説明

検出装置および検出方法

【課題】空気中に浮遊する生物由来の粒子を高精度でリアルタイムに検出することができる、小型化が可能な検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置1Aは、検出対象の微生物よりも大きい粒子を分離するための分離器700と、エア管500で接続された、空気中の生物由来の粒子を検出するための検出器100とを含む。分離器700からエア管500を経て検出器100までの流路上にファン400が配備され、ファン400が回転することで、分離器700に外部空気が導入され、大きい粒子が分離された空気がエア管500を経て検出器100に運ばれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は検出装置および検出方法に関し、特に、空気中に浮遊する生物由来の粒子を検出する検出装置および検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中に浮遊する生物由来の粒子を検出するための検出装置として、たとえば、特開2002−357532号公報(以下、特許文献1)は、試料ガス中の浮遊粒子状物質をろ紙上に捕集し、該ろ紙に照射したβ線の透過量に基づいて浮遊粒子状物質量を検知し、紫外線を照射して発生する蛍光強度に基づいて花粉量を検知する測定装置を開示している。
【0003】
また、特開2005−189240号公報(以下、特許文献2)もまた、ろ紙上に空気中の浮遊粒子状物質を捕集して抽出する測定装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−357532号公報
【特許文献2】特開2005−189240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これら文献1、2で開示されているような従来の測定装置は、試料中の粒子状物質を分離するユニットと、試料を吸引するユニットと、捕集するユニットとを含み、吸引するユニットはフローコントローラとポンプとを含んでいる。そのため、装置が大型化するという問題があった。
【0006】
本発明はそのような問題に鑑みてなされたものであって、装置の小型化を図りつつ空気中に浮遊する生物由来の粒子を高精度でリアルタイムに検出することができる検出装置および該検出装置における検出方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、検出装置は導入された空気中の生物由来の粒子である第1の粒子を検出するための検出装置であって、導入された空気中の粒子から、第1の粒子よりも粒子径の大きい第2の粒子を分離して除去するための分離器と、分離器とエア管で接続され、分離器で第2の粒子が分離して除去された後の導入された空気から第1の粒子を検出するための検出器と、分離器に所定の流速で当該検出装置外の空気を導入し、分離器からエア管を経て検出器まで空気を導入するための吸気装置とを備える。吸気装置は、検出装置外の空気を分離器へ導入するための導入孔から、分離器の内部、エア管、および検出器の内部を経て、当該検出装置外へ空気を排出するための、検出器の排出孔までの間の経路のいずれかの位置に配備される。
【0008】
好ましくは、吸気装置は、検出器の検出装置外へ空気を排出するための排出孔に接する位置に設けられる。
【0009】
好ましくは、吸気装置は、検出器のエア管に接続される位置に設けられる。
好ましくは、分離器はサイクロンである。
【0010】
好ましくは、検出器は、捕集用部材と、発光素子と、蛍光を受光するための受光素子と、捕集用部材を加熱するためのヒータと、加熱の前後での、発光素子で照射された捕集用部材からの蛍光量の変化量に基づいて、捕集用部材で捕集された生物由来の粒子量を第1の粒子の量として算出するための算出手段とを含む。
【0011】
本発明の他の局面に従うと、検出方法は、導入された空気中の粒子から第1の粒子よりも粒子径の大きい第2の粒子を分離して除去するための分離器と、分離器とエア管で接続された検出器とを含む検出装置を用いて、検出装置に導入された空気中の生物由来の粒子である第1の粒子を検出する方法であって、検出装置には、検出装置外の空気を分離器へ導入するための導入孔から、分離器の内部、エア管、および検出器の内部を経て、当該検出装置外へ空気を排出するための、検出器の排出孔までの間の経路のいずれかの位置に、分離器に所定の流速で当該検出装置外の空気を導入し、分離器からエア管を経て検出器まで空気を導入するための吸気装置が配備される。そして、吸気装置を所定時間稼動することにより、所定時間、所定の流速で検出装置外の空気を分離器の導入孔から検出装置内に導入するステップと、所定時間の経過の後、吸気装置の稼動を停止し、検出器における検出動作を実行するステップとを備え、検出動作を実行するステップは、検出器に含まれる捕集用部材の、加熱前における発光素子の照射下での蛍光量を測定するステップと、捕集用部材の、加熱後における発光素子の照射下での蛍光量を測定するステップと、加熱前の捕集用部材から測定された蛍光量から、加熱後の捕集用部材から測定された蛍光量への変化量に基づいて、捕集用部材で捕集された生物由来の粒子量を第1の粒子の量として算出するステップとを含む。
【発明の効果】
【0012】
この発明によると、検出装置の小型化を図りつつ、空気中に浮遊する生物由来の粒子を高精度でリアルタイムに検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施の形態にかかる検出装置の構成の具体例を示す図である。
【図2】検出装置に含まれる検出器の構成の具体例を示す図である。
【図3】検出器の捕集治具およびヒータ周辺の構成を示す図である。
【図4】捕集ユニットの動作を説明する図である。
【図5】検出器の構成の他の具体例を示す図である。
【図6】生物由来の粒子としての大腸菌を200℃にて5分間加熱処理したときの、加熱処理前および加熱処理後の蛍光スペクトルの測定結果を示す図である。
【図7】大腸菌を200℃にて5分間加熱処理したときの、加熱処理前および加熱処理後の蛍光顕微鏡写真である。
【図8】生物由来の粒子としてのバチルス菌を200℃にて5分間加熱処理したときの、加熱処理前および加熱処理後の蛍光スペクトルの測定結果を示す図である。
【図9】バチルス菌を200℃にて5分間加熱処理したときの、加熱処理前および加熱処理後の蛍光顕微鏡写真である。
【図10】生物由来の粒子としてのアオカビ菌を200℃にて5分間加熱処理したときの、加熱処理前および加熱処理後の蛍光スペクトルの測定結果を示す図である。
【図11】アオカビ菌を200℃にて5分間加熱処理したときの、加熱処理前および加熱処理後の蛍光顕微鏡写真である。
【図12】生物由来の粒子としてのスギ花粉を200℃にて5分間加熱処理したときの、加熱処理前および加熱処理後の蛍光顕微鏡写真である。
【図13】蛍光を発する埃を200℃にて5分間加熱処理したときの、加熱処理前および加熱処理後の蛍光スペクトルの測定結果を示す図である。
【図14】蛍光を発する埃を200℃にて5分間加熱処理したときの、加熱処理前および加熱処理後の蛍光顕微鏡写真である。
【図15】蛍光を発する埃を200℃にて5分間加熱処理したときの、加熱処理前および加熱処理後の蛍光スペクトルの比較結果を示す図である。
【図16】サイクロンを採用した分離器の構成の概略図である。
【図17】サイクロンの形状を第1の形状と第2の形状とにしたときの、分離粒子径と流量との関係を示す図である。
【図18】発明者による第1の実験の結果を示す図である。
【図19】発明者による第1の実験の結果を示す図である。
【図20】発明者による第1の実験の結果を示す図である。
【図21】発明者による第1の実験の結果を示す図である。
【図22】発明者による第2の実験の結果を示す図である。
【図23】制御部の検出制御部の構成の具体例を示す図である。
【図24】検出器での検出動作の流れを示すフローチャートである。
【図25】加熱処理前後での蛍光強度の増大量と生物由来の粒子の濃度との対応関係を示す図である。
【図26】検出制御部での制御の流れの他の具体例を示すタイムチャートである。
【図27】第2の実施の形態にかかる検出装置の構成の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0015】
<検出装置での検出の概要>
検出装置を用い、該検出装置に導入された空気に浮遊している生物由来の粒子からアレルギーの原因となり得る物質(以下、アレルゲン)とを分離し、アレルゲンが除去された空気中での微生物の量を検出する。微生物の直径はおおよそ3[μm]が想定される。アレルゲンとしては、ダニの死骸やふん、花粉などが該当し、その直径はおおよそ25[μm]が想定される。
【0016】
[第1の実施の形態]
<装置の全体構成>
図1は、上記検出を行なうための、第1の実施の形態にかかる検出装置1Aの構成の具体例を示す図である。
【0017】
図1を参照して、検出装置1Aは、導入された空気中の生物由来の粒子を検出し、その量を測定するための検出器100と、検出器100とエア管500で接続された、導入された空気中の粒子からそのサイズに応じてアレルゲンを分離して除去するための分離器700と、検出装置1Aに外部空気を導入するための吸気装置としてのファン400と、これらを制御するための制御部200とを含む。
【0018】
検出器100は、空気を導入するための導入孔10と内部空気を排出するための排出孔11とを有する。また、分離器700も、外部空気を導入するための導入孔70と内部空気を排出するための排出孔71とを有する。エア管500は、検出器100の導入孔10と分離器700の排出孔71とを接続する。これにより、分離器700の導入孔70から検出器100の排出孔11までが、連続した経路を形成する。
【0019】
ファン400は上記経路内に設けられる。検出装置1Aでは、図1に示されるようにファン400は検出器100の排出孔11に接した位置に設けられる。後述するように、ファン400は、分離器700に外部空気を導入するための機構であると同時に、検出器100に空気を導入するための機構でもある。そのため、後述する検出器100での検出原理を考慮すると、ファン400で導入する空気の流速は、好ましくは、1L(リットル)/minから50L/minである。
【0020】
制御部200は、検出器100、ファン400、および分離器700と電気的に接続され、これらの駆動を制御する。
【0021】
検出器100の排出孔11に設けられたファン400は制御部200での制御に従って駆動することで、図中の矢印で表わされた向き、つまり、検出装置1A外の空気を分離器700の導入孔70から装置内に導入し、装置内の空気を検出器100の排出孔11から装置外に排気する方向で空気を移動させる。これにより、上記経路が流路として機能する。なお、以降の説明において、上記流路の分離器700側を「上流」または「上流側」、および検出器100側を「下流」または「下流側」とも称する。
【0022】
<検出部の構成>
検出器100として、導入された空気から生物由来の粒子の量を検出する機能を有するあらゆる検出装置を採用することができる。
【0023】
図2は、検出器100の構成の具体例を示す図である。
図2を参照して、検出器100は、検出機構と捕集機構と加熱機構とを含む。詳しくは、図2を参照して、検出器100は孔5C’を有する区切り壁である壁5Cで隔てられた、捕集機構の少なくとも一部を含んだ捕集室5Aと、検出機構を含んだ検出室5Bとを備える。
【0024】
捕集機構は、一例として、放電電極17、捕集治具12、および高圧電源2を含む。放電電極17は高圧電源2の負極に電気的に接続される。高圧電源2の正極は接地される。これにより、導入された空気中の浮遊粒子は放電電極17付近にて負に帯電される。
【0025】
捕集治具12は、導電性の透明の皮膜3を有する、ガラス板などからなる支持基板4である。皮膜3は、接地される。これにより、放電電極17と捕集治具12と間に電位差が発生し、これらの間に図2の矢印Eに示される向きの電界が構成される。負に帯電された空気中の浮遊粒子は静電気力で捕集治具12の方向に移動して導電性の皮膜3に吸着され、捕集治具12上に捕集される。
【0026】
ここで、放電電極17として針状電極を用いることによって、帯電した粒子を捕集治具12の放電電極17に対面する、(後述する)発光素子の照射領域15に対応したきわめて狭い範囲に吸着させることができる。これにより、後述する検出工程において、吸着された生物由来の粒子を効率的に検出することができる。
【0027】
支持基板4は、ガラス板には限定されず、その他、セラミック、金属等であってもよい。また、支持基板4表面に形成される皮膜3は、透明に限定されない。他の例として、支持基板4は、金属皮膜をセラミック等の絶縁材料の上に形成して構成されてもよい。また、支持基板4が金属材料の場合は、その表面に皮膜を形成する必要もない。具体的には、支持基板4として、シリコン基板、SUS(Stainless Used Steel)基板、銅基板などが利用できる。
【0028】
検出機構は、光源である発光素子6と、発光素子6の照射方向に備えられ、発光素子6からの光を平行光にする、または所定幅とするためのレンズ(またはレンズ群)7と、受光素子9と、受光素子9の受光方向に備えられ、捕集機構により捕集治具12上に捕集された浮遊微粒子に発光素子6から照射することにより生じる蛍光を受光素子9に集光するための集光レンズ(またはレンズ群)8とを含む。その他、発光素子6の照射方向に備えられ、発光素子6からの光を平行光にする、または所定幅とするためのレンズ(またはレンズ群)、アパーチャ、照射光が受光素子9に入り込むのを防ぐためのフィルタ(またはフィルタ群)などが含まれてもよい。これらの構成は、従来技術を応用できる。集光レンズ8は、プラスチック樹脂製またはガラス製でよい。
【0029】
発光素子6は、半導体レーザまたはLED素子を含む。波長は、微生物を励起して蛍光を発させるものであれば、紫外または可視いずれの領域の波長でもよい。好ましくは、特開2008−508527号公報に開示されているように、微生物中に含まれ、蛍光を発するトリプトファン、NaDH、リボフラビン等が効率よく励起される300nmから450nmである。受光素子9は、従来用いられている、フォトダイオード、イメージセンサなどが用いられる。
【0030】
受光素子9は制御部200に電気的に接続されて、受光量に比例した電流信号を信号処理部30に対して出力する。従って、導入された空気中に浮遊し、捕集治具12表面に捕集された粒子に発光素子6から光が照射されることによって該粒子から発光された蛍光は、受光素子9において受光され、制御部200においてその受光量が検出される。
【0031】
レンズ7および集光レンズ8は、いずれも、プラスチック樹脂製またはガラス製でよい。レンズ7(またはレンズ7とアパーチャとの組み合わせ)により、発光素子6の発光は捕集治具12の表面に照射され、捕集治具12上に照射領域15を形成する。照射領域15の形状に限定はなく、円形、楕円形、四角形などであってよい。照射領域15は特定のサイズに限定されないが、好ましくは、円の直径または楕円の長軸方向の長さまたは四角形の1辺の長さが約0.05mmから50mmである。
【0032】
上記フィルタが集光レンズ8または受光素子9の前に設置されてもよい。かかるフィルタは、単一または数種のフィルタの組み合わせで構成されるものでよい。これにより、捕集治具12で捕集された粒子からの蛍光と共に、発光素子6からの照射光が捕集治具12やケース5に反射した迷光が受光素子9に入射することを抑えることができる。
【0033】
加熱機構は、制御部200に電気的に接続され、制御部200によって加熱量(加熱時間、加熱温度等)が制御されるヒータ91を含む。ヒータ91としては、好適にはセラミックヒータが用いられる。以降の説明ではヒータ91としてセラミックヒータが想定されているが、その他、遠赤外線ヒータや遠赤外線ランプなどであってもよい。
【0034】
ヒータ91は、捕集治具12上に捕集された空気中の浮遊粒子を加熱し得る位置であって、少なくとも加熱時には発光素子6、受光素子9等のセンサ機器から何かによって隔てられる位置に配備される。好ましくは、図2に表わされたように、捕集治具12を間に挟んで発光素子6、受光素子9等のセンサ機器から遠い側に配備される。このようにすることにより加熱時にヒータ91は捕集治具12によって発光素子6、受光素子9等のセンサ機器から隔てられ、それにより発光素子6、受光素子9等への熱の影響を抑えることができる。より好ましくは、図3に示されるように、ヒータ91は周囲が断熱材で囲まれる。断熱材としては、好適にはガラスエポキシ樹脂が用いられる。このように構成することによって、セラミックヒータであるヒータ91が約2分で200℃に到達したときに断熱材を介してヒータ91に接続される部分(図示せず)の温度が30℃以下であったことを発明者が確認している。
【0035】
捕集室5Aには、捕集機構として針状の放電電極17および捕集治具12が配備される。
【0036】
導入孔10および排出孔11は、それぞれ、捕集室5Aの放電電極17側および捕集治具12に設けられる。図2に示されるように、導入孔10にはフィルタ(プレフィルタ)10Bが設けられてもよい。さらに、導入孔10および排出孔11には、捕集室5A内への空気の出入りは可能として外部光の入射を遮断するための構成が備えられてもよい。
【0037】
検出室5Bには、検出機構として発光素子6、受光素子9、および集光レンズ8が配備される。
【0038】
検出室5Bは、好ましくは、少なくとも内部に、黒色塗料の塗布または、黒色アルマイト処理等が施される。これにより、迷光の原因となる内部壁面での光の反射が抑えられる。捕集室5Aおよび検出室5B筐体の材質は特定の材質に限定されないが、好ましくは、プラスチック樹脂、アルミもしくはステンレスなどの金属、またはそれらの組み合わせが用いられる。導入孔10および排出孔11は、直径が1mmから50mmの円形である。導入孔10および排出孔11の形状は円形に限定されず、楕円形、四角形など他の形状であってもよい。
【0039】
検出室5B内の、捕集治具12表面に触れる位置には、捕集治具12表面をリフレッシュするためのブラシ60が設けられる。ブラシ60は、検出処理部40によって制御される図示しない移動機構に接続され、図中の両側矢印Bに示されるように、すなわち、捕集治具12上を往復するように移動する。これにより、捕集治具12表面に付着した埃や微生物が取り除かれる。
【0040】
捕集治具12とヒータ91とは、ユニットを構成する。このユニットを以降の説明において捕集ユニット12Aと称する。捕集ユニット12Aにおいて、ヒータ91は、好ましくは、図2に表わされたように、捕集治具12の放電電極17から遠い側の面に配備される。捕集ユニット12Aは制御部200によって制御される図示しない移動機構に機械的に接続され、図中の両側矢印Aに示されるように、すなわち、捕集室5Aから検出室5Bへ、検出室5Bから捕集室5Aへ、壁5Cに設けられた孔5C’を通って移動する。
【0041】
なお、上述のように、ヒータ91は、捕集治具12上に捕集された空気中の浮遊粒子を加熱し得る位置であって、少なくとも加熱時には発光素子6、受光素子9等のセンサ機器から何かによって隔てられる位置に配備されればよいため、捕集ユニット12Aに含まれず、他の位置に備えられてもよい。後述するように加熱動作が捕集室5Aで行なわれる場合、ヒータ91は捕集ユニット12Aに含まれず、捕集室5Aの、捕集ユニット12Aがセットされる位置であって、捕集治具12の、発光素子6、受光素子9等のセンサ機器と反対側に固定されていてもよい。このようにすることよっても加熱時にはヒータ91は捕集治具12によって発光素子6、受光素子9等のセンサ機器から隔てられ、それにより発光素子6、受光素子9等への熱の影響を抑えることができる。この場合、捕集ユニット12Aには少なくとも捕集治具12が含まれていればよい。
【0042】
図4は、捕集ユニット12Aの動作を説明する図である。図4に示されるように、捕集ユニット12Aの壁5Cから最も遠い側の端部には、上下に突起を有したカバー65Aが備えられる。壁5Cの捕集室5A側の面であって、孔5C’の周囲には、カバー65Aに対応したアダプタ65Bが備えられる。アダプタ65Bには、カバー65Aの上記突起に嵌合する凹部が設けられ、これによりカバー65Aとアダプタ65Bとが完全に接合され、孔5C’を覆うことになる。すなわち、捕集ユニット12Aが図4中の矢印A’の方向に、孔5C’を通って捕集室5Aから検出室5Bへ移動し、捕集ユニット12Aが完全に検出室5Bに入った時点で、カバー65Aがアダプタ65Bに接合されて孔5C’が完全に覆われ、検出室5B内が遮光される。これにより、検出室5Bで検出動作が行なわれている間には検出室5B内への入射が遮断される。
【0043】
なお、以上の例は、図1、図2に表わされたように、検出器100が捕集するための機構と検出するための機構とを分離した構成である例である。しかしながら、検出器100の構成は図1、図2に表わされた構成に限定されず、他の例として、捕集するための機構と検出するための機構とを一体とした構成であってもよい。
【0044】
図5は、検出器100の構成の他の例を示す図である。図5を参照して、他の例として検出器100は、導入孔10および排出孔11が設けられたケース5を有し、その内部に、検出機構と捕集機構と加熱機構とが含まれる。
【0045】
発光素子6およびレンズ7と、受光素子9および集光レンズ8とは、図5での上面から見て直角または略直角に設けられる。発光素子6から照射された光のうちの捕集治具12表面に形成される照射領域15からの反射光は、照射領域15への入射に対応した方向に向かう。そのため、この構成とすることで、反射光が直接受光素子9に入らない。なお、捕集治具12表面からの蛍光は等方的に発光するので、反射光および迷光の受光素子9への入射を抑えられる配置であれば、図示された配置には限定されない。
【0046】
より好ましくは、捕集治具12は、照射領域15に対応する表面に捕集した粒子からの蛍光を受光素子9に集めるための構成の一例として、照射領域15に球面状の窪みが形成されてもよい。さらに、捕集治具12は、好ましくは、受光素子9に捕集治具12表面が相対するよう、受光素子9に向かう方向に所定角度だけ傾けて設けられてもよい。この構成により、球面状の窪み内の粒子から等方的に発光した蛍光が球面表面で反射して受光素子9方向に集められる効果があり、受光信号を大きくできるメリットがある。窪みの大きさは限定されないが、好ましくは、照射領域15よりも大きい。
【0047】
この構成の場合、導入孔10および排出孔11には、それぞれ、シャッタ16A,16Bが設置される。シャッタ16A,16Bは、それぞれ制御部200に電気的に接続され、その開閉が制御される。シャッタ16A,16Bが閉塞されることでケース5内への空気の流入および外部光の入射が遮断される。制御部200は、蛍光を測定する際にはシャッタ16A,16Bを閉塞し、ケース5内への空気の流入および外部光の入射を遮断する。これにより、蛍光の測定時には捕集機構での浮遊粒子の捕集が中断される。また、蛍光の測定時に外部光のケース5内への入射が遮断されることで、ケース5内の迷光が抑えられる。なお、シャッタ16A,16Bのうちのいずれか一方、たとえば、少なくとも排出孔11のシャッタ16Bのみが備えられてもよい。
【0048】
<検出器での検出原理>
ここで、検出器100における検出原理について説明する。
【0049】
特開2008−508527号公報にも開示されているように、空気中に浮遊する生物由来の粒子は、紫外光または青色光が照射されることで蛍光を発することは従来から知られている。しかし、空気中には化学繊維の埃など同様に蛍光を発するものが浮遊しており、蛍光を検出するのみでは、生物由来の粒子からのものであるか化学繊維の埃などからのものであるかが区別されない。
【0050】
そこで、発明者は、生物由来の粒子と化学繊維の埃などとのそれぞれに対して加熱処理を施し、加熱の前後における蛍光の変化を測定した。発明者による、具体的な測定結果が図6〜図15に示されている。測定の結果より、発明者は、埃は加熱処理によって蛍光強度が変化しないのに対して、生物由来の粒子は加熱処理によって蛍光強度が増加することを見出した。
【0051】
具体的に、図6は、生物由来の粒子としての大腸菌を200℃にて5分間加熱処理したときの、加熱処理前(曲線79)および加熱処理後(曲線72)の蛍光スペクトルの測定結果である。図6に表わされた測定結果より、加熱処理を施すことによって大腸菌からの蛍光強度が大幅に増加していることが分かった。また、図7(A)に示された加熱処理前の蛍光顕微鏡写真と、図7(B)に示された加熱処理後の蛍光顕微鏡写真との比較によっても、加熱処理を施すことによって大腸菌からの蛍光強度が大幅に増加していることが明らかとなっている。
【0052】
同様に、図8は、生物由来の粒子としてのバチルス菌を200℃にて5分間加熱処理したときの加熱処理前(曲線73)および加熱処理後(曲線74)の蛍光スペクトルの測定結果であり、図9(A)が加熱処理前、図9(B)が加熱処理後の蛍光顕微鏡写真である。また、図10は、生物由来の粒子としてのアオカビ菌を200℃にて5分間加熱処理したときの加熱処理前(曲線75)および加熱処理後(曲線76)の蛍光スペクトルの測定結果であり、図11(A)が加熱処理前、図11(B)が加熱処理後の蛍光顕微鏡写真である。また、生物由来の粒子としてのスギ花粉を200℃にて5分間加熱処理したときの、図12(A)が加熱処理前、図12(B)が加熱処理後の蛍光顕微鏡写真である。これらに示されるように、他の生物由来の粒子でも大腸菌と同様に加熱処理によって蛍光強度が大幅に増加することが分かった。
【0053】
これに対して、図13(A)および図13(B)は、それぞれ、蛍光を発する埃を200℃にて5分間加熱処理したときの加熱処理前(曲線77)および加熱処理後(曲線78)の蛍光スペクトルの測定結果であり、図14(A)が加熱処理前、図14(B)が加熱処理後の蛍光顕微鏡写真である。図13(A)に示された蛍光スペクトルと図13(B)に示された蛍光スペクトルとを重ねると図15に示されるように、これらはほぼ重なることが検証された。すなわち、図15の結果や図13(A)と図13(B)との比較に示されるように、埃からの蛍光強度は加熱処理の前後において変化がないことが分かった。
【0054】
検出器100における検出原理として、発明者の検証した上述の現象が応用される。すなわち、空気中では、埃と、生物由来の粒子が付着した埃と、生物由来の粒子とが混合されている。上述の現象を基にすると、捕集した粒子に蛍光を発する埃が混ざっている場合、加熱処理前に測定される蛍光スペクトルには、生物由来の粒子からの蛍光と蛍光を発する埃からの蛍光とが含まれ、生物由来の粒子を化学繊維の埃などから区別して検出することができない。しかしながら、加熱処理を施すことで生物由来の粒子だけが蛍光強度が増加し、蛍光を発する埃の蛍光強度は変化しない。そのため、加熱処理前の蛍光強度と所定の加熱処理後の蛍光強度との差を測定することで、生物由来の粒子の量を求めることができる。
【0055】
<分離器の構成>
分離器700として、好適には、遠心力を利用したサイクロンが用いられる。
【0056】
図16は、サイクロンを採用した分離器700の構成の概略図である。図16(A)は、分離器700を、導入孔70を横、排出孔71を上、とした方向で見た図、図16(B)は、排出孔71側から見た図である。図16(A)で表わされた面を分離器700の正面とし、図16(B)で表わされた面を分離器700の上面とする。
【0057】
サイクロンを採用した分離器700は、上記流路に対して延伸し、延伸方向の上下が閉じられた円筒(外筒)に、それよりも直径が小さい円筒(内筒)が、延伸方向の上部の円の中心を外筒と同じくする位置から下向きに差し込まれた形状を有する。内筒の上部は開放されて排出孔71を形成している。図16において、直径Dcは外筒の直径を指し、直径Ddは内筒の直径、つまり排出孔71の直径を指し、高さhはサイクロン分離室としての、外筒の高さを指す。
【0058】
サイクロンを採用した分離器700の外形は上記外筒に限定されず、上面が直径Dcの円形であって、上面から下面に向けた側面にテーパーを有した円錐形であってもよい。または、上面から所定厚み分が筒状であって、それより下が円錐形であってもよい。
【0059】
上記外筒または円錐形の外形の上部には、インレットとも呼ばれる、外部空気を導入するための筒状の導入管が、断面の円形の接線方向に挿入された形状を有する。導入管は両端が開放し、分離器700と反対側の端部が導入孔70を形成している。図16において、面積Aiは導入孔70の断面積を指す。
【0060】
<分離器の原理>
流路に設けられたファン400が回転することによって、分離器700には導入孔70から外部空気が導入される。導入孔70は外筒の断面の接線方向に導入された導入管の開放口であるため、ファン400の吸引力によってその方向に外部空気が一定の流速viで導入されることによって、導入された空気は、外筒の内側に沿って回転し、回転中心に向かう気流が生じる。
【0061】
導入された空気に粒子が含まれると、該粒子には、回転による遠心力が生じると共に、流体抵抗力(抗力)が作用する。遠心力が勝ると粒子は外筒内壁側に移動し、抗力が勝ると内筒側に移動する。さらに、遠心力で外筒内壁に接触することで外筒内壁との間の摩擦が作用する。摩擦によって該粒子の回転速度が徐々に落ち、該粒子自身の重力がファン400の吸引力に勝ると、該粒子は外筒内壁に沿って落下する。
【0062】
すなわち、導入孔70から導入された空気中の粒子のうち、粒子径が所定の長さ(分離粒子径)よりも大きい粒子が図16で点線の矢印に示されるように分離器700の下部に、小さい粒子が図16で実線の矢印に示されるように上部に分離される。そして、上部に分離された分離粒子径Dpcよりも小さい粒子が、ファン400の吸引力によって生じる上昇気流により排出孔71から排出され、エア管500を経て検出器100へ到達する。
【0063】
導入される空気の速度(流速vi)が速いほど、また外筒の直径Dcが小さく回転半径が小さいほど、粒子に作用する遠心力は大きくなる。一方、同じ密度の粒子で同じ回転速度で回転する粒子径を比較すると、粒子径が大きいほど該粒子に作用する遠心力が大きくなり、落下、すなわち空気から分離されやすくなる。この原理によって得られる、サイクロンにおける分離粒子径Dpcは、以下の式(1)で規定されている。
【0064】
【数1】

【0065】
ただし、Dpcは分離粒子径(m)、ρpは粒子の密度(kg/m3)、ρは流体の密度(kg/m3)、μは空気粘度(Pa・s)、viは導入される空気の導入孔70での流速(m/s)、Aiは導入孔70の断面積(m2)、Ddはサイクロン内筒径(m)、Dcはサイクロン外筒径(m)、およびhはサイクロン分離室高さ(m)を指す。
【0066】
<分離部の具体的な形状>
サイクロンを採用した分離器700の各箇所のサイズは特定のサイズに限定されるものではない。しかしながら、上記式(1)より、各箇所のサイズ、特に、断面積Ai、外筒径Dc、および内筒径Ddが分離粒子径Dpcに影響することがわかる。そのため、空気に浮遊している生物由来の粒子からアレルゲンを除去して微生物の量を精度よく検出するためには最適な分離粒子径Dpcを設定する必要があり、そのために、最適な断面積Ai、外筒径Dc、および内筒径Ddとする必要がある。
【0067】
そこで、発明者は、最適な分離粒子径Dpcを得るために、断面積Ai、外筒径Dc、および内筒径Ddと、流量Qiとを異ならせて実験を行ない、その結果に基づいて分離器700の具体的な形状を決定する共に、最適な流量も決定した。
【0068】
図17は、式(1)から得られる、分離粒子径Dpcと流量Qiとの関係を示す図であって、図17の曲線Aが分離器700の形状を第1の形状としたときの関係、曲線Bが第2の形状としたときの関係を示している。第1の形状は、外筒径Dc=40mm、内筒径Dd=10mm、および断面積Ai=1.2cm2であり、第2の形状は、外筒径Dc=40mm、内筒径Dd=21mm、および断面積Ai=0.5cm2であり、共に高さhは同じである(h=10mm)。図17においては、曲線A,Bよりも上の粒子径の粒子が、当該分離器700において導入された空気から分離して除去され、曲線A,Bよりも下の粒子径の粒子が、当該分離器700を通過してエア管500を経て検出器100に到達することを表わしている。
【0069】
なお、図17において、分離粒子径15μmより上のハッチングされた領域はアレルゲンの属する粒子径の領域を表わし、分離粒子径5μmより下のハッチングされた領域は微生物の属する粒子径の領域を表わしている。
【0070】
発明者は、図1に示された検出装置に対して、実際に第1の形状の分離器700または第2の形状の分離器700を用い、分離器700を通過した粒子を検出器100の捕集治具12上に集塵させて、分離捕集能を評価する実験を行なった。分離捕集能を評価するために、検出装置1Aを、サイクロンである分離器700を含む状態と含まない状態との2種類の状態とし、分離器700を含む状態での捕集量の、分離器700を含まない状態での捕集量に対する比率を、分離捕集能として算出した。分離捕集能の0%は、サイクロンである分離器700にて対象のサイズの粒子が導入された空気中から分離して除去されたことを表わし、分離捕集能の100%は該粒子が分離器700では分離されずに通過し、エア管500を経て検出器100に到達したことを表わす。
【0071】
詳しくは、検出装置1A全体を容積1m3の測定チェンバに入れ、微生物に相当する粒子として直径3μmのポリスチレン粒子、またはアレルゲンとしての花粉(直径25μm)をチェンバ内に噴霧した後、検出器100の高圧電源2での印加電圧を−5kVとし、5分間、検出装置1Aを稼動させた。
【0072】
各形状の分離器700には、図示しないファンモータによって駆動されるファン400で外部空気が導入されるように設定した。ファンモータは、2〜20L/minの流量で運転できることを確認し、サイクロン運転時は風切り音の発生のないことを確認した。
【0073】
さらに、発明者は、分離器700に導入される空気の流量Qiを、各実験条件に応じて変化させた。そして、それぞれの条件下で捕集治具12上の粒子数をカウントし、1Lあたりの捕集量を分離器700を含む状態と含まない状態とで比較して分離捕集能を算出した。
【0074】
実験条件として、図17の丸印が付された、それぞれ次の条件1〜条件4で表わされた計4条件を採用した:
条件1…第1の形状の分離器700を用い、流量Qi=1.6L/minとした条件、すなわち、この場合の分離粒子径Dpcは上記式(1)より26μm、
条件2…第1の形状の分離器700を用い、流量Qi=10L/minとした条件、すなわち、この場合の分離粒子径Dpcは上記式(1)より11μm、
条件3…第1の形状の分離器700を用い、流量Qi=20L/minとした条件、すなわち、この場合の分離粒子径Dpcは上記式(1)より7.5μm、
条件4…第2の形状の分離器700を用い、流量Qi=20L/minとした条件、すなわち、この場合の分離粒子径Dpcは上記式(1)より4.5μm。
【0075】
発明者は、第1の実験として、微生物に相当する粒子および花粉をそれぞれ別個に、単一のサイズの粒子をチェンバ内に噴霧して、上記実験条件1〜4のそれぞれで上述の実験を行なって、分離捕集能を算出した。図18〜図21は、それぞれ、第1の実験で得られた微生物に相当する粒子および花粉についてのそれぞれの分離捕集能を、上記実験条件1〜4について示す図である。
【0076】
図18で表わされた実験結果より、実験条件1である場合には、分離器700を微生物に相当する粒子および花粉のいずれもが通過することがわかった。図19〜図21に表わされた実験結果より、実験条件2〜4である場合には、実験条件1の場合よりも分離器700で花粉を分離して除去する比率が高くなることがわかった。さらに、この実験条件の中では、実験条件4の場合に、分離器700で花粉を分離して除去する比率が高くなることがわかった。
【0077】
そこで、発明者は、第2の実験として、微生物に相当する粒子と花粉とを混合してチェンバ内に噴霧し、上記実験条件4で上述の実験を行なって、分離捕集能を算出した。図22は、第2の実験で得られた微生物に相当する粒子および花粉についてのそれぞれの分離捕集能を示す図である。
【0078】
図22で表わされた実験結果より、微生物に相当する粒子と花粉とが混合された空気が導入された場合であっても、単一の粒子径である場合と同様に、実験条件4の場合、高い精度で分離器700で花粉が分離して除去されることがわかった。
【0079】
以上の実験結果より、発明者は、サイクロンを採用した分離器700の好適な形状として、上記第2の形状である、外筒径Dc=40mm、内筒径Dd=21mm、および断面積Ai=0.5cm2と決定した。なお、この場合、さらに、ファン400の流量を20L/minと決定した。または、上記第1の形状である、外筒径Dc=40mm、内筒径Dd=10mm、および断面積Ai=1.2cm2とすることも可能であるが、この場合、さらに、ファン400の流量を10L/min、または20L/minと決定した。この形状とすることで、実験結果からも明らかなように、導入された空気からアレルゲンが高精度で除去され、微生物の量を検出器100で検出することが可能となる。
【0080】
<機能構成>
制御部200は、図1に示されるように、検出器100での検出を制御するための機能である検出制御部201と、図示しないファンモータの動作を制御してファン400による検出装置1Aへの空気の導入を制御するための機能であるファン制御部202とを含む。制御部200は、図示しない検出動作の開始の指示の操作を受け付けるためのスイッチに電気的に接続されて、該スイッチからの操作信号に応じて検出動作を開始する。
【0081】
ファン制御部202には、設定されたファン400の流量に応じた、予め図示しないファンモータを動作させるための印加電圧が設定されており、検出動作の開始時に該電圧をファンモータに印加する。
【0082】
図23は、制御部200の検出制御部201の構成の具体例を示す図である。図23は、検出制御部201の機能の一部が主に電気回路であるハードウェア構成で実現される例が示されている。しかしながら、制御部200の機能のすべてが、制御部200に含まれる図示しないCPUが所定のプログラムを実行することによって実現される、ソフトウェア構成であってもよいし、制御部200の機能のすべてが主に電気回路であるハードウェア構成で実現されてもよい。
【0083】
図23を参照して、検出制御部201は、大きくは、受光素子9からの信号を処理するための信号処理部30と、検出器100の制御や算出処理などを行なうための検出処理部40とから構成される。
【0084】
信号処理部30は、受光素子9に接続される電流−電圧変換回路34と、電流−電圧変換回路34に接続される増幅回路35とを含む。
【0085】
検出処理部40は、記憶部42、クロック発生部47、および制御部49を含む。さらに、検出処理部40は図示しない検出動作の開始の指示を入力するためのスイッチからの入力信号を受け付けるための入力部44と、ヒータ91や図示しない捕集ユニット12Aの移動機構を駆動させるための駆動部48とを含む。
【0086】
捕集治具12上に捕集された粒子に対して発光素子6から照射されることで、照射領域15にある当該粒子からの蛍光が、受光素子9に集光される。受光素子9から、受光量に応じた電流信号が信号処理部30に対して出力される。電流信号は、電流−電圧変換回路34に入力される。
【0087】
電流−電圧変換回路34は、受光素子9から入力された電流信号より蛍光強度を表わすピーク電流値Hを検出し、電圧値Ehに変換する。電圧値Ehは増幅回路35で予め設定した増幅率に増幅され、検出処理部40に対して出力される。検出処理部40の検出制御部201は信号処理部30から電圧値Ehの入力を受け付けて、順次、記憶部42に記憶させる。
【0088】
クロック発生部47はクロック信号を発生させ、制御部49に対して出力する。制御部49は、クロック信号に基づいたタイミングでヒータ91のNO/OFFを行なったり、捕集ユニット12Aを移動させたりするための制御信号を駆動部48に対して出力する。また、それに同期させてファン制御部202に対してファンモータの駆動タイミングを通知する。
【0089】
検出器100が図5に示される構成である場合には、シャッタ16A,16Bを開閉させるための制御信号を駆動部48に対して出力して、シャッタ16A,16Bの開閉を制御する。また、制御部49は発光素子6および受光素子9と電気的に接続され、それらのON/OFFを制御する。
【0090】
制御部49は算出部41を含み、算出部41において、記憶部42に記憶された電圧値Ehを用いて、導入された空気中の微生物量を算出するための動作が行なわれる。
【0091】
<検出動作1>
図示しないスイッチなどによって検出装置1Aでの検出開始が指示されると、該信号の入力を受け付けた制御部200によって検出動作が開始される。
【0092】
図24は、検出動作の流れを示すフローチャートである。図24のフローチャートに示された動作は、制御部200の図示しないCPUが図示しないメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行し、図23の各部を制御することによって実現される。
【0093】
図24を参照して、図示しないスイッチから検出動作の開始を指示する操作信号が入力されると、S31で、予め規定されている捕集時間である時間△T1の間、捕集室5Aでの捕集動作が行なわれる。S31での具体的な動作としては、ファン制御部202はファン400を駆動させて、分離器700およびエア管500を経て捕集室5A内に検出装置1A外の空気を取り込む。また、検出制御部201は、検出器100の放電電極17に所定の電圧を印加させる。
【0094】
分離器700に導入された空気からは花粉などのアレルゲンが分離されて除去され、除去された後の空気がエア管500を経て検出器100に到達する。
【0095】
検出器100の捕集室5A内に導入された空気中の粒子は、放電電極17により負電荷に帯電され、ファン400による空気の流れと放電電極17および捕集治具12表面の皮膜3の間で形成される電界とにより、捕集治具12表面の照射領域15に対応した狭い範囲に捕集される。
【0096】
捕集時間△T1が経過するとファン制御部202はファン400の駆動を終了、すなわち、捕集動作を終了させる。
【0097】
これにより、時間△T1の間、アレルゲンが分離器700によって除去された空気が捕集室5A内に導入孔10を通じて導入され、その空気中の粒子が、捕集治具12表面に捕集される。
【0098】
次に、S33で検出制御部201は捕集ユニット12Aを移動させるための機構を稼動させて、捕集ユニット12Aを捕集室5Aから検出室5Bに移動させる。移動が完了すると、S35で検出動作が行なわれる。S35では、検出制御部201は発光素子6に発光させ、規定の測定時間△T2の間、受光素子9により蛍光を受光させる。発光素子6からの光は、捕集治具12の表面の照射領域15に照射され、捕集された粒子から蛍光が発光される。その蛍光強度F1に応じた電圧値が検出処理部40に入力されて記憶部42に記憶される。これにより、加熱前の蛍光量S31が測定される。
【0099】
なお、上記測定時間△T2は検出制御部201に予め設定されているものであってもよいし、図示しないスイッチの操作などによって入力、変更されるものであってもよい。
【0100】
このとき、別途設けたLED等の発光素子(図示せず)からの発光の、捕集治具12表面の粒子が捕集されない反射領域(図示せず)からの反射光を、別途設けた受光素子(図示せず)で受光し、その受光量を参照値I0として用いてF1/I0を記憶部42に記憶してもよい。参照値I0に対する比率を算出することで、発光素子や受光素子の温度、湿度等の環境条件や劣化等による特性変動に起因する蛍光強度の変動を補償することができるという利点が生じる。
【0101】
S35の測定動作が終了すると、S37で検出制御部201は捕集ユニット12Aを移動させるための機構を稼動させて、捕集ユニット12Aを検出室5Bから捕集室5Aに移動させる。移動が完了すると、S39で加熱動作が行なわれる。S39で検出制御部201は予め規定した加熱処理時間である時間△T3の間、ヒータ91に加熱を行なわせる。このときの加熱温度は予め規定されている。
【0102】
加熱動作後、S41で冷却動作が行なわれる。S41では、ファン制御部202は所定の冷却時間、ファン400を逆回転させる。捕集ユニット12Aに外部の空気を触れさせることで冷却する。加熱処理時間△T3、加熱温度、および冷却時間も、検出制御部201に予め設定されているものであってもよいし、図示しないスイッチの操作によって入力、変更されるものであってもよい。
【0103】
S37で捕集ユニット12Aを捕集室5Aに移動させた後に捕集室5A内で加熱動作および冷却動作が行なわれ、冷却後に捕集ユニット12Aが検出室5Bに移動することで、加熱時にヒータ91は発光素子6、受光素子9等のセンサ機器から隔てられた距離に位置し、また、壁5C等によっても隔てられ、それにより発光素子6、受光素子9等への熱の影響を抑えることができる。なお、このように加熱時にヒータ91は発光素子6、受光素子9等のセンサ機器とは壁5C等によっても隔てられた捕集室5A内にあることから、ヒータ91は捕集ユニット12A内の必ずしも放電電極17から遠い側の面、すなわち検出室5Bに捕集ユニット12Aが移動したときに発光素子6、受光素子9等から遠い側の面になくてもよく、たとえば放電電極17から近い側の面にあってもよい。
【0104】
S39の加熱動作およびS41の冷却動作が終了すると、S43で検出制御部201は捕集ユニット12Aを移動させるための機構を稼動させて、捕集ユニット12Aを捕集室5Aから検出室5Bに移動させる。移動が完了すると、S45で再度検出動作が行なわれる。S45の検出動作はS35での検出動作と同じである。ここでの蛍光強度F2に応じた電圧値が検出処理部40に入力されて記憶部42に記憶される。これにより、加熱後の蛍光量S2が測定される。
【0105】
S45で加熱後の蛍光量S2が測定されると、S47で捕集ユニット12Aのリフレッシュ動作が行なわれる。S47で検出制御部201はブラシ60を移動させるための機構を稼動させて、捕集ユニット12A表面でブラシ60を所定回数往復移動させる。このリフレッシュ動作が完了すると、S49で検出制御部201は捕集ユニット12Aを移動させるための機構を稼動させて、捕集ユニット12Aを検出室5Bから捕集室5Aに移動させる。これにより、開始の指示を受けると直ちに次の捕集動作(S31)を開始することができる。
【0106】
算出部41は、記憶された蛍光強度F1と蛍光強度F2との差分を増大量△Fとして算出する。上述のように、増大量△Fは生物由来の粒子量(粒子数または濃度等)に関連している。算出部41は、予め、図25に表わされたような、増大量△Fと生物由来の粒子量(濃度)との対応関係を記憶しておく。そして、算出部41は、算出された増大量△Fと該対応関係とを用いて得られる濃度を、ケース5内に時間△T1の間に導入された空気中の生物由来の粒子の濃度として算出する。
【0107】
増大量△Fと生物由来の粒子の濃度との対応関係は、予め実験的に決められる。たとえば、1m3の大きさの容器内に、大腸菌やバチルス菌やカビ菌などの微生物の一種を、ネブライザを利用して噴霧し、微生物濃度をN個/m3に維持して、検出器100を用いて、上述の検出方法により時間△T1の間微生物を捕集する。そして、所定加熱量(加熱時間△T3、所定の加熱温度)で捕集した微生物に対してヒータ91によって加熱処理を施し、所定時間△T4の冷却の後、加熱前後の蛍光強度の増大量△Fを測定する。種々の微生物濃度について同様の測定がなされることで、図25に示された増大量△Fと濃度(個/m3)との関係が得られる。
【0108】
増大量△Fと生物由来の粒子の濃度との対応関係は、図示しないスイッチの操作などによって入力されることで算出部41に記憶されてもよい。また、いったん算出部41に記憶された該対応関係が検出制御部201により更新されてもよい。
【0109】
算出部41は、増大量△Fが差分△F1と算出された場合、図25の対応関係から増大量△F1に対応する値を特定することで生物由来の粒子の濃度N1(個/m3)を算出する。
【0110】
ただし、増大量△Fと生物由来の粒子の濃度との対応関係は、粒子の種類(たとえば菌種)によって異なる可能性がある。そこで、算出部41は、いずれかの生物由来の粒子を標準と規定して、増大量△Fと当該生物由来の粒子の濃度との対応関係を記憶する。これにより、様々な環境における生物由来の粒子の濃度が、標準を基準として換算された生物由来の粒子の濃度として算出される。その結果、様々な環境を比較することが可能となり、環境管理が容易となる。
【0111】
なお、上述の例では増大量△Fには、所定の加熱量(所定の加熱温度、加熱時間△T3)の加熱処理の前後の蛍光強度の差分が用いられているが、これらの比率が用いられてもよい。
【0112】
<検出動作2>
なお、検出器100が図5に示される構成である場合、すなわち、捕集するための機構と検出するための機構とが一体とされた構成である場合についての検出装置1Aでの検出動作についても説明する。
【0113】
図26は、検出器100が図5に示される構成である場合の制御部200での制御の流れを示すタイムチャートである。図26に示された制御は、制御部200の図示しないCPUが図示しないメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行し、図23の各部を制御することによって実現される。
【0114】
図26を参照して、図示しないスイッチから検出動作の開始を指示する操作信号が入力されると、ファン制御部202はファン400を駆動させる。また、検出制御部201は、クロック発生部47からのクロック信号に基づいた時刻T1に、シャッタ16A,16Bの駆動機構に対して開放(ON)させるための制御信号を出力する。その後、時刻T1から時間△T1経過後の時刻T2に、検出制御部201は、シャッタ16A,16Bを閉塞させるための制御信号を出力する。
【0115】
これにより、時刻T1から時間△T1の間、シャッタ16A,16Bが開放され、ファン400の駆動により外部空気が分離器700に導入される。導入された空気からは花粉などのアレルゲンが分離されて除去され、除去された後の空気がエア管500を経て検出器100に導入される。ケース5内に導入された空気中の粒子は、放電電極17により負電荷に帯電され、空気の流れと放電電極17および捕集治具12表面の皮膜3の間で形成される電界とにより、捕集治具12表面に時間△T1の間、捕集される。
【0116】
また、時刻T2にシャッタ16A,16Bが閉塞され、ケース5内の空気の流れが止まる。これにより、捕集治具12での浮遊粒子の捕集が終了する。また、これにより、外部からの迷光が遮光される。
【0117】
検出制御部201は、シャッタ16A,16Bが閉塞した時刻T2に、受光素子9に受光を開始(ON)させるための制御信号を出力する。さらに、それと同時(時刻T2)または時刻T2から少し遅れた時刻T3に、発光素子6に発光を開始(ON)させるための制御信号を出力する。その後、時刻T3から蛍光強度を測定するための予め規定した測定時間である時間△T2経過後の時刻T4に、検出制御部201は、受光素子9に受光を終了(OFF)させるための制御信号、および発光素子6に発光を終了(OFF)させるための制御信号を出力する。なお、上記測定時間は検出制御部201に予め設定されているものであってもよいし、図示しないスイッチの操作などによって入力、変更されるものであってもよい。
【0118】
これにより、時刻T3(または時刻T2)より発光素子6からの照射が開始される。発光素子6からの光は、捕集治具12の表面の照射領域15に照射され、捕集された粒子から蛍光が発光される。時刻T3から規定の測定時間△T2分の蛍光が受光素子9により受光され、その蛍光強度F1に応じた電圧値が検出処理部40に入力されて記憶部42に記憶される。
【0119】
検出制御部201は、発光素子6の発光および受光素子9の受光を終了させた時刻T4(または時刻T4から少し遅れた時刻)に、ヒータ91に加熱を開始(ON)させるための制御信号を出力する。そして、ヒータ91の加熱開始(時刻T4または時刻T4から少し遅れた時刻)から加熱処理のための予め規定した加熱処理時間である時間△T3経過後の時刻T5に、検出制御部201はヒータ91に加熱を終了(OFF)させるための制御信号を出力する。
【0120】
これにより、時刻T4(または時刻T4から少し遅れた時刻)から加熱処理時間△T3の間、ヒータ91によって捕集治具12表面の照射領域15に捕集した粒子に対して加熱処理が施される。このときの加熱温度は予め規定されている。時間△T3の間加熱処理されることで、捕集治具12表面に捕集された粒子に対して所定の加熱量が加えられることになる。なお、加熱処理時間△T3(すなわち加熱量)もまた、上記測定時間と同様に、検出制御部201に予め設定されているものであってもよいし、図示しないスイッチの操作などによって入力、変更されるものであってもよい。
【0121】
その後、時間△T4の間、加熱した粒子が冷却処理される。冷却処理にはファン400が用いられてもよく、この場合、別途HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタを設けた導入口(図示せず)から外部空気が取り込まれてもよい。または、別途ペルチェ素子等の冷却機構が用いられてもよい。
【0122】
その後、ファン制御部202はファン400の動作を終了させるための制御信号を出力し、検出制御部201は時刻T6に受光素子9に受光を開始(ON)させるための制御信号を出力する。さらに、それと同時(時刻T6)または時刻T6から少し遅れた時刻T7に、発光素子6に発光を開始(ON)させるための制御信号を出力する。その後、時刻T7から測定時間△T2経過後の時刻T8に、検出制御部201は、受光素子9に受光を終了(OFF)させるための制御信号、および発光素子6に発光を終了(OFF)させるための制御信号を出力する。
【0123】
これにより、発光素子6から捕集治具12表面の照射領域15に捕集した粒子に対して時間△T3の間加熱処理された後の、測定時間△T2分の蛍光が受光素子9により受光される。その蛍光強度F2に応じた電圧値は検出処理部40に入力されて記憶部42に記憶される。
【0124】
算出部41は、記憶された蛍光強度F1と蛍光強度F2との差分を増大量△Fとして算出する。そして、上述と同様にして、算出された増大量△Fと、予め記憶している増大量△Fと微生物量(濃度)との対応関係(図25)とを用いて得られる生物由来の粒子の濃度を、捕集室5A内に時間△T1の間に導入された空気中の生物由来の粒子の濃度として算出する。
【0125】
<実施の形態の効果>
本実施の形態にかかる検出装置1Aが図1に表わされたように分離器700と検出器100とを含んで構成され、分離器700が上述の形状とされることによって、分離器700において空気中の浮遊粒子からアレルゲンが高精度で除去され後に検出器100での検出が行なわれることになる。これにより、検出精度を向上させることができる。
【0126】
また、検出器100が上述のように生物由来の粒子からの蛍光と蛍光を発する埃からの蛍光との加熱処理による性質の差を利用する構成であることで、検出器100まで到達した空気中に蛍光を発する埃が含まれている場合であっても、リアルタイムに、かつ精度よく、微生物を蛍光を発する埃から分離して検出することができる。
【0127】
さらに、本実施の形態にかかる検出装置1Aでは、検出器100に空気を導入するための機構と、分離器700に空気を導入するための機構とが、流路上に設けられた1つのファン400で兼用されている。これにより、それぞれを別個に設ける場合と比較して、検出装置1Aに用いられる部材数を抑えることができる。また、ポンプやマスフローコントローラなどを用いて空気の導入を制御する場合と比較して、制御も簡素化することができる。そのため、検出装置全体の小型化やコストダウンを図ることができる。
【0128】
[第2の実施の形態]
なお、検出装置において、ファン400の設けられる位置は検出装置の流路上であればいずれの位置であってもよく、図1に示された位置に限定されない。図1に示された第1の実施の形態にかかる検出装置1Aでは、ファン400が検出器100の排出孔11の位置、つまり、検出装置1Aの流路の最下流に設けられ、回転することによって検出装置1A内には吸引力が生じるものとしていた。しかしながら、他の例として、最上流の分離器700の導入孔70までの間、つまり、図1に示された位置よりも上流側に設けられてもよい。そこで、第2の実施の形態として、第1の実施の形態とは異なる位置にファン400が設けられる例について説明する。
【0129】
図27は、第2の実施の形態にかかる検出装置1Bの構成の具体例を示す図である。一例として、検出装置1Bでは、ファン400がエア管500内であって、検出器100の導入孔10の位置に設けられている。さらに他の例として、エア管500内であって分離器700の排出孔71に接する位置に設けられてもよいし、分離器700の導入孔70に接する位置に設けられてもよい。
【0130】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0131】
1A,1B 検出装置、2 高圧電源、3 皮膜、4 支持基板、5 ケース、5A 捕集室、5B 検出室、5C’ 孔、5C 壁、6 発光素子、7 レンズ、8 集光レンズ、9 受光素子、10,70 導入孔、11,71 排出孔、12 捕集治具、12A 捕集ユニット、15 照射領域、16A,16B シャッタ、17 放電電極、30 信号処理部、34 電圧変換回路、35 増幅回路、40 検出処理部、41 算出部、42 記憶部、44 入力部、47 クロック発生部、48 駆動部、60 ブラシ、65A カバー、65B アダプタ、72,73,74,75,76,77,78,79,A,B 曲線、91 ヒータ、100 検出器、200 制御部、201 検出制御部、202 ファン制御部、400 ファン、500 エア管、700 分離器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入された空気中の生物由来の粒子である第1の粒子を検出するための検出装置であって、
前記導入された空気中の粒子から、前記第1の粒子よりも粒子径の大きい第2の粒子を分離して除去するための分離器と、
前記分離器とエア管で接続され、前記分離器で前記第2の粒子が分離して除去された後の前記導入された空気から前記第1の粒子を検出するための検出器と、
前記分離器に所定の流速で当該検出装置外の空気を導入し、前記分離器から前記エア管を経て前記検出器まで前記空気を導入するための吸気装置とを備え、
前記吸気装置は、前記検出装置外の空気を前記分離器へ導入するための導入孔から、前記分離器の内部、前記エア管、および前記検出器の内部を経て、当該検出装置外へ空気を排出するための、前記検出器の排出孔までの間の経路のいずれかの位置に配備される、検出装置。
【請求項2】
前記吸気装置は、前記検出器の前記検出装置外へ空気を排出するための排出孔に接する位置に設けられる、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記吸気装置は、前記検出器の前記エア管に接続される位置に設けられる、請求項1に記載の検出装置。
【請求項4】
前記分離器はサイクロンである、請求項1〜3のいずれかに記載の検出装置。
【請求項5】
前記検出器は、
捕集用部材と、
発光素子と、
蛍光を受光するための受光素子と、
前記捕集用部材を加熱するためのヒータと、
前記加熱の前後での、前記発光素子で照射された前記捕集用部材からの蛍光量の変化量に基づいて、前記捕集用部材で捕集された生物由来の粒子量を前記第1の粒子の量として算出するための算出手段とを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の検出装置。
【請求項6】
導入された空気中の粒子から第1の粒子よりも粒子径の大きい第2の粒子を分離して除去するための分離器と、前記分離器とエア管で接続された検出器とを含む検出装置を用いて、前記検出装置に導入された空気中の生物由来の粒子である前記第1の粒子を検出する方法であって、
前記検出装置には、前記検出装置外の空気を前記分離器へ導入するための導入孔から、前記分離器の内部、前記エア管、および前記検出器の内部を経て、当該検出装置外へ空気を排出するための、前記検出器の排出孔までの間の経路のいずれかの位置に、前記分離器に所定の流速で当該検出装置外の空気を導入し、前記分離器から前記エア管を経て前記検出器まで前記空気を導入するための吸気装置が配備され、
前記吸気装置を所定時間稼動することにより、前記所定時間、前記所定の流速で前記検出装置外の空気を前記分離器の前記導入孔から前記検出装置内に導入するステップと、
前記所定時間の経過の後、前記吸気装置の稼動を停止し、前記検出器における検出動作を実行するステップとを備え、
前記検出動作を実行するステップは、
前記検出器に含まれる捕集用部材の、加熱前における発光素子の照射下での蛍光量を測定するステップと、
前記捕集用部材の、加熱後における前記発光素子の照射下での蛍光量を測定するステップと、
加熱前の前記捕集用部材から測定された蛍光量から、加熱後の前記捕集用部材から測定された蛍光量への変化量に基づいて、前記捕集用部材で捕集された生物由来の粒子量を前記第1の粒子の量として算出するステップとを含む、検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図7】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−127726(P2012−127726A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277864(P2010−277864)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】