検出光学系および走査型顕微鏡
【課題】分光検出機能を備え、回折効率を向上して検出光量を高めることができる検出光学系を提供する。
【解決手段】標本からの蛍光を複数の波長帯域に分光する透過型のVPH回折格子11と、VPH回折格子11を標本からの蛍光の入射光軸とVPH回折格子11からの出射光軸とに直交する軸線L回りに回転させる回転機構と、VPH回折格子11により分光された標本からの蛍光を検出する光検出部15と、回転機構と同期して、VPH回折格子11の回転によって生じる光軸の変位に応じて光検出部15への入射位置を補正する補正手段とを備える検出光学系10を採用する。
【解決手段】標本からの蛍光を複数の波長帯域に分光する透過型のVPH回折格子11と、VPH回折格子11を標本からの蛍光の入射光軸とVPH回折格子11からの出射光軸とに直交する軸線L回りに回転させる回転機構と、VPH回折格子11により分光された標本からの蛍光を検出する光検出部15と、回転機構と同期して、VPH回折格子11の回転によって生じる光軸の変位に応じて光検出部15への入射位置を補正する補正手段とを備える検出光学系10を採用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出光学系およびこれを備える走査型顕微鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、分光検出機能を備えた走査型共焦点顕微鏡が知られている(例えば特許文献1参照)。分光検出機能を備えた走査型共焦点顕微鏡の多くは蛍光観察に用いられるが、通常、蛍光は微弱であり、単位時間当たりに得られる蛍光の光量は少ない。また、走査型共焦点顕微鏡の場合、標本を高速に走査するため、標本上の各点を励起する時間も短い。このため、明るい画像を得るためには、発生量が限られる蛍光を効率良く光検出部に導くことが求められる。
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示されるように、現在利用されている分光検出機能を備えた走査型共焦点顕微鏡は、分光手段として反射型回折格子を利用しているため、広い波長域で高い回折効率を得ることができない。これは、反射型回折格子は、一般に、表面のレリーフ構造を利用して回折光を得る表面レリーフ回折格子であり、表面レリーフ回折格子の回折効率は、最大でも70%程度であるからである。
【0004】
分光手段は、一般に、光量の損失が大きな光学素子であるため、分光検出機能を備えた走査型共焦点顕微鏡では、分光手段で生じる光量損失を抑制することが、光の利用効率の改善に効果的である。
【0005】
分光手段で生じる光量損失の抑制を目的とする技術は、例えば、特許文献2に開示されている。特許文献2に開示される技術では、分光手段である反射型回折格子の偏光依存性に着目し、入射光をより高い回折効率を示すS偏光に変換してから入射させることで、分光手段で生じる光量損失の抑制を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−010944号公報
【特許文献2】特開2006−153587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に開示される技術では、回折効率を改善して反射型回折格子自体で生じる光量損失は抑制されるが、反射型回折格子の前後の光学系が複雑化してしまう。また、複雑化した光学系で光量の損失が生じてしまう。
【0008】
例えば、入射光はP偏光とS偏光に分割されて、それぞれ異なる光路を通って反射型回折格子に導かれる。このため、入射光をP偏光とS偏光に分割する偏光ビームスプリッタが用いられるが、その偏光ビームスプリッタで光量の損失が生じてしまう。また、P偏光をS偏光に変換するために偏光を回転させる波長板が用いられるが、その波長板でも光量の損失が生じてしまう。
このため、反射型回折格子自体の回折効率が改善されても、顕微鏡全体として光の利用効率が十分に改善されないという不都合がある。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、分光検出機能を備え、回折効率を向上して検出光量を高めることができる検出光学系およびこれを備える走査型顕微鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明の第1の態様は、標本からの光を複数の波長帯域に分光する透過型のVPH回折格子と、該VPH回折格子を前記標本からの光の入射光軸と前記VPH回折格子からの出射光軸とに直交する軸線回りに回転させる回転機構と、前記VPH回折格子により分光された前記標本からの光を検出する光検出部と、前記回転機構と同期して、前記VPH回折格子の回転によって生じる光軸の変位に応じて前記光検出部への入射位置を補正する補正手段とを備える検出光学系である。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、標本からの光が、透過型のVPH(Volume Phase Holographic)回折格子により複数の波長帯域の光に分光される。VPH回折格子により分光された標本からの光は、光検出部により検出される。この場合において、VPH回折格子は、回転機構により、標本からの光の入射光軸と前記VPH回折格子からの出射光軸とに直交する軸線回りに回転される。これにより、VPH回折格子の回折効率を向上させて、光検出部により検出される光量を向上することができる。
【0012】
この場合において、VPH回折格子を回転させることで、VPH回折格子を透過した標本からの光の光軸が変位してしまう。この際、補正手段により、回転機構の動作と同期して、VPH回折格子の回転によって生じる光軸の変位に応じて光検出部への入射位置を補正することができる。これにより、VPH回折格子により分光された標本からの光を、確実に光検出部の所定位置において検出することができ、その分光精度を向上することができる。
以上のように、本発明の第1の態様によれば、光検出部により検出される光量を向上するとともに、標本からの光の分光精度を向上することができる。
【0013】
上記態様において、前記補正手段が、前記標本からの光を反射する反射部と、前記回転機構と同期して、前記反射部を前記VPH回折格子の回転軸線に平行な軸線回りに回転させる反射部回転機構とを備えることとしてもよい。
反射部回転機構により、回転機構と同期して反射部をVPH回折格子の回転軸線に平行な軸線回りに回転させることで、VPH回折格子の回転によって生じる光軸の変位に応じて光検出部への入射位置を補正することができる。このように補正手段を構成することで、標本からの光の分光精度を向上するとともに、光学系全体をコンパクトにして装置の小型化を図ることができる。
【0014】
上記態様において、前記反射部回転機構が、以下の式に基づいて、前記反射部を前記標本からの光の入射光軸に直交する軸線回りに角度Δα/2だけ回転させることとしてもよい。
Δα=2sin-1{N(λstd+Δλ)/2}−sin-1(Nλstd/2)−sin-1{N(λstd/2+Δλ)}
ここで、
Δα:前記VPH回折格子を透過した標本からの光の光軸のずれ角度
N:前記VPH回折格子の特性によって決定される定数
λstd:前記VPH回折格子の角度が基準角度のときに最大効率となる波長
Δλ:検出対象の波長と最大効率となる波長(λstd)との差
である。
【0015】
上記の式に基づいて、反射部をVPH回折格子の回転軸線に平行な軸線回りに回転させることで、VPH回折格子の回転によって生じる光軸の変位を効果的に補正することができる。これにより、標本からの光の分光精度を向上することができる。
【0016】
上記態様において、前記補正手段が、前記光検出部を前記VPH回折格子の回転軸線回りに回転させる光検出部回転機構を備えることとしてもよい。
光検出部回転機構により、光検出部をVPH回折格子の回転軸線回りに回転させることで、VPH回折格子の回転によって生じる光軸の変位に応じて光検出部への入射位置を補正することができる。このように補正手段を構成することで、標本からの光の分光精度を向上するとともに、反射部等の光学部材を無くして該光学部材による標本からの光のロスを無くすことができ、光検出部による検出効率を向上することができる。
【0017】
上記態様において、前記光検出部回転機構が、以下の式に基づいて、前記光検出部を前記VPH回折格子の回転軸線回りに角度Δαだけ回転させることとしてもよい。
Δα=2sin-1{N(λstd+Δλ)/2}−sin-1(Nλstd/2)−sin-1{N(λstd/2+Δλ)}
ここで、
Δα:前記VPH回折格子を透過した標本からの光の光軸のずれ角度
N:前記VPH回折格子の特性によって決定される定数
λstd:前記VPH回折格子の角度が基準角度のときに最大効率となる波長
Δλ:検出対象の波長と最大効率となる波長(λstd)との差
である。
【0018】
上記の式に基づいて、光検出部をVPH回折格子の回転軸線回りに回転させることで、VPH回折格子の回転によって生じる光軸の変位を効果的に補正することができる。これにより、標本からの光の分光精度を向上することができる。
【0019】
上記態様において、前記光検出部がマルチチャンネル光電子増倍管であることとしてもよい。
光検出部をマルチチャンネル光電子増倍管とすることで、VPH回折格子により分光された標本からの光(複数の波長帯域の光)を同時に検出することができ、リアルタイムでの分光観察を行うことができる。
【0020】
上記態様において、前記光検出部に入射する光の波長を選択する波長選択スリットを備え、前記光検出部が単チャンネル光電子増倍管であることとしてもよい。
光検出部を単チャンネル光電子増倍管とし、波長選択スリットにより光検出部に入射する光の波長を選択することで、VPH回折格子により分光された標本からの光(複数の波長帯域の光)のうち選択した波長の光を検出することができる。このように構成することで、装置コストの低減を図ることができる。
【0021】
本発明の第2の態様は、光源と、該光源から射出された光を標本上で走査する走査部と、該走査部により走査された光を標本に集光する一方、前記標本からの光を集める対物光学系と、上記の検出光学系とを備える走査型顕微鏡である。
本発明の第2の態様によれば、前述の検出光学系を備えているため、光検出部により検出される光量を向上するとともに、標本からの光の分光精度を向上して、標本の観察精度を向上することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、回折効率を向上して検出光量を高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の各実施形態に係る顕微鏡の概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る検出光学系の概略構成図である。
【図3】図2の光検出部への入射位置を補正する具体的な方法を説明する図である。
【図4】図2の光検出部への入射位置を補正する具体的な方法を説明する図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る検出光学系の概略構成図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る検出光学系の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態に係る検出光学系およびこれを備える顕微鏡について図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る顕微鏡1は、共焦点走査型顕微鏡であり、図1に示されるように、レーザ光を射出するレーザ光源2と、レーザ光と標本Aからの蛍光とを分岐するダイクロイックミラー3と、レーザ光を標本上で2次元走査するスキャンユニット(走査部)4と、対物レンズ(対物光学系)5と、共焦点レンズ6と、対物レンズ5の焦点位置と共役な位置にピンホールを有する共焦点絞り7と、コリメータレンズ8と、検出光学系10とを備えている。
【0025】
レーザ光源2は、標本A中の蛍光物質を励起させて蛍光を発生させるレーザ光(励起光)を射出するようになっている。
ダイクロイックミラー3は、レーザ光源2からのレーザ光を反射する一方、レーザ光が照射されることで標本Aにおいて発生した蛍光を透過させるようになっている。
【0026】
スキャンユニット4は、一対のガルバノミラー(図示略)を有しており、該一対のガルバノミラーの揺動角度を変化させ、ラスタスキャン方式で駆動されるようになっている。これにより、レーザ光源2からのレーザ光を標本A上において2次元的に走査させることができるようになっている。
【0027】
対物レンズ5は、レーザ光源2からのレーザ光を標本Aに集光する一方、標本Aにおいて発生した蛍光を集めるようになっている。対物レンズ5によって集められた蛍光は、レーザ光とは逆の順路を辿り、スキャンユニット4を経てダイクロイックミラー3を透過する。
共焦点レンズ6は、ダイクロイックミラー3を透過してきた標本Aからの蛍光を集光するようになっている。
【0028】
共焦点絞り7は、標本Aの焦点面において発生した蛍光のみを通過させるようになっている。これにより、対物レンズ5の焦点位置以外において発生した蛍光が遮断されるようになっている。
コリメータレンズ8は、共焦点絞り7を通過してきた蛍光を平行光にして検出光学系10に入射させるようになっている。
【0029】
検出光学系10は、図2に示すように、標本Aからの蛍光を複数の波長帯域に分光する透過型のVPH回折格子11と、VPH回折格子11を透過してきた蛍光を反射する反射ミラー(反射部)12と、反射ミラー12により反射された蛍光を結像する結像レンズ14と、結像レンズ14により結像された蛍光を検出する光検出部15とを備えている。
【0030】
VPH回折格子11は、透過型のVPH(Volume Phase Holographic)回折格子であり、図3に示すように、主直線PLに沿って屈折率が周期的に変化するVPH層を有している。このような構成を有することで、VPH回折格子11は、標本Aからの蛍光を複数の波長帯域に分光するようなっている。
【0031】
具体的には、VPH回折格子11は、入射光と平行な方向に0次回折光を射出し、0次回折光から波長毎に異なる角度で1次回折光を射出する透過型回折格子であり、反射型の回折格子に比べて高い回折効率で広帯域の回折特性を有している。
【0032】
また、透過型回折格子(VPH回折格子11)を含む一般の回折格子では、入射角αと回折角βの間に下式が成り立つ。
sinα+sinβ=Nλ
上式において、Nは回折格子の格子周波数、λは回折格子への入射波長である。
上式において、Nとλが一定の場合、α=βの近傍では、出射角α+βはほとんど変化しない。このため、透過型回折格子では、入射角が変化しても、0次光に対する1次回折光の出射角は波長毎に略一定となり、入射角によらず回折方向が略一定に維持される。特に、格子周波数Nが小さいときにはこの近似が精度良く成り立つ。
【0033】
また、本実施形態におけるVPH回折格子11は、VPH回折格子11を標本Aからの蛍光の入射光軸とVPH回折格子11により回折された出射光の光軸とに直交する軸線L回りに回転させる回転機構(図示略)を有している。この回転機構によりVPH回折格子11を回転させることで、標本Aからの蛍光のVPH回折格子11による回折効率を向上させるようになっている。
【0034】
また、図2に示すように、反射ミラー12には、上記の回転機構と同期して、反射ミラー12を標本Aからの蛍光の入射光軸に直交する軸線回りに回転させる反射部回転機構(補正手段)13が備えられている。反射部回転機構13により反射ミラー12を回転させることで、VPH回折格子11の回転によって生じる光軸の変位に応じて光検出部15への入射位置を補正するようになっている。なお、光検出部15への入射位置を補正する具体的な方法については後述する。
【0035】
光検出部15は、標本Aからの蛍光を検出するチャンネル(符号15a,15b,・・・)が蛍光の分光方向に複数配列されて構成されたマルチチャンネルPMT(Photomultiplier Tube:光電子増倍管)である。光検出部15は、VPH回折格子11により分光された複数の波長帯域の光を、各チャンネルによりそれぞれ検出するようになっている。
【0036】
上記構成を有する本実施形態に係る顕微鏡1の作用について以下に説明する。
図1に示すように、レーザ光源2から射出されたレーザ光は、ダイクロイックミラー3により反射されて、スキャンユニット4を介して対物レンズ5に入射する。対物レンズ5は、レーザ光を標本Aの1点に集光させて照射する。これにより、標本A中の蛍光物質がレーザ光により励起されて蛍光が発生する。
【0037】
標本Aからの蛍光は、レーザ光と同じ光路を反対向きに進行し、対物レンズ5及びスキャンユニット4を介してダイクロイックミラー3に入射する。そして、標本Aからの蛍光は、ダイクロイックミラー3を透過して、共焦点レンズ6により集光される。共焦点絞り7は、対物レンズ5の焦点位置と光学的に共役な位置にピンホールを有しているため、対物レンズ5の焦点位置から生じた蛍光のみが共焦点絞り8を通過する。その後、蛍光は、コリメータレンズ8で略平行光束に変換されて、検出光学系10に入射する。
【0038】
検出光学系10では、図2に示すように、標本Aからの蛍光は、VPH回折格子11により複数の波長帯域の光に分光される。この際、VPH回折格子11では、蛍光は回折されて、波長毎にそれぞれ異なる回折角で射出される。波長毎に異なる回折角で射出された1次回折光(蛍光)は、反射ミラー12により反射されて、波長毎に光軸に対して異なる角度で結像レンズ14に入射する。このため、1次回折光は、結像レンズ14により、波長毎に光検出部15の異なる位置(チャンネル)に入射して、波長毎に異なるチャンネルで検出される。
【0039】
光検出部15で検出された1次回折光(蛍光)は、電気信号に変換されて、スキャンユニット4によって標本Aを走査することにより得られる標本Aの各点に関する電気信号に基づいて、蛍光画像の形成やその他の分析等が行われる。そして、その蛍光画像や分析結果がモニター等の表示手段(図示略)に表示される。
【0040】
この場合において、検出したい蛍光の波長に応じて、VPH回折格子11は、図示しない回転機構により、標本Aからの蛍光の入射光軸とVPH回折格子11により回折された出射光の光軸とに直交する軸線L回りに回転される。これにより、VPH回折格子11の回折効率を向上させて、光検出部15により検出される蛍光の光量を向上することができる。
【0041】
この際、VPH回折格子11を回転させることで、VPH回折格子11を透過した標本Aからの蛍光の光軸が変位してしまう。この場合において、回転機構の動作と同期して、反射部回転機構13により反射ミラー12を回転させることで、VPH回折格子11の回転によって生じる光軸の変位に応じて、光検出部15への入射位置を補正することができる。これにより、VPH回折格子11により分光された標本Aからの蛍光を、確実に光検出部15の所定位置(チャンネル)において検出することができ、その分光精度を向上することができる。
以上のように、本実施形態に係る検出光学系10およびこれを備える顕微鏡1によれば、光検出部15により検出される光量を向上するとともに、標本Aからの蛍光の分光精度の向上することができる。
【0042】
また、光検出部15への入射位置を補正する補正手段を、上記の反射ミラー12および反射部回転機構13で構成することで、標本Aからの蛍光の分光精度を向上するとともに、光学系全体をコンパクトにして装置の小型化を図ることができる。
【0043】
また、光検出部15をマルチチャンネルPMTとすることで、VPH回折格子11により分光された標本Aからの蛍光(複数の波長帯域の光)を同時に検出することができ、リアルタイムでの分光観察を行うことができる。
【0044】
ここで、光検出部15への入射位置を補正する具体的な方法、すなわち、反射部回転機構13による反射ミラー12の回転角度を調節する際の具体的な方法について、図3および図4を用いて以下に説明する。ここでは、VPH回折格子11を図3から図4のように回転させた場合における、標本Aからの蛍光の出射光軸の角度のずれの算出方法について説明する。
【0045】
VPH回折格子11の回転角が基準角度θ1のときに回折効率が最大となる波長λstdを500nmとし、検出したい波長λ600が600nmであるとする。
図3は、VPH回折格子11の回転角度が基準角度θ1である状態(すなわち、基準波長λstdの回折効率が最大になっている状態)を示す。
図4は、検出したい波長であるλ600(=600nm)の回折効率が最大になる回転角度θ2にVPH回折格子11を回転させた状態を示す。
【0046】
図3および図4において各記号は以下を示している。
λstd:VPH回折格子11が最大効率となる波長(設計基準波長)
Δλ:検出対象の波長と最大効率となる波長(設計基準波長λstd)との差
λ600:検出対象の波長
N:VPH回折格子11の特性により決定される定数
θ1’:設計基準波長λstdの回折角
θ600’:検出波長λ600の回折角(図3の状態の場合)
θ2’:検出波長λ600の回折効率が最大になった場合(図4の状態)の回折角
α1:VPH回折格子の回転角がθ1の場合(図3)の検出波長λ600出射角
α2:VPH回折格子の回転角がθ2の場合(図4)の検出波長λ600出射角
【0047】
図3,図4において、λ600と表示した破線は、VPH回折格子の回転角がθ1である図3の状態において波長λ600の光が出射する光軸を示す。
図4において、λ600maxと表示した実線は、検出波長λ600の回折効率が最大となる図4の状態において波長λ600の光が出射する光軸を示す。
【0048】
図3において以下の式が導かれる。
sinθ1+sinθ600’=Nmλ600・・・(1)
sinθ1+sinθ1’=Nmλstd・・・(2)
上記の(2)式においてλstdが最大効率となる場合にθ1=θ1’なので、以下の式が導かれる。
sinθ1=sinθ1’=Nmλstd/2・・・(2)’
【0049】
(1)式および(2)式においてm=1なので、以下の式が導かれる。
sinθ600’=N(λ600−λstd/2)
∴θ600’=sin-1{N(λ600−λstd/2)}
ここで、α1=θ1+θ600’=θ1’+θ600’なので、以下の式が導かれる。
α1=sin-1(Nλstd/2)+sin-1{N(λ600−λstd/2)}・・・(3)
【0050】
一方、図4において以下の式が導かれる。
sinθ2+sinθ2’=Nmλ600・・・(4)
上記の(4)式においてλ600が最大効率となる場合にθ2=θ2’なので、以下の式が導かれる。
sinθ2=sinθ2’=Nmλ600/2・・・(4)’
【0051】
ここで、上記の(4)’式においてm=1なので、以下の式が導かれる。
θ2’=sin-1(Nλ600/2)
α2=2θ2’=2sin-1(Nλ600/2)・・・(5)
【0052】
また、Δα=α2−α1である。
上式に(3)式および(5)式を代入すると、以下の式が導かれる。
Δα=2sin-1(Nλ600/2)−sin-1(Nλstd/2)−sin-1{N(λ600−λstd/2)}
【0053】
ここで、λ600=λstd+Δλなので、以下の式が導かれる。
Δα=2sin-1{N(λstd+Δλ)/2}−sin-1(Nλstd/2)−sin-1{N(λstd/2+Δλ)}・・・(6)
【0054】
以上のように、VPH回折格子11を図3から図4のように回転させた場合における、標本Aからの蛍光の出射光軸の角度のずれΔα(=α2−α1)は、上記の(6)式に示されるように、Δλのみの関数となる。すなわち、上記の(6)式に基づいて、反射ミラー12を標本Aからの蛍光の入射光軸に直交する軸線回りに角度Δα/2だけ回転させることで、VPH回折格子11の回転によって生じる光軸の変位を補正することができる。これにより、VPH回折格子11により分光された標本Aからの蛍光を、確実に光検出部15の所定位置(チャンネル)において検出することができ、標本Aからの蛍光の分光精度を向上することができる。
【0055】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態に係る検出光学系について、図5を参照して説明する。以降では、各実施形態に係る検出光学系およびこれを備える顕微鏡について、前述の実施形態と共通する点については同一の符号を付して説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0056】
本実施形態に係る検出光学系20は、図5に示すように、前述の第1の実施形態に係る検出光学系10の構成(図2参照)において、マルチチャンネルPMTである光検出部15に代えて、光検出部15に入射する光の波長を選択する波長選択スリット16と、単チャンネルPMTである光検出部17とを備えている。
【0057】
光検出部15を単チャンネルPMTとし、波長選択スリット16により単チャンネルPMTである光検出部17に入射する光の波長を選択することで、VPH回折格子11により分光された標本Aからの蛍光(複数の波長帯域の光)のうち選択した波長の光を検出することができる。このように構成することで、装置コストの低減を図ることができる。
【0058】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態に係る検出光学系について、図6を参照して説明する。
本実施形態に係る検出光学系30は、図6に示すように、前述の第1の実施形態に係る検出光学系10の構成(図2参照)において、反射ミラー12および反射部回転機構13に代えて、光検出部15および結像レンズ14をVPH回折格子11の回転軸線回りに回転させる光検出部回転機構(補正手段)19を備えている。
【0059】
光検出部回転機構19により、光検出部15および結像レンズ14をVPH回折格子11の回転軸線回りに回転させることで、VPH回折格子11の回転によって生じる光軸の変位に応じて、標本Aからの蛍光(複数の波長帯域の光)の光検出部15への入射位置を補正することができる。このように光検出部15への入射位置を補正する補正手段を構成することで、標本Aからの蛍光の分光精度を向上するとともに、第1の実施形態における反射ミラー12等の光学部材による標本Aからの蛍光のロスを無くすことができ、光検出部15による検出効率を向上することができる。
【0060】
なお、具体的には、光検出部回転機構19は、前述の(6)式に基づいて、光検出部15および結像レンズ14をVPH回折格子11の回転軸線回りに角度Δαだけ回転させることで、VPH回折格子11の回転によって生じる光軸の変位を補正することができる。
【0061】
以上、本発明の各実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本発明を上記の各実施形態を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよい。
【符号の説明】
【0062】
A 標本
1 顕微鏡
2 レーザ光源
3 ダイクロイックミラー
4 スキャンユニット(走査部)
5 対物レンズ(対物光学系)
6 共焦点レンズ
7 共焦点絞り
8 コリメータレンズ
10,20,30 検出光学系
11 VPH回折格子
12 反射ミラー(反射部)
13 反射部回転機構(補正手段)
14 結像レンズ
15 光検出部
16 波長選択スリット
17 光検出部
19 光検出部回転機構(補正手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出光学系およびこれを備える走査型顕微鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、分光検出機能を備えた走査型共焦点顕微鏡が知られている(例えば特許文献1参照)。分光検出機能を備えた走査型共焦点顕微鏡の多くは蛍光観察に用いられるが、通常、蛍光は微弱であり、単位時間当たりに得られる蛍光の光量は少ない。また、走査型共焦点顕微鏡の場合、標本を高速に走査するため、標本上の各点を励起する時間も短い。このため、明るい画像を得るためには、発生量が限られる蛍光を効率良く光検出部に導くことが求められる。
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示されるように、現在利用されている分光検出機能を備えた走査型共焦点顕微鏡は、分光手段として反射型回折格子を利用しているため、広い波長域で高い回折効率を得ることができない。これは、反射型回折格子は、一般に、表面のレリーフ構造を利用して回折光を得る表面レリーフ回折格子であり、表面レリーフ回折格子の回折効率は、最大でも70%程度であるからである。
【0004】
分光手段は、一般に、光量の損失が大きな光学素子であるため、分光検出機能を備えた走査型共焦点顕微鏡では、分光手段で生じる光量損失を抑制することが、光の利用効率の改善に効果的である。
【0005】
分光手段で生じる光量損失の抑制を目的とする技術は、例えば、特許文献2に開示されている。特許文献2に開示される技術では、分光手段である反射型回折格子の偏光依存性に着目し、入射光をより高い回折効率を示すS偏光に変換してから入射させることで、分光手段で生じる光量損失の抑制を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−010944号公報
【特許文献2】特開2006−153587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に開示される技術では、回折効率を改善して反射型回折格子自体で生じる光量損失は抑制されるが、反射型回折格子の前後の光学系が複雑化してしまう。また、複雑化した光学系で光量の損失が生じてしまう。
【0008】
例えば、入射光はP偏光とS偏光に分割されて、それぞれ異なる光路を通って反射型回折格子に導かれる。このため、入射光をP偏光とS偏光に分割する偏光ビームスプリッタが用いられるが、その偏光ビームスプリッタで光量の損失が生じてしまう。また、P偏光をS偏光に変換するために偏光を回転させる波長板が用いられるが、その波長板でも光量の損失が生じてしまう。
このため、反射型回折格子自体の回折効率が改善されても、顕微鏡全体として光の利用効率が十分に改善されないという不都合がある。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、分光検出機能を備え、回折効率を向上して検出光量を高めることができる検出光学系およびこれを備える走査型顕微鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明の第1の態様は、標本からの光を複数の波長帯域に分光する透過型のVPH回折格子と、該VPH回折格子を前記標本からの光の入射光軸と前記VPH回折格子からの出射光軸とに直交する軸線回りに回転させる回転機構と、前記VPH回折格子により分光された前記標本からの光を検出する光検出部と、前記回転機構と同期して、前記VPH回折格子の回転によって生じる光軸の変位に応じて前記光検出部への入射位置を補正する補正手段とを備える検出光学系である。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、標本からの光が、透過型のVPH(Volume Phase Holographic)回折格子により複数の波長帯域の光に分光される。VPH回折格子により分光された標本からの光は、光検出部により検出される。この場合において、VPH回折格子は、回転機構により、標本からの光の入射光軸と前記VPH回折格子からの出射光軸とに直交する軸線回りに回転される。これにより、VPH回折格子の回折効率を向上させて、光検出部により検出される光量を向上することができる。
【0012】
この場合において、VPH回折格子を回転させることで、VPH回折格子を透過した標本からの光の光軸が変位してしまう。この際、補正手段により、回転機構の動作と同期して、VPH回折格子の回転によって生じる光軸の変位に応じて光検出部への入射位置を補正することができる。これにより、VPH回折格子により分光された標本からの光を、確実に光検出部の所定位置において検出することができ、その分光精度を向上することができる。
以上のように、本発明の第1の態様によれば、光検出部により検出される光量を向上するとともに、標本からの光の分光精度を向上することができる。
【0013】
上記態様において、前記補正手段が、前記標本からの光を反射する反射部と、前記回転機構と同期して、前記反射部を前記VPH回折格子の回転軸線に平行な軸線回りに回転させる反射部回転機構とを備えることとしてもよい。
反射部回転機構により、回転機構と同期して反射部をVPH回折格子の回転軸線に平行な軸線回りに回転させることで、VPH回折格子の回転によって生じる光軸の変位に応じて光検出部への入射位置を補正することができる。このように補正手段を構成することで、標本からの光の分光精度を向上するとともに、光学系全体をコンパクトにして装置の小型化を図ることができる。
【0014】
上記態様において、前記反射部回転機構が、以下の式に基づいて、前記反射部を前記標本からの光の入射光軸に直交する軸線回りに角度Δα/2だけ回転させることとしてもよい。
Δα=2sin-1{N(λstd+Δλ)/2}−sin-1(Nλstd/2)−sin-1{N(λstd/2+Δλ)}
ここで、
Δα:前記VPH回折格子を透過した標本からの光の光軸のずれ角度
N:前記VPH回折格子の特性によって決定される定数
λstd:前記VPH回折格子の角度が基準角度のときに最大効率となる波長
Δλ:検出対象の波長と最大効率となる波長(λstd)との差
である。
【0015】
上記の式に基づいて、反射部をVPH回折格子の回転軸線に平行な軸線回りに回転させることで、VPH回折格子の回転によって生じる光軸の変位を効果的に補正することができる。これにより、標本からの光の分光精度を向上することができる。
【0016】
上記態様において、前記補正手段が、前記光検出部を前記VPH回折格子の回転軸線回りに回転させる光検出部回転機構を備えることとしてもよい。
光検出部回転機構により、光検出部をVPH回折格子の回転軸線回りに回転させることで、VPH回折格子の回転によって生じる光軸の変位に応じて光検出部への入射位置を補正することができる。このように補正手段を構成することで、標本からの光の分光精度を向上するとともに、反射部等の光学部材を無くして該光学部材による標本からの光のロスを無くすことができ、光検出部による検出効率を向上することができる。
【0017】
上記態様において、前記光検出部回転機構が、以下の式に基づいて、前記光検出部を前記VPH回折格子の回転軸線回りに角度Δαだけ回転させることとしてもよい。
Δα=2sin-1{N(λstd+Δλ)/2}−sin-1(Nλstd/2)−sin-1{N(λstd/2+Δλ)}
ここで、
Δα:前記VPH回折格子を透過した標本からの光の光軸のずれ角度
N:前記VPH回折格子の特性によって決定される定数
λstd:前記VPH回折格子の角度が基準角度のときに最大効率となる波長
Δλ:検出対象の波長と最大効率となる波長(λstd)との差
である。
【0018】
上記の式に基づいて、光検出部をVPH回折格子の回転軸線回りに回転させることで、VPH回折格子の回転によって生じる光軸の変位を効果的に補正することができる。これにより、標本からの光の分光精度を向上することができる。
【0019】
上記態様において、前記光検出部がマルチチャンネル光電子増倍管であることとしてもよい。
光検出部をマルチチャンネル光電子増倍管とすることで、VPH回折格子により分光された標本からの光(複数の波長帯域の光)を同時に検出することができ、リアルタイムでの分光観察を行うことができる。
【0020】
上記態様において、前記光検出部に入射する光の波長を選択する波長選択スリットを備え、前記光検出部が単チャンネル光電子増倍管であることとしてもよい。
光検出部を単チャンネル光電子増倍管とし、波長選択スリットにより光検出部に入射する光の波長を選択することで、VPH回折格子により分光された標本からの光(複数の波長帯域の光)のうち選択した波長の光を検出することができる。このように構成することで、装置コストの低減を図ることができる。
【0021】
本発明の第2の態様は、光源と、該光源から射出された光を標本上で走査する走査部と、該走査部により走査された光を標本に集光する一方、前記標本からの光を集める対物光学系と、上記の検出光学系とを備える走査型顕微鏡である。
本発明の第2の態様によれば、前述の検出光学系を備えているため、光検出部により検出される光量を向上するとともに、標本からの光の分光精度を向上して、標本の観察精度を向上することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、回折効率を向上して検出光量を高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の各実施形態に係る顕微鏡の概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る検出光学系の概略構成図である。
【図3】図2の光検出部への入射位置を補正する具体的な方法を説明する図である。
【図4】図2の光検出部への入射位置を補正する具体的な方法を説明する図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る検出光学系の概略構成図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る検出光学系の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態に係る検出光学系およびこれを備える顕微鏡について図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る顕微鏡1は、共焦点走査型顕微鏡であり、図1に示されるように、レーザ光を射出するレーザ光源2と、レーザ光と標本Aからの蛍光とを分岐するダイクロイックミラー3と、レーザ光を標本上で2次元走査するスキャンユニット(走査部)4と、対物レンズ(対物光学系)5と、共焦点レンズ6と、対物レンズ5の焦点位置と共役な位置にピンホールを有する共焦点絞り7と、コリメータレンズ8と、検出光学系10とを備えている。
【0025】
レーザ光源2は、標本A中の蛍光物質を励起させて蛍光を発生させるレーザ光(励起光)を射出するようになっている。
ダイクロイックミラー3は、レーザ光源2からのレーザ光を反射する一方、レーザ光が照射されることで標本Aにおいて発生した蛍光を透過させるようになっている。
【0026】
スキャンユニット4は、一対のガルバノミラー(図示略)を有しており、該一対のガルバノミラーの揺動角度を変化させ、ラスタスキャン方式で駆動されるようになっている。これにより、レーザ光源2からのレーザ光を標本A上において2次元的に走査させることができるようになっている。
【0027】
対物レンズ5は、レーザ光源2からのレーザ光を標本Aに集光する一方、標本Aにおいて発生した蛍光を集めるようになっている。対物レンズ5によって集められた蛍光は、レーザ光とは逆の順路を辿り、スキャンユニット4を経てダイクロイックミラー3を透過する。
共焦点レンズ6は、ダイクロイックミラー3を透過してきた標本Aからの蛍光を集光するようになっている。
【0028】
共焦点絞り7は、標本Aの焦点面において発生した蛍光のみを通過させるようになっている。これにより、対物レンズ5の焦点位置以外において発生した蛍光が遮断されるようになっている。
コリメータレンズ8は、共焦点絞り7を通過してきた蛍光を平行光にして検出光学系10に入射させるようになっている。
【0029】
検出光学系10は、図2に示すように、標本Aからの蛍光を複数の波長帯域に分光する透過型のVPH回折格子11と、VPH回折格子11を透過してきた蛍光を反射する反射ミラー(反射部)12と、反射ミラー12により反射された蛍光を結像する結像レンズ14と、結像レンズ14により結像された蛍光を検出する光検出部15とを備えている。
【0030】
VPH回折格子11は、透過型のVPH(Volume Phase Holographic)回折格子であり、図3に示すように、主直線PLに沿って屈折率が周期的に変化するVPH層を有している。このような構成を有することで、VPH回折格子11は、標本Aからの蛍光を複数の波長帯域に分光するようなっている。
【0031】
具体的には、VPH回折格子11は、入射光と平行な方向に0次回折光を射出し、0次回折光から波長毎に異なる角度で1次回折光を射出する透過型回折格子であり、反射型の回折格子に比べて高い回折効率で広帯域の回折特性を有している。
【0032】
また、透過型回折格子(VPH回折格子11)を含む一般の回折格子では、入射角αと回折角βの間に下式が成り立つ。
sinα+sinβ=Nλ
上式において、Nは回折格子の格子周波数、λは回折格子への入射波長である。
上式において、Nとλが一定の場合、α=βの近傍では、出射角α+βはほとんど変化しない。このため、透過型回折格子では、入射角が変化しても、0次光に対する1次回折光の出射角は波長毎に略一定となり、入射角によらず回折方向が略一定に維持される。特に、格子周波数Nが小さいときにはこの近似が精度良く成り立つ。
【0033】
また、本実施形態におけるVPH回折格子11は、VPH回折格子11を標本Aからの蛍光の入射光軸とVPH回折格子11により回折された出射光の光軸とに直交する軸線L回りに回転させる回転機構(図示略)を有している。この回転機構によりVPH回折格子11を回転させることで、標本Aからの蛍光のVPH回折格子11による回折効率を向上させるようになっている。
【0034】
また、図2に示すように、反射ミラー12には、上記の回転機構と同期して、反射ミラー12を標本Aからの蛍光の入射光軸に直交する軸線回りに回転させる反射部回転機構(補正手段)13が備えられている。反射部回転機構13により反射ミラー12を回転させることで、VPH回折格子11の回転によって生じる光軸の変位に応じて光検出部15への入射位置を補正するようになっている。なお、光検出部15への入射位置を補正する具体的な方法については後述する。
【0035】
光検出部15は、標本Aからの蛍光を検出するチャンネル(符号15a,15b,・・・)が蛍光の分光方向に複数配列されて構成されたマルチチャンネルPMT(Photomultiplier Tube:光電子増倍管)である。光検出部15は、VPH回折格子11により分光された複数の波長帯域の光を、各チャンネルによりそれぞれ検出するようになっている。
【0036】
上記構成を有する本実施形態に係る顕微鏡1の作用について以下に説明する。
図1に示すように、レーザ光源2から射出されたレーザ光は、ダイクロイックミラー3により反射されて、スキャンユニット4を介して対物レンズ5に入射する。対物レンズ5は、レーザ光を標本Aの1点に集光させて照射する。これにより、標本A中の蛍光物質がレーザ光により励起されて蛍光が発生する。
【0037】
標本Aからの蛍光は、レーザ光と同じ光路を反対向きに進行し、対物レンズ5及びスキャンユニット4を介してダイクロイックミラー3に入射する。そして、標本Aからの蛍光は、ダイクロイックミラー3を透過して、共焦点レンズ6により集光される。共焦点絞り7は、対物レンズ5の焦点位置と光学的に共役な位置にピンホールを有しているため、対物レンズ5の焦点位置から生じた蛍光のみが共焦点絞り8を通過する。その後、蛍光は、コリメータレンズ8で略平行光束に変換されて、検出光学系10に入射する。
【0038】
検出光学系10では、図2に示すように、標本Aからの蛍光は、VPH回折格子11により複数の波長帯域の光に分光される。この際、VPH回折格子11では、蛍光は回折されて、波長毎にそれぞれ異なる回折角で射出される。波長毎に異なる回折角で射出された1次回折光(蛍光)は、反射ミラー12により反射されて、波長毎に光軸に対して異なる角度で結像レンズ14に入射する。このため、1次回折光は、結像レンズ14により、波長毎に光検出部15の異なる位置(チャンネル)に入射して、波長毎に異なるチャンネルで検出される。
【0039】
光検出部15で検出された1次回折光(蛍光)は、電気信号に変換されて、スキャンユニット4によって標本Aを走査することにより得られる標本Aの各点に関する電気信号に基づいて、蛍光画像の形成やその他の分析等が行われる。そして、その蛍光画像や分析結果がモニター等の表示手段(図示略)に表示される。
【0040】
この場合において、検出したい蛍光の波長に応じて、VPH回折格子11は、図示しない回転機構により、標本Aからの蛍光の入射光軸とVPH回折格子11により回折された出射光の光軸とに直交する軸線L回りに回転される。これにより、VPH回折格子11の回折効率を向上させて、光検出部15により検出される蛍光の光量を向上することができる。
【0041】
この際、VPH回折格子11を回転させることで、VPH回折格子11を透過した標本Aからの蛍光の光軸が変位してしまう。この場合において、回転機構の動作と同期して、反射部回転機構13により反射ミラー12を回転させることで、VPH回折格子11の回転によって生じる光軸の変位に応じて、光検出部15への入射位置を補正することができる。これにより、VPH回折格子11により分光された標本Aからの蛍光を、確実に光検出部15の所定位置(チャンネル)において検出することができ、その分光精度を向上することができる。
以上のように、本実施形態に係る検出光学系10およびこれを備える顕微鏡1によれば、光検出部15により検出される光量を向上するとともに、標本Aからの蛍光の分光精度の向上することができる。
【0042】
また、光検出部15への入射位置を補正する補正手段を、上記の反射ミラー12および反射部回転機構13で構成することで、標本Aからの蛍光の分光精度を向上するとともに、光学系全体をコンパクトにして装置の小型化を図ることができる。
【0043】
また、光検出部15をマルチチャンネルPMTとすることで、VPH回折格子11により分光された標本Aからの蛍光(複数の波長帯域の光)を同時に検出することができ、リアルタイムでの分光観察を行うことができる。
【0044】
ここで、光検出部15への入射位置を補正する具体的な方法、すなわち、反射部回転機構13による反射ミラー12の回転角度を調節する際の具体的な方法について、図3および図4を用いて以下に説明する。ここでは、VPH回折格子11を図3から図4のように回転させた場合における、標本Aからの蛍光の出射光軸の角度のずれの算出方法について説明する。
【0045】
VPH回折格子11の回転角が基準角度θ1のときに回折効率が最大となる波長λstdを500nmとし、検出したい波長λ600が600nmであるとする。
図3は、VPH回折格子11の回転角度が基準角度θ1である状態(すなわち、基準波長λstdの回折効率が最大になっている状態)を示す。
図4は、検出したい波長であるλ600(=600nm)の回折効率が最大になる回転角度θ2にVPH回折格子11を回転させた状態を示す。
【0046】
図3および図4において各記号は以下を示している。
λstd:VPH回折格子11が最大効率となる波長(設計基準波長)
Δλ:検出対象の波長と最大効率となる波長(設計基準波長λstd)との差
λ600:検出対象の波長
N:VPH回折格子11の特性により決定される定数
θ1’:設計基準波長λstdの回折角
θ600’:検出波長λ600の回折角(図3の状態の場合)
θ2’:検出波長λ600の回折効率が最大になった場合(図4の状態)の回折角
α1:VPH回折格子の回転角がθ1の場合(図3)の検出波長λ600出射角
α2:VPH回折格子の回転角がθ2の場合(図4)の検出波長λ600出射角
【0047】
図3,図4において、λ600と表示した破線は、VPH回折格子の回転角がθ1である図3の状態において波長λ600の光が出射する光軸を示す。
図4において、λ600maxと表示した実線は、検出波長λ600の回折効率が最大となる図4の状態において波長λ600の光が出射する光軸を示す。
【0048】
図3において以下の式が導かれる。
sinθ1+sinθ600’=Nmλ600・・・(1)
sinθ1+sinθ1’=Nmλstd・・・(2)
上記の(2)式においてλstdが最大効率となる場合にθ1=θ1’なので、以下の式が導かれる。
sinθ1=sinθ1’=Nmλstd/2・・・(2)’
【0049】
(1)式および(2)式においてm=1なので、以下の式が導かれる。
sinθ600’=N(λ600−λstd/2)
∴θ600’=sin-1{N(λ600−λstd/2)}
ここで、α1=θ1+θ600’=θ1’+θ600’なので、以下の式が導かれる。
α1=sin-1(Nλstd/2)+sin-1{N(λ600−λstd/2)}・・・(3)
【0050】
一方、図4において以下の式が導かれる。
sinθ2+sinθ2’=Nmλ600・・・(4)
上記の(4)式においてλ600が最大効率となる場合にθ2=θ2’なので、以下の式が導かれる。
sinθ2=sinθ2’=Nmλ600/2・・・(4)’
【0051】
ここで、上記の(4)’式においてm=1なので、以下の式が導かれる。
θ2’=sin-1(Nλ600/2)
α2=2θ2’=2sin-1(Nλ600/2)・・・(5)
【0052】
また、Δα=α2−α1である。
上式に(3)式および(5)式を代入すると、以下の式が導かれる。
Δα=2sin-1(Nλ600/2)−sin-1(Nλstd/2)−sin-1{N(λ600−λstd/2)}
【0053】
ここで、λ600=λstd+Δλなので、以下の式が導かれる。
Δα=2sin-1{N(λstd+Δλ)/2}−sin-1(Nλstd/2)−sin-1{N(λstd/2+Δλ)}・・・(6)
【0054】
以上のように、VPH回折格子11を図3から図4のように回転させた場合における、標本Aからの蛍光の出射光軸の角度のずれΔα(=α2−α1)は、上記の(6)式に示されるように、Δλのみの関数となる。すなわち、上記の(6)式に基づいて、反射ミラー12を標本Aからの蛍光の入射光軸に直交する軸線回りに角度Δα/2だけ回転させることで、VPH回折格子11の回転によって生じる光軸の変位を補正することができる。これにより、VPH回折格子11により分光された標本Aからの蛍光を、確実に光検出部15の所定位置(チャンネル)において検出することができ、標本Aからの蛍光の分光精度を向上することができる。
【0055】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態に係る検出光学系について、図5を参照して説明する。以降では、各実施形態に係る検出光学系およびこれを備える顕微鏡について、前述の実施形態と共通する点については同一の符号を付して説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0056】
本実施形態に係る検出光学系20は、図5に示すように、前述の第1の実施形態に係る検出光学系10の構成(図2参照)において、マルチチャンネルPMTである光検出部15に代えて、光検出部15に入射する光の波長を選択する波長選択スリット16と、単チャンネルPMTである光検出部17とを備えている。
【0057】
光検出部15を単チャンネルPMTとし、波長選択スリット16により単チャンネルPMTである光検出部17に入射する光の波長を選択することで、VPH回折格子11により分光された標本Aからの蛍光(複数の波長帯域の光)のうち選択した波長の光を検出することができる。このように構成することで、装置コストの低減を図ることができる。
【0058】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態に係る検出光学系について、図6を参照して説明する。
本実施形態に係る検出光学系30は、図6に示すように、前述の第1の実施形態に係る検出光学系10の構成(図2参照)において、反射ミラー12および反射部回転機構13に代えて、光検出部15および結像レンズ14をVPH回折格子11の回転軸線回りに回転させる光検出部回転機構(補正手段)19を備えている。
【0059】
光検出部回転機構19により、光検出部15および結像レンズ14をVPH回折格子11の回転軸線回りに回転させることで、VPH回折格子11の回転によって生じる光軸の変位に応じて、標本Aからの蛍光(複数の波長帯域の光)の光検出部15への入射位置を補正することができる。このように光検出部15への入射位置を補正する補正手段を構成することで、標本Aからの蛍光の分光精度を向上するとともに、第1の実施形態における反射ミラー12等の光学部材による標本Aからの蛍光のロスを無くすことができ、光検出部15による検出効率を向上することができる。
【0060】
なお、具体的には、光検出部回転機構19は、前述の(6)式に基づいて、光検出部15および結像レンズ14をVPH回折格子11の回転軸線回りに角度Δαだけ回転させることで、VPH回折格子11の回転によって生じる光軸の変位を補正することができる。
【0061】
以上、本発明の各実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本発明を上記の各実施形態を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよい。
【符号の説明】
【0062】
A 標本
1 顕微鏡
2 レーザ光源
3 ダイクロイックミラー
4 スキャンユニット(走査部)
5 対物レンズ(対物光学系)
6 共焦点レンズ
7 共焦点絞り
8 コリメータレンズ
10,20,30 検出光学系
11 VPH回折格子
12 反射ミラー(反射部)
13 反射部回転機構(補正手段)
14 結像レンズ
15 光検出部
16 波長選択スリット
17 光検出部
19 光検出部回転機構(補正手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標本からの光を複数の波長帯域に分光する透過型のVPH回折格子と、
該VPH回折格子を前記標本からの光の入射光軸と前記VPH回折格子からの出射光軸とに直交する軸線回りに回転させる回転機構と、
前記VPH回折格子により分光された前記標本からの光を検出する光検出部と、
前記回転機構と同期して、前記VPH回折格子の回転によって生じる光軸の変位に応じて前記光検出部への入射位置を補正する補正手段とを備える検出光学系。
【請求項2】
前記補正手段が、
前記標本からの光を反射する反射部と、
前記回転機構と同期して、前記反射部を前記VPH回折格子の回転軸線に平行な軸線回りに回転させる反射部回転機構とを備える請求項1に記載の検出光学系。
【請求項3】
前記反射部回転機構が、以下の式に基づいて、前記反射部を前記標本からの光の入射光軸に直交する軸線回りに角度Δα/2だけ回転させる請求項2に記載の検出光学系。
Δα=2sin-1{N(λstd+Δλ)/2}−sin-1(Nλstd/2)−sin-1{N(λstd/2+Δλ)}
ここで、
Δα:前記VPH回折格子を透過した標本からの光の光軸のずれ角度
N:前記VPH回折格子の特性によって決定される定数
λstd:前記VPH回折格子の角度が基準角度のときに最大効率となる波長
Δλ:検出したい波長と最大効率となる波長(λstd)との差
である。
【請求項4】
前記補正手段が、
前記光検出部を前記VPH回折格子の回転軸線回りに角度Δαだけ回転させる光検出部回転機構を備える請求項1に記載の検出光学系。
【請求項5】
前記光検出部回転機構が、以下の式に基づいて、前記光検出部を前記VPH回折格子の回転軸線回りに回転させる請求項4に記載の検出光学系。
Δα=2sin-1{N(λstd+Δλ)/2}−sin-1(Nλstd/2)−sin-1{N(λstd/2+Δλ)}
ここで、
Δα:前記VPH回折格子を透過した標本からの光の光軸のずれ角度
N:前記VPH回折格子の特性によって決定される定数
λstd:前記VPH回折格子の角度が基準角度のときに最大効率となる波長
Δλ:検出したい波長と最大効率となる波長(λstd)との差
である。
【請求項6】
前記光検出部がマルチチャンネル光電子増倍管である請求項1から5のいずれかに記載の検出光学系。
【請求項7】
前記光検出部に入射する光の波長を選択する波長選択スリットを備え、
前記光検出部が単チャンネル光電子増倍管である請求項1から5のいずれかに記載の検出光学系。
【請求項8】
光源と、
該光源から射出された光を標本上で走査する走査部と、
該走査部により走査された光を標本に集光する一方、前記標本からの光を集める対物光学系と、
請求項1から7のいずれかに記載の検出光学系とを備える走査型顕微鏡。
【請求項1】
標本からの光を複数の波長帯域に分光する透過型のVPH回折格子と、
該VPH回折格子を前記標本からの光の入射光軸と前記VPH回折格子からの出射光軸とに直交する軸線回りに回転させる回転機構と、
前記VPH回折格子により分光された前記標本からの光を検出する光検出部と、
前記回転機構と同期して、前記VPH回折格子の回転によって生じる光軸の変位に応じて前記光検出部への入射位置を補正する補正手段とを備える検出光学系。
【請求項2】
前記補正手段が、
前記標本からの光を反射する反射部と、
前記回転機構と同期して、前記反射部を前記VPH回折格子の回転軸線に平行な軸線回りに回転させる反射部回転機構とを備える請求項1に記載の検出光学系。
【請求項3】
前記反射部回転機構が、以下の式に基づいて、前記反射部を前記標本からの光の入射光軸に直交する軸線回りに角度Δα/2だけ回転させる請求項2に記載の検出光学系。
Δα=2sin-1{N(λstd+Δλ)/2}−sin-1(Nλstd/2)−sin-1{N(λstd/2+Δλ)}
ここで、
Δα:前記VPH回折格子を透過した標本からの光の光軸のずれ角度
N:前記VPH回折格子の特性によって決定される定数
λstd:前記VPH回折格子の角度が基準角度のときに最大効率となる波長
Δλ:検出したい波長と最大効率となる波長(λstd)との差
である。
【請求項4】
前記補正手段が、
前記光検出部を前記VPH回折格子の回転軸線回りに角度Δαだけ回転させる光検出部回転機構を備える請求項1に記載の検出光学系。
【請求項5】
前記光検出部回転機構が、以下の式に基づいて、前記光検出部を前記VPH回折格子の回転軸線回りに回転させる請求項4に記載の検出光学系。
Δα=2sin-1{N(λstd+Δλ)/2}−sin-1(Nλstd/2)−sin-1{N(λstd/2+Δλ)}
ここで、
Δα:前記VPH回折格子を透過した標本からの光の光軸のずれ角度
N:前記VPH回折格子の特性によって決定される定数
λstd:前記VPH回折格子の角度が基準角度のときに最大効率となる波長
Δλ:検出したい波長と最大効率となる波長(λstd)との差
である。
【請求項6】
前記光検出部がマルチチャンネル光電子増倍管である請求項1から5のいずれかに記載の検出光学系。
【請求項7】
前記光検出部に入射する光の波長を選択する波長選択スリットを備え、
前記光検出部が単チャンネル光電子増倍管である請求項1から5のいずれかに記載の検出光学系。
【請求項8】
光源と、
該光源から射出された光を標本上で走査する走査部と、
該走査部により走査された光を標本に集光する一方、前記標本からの光を集める対物光学系と、
請求項1から7のいずれかに記載の検出光学系とを備える走査型顕微鏡。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2013−109082(P2013−109082A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252674(P2011−252674)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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