説明

検出アッセイ

本発明は、特に飼料における動物組織、例えば加工動物タンパク質(PAP)又は肉骨粉(MBM)を検出するのに関与する方法、キット、及び核酸に関する。1の方法では、DNAなどの拡散は、インキュベート緩衝液中でサンプルをインキュベートし、インキュベートされたサンプルをオートクレーブに書け、そしてサンプルを金属キレート財と混合することを含む。この方法で抽出されたDNAを、例えば配列番号1〜21に記載されるプライマー及びプローブ配列を用いてPCR又はリアルーPCRを用いて増幅にかけた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に飼料における動物組織のタイプ、例えば、加工動物タンパク質(PAP)又は肉骨粉(MBM)の検出及び識別に関わる方法、キット、及び核酸に関する。
【0002】
感染性海綿状脳症は、ヒトにおけるクル及びクロイツフェルトヤコブ病(CJD)、ヒツジにおけるスクレイピー、ミュールジカ及びヘラジカにおける伝染性ミンク脳症及び慢性消耗病を含む稀で致死的かつ伝染性の神経変性疾患の群である。ウシ海綿状脳症は、1986年にイギリス(UK)で認知され、そして世界中の少なくとも26の国において現在見つかっている。これは、世界的な農業の問題であるばかりでなく、ヒトの健康に対する潜在的な脅威として考えられている。
【0003】
高温で処理され、そして肉骨粉(MBM)として知られている加工された動物組織は、家畜動物の栄養補助飼料、特に泌乳動物及び成長の早い動物に必須アミノ酸を供給するタンパク質補助飼料として使用されてきた。肉骨粉は飼料として直接使用されるか、又は動物飼料の成分として使用することができた。さらに、事故による暴露は、取り扱いの様々な段階での相互汚染のため生じ得た。BSEは、過度の飼育習慣、つまり反芻動物の動物タンパク質のリサイクル、の結果として伝染病に発達し、そしておそらく1970年代の始めにおける新たな原因、おそらくは遺伝子突然変異の結果として疾患を発達させたウシ又は他の動物に由来する。BSEの症例は、BSEに感染したウシのリサイクルの結果であった。BSEの病原物質は、MBMに広がった。
【0004】
反芻動物の食物連鎖にMBMが混入することを避けるために、反芻動物原材料(例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、又はシカ由来のもの)を他の反芻動物に与えることについての禁止令が英国で導入された(ウシ海綿状脳症令 1988年[SI 1988/1039]。この禁止令は、後に全ての家畜(魚及びウマを除く)に与える全ての哺乳動物タンパク質を含めるように、英国において拡張された(ウシ海綿状脳症(改正)令 1996年[SI 1996/962]))。反芻動物の飼料中に哺乳動物タンパク質を使用することを禁止する禁止令は、1994年に欧州連合(EU)に導入され、そして1997年に米国(USA)に導入された。2000年から、欧州の禁止令は、食品生産に使用される全ての養殖された動物に与える哺乳動物、鳥類、及び魚由来のタンパク質を含めるように拡張された。
【0005】
現在の法律を施行するために、動物飼料、特に反芻動物飼料において禁止タンパク質を検出することを可能とすることが必要とされる。飼料材料における骨断片の形態的同定に本質的に関する顕微鏡分析は、動物飼料における動物起源の構成成分を検出するために、現在EUにおいて公式に認められた唯一の方法である。承認された顕微鏡分析試験(MAT)プロトコルについての「飼料の公的制御についての動物起源の構成成分の決定のための分析方法」についての2003年12月23日のEU委員会命令2003/126/ECを参照のこと。顕微鏡分析は、動物構成物質の同定を可能にし、そして魚と陸棲生物、並びに哺乳動物と非哺乳動物物質との間の識別を可能にする。しかしながら、顕微鏡分析は経験を積んだ分析者を必要とし、液体サンプル上で使用できず、軟部組織を検出できず、そしてウシフラグメントの沈渣のために有機溶媒の使用を必要とする時間及び費用のかかる方法である。
【0006】
動物組織を試験するために開発された他の方法は、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)、近赤外分光法(NIRS)、近赤外顕微鏡法(NIRM)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及びリアルタイムPCRを含んだ(Gizziら、2003、Rev. Sci. Tech. Off. Int. Epiz. 22: 311-331の概説を参照のこと)。ELISAは、抗体に基づく検出システムを介して種特異的抗原を同定することを目的としたものであり、骨の発見を必要とすることはない。ELISA法の欠点として、反芻動物生成物、例えば乳汁からの干渉、ゼラチンによる抑制、及び植物タンパク質などの他のタンパク質との相互反応性が挙げられる。NIRS及びNIRMは、大きな比較データベースの開発、及び高価な装置を必要とする。特に、NIRSでは正確性が問題であった。NIRS、NIRM、及びELISA法は、最適範囲を超えた条件下で加工された原材料については、通常適切ではない。
【0007】
PCR技術は、理論上、分類群及び/又は種に特異的な核酸、特にデオキシリボ核酸(DNA)の同定を可能にする。初期の例は、Wangら(2000, Mol. Cell. Probes 14: 1-5)に提供され、当該文献は、未加工牛肉又はウシMBMを入れたマウス飼料サンプルからの全DNAを抽出することを含む方法を記載する。0.2gの量のサンプルを、1%の界面活性剤TritonX-100を入れた20%Chelex100(BioRad、Hercules、CA、USAから購入したキレートレジン、PCR阻害剤として作用しうる金属イオンのコンタミを取り除くために使用された)の溶液中でインキュベートし、加熱し、冷却し、そして遠心し、そして上清を、tRNALysの3'部分、ATPaseサブユニット8、及びATPaseサブユニット6のアミノ末端部分をコードするウシミトコンドリアDNAの271塩基対のDNA断片のPCR増幅に用いた。筆者は、当該方法がより迅速、簡便、かつ一貫性であると述べた。
【0008】
370塩基対のアンプリコンサイズを有する反芻動物特異的ミトコンドリアシトクロムb遺伝子プローブ及びプライマーに関するリアルタイムPCRアッセイの例は、Rensenら(2005, Foodborne Pathogenes Dis. 2: 152-159; WO 2005/074522を参照のこと)により報告された。ウシ飼料からDNAを抽出するためのサンプル前処理技術は、ウシ飼料において高レベルのPCR阻害剤の問題を解決するために開発された。当該技術は、10gの混入飼料サンプルを細胞溶解緩衝液中でインキュベートし、細胞ライセートをWhatman FTA(登録商標)カードに適用し、続いて当該カードをRNAseで処理し、次にBioRad(Hercules, CA, USA)から販売されたChelex100抽出キット(Instageneキット)を用いてDNAを精製した。当該アッセイにより、市販のウシ飼料に混入された市販の加工済みMBMコンタミ物質(0.05%)を検出できたということが報告された。
【0009】
117塩基対のミトコンドリア16S rRNA DNA遺伝子断片の増幅に基づく他のリアルタイムPCRアッセイは、Chiappiniらにより開発された(2005, J.AOAC Int. 88: 1399-1403)。Promega(Madion, WI, USA)から販売された食品用のWizard Magnetic DNA精製システムを用いて、100mgの加工MBMサンプルから全DNAを抽出した。これらのアッセイの特異性を、ウマ、トリ、七面鳥、ブタ、ヒツジ、ヤギ、アンチョビ、メカジキ、及びウシ原材料に由来するゲノムDNAについて試験したが、リアルタイムPCRシグナルは、ヤギ、ヒツジ、及びウシサンプルからのみ得られた。さらに、この筆者らは、このリアルタイムPCRアッセイの性能が、試験されたMBMを生産するために使用される処理条件により、及び組成の点におけるMBMの変動性によりかなり影響を受け、そして適切な標準物質の製造を妨げ、そして飼料中のMBM含量の信頼の置ける定量を妨げた。
【0010】
PCR技術における幾つかの改善にかかわらず、EU「intercomparison study for the determination of processed animal proteins including meat and bone meal in animal study」(Gizziら、2004, J. AOAC Int. 87: 1334-1441)は、17のEUに参画する研究所において行なわれたPCR及びリアルタイムPCR試験から得られた多くの偽陽性及び偽陰性の結果により示されるように、全加工動物タンパク質(PAP、MBMを含むもの)の決定、並びに哺乳動物、反芻動物、及びブタからのPAPの識別に失敗したということを発見した。一般的なPCR技術の全ては、参加者により網羅され、例えばアガロースゲル電気泳動を伴った従来のPCR、PCR-ELISA、及びリアルタイムPCRを含んだ。サンプル調製は、オーダーメイド又はキット抽出との間で変更され、場合により推奨の粉砕ステップを含み、使用されたサンプルの量は50mg〜8gで変えられた。PCR法の全体の評価は、性能の点で「かなり悪く」、そして、任意のPCRに基づく技術がPAP又はMBMに対する信頼のおける堅牢な試験として使用される前に、既知のプロトコルの主要な改良が必要とされるということが結論付けられる。
【発明の開示】
【0011】
本発明は、PAP又はMBMにおける動物組織についてのPCRに基づく試験に関連する問題に取り組み、そして代替となるDNA抽出法、及びPCRに基づく同定技術を提供する。
【0012】
本発明の第一の態様では、以下のステップ:
(i)インキュベート緩衝液中に約30〜250g、例えば約35〜45g、又は約40gのサンプルをインキュベートし;
(ii)ステップ(i)でインキュベートされたサンプルをオートクレーブし;そして
(iii)ステップ(ii)でオートクレーブされたサンプル又はサンプルの一部を、金属キレート剤と混合する
を含むサンプルからの核酸(例えばDNA)を抽出する方法が提供される。金属キレート剤は、例えば、金属キレートイオン交換レジンでありうる。
【0013】
本方法は、以下のステップ:
(iv)金属キレートイオン交換レジンなどの金属キレート剤を、上記ステップ(iii)のサンプル又はその一部から沈渣して、抽出された核酸を含む上清を生成する
をさらに含み得る。
【0014】
本発明に従った抽出方法は、例えばPCR及び/又はリアルタイムPCRなどの反応における増幅のためにテンプレートとして機能するために十分な質及び量の核酸を提供する。本発明は、このような増幅反応の再現性及び正確性がかなり優れているということを発見した(以下を参照のこと)。他の従来の抽出技術と比べて、本方法は、簡便かつ効果的な方法である。
【0015】
本方法において使用するサンプルの適切な量は、約30〜約200、175、150、125、100、75、又は50gである。
【0016】
1の実施態様では、インキュベート緩衝液は、約0.05〜0.2M又は約0.1Mの濃度のリン酸緩衝液、例えばリン酸ナトリウム緩衝液でありうる。
【0017】
インキュベート緩衝液は、サンプルの重量の約500〜1500%(v/w)、例えばサンプル重量の約900%(v/w)で使用されてもよい。
【0018】
インキュベート緩衝液、例えばリン酸ナトリウム緩衝液は、約6.5〜7.5、又は約7.2のpHを有しうる。
【0019】
インキュベートは、約5〜60分、又は約10〜30分、例えば約15分行なわれうる。
【0020】
サンプルはステップ(ii)において、約85℃〜120℃、又は121℃、又は約90℃〜100℃、例えば約95℃でオートクレーブされうる。オートクレーブステップは、1分を超えて、例えば約5〜60分、又は約10〜30分、例えば約15分間続けられることもある。
【0021】
オートクレーブステップは、(滅菌に使用される高圧ではなくむしろ)大気圧で又は大気圧付近で行なわれ得る。大気圧又はその付近でのオートクレーブは、抽出されたDNAなどの核酸の破壊を低減するであろう。
【0022】
本明細書に使用される場合、「大気圧付近」は、大気圧の約50〜150%の圧力、例えば、大気圧の約80〜120%、又は95〜105%を意味する。
【0023】
1の実施態様では、オートクレーブステップは、大気圧で15分間95℃で行なわれる。
【0024】
特に、動物サンプルが使用される場合、オートクレーブステップは、サンプルのペレットを崩し、及び/又は脂肪を破壊し(つまり、飼料ペレットを結合させるために一般的に使用される脂肪及び獣脂を可溶化し)、そして核酸を遊離させるように機能する。
【0025】
イオン交換レジンなどの金属キレート剤は、多価金属イオンをキレートすることもある。レジンは、対となるイミノジアセテートイオンを含むスチレンジビニルベンゼンコポリマー、例えばChelex100であってもよい。
【0026】
金属キレートイオン交換レジンなどの金属キレート剤は、本方法のステップ(iv)において遠心、例えば約10,000〜12,000×g、又は約11,000×gでの遠心、により沈渣されうる。
【0027】
サンプルは、動物飼料、例えば反芻動物飼料に由来することもある。
【0028】
当該サンプルは、加工された動物原材料、例えば加工動物タンパク質(PAP)又は肉骨粉(MBM)を含むか、又はその存在について試験されうる。
【0029】
サンプルは、動物又は反芻動物ミトコンドリアDNA、例えば16S RNA遺伝子をコードするミトコンドリアDNAを含み得る。
【0030】
1の態様では、サンプルは、動物、反芻動物、ウシ、ヒツジ、ブタ、トリ、及び魚からなる群の1以上からのDNAを含む。
【0031】
本明細書に使用される動物という語句は、任意の脊椎動物を指す。動物は、家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、トリ、七面鳥、アヒル、ガチョウ、ウズラ、ネコ及びイヌ)並びに非家畜動物(例えば、エルク、シカ、トナカイ及びキリン)を含む。動物は、魚などの水棲生物も含む。
【0032】
本発明のさらなる態様では、サンプルが動物飼料である上に記載される方法は、以下のステップ:
(i)約7.1〜7.3のpHの0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液中で、約35〜45gのサンプルを約10〜20分、例えば約15分、場合により室温でインキュベートし;
(ii)ステップ(i)でインキュベートされたサンプルを、大気圧で、又はその付近で、約90〜100℃で約10〜30分間、例えば約15分間オートクレーブし;そして
(iii)ステップ(ii)でオートクレーブされたサンプルの一部を、金属キレートイオン交換レジン、例えばChelex100と混合する
を含みうる。
【0033】
上記方法はさらなるステップ:
(iv)ステップ(iii)のサンプルの一部から、約10000〜12000×g、又は約11000×gで遠心することにより、レジンを沈渣する
を含みうる。
【0034】
本発明の方法のステップ(iv)から得た上清又はその一定量を、PCR、リアルタイムPCRアッセイ、又は以下に言及される別の増幅反応などの増幅反応において使用されうる。
【0035】
本発明の方法は、以下のステップ:
(v)核酸、例えばミトコンドリアDNAなどのDNAの有無を検出する
をさらに含み得る。
【0036】
核酸は、加工された動物原材料、例えばPAP又はMBMに由来する可能性がある。
【0037】
核酸は、増幅反応(例えばPCR又はリアルタイムPCR)を用いて、ステップ(v)において検出されることもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本明細書に使用される「増幅反応」という語句は、テンプレート核酸のコピーの増加をもたらす酵素反応を指す。本発明の範囲内の増幅反応としては、PCR、逆転写PCR(RT-PCR)、リアルタイムPCR、リアルタイムRT-PCR(RRT-PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ストランド置換増幅(SDA)、転写媒介性増幅、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、ローリングサイクル増幅(RCA)、及び分岐DNAシグナル増幅(bDNA)が挙げられる。
【0039】
1の態様では、シグナルシステムは、増幅反応の後に残っているサンプル又はサンプルの一部において増幅されたDNAを検出するために使用される。このようなシグナルシステムは、様々な性質に基づいていてもよいが、特に、蛍光、化学発光、又は生物発光である化学的シグナルを生成する。シグナルシステムは、増幅が行なわれるか又は行なわれた反応容器を開けることなく、均一に検出することができるシステムであってもよい。
【0040】
このようなシグナルシステムは、例えば、溶液中で遊離状態で存在した場合に比べて、二本鎖DNAに結合された場合に異なりかつ区別される可視光を放出するDNA結合剤などの可視的シグナル試薬を含んでもよい。このような色素の例は、周知であり、そしてエチジウムブロマイド、並びにSYBRの商標名で売られている試薬、例えばSYBRGreenI又はSYBRGold、又は他の色素、例えばYOPRO-1などが挙げられる。このような試薬からのシグナルによって示される有意又は多量のDNAの存在は、増幅反応が進行したことを指し示すことができる。
【0041】
或いは、又はさらに、シグナルシステムは、増幅産物に特異的に結合する標識プローブを含んでもよい。標識は、適切に蛍光標識されており、適切な波長の光を照射した後に検出でき、それに続き当該標識からの結果として生じる発光を検出することができる。様々な蛍光ラベル、例えばローダミン色素、フルオレセイン、及びシアニン色素が市販されている。フルオロフォアのさらなる例として、非限定的に、フルオレセイン、イソチオシアン酸塩、フルオレセイン・アミン、エオシン、ローダミン、ダンシル、ウンベリフェロン(umbelliferone)、5-カルボキシフルオレセイン、6-カルボキシフルオレセイン(FAM)、2',4',1,4,-テトラクロロフルオレセイン(TET)、2',4I,5',7',1,4-ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、27'ジメトキシ-4'5'-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(JOE)、ローダミン、6カルボキシローダミン(R6G)、N,N,N'N'-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、4-(4'-ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)、5-(2'-アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸(EDANS)、4-アセトアミド-4'-イソチオシアナトスチルベン-2,2'ジスルホン酸、アクリジン、アクリジン・イソチオシアネート、r-アミノ-N->3-ビニルスルホニル)フェニル!ナフタルイミド-3,5,ジスルホネート(Lucifer Yellow VS)、N-(4-アニリノ-1-ナフチル)マレイミド、アンスラニルアミド、Brilliant Yellow、クマリン、7-アミノ-4-メチルクマリン、7-アミノ-4-トリフルオロメチルコウルアリン(7-amino-4-trifluoromethylcouluarin)(Coumaran 151)、シアノシン、4',6-ジアミニジノ-2-フェニルインドール (DAPI)、5',5''-ジアミニジノ-2-フェニルインドール(DAPI)、5',5''-ジブロモピロガロール-スルホネフタリン(Bromopyrogallol Red)、7-ジエチルアミノ-3-(4'-イソチオシアナトフェニル)-4-メチルクマリン・ジエチレントリアミン・ペンタアセテート、4,4'-ジイソチオシアナトジヒドロ-スチルベン-2,2'-ジスルホン酸、4,4'-ジイソチオシアナトスチルベン-2,2'-ジスルホン酸、4-ジメチルアミノフェニルアゾフェニル-4'-イソチオシアネート(DABITC)、エオシン・イソチオシアネート、エリスロシンB、エリスロシン・イソチオシアナート、エチジウム、5-(4,6-ジクロロトリアジン-2-イル)アミノフルオレセイン(DTAF)、QFITC(XRITC)、フルオレサミン、IR144、IR1446、マラカイトグリーンイソチオシアネート、4-メチルウンベリフェロン、オルトクレゾールフタレイン、ニトロチロシン、パラロサニリン、フェノールレッド、B-フィコエリトリン、o-フタルジアルデヒド、ピレン、ピレンブチレート、サクシニミジル1-ピレンブチレート、Reactive Red4(Cibacron.RTM.ブリリアントレッド3B-A)、リッサミンローダミンBスルホニルクロリド、ローダミンB、ローダミン123、ローダミンXイソチオシアネート、スルホローダミンB、スルホローダミン101、スルホローダミン101のスルホニルクロリド誘導体、(テキサスレッド)、テトラメチル ローダミン、テトラメチル ローダミンイソチオシアネート(TRITC)、リボフラビン、ロソリン酸、テルビウムキレート誘導体、Cy5及びCy5.5が挙げられる。
【0042】
1の態様では、シグナルシステムは、レポーターとクエンチャー標識の組み合わせを含む。本発明において使用されうるドナー/クエンチャー対の例は、それぞれFAMとTAMRA、VICとTAMRA、FAMとJOE、FAMとROX、FAMとDABCYL、フルオレセインとテトラメチルローダミン、IAEDANSとフルオレセイン、EDANSとDABCYL、フルオレセインとフルオレセイン、BODIPY FLとBPDIPY FL、FAMとQSY9と組み合わせたQSY7色素である。他の適切なドナー/クエンチャー対と、プローブの組み合わせは、当業者により理解され、また通常の方法を用いて決定することができる。生成したシグナルは、任意の慣用検出装置、例えば蛍光分光計などの光学システムを用いて読み取ることができる。
【0043】
当業者により理解されるように、増幅反応は、標的核酸の増幅に必須である試薬を含む。このような試薬として、オリゴヌクレオチドプライマー、緩衝液、核酸ポリメラーゼ、例えばTaqDNAポリメラーゼ、及びでオキシヌクレオチドトリホスフェート(dNTP)が挙げられ得る。
【0044】
一般的なPCR及びリアルタイムPCR技術については、例えば「PCR primer: A Laboratory Manual」(2003, Dieffenbach & Dveksler, Eds, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, USA)を参照のこと。当該文献は本明細書に援用される。
【0045】
本発明の別の態様では、サンプル中でDNAを増幅する方法であって、以下のステップ:
(i)本明細書に規定される本発明の方法に従ってサンプルからDNAを抽出し;そして
(ii)PCR又はリアルタイムPCRなどの増幅反応を用いて、抽出されたDNAを増幅する
を含む、前記方法が提供される。
【0046】
上記ステップ(ii)で増幅されたDNAは、加工された動物原材料、例えばPAP又はMBMに由来してもよい。
【0047】
PCR又はリアルタイムPCRは、プライマー対を使用し、そしてリアルタイムPCRの場合、さらにプローブを使用し、ここで当該プライマー及びプローブは、以下の:動物、反芻動物、ウシ、ヒツジ、ブタ、トリ、及び魚組織のうちの1以上に特異的である。
【0048】
プライマー及びプローブの対は、動物、反芻動物、ウシ、ヒツジ、ブタ、トリ、及び魚組織からなる群の1以上に由来するミトコンドリアDNA、例えば16S RNA遺伝子をコードするミトコンドリアDNAに特異的でありうる。
【0049】
プライマー及びプローブの対は、それぞれ、以下の:配列番号1、2、及び3(動物特異的)、配列番号4、5、及び6(ウシ特異的)、配列番号7、8、及び9(ヒツジ特異的)、配列番号10、11、及び12(ブタ特異的)、配列番号13、14、及び15(トリ特異的)、及び配列番号16、17、及び18(魚特異的)からなる配列の群から選ばれうる。
【0050】
プライマー及びプローブの対は、ブタ、トリ、及び魚組織からなる群の1以上に由来するミトコンドリアDNAであって、16S RNA遺伝子に特異的であるDNAであってもよい。例えば、プライマーとプローブの対は、それぞれ、配列番号10、11、及び12(ブタ特異的)、配列番号13、14、及び15(トリ特異的)、及び配列番号16、17、及び18(魚特異的)からなる配列の群から選ばれてもよい。
【0051】
PCR又はリアルタイムPCRは、さらにプライマーセットを使用してもよく、リアルタイム-PCRの場合、さらにプローブを使用してもよい。ここで当該プライマーセットとプローブは、サンプルに外因性であるDNAに特異的であり、例えば配列番号19、20、及び21に記載される配列である。
【0052】
本発明に記載されたリアルタイムPCRは、TaqManプローブを用いて行なわれてもよい。リアルタイムPCR及び他の増幅反応においてしようするための追加の標識は以下に記載される。
【0053】
1の態様における本発明の方法は、Promega(Madison, WI, USA)から得られた磁性DNA精製、例えばWizard Magnetic DNA精製システムの使用を排除する。
【0054】
1の態様では、本発明の方法は、RNAseの使用を排除する。
【0055】
1の態様では、本発明の方法は、Whatman FTA(登録商標)カードの使用を排除する。
【0056】
1の態様では、本発明の方法は、インキュベート緩衝液におけるTritonX-100の使用を排除する。
【0057】
本発明の別の態様では、PCRを用いてサンプルからDNAを増幅するキットであって、配列番号1及び2(動物特異的)、配列番号4及び5(ウシ特異的)、配列番号7及び8(ヒツジ特異的)、配列番号10及び11(ブタ特異的)、配列番号13及び14(トリ特異的)、及び配列番号16及び17(魚特異的)からなる配列の群から選ばれるプライマー対を含み、そして場合によりさらに当該サンプルに外来性のDNAに特異的なプライマーセット、例えば配列番号19及び20に記載される配列をさらに含む、前記キットが提供される。
【0058】
本発明に記載されるキットは、加工された動物原材料、例えばPAP又はMBMを、飼料サンプルから増幅させるために使用されてもよい。
【0059】
本発明の別の態様では、配列番号1〜21に記載される配列、例えば配列番号10〜18に記載される配列のうちの1以上を含む単離された核酸が提供される。配列番号1〜21に記載される配列のうちの任意の1以上に対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有する単離核酸が本発明に包含される。
【0060】
ヌクレオチド配列の間における配列同一性は、配列のアライメントを比較することにより決定されうる。比較された配列において対応する位置が、同一の塩基により占められている場合、分子は、この位置で同一である。同一性の割合としてアライメントをスコアリングすることは、比較された配列により共有される位置において、同一のアミノ酸又は塩基の数の関数である。
【0061】
配列を比較する場合、最適アライメントは、この配列に起こり得る挿入及び欠失を考慮するために、当該配列の1以上にギャップを導入することを必要とする場合がある。配列比較法は、ギャップペナルティーを使用することもあり、その結果、比較される配列において同数の同一な分子では、できる限り少ないギャップでの配列アライメントが、2個の比較される配列の間の高い関連性を反映し、多くのギャップを有するものよりも高いスコアを達成するであろう。同一性の最大割合の計算は、ギャップペナルティーを考慮して最適アライメントを得ることに関与する。
【0062】
配列比較を行なう適切なコンピュータープログラムは、商業部門及び公共部門において広く利用できる。例として、Gapプログラム(Needleman & Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48: 443-453)及びFASTAプログラム(Altschulら、1990, J. Mol. Biol. 215: 403-410)が挙げられる。Gap及びFASTAは、以前はGCG Wisconsinパッケージとして知られていたAccelry GCGパッケージバージョン11.1(Accelrys, Cambridge, UK)の一部として利用できる。FASTAプログラムは、欧州バイオインフォマティクス研究所(http://www.ebi.ac.uk/fasta)及びバージニア大学(http://fasta.biotech.virginia.edu/fasta_www/cgi)から公的にアクセス可能である。FASTAは、所定の配列を有する配列データーベースをサーチするために使用されてもよく、又は2つの所定の配列を比較するために使用されてもよい(http://fasta.bioch.virginia.edu/fasta_www/cgi/search_frm2.cgi)。一般的に、配列を比較する場合、コンピュータープログラムのデフォルトのパラメーターセットを使用すべきである。デフォルトパラメーターは、比較される配列のタイプ及び長さに依存して変化させてもよい。FASTAプログラムを用いた配列比較は、Ktup=2、ScoringMatrix=Blosum50、gap=-10及びext=-2を使用してもよい。
【0063】
当該方法において、本発明に記載されたキット及び単離核酸、存在する場合プローブは、任意の適切な検出手段で標識され得る。こうして、例えば、配列番号3、6、9、12、15、及び18の配列を含むプローブは、必ずしもFAM及びTMRAで標識される必要はなく、そして配列番号21の配列を含むプローブは、必ずしもVIC及びTAMRAで標識される必要はないが、各々は、上に詳述されるように他の手段で標識され得る。
【0064】
本発明は、本明細書に記載される方法に従って得られる抽出核酸を包含する。このような抽出核酸は、抽出方法に由来する新規の性質を有するであろう。
【0065】
本発明は、以下の非限定的な例によってより詳細に記載される。
【実施例】
【0066】
実施例1
この例では、動物飼料中への加工動物原材料の汚染の同定を支援するための動物特異的プライマー及びプローブを用いたスクリーニングアッセイを開発し、評価し、そして立証した。使用された遺伝子は、ミトコンドリアゲノムに存在する16srRNA遺伝子であった。
【0067】
方法と材料
リアルタイムPCR:
リアルタイムPCRは、ミトコンドリアゲノム中の16s rRNAの保存領域又は種特異敵領域の同定に特異的な蛍光プローブを含む。PCRの間に標的が増幅され、TaqMan技術(Applied Biosystems, Foster City, California, USA)に基づく5'レポーター色素(FAM)及び3'クエンチャー色素(TAMRA)で標識されたプローブは、フランキングプライマーとの間で標的に結合する。Taqポリメラーゼ(AmpliTaq Gold(登録商標))の5'-3'核酸分解活性は、プローブを加水分解して、クエンチャー色素の活性からレポーター色素を放出する。得られた蛍光を次に計測し、そして当該蛍光は産生されたアンプリコンの量に正比例した。蛍光シグナルの増加は、標的配列がプローブに相補的でり、かつPCRの間に増幅された場合にのみ見られる。これらの要件は、いずれかの非特異的増幅の検出を制限する。
【0068】
プライマー及びプローブ:
GenBankデーターベースから得た以下の配列:トリ(X52392)、ウシ(JO13840)、ヒツジ(AF10406)、魚(NC00208)、及びブタ(AJ002189)を用いて、標的に対するプライマー及びプローブが設計された。
【0069】
Primer Express(Applied Biosystems, Foster City, California, USA)の使用により、アッセイのデザインを補助した。スクリーニングアッセイでは、プライマー及びプローブは、コンセンサス領域に基づいた。分化領域は、可能である場合、動物特異的アッセイ用に選択された。表1は、スクリーニングアッセイ及び動物特異的アッセイ用のプライマー及びプローブ配列を、予期されるアンプリコンサイズと供に示す。Sigma-Genosys Ltdがフォワード及びリバースプライマーを製造し、一方Applied Biosystemsが当該プローブプライマーを製造した。プローブを、FAM(5'末端)及びTAMRA(3'末端)で標識した。
【0070】
【表1】

【0071】
内部の陽性対照:
内部陽性対照(IPC)は、市販の核酸ベクター(pUC18)に一般的に発見されるが、動物又は植物ゲノムにおいて天然に見られないアンピシリン抵抗性遺伝子の領域の増幅に関した。アンピシリン抵抗性遺伝子は、非競合的外来性対照であり、そしてサンプル物質中に存在する抑制性の因子の結果として、又はサンプル抽出手順の結果として生じ得る誤判定を検出するために、アッセイの検証に含まれた。IPCテンプレート、プライマー、及びプローブをTaqMan Masterミックスに加えて、マルチ検出にかけた。プライマーを限られた濃度(0.03μM)で使用して、PCR試薬を利用するIPC生成物が、16sRNA増幅効率の決定要因になることを妨げた。多重アッセイにおいて標的の増幅を検出するために、プローブを5'末端においてレポーター色素としてVICで標識し、そして3'末端においてクエンチャーとしてTAMRAで標識した。プライマー及びプローブを、pUC18の配列に基づき設計し、そして表2に示す。
【0072】
【表2】

【0073】
開発及び評価において用いられるPCR及びサイクル条件
12.5μlのTaqMan Masterミックス(Applied Biosystems)、0.3μMの両プライマー、及び0.1μMの蛍光性プローブ(Applied Biosystems)を含む合計体積25μlで、7700Sequence Detector(Applied Biosystems)上でリアルタイムPCRを行い、そして検出した。サイクル条件は以下のとおりであった:50℃で2分、次に95℃で10分、95℃で14分、53.6℃で1分を40サイクル。各サンプルは二回アッセイした。
【0074】
検証に用いられるPCR及びサイクル条件
リアルタイムPCRを行い、そして12.5μlTaqManマスターミックス(Applied Biosystems)、16s rRNAアッセイに対する0.3μMの両プライマー、及び0.1μMの蛍光プローブを含む25μlの合計体積中で、7900HT Sequence Detector(Applied Biosystems)上で検出した。検証アッセイでは、IPCについての両プライマー(0.03μM)及び蛍光プローブ(0.15μM(Applied Biosystems)は、内部陽性対照テンプレートとのマスターミックスに加えられた(0.166ng pUC18)。サイクル条件は、7700 Sequence Detector Systemについての条件と同じであった。
【0075】
開発及び検証において使用されるサンプル
熱処理組織
DNAについてのサンプル処理の効果を生成させるために、熱処理された組織を調製した。ウシ、ヒツジ、ブタ、及びトリ筋肉組織のスライスを、0.1M PBS pH7.2(10%w/v)にホモジェナイズした。ホモジェネートを90℃〜133℃の範囲の温度、3barの圧力で20分間加熱した。Sambrookら(1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第二版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Vol. 3, Appendex E: Commonly used techniques in molecular cloning, purification of nucleic acids E3)に記載されるフェノール/クロロホルム法を用いて、プロテイナーゼKで消化し、そして溶解された組織からDNAを抽出した。当該文献は、その全てを本明細書に援用する。
【0076】
加工原材料及び定量的標準
ウシ、ヒツジ、及びブタ加工原材料を、模擬加工オートクレーブ中で128℃で20分間加熱し、次に凍結乾燥されたホモジェナイズされた筋肉から調製した。(プタスダラに基づく)魚粉は、United Fish Products(UK)から供給され、そして市販されている。細かく製粉されたトリ加工原材料は利用できなかったので、粗製トリ加工原材料を異なる組織から調製した。英国農業供給貿易協会(UKASTA)の推奨に基づいて、BOCM Pauls Ltd.(UK)から購入した生の食材を用いて、陰性である植物性飼料を製造した。表3は、加工原材料標準を作るために使用された陰性植物性飼料の組成を示す。
【0077】
【表3】

【0078】
サンプル原材料を、陰性の植物飼料(鳥用50%)中の20%加工原材料から製造した。トリ飼料ミックスを除いて、これらはRetch Ultraミルを用いて製粉し、1mm未満の微粒子サイズを与えた。(0.5%〜20%ウシ、ヒツジ、魚、及びブタ、1%〜50%トリ)の範囲の定量的標準を、20%〜50%のミックスを用いた陰性の飼料を含んで2gにした。
【0079】
100のコード化されたサンプル
レンダリング施設において生産されProsper De Mulder(UK加工業者)により供給されたトリ(鶏)、ウシ、ヒツジ、及びブタ加工原材料を用いてコードされたサンプルを製造した。大きな骨断片を取り除くために、肉骨粉を2cm2の開口シーブを用いて前もって篩にかけ、そして0.001%〜10%の範囲に分配した。これらのうち、0.1%、1%、5%、及び10%の量を用いて、上記の陰性の植物飼料を用いて、さまざまな組み合わせの混合種サンプルを製造した。
【0080】
60の陰性の動物飼料
アッセイ開発の過程で、60の異なる動物飼料を用いて、陰性の対象のベースラインレベルを測定した。たとえば、UKには多くの加工植物及び動物飼料製造業者が存在する。様々な供給業者の動物飼料の組成は、現在の規制の下で許容される様々な成分を含む。その結果、正確かつ維持可能な基準を決定する努力において、様々な複合飼料を試験することが必須であると考えられている。ELISA技術(Ansfieldら、2000, Food Agric. Immunol. 12: 285-297, 当該文献は、その全てを本明細書に援用される)は、サンプルが動物原材料について陰性であるか否かを確認するために用いられた。
【0081】
検証に用いられたサンプル
様々な市販の動物飼料、例えばMendip eweペレット及びRapid lambペレットを、スクリーニング及び動物特異的アッセイの検証のために用いた。全てのサンプルを分析して、ELISA及びMAT(顕微鏡分析試験;上の記載を参照のこと)により動物原材料について陰性であるか否かを確認した。さらに、これらの動物飼料のいくつかに、様々な量(0.2、1.0、及び2.0%)の前に記載された様に製造されたウシ、ヒツジ、ブタ、トリ(鶏)または魚の加工原材料が加えられた。単一種及び混合種サンプルの両方を製造した。
【0082】
開発及び評価の間に用いられた加工原材料、定量的標準、100のコード化されたサンプル、及び60の陰性の動物飼料から得たDNAの抽出
動物飼料からのDNA抽出法は以下のとおりである:1mlのChelex溶液(20%Chelex-100[Bio-Rad Laboratories, UK,分析品質]+1%Nonidet P40) を、0.1gの飼料ミックスに加える。サンプルを激しく混合し、そして95℃で15分間加熱した。次にサンプルを氷上に1分間配置して、その後サンプルを10000rpmで(約7300×g)で10分間スピンさせた。上清を注意深く取り出して新たなチューブにいれ、そして-20℃で貯蔵した。
【0083】
検証において用いられたサンプルからのDNA抽出
この方法を、大規模抽出に適用した。開始重量の増加により、サンプル飼料中に見られる構成要素のさらに多くの表示を可能にする。40gのサンプルを360mlの0.1Mリン酸緩衝液に加え、そして15分間浸し、ゆっくり揺らした後に、95℃で15分間スチームオートクレーブにかけた。サンプルの液面の下1cmから採取した1mlの上清を0.2gのChelex100(Bio-Rad Laboratories)に加えた。サンプルを20秒間ボルテックスにかけ、そして次に13000rpm(11000×g)で遠心した。400μlの上清を次に、きれいなチューブに移し、そして試験に必要とされるまで4℃で貯蔵した。
【0084】
結果と考察
動物飼料調製品の効果を決定するために、3barの圧力で20分間、90℃、100℃、110℃、120℃、及び133℃で処理された(加工過程を模倣した)組織から抽出されたDNAを、スクリーニングアッセイで用いた。トリ(鶏)、ウシ、ヒツジ、魚、及びブタのミトコンドリアDNA(16s rRNA遺伝子)を検出するためにこのアッセイを設計した。リアルタイム蛍光PCRにおいて、Ct値は、ΔRnの統計的に有意な増加が最初に検出されるサイクルである。ΔRnは、リアルタイムPCRにおいて生成されたシグナルの程度についての信頼の置ける指標である。
【0085】
加熱処理されたヒツジの組織では、このスクリーニングアッセイを用いて、加熱処理の温度が増加するにつれ、Ct値が増加した。90℃では、Ct値は、16.80であり、100℃では、17.76であり、110℃では18.76であり、120℃では19.03であり、そして133℃ではCt値は20.39であった。対照のヒツジDNAでは、Ct値は18.70であり、110℃超では、DNAは変性し、PCRが標的を増幅する能力に影響を与えるということが示された。これは、豚肉を30分間80℃で加熱した場合にほとんどDNA変性が起こらないが、加熱温度を120℃に上げた場合有意な変性が生じるということを示すEbbehoj 及びThomson(1991, Meat Sci. 30: 221-234)の発見に一致した。これらの結果により、模倣された加工過程により変性されるが、スクリーニングアッセイは、最大133℃、3barで20分間処理されたサンプルについての適切な検出方法であるということが示された。これは、加熱処理されたトリ(鶏)、ウシ、魚及びブタ原材料から抽出されたDNAでも観察された。
【0086】
このスクリーニング及び動物特異的アッセイを評価するために、100のコード化されたサンプルを用いた。各動物種についての既知の組成、定量標準のサンプルをこのアッセイに含めた。スクリーニングアッセイの結果を表4に要約して載せた。0.001%で含められたサンプルの全ては検出されず、そして0.01%レベルで含められたサンプルは、いくつかの場合において陽性の結果を与えた。0.1%レベルで含まれたサンプルは、全ての場合で検出された。標準についての結果とともに、これらの結果に基づいて、当該アッセイの感受性が、0.1%であることが決定された。同様に、加工サンプルが、対で混合されるか、又はグループで混合される場合、各々及び全ての場合で検出された。このコード化された研究により、本アッセイが、スクリーニングアッセイの機能を実行できるということが示された。このアッセイを完全に検証するために、多くのサンプルがスクリーニングされた。
【0087】
【表4】

【0088】
5種の個々の動物特異的アッセイの全ては、0.001%及び0.01%レベルで含まれた肉骨粉サンプルを検出することができないが、0.1%で含まれた場合に肉骨粉サンプルを検出することができた。このコード化された試験は、動物特異的アッセイの各々の正確性を確立した。存在する種と、各動物特異的アッセイにより検出された種との間のかなり良好な相関が存在した。しかしながら、ウシ及びブタアッセイの両方が、1の偽陽性の結果をもたらした。つまり、このアッセイは、ヒツジ及びトリ原材料のみを含むサンプルを陽性として同定してしまった。この試験において確認される検出限界は、他のPCR法を用いて他の発見に一致した(Kusamaら、2004, J. Food Protection 67: 1289-1292; Toyodaら、2004, J. Food Protection 67:2819-2832)。0.05%のレベルは、リアルタイムPCRを用いて、ウシMBM中で、ウシ特異的原材料の検出できることが確認された(Rensenら、2005、上記)。出願人は、単一の混合物においてのみならず、加工原材料を含むサンプルの混合物(DNAテンプレートに比べて飼料汚染の実際の状況を示す状況(例えば、Lahiffら、2002, J. Food Protection 65: 1158-1165; Dalmassoら、2004, Mol. Cell Probes 18: 81 - 87))においても特異的原材料について0.1%の検出限界を示した。さらにこのコード化試験により、動物特異的アッセイが、同定の機能を実行することができるということを示した。これらのアッセイを完全に検証するために、多くのサンプルを用いた。
【0089】
UKにおいて多くの植物及び動物飼料製造業者が存在するが、様々な供給業者の動物飼料の組成は、現在の規制の下許容される様々な成分を含む。その結果、正確かつ持続可能な基準を決定するための努力において、様々なこれらの複合飼料を試験することが必須であると考えられている。サンプルが陰性であると決定するためにELISA技術が使用された(上の記載を参照のこと)。60の陰性動物飼料を、スクリーニングアッセイを用いて試験した。動物飼料の圧倒的大部分(52)は、出願人のスクリーニングアッセイを用いて陰性であった(Ct>35及び/又はΔRn<0.5)。しかしながら、リアルタイムPCRを用いて陽性となるサンプルが幾つか存在した。ELISA法が最大130℃に加熱されたサンプルにおいてうまく機能するということが知られている。加工温度がこの値を超えて増加するにつれ、ELISAの感度が低下する。それゆえ、これらのサンプルの幾つかが130℃を超えた温度に加熱されたという可能性がある。2つの方法のあいだにおける相違についてのほかの可能な説明は、感度の差異である。ELISAは、0.5%の包含レベルで加工された動物原材料を検出することが測定されている一方、本願のリアルタイムアッセイは、0.1%の包含レベルでサンプルを検出する。
【0090】
当該スクリーニングアッセイにより陽性であるサンプルを、ELISAを用いて陰性である幾つかのサンプルとともに顕微鏡分析(EUにおいて認められた動物飼料中の動物原材料を検出するための唯一の技術)を用いたさらなる分析にかけることによりさらに調査した。顕微鏡分析の結果は表5に示される。
【0091】
【表5】

【0092】
顕微鏡分析結果は、3つのカテゴリー:陰性、陰性*、及び筋繊維に分類された。陰性とマークされたサンプルは、完全に陰性である。陰性*とマークされたサンプルは、加工原材料については陰性であるが、ミルク粉末、つまり許容される製品を含む。最後のカテゴリーは、これらのサンプルにおける筋繊維の存在を示すが、その繊維の起源、つまり種は不明である。
【0093】
顕微鏡分析に供された12のサンプルのうち、スクリーニングアッセイは4つのサンプルが陰性であると示した一方、顕微鏡分析は5つのサンプルが陰性であると示した。サンプル13、22、及び36では、顕微鏡分析及びスクリーニング法は、同じ結果を与えた。サンプル2は、スクリーニングアッセイでは陰性であったが、顕微鏡分析において筋繊維が観察された。この場合、繊維は異なる種、トリ(鶏)、ウシ、ヒツジ、魚及びブタ由来であり、スクリーニングアッセイによって認識されるものと知られている。サンプル9と15は、スクリーニングアッセイでは陽性であったが、顕微鏡分析では陰性であったが、ミルク粉末の存在が観察された。ミルク粉末は、認可された添加物であり、そして出願人のスクリーニングアッセイでは陽性として検出された。
【0094】
残りのサンプル14、33、34、42、49、及び57は、本スクリーニングアッセイでは陽性であり、顕微鏡分析により筋繊維の存在が確認された。これらの筋繊維の由来元の種についての疑問を解決する試みにおいて、出願人は、個別の動物特異的アッセイ、つまり検査された各々の種を検出するように設計されたアッセイを用いることにより、これらのサンプルをさらなる分析にかけた。これらのサンプルのうち4つが、ヒツジ、ウシ、トリ(鶏)、及びブタに対して陰性であったが、魚に対して陽性であることがこの結果から確認された。その結果、これらの筋繊維が、魚に由来する可能性が極めて高い。残りのサンプルは、ヒツジ、ブタ、トリ(鶏)及び魚について陰性であるが、ウシ原材料に対して陽性であった。本スクリーニングアッセイは、ミルク粉末及び筋繊維を検出し、そして個別の動物特異的アッセイは、原材料の由来元を同定した。魚肉を反芻動物に与えることは、2000年からEUにおいて禁止されたので、種特異的同定は重要である。現存のスクリーニング技術(ELISA)は、これらのサンプルの幾つかの検出に失敗した。
【0095】
このアッセイを完全に検証するために、大規模DNA抽出法を用いて多くのサンプルを試験した。開始物質の量の増加は、サンプルに見られた構成物質のよりよい提示を可能にする。スクリーニング及び動物特異的アッセイは、スクリーニング及び動物特異的アッセイにおいて標的遺伝子(16s rRNA)の検出に影響を与えないことが示された内部陽性対照を含んで、検証された(結果は示されていない)。全部で872のサンプルを、スクリーニングアッセイを用いて分析した。陰性飼料は、5の異なる市販動物飼料から得られた286のサンプルで構成される。サンプルはELISA及びMATにより前もってスクリーニングされて、禁止された動物原材料を含まないということが確認された。市販の陰性飼料に既知量の特定の動物原材料を加えることにより、陽性サンプルを作成した。
【0096】
286の陰性飼料サンプルのうち、272は陰性であると正しく同定され、そして14の偽陽性結果が得られた。これは、95.1%の特異性であった。スクリーニングアッセイにより同定された偽陽性は、動物特異的アッセイで同定される可能性がある。0.2%及び1%動物原材料を陽性に添加された全てのサンプルは、正しく予測され、100%の感受性を与えた。2%原材料を添加された陰性サンプルのうち、1つは、陰性であると誤って予測され、99.63%の特異性を与えた。この結果を表6に要約して示す。
【0097】
【表6】

【0098】
スクリーニングアッセイにより試験された872のサンプルのうち、273は、陰性と同定され、全部で599のサンプルが陽性とみなされた。これらの599の陽性サンプルは、動物特異的アッセイを用いてさらに分析された。これらの結果は、表7に要約される。
【0099】
【表7】

【0100】
本スクリーニングアッセイを用いて分析された872のサンプルのうち、857は正しく予測され、これは全体として98.2%の正確性を与えた。添加サンプル586のうち585は、陽性であると同定された。0.2%レベルで添加された全てのサンプルは、動物特異的アッセイを用いて正しく同定された。この0.2%レベルでの100%の特異性は、このレベルの汚染原材料を含むサンプルが同定されるという強力な証拠を提供する。スクリーニングアッセイは、現在使用される現存のスクリーニングELISAに比べて信頼が置け、より感受性が高く、堅牢かつ安価な代替を提供し、そして場合により動物特異的アッセイと合わせて、動物同定の価値ある方法であると証明されうる。
【0101】
実施例2
実施例1の結果に基づき、出願人は、動物飼料中の加工された動物原材料から得たDNAの検出のための以下の操作手順(OP)を提案する。
【0102】
導入
OPの目的/範囲
このOPは、感受性リアルタイムPCRアッセイを用いて加工された動物飼料からのDNAの存在について動物飼料を試験する詳細な研究室プロトコルを提供する。本試験は、4つの主要な段階:a)DNA抽出のためのサンプル調製、b)プレート調製、c)PCR反応、d)データ処理及び結果の解釈を有する。
【0103】
背景情報
欧州共同体広域飼料制御(TSE規則(イングランド)を通して実施されている)は、食品生産のために維持され、肥育され、又は飼育される動物に加工動物タンパク質を与えることを禁止した。BSEを根絶し、そしてヒト型のCJDを予防するために、動物飼料における動物タンパク質の使用の禁止が施行されている。現在の法律を実行するために、動物飼料、特に反芻動物飼料中に禁止タンパク質を検出することができることが必須である。形態に基づき温度に安定な固体構造の分析を通した動物原材料の同定に関する顕微鏡分析は、現在、動物飼料中の動物起源の構成物質を検出するための欧州共同体に認められた唯一の公的方法である。
【0104】
PCRに基づく技術における標的として動物DNAを使用することは、現在の試験にサポートを提供する。なぜなら、DNAはタンパク質よりも加工温度に対してより抵抗性であるからである。この技術は、16s rRNAミトコンドリアDNA標的配列の一部を増幅するためにリアルタイムPCRを使用し、生成された任意のアンプリコンを分析する。
【0105】
方法に関与する原理
DNAは、40gの飼料サンプルから抽出される。飼料サンプルは、加熱ステップを用いてリン酸緩衝液中で脱ペレット化され、そして次に、サブサンプルは、Chelexレジンで処理される。混合物をボルテックスし、遠心し、そしてDNAを含む上清の一定量を試験に用いた。サンプルDNAを、試験プレート中に緩衝液、プライマー、プローブ、pUC18及びポリメラーゼ酵素を含むマスターミックスに入れた。PCR反応は、ABI prism7900配列検出器で行った。システムは、標的がPCR反応の間に増幅されるならば蛍光をもたらす。蛍光は、PCRプレート中で直接検出され、そして結果を、蛍光シグナルの強度に基づいて計算される。特異的プライマー及び異なる蛍光プローブを有する内部対照DNAを用いて、増幅の抑制が存在するかを評価するために用いる。Ct(閾値)は、その反応の間で各サンプルについて計算し、そして対照サンプルのCt値に基づきプレート毎に定めたカットオフレベルに比べられる。
【0106】
材料
説明とソフトウェア
ABI SDS ソフトウェア、バージョン2.0又はそれ以降。
TaqMan(登録商標)アッセイシート(製品説明書を参照こと)。
【0107】
化学物質及び試薬
リン酸緩衝液、pH7.2+0.1(0.1M)、
溶液A:1リットルの蒸留水に溶解された14.2gのオルトリン酸水素二ナトリウム(無水)、
溶液B:1リットルの蒸留水に溶解された15.6gのオルトリン酸水素ナトリウム(二水和物)、
720mlの溶液Aを280mlの溶液Bと混合し、pHが7.2+0.1であることをチェックする(ハイスループット用に、さらに多くの量を調製できるが、7日を超えて貯蔵すべきではない)。
特性がバッチ間で、及び製造業者間で変化することがあるので、各新たなTaqMan試薬を評価すべきである。新たなバッチのPCRマスターミックス成分(試薬、プローブ、又はプライマー)は、一回で導入すべきであり、そして目的についての適合を測定するために試験される。Applied BiosystemsのTaqManユニバーサルPCRマスターミックスが現在使用されている。他の供給業者からの同等の試薬であって、この目的に適合することが示された試薬が使用されてもよい。
pUC18プラスミドDNA(Sigmaカタログ番号D4154)、
DNA及びRNAフリーと保障された分子生物学品質の水(Sigmaカタログ番号W4502)、
HPLC精製された特異的及び対照プライマー、上記表1及び2を参照のこと。
【0108】
対照サンプル
陰性対照:等量の菜種、大豆、ひまわり及びとうもろこしを含む陰性飼料ストック。成分がGAFTAにより供給される。
陽性対照:Prosper de Mulder により供されるウシ、ヒツジ、ブタ、及びトリ組織。英国水産業会により供される魚組織。
【0109】
装置
ABI PRISM 1900HT配列検出装置及びPC、
40g±5gのあいだで計測可能な電子天秤(0〜3kg)、
0.2g±0.02gのあいだで計測可能な電子天秤(0〜100g)、
マイクロチューブを13000rpm(11000×g)でスピンさせることができる固定ローターを備える遠心機、
96ウェルプレートをスピンさせるための遠心機(2000rpm[700×g])、
0.1〜1000μlの体積を正確に文中することができる調節可能な一連の単一チャネルピペット、
1〜10μlの範囲のマルチチャネルピペット、
層流キャビネット又はクラスII安全キャビネット、
大気圧で95℃±4℃で実行可能なオートクレーブ、
-18℃未満のフリーザー、
ボルテックスミキサー。
【0110】
消耗品
ABI PRISM光学カバー圧縮パッド(Applied Biosystems)、
ABI 粘着カバー(Applied Biosystems)
光学96ウェル反応プレート(Applied Biosystems)
ピペッター用のフィルタ-バリアーチップ(VWR)
滅菌遠心管、0.6〜1.7ml(Alpha Labs又は他の評判のよい供給業者)
滅菌プラスチック製ビジョー(bijoux)(VWR)
オートクレーブ可能なコンテナ(1l体積)
適切なサイズの計測シリンダー
【0111】
方法
サンプル同定及び取り扱い
参照番号と受託日の固有の組み合わせにより各提出を同定する。サンプルの取り扱いは、関連の安全のための手順に従うべきである。
【0112】
サンプル調製
40±5gのサンプルに、360mlの0.1Mリン酸緩衝液pH7.2±0.1を加えた。オートクレーブに適した容器内にて室温で15分間浸漬した。95±5℃で15分間オートクレーブした。0.2±0.02gのChelexを計量して1.7mlマイクロ遠心チューブに入れた。オートクレーブからサンプルを取り出し、そして液面の下約1cmのところから1mlの上清を抽出した。Chelexを含む遠心チューブに移した。
【0113】
最大速度で20秒間ボルテックスした。サンプルを13000rpm(11000×g)で10分±60秒間サンプルを遠心した。10μlの上清を取り除き、そして90μlの分子実験品質の蒸留水を加えた。抽出物をすぐに用いるか、又は試験前において-18℃未満に保持した。
【0114】
ワーキング溶液の調製
プライマー:オリゴヌクレオチド(オリゴ)プライマーを、一定量のストック溶液を形成し、そして貯蔵するため、再構成及び希釈を必要とする凍結乾燥ペレットとして提供する。
【0115】
生物学的品質の水中にオリゴペレットを溶解して、100μMの溶液を与えた。ボルテックスによりよく混合し、そして室温で2分間静置し、再び混合した。
【0116】
0.6mlマイクロ遠心チューブに50μl又はそれ未満の量に100μMのプライマーを分注した。プライマーにラベルを付し、そして-18℃未満で貯蔵した。
【0117】
プローブ:プローブを1ml生物学的品質の水に再懸濁した。50μlの一定量を0.6mlのマイクロチューブに分注し、ラベルを付し、そして-18℃未満で貯蔵した。
【0118】
pUC18:pUC18ストックを1/15000に希釈した。50μlの一定量を0.6mlマイクロ遠心チューブに分注し、ラベルを付し、そして-18℃で貯蔵した。
【0119】
水:25mlのユニバーサルに分注し、そして室温で貯蔵した。
【0120】
陰性及び陽性対照の調製
陰性対照:40g±5gの陰性飼料ストックを上に記載されるように処理し、そしてChelex抽出物を回収する。この陰性対照は、すぐに使用できるか、又は-18℃で1年間貯蔵されうる。陰性対照物質の新たなバッチは、目的に対する適合を確立するため古いバッチと平行して試験されるべきである。
【0121】
陽性対照(0.2%):40g±5gの陰性飼料ストックを0.08gのウシ/ブタ/ヒツジ/トリ/魚肉骨粉を個別に添加し、そして上に記載されるように処理し、そしてChelex抽出物を回収した。陽性対照は、すぐに使用できるか、又は-18℃で1年間貯蔵されてもよい。新たな陽性対照原材料のバッチは、目的に対する適合を確立するために、古いバッチと平行して試験されるべきである。
【0122】
PCRマスターミックスの調製
アッセイに依って、必要とされるプライマーとプローブ濃度を計算し、そして使用される試験の数(ウェル)依存した合計体積を調節する。一定量のプライマー、プローブ、pUC18及びTaqManユニバーサルマスターミックスを冷蔵庫/冷凍庫からとり、そして室温に達しさせた。軽くチューブをタップして内容物をチューブの底に落とした。クリーンルーム安全キャビネット内で作業し、各試薬の必要とされる体積を7mlのBijouxにピペットで移した。この時点でpUC18を加えてはならない。研究室に戻り、そして必要とされる量pUC18を加える。全ての試薬が加えられたら、マスターミックスを5〜10秒間ボルテックスした。
【0123】
TaqManプレートのセットアップ
一般的スクリーニングアッセイでは、1以上のプレートを幾つかのテンプレートを含まない対照(NTC's)、トリ組織を除いた各組織タイプについて少なくとも1の陽性対照についての反応液を含むように1以上のプレートを設定し、当該プレートは、少なくとも6の反応液、陰性対照、及び試験されるサンプルを有すべきである。種特異的アッセイでは、上と同じレイアウトを使用すべきであるが、標的種についての少なくとも6の陽性対照反応液は、Ctカットオフ値を計算するために含められる。
【0124】
23μlのマスターミックス(上を参照のこと)を、96ウェルの光学反応プレートの各ウェルに加えた。2μlの適切なサンプルDNA又は対照DNAを96ウェルプレートに加える。ABI PRISM光学粘着カバー及びシールでプレートを覆った。プレートを2000rpm(700×g)で3秒間遠心して、ウェルの内容物を落とし、そして空気の泡を取り除いた。空気の泡が存在する場合、遠心を繰り返した。
【0125】
TaqManアッセイの実施
PCRプレートをABIプリズム7900に配置し、そしてサイクルを実行する。サイクル条件は以下のとおりである:50℃で2分間、続いて95℃で10分間、(95℃で15秒間及び53.6℃で1分間)を40サイクル。製品説明書及び研究室の手順にしたがってデータを分析した。
【0126】
分析結果
習熟した技師のみが、結果を分析しそして解釈すべきである。データを観察及び分析するために利用できる多くのソフトウェアオプションが存在する。
【0127】
内部対照pUC18のCt値は、反応が成功したか又はポリメラーゼ阻害剤の存在により阻害されたかを指し示す。許容される範囲(24.5サイクル〜11.9サイクル)からはずれたCt値は、阻害を示し、そして問題のサンプルを再テストすべきである。続いて生じる試験が、許容される範囲からはずれた内部対照値を生成するならば、結果は決定的ではないものとして記録されるべきである。NTC増幅が、39〜40の間のCt値を有するべきである。蛍光が生じる場合、蛍光はプローブの熱変性のため生じ、そして試験は繰り返されるべきである。
【0128】
一般的なスクリーニングアッセイでは、ウシ、ヒツジ、及びブタDNAに比べた場合に、トリDNAは最も高い閾値サイクルを有し、その結果6個のトリ陽性対照Ct値は、このアッセイについてのカットオフ値を生成するために使用される。6ウェルの平均±3の標準偏差(SD)が、カットオフ値を計算するために使用される。この値未満又はこの値に等しいCt値を生成するサンプルが陽性であると記録される。このカットオフ値よりも高いCt値を有するサンプルは、陰性と記録される。
【0129】
特異的アッセイでは、種得意適用性対象について使用された6ウェルのCt値が、カットオフ値を決定するために使用される。6ウェルの平均±3の標準偏差(SD)が、カットオフ地を計算するために使用される。この値より低いか又はこの値に等しいCt値を生成するサンプルは、陽性であると記録される。このカットオフよりも高いCt値を有するサンプルは陰性であると記録される。
【0130】
本発明が好ましい又は例示的な実施態様を参照して記載されたが、当該態様に様々な主食及び変更が、本発明の本質及び範囲から逸脱することなくなされうるということが当業者により認識され、そしてこのような変更は、明らかに本明細書において考慮されている。本明細書に開示され、そして添付の特許請求の範囲に記載された具体的実施態様に関して制限がないことが意図されるか、又は推測されるべきである。
【0131】
本明細書に引用された全ての文書は、本明細書が各参考文献について具体的に言及されているか否かにかかわらず、その全てが本明細書に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルから核酸を抽出する方法であって、以下のステップ:
(i)インキュベート緩衝液中に約30〜250g、例えば約35〜45g、又は約40gのサンプルをインキュベートし;
(ii)ステップ(i)でインキュベートされたサンプルをオートクレーブし;そして
(iii)ステップ(ii)でオートクレーブされたサンプル又はサンプルの一部を、金属キレート剤、例えば金属キレートイオン交換レジンと混合する
を含む、前記方法。
【請求項2】
以下のステップ:
(iv)ステップ(iii)のサンプル又はその一部から金属キレート剤を沈渣させて、抽出された核酸を含む上清を生成する、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記インキュベート緩衝液が、リン酸緩衝液、例えば約0.05〜0.2M又は約0.1Mの濃度のリン酸緩衝液、例えばリン酸ナトリウム緩衝液である、請求項1又は2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記インキュベート緩衝液が、サンプルの重量の約500〜1500%(v/w)、サンプル重量の例えば約900%(v/w)である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記インキュベート緩衝液、例えばリン酸ナトリウム緩衝液が、約6.5〜7.5、又は約7.2のpHを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(i)におけるインキュベートが、約5〜60分、又は約10〜30分、例えば約15分間行なわれる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記サンプルが、ステップ(ii)において、約85〜120℃、又は約90〜100℃、例えば約95℃で、そして場合により約5〜60分、又は約10〜30分、例えば約15分間オートクレーブされる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記サンプルが、ステップ(ii)において大気圧で又はその付近でオートクレーブされる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記金属キレート剤、例えば対となったイミノジアセテートイオンを含むスチレンジビニルベンゼン・コポリマーであるレジン、例えばChlex100、が、多価金属イオンをキレートする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(iv)において、例えば約10000〜12000×g、又は約11000×gで遠心することにより、前記金属キレート剤、例えば金属キレートイオン交換レジンを沈渣させる、請求項2〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記サンプルが、動物飼料、例えば反芻動物飼料に由来する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記サンプルが、加工された動物原材料、例えば加工動物タンパク質(PAP)又は肉骨粉(MBM)を含み、又はこれらの存在について試験される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記サンプルが、動物又は反芻動物ミトコンドリアDNA、例えば16S RNA遺伝子をコードするミトコンドリアDNAを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記サンプルが、動物、反芻動物、ウシ、ヒツジ、ブタ、トリ、及び魚からなる群のうちの1以上に由来するDNAを含む、請求項1〜13のいずれか一向に記載の方法。
【請求項15】
前記サンプルが動物飼料であり、そして当該方法が以下のステップ:
(i)約35〜45gのサンプルを、約7.1〜7.3のpHの0.1Mリン酸ナトリウム中に約10〜20分間、例えば約15分間、場合により室温でインキュベートし、
(ii)ステップ(i)でインキュベートされたサンプルを、約90〜100℃で、約10〜30分間、例えば約15分間、大気圧又は大気圧付近でオートクレーブし;そして
(iii)ステップ(ii)でオートクレーブされたサンプルの一部を、金属キレートイオン交換レジン、例えばChelex100と混合させる
を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
約10000〜12000×g、又は約11000×gで遠心することにより、ステップ(iii)のサンプルの一部からレジンを沈積させるさらなるステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記上清又はステップ(iv)からのその一定量が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)又はリアルタイムPCRアッセイなどの増幅反応において使用される、請求項2〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
(v) 核酸、例えばミトコンドリアDNAなどのDNAの有無を検出するステップをさらに含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記核酸が、加工された動物原材料、例えばPAP又はMBMに由来する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記核酸が、PCR又はリアルタイムPCRを用いてステップ(v)で検出される、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
以下のステップ:
(i)請求項1〜17に定義される方法に従ってサンプルからDNAを抽出し;そして
(ii)PCR又はリアルタイムPCRなどの増幅反応を用いて、抽出されたDNAを増幅する
を含む、サンプル中のDNAを増幅する方法。
【請求項22】
ステップ(ii)で増幅されたDNAが、加工された動物材料、例えばPAP又はMBMに由来する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記PCR又はリアルタイムPCRが、プライマー対を使用し、そしてリアルタイムPCRの場合さらにプローブを使用し、ここで当該プライマー及びプローブが、以下の:動物、反芻動物、ウシ、ヒツジ、ブタ、トリ、及び魚組織のうちの1以上に特異的である、請求項21又は請求項22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記プライマー対及びプローブが、動物、反芻動物、ウシ、ヒツジ、ブタ、トリ、及び魚組織からなる群の1以上に由来するミトコンドリアDNA、例えば16S RNA遺伝子をコードするミトコンドリアDNAに特異的である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記プライマー対及びプローブのそれぞれが、配列番号1、2、及び3(動物特異的)、配列番号4、5、及び6(ウシ特異的)、配列番号7、8、及び9(ヒツジ特異的)、配列番号10、11、及び12(ブタ特異的)、配列番号13、14、及び15(トリ特異的)、及び配列番号16、17、及び18(魚特異的)からなる配列の群から選ばれる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記プライマー対及びプローブが、ブタ、トリ、及び魚組織からなる群の1以上に由来する16S RNAをコードするミトコンドリアDNAに特異的である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記プライマー対及びプローブがそれぞれ、配列番号10、11、及び12(ブタ特異的)、配列番号13、14、及び15(トリ特異的)、及び配列番号16、17、及び18(魚特異的)からなる配列の群から選ばれる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記PCR又はリアルタイムPCRが、プライマーセットをさらに使用し、そしてリアルタイムPCRの場合さらに、プローブを使用し、ここで当該プライマーセット及びプローブが、当該サンプルに外因性なDNA、例えば配列番号19、20、及び21に記載される配列に特異的である、請求項20〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記リアルタイムPCRが、TaqManプローブを用いて行なわれる、請求項17〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
磁石によるDNA増幅、例えばPromega(Madison, WI, USA)から販売された食品ついてのWizard Magnetic DNA精製システムの使用を排除する、請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
RNAseの使用を排除する、請求項1〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
WhatmanFTA(登録商標)カードの使用を排除する、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記インキュベート緩衝液が、TritonX-100などの界面活性剤を排除する、請求項1〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
配列番号1及び2(動物特異的)、配列番号4及び5(ウシ特異的)、配列番号7及び8(ヒツジ特異的)、配列番号10及び11(ブタ特異的)、配列番号13及び14(トリ特異的)、及び配列番号16及び17(魚特異的)からなる配列の群から選ばれ、そして場合により、当該サンプルに外因性のDNA、例えば配列番号19及び20に記載される配列に特異的なプライマーセットを場合によりさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項35】
リアルタイムPCRを用いてサンプル由来のDNAを増幅するキットであって、それぞれ、配列番号1、2、及び3(動物特異的)、配列番号4、5、及び6(ウシ特異的)、配列番号7、8、及び9(ヒツジ特異的)、配列番号10、11、及び12(ブタ特異的)、配列番号13、14、及び15(トリ特異的)、及び配列番号16、17、及び18(魚特異的)からなる配列の群から選ばれ、そして場合により、当該サンプルに外因性であるDNA、例えば配列番号19、20及び21に記載される配列に外因性のDNAに特異的なプライマーセット及びプローブをさらに含む、前記キット。
【請求項36】
加工された動物原材料、例えばPAP又はMBM、を飼料サンプルから増幅するための、請求項34又は35に記載のキット。
【請求項37】
配列番号1〜21、例えば配列番号10〜18に記載される配列に記載される1以上の配列を含む単離核酸。
【請求項38】
請求項1〜33に記載の方法に従って得ることができる抽出核酸。
【請求項39】
実質的に明細書に記載されるサンプルに由来する核酸を抽出する方法。
【請求項40】
実質的に明細書に記載されるサンプル中のDNAの増幅方法。
【請求項41】
実質的に明細書に記載されるサンプルに由来するDNAの増幅するためのキット。

【公表番号】特表2009−534025(P2009−534025A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505953(P2009−505953)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際出願番号】PCT/GB2007/001413
【国際公開番号】WO2007/119066
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(503440314)
【Fターム(参考)】