説明

検出方法及び検出サーバ

【課題】感染症の検出漏れを防ぐこと。
【解決手段】本願の開示する検出方法は、電子カルテを記憶する複数の医療機関の検索装置それぞれに対して、電子カルテに入力された情報を検索対象として、第1のキーワードによる検索を実行させる。また、検出方法は、所定数の検索装置において、第1のキーワードによって検索された検索対象の数が所定数若しくは所定割合に達した場合に、次の処理を行う。すなわち、検出方法は、複数の検索装置それぞれに対して、電子カルテに入力された情報を検索対象として、第1のキーワードとは異なる第2のキーワードによる検索を実行させる。また、検出方法は、第1のキーワードによる検索結果および第2のキーワードによる検索結果に基づいて警告を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出方法及び検出サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感染症の流行を予測する技術がある。例えば、ウイルスを検出する端末を用いて各地域に存在する感染性ウイルスを検出し、検出結果に基づいて感染症流行の危険性を報知する技術が存在する。
【0003】
また、一般的には、予め選定された各地域の定点医療機関において一定期間内に報告された感染症の患者数を集計することで、感染症の流行状況を把握することが行われている。そして、感染症の患者数が所定数に到達した場合に、その感染症が流行状態になったとみなすことが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−275708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、複数の医療機関において医師により入力されたカルテの情報を蓄積し、蓄積したカルテの情報から感染症のキーワードを検索することで、感染症の流行状況を把握できるのではないかと発明者は考えた。しかしながら、同じ感染症の患者を診察したとしても、医師によってカルテへの記載内容は異なるため、カルテの情報から感染症のキーワードを検索しても、感染症の検出漏れが生じることが予想される。
【0006】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、感染症の検出漏れを防ぐことができる検出方法及び検出サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示する検出方法は、電子カルテを記憶する複数の医療機関の検索装置それぞれに対して、電子カルテに入力された情報を検索対象として、第1のキーワードによる検索を実行させる。また、検出方法は、第一の所定数の検索装置において、第1のキーワードによって検索された検索対象の数が第二の所定数若しくは所定割合に達した場合に、次の処理を行う。すなわち、検出方法は、前記複数の医療機関の検索装置の少なくとも1つに対して、電子カルテに入力された情報を検索対象として、第1のキーワードとは異なる第2のキーワードによる検索を実行させる。また、検出方法は、第1のキーワードによる検索結果および第2のキーワードによる検索結果に基づいて警告を出力する。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示する技術の一つの態様によれば、感染症の検出漏れを防ぐことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施例に係る検出サーバの機能構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、自由記載テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図3】図3は、検査結果テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図4】図4は、処方テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図5】図5は、患者テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図6】図6は、位置テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図7】図7は、実施例に係る検出サーバの処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、検出プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する検出方法及び検出サーバの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【実施例】
【0011】
実施例に係る検出サーバの機能構成について説明する。図1は、実施例に係る検出サーバの機能構成を示すブロック図である。図1に示すように、この検出サーバ100は、医療機関10aと、医療機関10bと、医療機関10cとに接続される。なお、ここでは、検出サーバ100が医療機関10a〜10cに接続される場合を説明するが、これに限定されるものではない。例えば、各地域の複数の医療機関を束ねた地域の医療管理センタで各医療機関の情報を集中管理するような場合には、検出サーバ100は、医療管理センタと接続されて良い。
【0012】
医療機関10aは、電子診療録装置20aと、検索装置30aとを有する。医療機関10aは、医療サービスが提供される施設に対応し、例えば、病院や診療所などに対応する。以下では、説明の都合上、医療機関10aの機能構成について説明する。なお、医療機関10b,10cの機能構成は、医療機関10aの機能構成と同様であるので、説明を省略する。
【0013】
電子診療録装置20aは、電子カルテを記憶する。例えば、電子診療録装置20aは、電子カルテとして、自由記載テーブル21aと、検査結果テーブル22aと、処方テーブル23aとを記憶する。この電子カルテは、医師や看護師などの医療関係者によって医療機関ごとに記録される情報である。また、電子診療録装置20aは、図示しない入力装置と出力装置とに接続される。入力装置は、各種情報の入力を受け付ける装置であり、例えば、キーボードやマウスなどに対応する。出力装置は、各種情報を出力する出力装置であり、例えば、ディスプレイやモニタなどに対応する。なお、電子カルテは、自由記載テーブル21a、検査結果テーブル22a及び処方テーブル23aに限定されるものではない。例えば、電子カルテは、血圧や体温などのバイタルデータを記憶するバイタルテーブルや会計の記録を記憶する会計テーブルなどを含むようにしても良い。
【0014】
自由記載テーブル21aは、患者が医療機関に受診した際に医師や看護師などの医療関係者によって自由に記載された文書の内容を記憶する。図2は、自由記載テーブルのデータ構造の一例を示す図である。図2に示すように、自由記載テーブル21aは、例えば、「ローカル患者ID」と、「診療日」と、「文書種別」と、「文書内容」とを対応づけて記憶する。このうち、ローカル患者ID(Identification)は、医療機関10aに受診した患者の識別情報を示す。診療日は、医療機関10aに患者が受診した日付を示す。文書種別は、検査オーダや医師の記載などの文書の種別を示す。文書内容は、医師や看護師などの医療関係者によって自由に記載された文書の内容を示す。なお、自由記載テーブル21aの文書内容には、同じ症状の患者を診た場合であっても、医師によって異なるキーワードが記載される。例えば、体温が38.5度の患者を診た場合に、医師によって「38度以上」と記載されたり、「高熱」と記載されたりする。このように、自由記載テーブル21aの記載内容には、記入する者によってバラツキが生じる。
【0015】
図2に示すように、例えば、自由記載テーブル21aは、ローカル患者ID「0000000101」と、診療日「2010/1/17」と、文書種別「検査オーダ」と、文書内容「ABC|0000000019」とを対応づけて記憶する。つまり、自由記載テーブル21aは、ID「0000000101」の患者が2010年1月17日に受診した際に、検査オーダとして「ABC|0000000019|」という文書が記載されたことを示す。また、自由記載テーブル21aは、他の文書内容についても同様に記憶する。
【0016】
検査結果テーブル22aは、患者が医療機関に受診した際に実施された検査の結果を記憶する。図3は、検査結果テーブルのデータ構造の一例を示す図である。図3に示すように、検査結果テーブル22aは、例えば、「ローカル患者ID」と、「診療日」と、「分野」と、「検査」と、「検査結果」と、「単位」とを対応づけて記憶する。このうち、分野は、実施された検査に関係する分野を示す。検査は、実施された検査の名称を示す。検査結果は、実施された検査の結果を示す。単位は、検査結果の数値に対応する単位を示す。なお、検査結果テーブル22aには、自由記載テーブル21aとは異なり固定的な情報が記載されるので、同じ症状の患者を診た場合であっても、記載内容にバラツキが生じにくい。一方、検査結果テーブル22aに含まれるデータ量が多いので、このテーブルにアクセスして検索を実行する場合には、自由記載テーブル21aと比較して検索にかかる負荷が高くなる。
【0017】
図3に示すように、例えば、検査結果テーブル22aは、ローカル患者ID「0000000101」と、診療日「2010/1/17」と、分野「血液」と、検査「TP」と、検査結果「7.51」と、単位「g/dl」とを対応づけて記憶する。つまり、検査結果テーブル22aは、ID「0000000101」の患者が2010年1月17日に受診した際に、血液に関係する分野のTP検査が実施され、その結果が7.51g/dlであったことを示す。また、検査結果テーブル22aは、他の検査結果についても同様に記憶する。
【0018】
処方テーブル23aは、患者が医療機関に受診した際に処方された医薬品の情報を記憶する。図4は、処方テーブルのデータ構造の一例を示す図である。図4に示すように、処方テーブル23aは、例えば、「ローカル患者ID」と、「診療日」と、「医薬品」と、「数量」と、「単位」と、「用法」と、「日数」とを対応づけて記憶する。このうち、医薬品は、処方された医薬品の名称を示す。数量は、処方された医薬品の服用1回あたりの数量を示す。単位は、処方された医薬品の数量に対応する単位を示す。用法は、処方された医薬品の用法を示す。日数は、医薬品が処方された日数を示す。なお、処方テーブル23aには、自由記載テーブル21aとは異なり固定的な情報が記載されるので、同じ症状の患者を診た場合であっても、記載内容にバラツキが生じにくい。一方、処方テーブル23aに含まれるデータ量が多いので、このテーブルにアクセスして検索を実行する場合には、自由記載テーブル21aと比較して検索にかかる負荷が高くなる。
【0019】
図4に示すように、例えば、処方テーブル23aは、ローカル患者ID「0000000101」と、診療日「2010/1/17」と、医薬品「AA」と、数量「1」と、単位「錠」と、用法「1日3回食後」と、日数「7」とを対応づけて記憶する。つまり、処方テーブル23aは、ID「0000000101」の患者が2010年1月17日に受診した際に、1日3回食後に1錠ずつ服用する医薬品「AA」を7日分処方されたことを示す。また、処方テーブル23aは、他の処方された医薬品の情報についても同様に記憶する。
【0020】
検出サーバ100は、通信制御部101と、記憶部110と、制御部120とを有する。通信制御部101は、少なくとも1つの通信ポートを有するインターフェースである。例えば、通信制御部101は、検出サーバ100と検索装置30a〜30cそれぞれとの間でやりとりする各種情報に関する通信を制御する。また、例えば、通信制御部101は、図示しない情報処理端末から、後述する検索プログラム111を受け付けて、受け付けた検索プログラム111を記憶部110に格納する。
【0021】
記憶部110は、検索プログラム111と、第1の検索結果データ112と、患者テーブル113と、位置テーブル114と、第2の検索結果データ115と、第3の検索結果データ116とを有する。記憶部110は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、ハードディスクや光ディスクなどの記憶装置に対応する。
【0022】
検索プログラム111は、電子カルテに入力された情報を検索するために規定されたプログラムである。例えば、検索プログラム111は、後述する第1の検索部121、第2の検索部122及び第3の検索部123それぞれが検索装置30aに実行させるスクリーニングの条件を感染症ごとに規定する。例えば、検索プログラム111は、感染症ごとに、スクリーニングを実行させるタイミングと、スクリーニングにかかるキーワードと、検索対象となる電子カルテとを規定する。
【0023】
第1の検索結果データ112は、1次スクリーニングの検索結果を示すデータである。例えば、第1の検索結果データ112は、「医療機関」と、「日時」と、「キーワード」と、「期間」と、「割合」と、「ローカル患者ID」とが対応づけられたデータである。このうち、医療機関は、スクリーニングが実行された医療機関を示す識別情報を示す。日時は、スクリーニングが実行された日時を示す。キーワードは、スクリーニングにかかるキーワードを示す。期間は、検索対象となる診療日の期間を示す。割合は、検索対象となる電子カルテに含まれる患者の数のうち、電子カルテの内容にキーワードを含む患者の数が占める割合を示す。ローカル患者IDは、電子カルテの内容にキーワードを含む患者のローカル患者IDを示す。
【0024】
例えば、第1の検索結果データ112は、「医療機関10a」と、「2010/2/20」と、「せき」及び「ねつ」と、「2010/2/13−2010/2/20」と、「11%」と、「0000000101,・・・」とが対応づけられたデータである。つまり、第1の検索結果データ112は、2010年2月13日から2010年2月20日までに医療機関10aに受診した患者を検索対象として2010年2月20日にスクリーニングが実行された場合に、次のような結果であったことを示す。すなわち、第1の検索結果データ112は、検索対象となる患者数のうち11%の患者の自由記載テーブル21aの文書内容に「せき」及び「ねつ」を含み、その患者のローカル患者IDが「0000000101,・・・」であることを示す。なお、ここでは、第1の検索結果データ112が割合を用いて検索結果を示す場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第1の検索結果データ112は、「患者数」を用いて検索結果を示しても良い。つまり、第1の検索結果データ112は、検索対象となる自由記載テーブル21aに含まれる患者のうち、自由記載テーブル21aの文書内容にキーワードを含む患者の数を示しても良い。
【0025】
患者テーブル113は、複数の医療機関に受診した患者のローカル患者IDを対応づけて記憶する。図5は、患者テーブルのデータ構造の一例を示す図である。図5に示すように、患者テーブル113は、例えば、「地域患者ID」と、「医療機関」と、「ローカル患者ID」とを対応づけて記憶する。このうち、地域患者IDは、複数の医療機関に受診した患者に割り当てられる識別情報を示す。
【0026】
図5に示すように、例えば、患者テーブル113は、地域患者ID「0000000019」と、医療機関「A」と、ローカル患者ID「0000000101」とを対応づけて記憶する。また、患者テーブル113は、地域患者ID「0000000019」と、医療機関「B」と、ローカル患者ID「0000000209」とを対応づけて記憶する。また、患者テーブル113は、地域患者ID「0000000019」と、医療機関「D」と、ローカル患者ID「0000000333」とを対応づけて記憶する。すなわち、患者テーブル113は、医療機関「A」のID「0000000101」の患者と、医療機関「B」のID「0000000209」の患者と、医療機関「D」のID「0000000333」の患者とが同一の患者であることを示す。また、患者テーブル113は、その患者の地域患者IDが「0000000019」であることを示す。また、患者テーブル113は、他の地域患者IDについても同様に、複数の医療機関に受診した患者を対応づけて記憶する。
【0027】
位置テーブル114は、医療機関の座標を記憶する。図6は、位置テーブルのデータ構造の一例を示す図である。図6に示すように、位置テーブル114は、例えば、「医療機関」と、「経度」と、「緯度」とを対応づけて記憶する。例えば、位置テーブル114は、医療機関「A」と、緯度「153°59′11″」と、経度「24°16′59″」とを対応づけて記憶する。つまり、位置テーブル114は、医療機関「A」が緯度「153度59分11秒」経度「24度16分59秒」の位置に存在することを記憶する。
【0028】
図1の説明に戻る。第2の検索結果データ115は、2次スクリーニングの結果を示すデータである。第2の検索結果データ115のデータ構造は、例えば、第1の検索結果データ112のデータ構造と同様である。
【0029】
第3の検索結果データ116は、3次スクリーニングの結果を示すデータである。第3の検索結果データ116のデータ構造は、例えば、第1の検索結果データ112のデータ構造と同様である。
【0030】
制御部120は、第1の検索部121と、第2の検索部122と、第3の検索部123と、出力部124とを有する。制御部120の機能は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路により実現することができる。また、制御部120の機能は、例えば、CPU(Central Processing Unit)が所定のプログラムを実行することで実現することができる。
【0031】
第1の検索部121は、電子カルテを記憶する複数の医療機関の検索装置それぞれに対して、電子カルテに入力された情報を検索対象として、第1のキーワードによる検索を実行させる。この第1のキーワードは、例えば、電子カルテに含まれる一つのテーブルを検索対象とする一つ又は複数のキーワードである。
【0032】
例えば、第1の検索部121は、検索プログラム111を実行し、1次スクリーニングの検索指示を生成する。この検索指示は、例えば、一週間以内に受診した患者の自由記載テーブル21aに「せき」及び「ねつ」の2つのキーワードが含まれる患者を一日ごとに検索する旨を指示する情報である。この2つのキーワードは、患者がインフルエンザと診断された場合に自由記載テーブル21aに入力されやすいキーワードである。第1の検索部121は、生成した1次スクリーニングの検索指示を検索装置30a〜30cそれぞれに送信する。
【0033】
また、例えば、第1の検索部121は、検索装置30a〜30cのうち、1次スクリーニングによって検索された患者数が所定数若しくは所定割合に達した検索装置から、1次スクリーニングの検索結果とともに警告を受信する。この所定数若しくは所定割合は、感染症の流行状態を規定する閾値であり、例えば「10%」である。例えば、検索装置30aにおける1次スクリーニングにおいて検索された患者の割合が「11%」であった場合には、1次スクリーニングの検索結果とともに警告を検索装置30aから受信する。この1次スクリーニングの検索結果は、例えば、医療機関10aに一週間以内に受診した患者の自由記載テーブル21aに「せき」及び「ねつ」の2つのキーワードが含まれる患者の割合が11%であることを示す情報である。また、1次スクリーニングの検索結果は、1次スクリーニングで検出された患者のローカル患者IDを含む。そして、第1の検索部121は、受信した1次スクリーニングの検索結果を第1の検索結果データ112として記憶部110に格納する。なお、所定数若しくは所定割合については、この例示に限定されるものではなく、例えば「15%」や「100名」など、検出サーバ100を利用する者が任意の値に設定して良い。
【0034】
第2の検索部122は、所定数の検索装置において、第1のキーワードによって検索された検索対象の数が所定数若しくは所定割合に達した場合に、次の処理を実行する。つまり、第2の検索部122は、複数の医療機関の検索装置の少なくとも1つに対して、電子カルテに入力された情報を検索対象として、第1のキーワードとは異なる第2のキーワードによる検索を実行させる。この第2のキーワードは、例えば、電子カルテに含まれる複数のテーブルを検索対象とし、第1のキーワードとは異なる一つ又は複数のキーワードである。
【0035】
ここで、第2のキーワードとして選択されるキーワードには、3つのパターンが存在する。第1のパターンは、自由記載テーブル21aを検索対象とするキーワードが第2のキーワードとして選択される場合である。第2のパターンは、検査結果テーブル22aや処方テーブル23aなど、自由記載テーブル21a以外のテーブルを検索対象とするキーワードが第2のキーワードとして選択される場合である。第3のパターンは、自由記載テーブル21a及び自由記載テーブル21a以外のテーブルを跨ぐように、複数のキーワードが第2のキーワードとして選択される場合である。いずれのパターンであっても、検出漏れを防ぐことができる。また、第2のパターン及び第3のパターンは、第1のパターンに比べると高負荷になるという特徴がある。
【0036】
以下において、第2の検索部122が実行する2次スクリーニングについて説明する。第2の検索部122が実行する2次スクリーニングには、2次スクリーニングA及び2次スクリーニングBが存在する。
【0037】
ここで、2次スクリーニングAについて説明する。例えば、第2の検索部122は、検索装置30aから警告を受信した場合に、検索プログラム111を実行し、検索装置30aに対して2次スクリーニングAの検索指示を生成する。この2次スクリーニングAの検索指示は、例えば、1次スクリーニングで検索された患者のうち、医薬品「AA」が処方されている患者を検索する旨を指示する情報である。この医薬品「AA」は、患者がインフルエンザと診断された場合に処方されやすい医薬品であり、上記の第2のパターンに対応する。そして、第2の検索部122は、生成した2次スクリーニングAの検索指示を検索装置30aに送信する。なお、ここでは、第2のパターンに対応するキーワードが選択される場合を説明したが、第1のパターン又は第3のパターンに対応するキーワードが選択されても良い。
【0038】
また、例えば、第2の検索部122は、2次スクリーニングAの検索結果を受信する。この2次スクリーニングAの検索結果は、例えば、1次スクリーニングで検索された患者のうち、医薬品「AA」が処方されている患者の割合が8%であることを示す情報である。また、2次スクリーニングAの検索結果は、2次スクリーニングAで検出された患者のローカル患者IDを含む。そして、第2の検索部122は、受信した2次スクリーニングAの検索結果を第2の検索結果データ115として記憶部110に格納する。
【0039】
また、2次スクリーニングBについて説明する。例えば、第2の検索部122は、所定数の検索装置から警告を受信した場合に、検索プログラム111を実行し、所定数の検索装置から各検索装置の距離を算出する。この所定数の検索装置は、警告を送信していない検索装置における感染症の流行を示唆する閾値であり、例えば「1つ」である。例えば、第2の検索部122は、1つの検索装置30aから警告を受信した場合に、検索プログラム111を実行し、検索装置30aから各検索装置の距離を算出する。
【0040】
第2の検索部122は、例えば、図6に示した位置テーブル114を参照し、下記の式(1)を用いて、検索装置30aから各検索装置の距離を算出する。式(1)において、dは、地球の中心から見た2地点間の角度を示す。検索装置30aの緯度及び経度をδ1及びλ1とし、もう一方の検索装置の緯度及び経度をδ2及びλ2とする。なお、各医療機関の緯度及び経度は、各医療機関の検索装置の緯度及び経度に対応する。
【0041】
cos d=(sinδ1)×(sinδ2)+(cosδ1)×(cosδ2)×cos(λ1−λ2)・・・(1)
【0042】
第2の検索部122は、式(1)を用いて算出したcos dから、逆三角関数を用いて角度dを求める。第2の検索部122は、求めた角度dに地球の平均半径6370kmを乗算することで、検索装置30aから各検索装置までの距離を算出する。なお、2地点の緯度及び経度から2地点間の距離を算出する方法は、上記の方法に限定されるものではない。例えば、第2の検索部122は、2地点の緯度及び経度から2地点間の距離を算出するために、従来のいかなる方法をも適用することができる。
【0043】
第2の検索部122は、算出した検索装置30aから各検索装置までの距離を参照し、検索装置30aから半径5km以内に存在する検索装置を選択する。ここで、検索装置30aから半径5km以内に存在する検索装置が検索装置30bであった場合には、第2の検索部122は、検索装置30bを選択する。第2の検索部122は、選択した検索装置30bに対して2次スクリーニングの検索指示を生成する。この2次スクリーニングBの検索指示は、例えば、一週間以内に受診した患者の自由記載テーブル21aに「のどが痛い」というキーワードが含まれる患者を検索する旨を指示する情報である。このキーワードは、患者がインフルエンザと診断された場合に自由記載テーブル21aに入力されやすいキーワードであり、上記の第1のパターンに対応する。そして、第2の検索部122は、生成した2次スクリーニングBの検索指示を検索装置30bに送信する。なお、ここでは、第1のパターンに対応するキーワードが選択される場合を説明したが、第2のパターン又は第3のパターンに対応するキーワードが選択されても良い。
【0044】
また、例えば、第2の検索部122は、2次スクリーニングBの検索結果を受信する。この2次スクリーニングBの検索結果は、例えば、検索装置30bにおいて、一週間以内に受診した患者の自由記載テーブル21bに「のどが痛い」というキーワードが含まれる患者の割合が15%であることを示す情報である。また、2次スクリーニングBの検索結果は、2次スクリーニングBで検出された患者のローカル患者IDを含む。
【0045】
また、例えば、第2の検索部122は、2次スクリーニングAの検索結果と2次スクリーニングBの検索結果とにおいて同一の患者が重複して含まれる場合には、その患者についての情報を2次スクリーニングBの検索結果から削除する。例えば、第2の検索部122は、図5に示した患者テーブル113を参照し、2次スクリーニングAで検出された患者のローカル患者IDと、2次スクリーニングBで検出された患者のローカル患者IDとを、それぞれ地域患者IDに変換する。第2の検索部122は、2次スクリーニングAで検出された患者の地域患者IDと、2次スクリーニングBで検出された患者の地域患者IDを比較し、重複する地域患者IDが存在する場合に、その患者についての情報を2次スクリーニングBの検索結果から削除する。そして、第2の検索部122は、受信した2次スクリーニングBの検索結果を第2の検索結果データ115として記憶部110に格納する。なお、この重複する患者についての情報を削除する処理は、必ずしも実行されなくても良い。
【0046】
第3の検索部123は、2次スクリーニングBで検出された患者の数が所定数若しくは所定割合に達した場合に、検索プログラム111を実行し、3次スクリーニングの検索指示を生成する。この所定数若しくは所定割合は、感染症の流行状態を規定する閾値であり、例えば「10%」である。例えば、第3の検索部123は、2次スクリーニングBで検出された患者の割合が15%であった場合には、検索プログラム111を実行し、3次スクリーニングの検索指示を生成する。この3次スクリーニングの検索指示は、例えば、一週間以内に受診した患者の電子カルテに「せき」かつ「ねつ」、または、「のどが痛い」を含み、さらに検査「TP」と医薬品「AA」とを含む患者を検索する旨を指示する情報である。このうち、「せき」、「ねつ」及び「のどが痛い」は自由記載テーブル21bから検索される。検査「TP」は、患者がインフルエンザと診断された場合に検査されやすく、検査結果テーブル22bから検索される。医薬品「AA」は、患者がインフルエンザと診断された場合に処方されやすい医薬品であり、処方テーブル23bから検索される。つまり、ここで選択されたキーワードは、上記の第3のパターンに対応する。そして、第3の検索部123は、生成した3次スクリーニングの検索指示を検索装置30bに送信する。なお、所定数若しくは所定割合については、この例示に限定されるものではなく、例えば「15%」や「100名」など、検出サーバ100を利用する者が任意の値に設定して良い。また、ここでは、第3のパターンに対応するキーワードが選択される場合を説明したが、第1のパターン又は第2のパターンに対応するキーワードが選択されても良い。
【0047】
また、例えば、第3の検索部123は、3次スクリーニングの検索結果を受信する。この3次スクリーニングの検索結果は、例えば、一週間以内に受診した患者の電子カルテに「せき」かつ「ねつ」、または、「のどが痛い」を含み、さらに検査「TP」と医薬品「AA」とを含む患者の割合が4%であることを示す情報である。また、3次スクリーニングの検索結果は、3次スクリーニングで検出された患者のローカル患者IDを含む。そして、第3の検索部123は、受信した3次スクリーニングの検索結果を第3の検索結果データ116として記憶部110に格納する。
【0048】
出力部124は、第1のキーワードによる検索結果および第2のキーワードによる検索結果に基づいて警告を出力する。例えば、出力部124は、第1のキーワードによって検索された検索対象の数が所定数若しくは所定割合に達した場合には、その旨を示す警告を出力する。この所定数若しくは所定割合は、感染症の流行状態を規定する閾値であり、例えば「10%」である。例えば、出力部124は、第1の検索結果データ112を参照し、1次スクリーニングで検出された患者の割合が「11%」であった場合には、その旨を示す警告を出力する。なお、所定数若しくは所定割合については、この例示に限定されるものではなく、例えば「15%」や「100名」など、検出サーバ100を利用する者が任意の値に設定して良い。
【0049】
また、例えば、出力部124は、第2のキーワードによって検索された検索対象の数が所定数若しくは所定割合に達した場合には、その旨を示す警告を出力する。この所定数若しくは所定割合は、感染症の流行状態を規定する閾値であり、例えば「12%」である。例えば、出力部124は、第2の検索結果データ115を参照し、2次スクリーニングBで検出された患者の割合が「15%」であった場合には、その旨を示す警告を出力する。なお、所定数若しくは所定割合については、この例示に限定されるものではなく、例えば「15%」や「100名」など、検出サーバ100を利用する者が任意の値に設定して良い。
【0050】
また、例えば、出力部124は、ユーザからの要求に応じて、第1の検索結果データ112、第2の検索結果データ115及び第3の検索結果データ116を出力する。
【0051】
検索装置30aは、電子カルテに入力された情報を検索対象として検索を実行する。例えば、検索装置30aは、ゲートウェイサーバやセンタールータなどに対応する。
【0052】
例えば、検索装置30aは、1次スクリーニングの検索指示を検出サーバ100から受け付けて、電子診療録装置20aが記憶する電子カルテに入力された情報を検索対象として1次スクリーニングを実行する。例えば、検索装置30aは、一週間以内に受診した患者の自由記載テーブル21aに「せき」及び「ねつ」の2つのキーワードが含まれる患者を、一日ごとに定期的に検索する。検索装置30aは、1次スクリーニングによって検索された患者数が所定数若しくは所定割合に達した場合に、警告を検出サーバ100に送信する。この所定数若しくは所定割合は、感染症の流行状態を規定する閾値であり、例えば「10%」である。検索装置30aは、1次スクリーニングによって検索された患者の割合が「11%」であった場合には、1次スクリーニングの検索結果とともに警告を検出サーバ100に送信する。なお、所定数若しくは所定割合については、この例示に限定されるものではなく、例えば「15%」や「100名」など、検出サーバ100を利用する者が任意の値に設定して良い。
【0053】
また、例えば、検索装置30aは、2次スクリーニングAの検索指示を検出サーバ100から受け付けて、電子診療録装置20aが記憶する電子カルテに入力された情報を検索対象として2次スクリーニングAを実行する。例えば、検索装置30aは、1次スクリーニングで検索された患者の処方テーブル23aに医薬品「AA」が含まれる患者を検索する。検索装置30aは、2次スクリーニングAの検索結果を検出サーバ100に送信する。
【0054】
また、例えば、検索装置30aは、2次スクリーニングBの検索指示を検出サーバ100から受け付けて、電子診療録装置20aが記憶する電子カルテに入力された情報を検索対象として2次スクリーニングBを実行する。例えば、検索装置30aは、一週間以内に受診した患者の自由記載テーブル21aに「のどが痛い」というキーワードが含まれる患者を検索する。検索装置30aは、2次スクリーニングBの検索結果を検出サーバ100に送信する。
【0055】
また、例えば、検索装置30aは、3次スクリーニングの検索指示を検出サーバ100から受け付けて、電子診療録装置20aが記憶する電子カルテに入力された情報を検索対象として3次スクリーニングを実行する。例えば、検索装置30aは、一週間以内に受診した患者の電子カルテに「せき」かつ「ねつ」、または、「のどが痛い」を含み、さらに検査「TP」と医薬品「AA」とを含む患者を検索する。検索装置30aは、3次スクリーニングの検索結果を検出サーバ100に送信する。
【0056】
次に、実施例に係る検出サーバ100の処理手順について説明する。図7は、実施例に係る検出サーバの処理手順を示すフローチャートである。図7に示すカルテは、電子カルテに対応する。図7に示す処理は、例えば、図示した各装置に電源から電力が供給されている間、所定時間間隔で実行される。
【0057】
図7に示すように、検索装置30aは、電子診療録装置20aが記憶する電子カルテに入力された情報を検索対象として定期的に1次スクリーニングを実行する(ステップS1a)。そして、検索装置30aは、条件にマッチするか否かを判定する(ステップS2a)。つまり、検索装置30aは、1次スクリーニングによって検索された患者数が所定数若しくは所定割合に達したか否かを判定する。なお、検索装置30aは、条件にマッチするまで、ステップS1aの処理とステップS2aの処理とを1次スクリーニングの検索指示に従って定期的に繰り返す。また、検索装置30bは、検索装置30aが実行するステップS1aの処理及びステップS2aの処理と同様に、ステップS1bの処理及びステップS2bの処理を実行する。また、検索装置30cは、検索装置30aが実行するステップS1aの処理及びステップS2aの処理と同様に、ステップS1cの処理及びステップS2cの処理を実行する。また、ここで検索装置30a〜30cそれぞれが実行するスクリーニングは、同一のタイミングで実行されても良く、異なるタイミングで実行されても良い。
【0058】
検索装置30aは、条件にマッチすると判定した場合には(ステップS2a,Yes)、その旨を検出サーバ100に通知する(ステップS3)。つまり、検索装置30aは、例えば、1次スクリーニングによって検索された患者の割合が「11%」であった場合には、1次スクリーニングの検索結果とともに警告を検出サーバ100に送信する。なお、以下では、検索装置30aが条件にマッチすると判定した場合を説明するが、検索装置30bや検索装置30cが条件にマッチすると判定した場合にも同様の処理が実行されるので、説明は省略する。
【0059】
検出サーバ100は、指示対象を検索する(ステップS4)。つまり、検出サーバ100は、所定数の検索装置から警告を受信した場合に、検索プログラム111を実行し、所定数の検索装置から各検索装置の距離を算出する。検出サーバ100は、算出した検索装置30aから各検索装置までの距離を参照し、検索装置30aから半径5km以内に存在する検索装置を選択する。ここで、検索装置30aから半径5km以内に存在する検索装置が検索装置30bであった場合には、第2の検索部122は、検索装置30bを選択する。
【0060】
検出サーバ100は、2次スクリーニングを指示する(ステップS5)。つまり、検出サーバ100は、選択した検索装置30bに対して2次スクリーニングの検索指示を生成し、生成した2次スクリーニングBの検索指示を検索装置30bに送信する。また、検出サーバ100は、検索プログラム111を実行し、検索装置30aに対して2次スクリーニングAの検索指示を生成し、生成した2次スクリーニングAの検索指示を検索装置30aに送信する。
【0061】
検索装置30aは、電子診療録装置20aが記憶する電子カルテに入力された情報を検索対象として2次スクリーニングAを実行する(ステップS6)。例えば、検索装置30aは、1次スクリーニングで検索された患者の処方テーブル23aに医薬品「AA」が含まれる患者を検索する。検索装置30aは、結果を通知する(ステップS7)。つまり、検索装置30aは、2次スクリーニングAの検索結果を検出サーバ100に送信する。
【0062】
検索装置30bは、電子診療録装置20bが記憶する電子カルテに入力された情報を検索対象として2次スクリーニングBを実行する(ステップS8)。例えば、検索装置30bは、一週間以内に受診した患者の自由記載テーブル21bに「のどが痛い」というキーワードが含まれる患者を検索する。検索装置30bは、結果を通知する(ステップS9)。つまり、検索装置30aは、2次スクリーニングBの検索結果を検出サーバ100に送信する。
【0063】
検出サーバ100は、重複削除を行う(ステップS10)。つまり、検出サーバ100は、2次スクリーニングAの検索結果と2次スクリーニングBの検索結果とにおいて同一の患者が重複して含まれる場合には、その患者についての情報を2次スクリーニングBの検索結果から削除する。
【0064】
検出サーバ100は、3次スクリーニングが必要か否かを判定する(ステップS11)。つまり、検出サーバ100は、2次スクリーニングBで検出された患者の数が所定数若しくは所定割合に達したか否かを判定する。検出サーバ100は、3次スクリーニングが必要と判定した場合に(ステップS11,Yes)、3次スクリーニングを指示する(ステップS12)。つまり、検出サーバ100は、検索プログラム111を実行し、3次スクリーニングの検索指示を生成し、生成した3次スクリーニングの検索指示を検索装置30bに送信する。
【0065】
検索装置30bは、電子診療録装置20bが記憶する電子カルテに入力された情報を検索対象として3次スクリーニングを実行する(ステップS13)。例えば、検索装置30aは、一週間以内に受診した患者の電子カルテに「せき」かつ「ねつ」、または、「のどが痛い」を含み、さらに検査「TP」と医薬品「AA」とを含む患者を検索する。検索装置30bは、結果を通知する(ステップS14)。つまり、検索装置30bは、3次スクリーニングの検索結果を検出サーバ100に送信する。
【0066】
検出サーバ100は、結果を報告する(ステップS15)。つまり、検出サーバ100は、ユーザからの要求に応じて、第1の検索結果データ112、第2の検索結果データ115及び第3の検索結果データ116を出力する。
【0067】
一方、検出サーバ100は、3次スクリーニングが必要でないと判定した場合に(ステップS11,No)、結果を報告する(ステップS16)。つまり、検出サーバ100は、ユーザからの要求に応じて、第1の検索結果データ112、第2の検索結果データ115及び第3の検索結果データ116を出力する。
【0068】
なお、上述した処理手順のうち、重複削除を行う処理であるステップS10の処理は、必ずしも実行されなくても良い。つまり、ステップS9の処理を実行した後に、ステップS11の処理を実行するようにしても良い。
【0069】
また、上述した処理手順では、2次スクリーニングAの処理を実行した後に、2次スクリーニングBの処理を実行するものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、2次スクリーニングBの処理を実行した後に、2次スクリーニングAの処理を実行しても良い。また、2次スクリーニングAの処理と2次スクリーニングBの処理とを同時に実行しても良い。
【0070】
次に、実施例に係る検出サーバ100の効果について説明する。検出サーバ100は、電子カルテを記憶する複数の医療機関の検索装置それぞれに対して、電子カルテに入力された情報を検索対象として、第1のキーワードによる検索を実行させる。検出サーバ100は、所定数の検索装置において、第1のキーワードによって検索された検索対象の数が所定数若しくは所定割合に達した場合に、次のように処理する。つまり、検出サーバ100は、複数の医療機関の検索装置の少なくとも1つに対して、電子カルテに入力された情報を検索対象として、第1のキーワードとは異なる第2のキーワードによる検索を実行させる。検出サーバ100は、第1のキーワードによる検索結果および第2のキーワードによる検索結果に基づいて警告を出力する。このため、検出サーバ100は、医師によってカルテへの記載内容は異なっていたとしても、感染症の検出漏れを防ぐことができる。
【0071】
例えば、検出サーバ100は、1次スクリーニングでは典型的なインフルエンザの症状である「38度以上」、「関節痛」及び「悪寒」の3つのキーワードを用いて検索する。この1次スクリーニングによって検出された患者数が所定数に達した医療機関が同一地域内に所定数存在する場合には、検出サーバ100は、次のように処理する。つまり、検出サーバ100は、同一地域内で1次スクリーニングによって検出された患者数が所定数に達しなかった医療機関に対して「37度以上」、「のどの痛み」及び「頭痛」など1次スクリーニングとは異なるキーワードを用いて再度検索する。この異なるキーワードは、インフルエンザの可能性がある症状である。このため、検出サーバ100は、インフルエンザの典型的な症状が電子カルテに記載されていない場合であっても、インフルエンザの可能性がある症状の存在を検出することができる。
【0072】
また、検出サーバ100は、第1のキーワードによる検索として、第2のキーワードと比較して検索装置における処理負荷が低い検索を実行させる。また、検出サーバ100は、第2のキーワードによる検索として、第1のキーワードと比較して検索装置における処理負荷が高い検索を実行させる。このように、検出サーバ100は、最初に処理負荷が高い第2のキーワードによる検索を実行させるのではなく、処理負荷が低い第1のキーワードによる検索を実行させるので、検出にかかる負荷を軽減させることができる。また、第2のキーワードとして選択されるキーワードには、上述したように、3つのパターンが存在する。このうち、第2のパターン及び第3のパターンは、第1のパターンに比べて処理負荷が高い。検出サーバ100は、所定数の検索装置において、第1のキーワードによって検索された検索対象の数が所定数若しくは所定割合に達した場合に、所定の検索装置に対してのみ負荷のかかる検索を実行させるので、感染症の検出にかかる負荷を軽減させることができる。
【0073】
また、検出サーバ100は、第2のキーワードによる検索として、第1のキーワードによって検索された検索対象の数が所定数若しくは所定割合に達しなかった検索装置に対して、第2のキーワードによる検索を実行させる。このように、検出サーバ100は、全ての検索装置に対して第2のキーワードによる検索を実行させるのではなく、必要な検索装置に対して選択的に第2のキーワードによる検索を実行させるので、感染症の検出に係る負荷を軽減させることができる。
【0074】
例えば、自由記載テーブル21aを検索対象とする場合には、他の電子カルテを検索対象とするよりも検索にかかる負荷を軽減できるものの、医師によって自由記載テーブル21aに記載されるキーワードにバラツキがあった。一方、検査結果テーブル22aや処方テーブル23aを検索対象とする場合には、記載されるキーワードにバラツキがないものの、感染症の検出に用いるには自由記載テーブル21aとともに検索する場合には、検索にかかる負荷が大きくなっていた。このようなことから、検出サーバ100は、自由記載テーブル21aに記載されるキーワードで検索された検索対象の数が所定数若しくは所定割合に達した場合にのみ、検査結果テーブル22aや処方テーブル23aを検索対象とする。このため、検出サーバ100は、感染症の検出に係る負荷を軽減させることができる。
【0075】
ところで、上記の実施例では、1次スクリーニングから3次スクリーニングまでを実行する場合を説明したが、必ずしも3次スクリーニングは必要ではなく、1次スクリーニングと2次スクリーニングとが実行されれば良い。また、2次スクリーニングとして2次スクリーニングAと2次スクリーニングBとを実行する場合を説明したが、いずれか一方の2次スクリーニングが実行されれば良い。また、2次スクリーニングにおいて選択されるキーワードは、上述した3つのパターンのうちいずれか一つのパターンに対応すればよい。すなわち、図1に示した検出サーバ100は、必ずしも図1に示した各処理部を全て有していなくても良い。例えば、検出サーバ100は、第1の検索部121と、第2の検索部122と、出力部124とを有していれば良い。
【0076】
すなわち、第1の検索部121は、電子カルテを記憶する複数の医療機関の検索装置それぞれに対して、前記電子カルテに入力された情報を検索対象として、第1のキーワードによる検索を実行させる。第2の検索部122は、所定数の検索装置において、第1のキーワードによって検索された検索対象の数が所定数若しくは所定割合に達した場合に、次のように処理する。つまり、第2の検索部122は、複数の検索装置それぞれに対して、電子カルテに入力された情報を検索対象として、第1のキーワードとは異なる第2のキーワードによる検索を実行させる。出力部124は、第1のキーワードによる検索結果および第2のキーワードによる検索結果に基づいて警告を出力する。このため、検出サーバ100は、医師によってカルテへの記載内容は異なっていたとしても、感染症の検出漏れを防ぐことができる。
【0077】
また、実施例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。例えば、出力部124は、ユーザからの要求に応じて、第1の検索結果データ112、第2の検索結果データ115及び第3の検索結果データ116を出力するものと説明した。しかし、これに限定されるものではなく、出力部124は、第1の検索結果データ112、第2の検索結果データ115及び第3の検索結果データ116が記憶部110に格納されるごとに自動的に出力しても良い。この他、上述文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、自由記載テーブル21aは、文書種別を必ずしも記憶しなくても良い。
【0078】
また、図1に示した検出サーバ100の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、検出サーバ100の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、図1に示した第1の検索結果データ112、第2の検索結果データ115及び第3の検索結果データ116を同一のデータとして有していても良い。
【0079】
また、検出サーバ100は、サーバ装置に限らず、検出サーバ100の各機能を既知の情報処理装置に搭載することによって実現することもできる。既知の情報処理装置は、例えば、パーソナルコンピュータ、ワークステーションなどの装置に対応する。
【0080】
図8は、検出プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。図8に示すように、コンピュータ300は、各種演算処理を実行するCPU301と、ユーザからデータの入力を受け付ける入力装置302と、モニタ303とを有する。また、コンピュータ300は、記憶媒体からプログラム等を読み取る媒体読み取り装置304と、他の装置と接続するためのインターフェース装置305と、他の装置と無線により接続するための無線通信装置306とを有する。また、コンピュータ300は、各種情報を一時記憶するRAM(Random Access Memory)307と、ハードディスク装置308とを有する。また、各装置301〜308は、バス309に接続される。
【0081】
ハードディスク装置308には、図1に示した第1の検索部121、第2の検索部122及び出力部124の各処理部と同様の機能を有する更新プログラムが記憶される。また、ハードディスク装置308には、検出プログラムを実現するために、検索プログラム111、位置テーブル114の各種データが記憶される。
【0082】
CPU301は、ハードディスク装置308に記憶された各プログラムを読み出して、RAM307に展開し、各種の処理を行う。また、これらのプログラムは、コンピュータを図1に示した検索部121、第2の検索部122及び出力部124として機能させることができる。
【0083】
なお、上記の検出プログラムは、必ずしもハードディスク装置308に記憶されている必要はない。例えば、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記憶されたプログラムを、コンピュータ300が読み出して実行するようにしても良い。コンピュータが読み取り可能な記録媒体は、例えば、CD−ROMやDVDディスク、USBメモリ等の可搬型記録媒体、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、ハードディスクドライブ等が対応する。また、公衆回線、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等に接続された装置にこのプログラムを記憶させておき、コンピュータ300がこれらからプログラムを読み出して実行するようにしても良い。
【0084】
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0085】
(付記1)検出サーバは、
電子カルテを記憶する複数の医療機関の検索装置それぞれに対して、前記電子カルテに入力された情報を検索対象として、第1のキーワードによる検索を実行させ、
第一の所定数の検索装置において、前記第1のキーワードによって検索された検索対象の数が第二の所定数若しくは所定割合に達した場合に、前記複数の医療機関の検索装置の少なくとも1つに対して、前記電子カルテに入力された情報を検索対象として、前記第1のキーワードとは異なる第2のキーワードによる検索を実行させ、
前記第1のキーワードによる検索結果および前記第2のキーワードによる検索結果に基づいて警告を出力する
各処理を実行することを特徴とする検出方法。
【0086】
(付記2)前記第1のキーワードによる検索を実行させる処理は、前記第2のキーワードと比較して前記検索装置における処理負荷が低い検索を実行させ、
前記第2のキーワードによる検索を実行させる処理は、前記第1のキーワードと比較して前記検索装置における処理負荷が高い検索を実行させる
ことを特徴とする付記1に記載の検出方法。
【0087】
(付記3)前記第2のキーワードによる検索を実行させる処理は、前記第1のキーワードによって検索された検索対象の数が前記第二の所定数若しくは所定割合に達しなかった検索装置に対して、前記第2のキーワードによる検索を実行させることを特徴とする付記1または2に記載の検出方法。
【0088】
(付記4)電子カルテを記憶する複数の医療機関の検索装置それぞれに対して、前記電子カルテに入力された情報を検索対象として、第1のキーワードによる検索を実行させる第1の検索部と、
第一の所定数の検索装置において、前記第1のキーワードによって検索された検索対象の数が第二の所定数若しくは所定割合に達した場合に、前記複数の医療機関の検索装置の少なくとも一つに対して、前記電子カルテに入力された情報を検索対象として、前記第1のキーワードとは異なる第2のキーワードによる検索を実行させる第2の検索部と、
前記第1のキーワードによる検索結果および前記第2のキーワードによる検索結果に基づいて警告を出力する出力部と
を備えたことを特徴とする検出サーバ。
【0089】
(付記5)前記第1の検索部は、前記第2のキーワードと比較して前記検索装置における処理負荷が低い検索を実行させ、
前記第2の検索部は、前記第1のキーワードと比較して前記検索装置における処理負荷が高い検索を実行させる
ことを特徴とする付記4に記載の検出サーバ。
【0090】
(付記6)前記第2の検索部は、前記第1のキーワードによって検索された検索対象の数が前記第二の所定数若しくは所定割合に達しなかった検索装置に対して、前記第2のキーワードによる検索を実行させることを特徴とする付記4または5に記載の検出サーバ。
【符号の説明】
【0091】
100 検出サーバ
101 通信制御部
110 記憶部
111 検索プログラム
112 検索結果データ
113 患者テーブル
114 位置テーブル
115 検索結果データ
116 検索結果データ
120 制御部
121 第1の検索部
122 第2の検索部
123 第3の検索部
124 出力部
300 コンピュータ
301 CPU
302 入力装置
303 モニタ
304 媒体読み取り装置
305 インターフェース装置
306 無線通信装置
307 RAM
308 ハードディスク装置
309 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出サーバは、
電子カルテを記憶する複数の医療機関の検索装置それぞれに対して、前記電子カルテに入力された情報を検索対象として、第1のキーワードによる検索を実行させ、
第一の所定数の検索装置において、前記第1のキーワードによって検索された検索対象の数が第二の所定数若しくは所定割合に達した場合に、前記複数の医療機関の検索装置の少なくとも1つに対して、前記電子カルテに入力された情報を検索対象として、前記第1のキーワードとは異なる第2のキーワードによる検索を実行させ、
前記第1のキーワードによる検索結果および前記第2のキーワードによる検索結果に基づいて警告を出力する
各処理を実行することを特徴とする検出方法。
【請求項2】
前記第1のキーワードによる検索を実行させる処理は、前記第2のキーワードと比較して前記検索装置における処理負荷が低い検索を実行させ、
前記第2のキーワードによる検索を実行させる処理は、前記第1のキーワードと比較して前記検索装置における処理負荷が高い検索を実行させる
ことを特徴とする請求項1に記載の検出方法。
【請求項3】
前記第2のキーワードによる検索を実行させる処理は、前記第1のキーワードによって検索された検索対象の数が前記第二の所定数若しくは所定割合に達しなかった検索装置に対して、前記第2のキーワードによる検索を実行させることを特徴とする請求項1または2に記載の検出方法。
【請求項4】
電子カルテを記憶する複数の医療機関の検索装置それぞれに対して、前記電子カルテに入力された情報を検索対象として、第1のキーワードによる検索を実行させる第1の検索部と、
第一の所定数の検索装置において、前記第1のキーワードによって検索された検索対象の数が第二の所定数若しくは所定割合に達した場合に、前記複数の医療機関の検索装置の少なくとも一つに対して、前記電子カルテに入力された情報を検索対象として、前記第1のキーワードとは異なる第2のキーワードによる検索を実行させる第2の検索部と、
前記第1のキーワードによる検索結果および前記第2のキーワードによる検索結果に基づいて警告を出力する出力部と
を備えたことを特徴とする検出サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−212252(P2012−212252A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76754(P2011−76754)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】