検出素子およびそれを用いた検出装置
【課題】高感度化が可能な検出素子を提供する。
【解決手段】検出素子10は、基体1,4と、絶縁部材2,3と、支持体5と、電極6,7とを備える。絶縁部材2は、基体1の一主面に形成され、凹部を有する。絶縁部材3は、絶縁部材3および基体4に接して形成される。基体4は、支持体5の一主面に形成される。電極6は、基体1の絶縁部材2が形成された面と反対面に形成される。電極7は、基体4に接続されるように支持体5の表面5A、側面5Bおよび裏面5Cに形成される。その結果、検出素子10は、絶縁部材2,3によって囲まれた間隙部8を備える。また、基体1は、絶縁部材2,3および支持体5(石英)を介して基体4と結合される。そして、電圧が電極6,7間に印加されたときに基体1,4間に流れる電流が測定され、間隙部8に入った検出対象物が検出または分析される。
【解決手段】検出素子10は、基体1,4と、絶縁部材2,3と、支持体5と、電極6,7とを備える。絶縁部材2は、基体1の一主面に形成され、凹部を有する。絶縁部材3は、絶縁部材3および基体4に接して形成される。基体4は、支持体5の一主面に形成される。電極6は、基体1の絶縁部材2が形成された面と反対面に形成される。電極7は、基体4に接続されるように支持体5の表面5A、側面5Bおよび裏面5Cに形成される。その結果、検出素子10は、絶縁部材2,3によって囲まれた間隙部8を備える。また、基体1は、絶縁部材2,3および支持体5(石英)を介して基体4と結合される。そして、電圧が電極6,7間に印加されたときに基体1,4間に流れる電流が測定され、間隙部8に入った検出対象物が検出または分析される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、検出素子およびそれを用いた検出装置に関し、特に、粒子を検出する検出素子およびそれを用いた検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体中に浮懸する粒子を計算する計算装置が検出装置として血球分析装置に使用されている。この計算装置は、粒子が通過する孔と、粒子が孔を通過するときに流れる電流が変化する2個の電極とを備える(特許文献1〜4)。
【0003】
また、2個の半導体(Si)基板の間の距離が絶縁体(SiO2)の厚さにより規定された構造の検出装置が知られている。この検出装置は、2個の半導体基板の間の距離が絶縁体の厚さにより高い精度で規定されるため、半導体基板間の距離が検出対象物の大きさよりも大きく、かつ、検出対象物の大きさに近くなるように2個の半導体基板を高い精度で配置でき、容易に高感度化できる(特許文献5)。
【特許文献1】米国特許第2656508号公報
【特許文献2】特公昭30−5699号公報
【特許文献3】米国特許第3502974号公報
【特許文献4】特公昭42−2200号公報
【特許文献5】特開2003−315296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検出対象物を高感度で検出するためには、2個の半導体基板間の距離をできる限り小さくする必要がある。しかし、従来の検出装置においては、2個の半導体基板間の距離を小さくすると、2個の半導体基板間の絶縁性が低下し、検出対象物を検出する感度が低下するという問題がある。
【0005】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、高感度化が可能な検出素子を提供することである。
【0006】
また、この発明の別の目的は、高感度化が可能な検出素子を用いた検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によれば、検出素子は、第1の基体と、第2の基体と、絶縁部材と、間隙部と、電流抑制部材とを備える。第2の基体は、第1の基体に対向して設けられる。絶縁部材は、第1の基体と第2の基体との距離を厚さにより規定する。間隙部は、第1の基体と第2の基体との間に設けられる。電流抑制部材は、第1の基体と第2の基体との間の漏れ電流を抑制する。そして、第2の基体は、電流抑制部材が第1の基体の間隙部側と反対側の一主面にのみ接して形成されている場合、間隙部側の表面に絶縁膜を含む。
【0008】
好ましくは、電流抑制部材は、第2の基体に対向して設けられ、絶縁部材に接する電気絶縁性の支持体からなる。第1の基体は、絶縁部材と隙間を隔てて支持体の間隙部側の一主面に配置される。第1および第2の基体の各々は、金属、金属合金、金属半導体化合物、半金属、半導体、透明導電体および導電性有機物のいずれかからなる。
【0009】
好ましくは、第2の基体は、半導体からなり、絶縁部材は、第2の基体の材料を含む絶縁物からなる。
【0010】
好ましくは、第2の基体は、シリコン材料からなり、絶縁部材は、第2の基体の熱酸化物、第2の基体の熱窒化物、第2の基体の熱炭化物、およびこれらの化合物のいずれかからなる。
【0011】
好ましくは、第2の基体は、シリコン材料からなる。絶縁部材は、第1および第2の絶縁部材からなる。第1の絶縁部材は、第2の基体の熱酸化物、第2の基体の熱窒化物、第2の基体の熱炭化物、およびこれらの化合物のいずれかからなる。第2の絶縁部材は、第1の絶縁部材と異なる絶縁材料からなる。
【0012】
好ましくは、支持体は、石英からなり、第1の絶縁部材は、熱酸化物からなり、第2の絶縁部材は、熱酸化物と異なるシリコン酸化膜からなる。
【0013】
好ましくは、第1の基体は、金属からなり、第2の基体は、半導体からなる。
【0014】
好ましくは、第1の基体は、p型の半導体からなり、第2の基体は、n型の半導体からなる。
【0015】
好ましくは、電流抑制部材は、第1および第2の基体の少なくとも一方の基体の間隙部側の表面に設けられた量子ドットからなる。第1および第2の基体の各々は、金属、金属合金、金属半導体化合物、半金属、半導体、透明導電体および導電性有機物のいずれかからなる。
【0016】
好ましくは、量子ドットは、半導体、シリサイドおよび金属のいずれかからなる。
【0017】
好ましくは、第1の基体は、p型の半導体からなり、第2の基体は、n型の半導体からなる。
【0018】
好ましくは、電流抑制部材は、第1および第2の基体の少なくとも一方の基体の間隙部側の表面に任意の距離を隔てて設けられた複数の絶縁膜からなる。
【0019】
好ましくは、第1の基体は、p型の半導体からなり、第2の基体は、n型の半導体からなる。
【0020】
好ましくは、検出素子は、装着検出部をさらに備える。装着検出部は、当該検出素子の装着の履歴を示すマークが付される。
【0021】
また、この発明によれば、検出装置は、検出素子と、装着部と、光源部と、光検出部と、検出/分析部とを備える。検出素子は、請求項14に記載の検出素子からなる。装着部は、検出素子が装着される。光源部は、検出素子の間隙部に光を照射する。光検出部は、検出素子の間隙部からの光を検出する。検出/分析部は、光検出部における検出結果に基づいて検出対象物を検出または分析する。そして、検出素子の装着検出部は、検出素子が装着部に装着されることによりマークが付される。
【0022】
さらに、この発明によれば、検出装置は、検出素子と、装着部と、電源と、測定部と、検出/分析部とを備える。検出素子は、請求項14に記載の検出素子からなる。装着部は、検出素子が装着される。電源は、検出素子の第1および第2の基体間に電圧を印加する。測定部は、第1および第2の基体間に流れる電流を測定する。検出/分析部は、測定部によって測定された電流に基づいて検出対象物を検出または分析する。そして、検出素子の装着検出部は、検出素子が装着部に装着されることによりマークが付される。
【0023】
さらに、この発明によれば、検出装置は、検出素子と、光源部と、光検出部と、検出/分析部とを備える。検出素子は、請求項1に記載の検出素子からなる。光源部は、検出素子の間隙部に光を照射する。光検出部は、検出素子の間隙部からの光を検出する。検出/分析部は、光検出部における検出結果に基づいて検出対象物を検出または分析する。
【0024】
好ましくは、光源部は、波長が異なる複数の光を間隙部に照射する。
【0025】
好ましくは、光検出部は、検出素子の間隙部に存在する対象物から発せられる蛍光を検出する。
【0026】
さらに、この発明によれば、検出装置は、検出素子と、電源と、測定部と、検出/分析部とを備える。検出素子は、請求項1に記載の検出素子からなる。電源は、検出素子の第1および第2の基体間に電圧を印加する。測定部は、第1および第2の基体間に流れる電流を測定する。検出/分析部は、測定部によって測定された電流に基づいて検出対象物を検出または分析する。
【発明の効果】
【0027】
この発明においては、第1および第2の基体間に流れる漏れ電流は、電流抑制部材によって抑制される。その結果、第1および第2の基体間に流れる電流が微小になり、その微小な電流に基づいて、検出対象物が検出または分析される。
【0028】
したがって、この発明によれば、検出対象物を高感度で検出または分析できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0030】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による検出素子の構成を示す斜視図である。図1を参照して、検出素子10は、基体1,4と、絶縁部材2,3と、支持体5と、電極6,7とを備える。
【0031】
基体1は、たとえば、n型シリコン(n−Si)からなる。絶縁部材2は、たとえば、n−Siの熱酸化物(熱SiO2)からなり、基体1の一主面に形成される。そして、絶縁部材2は、基体1の幅方向DR1の略中央部に凹部を有する。
【0032】
絶縁部材3は、たとえば、SOG(Spin On Glass)による酸化膜(SiO2)からなり、絶縁部材2と支持体5との間に絶縁部材2および支持体5に接して形成される。基体4は、たとえば、Alからなり、絶縁部材3および支持体5に接するように支持体5の絶縁部材3側の表面5Aに形成される。この場合、基体4は、幅方向DR1において絶縁部材2の凹部の略中央に配置される。支持体5は、たとえば、石英からなる。
【0033】
電極6は、たとえば、アルミニウム(Al)からなり、基体1の絶縁部材2が形成された面と反対側の一主面に形成される。電極7は、たとえば、Alからなり、略コの字形状の断面形状を有する。そして、電極7は、支持体5の一部を挟み込むように支持体5の表面5A、側面5Bおよび裏面5Cに形成され、その一方端が基体4に接続される。
【0034】
上述したように、絶縁部材2が凹部を有し、絶縁部材3が絶縁部材2に接して形成される結果、検出素子10は、絶縁部材2,3によって囲まれる間隙部8を備える。
【0035】
基体1は、550μmの厚みを有し、絶縁部材2のうち、絶縁部材3に接する部分は、600nmの厚みを有し、絶縁部材2のうち、間隙部8に接する部分は、2nmの厚みを有する。
【0036】
また、絶縁部材3は、2nmの厚みを有し、基体4は、50nmの厚みを有し、支持体5は、500μmの厚みを有する。
【0037】
更に、電極6,7の各々は、100nmの厚みを有する。
【0038】
このように、絶縁部材2のうち、間隙部8に接する部分、および絶縁部材3は、電子がトンネル可能な厚みを有する。
【0039】
図2は、図1に示す検出素子10の寸法を説明するための図である。図2を参照して、検出素子10は、20mmの長さL、20mmの幅Wおよび1.05mmの高さHを有する。また、絶縁部材2と基体4との間隔dは、1mmである。
【0040】
図3は、図2に示すA方向から見た検出素子10の平面図である。図3を参照して、間隙部8は、幅wおよび高さhを有する。そして、幅wは、7mmに設定され、高さhは、598nmに設定される。
【0041】
図4および図5は、それぞれ、図1に示す検出素子10の製造方法を示す第1および第2の工程図である。図4を参照して、検出素子10の製造が開始されると、(100)面を有するn−Si基板の表面が洗浄され、基体1が準備される(図4の工程(a)参照)。
【0042】
その後、基体1の表面がウェット酸化により酸化され、基体1の一主面上に熱酸化膜(熱SiO2)21が形成される(図4の工程(b)参照)。この場合、ウェット酸化の条件は、水分を含有する酸素ガス中の基体1の熱酸化温度が1000℃であり、熱酸化時間が300分である。そして、熱酸化膜21の表面にレジストを塗布し、フォトリソグラフィを用いてレジストをパターンニングし、マスク用のレジスト22を熱酸化膜21の表面に形成する(図4の工程(c)参照)。
【0043】
そうすると、レジスト22をマスクとして熱酸化膜21をエッチングし、その後、レジスト22を除去する。これによって、絶縁部材2が基体1の一主面上に形成される(図4の工程(d)参照)。
【0044】
そして、Alからなる電極6が蒸着によって基体1の裏面(絶縁部材2が形成された面と反対面)に形成される(図4の工程(e)参照)。
【0045】
引き続いて、図5を参照して、石英からなる支持体5の表面にAlを蒸着し、その蒸着したAlをパターンニングして基体4と、電極7の一部とを支持体5の一主面に形成する(図5の工程(f)参照)。
【0046】
その後、SOG(Spin On Glass)を用いて基体4と電極7の一部とを覆うように支持体5の一主面上にSiO2からなる絶縁部材3を形成する(図5の工程(g)参照)。必要があれば、絶縁部材3の形成後、絶縁部材3をエッチングし、絶縁部材3の厚みを所望の厚みに設定する。
【0047】
そうすると、絶縁部材3が図4に示す工程(e)で作製された絶縁部材2に接するように、支持体5を基体1上に配置し、窒素雰囲気中で室温、100℃、200℃および400℃のいずれかの温度で30分間、熱処理して絶縁部材3を絶縁部材2に接着させる(図5の工程(h)参照)。これによって、間隙部8が形成されるとともに、基体1,4間の距離が絶縁部材2の厚みによって決定される。
【0048】
なお、絶縁部材2は、シリコンの熱酸化膜からなり、絶縁部材3は、SOGを用いて形成した酸化膜からなるので、窒素雰囲気中における熱処理によって絶縁部材3は、絶縁部材2と容易に接着する。
【0049】
その後、電極7の残りの部分を蒸着によって支持体5に形成し、検出素子10が完成する(図5の工程(i)参照)。
【0050】
図6は、図1に示す検出素子10を用いた検出装置の概略図である。図6を参照して、検出装置100は、検出素子10と、電気配線20と、直流電源30と、交流電源40と、測定部50と、検出/分析部60とを備える。
【0051】
電気配線20は、検出素子10の電極6と電極7との間に接続される。直流電源30は、電気配線20中に接続される。交流電源40は、電気配線20中に接続される。測定部50は、電気配線20中に接続される。
【0052】
直流電源30は、電気配線20を介して検出素子10の電極6,7間に直流電圧を印加する。交流電源40は、電気配線20を介して検出素子10の電極6,7間に交流電圧を印加する。ここで、交流電圧は、低周波数(たとえば、10μHz)から高周波数(たとえば、100MHz)の正弦波電圧、ランプ電圧、三角波電圧およびパルス電圧等のひずみ波電圧からなる。
【0053】
測定部50は、直流電圧または交流電圧が検出素子10の電極6,7間に印加されたときの直流電流または交流電流を測定し、その測定した直流電流または交流電流を検出/分析部60へ出力する。
【0054】
検出/分析部60は、測定部50から受けた直流電流または交流電流に基づいて、後述する方法によって、検出対象物を検出し、または検出対象物を分析(特定)する。
【0055】
図7は、図1に示す検出素子10を用いた検出対象物の検出方法を説明するための図である。検出装置100は、圧力が大気圧よりも低い減圧下で気体分子または原子を検出し、大気圧下で気体分子または原子を検出し、さらに、液体中の液体分子を検出する。
【0056】
この場合、検出装置100の検出素子10は、真空中(大気圧よりも低い圧力を有する気体中)、気体媒質中および液体媒質中に配置される。
【0057】
図7を参照して、検出装置100は、真空中、気体媒質中および液体媒質中で気体分子、気体原子および液体分子を検出する場合、気体分子、気体原子および液体分子等の検出対象物が間隙部8に存在しないときに検出素子10の電極6,7間に流れる電流I0を測定しておき(図7の(a)参照)、その後、気体原子および液体分子等の検出対象物9が間隙部8に存在するときに検出素子10の電極6,7間に流れる電流Imを測定する(図7の(b)参照)。そして、検出装置100は、電流I0と電流Imとの変化分を検出して気体分子、気体原子および液体分子を検出する。
【0058】
真空中で検出対象物9を検出する場合、媒質は、電気的に絶縁性であり、気体中および液体中で検出対象物9を検出する場合、媒質は、電気的に絶縁性または電気的に伝導性である。
【0059】
したがって、検出装置100は、検出対象物9の周囲の媒質が電気的に絶縁性である場合、電気伝導性の検出対象物9を検出でき、検出対象物9の周囲の媒質が電気伝導性である場合、電気的に絶縁性の検出対象物9を検出できる。
【0060】
媒質が電気的に絶縁性である場合、直流電圧が電極6,7間に印加されても、直流電流が間隙部8を介して基体1,4間に流れず、電気伝導性の検出対象物9が間隙部8に入ると、直流電流は、電極7から基体4へ流れ、基体4と検出対象物9との間をトンネルして検出対象物9へ流れ、さらに、検出対象物9と基体1との間をトンネルして基体1に流れ、基体1から電極6へ流れる。したがって、絶縁部材2の凹部と絶縁部材3との間隔は、検出対象物9の大きさ以上であり、かつ、検出対象物9の大きさに近い値に設定される。
【0061】
また、媒質が電気伝導性である場合、直流電圧が電極6,7間に印加されると、直流電流は、電極7から基体4へ流れ、基体4と媒質との間をトンネルして媒質へ流れ、さらに、媒質と基体1との間をトンネルして基体1に流れ、基体1から電極6へ流れる。そして、電気的に絶縁性の検出対象物9が間隙部8に入ると、直流電圧が電極6,7間に印加されても、直流電流は、間隙部8の検出対象物9を介して基体1,4間に流れない。
【0062】
したがって、検出装置100は、検出対象部9が間隙部8に存在しないときの電流I0と、検出対象部9が間隙部8に存在するときの電流Imとを測定することによって検出対象部9を検出できる。
【0063】
すなわち、検出対象物9の周囲の媒質が電気的に絶縁性である場合、検出装置100は、検出素子10の電極6,7間に直流電圧を印加しながら検出素子10に流れる電流を測定する。この場合、検出装置100は、媒質だけが間隙部8に存在するとき、電流I0(直流電流)を検出し(図7の(c)参照)、電気伝導性の検出対象物9が間隙部8に入ったとき、電流Im(直流電流)を検出する(図7の(d)参照)。
【0064】
従って、検出装置100は、図7の(d)に示す電流Imを検出することによって電気伝導性の検出対象物9を検出したことを検知する。
【0065】
一方、検出対象物9の周囲の媒質が電気伝導性である場合、検出装置100は、検出素子10の電極6,7間に直流電圧を印加しながら検出素子10に流れる電流を測定する。この場合、検出装置100は、媒質だけが間隙部8に存在するとき、電流I0(直流電流)を検出し(図7の(e)参照)、電気的に絶縁性の検出対象物9が間隙部8に入ったとき、電流Im(直流電流)を検出する(図7の(f)参照)。
【0066】
従って、検出装置100は、図7の(f)に示す電流Imを検出することによって電気絶縁性の検出対象物9を検出したことを検知する。
【0067】
このように、検出装置100は、検出素子10の間隙部8に検出対象物9が存在しないときの電流I0と間隙部8に検出対象物9が存在するときの電流Imとの変化分を検知して検出対象物9を検出する。
【0068】
検出装置100は、検出素子10を用いて検出対象物9を特定(すなわち、分析)できる。より具体的には、検出装置100は、種類が解っている検出対象物9が間隙部8に入ったときの電流Im0を予め測定し、検出対象物9の名称と電流Im0との対応表を作成して記憶しておき、実際の検出時に検出素子10に流れる電流Im1を測定し、その測定した電流Im1に一致する電流Im0に対応する検出対象物9の名称を対応表を参照して抽出することによって検出対象物9を特定(分析)する。
【0069】
なお、交流電圧が電極6,7に印加される場合も、同様にして、検出対象物9が検出または分析される。また、基体1がシリコンからなり、基体4が金属(Al)からなるので、基体4−間隙部8−基体1の構造は、MOS(Metal Oxide Semiconductor)構造となる。したがって、MOSダイオードと同様な電流−電圧特性、コンダクタンス−電圧特性およびキャパシタンス−電圧特性のいずれかを測定することによって、検出装置100は、検出対象物9を検出または分析できる。
【0070】
図8は、図1に示す検出素子10におけるキャパシタンスと印加電圧との関係を示す図である。図8において、縦軸は、キャパシタンスを表し、横軸は、印加電圧を表す。また、黒丸は、超純水を間隙部8に滴下したときのキャパシタンスと印加電圧との関係(C−V特性)を示し、白丸は、pH=3.7の酢酸溶液を間隙部8に滴下したときのキャパシタンスと印加電圧との関係を示す。
【0071】
なお、C−V特性を測定する場合、検出素子10の絶縁部材2のうち、間隙部8に接する部分は、20nmの厚みを有し、絶縁部材3は、300nmの厚みを有する。このように、C−V特性を測定する場合、絶縁部材2のうち、間隙部8に接する部分、および絶縁部材3は、電子がトンネル不可能な厚みを有する。
【0072】
図8を参照して、C−V特性は、イオンの動きによるヒステリシスを有する。そして、pH=3.7の酢酸溶液を間隙部8に滴下することによって、C−V特性は、負電圧側へシフトする。これは、間隙部8に面した絶縁部材2,3を構成するSiO2の表面におけるSiと水素との化合物群の負電荷が減少したためである。したがって、超純水だけを間隙部8に滴下してC−V特性を測定し、その後、酢酸溶液を間隙部8に滴下してC−V特性を測定することによって、酢酸を検出または分析できる。
【0073】
なお、ヒステリシスは、コンダクタンス−電圧特性(G−V特性)においても観測された。また、超純水にDNA(Deoxyribo Nucleic Acid)を溶解した溶液を間隙部8に滴下した場合においても、ヒステリシスを有するC−V特性が観測されるとともに、DNA溶液を間隙部8に滴下することによって、C−V特性は、負電圧側へシフトする。したがって、超純水だけを間隙部8に滴下してC−V特性を測定し、その後、DNA溶液を間隙部8に滴下してC−V特性を測定することによって、DNA溶液を検出または分析できる。
【0074】
上述したように、検出装置100は、検出素子10の基体1,4間に流れる電流の変化を測定して検出対象物9を検出または分析する。そして、検出素子10において、2つの基体1,4は、2つの絶縁部材2,3および支持体5(石英からなる)を介して結合されている。したがって、2つの絶縁部材2,3および支持体5を介して基体1,4間に漏れ電流が流れるのを抑制できる。すなわち、絶縁部材2は、シリコンの熱酸化膜からなり、絶縁部材3は、SOGを用いた酸化膜からなるので、シリコンの熱酸化膜を膜厚方向に貫くピンホールが熱酸化膜中に発生し、SOGを用いた酸化膜中にもピンホールが発生しても、2つの絶縁部材2,3中のピンホールが接することは想定し難い。また、基体4は、幅方向DR1において絶縁部材2と間隔dを有するので、絶縁部材2,3および支持体5を介して基体1,4間に漏れ電流が流れるには、漏れ電流が絶縁部材3および支持体5(=石英)を面内方向に流れる必要がある。したがって、2つの絶縁部材2,3および支持体5を介して基体1,4間に漏れ電流が流れるのを抑制できる。
【0075】
このように、2つの基体1,4を種類の異なる2つの酸化物で結合することによって漏れ電流が基体1,4間に流れるのを抑制できる。その結果、検出対象物9を高感度に検出できる。また、検出素子10の信頼性を向上できる。
【0076】
また、検出素子10の絶縁部材2は、基体1の材料であるシリコンを熱酸化して形成された熱酸化物からなるので、パーティクルが基体1と絶縁部材2との間に入るのを防止できる。
【0077】
さらに、検出装置100は、検出素子10に流れる電流を測定して検出対象物9を検出または分析するので、通常のバイオセンサが備えている分子識別素子部を必要としない。したがって、検出装置100を小型にできるとともに、検出装置100を簡単に製造できる。
【0078】
間隙部8の幅w、高さhおよび長さは、検出対象物9の大きさよりも大きく形成されているが、検出対象物9の大きさと同等に形成されている場合、高感度で検出対象物9を1個ずつ検出できる。
【0079】
また、 間隙部8の長さが間隙部8の幅wおよび高さhよりも長い場合、1個または複数の検出対象物9を高感度で検出できる。そして、検出された検出対象物の個数および間隙部8の大きさによって検出対象物9の濃度を求めることができる。
【0080】
さらに、間隙部8の幅wが間隙部8の高さhおよび長さよりも大きい場合、1個または複数の検出対象物9を高感度で検出できる。
【0081】
さらに、間隙部8の幅wおよび長さが間隙部8の高さhよりも大きい場合、1個または複数の検出対象物9を高感度で検出できる。
【0082】
さらに、基体1,4の少なくとも一方の間隙部8側の表面積が基体1,4間の最短距離の二乗と同等以上である場合、1個または複数の検出対象物9を同時に検出できる。この場合、感度を高くするためには、基体1,4間の距離を検出対象物9よりも大きく、かつ、検出対象物9の大きさに近くすることが望ましい。
【0083】
間隙部8の高さhが10nm程度よりも小さく形成されている場合、検出素子10を容器内に設置し、容器内を超高真空度に真空排気したとき、基体1,4間に電圧を印加することによって、電子のトンネル効果によるトンネル電流が基体1,4間に流れる。検出対象物9が間隙部8に導入されたとき、トンネル抵抗が小さくなり、所定の電圧が基体1,4間に印加されると、検出対象物9が間隙部8に導入されていないときよりもトンネル電流が大きくなるので、検出対象物9を検出できる。
【0084】
また、媒質のみが間隙部8に導入されたときも、トンネル電流が大きくなる。媒質中の検出対象物9を検出する際、媒質のみが間隙部8に存在するときと、検出対象物9が間隙部8に導入されたときとでトンネル電流の変化を測定することによって、間隙部8における検出対象物9の存在または通過を検出できる。この場合、媒質のトンネル電流は、検出対象物9のトンネル電流と大きく異なることが好ましい。
【0085】
さらに、トンネル抵抗(またはトンネル電流)と電圧との関係を測定し、その測定したトンネル抵抗(またはトンネル電流)−電圧特性を記憶することにより、間隙部8中の検出対象物を分析または同定できる。
【0086】
また、間隙部8の高さhが10μm〜100μmの範囲に設定されている場合、血球、花粉および粒子等を高感度に検出できる。
【0087】
さらに、間隙部8の高さhが1μm〜10μmの範囲に設定されている場合、大腸菌、バクテリアおよび粒子を高感度に検出できる。
【0088】
さらに、間隙部8の高さhが100nm〜1μmの範囲に設定されている場合、インフルエンザウィルスおよび粒子を高感度に検出できる。
【0089】
さらに、間隙部8の高さhが10nm〜100nmの範囲に設定されている場合、たんぱく質、酵素および粒子を高感度に検出できる。
【0090】
さらに、間隙部8の高さhが1nm〜10nmの範囲に設定されている場合、デオキシリボ核酸(DNA)、たんぱく質、脂肪酸分子およびフラーレン分子を高感度に検出できる。
【0091】
さらに、間隙部8の高さhが0.1nm〜1nmの範囲に設定されている場合、水素分子、酸素分子、水分子、アルゴン原子、一酸化炭素分子およびビスフェノールAを高感度に検出できる。この場合、複数の同じ物質の検出対象物9が間隙部8に導入されても、物質が異なると、基体1,4間に流れる電流と電圧との関係が異なるので、検出対象物9の物質を同定できる。しかし、複数の同じ物質の検出対象物9が間隙部8に導入された場合、間隙部8中における複数の検出対象物9の並び方によって、基体1,4間に流れる電流の大きさが変わるので、間隙部8の大きさは、検出対象物9が1個ずつしか導入されない大きさにすることが好ましい。すなわち、検出対象物9を高い信頼性で検出するためには、間隙部8の大きさを検出対象物9の大きさよりも大きいが、検出対象物9と同等に設定することが望ましい。間隙部8を通る最短距離が0.1nm〜100μmであることが好ましく、0.1nm〜10μmであることがより好ましく、0.1nm〜1μmであることがより好ましく、0.1nm〜100nmであることがより好ましく、0.1nm〜10nmであることがより好ましく、0.1nm〜1nmであることがより好ましい。
【0092】
さらに、間隙部8の幅wおよび高さhが間隙部8の長さ方向に沿って変化している場合、検出対象物9が孔(=間隙部8の長さ方向))を通過するときの電流の変化が孔の形状によって変化する。したがって、検出対象物9が異なる形状の孔を通過した時に測定された電流の変化を比較することによって検出対象物9を分析できる。
【0093】
上述したように、検出装置100は、真空中で検出対象物9を検出または分析できる。したがって、検出装置100は、真空度計測装置、真空用粒子計数装置、真空用粒子分析装置、ガス分圧計測装置およびガス分析装置のいずれかとして利用可能である。
【0094】
また、検出装置100は、気体媒質中で検出対象物9を検出または分析できる。したがって、検出装置100は、ガス濃度計、気体用粒子計数装置、気体用粒子分析装置、ガス分圧計、およびガス分析装置として利用可能である。
【0095】
更に、検出装置100は、液体媒質中で検出対象物9を検出または分析できる。そして、容器内に液体媒質が流入したときの直流抵抗、コンダクタンスおよびキャパシタンスのいずれかを予め測定しておけば、間隙部8中における検出対象の液体の存在または通過を検出することができる。検出された液体の量によって、検出対象の液体濃度を求めることができる。また、直流抵抗、コンダクタンスおよびキャパシタンスのいずれかと電圧との関係を測定し、その測定した直流抵抗、コンダクタンスおよびキャパシタンスのいずれかと電圧との関係と、液体の名称との対応表を作成しておくことにより、間隙部8中の液体を分析または同定できる。検出装置100により測定を行なう場合、必要に応じて検出対象の液体を希釈してもよい。
【0096】
したがって、検出装置100は、液濃度計、液分析装置として利用可能である。また、検出装置100は、液体媒質容器内の粒子の検出または分析が可能であり、液体用粒子係数装置または液体用粒子分析装置として利用可能である。たとえば、検出装置100は、血液、デオキシリボ核酸(DNA)およびたんぱく質を計測分析するバイオセンサとして、または水中の環境汚染物質を計測分析するセンサとして利用可能である。
【0097】
液体媒質または検出対象液体が間隙部8に流入するためには、間隙部8の大きさを大きくすることが好ましい。
【0098】
一方、感度を高くするためには、間隙部8の高さhを検出対象物の大きさと同等に近い大きさまで小さくすることが好ましい。したがって、間隙部8の高さは、液体媒質または検出対象液体が間隙部8に流入できる高さの範囲で高さhが小さくなるように設定されることが好ましい。また、検出対象液体の凝固を防止するために、または物質表面や絶縁体表面に検出対象物が付着するのを抑制するために、必要に応じて間隙部8に面する物質表面または絶縁体表面を適当な無機物または有機物の不活性物質で被覆することが好ましい。このような無機物の不活性物質としては、アルミナおよびサファイアがあり、有機物の不活性物質としては、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体、ポリジメチルシロキサンおよびポリエチレングリコールがある。さらに、直流電圧または交流電圧を基体1,4間に印加し、電気泳動法によって検出対象物を間隙部8に導入するようにしてもよい。さらに、液体媒質または検出対象液体が間隙部8に流入し易くするために、必要に応じて、間隙部8に面する物質表面または絶縁体表面を適当な親水性の無機物または有機物で被覆するようにしてもよい。このような無機物としては、シリコン酸化物および石英があり、有機物としては、ポリビニルアルコール、または酸素プラズマ処理によって形成されたポリジメチルシロキサンがある。
【0099】
なお、基体1,4の各々は、一般的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Ta、W、Ir、PtおよびAu等の金属またはこれらの合金、またはチタンシリサイド、ニッケルシリサイド、モリブデンシリサイド、タンタルシリサイド、およびタングステンシリサイド等の金属半導体化合物、または窒化チタン、窒化ジルコニウム、および窒化ハフニウム等の金属窒化物、またはグラファイト、アンチモンおよびビスマス等の半金属、または単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、ガリウムアルミニウムヒ素、インジウムリン、およびインジウムアンチモン等の半導体、または酸化インジウム、酸化スズおよび酸化亜鉛等の透明導電物、またはポリアセチレンおよびテトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン等の導電性有機物からなっていればよい。
【0100】
また、絶縁部材2,3の各々は、一般的には、シリコン酸化物等の半導体酸化物、またはシリコン窒化物等の半導体窒化物、またはシリコンカーバイト等の半導体炭化物、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。すなわち、絶縁部材2,3の各々は、基体1の材料を含む絶縁物、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。
【0101】
検出素子10において、好ましくは、基体4は、p型の半導体からなり、基体1は、n型の半導体からなる。また、検出素子10において、好ましくは、基体4は、n型の半導体からなり、基体1は、p型の半導体からなる。つまり、検出素子10において、好ましくは、基体1,4は、p−n接合を形成する半導体材料からなる。その結果、電気伝導性の検出対象物9が間隙部8に導入されると、検出対象物9中の電子がp−n接合における電界によってp型半導体からn型半導体の方向へ移動し、検出対象物9中の正孔がp−n接合における電界によってn型半導体からp型半導体の方向へ移動する。したがって、外部から直流電圧または交流電圧を検出素子10に印加しなくても、検出対象物9が間隙部8に導入されたときの電流Imと検出対象物9が間隙部8に導入されないときの電流I0とに変化が生じ、検出対象物9を検出または分析できる。
【0102】
図9は、実施の形態1による他の検出素子の構成を示す斜視図である。実施の形態1による検出素子は、図9に示す検出素子10Aであってもよい。図9を参照して、検出素子10Aは、図1に示す検出素子10の絶縁部材2を絶縁部材25,26および絶縁膜27に代えたものであり、その他は、検出素子10と同じである。
【0103】
絶縁部材25,26は、シリコンの熱酸化物からなり、基体1および絶縁部材3の両方に接して基体1と絶縁部材3との間に形成される。この場合、絶縁部材25は、絶縁部材26との距離が間隙部8の幅wになるように絶縁部材26から離されて形成される。絶縁膜27は、シリコンの熱酸化膜からなり、絶縁部材25,26間において基体1の間隙部8側の表面の全面に形成される。したがって、絶縁膜27は、検出素子10Aの幅方向DR1の両端において絶縁部材25,26に接する。
【0104】
その結果、検出素子10Aにおいては、間隙部8は、絶縁部材3,25,26および絶縁膜27によって形成される。
【0105】
絶縁部材25,26は、600nmの厚みを有し、絶縁膜27は、2nmの膜厚を有する。
【0106】
図10は、図9に示す検出素子10Aの製造方法を説明するための一部の工程図である。検出素子10Aは、図4および図5に示す工程(a)〜(i)の工程(d)を図10に示す工程(d1),(d2)に代えた工程(a)〜(c),(d1),(d2),(e)〜(i)に従って製造される。
【0107】
上述した工程(c)において、基体1の表面まで熱酸化膜21をエッチングする(図10の工程(d1)参照)。そして、基体1の表面をドライ酸化して絶縁膜27を基体1の表面に形成する(図10の工程(d2)参照)。この場合、ドライ酸化の条件は、酸素ガス中の基体1の熱酸化温度が900℃であり、熱酸化時間が1分である。その後、上述した工程(e)〜(i)が順次実行され、検出素子10Aが製造される。
【0108】
検出素子10Aにおいても、基体1,4は、絶縁部材3,25(または26)および支持体5(=石英)を介して結合されるので、基体1,4間における漏れ電流を抑制できる。その結果、検出対象物9を高感度に検出できる。
【0109】
なお、絶縁部材25,26および絶縁膜27の各々は、一般的には、シリコン酸化物等の半導体酸化物、またはシリコン窒化物等の半導体窒化物、またはシリコンカーバイト等の半導体炭化物、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。すなわち、絶縁部材25,26および絶縁膜27の各々は、基体1の材料であるシリコンを含む絶縁膜、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。
【0110】
また、検出素子10,10Aにおいては、基体4は、幅方向DR1において、複数に分割されていてもよい。
【0111】
さらに、検出装置100は、検出素子10の代わりに検出素子10Aを備えていてもよい。
【0112】
上述したように、検出素子10,10Aにおいて、間隙部8は、半導体酸化物、半導体窒化物、半導体炭化物、金属酸化物、金属窒化物、ガラス、および電気絶縁性有機物等の不活性膜または不動態膜からなる絶縁部材2,3(または絶縁部材3,25,26および絶縁膜27)によって囲まれるため、検出対象物9が検出素子10,10Aと反応し難く、検出対象物9の構造が壊れにくくなり、または検出対象物9が検出素子10,10Aに付着し難くなる。その結果、検出素子10,10Aの信頼性を高くできる。
【0113】
また、基体1に正の電圧を印加し、基体4に負の電圧を印加した場合、絶縁部材2,3(または絶縁部材3,25,26および絶縁膜27)は、不活性膜であるため、検出対象物9と反応し難く、陰極のみで反応し易い検出対象物9を検出する際、検出素子10,10Aの信頼性を高くできる。
【0114】
さらに、基体1に負の電圧を印加し、基体4に正の電圧を印加した場合、陽極のみで反応し易い検出対象物9を検出する際、検出素子10,10Aの信頼性を高くできる。
【0115】
さらに、検出素子10,10Aにおいては、絶縁膜(絶縁部材2の薄い部分、絶縁部材3および絶縁膜27のいずれか)の厚みが、10nmよりも厚い厚みに形成されている場合、絶縁膜(絶縁部材2の薄い部分、絶縁部材3、および絶縁膜27のいずれか)を流れる電流が小さいため、媒質および検出対象物9がキャパシタンスを測定するために十分な電気絶縁性を有していない場合、基体1と基体4との間のキャパシタンスを測定することにより検出対象物9を検出することができる。
【0116】
さらに、絶縁膜(絶縁部材2のうち、薄い部分、絶縁部材3、および絶縁膜27のいずれか)の厚みが、0.2nm〜10nmに形成されている場合、電子のトンネル効果による電流が絶縁膜(絶縁部材2の薄い部分、絶縁部材3、および絶縁膜27のいずれか)を流れるので、媒質または検出対象物9を介して基体1,4間に流れる電流を測定することにより、検出対象物9を検出または分析できる。
【0117】
さらに、基体1,4間に所定の電圧を印加した場合、基体1、絶縁膜(絶縁部材2の薄い部分または絶縁膜27)、間隙部8中の電気伝導性の媒質、絶縁膜(絶縁部材3)および基体4の間を電子の共鳴トンネル効果による電流が流れるので、電気絶縁性の検出対象物9を検出できる。
【0118】
さらに、基体1,4間に所定の電圧を印加した場合、基体1、絶縁膜(絶縁部材2の薄い部分または絶縁膜27)、間隙部8中の電気伝導性の検出対象物9、絶縁膜(絶縁部材3)および基体4の間を電子の共鳴トンネル効果による電流が流れるので、電気伝導性の検出対象物9を検出できる。
【0119】
絶縁膜(絶縁部材2の薄い部分、絶縁部材3、および絶縁膜27のいずれか)の厚みが薄い程、絶縁膜(絶縁部材2の薄い部分、絶縁部材3、および絶縁膜27のいずれか)を流れる電流が大きくなるので、絶縁膜(絶縁部材2の薄い部分、絶縁部材3、および絶縁膜27のいずれか)の厚みは、0.2nm〜5nmの範囲が好ましく、0.2nm〜1nmの範囲がより好ましい。
【0120】
図11は、この発明の実施の形態1による他の検出装置の概略図である。この発明による実施の形態1による検出装置は、図11に示す検出装置100Aであってもよい。図11を参照して、検出装置100Aは、図6に示す検出装置100の電気配線20、直流電源30、交流電源40、測定部50および検出/分析部60を検出/分析部60A、光源部90および光検出部110に代えたものであり、その他は、検出装置100と同じである。
【0121】
光源部90は、検出素子10の絶縁部材2を介して間隙部8に光を照射する。この場合、絶縁部材2は、上述したように絶縁材料からなるので、光源部90からの光を透過する。
【0122】
光検出部110は、間隙部8に導入された検出対象物9が発する蛍光を受け、その受けた蛍光を電圧に変換して検出/分析部60Aへ出力する。
【0123】
検出/分析部60Aは、光検出部110からの電圧に基づいて、間隙部8における検出対象物9を検出または分析する。より具体的には、検出/分析部60Aは、検出対象物9が間隙部8に導入されていないときに光検出部110が検出する電圧V0と、検出対象物9が間隙部8に導入されているときに光検出部110が検出する電圧Vmとを比較し、電圧Vmが電圧V0よりも大きいことを検知して検出対象物9を検出する。
【0124】
また、検出/分析部60Aは、各検出対象物9の名称と、電圧Vmとの対応表を保持しており、光検出部110から受けた電圧Vmに対応する検出対象物9の名称を対応表を参照して抽出し、検出対象物9を分析する。
【0125】
なお、検出装置100Aにおいては、光源部90は、複数の波長を有する光を間隙部8に照射するようにしてもよい。この場合、検出対象物9は、複数の波長のうち、自己に固有な波長を有する光に反応して蛍光を発する。したがって、検出対象物9に固有な波長を有する光によって検出対象物を検出できる。
【0126】
また、検出装置100Aにおいては、基体1,4の少なくとも一方を透明導電物によって構成するようにしてもよい。これによって、光源部90から出射された光を容易に間隙部8に導入できる。
【0127】
さらに、検出装置100Aは、検出素子10に代えて検出素子10A(図9参照)を備えていてもよい。
【0128】
図12は、この発明の実施の形態1によるさらに他の検出装置の概略図である。この発明の実施の形態1による検出装置は、図12に示す検出装置100Bであってもよい。図12を参照して、検出装置100Bは、図6に示す検出装置100の検出/分析部60を検出/分析部60Bに代え、光源部90および光検出部110を追加したものであり、その他は、検出装置100と同じである。
【0129】
光源部90および光検出部110については、上述したとおりである。検出/分析部60Bは、測定部50から受けた電流に基づいて、検出/分析部60と同じ方法によって検出対象物9を検出または分析し、光検出部110から受けた電圧に基づいて、検出/分析部60Aと同じ方法によって検出対象物9を検出または分析する。
【0130】
なお、検出装置100Bにおいては、検出素子10を検出素子10A(図9参照)に代えてもよい。
【0131】
図13は、この発明の実施の形態1によるさらに他の検出装置の概略図である。この発明の実施の形態による検出装置は、図13に示す検出装置100Cであってもよい。図13を参照して、検出装置100Cは、図6に示す検出装置100の検出素子10を検出装置18に代え、装着部120を追加したものであり、その他は、検出装置100と同じである。
【0132】
図14は、図13に示す検出素子18の構成を示す概略図である。図14を参照して、検出素子18は、図1に示す検出素子10に装着検出部130を追加したものであり、その他は、検出素子10と同じである。
【0133】
装着検出部130は、検出素子10の支持体5の裏面5Cに配置される。そして、装着検出部130は、検出素子18が図13に示す装着部120に装着されると、検出素子18が装着部120に装着されたことを示すマークが付く。
【0134】
再び、図13を参照して、装着部120は、導電部材121,123と、絶縁部材122とからなる。絶縁部材122は、検出素子10の高さHに略等しい幅および検出素子10の長さLに略等しい長さを有する。
【0135】
導電部材121は、その一方端が絶縁部材122の一方の端面に当接し、導電部材123は、絶縁部材122の他方の端面に当接する。その結果、導電部材121は、導電部材123に対向する。また、線B−B間における装着部120の断面形状は、略コの字形状からなる。
【0136】
電気配線20は、装着部120の導電部材121,123に接続される。
【0137】
そして、検出素子18が装着部120に装着されると、導電部材121は、電極6に接触し、導電部材123は、電極7に接触する。
【0138】
検出素子18は、新たに製造された検出素子10に装着検出部130を追加したものに限らず、一旦、装着部120に装着され、検出対象物9の検出または分析に用いられた後、装着部120から外され、間隙部8を洗浄した検出素子からなる。この場合、検出素子18が装着部120に、一旦、装着されたものであるかどうかは、装着検出部130にマークが付いているか否かによって判定される。このように、検出装置100Cに用いられる検出素子18は、新品の検出素子、または、一旦、使用された検出素子からなる。
【0139】
なお、検出素子18は、検出素子10A(図9参照)に装着検出部130を追加した検出素子であってもよい。
【0140】
実施の形態1においては、絶縁部材2,3および支持体5は、「電流抑制部材」を構成する。
【0141】
また、絶縁部材3,25,26および支持体5は、「電流抑制部材」を構成する。
【0142】
[実施の形態2]
図15は、実施の形態2による検出素子の構成を示す斜視図である。図15を参照して、実施の形態2による検出素子11は、図1に示す検出素子10の絶縁部材3を絶縁部材31に代えたものであり、その他は、検出素子10と同じである。
【0143】
絶縁部材31は、SOGを用いたSiO2からなり、絶縁部材2の2つの凸部間に2つの凸部に接するように形成される。その結果、検出素子11においては、絶縁部材2は、基体1および支持体5の両方に接するように基体1と支持体5との間に配置される。そして、間隙部8は、絶縁部材2,31によって形成される。
【0144】
なお、絶縁部材2および支持体5は、クランプによって接着される。
【0145】
検出素子11においては、基体1,4は、絶縁部材2および支持体5(=石英)を介して相互に結合されるので、シリコンの熱酸化物からなる絶縁部材2にピンホールが発生しても、その発生したピンホールを介して流れる電流が支持体5(=石英)を面内方向に流れて基体4に到達することは、考え難いので、漏れ電流が基体1,4間に流れるのを抑制できる。その結果、検出素子11を用いて検出対象物9を高感度に検出できる。
【0146】
検出素子11は、図4および図5に示す工程(a)〜(i)に従って製造される。そして、工程(g)において、SOGを用いたSiO2からなる絶縁部材31は、支持体5(=石英)上にスピンコートにより塗布され、ベークされた後、絶縁部材2の2つの凸部間に入る寸法にパターンニングされることにより形成される。
【0147】
なお、検出素子11においては、絶縁部材31は、基体4の表面全体を覆っていればよく、間隙部8の幅w全体にわたって形成されていなくてもよい。
【0148】
また、絶縁部材31は、一般的には、シリコン酸化物等の半導体酸化物、またはシリコン窒化物等の半導体窒化物、またはシリコンカーバイト等の半導体炭化物、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。すなわち、絶縁部材31は、基体4の材料を含む絶縁物、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。
【0149】
さらに、検出素子11は、図9に示す検出素子10Aの絶縁部材3を絶縁部材31に代えたものであってもよい。
【0150】
実施の形態2による検出装置は、図6に示す検出装置100、図11に示す検出装置100A、図12に示す検出装置100B、および図13に示す検出装置100Cにおいて検出素子10を検出素子11に代えた検出装置からなる。
【0151】
なお、実施の形態2においては、絶縁部材2,31および支持体5は、「電流抑制部材」を構成する。
【0152】
その他は、実施の形態1と同じである。
【0153】
[実施の形態3]
図16は、実施の形態3による検出素子の構成を示す斜視図である。図16を参照して、実施の形態3による検出素子12は、図1に示す検出素子10の絶縁部材3を削除したものであり、その他は、検出素子10と同じである。
【0154】
検出素子12においては、間隙部8は、絶縁部材2、基体4および支持体5によって形成される。そして、基体1,4は、絶縁部材2および支持体5(=石英)を介して結合される。その結果、基体1,4間に流れる漏れ電流を抑制でき、検出対象物9を高感度に検出できる。
【0155】
検出素子12は、図4および図5に示す工程(a)〜工程(i)から工程(g)を削除した工程(a)〜(f),(h),(i)に従って製造される。
【0156】
また、実施の形態3による検出装置は、図6に示す検出装置100、図11に示す検出装置100A、図12に示す検出装置100B、および図13に示す検出装置100Cにおいて検出素子10を検出素子12に代えた検出装置からなる。
【0157】
なお、実施の形態3においては、絶縁部材2および支持体5は、「電流抑制部材」を構成する。
【0158】
その他、実施の形態1と同じである。
【0159】
[実施の形態4]
図17は、実施の形態4による検出素子の構成を示す斜視図である。図17を参照して、実施の形態4による検出素子13は、図1に示す検出素子10の基体1、絶縁部材2および電極6を支持体32、絶縁部材33,34、基体35および電極36に代えたものであり、その他は、検出素子10と同じである。
【0160】
支持体32は、たとえば、石英からなる。絶縁部材33,34の各々は、図1に示す絶縁部材2と同じ材料からなり、支持体5,32の両方に接して支持体5,32間に配置される。この場合、絶縁部材33は、絶縁部材34から離れて配置される。
【0161】
基体35は、図1に示す基体1と同じ材料からなり、支持体32(=石英)の支持体5側の一主面に形成される。電極36は、たとえば、Alからなり、支持体32の端面および支持体32の基体35が形成された面と反対面に形成され、基体35に接続される。
【0162】
その結果、検出素子13においては、間隙部8は、支持体5,32、基体4,35および絶縁部材33,34によって形成される。
【0163】
図18は、図17に示すA方向から見た検出素子13の平面図である。図18を参照して、絶縁部材33は、間隙部8の幅wに等しい距離だけ絶縁部材34から離れた位置に配置される。そして、絶縁部材33,34の各々は、間隙部8の高さhに等しい厚みを有する。また、基体35は、50nmの厚みを有する。
【0164】
基体4と絶縁部材33,34との間隔d1は、1mmに設定され、基体35と絶縁部材33,34との間隔d2は、1mmに設定される。
【0165】
検出素子13は、電極7,36を介して基体4,35間に流れる電流を検出して検出対象物9を検出または分析する。そして、検出素子13においては、2つの基体4,35は、支持体5(=石英)、絶縁部材33,34および支持体32(=石英)を介して結合されるため、基体4,35間に流れる漏れ電流を抑制でき、検出対象物9を高感度に検出できる。
【0166】
図19は、図17に示す検出素子13の製造方法の一部を示す工程図である。図19を参照して、検出素子13の製造が開始されると、支持体32(=石英)の表面が洗浄され(図19の工程(a1)参照)、シラン(SiH4)ガスおよび酸素(O2)ガスを原料ガスとするプラズマCVD(Chemical Vapour Deposition)によってシリコン酸化膜(SiO2)37を支持体32(=石英)の一主面に堆積し(図19の工程(b1)参照)、その堆積したシリコン酸化膜(SiO2)37の表面にレジストを塗布し、フォトリソグラフィを用いてレジストをパターンニングし、マスク用のレジスト38をシリコン酸化膜(SiO2)37の表面に形成する(図19の工程(c1)参照)。
【0167】
そうすると、レジスト38をマスクとしてシリコン酸化膜(SiO2)37をエッチングし、その後、レジスト38を除去する。これによって、絶縁部材33,34が基体32の一主面上に形成される(図19の工程(d3)参照)。
【0168】
そして、SiH4ガスを用いたプラズマCVDによりSiからなる基体35を支持体32の一主面に形成し、その後、Alからなる電極36を蒸着によって支持体32の裏面(基体35が形成された面と反対面)および側面に形成する(図19の(e1)参照)。
【0169】
そして、図5に示す工程(f)〜工程(i)を順次実行し、検出素子13が完成する。
【0170】
なお、実施の形態4による検出装置は、図6に示す検出装置100、図11に示す検出装置100A、図12に示す検出装置100B、および図13に示す検出装置100Cにおいて検出素子10を検出素子13に代えた検出装置からなる。
【0171】
なお、実施の形態4においては、支持体5,32および絶縁部材33,34は、「電流抑制部材」を構成する。
【0172】
その他、実施の形態1と同じである。
【0173】
[実施の形態5]
図20は、実施の形態5による検出素子の構成を示す斜視図である。図20を参照して、実施の形態5による検出素子14は、図1に示す検出素子10の絶縁部材2を絶縁部材39に代えたものであり、その他は、検出素子10と同じである。
【0174】
絶縁部材39は、シリコンの熱酸化物からなり、基体1および絶縁部材3の両方に接し、基体1と絶縁部材3との間に配置される。そして、絶縁部材39は、薄膜部391と、厚膜部392とからなり、薄膜部391は、2nmの厚みを有し、厚膜部392は、600nmの厚みを有する。
【0175】
検出素子14においては、絶縁部材3は、検出素子14の幅方向DR1の一部において絶縁部材39に接する。すなわち、絶縁部材3は、絶縁部材39の厚膜部392のみに接する。その結果、絶縁部材3,39によって形成される間隙部8Aは、幅方向DR1における一方端が開口状態になっている。したがって、検出対象物9を間隙部8Aに入り易くできる。
【0176】
また、検出素子14においては、基体4は、絶縁部材39の薄膜部391に対向する位置に配置される。
【0177】
図21は、図20に示すA方向から見た検出素子14の平面図である。図21を参照して、間隙部8Aは、幅wおよび高さhを有する。したがって、絶縁部材39の薄膜部391は、幅wを有し、厚膜部392は、幅W−wを有する。
【0178】
図22は、図20に示す検出素子14の製造方法の一部を示す工程図である。検出素子14は、図4および図5に示す工程(a)〜(i)の工程(c),(d)を図22に示す工程(c2),(d4)に代えた工程(a),(b),(c2),(d4),(e)〜(i)に従って製造される。
【0179】
上述した工程(b)の後、熱酸化膜21の上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィによりレジストをパターンニングして熱酸化膜21の表面にマスク用のレジスト41を形成する(図22の工程(c2)参照)。そして、レジスト41をマスクとして熱酸化膜21をエッチングし、絶縁部材39を形成する(図22の工程(d4)参照)。その後、上述した工程(e)〜(i)が順次実行され、検出素子14が製造される。
【0180】
検出素子14においても、基体1,4は、絶縁部材3,39および支持体5(=石英)を介して結合されるので、基体1,4間における漏れ電流を抑制できる。その結果、検出対象物9を高感度に検出できる。
【0181】
なお、絶縁部材39は、一般的には、シリコン酸化物等の半導体酸化物、またはシリコン窒化物等の半導体窒化物、またはシリコンカーバイト等の半導体炭化物、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。すなわち、絶縁部材39は、基体1の材料を含む絶縁物、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。
【0182】
上述したように、検出素子14は、幅方向DR1の一方端が開口状態になっている間隙部8Aを備えるので、検出対象物9を間隙部8Aに入り易くできる。
【0183】
また、液体媒質中の検出対象物9を検出する際には、絶縁部材39のうち、厚膜部392を液体に浸漬せずに薄膜部391だけを液体に浸漬すればよいので、間隙部8Aに面する絶縁部材3,39の表面に沿って流れる漏れ電流を小さくできる。その結果、検出対象物を高感度で検出できる。
【0184】
なお、検出素子14においては、基体1,4間の距離が絶縁部材39の厚膜部392側で最も短く、かつ、厚膜部392から離れるに従って階段的に長くなるように、基体1,4の表面が階段状に形成されていてもよい。この場合、検出対象物9の大きさに近い表面間距離の領域で電流が流れ、検出対象物9を検出できる。このような構造では、各領域の表面間の距離によって高い感度で検出できる検出対象物の大きさの範囲を設定できるので、検出素子14を用いれば、所定の範囲の大きさを有する検出対象物を検出できる。
【0185】
また、検出素子14においては、基体1,4間の距離が絶縁部材39の厚膜部392から離れるに従って階段的に長くなるように、基体1および基体4のいずれか一方の厚みが階段状に薄く形成されていればよく、基体1および基体4の他方の厚みは、一定であってもよい。
【0186】
さらに、実施の形態5による検出装置は、図6に示す検出装置100、図11に示す検出装置100A、図12に示す検出装置100B、および図13に示す検出装置100Cにおいて検出素子10を検出素子14に代えた検出装置からなる。
【0187】
なお、実施の形態5においては、絶縁部材3,39および支持体5は、「電流抑制部材」を構成する。
【0188】
その他、実施の形態1と同じである。
【0189】
[実施の形態6]
図23は、実施の形態6による検出素子の構成を示す斜視図である。図23を参照して、実施の形態6による検出素子15は、支持体42,46と、基体43,47と、絶縁部材44,45と、電極48,49とを備える。
【0190】
支持体42は、たとえば、石英からなる。基体43は、基体1,4と同じ材料からなり、支持体42中に埋め込まれる。絶縁部材44,45の各々は、絶縁部材2と同じ材料からなる。そして、絶縁部材44,45は、支持体42,46の両方に接し、支持体42と支持体46との間に形成される。
【0191】
支持体46は、たとえば、石英からなる。基体47は、基体1,4と同じ材料からなり、基体43に対向するように支持体46中に埋め込まれる。電極48は、たとえば、Alからなり、基体43に接続されるように支持体42の表面に形成される。電極49は、たとえば、Alからなり、基体47に接続されるように支持体46の表面に形成される。
【0192】
検出素子15においては、間隙部8Bは、支持体42、基体43、絶縁部材44,45、支持体46および基体47によって形成される。
【0193】
支持体42,46および基体43,47の各々は、500μmの厚みを有し、絶縁部材44,45の各々は、600nmの厚みを有し、電極48,49の各々は、100nmの厚みを有する。
【0194】
図24は、図23に示すA方向から見た検出素子15の平面図である。図24を参照して、検出素子15は、検出素子10と同じ幅Wおよび1mmの高さHを有し、間隙部8Bは、幅wおよび高さhを有する。
【0195】
基体43,47の各々は、5mmの幅w1を有し、それぞれ、支持体42,46の幅方向の中央部に配置される。その結果、基体43,47は、間隙部8Bの幅方向の中央部に相互に対向するように配置され、基体43,47と絶縁部材44,45との間隔d4は、1mmに設定される。
【0196】
また、電極48,49は、6mmの幅w2を有し、それぞれ、支持体42,46の幅方向の中央部に面して配置される。その結果、電極48,49は、それぞれ、基本43,47に接続される。
【0197】
検出素子15においては、2つの基体43,47は、支持体42(=石英)、絶縁部材44(または絶縁部材45)および支持体46(=石英)を介して結合されるので、基体43,47間に流れる漏れ電流を抑制できる。その結果、検出対象物9を高感度に検出できる。
【0198】
なお、検出素子15においては、基体43,47の少なくとも一方の間隙部8Bに面する表面を基体43,47の材料を含む絶縁膜(たとえば、シリコン酸化物等の半導体酸化物、またはシリコン窒化物等の半導体窒化物、またはシリコンカーバイト等の半導体炭化物)、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなる絶縁膜で覆うようにしてもよい。これによって、実施の形態1において説明した効果と同じ効果が得られる。
【0199】
また、実施の形態6による検出装置は、図6に示す検出装置100、図11に示す検出装置100A、図12に示す検出装置100B、および図13に示す検出装置100Cにおいて検出素子10を検出素子15に代えた検出装置からなる。
【0200】
なお、実施の形態6においては、支持体42,46および絶縁部材44,45は、「電流抑制部材」を構成する。
【0201】
その他は、実施の形態1と同じである。
【0202】
[実施の形態7]
図25は、実施の形態7による検出素子の構成を示す斜視図である。図25を参照して、実施の形態7による検出素子16は、図1に示す検出素子10の絶縁部材2,3をそれぞれ絶縁部材51,52に代え、基体4を基体53,54に代え、電極7を電極55,56に代えたものであり、その他は、検出素子10と同じである。
【0203】
絶縁部材51は、n−Siの熱SiO2からなり、基体1の一主面に形成される。絶縁部材52は、SOGを用いたSiO2からなり、絶縁部材51と支持体5との間に絶縁部材51および支持体5に接して形成される。その結果、検出素子16は、2つの絶縁部材51,52によって囲まれた間隙部8Cを有する。
【0204】
基体53,54の各々は、たとえば、Alからなり、絶縁部材52および支持体5に接するように支持体5の絶縁部材52側の表面5Aに形成される。この場合、基体54は、幅方向DR1において基体53から離されて形成される。そして、基体53,54の各々は、50nmの厚みを有する。
【0205】
電極55,56の各々は、たとえば、Alからなり、略コの字形状の断面形状を有する。そして、電極55,56は、それぞれ、基体53,54に接続される。この場合、電極55は、支持体5の一部を挟み込むように支持体5の表面5A、側面5Dおよび裏面5Cに形成される。また、電極56は、支持体5の一部を挟み込むように支持体5の表面5A、側面5Bおよび裏面5Cに形成される。そして、電極55,56の各々は、100nmの厚みを有する。
【0206】
図26は、図25に示すA方向から見た2つの絶縁部材51,52および2つの基体53,54の平面図である。図26を参照して、絶縁部材51は、柱状部511,514と、薄膜部512と、厚膜部513とを含む。また、絶縁部材52は、薄膜部521,523と、厚膜部522とを含む。
【0207】
絶縁部材51の柱状部511は、絶縁部材52の薄膜部521に接し、絶縁部材51の柱状部514は、絶縁部材52の厚膜部522および薄膜部523に接する。絶縁部材51の薄膜部512は、絶縁部材52の薄膜部521に対向し、絶縁部材51の厚膜部513は、絶縁部材52の厚膜部522に対向する。
【0208】
その結果、間隙部8Cは、2つの間隙部81C,82Cからなる。そして、間隙部81Cは、絶縁部材51の柱状部511および薄膜部512と、絶縁部材52の薄膜部521とによって囲まれる。また、間隙部82Cは、絶縁部材51の厚膜部513および柱状部514と、絶縁部材52の厚膜部522とによって囲まれる。
【0209】
絶縁部材51の柱状部511,514は、600nmの厚みを有し、薄膜部512は、2nmの厚みを有し、厚膜部513は、20nmの厚みを有する。また、絶縁部材52の薄膜部521,523は、2nmの厚みを有し、厚膜部522は、20nmの厚みを有する。
【0210】
基体53は、絶縁部材52の薄膜部521を介して間隙部81Cに対向するように配置され、基体54は、絶縁部材52の厚膜部522を介して間隙部82Cに対向するように配置される。
【0211】
図27は、図25に示すA方向から見た検出素子16の平面図である。図27を参照して、間隙部81Cは、幅w1および高さhを有し、間隙部82Cは、幅w1および高さh1を有する。幅w1は、3.5mm(=w/2)に設定され、高さh1は、562nmに設定される。
【0212】
絶縁部材51の薄膜部512、絶縁部材51の厚膜部513および絶縁部材52の厚膜部522は、幅w1を有する。
【0213】
基体53,54の各々は、3.3mmの幅w2を有する。その結果、基体53,54間の間隔は、0.4mmに設定される。
【0214】
なお、この発明においては、絶縁部材51の薄膜部512は、絶縁部材51の厚膜部513および絶縁部材52の厚膜部522と異なる幅を有するようにしてもよい。
【0215】
図28は、図25に示す検出素子16における検出対象物の検出方法を説明するための断面図である。図28を参照して、絶縁部材51の薄膜部512および絶縁部材52の薄膜部521は、2nmの厚みを有するため、検出対象物9が間隙部81Cに存在する場合、トンネル電流が薄膜部512を介して基体1と間隙部81Cとの間に流れるとともに、薄膜部521を介して基体53と間隙部81Cとの間に流れる。
【0216】
したがって、電極6,55間に直流電圧を印加したときに、電極6−基体1−薄膜部512−間隙部81C−薄膜部521−基体53−電極55からなる経路を流れる電流を測定することによって、間隙部81Cに存在する検出対象物9を検出または分析できる。より詳細には、間隙部81Cの媒質が電気的に絶縁性であり、かつ、検出対象物9が電気的に導電性である場合、薄膜部512,521をトンネルしたトンネル電流は、間隙部81Cに存在する複数の検出対象物9を介して間隙部81Cを流れる。また、間隙部81Cの媒質が電気的に導電性であり、かつ、検出対象物9が電気的に絶縁性である場合、薄膜部512,521をトンネルしたトンネル電流は、間隙部81Cの媒質を介して間隙部81Cを流れる。
【0217】
また、絶縁部材51の厚膜部513および絶縁部材52の厚膜部522は、20nmの厚みを有するため、基体1と間隙部82Cとの間および基体54と間隙部82Cとの間には、トンネル電流が流れない。また、基体54(Al)、厚膜部522、間隙部82C、厚膜部513および基体1(n−Si)は、MOS構造を構成する。
【0218】
したがって、電極6,56間に電圧を印加したときのC−V特性を測定することによって、間隙部82Cに存在する検出対象物9を検出または分析できる。
【0219】
そして、電極6−電極55間に流れる電流を測定することによって間隙部81Cに存在する検出対象物9を検出または分析する方法は、検出対象物9の抵抗率を測定することによって検出対象物9を検出または分析する方法である。
【0220】
また、C−V特性を測定することによって間隙部82Cに存在する検出対象物9を検出または分析する方法は、検出対象物9の誘電率を測定することによって検出対象物9を検出または分析する方法である。
【0221】
したがって、検出素子16は、検出対象物9の抵抗率を利用して検出対象物9を検出または分析する検出部と、検出対象物9の誘電率を利用して検出対象物9を検出または分析する検出部とを兼ね備えた検出素子である。
【0222】
そして、検出素子16においては、基体53,54は、絶縁部材52および支持体5(石英)を介して連結されるため、絶縁部材51,52および支持体5を介して基体1,53間および基体1,54間に流れる漏れ電流が抑制される。
【0223】
したがって、検出素子16を用いることによって、検出対象物9を高感度に検出または分析できる。
【0224】
図29および図30は、それぞれ、図25に示す検出素子16の製造方法を示す第1および第2の工程図である。図29を参照して、検出素子16の製造が開始されると、上述した図4に示す工程(a),(b)に従って、熱酸化膜21が基体1の一主面上に形成される(図29の工程(a),(b)参照)。
【0225】
そして、熱酸化膜21の表面にレジストを塗布し、フォトリソグラフィを用いてレジストをパターンニングし、マスク用のレジスト57を熱酸化膜21の表面に形成する(図29の工程(c3)参照)。
【0226】
そうすると、レジスト57をマスクとして熱酸化膜21をエッチングし、その後、レジスト57を除去する。これによって、熱酸化膜21Aが基体1の一主面上に形成される(図29の工程(d5)参照)。
【0227】
引き続いて、熱酸化膜21Aの表面にレジストを塗布し、フォトリソグラフィを用いてレジストをパターンニングし、マスク用のレジスト58を熱酸化膜21Aの表面に形成する(図29の工程(e2)参照)。
【0228】
そして、レジスト58をマスクとして熱酸化膜21Aをエッチングし、その後、レジスト58を除去する。これによって、絶縁部材51が基体1の一主面上に形成される。
【0229】
その後、Alからなる電極6が蒸着によって基体1の裏面(絶縁部材51が形成された面と反対面)に形成される(図29の工程(f1)参照)。
【0230】
引き続いて、図30を参照して、石英からなる支持体5の表面にAlを蒸着し、その蒸着したAlをパターンニングして基体53,54と、電極55,56の一部とを支持体5の一主面に形成する(図30の工程(g1)参照)。
【0231】
その後、SOGを用いて基体53,54と電極55,56の一部とを覆うように支持体5の一主面上にSiO2からなる酸化膜59を形成する(図30の工程(h1)参照)。
【0232】
そして、酸化膜59の表面にレジストを塗布し、フォトリソグラフィを用いてレジストをパターンニングし、マスク用のレジスト61を酸化膜59の表面に形成する(図30の工程(i1)参照)。
【0233】
そして、レジスト61をマスクとして酸化膜59をエッチングし、その後、レジスト61を除去する。これによって、絶縁部材52が支持体5の一主面上に形成される(図30の工程(j)参照)。
【0234】
そうすると、図29に示す工程(f1)で作製された絶縁部材51に絶縁部材52が接するように、支持体5を基体1上に配置し、窒素雰囲気中で室温、100℃、200℃および400℃のいずれかの温度で30分間、熱処理して絶縁部材52を絶縁部材51に接着させる(図30の工程(k)参照)。これによって、間隙部8C(81C,82C)が形成されるとともに、基体1と基体53,54との間の距離が絶縁部材51の厚みによって決定される。
【0235】
なお、絶縁部材51は、シリコンの熱酸化膜からなり、絶縁部材52は、SOGを用いて形成した酸化膜からなるので、窒素雰囲気中における熱処理によって絶縁部材52は、絶縁部材51と容易に接着する。
【0236】
その後、電極55,56の残りの部分を蒸着によって支持体5に形成し、検出素子16が完成する(図30の工程(l)参照)。
【0237】
なお、絶縁部材51,52の各々は、一般的には、シリコン酸化物等の半導体酸化物、またはシリコン窒化物等の半導体窒化物、またはシリコンカーバイト等の半導体炭化物、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。すなわち、絶縁部材51,52の各々は、基体1の材料を含む絶縁物、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。
【0238】
図31は、実施の形態7による検出装置の概略図である。図31を参照して、実施の形態7による検出装置100Dは、検出素子16と、配線20,70と、直流電源30と、交流電源40と、測定部50と、検出/分析部60Cとを備える。
【0239】
配線20は、検出素子16の電極6と電極55との間に接続される。配線70は、検出素子16の電極6と電極56との間に接続される。
【0240】
検出装置100Dにおいては、直流電源30、交流電源40および測定部50は、配線20,70中に接続される。この場合、直流電源30および交流電源40は、それぞれ直流電圧および交流電圧を独立に2本の配線20,70に印加できるように配線20,70に接続される。また、測定部50は、2本の配線20,70を流れる電流(直流電流または交流電流)を独立に検出できるように配線20,70中に接続される。
【0241】
そして、測定部50は、配線20中を流れる直流電流または交流電流を測定し、その測定した直流電流または交流電流を検出/分析部60Cへ出力する。また、測定部50は、配線70を用いてC−V特性を測定し、その測定したC−V特性を検出/分析部60Cへ出力する。
【0242】
検出/分析部60Cは、測定部50から受けた直流電流(または交流電流)と、C−V特性とに基づいて間隙部8Cに入った検出対象物9を検出または分析する。
【0243】
このように、検出装置100Dは、直流電流(または交流電流)およびC−V特性に基づいて検出対象物9を検出または分析するので、直流電流(または交流電流)のみ、またはC−V特性のみを用いて検出対象物9を検出または分析する場合よりも検出対象物9を高感度に検出または分析できる。
【0244】
また、実施の形態7による検出装置は、図11に示す検出装置100Aにおいて、検出素子10を検出素子16に代えたものであってもよい。
【0245】
さらに、実施の形態7による検出装置は、図11に示す光源部90および光検出部110を図31に示す検出装置100Dに追加したものであってもよい。この場合、検出/分析部60Cは、測定部50から直流電流(または交流電流)およびC−V特性を受け、光検出部110から電圧を受け、その受けた直流電流(または交流電流)、C−V特性および電圧に基づいて、検出対象物9を検出または分析する。
【0246】
さらに、実施の形態7による検出装置は、図13に示す装着部120を図31に示す検出装置100Dに追加したものであってもよい。この場合、図14に示す装着検出部130を検出素子16に追加した検出素子が装着部120に脱着される。
【0247】
なお、実施の形態7においては、絶縁部材51,52および支持体5は、「電流抑制部材」を構成する。
【0248】
その他は、実施の形態1と同じである。
【0249】
[実施の形態8]
図32は、実施の形態8による検出素子の構成を示す斜視図である。図32を参照して、実施の形態8による検出素子17は、基体62,66と、絶縁部材63,64と、複数の量子ドット65と、電極67,68とを備える。
【0250】
基体62は、n−Siからなる。絶縁部材63,64の各々は、シリコンの熱酸化物からなり、基体62,66の両方に接して基体62と基体66との間に形成される。この場合、絶縁部材63は、絶縁部材64から離されて形成される。複数の量子ドット65の各々は、シリコンドットからなり、基体62の表面に形成される。基体66は、n−Siからなる。
【0251】
電極67は、Alからなり、基体62の裏面(=量子ドット65が形成される面と反対の面)に形成される。電極68は、Alからなり、基体66の裏面(基体62に対向する面と反対の面)に形成される。
【0252】
基体62,66の各々は、500μmの厚みを有する。絶縁部材63,64の各々は、600nmの厚みを有する。複数の量子ドット65の各々は、半球形状を有し、直径が10nm程度であり、高さが2〜3nmである。電極67,68の各々は、100nmの厚みを有する。
【0253】
検出素子17においては、間隙部8Dは、基体62,66、絶縁部材63,64および量子ドット65によって形成される。
【0254】
図33は、図32に示すA方向から見た検出素子17の平面図である。図33を参照して、検出素子17は、検出素子10と同じ幅Wおよび1mmの高さHを有する。そして、間隙部8Dは、幅wおよび高さhを有する。その結果、絶縁部材63,64の各々は、(W−w)/2の幅を有する。
【0255】
図34は、図32に示す検出素子17の製造方法を説明するための工程図である。検出素子17の製造が開始されると、(100)面を有するn−Siの表面が洗浄され、基体62が準備される(図34の工程(a2)参照)。
【0256】
そして、基体62の表面をウェット酸化により酸化し、基体62の一主面上に熱酸化膜(熱SiO2)69を形成する(図34の工程(b2)参照)。この場合、ウェット酸化の条件は、水分を含有する酸素ガス中の基体1の熱酸化温度が1000℃であり、熱酸化時間が300分である。そして、熱酸化膜69の表面にレジストを塗布し、フォトリソグラフィを用いてレジストをパターンニングし、マスク用のレジスト71を熱酸化膜69の表面に形成する(図34の工程(c4)参照)。
【0257】
そうすると、レジスト71をマスクとして熱酸化膜69をエッチングし、その後、レジスト71を除去する。これによって、絶縁部材63,64が基体62の一主面上に形成される(図34の工程(d6)参照)。
【0258】
そして、SiH4ガスを用いたプラズマCVD法により絶縁部材63,64間の基体62の表面にシリコン薄膜を堆積する。そうすると、シリコン薄膜は、自己組織化によって量子ドットになる。これによって、量子ドット65が基体62の表面に形成される。そして、Alからなる電極67が蒸着によって基体62の裏面(量子ドット65が形成された面と反対面)に形成される(図34の工程(e3)参照)。
【0259】
その後、(100)面を有するn−Siの表面を洗浄し、基体66を準備する。そして、Alからなる電極68を基体66の裏面に形成する(図34の工程(f2)参照)。
【0260】
そうすると、基体66が絶縁部材63,64に接するように2つの基体62,66をクランプにより挟み込む(図34の工程(g2)参照)。これにより、検出素子17が完成する。
【0261】
図35は、図32に示す検出素子17における検出対象物の検出方法を説明するための図である。検出素子17は、図7において説明した方法と同じ方法によって検出対象物9を検出または分析する。すなわち、検出素子17は、図35に示すように検出対象物9が間隙部8Dに入ったときに、基体62,66間に流れる電流を測定することによって検出対象物9を検出または分析する。この場合、量子ドット65A,65Bおよび検出対象物9(または間隙部8Dの媒質)を介して基体62,66間に電流が流れるので、基体62,66間に流れる電流は、量子ドット65が基体62の表面に形成されていない場合よりも小さくなる。
【0262】
なお、図35においては、検出対象物9が量子ドット65A,65Bの直径よりも大きい場合を示すが、検出対象物9が量子ドット65A,65Bの直径以下である場合も、量子ドット65A,65Bおよび検出対象物9(または間隙部8Dの媒質)を介して基体62,66間に電流が流れるので、基体62,66間に流れる電流は、量子ドット65が基体62の表面に形成されていない場合よりも小さくなる。
【0263】
したがって、検出素子17を用いることによって、検出対象物9を高感度に検出または分析できる。
【0264】
図36は、実施の形態8による他の検出素子の構成を示す平面図である。実施の形態8による検出素子は、図36に示す検出素子17Aであってもよい。図36を参照して、検出素子17Aは、図32に示す検出素子17の量子ドット65を量子ドット72に代えたものであり、その他は、検出素子17と同じである。
【0265】
量子ドット72は、量子ドット65と同じ材料からなり、10nm程度の直径および2〜3nmの高さを有する。そして、量子ドット72は、基体66の間隙部8D側の表面に形成される。したがって、検出素子17Aにおいては、間隙部8Dは、基体62、絶縁部材63,64、基体66および量子ドット72によって形成される。
【0266】
検出素子17Aは、図34に示す工程(a2)〜(g2)に従って製造される。この場合、図34の説明における基体62を基体66に読み替え、基体66を基体62に読み替え、量子ドット65を量子ドット72に読み替えればよい。
【0267】
検出素子17Aは、基体62,66間に流れる電流を測定して検出対象物9を検出または分析し、電流は、量子ドット72を介して基体62,66間を流れる。したがって、検出素子17Aにおいて、基体62,66間を流れる電流は、量子ドット72が形成されていない場合よりも小さくなり、検出対象物9を高感度に検出または分析できる。
【0268】
図37は、実施の形態8によるさらに他の検出素子の構成を示す平面図である。実施の形態8による検出素子は、図37に示す検出素子17Bであってもよい。図37を参照して、検出素子17Bは、図32に示す検出素子17に量子ドット72を追加したものであり、その他は、検出素子17と同じである。
【0269】
量子ドット72は、基体66の間隙部8D側の表面に形成される。したがって、検出素子17Bにおいては、間隙部8Dは、基体62、絶縁部材63,64、基体66および量子ドット65,72によって形成される。
【0270】
図38は、図37に示す検出素子17Bの製造方法を説明するための工程図である。図38に示す工程図は、図34に示す工程図の工程(f2),(g2)を工程(f3),(g3),(i2)に代えたものであり、その他は、図34に示す工程図と同じである。
【0271】
図38を参照して、上述した工程(e3)の後、(100)面を有するn−Siを洗浄して基体66を準備し、その準備した基体66の一主面上に量子ドット72を量子ドット65の形成方法と同じ方法によって形成する(工程(f3)参照)。
【0272】
その後、基体66の量子ドット72が形成された面と反対面にAlを蒸着して電極68を形成する(工程(g3)参照)。
【0273】
そうすると、基体66が絶縁部材63,64に接するように2つの基体62,66をクランプにより挟み込む(工程(i2)参照)。これにより、検出素子17Bが完成する。
【0274】
検出素子17Bは、基体62,66間に流れる電流を測定して検出対象物9を検出または分析し、電流は、2つの量子ドット65,72を介して基体62,66間を流れる。したがって、検出素子17Bにおいて、基体62,66間を流れる電流は、量子ドット65,72が形成されていない場合よりも小さくなり、検出対象物9を高感度に検出または分析できる。また、検出対象物9を検出素子17または17Aよりも高感度に検出または分析できる。
【0275】
図39は、実施の形態8によるさらに他の検出素子の構成を示す平面図である。実施の形態8による検出素子は、図39に示す検出素子17Cであってもよい。図39を参照して、実施の形態8による検出素子17Cは、図32に示す検出素子17に絶縁膜73を追加したものであり、その他は、検出素子17と同じである。
【0276】
絶縁膜73は、シリコン酸化膜からなり、量子ドット65を覆うように形成される。そして、絶縁膜73は、2nmの厚みを有する。この場合、絶縁膜73は、量子ドット65の表面を覆っていればよく、基体62の間隙部8Dに面した表面の全体を覆っていなくてもよい。
【0277】
したがって、検出素子17Cにおいては、間隙部8Dは、基体62、絶縁部材63,64、基体66および絶縁膜73によって形成される。
【0278】
検出素子17Cは、図34に示す工程(a2)〜(g2)の工程(e3)と工程(f2)との間に、たとえば、SiH4ガスおよびO2ガスを用いたプラズマCVDにより量子ドット65を覆うようにシリコン酸化膜からなる絶縁膜73を形成する工程を追加した工程に従って製造される。
【0279】
検出素子17Cは、基体62,66間に流れる電流を測定して検出対象物9を検出または分析し、電流は、量子ドット65および絶縁膜73を介して基体62,66間を流れる。したがって、検出素子17Cにおいて、基体62,66間を流れる電流は、量子ドット65および絶縁膜73が形成されていない場合よりも小さくなり、検出対象物9を高感度に検出または分析できる。また、検出対象物9を検出素子17よりも高感度に検出または分析できる。
【0280】
なお、絶縁膜73は、一般的には、基体62の材料を含む絶縁膜(たとえば、シリコン酸化物等の半導体酸化物、またはシリコン窒化物等の半導体窒化物、またはシリコンカーバイト等の半導体炭化物)、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。
【0281】
図40は、実施の形態8によるさらに他の検出素子の構成を示す平面図である。実施の形態8による検出素子は、図40に示す検出素子17Dであってもよい。図40を参照して、検出素子17Dは、図36に示す検出素子17Aに絶縁膜74を追加したものであり、その他は、検出素子17Aと同じである。
【0282】
絶縁膜74は、シリコン酸化膜からなり、量子ドット72を覆うように形成される。そして、絶縁膜74は、2nmの厚みを有する。この場合、絶縁膜74は、量子ドット72の表面を覆っていればよく、基体66の間隙部8Dに面した表面の全体を覆っていなくてもよい。
【0283】
したがって、検出素子17Dにおいては、間隙部8Dは、基体62、絶縁部材63,64、基体66および絶縁膜74によって形成される。
【0284】
検出素子17Dは、検出素子17Aの製造方法において、基体66の一主面に量子ドット72を形成した後に、たとえば、SiH4ガスおよびO2ガスを用いたプラズマCVDにより量子ドット72を覆うようにシリコン酸化膜からなる絶縁膜74を形成する工程を追加した工程に従って製造される。
【0285】
検出素子17Dは、基体62,66間に流れる電流を測定して検出対象物9を検出または分析し、電流は、量子ドット72および絶縁膜74を介して基体62,66間を流れる。したがって、検出素子17Dにおいて、基体62,66間を流れる電流は、量子ドット72および絶縁膜74が形成されていない場合よりも小さくなり、検出対象物9を高感度に検出または分析できる。また、検出対象物9を検出素子17,17Aよりも高感度に検出または分析できる。
【0286】
なお、絶縁膜74は、一般的には、基体66の材料を含む絶縁膜(たとえば、シリコン酸化物等の半導体酸化物、またはシリコン窒化物等の半導体窒化物、またはシリコンカーバイト等の半導体炭化物)、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。
【0287】
図41は、実施の形態8によるさらに他の検出素子の構成を示す平面図である。実施の形態8による検出素子は、図41に示す検出素子17Eであってもよい。図41を参照して、検出素子17Eは、図37に示す検出素子17Bに絶縁膜73,74を追加したものであり、その他は、検出素子17Bと同じである。
【0288】
絶縁膜73は、量子ドット65を覆うように形成され、絶縁膜74は、量子ドット72を覆うように形成される。したがって、検出素子17Eにおいて、間隙部8Dは、基体62、絶縁部材63,64、基体66および絶縁膜73,74によって形成される。
【0289】
検出素子17Eは、図38に示す工程図において、工程(e3)と工程(f3)との間に、たとえば、SiH4ガスおよびO2ガスを用いたプラズマCVDにより量子ドット65を覆うようにシリコン酸化膜からなる絶縁膜73を形成する工程を追加し、工程(g3)と工程(i2)との間に、たとえば、SiH4ガスおよびO2ガスを用いたプラズマCVDにより量子ドット72を覆うようにシリコン酸化膜からなる絶縁膜74を形成する工程を追加した工程図に従って製造される。
【0290】
検出素子17Eは、基体62,66間に流れる電流を測定して検出対象物9を検出または分析し、電流は、量子ドット65,72および絶縁膜73,74を介して基体62,66間を流れる。したがって、検出素子17Eにおいて、基体62,66間を流れる電流は、量子ドット65,72および絶縁膜73,74が形成されていない場合よりも小さくなり、検出対象物9を高感度に検出または分析できる。また、検出対象物9を検出素子17,17A,17B,17C,17Dよりも高感度に検出または分析できる。
【0291】
上述したように、量子ドット65および/または量子ドット72は、基体62,66間に流れる電流を抑制するので、「電流抑制部材」を構成する。
【0292】
なお、実施の形態8による検出装置は、図6に示す検出装置100、図11に示す検出装置100A、図12に示す検出装置100B、および図13に示す検出装置100Cの検出素子10を検出素子17,17A,17B,17C,17D,17Eのいずれかに変えた検出装置からなる。
【0293】
また、基体62,66の各々は、一般的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Ta、W、Ir、PtおよびAu等の金属またはこれらの合金、またはチタンシリサイド、ニッケルシリサイド、モリブデンシリサイド、タンタルシリサイド、およびタングステンシリサイド等の金属半導体化合物、または窒化チタン、窒化ジルコニウム、および窒化ハフニウム等の金属窒化物、またはグラファイト、アンチモンおよびビスマス等の半金属、または単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、ガリウムアルミニウムヒ素、インジウムリン、およびインジウムアンチモン等の半導体、または酸化インジウム、酸化スズおよび酸化亜鉛等の透明導電物、またはポリアセチレンおよびテトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン等の導電性有機物からなっていればよい。
【0294】
さらに、絶縁部材63,64の各々は、一般的には、基体62,66の材料を含む絶縁物(たとえば、シリコン酸化物等の半導体酸化物、またはシリコン窒化物等の半導体窒化物、またはシリコンカーバイト等の半導体炭化物)、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。
【0295】
さらに、量子ドット65,72の各々は、一般的には、半導体、シリサイド、および金属のいずれかからなっていればよい。したがって、検出素子17B,17Eにおいて、量子ドット65,72は、相互に異なる材料からなっていてもよく、直径および/または高さが相互に異なっていてもよい。そして、量子ドット65,72の各々が金(Au)からなる場合、量子ドット65,72の各々は、ラングミュア−ブロジェット法(水上に浮かべたナノ粒子や分子などの単層膜を基板に転写する方法)によって形成される。また、量子ドット65,72の各々がシリサイドからなる場合、量子ドット65,72の各々は、上述した方法によってSiからなる量子ドットを形成し、その後、その形成した量子ドット上に蒸着によって金属を形成し、さらに、熱処理を行なうことによって形成される。
【0296】
さらに、検出素子17Eにおいて、絶縁膜73,74は、相互に異なる材料からなっていてもよく、膜厚が相互に異なっていてもよい。
【0297】
検出素子17,17A,17B,17C,17D,17Eにおいては、好ましくは、基体62は、p型の半導体からなり、基体66は、n型の半導体からなる。また、検出素子17,17A,17B,17C,17D,17Eにおいては、好ましくは、基体62は、n型の半導体からなり、基体66は、p型の半導体からなる。つまり、検出素子17,17A,17B,17C,17D,17Eにおいては、好ましくは、基体62,66は、p−n接合を形成する半導体材料からなる。その結果、電気伝導性の検出対象物9が間隙部8Dに導入されると、検出対象物9中の電子がp−n接合における電界によってp型半導体からn型半導体の方向へ移動し、検出対象物9中の正孔がp−n接合における電界によってn型半導体からp型半導体の方向へ移動する。したがって、外部から直流電圧または交流電圧を検出素子17,17A,17B,17C,17D,17Eに印加しなくても、検出対象物9が間隙部8Dに導入されたときの電流Imと検出対象物9が間隙部8Dに導入されないときの電流I0とに変化が生じ、検出対象物9を検出または分析できる。
【0298】
その他は、実施の形態1における説明と同じである。
【0299】
[実施の形態9]
図42は、実施の形態9による検出素子の構成を示す斜視図である。図42を参照して、実施の形態9による検出素子19は、基体81,85と、絶縁部材82,83と、複数の絶縁膜84と、電極86,87とを備える。
【0300】
基体81は、たとえば、n−Siからなる。絶縁部材82,83の各々は、シリコンの熱酸化物からなり、基体81,85の両方に接して基体81と基体85との間に形成される。この場合、絶縁部材82は、絶縁部材83から離されて形成される。複数の絶縁膜84の各々は、シリコンの熱酸化膜からなり、略長方形の平面形状を有する。そして、複数の絶縁膜84は、略平行に基体81の表面に形成される。基体85は、n−Siからなる。
【0301】
電極86は、Alからなり、基体81の裏面(=絶縁膜84が形成される面と反対の面)に形成される。電極87は、Alからなり、基体85の裏面(基体81に対向する面と反対の面)に形成される。
【0302】
基体81,85の各々は、500μmの厚みを有する。絶縁部材82,83の各々は、600nmの厚みを有する。複数の絶縁膜84の各々は、10nmよりも厚い厚みを有し、一般的には、電子およびホールがトンネル不可能な厚みを有する。電極86,87の各々は、100nmの厚みを有する。
【0303】
検出素子19においては、間隙部8Eは、基体81,85、絶縁部材82,83および複数の絶縁膜84によって形成される。
【0304】
図43は、図42に示すA方向から見た検出素子19の平面図である。図43を参照して、検出素子19は、検出素子10と同じ幅Wおよび1mmの高さHを有する。そして、間隙部8Eは、幅wおよび高さhを有する。その結果、絶縁部材82,83の各々は、(W−w)/2の幅を有する。また、各絶縁膜84は、2mmの幅を有し、隣接する2つの絶縁膜84の間隔は、0.25mmである。
【0305】
図44は、図42に示す検出素子19の製造方法を説明するための工程図である。図44を参照して、検出素子19の製造が開始されると、(100)面を有するn−Siの表面が洗浄され、基体81が準備される(工程(a3)参照)。
【0306】
そして、基体81の表面を上述した条件を用いたウェット酸化により酸化し、基体81の一主面上に熱酸化膜(熱SiO2)88を形成する(工程(b3)参照)。そして、熱酸化膜88の表面にレジストを塗布し、フォトリソグラフィを用いてレジストをパターンニングし、マスク用のレジスト89を熱酸化膜88の表面に形成する(工程(c5)参照)。
【0307】
そうすると、レジスト89をマスクとして熱酸化膜88をエッチングし、その後、レジスト89を除去する。これによって、絶縁部材82,83が基体81の一主面上に形成される(工程(d7)参照)。
【0308】
そして、n−Siからなる基体81の表面をドライ酸化により酸化し、熱酸化膜からなる絶縁膜90を基体81の表面に形成する(工程(e4)参照)。この場合、ドライ酸化の条件は、たとえば、絶縁膜90の厚みが20nmである場合、酸素ガス中の基体81の熱酸化温度が1000℃であり、熱酸化時間が20分である。その後、フォトリソグラフィを用いて絶縁膜90をパターンニングし、基体81の表面に複数の絶縁膜84を形成するとともに、基体81の裏面(基体81の複数の絶縁膜84が形成された面と反対の面)にAlを蒸着して電極86を形成する(工程(f4)参照)。
【0309】
そして、(100)面を有するn−Siの表面を洗浄して基体85を準備し、Alからなる電極87を基体85の裏面に形成する(工程(g4)参照)。
【0310】
そうすると、基体85が絶縁部材82,83に接するように2つの基体81,85をクランプにより挟み込む(工程(i3)参照)。これにより、検出素子19が完成する。
【0311】
図45は、図42に示す検出素子19における検出対象物の検出方法を説明するための図である。検出素子19は、図7において説明した方法と同じ方法によって検出対象物9を検出または分析する。すなわち、検出素子19は、図45に示すように検出対象物9が間隙部8Eに入ったときに、基体81,85間に流れる電流を測定することによって検出対象物9を検出または分析する。この場合、絶縁膜84A,84B,84Cの隙間および検出対象物9(または間隙部8Eの媒質)を介して基体81,85間に電流が流れるので、基体81,85間に流れる電流は、絶縁膜84A,84B,84Cが基体81の表面に形成されていない場合よりも小さくなる。
【0312】
なお、図45においては、検出対象物9が絶縁膜84A,84B,84Cの隙間の大きさよりも大きい場合を示すが、検出対象物9が絶縁膜84A,84B,84Cの隙間の大きさ以下である場合も、電流は、絶縁膜84A,84B,84Cの隙間および検出対象物9(または間隙部8Eの媒質)を介して基体81,85間を流れるので、基体81,85間に流れる電流は、絶縁膜84A,84B,84Cが基体81の表面に形成されていない場合よりも小さくなる。
【0313】
したがって、検出素子19を用いることによって、検出対象物9を高感度に検出または分析できる。
【0314】
図46は、実施の形態9による他の検出素子の構成を示す平面図である。実施の形態9による検出素子は、図46に示す検出素子19Aであってもよい。図46を参照して、検出素子19Aは、図42に示す検出素子19の絶縁膜84を絶縁膜91に代えたものであり、その他は、検出素子19と同じである。
【0315】
絶縁膜91は、絶縁膜84と同じ材料からなり、10nmよりも厚い厚み(一般的には、電子および正孔がトンネル不可能な厚み)を有し、2mmの幅を有する。そして、複数の絶縁膜91は、0.25mmの間隔で基体85の間隙部8E側の表面に形成される。したがって、検出素子19Aにおいては、間隙部8Eは、基体81、絶縁部材82,83、基体85および絶縁膜91によって形成される。
【0316】
検出素子19Aは、図44に示す工程(a3)〜(i3)に従って製造される。この場合、図44の説明における基体81を基体85に読み替え、基体85を基体81に読み替え、絶縁膜84を絶縁膜91に読み替えればよい。
【0317】
検出素子19Aは、基体81,85間に流れる電流を測定して検出対象物9を検出または分析し、電流は、複数の絶縁膜91の隙間を介して基体81,85間を流れる。したがって、検出素子19Aにおいて、基体81,85間を流れる電流は、複数の絶縁膜91が形成されていない場合よりも小さくなり、検出対象物9を高感度に検出または分析できる。
【0318】
図47は、実施の形態9によるさらに他の検出素子の構成を示す平面図である。実施の形態9による検出素子は、図47に示す検出素子19Bであってもよい。図47を参照して、検出素子19Bは、図42に示す検出素子19に絶縁膜91を追加したものであり、その他は、検出素子19と同じである。
【0319】
絶縁膜91は、基体85の間隙部8E側の表面に形成される。したがって、検出素子19Bにおいては、間隙部8Eは、基体81、絶縁部材82,83、基体85および絶縁膜84,91によって形成される。
【0320】
図48は、図47に示す検出素子19Bの製造方法を説明するための工程図である。図48に示す工程図は、図44に示す工程図の工程(g4),(i3)を工程(g5),(i4),(j1),(k1)に代えたものであり、その他は、図44に示す工程図と同じである。
【0321】
図48を参照して、上述した工程(f4)の後、(100)面を有するn−Siを洗浄して基体85を準備し、その準備した基体85の一主面を酸化膜の厚みが20nmであるときの酸化条件を用いてドライ酸化し、基体85の一主面に熱酸化膜92を形成する(工程(g5)参照)。
【0322】
そして、フォトリソグラフィを用いて熱酸化膜92をパターンニングし、絶縁膜91を基体85の表面に形成する(工程(i4)参照)。その後、基体85の絶縁膜91が形成された面と反対面にAlを蒸着して電極87を形成する(工程(j1)参照)。
【0323】
そうすると、基体85が絶縁部材82,83に接するように2つの基体81,85をクランプにより挟み込む(工程(k1)参照)。これにより、検出素子19Bが完成する。
【0324】
検出素子19Bは、基体81,85間に流れる電流を測定して検出対象物9を検出または分析し、電流は、複数の絶縁膜84の間隙および複数の絶縁膜91の間隙を介して基体81,85間を流れる。したがって、検出素子19Bにおいて、基体81,85間を流れる電流は、複数の絶縁膜84および91が形成されていない場合よりも小さくなり、検出対象物9を高感度に検出または分析できる。また、検出対象物9を検出素子19または19Aよりも高感度に検出または分析できる。
【0325】
上述したように、絶縁膜84および/または絶縁膜91は、基体81,85間に流れる電流を抑制するので、「電流抑制部材」を構成する。
【0326】
なお、実施の形態9による検出装置は、図6に示す検出装置100、図11に示す検出装置100A、図12に示す検出装置100B、および図13に示す検出装置100Cの検出素子10を検出素子19,19A,19Bのいずれかに変えた検出装置からなる。
【0327】
また、検出素子19,19A,19Bにおいて、絶縁膜84,91は、一般的には、基体81,85の材料を含む絶縁膜(たとえば、シリコン酸化物等の半導体酸化物、またはシリコン窒化物等の半導体窒化物、またはシリコンカーバイト等の半導体炭化物)、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。
【0328】
さらに、基体81,85の各々は、一般的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Ta、W、Ir、PtおよびAu等の金属またはこれらの合金、またはチタンシリサイド、ニッケルシリサイド、モリブデンシリサイド、タンタルシリサイド、およびタングステンシリサイド等の金属半導体化合物、または窒化チタン、窒化ジルコニウム、および窒化ハフニウム等の金属窒化物、またはグラファイト、アンチモンおよびビスマス等の半金属、または単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、ガリウムアルミニウムヒ素、インジウムリン、およびインジウムアンチモン等の半導体、または酸化インジウム、酸化スズおよび酸化亜鉛等の透明導電物、またはポリアセチレンおよびテトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン等の導電性有機物からなっていればよい。
【0329】
さらに、絶縁部材82,83の各々は、一般的には、シリコン酸化物等の半導体酸化物、またはシリコン窒化物等の半導体窒化物、またはシリコンカーバイト等の半導体炭化物、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。
【0330】
さらに、検出素子19Bにおいて、絶縁膜84,91は、相互に異なる材料からなっていてもよく、膜厚が相互に異なっていてもよい。
【0331】
検出素子19,19A,19Bにおいては、好ましくは、基体81は、p型の半導体からなり、基体85は、n型の半導体からなる。また、検出素子19,19A,19Bにおいては、好ましくは、基体81は、n型の半導体からなり、基体85は、p型の半導体からなる。つまり、検出素子19,19A,19Bにおいて、好ましくは、基体81,85は、p−n接合を形成する半導体材料からなる。その結果、電気伝導性の検出対象物9が間隙部8Eに導入されると、検出対象物9中の電子がp−n接合における電界によってp型半導体からn型半導体の方向へ移動し、検出対象物9中の正孔がp−n接合における電界によってn型半導体からp型半導体の方向へ移動する。したがって、外部から直流電圧または交流電圧を検出素子19,19A,19Bに印加しなくても、検出対象物9が間隙部8Eに導入されたときの電流Imと検出対象物9が間隙部8Eに導入されないときの電流I0とに変化が生じ、検出対象物9を検出または分析できる。
【0332】
その他は、実施の形態1における説明と同じである。
【0333】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0334】
この発明は、高感度化が可能な検出素子に適用される。また、この発明は、高感度化が可能な検出素子を用いた検出装置に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0335】
【図1】この発明の実施の形態1による検出素子の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す検出素子の寸法を説明するための図である。
【図3】図2に示すA方向から見た検出素子の平面図である。
【図4】図1に示す検出素子の製造方法を示す第1の工程図である。
【図5】図1に示す検出素子の製造方法を示す第2の工程図である。
【図6】図1に示す検出素子を用いた検出装置の概略図である。
【図7】図1に示す検出素子を用いた検出対象物の検出方法を説明するための図である。
【図8】図1に示す検出素子におけるキャパシタンスと印加電圧との関係を示す図である。
【図9】実施の形態1による他の検出素子の構成を示す斜視図である。
【図10】図9に示す検出素子の製造方法を説明するための一部の工程図である。
【図11】この発明の実施の形態1による他の検出装置の概略図である。
【図12】この発明の実施の形態1によるさらに他の検出装置の概略図である。
【図13】この発明の実施の形態1によるさらに他の検出装置の概略図である。
【図14】図13に示す検出素子の構成を示す概略図である。
【図15】実施の形態2による検出素子の構成を示す斜視図である。
【図16】実施の形態3による検出素子の構成を示す斜視図である。
【図17】実施の形態4による検出素子の構成を示す斜視図である。
【図18】図17に示すA方向から見た検出素子の平面図である。
【図19】図17に示す検出素子の製造方法の一部を示す工程図である。
【図20】実施の形態5による検出素子の構成を示す斜視図である。
【図21】図20に示すA方向から見た検出素子の平面図である。
【図22】図20に示す検出素子の製造方法の一部を示す工程図である。
【図23】実施の形態6による検出素子の構成を示す斜視図である。
【図24】図23に示すA方向から見た検出素子の平面図である。
【図25】実施の形態7による検出素子の構成を示す斜視図である。
【図26】図25に示すA方向から見た2つの絶縁部材および2つの基体の平面図である。
【図27】図25に示すA方向から見た検出素子の平面図である。
【図28】図25に示す検出素子における検出対象物の検出方法を説明するための断面図である。
【図29】図25に示す検出素子の製造方法を示す第1の工程図である。
【図30】図25に示す検出素子の製造方法を示す第2の工程図である。
【図31】実施の形態7による検出装置の概略図である。
【図32】実施の形態8による検出素子の構成を示す斜視図である。
【図33】図32に示すA方向から見た検出素子の平面図である。
【図34】図32に示す検出素子の製造方法を説明するための工程図である。
【図35】図32に示す検出素子における検出対象物の検出方法を説明するための図である。
【図36】実施の形態8による他の検出素子の構成を示す平面図である。
【図37】実施の形態8によるさらに他の検出素子の構成を示す平面図である。
【図38】図37に示す検出素子の製造方法を説明するための工程図である。
【図39】実施の形態8によるさらに他の検出素子の構成を示す平面図である。
【図40】実施の形態8によるさらに他の検出素子の構成を示す平面図である。
【図41】実施の形態8によるさらに他の検出素子の構成を示す平面図である。
【図42】実施の形態9による検出素子の構成を示す斜視図である。
【図43】図42に示すA方向から見た検出素子の平面図である。
【図44】図42に示す検出素子の製造方法を説明するための工程図である。
【図45】図42に示す検出素子における検出対象物の検出方法を説明するための図である。
【図46】実施の形態9による他の検出素子の構成を示す平面図である。
【図47】実施の形態9によるさらに他の検出素子の構成を示す平面図である。
【図48】図47に示す検出素子の製造方法を説明するための工程図である。
【符号の説明】
【0336】
1,4,35,43,47,53,54,62,66,81,85 基体、2,3,25,26,31,33,34,39,44,45,51,52,82,83,122 絶縁部材、5,32,42,46 支持体、5A 表面、5B,5D 側面、5C 裏面、6,7,36,48,49,55,56,67,68,86,87 電極、8,8A,8B,8C,8D,8E,81C,82C 間隙部、9 検出対象物、10,10A,11〜17,17A,17B,17C,17D,17E,18,19,19A,19B 検出素子、20,70 電気配線、21,21A,69,88,90,92 熱酸化膜、22,38,41,57,58,61,71,89 レジスト、27,73,74,84,84A,84B,84C,91 絶縁膜、30 直流電源、37 シリコン酸化膜、40 交流電源、50 測定部、59 酸化膜、65,65A,65B,72 量子ドット、60,60A,60B,60C 検出/分析部、90 光源部、110 光検出部、100,100A,100B,100C,100D 検出装置、120 装着部、121,123 導電部材、130 装着検出部、391,512,521,523 薄膜部、392,513,522 厚膜部、511,514 柱状部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、検出素子およびそれを用いた検出装置に関し、特に、粒子を検出する検出素子およびそれを用いた検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体中に浮懸する粒子を計算する計算装置が検出装置として血球分析装置に使用されている。この計算装置は、粒子が通過する孔と、粒子が孔を通過するときに流れる電流が変化する2個の電極とを備える(特許文献1〜4)。
【0003】
また、2個の半導体(Si)基板の間の距離が絶縁体(SiO2)の厚さにより規定された構造の検出装置が知られている。この検出装置は、2個の半導体基板の間の距離が絶縁体の厚さにより高い精度で規定されるため、半導体基板間の距離が検出対象物の大きさよりも大きく、かつ、検出対象物の大きさに近くなるように2個の半導体基板を高い精度で配置でき、容易に高感度化できる(特許文献5)。
【特許文献1】米国特許第2656508号公報
【特許文献2】特公昭30−5699号公報
【特許文献3】米国特許第3502974号公報
【特許文献4】特公昭42−2200号公報
【特許文献5】特開2003−315296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検出対象物を高感度で検出するためには、2個の半導体基板間の距離をできる限り小さくする必要がある。しかし、従来の検出装置においては、2個の半導体基板間の距離を小さくすると、2個の半導体基板間の絶縁性が低下し、検出対象物を検出する感度が低下するという問題がある。
【0005】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、高感度化が可能な検出素子を提供することである。
【0006】
また、この発明の別の目的は、高感度化が可能な検出素子を用いた検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によれば、検出素子は、第1の基体と、第2の基体と、絶縁部材と、間隙部と、電流抑制部材とを備える。第2の基体は、第1の基体に対向して設けられる。絶縁部材は、第1の基体と第2の基体との距離を厚さにより規定する。間隙部は、第1の基体と第2の基体との間に設けられる。電流抑制部材は、第1の基体と第2の基体との間の漏れ電流を抑制する。そして、第2の基体は、電流抑制部材が第1の基体の間隙部側と反対側の一主面にのみ接して形成されている場合、間隙部側の表面に絶縁膜を含む。
【0008】
好ましくは、電流抑制部材は、第2の基体に対向して設けられ、絶縁部材に接する電気絶縁性の支持体からなる。第1の基体は、絶縁部材と隙間を隔てて支持体の間隙部側の一主面に配置される。第1および第2の基体の各々は、金属、金属合金、金属半導体化合物、半金属、半導体、透明導電体および導電性有機物のいずれかからなる。
【0009】
好ましくは、第2の基体は、半導体からなり、絶縁部材は、第2の基体の材料を含む絶縁物からなる。
【0010】
好ましくは、第2の基体は、シリコン材料からなり、絶縁部材は、第2の基体の熱酸化物、第2の基体の熱窒化物、第2の基体の熱炭化物、およびこれらの化合物のいずれかからなる。
【0011】
好ましくは、第2の基体は、シリコン材料からなる。絶縁部材は、第1および第2の絶縁部材からなる。第1の絶縁部材は、第2の基体の熱酸化物、第2の基体の熱窒化物、第2の基体の熱炭化物、およびこれらの化合物のいずれかからなる。第2の絶縁部材は、第1の絶縁部材と異なる絶縁材料からなる。
【0012】
好ましくは、支持体は、石英からなり、第1の絶縁部材は、熱酸化物からなり、第2の絶縁部材は、熱酸化物と異なるシリコン酸化膜からなる。
【0013】
好ましくは、第1の基体は、金属からなり、第2の基体は、半導体からなる。
【0014】
好ましくは、第1の基体は、p型の半導体からなり、第2の基体は、n型の半導体からなる。
【0015】
好ましくは、電流抑制部材は、第1および第2の基体の少なくとも一方の基体の間隙部側の表面に設けられた量子ドットからなる。第1および第2の基体の各々は、金属、金属合金、金属半導体化合物、半金属、半導体、透明導電体および導電性有機物のいずれかからなる。
【0016】
好ましくは、量子ドットは、半導体、シリサイドおよび金属のいずれかからなる。
【0017】
好ましくは、第1の基体は、p型の半導体からなり、第2の基体は、n型の半導体からなる。
【0018】
好ましくは、電流抑制部材は、第1および第2の基体の少なくとも一方の基体の間隙部側の表面に任意の距離を隔てて設けられた複数の絶縁膜からなる。
【0019】
好ましくは、第1の基体は、p型の半導体からなり、第2の基体は、n型の半導体からなる。
【0020】
好ましくは、検出素子は、装着検出部をさらに備える。装着検出部は、当該検出素子の装着の履歴を示すマークが付される。
【0021】
また、この発明によれば、検出装置は、検出素子と、装着部と、光源部と、光検出部と、検出/分析部とを備える。検出素子は、請求項14に記載の検出素子からなる。装着部は、検出素子が装着される。光源部は、検出素子の間隙部に光を照射する。光検出部は、検出素子の間隙部からの光を検出する。検出/分析部は、光検出部における検出結果に基づいて検出対象物を検出または分析する。そして、検出素子の装着検出部は、検出素子が装着部に装着されることによりマークが付される。
【0022】
さらに、この発明によれば、検出装置は、検出素子と、装着部と、電源と、測定部と、検出/分析部とを備える。検出素子は、請求項14に記載の検出素子からなる。装着部は、検出素子が装着される。電源は、検出素子の第1および第2の基体間に電圧を印加する。測定部は、第1および第2の基体間に流れる電流を測定する。検出/分析部は、測定部によって測定された電流に基づいて検出対象物を検出または分析する。そして、検出素子の装着検出部は、検出素子が装着部に装着されることによりマークが付される。
【0023】
さらに、この発明によれば、検出装置は、検出素子と、光源部と、光検出部と、検出/分析部とを備える。検出素子は、請求項1に記載の検出素子からなる。光源部は、検出素子の間隙部に光を照射する。光検出部は、検出素子の間隙部からの光を検出する。検出/分析部は、光検出部における検出結果に基づいて検出対象物を検出または分析する。
【0024】
好ましくは、光源部は、波長が異なる複数の光を間隙部に照射する。
【0025】
好ましくは、光検出部は、検出素子の間隙部に存在する対象物から発せられる蛍光を検出する。
【0026】
さらに、この発明によれば、検出装置は、検出素子と、電源と、測定部と、検出/分析部とを備える。検出素子は、請求項1に記載の検出素子からなる。電源は、検出素子の第1および第2の基体間に電圧を印加する。測定部は、第1および第2の基体間に流れる電流を測定する。検出/分析部は、測定部によって測定された電流に基づいて検出対象物を検出または分析する。
【発明の効果】
【0027】
この発明においては、第1および第2の基体間に流れる漏れ電流は、電流抑制部材によって抑制される。その結果、第1および第2の基体間に流れる電流が微小になり、その微小な電流に基づいて、検出対象物が検出または分析される。
【0028】
したがって、この発明によれば、検出対象物を高感度で検出または分析できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0030】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による検出素子の構成を示す斜視図である。図1を参照して、検出素子10は、基体1,4と、絶縁部材2,3と、支持体5と、電極6,7とを備える。
【0031】
基体1は、たとえば、n型シリコン(n−Si)からなる。絶縁部材2は、たとえば、n−Siの熱酸化物(熱SiO2)からなり、基体1の一主面に形成される。そして、絶縁部材2は、基体1の幅方向DR1の略中央部に凹部を有する。
【0032】
絶縁部材3は、たとえば、SOG(Spin On Glass)による酸化膜(SiO2)からなり、絶縁部材2と支持体5との間に絶縁部材2および支持体5に接して形成される。基体4は、たとえば、Alからなり、絶縁部材3および支持体5に接するように支持体5の絶縁部材3側の表面5Aに形成される。この場合、基体4は、幅方向DR1において絶縁部材2の凹部の略中央に配置される。支持体5は、たとえば、石英からなる。
【0033】
電極6は、たとえば、アルミニウム(Al)からなり、基体1の絶縁部材2が形成された面と反対側の一主面に形成される。電極7は、たとえば、Alからなり、略コの字形状の断面形状を有する。そして、電極7は、支持体5の一部を挟み込むように支持体5の表面5A、側面5Bおよび裏面5Cに形成され、その一方端が基体4に接続される。
【0034】
上述したように、絶縁部材2が凹部を有し、絶縁部材3が絶縁部材2に接して形成される結果、検出素子10は、絶縁部材2,3によって囲まれる間隙部8を備える。
【0035】
基体1は、550μmの厚みを有し、絶縁部材2のうち、絶縁部材3に接する部分は、600nmの厚みを有し、絶縁部材2のうち、間隙部8に接する部分は、2nmの厚みを有する。
【0036】
また、絶縁部材3は、2nmの厚みを有し、基体4は、50nmの厚みを有し、支持体5は、500μmの厚みを有する。
【0037】
更に、電極6,7の各々は、100nmの厚みを有する。
【0038】
このように、絶縁部材2のうち、間隙部8に接する部分、および絶縁部材3は、電子がトンネル可能な厚みを有する。
【0039】
図2は、図1に示す検出素子10の寸法を説明するための図である。図2を参照して、検出素子10は、20mmの長さL、20mmの幅Wおよび1.05mmの高さHを有する。また、絶縁部材2と基体4との間隔dは、1mmである。
【0040】
図3は、図2に示すA方向から見た検出素子10の平面図である。図3を参照して、間隙部8は、幅wおよび高さhを有する。そして、幅wは、7mmに設定され、高さhは、598nmに設定される。
【0041】
図4および図5は、それぞれ、図1に示す検出素子10の製造方法を示す第1および第2の工程図である。図4を参照して、検出素子10の製造が開始されると、(100)面を有するn−Si基板の表面が洗浄され、基体1が準備される(図4の工程(a)参照)。
【0042】
その後、基体1の表面がウェット酸化により酸化され、基体1の一主面上に熱酸化膜(熱SiO2)21が形成される(図4の工程(b)参照)。この場合、ウェット酸化の条件は、水分を含有する酸素ガス中の基体1の熱酸化温度が1000℃であり、熱酸化時間が300分である。そして、熱酸化膜21の表面にレジストを塗布し、フォトリソグラフィを用いてレジストをパターンニングし、マスク用のレジスト22を熱酸化膜21の表面に形成する(図4の工程(c)参照)。
【0043】
そうすると、レジスト22をマスクとして熱酸化膜21をエッチングし、その後、レジスト22を除去する。これによって、絶縁部材2が基体1の一主面上に形成される(図4の工程(d)参照)。
【0044】
そして、Alからなる電極6が蒸着によって基体1の裏面(絶縁部材2が形成された面と反対面)に形成される(図4の工程(e)参照)。
【0045】
引き続いて、図5を参照して、石英からなる支持体5の表面にAlを蒸着し、その蒸着したAlをパターンニングして基体4と、電極7の一部とを支持体5の一主面に形成する(図5の工程(f)参照)。
【0046】
その後、SOG(Spin On Glass)を用いて基体4と電極7の一部とを覆うように支持体5の一主面上にSiO2からなる絶縁部材3を形成する(図5の工程(g)参照)。必要があれば、絶縁部材3の形成後、絶縁部材3をエッチングし、絶縁部材3の厚みを所望の厚みに設定する。
【0047】
そうすると、絶縁部材3が図4に示す工程(e)で作製された絶縁部材2に接するように、支持体5を基体1上に配置し、窒素雰囲気中で室温、100℃、200℃および400℃のいずれかの温度で30分間、熱処理して絶縁部材3を絶縁部材2に接着させる(図5の工程(h)参照)。これによって、間隙部8が形成されるとともに、基体1,4間の距離が絶縁部材2の厚みによって決定される。
【0048】
なお、絶縁部材2は、シリコンの熱酸化膜からなり、絶縁部材3は、SOGを用いて形成した酸化膜からなるので、窒素雰囲気中における熱処理によって絶縁部材3は、絶縁部材2と容易に接着する。
【0049】
その後、電極7の残りの部分を蒸着によって支持体5に形成し、検出素子10が完成する(図5の工程(i)参照)。
【0050】
図6は、図1に示す検出素子10を用いた検出装置の概略図である。図6を参照して、検出装置100は、検出素子10と、電気配線20と、直流電源30と、交流電源40と、測定部50と、検出/分析部60とを備える。
【0051】
電気配線20は、検出素子10の電極6と電極7との間に接続される。直流電源30は、電気配線20中に接続される。交流電源40は、電気配線20中に接続される。測定部50は、電気配線20中に接続される。
【0052】
直流電源30は、電気配線20を介して検出素子10の電極6,7間に直流電圧を印加する。交流電源40は、電気配線20を介して検出素子10の電極6,7間に交流電圧を印加する。ここで、交流電圧は、低周波数(たとえば、10μHz)から高周波数(たとえば、100MHz)の正弦波電圧、ランプ電圧、三角波電圧およびパルス電圧等のひずみ波電圧からなる。
【0053】
測定部50は、直流電圧または交流電圧が検出素子10の電極6,7間に印加されたときの直流電流または交流電流を測定し、その測定した直流電流または交流電流を検出/分析部60へ出力する。
【0054】
検出/分析部60は、測定部50から受けた直流電流または交流電流に基づいて、後述する方法によって、検出対象物を検出し、または検出対象物を分析(特定)する。
【0055】
図7は、図1に示す検出素子10を用いた検出対象物の検出方法を説明するための図である。検出装置100は、圧力が大気圧よりも低い減圧下で気体分子または原子を検出し、大気圧下で気体分子または原子を検出し、さらに、液体中の液体分子を検出する。
【0056】
この場合、検出装置100の検出素子10は、真空中(大気圧よりも低い圧力を有する気体中)、気体媒質中および液体媒質中に配置される。
【0057】
図7を参照して、検出装置100は、真空中、気体媒質中および液体媒質中で気体分子、気体原子および液体分子を検出する場合、気体分子、気体原子および液体分子等の検出対象物が間隙部8に存在しないときに検出素子10の電極6,7間に流れる電流I0を測定しておき(図7の(a)参照)、その後、気体原子および液体分子等の検出対象物9が間隙部8に存在するときに検出素子10の電極6,7間に流れる電流Imを測定する(図7の(b)参照)。そして、検出装置100は、電流I0と電流Imとの変化分を検出して気体分子、気体原子および液体分子を検出する。
【0058】
真空中で検出対象物9を検出する場合、媒質は、電気的に絶縁性であり、気体中および液体中で検出対象物9を検出する場合、媒質は、電気的に絶縁性または電気的に伝導性である。
【0059】
したがって、検出装置100は、検出対象物9の周囲の媒質が電気的に絶縁性である場合、電気伝導性の検出対象物9を検出でき、検出対象物9の周囲の媒質が電気伝導性である場合、電気的に絶縁性の検出対象物9を検出できる。
【0060】
媒質が電気的に絶縁性である場合、直流電圧が電極6,7間に印加されても、直流電流が間隙部8を介して基体1,4間に流れず、電気伝導性の検出対象物9が間隙部8に入ると、直流電流は、電極7から基体4へ流れ、基体4と検出対象物9との間をトンネルして検出対象物9へ流れ、さらに、検出対象物9と基体1との間をトンネルして基体1に流れ、基体1から電極6へ流れる。したがって、絶縁部材2の凹部と絶縁部材3との間隔は、検出対象物9の大きさ以上であり、かつ、検出対象物9の大きさに近い値に設定される。
【0061】
また、媒質が電気伝導性である場合、直流電圧が電極6,7間に印加されると、直流電流は、電極7から基体4へ流れ、基体4と媒質との間をトンネルして媒質へ流れ、さらに、媒質と基体1との間をトンネルして基体1に流れ、基体1から電極6へ流れる。そして、電気的に絶縁性の検出対象物9が間隙部8に入ると、直流電圧が電極6,7間に印加されても、直流電流は、間隙部8の検出対象物9を介して基体1,4間に流れない。
【0062】
したがって、検出装置100は、検出対象部9が間隙部8に存在しないときの電流I0と、検出対象部9が間隙部8に存在するときの電流Imとを測定することによって検出対象部9を検出できる。
【0063】
すなわち、検出対象物9の周囲の媒質が電気的に絶縁性である場合、検出装置100は、検出素子10の電極6,7間に直流電圧を印加しながら検出素子10に流れる電流を測定する。この場合、検出装置100は、媒質だけが間隙部8に存在するとき、電流I0(直流電流)を検出し(図7の(c)参照)、電気伝導性の検出対象物9が間隙部8に入ったとき、電流Im(直流電流)を検出する(図7の(d)参照)。
【0064】
従って、検出装置100は、図7の(d)に示す電流Imを検出することによって電気伝導性の検出対象物9を検出したことを検知する。
【0065】
一方、検出対象物9の周囲の媒質が電気伝導性である場合、検出装置100は、検出素子10の電極6,7間に直流電圧を印加しながら検出素子10に流れる電流を測定する。この場合、検出装置100は、媒質だけが間隙部8に存在するとき、電流I0(直流電流)を検出し(図7の(e)参照)、電気的に絶縁性の検出対象物9が間隙部8に入ったとき、電流Im(直流電流)を検出する(図7の(f)参照)。
【0066】
従って、検出装置100は、図7の(f)に示す電流Imを検出することによって電気絶縁性の検出対象物9を検出したことを検知する。
【0067】
このように、検出装置100は、検出素子10の間隙部8に検出対象物9が存在しないときの電流I0と間隙部8に検出対象物9が存在するときの電流Imとの変化分を検知して検出対象物9を検出する。
【0068】
検出装置100は、検出素子10を用いて検出対象物9を特定(すなわち、分析)できる。より具体的には、検出装置100は、種類が解っている検出対象物9が間隙部8に入ったときの電流Im0を予め測定し、検出対象物9の名称と電流Im0との対応表を作成して記憶しておき、実際の検出時に検出素子10に流れる電流Im1を測定し、その測定した電流Im1に一致する電流Im0に対応する検出対象物9の名称を対応表を参照して抽出することによって検出対象物9を特定(分析)する。
【0069】
なお、交流電圧が電極6,7に印加される場合も、同様にして、検出対象物9が検出または分析される。また、基体1がシリコンからなり、基体4が金属(Al)からなるので、基体4−間隙部8−基体1の構造は、MOS(Metal Oxide Semiconductor)構造となる。したがって、MOSダイオードと同様な電流−電圧特性、コンダクタンス−電圧特性およびキャパシタンス−電圧特性のいずれかを測定することによって、検出装置100は、検出対象物9を検出または分析できる。
【0070】
図8は、図1に示す検出素子10におけるキャパシタンスと印加電圧との関係を示す図である。図8において、縦軸は、キャパシタンスを表し、横軸は、印加電圧を表す。また、黒丸は、超純水を間隙部8に滴下したときのキャパシタンスと印加電圧との関係(C−V特性)を示し、白丸は、pH=3.7の酢酸溶液を間隙部8に滴下したときのキャパシタンスと印加電圧との関係を示す。
【0071】
なお、C−V特性を測定する場合、検出素子10の絶縁部材2のうち、間隙部8に接する部分は、20nmの厚みを有し、絶縁部材3は、300nmの厚みを有する。このように、C−V特性を測定する場合、絶縁部材2のうち、間隙部8に接する部分、および絶縁部材3は、電子がトンネル不可能な厚みを有する。
【0072】
図8を参照して、C−V特性は、イオンの動きによるヒステリシスを有する。そして、pH=3.7の酢酸溶液を間隙部8に滴下することによって、C−V特性は、負電圧側へシフトする。これは、間隙部8に面した絶縁部材2,3を構成するSiO2の表面におけるSiと水素との化合物群の負電荷が減少したためである。したがって、超純水だけを間隙部8に滴下してC−V特性を測定し、その後、酢酸溶液を間隙部8に滴下してC−V特性を測定することによって、酢酸を検出または分析できる。
【0073】
なお、ヒステリシスは、コンダクタンス−電圧特性(G−V特性)においても観測された。また、超純水にDNA(Deoxyribo Nucleic Acid)を溶解した溶液を間隙部8に滴下した場合においても、ヒステリシスを有するC−V特性が観測されるとともに、DNA溶液を間隙部8に滴下することによって、C−V特性は、負電圧側へシフトする。したがって、超純水だけを間隙部8に滴下してC−V特性を測定し、その後、DNA溶液を間隙部8に滴下してC−V特性を測定することによって、DNA溶液を検出または分析できる。
【0074】
上述したように、検出装置100は、検出素子10の基体1,4間に流れる電流の変化を測定して検出対象物9を検出または分析する。そして、検出素子10において、2つの基体1,4は、2つの絶縁部材2,3および支持体5(石英からなる)を介して結合されている。したがって、2つの絶縁部材2,3および支持体5を介して基体1,4間に漏れ電流が流れるのを抑制できる。すなわち、絶縁部材2は、シリコンの熱酸化膜からなり、絶縁部材3は、SOGを用いた酸化膜からなるので、シリコンの熱酸化膜を膜厚方向に貫くピンホールが熱酸化膜中に発生し、SOGを用いた酸化膜中にもピンホールが発生しても、2つの絶縁部材2,3中のピンホールが接することは想定し難い。また、基体4は、幅方向DR1において絶縁部材2と間隔dを有するので、絶縁部材2,3および支持体5を介して基体1,4間に漏れ電流が流れるには、漏れ電流が絶縁部材3および支持体5(=石英)を面内方向に流れる必要がある。したがって、2つの絶縁部材2,3および支持体5を介して基体1,4間に漏れ電流が流れるのを抑制できる。
【0075】
このように、2つの基体1,4を種類の異なる2つの酸化物で結合することによって漏れ電流が基体1,4間に流れるのを抑制できる。その結果、検出対象物9を高感度に検出できる。また、検出素子10の信頼性を向上できる。
【0076】
また、検出素子10の絶縁部材2は、基体1の材料であるシリコンを熱酸化して形成された熱酸化物からなるので、パーティクルが基体1と絶縁部材2との間に入るのを防止できる。
【0077】
さらに、検出装置100は、検出素子10に流れる電流を測定して検出対象物9を検出または分析するので、通常のバイオセンサが備えている分子識別素子部を必要としない。したがって、検出装置100を小型にできるとともに、検出装置100を簡単に製造できる。
【0078】
間隙部8の幅w、高さhおよび長さは、検出対象物9の大きさよりも大きく形成されているが、検出対象物9の大きさと同等に形成されている場合、高感度で検出対象物9を1個ずつ検出できる。
【0079】
また、 間隙部8の長さが間隙部8の幅wおよび高さhよりも長い場合、1個または複数の検出対象物9を高感度で検出できる。そして、検出された検出対象物の個数および間隙部8の大きさによって検出対象物9の濃度を求めることができる。
【0080】
さらに、間隙部8の幅wが間隙部8の高さhおよび長さよりも大きい場合、1個または複数の検出対象物9を高感度で検出できる。
【0081】
さらに、間隙部8の幅wおよび長さが間隙部8の高さhよりも大きい場合、1個または複数の検出対象物9を高感度で検出できる。
【0082】
さらに、基体1,4の少なくとも一方の間隙部8側の表面積が基体1,4間の最短距離の二乗と同等以上である場合、1個または複数の検出対象物9を同時に検出できる。この場合、感度を高くするためには、基体1,4間の距離を検出対象物9よりも大きく、かつ、検出対象物9の大きさに近くすることが望ましい。
【0083】
間隙部8の高さhが10nm程度よりも小さく形成されている場合、検出素子10を容器内に設置し、容器内を超高真空度に真空排気したとき、基体1,4間に電圧を印加することによって、電子のトンネル効果によるトンネル電流が基体1,4間に流れる。検出対象物9が間隙部8に導入されたとき、トンネル抵抗が小さくなり、所定の電圧が基体1,4間に印加されると、検出対象物9が間隙部8に導入されていないときよりもトンネル電流が大きくなるので、検出対象物9を検出できる。
【0084】
また、媒質のみが間隙部8に導入されたときも、トンネル電流が大きくなる。媒質中の検出対象物9を検出する際、媒質のみが間隙部8に存在するときと、検出対象物9が間隙部8に導入されたときとでトンネル電流の変化を測定することによって、間隙部8における検出対象物9の存在または通過を検出できる。この場合、媒質のトンネル電流は、検出対象物9のトンネル電流と大きく異なることが好ましい。
【0085】
さらに、トンネル抵抗(またはトンネル電流)と電圧との関係を測定し、その測定したトンネル抵抗(またはトンネル電流)−電圧特性を記憶することにより、間隙部8中の検出対象物を分析または同定できる。
【0086】
また、間隙部8の高さhが10μm〜100μmの範囲に設定されている場合、血球、花粉および粒子等を高感度に検出できる。
【0087】
さらに、間隙部8の高さhが1μm〜10μmの範囲に設定されている場合、大腸菌、バクテリアおよび粒子を高感度に検出できる。
【0088】
さらに、間隙部8の高さhが100nm〜1μmの範囲に設定されている場合、インフルエンザウィルスおよび粒子を高感度に検出できる。
【0089】
さらに、間隙部8の高さhが10nm〜100nmの範囲に設定されている場合、たんぱく質、酵素および粒子を高感度に検出できる。
【0090】
さらに、間隙部8の高さhが1nm〜10nmの範囲に設定されている場合、デオキシリボ核酸(DNA)、たんぱく質、脂肪酸分子およびフラーレン分子を高感度に検出できる。
【0091】
さらに、間隙部8の高さhが0.1nm〜1nmの範囲に設定されている場合、水素分子、酸素分子、水分子、アルゴン原子、一酸化炭素分子およびビスフェノールAを高感度に検出できる。この場合、複数の同じ物質の検出対象物9が間隙部8に導入されても、物質が異なると、基体1,4間に流れる電流と電圧との関係が異なるので、検出対象物9の物質を同定できる。しかし、複数の同じ物質の検出対象物9が間隙部8に導入された場合、間隙部8中における複数の検出対象物9の並び方によって、基体1,4間に流れる電流の大きさが変わるので、間隙部8の大きさは、検出対象物9が1個ずつしか導入されない大きさにすることが好ましい。すなわち、検出対象物9を高い信頼性で検出するためには、間隙部8の大きさを検出対象物9の大きさよりも大きいが、検出対象物9と同等に設定することが望ましい。間隙部8を通る最短距離が0.1nm〜100μmであることが好ましく、0.1nm〜10μmであることがより好ましく、0.1nm〜1μmであることがより好ましく、0.1nm〜100nmであることがより好ましく、0.1nm〜10nmであることがより好ましく、0.1nm〜1nmであることがより好ましい。
【0092】
さらに、間隙部8の幅wおよび高さhが間隙部8の長さ方向に沿って変化している場合、検出対象物9が孔(=間隙部8の長さ方向))を通過するときの電流の変化が孔の形状によって変化する。したがって、検出対象物9が異なる形状の孔を通過した時に測定された電流の変化を比較することによって検出対象物9を分析できる。
【0093】
上述したように、検出装置100は、真空中で検出対象物9を検出または分析できる。したがって、検出装置100は、真空度計測装置、真空用粒子計数装置、真空用粒子分析装置、ガス分圧計測装置およびガス分析装置のいずれかとして利用可能である。
【0094】
また、検出装置100は、気体媒質中で検出対象物9を検出または分析できる。したがって、検出装置100は、ガス濃度計、気体用粒子計数装置、気体用粒子分析装置、ガス分圧計、およびガス分析装置として利用可能である。
【0095】
更に、検出装置100は、液体媒質中で検出対象物9を検出または分析できる。そして、容器内に液体媒質が流入したときの直流抵抗、コンダクタンスおよびキャパシタンスのいずれかを予め測定しておけば、間隙部8中における検出対象の液体の存在または通過を検出することができる。検出された液体の量によって、検出対象の液体濃度を求めることができる。また、直流抵抗、コンダクタンスおよびキャパシタンスのいずれかと電圧との関係を測定し、その測定した直流抵抗、コンダクタンスおよびキャパシタンスのいずれかと電圧との関係と、液体の名称との対応表を作成しておくことにより、間隙部8中の液体を分析または同定できる。検出装置100により測定を行なう場合、必要に応じて検出対象の液体を希釈してもよい。
【0096】
したがって、検出装置100は、液濃度計、液分析装置として利用可能である。また、検出装置100は、液体媒質容器内の粒子の検出または分析が可能であり、液体用粒子係数装置または液体用粒子分析装置として利用可能である。たとえば、検出装置100は、血液、デオキシリボ核酸(DNA)およびたんぱく質を計測分析するバイオセンサとして、または水中の環境汚染物質を計測分析するセンサとして利用可能である。
【0097】
液体媒質または検出対象液体が間隙部8に流入するためには、間隙部8の大きさを大きくすることが好ましい。
【0098】
一方、感度を高くするためには、間隙部8の高さhを検出対象物の大きさと同等に近い大きさまで小さくすることが好ましい。したがって、間隙部8の高さは、液体媒質または検出対象液体が間隙部8に流入できる高さの範囲で高さhが小さくなるように設定されることが好ましい。また、検出対象液体の凝固を防止するために、または物質表面や絶縁体表面に検出対象物が付着するのを抑制するために、必要に応じて間隙部8に面する物質表面または絶縁体表面を適当な無機物または有機物の不活性物質で被覆することが好ましい。このような無機物の不活性物質としては、アルミナおよびサファイアがあり、有機物の不活性物質としては、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体、ポリジメチルシロキサンおよびポリエチレングリコールがある。さらに、直流電圧または交流電圧を基体1,4間に印加し、電気泳動法によって検出対象物を間隙部8に導入するようにしてもよい。さらに、液体媒質または検出対象液体が間隙部8に流入し易くするために、必要に応じて、間隙部8に面する物質表面または絶縁体表面を適当な親水性の無機物または有機物で被覆するようにしてもよい。このような無機物としては、シリコン酸化物および石英があり、有機物としては、ポリビニルアルコール、または酸素プラズマ処理によって形成されたポリジメチルシロキサンがある。
【0099】
なお、基体1,4の各々は、一般的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Ta、W、Ir、PtおよびAu等の金属またはこれらの合金、またはチタンシリサイド、ニッケルシリサイド、モリブデンシリサイド、タンタルシリサイド、およびタングステンシリサイド等の金属半導体化合物、または窒化チタン、窒化ジルコニウム、および窒化ハフニウム等の金属窒化物、またはグラファイト、アンチモンおよびビスマス等の半金属、または単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、ガリウムアルミニウムヒ素、インジウムリン、およびインジウムアンチモン等の半導体、または酸化インジウム、酸化スズおよび酸化亜鉛等の透明導電物、またはポリアセチレンおよびテトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン等の導電性有機物からなっていればよい。
【0100】
また、絶縁部材2,3の各々は、一般的には、シリコン酸化物等の半導体酸化物、またはシリコン窒化物等の半導体窒化物、またはシリコンカーバイト等の半導体炭化物、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。すなわち、絶縁部材2,3の各々は、基体1の材料を含む絶縁物、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。
【0101】
検出素子10において、好ましくは、基体4は、p型の半導体からなり、基体1は、n型の半導体からなる。また、検出素子10において、好ましくは、基体4は、n型の半導体からなり、基体1は、p型の半導体からなる。つまり、検出素子10において、好ましくは、基体1,4は、p−n接合を形成する半導体材料からなる。その結果、電気伝導性の検出対象物9が間隙部8に導入されると、検出対象物9中の電子がp−n接合における電界によってp型半導体からn型半導体の方向へ移動し、検出対象物9中の正孔がp−n接合における電界によってn型半導体からp型半導体の方向へ移動する。したがって、外部から直流電圧または交流電圧を検出素子10に印加しなくても、検出対象物9が間隙部8に導入されたときの電流Imと検出対象物9が間隙部8に導入されないときの電流I0とに変化が生じ、検出対象物9を検出または分析できる。
【0102】
図9は、実施の形態1による他の検出素子の構成を示す斜視図である。実施の形態1による検出素子は、図9に示す検出素子10Aであってもよい。図9を参照して、検出素子10Aは、図1に示す検出素子10の絶縁部材2を絶縁部材25,26および絶縁膜27に代えたものであり、その他は、検出素子10と同じである。
【0103】
絶縁部材25,26は、シリコンの熱酸化物からなり、基体1および絶縁部材3の両方に接して基体1と絶縁部材3との間に形成される。この場合、絶縁部材25は、絶縁部材26との距離が間隙部8の幅wになるように絶縁部材26から離されて形成される。絶縁膜27は、シリコンの熱酸化膜からなり、絶縁部材25,26間において基体1の間隙部8側の表面の全面に形成される。したがって、絶縁膜27は、検出素子10Aの幅方向DR1の両端において絶縁部材25,26に接する。
【0104】
その結果、検出素子10Aにおいては、間隙部8は、絶縁部材3,25,26および絶縁膜27によって形成される。
【0105】
絶縁部材25,26は、600nmの厚みを有し、絶縁膜27は、2nmの膜厚を有する。
【0106】
図10は、図9に示す検出素子10Aの製造方法を説明するための一部の工程図である。検出素子10Aは、図4および図5に示す工程(a)〜(i)の工程(d)を図10に示す工程(d1),(d2)に代えた工程(a)〜(c),(d1),(d2),(e)〜(i)に従って製造される。
【0107】
上述した工程(c)において、基体1の表面まで熱酸化膜21をエッチングする(図10の工程(d1)参照)。そして、基体1の表面をドライ酸化して絶縁膜27を基体1の表面に形成する(図10の工程(d2)参照)。この場合、ドライ酸化の条件は、酸素ガス中の基体1の熱酸化温度が900℃であり、熱酸化時間が1分である。その後、上述した工程(e)〜(i)が順次実行され、検出素子10Aが製造される。
【0108】
検出素子10Aにおいても、基体1,4は、絶縁部材3,25(または26)および支持体5(=石英)を介して結合されるので、基体1,4間における漏れ電流を抑制できる。その結果、検出対象物9を高感度に検出できる。
【0109】
なお、絶縁部材25,26および絶縁膜27の各々は、一般的には、シリコン酸化物等の半導体酸化物、またはシリコン窒化物等の半導体窒化物、またはシリコンカーバイト等の半導体炭化物、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。すなわち、絶縁部材25,26および絶縁膜27の各々は、基体1の材料であるシリコンを含む絶縁膜、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。
【0110】
また、検出素子10,10Aにおいては、基体4は、幅方向DR1において、複数に分割されていてもよい。
【0111】
さらに、検出装置100は、検出素子10の代わりに検出素子10Aを備えていてもよい。
【0112】
上述したように、検出素子10,10Aにおいて、間隙部8は、半導体酸化物、半導体窒化物、半導体炭化物、金属酸化物、金属窒化物、ガラス、および電気絶縁性有機物等の不活性膜または不動態膜からなる絶縁部材2,3(または絶縁部材3,25,26および絶縁膜27)によって囲まれるため、検出対象物9が検出素子10,10Aと反応し難く、検出対象物9の構造が壊れにくくなり、または検出対象物9が検出素子10,10Aに付着し難くなる。その結果、検出素子10,10Aの信頼性を高くできる。
【0113】
また、基体1に正の電圧を印加し、基体4に負の電圧を印加した場合、絶縁部材2,3(または絶縁部材3,25,26および絶縁膜27)は、不活性膜であるため、検出対象物9と反応し難く、陰極のみで反応し易い検出対象物9を検出する際、検出素子10,10Aの信頼性を高くできる。
【0114】
さらに、基体1に負の電圧を印加し、基体4に正の電圧を印加した場合、陽極のみで反応し易い検出対象物9を検出する際、検出素子10,10Aの信頼性を高くできる。
【0115】
さらに、検出素子10,10Aにおいては、絶縁膜(絶縁部材2の薄い部分、絶縁部材3および絶縁膜27のいずれか)の厚みが、10nmよりも厚い厚みに形成されている場合、絶縁膜(絶縁部材2の薄い部分、絶縁部材3、および絶縁膜27のいずれか)を流れる電流が小さいため、媒質および検出対象物9がキャパシタンスを測定するために十分な電気絶縁性を有していない場合、基体1と基体4との間のキャパシタンスを測定することにより検出対象物9を検出することができる。
【0116】
さらに、絶縁膜(絶縁部材2のうち、薄い部分、絶縁部材3、および絶縁膜27のいずれか)の厚みが、0.2nm〜10nmに形成されている場合、電子のトンネル効果による電流が絶縁膜(絶縁部材2の薄い部分、絶縁部材3、および絶縁膜27のいずれか)を流れるので、媒質または検出対象物9を介して基体1,4間に流れる電流を測定することにより、検出対象物9を検出または分析できる。
【0117】
さらに、基体1,4間に所定の電圧を印加した場合、基体1、絶縁膜(絶縁部材2の薄い部分または絶縁膜27)、間隙部8中の電気伝導性の媒質、絶縁膜(絶縁部材3)および基体4の間を電子の共鳴トンネル効果による電流が流れるので、電気絶縁性の検出対象物9を検出できる。
【0118】
さらに、基体1,4間に所定の電圧を印加した場合、基体1、絶縁膜(絶縁部材2の薄い部分または絶縁膜27)、間隙部8中の電気伝導性の検出対象物9、絶縁膜(絶縁部材3)および基体4の間を電子の共鳴トンネル効果による電流が流れるので、電気伝導性の検出対象物9を検出できる。
【0119】
絶縁膜(絶縁部材2の薄い部分、絶縁部材3、および絶縁膜27のいずれか)の厚みが薄い程、絶縁膜(絶縁部材2の薄い部分、絶縁部材3、および絶縁膜27のいずれか)を流れる電流が大きくなるので、絶縁膜(絶縁部材2の薄い部分、絶縁部材3、および絶縁膜27のいずれか)の厚みは、0.2nm〜5nmの範囲が好ましく、0.2nm〜1nmの範囲がより好ましい。
【0120】
図11は、この発明の実施の形態1による他の検出装置の概略図である。この発明による実施の形態1による検出装置は、図11に示す検出装置100Aであってもよい。図11を参照して、検出装置100Aは、図6に示す検出装置100の電気配線20、直流電源30、交流電源40、測定部50および検出/分析部60を検出/分析部60A、光源部90および光検出部110に代えたものであり、その他は、検出装置100と同じである。
【0121】
光源部90は、検出素子10の絶縁部材2を介して間隙部8に光を照射する。この場合、絶縁部材2は、上述したように絶縁材料からなるので、光源部90からの光を透過する。
【0122】
光検出部110は、間隙部8に導入された検出対象物9が発する蛍光を受け、その受けた蛍光を電圧に変換して検出/分析部60Aへ出力する。
【0123】
検出/分析部60Aは、光検出部110からの電圧に基づいて、間隙部8における検出対象物9を検出または分析する。より具体的には、検出/分析部60Aは、検出対象物9が間隙部8に導入されていないときに光検出部110が検出する電圧V0と、検出対象物9が間隙部8に導入されているときに光検出部110が検出する電圧Vmとを比較し、電圧Vmが電圧V0よりも大きいことを検知して検出対象物9を検出する。
【0124】
また、検出/分析部60Aは、各検出対象物9の名称と、電圧Vmとの対応表を保持しており、光検出部110から受けた電圧Vmに対応する検出対象物9の名称を対応表を参照して抽出し、検出対象物9を分析する。
【0125】
なお、検出装置100Aにおいては、光源部90は、複数の波長を有する光を間隙部8に照射するようにしてもよい。この場合、検出対象物9は、複数の波長のうち、自己に固有な波長を有する光に反応して蛍光を発する。したがって、検出対象物9に固有な波長を有する光によって検出対象物を検出できる。
【0126】
また、検出装置100Aにおいては、基体1,4の少なくとも一方を透明導電物によって構成するようにしてもよい。これによって、光源部90から出射された光を容易に間隙部8に導入できる。
【0127】
さらに、検出装置100Aは、検出素子10に代えて検出素子10A(図9参照)を備えていてもよい。
【0128】
図12は、この発明の実施の形態1によるさらに他の検出装置の概略図である。この発明の実施の形態1による検出装置は、図12に示す検出装置100Bであってもよい。図12を参照して、検出装置100Bは、図6に示す検出装置100の検出/分析部60を検出/分析部60Bに代え、光源部90および光検出部110を追加したものであり、その他は、検出装置100と同じである。
【0129】
光源部90および光検出部110については、上述したとおりである。検出/分析部60Bは、測定部50から受けた電流に基づいて、検出/分析部60と同じ方法によって検出対象物9を検出または分析し、光検出部110から受けた電圧に基づいて、検出/分析部60Aと同じ方法によって検出対象物9を検出または分析する。
【0130】
なお、検出装置100Bにおいては、検出素子10を検出素子10A(図9参照)に代えてもよい。
【0131】
図13は、この発明の実施の形態1によるさらに他の検出装置の概略図である。この発明の実施の形態による検出装置は、図13に示す検出装置100Cであってもよい。図13を参照して、検出装置100Cは、図6に示す検出装置100の検出素子10を検出装置18に代え、装着部120を追加したものであり、その他は、検出装置100と同じである。
【0132】
図14は、図13に示す検出素子18の構成を示す概略図である。図14を参照して、検出素子18は、図1に示す検出素子10に装着検出部130を追加したものであり、その他は、検出素子10と同じである。
【0133】
装着検出部130は、検出素子10の支持体5の裏面5Cに配置される。そして、装着検出部130は、検出素子18が図13に示す装着部120に装着されると、検出素子18が装着部120に装着されたことを示すマークが付く。
【0134】
再び、図13を参照して、装着部120は、導電部材121,123と、絶縁部材122とからなる。絶縁部材122は、検出素子10の高さHに略等しい幅および検出素子10の長さLに略等しい長さを有する。
【0135】
導電部材121は、その一方端が絶縁部材122の一方の端面に当接し、導電部材123は、絶縁部材122の他方の端面に当接する。その結果、導電部材121は、導電部材123に対向する。また、線B−B間における装着部120の断面形状は、略コの字形状からなる。
【0136】
電気配線20は、装着部120の導電部材121,123に接続される。
【0137】
そして、検出素子18が装着部120に装着されると、導電部材121は、電極6に接触し、導電部材123は、電極7に接触する。
【0138】
検出素子18は、新たに製造された検出素子10に装着検出部130を追加したものに限らず、一旦、装着部120に装着され、検出対象物9の検出または分析に用いられた後、装着部120から外され、間隙部8を洗浄した検出素子からなる。この場合、検出素子18が装着部120に、一旦、装着されたものであるかどうかは、装着検出部130にマークが付いているか否かによって判定される。このように、検出装置100Cに用いられる検出素子18は、新品の検出素子、または、一旦、使用された検出素子からなる。
【0139】
なお、検出素子18は、検出素子10A(図9参照)に装着検出部130を追加した検出素子であってもよい。
【0140】
実施の形態1においては、絶縁部材2,3および支持体5は、「電流抑制部材」を構成する。
【0141】
また、絶縁部材3,25,26および支持体5は、「電流抑制部材」を構成する。
【0142】
[実施の形態2]
図15は、実施の形態2による検出素子の構成を示す斜視図である。図15を参照して、実施の形態2による検出素子11は、図1に示す検出素子10の絶縁部材3を絶縁部材31に代えたものであり、その他は、検出素子10と同じである。
【0143】
絶縁部材31は、SOGを用いたSiO2からなり、絶縁部材2の2つの凸部間に2つの凸部に接するように形成される。その結果、検出素子11においては、絶縁部材2は、基体1および支持体5の両方に接するように基体1と支持体5との間に配置される。そして、間隙部8は、絶縁部材2,31によって形成される。
【0144】
なお、絶縁部材2および支持体5は、クランプによって接着される。
【0145】
検出素子11においては、基体1,4は、絶縁部材2および支持体5(=石英)を介して相互に結合されるので、シリコンの熱酸化物からなる絶縁部材2にピンホールが発生しても、その発生したピンホールを介して流れる電流が支持体5(=石英)を面内方向に流れて基体4に到達することは、考え難いので、漏れ電流が基体1,4間に流れるのを抑制できる。その結果、検出素子11を用いて検出対象物9を高感度に検出できる。
【0146】
検出素子11は、図4および図5に示す工程(a)〜(i)に従って製造される。そして、工程(g)において、SOGを用いたSiO2からなる絶縁部材31は、支持体5(=石英)上にスピンコートにより塗布され、ベークされた後、絶縁部材2の2つの凸部間に入る寸法にパターンニングされることにより形成される。
【0147】
なお、検出素子11においては、絶縁部材31は、基体4の表面全体を覆っていればよく、間隙部8の幅w全体にわたって形成されていなくてもよい。
【0148】
また、絶縁部材31は、一般的には、シリコン酸化物等の半導体酸化物、またはシリコン窒化物等の半導体窒化物、またはシリコンカーバイト等の半導体炭化物、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。すなわち、絶縁部材31は、基体4の材料を含む絶縁物、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。
【0149】
さらに、検出素子11は、図9に示す検出素子10Aの絶縁部材3を絶縁部材31に代えたものであってもよい。
【0150】
実施の形態2による検出装置は、図6に示す検出装置100、図11に示す検出装置100A、図12に示す検出装置100B、および図13に示す検出装置100Cにおいて検出素子10を検出素子11に代えた検出装置からなる。
【0151】
なお、実施の形態2においては、絶縁部材2,31および支持体5は、「電流抑制部材」を構成する。
【0152】
その他は、実施の形態1と同じである。
【0153】
[実施の形態3]
図16は、実施の形態3による検出素子の構成を示す斜視図である。図16を参照して、実施の形態3による検出素子12は、図1に示す検出素子10の絶縁部材3を削除したものであり、その他は、検出素子10と同じである。
【0154】
検出素子12においては、間隙部8は、絶縁部材2、基体4および支持体5によって形成される。そして、基体1,4は、絶縁部材2および支持体5(=石英)を介して結合される。その結果、基体1,4間に流れる漏れ電流を抑制でき、検出対象物9を高感度に検出できる。
【0155】
検出素子12は、図4および図5に示す工程(a)〜工程(i)から工程(g)を削除した工程(a)〜(f),(h),(i)に従って製造される。
【0156】
また、実施の形態3による検出装置は、図6に示す検出装置100、図11に示す検出装置100A、図12に示す検出装置100B、および図13に示す検出装置100Cにおいて検出素子10を検出素子12に代えた検出装置からなる。
【0157】
なお、実施の形態3においては、絶縁部材2および支持体5は、「電流抑制部材」を構成する。
【0158】
その他、実施の形態1と同じである。
【0159】
[実施の形態4]
図17は、実施の形態4による検出素子の構成を示す斜視図である。図17を参照して、実施の形態4による検出素子13は、図1に示す検出素子10の基体1、絶縁部材2および電極6を支持体32、絶縁部材33,34、基体35および電極36に代えたものであり、その他は、検出素子10と同じである。
【0160】
支持体32は、たとえば、石英からなる。絶縁部材33,34の各々は、図1に示す絶縁部材2と同じ材料からなり、支持体5,32の両方に接して支持体5,32間に配置される。この場合、絶縁部材33は、絶縁部材34から離れて配置される。
【0161】
基体35は、図1に示す基体1と同じ材料からなり、支持体32(=石英)の支持体5側の一主面に形成される。電極36は、たとえば、Alからなり、支持体32の端面および支持体32の基体35が形成された面と反対面に形成され、基体35に接続される。
【0162】
その結果、検出素子13においては、間隙部8は、支持体5,32、基体4,35および絶縁部材33,34によって形成される。
【0163】
図18は、図17に示すA方向から見た検出素子13の平面図である。図18を参照して、絶縁部材33は、間隙部8の幅wに等しい距離だけ絶縁部材34から離れた位置に配置される。そして、絶縁部材33,34の各々は、間隙部8の高さhに等しい厚みを有する。また、基体35は、50nmの厚みを有する。
【0164】
基体4と絶縁部材33,34との間隔d1は、1mmに設定され、基体35と絶縁部材33,34との間隔d2は、1mmに設定される。
【0165】
検出素子13は、電極7,36を介して基体4,35間に流れる電流を検出して検出対象物9を検出または分析する。そして、検出素子13においては、2つの基体4,35は、支持体5(=石英)、絶縁部材33,34および支持体32(=石英)を介して結合されるため、基体4,35間に流れる漏れ電流を抑制でき、検出対象物9を高感度に検出できる。
【0166】
図19は、図17に示す検出素子13の製造方法の一部を示す工程図である。図19を参照して、検出素子13の製造が開始されると、支持体32(=石英)の表面が洗浄され(図19の工程(a1)参照)、シラン(SiH4)ガスおよび酸素(O2)ガスを原料ガスとするプラズマCVD(Chemical Vapour Deposition)によってシリコン酸化膜(SiO2)37を支持体32(=石英)の一主面に堆積し(図19の工程(b1)参照)、その堆積したシリコン酸化膜(SiO2)37の表面にレジストを塗布し、フォトリソグラフィを用いてレジストをパターンニングし、マスク用のレジスト38をシリコン酸化膜(SiO2)37の表面に形成する(図19の工程(c1)参照)。
【0167】
そうすると、レジスト38をマスクとしてシリコン酸化膜(SiO2)37をエッチングし、その後、レジスト38を除去する。これによって、絶縁部材33,34が基体32の一主面上に形成される(図19の工程(d3)参照)。
【0168】
そして、SiH4ガスを用いたプラズマCVDによりSiからなる基体35を支持体32の一主面に形成し、その後、Alからなる電極36を蒸着によって支持体32の裏面(基体35が形成された面と反対面)および側面に形成する(図19の(e1)参照)。
【0169】
そして、図5に示す工程(f)〜工程(i)を順次実行し、検出素子13が完成する。
【0170】
なお、実施の形態4による検出装置は、図6に示す検出装置100、図11に示す検出装置100A、図12に示す検出装置100B、および図13に示す検出装置100Cにおいて検出素子10を検出素子13に代えた検出装置からなる。
【0171】
なお、実施の形態4においては、支持体5,32および絶縁部材33,34は、「電流抑制部材」を構成する。
【0172】
その他、実施の形態1と同じである。
【0173】
[実施の形態5]
図20は、実施の形態5による検出素子の構成を示す斜視図である。図20を参照して、実施の形態5による検出素子14は、図1に示す検出素子10の絶縁部材2を絶縁部材39に代えたものであり、その他は、検出素子10と同じである。
【0174】
絶縁部材39は、シリコンの熱酸化物からなり、基体1および絶縁部材3の両方に接し、基体1と絶縁部材3との間に配置される。そして、絶縁部材39は、薄膜部391と、厚膜部392とからなり、薄膜部391は、2nmの厚みを有し、厚膜部392は、600nmの厚みを有する。
【0175】
検出素子14においては、絶縁部材3は、検出素子14の幅方向DR1の一部において絶縁部材39に接する。すなわち、絶縁部材3は、絶縁部材39の厚膜部392のみに接する。その結果、絶縁部材3,39によって形成される間隙部8Aは、幅方向DR1における一方端が開口状態になっている。したがって、検出対象物9を間隙部8Aに入り易くできる。
【0176】
また、検出素子14においては、基体4は、絶縁部材39の薄膜部391に対向する位置に配置される。
【0177】
図21は、図20に示すA方向から見た検出素子14の平面図である。図21を参照して、間隙部8Aは、幅wおよび高さhを有する。したがって、絶縁部材39の薄膜部391は、幅wを有し、厚膜部392は、幅W−wを有する。
【0178】
図22は、図20に示す検出素子14の製造方法の一部を示す工程図である。検出素子14は、図4および図5に示す工程(a)〜(i)の工程(c),(d)を図22に示す工程(c2),(d4)に代えた工程(a),(b),(c2),(d4),(e)〜(i)に従って製造される。
【0179】
上述した工程(b)の後、熱酸化膜21の上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィによりレジストをパターンニングして熱酸化膜21の表面にマスク用のレジスト41を形成する(図22の工程(c2)参照)。そして、レジスト41をマスクとして熱酸化膜21をエッチングし、絶縁部材39を形成する(図22の工程(d4)参照)。その後、上述した工程(e)〜(i)が順次実行され、検出素子14が製造される。
【0180】
検出素子14においても、基体1,4は、絶縁部材3,39および支持体5(=石英)を介して結合されるので、基体1,4間における漏れ電流を抑制できる。その結果、検出対象物9を高感度に検出できる。
【0181】
なお、絶縁部材39は、一般的には、シリコン酸化物等の半導体酸化物、またはシリコン窒化物等の半導体窒化物、またはシリコンカーバイト等の半導体炭化物、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。すなわち、絶縁部材39は、基体1の材料を含む絶縁物、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。
【0182】
上述したように、検出素子14は、幅方向DR1の一方端が開口状態になっている間隙部8Aを備えるので、検出対象物9を間隙部8Aに入り易くできる。
【0183】
また、液体媒質中の検出対象物9を検出する際には、絶縁部材39のうち、厚膜部392を液体に浸漬せずに薄膜部391だけを液体に浸漬すればよいので、間隙部8Aに面する絶縁部材3,39の表面に沿って流れる漏れ電流を小さくできる。その結果、検出対象物を高感度で検出できる。
【0184】
なお、検出素子14においては、基体1,4間の距離が絶縁部材39の厚膜部392側で最も短く、かつ、厚膜部392から離れるに従って階段的に長くなるように、基体1,4の表面が階段状に形成されていてもよい。この場合、検出対象物9の大きさに近い表面間距離の領域で電流が流れ、検出対象物9を検出できる。このような構造では、各領域の表面間の距離によって高い感度で検出できる検出対象物の大きさの範囲を設定できるので、検出素子14を用いれば、所定の範囲の大きさを有する検出対象物を検出できる。
【0185】
また、検出素子14においては、基体1,4間の距離が絶縁部材39の厚膜部392から離れるに従って階段的に長くなるように、基体1および基体4のいずれか一方の厚みが階段状に薄く形成されていればよく、基体1および基体4の他方の厚みは、一定であってもよい。
【0186】
さらに、実施の形態5による検出装置は、図6に示す検出装置100、図11に示す検出装置100A、図12に示す検出装置100B、および図13に示す検出装置100Cにおいて検出素子10を検出素子14に代えた検出装置からなる。
【0187】
なお、実施の形態5においては、絶縁部材3,39および支持体5は、「電流抑制部材」を構成する。
【0188】
その他、実施の形態1と同じである。
【0189】
[実施の形態6]
図23は、実施の形態6による検出素子の構成を示す斜視図である。図23を参照して、実施の形態6による検出素子15は、支持体42,46と、基体43,47と、絶縁部材44,45と、電極48,49とを備える。
【0190】
支持体42は、たとえば、石英からなる。基体43は、基体1,4と同じ材料からなり、支持体42中に埋め込まれる。絶縁部材44,45の各々は、絶縁部材2と同じ材料からなる。そして、絶縁部材44,45は、支持体42,46の両方に接し、支持体42と支持体46との間に形成される。
【0191】
支持体46は、たとえば、石英からなる。基体47は、基体1,4と同じ材料からなり、基体43に対向するように支持体46中に埋め込まれる。電極48は、たとえば、Alからなり、基体43に接続されるように支持体42の表面に形成される。電極49は、たとえば、Alからなり、基体47に接続されるように支持体46の表面に形成される。
【0192】
検出素子15においては、間隙部8Bは、支持体42、基体43、絶縁部材44,45、支持体46および基体47によって形成される。
【0193】
支持体42,46および基体43,47の各々は、500μmの厚みを有し、絶縁部材44,45の各々は、600nmの厚みを有し、電極48,49の各々は、100nmの厚みを有する。
【0194】
図24は、図23に示すA方向から見た検出素子15の平面図である。図24を参照して、検出素子15は、検出素子10と同じ幅Wおよび1mmの高さHを有し、間隙部8Bは、幅wおよび高さhを有する。
【0195】
基体43,47の各々は、5mmの幅w1を有し、それぞれ、支持体42,46の幅方向の中央部に配置される。その結果、基体43,47は、間隙部8Bの幅方向の中央部に相互に対向するように配置され、基体43,47と絶縁部材44,45との間隔d4は、1mmに設定される。
【0196】
また、電極48,49は、6mmの幅w2を有し、それぞれ、支持体42,46の幅方向の中央部に面して配置される。その結果、電極48,49は、それぞれ、基本43,47に接続される。
【0197】
検出素子15においては、2つの基体43,47は、支持体42(=石英)、絶縁部材44(または絶縁部材45)および支持体46(=石英)を介して結合されるので、基体43,47間に流れる漏れ電流を抑制できる。その結果、検出対象物9を高感度に検出できる。
【0198】
なお、検出素子15においては、基体43,47の少なくとも一方の間隙部8Bに面する表面を基体43,47の材料を含む絶縁膜(たとえば、シリコン酸化物等の半導体酸化物、またはシリコン窒化物等の半導体窒化物、またはシリコンカーバイト等の半導体炭化物)、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなる絶縁膜で覆うようにしてもよい。これによって、実施の形態1において説明した効果と同じ効果が得られる。
【0199】
また、実施の形態6による検出装置は、図6に示す検出装置100、図11に示す検出装置100A、図12に示す検出装置100B、および図13に示す検出装置100Cにおいて検出素子10を検出素子15に代えた検出装置からなる。
【0200】
なお、実施の形態6においては、支持体42,46および絶縁部材44,45は、「電流抑制部材」を構成する。
【0201】
その他は、実施の形態1と同じである。
【0202】
[実施の形態7]
図25は、実施の形態7による検出素子の構成を示す斜視図である。図25を参照して、実施の形態7による検出素子16は、図1に示す検出素子10の絶縁部材2,3をそれぞれ絶縁部材51,52に代え、基体4を基体53,54に代え、電極7を電極55,56に代えたものであり、その他は、検出素子10と同じである。
【0203】
絶縁部材51は、n−Siの熱SiO2からなり、基体1の一主面に形成される。絶縁部材52は、SOGを用いたSiO2からなり、絶縁部材51と支持体5との間に絶縁部材51および支持体5に接して形成される。その結果、検出素子16は、2つの絶縁部材51,52によって囲まれた間隙部8Cを有する。
【0204】
基体53,54の各々は、たとえば、Alからなり、絶縁部材52および支持体5に接するように支持体5の絶縁部材52側の表面5Aに形成される。この場合、基体54は、幅方向DR1において基体53から離されて形成される。そして、基体53,54の各々は、50nmの厚みを有する。
【0205】
電極55,56の各々は、たとえば、Alからなり、略コの字形状の断面形状を有する。そして、電極55,56は、それぞれ、基体53,54に接続される。この場合、電極55は、支持体5の一部を挟み込むように支持体5の表面5A、側面5Dおよび裏面5Cに形成される。また、電極56は、支持体5の一部を挟み込むように支持体5の表面5A、側面5Bおよび裏面5Cに形成される。そして、電極55,56の各々は、100nmの厚みを有する。
【0206】
図26は、図25に示すA方向から見た2つの絶縁部材51,52および2つの基体53,54の平面図である。図26を参照して、絶縁部材51は、柱状部511,514と、薄膜部512と、厚膜部513とを含む。また、絶縁部材52は、薄膜部521,523と、厚膜部522とを含む。
【0207】
絶縁部材51の柱状部511は、絶縁部材52の薄膜部521に接し、絶縁部材51の柱状部514は、絶縁部材52の厚膜部522および薄膜部523に接する。絶縁部材51の薄膜部512は、絶縁部材52の薄膜部521に対向し、絶縁部材51の厚膜部513は、絶縁部材52の厚膜部522に対向する。
【0208】
その結果、間隙部8Cは、2つの間隙部81C,82Cからなる。そして、間隙部81Cは、絶縁部材51の柱状部511および薄膜部512と、絶縁部材52の薄膜部521とによって囲まれる。また、間隙部82Cは、絶縁部材51の厚膜部513および柱状部514と、絶縁部材52の厚膜部522とによって囲まれる。
【0209】
絶縁部材51の柱状部511,514は、600nmの厚みを有し、薄膜部512は、2nmの厚みを有し、厚膜部513は、20nmの厚みを有する。また、絶縁部材52の薄膜部521,523は、2nmの厚みを有し、厚膜部522は、20nmの厚みを有する。
【0210】
基体53は、絶縁部材52の薄膜部521を介して間隙部81Cに対向するように配置され、基体54は、絶縁部材52の厚膜部522を介して間隙部82Cに対向するように配置される。
【0211】
図27は、図25に示すA方向から見た検出素子16の平面図である。図27を参照して、間隙部81Cは、幅w1および高さhを有し、間隙部82Cは、幅w1および高さh1を有する。幅w1は、3.5mm(=w/2)に設定され、高さh1は、562nmに設定される。
【0212】
絶縁部材51の薄膜部512、絶縁部材51の厚膜部513および絶縁部材52の厚膜部522は、幅w1を有する。
【0213】
基体53,54の各々は、3.3mmの幅w2を有する。その結果、基体53,54間の間隔は、0.4mmに設定される。
【0214】
なお、この発明においては、絶縁部材51の薄膜部512は、絶縁部材51の厚膜部513および絶縁部材52の厚膜部522と異なる幅を有するようにしてもよい。
【0215】
図28は、図25に示す検出素子16における検出対象物の検出方法を説明するための断面図である。図28を参照して、絶縁部材51の薄膜部512および絶縁部材52の薄膜部521は、2nmの厚みを有するため、検出対象物9が間隙部81Cに存在する場合、トンネル電流が薄膜部512を介して基体1と間隙部81Cとの間に流れるとともに、薄膜部521を介して基体53と間隙部81Cとの間に流れる。
【0216】
したがって、電極6,55間に直流電圧を印加したときに、電極6−基体1−薄膜部512−間隙部81C−薄膜部521−基体53−電極55からなる経路を流れる電流を測定することによって、間隙部81Cに存在する検出対象物9を検出または分析できる。より詳細には、間隙部81Cの媒質が電気的に絶縁性であり、かつ、検出対象物9が電気的に導電性である場合、薄膜部512,521をトンネルしたトンネル電流は、間隙部81Cに存在する複数の検出対象物9を介して間隙部81Cを流れる。また、間隙部81Cの媒質が電気的に導電性であり、かつ、検出対象物9が電気的に絶縁性である場合、薄膜部512,521をトンネルしたトンネル電流は、間隙部81Cの媒質を介して間隙部81Cを流れる。
【0217】
また、絶縁部材51の厚膜部513および絶縁部材52の厚膜部522は、20nmの厚みを有するため、基体1と間隙部82Cとの間および基体54と間隙部82Cとの間には、トンネル電流が流れない。また、基体54(Al)、厚膜部522、間隙部82C、厚膜部513および基体1(n−Si)は、MOS構造を構成する。
【0218】
したがって、電極6,56間に電圧を印加したときのC−V特性を測定することによって、間隙部82Cに存在する検出対象物9を検出または分析できる。
【0219】
そして、電極6−電極55間に流れる電流を測定することによって間隙部81Cに存在する検出対象物9を検出または分析する方法は、検出対象物9の抵抗率を測定することによって検出対象物9を検出または分析する方法である。
【0220】
また、C−V特性を測定することによって間隙部82Cに存在する検出対象物9を検出または分析する方法は、検出対象物9の誘電率を測定することによって検出対象物9を検出または分析する方法である。
【0221】
したがって、検出素子16は、検出対象物9の抵抗率を利用して検出対象物9を検出または分析する検出部と、検出対象物9の誘電率を利用して検出対象物9を検出または分析する検出部とを兼ね備えた検出素子である。
【0222】
そして、検出素子16においては、基体53,54は、絶縁部材52および支持体5(石英)を介して連結されるため、絶縁部材51,52および支持体5を介して基体1,53間および基体1,54間に流れる漏れ電流が抑制される。
【0223】
したがって、検出素子16を用いることによって、検出対象物9を高感度に検出または分析できる。
【0224】
図29および図30は、それぞれ、図25に示す検出素子16の製造方法を示す第1および第2の工程図である。図29を参照して、検出素子16の製造が開始されると、上述した図4に示す工程(a),(b)に従って、熱酸化膜21が基体1の一主面上に形成される(図29の工程(a),(b)参照)。
【0225】
そして、熱酸化膜21の表面にレジストを塗布し、フォトリソグラフィを用いてレジストをパターンニングし、マスク用のレジスト57を熱酸化膜21の表面に形成する(図29の工程(c3)参照)。
【0226】
そうすると、レジスト57をマスクとして熱酸化膜21をエッチングし、その後、レジスト57を除去する。これによって、熱酸化膜21Aが基体1の一主面上に形成される(図29の工程(d5)参照)。
【0227】
引き続いて、熱酸化膜21Aの表面にレジストを塗布し、フォトリソグラフィを用いてレジストをパターンニングし、マスク用のレジスト58を熱酸化膜21Aの表面に形成する(図29の工程(e2)参照)。
【0228】
そして、レジスト58をマスクとして熱酸化膜21Aをエッチングし、その後、レジスト58を除去する。これによって、絶縁部材51が基体1の一主面上に形成される。
【0229】
その後、Alからなる電極6が蒸着によって基体1の裏面(絶縁部材51が形成された面と反対面)に形成される(図29の工程(f1)参照)。
【0230】
引き続いて、図30を参照して、石英からなる支持体5の表面にAlを蒸着し、その蒸着したAlをパターンニングして基体53,54と、電極55,56の一部とを支持体5の一主面に形成する(図30の工程(g1)参照)。
【0231】
その後、SOGを用いて基体53,54と電極55,56の一部とを覆うように支持体5の一主面上にSiO2からなる酸化膜59を形成する(図30の工程(h1)参照)。
【0232】
そして、酸化膜59の表面にレジストを塗布し、フォトリソグラフィを用いてレジストをパターンニングし、マスク用のレジスト61を酸化膜59の表面に形成する(図30の工程(i1)参照)。
【0233】
そして、レジスト61をマスクとして酸化膜59をエッチングし、その後、レジスト61を除去する。これによって、絶縁部材52が支持体5の一主面上に形成される(図30の工程(j)参照)。
【0234】
そうすると、図29に示す工程(f1)で作製された絶縁部材51に絶縁部材52が接するように、支持体5を基体1上に配置し、窒素雰囲気中で室温、100℃、200℃および400℃のいずれかの温度で30分間、熱処理して絶縁部材52を絶縁部材51に接着させる(図30の工程(k)参照)。これによって、間隙部8C(81C,82C)が形成されるとともに、基体1と基体53,54との間の距離が絶縁部材51の厚みによって決定される。
【0235】
なお、絶縁部材51は、シリコンの熱酸化膜からなり、絶縁部材52は、SOGを用いて形成した酸化膜からなるので、窒素雰囲気中における熱処理によって絶縁部材52は、絶縁部材51と容易に接着する。
【0236】
その後、電極55,56の残りの部分を蒸着によって支持体5に形成し、検出素子16が完成する(図30の工程(l)参照)。
【0237】
なお、絶縁部材51,52の各々は、一般的には、シリコン酸化物等の半導体酸化物、またはシリコン窒化物等の半導体窒化物、またはシリコンカーバイト等の半導体炭化物、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。すなわち、絶縁部材51,52の各々は、基体1の材料を含む絶縁物、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。
【0238】
図31は、実施の形態7による検出装置の概略図である。図31を参照して、実施の形態7による検出装置100Dは、検出素子16と、配線20,70と、直流電源30と、交流電源40と、測定部50と、検出/分析部60Cとを備える。
【0239】
配線20は、検出素子16の電極6と電極55との間に接続される。配線70は、検出素子16の電極6と電極56との間に接続される。
【0240】
検出装置100Dにおいては、直流電源30、交流電源40および測定部50は、配線20,70中に接続される。この場合、直流電源30および交流電源40は、それぞれ直流電圧および交流電圧を独立に2本の配線20,70に印加できるように配線20,70に接続される。また、測定部50は、2本の配線20,70を流れる電流(直流電流または交流電流)を独立に検出できるように配線20,70中に接続される。
【0241】
そして、測定部50は、配線20中を流れる直流電流または交流電流を測定し、その測定した直流電流または交流電流を検出/分析部60Cへ出力する。また、測定部50は、配線70を用いてC−V特性を測定し、その測定したC−V特性を検出/分析部60Cへ出力する。
【0242】
検出/分析部60Cは、測定部50から受けた直流電流(または交流電流)と、C−V特性とに基づいて間隙部8Cに入った検出対象物9を検出または分析する。
【0243】
このように、検出装置100Dは、直流電流(または交流電流)およびC−V特性に基づいて検出対象物9を検出または分析するので、直流電流(または交流電流)のみ、またはC−V特性のみを用いて検出対象物9を検出または分析する場合よりも検出対象物9を高感度に検出または分析できる。
【0244】
また、実施の形態7による検出装置は、図11に示す検出装置100Aにおいて、検出素子10を検出素子16に代えたものであってもよい。
【0245】
さらに、実施の形態7による検出装置は、図11に示す光源部90および光検出部110を図31に示す検出装置100Dに追加したものであってもよい。この場合、検出/分析部60Cは、測定部50から直流電流(または交流電流)およびC−V特性を受け、光検出部110から電圧を受け、その受けた直流電流(または交流電流)、C−V特性および電圧に基づいて、検出対象物9を検出または分析する。
【0246】
さらに、実施の形態7による検出装置は、図13に示す装着部120を図31に示す検出装置100Dに追加したものであってもよい。この場合、図14に示す装着検出部130を検出素子16に追加した検出素子が装着部120に脱着される。
【0247】
なお、実施の形態7においては、絶縁部材51,52および支持体5は、「電流抑制部材」を構成する。
【0248】
その他は、実施の形態1と同じである。
【0249】
[実施の形態8]
図32は、実施の形態8による検出素子の構成を示す斜視図である。図32を参照して、実施の形態8による検出素子17は、基体62,66と、絶縁部材63,64と、複数の量子ドット65と、電極67,68とを備える。
【0250】
基体62は、n−Siからなる。絶縁部材63,64の各々は、シリコンの熱酸化物からなり、基体62,66の両方に接して基体62と基体66との間に形成される。この場合、絶縁部材63は、絶縁部材64から離されて形成される。複数の量子ドット65の各々は、シリコンドットからなり、基体62の表面に形成される。基体66は、n−Siからなる。
【0251】
電極67は、Alからなり、基体62の裏面(=量子ドット65が形成される面と反対の面)に形成される。電極68は、Alからなり、基体66の裏面(基体62に対向する面と反対の面)に形成される。
【0252】
基体62,66の各々は、500μmの厚みを有する。絶縁部材63,64の各々は、600nmの厚みを有する。複数の量子ドット65の各々は、半球形状を有し、直径が10nm程度であり、高さが2〜3nmである。電極67,68の各々は、100nmの厚みを有する。
【0253】
検出素子17においては、間隙部8Dは、基体62,66、絶縁部材63,64および量子ドット65によって形成される。
【0254】
図33は、図32に示すA方向から見た検出素子17の平面図である。図33を参照して、検出素子17は、検出素子10と同じ幅Wおよび1mmの高さHを有する。そして、間隙部8Dは、幅wおよび高さhを有する。その結果、絶縁部材63,64の各々は、(W−w)/2の幅を有する。
【0255】
図34は、図32に示す検出素子17の製造方法を説明するための工程図である。検出素子17の製造が開始されると、(100)面を有するn−Siの表面が洗浄され、基体62が準備される(図34の工程(a2)参照)。
【0256】
そして、基体62の表面をウェット酸化により酸化し、基体62の一主面上に熱酸化膜(熱SiO2)69を形成する(図34の工程(b2)参照)。この場合、ウェット酸化の条件は、水分を含有する酸素ガス中の基体1の熱酸化温度が1000℃であり、熱酸化時間が300分である。そして、熱酸化膜69の表面にレジストを塗布し、フォトリソグラフィを用いてレジストをパターンニングし、マスク用のレジスト71を熱酸化膜69の表面に形成する(図34の工程(c4)参照)。
【0257】
そうすると、レジスト71をマスクとして熱酸化膜69をエッチングし、その後、レジスト71を除去する。これによって、絶縁部材63,64が基体62の一主面上に形成される(図34の工程(d6)参照)。
【0258】
そして、SiH4ガスを用いたプラズマCVD法により絶縁部材63,64間の基体62の表面にシリコン薄膜を堆積する。そうすると、シリコン薄膜は、自己組織化によって量子ドットになる。これによって、量子ドット65が基体62の表面に形成される。そして、Alからなる電極67が蒸着によって基体62の裏面(量子ドット65が形成された面と反対面)に形成される(図34の工程(e3)参照)。
【0259】
その後、(100)面を有するn−Siの表面を洗浄し、基体66を準備する。そして、Alからなる電極68を基体66の裏面に形成する(図34の工程(f2)参照)。
【0260】
そうすると、基体66が絶縁部材63,64に接するように2つの基体62,66をクランプにより挟み込む(図34の工程(g2)参照)。これにより、検出素子17が完成する。
【0261】
図35は、図32に示す検出素子17における検出対象物の検出方法を説明するための図である。検出素子17は、図7において説明した方法と同じ方法によって検出対象物9を検出または分析する。すなわち、検出素子17は、図35に示すように検出対象物9が間隙部8Dに入ったときに、基体62,66間に流れる電流を測定することによって検出対象物9を検出または分析する。この場合、量子ドット65A,65Bおよび検出対象物9(または間隙部8Dの媒質)を介して基体62,66間に電流が流れるので、基体62,66間に流れる電流は、量子ドット65が基体62の表面に形成されていない場合よりも小さくなる。
【0262】
なお、図35においては、検出対象物9が量子ドット65A,65Bの直径よりも大きい場合を示すが、検出対象物9が量子ドット65A,65Bの直径以下である場合も、量子ドット65A,65Bおよび検出対象物9(または間隙部8Dの媒質)を介して基体62,66間に電流が流れるので、基体62,66間に流れる電流は、量子ドット65が基体62の表面に形成されていない場合よりも小さくなる。
【0263】
したがって、検出素子17を用いることによって、検出対象物9を高感度に検出または分析できる。
【0264】
図36は、実施の形態8による他の検出素子の構成を示す平面図である。実施の形態8による検出素子は、図36に示す検出素子17Aであってもよい。図36を参照して、検出素子17Aは、図32に示す検出素子17の量子ドット65を量子ドット72に代えたものであり、その他は、検出素子17と同じである。
【0265】
量子ドット72は、量子ドット65と同じ材料からなり、10nm程度の直径および2〜3nmの高さを有する。そして、量子ドット72は、基体66の間隙部8D側の表面に形成される。したがって、検出素子17Aにおいては、間隙部8Dは、基体62、絶縁部材63,64、基体66および量子ドット72によって形成される。
【0266】
検出素子17Aは、図34に示す工程(a2)〜(g2)に従って製造される。この場合、図34の説明における基体62を基体66に読み替え、基体66を基体62に読み替え、量子ドット65を量子ドット72に読み替えればよい。
【0267】
検出素子17Aは、基体62,66間に流れる電流を測定して検出対象物9を検出または分析し、電流は、量子ドット72を介して基体62,66間を流れる。したがって、検出素子17Aにおいて、基体62,66間を流れる電流は、量子ドット72が形成されていない場合よりも小さくなり、検出対象物9を高感度に検出または分析できる。
【0268】
図37は、実施の形態8によるさらに他の検出素子の構成を示す平面図である。実施の形態8による検出素子は、図37に示す検出素子17Bであってもよい。図37を参照して、検出素子17Bは、図32に示す検出素子17に量子ドット72を追加したものであり、その他は、検出素子17と同じである。
【0269】
量子ドット72は、基体66の間隙部8D側の表面に形成される。したがって、検出素子17Bにおいては、間隙部8Dは、基体62、絶縁部材63,64、基体66および量子ドット65,72によって形成される。
【0270】
図38は、図37に示す検出素子17Bの製造方法を説明するための工程図である。図38に示す工程図は、図34に示す工程図の工程(f2),(g2)を工程(f3),(g3),(i2)に代えたものであり、その他は、図34に示す工程図と同じである。
【0271】
図38を参照して、上述した工程(e3)の後、(100)面を有するn−Siを洗浄して基体66を準備し、その準備した基体66の一主面上に量子ドット72を量子ドット65の形成方法と同じ方法によって形成する(工程(f3)参照)。
【0272】
その後、基体66の量子ドット72が形成された面と反対面にAlを蒸着して電極68を形成する(工程(g3)参照)。
【0273】
そうすると、基体66が絶縁部材63,64に接するように2つの基体62,66をクランプにより挟み込む(工程(i2)参照)。これにより、検出素子17Bが完成する。
【0274】
検出素子17Bは、基体62,66間に流れる電流を測定して検出対象物9を検出または分析し、電流は、2つの量子ドット65,72を介して基体62,66間を流れる。したがって、検出素子17Bにおいて、基体62,66間を流れる電流は、量子ドット65,72が形成されていない場合よりも小さくなり、検出対象物9を高感度に検出または分析できる。また、検出対象物9を検出素子17または17Aよりも高感度に検出または分析できる。
【0275】
図39は、実施の形態8によるさらに他の検出素子の構成を示す平面図である。実施の形態8による検出素子は、図39に示す検出素子17Cであってもよい。図39を参照して、実施の形態8による検出素子17Cは、図32に示す検出素子17に絶縁膜73を追加したものであり、その他は、検出素子17と同じである。
【0276】
絶縁膜73は、シリコン酸化膜からなり、量子ドット65を覆うように形成される。そして、絶縁膜73は、2nmの厚みを有する。この場合、絶縁膜73は、量子ドット65の表面を覆っていればよく、基体62の間隙部8Dに面した表面の全体を覆っていなくてもよい。
【0277】
したがって、検出素子17Cにおいては、間隙部8Dは、基体62、絶縁部材63,64、基体66および絶縁膜73によって形成される。
【0278】
検出素子17Cは、図34に示す工程(a2)〜(g2)の工程(e3)と工程(f2)との間に、たとえば、SiH4ガスおよびO2ガスを用いたプラズマCVDにより量子ドット65を覆うようにシリコン酸化膜からなる絶縁膜73を形成する工程を追加した工程に従って製造される。
【0279】
検出素子17Cは、基体62,66間に流れる電流を測定して検出対象物9を検出または分析し、電流は、量子ドット65および絶縁膜73を介して基体62,66間を流れる。したがって、検出素子17Cにおいて、基体62,66間を流れる電流は、量子ドット65および絶縁膜73が形成されていない場合よりも小さくなり、検出対象物9を高感度に検出または分析できる。また、検出対象物9を検出素子17よりも高感度に検出または分析できる。
【0280】
なお、絶縁膜73は、一般的には、基体62の材料を含む絶縁膜(たとえば、シリコン酸化物等の半導体酸化物、またはシリコン窒化物等の半導体窒化物、またはシリコンカーバイト等の半導体炭化物)、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。
【0281】
図40は、実施の形態8によるさらに他の検出素子の構成を示す平面図である。実施の形態8による検出素子は、図40に示す検出素子17Dであってもよい。図40を参照して、検出素子17Dは、図36に示す検出素子17Aに絶縁膜74を追加したものであり、その他は、検出素子17Aと同じである。
【0282】
絶縁膜74は、シリコン酸化膜からなり、量子ドット72を覆うように形成される。そして、絶縁膜74は、2nmの厚みを有する。この場合、絶縁膜74は、量子ドット72の表面を覆っていればよく、基体66の間隙部8Dに面した表面の全体を覆っていなくてもよい。
【0283】
したがって、検出素子17Dにおいては、間隙部8Dは、基体62、絶縁部材63,64、基体66および絶縁膜74によって形成される。
【0284】
検出素子17Dは、検出素子17Aの製造方法において、基体66の一主面に量子ドット72を形成した後に、たとえば、SiH4ガスおよびO2ガスを用いたプラズマCVDにより量子ドット72を覆うようにシリコン酸化膜からなる絶縁膜74を形成する工程を追加した工程に従って製造される。
【0285】
検出素子17Dは、基体62,66間に流れる電流を測定して検出対象物9を検出または分析し、電流は、量子ドット72および絶縁膜74を介して基体62,66間を流れる。したがって、検出素子17Dにおいて、基体62,66間を流れる電流は、量子ドット72および絶縁膜74が形成されていない場合よりも小さくなり、検出対象物9を高感度に検出または分析できる。また、検出対象物9を検出素子17,17Aよりも高感度に検出または分析できる。
【0286】
なお、絶縁膜74は、一般的には、基体66の材料を含む絶縁膜(たとえば、シリコン酸化物等の半導体酸化物、またはシリコン窒化物等の半導体窒化物、またはシリコンカーバイト等の半導体炭化物)、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。
【0287】
図41は、実施の形態8によるさらに他の検出素子の構成を示す平面図である。実施の形態8による検出素子は、図41に示す検出素子17Eであってもよい。図41を参照して、検出素子17Eは、図37に示す検出素子17Bに絶縁膜73,74を追加したものであり、その他は、検出素子17Bと同じである。
【0288】
絶縁膜73は、量子ドット65を覆うように形成され、絶縁膜74は、量子ドット72を覆うように形成される。したがって、検出素子17Eにおいて、間隙部8Dは、基体62、絶縁部材63,64、基体66および絶縁膜73,74によって形成される。
【0289】
検出素子17Eは、図38に示す工程図において、工程(e3)と工程(f3)との間に、たとえば、SiH4ガスおよびO2ガスを用いたプラズマCVDにより量子ドット65を覆うようにシリコン酸化膜からなる絶縁膜73を形成する工程を追加し、工程(g3)と工程(i2)との間に、たとえば、SiH4ガスおよびO2ガスを用いたプラズマCVDにより量子ドット72を覆うようにシリコン酸化膜からなる絶縁膜74を形成する工程を追加した工程図に従って製造される。
【0290】
検出素子17Eは、基体62,66間に流れる電流を測定して検出対象物9を検出または分析し、電流は、量子ドット65,72および絶縁膜73,74を介して基体62,66間を流れる。したがって、検出素子17Eにおいて、基体62,66間を流れる電流は、量子ドット65,72および絶縁膜73,74が形成されていない場合よりも小さくなり、検出対象物9を高感度に検出または分析できる。また、検出対象物9を検出素子17,17A,17B,17C,17Dよりも高感度に検出または分析できる。
【0291】
上述したように、量子ドット65および/または量子ドット72は、基体62,66間に流れる電流を抑制するので、「電流抑制部材」を構成する。
【0292】
なお、実施の形態8による検出装置は、図6に示す検出装置100、図11に示す検出装置100A、図12に示す検出装置100B、および図13に示す検出装置100Cの検出素子10を検出素子17,17A,17B,17C,17D,17Eのいずれかに変えた検出装置からなる。
【0293】
また、基体62,66の各々は、一般的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Ta、W、Ir、PtおよびAu等の金属またはこれらの合金、またはチタンシリサイド、ニッケルシリサイド、モリブデンシリサイド、タンタルシリサイド、およびタングステンシリサイド等の金属半導体化合物、または窒化チタン、窒化ジルコニウム、および窒化ハフニウム等の金属窒化物、またはグラファイト、アンチモンおよびビスマス等の半金属、または単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、ガリウムアルミニウムヒ素、インジウムリン、およびインジウムアンチモン等の半導体、または酸化インジウム、酸化スズおよび酸化亜鉛等の透明導電物、またはポリアセチレンおよびテトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン等の導電性有機物からなっていればよい。
【0294】
さらに、絶縁部材63,64の各々は、一般的には、基体62,66の材料を含む絶縁物(たとえば、シリコン酸化物等の半導体酸化物、またはシリコン窒化物等の半導体窒化物、またはシリコンカーバイト等の半導体炭化物)、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。
【0295】
さらに、量子ドット65,72の各々は、一般的には、半導体、シリサイド、および金属のいずれかからなっていればよい。したがって、検出素子17B,17Eにおいて、量子ドット65,72は、相互に異なる材料からなっていてもよく、直径および/または高さが相互に異なっていてもよい。そして、量子ドット65,72の各々が金(Au)からなる場合、量子ドット65,72の各々は、ラングミュア−ブロジェット法(水上に浮かべたナノ粒子や分子などの単層膜を基板に転写する方法)によって形成される。また、量子ドット65,72の各々がシリサイドからなる場合、量子ドット65,72の各々は、上述した方法によってSiからなる量子ドットを形成し、その後、その形成した量子ドット上に蒸着によって金属を形成し、さらに、熱処理を行なうことによって形成される。
【0296】
さらに、検出素子17Eにおいて、絶縁膜73,74は、相互に異なる材料からなっていてもよく、膜厚が相互に異なっていてもよい。
【0297】
検出素子17,17A,17B,17C,17D,17Eにおいては、好ましくは、基体62は、p型の半導体からなり、基体66は、n型の半導体からなる。また、検出素子17,17A,17B,17C,17D,17Eにおいては、好ましくは、基体62は、n型の半導体からなり、基体66は、p型の半導体からなる。つまり、検出素子17,17A,17B,17C,17D,17Eにおいては、好ましくは、基体62,66は、p−n接合を形成する半導体材料からなる。その結果、電気伝導性の検出対象物9が間隙部8Dに導入されると、検出対象物9中の電子がp−n接合における電界によってp型半導体からn型半導体の方向へ移動し、検出対象物9中の正孔がp−n接合における電界によってn型半導体からp型半導体の方向へ移動する。したがって、外部から直流電圧または交流電圧を検出素子17,17A,17B,17C,17D,17Eに印加しなくても、検出対象物9が間隙部8Dに導入されたときの電流Imと検出対象物9が間隙部8Dに導入されないときの電流I0とに変化が生じ、検出対象物9を検出または分析できる。
【0298】
その他は、実施の形態1における説明と同じである。
【0299】
[実施の形態9]
図42は、実施の形態9による検出素子の構成を示す斜視図である。図42を参照して、実施の形態9による検出素子19は、基体81,85と、絶縁部材82,83と、複数の絶縁膜84と、電極86,87とを備える。
【0300】
基体81は、たとえば、n−Siからなる。絶縁部材82,83の各々は、シリコンの熱酸化物からなり、基体81,85の両方に接して基体81と基体85との間に形成される。この場合、絶縁部材82は、絶縁部材83から離されて形成される。複数の絶縁膜84の各々は、シリコンの熱酸化膜からなり、略長方形の平面形状を有する。そして、複数の絶縁膜84は、略平行に基体81の表面に形成される。基体85は、n−Siからなる。
【0301】
電極86は、Alからなり、基体81の裏面(=絶縁膜84が形成される面と反対の面)に形成される。電極87は、Alからなり、基体85の裏面(基体81に対向する面と反対の面)に形成される。
【0302】
基体81,85の各々は、500μmの厚みを有する。絶縁部材82,83の各々は、600nmの厚みを有する。複数の絶縁膜84の各々は、10nmよりも厚い厚みを有し、一般的には、電子およびホールがトンネル不可能な厚みを有する。電極86,87の各々は、100nmの厚みを有する。
【0303】
検出素子19においては、間隙部8Eは、基体81,85、絶縁部材82,83および複数の絶縁膜84によって形成される。
【0304】
図43は、図42に示すA方向から見た検出素子19の平面図である。図43を参照して、検出素子19は、検出素子10と同じ幅Wおよび1mmの高さHを有する。そして、間隙部8Eは、幅wおよび高さhを有する。その結果、絶縁部材82,83の各々は、(W−w)/2の幅を有する。また、各絶縁膜84は、2mmの幅を有し、隣接する2つの絶縁膜84の間隔は、0.25mmである。
【0305】
図44は、図42に示す検出素子19の製造方法を説明するための工程図である。図44を参照して、検出素子19の製造が開始されると、(100)面を有するn−Siの表面が洗浄され、基体81が準備される(工程(a3)参照)。
【0306】
そして、基体81の表面を上述した条件を用いたウェット酸化により酸化し、基体81の一主面上に熱酸化膜(熱SiO2)88を形成する(工程(b3)参照)。そして、熱酸化膜88の表面にレジストを塗布し、フォトリソグラフィを用いてレジストをパターンニングし、マスク用のレジスト89を熱酸化膜88の表面に形成する(工程(c5)参照)。
【0307】
そうすると、レジスト89をマスクとして熱酸化膜88をエッチングし、その後、レジスト89を除去する。これによって、絶縁部材82,83が基体81の一主面上に形成される(工程(d7)参照)。
【0308】
そして、n−Siからなる基体81の表面をドライ酸化により酸化し、熱酸化膜からなる絶縁膜90を基体81の表面に形成する(工程(e4)参照)。この場合、ドライ酸化の条件は、たとえば、絶縁膜90の厚みが20nmである場合、酸素ガス中の基体81の熱酸化温度が1000℃であり、熱酸化時間が20分である。その後、フォトリソグラフィを用いて絶縁膜90をパターンニングし、基体81の表面に複数の絶縁膜84を形成するとともに、基体81の裏面(基体81の複数の絶縁膜84が形成された面と反対の面)にAlを蒸着して電極86を形成する(工程(f4)参照)。
【0309】
そして、(100)面を有するn−Siの表面を洗浄して基体85を準備し、Alからなる電極87を基体85の裏面に形成する(工程(g4)参照)。
【0310】
そうすると、基体85が絶縁部材82,83に接するように2つの基体81,85をクランプにより挟み込む(工程(i3)参照)。これにより、検出素子19が完成する。
【0311】
図45は、図42に示す検出素子19における検出対象物の検出方法を説明するための図である。検出素子19は、図7において説明した方法と同じ方法によって検出対象物9を検出または分析する。すなわち、検出素子19は、図45に示すように検出対象物9が間隙部8Eに入ったときに、基体81,85間に流れる電流を測定することによって検出対象物9を検出または分析する。この場合、絶縁膜84A,84B,84Cの隙間および検出対象物9(または間隙部8Eの媒質)を介して基体81,85間に電流が流れるので、基体81,85間に流れる電流は、絶縁膜84A,84B,84Cが基体81の表面に形成されていない場合よりも小さくなる。
【0312】
なお、図45においては、検出対象物9が絶縁膜84A,84B,84Cの隙間の大きさよりも大きい場合を示すが、検出対象物9が絶縁膜84A,84B,84Cの隙間の大きさ以下である場合も、電流は、絶縁膜84A,84B,84Cの隙間および検出対象物9(または間隙部8Eの媒質)を介して基体81,85間を流れるので、基体81,85間に流れる電流は、絶縁膜84A,84B,84Cが基体81の表面に形成されていない場合よりも小さくなる。
【0313】
したがって、検出素子19を用いることによって、検出対象物9を高感度に検出または分析できる。
【0314】
図46は、実施の形態9による他の検出素子の構成を示す平面図である。実施の形態9による検出素子は、図46に示す検出素子19Aであってもよい。図46を参照して、検出素子19Aは、図42に示す検出素子19の絶縁膜84を絶縁膜91に代えたものであり、その他は、検出素子19と同じである。
【0315】
絶縁膜91は、絶縁膜84と同じ材料からなり、10nmよりも厚い厚み(一般的には、電子および正孔がトンネル不可能な厚み)を有し、2mmの幅を有する。そして、複数の絶縁膜91は、0.25mmの間隔で基体85の間隙部8E側の表面に形成される。したがって、検出素子19Aにおいては、間隙部8Eは、基体81、絶縁部材82,83、基体85および絶縁膜91によって形成される。
【0316】
検出素子19Aは、図44に示す工程(a3)〜(i3)に従って製造される。この場合、図44の説明における基体81を基体85に読み替え、基体85を基体81に読み替え、絶縁膜84を絶縁膜91に読み替えればよい。
【0317】
検出素子19Aは、基体81,85間に流れる電流を測定して検出対象物9を検出または分析し、電流は、複数の絶縁膜91の隙間を介して基体81,85間を流れる。したがって、検出素子19Aにおいて、基体81,85間を流れる電流は、複数の絶縁膜91が形成されていない場合よりも小さくなり、検出対象物9を高感度に検出または分析できる。
【0318】
図47は、実施の形態9によるさらに他の検出素子の構成を示す平面図である。実施の形態9による検出素子は、図47に示す検出素子19Bであってもよい。図47を参照して、検出素子19Bは、図42に示す検出素子19に絶縁膜91を追加したものであり、その他は、検出素子19と同じである。
【0319】
絶縁膜91は、基体85の間隙部8E側の表面に形成される。したがって、検出素子19Bにおいては、間隙部8Eは、基体81、絶縁部材82,83、基体85および絶縁膜84,91によって形成される。
【0320】
図48は、図47に示す検出素子19Bの製造方法を説明するための工程図である。図48に示す工程図は、図44に示す工程図の工程(g4),(i3)を工程(g5),(i4),(j1),(k1)に代えたものであり、その他は、図44に示す工程図と同じである。
【0321】
図48を参照して、上述した工程(f4)の後、(100)面を有するn−Siを洗浄して基体85を準備し、その準備した基体85の一主面を酸化膜の厚みが20nmであるときの酸化条件を用いてドライ酸化し、基体85の一主面に熱酸化膜92を形成する(工程(g5)参照)。
【0322】
そして、フォトリソグラフィを用いて熱酸化膜92をパターンニングし、絶縁膜91を基体85の表面に形成する(工程(i4)参照)。その後、基体85の絶縁膜91が形成された面と反対面にAlを蒸着して電極87を形成する(工程(j1)参照)。
【0323】
そうすると、基体85が絶縁部材82,83に接するように2つの基体81,85をクランプにより挟み込む(工程(k1)参照)。これにより、検出素子19Bが完成する。
【0324】
検出素子19Bは、基体81,85間に流れる電流を測定して検出対象物9を検出または分析し、電流は、複数の絶縁膜84の間隙および複数の絶縁膜91の間隙を介して基体81,85間を流れる。したがって、検出素子19Bにおいて、基体81,85間を流れる電流は、複数の絶縁膜84および91が形成されていない場合よりも小さくなり、検出対象物9を高感度に検出または分析できる。また、検出対象物9を検出素子19または19Aよりも高感度に検出または分析できる。
【0325】
上述したように、絶縁膜84および/または絶縁膜91は、基体81,85間に流れる電流を抑制するので、「電流抑制部材」を構成する。
【0326】
なお、実施の形態9による検出装置は、図6に示す検出装置100、図11に示す検出装置100A、図12に示す検出装置100B、および図13に示す検出装置100Cの検出素子10を検出素子19,19A,19Bのいずれかに変えた検出装置からなる。
【0327】
また、検出素子19,19A,19Bにおいて、絶縁膜84,91は、一般的には、基体81,85の材料を含む絶縁膜(たとえば、シリコン酸化物等の半導体酸化物、またはシリコン窒化物等の半導体窒化物、またはシリコンカーバイト等の半導体炭化物)、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。
【0328】
さらに、基体81,85の各々は、一般的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Ta、W、Ir、PtおよびAu等の金属またはこれらの合金、またはチタンシリサイド、ニッケルシリサイド、モリブデンシリサイド、タンタルシリサイド、およびタングステンシリサイド等の金属半導体化合物、または窒化チタン、窒化ジルコニウム、および窒化ハフニウム等の金属窒化物、またはグラファイト、アンチモンおよびビスマス等の半金属、または単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、ガリウムアルミニウムヒ素、インジウムリン、およびインジウムアンチモン等の半導体、または酸化インジウム、酸化スズおよび酸化亜鉛等の透明導電物、またはポリアセチレンおよびテトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン等の導電性有機物からなっていればよい。
【0329】
さらに、絶縁部材82,83の各々は、一般的には、シリコン酸化物等の半導体酸化物、またはシリコン窒化物等の半導体窒化物、またはシリコンカーバイト等の半導体炭化物、アルミナ、サファイア、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル等の金属酸化物、または窒化アルミニウム等の金属窒化物、または石英、ホウ珪酸等のガラス、雲母、フォトレジスト、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリジメチルシロキサン等の電気絶縁性有機物からなっていればよい。
【0330】
さらに、検出素子19Bにおいて、絶縁膜84,91は、相互に異なる材料からなっていてもよく、膜厚が相互に異なっていてもよい。
【0331】
検出素子19,19A,19Bにおいては、好ましくは、基体81は、p型の半導体からなり、基体85は、n型の半導体からなる。また、検出素子19,19A,19Bにおいては、好ましくは、基体81は、n型の半導体からなり、基体85は、p型の半導体からなる。つまり、検出素子19,19A,19Bにおいて、好ましくは、基体81,85は、p−n接合を形成する半導体材料からなる。その結果、電気伝導性の検出対象物9が間隙部8Eに導入されると、検出対象物9中の電子がp−n接合における電界によってp型半導体からn型半導体の方向へ移動し、検出対象物9中の正孔がp−n接合における電界によってn型半導体からp型半導体の方向へ移動する。したがって、外部から直流電圧または交流電圧を検出素子19,19A,19Bに印加しなくても、検出対象物9が間隙部8Eに導入されたときの電流Imと検出対象物9が間隙部8Eに導入されないときの電流I0とに変化が生じ、検出対象物9を検出または分析できる。
【0332】
その他は、実施の形態1における説明と同じである。
【0333】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0334】
この発明は、高感度化が可能な検出素子に適用される。また、この発明は、高感度化が可能な検出素子を用いた検出装置に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0335】
【図1】この発明の実施の形態1による検出素子の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す検出素子の寸法を説明するための図である。
【図3】図2に示すA方向から見た検出素子の平面図である。
【図4】図1に示す検出素子の製造方法を示す第1の工程図である。
【図5】図1に示す検出素子の製造方法を示す第2の工程図である。
【図6】図1に示す検出素子を用いた検出装置の概略図である。
【図7】図1に示す検出素子を用いた検出対象物の検出方法を説明するための図である。
【図8】図1に示す検出素子におけるキャパシタンスと印加電圧との関係を示す図である。
【図9】実施の形態1による他の検出素子の構成を示す斜視図である。
【図10】図9に示す検出素子の製造方法を説明するための一部の工程図である。
【図11】この発明の実施の形態1による他の検出装置の概略図である。
【図12】この発明の実施の形態1によるさらに他の検出装置の概略図である。
【図13】この発明の実施の形態1によるさらに他の検出装置の概略図である。
【図14】図13に示す検出素子の構成を示す概略図である。
【図15】実施の形態2による検出素子の構成を示す斜視図である。
【図16】実施の形態3による検出素子の構成を示す斜視図である。
【図17】実施の形態4による検出素子の構成を示す斜視図である。
【図18】図17に示すA方向から見た検出素子の平面図である。
【図19】図17に示す検出素子の製造方法の一部を示す工程図である。
【図20】実施の形態5による検出素子の構成を示す斜視図である。
【図21】図20に示すA方向から見た検出素子の平面図である。
【図22】図20に示す検出素子の製造方法の一部を示す工程図である。
【図23】実施の形態6による検出素子の構成を示す斜視図である。
【図24】図23に示すA方向から見た検出素子の平面図である。
【図25】実施の形態7による検出素子の構成を示す斜視図である。
【図26】図25に示すA方向から見た2つの絶縁部材および2つの基体の平面図である。
【図27】図25に示すA方向から見た検出素子の平面図である。
【図28】図25に示す検出素子における検出対象物の検出方法を説明するための断面図である。
【図29】図25に示す検出素子の製造方法を示す第1の工程図である。
【図30】図25に示す検出素子の製造方法を示す第2の工程図である。
【図31】実施の形態7による検出装置の概略図である。
【図32】実施の形態8による検出素子の構成を示す斜視図である。
【図33】図32に示すA方向から見た検出素子の平面図である。
【図34】図32に示す検出素子の製造方法を説明するための工程図である。
【図35】図32に示す検出素子における検出対象物の検出方法を説明するための図である。
【図36】実施の形態8による他の検出素子の構成を示す平面図である。
【図37】実施の形態8によるさらに他の検出素子の構成を示す平面図である。
【図38】図37に示す検出素子の製造方法を説明するための工程図である。
【図39】実施の形態8によるさらに他の検出素子の構成を示す平面図である。
【図40】実施の形態8によるさらに他の検出素子の構成を示す平面図である。
【図41】実施の形態8によるさらに他の検出素子の構成を示す平面図である。
【図42】実施の形態9による検出素子の構成を示す斜視図である。
【図43】図42に示すA方向から見た検出素子の平面図である。
【図44】図42に示す検出素子の製造方法を説明するための工程図である。
【図45】図42に示す検出素子における検出対象物の検出方法を説明するための図である。
【図46】実施の形態9による他の検出素子の構成を示す平面図である。
【図47】実施の形態9によるさらに他の検出素子の構成を示す平面図である。
【図48】図47に示す検出素子の製造方法を説明するための工程図である。
【符号の説明】
【0336】
1,4,35,43,47,53,54,62,66,81,85 基体、2,3,25,26,31,33,34,39,44,45,51,52,82,83,122 絶縁部材、5,32,42,46 支持体、5A 表面、5B,5D 側面、5C 裏面、6,7,36,48,49,55,56,67,68,86,87 電極、8,8A,8B,8C,8D,8E,81C,82C 間隙部、9 検出対象物、10,10A,11〜17,17A,17B,17C,17D,17E,18,19,19A,19B 検出素子、20,70 電気配線、21,21A,69,88,90,92 熱酸化膜、22,38,41,57,58,61,71,89 レジスト、27,73,74,84,84A,84B,84C,91 絶縁膜、30 直流電源、37 シリコン酸化膜、40 交流電源、50 測定部、59 酸化膜、65,65A,65B,72 量子ドット、60,60A,60B,60C 検出/分析部、90 光源部、110 光検出部、100,100A,100B,100C,100D 検出装置、120 装着部、121,123 導電部材、130 装着検出部、391,512,521,523 薄膜部、392,513,522 厚膜部、511,514 柱状部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基体と、
前記第1の基体に対向して設けられた第2の基体と、
前記第1の基体と前記第2の基体との距離を厚さにより規定する絶縁部材と、
前記第1の基体と前記第2の基体との間に設けられた間隙部と、
前記第1の基体と前記第2の基体との間の漏れ電流を抑制する電流抑制部材とを備え、
前記第2の基体は、前記電流抑制部材が前記第1の基体の前記間隙部側と反対側の一主面にのみ接して形成されている場合、前記間隙部側の表面に絶縁膜を含む、検出素子。
【請求項2】
前記電流抑制部材は、前記第2の基体に対向して設けられ、前記絶縁部材に接する電気絶縁性の支持体からなり、
前記第1の基体は、前記絶縁部材と隙間を隔てて前記支持体の前記間隙部側の一主面に配置され、
前記第1および第2の基体の各々は、金属、金属合金、金属半導体化合物、半金属、半導体、透明導電体および導電性有機物のいずれかからなる、請求項1に記載の検出素子。
【請求項3】
前記第2の基体は、前記半導体からなり、
前記絶縁部材は、前記第2の基体の材料を含む絶縁物からなる、請求項2に記載の検出素子。
【請求項4】
前記第2の基体は、シリコン材料からなり、
前記絶縁部材は、前記第2の基体の熱酸化物、前記第2の基体の熱窒化物、前記第2の基体の熱炭化物、およびこれらの化合物のいずれかからなる、請求項3に記載の検出素子。
【請求項5】
前記第2の基体は、シリコン材料からなり、
前記絶縁部材は、
前記第2の基体の熱酸化物、前記第2の基体の熱窒化物、前記第2の基体の熱炭化物、およびこれらの化合物のいずれかからなる第1の絶縁部材と、
前記第1の絶縁部材と異なる絶縁材料からなる第2の絶縁部材とを含む、請求項3に記載の検出素子。
【請求項6】
前記支持体は、石英からなり、
前記第1の絶縁部材は、前記熱酸化物からなり、
前記第2の絶縁部材は、前記熱酸化物と異なるシリコン酸化膜からなる、請求項5に記載の検出素子。
【請求項7】
前記第1の基体は、前記金属からなり、
前記第2の基体は、半導体からなる、請求項2に記載の検出素子。
【請求項8】
前記第1の基体は、p型の半導体からなり、
前記第2の基体は、n型の半導体からなる、請求項2に記載の検出素子。
【請求項9】
前記電流抑制部材は、前記第1および第2の基体の少なくとも一方の基体の前記間隙部側の表面に設けられた量子ドットからなり、
前記第1および第2の基体の各々は、金属、金属合金、金属半導体化合物、半金属、半導体、透明導電体および導電性有機物のいずれかからなる、請求項1に記載の検出素子。
【請求項10】
前記量子ドットは、半導体、シリサイドおよび金属のいずれかからなる、請求項9に記載の検出素子。
【請求項11】
前記第1の基体は、p型の半導体からなり、
前記第2の基体は、n型の半導体からなる、請求項9に記載の検出素子。
【請求項12】
前記電流抑制部材は、前記第1および第2の基体の少なくとも一方の基体の前記間隙部側の表面に任意の距離を隔てて設けられた複数の絶縁膜からなる、請求項1に記載の検出素子。
【請求項13】
前記第1の基体は、p型の半導体からなり、
前記第2の基体は、n型の半導体からなる、請求項12に記載の検出素子。
【請求項14】
当該検出素子の装着の履歴を示すマークが付される装着検出部をさらに備える、請求項1に記載の検出素子。
【請求項15】
請求項14に記載の検出素子と、
前記検出素子が装着される装着部と、
前記間隙部に光を照射する光源部と、
前記間隙部からの光を検出する光検出部と、
前記光検出部における検出結果に基づいて検出対象物を検出または分析する検出/分析部とを備え、
前記検出素子の前記装着検出部は、前記検出素子が前記装着部に装着されることにより前記マークが付される、検出装置。
【請求項16】
請求項14に記載の検出素子と、
前記検出素子が装着される装着部と、
前記検出素子の前記第1および第2の基体間に電圧を印加する電源と、
前記第1および第2の基体間に流れる電流を測定する測定部と、
前記測定部によって測定された電流に基づいて検出対象物を検出または分析する検出/分析部とを備え、
前記検出素子の前記装着検出部は、前記検出素子が前記装着部に装着されることにより前記マークが付される、検出装置。
【請求項17】
請求項1に記載の検出素子と、
前記間隙部に光を照射する光源部と、
前記間隙部からの光を検出する光検出部と、
前記光検出部における検出結果に基づいて検出対象物を検出または分析する検出/分析部とを備える検出装置。
【請求項18】
前記光源部は、波長が異なる複数の光を前記間隙部に照射する、請求項17に記載の検出装置。
【請求項19】
前記光検出部は、前記間隙部に存在する対象物から発せられる蛍光を検出する、請求項17に記載の検出装置。
【請求項20】
請求項1に記載の検出素子と、
前記検出素子の前記第1および第2の基体間に電圧を印加する電源と、
前記第1および第2の基体間に流れる電流を測定する測定部と、
前記測定部によって測定された電流に基づいて検出対象物を検出または分析する検出/分析部とを備える検出装置。
【請求項1】
第1の基体と、
前記第1の基体に対向して設けられた第2の基体と、
前記第1の基体と前記第2の基体との距離を厚さにより規定する絶縁部材と、
前記第1の基体と前記第2の基体との間に設けられた間隙部と、
前記第1の基体と前記第2の基体との間の漏れ電流を抑制する電流抑制部材とを備え、
前記第2の基体は、前記電流抑制部材が前記第1の基体の前記間隙部側と反対側の一主面にのみ接して形成されている場合、前記間隙部側の表面に絶縁膜を含む、検出素子。
【請求項2】
前記電流抑制部材は、前記第2の基体に対向して設けられ、前記絶縁部材に接する電気絶縁性の支持体からなり、
前記第1の基体は、前記絶縁部材と隙間を隔てて前記支持体の前記間隙部側の一主面に配置され、
前記第1および第2の基体の各々は、金属、金属合金、金属半導体化合物、半金属、半導体、透明導電体および導電性有機物のいずれかからなる、請求項1に記載の検出素子。
【請求項3】
前記第2の基体は、前記半導体からなり、
前記絶縁部材は、前記第2の基体の材料を含む絶縁物からなる、請求項2に記載の検出素子。
【請求項4】
前記第2の基体は、シリコン材料からなり、
前記絶縁部材は、前記第2の基体の熱酸化物、前記第2の基体の熱窒化物、前記第2の基体の熱炭化物、およびこれらの化合物のいずれかからなる、請求項3に記載の検出素子。
【請求項5】
前記第2の基体は、シリコン材料からなり、
前記絶縁部材は、
前記第2の基体の熱酸化物、前記第2の基体の熱窒化物、前記第2の基体の熱炭化物、およびこれらの化合物のいずれかからなる第1の絶縁部材と、
前記第1の絶縁部材と異なる絶縁材料からなる第2の絶縁部材とを含む、請求項3に記載の検出素子。
【請求項6】
前記支持体は、石英からなり、
前記第1の絶縁部材は、前記熱酸化物からなり、
前記第2の絶縁部材は、前記熱酸化物と異なるシリコン酸化膜からなる、請求項5に記載の検出素子。
【請求項7】
前記第1の基体は、前記金属からなり、
前記第2の基体は、半導体からなる、請求項2に記載の検出素子。
【請求項8】
前記第1の基体は、p型の半導体からなり、
前記第2の基体は、n型の半導体からなる、請求項2に記載の検出素子。
【請求項9】
前記電流抑制部材は、前記第1および第2の基体の少なくとも一方の基体の前記間隙部側の表面に設けられた量子ドットからなり、
前記第1および第2の基体の各々は、金属、金属合金、金属半導体化合物、半金属、半導体、透明導電体および導電性有機物のいずれかからなる、請求項1に記載の検出素子。
【請求項10】
前記量子ドットは、半導体、シリサイドおよび金属のいずれかからなる、請求項9に記載の検出素子。
【請求項11】
前記第1の基体は、p型の半導体からなり、
前記第2の基体は、n型の半導体からなる、請求項9に記載の検出素子。
【請求項12】
前記電流抑制部材は、前記第1および第2の基体の少なくとも一方の基体の前記間隙部側の表面に任意の距離を隔てて設けられた複数の絶縁膜からなる、請求項1に記載の検出素子。
【請求項13】
前記第1の基体は、p型の半導体からなり、
前記第2の基体は、n型の半導体からなる、請求項12に記載の検出素子。
【請求項14】
当該検出素子の装着の履歴を示すマークが付される装着検出部をさらに備える、請求項1に記載の検出素子。
【請求項15】
請求項14に記載の検出素子と、
前記検出素子が装着される装着部と、
前記間隙部に光を照射する光源部と、
前記間隙部からの光を検出する光検出部と、
前記光検出部における検出結果に基づいて検出対象物を検出または分析する検出/分析部とを備え、
前記検出素子の前記装着検出部は、前記検出素子が前記装着部に装着されることにより前記マークが付される、検出装置。
【請求項16】
請求項14に記載の検出素子と、
前記検出素子が装着される装着部と、
前記検出素子の前記第1および第2の基体間に電圧を印加する電源と、
前記第1および第2の基体間に流れる電流を測定する測定部と、
前記測定部によって測定された電流に基づいて検出対象物を検出または分析する検出/分析部とを備え、
前記検出素子の前記装着検出部は、前記検出素子が前記装着部に装着されることにより前記マークが付される、検出装置。
【請求項17】
請求項1に記載の検出素子と、
前記間隙部に光を照射する光源部と、
前記間隙部からの光を検出する光検出部と、
前記光検出部における検出結果に基づいて検出対象物を検出または分析する検出/分析部とを備える検出装置。
【請求項18】
前記光源部は、波長が異なる複数の光を前記間隙部に照射する、請求項17に記載の検出装置。
【請求項19】
前記光検出部は、前記間隙部に存在する対象物から発せられる蛍光を検出する、請求項17に記載の検出装置。
【請求項20】
請求項1に記載の検出素子と、
前記検出素子の前記第1および第2の基体間に電圧を印加する電源と、
前記第1および第2の基体間に流れる電流を測定する測定部と、
前記測定部によって測定された電流に基づいて検出対象物を検出または分析する検出/分析部とを備える検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【公開番号】特開2009−79960(P2009−79960A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248433(P2007−248433)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年6月20日 http://ecsmeet6.peerx−press.org/jsp/mas/reportTechProg.jsp?MEETING_ID=101&SYM_ID=146 および http://ecsmeet6.peerx−press.org/ms_files/ecsmeet6/2007/05/18/00001410/00/1410_0_art_0_ji8i9m.pdf を通じて発表
【出願人】(301033101)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年6月20日 http://ecsmeet6.peerx−press.org/jsp/mas/reportTechProg.jsp?MEETING_ID=101&SYM_ID=146 および http://ecsmeet6.peerx−press.org/ms_files/ecsmeet6/2007/05/18/00001410/00/1410_0_art_0_ji8i9m.pdf を通じて発表
【出願人】(301033101)
【Fターム(参考)】
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