説明

検出装置および検出方法

【課題】特定の対象の位置情報を検出すると共に、特定の対象の近傍にいる第三者に、その特定の対象の確保を依頼することができる検出装置および検出方法を提供する。
【解決手段】携帯端末を特定する端末IDを受信して、自身の位置情報を特定する装置IDと共に送信する位置情報検知装置20と接続され、2つの携帯端末10a,10bのそれぞれを親端末と子端末として端末IDと関連付けて装置IDを記憶し、装置IDが特定する位置に設置された電話機端末の電話番号を記憶し、位置情報検知装置20から端末IDおよび装置IDを受信すると、親端末と子端末のそれぞれが対応して記憶している装置IDから相互の位置関係を識別して通知の必要の有無を判定し、通知の必要がある場合には、予め記憶している親端末の電話番号と子端末と対応して記憶されている装置IDが特定する位置に設置された電話機端末の電話番号を識別し、親端末と電話機端末とを電話接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
百貨店等の施設において特定の対象の位置情報を検出する検出装置および検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
百貨店や大規模ショッピングセンタ等の多数の利用者が入場する施設では、子どもや高齢者は迷子になりやすい。そのため、子供や高齢者に予め携帯電話を持たせておき、迷子になったときは保護者からその携帯電話に電話をすることにより、居場所を把握することができる。しかしながら、携帯電話により会話できたとしても、子供や高齢者は現在いる場所を正確に説明できない場合がある。また、保護者が気づかないうちに迷子になっている場合は、迷子の発見が遅れ、重大な事故につながる恐れがある。
【0003】
このような問題に対処するために、例えば特許文献1に開示される発明がある。特許文献1に開示される利用者管理システムは、迷子が発生したことを自動的に検出し、親に通知するものである。具体的には、利用者管理システムは、両親等の引率者および引率者に引率された子供や老人等の顔画像を登録する登録手段と、複数の監視カメラにより取得した各画像から人物の顔画像を検出する検出手段と、検出した顔画像とデータベースに登録された顔画像との照合を行う顔照合サーバとを備える。
【0004】
顔照合サーバは、子供等の顔画像が検出された画像を取得した監視カメラの位置情報に基づいて子供等の現在位置を取得すると、引率者の顔画像がどの監視カメラによって取得されたのかを調べ、その監視カメラの位置情報から引率者の現在位置を取得する。そして、顔照合サーバは、子供等の現在位置および引率者の現在位置から、子供等が迷子であるかどうかを判定する。
【0005】
また、特許文献2には、保護者及び保護対象者にそれぞれ装着させた無線タグのID情報を追跡データベースに登録し、ID情報を受信したタグリーダの設置位置で施設内の保護者および保護対象者の居場所を識別し、保護者及び保護対象者の居場所に応じて迷子警告を発するか否かを判定する迷子防止システムが開示されている。この迷子防止システムは、迷子警告を発すると判断した場合には、保護者が携帯する携帯端末に対して迷子警告を行う。
【0006】
【特許文献1】特開2007−60528号公報
【特許文献2】特開2006−350458号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1記載の利用者管理システムでは、監視カメラが、設置場所付近の所定範囲に存在する利用者を含む画像を取得するので、すべての利用者の顔画像が正確に取得できるわけではなく、例えズーム機能などを利用しても顔画像が正しく認識できる程度に取得できるとは限らない。また、利用者の顔の向きによっては顔画像を取得できない場合もある。このような場合に、上記利用者管理システムでは、迷子を正しく検知できないという課題があった。
【0008】
また、特許文献2記載の迷子防止システムは、保護者の携帯端末に迷子警告が行われるだけであり、保護対象者と即座に連絡を取る手段がない。そのため、保護者が迷子警告で指示された場所に到着するまでの間の時間に、保護対象者がさらに別の場所に移動してしまうことが懸念される。つまり、特許文献2記載の迷子防止システムでは迷子警告を受けたにもかかわらず保護対象者を再度見失ってしまうことがあり得るという課題があった。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、特定の対象の位置情報を検出すると共に、特定の対象の近傍にいる第三者に、その特定の対象の確保を依頼することができる検出装置および検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の構成による検出装置は、携帯端末を特定する端末識別情報を受信して、自身の位置情報を特定する装置識別情報と共に送信する位置情報検知手段と接続され、2つの携帯端末のそれぞれを親端末と子端末として端末識別情報と関連付けて装置識別情報を記憶し、装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末の電話番号を記憶し、位置情報検知手段から端末識別情報および装置識別情報を受信すると、親端末と子端末のそれぞれが対応して記憶している装置識別情報から相互の位置関係を識別して通知の必要の有無を判定し、通知の必要がある場合には、予め記憶している親端末の電話番号と子端末と対応して記憶されている装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末の電話番号を識別し、親端末と電話機端末とを電話接続することを特徴とする。
【0011】
また、位置情報相互の離れ度合いを示す離れ度合い情報をさらに記憶し、離れ度合い情報に基づいて親端末と子端末のそれぞれの位置関係が通知の必要があるか否かを判定してもよい。親端末と子端末のそれぞれの電話番号を予め記憶し、親端末と子端末のそれぞれの位置関係が通知の必要があると判定したとき、予め設定した条件に従って、親端末と、子端末と対応して記憶されている装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末とを電話接続するか、または親端末と子端末とを電話接続してもよい。
【0012】
端末識別情報および装置識別情報を位置情報検知手段から受信した時間情報と共に更新記憶し、子端末に対応する時間情報が予め定めた時間を超えて更新されない場合には、予め定めた電話機端末と親端末とを電話接続してもよい。親端末と子端末のそれぞれの電話番号を予め記憶し、子端末に対応する時間情報が予め定めた時間を超えて更新されない場合には、予め設定した条件に従って、予め定めた電話機端末と親端末とを電話接続するか、または親端末と子端末とを電話接続してもよい。
【0013】
親端末が当該親端末の電話番号を特定してインターネットを介して送信した検出問い合わせを受信すると、電話番号で特定される親端末と対応する子端末と対応して記憶されている装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末の電話番号を識別し、装置識別情報が特定する位置と当該位置に設置された電話機端末の電話番号を親端末に通知し、親端末が通話を希望する場合には親端末と装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末とを接続してもよい。
【0014】
2つの携帯端末のそれぞれを親端末と子端末として端末識別情報に基づいて装置識別情報を関連付けて記憶し、装置識別情報と対応する位置情報および当該位置に設置された電話機端末の電話番号を記憶する記憶部と、位置情報検知手段から端末識別情報および装置識別情報を受信すると、当該端末識別情報と対応させて当該装置識別情報を記憶部に記憶し、親端末と子端末のそれぞれが対応して記憶している装置識別情報から、記憶部に記憶している位置情報に基づいて相互の位置関係を識別し、相互の位置関係から通知の必要の有無を判定する判定部と、通知の必要がある場合には、子端末と対応して記憶されている装置識別情報から記憶部に記憶している電話番号を識別し、親端末の電話番号と電話番号に基づいて子端末の存在する位置に設置された電話機端末と親端末とを電話接続する通信接続制御部とを有してもよい。
【0015】
記憶部は位置情報相互の離れ度合いを示す離れ度合い情報をさらに記憶し、判定部は離れ度合い情報に基づいて親端末と子端末のそれぞれの位置関係が通知の必要があるか否かを判定してもよい。記憶部は、親端末と子端末のそれぞれの電話番号を予め記憶し、さらに通知の際の通知条件を予め選択記憶し、通信接続制御部は、通知の必要があると判定された場合に、予め選択記憶した通知条件に従って、親端末と、子端末と対応して記憶されている装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末とを電話接続するか、または親端末と子端末とを電話接続してもよい。
【0016】
記憶部は、端末識別情報および装置識別情報を位置情報検知手段から受信した時間情報と共に更新記憶し、判定部は、子端末に対応する時間情報が予め定めた時間を超えて更新されない場合に通知の必要ありと判定し、通信接続制御部は、通知の必要ありと判定された場合には、予め定めた電話機端末と親端末とを電話接続してもよい。記憶部は、親端末と子端末のそれぞれの電話番号を予め記憶し、さらに通知の際の通知条件を予め選択記憶し、判定部が子端末に対応する時間情報が予め定めた時間を超えて更新されないと判定した場合には、通信接続制御部は、予め選択記憶した通知条件に従って、予め定めた電話機端末と親端末とを電話接続するか、または親端末と子端末とを電話接続してもよい。
【0017】
親端末が当該親端末の電話番号を特定してインターネットを介して送信した検出問い合わせを受信する通信手段をさらに備え、通信接続制御部は、受信した電話番号で特定される親端末と対応する子端末と対応して記憶されている装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末の電話番号を識別し、装置識別情報が特定する位置と当該位置に設置された電話機端末の電話番号を通信手段を介して親端末に通知し、親端末が通話を希望する場合には親端末と装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末とを接続してもよい。
【0018】
本発明の構成による検出方法は、携帯端末を特定する端末識別情報を受信して、自身の位置情報を特定する装置識別情報と共に送信する位置情報検知手段を用い、装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末の電話番号を予め記憶する記憶ステップと、2つの携帯端末のそれぞれを親端末と子端末として端末識別情報と関連付けて装置識別情報を記憶する位置登録ステップと、親端末と子端末のそれぞれが対応して記憶している装置識別情報から相互の位置関係を識別して通知の必要の有無を判定する判定ステップと、通知の必要がある場合には、予め記憶している親端末の電話番号と子端末と対応して記憶されている装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末の電話番号を識別して、親端末と電話機端末とを電話接続する通話接続ステップを備えたことを特徴とする。
【0019】
記憶ステップは、位置情報相互の離れ度合いを示す離れ度合い情報を予め記憶するステップを含み、判定ステップは、離れ度合い情報に基づいて親端末と子端末のそれぞれの位置関係が通知の必要があるか否かを判定してもよい。記憶ステップは、親端末と子端末のそれぞれの電話番号を予め記憶するステップと、通知の際の通知条件を予め選択記憶するステップをさらに含み、通話接続ステップは、通知の必要があると判定された場合に、予め選択記憶した通知条件に従って、親端末と、子端末と対応して記憶されている装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末とを電話接続するか、または親端末と子端末とを電話接続するステップを含んでもよい。
【0020】
位置登録ステップは、端末識別情報と対応して装置識別情報を受信した時間情報を更新記憶するステップを含み、判定ステップは、子端末に対応する時間情報が予め定めた時間を超えて更新されない場合には通知の必要があると判定するステップを含み、通話接続ステップは、通知の必要がある場合には予め定めた電話機端末と親端末とを電話接続するステップをさらに含んでもよい。記憶ステップは、親端末と子端末のそれぞれの電話番号を予め記憶するステップと、通知の際の通知条件を予め選択記憶するステップをさらに含み、通話接続ステップは、判定ステップが通知の必要があると判定した場合に、予め選択記憶した通知条件に従って、親端末と、予め定めた電話機端末とを電話接続するか、または親端末と子端末とを電話接続するステップを含んでもよい。
【0021】
通話接続ステップは、親端末が当該親端末の電話番号を特定してインターネットを介して送信した検出問い合わせを受信すると、電話番号で特定される親端末と対応する子端末と対応して記憶されている装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末の電話番号を識別し、装置識別情報が特定する位置と当該位置に設置された電話機端末の電話番号をインターネットを介して親端末に通知する問合せ応答ステップと、問合せ応答ステップの通知に基づいてインターネットを介して親端末から通話を希望する要求を受信すると、親端末と装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末とを接続する電話接続ステップを含んでもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、特定の対象の位置情報を正確に検出し、かつその近傍にいる第三者に特定の対象の確保を依頼することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
実施例1.
次に、図面を参照して本発明の実施例を説明する。図1は本発明に係る検出システムの構成図である。図に示すように、検出システム100は、携帯端末10a,10b、位置情報検知装置20、位置関係判定装置30、通信接続装置40および店舗内電話機50を備える。位置情報検知装置20と位置関係判定装置30、および位置関係判定装置30と通信接続装置40はそれぞれ通信回線で接続されている。また、通信接続装置40は公衆通信網60と接続されており、携帯電話端末と店舗内電話機50との接続を中継する。
【0024】
子供や高齢者等、保護が必要な者(以下、子と称する)と、親等の保護者(以下、親と称する)とが、共に百貨店、大規模ショッピングセンタや遊戯施設等の施設に入場する。検出システム100は、このような施設内で発生した迷子を検出するシステムである。携帯端末10a,10bは、親と子がそれぞれ保持する。位置情報検知装置20は、施設内に複数台、所定の間隔で設置される。位置関係判定装置30は、施設内の迷子センター等に設置される。店舗内電話機50は、施設内で営業している各店舗に置かれた公衆通信網に接続された電話機である。店舗内電話機50は、公衆通信網に接続されていなくても、通信接続装置40に接続された構内通信網に接続されていてもよい。
【0025】
親と子は、施設に入場したらまず迷子センターへ行き、後述する手順で位置関係判定装置30に携帯端末10a,10bの情報を登録する。
【0026】
図2は、位置関係判定装置30の構成を示すブロック図である。位置関係判定装置30は、通信接続装置インタフェース部21、位置情報検知装置インタフェース部22、登録インタフェース部23、制御部24、端末情報登録部25、判定部26、通知情報作成部27、端末情報記録部28およびマップ記憶部29を備える。通信接続装置インタフェース部21は通信回線を介して通信接続装置40と接続され、後述する通知情報を通信接続装置40に出力する。位置情報検知装置インタフェース部22は、通信回線を介して位置情報検知装置20と接続され、位置情報検知装置20で検出した携帯端末の位置情報を受信する。登録インタフェース部23は、迷子センターに設置された登録端末300と接続され、検出サービスを受けるために登録した端末情報を受信する。
【0027】
制御部24は、各要素の制御を行う。端末情報登録部25は、登録インタフェース部23を介して受信した登録すべき携帯端末10a,10bの端末情報を端末情報記録部28に登録する。判定部26は、端末情報記録部28とマップ記憶部29に格納された情報に基づいて迷子が発生したか否かの判定を行う。通知情報作成部27は、迷子が発生したと判定された場合に、通信接続装置40に出力する通知情報を作成する。端末情報記録部28は、携帯端末10a,10bの端末情報を格納する。マップ記憶部29は、施設のフロアマップ等を格納する(詳細は後述する)。
【0028】
図3は、携帯端末10aの構成を示すブロック図である。図3に示すように、携帯端末10aは、制御部11、移動通信部12、端末情報を記憶した非接触ICカード13および近距離無線通信部14を備える。携帯端末10bは、携帯端末10aと同一の構成を有する。
【0029】
制御部11は、各要素の制御を行う。移動通信部12は、アンテナを介して公衆通信網と接続され携帯電話としての通信機能を果たす。非接触ICカードは、端末情報として、例えば端末ID、電話番号等を格納したカードであり、後述するように迷子センターに設置された登録端末300との間で非接触通信を行う。近距離無線通信部14は、携帯端末10aの端末IDを近距離通信により定期的に送出する。状況によっては赤外線通信を用いてもよい。
【0030】
図4は、位置情報検知装置20の構成を示すブロック図である。位置情報検知装置20は、近距離無線通信部31、制御部32、位置関係判定装置インタフェース部33および装置ID記憶部34を備える。近距離無線通信部31は、携帯端末10a,10bの近距離無線通信部14との間で近距離無線通信を行い、定期的に出力される端末IDを受信する。制御部32は、各要素の制御を行う。位置関係判定装置インタフェース部33は、通信回線を介して位置関係判定装置30と通信を行う。装置ID記憶部34は、当該位置情報検知装置20の装置IDを格納する(詳細は後述する)。
【0031】
図5は、通信接続装置40の構成を示すブロック図である。通信接続装置40は位置関係判定装置インタフェース部41、制御部42、回線制御部43および2つの公衆通信網インタフェース部44a,44bを一組とした公衆通信網との回線インタフェースを備える。位置関係判定装置インタフェース部41は通信回線を介して位置関係判定装置30と接続され、位置関係判定装置30が出力する通知情報を受信する。制御部42は各要素の制御を行う。回線制御部43は制御部42による制御のもとで通知情報に含まれる接続先情報に基づいて、2つの公衆通信網インタフェース部44a,44bを介して公衆通信網に2つの通信路を設定する接続制御を行う。
【0032】
ここで、図2に示した位置関係判定装置30のマップ記憶部29が格納する情報について説明する。
【0033】
マップ記憶部29は、施設の各フロアについてのフロアマップ等を格納する。図6は、マップ記憶部29に格納されるフロアマップの一例を示す図である。ここでは当該施設の5階のフロアマップを示す。フロアマップは、そのフロアで営業している店舗の位置、店舗名および電話番号が記載された地図である。また、エスカレータ、階段、トイレ等フロアに存在する設備の位置も記載される。
【0034】
マップ記憶部29はまた、位置マップを格納する。図7は、位置マップの一例を示す図である。位置マップは、フロアを所定範囲で区切り、各区画にIDを付した地図である。図7の「5−A1」の「5」は階数を、「A1」は区画IDを示す。異なる階の位置マップについては、場所が同じ区画であれば、階数を示す数字が異なるだけで区画IDは同一のものを付与してよい。各区画に1台ずつ位置情報検知装置20が設置される。設置された区画のIDを位置情報検知装置20の装置IDとする。
【0035】
マップ記憶部29はまた、位置マップとフロアマップとを紐付けたフロア紐付け情報を格納する。図8は、フロア紐付け情報の一例を示す図である。フロア紐付け情報は、階数、店舗名、店舗に設置された電話機の電話番号、位置情報検知装置IDの各項目を有する。フロア紐付け情報に記載される位置情報検知装置IDは、店舗や設備が占める範囲に対応する区画IDである。
【0036】
マップ記憶部29はさらに、離れ度合い情報を格納する。図9は、図7に基づく離れ度合い情報を示す図である。離れ度合い情報とは、同一フロアにおける各区画の離れ度合いを値で示した情報である。図9に示すように、例えば区画ID「A1」と「A2」の各区画の離れ度合いは「1」、区画ID「A1」と「A5」の各区画の離れ度合いは「4」とする。判定部26は、この離れ度合い情報に基づいて、迷子が発生したか否かの判定を行う。
【0037】
次に、以上のように構成された検出システムの動作を説明する。まず、携帯端末の情報を位置関係判定装置30に登録する動作を説明する。
【0038】
親と子は、施設に入場したらまず迷子センターへ行き、位置関係判定装置30に接続されている登録端末300から携帯端末10a,10bの端末情報の登録処理を行う。ここで登録する情報は、位置関係判定装置30の非接触ICカード13に記憶される端末ID、電話番号である。
【0039】
例えば、登録端末300に表示される指示に従って検出サービスの登録操作を行う。つまり、親の携帯端末10aの端末情報を登録し、続いて親の携帯端末10aと関連付けられる子の携帯端末10bの端末情報を登録する。この登録に当たっては、登録端末300に付属している非接触ICカードリーダに各携帯端末10a,10bの非接触ICカード部をかざすだけでよい。携帯端末10a,10bの非接触ICカード13に登録されている端末ID、電話番号が非接触ICカードリーダとの非接触無線通信により登録端末300に読み取られる。この場合、非接触ICカードに登録されている情報が、もし端末IDのみのような場合には、別途、登録端末300に表示される指示に従って親が登録端末300の入力手段を介して電話番号等を入力すればよい。なお、子の端末情報としては端末IDだけを必要とする。
【0040】
また、必要に応じて住所、氏名や今後の継続使用の要否等を入力させてもよい。今後の継続使用の要否とは、次回以降の入店時にも検出サービスの利用を行うか否かを指定させるもので、「要」を指定した場合には次回以降の入店時には登録操作をすることなく検出サービスを受けられるというものである。
【0041】
また、登録端末300は迷子センターに設置するだけでなく、施設の入り口の傍ら等に適宜サービスブースを設けて設置しておいてもかまわない。
【0042】
このようにして登録された親と子のそれぞれの端末情報は位置関係判定装置30に送信される。位置関係判定装置30に送信された端末情報は、図10に示すように親情報(端末ID、電話番号)と関連付けて子情報(端末ID)が端末情報記憶部28に蓄積される。なお、図10の装置IDと更新時間については後述する。
【0043】
以上に説明した登録動作が完了して親と子のそれぞれの携帯端末10a,10bの近距離無線通信部14が起動されると、それぞれの携帯端末10a,10bは、端末IDを近距離無線通信の信号にのせて定期的に送信する動作を開始する。なお、近距離無線通信部14の起動は、非接触ICカードを非接触ICカードリーダにかざして非接触無線通信を行った際に、携帯端末のアプリケーションプログラムを起動して近距離無線通信部14をアクティブ状態に設定してもよい。また、そのようなアプリケーションプログラムが内蔵されていない場合には、親がそれぞれの携帯端末10a,10bの近距離無線通信部14をマニュアル操作で起動してもよい。
【0044】
そして、親と子は、近距離無線通信の信号で端末IDを定期的に送信している携帯端末10a,10bをそれぞれ保持して施設内を歩き始める。
【0045】
次に、位置情報検知装置20による位置情報の検知動作を説明する。
【0046】
施設内の所定位置に設置された位置情報検知装置20は、所定範囲内に携帯端末10a,10bが近づくと、近距離無線通信の信号を受信して端末IDを取得する。近距離無線通信部31は、取得した端末IDを制御部32に通知する。制御部32は、装置ID記憶部34から当該位置情報検知装置20の装置IDを読み出して、受け取った端末IDと共に位置関係判定装置インタフェース部33を介して位置関係判定装置30に送信する。位置情報検知装置20は、端末IDを受信するたびに、当該端末IDと装置IDとを位置関係判定装置インタフェース部33を介して位置関係判定装置30に送信する。
【0047】
このようにして施設内に設置した各位置情報検知装置20は、携帯端末10a,10bから送信される近距離無線通信の信号を受信するたびに、受信した端末IDと自位置情報検知装置20の位置を示す装置IDとを位置関係判定装置30に送信している。
【0048】
続いて、施設内に設置した各位置情報検知装置20から端末IDと装置IDとを受信した位置関係判定装置30の動作を図11を参照して説明する。図11は、位置関係判定装置30の動作を示すフローチャートである。
【0049】
位置関係判定装置30は、位置情報検知装置インタフェース部22を介して位置情報検知装置20から端末IDと装置IDを受信すると、制御部22に通知する(ステップST101)。制御部24は、受信した端末IDと装置IDとを端末情報登録部25に通知して、端末情報記憶部28に登録させる。端末情報登録部25は、端末情報記憶部28の対応する端末IDの装置IDを受信した装置IDで登録または更新する。このとき、現在時間を更新時間として登録または更新する(ステップST102)。続いて制御部24は、受信した端末IDを判定部26に通知して、迷子判定処理を行う指示を出す。判定部26は、受け取った端末IDに基づいて迷子判定処理を行う(ステップST103)。
【0050】
判定部26による迷子判定処理について説明する。図12は、判定部26の迷子判定の動作を示すフローチャートである。
【0051】
判定部26は、受信した端末IDに対応して記憶された装置IDと更新時間とを端末情報記憶部28から読み出す(ステップST1031)。続いて、受信した端末IDと対応して記憶された端末IDに対応する装置IDと更新時間とを端末情報記憶部28から読み出す(ステップST1032)。そして判定部26は、子情報として記憶されている端末IDに対応する更新時間と現在の時間とを比較する(ステップST1033)。
【0052】
比較の結果、所定時間が経過している場合は(ステップST1034)、所定時間以上子の携帯端末10bから端末IDが送信されてこない、すなわち子が施設内から出た等、正常でない行動をしたと予想されるため、判定部26は迷子が発生したと判定する(ステップST1040)。一方、所定時間が経過していない場合は、判定部26は子情報として記憶されている端末IDと親情報として記憶されている端末IDにそれぞれ対応する各装置IDを比較して、各装置IDに対応する各位置情報検知装置20間の距離を判定する。まず、各装置IDに含まれる階数が異なるか否かを判断する(ステップST1036)。装置IDは、図7に例示したように、階数を示す数字と区画IDとを含む。例えば、子情報の端末IDに対応する装置IDが「5−A5」で、親情報の端末IDに対応する装置IDが「4−B3」である場合、子の端末IDを送信してきた位置情報検知装置20は5階に、親の端末IDを送信してきた位置情報検知装置20は4階に設置されると分かる。したがって、親と子がいるフロアが異なると判断できるので、判定部26は迷子が発生したと判定する(ステップST1040)。
【0053】
一方、装置IDに含まれる階数が同一である場合、判定部26はさらに装置IDに含まれる区画IDに基づいて、位置情報検知装置20同士の離れ度合いをマップ記憶部29に格納された離れ度合い情報から読み出す(ステップST1037)。例えば、子情報の端末IDに対応する装置IDが「5−A1」、親情報の端末IDに対応する装置IDが「5−A5」であるとすると、マップ記憶部29に格納された離れ度合い情報に基づき、離れ度合いは「4」であると分かる。
【0054】
離れ度合いが所定値より大きい場合、判定部26は迷子が発生したと判定する(ステップST1040)。所定値より小さい場合は、判定部26は迷子でないと判定する(ステップST1039)。例えば、離れ度合いが「4」以上であった場合、判定部26は迷子が発生したと判定してもよい。
【0055】
判定部26は、上記手順により迷子が発生したか否かを判定し、判定結果を制御部24に返す。判定結果には、迷子である旨の情報と、親端末、子端末のそれぞれの端末IDと対応する装置IDを含む。
【0056】
再度図11に戻って説明する。上述のように迷子判定処理が実行された結果、迷子でない場合(ステップST104)、制御部24はステップST101に戻る。迷子である場合、制御部24は通知情報作成部27に通知情報の作成指示を出し、作成された通知情報を通信接続装置40に送信する(ステップST105)。
【0057】
図13は、通知情報作成部27による通知情報の作成動作を示すフローチャートである。図13を参照して通知情報作成部27による通知情報の作成動作を説明する。
【0058】
通知情報作成部27は、制御部24から通知情報の作成指示と共に、親情報の端末ID、子情報の端末ID、およびそれぞれに対応する装置IDを受信する(ステップST1051)。通知情報作成部27は、上記指示を受信すると、まず、制御部24から受け取った子情報の端末IDに対応する装置IDに基づいて、子の携帯端末10bが位置している場所を特定する。すなわち、図8に示したマップ記憶部29に格納されるフロア紐付け情報に基づいて、子情報の端末IDに対応する装置IDの設置場所を特定する(ステップST1052)。そして、その場所の近傍にある店舗の店舗名と店舗内電話機50の電話番号を読み出す(ステップST1053)。例えば、装置IDが「5−B1」であれば、子の居場所は「●●靴店」の近傍であり、その店舗内電話機50の電話番号は「03-1111-1111」と特定できる。
【0059】
また通知情報作成部27は、親情報の端末IDに対応する親の携帯端末10aの電話番号を端末情報記憶部28から読み出す(ステップST1054)。通知情報作成部27は、読み出した店舗内電話機50の電話番号と、親の携帯端末10aの電話番号とを通知情報として制御部24に返す(ステップST1055)。制御部24は、通信接続装置インタフェース21を介して、通知情報を通信接続装置40に送信する。
【0060】
通信接続装置40は通知情報を受け取ると、通信接続動作を行う。図14は、通信接続装置40による通信接続動作を示すフローチャートである。図5と図14とを参照して通信接続装置40の通信接続動作について説明する。
【0061】
通信接続装置40は、位置関係判定装置30から位置関係判定装置インタフェース部41において通知情報を受信し(ステップST201)、制御部42に通知する。制御部42は、通知情報を回線制御部43に通知する。回線制御部43はまず、公衆通信網インタフェース部44aから、店舗内電話機50の電話番号に電話呼を発信する(ステップST202)。続いて回線制御部43は、公衆通信網インタフェース部44bから親の携帯端末10aの電話番号に電話呼を発信する(ステップST203)。回線制御部43は、予め迷子通知専用として決められた電話番号を利用して発信してもよい。両者のうちいずれかのみ応答があった場合は(ステップST204)、回線制御部43は応答があった相手に応答メッセージを送出する(ステップST205)。例えば、「迷子通知の連絡です。しばらくお待ちください。」等のメッセージを流してもよい。
【0062】
両者の応答があると、回線制御部43は、公衆通信網インタフェース部44aと44bとを介して親の携帯端末10aと店舗内電話機50とを接続する(ステップST206)。これにより、親は、子が位置する店舗の従業員等と通話することができる。したがって、親は従業員等に子供の確保を依頼することができる。
【0063】
以上のように、この実施例1によれば、位置情報検知装置20は、親情報の端末IDまたは子情報の端末IDを受信すると、自身の設置場所に対応した装置IDと共に位置関係判定装置30に送信し、位置関係判定装置30は、親情報の端末IDと子情報の端末IDに対応する各装置IDに基づいて、通知が必要か否かを判定し、必要であれば親の携帯端末10aと子が位置する近くの店舗の店舗内電話機40とに電話呼を発信し、両者を接続するようにしたので、迷子の位置情報を正確に検出し、かつその近傍にいる第三者に迷子の確保を依頼することができるという効果がある。
【0064】
また、ユーザ自身の携帯端末10a,10bの端末情報を利用するので、位置関係判定装置30への端末情報の登録作業を、初回入店時のみ行えばよく、次回以降の入店時に再度登録する必要はないという効果がある。
【0065】
以上の説明は、図12の迷子判定処理において子端末が同じ施設内のどこか別の場所に存在する迷子の場合を想定して説明した。しかし、図12のステップST1034の子端末の更新時間異常に伴う迷子判定の場合に別の対応を行うようにすることもできる。つまり、図12のステップST1034で判定した迷子を迷子クラスA、ステップST1036およびST1038で判定した迷子を迷子クラスB、というようにクラス分けした情報を迷子判定処理で生成するようにすればよい。判定した迷子クラスに応じた制御を行うことにより、迷子クラスBの場合は上述した制御を行い、迷子クラスAの場合はより緊急度の高い制御を行うことができる。例えば、親端末と店舗の電話とを接続する代わりに親端末と迷子センターの電話に接続すると共に迷子クラスAの警報を発して迷子担当スタッフの関与を求めるようにしてもよい。
実施例2.
上記実施例1に係る検知システム100では、通信接続装置40が、親の携帯端末10aと子が位置している近くの店舗の店舗内電話機50とに電話呼を発信し、両者を接続していたが、実施例2に係る検知システム100では、通信接続装置40が親の携帯端末10aと子の携帯端末10bとに電話呼を発信し、両者を接続することについて説明する。
【0066】
検出システム100の各構成は、上記実施例1と同様である。ただし、位置関係判定装置30の通知情報作成部27および通信接続装置40の動作が異なる。また、実施例2では、図10に示した携帯情報に、子の携帯端末10bの電話番号も登録することとする。
【0067】
図15は、実施例2に係る検知システム100の位置関係判定装置30の通知情報作成部27の動作を示すフローチャートである。この図を参照して、通知情報作成部27の動作を説明する。
【0068】
通知情報作成部27は、制御部24から親情報の端末ID、子情報の端末ID、およびそれぞれに対応する装置IDを受信する(ステップST2051)と、子情報の端末IDに対応する電話番号を端末情報記憶部28から読み出す(ステップST2052)。続いて通知情報作成部27は、親情報の端末IDに対応する電話番号を端末情報記憶部28から読み出す(ステップST2053)。そして、通知情報作成部27は子の携帯端末10bの電話番号と、親の携帯端末10aの電話番号とを通知情報として、制御部24に返す(ステップST2054)。制御部24は、通信接続装置インタフェース21を介して、通知情報を通信接続装置40に送信する。
【0069】
通信接続装置40は、位置関係判定装置30から位置関係判定装置インタフェース部41において通知情報を受信し(ステップST201)、制御部42に通知する。制御部42は、通知情報を回線制御部43に通知する。回線制御部43はまず、公衆通信網インタフェース部44aから、親の携帯端末10aの電話番号に電話呼を発信する(ステップST302)。続いて回線制御部43は、公衆通信網インタフェース部44bから子の携帯端末10aの電話番号に電話呼を発信する(ステップST303)。回線制御部43は、予め迷子通知専用として決められた電話番号を利用して発信してもよい。両者のうちいずれかのみ応答があった場合は(ステップST304)、回線制御部43は応答があった相手にメッセージを送出する(ステップST305)。例えば、「迷子通知の連絡です。しばらくお待ちください。」等のメッセージを流してもよい。
【0070】
両者の応答があると、回線制御部43は、公衆通信網インタフェース部44aと44bとを介して親の携帯端末10aと子の携帯端末10bとを接続する(ステップST306)。これにより、親は子と通話することができ、子の居場所を聞き出す等により、子の居場所に向かい安全を確保することができる。
【0071】
以上のように、この実施例2によれば、位置関係判定装置30の通知情報作成部27が親の携帯端末10aと子の携帯端末10bのそれぞれの電話番号を端末情報記憶部28から読み出し、通信接続装置40が両電話番号に電話呼を発信して両者を接続するようにしたので、子が従業員等のいないトイレ、エスカレータ等にいる場合でも、親が子と連絡を取れるという効果がある。実施例2は、実施例1の場合と異なり、子が意思の疎通が可能な年齢の子供である場合に好適な実施例である。
【0072】
なお、ユーザは上記実施例1で説明した通知条件と実施例2で説明した通知条件とを選択できるようにしてもよい。すなわち、登録端末300から携帯端末10a,10bの端末情報を位置関係判定装置30に登録する登録処理の際に、迷子判定がなされた場合に親の携帯端末10aと子が位置する近くの店舗の店舗内電話機40とを接続するか、親の携帯端末10aと子の携帯端末10bとを接続するかを、予め登録しておいてもよい。位置関係判定装置30は、この登録された通知条件を上記通知情報と共に通信接続装置40に送信し、通信接続装置40は、受信した通知条件に従って、親の携帯端末10aと店舗内電話機40とを電話接続するか、または親の携帯端末10aと子の携帯端末10bとを電話接続してもよい。
実施例3.
この実施例3では、親が自主的に子を探すことができるサービスを提供する検出システム100について説明する。
【0073】
図17は、実施例3に係る検出システム200の構成図である。図17に示すように、実施例3に係る検出システム200では、位置関係判定装置30は公衆通信網60(インターネットを含む)と接続される。位置関係判定装置30は、インターネットと接続可能な図示しない公衆通信網インタフェースを備える。また図18は、実施例3に係る検出システム200が提供するサービスを利用した親による迷子探索処理を示すフローチャートである。図18を参照して、親による迷子探索処理について説明する。
【0074】
親は、自身の携帯端末10aから位置関係判定装置30に接続する(ステップST401)。例えば、親は携帯端末10aから位置関係判定装置30のURL(Uniform Resource Locator)にアクセスする。親は位置関係判定装置30のURLを、入場時に行う端末情報の登録処理において位置関係判定装置30または登録端末300から取得しておいてもよい。
【0075】
親が携帯端末10aから公衆通信網60を介して位置関係判定装置30にアクセスすると、位置関係判定装置30は公衆通信網インタフェースを介してアクセスを受信し、制御部24にその旨を通知する。制御部24は、上記アクセスに応答して検出サービス入力画面を携帯端末10aに返す。検出サービス入力画面とは、当該検出サービスを開始するための入力画面であり、携帯端末10aの電話番号の入力を受け付ける。親は携帯端末10aを操作して検出サービス入力画面に携帯端末10aの電話番号を入力し、位置関係判定装置30に返す(ステップST402)。
【0076】
位置関係判定装置30は、検出サービス入力画面に入力された親の携帯端末10aの電話番号を取得すると、その電話番号を制御部26に通知する。制御部26は、受け取った電話番号に基づく迷子特定処理を行う指示を通知情報作成部27に通知する。通知情報作成部27は、受け取った電話番号に基づく迷子特定処理を行う(ステップST403)。すなわち、通知情報作成部27は受け取った電話番号に対応する端末ID、装置ID、更新時間、および子情報の端末ID、装置ID、更新時間を端末情報記憶部28から読み出す。そして、子情報の装置IDとマップ記憶部29に格納されるフロア紐付け情報とに基づいて、子の携帯端末10bが位置している場所を特定すると共に、フロア情報、特定した場所の近傍にある店舗名および店舗内電話機50の電話番号を読み出す。通知情報作成部27は、読み出したフロア情報、店舗名および店舗内電話機50の電話番号を通知情報として制御部24に返す。
【0077】
制御部24は、受け取ったフロア情報、店舗名および店舗内電話機50の電話番号とを表示した迷子位置表示画面を公衆通信網インタフェースを介して携帯端末10aに返す(ステップST404)。この迷子位置表示画面で、子が存在する近傍の店舗スタッフとの通話希望の有無の入力を受け付けるようにしてもよい。親は、フロア情報、店舗名および店舗内電話機50の電話番号が表示された迷子位置表示画面を取得し、子の居場所を把握することができる。そして、店舗スタッフとの通話を希望する場合は、通話希望有りを入力して位置関係判定装置30に返す(ステップST405)。
【0078】
位置関係判定装置30は、上記通話希望を受信すると、制御部24は親の携帯端末10aの電話番号と店舗内電話機50の電話番号とを通信接続装置インタフェース21を介して通信接続装置40に送信する。通信接続装置40は両電話番号を受け取ると、通信接続処理を行う(ステップST405)。通信接続処理は、実施例1の図14に示した処理と同様であるため説明を省略する。
【0079】
以上のように、本実施例3によれば、親が携帯端末10aから位置関係判定装置30のURLにアクセスして携帯端末10aの電話番号を入力すると、位置関係判定装置30の通知情報作成部27が子の携帯端末10bの位置する場所を特定し、通信接続装置40が子が位置する店舗の店舗内電話機50と親の携帯端末10aとを接続するようにしたので、親が自主的に子供を探すことができる効果がある。
【0080】
また、このようなサービスは、親が迷子を探すときのみでなく、人が待ち合わせの相手を探すときなどにも応用できる。
実施例4.
この実施例4では、位置関係判定装置30が、迷子が発生したと判定した場合に、親の携帯端末10aに電子メールを送信することについて説明する。
【0081】
図19は、実施例4に係る位置関係判定装置30のマップ記憶部29に格納されるフロア紐付け情報である。また、図20は、実施例4に係る位置関係判定装置30の端末情報記憶部28に格納される端末情報である。実施例4に係る検知システム100の構成は、図17に示した構成のうち通信接続装置40がないものである。また、図19に示したフロア紐付け情報、図20に示した端末情報、および通知情報作成部27の動作が実施例1と異なるが、その他の構成及び動作は同様である。ここでは通知情報作成部27の動作について説明し、その他の動作について説明は省略する。
【0082】
図19に示すように、実施例4のフロア紐付け情報は、場所情報公開サイトの項目を含む。場所情報公開サイトとは、対応する店舗やトイレなどの施設がフロア内のどこに位置するかを図示するサイトである。また、図20に示すように、実施例4の端末情報は、親情報として親の携帯端末10aの電子メールアドレスを含む。親は、入場時の端末情報の登録処理において、携帯端末10aの端末ID、電話番号だけでなく電子メールアドレスも登録端末300から登録しておく。
【0083】
次に、通知情報作成部27の動作について説明する。
【0084】
実施例1の図13で説明したように、通知情報作成部27は、制御部24からの通知情報の作成指示に基づいて子の携帯端末10bが位置している場所を特定する。続いて、その場所の近傍にある店舗の店舗名、店舗内電話機50の電話番号および場所情報公開サイトを読み出す。続いて通知情報作成部27は、親情報の端末IDに対応する親の携帯端末10aの電話番号と電子メールアドレスを端末情報記憶部28から読み出す。そして、通知情報作成部27は、親の携帯端末10aの電子メールアドレスを宛先とし、読み出した店舗名、店舗内電話機50の電話番号および場所情報公開サイトを記載した電子メールを作成して通知情報として制御部24に返す。制御部24は、インターネットと接続可能な公衆通信網インタフェースを介して、電子メールを送信する。
【0085】
親は検出システム100から上記電子メールを受信すると、子が迷子になったことを認識し、電子メールに記載された場所情報公開サイトに接続する。このサイトを閲覧することで、親は子供の居場所を把握することができ、そこに向かい子の安全を確保することができる。また、電子メールに記載された店舗内電話機50の電話番号に電話することにより、店舗の従業員等と通話でき、子の確保を依頼することができる。
【0086】
以上のように、実施例4によれば、位置関係判定装置30の通知情報作成部27は、マップ記憶部29のフロア紐付け情報から場所情報公開サイトと、携帯情報から親の携帯端末10aの電子メールアドレスとをそれぞれ読み出して、場所情報公開サイトを記載した電子メールを作成し、親の携帯端末10aに宛てて送信するようにしたので、電子メールを受信した親は、場所情報公開サイトに接続することにより子供の居場所を把握することができ、そこに向かい子の安全を確保できるという効果が得られる。
【0087】
上記実施例4の場合、親の携帯端末に対応する子の携帯端末を2台以上としてもよい。この場合、端末情報記憶部28には親の端末情報に、グループ化したい携帯端末の台数分の端末情報を対応させて登録する。位置関係判定装置30は、親の携帯端末と対応する各子の携帯端末の相互の位置関係を特定し、通知が必要であると判定した子がいる場合はその子の位置の場所情報を記載した電子メールを親に送信する。
【0088】
上記各実施例において、検出システムは、百貨店に設置されることを示したがこれに限定されず、テーマパーク、コンサート会場等の迷子が発生する可能性のある施設に設置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施例1に係る検出システムの構成図である。
【図2】図1の位置関係判定装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例1に係る携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施例1に係る位置情報検知装置の構成を示すブロック図である
【図5】本発明の実施例1に係る通信接続装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施例1に係るフロアマップの一例を示す図である。
【図7】本発明の実施例1に係る位置マップの一例を示す図である。
【図8】本発明の実施例1に係るフロア紐付け情報の一例を示す図である。
【図9】本発明の実施例1に係る離れ度合い情報の一例を示す図である。
【図10】本発明の実施例1に係る端末情報記憶部に登録される端末情報の一例を示す図である。
【図11】本発明の実施例1に係る位置関係判定装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施例1に係る判定部の迷子判定の動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施例1に係る通知情報作成部による通知情報の作成動作を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施例1に係る通信接続装置による通信接続動作を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施例2に係る検知システムの位置関係判定装置の通知情報作成部の動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施例2に係る通信接続装置による通信接続動作を示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施例3に係る検出システムの構成図である。
【図18】本発明の実施例3に係る検出システムが提供するサービスを利用した親による迷子探索処理を示すフローチャートである。
【図19】本発明の実施例4に係る位置関係判定装置のマップ記憶部に格納されるフロア紐付け情報である。
【図20】本発明の実施例4に係る位置関係判定装置の端末情報記憶部に格納される端末情報である。
【符号の説明】
【0090】
10a,10b 携帯端末
11 制御部
12 移動通信部
13 非接触ICカード
14 近距離無線通信部
20 位置情報検知装置
21 通信接続装置インタフェース部
22 位置情報検知装置インタフェース部
23 登録インタフェース部
24 制御部
25 端末情報登録部
26 判定部
27 通知情報作成部
28 端末情報記録部
29 マップ記憶部
30 位置関係判定装置
31 近距離無線通信部
32 制御部
33 位置関係判定装置インタフェース部
34 装置ID記憶部
40 通信接続装置
41 位置関係判定装置インタフェース部
42 制御部
43 回線制御部
44a,44b 公衆通信網インタフェース部
50 店舗内電話機
60 公衆通信網もしくは構内通信網
100 検出システム
300 登録端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末を特定する端末識別情報を受信して、自身の位置情報を特定する装置識別情報と共に送信する位置情報検知手段と接続された検出装置において、
2つの携帯端末のそれぞれを親端末と子端末として前記端末識別情報と関連付けて前記装置識別情報を記憶し、前記装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末の電話番号を記憶し、前記位置情報検知手段から前記端末識別情報および前記装置識別情報を受信すると、前記親端末と子端末のそれぞれが対応して記憶している前記装置識別情報から相互の位置関係を識別して通知の必要の有無を判定し、通知の必要がある場合には、予め記憶している前記親端末の電話番号と前記子端末と対応して記憶されている前記装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末の電話番号を識別し、前記親端末と前記電話機端末とを電話接続することを特徴とする検出装置。
【請求項2】
前記位置情報相互の離れ度合いを示す離れ度合い情報をさらに記憶し、前記離れ度合い情報に基づいて前記親端末と子端末のそれぞれの位置関係が通知の必要があるか否かを判定することを特徴とする請求項1記載の検出装置。
【請求項3】
前記親端末と子端末のそれぞれの電話番号を予め記憶し、前記親端末と子端末のそれぞれの位置関係が通知の必要があると判定したとき、予め設定した条件に従って、前記親端末と、前記子端末と対応して記憶されている前記装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末とを電話接続するか、または前記親端末と前記子端末とを電話接続することを特徴とする請求項2記載の検出装置。
【請求項4】
前記端末識別情報および前記装置識別情報を前記位置情報検知手段から受信した時間情報と共に更新記憶し、前記子端末に対応する時間情報が予め定めた時間を超えて更新されない場合には、予め定めた電話機端末と前記親端末とを電話接続することを特徴とする請求項1記載の検出装置。
【請求項5】
前記親端末と子端末のそれぞれの電話番号を予め記憶し、前記子端末に対応する時間情報が予め定めた時間を超えて更新されない場合には、予め設定した条件に従って、予め定めた電話機端末と前記親端末とを電話接続するか、または前記親端末と前記子端末とを電話接続することを特徴とする請求項4記載の検出装置。
【請求項6】
前記親端末が当該親端末の電話番号を特定してインターネットを介して送信した検出問い合わせを受信すると、前記電話番号で特定される親端末と対応する子端末と対応して記憶されている前記装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末の電話番号を識別し、前記装置識別情報が特定する位置と当該位置に設置された電話機端末の電話番号を前記親端末に通知し、前記親端末が通話を希望する場合には前記親端末と前記装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末とを接続することを特徴とする請求項1記載の検出装置。
【請求項7】
2つの携帯端末のそれぞれを親端末と子端末として前記端末識別情報に基づいて前記装置識別情報を関連付けて記憶し、前記装置識別情報と対応する位置情報および当該位置に設置された電話機端末の電話番号を記憶する記憶部と、
前記位置情報検知手段から前記端末識別情報および前記装置識別情報を受信すると、当該端末識別情報と対応させて当該装置識別情報を前記記憶部に記憶し、前記親端末と子端末のそれぞれが対応して記憶している前記装置識別情報から、前記記憶部に記憶している前記位置情報に基づいて相互の位置関係を識別し、相互の位置関係から通知の必要の有無を判定する判定部と、
通知の必要がある場合には、前記子端末と対応して記憶されている前記装置識別情報から前記記憶部に記憶している前記電話番号を識別し、前記親端末の電話番号と前記電話番号に基づいて前記子端末の存在する位置に設置された前記電話機端末と親端末とを電話接続する通信接続制御部と
を有することを特徴とする請求項1記載の検出装置。
【請求項8】
前記記憶部は前記位置情報相互の離れ度合いを示す離れ度合い情報をさらに記憶し、前記判定部は前記離れ度合い情報に基づいて前記親端末と子端末のそれぞれの位置関係が通知の必要があるか否かを判定することを特徴とする請求項7記載の検出装置。
【請求項9】
前記記憶部は、前記親端末と子端末のそれぞれの電話番号を予め記憶し、さらに前記通知の際の通知条件を予め選択記憶し、前記通信接続制御部は、通知の必要があると判定された場合に、予め選択記憶した前記通知条件に従って、前記親端末と、前記子端末と対応して記憶されている前記装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末とを電話接続するか、または前記親端末と前記子端末とを電話接続することを特徴とする請求項8記載の検出装置。
【請求項10】
前記記憶部は、前記端末識別情報および前記装置識別情報を前記位置情報検知手段から受信した時間情報と共に更新記憶し、前記判定部は、前記子端末に対応する時間情報が予め定めた時間を超えて更新されない場合に通知の必要ありと判定し、前記通信接続制御部は、通知の必要ありと判定された場合には、予め定めた電話機端末と前記親端末とを電話接続することを特徴とする請求項7記載の検出装置。
【請求項11】
前記記憶部は、前記親端末と子端末のそれぞれの電話番号を予め記憶し、さらに前記通知の際の通知条件を予め選択記憶し、前記判定部が前記子端末に対応する時間情報が予め定めた時間を超えて更新されないと判定した場合には、前記通信接続制御部は、予め選択記憶した前記通知条件に従って、予め定めた電話機端末と前記親端末とを電話接続するか、または前記親端末と前記子端末とを電話接続することを特徴とする請求項10記載の検出装置。
【請求項12】
前記親端末が当該親端末の電話番号を特定してインターネットを介して送信した検出問い合わせを受信する通信手段をさらに備え、
前記通信接続制御部は、受信した前記電話番号で特定される親端末と対応する子端末と対応して記憶されている前記装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末の電話番号を識別し、前記装置識別情報が特定する位置と当該位置に設置された電話機端末の電話番号を前記通信手段を介して前記親端末に通知し、前記親端末が通話を希望する場合には前記親端末と前記装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末とを接続することを特徴とする請求項7記載の検出装置。
【請求項13】
携帯端末を特定する端末識別情報を受信して、自身の位置情報を特定する装置識別情報と共に送信する位置情報検知手段を用いた検出方法において、
前記装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末の電話番号を予め記憶する記憶ステップと、
2つの携帯端末のそれぞれを親端末と子端末として前記端末識別情報と関連付けて前記装置識別情報を記憶する位置登録ステップと、
前記親端末と子端末のそれぞれが対応して記憶している前記装置識別情報から相互の位置関係を識別して通知の必要の有無を判定する判定ステップと、
通知の必要がある場合には、予め記憶している前記親端末の電話番号と前記子端末と対応して記憶されている前記装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末の電話番号を識別して、前記親端末と前記電話機端末とを電話接続する通話接続ステップを備えた検出方法。
【請求項14】
前記記憶ステップは、前記位置情報相互の離れ度合いを示す離れ度合い情報を予め記憶するステップを含み、前記判定ステップは、前記離れ度合い情報に基づいて前記親端末と子端末のそれぞれの位置関係が通知の必要があるか否かを判定することを特徴とする請求項13記載の検出方法。
【請求項15】
前記記憶ステップは、前記親端末と子端末のそれぞれの電話番号を予め記憶するステップと、前記通知の際の通知条件を予め選択記憶するステップをさらに含み、前記通話接続ステップは、通知の必要があると判定された場合に、予め選択記憶した前記通知条件に従って、前記親端末と、前記子端末と対応して記憶されている前記装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末とを電話接続するか、または前記親端末と前記子端末とを電話接続するステップを含むことを特徴とする請求項14記載の検出方法。
【請求項16】
前記位置登録ステップは、前記端末識別情報と対応して前記装置識別情報を受信した時間情報を更新記憶するステップを含み、
前記判定ステップは、前記子端末に対応する時間情報が予め定めた時間を超えて更新されない場合には通知の必要があると判定するステップを含み、
前記通話接続ステップは、通知の必要がある場合には予め定めた電話機端末と前記親端末とを電話接続するステップをさらに含む
ことを特徴とする請求項13記載の検出方法。
【請求項17】
前記記憶ステップは、前記親端末と子端末のそれぞれの電話番号を予め記憶するステップと、前記通知の際の通知条件を予め選択記憶するステップをさらに含み、前記通話接続ステップは、前記判定ステップが通知の必要があると判定した場合に、予め選択記憶した前記通知条件に従って、前記親端末と、予め定めた電話機端末とを電話接続するか、または前記親端末と前記子端末とを電話接続するステップを含むことを特徴とする請求項16記載の検出方法。
【請求項18】
前記通話接続ステップは、
前記親端末が当該親端末の電話番号を特定してインターネットを介して送信した検出問い合わせを受信すると、前記電話番号で特定される親端末と対応する子端末と対応して記憶されている前記装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末の電話番号を識別し、前記装置識別情報が特定する位置と当該位置に設置された電話機端末の電話番号を前記インターネットを介して前記親端末に通知する問合せ応答ステップと、
前記問合せ応答ステップの前記通知に基づいて前記インターネットを介して前記親端末から通話を希望する要求を受信すると、前記親端末と前記装置識別情報が特定する位置に設置された電話機端末とを接続する電話接続ステップを含む
ことを特徴とする請求項13記載の検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−3852(P2009−3852A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166247(P2007−166247)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】