説明

検出器

【課題】受光部への光の入射角度を小さくした検出器を提供する。
【解決手段】検出器Aは、発光部1と、受光部2と、導光体3とを備える。導光体3は、下部ミラー4と上部ミラー5とを組み合わせて構成され、検出対象の気体が通気口を通して導入される内部空間を有し、内部空間の周りの反射面6で発光部1からの放射光を反射することによって放射光を受光部2へと導光する。反射面6の形状は2点P1,P2を焦点とする楕円体状に形成され、焦点P1の位置に発光部1が配置され、焦点P2の位置に対して発光部1に近い側に受光部2が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば気体の種類や濃度、煙の濃度、或いは気体に含まれる塵埃などを検出するための検出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、内壁の形状が回転楕円体に形成されたガス計測室を備え、ガス計測室内で一方の焦点に赤外線放射源を、他方の焦点に赤外線を検出する検出器を配置したガスセンサがあった(例えば特許文献1参照)。ガス計測室に検出対象の気体が存在すると、気体の種類に応じて特定の波長の赤外線が吸収されるから、検出器によって検出される赤外線の強度をもとに、ガス計測室に存在する気体の組成を検出できる。尚、特許文献2にも、楕円体形状のガス室を備え、ガス室内で一方の焦点に赤外線発光装置が配置され、他方の焦点に赤外線検出装置が配置された赤外線式ガス検出器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−147613号公報
【特許文献2】特開2006−275980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1のガスセンサや特許文献2の検出器では、受光素子が焦点位置に配置されているので、回転楕円体の表面で反射した光を受光素子に集光させることができる。しかしながら、受光素子付近の回転楕円体の表面で1回反射されて受光素子に入射する光は、その入射角度が大きくなっていた。入射角度が大きくなると、受光素子の表面で入射光の一部が反射されてロスが発生するという問題があった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、受光部への光の入射角度を小さくした検出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願の検出器は、発光部と、受光部と、導光体とを備える。前記導光体は、検出対象の気体が導入される内部空間を有し、前記内部空間の周りの反射面で前記発光部からの放射光を反射することによって前記放射光を前記受光部へと導光する。前記反射面の形状は楕円体状に形成され、前記反射面の一方の焦点位置に前記発光部が配置され、他方の焦点位置に対して前記発光部に近い側に前記受光部が配置されている。
【0007】
この検出器において、前記受光部を複数備え、それぞれの前記受光部の前側に透過波長帯域が互いに異なる光学フィルタが配置され、複数の前記受光部が受光した光量に基づいて検出対象の気体の状態を検出する検出部を備えることも好ましい。ここにおいて、検出部によって検出される検出対象の気体の状態とは、内部空間における検出対象の気体の有無やその濃度、或いは、検出対象の気体が複数存在する場合は内部空間に存在する気体の種類などである。
【0008】
この検出器において、前記反射面が、それぞれの前記受光部と前記発光部とを結ぶ直線を中心軸とする楕円体状に形成された複数の反射面を含むことも好ましい。
【0009】
この検出器において、前記複数の反射面の境界付近に、前記内部空間に気体を出入りさせる通気口が設けられることも好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、反射面の一方の焦点位置に発光部が配置され、他方の焦点位置に対して発光部に近い側に受光部が配置されているので、反射面で反射されて受光部に入射する光の入射角度を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は本実施形態の検出器を模式的に示した断面図、(b)は要部を拡大した断面図、(c)は比較例の断面図である。
【図2】同上の分解斜視図である。
【図3】(a)は同上の外観斜視図、(b)は同上の斜視断面図である。
【図4】同上を構成する光学フィルタへの入射光の経路を説明する説明図である。
【図5】同上を構成する光学フィルタの透過率−波長特性の説明図である。
【図6】同上を構成する受光部の出力波形の説明図である。
【図7】同上の他の形態を模式的に示した断面図である。
【図8】同上のまた別の形態を模式的に示した断面図である。
【図9】同上のさらに別の形態を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る検出器の実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。
【0013】
本実施形態の検出器Aは、検出対象の気体(例えば一酸化炭素やメタンなど)の種類及び濃度を検出するために用いられる。尚、検出器Aは気体の種類や濃度を検出するものに限定されるものではなく、煙や塵埃の有無やその濃度を検出するものでもよい。
【0014】
この検出器Aは、図1〜図3に示すように、発光部1と、受光部2と、円柱状の導光体3(下部ミラー4及び上部ミラー5からなる)と、発光部1を保持する保持部10と、受光部2を保持する保持部20と、光学フィルタ30を備えている。
【0015】
導光体3は例えば全体として円柱状をなす合成樹脂成形品からなり、この導光体3は中心軸を通って中心軸と平行な平面によって下部ミラー4と上部ミラー5との2つの部材に分割されている。下部ミラー4及び上部ミラー5の接合面には、下部ミラー4及び上部ミラー5を接合した際に表面の形状が楕円体状となる凹部が設けられている。これら凹部の表面に反射率の高い金属をコーティング(例えばクロムめっきなど)することによって、反射面6が形成されている。下部ミラー4及び上部ミラー5の接合面において、軸方向の一端部には、互いに対向する位置に半円状に窪んだ凹部4a,5aが設けられ、下部ミラー4及び上部ミラー5が接合された状態では凹部4a,5aによって貫通孔7が形成される。下部ミラー4及び上部ミラー5の接合面において、軸方向の他端部には、互いに対向する位置に半円状に窪んだ凹部4b,5bが設けられ、下部ミラー4及び上部ミラー5が接合された状態では凹部4b,5bによって貫通孔8が形成される。また、下部ミラー4及び上部ミラー5の接合面において、導光体3の円周面に対応する部位には、互いに対向する位置に半円状に窪んだ凹部4c,5cが設けられ、下部ミラー4及び上部ミラー5が接合された状態では凹部4c,5cによって通気口9が形成される。
【0016】
発光部1は、赤外光を発光する発光ダイオードのような発光素子1aが円板状のベース部1bの前面に配置され、ベース部1bの後面には複数本の端子ピン1cが設けられている。
【0017】
この発光部1は、キャップ部11及び押さえ板12からなる保持部10を介して導光体3の軸方向における一端部に取り付けられる。キャップ部11は略円盤状であって、導光体3側の端面には導光体3の端部が挿入される丸穴状の凹部11aが設けられ、凹部11aの底部中央には導光体3の貫通孔7と連なるように丸穴11bが設けられている。またキャップ部11における導光体3と反対側の端面には、発光部1のベース部1aを納める凹部11cが丸穴11bの周りに設けられている。押さえ板12は、略円板状であって、発光部1の端子ピン1cを挿通させる貫通孔12aが中央部に設けられている。なお貫通孔12aの内径はベース部1bの外径よりも小さい寸法に設定され、押さえ板12の外径はベース部1bの外径よりも大きい寸法に設定されている。
【0018】
受光部2はCANタイプの本体2bを備える。本体2bの前面には受光窓2cが開口しており、この受光窓2cに臨むように受光素子2a(例えば焦電型の赤外線検出素子からなる)が本体2bの内部に収納されている。また本体2bの後面には複数本の端子ピン2dが設けられている。
【0019】
この受光部2は、キャップ部21及び押さえ板22からなる保持部20を介して導光体3の軸方向における他端部に取り付けられる。キャップ部21は略円盤状であって、導光体3側の端面には導光体3の端部が挿入される丸穴状の凹部21aが設けられ、凹部21aの底部中央には導光体3の貫通孔8と連なるように丸穴21bが設けられている。また押さえ板22は、略円板状であって、受光部2の端子ピン2dを挿通させる貫通孔22aが中央部に設けられている。なお貫通孔22aの内径は受光部2の本体2bの外径よりも小さい寸法に設定され、押さえ板22の外径は本体2bの外径よりも大きい寸法に設定されている。
【0020】
光学フィルタ30は膜状に形成され、検出対象の気体が吸収する波長域以外で透過率が低下するような透過率−波長特性を有している。この光学フィルタ30は受光部2の前側に配置されているが、受光素子2bの前側に配置されるようにして受光部2の本体2bと一体に設けられていてもよい。
【0021】
次に、この検出器Aの組み立て手順を説明する。先ず、作業者は下部ミラー4と上部ミラー5とを重ね合わせて導光体3を構成した後、導光体3の軸方向一端側(貫通孔7が設けられた端部)にキャップ部11を被せ、導光体3の軸方向他端側(貫通孔8が設けられた端部)にキャップ部21を被せる。その後、作業者は、発光面を導光体3側に向けた状態で発光部1を凹部11c内に配置し、発光部1の背面側に押さえ板12を配置する。そして、押さえ板12及びキャップ部11の孔12b,11dに通された取付ねじ(図示せず)が導光体3のねじ部4d,5dにねじ込まれることによって、保持部10が導光体3に固定され、保持部10と導光体3の間に発光部1が保持される。また、作業者は、受光面を導光体3側に向けた状態で受光部2を丸穴21bに配置し、受光部2の背面側に押さえ板22を配置する。この状態から押さえ板22及びキャップ部21の孔22b,21cに通された取付ねじ(図示せず)が導光体3のねじ部(図示せず)にねじ込まれることによって、保持部20が導光体3に固定され、保持部20と導光体3の間で受光部2が保持される。このように、保持部10,20を介して発光部1及び受光部2が導光体3に取り付けられた状態では、発光素子1aが貫通孔7と対向し、受光素子2aが貫通孔8と対向し、発光素子1aから放射された光は導光体3の内部空間に照射され、受光素子2aに直接入射するか、或いは、反射面6で反射されて受光素子2aに導光される。
【0022】
この検出器Aを用いて検出対象の気体の有無を検出する場合、検出器Aに電源が供給されると、発光部1の発光素子1aは導光体3の内部空間に光を照射する。発光部1は楕円体状の反射面6の焦点位置P1に配置されているので、発光部1から照射された光が反射面6で反射されると、その反射光は他方の焦点位置P2に集光される。受光部2は、焦点位置P1,P2を結ぶ直線上で、焦点位置P2よりも発光部1に近い側に配置されているので、反射面6で反射された反射光は光学フィルタ30を介して受光部2に入射され、受光量に応じた大きさの信号(電流信号或いは電圧信号)が受光部2から出力される。ここで、通気口9を通って導光体3の内部空間に検出対象の気体が導入され、内部空間において検出対象の気体の濃度が増加すると、この気体によって吸収される光が増加し、受光部2への入射光量が低下する。受光部2への入射光量が低下すると、受光部2から出力される信号の大きさも変化するので、受光部2からの出力信号をもとに、検出対象の気体の有無やその濃度を検出することができる。図6は検出対象の気体の濃度と受光部2への入射光量の時間変化の測定例を示し、図中の線Dは気体の濃度、線Eは受光部2への入射光量であり、濃度が増加するにつれて入射光量が減少し、濃度が減少するにつれて入射光量が増加している。
【0023】
ここにおいて、本実施形態では図1(a)に示すように反射面6が楕円体状に形成され、反射面6の一方の焦点位置P1に発光部1が配置され、他方の焦点位置P2に対して発光部1に近い側に受光部2が配置されている。発光部1は、反射面6の一方の焦点位置P1に配置されているので、発光部1からの放射光は反射面6によって反射されて、他方の焦点位置P2に集光する。受光部2は、他方の焦点位置P2に対して発光部1に近い側に配置されているので、図1(c)に示すように焦点位置P2に受光部2が配置された場合に比べて受光部2に入射する光の入射角度を小さくできる(図1(b)参照)。これにより、入射角度が大きい場合に比べて、入射光が受光部2の表面で反射されてロスが発生するのを抑制でき、受光部2への入射光量を増やすことができる。
【0024】
また、気体の種類によって吸収する光の波長域(以下、吸収波長域という。)が異なり、検出対象の気体によって吸収波長域が異なるから、本実施形態では、検出対象の気体が吸収する波長域(吸収波長域)の透過率がそれ以外の波長域よりも高い光学フィルタ30を受光部2の前側に配置してある。これにより、吸収波長域以外の光は光学フィルタ30によって減衰されるから、受光素子2aによって吸収波長域の光が存在するか否かを確実に検出でき、S/N比が向上する。
【0025】
図4は光学フィルタ30を透過して受光部2に入射する光の光路を示している。この光学フィルタ30に対して斜めに光L2が入射する場合は、光学フィルタ30に対して略直交する方向から光L1が入射する場合に比べて、フィルタ内を光が通過する光路長が異なり、それによって透過特性が変化する。図5は光学フィルタ30の透過率−波長特性を示し、検出対象の気体の吸収波長域以外で透過率が低下するような透過率−波長特性Bに調整されている。ここで、光学フィルタ30に略直交する方向から入射する光L1に対しては、光学フィルタ30の透過率−波長特性は線Bで示されるような特性となり、吸収波長域以外の光を減衰させることができる。一方、光学フィルタ30に斜めに入射する光L2に対しては、フィルタ内を通過する光路長が長くなることから、透過率のピークが短波長側にずれて、その透過率−波長特性は線Cで示されるような特性になる。この場合、検出対象の気体の吸収波長域における透過率が低くなり、吸収波長域よりも短波長側で透過率が高くなるため、透過させたい波長の光が減衰され、透過させたくない波長の光が透過してしまうから、S/N比が低下する可能性がある。しかしながら、本実施形態では受光部2が、焦点位置P1,P2を結ぶ直線上であって、焦点位置P2に対して発光部1に近い側に配置されているので、光学フィルタ30に入射する光の入射角度を小さくできる。よって、検出対象の気体の吸収波長域からの透過率−波長特性のずれが小さくなり、所望の透過率−波長特性が得られるから、S/N比の低下が抑えられ、検出対象の気体を確実に検出することができる。
【0026】
ところで、図1に示した模式的な断面図では受光部2が1つのみであるが、図7に示すように、複数(例えば2個)の受光部2A,2Bを備え、それぞれの受光部2A,2Bの前側に透過波長帯域が互いに異なる光学フィルタ31,32を配置してもよい。受光部2A,2Bの出力は、例えばマイクロコンピュータからなる演算部40(検出部)に入力される。演算部40は、複数の受光部2A,2Bが受光した光量に基づいて検出対象の気体の状態を検出する。尚、演算部40によって検出される検出対象の気体の状態とは、内部空間における検出対象の気体の有無やその濃度、或いは、検出対象の気体が複数存在する場合は内部空間に存在する気体の種類などである。
【0027】
発光部1は、反射面6の一方の焦点位置P1に配置されている。受光部2A,2Bは、反射面6の他方の焦点位置P2よりも発光部1に近い側であって、導光体3の貫通孔8と焦点位置P2との間に配置されている。受光部2Aの前側には光学フィルタ31が配置され、受光部2Bの前側には光学フィルタ32が配置されている。光学フィルタ31は、検出対象の気体の吸収波長と概ね同じ波長帯域の光を透過させる検出用の光学バンドパスフィルタである。また、光学フィルタ32は、光学フィルタ31とは異なる波長帯域の光を透過させる参照用の光学バンドパスフィルタである。ここで、演算部40は、受光部2Aの出力から求めた受光部2Aの受光量と、受光部2Bの出力から求めた受光部2Bの受光量との差分を求めることによって、検出対象の気体の有無やその濃度を検出する。
【0028】
導光体3の内部空間に検出対象の気体が流入すると、この気体によって吸収される波長域の光量が低下し、受光部2Aの受光量が変化する。一方、受光部2Bの受光量には変化がないから、演算部40は、受光部2Aの受光量と受光部2Bの受光量との差分を求めることによって、検出対象の気体の濃度に応じた出力を得ることができ、検出対象の気体が流入したことやその濃度を検知できる。一方、気体の吸収以外の原因(例えば発光部1への印加電圧の変動、発光部1の劣化、反射面6の汚れなど)によって発光部1の発光光量が低下すると、受光部2A,2Bの出力が両方共に低下するので、受光部2Aの受光光量と受光部2Bの受光光量との差分は変化しない。したがって、演算部40が、気体の吸収以外の原因による発光量の低下を、検出対象の気体による光の吸収と誤検出する可能性を低減できる。
【0029】
尚、光学フィルタ31,32を、それぞれ別個の気体の吸収波長と概ね同じ波長帯域の光を透過させる検出用の光学バンドパスフィルタとし、2種類の気体の状態を検出するようにしてもよい。この場合、光学フィルタ31の通過波長域が吸収波長域である気体(以下、気体A1と言う。)が導光体3の内部空間に流入すると、気体A1の濃度に応じて受光量2Aの受光量が低下するので、演算部40は、受光部2Aの出力に基づいて、気体A1が存在することやその濃度を検出する。また、光学フィルタ32の通過帯域が吸収波長域である気体(以下、気体A2と言う。)が導光体3の内部空間に流入すると、気体A2の濃度に応じて受光量2Bの受光量が低下するので、演算部40は、受光部2Bの出力に基づいて、気体A2が存在することやその濃度を検出する。このように、光学フィルタ31,32を、それぞれ別個の気体の吸収波長と概ね同じ波長帯域の光を透過させる検出用の光学バンドパスフィルタとした場合は、演算部40により複数種類の気体の状態を検出することが可能になる。
【0030】
また、図7では焦点位置P2よりも発光部1に近い側に受光部及び光学フィルタの組をを2個ずつ配置しているが、受光部及び光学フィルタの組を3組以上配置してもよい。この場合、その内の1組を参照用として、その光学フィルタに透過波長域が検出対象の吸収波長域とは異なる波長帯域に設定された光学バンドパスフィルタを用い、残りの複数組を検出用とすれば、気体の吸収以外の原因による受光量の低下を誤検出することなく、複数種類の気体の状態を検出することができる。
【0031】
ここで、図7の検出器Aでは反射面6が1つの楕円体形状で構成されているが、図8に示すように、導光体3の内面に、発光部1が配置された点P1を焦点の1つとする楕円体状の反射面6A,6Bを設けてもよい。受光部2Aは、反射面6Aの焦点P1,P3を結ぶ直線L3上で、焦点P3に対して発光部1に近い側に配置され、受光部2Aの前側に光学フィルタ31が配置されている。受光部2Bは、反射面6Bの焦点P1,P4を結ぶ直線L4上で、焦点P4に対して発光部1に近い側に配置され、受光部2Bの前側に光学フィルタ32が配置されている。
【0032】
この場合、発光部1からの照射光が反射面6Aによって反射されると、その反射光は反射面6Aの焦点P3に集光されるため、焦点P3の手前側に配置された受光部2Aに入射する光量が大きくなり、受光部2Aへの入射効率が向上する。また、発光部1からの照射光が反射面6Bによって反射されると、その反射光は反射面6Bの焦点P4に集光されるため、焦点P4の手前側に配置された受光部2Bに入射する光量が大きくなり、受光部2Bへの入射効率が向上する。
【0033】
また、図9に示すように、上部ミラー5の凹部内面に設けられた反射面6Aと、下部ミラー4の凹部内面に設けられた反射面6Bとの境界付近に、内部空間に気体を流入させる通気口9が設けられている。
【0034】
反射面6Aと反射面6Bとの境界部分は完全な楕円体状になっていないので、反射面6A,6Bの境界付近で発光部1からの光が反射された場合、その反射光は焦点P3,P4に集光されにくく、そのため受光部2A,2Bに入射しにくくなる。したがって、反射面6A,6Bの境界付近に通気口9を設けることで、受光部2A,2Bへの入射光量に影響を及ぼすことなく、導光体3の内部空間に気体を流入させたり、内部空間から外部へ気体を流出させたりすることができる。
【0035】
尚、図7〜図9に示す検出器Aは、受光部及び光学フィルタを2個ずつ(受光部2A及び光学フィルタ31の組と受光部2B及び光学フィルタ32の組)備えているが、受光部及び光学フィルタの組を3組以上備えていてもよい。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の検出器Aは、発光部1と、受光部2と、導光体3とを備える。導光体3は、検出対象の気体が導入される内部空間を有し、内部空間の周りの反射面6で発光部1からの放射光を反射することによって放射光を受光部2へと導光する。反射面6の形状は、2点P1,P2を焦点とする楕円体状に形成されている。一方の焦点P1の位置には発光部1が配置され、他方の焦点P2の位置に対して発光部1に近い側に受光部2が配置されている。
【0037】
このように、発光部1は、反射面6の一方の焦点位置P1に配置されているので、発光部1からの放射光は反射面6によって反射されて、他方の焦点位置P2に集光する。受光部2は、他方の焦点位置P2に対して発光部1に近い側に配置されているので、焦点位置P2に受光部2が配置された場合に比べて受光部2に入射する光の入射角度を小さくできる。これにより、入射角度が大きい場合に比べて、入射光が受光部2の表面で反射されてロスが発生するのを抑制でき、受光部2への入射光量を増やすことができるから、受光部2の出力から内部空間に流入した気体の種類やその状態(例えば濃度)を検出できる。また、検出対象の気体の吸収波長域以外の光を減衰させる光学フィルタ30が受光部2の前側に配置されている場合、光学フィルタ30に入射する光の入射角度を小さくできる。光学フィルタ30への入射角度が大きくなると、フィルタ内を通過する光路長が長くなり、それによって透過率が低下し、透過波長帯域が変化して不要な光が増加するが、光学フィルタ30への光の入射角度を小さくすることで、検出対象の気体の吸収波長域からの透過率−波長特性のずれが低減され、検出対象の気体を確実に検出することができる。
【0038】
また、本実施形態の検出器Aにおいて、受光部を複数備え、それぞれの受光部の前側に透過波長帯域が互いに異なる光学フィルタが配置され、複数の受光部が受光した光量に基づいて検出対象の気体の状態を検出する検出部を備えることも好ましい。
【0039】
これにより、複数の受光部が受光した光量から、複数種類の気体の存否や濃度を検出することができる。また、気体の吸収以外の原因(例えば発光部1への印加電圧の変動、発光部1の劣化、反射面6の汚れなど)で受光部の受光量が変動した場合は、複数の受光部で同じように受光量が変化するため、複数の受光部の出力を検出することによって、気体の吸収以外の原因による受光量の低下を内部空間への気体の流入と誤検出する可能性を低減できる。さらに、光学フィルタへの入射角度が大きくなると、光学バンドパスフィルタの透過波長帯域が変化するため不要な光が増加するが、光学フィルタへの入射角度を小さくできるので、光学フィルタの透過率−波長特性のずれが低減され、検出対象の気体を確実に検出することができる。
【0040】
また、受光部及び光学フィルタを複数組備えた検出器Aにおいて、反射面が、それぞれの受光部と発光部とを結ぶ直線を中心軸とする楕円体状に形成された複数の反射面を含むことも好ましい。
【0041】
これにより、それぞれの受光部に入射する入射光量を大きくでき、各受光部への入射効率が向上する。
【0042】
また更に、検出器Aにおいて、複数の反射面の境界付近に、内部空間に気体を出入りさせる通気口が設けられることも好ましい。
【0043】
複数の反射面の境界付近では、完全な楕円体形状となっていないため、複数の反射面の境界付近で反射された光は受光部に入射しにくくなる。したがって、複数の反射面の境界付近に通気口が設けられることによって、各受光部への入射光量に影響を及ぼすことなく、導光体の内部空間に気体を流入させたり、内部空間から外部へ気体を流出させたりすることができる。
【符号の説明】
【0044】
A 検出器
1 発光部
1a 発光素子
2 受光部
2a 受光素子
3 導光体
4 下部ミラー
5 上部ミラー
6 反射面
9 通気口
P1,P2 焦点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部と、受光部と、検出対象の気体が導入される内部空間を有し、前記内部空間の周りの反射面で前記発光部からの放射光を反射することによって前記放射光を前記受光部へと導光する導光体とを備え、
前記反射面の形状が楕円体状に形成され、前記反射面の一方の焦点位置に前記発光部が配置され、他方の焦点位置に対して前記発光部に近い側に前記受光部が配置されたことを特徴とする検出器。
【請求項2】
前記受光部を複数備え、それぞれの前記受光部の前側に透過波長帯域が互いに異なる光学フィルタが配置され、
複数の前記受光部が受光した光量に基づいて検出対象の気体の状態を検出する検出部を備えたことを特徴とする請求項1記載の検出器。
【請求項3】
前記反射面が、それぞれの前記受光部と前記発光部とを結ぶ直線を中心軸とする楕円体状に形成された複数の反射面を含むことを特徴とする請求項2記載の検出器。
【請求項4】
前記複数の反射面の境界付近に、前記内部空間に気体を出入りさせる通気口が設けられたことを特徴とする請求項3記載の検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−92375(P2013−92375A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232562(P2011−232562)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】