説明

検査データ取込装置及びプログラム

【課題】検体に関する検査データをサーバに取り込む際の利便性を向上させる。
【解決手段】検査データ取込装置70は、通信ネットワークN2を介して、分析器80から検査データを取得する。検査データ取込装置70は、患者属性情報を含む医療データを記憶しているメディアM1からこの患者属性情報を取得する。検査データ取込装置70は、取得した患者属性情報を識別子として検査データに付与する。検査データ取込装置70は、この検査データを検査データ管理サーバ60に送信(出力)する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査データ取込装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病理検査や臨床検査は、患者の健康状態を把握し、病名診断を行うための重要な検査である。これらの検査では、患者から採取した血液や細胞、尿、便などの検体を検査対象とする。病理検査や臨床検査では、分析器を用いて検体を分析(検査)し、検査結果を得る。検査結果としては、検体における特性の成分量や抗体反応の有無、腫瘍マーカー値等が挙げられる。この検査結果は、患者や医療従事者の主観によらない客観的なデータである。そのため、病理検査や臨床検査において、患者を識別する必要性は低い。
【0003】
ところで、小規模な医療施設は、分析器を備えていない場合が多い。そのため、小規模な医療施設では、分析器を備えた分析センターに検体の検査を依頼する(外注する)ことが日常的に行われている。
【0004】
しかし、医療施設で管理している患者の識別子(患者ID)と、分析センターで管理している検体の識別子(検体ID)とは、対応付けられていなかった。そのため、分析センターに検体の検査を依頼する医療施設において、所望する検体の検査結果を参照することに手間が掛かってしまった。
【0005】
この問題を解決する装置として、複数の分析センターにおいて別々に管理されている各検体IDと、医療施設において管理されている患者IDとを対応付け、検体の検査結果の参照の際の橋渡しを行う検体検査結果結合サーバが開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−267373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、医療施設において、分析センターからの検査結果のデータ(検査データ)を取り込む際、この検査データに対して、患者属性(患者IDや患者名)等の識別子を手入力で付与する必要があり不便であった。更に、手入力により入力ミスを引き起こす可能性もあった。
【0007】
また、検査データに対する識別子が手入力されるまで、医療施設に検査データを取り込み、この検査データを参照することができず、時間的なロスが発生してしまった。
【0008】
特許文献1の技術では、検査データは医療施設に取り込まれず、分析センターにおいて管理されているため、上述したような検査データを取り込む場合には対応していない。
【0009】
本発明は、上述したような課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、検体に関する検査データをサーバに取り込む際の利便性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
患者から採取した検体に関する検査データを記憶管理する検査データ管理サーバと通信可能に接続された検査データ取込装置であって、
検査データを取得する第1取得手段と、
患者属性情報を含む医療データを記憶している可搬型記憶媒体から前記患者属性情報を取得する第2取得手段と、
前記取得された患者属性情報を識別子として前記取得された検査データに付与し、当該検査データを前記検査データ管理サーバに出力する制御手段と、
を備える。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記第1取得手段は、可搬型記憶媒体から検査データを取得する。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記第1取得手段は、通信可能に接続された外部機器から検査データを取得する。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明において、
前記検査データ管理サーバへの検査データの出力を指示する操作手段を更に備え、
前記制御手段は、前記識別子を画面に表示させ、前記操作手段からの指示に基づき、前記識別子を付与した検査データを前記検査データ管理サーバに出力する。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の発明において、
前記患者属性情報は、患者ID及び/又は患者名を含む。
【0015】
請求項6に記載のプログラムは、
患者から採取した検体に関する検査データを記憶管理する検査データ管理サーバと通信可能に接続されたコンピュータを、
検査データを取得する第1取得手段、
患者属性情報を含む医療データを記憶している可搬型記憶媒体から前記患者属性情報を取得する第2取得手段、
前記取得された患者属性情報を識別子として前記取得された検査データに付与し、当該検査データを前記検査データ管理サーバに出力する制御手段、
として機能させる。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、
前記第1取得手段は、可搬型記憶媒体から検査データを取得する。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、
前記第1取得手段は、通信可能に接続された外部機器から検査データを取得する。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項6〜8の何れか一項に記載の発明において、
前記コンピュータを、
前記検査データ管理サーバへの検査データの出力を指示する操作手段、
として更に機能させ、
前記制御手段は、前記識別子を画面に表示させ、前記操作手段からの指示に基づき、前記識別子を付与した検査データを前記検査データ管理サーバに出力する。
【0019】
請求項10に記載の発明は、請求項6〜9の何れか一項に記載の発明において、
前記患者属性情報は、患者ID及び/又は患者名を含む。
【発明の効果】
【0020】
請求項1、6に記載の発明によれば、検査データ取込装置は、検査データを取得する。また、検査データ取込装置は、患者属性情報を含む医療データを記憶している可搬型記憶媒体から患者属性情報を取得する。そして、検査データ取込装置は、取得した患者属性情報を識別子として、取得した検査データに付与する。検査データ取込装置は、この検査データを検査データ管理サーバに出力する。
【0021】
そのため、ユーザは、識別子を手入力する必要がなく、検体に関する検査データをサーバに取り込む際の利便性を向上させることができる。
【0022】
請求項2、7に記載の発明によれば、検査データ取込装置は、可搬型記憶媒体から検査データを取得する。そのため、可搬型記憶媒体からサーバに検査データを取り込む際の利便性を向上させることができる。
【0023】
請求項3、8に記載の発明によれば、検査データ取込装置は、通信可能に接続された外部機器から検査データを取得する。そのため、外部機器からサーバに検査データを取り込む際の利便性を向上させることができる。
【0024】
請求項4、9に記載の発明によれば、検査データ取込装置は、識別子を画面に表示させる。そして、検査データ取込装置は、操作手段からの指示に基づき、この識別子を付与した検査データを検査データ管理サーバに出力する。そのため、ユーザは、検査データへの付与前に識別子を確認することができる。
【0025】
請求項5、10に記載の発明によれば、患者ID及び/又は患者名に基づいて、サーバに取り込んだ検査データを識別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0027】
[診断システムのシステム構成]
図1に、診断システム100のシステム構成を示す。
【0028】
診断システム100は、開業医やクリニック等の比較的小規模の医療施設に適用される。診断システム100は、医事会計システム10と、クライアントPC20と、電子カルテサーバ30と、医用画像サーバ40と、モダリティ50と、検査データ管理サーバ60と、検査データ取込装置70と、から構成されている。上記の各装置及びシステムはLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークN1を介してデータ通信可能に接続されている。更に、上記の各装置及びシステムは、インターネット等の通信ネットワークN2を介して分析センターに設置された分析器80とデータ通信可能に接続されている。
【0029】
モダリティ50は、患者の診断対象部位を被写体として撮影を行い、撮影した画像をデジタル変換して医用画像を生成する画像生成装置である。医用画像は、医療の分野で読影診断に用いられる画像である。モダリティ50は、生成した医用画像に付帯情報を付帯させ、DICOM規格に則ったDICOM準拠画像データを生成する。付帯情報には、患者の属性を示す患者属性情報が含まれる。モダリティ50は、生成したDICOM準拠画像データを医用画像サーバ40に送信する。モダリティ50としては、超音波診断装置(US)やFPD(Flat Panel Detector)等が適用可能である。
【0030】
医用画像サーバ40は、モダリティ50において生成されたDICOM準拠画像データを記憶し、管理する(記憶管理する)。医用画像サーバ40としてPACS(Picture Archiving and Communication System)等が適用可能である。
【0031】
医用画像サーバ40は、外部機器から医用画像取得要求を受信した場合、当該取得要求に応じたDICOM準拠画像データを当該外部機器に送信(提供)する。
【0032】
メディアM1は、患者属性情報を含む医療データを記憶している可搬型記憶媒体(CD−R、フロッピー(登録商標)ディスク等)である。医療データとは、医用画像、読影レポート、紹介状等の情報である。例えば、メディアM1は、IHE(Integrating Healthcare Enterprise)およびIHE−J(Integrating Healthcare Enterprise - Japan)のPDI(Portable Data for Imaging)によって定められたデータ構造に則って、DICOM準拠画像データ(患者属性情報を含む医療データ)を記憶している。
【0033】
分析器80は、患者から採取した血液や尿等の検体を分析(検査)し、分析結果としての検査データを生成する。検査データには、一又は複数の検査項目が含まれる。例えば、検体が血液である場合、検査データには、「総蛋白」「GOT」「GPT」「LDH」等の項目が含まれる。分析器80は、生成した検査データを通信ネットワークN2を介して検査データ取込装置70に送信する。分析センターでは、各医療施設からの検査依頼に応じて、これらの医療施設から持ち込まれた検体を分析器80により分析し、分析結果である検査データを提供する。
【0034】
検査データ取込装置70は、後述する検査データ管理サーバ60に検査データを取り込むための装置である。検査データ取込装置70は、通信ネットワークN2を介して分析器80から検査データを受信する。検査データ取込装置70は、受信した検査データに対して各種処理を施し、この検査データを、HL7規格に則ったHL7準拠検体検査結果データとして検査データ管理サーバ60に送信する。この各種処理の一つとして、検査データ取込装置70は、検査データに識別子を付与する。
【0035】
検査データ取込装置70は、メディアM1から患者属性情報を読み出す(取得する)。例えば、検査データ取込装置70は、メディアM1に記憶されているDICOM準拠画像データに含まれる付帯情報から患者属性情報を抽出し、この患者属性情報を取得する。検査データ取込装置70は、取得した患者属性情報を識別子として検査データに付与する。
【0036】
検査データ管理サーバ60は、検査データ取込装置70から送信(出力)されたHL7準拠検体検査結果データを記憶し、管理する(記憶管理する)。検査データ管理サーバ60は、外部機器から検査データ取得要求を受信した場合、この取得要求に応じたHL7準拠検体検査結果データを外部機器に送信(提供)する。
【0037】
図2に、検査データのデータフローを示す。まず、分析センターに設置された分析器80において、検査データが生成される。次に、検査データは、通信ネットワークN2を介して検査データ取込装置70に送信される。次に、検査データは、検査データ取込装置70において、メディアM1から取得された患者属性情報を識別子として付与され、HL7準拠検体検査結果データとして検査データ管理サーバ60に送信される。そして、検査データは、HL7準拠検体検査結果データとして検査データ管理サーバ60に記憶管理される。
【0038】
図1に戻り、医事会計システム10は、来院した患者の受付登録、会計計算、保険点数計算等を行うためのコンピュータ装置である。医事会計システム10は、ユーザの操作により来院した患者の受付登録を行うと、来院情報を生成する。医事会計システム10は、生成した来院情報を記憶し管理する(記憶管理する)。医事会計システム10は、生成した来院情報を電子カルテサーバ30に送信する。来院情報は、患者の来院日時や保険証番号等を示す情報である。来院情報は、来院した患者の属性を示す患者属性情報を含む。
【0039】
医事会計システム10は、電子カルテサーバ30から処方データを受信(取得)する。処方データとは、診断の処置内容や患者に処方する薬等を示す情報である。処方データは、患者の属性を示す患者属性情報を含む。医事会計システム10は、受信した処方データと生成した来院情報とに基づいて、来院した患者の会計計算や保険点数計算を行う。
【0040】
電子カルテサーバ30は、クライアントPC20において作成された診療録データ(患者の病状や診断結果等の情報)や処方データを記憶し、管理する(記憶管理する)。電子カルテサーバ30は、医事会計システム10から受信した来院情報を記憶し、管理する(記憶管理する)。電子カルテサーバ30は、記憶管理している処方データを医事会計システム10に送信する。
【0041】
電子カルテサーバ30は、外部機器から来院情報取得要求を受信した場合、この取得要求に応じた来院情報を外部機器に送信(提供)する。
【0042】
クライアントPC20は、電子カルテサーバ30、医用画像サーバ40、検査データ管理サーバ60等のクライアント端末である。クライアントPC20は、医療施設の診療室等に設置される。医師は、クライアントPC20を利用して患者の診断を行う。
【0043】
クライアントPC20は、ユーザの操作による操作信号等に基づき、医用画像サーバ40に医用画像取得要求を送信し、当該取得要求に応じたDICOM準拠画像データを取得する。クライアントPC20は、当該DICOM準拠画像データに基づき画面に医用画像を表示する。
【0044】
クライアントPC20は、ユーザの操作による操作信号等に基づき、検査データ管理サーバ60に検査データ取得要求を送信し、当該取得要求に応じたHL7準拠検体検査結果データを取得する。クライアントPC20は、当該HL7準拠検体検査結果データに基づき画面に検査データを表示する。
【0045】
クライアントPC20は、ユーザの操作による操作信号等に基づき、電子カルテサーバ30に来院情報取得要求を送信し、当該取得要求に応じた来院情報を取得する。
【0046】
クライアントPC20は診療録データ作成機能を有する。クライアントPC20は、ユーザの操作による操作信号や、電子カルテサーバ30から取得した来院情報等に基づき、診療録データや処方データを作成する。クライアントPC20は、作成した診療録データや処方データを電子カルテサーバ30に送信する。電子カルテサーバ30は、送信された診療録データや処方データを保存する。
【0047】
[検査データ管理サーバの機能的構成]
図3に、検査データ管理サーバ60の機能的構成を示す。
【0048】
図3に示すように、検査データ管理サーバ60は、制御部61、操作部62、表示部63、通信部64、記憶部65を備えて構成され、各部はバス66により接続されている。
【0049】
制御部61は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、検査データ管理サーバ60の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、操作部62から入力される操作信号又は通信部64により受信される指示信号に応じて、記憶部65に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、RAM内に形成されたワークエリアに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0050】
操作部62は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部61に出力する。
【0051】
表示部63は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、制御部61から入力される表示データに基づいて各種画面を表示する。
【0052】
通信部64は、LAN(Local Area Network)アダプタ、ルータ、TA(Terminal Adapter)等を備え、通信ネットワークN1を介して接続された検査データ取込装置70、クライアントPC20等の外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0053】
記憶部65は、ハードディスク等から構成され、制御プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやファイル等を記憶している。また、記憶部65は、一又は複数のHL7準拠検体検査結果データを記憶する。また、記憶部65は、HL7準拠検体検査結果データを管理するデータベースプログラムを記憶する(図示せず)。
【0054】
制御部61は、記憶部65に記憶されたデータベースプログラムと協働して、記憶部65に記憶されているHL7準拠検体検査結果データを管理する。
【0055】
制御部61は、通信部64を介して、検査データ取込装置70からHL7準拠検体検査結果データを受信すると、当該HL7準拠検体検査結果データを記憶部65に記憶させ、データベースに登録する(管理する)。
【0056】
制御部61は、通信部64を介して、外部機器から検査データ取得要求を受信すると、当該検査データ取得要求に応じたHL7準拠検体検査結果データを記憶部65から読み出す。そして、制御部61は、通信部64を介して、当該読み出したHL7準拠検体検査結果データを外部機器に送信(提供)する。
【0057】
[検査データ取込装置の機能的構成]
図4に、検査データ取込装置70の機能的構成を示す。
【0058】
図4に示すように、検査データ取込装置70は、制御部71、操作部72、表示部73、通信部74、記憶部75、メディアドライブ76を備えて構成され、各部はバス77により接続されている。
【0059】
制御部71は、CPU、RAM等から構成され、検査データ取込装置70の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、操作部72から入力される操作信号又は通信部74により受信される指示信号に応じて、記憶部75に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、RAM内に形成されたワークエリアに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0060】
操作部72は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部71に出力する。
【0061】
表示部73は、LCDにより構成され、制御部71から入力される表示データに基づいて各種画面を表示する。
【0062】
通信部74は、LANアダプタ、ルータ、TA等を備え、通信ネットワークN1を介して接続された検査データ管理サーバ60、通信ネットワークN1及び通信ネットワークN2を介して接続された分析器80等の外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0063】
記憶部75は、ハードディスク等から構成され、制御プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやファイル等を記憶している。また、記憶部75は、検査データ取込プログラム751を記憶している。
【0064】
メディアドライブ76は、制御部71からの制御信号に基づき、メディアM1等の可搬型記憶媒体に記憶されている各種データを読み出す。また、メディアドライブ76は、制御部71からの制御信号に基づき、可搬型記憶媒体に各種データを書き込む。
【0065】
制御部71は、検査データ取込プログラム751と協働して、次のように機能する。即ち、制御部71は、通信部74を介して、分析器80から検査データを受信(取得)する。また、制御部71は、メディアドライブ76を介して、メディアM1から患者属性情報を取得する。制御部71は、取得した患者属性情報を識別子として検査データに付与する。そして、制御部71は、この検査データをHL7準拠検体検査結果データとして検査データ管理サーバ60に通信部74を介して送信(出力)する。
【0066】
図5に、検査データのデータ構成と、HL7準拠検体検査結果データのデータ構成を示す。
【0067】
図5に示すように、検査データは、検体識別情報、容器識別情報及び結果識別情報を含む。検体識別情報は、検体ID、採取方法、採取量、採取日時、受領日時等の検体に関する情報である。容器識別情報は、容器ID、容器容積、添加物、希釈率、温度等の容器に関する情報である。結果識別情報は、検査項目、検査値、単位、基準値、実施者、分析日時、装置ID等の検査結果に関する情報である。
【0068】
HL7準拠検体検査結果データは、ヘッダ情報、患者識別情報(患者属性情報)、来院識別情報(来院情報)、検体識別情報、容器識別情報、結果識別情報及び検査識別情報を含む。患者識別情報は、患者ID、患者名、生年月日、性別等の患者に関する情報(患者属性情報)である。来院識別情報は、来院番号、来院日時、患者ID、保険証番号等の患者の来院に関する情報(来院情報)である。検査識別情報は、検査目的、検査内容、取込日時等の検査に関する情報である。
【0069】
図4に戻り、制御部71は、分析器80から検査データ(検体識別情報、容器識別情報及び結果識別情報)を受信すると、この検査データにヘッダ情報、患者識別情報、来院識別情報、検査識別情報等を加えてHL7準拠検体検査結果データを生成する。ここで、患者識別情報、来院識別情報、検査識別情報は空のデータ(無効値)である。
【0070】
そして、メディアドライブ76にメディアM1がセットされると、制御部71は、メディアドライブ76を介してメディアM1から患者属性情報を取得する。制御部71は、取得した患者属性情報に含まれる「患者ID」と「患者名」の値を、検査データに加えた患者識別情報に含まれる「患者ID」「患者名」の値に反映する(付与する)。ここでは、取得した患者属性情報に含まれる「患者ID」の値が「0000000001」、「患者名」の値が「Yukawa^Manabu」であるとする。また、制御部71は、取得した患者属性情報に含まれる「生年月日」「性別」等の値を、検査データに加えた患者識別情報に含まれる「生年月日」「性別」等の値に反映する(付与する)。この「患者ID」「患者名」等のような患者属性情報は検査データの識別子である。
【0071】
次に、制御部71は、HL7準拠検体検査結果データを検査データ管理サーバ60に通信部74を介して送信する。
【0072】
[診断システムにおける各装置の具体的な動作]
次に、診断システム100において実行される各装置の具体的な動作について、図6を用いて説明する。
【0073】
ある患者が、外部の医療施設Bからの紹介で、診断システム100を備える医療施設Aに来院したとする。そして、この患者は、医療施設Bにおいて撮影し生成されたDICOM準拠画像データを記憶したメディアM1を持参している。
【0074】
医療施設Aの医師が、この患者に対して検体検査が必要であると判断した場合、患者から検体を採取する。そして、この検体は、容器に格納されて分析センターに送られる。
【0075】
分析センターに設置された分析器80は、この検体を分析し、検査項目毎に結果を取得し、検査データを生成する(ステップS1)。例えば、検体が血液の場合、検査データの結果識別情報には、複数の検査項目「総蛋白」「GOT」「GPT」「LDH」が含まれる。そして、結果識別情報には、これらの各検査項目に対応する「検査値」「単位」「基準値」「実施者」「分析日時」「装置ID」が含まれる。
【0076】
次に、分析器80は、生成した検査データを通信ネットワークN2を介して検査データ取込装置70に送信する(ステップS2)。
【0077】
検査データ取込装置70の制御部71は、受信した検査データに空のデータである患者識別情報等を加えて、HL7準拠検体検査結果データを生成する。制御部71は、HL7準拠検体検査結果データに基づいて、検査結果表示画面731(図7(a)参照)を表示部73に表示する(ステップS3)。検査結果表示画面731は、検査データ(検査結果)を表示する画面である。
【0078】
図7(a)に検査結果表示画面731の画面例を示す。図7(a)に示すように、検査結果表示画面731には、検査データに含まれる検体識別情報に基づいて検体管理番号(「検体ID」に対応)、検体採取日時(「採取日時」に対応)が表示される。また、検査結果表示画面731には、検査データに含まれる結果識別情報に基づいて検査項目「総蛋白」、「GOT」、「GPT」、「LDH」に対応する「検査値」が表示される。また、検査結果表示画面731には、患者識別情報の「患者ID」「患者名」の値を表示する為の患者ID表示領域e1、患者名表示領域e2が表示される。ここで、患者識別情報は空のデータである。そのため、患者ID表示領域e1、患者名表示領域e2は、それぞれ空欄となる。
【0079】
また、検査結果表示画面731には、読込ボタンb1が表示される。読込ボタンb1は、メディアドライブ76にセットされたメディアM1から患者属性情報を取得するためのボタンである。
【0080】
図6に戻り、医師等のユーザは、患者が持参したメディアM1をメディアドライブ76にセットする。そして、ユーザは、読込ボタンb1を押下する。
【0081】
制御部71は、このユーザ操作による操作部72からの操作信号に基づき、メディアM1に記憶されているDICOM準拠画像データに含まれる付帯情報から患者属性情報を抽出し、この患者属性情報を取得する(ステップS4)。尚、メディアM1に複数の患者に対応するDICOM準拠画像データが格納されている場合、制御部71は、これらの各患者に対応する患者属性情報のリストを表示部73に表示させ、ユーザ操作による操作部72からの操作信号に基づいて、取得する患者属性情報を選択する構成としてもよい。
【0082】
そして、制御部71は、ステップS4において取得した患者属性情報に含まれる「患者ID」の値「0000000001」、「患者名」の値「Yukawa^Manabu」を表示部73に表示する。具体的に、これらの値は、検査結果表示画面731の患者ID表示領域e1、患者名表示領域e2にそれぞれ表示される。
【0083】
図7(b)に、ステップS4において取得した患者属性情報に含まれる「患者ID」及び「患者名」の値が表示される検査結果表示画面731の画面例を示す。図7(b)に示すように、患者ID表示領域e1には、取得した患者属性情報に含まれる「患者ID」の値「0000000001」が表示される。また、患者名表示領域e2には、取得した患者属性情報に含まれる「患者名」の値「Yukawa^Manabu」が表示される。
【0084】
また、検査結果表示画面731には、新たに送信ボタンb2が表示される。送信ボタンb2は、ステップS4において取得した患者属性情報を、HL7準拠検体検査結果データに含まれる患者識別情報に反映し、このHL7準拠検体検査結果データを検査データ管理サーバ60に送信するためのボタンである。この送信ボタンb2を設けることで、ユーザは、識別子を検査データに付与する前に、付与する識別子を確認することができる。
【0085】
図6に戻り、医師等のユーザは、検査結果表示画面731の患者ID表示領域e1、患者名表示領域e2に表示されている「患者ID」「患者名」を確認し、送信ボタンb2を押下する。制御部71は、このユーザ操作による操作部72からの操作信号に基づき、ステップS4において取得した患者属性情報を、HL7準拠検体検査結果データに含まれる患者識別情報に反映する。即ち、制御部71は、取得した患者属性情報を識別子として検査データに付与する(ステップS5)。そして、制御部71は、このHL7準拠検体検査結果データを検査データ管理サーバ60に送信する(ステップS6)。
【0086】
検査データ管理サーバ60の制御部61は、通信部64を介して、検査データ取込装置70からHL7準拠検体検査結果データを受信すると、このHL7準拠検体検査結果データを記憶部65に記憶させ(保存し)、データベースに登録する(ステップS7)。
【0087】
医師は、クライアントPC20において、ステップS5で付与された患者IDや患者名に基づいてHL7準拠検体検査結果データを検索する旨のユーザ操作を行う。クライアントPC20は、ステップS5で付与された患者IDや患者名を含む検査データ取得要求を生成し、検査データ管理サーバ60に送信する。検査データ管理サーバ60の制御部61は、受信した検査データ取得要求に含まれる患者IDや患者名に基づいて、取得要求に応じたHL7準拠検体検査結果データを記憶部65から読み出す。そして、制御部61は、当該読み出したHL7準拠検体検査結果データをクライアントPC20に送信する。クライアントPC20は、このHL7準拠検体検査結果データを受信(取得)する。
【0088】
クライアントPC20は、ユーザの操作による操作信号に基づいて、HL7準拠検体検査結果データに基づく検査データを画面に表示する。
【0089】
以上、第1の実施の形態によれば、検査データ取込装置70の制御部71は、通信部74を介して、分析器80から検査データを取得する。制御部71は、メディアドライブ76を介して、メディアM1から患者属性情報を取得する。制御部71は、取得した患者属性情報を識別子として検査データに付与する。制御部71は、通信部74を介して、この検査データを検査データ管理サーバ60に送信(出力)する。
【0090】
このため、ユーザは、分析器80から送信される検査データを検査データ管理サーバ60に取り込む際、患者が持参したメディアM1に記憶されている患者属性情報を検査データ取込装置70に読み込ませるのみで、「患者ID」「患者名」「年齢」「性別」等の患者属性情報を識別子として検査データに付与させることができる。即ち、ユーザは、「患者ID」「患者名」「年齢」「性別」等の値を手入力する必要が無い。よって、検査データを検査データ管理サーバ60に取り込む際の利便性を向上させることができる。
【0091】
また、検査データは、診断システム100に取り込まれる。そのため、ユーザは、自システム(診断システム100)内において、検査データ取込装置70により付与された識別子に基づいて、所望の検査データを参照することができる。
【0092】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、検査データ取込装置70が、通信ネットワークN2を介して分析器80から検査データを受信する代わりに、検査データ取込装置70が、可搬型記憶媒体から検査データを読み込む構成となっている。ここでは主に、第1の実施の形態と異なる構成について説明する。
【0093】
[診断システムのシステム構成]
図8に、診断システム100のシステム構成を示す。
【0094】
診断システム100は、医事会計システム10と、クライアントPC20と、電子カルテサーバ30と、医用画像サーバ40と、モダリティ50と、検査データ管理サーバ60と、検査データ取込装置70と、から構成されている。上記の各装置及びシステムはLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークN1を介してデータ通信可能に接続されている。また、分析センターには、分析器80が設置されている。
【0095】
分析器80は、患者から採取した血液や尿等の検体を分析(検査)し、分析結果としての検査データを生成する。分析器80は、生成した検査データを可搬型記憶媒体であるメディアM2に書き込む。分析センターでは、各医療施設からの検査依頼に応じて、これらの医療施設から持ち込まれた検体を分析器80により分析し、検査データが書き込まれたメディアM2を各医療施設に提供する。
【0096】
検査データ取込装置70は、メディアM2から検査データを読み出す。検査データ取込装置70は、読み出した検査データに対して各種処理を施し、この検査データをHL7準拠検体検査結果データとして検査データ管理サーバ60に送信する。この各種処理の一つとして、検査データ取込装置70は、検査データに識別子を付与する。
【0097】
図9に、検査データのデータフローを示す。まず、分析センターに設置された分析器80において、検査データが生成される。次に、分析器80において、検査データがメディアM2に書き込まれる。このメディアM2は、医療施設Aの診断システム100に移送される。そして、検査データ取込装置70において、検査データは、メディアM2から読み出される。そして、検査データは、検査データ取込装置70において、メディアM1から取得された患者属性情報を識別子として付与され、HL7準拠検体検査結果データとして検査データ管理サーバ60に送信される。そして、検査データは、HL7準拠検体検査結果データとして検査データ管理サーバ60に記憶管理される。
【0098】
[検査データ取込装置の機能的構成]
検査データ取込装置70の制御部71は、検査データ取込プログラム751と協働して、次のように機能する。即ち、制御部71は、メディアドライブ76を介して、メディアM2から検査データを読み出す(取得する)。また、制御部71は、メディアドライブ76を介して、メディアM1から患者属性情報を取得する。制御部71は、取得した患者属性情報を識別子として検査データに付与する。そして、制御部71は、この検査データをHL7準拠検体検査結果データとして検査データ管理サーバ60に通信部74を介して送信(出力)する。尚、制御部71が、検査データに識別子を付与する処理については、第1の実施の形態に記載の処理と同様である。
【0099】
以上、第2の実施の形態によれば、検査データ取込装置70の制御部71は、メディアドライブ76を介して、メディアM2から検査データを取得する。また、制御部71は、メディアドライブ76を介して、メディアM1から患者属性情報を取得する。制御部71は、取得した患者属性情報を識別子として検査データに付与する。制御部71は、通信部74を介して、この検査データを検査データ管理サーバ60に送信(出力)する。
【0100】
このため、ユーザは、メディアM2に記憶されている検査データを検査データ管理サーバ60に取り込む際、患者が持参したメディアM1に記憶されている患者属性情報を検査データ取込装置70に読み込ませるのみで、「患者ID」「患者名」「年齢」「性別」等の患者属性情報を識別子として検査データに付与させることができる。即ち、ユーザは、「患者ID」「患者名」「年齢」「性別」等の値を手入力する必要が無い。よって、検査データを検査データ管理サーバ60に取り込む際の利便性を向上させることができる。
【0101】
尚、第1、第2の実施の形態における記述は、本発明に係る検査データ取込装置の一例であり、これに限定されるものではない。システム及び各装置の細部構成及び細部動作に関しても適宜変更可能である。
【0102】
例えば、検査データ取込装置70は、メディアM1から患者属性情報を取得するとしたが、以下のような構成としてもよい。即ち、検査データ取込装置70は、赤外線通信機能を備える。検査データ取込装置70は、患者属性情報を記憶している携帯電話端末等からこの患者属性情報を赤外線通信機能により取得する。
【0103】
また、本実施の形態では、プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な媒体として可搬型記憶媒体やハードディスクを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ等を適用することが可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の第1の実施の形態における診断システムのシステム構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における検査データのデータフローを示す図である。
【図3】検査データ管理サーバのブロック図である。
【図4】検査データ取込装置のブロック図である。
【図5】検査データ及びHL7準拠検体検査結果データのデータ構成図である。
【図6】診断システムにおいて実行される処理を示すラダーチャートである。
【図7】検査結果表示画面の画面例である。
【図8】本発明の第2の実施の形態における診断システムのシステム構成図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態における検査データのデータフローを示す図である。
【符号の説明】
【0105】
10 医事会計システム
20 クライアントPC
30 電子カルテサーバ
40 医用画像サーバ
50 モダリティ
60 検査データ管理サーバ
61 制御部
62 操作部
63 表示部
64 通信部
65 記憶部
66 バス
70 検査データ取込装置
71 制御部
72 操作部
73 表示部
74 通信部
75 記憶部
76 メディアドライブ
77 バス
80 分析器
100 診断システム
731 検査結果表示画面
751 検査データ取込プログラム
M1 メディア
M2 メディア
N1 通信ネットワーク
N2 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者から採取した検体に関する検査データを記憶管理する検査データ管理サーバと通信可能に接続された検査データ取込装置であって、
検査データを取得する第1取得手段と、
患者属性情報を含む医療データを記憶している可搬型記憶媒体から前記患者属性情報を取得する第2取得手段と、
前記取得された患者属性情報を識別子として前記取得された検査データに付与し、当該検査データを前記検査データ管理サーバに出力する制御手段と、
を備える検査データ取込装置。
【請求項2】
前記第1取得手段は、可搬型記憶媒体から検査データを取得する、
請求項1に記載の検査データ取込装置。
【請求項3】
前記第1取得手段は、通信可能に接続された外部機器から検査データを取得する、
請求項1に記載の検査データ取込装置。
【請求項4】
前記検査データ管理サーバへの検査データの出力を指示する操作手段を更に備え、
前記制御手段は、前記識別子を画面に表示させ、前記操作手段からの指示に基づき、前記識別子を付与した検査データを前記検査データ管理サーバに出力する、
請求項1〜3の何れか一項に記載の検査データ取込装置。
【請求項5】
前記患者属性情報は、患者ID及び/又は患者名を含む、
請求項1〜4の何れか一項に記載の検査データ取込装置。
【請求項6】
患者から採取した検体に関する検査データを記憶管理する検査データ管理サーバと通信可能に接続されたコンピュータを、
検査データを取得する第1取得手段、
患者属性情報を含む医療データを記憶している可搬型記憶媒体から前記患者属性情報を取得する第2取得手段、
前記取得された患者属性情報を識別子として前記取得された検査データに付与し、当該検査データを前記検査データ管理サーバに出力する制御手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項7】
前記第1取得手段は、可搬型記憶媒体から検査データを取得する、
請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記第1取得手段は、通信可能に接続された外部機器から検査データを取得する、
請求項6に記載のプログラム。
【請求項9】
前記コンピュータを、
前記検査データ管理サーバへの検査データの出力を指示する操作手段、
として更に機能させ、
前記制御手段は、前記識別子を画面に表示させ、前記操作手段からの指示に基づき、前記識別子を付与した検査データを前記検査データ管理サーバに出力する、
請求項6〜8の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項10】
前記患者属性情報は、患者ID及び/又は患者名を含む、
請求項6〜9の何れか一項に記載のプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−146344(P2010−146344A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323671(P2008−323671)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】