説明

検査室試験結果を自動検証するシステムおよび方法

【課題】検査室試験結果を自動検証するシステムおよび方法の提供。
【解決手段】臨床試験結果を自動検証する方法は、グラフィカルユーザインタフェース上にフローチャートとして自動検証プロセスを表示するステップを備える。自動検証プロセスは、複数のノードと、ノードを接続する複数のエッジとによって定義される。自動検証プロセスは、結果を評価し、試験結果が所定の基準を満たすか否かを判断するように構成される。本方法は、試験結果を受信するステップと、試験結果に対し自動検証プロセスを自動的に実行するステップとをさらに備える。自動検証プロセスを生成し、実装するためのシステムは、フローチャートとして自動検証プロセスを表示するように構成される、グラフィカルユーザインタフェースを備える。本システムは、検査室分析器から臨床試験結果を受信するように構成される入力を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(分野)
本開示は、検査室試験の分野に関し、特に、臨床診断試験および臨床前試験ならびに関連する検査室試験結果の検証とに関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
臨床診断試験は、患者の種々の病状を診断する際の補助として、医療関係機関において一般的に使用される。臨床診断試験は、検査室が患者からの標本/試料に対する分析を実行するそれらの試験を指す。本明細書で使用されるように、用語「試料」または「標本」は、血液、尿、組織、唾液、または他の身体物質を含むが、それらに限定されず、身体から抽出されるそのような物質を指すことが意図される。患者試料の分析後、検査室は、試験結果を生成する。次いで、試験結果は、医師または他の医療専門家によって使用され、1つ以上の病状診断の際の補助となる。
【0003】
臨床診断試験に加えて、標本はまた、臨床前試験等の他の環境において分析されてもよい。臨床前試験は、薬物またはデバイスが、種々の試料を使用する検査室設定において試験される状況を指す。例えば、新規薬物が患者に投与されてもよく、患者の血液は、患者に及ぼす薬物の効果を判断するためにモニタリングされてもよい。本明細書で使用されるように、用語「臨床試験結果」は、臨床診断試験および/または臨床前試験から生成される試験結果を指すように意図される。
【0004】
病院検査室では、臨床診断試験のための試験指示は、医師から伝えられ、患者試料を伴って、検査室で受信される。患者試料は、試験結果を取得するために、1つ以上の検査室機器で分析される。患者試料を分析するために使用される検査室分析器の実施例として、流動血球計算器、血液分析器、免疫測定分析器、および電気泳動分析器を含む。また、多数の他の検査室分析器を使用して、患者試料を分析してもよいことが認識されるであろう。さらに、手動試験はまた、検査室技術者によって試料に対し実行され、試験指示のための試験結果を提供してもよい。試料が検査室で分析されると、試験指示が履行されたことが、試験結果の形態で医師に返信される。多くの環境では、試験指示は、電子的に受信され、試験結果は、ローカルエリアネットワークを介して電子的に報告され、種々の情報システムへのアクセスを提供する。
【0005】
検査室技術者が診断試験を実行または監督する一つの業務は、検査室分析器または手動試験から得られる試験結果を検証することである。多くの問題が試料収集および試験処理の間に発生し得るので、検証の必要が存在する。例えば、患者試料が誤ったラベルを付けられて、間違った患者に関連して報告される試験結果が生じ得る。別の実施例として、患者試料が不適切に引き出されるか、または不適切に取り扱われたために、試料汚染および誤った試験結果を生じ得る。さらに、検査室分析器が誤動作または較正からドリフトして、分析器に誤った結果を報告させてしまう。
【0006】
異常な試験結果は、必ずしも誤った結果を示すわけではないが、代わりに、深刻な医療問題を示す場合がある。そのような場合、検査室技術者は、試験結果をデータベースを介して電子的に利用可能にする通常の報告手順に加え、医師または他の医療専門家に直ちに試験結果を報告することが重要である場合がある。これらの状況では、危機状態を示す試験結果は、検査室技術者が、電話または直接等によって、緊急かつ確認された報告を医師に行うことが必要となる場合がある。
【0007】
疑わしいか、または異常な試験結果は、技術者のワークフローに重大な影響を及ぼす場合がある。不確かな、または異常な結果を伴う試験は、技術者によって再実行され、異常な試験結果の有効性を確認する必要がある場合がある。検査室機器に対して、試料濃度が高過ぎると考えられる特定の再実行状況下では、再実行試験を実行する前に、試料の希釈が必要である場合がある。さらに、特定の試験または試験結果は、事後試験を指示または中止させる場合がある。例えば、異常に低いかまたは高い試験結果は、以前の試験結果が正確であることを確認するために、以前に実行された試験の再実行を必要とする場合がある。試験を実行し、試験結果を評価し、試験を再実行し、試験結果を再計算し、試験結果を医療専門家に報告する本プロセスは、検査室を管理する業務およびそのワークフローを複雑な業務にする。
【0008】
試験結果を評価するステップは、多くの場合、コンピュータによって自動的に実行することができる。コンピュータを使用して、検査室試験結果を自動的に評価する本プロセスは、自動検証(または、自動有効化)と呼ばれる。自動検証を使用して、検査室分析器からの試験結果は、評価のためにコンピュータに送信される。コンピュータが、試験結果が検査室によって確立された所定の基準を満たすと判断する場合、試験結果は、承認され、医師に自動的に公表される。自動検証が失敗した試験結果は、検査室技術者による手動レビューのために保留される。手動レビューに応じて、検査室技術者は、試験結果の公表、新規試験の要求、新規患者試料の要求、検査室分析器の点検の要求、入力データの確認要求、または種々の他の動作等の特定動作を決定してもよい。
【0009】
多くの臨床診断検査室では、検査室業務は、本システムによって自動化されてもよい。例えば、多くの試験は自動的に指示または中止することができる。希釈は、いくつかの分析器によって実行することができ、ロボットまたは他の設備は、試料を自動的に再実行させることができる。したがって、検査室技術者は、検査室における多くの重要な業務を保有しながら、自動化によって、技術者の必要とされる業務の数を低減し、臨床診断検査室におけるプロセスをより効率的にすることに役に立っている。
【0010】
臨床診断検査室からの実際の試験結果の公表は、典型的には、段階分けされる。特に、検査室分析器からの「生の」試験結果は、典型的には、検査室情報システム(「LIS」)と称される場合が多い、検査室独自のデータベースおよびコンピュータシステムに留保される。これらの生の試験結果は、典型的には、検査室によって承認されるまで、検査室外部での閲覧用に公表されることはない。前述のように、生の試験結果は、自動検証プロセスによって自動的に、または検査室技術者による追随レビューによって手動で、承認されてもよい。試験結果が承認されると、試験結果は、病院情報システム(「HIS」)と称される場合が多い、病院または他の医療施設のデータベースおよびコンピュータシステムに公表される。医師および他の医療供給者は、HISにおいて、承認済試験結果へのアクセスを有するが、検査室スタッフのみがLISにおける未承認結果へのアクセスを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
既存検査室情報システムは、試験指示が受信されるか、試験結果が取得されるか、および/または結果がHISにアップロードされる際に、コンピュータによって評価される一連の「if/then」ルールをユーザに書き込ませることによって、自動検証能力の提供を試みる。これらのif/thenルールは、本質的には、テキストベースのプログラミング言語を意味し、ユーザは、提供される言語によって完全自動検証プロセスを書き込むことが期待される。しかしながら、検査室技術者は、典型的には、コンピュータプログラミング技術において訓練されておらず、一般的テキストベースの言語に基づいて、自動検証ルールを書き込むことは困難である。加えて、熟練したプログラマにとってさえ、提供される言語は、典型的には、厄介であって、プログラマは、テキスト命令文の理解しづらいリストとして表示される、所望の自動検証ルールの特定の側面を無視しやすい。さらに、そのようなシステムを使用して自動検証プロセスが定義されると、一連のテキストの「if/then」命令文は追従が困難であるため、検査室技術者は、後に定義された自動検証プロセスを引き出して、プロセス内のワークフローを容易に判断することが難しい。故に、本システムを使用して生成される自動検証プロセスが、ユーザによって容易に定義され、後にユーザに提示される際に、迅速かつ容易に理解される自動検証システムを提供することが有利であるだろう。
【0012】
自動検証ルールを定義するために使用される厄介な言語に加え、既存システムはまた、自動検証プロセスに関連付けられた追加ワークフローの対処において、技術者を補助しない。特に、自動検証ルールの実行は、試験結果が検証される前に、試験の再実行または付随試験を必要とする場合がある。既存システムによって、そのような追加試験が指示される場合、サポートの範囲は、典型的には、技術者が次にすべきことについての命令とともに、追加試験が必要であることの通知である。次いで、技術者は、自動検証プロセスが完了し得る前に、通知に従って行動し、追加試験を指示しなければならない。故に、技術者によって実行される必要があるワークフローを部分的に自動化または完全に自動化するための手段を可能にする、自動検証システムを提供することが有利となるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本明細書では、臨床試験結果を自動検証する方法が開示される。少なくとも一実施形態によると、本方法は、グラフィカルユーザインタフェース上にフローチャートとして自動検証プロセスを表示するステップを備える。自動検証プロセスは、結果を評価し、試験結果が所定の基準を満たすか否かを判断するように構成される。本方法は、試験結果を受信し、試験結果に対し自動検証プロセスを自動的に実行するステップをさらに備える。
【0014】
本方法の別の実施形態によると、複数のノードは、自動検証プロセスを構築する際に、ノードのメニューから選択される。選択された複数のノードは、ともに構成および接続される。構成および接続されたノードは、自動検証プロセスを定義する。自動検証プロセスが定義されると、臨床試験結果は、自動検証プロセスに従って、自動検証されてもよい。
【0015】
また、本明細書では、自動検証プロセスを実行するためのシステムが開示される。本システムは、自動検証プロセスを定義するフローチャートを表示するように構成されるグラフィカルユーザインタフェースを備える。本システムは、検査室分析器から臨床試験結果を受信するように構成される入力を含む。また、本システムは、定義された自動検証プロセスに従って、臨床試験結果を分析するように構成されるプロセッサを含む。
【0016】
前述の特徴および利点、ならびにその他は、以下の発明を実施するための形態および添付の図面を参照することによって、当業者にはより容易に明白となるであろう。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
臨床試験結果を自動検証する方法であって、
a)グラフィカルユーザインタフェース上にフローチャートとして自動検証プロセスを表示することであって、該自動検証プロセスは該臨床試験結果を評価し、該臨床試験結果が所定の基準を満たすか否かを判断するように構成される、ことと、
b)該臨床試験結果を受信することと、
c)該臨床試験結果に対して該自動検証プロセスを自動的に実行することと
を備える、方法。
(項目2)
上記フローチャートは、複数のノードと、上記自動検証プロセスにおいて該複数のノード間のワークフローを定義する複数のエッジとを備える、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記複数のノードは少なくとも1つの動作ノードを備える、項目2に記載の方法。
(項目4)
上記複数のノードは少なくとも1つの決定ノードをさらに備える、項目3に記載の方法。
(項目5)
上記少なくとも1つの決定ノードのためのパラメータを含むことによって、該少なくとも1つの決定ノードを構成するステップをさらに備える、項目4に記載の方法。
(項目6)
上記少なくとも1つの決定ノードは、複数の出力エッジを伴って、上記グラフィカルユーザインタフェース上に表示される、項目4に記載の方法。
(項目7)
上記少なくとも1つの動作ノードは、出力エッジを伴わずに、上記グラフィカルユーザインタフェース上に表示される、項目3に記載の方法。
(項目8)
上記自動検証プロセスが、上記臨床試験結果が上記所定の基準を満たすと判断する場合に、情報システムに該臨床試験結果へのアクセスを提供するステップをさらに備える、項目1に記載の方法。
(項目9)
上記自動検証プロセスが、上記臨床試験結果が上記所定の基準を満たすと判断しない場合、該臨床試験結果を手動レビューのために保留されるべきであることを示すステップをさらに備える、項目1に記載の方法。
(項目10)
上記臨床試験結果は、患者試料を分析するように構成される検査室分析器から受信される、項目1に記載の方法。
(項目11)
検査室試験結果を自動検証する方法であって、
a)ノードのメニューから複数のノードを選択することと、
b)該選択された複数のノードを接続し、該選択された複数のノードのうちの少なくとも1つを構成することであって、該構成および接続されたノードは該検査室試験結果のための自動検証プロセスを定義する、ことと、
c)該自動検証プロセスに従って、該検査室試験結果を自動検証することと
を備える、方法。
(項目12)
上記メニューから上記複数のノードを選択するステップは、1つのノードを選択することによって、該1つのノードがフローチャートとして該複数のノードを表示するウインドウ内に出現することを備える、項目11に記載の方法。
(項目13)
上記1つのノードの選択は、該1つのノードから延出する複数の出力エッジとともに、該1つのノードを上記ウインドウに出現させる、項目12に記載の方法。
(項目14)
上記複数のノードは、少なくとも1つの動作ノードを備える、項目11に記載の方法。
(項目15)
上記少なくとも1つの動作ノードは、追加試験の指示を備える、項目14に記載の方法。
(項目16)
上記少なくとも1つの動作ノードは、上記検査室試験結果を有効にすることを備える、項目14に記載の方法。
(項目17)
上記複数のノードは、少なくとも1つの決定ノードをさらに備える、項目14に記載の方法。
(項目18)
検査室分析器からの臨床試験結果を自動検証するシステムであって、
a)自動検証プロセスを定義するフローチャートを表示するように構成されるグラフィカルユーザインタフェースと、
b)該検査室分析器から該臨床試験結果を受信するように構成される入力と、
c)該定義された自動検証プロセスに従って、該臨床試験結果を分析するように構成されるプロセッサと
を備える、システム。
(項目19)
上記グラフィカルユーザインタフェースは、上記フローチャートを組み立てるために使用されるノードのメニューを提供するようにさらに構成される、項目18に記載のシステム。
(項目20)
上記グラフィカルユーザインタフェースは、コンピュータスクリーンを備え、上記ノードのメニューは、該コンピュータスクリーン上にドロップダウンメニューとして表示され、上記フローチャートは、該コンピュータスクリーンのフローチャートウインドウに表示される、項目19に記載のシステム。
(項目21)
上記自動検証プロセスが、上記臨床試験結果が有効であると判断する場合、上記プロセッサは、該臨床試験結果を情報システムに利用可能にするようにさらに構成される、項目18に記載のシステム。
(項目22)
上記検査室分析器は、血液分析器、免疫化学分析器、または流動血球計算器を備える、項目18に記載のシステム。
(項目23)
検査室分析器からの臨床試験結果を自動検証するシステムであって、
a)自動検証プロセスを定義するフローチャートを準備する手段と、
b)該検査室分析器から臨床試験結果を受信する手段と、
c)該定義された自動検証プロセスに従って、該臨床試験結果を自動検証する手段と
を備える、システム。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、グラフィカルユーザインタフェースを含む、検査室試験結果を自動検証するためのシステムのブロック図を示す。
【図2】図2は、図1のシステムを使用して生成される、フローチャートの形態の例示的自動検証プロセスを示す。
【図3】図3は、図1のグラフィカルユーザインタフェースのスクリーンに表示される自動検証プロセスのための例示的フローチャートを示す。
【図4】図4は、フローチャートとともにスクリーンに表示される例示的構成ボックスを伴う、図3の例示的フローチャートを示す。
【図5】図5は、複数の出力エッジを有する決定ノードを伴う、図4の例示的フローチャートを示す。
【図6】図6は、決定ノードの出力エッジのうちの1つが異なるノードに指向されている、図5の例示的フローチャートを示す。
【図7】図7は、フローチャートに追加される再実行ノードと、フローチャートとともにスクリーンに出現するダイアログボックスとを伴う、図6の例示的フローチャートを示す。
【図8】図8は、さらなるノードと、再指向されたエッジとを含む、図7の例示的フローチャートを示す。
【図9】図9は、図1の自動検証システムとともに使用するための、さらに別の例示的フローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照すると、検査室試験結果を自動検証するための例示的システムが示される。システム10は、入力/出力デバイス14と、プロセッサ16と、メモリ18と、データストレージ20とを含む、コンピュータ12として提供される。コンピュータ12は、検査室分析器30に接続される。また、コンピュータ12および検査室分析器30は、ネットワーク40に接続される。ネットワーク40は、検査室情報システム(LIS)42と、LISと通信する病院情報システム(HIS)44とを含む。LISおよびHISは、試験結果を閲覧する許可が、本システムによって提供されることによって、HISまたはLISを経由して閲覧するために利用可能な試験結果を保有するように構成される、データベースを含む。
【0019】
試験指示が臨床検査室で受信されると、それは患者試料に伴われている。検査室分析器30は、患者試料に対し試験を実行し、臨床診断目的のために使用され得る試験結果を提供するように構成される。例示的検査室分析器として、血液分析器、流動血球計算器、免疫測定分析器、タンパク質分析器、および電気泳動分析器を含む。しかしながら、試料を分析し、試験結果を提供可能な多数の他の検査室分析器のいずれかが利用されてもよいことが認識されるであろう。また、手動試験は、顕微鏡下での組織の視認等、試料に対し実行されてもよく、そのような分析の結果は、手動で本システムに入力されてもよい。加えて、単一検査室分析器30のみが図1には示されるが、複数の検査室分析器をコンピュータに接続し、試験結果をコンピュータに提供するように構成されてもよいことが認識されるであろう。図1の検査室分析器は、コンピュータ12に直接接続されるように示されるが、検査室分析器30は、代わりに、他の分析器とともにネットワークに接続されてもよい。例えば、検査室分析器30は、LIS42に接続されてもよく、検査室分析器からの試験結果は、LIS42を経由して、コンピュータに報告されてもよい。
【0020】
コンピュータ12は、検査室技術者または他のオペレータ/ユーザと通信するように構成される、種々の入力/出力デバイス14を含む。例えば、出力デバイスの1つは、グラフィカルユーザインタフェース15であって、グラフィック画像をオペレータに表示可能なスクリーンを備える。例示的グラフィカルユーザインタフェース15は、CRTスクリーンと、LEDスクリーンとを備える。コンピュータ12は、マウス、タッチスクリーン、キーボード等の種々の入力デバイス14をさらに備え、オペレータは、コンピュータ12への入力を提供が可能となる。
【0021】
プロセッサ16は、入力/出力デバイス14と通信し、概して、コンピュータ内のデータフローを制御し、種々の命令を処理し、計算を実行する。プロセッサ16は、メモリ18およびハードドライブ等のデータストレージデバイス20にさらに接続される。ソフトウェアプログラムは、データストレージデバイス20およびメモリ18に格納され、ソフトウェアプログラムによって提供される命令は、プロセッサ16によって実行される。
【0022】
コンピュータ12に格納されるソフトウェアプログラムの1つは、自動検証ルールエディター21である。エディターソフトウェア21は、プロセッサ16およびグラフィカルユーザインタフェース14と連動し、ユーザは、自動検証プロセス(本明細書では、「自動検証ルール」とも称される)を容易に生成することが可能となる。特に、エディター21は、フローチャートベースの言語を使用し、ユーザは、フローチャートとして自動検証ルールを生成することが可能となる。前述のように、自動検証ルールは、検査室分析器30によって提供される試験結果を評価し、検査室試験結果が検査室によって確立される特定の所定の基準を満たすか否かを判断するように構成される。
【0023】
次に図2を参照すると、エディターによって生成された例示的自動検証ルール100が、ユーザに見えるように、グラフィカルユーザインタフェース14上に示される。本明細書で使用されるように、用語「自動検証ルール」または「自動検証プロセス」は、検査室試験結果ならびに評価プロセスに伴うワークフローを評価するために使用される命令およびプロセスを指す。故に、自動検証ルールは、試験結果の評価に加え、試験を実行するため、または試料に対しいくつかの他の動作を行うための命令を備えてもよい。
【0024】
図2では、自動検証ルール100は、フローチャート102の形態で表示される。フローチャート102は、自動検証ルールの概略図を提供し、複数のノード104と、ノードを接続する複数のエッジ106とを備える。いくつかの動作、命令、または分析は、各ノード104で生じる。エッジ106は、複数のノード104間のワークフローを定義し、フローチャート102内の1つのノードから別のノードへの進行方向を示す。故に、所与のノード(例えば、ノード104a)は、ノードへの進行を示す入力エッジ106aおよび/またはノードからの進行を示す出力エッジ106bに接続されてもよい。2つ以上の出力エッジ106bがノード104から延出する場合、ノード104から延出する出力エッジ106bはまた、エッジを追従する前に必要とされる付帯条件を示すであろう(例えば、「合格」、「失敗」、「上回る」、「下回る」等)。
【0025】
ノード104は、図2の実施形態ではボックス状構造として示されるが、ノード104はまた、他の形態で表示されてもよいことが認識されるであろう。同様に、エッジ106は、図2では矢印状記号として示されるが、エッジ106はまた、他の形態で表示されてもよいことが認識されるであろう。
【0026】
エディターを使用して、フローチャートを構築する際に使用するために利用可能なノード104は、開始ノード110と、決定ノード112と、動作ノード114と、を備える。各自動検証ルールは、1つの開始ノード110を含む。自動検証ルールの実行は、開始ノード110から開始する。例示的開始ノード110は、図2のフローチャート100上部に示される。
【0027】
決定ノード112は入力に基づいて、複数の他のノードのうちの1つに前進するか否か決定されるノードである。例えば、決定ノードは、患者に関して提供される情報、患者からの標本、検査室分析器からの1つ以上の試験結果、または他の情報をチェックしてもよい。入力を分析後、ノードは、入力情報に基づいて、プロセスフローを判断する。故に、各決定ノードは、2つ以上の出力エッジ106bを含む。
【0028】
図2に示される例示的決定ノード112は、範囲ノード113である。さらに以下に詳述されるように、範囲ノード113は、入力が、所定の範囲を上回るか、所定の範囲を下回るか、または所定の範囲内であるか否かを判断するように構成される。故に、範囲ノード113は、3つの出力エッジを含み、それぞれ、入力が、所与の範囲を上回るか、所与の範囲を下回るか、または所与の範囲内であるかに依存して、異なるノードへのパスを示す。
【0029】
動作ノード114は、ノードの実行の結果、いくつかの動作、通知、または他の副次的影響が、本システムで生じるノードである。例えば、動作ノードは、試験結果を有効にするステップ、試験結果を高度情報システムに公表するステップ、技術者によるレビューのために試験結果を保留するステップ、コメントを試験結果に追加するステップ、希釈または試験再実行を指示するステップ、試験を中止するステップ、または試験結果を計算するステップを備えてもよい。故に、動作ノードは、試験の指示、希釈、または再実行等の特定の自動検証ルールに関連付けられたワークフローを定義するために利用可能である。動作ノードは、1つ以上の入力ノードを有してもよいが、動作ノードにおいて決定が行われないため、1つのみの出力ノードを有するか、または出力ノードを有さない。
【0030】
図2に示される例示的動作ノード114は、結果有効化ノード115である。自動検証ルール100の実行が結果有効化ノード115に到達すると、本システムは、試験結果を評価し、特定の所定の基準を満たすことを確認する。この時点で、試験結果は、高度情報システムに公表されてもよく、有効化前は、試験結果は、検査室情報システムを使用する検査室職員にのみ利用可能であった。有効化および試験結果の高度情報システムへの公表後、試験結果は、医師等の医療関係者によって、病院情報システム上で閲覧されてもよい。
【0031】
次に、本システムのための例示的エディター環境において、自動検証ルールを生成するためのエディターの使用について、図3−8を参照して記載される。図3は、グラフィカルユーザインタフェースのスクリーン上に見られ得るように、エディター120の実施形態を示す。エディター120は、トップメニュー122と、ツールバー124と、ルール構築ウインドウ126と、ルールチェックウインドウ128とを備える。
【0032】
エディターのトップメニュー122は、種々のサブメニュー130へのアクセスをユーザに提供する。サブメニュー130−135のうちの1つを選択することによって、ユーザに、サブメニューに関連するリストオプションが提供される。例えば、サブメニュー130「ルールを開く」を選択することによって、ユーザは、新規ルールを開くまたは既存ルールを開く等のいくつかのオプションのうちの1つを。トップメニュー上にリストアップされる他のサブメニューとして、「保存」131、「新規プロシージャ」132、「試験を編集」133、「印刷」134、および「方向転換」135のサブメニューを含む。トップメニュー122直下のタブ140は、ルール構築ウインドウ126に示される自動検証ルールを示す。タブ140によって示されるように、図3−8のルール構築ウインドウ126に現在表示されている自動検証ルールは、血清カルシウム試験のためのものである。
【0033】
ツールバー124は、トップメニュー122の下に提供される。ツールバー124は、複数の一般的に使用されるオプションをリストアップし、ボタン125として、オプションを表示する。これによって、ユーザは、オプションを検索するために、トップメニュー122およびそのサブメニューに行くことなく、所望のオプションを表すツールバー上でボタン125を単純に選択することが可能となる。ツールバー上に提供されるボタン125は、ユーザによって変更され、ユーザの最も一般的に使用されるオプションを表すボタンを提供してもよい。図3では、ツールバーは、「挿入」オプション141、「置換」オプション142、および「子ノードを選択」オプション143を含む、いくつかのボタンとともに示される。これらのオプションはそれぞれ、ルール構築ウインドウ126および図3−8に関して、以下にさらに詳細に記載される。また、図3−8は、ツールバー124上の他のオプションを示し、これらまたは異なるオプションは、ユーザによって判断されるように、種々の実施形態において、ツールバー上に提供されてもよいことが認識されるであろう。
【0034】
前述のように、エディターのルール構築ウインドウ126は、選択された自動検証ルール100をフローチャート形式102で表示する。ルール構築ウインドウ126に表示される自動検証ルール100は、試験指示がルールチェックを受けるように、保存、編集、または実行されてもよい。
【0035】
継続して図3を参照すると、自動検証ルールの組み立ては、「新規プロシージャ」オプション132がトップメニュー122から選択される際に開始する。本オプション132が選択されると、開始ノードが、ルール構築ウインドウ126に自動的に挿入される。追加ノードは、ツールバー124上の「挿入」オプション141を選択することによって取得されてもよい。「挿入」オプション141を選択すると、ユーザに、ルール内で使用され得るノードのドロップダウンメニューが提示される。「挿入」オプション141に関連付けられたドロップダウンメニューは、種々の決定ノード、種々の動作ノード、および開始ノードのリストを含む。ノード110をルール構築ウインドウ126に挿入するために、ユーザは、ドロップダウンメニューからノード選択を単純にクリックし、選択されたノードは、ルール構築ウインドウに出現する。選択されたノード110をルール構築ウインドウ126に既存の別のノードに選択するために、ユーザは、選択されたノード110をクリックおよびドラッグし、ウインドウ内の別のノードへの所望の接続を行う。
【0036】
以前のパラグラフで述べられたように、「挿入」オプション141に関連付けられたドロップダウンメニューは、開始ノードに加え、種々の動作ノードおよび種々の決定ノードのリストを提供する。例示的動作ノードは、以下のノードを含む。
【0037】
Validate(有効化)−本ノードは、試験結果を有効化する(すなわち、その公表を承認する)。
【0038】
Hold(保留)−本ノードは、検査室技術者による手動レビューのために、試験結果を保留する。
【0039】
Order Test(試験を指示)−本ノードは、試料に対する試験を指示する。
【0040】
Cancel Test(試験を中止)−本ノードは、試験が存在する場合、試料に対する試験を中止する。
【0041】
Rerun(再実行)−本ノードは、以前の試験を再実行する。オプションとして、再実行試験からの新規結果を以前の試験結果と比較し、新規試験結果が以前の試験結果に十分近似するか否かについて決定することができる。
【0042】
Dilute(希釈)−本ノードは、試料の希釈および希釈された試料に対する以前の試験の再実行を指示する。
【0043】
Manual Workflow(手動ワークフロー)−本ノードは、検査室技術者によって完了されるべき手動オフラインワークフローを記述する。
【0044】
Add Comment(コメントを追加)−本ノードは、検査室技術者の注意のために、結果にコメントを追加する。
【0045】
Cap Result(結果を制限)−本ノードは、結果を指定数値間隔に限定する。
【0046】
Set Value(値を設定)−本ノードは、定数ならびに患者、試料、および試験結果の特性から演算式を構築させる式エディターを使用して確立される値に、試験結果を設定する。式は、許容可能な試験結果に対して評価されなければならない。
【0047】
例示的決定ノードは、以下のノードを含む。
【0048】
Critical Result Check(臨界結果チェック)−本ノードは、試験結果が臨界値であるか否かを判断する。
【0049】
Range Check(範囲チェック)−本ノードは、試験結果が検証範囲内である、それを下回る、または上回るか否かを判断する。
【0050】
Delta Check(デルタチェック)−本ノードは、試験結果と、同一試験に対する患者からの最終承認済み試験結果と比較する
Check for Flags(フラグのチェック)−本ノードは、1つ以上のフラグが、試験結果のための検出器から返されているか否かを判断する。
【0051】
Check Condition(条件をチェック)−本ノードは、ある条件が、定数ならびに患者、試料、および試験結果の特性から演算式および論理式を構築させる式エディターを使用して確立されているか否かを判断する。条件は、真または偽に対し評価される。
【0052】
Check if Test is Ordered(試験が指示される場合、チェックを実行する)−本ノードは、試験が試料に対して既に指示されているか否かを判断する。
【0053】
前述のリストは、種々の例示的ノードを記述しているが、これらのリストは、排他的ではなく、多数の他のノードが、自動検証システムとともに使用するために提供され、メニューに表示されてもよいことを認識するであろう。
【0054】
図3の実施例に戻ると、ユーザは、ルール構築ウインドウ126に保持ノード150を挿入し、開始ノード110に接続している。ノードの挿入に加えて、ユーザはルール構築ウインドウに挿入されたノードを異なるノードと容易に置換し得る。これを実行するために、ユーザは最初に、ルール構築ウインドウの中の置換されるべきノードをクリックする。ノードがそのノードをクリックすることによって選択されると、そのノードはルール構築ウインドウの中でハイライトする。ルール構築ウインドウの中で置換されるべきノードをハイライトさせた後、ユーザはツールバー上の置換オプション142を選択する。置換オプションを選択すると、ユーザは、ルール構築ウインドウの中に挿入するための、利用可能ノードのドロップダウンメニューの形式の別のリストが提供される。提供されたドロップダウンメニューからノードを選択することによって、ルール構築ウインドウの中のハイライトされたノードは選択されたノードと置換される。提供された例において、ユーザは、図3における保持ノード150をハイライトさせており、その保持ノードは太字の輪郭でハイライトされたルール構築ウインドウ126の中に示される。図4において、ユーザは、置換オプション142と関連してドロップダウンメニューから範囲ノード152を選択しており、そして、保持ノード150は(既に図3に示すように)範囲ノード152によって既に置換されている。
【0055】
前述のように、ノードが、挿入メニュー141または置換メニュー142から選択されると、ノードは、ルール構築ウインドウ126に出現する。ルール構築ウインドウに挿入するために選択された特定のノードは、構成を必要とするであろう。選択されたノードが構成を必要とすると、構成ボックスがルール構築ウインドウに出現し、ユーザに、ノードを適切に構成するために必要なあらゆる必要データを挿入させる。例えば、図4に示されるように、ユーザが範囲ノード152を選択すると、構成ボックス170が、ルール構築ウインドウ126に出現する。構成ボックス170は、ノードを構成するために適切なデータを入力するように、ユーザに命令する。図4の実施例では、ユーザは、範囲チェックに対する特定の試験を指定し、比較のための特定の範囲を指定することによって、範囲ノード152を構成しなければならない。
【0056】
いくつかの事例では、ノードは、異なる態様で構成されてもよい。例えば、図4に示されるもの等の範囲ノードは、ユーザによって挿入される数値限定に基づいて、または特定の試験のために検査室によって規定される指定範囲に基づいて、構成されてもよい。したがって、いくつかの事例では、ユーザは、構成ボックスに数字を挿入し、ノードに対する下限および上限を定義してもよい。他の事例では、ユーザは、いくつかの指定範囲のうちの1つを選択してもよく、各指定範囲は、所定の上限および所定の下限を有する。指定範囲の実施例として、検証範囲、基準範囲、または臨界範囲を含む。
【0057】
ユーザが範囲に対し特定の詳細(数値等)を挿入することが必要ないような態様で、範囲ノードが設計される場合、共通ノードが検討される。ノードが使用される特定の試験とノードの構成が無関係である、共通ノードである。特定のルールのためのノードの構成に関連して、特定の詳細が必要とされる場合、それらの詳細は、検査室によって規定され、共通ノードがルールに挿入される際に、自動的に読み出される。したがって、共通ノードによって、ユーザは、異なる試験結果に対する特定の許容範囲等、分析される試験結果に関連する特定の詳細を引き出す必要なく、自動検証ルールを容易に構築することが可能となる。
【0058】
図4は、範囲ノード152が共通ノードとして構成される、実施形態を示す。範囲ノード152の本実施形態では、ユーザは、いくつかの指定範囲のうちの1つを単純に選択することによって、ノードを構成する。指定範囲に関連付けられた数値は、それらが使用される特定の試験のために、検査室によって既に規定されている。図4では、ユーザは、構成ボックス170の下方のドロップダウンメニュー172から「検証範囲」を選択している。検証範囲は、検査室によって判断される所定の範囲であって、範囲内の試験結果は、ルールによって分析される特定の試験結果の有効試験結果とみなされるであろう。図4の血清カルシウム自動検証ルールに対し、検査室は、検証範囲を2乃至20mg/dLに規定してもよい。これは、検査室が、血清カルシウム試験からの現実的試験結果であるとみなされ得るものと一致する本範囲内の任意の試験結果であるとみなすことを意味する。しかしながら、検査室が、50mg/dLの結果を受信する場合、本システムは、これを血清カルシウムの非現実的試験結果であるとみなし、検査室は、何らかの誤差が分析において生じたものと推測するであろう。
【0059】
「検証範囲」と同様に、検査室は、共通ノードとして使用される際の範囲ノード152に対し、「基準範囲」または「臨界範囲」等の他の範囲を定義してもよい。例えば、検査室は、血清カルシウムの基準範囲を9乃至10.5mg/dLに定義してもよい。これは、本範囲内の血清カルシウム試験結果が正常であるとみなされ、この試験結果は、患者に対して問題を示していないことを意味する。別の実施例として、検査室は、血清カルシウムの臨界範囲を8乃至15mg/dLに定義してもよい。これは、臨界範囲外の血清カルシウム試験結果が、患者に対して重大な問題を示唆していることを意味する。この場合、本システムは、速やかな対応が患者に成され得るように、医師に試験結果を直ちに通知するように構成されてもよい。前述の範囲は、本システムを使用して、検査室によって規定され得る単なる範囲の実施例であって、多数の他の範囲が、検査室によって規定可能であることが認識されるであろう。さらに、本明細書では、範囲ノード152がノードをルール構築ウインドウ126に挿入する際に構成を必要とするノード例の1つとして記載されているが、ユーザによって選択され得る多くの他のノードもまた、自動検証ルールに適切に含まれる前に、構成されなければならないことが認識されるであろう。
【0060】
ノードが、ルール構築ウインドウに挿入され、構成(必要とされる場合)されると、ノードからの出力は、後続ノードに関連づけなければならない。前述のように、あらゆる決定ノードは、少なくとも2つの出力を有するであろう。決定ノードからの2つ以上の必要とされる出力を後続ノードに適切に関連付けるステップに関しユーザを補助するために、エディターは、ルール構築ウインドウ内に配置される際、決定ノードからの可能な出力のそれぞれを示すように構成される。故に、図5の実施例では、範囲ノード152が、ルール構築ウインドウ126内に配置されると、エディターは、ノード152から既に延出している3つの出力エッジ153とともに、範囲ノード152を直ちに表示する。ノード152から延出する3つの出力エッジ153は、有利には、3つの可能な結果が、範囲ノードから生じ得ることをユーザにリマインドする。特に、範囲ノードは、試験結果を規定範囲と比較し、試験結果が、規定範囲内か、規定範囲を上回るか、または規定範囲を下回るか否かを判断するであろう。3つの可能な結果のそれぞれに対し、出力エッジ153を表示することによって、ユーザは、3つの可能な結果のそれぞれを結果として生じるノードに接続するようにリマインドされる。さらにユーザを補助するために、エディターは、範囲ノード152からの3つの出力エッジ153それぞれをダミーノード168a−168c(すなわち、未構成「then…」ノード)へ延出する。
【0061】
ルール構築ウインドウ126への決定ノードの挿入に応じて自動的に出現する決定ノードの出力エッジは、2つまたは3つのノードに至るように、ユーザによって操作されてもよい。例えば、図6では、ユーザは、範囲ノード152の出力エッジ153を操作し、試験結果が検証範囲を上回るか、または下回るかにかかわらず、検証範囲外の試験結果が第1のノード168bに至り、検証範囲内の試験結果は、第2のノード168cに至ることを示す。これを達成するために、ユーザは、単に、図5に示される「上回る」エッジ153上の矢印近傍をクリックし、「下回る」エッジに関連付けられたノード168bにエッジをドラッグする。次いで、エディターは、ルール構築ウインドウ126から「上回る」エッジに以前に関連付けられたダミーノードを自動的に除去し、「上回る」エッジおよび「下回る」エッジは両方、図6に示されるように、同一ダミーノード168bに至る。本明細書では、エッジの操作は、ダミーノードに至るエッジに関して記載されたが、エディターは、部分的または全体フローチャート内の任意のエッジの操作を類似態様で可能にしてもよいことが認識されるであろう。故に、エディターは、ユーザが、フローチャートおよびフローチャートを経由するノードからノードへの進行を操作するための便宜的方法を提供する。
【0062】
フローチャート102内のエッジを操作するステップに加え、ユーザはまた、新規ノードを挿入する、または既存ノードを置換することによって、ノードを操作してもよい。例えば、図7に示されるように、ユーザは、ルール構築ウインドウ126内のダミーノード168bを機能ノード154と置換している。これは、前述のツールバー124から置換オプション142を使用して達成される。「置換」オプション142を使用する場合、ユーザは、最初に、置換されるノードをハイライトし、次いで、ツールバーから「置換」オプション142を選択する。「置換」オプション142が選択されると、ユーザは、種々のノードをリストアップするドロップダウンメニューが提示され、ハイライトされたノードを置換する。ユーザがドロップダウンメニューから置換ノードを選択した後、それは、以前にハイライトされたノードの代わりに、ルール構築ウインドウ126に自動的に出現する。図7の場合、ユーザは、「上回るエッジ」および「下回るエッジ」153に続くダミーノード168bを「再実行」ノード154と置換している。
【0063】
図7に示されるように、ユーザが、挿入のために「再実行」ノード154を選択すると、構成ボックス170は、ルール構築ウインドウ126に自動的に出現し、「再実行」ノード154を適切に構成するようにユーザに命令する。同時に、新規ダミーノード168dは、ルール構築ウインドウ126において、「再実行」ノードの出力エッジ106上に提供される。
【0064】
図8は、「再実行」ノード154が、ユーザによって構成されたことを示す。構成の結果、「再実行」ノードは、現在、2つの出力エッジを含み、ノードは、再実行試験結果と以前の試験結果とを比較する命令を有する。したがって「再実行」ノード154は、動作に関連する決定を行うようにも構成される動作ノードである。図8の実施例では、ユーザは、検証範囲外であったため、「再実行」ノード154を構成し、原試験結果を再実行している。また、ノード154は再実行後の新規試験結果と以前の試験結果とを比較するように構成されている。また、図8に示されるように、再実行試験結果が、以前の試験結果の5%以内ではない場合、ルールは、保留ノード158で試験結果を保留し、試験結果が、検証範囲外の無効試験結果であって、ユーザによって手動でチェックされるべきであることを示す。しかしながら、再実行試験結果が、以前の試験結果の5%以内である場合、ルールは、有効化ノード156で試験結果を有効化するように構成される。
【0065】
また、図8に示されるように、ユーザは、範囲ノード152から「範囲内」出力エッジ153をクリックし、有効化ノード156にドラッグしている。有効化に応じて、試験結果は、情報システム(例えば、LIS)内で有効として記録され、他の情報システム(例えば、HIS)での観察のために公表されてもよい。
【0066】
図3−8を参照して前述のように、エディターによって、ユーザは、グラフィカルユーザインタフェース上に示されるフローチャートとして自動検証ルールを構築することが可能となる。ユーザは、所望のルールを構築するために、容易に、新規ノードを挿入、ならびに置換既存ノードを置換してもよい。加えて、ユーザは、容易に、ノード間に延出するエッジを操作し、フローチャートを介してノードからノードへの進行を定義してもよい。エディターのフローチャートベースの言語は、概して、直観的であって、所望の自動検証プロシージャのユーザ表現を促進する。
【0067】
自動有効化ルールの生成および編集は、「挿入」オプション141および「置換」オプション142に関して、前述されている。しかしながら、多数の他のオプションが、自動検証ルールを構築および編集するために、メニュー122またはツールバー124に提供されてもよいことが認識されるであろう。例えば、「子ノードを選択」オプション143によって、前述されていないが、ユーザは、ルール構築ウインドウ内に配置されると、エッジおよび接続されたダミーノードを自動的に生成しない動作ノード後の後続ノードまたは「子ノード」を指定することが可能となる。ユーザに提供され得るツールの別の実施例は、ノードマクロを定義する能力である。マクロは、特定の順番で接続される複数のノードを含むが、具体的には、特定の自動検証ルールに関連付けられない。次いで、これらのマクロをメニューから選択し、異なる自動検証ルールに挿入してもよい。一実施形態では、マクロは、構成可能ではなく、特定のルールに対し特殊化不可能である。しかしながら、別の実施形態では、いくつかのマクロは、特定のルールに対する構成および特殊化が可能であるように、設計されてもよい。
【0068】
自動検証ルールが、そのルールチェックとともに生成されると、ルールは、本システムによって、データストレージ20(図1参照)に保存され、自動検証ルールに関連付けられた試験指示が検査室で受信されると、プロセッサ16によって実行するために利用可能となる。試験指示は、典型的には、検査室分析器によって実行される少なくとも1つの試験と、試験指示に関連付けられた患者に関するデータ(例えば、氏名、年齢、性別、体重、身長等)とを含む。試験指示は、コンピュータネットワークを介して自動的に受信されてもよく、または検査室技術者によって、本システムに手動で入力されてもよい。試験指示が検査室によって受信されると、試験試料が伴われる。試験試料は、適切な検査室分析器(または、手動検出器ステーション)に送達され、したがって、指定試験を試料に対して行うことができる。試験指示の受信に応じて、本システムは、検査室環境で動作し、自動検証ルールを使用して、実際の臨床試験結果が検証される。
【0069】
試験指示に関連付けられた自動検証ルールの実行は、本システムが試験指示を受信すると開始する。試験指示の受信に応じて、本システムは、メモリまたはデータストレージから保存された自動検証ルールを引き出し、ルールの実行を進める。
【0070】
各ルールの実行は、開始ノードから開始する。したがって、ルールは、エッジ106によって指向されるように、ノードからノード104へ進む。新規ノードに到達すると、本システムは、任意のロジックおよび副次的影響を含む、ノードに関連付けられたルーチンを呼び出す。ノード104に関連付けられたルーチンを実行すると、定義されたルールは、本システムが、トップルール実行を停止すべきか、新規結果を待機すべきか、またはノードからの出力エッジ106の1つから新規ノード104へと追従し、新規ノードの実行を開始すべきか否かを示す。ルールが、出力エッジを伴わない動作ノードに到達すると、ルールは終了する。ルールは、ルールを必要とする新規試験指示が受信されるまで、再び実行されない。所望に応じて、ユーザは、実行中、自動検証ルールのフローチャート表示102をグラフィカルユーザインタフェース14上に表示してもよい。しかしながら、ほとんどの事例では、プロセッサは、グラフィカルユーザインタフェースに表示することなく、ルールを実行するであろう。
【0071】
検査室は、典型的には、1度に複数の試料のための複数の試験指示を受信するであろう。故に、プロセッサ16は、複数の自動検証ルールを並行して実行してもよい。これは、2つ以上の異なる試験指示に対し、同一自動検証ルールの2つ以上の事例を同時に実行するステップ、および/または2つ以上の異なる試験指示に対し、2つ以上の異なる自動検証ルールを同時に実行するステップを含んでもよい。
【0072】
前述のように、実行プロセスの間、自動検証ルールが中断され、待機するように命令されてもよい。ルールが中断する状況の典型的実施例は、必要データが利用不可能であるため、ノードが実行できない場合である。例えば、図8のルールが実行される場合、ルールは、後続ノード154または156に移動する前に、検査室分析から血清カルシウム試験結果を受信することをノード152で待機しなければならない。したがって、血清カルシウムの試験指示が受信されると、ルールは、検査室分析器が血清カルシウム試験結果を産生するまで、ノード152で中断する。本状況では、ルールは、血清カルシウム試験結果を受信するまで、またはユーザによって中止されるまで、無期限に中断するであろう。ルールが、ユーザによって終了させられる場合、本システムは、誤差通知を発する。次いで、試験結果は、処理のために検査室技術者に回される。次いで、技術者は、試験結果が有効であるか否かを手動で判断することができる。
【0073】
また、図8は、ルールが中断し得る状況の別の実施例を提供する。再実行ノード154に到達すると、以前に実行された試験は、本システムによって、再指示され、ルールは、新規試験結果が受信されるまで中断される。これを達成するために、本システムは、試料管を検査室分析器に戻すように、検査室技術者に通知を発行してもよい。代替として、本システムが、ロボットまたはいくつかの他の機械化された試料運搬デバイスを含む場合、本システムは、検査室分析器を通して、試験を自動的に再実行してもよく、検査室技術者に全く通知されることはないであろう。本状況では、再実行は、本システムによって完全に処理される。
【0074】
試験試料に対する再実行は、具体的には、再実行を必要とするルールを伴わずに、多数の他の理由からも生じ得ることを認識するであろう。例えば、技術者は、検出器が適切に較正されていないことが分かり、検出器を使用して、最近実行された全試験を再実行する場合がある。これらの状況では、特定のノードにおける再実行試験結果に依存する自動検証ルールは、再実行試験結果が受信される際、再開しない、または別様に任意の特別な動作を行わない。しかしながら、特定のノードにおける再実行試験結果に依存する自動検証ルールは、以前の試験結果ではなく、再実行試験結果を利用するであろう。したがって、自動検証ルールは、この場合、開始ノードを返さず、代わりに、実際の再実行試験結果に依存するノードから再開される。この実施例として、単純なBUN-creat(血中尿
素窒素(BUN)対クレアチニン(creat))自動検証ルール180を示す図9を検討する。本ルールによると、クレアチニン(「creat」)試験は、ノード182で指示され、次いで、BUN試験が、ノード184で指示される。これらの2つの試験の結果に基づいて、creatに対するBUNの割当量が、ノード186で計算され、次いで、試験は、ノード188で検証される。creat試験の再実行が、何らかの理由で生じる場合、図9の自動検証ルールは、開始ノード181から開始する必要はない。代わりに、自動検証ルールは、creatの再実行試験結果と、BUNの既存試験結果とを単純に組み込む計算ノード186から再開し、指定計算に達する。したがって、本ルールは、別様に、ルール全体が開始ノードから実行される場合、ノード182および184に関連付けられたであろう別のcreat指示および別のBUN指示を回避する。代わりに、ルールは、単純に、利用可能なデータを使用して、ノード186から再開される。
【0075】
本発明は、特定の好ましい実施形態に関して記載されたが、他の実装および適合が可能であることは、当業者によって理解されるであろう。さらに、本明細書に記載される個々の進歩に対し利点が存在し、前述の他の側面を組み込むことなく取得され得る。したがって、添付の請求項の精神および範囲は、本明細書に含有される好ましい実施形態の説明に制限されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に基づく発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−77335(P2013−77335A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−13186(P2013−13186)
【出願日】平成25年1月28日(2013.1.28)
【分割の表示】特願2009−548437(P2009−548437)の分割
【原出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(510005889)ベックマン コールター, インコーポレイテッド (174)
【Fターム(参考)】