説明

検査局を用いて表面処理を行なうための装置と方法

本発明は、丸みのある断面と少なくとも部分的に導電性である外壁とを備えた対象の表面処理を行なうための装置に関する。装置は、複数の処理局と、処理すべき対象を保持するための保持装置を備えている送り装置とを有している。送り装置はそれぞれの保持装置によって保持されている対象をある処理局から後続の処理局へと規則的に運搬するよう構成されている。複数の処理局の内の一つが検査局であり、該検査局は電圧源と、該電圧源と接続されている電極と、評価ユニットとを有している。評価ユニットは、電極と検査局にあるそれぞれの対象との間の電圧変化を検出するよう構成されている。更に本発明は、丸みのある断面と少なくとも部分的に導電性である外壁とを備えた対象の表面処理を行なう装置のために相応に構成されている検査局並びに丸みのある断面と少なくとも部分的に導電性である外壁とを備えた対象の表面処理を行なう方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の処理局と、処理すべき対象を保持するための保持装置を備えている送り装置とを用いて、丸みのある断面と少なくとも部分的に導電性である外壁とを備えた対象の表面処理を行なうための装置に関する。送り装置は、それぞれの保持装置によって保持されている対象をある処理局から後続の処理局へと規則的に運搬する。
【0002】
更に本発明は、処理すべき対象を送り装置の保持装置に一時的に配置するステップと、それぞれの保持装置によって保持されている対象を送り装置によってある処理局から後続の処理局へと規則的に運搬するステップとを含む、丸みのある断面と少なくとも部分的に導電性である外壁とを備えた対象の表面処理を行なうための装置並びに、丸みのある断面と少なくとも部分的に導電性である外壁とを備えた対象の表面処理を行なうための方法に関する。
【0003】
丸みのある断面と少なくとも部分的に導電性である外壁とを備えた対象は、例えば、金属、有利にはアルミニウム又はブリキから成る飲料缶である。有利には、対象は回転対称に構成されており、例えば、閉じられた端部及び開かれた端部を備えている、ワンピースの円筒形の容器として構成されている。有利には、中空の円筒の外壁のみが処理され、閉じられた端部の外面は処理されない。
【0004】
飲料缶の外壁の表面は通常の場合、飲料缶が充填物で充填される前、且つ、缶の蓋の部分によって飲料缶が密封される前に、冒頭で述べたような表面処理を行なうための装置によって処理される。その種の装置は、複数の処理局が対象の運搬方向に沿って有利には等間隔で配置されている搬送ラインである。対象を保持するための保持装置は、同様に有利には、対象の運搬方向に沿って等間隔で配置されているので、保持装置によって保持されている対象は、それぞれの処理局によって並行して処理され、また、送り装置によってそれぞれの後続の処理局へと規則的に運搬される。対象の外壁の表面と処理局との間には、それぞれ1つの中間空間もしくは隙間が存在しており、そのような中間空間もしくは隙間は例えば、飲料缶の表面処理においては、実施すべき処理に応じて1mm未満である。
【0005】
それぞれの対象を処理するための処理局が使用できる時間は、ある処理局から後続の処理局までの所要運搬時間を差し引いた周期時間に対応し、従って制限されている。
【0006】
処理局において考えられる処理ステップは、例えば対象の印刷、乾燥及び/又は塗装である。それらの処理ステップを実施するために、処理局には相応の工具又は処理コンポーネントが装備されている。それらの工具又はコンポーネントは高価な精密機器であることが多いが、それら精密機器は直ぐに損傷する可能性がある。特に、周期時間が短く、且つ、処理速度が速い場合には、冒頭で述べたような装置では処理局における損傷が繰り返し発生し、これによって不利なことに処理シーケンスが妨害され、また、多数ある処理局の内の一つ又は複数、もしくは装置全体が停止する。このダウンタイムによって、欠陥品が増加した場合、及び/又は、費用の掛かる修理を行なう場合と同程度の高い損失が生じる。
【0007】
従って本発明の課題は、上述の欠点の内の一つ又は複数を低減又は解消することができる、丸みのある断面と少なくとも部分的に導電性である外壁とを備えた対象の表面処理を行なうための装置と方法を提供することである。
【0008】
本発明によれば、この課題は、複数の処理局の内の一つが検査局であり、その検査局が電圧源と、電圧源と接続されている電極と、評価ユニットとを有しており、評価ユニットは電極と検査局にあるそれぞれの対象との間の電圧変化を検出するよう構成されていることを特徴とする、冒頭で述べたような装置によって解決される。
【0009】
本発明が基礎とする着想は、処理局における損傷が、処理すべき対象の外壁の表面又は外部輪郭における不均一性、例えば表面の凸部、凹部又は凹凸部に起因していることである。処理局と対象の外壁の表面との間の隙間が狭いことに起因して、対象の外壁の表面又は外部輪郭における小さい不均一性、例えば1/2mmよりも小さい不均一性が既に処理局の損傷を生じさせる可能性がある。更にこの不均一性によって、必要とされる品質での相応の対象の処理を保証することができない可能性があり、それによって多数の欠陥品が製造されることになる。多数の処理局の内の一つ又は複数が損傷した場合、処理局を修理するためには大抵の場合、装置の動作を中断することが必要となり、これによって修理費用の他にも損失が高まる可能性がある。
【0010】
例えば、対象をディジタル方式で印刷するための印刷局として構成されている処理局の印刷ヘッドと対象との間隔は約0.6mm±0.2mmである。対象の外壁の表面における不均一性によって、間隔が部分的に0.3mmを下回る可能性がある。これによって、例えば対象の外壁の表面における凸部が処理局と接触すると、処理局に損傷が生じる可能性がある。更に、対象の外壁の表面と処理局との間隔が過度に小さい場合には、処理結果の品質が低下する可能性がある。例えば、対象の外壁の表面と印刷局の印刷ヘッドとの間隔が0.25mmを下回る場合には、ディジタル方式の印刷局では非常に質の悪い印刷結果しか得られない。
【0011】
この欠点は本発明による装置によって回避される。何故ならば、本発明によれば、複数の処理局の内の一つが、対象の外壁の表面又は外部輪郭における不均一性を検出するために使用される検査局だからである。本発明によれば、検査局はこのために電圧源と、この電圧源と接続されている電極と、評価ユニットとを有している。電圧源を介して、検査局にあるそれぞれの対象と、電圧源に接続されている電極との間に電圧が印加される。対象の外壁の表面又は外部輪郭における不均一性によって、電極と対象との間において電圧変化が生じる。本発明によれば、評価ユニットはこの電圧変化を検出するために構成されている。このようにして、検査局と対象の外壁の表面との間の直接的な接触を必要とすることなく、対象の外壁の表面又は外部輪郭における不均一性を迅速且つ確実に求めることができる。
【0012】
例えばカメラを用いる光学的な検出やレーザスキャナを用いる検出のような、表面の不均一性を検出するための他の考えられる解決手段とは異なり、本発明は、検出を簡単且つ廉価に実現することができ、また大きな手間を要すること無く、装置において限定的にしか提供されていない空間において統合することができるという利点を有している。更に本発明による検査局は、他の考えられる手段とは異なり、利用できる時間が非常に短いものであっても、その時間内での確実な検出を保証することができる。
【0013】
本発明による装置の更なる利点は、電極と、検査局にあるそれぞれの対象との間の電圧変化を評価ユニットによって検出することによって、対象の性質に関する情報を形成することができ、それらの情報を更なる処理プロセスのために使用することができる。
【0014】
有利には、評価ユニットは、検出された電圧変化を評価して、対象の外壁の表面又は外部輪郭における不均一性の種類及び/又は範囲を推量することができるように構成される。
【0015】
有利には、500μmを下回る凸状の成長部を有する、対象の外壁の表面における不均一性を検出できるように検査局は較正されている。更に有利には、電圧変化を検出するための時間、従って表面の不均一性を検出するための時間は1μsを下回る。
【0016】
有利には、電極が長手方向において、その長手方向において検査局にあるそれぞれの対象と同じ長さを有している。このようにして、対象をその長さ全体にわたり外壁の表面における不均一性に関して検査できることを保証することができる。処理すべき対象としての所定の飲料缶は、160mmの長さ乃至高さを有することができるので、飲料缶の総長乃至総高を検出するための相応の長さの電極も有利である。
【0017】
更に有利には、電極の輪郭が、処理すべき対象の輪郭に適合されているか、又は、電極の輪郭を処理すべき対象の輪郭に適合させることができる。このようにして、異なる形状の対象を検査局によって検査することができる。
【0018】
有利には、検査局が一つ又は複数の処理局の手前に設けられているので、対象が別の処理局において処理される前に、対象の外壁の表面における不均一性を検出することができる。このようにして有利には、特に、対象の外壁の表面と処理局との間隔よりも大きい湾曲部又は凸部を対象の外壁の表面が有している場合には、更なる処理を停止することができる、及び/又は、不均一性を有する対象を取り除くことができる。特に有利には、複数の処理局の内の一つが印刷局であり、この印刷局は、送り装置の運搬方向において検査局の後段に設けられており、且つ、印刷局にあるそれぞれの対象の表面に液体塗料でもって印刷を行うよう構成されている。その種の印刷局は高感度の印刷ヘッドを有しており、それらの印刷ヘッドは印刷局にあるそれぞれの対象の外壁の表面の上方において非常に小さい間隔をおいて設けられている。対象の外壁の表面における不均一性は印刷局において大きな損害をもたらす可能性があり、また粗悪な印刷結果を生じさせる可能性があるので、本発明による検査局を印刷局の手前に設けることは非常に有利である。
【0019】
有利には、電極と、検査局にあるそれぞれの対象との間の電圧変化が検出された場合、及び/又は、電極と検査局にあるそれぞれの対象との間において検出された電圧変化が所定の限界値を上回ったか、又は下回った場合、信号を生成するように評価ユニットは構成されている。
【0020】
電圧変化が発生した際、もしくは、検出された電圧変化が所定の限界値又は限界値範囲から偏差した際に評価ユニットによって信号を生成することによって、有利には、この信号を特に装置の制御において更に使用することができる。例えば、装置を停止し、対象の更なる処理を中断して、外壁の表面における不均一性を有する対象によって処理局が損傷することを回避するために信号を使用することができる。
【0021】
更に有利には、検査局において、電極と対象との間の電圧変化が検出された場合、及び/又は、検査局において検出された電極と対象との間の電圧変化が所定の限界値を上回ったか、又は下回った場合、処理すべき対象をそれぞれの保持装置から除去するように装置は構成されている。
【0022】
上回るべきではない、又は下回るべきではない所定の限界値、又は維持されるべき限界値範囲は、有利には、危機的ではない不均一性では信号が生成されないが、又は、対象が除去されないが、しかしながら危機的な不均一性では、即ち、損傷又は品質の低下を生じさせる可能性がある不均一性では信号が生成されるように選定されている。
【0023】
電圧変化を検出した際、及び/又は、検出された電圧変化が所定の限界値又は限界値範囲から偏差した際の特に有利な措置は、電圧変化を惹起したそれぞれの対象を保持装置から除去することである。このことは、有利には、圧縮空気を用いて保持装置から対象を弾き飛ばすことによって行なうことができる。本発明のように、外壁の表面における不均一性を有する対象を取り除くことは、装置による対象の処理を中断する必要がなく、それと同時に、外壁の表面における不均一性を有する対象によって装置が損傷することを回避できるという利点を有している。このようにして、装置の動作の中断に起因するダウンタイム、またそれに伴うコストの上昇(処理局の損傷に起因するものも、外壁の表面における不均一性を有する対象の検出によって開始される動作の停止に起因するものも含めて)を阻止することができる。
【0024】
特に有利には、電極と検査局にあるそれぞれの対象との間の誘電体として空気が使用される。このようにして、検査局にその他の誘電体、例えば液体電解質の準備を省略することができる。
【0025】
更に有利には、検査局が、電極と検査局にあるそれぞれの対象との間隔を調整するための手段を有している。それぞれの対象の外壁の表面と電極との間隔を変更することによって検査局を種々の対象に適合させることができ、また、検査局は対象の外壁の表面における無害な不均一性、特に非常に小さい不均一性を無視することができる。飲料缶を検査する場合には、電極と飲料缶の外壁の表面との間隔を約300μmに調整することができる。電極は有利には対象の輪郭に適合されており、対象と電極との間隔は有利には一定である。
【0026】
有利には、電圧源は直流電圧源であり、更に有利には、高圧直流電圧源である。有利には、約200Vから800Vの直流電圧である調整可能な高電圧が電極に印加される。更に有利には、安全性の理由から可能な限り僅かな漏れ電流、有利にはマイクロアンペアの範囲の漏れ電流しか生じないようにするために電圧源が高抵抗に構成されている。
【0027】
対象の外壁の表面における不均一性、例えば凸部、湾曲部又は凹部によって、電極と対象との間隔が変化し、その結果、対象と電極との間に光アークが形成され、また短絡が生じるので、電極と対象との間において放電、特にフラッシオーバが発生する。対象の外壁が均一な表面である場合には実質的に一定である、印加される高電圧を連続的に測定することによって、表面の不均一性に起因する放電による電圧変化を識別することができる。有利には、対象と電極の間隔を適切に選択することによって、また高電圧を適切に選択することによって、限界、特に限界値を規定することができ、その限界又は限界を上回るか、又は下回ると、対象の外壁の表面における不均一性が検出される。
【0028】
更に有利には、検査局が、電極と検査局にあるそれぞれの対象とが接触する必要なく、電極と検査局にあるそれぞれの対象との間の電圧変化を検出するよう構成されている。これによって、電極と検査局にあるそれぞれの対象との間隔よりも大きい、対象の外壁の表面における不均一性のみが検出されるだけではなく、またそれと共に接触式の検出が行なわれるだけではなく、電極と検査局にあるそれぞれの対象との間隔よりも小さい、対象の外壁の表面における不均一性も検出することができ、したがってこの間隔を狭めることができ、且つ、非接触式に検出することもできる。このようにして、対象の外壁の表面における種々の不均一性をより正確に検出することができる。したがって、電極と検査局にあるそれぞれの対象との間の電圧変化の接触式の検出も非接触式の検出も実現することができる。
【0029】
有利には、保持装置は、この保持装置によって保持されているそれぞれの対象が検査局にある場合には、その対象が接地されているように構成されている。
【0030】
有利には、電極が複数の櫛先端部を備えた櫛状電極として構成されており、有利には隣接する二つの櫛先端部の間隔は1mm未満、特に約0.5mm未満である。有利には対象と対向している電極の先端に電界を集中させるために、櫛としての電極の構成は特に有利である。ここでもまた櫛としての電極の構成は、櫛電極と対象との間では櫛の先端部において比較的高い電位が生じ、間隔の変化を比較的容易に識別できるという利点を有している。
【0031】
有利には、保持装置が、保持しているそれぞれの対象をそれぞれの回転軸について回転させるように構成されている。特に回転対称形の対象である場合、有利には、それらの対象がそれぞれの保持装置において回転されるので、処理局を固定的に構成することができ、同時に回転対称の対象の外面全てを処理することができる。飲料缶では処理又は検査すべき表面が飲料缶の長さ又は高さであり、その長さは周囲長の数倍である。有利には飲料缶の長さ又は高さに適合されている電極では、有利には、飲料缶の外壁全てを飲料缶の回転によって検査することができる。それぞれの保持装置における対象の回転速度は約300U/minである。特にそのような高速な回転速度では、有利には、本発明による検査装置が、300U/minでは1μsよりも短い非常に短い検出時間で動作する。
【0032】
本発明の別の態様は、丸みのある断面と少なくとも部分的に導電性である外壁とを備えた対象の表面処理を行なう装置のための検査局であり、この検査局は、電圧源と、この電圧源と接続されている電極と、評価ユニットとを有しており、評価ユニットは電極と検査局にあるそれぞれの対象との間の電圧変化を検出するよう構成されていることを特徴としている。有利には、前述したように検査局の構成に関連させて説明した特徴又はそれら特徴の組み合わせを有するように検査局を構成することができる。
【0033】
本発明による検査局及びその発展形態は、特に、丸みのある断面と少なくとも部分的に導電性である外壁とを備えた対象の表面処理を行なうための装置、特に、前述の装置及びその実施の発展形態への使用に適している。
【0034】
本発明の別の態様は、電極と、検査局として構成されている処理局にあるそれぞれの対象との間に電圧を形成するステップと、電極と、検査局として構成されている処理局にあるそれぞれの対象との間の電圧変化を検出するステップとを有する、冒頭で述べたような、丸みのある断面と少なくとも部分的に導電性である外壁とを備えた対象の表面処理を行なうための方法である。
【0035】
本発明による方法を、電極と検査局にあるそれぞれの対象との間の誘電体として空気を使用するステップによって更に発展させることができる。
【0036】
本発明による方法を、電極と、検査局にあるそれぞれの対象との間の電圧変化が検出された場合、及び/又は、電極と、検査局にあるそれぞれの対象との間において検出された電圧変化が所定の限界値を上回ったか、又は下回った場合、信号を生成するステップによって更に発展させることができる。
【0037】
本発明による方法を、検査局において、電極と対象との間の電圧変化が検出された場合、及び/又は、検査局において検出された電極と対象との間の電圧変化が所定の限界値を上回ったか、又は下回った場合、処理すべき対象をそれぞれの保持装置から除去するステップによって更に発展させることができる。
【0038】
本発明による方法を、電極と検査局にあるそれぞれの対象との間隔を調整するステップによって更に発展させることができる。
【0039】
本発明による方法を、形成される電圧が直流電圧、有利には高圧直流電圧であることによって更に発展させることができる。
【0040】
本発明による方法を、検査局にあるそれぞれの対象を接地するステップによって更に発展させることができる。
【0041】
本発明による方法を、保持されている対象を回転軸について回転させるステップによって更に発展させることができる。本発明による方法を、電極と検査局にあるそれぞれの対象とを接触させる必要なく、電極と検査局にあるそれぞれの対象との間の電圧変化を検出するステップによって更に発展させることができる。
【0042】
本発明のそれら別の態様の利点、実施の形態の変形形態及び詳細並びに発展形態は、本発明の対応する別の態様に関連している、本発明による装置の前述の相応の態様にも適用される。
【0043】
本発明の有利な実施の形態を添付の図面に基づき例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による検査局の実施の形態及び飲料缶の概略図を示す。
【図2】飲料缶を備えた、本発明による検査局の実施の形態の側面図を示す。
【図3】図2に示した実施の形態の飲料缶を備えていない状態の立体図を示す。
【図4a】図2及び図3に示した実施の形態の電極を示す。
【図4b】図4aに示した電極の部分拡大図を示す。
【図5】図2及び図3に示した実施の形態の別の立体図を示す。
【図6】図2、図3及び図5に示した実施の形態の側面図を示す。
【図7】図2、図3、図5及び図6に示した実施の形態の背面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1には、飲料缶200の表面の不均一性を検出するための検査局100が電極110を有しており、この電極110が飲料缶200に対して間隔を空けて配置されており、且つ、直流電圧源120並びに評価ユニット130と接続されていることが示されている。直流電圧源120は有利には約800Vの高電圧を供給する。缶200は接地されている。電極110と飲料缶200との間には誘電体として空気が存在している。本発明によれば、直流電圧源120を用いて電極110と飲料缶200との間に電界が形成されており、これによって飲料缶200の外壁の表面において不均一が生じている場合には電圧変化を評価ユニット130によって検出することができ、これによって表面の不均一を識別することができる。評価ユニット130は電極110に印加される高電圧を継続的に測定し、この電圧における偏差を確認する。
【0046】
図2,3及び5から7から見て取れるように、電極110は絶縁体140上に取り付けられており、この絶縁体140はやはり保持部160a,160bに支持されている。保持部160a,160bは、電極110と飲料缶200との間隔を調整するための手段150a,150b、例えばダイヤルゲージを有している。このようにして、飲料缶200からの電極110の間隔を、必要とされる周辺条件について正確に調整することができる。電極110と飲料缶200との間隔は有利には約300μmである。
【0047】
缶200は有利には回転可能に支持されており、この場合、回転速度は有利には300U/minである。
【0048】
飲料缶200と測定電極110との間隔が、飲料缶200の外壁の表面の不均一性、例えば凸部によって狭められる場合、電極110と飲料缶200との間に放電又はフラッシオーバが生じ、これによって電圧降下が発生する。この電圧降下が評価ユニットによって検出される。間隔が変化することによって、電極110と飲料缶200との間隔よりも小さい不均一性も検出することができる。即ち、非接触式の検出も実現される。有利には、評価ユニットが信号を用いてこの電圧変化を上位の制御部、有利にはプログラマブルロジックコントローラ(LPC)に伝送する。相応の信号が生成されるべき電圧降下の大きさを有利には調整することができる。装置の上位の制御部は、相応の電圧降下が発生した場合に、例えば電圧降下を惹起した対象の除去又は装置の動作の中断を指示する。表面の不均一を検出するための時間は有利には約1μs以下である。
【0049】
表面の不均一を有する対象、特に飲料缶200の除去は、有利には、圧縮空気を用いて保持部から飲料缶200を弾き飛ばすことによって行なわれる。
【0050】
図4a及び4bから見て取れるように、電極110は有利には、複数の櫛先端部111を備えた櫛状電極として構成されている。櫛先端部111は相互に約0.5mmの間隔を置いて配置されている。櫛状電極の先端と缶との間には比較的高い電位が生じており、また間隔の変化を比較的容易に識別することができるので、櫛状電極は非常に有利である。電極110は、検査局、特に絶縁体140に電極を固定するための固定手段112を有している。電極110は、その長手方向における拡張部において、飲料缶200の長手方向の拡張部に実質的に対応しており、このことは図1に概略的に示されている。
【0051】
更に有利には、電極110の輪郭が飲料缶200の輪郭又は他の対象の輪郭に適合されているか、又は、電極110の輪郭を飲料缶200の輪郭又は他の対象の輪郭に適合させることができるので、形状が異なる種々の対象を検査局によって検査することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
丸みのある断面と少なくとも部分的に導電性である外壁とを備えた対象の表面処理を行なうための装置であって、
複数の処理局と、
処理すべき対象を保持するための保持装置を備えている送り装置とを有しており、前記送り装置はそれぞれの保持装置によって保持されている対象をある処理局から後続の処理局へと規則的に運搬するよう構成されている、対象の表面処理を行なうための装置において、
前記複数の処理局の内の一つが検査局であり、該検査局は電圧源と、該電圧源と接続されている電極と、評価ユニットとを有しており、該評価ユニットは、前記電極と前記検査局にあるそれぞれの対象との間の電圧変化を検出するよう構成されていることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記電極と前記検査局にあるそれぞれの対象との間の誘電体として空気が使用される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記検査局は、前記電極と前記検査局にあるそれぞれの対象との間隔を調整するための手段を有している、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記電圧源は直流電圧源、有利には高圧直流電圧源である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記検査局は、前記電極と前記検査局にあるそれぞれの対象とが接触する必要なく、前記電極と前記検査局にあるそれぞれの対象との間の電圧変化を検出するよう構成されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記保持装置は、該保持装置によって保持されているそれぞれの対象が前記検査局にある場合には、該対象が接地されているように構成されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記電極は複数の櫛先端部を備えた櫛状電極として構成されており、有利には隣接する二つの櫛先端部の間隔は1mm未満、特に約0.5mm未満である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
丸みのある断面と少なくとも部分的に導電性である外壁とを備えた対象の表面処理を行なう装置のための検査局において、
該検査局は、電圧源と、該電圧源と接続されている電極と、評価ユニットとを有しており、該評価ユニットは前記電極と前記検査局にあるそれぞれの対象との間の電圧変化を検出するよう構成されていることを特徴とする、検査局。
【請求項9】
前記検査局は、請求項2乃至5又は7のいずれか一項に記載の特徴部分に記載されている構成を有するように構成されている、請求項8に記載の検査局。
【請求項10】
丸みのある断面と少なくとも部分的に導電性である外壁とを備えた対象の表面処理を行なうための装置、特に、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の装置における、請求項8又は9に記載の検査局への使用。
【請求項11】
丸みのある断面と少なくとも部分的に導電性である外壁とを備えた対象の表面処理を行なう方法であって、
処理すべき対象を送り装置の保持装置に一時的に配置するステップと、
それぞれの保持装置によって保持されている対象を前記送り装置によってある処理局から後続の処理局へと規則的に運搬するステップとを備えている方法において、
さらに、
電極と、検査局として構成されている処理局にあるそれぞれの対象との間に電圧を形成するステップと、
前記電極と、検査局として構成されている処理局にあるそれぞれの対象との間の電圧変化を検出するステップとを備えていることを特徴とする、方法。
【請求項12】
前記電極と前記検査局にあるそれぞれの対象との間の誘電体として空気を使用するステップを備えている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記電極と前記検査局にあるそれぞれの対象との間隔を調整するステップを備えている、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
形成される前記電圧は直流電圧、有利には高圧直流電圧である、請求項11乃至13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記電極と前記検査局にあるそれぞれの対象とを接触させる必要なく、前記電極と前記検査局にあるそれぞれの対象との間の電圧変化を検出するステップを備えている、請求項11乃至14のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−501232(P2013−501232A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523329(P2012−523329)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061369
【国際公開番号】WO2011/015608
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(507389705)ボール パッケージング ユーロップ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (4)
【氏名又は名称原語表記】Ball Packaging Europe GmbH
【住所又は居所原語表記】Kaiserswerther Str. 115, D−40880 Ratingen, Germany
【Fターム(参考)】