説明

検出方法および検出装置

【課題】表面プラズモン増強効果を利用して、試料液中の被検出物質の量を光学的に測定する検出方法および検出装置において、金属膜に対する励起光の入射角の変動に起因する誤差を少なくするとともに、検出感度も高くする。
【解決手段】誘電体プレート17の一面上に金属膜16が積層されて形成されたセンサ部を備え、センサ部が所定の基準平面に対する傾斜角度の異なる5つの平面領域E1〜E5に分割されてなるセンサチップを用いて、センサチップのセンサ部上に、被検出物質を含む試料液を接触させることにより、試料液に含有される被検出物質の量に応じた量の蛍光標識結合物質をセンサ部上に結合させ、センサチップの各平面領域毎に順次励起光を照射し、センサチップの各平面領域毎に励起光の照射に応じてセンサ部で発生した光の量を検出し、平面領域E1〜E5の中で最も光の量が多く検出された平面領域の検出結果に基づいて、被検出物質の量を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料液中の被検出物質の量を光学的に測定する検出方法および検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バイオ測定等において、高感度かつ容易な測定法として蛍光検出法が広く用いられている。この蛍光検出法は、特定波長の光により励起されて蛍光を発する検出対象物質を含むと考えられる試料に上記特定波長の励起光を照射し、そのとき蛍光を検出することによって検出対象物質の存在を確認する方法である。また、検出対象物質が蛍光体ではない場合、蛍光色素で標識されて検出対象物質と特異的に結合する物質を試料に接触させ、その後上記と同様にして蛍光を検出することにより、この結合すなわち検出対象物質の存在を確認することも広くなされている。
【0003】
また、このような蛍光検出法において、感度を向上させるため、表面プラズモン増強効果を利用する方法が特許文献1などに提案されている。これは、表面プラズモン共鳴を生じさせるため、透明な支持体上の所定領域に金属膜を設けたセンサ部に対し、支持体と金属膜との界面に対して支持体の金属層形成面と反対の面側から、全反射角以上の所定の角度で励起光を入射させ、この励起光の照射により金属層に表面プラズモンを生じさせ、その電場増強作用によって、蛍光を増強させることによりS/Nを向上させるものである。
【0004】
また、上記に示した蛍光法のように蛍光標識からの蛍光を検出するのではなく、その蛍光が金属層に新たに表面プラズモンを誘起することによって生じる放射光(SPCE: Surface Plasmon-Coupled Emission)を検出する方法も提案されている。
【0005】
表面プラズモン増強度は金属膜に対する励起光の強度や入射角等に依存し、中でも金属膜に対する励起光の入射角に対しては急峻な特性を示すため、入射角が僅かに変動しただけで表面プラズモン増強度が大きく変動して、その結果、検出される蛍光の強度が変動することになる。すなわち、センサチップの設置精度や、センサチップのセンサ部の面精度や、励起光の入射角精度にバラツキがあると、測定結果が安定せずに測定精度が低下するという問題がある。
【0006】
このような問題を解消するため、特許文献2では、励起光について複数の角度成分を持つ収束光を用いることにより、収束角度内での角度誤差を吸収することが可能な装置が提案されている。通常、光源から射出される光は、光束の位置(例えば、光源からの発散角の角度に由来する光束中心からの距離)によって光の強度が変化する(つまり、強度分布がある)ため、表面プラズモン共鳴が発生する角度が変化することで、表面プラズモンによる電場増強作用の度合いが変化してしまうという問題があるため、特許文献2では、さらに絞り等の光学系を組み合わせて、光束中心の光強度が高い領域のみを使用するようにして、入射角毎の励起光の強度のバラツキを抑える工夫もなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−307141号公報
【特許文献2】特開2009−204483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載の手段では、金属膜に対する励起光の入射角の変動に起因する誤差については対処できるものの、光源から出射された光のうち光束中心付近の僅かな光のみしか励起光として用いないため、今度は励起光の強度が全体的に下がってしまい、検出感度が低下するという問題があった。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、表面プラズモン増強効果を利用して、試料液中の被検出物質の量を光学的に測定する検出方法および検出装置において、金属膜に対する励起光の入射角の変動に起因する誤差が少なく、また検出感度も高い検出方法および検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の検出方法は、誘電体プレートの一面上に金属膜が積層されて形成されたセンサ部を備え、センサ部が所定の基準平面に対する傾斜角度の異なる複数の平面領域に分割されてなるセンサチップを用いて、センサチップのセンサ部上に、被検出物質を含む試料液を接触させることにより、試料液に含有される被検出物質の量に応じた量の蛍光標識結合物質をセンサ部上に結合させ、センサチップの各平面領域毎に順次励起光を照射し、センサチップの各平面領域毎に励起光の照射に応じてセンサ部で発生した光の量を検出し、複数の平面領域の中で最も光の量が多く検出された平面領域の検出結果に基づいて、被検出物質の量を測定することを特徴とするものである。
【0011】
本発明の検出方法においては、センサチップが、試料液を流通させる微小流路を備え、微小流路内に平面領域の構成が同じセンサ部が複数設けられたものである場合に、複数のセンサ部のうちのいずれか一つのセンサ部を基準センサ部として、基準センサ部の各平面領域毎に前記光の量を検出し、基準センサ部の複数の平面領域の中で最も光の量が多く検出された平面領域を決定し、複数のセンサ部のうちの残りのセンサ部については、基準センサ部において最も光の量が多く検出された平面領域と対応する平面領域についてのみ、前記光の量の検出を行うようにすることが好ましい。
【0012】
本発明の検出装置は、上記検出方法に用いられる検出装置であって、センサチップを収容する収容部と、収容部に収容されたセンサチップの各平面領域毎に選択的に励起光を照射する励起光照射光学系と、励起光の照射に応じてセンサ部で発生した光の量を検出する光検出手段と、光検出手段により検出された光の量に基づいて、被検出物質の量を測定する測定手段とを備えてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の検出方法および検出装置によれば、誘電体プレートの一面上に金属膜が積層されて形成されたセンサ部を備え、センサ部が所定の基準平面に対する傾斜角度の異なる複数の平面領域に分割されてなるセンサチップを用いて、センサチップのセンサ部上に、被検出物質を含む試料液を接触させることにより、試料液に含有される被検出物質の量に応じた量の蛍光標識結合物質をセンサ部上に結合させ、センサチップの各平面領域毎に順次励起光を照射し、センサチップの各平面領域毎に励起光の照射に応じてセンサ部で発生した光の量を検出し、複数の平面領域の中で最も光の量が多く検出された平面領域の検出結果に基づいて、被検出物質の量を測定するようにしている。
【0014】
誘電体プレートの一面上に金属膜が積層されて形成されたセンサ部を備え、センサ部が所定の基準平面に対する傾斜角度の異なる複数の平面領域に分割されてなるセンサチップを用いれば、平行光を励起光として用いた場合でも、複数の平面領域の傾斜角度の設定範囲内での角度調整を不要とすることができる。
【0015】
また、センサチップの各平面領域毎に順次励起光を照射するようにしているため、各平面領域毎に光源から出射された励起光を全て照射することができるため、検出時の励起光強度を高くすることができる。
【0016】
従って、金属膜に対する励起光の入射角の変動に起因する誤差を少なくすることができるとともに、検出感度も高くすることができる。
【0017】
また、センサチップが、試料液を流通させる微小流路を備え、微小流路内に平面領域の構成が同じセンサ部が複数設けられたものである場合に、複数のセンサ部のうちのいずれか一つのセンサ部を基準センサ部として、基準センサ部の各平面領域毎に前記光の量を検出し、基準センサ部の複数の平面領域の中で最も光の量が多く検出された平面領域を決定し、複数のセンサ部のうちの残りのセンサ部については、基準センサ部において最も光の量が多く検出された平面領域と対応する平面領域についてのみ、前記光の量の検出を行うようにすれば、全体の検出回数を少なくすることができるため、効率的な測定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態の蛍光検出装置の模式図
【図2】上記蛍光検出装置のブロック図
【図3】上記蛍光検出装置に用いられるセンサチップの一例を示す模式図
【図4】図2の検体処理手段によりノズルチップを用いて検体が検体容器から抽出される様子を示す模式図
【図5】図2の検体処理手段によりノズルチップ内の検体が試薬セルに注入・撹拌される様子を示す模式図
【図6】図2の光照射手段および蛍光検出手段の一例を示す模式図
【図7】上記センサチップのセンサ部の構成を示す上面図
【図8】図7中のVIII矢指方向から見たセンサ部の各平面領域毎の断面図
【図9】上記センサチップのセンサ部のその他の構成を示す上面図
【図10】図9中のX−X線断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態の蛍光検出装置の模式図、図2は上記蛍光検出装置のブロック図、図3は上記蛍光検出装置に用いられるセンサチップの一例を示す模式図、図4は図2の検体処理手段によりノズルチップを用いて検体が検体容器から抽出される様子を示す模式図、図5は図2の検体処理手段によりノズルチップ内の検体が試薬セルに注入・撹拌される様子を示す模式図、図6は図2の光照射手段および蛍光検出手段の一例を示す模式図、図7は上記センサチップのセンサ部の構成を示す上面図、図8は図7中のVIII矢指方向から見たセンサ部の各平面領域毎の断面図である。
【0020】
この蛍光検出装置1は、表面プラズモン共鳴を利用した免疫解析装置であって、蛍光検出装置1により分析を行う際、図1に示す検体が収容された検体容器CBと、検体および試薬を抽出する際に用いられるノズルチップNCと、試薬セルおよびマイクロ流路が形成されたセンサチップ10が装填される。なお、検体容器CB、ノズルチップNCおよびセンサチップ10はいずれも一度使用したら破棄される使い捨てのものである。そして、蛍光検出装置1は検体をセンサチップ10のマイクロ流路15に流しながら検体内の被検物質について定量的もしくは定性的な分析を行う。
【0021】
この蛍光検出装置1は、検体処理手段20、光照射手段30、蛍光検出手段40、データ分析手段50等を備えている。検体処理手段20は、ノズルチップNCを用いて検体を収容した検体容器CB内から検体を抽出し、抽出した検体を試薬と混合撹拌した検体溶液を生成するものである。
【0022】
ここで、図3はセンサチップ10の一例を示す模式図である。センサチップ10は、光透過性の樹脂等の誘電体プレートからなる本体11に注入口12、排出口13、試料セル14a、14b、流路15が形成された構造を有している。注入口12は流路15を介して排出口13に連通しており、排出口13から負圧をかけることにより検体は注入口12から注入されて流路15内に流れ排出口13から排出される。試料セル14a、14bは検体容器CB内の検体に混合する蛍光試薬(第2抗体)を収容する容器である。なお、試料セル14a、14bの開口部はシール部材により封止されており、検体と蛍光試薬とを混合する際にシール部材が穿孔されるようになっている。
【0023】
また、流路15内には、検体内の被検物質を検出するための測定用のセンサ部としてのテスト領域TRが形成されており、このテスト領域TRの下流側には、テスト領域TRにおける測定結果を補正するための情報を取得するための補正用のセンサ部としてのコントロール領域CRが形成されている。
【0024】
テスト領域TR上には第1抗体が固定されており、いわゆるサンドイッチ方式により標識化された抗体を捕捉する。また、コントロール領域CRには参照抗体が固定されており、コントロール領域CR上に検体溶液が流れることにより参照抗体が蛍光物質を捕捉する。なお、コントロール領域CRは2つ形成されており、上流側から順に、非特異吸着を検出するためのいわゆるネガ型のコントロール領域CRと、検体差による反応性の違いを検出するためのいわゆるポジ型のコントロール領域CRとが形成されている。
【0025】
テスト領域TRおよび2つのコントロール領域CRは、図7、8に示すように、流路15の進行方向において5つの平面領域E1〜E5に分割されている。5つの平面領域E1〜E5は水平方向(基準平面)に対する傾斜角度が全て異なり、平面領域E1は水平方向に対して流路15の進行方向と直交する方向において−2°傾いており、平面領域E2は水平方向に対して流路15の進行方向と直交する方向において−1°傾いており、平面領域E3は水平方向に対して平行であり、平面領域E4は水平方向に対して流路15の進行方向と直交する方向において1°傾いており、平面領域E5は水平方向に対して流路15の進行方向と直交する方向において2°傾いている。なお、テスト領域TRおよび2つのコントロール領域CRの各々の平面領域E1〜E5の構成は同一である。
【0026】
分析の開始が指示された際、検体処理手段20は図4に示すようにノズルチップNCを用いて検体容器CBから検体を吸引する。その後、検体処理手段20は図5に示すように試料セル14aのシール部材を穿孔し試料セル14a内の試薬に検体を混合・撹拌させた後、検体溶液を再びノズルチップNCを用いて吸引する。この動作を試料セル14bについても同様に行う。すると、検体内に存在する被検物質(抗原)Aに試薬内の特異的に結合する第2の結合物質である第2抗体B2が表面に修飾された検体溶液が生成される。そして、検体処理手段20は、検体溶液を収容したノズルチップNCを注入口12上に設置し、排出口13からの負圧によりノズルチップNC内の検体溶液が流路15内に流入する。
【0027】
なお、検体処理手段20が検体と試薬とを混合した検体溶液を流路15内に供給する場合について例示しているが、流路15内に予め試薬を充填させておき、検体処理手段20が注入口12から検体のみを流入させるようにしてもよい。
【0028】
図6は光照射手段30および蛍光検出手段40の一例を示す模式図である。なお、図6においてはテスト領域TRに着目して説明するが、コントロール領域CRについても同様に励起光Lが照射されるものである。図2の光照射手段30は、センサチップ10の裏面側から平行光とした励起光Lを全反射条件となる入射角度でプリズムを介してテスト領域TRの平面領域E1〜E5のいずれかに選択的に照射するものである。蛍光検出手段40は、たとえばCCD、CMOS等からなり、テスト領域TRもしくはコントロール領域CRにおいて発生した蛍光Lfの光量を検出するものである。
【0029】
そして、光照射手段30により励起光Lが誘電体プレート17と金属膜16との界面に対して全反射角以上の特定の入射角度で入射されることにより、金属膜16上の試料S中にエバネッセント波Ewが滲み出し、このエバネッセント波Ewによって金属膜16中に表面プラズモンが励起される。この表面プラズモンにより金属膜16表面に電界分布が生じ、電場増強領域が形成される。すると、金属膜16上に固着された第1抗体B1と結合した蛍光標識物質Fはエバネッセント波Ewにより励起され増強された蛍光Lfを発生する。
【0030】
なお、プラズモン増強を利用した検出においては、金属消光が発生して感度が低下するおそれがあるため、例えばシリカ層やポリスチレン層等からなる消光防止層を金属層16上に設けるようにすれば、このような問題を解消することができる。また、蛍光標識物質Fについて、例えば、蛍光色素をポリスチレン粒子やシリカ粒子に内包したものや、金コロイド表面をポリスチレンでコーティングしたもの等といった、消光防止性物質としても、金属消光の問題を解消することができる。
【0031】
図2のデータ分析手段50は、蛍光検出手段40により検出された蛍光Lfの光量に基づいた信号FSに基づいて、被検物質の分析を行うものである。
【0032】
ここで、本実施の形態における分析時の処理について詳細に説明する。
【0033】
本実施の形態では、まずポジ型のコントロール領域CRにおける平面領域E1〜E5の各々について、図7に示すように、流路15の進行方向に沿って励起光Lの照射位置を移動させて、上記のように励起光Lを順次照射し、その際に発生した光の量を検出する。そして平面領域E1〜E5の中で、最も検出光量が高い平面領域を特定する。そして、最も検出光量が高い平面領域の検出結果に基づいて、コントロール領域CRにおける測定結果を取得する。
【0034】
また、テスト領域TRおよびネガ型のコントロール領域CRについては、ポジ型のコントロール領域CRでの検出において最も検出光量が高い平面領域と同じ平面領域についてのみ励起光Lを照射し、その際に発生した光の量を検出する。例えば、ポジ型のコントロール領域CRにおいて平面領域E2の検出光量が最も高かった場合には、テスト領域TRおよびネガ型のコントロール領域CRについては平面領域E2のみ励起光Lを照射し、その際に発生した光の量を検出する。
【0035】
上記のようにして得られた分析結果は、モニタやプリンタ等からなる情報出力手段4から出力される。
【0036】
このような態様とすることにより、平行光を励起光Lとして用いた場合でも、平面領域E1〜E5の傾斜角度の範囲内での角度誤差を吸収することができる。また、平面領域E1〜E5毎に順次励起光Lを照射するようにしているため、各平面領域E1〜E5毎に光源から出射された励起光Lを全て照射することができるため、検出時の励起光Lの強度を高くすることができる。従って、金属膜16に対する励起光の入射角の変動に起因する誤差を少なくすることができるとともに、検出感度も高くすることができる。また、励起光Lは平行光とすることができるので、光学系については上記特許文献2に記載されているような特別な光学系を必要とせずに簡素な構成とすることができるので、コストを低く抑えることができる。
【0037】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
【0038】
例えば、テスト領域TRおよび2つのコントロール領域CRは、図9、10に示すように、流路15の進行方向と直交する方向において5つの平面領域E1〜E5に分割してもよい。ここで、5つの平面領域E1〜E5は水平方向(基準平面)に対する傾斜角度が全て異なり、平面領域E1は水平方向に対して流路15の進行方向と直交する方向において−2°傾いており、平面領域E2は水平方向に対して流路15の進行方向と直交する方向において−1°傾いており、平面領域E3は水平方向に対して平行であり、平面領域E4は水平方向に対して流路15の進行方向と直交する方向において1°傾いており、平面領域E5は水平方向に対して流路15の進行方向と直交する方向において2°傾いている。なお、テスト領域TRおよび2つのコントロール領域CRの各々の平面領域E1〜E5の構成は同一である。この場合、平面領域E1〜E5の各々について、図10に示すように、流路15の進行方向と直交する方向に沿って励起光Lの照射位置を移動させて励起光Lを順次照射し、その際に発生した光の量を検出する。
【0039】
また、センサ部の構成について、各平面領域に分割する数は5つに限らず、それ以外の複数の数としてもよい。また、分割の態様についても上記のように一次元状に分割するのではなく、二次元状に分割してもよい。また、各平面領域の傾斜角度についても上記に限定されるものではない。
【0040】
さらに、上記以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行なってもよいのは勿論である。
【符号の説明】
【0041】
1 蛍光検出装置
10 センサチップ
20 検体処理手段
30 光照射手段
40 蛍光検出手段
50 データ分析手段
CR コントロール領域
FS 蛍光信号
L 励起光
LF 蛍光
TR テスト領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体プレートの一面上に金属膜が積層されて形成されたセンサ部を備え、該センサ部が所定の基準平面に対する傾斜角度の異なる複数の平面領域に分割されてなるセンサチップを用いて、
該センサチップの前記センサ部上に、被検出物質を含む試料液を接触させることにより、該試料液に含有される被検出物質の量に応じた量の蛍光標識結合物質を前記センサ部上に結合させ、
前記センサチップの各平面領域毎に順次励起光を照射し、
前記センサチップの各平面領域毎に前記励起光の照射に応じて前記センサ部で発生した光の量を検出し、
複数の平面領域の中で最も光の量が多く検出された平面領域の検出結果に基づいて、前記被検出物質の量を測定することを特徴とする検出方法。
【請求項2】
前記センサチップが、前記試料液を流通させる微小流路を備え、該微小流路内に平面領域の構成が同じセンサ部が複数設けられたものである場合に、
前記複数のセンサ部のうちのいずれか一つのセンサ部を基準センサ部として、該基準センサ部の各平面領域毎に前記光の量を検出し、
前記基準センサ部の複数の平面領域の中で最も光の量が多く検出された平面領域を決定し、
前記複数のセンサ部のうちの残りのセンサ部については、前記基準センサ部において最も光の量が多く検出された平面領域と対応する平面領域についてのみ、前記光の量の検出を行うことを特徴とする請求項1記載の検出方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の検出方法に用いられる検出装置であって、
前記センサチップを収容する収容部と、
該収容部に収容された前記センサチップの各平面領域毎に選択的に励起光を照射する励起光照射光学系と、
前記励起光の照射に応じて前記センサ部で発生した光の量を検出する光検出手段と、
該光検出手段により検出された光の量に基づいて、前記被検出物質の量を測定する測定手段とを備えてなることを特徴とする検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate

【図10】
image rotate

【図7】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−215478(P2012−215478A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81303(P2011−81303)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】