を行う手段として暴露を測定するために、1つまたは複数の装置が同時に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
本発明は、本明細書に示す特徴の任意の代替の組み合わせにも存するものである。これらの特徴のあらゆる均等物は包含すべきものとみなす。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【公表番号】特表2009−543076(P2009−543076A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518681(P2009−518681)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【国際出願番号】PCT/AU2007/000954
【国際公開番号】WO2008/006152
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(509011101)
【氏名又は名称原語表記】BROCKWELL,Paul Nigel
【住所又は居所原語表記】93 Fiddaman Road,Emerald Beach,New South Wales 2456,Australia
【出願人】(509011086)
【氏名又は名称原語表記】HOLLAND,Robert Vincent
【住所又は居所原語表記】17 Cooney Street,North Ryde,New South Wales 2113,Australia
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【国際出願番号】PCT/AU2007/000954
【国際公開番号】WO2008/006152
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(509011101)
【氏名又は名称原語表記】BROCKWELL,Paul Nigel
【住所又は居所原語表記】93 Fiddaman Road,Emerald Beach,New South Wales 2456,Australia
【出願人】(509011086)
【氏名又は名称原語表記】HOLLAND,Robert Vincent
【住所又は居所原語表記】17 Cooney Street,North Ryde,New South Wales 2113,Australia
【Fターム(参考)】
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