説明

検出装置

【課題】長期に亘って性能を維持できる検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置100は、測定レンジが相互に異なる低圧用圧力センサ31および高圧用圧力センサ32と、潤滑装置200の油圧回路が低圧用圧力センサ31および高圧用圧力センサ32のうちのいずれか1つと接続されるように、油圧回路と複数のセンサ31,32との接続を、温度センサ10により検出した油圧回路内の油の温度に基づいて選択的に切り替える検出対象側接続切替手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセンサを備える検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、計測する圧力範囲が相互に異なる複数のセンサを備え、最適な圧力範囲を有するセンサを選択できる圧力検出装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−13996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の圧力検出装置では、高圧用圧力センサのダイアフラムと、中圧用圧力センサのダイアフラムと、低圧用圧力センサのダイアフラムとが同一の環境下に配置されている。そのため、高圧用圧力センサによって高い圧力を検出する際に、低圧用圧力センサや中圧用圧力センサのダイアフラムにも高い圧力が加わり、低圧用圧力センサや中圧用圧力センサの経年劣化が促進してしまうといった問題があった。低圧用圧力センサや中圧用圧力センサの耐圧を超えるような高い圧力が加わった場合は、損傷のおそれもある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、測定レンジが相互に異なる複数のセンサと、検出対象が複数のセンサのうちのいずれか1つと接続されるように、検出対象と複数のセンサとの接続を、検出対象の物理量に基づいて選択的に切り替える検出対象側接続切替手段とを備えることを特徴とする検出装置である。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の検出装置において、複数のセンサからの信号を入力する入力手段と、入力手段が複数のセンサのうちのいずれか1つと接続されるように、入力手段と複数のセンサとの接続を、検出対象の物理量に基づいて選択的に切り替える入力側接続切替手段とを備えることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の検出装置において、複数のセンサは、それぞれの測定レンジで相互に同じレベル範囲の電気信号を出力することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の検出装置において、複数のセンサは、所定の入力値に対して相互に異なるレベルの電気信号を出力することを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の検出装置において、複数のセンサにより検出する物理量とは異なる物理量を検出する補助センサをさらに備え、検出対象側接続切替手段は、補助センサからの信号に基づいて、検出対象が複数のセンサのうちのいずれか1つと接続されるように、検出対象と複数のセンサとの接続を選択的に切り替えることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の検出装置において、複数のセンサにより検出する物理量と同じ物理量を検出する補助センサをさらに備え、検出対象側接続切替手段は、補助センサからの信号に基づいて、検出対象が複数のセンサのうちのいずれか1つと接続されるように、検出対象と複数のセンサとの接続を選択的に切り替えることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項5または請求項6に記載の検出装置において、検出対象側接続切替手段は、補助センサからの信号に基づいて検出対象の物理量を検出するセンサを複数のセンサのうちから選択する制御手段と、複数のセンサと検出対象との間に設けられて制御手段が選択したセンサと検出対象とを接続する接続手段とを備えることを特徴とする。
請求項8に係る発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の検出装置において、複数のセンサにより検出する物理量とは異なる物理量を検出する第1の補助センサと、複数のセンサにより検出する物理量と同じ物理量を検出する第2の補助センサとをさらに備え、検出対象側接続切替手段は、第1の補助センサおよび第2の補助センサからの信号に基づいて、検出対象が複数のセンサのうちのいずれか1つと接続されるように、検出対象と複数のセンサとの接続を選択的に切り替えることを特徴とする。
請求項9に係る発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の検出装置において、複数のセンサにより検出する物理量とは異なる物理量を検出する補助センサをさらに備え、検出対象側接続切替手段は、検出対象と接続されたセンサからの信号と補助センサからの信号とに基づいて、検出対象が複数のセンサのうちのいずれか1つと接続されるように、検出対象と複数のセンサとの接続を選択的に切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、長期に亘って性能を維持できる検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る検出装置および潤滑装置の構成を示す図。
【図2】低圧用圧力センサおよび高圧用圧力センサの出力電圧特性を示す図。
【図3】油圧回路内の油の圧力−温度特性を示す図。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る検出装置におけるコントローラの動作を示すフローチャート。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る検出装置および潤滑装置の構成を示す図。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る検出装置におけるコントローラの動作を示すフローチャート。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る検出装置および潤滑装置の構成を示す図。
【図8】閾値電圧にヒステリシスを持たせたことを示す図。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る検出装置におけるコントローラの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
―第1の実施の形態―
以下、本発明による検出装置を、油圧ショベルなどの建設機械に設けられるポンプトランスミッション(以下、ポンプミッション)の潤滑装置における油圧回路内の圧力の検出に用いた場合の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0009】
(潤滑装置)
本実施の形態に係る検出装置100が適用される潤滑装置200について説明する。図1は、検出装置100および潤滑装置200の構成を示す図である。図1に示すように、ポンプミッション300の潤滑装置200は、エンジン201と、エンジン201により駆動されるポンプ204とを備えている。エンジン201によりポンプ204が駆動されると、ポンプミッション300下部のオイル溜りから油が吸い上げられる。フィルタ203を介してポンプ204に吸い上げられた油は、ポンプ204からクーラ205に送給される。クーラ205により冷却された油は、ポンプミッション300へ送給され、ポンプミッション300の各部の潤滑および冷却に寄与した後、ポンプミッション300下部のオイル溜りに回収される。
【0010】
本実施の形態に係る検出装置100は、この潤滑装置200のポンプ204の吐出圧力を検出して記録する装置に用いられる。この検出装置100は、潤滑装置200の油圧回路内の油の温度を検出することによって油圧回路内の圧力を推定し、推定した圧力に基づいて最適な圧力センサを選択する構成とされる。以下、検出装置100の具体的な構成について説明する。
【0011】
(検出装置の全体構成)
検出装置100の全体構成について、図1を参照して説明する。図1に示すように、検出装置100は、制御装置1と、制御装置1によって切替制御されるスイッチブロック部2と、油圧回路内の圧力を検出するセンサ部3と、油圧ライン切替部4とを有する。
【0012】
(制御装置)
制御装置1は、温度センサ10と、AD変換器11と、コントローラ12と、記録装置13とを備える。温度センサ10は、油圧回路内の油の温度を検出してAD変換器11にセンサ信号を出力する。AD変換器11は、入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換してコントローラ12に出力する。コントローラ12は、温度センサ10からAD変換器11を介して入力される信号に基づいて、スイッチブロック部2の動作を制御することで、圧力センサを切り替える。記録装置13は、たとえば、DRAMなどの記憶媒体であり、コントローラ12から入力される種々の情報を記録する。
【0013】
(センサ部)
センサ部3は、低圧用圧力センサ31と、高圧用圧力センサ32とを有する。図2に示すように、低圧用圧力センサ31の測定レンジは0〜P1[MPa]であり、高圧用圧力センサ32の測定レンジは0〜P2[MPa]である。ここで、0<P1<P2である。つまり、高圧用圧力センサ32は、低圧用圧力センサ31の測定レンジを含む幅の広い測定レンジを有し、低圧用圧力センサ31よりも高い圧力を計測することができる。一方、低圧用圧力センサ31は低い圧力帯域のみを高い分解能で計測することができる。
【0014】
図2に示すように、低圧用圧力センサ31と高圧用圧力センサ32から出力されるセンサ信号は、たとえば0〜K[mV]の範囲内で直線的に変化する。このように、低圧用圧力センサ31および高圧用圧力センサ32は、それぞれの測定レンジで相互に同じレベル範囲(0〜K[mV])の電気信号を出力する。さらに、低圧用圧力センサ31および高圧用圧力センサ32は、所定の入力値に対して相互に異なるレベルの電気信号を出力する。
【0015】
(油圧ライン切替部)
油圧ライン切替部4は、センサ部3と潤滑装置200の油圧回路との間に設けられて、低圧用圧力センサ31および高圧用圧力センサ32のいずれかと潤滑装置200の油圧回路とを接続するように油圧ラインを切り替える。
【0016】
具体的には、油圧ライン切替部4はスイッチブロック部2を介してコントローラ12によって制御される方向切替電磁弁40を有している。方向切替電磁弁40によって油圧回路からセンサ部3に供給する油の方向を切り替えると、低圧用圧力センサ31および高圧用圧力センサ32のいずれかと潤滑装置200の油圧回路とが接続される。
【0017】
方向切替電磁弁40のソレノイドは、方向切替スイッチSW(B)を介して電源に接続されている。したがって、方向切替電磁弁40は、方向切替スイッチSW(B)がオン位置に切り替えられるとソレノイドが励磁されて切替位置(ロ)に切り替えられ、方向切替スイッチSW(B)がオフ位置に切り替えられるとばねの力により切替位置(イ)に切り替えられる。
【0018】
なお、方向切替スイッチSW(B)は、コントローラ12から電磁石に電流が通電されるとオン位置に切り替わり、電磁石への通電が遮断されるとオフ位置に切り替わるリレースイッチである。
【0019】
方向切替電磁弁40が切替位置(イ)にあるときには、潤滑装置200の油圧回路と高圧用圧力センサ32とが方向切替電磁弁40を介して接続されることで高圧力検出用の油圧ラインが形成され、高圧用圧力センサ32のみに油圧回路内の圧力が作用する。方向切替電磁弁40が切替位置(ロ)にあるときには、潤滑装置200の油圧回路と低圧用圧力センサ31とが方向切替電磁弁40を介して接続されることで低圧力検出用の油圧ラインが形成され、低圧用圧力センサ31のみに油圧回路内の圧力が作用する。
【0020】
(スイッチブロック部)
スイッチブロック部2は、センサ信号切替スイッチSW(A)と、方向切替スイッチSW(B)とを備えている。センサ信号切替スイッチSW(A)および方向切替スイッチSW(B)は、コントローラ12によって切替制御される。
【0021】
コントローラ12によってセンサ信号切替スイッチSW(A)がオン位置に切り替えられると、低圧用圧力センサ31とAD変換器11とがセンサ信号切替スイッチSW(A)を介して接続されることで低圧力検出用の信号ラインが形成されて、低圧用圧力センサ31からのセンサ信号のみがAD変換器11に入力される。コントローラ12によりセンサ信号切替スイッチSW(A)がオフ位置に切り替えられると、高圧用圧力センサ32とAD変換器11とがセンサ信号切替スイッチSW(A)を介して接続されることで高圧力検出用の信号ラインが形成されて、高圧用圧力センサ32からのセンサ信号のみがAD変換器11に入力される。
【0022】
なお、方向切替スイッチSW(A)は、コントローラ12から電磁石に電流が通電されるとオン位置に切り替わり、電磁石への通電が遮断されるとオフ位置に切り替わるリレースイッチである。
【0023】
コントローラ12によって方向切替スイッチSW(B)がオン位置に切り替えられると、上述したように、方向切替電磁弁40が切替位置(ロ)に切り替えられて、油圧回路と低圧用圧力センサ31とが方向切替電磁弁40を介して接続されることで低圧力検出用の油圧ラインが形成されて、低圧用圧力センサ31のみに油圧回路内の圧力が作用する。コントローラ12によって方向切替スイッチSW(B)がオフ位置に切り替えられると、上述したように、方向切替電磁弁40が切替位置(イ)に切り替えられて、油圧回路と高圧用圧力センサ32とが方向切替電磁弁40を介して接続されることで高圧力検出用の油圧ラインが形成されて、高圧用圧力センサ32のみに油圧回路内の圧力が作用する。
【0024】
第1の実施の形態に係る検出装置100では、低圧用圧力センサ31および高圧用圧力センサ32に加えて温度センサ10が設けられており、油圧回路内の油の温度から油圧回路内の圧力を推定して、低圧用圧力センサ31および高圧用圧力センサ32のいずれか一方を最適な圧力センサとして選択して切り替える構成とされている。
【0025】
コントローラ12は、温度センサ10によって検出された油圧回路内の油の温度が閾値温度Tk以上となった場合には油圧回路内の圧力を検出する最適なセンサとして低圧用圧力センサ31を選択し、油圧回路内の油の温度が閾値温度Tk未満となった場合には油圧回路内の圧力を検出する最適なセンサとして高圧用圧力センサ32を選択する。
【0026】
(閾値温度Tkについて)
閾値温度Tkは、油圧回路内の油の温度と圧力との関係から求め、予め記録装置13に記録されている。油圧回路内の油の温度と圧力との関係を図3に示す。図3において、横軸は油圧回路内の油の温度を示し、縦軸は油圧回路内の油の圧力を示している。なお、図3において、油の圧力−温度特性を実線で記し、低圧用圧力センサ31および高圧用圧力センサ32の測定レンジを破線で示している。
【0027】
図3に示されるように、油圧回路内の油は、圧力が低いときには温度が高く、圧力が高くになるにつれて温度が低くなる。閾値温度Tkは、低圧用圧力センサ31の圧力測定レンジの上限値であるP1における油の温度を採用した。
【0028】
(検出処理について)
図4のフローチャートを参照して検出装置100の検出処理について説明する。エンジン201が駆動されると、この処理を行うプログラムが起動される。なお、この処理は、コントローラ12により所定時間毎に繰り返し実行される。
【0029】
ステップS1では、温度センサ10により検出されたセンサ信号がAD変換器11に入力され、AD変換器11で数値データTinに変換されてコントローラ12に出力される。ステップS2では、入力された数値データTinが閾値温度Tk以上であるか否かをコントローラ12が判定する。ステップS2において、油圧回路内の油の温度Tinが閾値温度Tk以上である(Tin≧Tk)と判定されたときには、ステップS3に進み、油圧回路内の油の温度Tinが閾値温度Tk未満である(Tin<Tk)と判定されたときには、ステップS4に進む。
【0030】
油の温度Tinが閾値温度Tk以上である場合(Tin≧Tk)、ステップS3において、コントローラ12は低圧用圧力センサ31を選択するように、センサ部3とAD変換器11との間の信号ライン、ならびに、油圧回路とセンサ部3との間の油圧ラインを切り替える制御を実行する。
【0031】
コントローラ12は、センサ信号切替スイッチSW(A)および方向切替スイッチSW(B)の電磁石に電流を通電する。センサ信号切替スイッチSW(A)がオン位置に切り替えられると、低圧用圧力センサ31とAD変換器11とが接続されて低圧用圧力センサ31からの信号がAD変換器11を介してコントローラ12に入力される。方向切替スイッチSW(B)がオン位置に切り替えられると、方向切替電磁弁40のソレノイドが励磁されて方向切替電磁弁40が切替位置(ロ)に切り替えられる。つまり、ステップS3では、油圧回路からの油の圧力が低圧用圧力センサ31のみに付与されるように、且つ、低圧用圧力センサ31からのセンサ信号のみがコントローラ12に入力されるように、コントローラ12がスイッチブロック部2を制御する。
【0032】
さらに、コントローラ12は、ステップS3においてAD変換器11が低圧用圧力センサ31の測定レンジに基づいてレンジ変換するようにAD変換器11の変換テーブルの切替えを行う。ステップS5では、AD変換器11が低圧用圧力センサ31に対応した変換テーブルに基づいてレンジ変換することで圧力値Pinを求める。AD変換器11からコントローラ12に入力された圧力値Pinはコントローラ12により記録装置13に記録される(ステップS7)。
【0033】
油の温度Tinが閾値温度Tk未満である場合(Tin<Tk)、ステップS4において、コントローラ12は高圧用圧力センサ32を選択するように、センサ部3とAD変換器11との間の信号ライン、ならびに、油圧回路とセンサ部3との間の油圧ラインを切り替える制御を実行する。
【0034】
コントローラ12は、センサ信号切替スイッチSW(A)および方向切替スイッチSW(B)の電磁石への通電を遮断する。センサ信号切替スイッチSW(A)がオフ位置に切り替えられると、高圧用圧力センサ32とAD変換器11とが接続されて高圧用圧力センサ32からの信号がAD変換器11を介してコントローラ12に入力される。方向切替スイッチSW(B)がオフ位置に切り替えられると、方向切替電磁弁40のばねの力により方向切替電磁弁40が切替位置(イ)に切り替えられる。つまり、ステップS4では、油圧回路からの油の圧力が高圧用圧力センサ32のみに付与されるように、且つ、高圧用圧力センサ32からのセンサ信号のみがコントローラ12に入力されるように、コントローラ12がスイッチブロック部2を制御する。
【0035】
さらに、コントローラ12は、ステップS4においてAD変換器11が高圧用圧力センサ32の測定レンジに基づいてレンジ変換するようにAD変換器11の変換テーブルの切替えを行う。ステップS6では、AD変換器11が高圧用圧力センサ32に対応した変換テーブルに基づいてレンジ変換することで圧力値Pinを求める。AD変換器11からコントローラ12に入力された圧力値Pinはコントローラ12により記録装置13に記録される(ステップS7)。
【0036】
コントローラ12は、圧力値Pinを記録装置13に記録した後、終了判定処理(ステップS8)を行い、終了と判定された場合には検出処理を終了し、終了しないと判定された場合にはステップS1に戻って検出処理を継続する。
【0037】
したがって、第1の実施の形態に係る検出装置100は、検出した油の温度Tinが閾値温度Tk以上のとき(Tin≧Tk)には低圧用圧力センサ31を最適圧力センサとして選択し、油の温度Tinが閾値温度Tk未満のとき(Tin<Tk)には高圧用圧力センサ32を最適圧力センサとして選択して、最適圧力センサのみに油圧回路内の圧力が作用する構成とされている。
【0038】
以上説明した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)測定レンジが相互に異なる低圧用圧力センサ31および高圧用圧力センサ32を備え、油圧回路が低圧用圧力センサ31および高圧用圧力センサ32のうちのいずれか1つと接続されるように、油圧回路と複数のセンサ31,32との接続を、油圧回路内の油の温度に基づいて選択的に切り替えることで、油圧回路内の圧力に適した圧力センサのみに圧力が加わる構成とした。これにより、低圧用圧力センサ31に測定レンジを超える高い圧力が加えられて経年劣化が促進され、あるいは破損することがないため、長期に亘って性能を維持できる検出装置100を提供することができる。
【0039】
(2)低圧用圧力センサ31および高圧用圧力センサ32からの信号をAD変換器11を介してコントローラ12に入力させ、コントローラ12が低圧用圧力センサ31および高圧用圧力センサ32のうちのいずれか1つと接続されるように、コントローラ12と複数のセンサ31,32との接続を、油圧回路内の油の温度に基づいて選択的に切り替えることで、油圧回路内の圧力に適した圧力センサからのセンサ信号のみをコントローラ12に入力する構成とした。これにより、低圧用圧力センサ31および高圧用圧力センサ32からの信号を入力するためのポートを1つにできる。
【0040】
(3)低圧用圧力センサ31および高圧用圧力センサ32は、それぞれの測定レンジで相互に同じレベル範囲(0〜K[mV])の電気信号を出力する構成とした。これにより、メンテナンス時に計測レンジが0〜K[mV]の電圧計を用いて電気回路内の電圧を測定することができるため、メンテナンス性を向上させることができる。これに対して、それぞれが相互に異なるレベル範囲の電気信号を出力する複数のセンサを用いた場合、各センサのレベル範囲に対応した複数の電圧計が必要になり、メンテナンスに手間がかかる。
【0041】
(4)さらに、本実施の形態に係る低圧用圧力センサ31および高圧用圧力センサ32は、所定の入力値に対して相互に異なるレベルの電気信号を出力する。これにより、スイッチブロック部2、方向切替電磁弁40が破損するなどして電気回路の状態が不明に陥った場合でも、油圧回路内に所定の圧力を発生させた状態で電気回路内の電圧を計測すれば、方向切替電磁弁40およびスイッチブロック部2のセンサ信号切替スイッチSW(A)、方向切替スイッチSW(B)の切替状態の確認や、異常を判別することができる。
【0042】
たとえば、圧力TPが加わったときに電圧VHが出力される高圧用圧力センサ32と、圧力TPが加わったときに電圧VLが出力される低圧用圧力センサ31とを採用している場合に、油圧回路内に圧力TPを加えた状態で電気回路内の電圧を計測する。計測された電圧がVHあるいはVLであれば、方向切替電磁弁40およびセンサ信号切替スイッチSW(A)、方向切替スイッチSW(B)の切替状態を確認できる。計測された電圧がVH,VLのいずれでもない場合は、方向切替電磁弁40およびセンサ部3、スイッチブロック部2等に異常が生じていることを推定できる。
【0043】
―第2の実施の形態―
図5および図6を参照して、第2の実施の形態に係る検出装置100を説明する。なお、図中、第1の実施の形態と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、説明を省略する。図5は、本発明の第2の実施の形態に係る検出装置100および潤滑装置200の構成を示す図であり、図6は、本発明の第2の実施の形態に係る検出装置100におけるコントローラ12の動作を示すフローチャートである。以下、第1の実施の形態との相違点について詳しく説明する。
【0044】
第2の実施の形態では、温度センサ10(図1参照)に代えて、図5に示すように圧力スイッチ16が設けられている。すなわち、第2の実施の形態に係る検出装置100は、油圧回路内の油の温度から油圧回路内の圧力を推定するのではなく、圧力スイッチ16により直接に油圧回路内の圧力を検出して、最適な圧力センサに切り替える構成とされている。
【0045】
図5に示すように、圧力スイッチ16は、ポンプ204の吐出側に接続されており、ポンプ吐出圧が設定圧力Pk以上となったときに作動する。設定圧力Pkは、低圧用圧力センサ31の測定レンジ内における上限近傍の値や上限値に設定される。図5に示すように、圧力スイッチ16は、選択信号ライン102を介して、コントローラ12、ならびに、センサ信号切替スイッチSW(A)および方向切替スイッチSW(B)の電磁石に接続されている。なお、選択信号ライン102には、コントローラ12側から圧力スイッチ16側に流れる電流のみを許容するダイオード17が設けられている。
【0046】
(検出処理について)
以下、図6のフローチャートを参照して、第2の実施の形態に係る検出装置100の検出処理について説明する。エンジン201が駆動されると、この処理を行うプログラムが起動される。なお、この処理は、コントローラ12により所定時間毎に繰り返し実行される。
【0047】
ステップS11では、油圧回路内の圧力が設定圧力Pk以上であるか否かをコントローラ12が判定する。圧力スイッチ16がオンされると、選択信号ライン102が接地され、選択信号ライン102に接続されたコントローラ12のポートの電位が接地電位となるため、コントローラ12は圧力スイッチ16がオンになったことを認識する。ステップS11において、コントローラ12は、圧力スイッチ16からの信号に基づいて油圧回路内が設定圧力Pk以上になったことを判定する。
【0048】
ステップS11において、圧力スイッチ16からの信号に基づいて油圧回路内の圧力が設定圧力Pk以上であるとコントローラ12により判定されたときには、ステップS12に進み、油圧回路内の圧力が設定圧力Pk未満であるとコントローラ12により判定されたときには、ステップS13に進む。
【0049】
なお、圧力スイッチ16がオンになり、選択信号ライン102の電位が接地電位に変化すると、スイッチブロック部2に電流が流れてセンサ信号切替スイッチSW(A)および方向切替スイッチSW(B)がオン位置に切り替えられる。すなわち、スイッチブロック部2は、コントローラ12によって切替制御されるのではなく、圧力スイッチ16によって制御される。したがって、圧力スイッチ16がオンになると、センサ部3とAD変換器11との間の信号ライン、ならびに、油圧回路とセンサ部3との間の油圧ラインが切り替えられる(ステップS12)。
【0050】
センサ信号切替スイッチSW(A)がオン位置に切り替えられると、高圧用圧力センサ32とAD変換器11とが接続されて高圧用圧力センサ32からの信号がAD変換器11を介してコントローラ12に入力される。方向切替スイッチSW(B)がオン位置に切り替えられると、方向切替電磁弁40のソレノイドが励磁されて方向切替電磁弁40が切替位置(ロ)に切り替えられる。ステップS12では、油圧回路からの油の圧力が高圧用圧力センサ32のみに付与されるように、且つ、高圧用圧力センサ32からのセンサ信号のみがコントローラ12に入力されるように、油圧ラインおよび信号ラインが切り替えられる。
【0051】
さらに、油圧回路内の圧力が設定圧力Pk以上である場合、ステップS12において、AD変換器11が高圧用圧力センサ32の測定レンジに基づいてレンジ変換するようにAD変換器11の変換テーブルの切替えを行う。
【0052】
ステップS14では、AD変換器11が高圧用圧力センサ32に対応した変換テーブルに基づいてレンジ変換することで圧力値Pinを求める。AD変換器11からコントローラ12に入力された圧力値Pinはコントローラ12により記録装置13に記録される(ステップS16)。
【0053】
一方、油圧回路内の圧力が設定圧力Pk未満である場合、ステップS13において、コントローラ12は低圧用圧力センサ31を選択して、AD変換器11が低圧用圧力センサ31の測定レンジに基づいてレンジ変換するようにAD変換器11の変換テーブルの切替えを行う。
【0054】
なお、圧力スイッチ16がオフになり、選択信号ライン102の電位が上昇するとスイッチブロック部2のセンサ信号切替スイッチSW(A)および方向切替スイッチSW(B)がオフ位置に切り替えられる。すなわち、圧力スイッチ16がオフになると、センサ部3とAD変換器11との間の信号ライン、ならびに、油圧回路とセンサ部3との間の油圧ラインが切り替えられる(ステップS13)。
【0055】
センサ信号切替スイッチSW(A)がオフ位置に切り替えられると、低圧用圧力センサ31とAD変換器11とが接続されて低圧用圧力センサ31からの信号がAD変換器11を介してコントローラ12に入力される。方向切替スイッチSW(B)がオフ位置に切り替えられると、方向切替電磁弁40のばねの力により方向切替電磁弁40が切替位置(イ)に切り替えられる。ステップS13では、油圧回路からの油の圧力が低圧用圧力センサ31のみに付与されるように、且つ、低圧用圧力センサ31からのセンサ信号のみがコントローラ12に入力されるように、油圧ラインおよび信号ラインが切り替えられる。
【0056】
ステップS15では、AD変換器11が低圧用圧力センサ31に対応した変換テーブルに基づいてレンジ変換することで圧力値Pinを求める。AD変換器11からコントローラ12に入力された圧力値Pinはコントローラ12により記録装置13に記録される(ステップS16)。
【0057】
コントローラ12は、圧力値Pinを記録装置13に記録した後、終了判定処理(ステップS17)を行い、終了と判定された場合には検出処理を終了し、終了しないと判定された場合にはステップS11に戻って検出処理を継続する。
【0058】
このように、第2の実施の形態に係る検出装置100は、油圧回路内の圧力が設定圧力Pk以上のときには高圧用圧力センサ32を最適圧力センサとして選択し、油圧回路内の圧力が設定圧力Pk未満のときには低圧用圧力センサ31を最適圧力センサとして選択して、最適圧力センサのみに油圧回路内の圧力が作用する構成とされている。
【0059】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。さらに、第2の実施の形態によれば、油圧回路内の圧力を直接測定してセンサを切り替えるようにしたので、センサの切り替え圧力の閾値の設定が容易であり、センサの切り替えの確実性が向上する。
【0060】
―第3の実施の形態―
図7〜図9を参照して、第3の実施の形態に係る検出装置100を説明する。なお、図中、第1の実施の形態と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、説明を省略する。図7は、本発明の第3の実施の形態に係る検出装置100および潤滑装置200の構成を示す図であり、図8は、閾値電圧にヒステリシスを持たせたことを示す図である。図9は、本発明の第3の実施の形態に係る検出装置100におけるコントローラ12の動作を示すフローチャートである。以下、第1の実施の形態との相違点について詳しく説明する。
【0061】
第3の実施の形態に係る検出装置100では、温度センサ10(図1参照)に代えて、図7に示すようにセンサ部3からのセンサ信号をコントローラ12に直接入力させるための電圧測定ライン104が設けられている。
【0062】
第3の実施の形態に係る検出装置100では、低圧用圧力センサ31による検出がなされている状態において、低圧用圧力センサ31からのセンサ信号である出力電圧Vinが閾値電圧Vk1以上となった場合には油圧回路内の圧力を検出するセンサを高圧用圧力センサ32に切替える。また、高圧用圧力センサ32による検出がなされている状態において、高圧用圧力センサ32からのセンサ信号である出力電圧Vinが閾値電圧Vk2以下となった場合には油圧回路内の圧力を検出するセンサを低圧用圧力センサ31に切り替える。
【0063】
(閾値電圧Vk1,Vk2について)
閾値電圧Vk1,Vk2には、センサの切り替え時のチャタリングを抑制するためにヒステリシスを持たせている。具体的には、図8に示すように、閾値電圧Vk1には、低圧用圧力センサ31の測定レンジ内における上限近傍の圧力Pk1が低圧用圧力センサ31に付与されたときに、低圧用圧力センサ31から出力される電圧値を採用した。閾値電圧Vk2には、Pk1よりも所定量だけ小さい圧力Pk2が高圧用圧力センサ32に付与されたときに、高圧用圧力センサ32から出力される電圧値を採用した。閾値電圧Vk1は低圧用圧力センサ31からの出力電圧Vinに対する閾値であり、閾値電圧Vk2は高圧用圧力センサ32からの出力電圧Vinに対する閾値である。
【0064】
(検出処理について)
以下、図9のフローチャートを参照して、第3の実施の形態に係る検出装置100の検出処理について説明する。エンジン201が駆動されると、この処理を行うプログラムが起動される。なお、この処理は、コントローラ12により所定時間毎に繰り返し実行される。
【0065】
ステップS21では、コントローラ12が現在選択しているセンサをコントローラ12が判定する。コントローラ12により低圧用圧力センサ31が選択されていると判定されたときには、ステップS22に進み、コントローラ12により高圧用圧力センサ32が選択されていると判定されたときには、ステップS27に進む。なお、検出処理開始直後は、自動で低圧用圧力センサ31が選択されている。
【0066】
ステップS21において低圧用圧力センサ31が選択されていると判定された場合、低圧用圧力センサ31からのセンサ信号がAD変換器11に入力されているので、ステップS22では、AD変換器11が低圧用圧力センサ31に対応した変換テーブルに基づいてレンジ変換することで圧力値Pinを求める。AD変換器11からコントローラ12に入力された圧力値Pinはコントローラ12により記録装置13に記録される(ステップS23)。
【0067】
ステップS24では、低圧用圧力センサ31から電圧測定ライン104を介して入力されるセンサ信号である電圧Vinが閾値電圧Vk1以上であるか否かを判定する。これは、油圧回路内の圧力がPk1以上であるか否かを判定することに等しい。電圧測定ライン104から入力される電圧Vinが閾値電圧Vk1以上である(Vin≧Vk1)と判定されたときには、ステップS25に進み、電圧測定ライン104から入力される電圧Vinが閾値電圧Vk1未満である(Vin<Vk1)と判定されたときには、ステップS26に進む。
【0068】
電圧測定ライン104からの入力電圧Vinが閾値電圧Vk1以上である場合(Vin≧Vk1)、ステップS25において、コントローラ12は高圧用圧力センサ32を選択するように、センサ部3とAD変換器11との間の信号ライン、ならびに、油圧回路とセンサ部3との間の油圧ラインを切り替える制御を実行する。
【0069】
コントローラ12は、センサ信号切替スイッチSW(A)および方向切替スイッチSW(B)の電磁石に電流を通電する。センサ信号切替スイッチSW(A)がオン位置に切り替えられると、高圧用圧力センサ32とAD変換器11とが接続されて高圧用圧力センサ32からの信号がAD変換器11を介してコントローラ12に入力される。方向切替スイッチSW(B)がオン位置に切り替えられると、方向切替電磁弁40のソレノイドが励磁されて方向切替電磁弁40が切替位置(ロ)に切り替えられる。つまり、ステップS25では、油圧回路からの油の圧力が高圧用圧力センサ32のみに付与されるように、且つ、高圧用圧力センサ32からのセンサ信号のみがコントローラ12に入力されるように、コントローラ12がスイッチブロック部2を制御する。
【0070】
さらに、コントローラ12は、ステップS25においてAD変換器11が高圧用圧力センサ32の測定レンジに基づいてレンジ変換するようにAD変換器11の変換テーブルの切替えを行う。
【0071】
電圧測定ライン104からの入力電圧Vinが閾値電圧Vk1未満である場合(Vin<Vk1)、低圧用圧力センサ31が選択されるため、センサは切り替えられず、AD変換器11の変換テーブルも切り替えられない(ステップS26)。したがって、センサ部3とAD変換器11との間の信号ライン、ならびに、油圧回路とセンサ部3との間の油圧ラインが維持されて、油圧回路からの油の圧力は低圧用圧力センサ31のみに付与されるとともに、低圧用圧力センサ31からのセンサ信号のみがコントローラ12に入力される。
【0072】
ステップS25またはステップS26において、センサの選択がなされた後は、終了判定処理(ステップS32)を行い、終了と判定された場合には検出処理を終了し、終了しないと判定された場合にはステップS21に戻って検出処理を継続する。
【0073】
ステップS21において高圧用圧力センサ32が選択されていると判定された場合、高圧用圧力センサ32からのセンサ信号がAD変換器11に入力されているので、ステップS27では、AD変換器11が高圧用圧力センサ32に対応した変換テーブルに基づいてレンジ変換することで圧力値Pinを求める。AD変換器11からコントローラ12に入力された圧力値Pinはコントローラ12により記録装置13に記録される(ステップS28)。
【0074】
ステップS29では、高圧用圧力センサ32から電圧測定ライン104を介して入力されるセンサ信号である電圧値Vinが閾値電圧Vk2以下であるか否かを判定する。これは、油圧回路内の圧力PinがPk2以下であるか否かを判定することに等しい。電圧測定ライン104から入力される電圧Vinが閾値電圧Vk2以下である(Vin≦Vk2)と判定されたときには、ステップS31に進み、電圧測定ライン104から入力される電圧Vinが閾値電圧Vk2を超えている(Vin>Vk2)と判定されたときには、ステップS30に進む。
【0075】
電圧測定ライン104からの入力電圧Vinが閾値電圧Vk2以下である場合(Vin≦Vk2)、ステップS31において、コントローラ12は低圧用圧力センサ31を選択するように、センサ部3とAD変換器11との間の信号ライン、ならびに、油圧回路とセンサ部3との間の油圧ラインを切り替える制御を実行する。
【0076】
コントローラ12は、センサ信号切替スイッチSW(A)および方向切替スイッチSW(B)の電磁石への通電を遮断する。センサ信号切替スイッチSW(A)がオフ位置に切り替えられると、低圧用圧力センサ31とAD変換器11とが接続されて低圧用圧力センサ31からの信号がAD変換器11を介してコントローラ12に入力される。方向切替スイッチSW(B)がオフ位置に切り替えられると、方向切替電磁弁40のばねの力により方向切替電磁弁40が切替位置(イ)に切り替えられる。つまり、ステップS31では、油圧回路からの油の圧力が低圧用圧力センサ31のみに付与されるように、且つ、低圧用圧力センサ31からのセンサ信号のみがコントローラ12に入力されるように、コントローラ12がスイッチブロック部2を制御する。
【0077】
さらに、コントローラ12は、ステップS31においてAD変換器11が低圧用圧力センサ31の測定レンジに基づいてレンジ変換するようにAD変換器11の変換テーブルの切替えを行う。
【0078】
電圧測定ライン104からの入力電圧Vinが閾値電圧Vk2を超えている場合(Vin>Vk2)、高圧用圧力センサ32が選択されるため、センサは切り替えられず、AD変換器11の変換テーブルも切り替えられない(ステップS30)。したがって、センサ部3とAD変換器11との間の信号ライン、ならびに、油圧回路とセンサ部3との間の油圧ラインが維持されて、油圧回路からの油の圧力は高圧用圧力センサ32のみに付与されるとともに、高圧用圧力センサ32からのセンサ信号のみがコントローラ12に入力される。
【0079】
ステップS30またはステップS31において、センサの選択がなされた後は、終了判定処理(ステップS32)を行い、終了と判定された場合には検出処理を終了し、終了しないと判定された場合にはステップS21に戻って検出処理を継続する。
【0080】
このように、第3の実施の形態に係る検出装置100は、低圧用圧力センサ31からの出力電圧Vinが閾値電圧Vk1以上のときには高圧用圧力センサ32を最適圧力センサとして選択し、高圧用圧力センサ32からの出力電圧Vinが閾値電圧Vk2以下のときには低圧用圧力センサ31を最適圧力センサとして選択して、最適圧力センサのみに油圧回路内の圧力が作用する構成とされている。
【0081】
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。さらに、第3の実施の形態によれば、温度センサや圧力スイッチなど、低圧用圧力センサ31および高圧用圧力センサ32とは異なる補助センサを設ける必要がなくシンプルな回路構成の検出装置100を提供することができる。
【0082】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
[変形例]
(1)第1の実施の形態では温度センサ10を補助センサとして設け、第2の実施の形態では圧力スイッチ16を補助センサとして設け、補助センサからの信号に基づいて油圧回路内の圧力を検出するセンサを切り替える構成としたが、本発明はこれに限定されない。温度センサを第1の補助センサとして設け、圧力スイッチを第2の補助センサとして、設けてもよい。この場合、第1および第2の補助センサのいずれかに不具合が生じたとしても、最適な圧力センサを確実に選択することができる。なお、第1の補助センサからのセンサ信号に基づく判定結果と、第2の補助センサからのセンサ信号に基づく判定結果とが異なる場合、どちらかに不具合が生じている可能性があるため、高圧用圧力センサ32を最適圧力センサとして選択することで、低圧用圧力センサ31に高圧が加わることを防止できる。
【0083】
(2)第1の実施の形態において、補助センサとしての温度センサ10からのセンサ信号のみに基づいて、最適な圧力センサを選択したが、本発明はこれに限定されない。温度センサ10からのセンサ信号と、圧力センサ31,32からのセンサ信号とに基づいて、最適な圧力センサを選択してもよい。これにより、上記変形例(1)と同様、温度センサ10もしくは圧力センサ31,32のどちらかに不具合が生じたとしても、高圧用圧力センサ32を選択することで、低圧用圧力センサ31に高圧が加わることを防止できる。
【0084】
(3)本発明は、低圧用圧力センサ31と高圧用圧力センサ32のうちから1つのセンサを選択する場合に限定されない。測定レンジが相互に異なる3つ以上の圧力センサを設け、油圧回路が3つ以上のセンサのうちのいずれか1つと接続されるように、油圧回路と3つのセンサとの接続を選択的に切り替えてもよい。
【0085】
(4)検出装置100に設けた複数のセンサは、圧力を検出するセンサに限定されない。温度を検出する複数のセンサを設けるとともに、補助センサとして圧力センサを設けてもよい。この場合、圧力センサによって検出された圧力値から油圧回路内の温度を推定して、複数の温度センサのうちから対応する測定レンジを有する温度センサを選択してもよい。さらに、補助センサを圧力センサに代えて温度スイッチを設けることとしてもよい。補助センサを設けることなく、複数の温度センサからの検出信号に基づいて、最適な温度センサを選択してもよい。複数のセンサのうちのいずれか1つにのみ油圧回路の熱が作用するため、最高使用温度の低い低温用温度センサが高温の油に晒されることで、経年劣化が生じる、あるいは破損するといったことが防止される。つまり、複数の温度センサの性能を長期に亘って維持できる検出装置を提供することができる。
【0086】
(5)検出装置100は、建設機械に設けられるポンプミッションの潤滑装置200に適用される場合に限定されない。種々の産業機械における油圧回路を有する駆動装置や潤滑装置、冷却装置などに適用することができる。
(6)油圧回路に接続して、油の温度や圧力を検出する場合に限定されない。水など種々の流体の温度や圧力を検出してもよい。
【0087】
(7)第3の実施の形態において、電圧測定ライン104からの電圧Vinに基づいて最適な圧力センサを選択するようにしたが本発明はこれに限定されない。電圧測定ライン104を省略して、AD変換器11からコントローラ12に入力される圧力値Pinと、閾値圧力Pk1,Pk2とを比較することで、最適な圧力センサを選択してもよい。
【0088】
(8)第3の実施の形態にのみ、閾値にヒステリシスを持たせたが、第1の実施の形態や第2の実施の形態、上記変形例に係る検出装置100において圧力センサを選択するための閾値にヒステリシスを持たせてもよい。さらに、第3の実施の形態において、閾値にヒステリシスを持たせないようにしてもよい。
【0089】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 制御装置、2 スイッチブロック部、3 センサ部、4 油圧ライン切替部、10 温度センサ、11 AD変換器、12 コントローラ、13 記録装置、16 圧力スイッチ、17 ダイオード、31 低圧用圧力センサ、32 高圧用圧力センサ、40 方向切替電磁弁、100 検出装置、102 選択信号ライン、104 電圧測定ライン、200 潤滑装置、201 エンジン、203 フィルタ、204 ポンプ、205 クーラ、300 ポンプミッション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定レンジが相互に異なる複数のセンサと、
検出対象が前記複数のセンサのうちのいずれか1つと接続されるように、検出対象と前記複数のセンサとの接続を、前記検出対象の物理量に基づいて選択的に切り替える検出対象側接続切替手段とを備えることを特徴とする検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検出装置において、
前記複数のセンサからの信号を入力する入力手段と、
前記入力手段が前記複数のセンサのうちのいずれか1つと接続されるように、前記入力手段と前記複数のセンサとの接続を、前記検出対象の物理量に基づいて選択的に切り替える入力側接続切替手段とを備えることを特徴とする検出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の検出装置において、
前記複数のセンサは、それぞれの測定レンジで相互に同じレベル範囲の電気信号を出力することを特徴とする検出装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の検出装置において、
前記複数のセンサは、所定の入力値に対して相互に異なるレベルの電気信号を出力することを特徴とする検出装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の検出装置において、
前記複数のセンサにより検出する物理量とは異なる物理量を検出する補助センサをさらに備え、
前記検出対象側接続切替手段は、前記補助センサからの信号に基づいて、検出対象が前記複数のセンサのうちのいずれか1つと接続されるように、検出対象と前記複数のセンサとの接続を選択的に切り替えることを特徴とする検出装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の検出装置において、
前記複数のセンサにより検出する物理量と同じ物理量を検出する補助センサをさらに備え、
前記検出対象側接続切替手段は、前記補助センサからの信号に基づいて、検出対象が前記複数のセンサのうちのいずれか1つと接続されるように、検出対象と前記複数のセンサとの接続を選択的に切り替えることを特徴とする検出装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の検出装置において、
前記検出対象側接続切替手段は、前記補助センサからの信号に基づいて検出対象の物理量を検出するセンサを前記複数のセンサのうちから選択する制御手段と、前記複数のセンサと検出対象との間に設けられて前記制御手段が選択したセンサと検出対象とを接続する接続手段とを備えることを特徴とする検出装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の検出装置において、
前記複数のセンサにより検出する物理量とは異なる物理量を検出する第1の補助センサと、前記複数のセンサにより検出する物理量と同じ物理量を検出する第2の補助センサとをさらに備え、
前記検出対象側接続切替手段は、前記第1の補助センサおよび前記第2の補助センサからの信号に基づいて、検出対象が前記複数のセンサのうちのいずれか1つと接続されるように、検出対象と前記複数のセンサとの接続を選択的に切り替えることを特徴とする検出装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の検出装置において、
前記複数のセンサにより検出する物理量とは異なる物理量を検出する補助センサをさらに備え、
前記検出対象側接続切替手段は、検出対象と接続されたセンサからの信号と前記補助センサからの信号とに基づいて、検出対象が前記複数のセンサのうちのいずれか1つと接続されるように、検出対象と前記複数のセンサとの接続を選択的に切り替えることを特徴とする検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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