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検査方法および検査キット
説明

検査方法および検査キット

【課題】 測定対象である試料の一部にのみ検出対象の物質が含有されている場合などでも、検出対象物質の検出ができる検査方法、および、この検査方法に用いることができる検査キットを得ること。
【解決手段】 容器1の中に試料5と溶出液3とを入れ、容器1内で試料5と溶出液3とを接触させて溶出処理を行った後、検査試薬4を用いて、試料5から溶出液3に溶出した成分を検出する検査方法において、容器1として、試料5と溶出液3とを内蔵した状態で、任意にその形状を変形させることができるものを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料から溶出液に溶出させた成分を、検査試薬を用いて検出する検査方法、並びに、この検査方法に用いられる検査キットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への意識が高まり、各種部材に含有されている有害物質に対する規制が強化されている。
【0003】
例えば、電子部品や機械部品では、使用されている鉄材の表面に施されるクロメート処理などで、表面に有毒物質である6価クロム成分を含有していることがある。6価クロムは、欧州連合(EU)による電子・電気機器における特定有害物質の使用制限についての規制であるRoHS(ローズ)指令で、その含有量が1000ppm以下に制限されているなど、各種の規制の対象となっている。このため、部品等において6価クロムが含有されているか否かの検出、および、その含有量の特定が重要である。
【0004】
従来、6価クロムの含有量の定量方法としては、例えば以下のものが提案されている。
【0005】
測定処理の前処理段階を図8に示すように、測定対象の試料53を、溶出液52である濃度0.1〜2.5%の水酸化ナトリウムを50ml収容した容器51に入れ、ホットプレート54によって60〜70℃で1〜2時間加熱し、室温で放冷して試料溶液を得る。この試料溶液に対して、吸光光度法などを用いることによって液中に溶出した6価クロムの量を測定することにより、試料中の6価クロム含有量を定量する。
【0006】
このようにすることで、酸化還元反応が生じやすく、3価クロムと6価クロムとの間でその組成が変化しやすい6価クロムの含有量を、安定して定量することができるというものである(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−64475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した従来の6価クロムの含有量の定量方法では、試料中に含有される6価クロムを溶出させるために、溶出液を所定時間のあいだ所定温度に保つ必要がある。このため、温度管理ができるだけの一定量以上の溶出液が必要となる。また、図8に示すように、測定対象の試料と溶出液を収容した状態の容器をホットプレートなどで加熱して溶出液の温度管理を行っているため、容器としてはガラス製または金属製のビーカーなどが用いられることが通例である。
【0008】
一方、試料中の6価クロムの含有量を検査する場合に、測定対象の試料によっては、試料の中で6価クロムが含有している可能性のある部分が限られているものもある。
【0009】
例えば、測定対象の試料が照明用の管球である場合を考えると、6価クロムを含有している可能性があると考えられるのは、通常、先端部の口金の金属部分のみであり、管球の容積の大部分を占めるガラス部分には6価クロムは含有されていない。また、管球の口金部分近傍のセラミック部分に商標や製品型番などが印刷されることがあり、この印刷塗料中に6価クロムが含まれている場合もある。
【0010】
このように、6価クロムが含有されている可能性のある部分が、測定対象の試料の一部のみである場合であっても、上記した従来の6価クロムの含有量の定量方法では、試料全体が収容できる大きさの容器が必要となる。このため、必然的に容器内の溶出液の液量を多くせざるを得ないが、溶出液の液量を多くすると、6価クロムの検出感度が低下してしまう。特に、6価クロムの含有量が少ない場合には、溶出液の単位液量に対する溶出した6価クロムの量が少なくなって、溶出液の色彩変化が十分に生じずに6価クロムの検出自体ができなくなる場合が生じてしまう。
【0011】
このような、試料の一部のみに検出対象物質が含有されている場合に、その物質の検出が困難であるという課題は、上記例示した6価クロムの検出に限らず、さまざまな物質の検出を行う際に共通して発生する課題である。
【0012】
本発明は、このような従来の問題点を解決するためになされたものであり、特に、従来の検査方法では検出感度が低下して検出自体が困難となる、測定対象である試料の一部にのみ検出対象の物質が含有されている場合などでも、検出対象物質の検出ができる検査方法、および、この検査方法に用いることができる検査キットを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の検査方法は、容器の中に試料と溶出液とを入れ、前記容器内で前記試料と前記溶出液とを接触させて溶出処理を行った後、検査試薬を用いて、前記試料から前記溶出液に溶出した成分を検出する検査方法において、前記容器として、前記試料と前記溶出液とを内蔵した状態で、任意にその形状を変形させることができるものを用いることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の検査キットは、試料中に含有されている成分を、前記試料と接触させた溶出液に溶出させて検出する検査方法に用いられる検査キットであって、前記試料と前記溶出液とを内蔵した状態で、任意にその形状を変形させることができる容器と、前記溶出液が封入され、前記容器の中で破かれて前記溶出液を前記容器内に放出する溶出液パックとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の検査方法は、上記の構成とすることで、試料の一部にのみ検出対象物質が含有されている場合でも、容器を変形させて試料の所望部分と溶出液とを接触させることができるので、必要な溶出液の量を少なくすることができる。このため、検出の感度が向上して、試料に微量しか含まれていない検出対象物質でも精度よく検出することができる。
【0016】
また、本発明の検査キットは、上記した本発明の検査方法を実視する上で必要な材料が揃えられていて、特に、溶出液の持ち運びや取り扱いに優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明にかかる検査方法は、容器の中に試料と溶出液とを入れ、前記容器内で前記試料と前記溶出液とを接触させて溶出処理を行った後、検査試薬を用いて、前記試料から前記溶出液に溶出した成分を検出する検査方法において、前記容器として、前記試料と前記溶出液とを内蔵した状態で、任意にその形状を変形させることができるものを用いる。
【0018】
この構成によれば、容器に試料と溶出液が内蔵された状態で、容器を変形させて試料の所望部分と溶出液とを接触させることができる。このため、試料の一部分のみに検出対象の物質が含有されている場合でも、容器内に入れる溶出液の液量を多くしなくてもよい。その結果、溶出液に溶出される検出対象物質の濃度が低下してしまうことが防止できるので、検出感度の低下のない状態で検査対象の試料に検出対象物質が含有されているか否かの検査を行うことができる。
【0019】
上記の構成において、前記容器が、透明な袋状であることが好ましい。容器が、透明であれば、封入された試料と溶出液との接触を外部から確認することができ、容器の変形をコントロールして、試料の所望部分と溶出液とを正しく接触させて溶出処理を行うことができる。また、容器が袋状であることによって、容器への試料や溶出液の出し入れを容易に行うことができる。
【0020】
なお、本明細書において「透明」とは、完全な無色透明を意味するものではなく、その内容物の状態が外側から確認できる程度の透明度を有することをいい、いわゆる有色透明を含む概念を表している。
【0021】
また、前記容器が、開閉可能な封入口を有することが好ましい。このように構成することで、容器内に試料と溶出液を入れた後に、一旦、封入口を閉じた状態で溶出処理を行うことができ、容器の変形に伴って誤って溶出液が容器からこぼれてしまう事態を防止できる。また、その後、封入口を再び開いて、試料や溶出液を取り出したり、検査試薬を容器内に投入したりすることができる。
【0022】
この場合において、前記容器がチャック付きポリ袋であることが好ましい。チャック付きポリ袋は、チャックを開閉することで容易に封入口を開閉でき、また、透明であって内部が確認できる。しかも、さまざまなサイズのものが市販されていて、容易かつ安価に入手することができる。
【0023】
また、前記溶出液が封入された溶出液パックを前記容器に入れた後、前記容器の中で前記溶出液パックを破いて前記容器内に前記溶出液を放出させることが好ましい。このようにすることで、溶出液の保管や必要量の管理、さらに溶出液の容器への投入を容易に行うことができる。
【0024】
さらに、前記溶出液が、硬度50ppm以下の水であることが好ましい。また、前記溶出液が、イオン交換水であることが好ましい。このようにすることで、溶出液と、試料や検出対象物質との不所望な反応を防止することができ、さらに、溶出後に検査試薬を反応させる場合、試薬の発色を良くすることができる。
【0025】
また、前記溶出処理を行った後に前記容器から前記試料を取り出し、前記容器内に前記検査試薬を投入して、前記検査試薬と前記溶出液とを反応させることが好ましい。このようにすることで、溶出液と検査試薬との反応を容器内部で行えるため、容器から溶出液を取り出すなどの作業が不要となり、検査の作業効率を向上させることができる。
【0026】
また、前記溶出処理が、前記容器を所定温度の液体に浸した状態で行われることが好ましい。このようにすることで、試料に含有されている物質の溶出を行う際の溶出液の温度管理を、容器を含めた検査手段の全体で簡易に行うことができる。したがって、溶出液の液量が少ない場合でも、正確な温度管理を行うことができる。
【0027】
なお、本発明の検査方法は6価クロムの検出を目的とする検査に用いることができる。
【0028】
また、本発明にかかる検査キットは、試料中に含有されている成分を、前記試料と接触させた溶出液に溶出させて検出する検査方法に用いられる検査キットであって、前記試料と前記溶出液とを内蔵した状態で、任意にその形状を変形させることができる容器と、前記溶出液が封入され、前記容器の中で破かれて前記溶出液を前記容器内に放出する溶出液パックとを有する。
【0029】
このような構成とすることで、試料が含有している物質を溶出液に溶出させて検出するという検査方法に必要な材料一式を、一括して用意することができる。
【0030】
また、この場合において、前記溶出液の封入量が異なる複数の前記溶出液パックを有することが好ましい。このようにすることで、試料の大きさや形状、試料における検出対象物質が含有している部分の大きさなど、検査内容に応じた必要量の溶出液を、容易にかつ確実に容器に投入して検査を行うことができる検査キットとすることができる。
【0031】
さらに、前記溶出液に溶出した成分を判別する、検査試薬をさらに有することが好ましい。このようにすれば、溶出液に溶出した成分を、溶出処理に引き続いてその場で確認することができる。
【0032】
以下、本発明の検査方法および本発明の検査キットについて、図面を参照しながらその具体例を、本発明の実施の形態として説明する。
【0033】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態として、本発明にかかる検査キットについて図面を用いて説明する。
【0034】
図1は、本発明の第1の実施形態である検査キットに含まれる、各種の部材の外観を示す図である。
【0035】
図1(a)は、本実施形態の検査キットにおける容器の外観を示す。本実施形態では、試料と溶出液とを内蔵した状態で任意にその形状を変形させることができる容器として、チャック付きポリ袋1を用いている。このチャック付きポリ袋1は、ポリエチレン製の透明な袋であり、上端の開口部1a近傍にチャック部1bが設けられていて、このチャック部1bを指で押さえることで簡単にシールすることができ、また、シールの開放も容易に行える。このようなチャック付きポリ袋1は、各種サイズが一般に市販されているため、検査対象の試料の大きさに合わせて、適宜その大きさを選択することができる。
【0036】
なお、市販のチャック付きポリ袋は、その厚みが40μm程度のポリエチレンシートで形成されており、本実施形態の容器として用いる場合にはこの程度の厚さで特に問題は生じない。本実施形態のように容器を袋状とする場合の厚さとしては、内部に試料と溶出液を内蔵した状態で、例えば容器ごと落下してしまった場合や、容器全体が暖められたときに内部の圧力が上昇した場合でも容易に破損することなく、また、試料に多少の凹凸や突起があったとしても容易に破けない厚さであることが必要となる。一方で、袋状容器の厚さが厚すぎて、試料と溶出液との接触が十分に行われるように形状が容易に変形させることができなくなってしまうのでは意味がない。このため、例えば本実施形態のように、ポリエチレンシートを加工した袋を容器として用いる場合であれば、その厚さは、10μm〜80μm程度であることが好ましいと考えられる。
【0037】
図1(b)は、溶出液3が封入されている溶出液パック2の外観を示す。溶出液パック2は、透明のポリエチレン製の袋に、溶出液3として10mlのイオン交換水、すなわちイオン交換処理によって不純物を取り除いた水を封入したものである。図1(b)に示すように、ポリエチレン製の袋の周囲には、熱圧着シールされたシール部2aを有している。溶出液パック2として使用されるポリエチレン製の袋は、厚さが30μm程度であり、上記したように厚さが約40μmのチャック付きポリ袋1よりも薄手の材料で作成されている。なお、本実施形態のように、溶出液パックを容器と同じポリエチレン製の袋とする場合には、溶出液パック2を形成するポリエチレンシートの厚みは、容器のポリエチレンシート厚みよりも10μm程度以上薄く、例えば5μm〜35μm程度のものが好ましい。このようにすれば、溶出液パック2単体の状態で取り扱われている際に、不用意に破損させて封入されていた溶出液3がこぼれてしまうという事態を招く恐れを少なくでき、また、容器1よりも薄いことで、容器1内部で溶出液パック2のみを容易に破くことができるからである。
【0038】
溶出液パック2のパック材の材料はポリエチレンに限られるものではなく、容器であるチャック付きポリ袋1の中で容易に破くことができて、パックされている溶出液3をチャック付きポリ袋1内に放出することができる材料であればよい。また、溶出液パック2の材料は、必ずしも透明である必要はない。
【0039】
溶出液パック2に封入される溶出液は、上記したイオン交換水(「純水」と称されることもある)に限られるものではなく、検査の目的やその精度、検査対象物質や検査対象の試料の成分等に応じて適宜選択されるものである。たとえば、硬度50ppm以下の水などと、その純度が含有物の量で示される場合や、イオン交換水や蒸留水などと、精製処理方法で示される様々な純度の水、その他の各種溶媒を用いることができる。
【0040】
図1(c)は、溶出液に溶出した成分を判別するための検査試薬4である。本実施形態にかかる検査キットは、試料に6価クロムが含有されているか否かを検出するものであるため、検査試薬4としては、例えばジフェニルカルバジドを用いることができる。
【0041】
なお、本発明の検査キットとしては、本実施形態で示したように検査試薬4を有することは必須の要件ではない。本実施形態で例示したような6価クロムの検出など、一般的な含有物質の検出を行うための試薬は、薬品メーカーから市販されていることが多いため、この市販の検査試薬を溶出液に反応させて含有物質の検査を行うことができる。例えば、上記本実施形態として説明した、検査試薬としてジフェニルカルバジドを用いる検査方法では、検査試薬と、検査試薬を溶出液に反応させた際の着色度合いを比較する標準色シートがセットになって、ジフェニルカルバジド比色法(JIS K 0102 65.2.1)を実施できるテストキットなどが市販されている。
【0042】
一方で、検査キットとして、使用される溶出液とともに検査試薬が含まれていることにより、検査キットのみで一連の検査が実施できるというメリットを有する。検査対象物質が特殊なものである場合など、検査試薬が容易に入手できないものである場合は、特に便利である。
【0043】
なお、図1(c)では、検査試薬として粉状のものを図示したが、検査試薬としては粉状のものに限らず、粒状のものや液状のもの、紙などの媒体に含有させたものなど、さまざまな態様があることは言うまでもない。
【0044】
図2は、本実施形態で示した検査キットにおける、溶出液パック2のバリエーションを示す図である。
【0045】
図2(a)に示すように、本実施形態にかかる検査キットに含まれる溶出液パック2としては、封入される溶出液3の液量を異ならせた複数種類の大きさのものを用意することが好ましい。例えば、図2(a)の左側に示すのは、上記した溶出液3であるイオン交換水を10ml封入した溶出液パック2であり、図2(a)右側に示すのは、封入されたイオン交換水が半分の5mlである溶出液パック2である。本実施形態にかかる検査キットでは、溶出液3を溶出液パック2に封入しているため、必要な溶出液を必要な量だけ容易に用意することができる。そして、検出キットとして、図2(a)に示したような、封入された溶出液3の液量の異なる2種類以上の溶出液パック2を有することで、適切な溶出液パック2を必要な個数選択使用して、容器1内に投入する溶出液3の量を細かく調整することができる。
【0046】
また、図2(b)は、溶出液パック2の他のバリエーションであり、一つの溶出液パック2に2つの溶出液3の封入部を有するものを示している。図2(b)に示すように、溶出液パック2の中央部分にシール部2bを設けることで、例えば5mlの溶出液3の封入部を2つ有する溶出液パック2を形成することができる。このようにすることで、一つの溶出液パック2で、溶出液が5ml必要な場合と10ml必要な場合との両方に対応することができる。このようにすることで、溶出液パック2をあらかじめ容器3内に投入し、容器2の封入口を閉じた後に溶出液3の液量を調整しなくてはならない場合などにも、容易に対応できるというメリットがある。
【0047】
なお、図2(b)に示した溶出液パック2の中央部分のシール部2bの幅が、あまり狭すぎると、いずれか一方の溶出液が封入されている部分のみ破いて溶出液を容器内部に放出させる際に、溶出液の放出を所望しないもう一方の溶出液の封入部分も一緒に破いてしまって、必要量以上の溶出液が容器内部に放出される恐れがある。また、溶出液が封入されている部分を押圧したときに、溶出液パックの周囲のシール部2aが破れずに、中央部分のシール部2bが破れて、分離された溶出液の封入部分が繋がってしまうという事態も好ましくない。一方で、中央部分のシール部2bの幅が必要以上に広い場合には、溶出液パックの大きさが必要以上に大きくなり、また、材料費が余分にかかるなどしてやはり好ましくない。このため、中央部分のシール部2bの幅を所定範囲とすることが好ましく、具体的には1mm〜5mm程度とすることが好ましい。なお、一つの溶出液パックに設けられる溶出液の封入部分は2つに限られるものでなく、上記説明は、3つまたは4つ以上の溶出液封入部分を持つ溶出液パックを使用することを妨げるものではない。
【0048】
一つの溶出液パック2が2つの溶出液封入部分を持つ場合の、分離された溶出液封入部分の形成方法の異なる例を、図2(c)に示す。図2(c)に示す異なる例では、溶出液パック2の中央部分に形成されたシール部2bが2つ設けられていて、そのシール部2b間の部分が、溶出液を封入しない2つの溶出液封入部分の接続部分2cとなっている。このようにすることで、2つの溶出液封入部分のうちの一方のみを破いて溶出液を放出する場合に、溶出液を放出させる側のシール部2bが破損したとしても、他方の溶出液封入部分のシール部2bが容易に破れてしまい、溶出液が誤って放出されてしまうという事態となることを効果的に防止することかできる。
【0049】
また、溶出液パック2には溶出液のみならず、検査に必要な溶出液の他の液状物、例えば液状の検査試薬を封入することもできる。図2(b)に示した場合のように、一つの溶出液パック2に2つの封入部を設ける場合に、一方の封入部内に溶出液を封入し、他方の封入部内に検査試薬を封入することで、溶出液と検査試薬とを一つの溶出液パック2から別々の所望のタイミングで容器内に放出させることができる。このことは、溶出液パックに設けられる封入部が2つの場合に限られるものではない。溶出液パックに複数すなわち2つ以上の封入部を設けた場合に、溶出液が封入された1つ以上の封入部の他に、液状の検査試薬等の溶出液以外の液状物が封入された封入部を設けることで、同様の効果を奏することができる。
【0050】
なお、溶出液パック2の封入部に、溶出液と液状の検査試薬等の他の液状物とをそれぞれ封入する場合において、溶出液と液状の検査試薬等がともに無色透明である場合のように、両者を外見からは区別できないことがある。このような場合には、それぞれが封入されている封入部の大きさや形状、色を変えることなどによって、両者の判別を容易に行うことができる。
【0051】
また、本実施形態の検査キットにおける溶出液パック2としては、上記したポリエチレン製の袋に限らず、例えば図3に示すような、いわゆるブリスター包装を用いることもできる。
【0052】
図3に示すように、ブリスター包装を用いた溶出液パック2は、基材部分2dに、溶出液封入部分としてのケース部2fと、ケース部2fを覆う薄膜カバー2eとが設けられている。このとき、必要な量の溶出液が封入されたケース部2fを押圧することにより、そのケース部2f部分の薄膜カバー2eが破れて、所望量の溶出液3を容器内に放出させることができる。
【0053】
また、ケース部2fの薄膜カバー2eを、熱によって溶ける材料で形成することで、ケース部2f内の溶出液を、容器の外から力を加えて薄膜カバー2eを破くのではなく、熱によって溶かすことによって破いて放出させることもできる。
【0054】
薄膜カバーを熱によって溶ける材料で形成する場合、その材料の融点は溶出液の沸点より低くすることが好ましく、具体的には100℃以下の比較的低い温度とすることが好ましい。また、試料中の検査対象物質の溶出を、溶出液を所定の温度まで暖めて行う場合には、薄膜カバーの材料の融点を溶出時の溶出液の液温より低い温度とすることが好ましい。このようにすることで、容器全体を溶出時の温度に暖める際に、薄膜カバーが破れて溶出液が容器内に放出されるようになるからである。たとえば、本発明の第2の実施形態として後述するように、容器を80℃の温水につけて暖める場合には、薄膜カバーとして融点が80℃以下のものを用いればよい。このような薄膜カバーの材料としては、融点が47〜70℃のパラフィン(石蝋)が好適である。なお、室温で保存した場合に破れないように、薄膜カバーの材料の融点は、40℃以上であることが好ましい。
【0055】
さらにこの場合には、薄膜カバー2eが溶ける温度が異なることを利用して、溶出液パック2からの溶出液の放出量をコントロールすることもできる。例えば、2つのケース部2fを覆う薄膜カバー2eの材料を、一方は融点が50℃のパラフィン、他方は融点が70℃のパラフィンとしておき、一方のケース部2f内の溶出液のみを放出させたい場合には、溶出液パックの温度を、融点が50℃のパラフィンを用いた薄膜カバー2eのみが溶ける温度、例えば60℃とする。このようにすることで、溶出液パック2に外部から力を加えることなく、所望量の溶出液を放出させることが可能となる。
【0056】
なお、溶出液パック2の薄膜カバー2eの材料を選択するにあたっては、溶出液と試料中の検出対象物質との反応や、溶出液と後に投入される検査試薬との反応に影響のない材料を選ぶべきであることは言うまでもない。また、薄膜カバー2eとしては、外部からの振動や衝撃によっては容易に破損することなく、ケース部2fを所定の力で押圧したときに溶出液を放出することができる強度のものが必要となる。薄膜カバー2eの厚さは、このような観点から適宜定められるべきであり、具体的な膜厚としては100μm〜1mm程度のものが好適であると考えられる。
【0057】
また、上記のパラフィンのように、所定の温度で溶ける材料で溶出液を封入した溶出液パックの蓋を形成することにより、溶出液パック自体を変形させることなく溶出液を放出させることが可能になる。このため、例えばガラス管やガラス瓶などのガラス容器を溶出液パックの本体として使用し、その開口部を上記した熱によって溶ける薄膜カバーで覆うことによっても、本実施の形態の検出キットに使用して好適な溶出液パックを得ることができる。さらに、溶出液パックの本体をガラス容器ではなくビニールやゴム製の変形可能なチューブで形成することで、溶出液パック自体を変形させて溶出液を放出させることと、熱によって放出させることとを共に可能にすることができる。
【0058】
次に、図4は、本実施形態にかかる検査キットで、溶出液パック2から溶出液3を容器であるチャック付きポリ袋1の内部に放出させる状態を示すイメージ図である。
【0059】
図4に示すように、本実施形態にかかる検査キットの溶出液パック2は、比較的薄手のポリエチレン製の袋を熱圧着してシールしたものであるため、試料5とともに容器であるチャック付きポリ袋1の中に投入した後に、チャック付きポリ袋1の外から押しつぶすようにすることで、容易に封入された溶出液3を放出させることができる。
【0060】
なお、本実施形態の検査キットのように、容器をチャック付きポリ袋1とした場合には、溶出液パック2を押しつぶして中に封入された溶出液3を容器内に放出させる際に、チャック1bを閉めておくことで、溶出液3が勢い余って容器1の外にまで飛び出してしまうような事態を防止することができる。
【0061】
また、本実施形態の検査キットのように、容器1と溶出液パック2をともに透明のポリエチレン製とすることで、溶出液パック2に封入されていた溶出液3全てが容器内に放出されたか否かを確認することができる。もし、溶出液パック2内に溶出液3の放出のこりがあった場合には、その部分を目視しながら指で押すことで、残った溶出液3を容器1内に放出させることができる。
【0062】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、本発明にかかる検査方法について、図面を用いて説明する。なお、本実施形態では、クロムメッキが施されたねじを検査対象試料として、6価クロムの含有量を検出する場合を例として、その手順を説明する。
【0063】
図5は、本実施形態の検査方法における検査の手順を示すイメージ図である。
【0064】
図5(a)に示すように、まず、検査対象の試料5であるねじを容器に投入する。ここで、本実施形態における、試料と溶出液とを内蔵した状態で任意にその形状を変形させることができる容器として、上記本発明の第1の実施形態として示した検査キットに含まれているものと同じく、チャック付きポリ袋1を用いることとする。
【0065】
なお、容器であるチャック付きポリ袋1は、検査対象の試料5の大きさと投入される溶出液の液量に合わせて、適宜その大きさを選択すればよい。本実施形態で試料5であるねじの大きさが、例えば最大径5.5mm、全長35mmであるとすると、チャック付きポリ袋1としては、幅が80mm、チャック部1bから下の深さが120mm程度のものを用いることができる。
【0066】
次に、図5(b)に示すように、容器であるチャック付きポリ袋1に、溶出液3であるイオン交換水を投入する。なお、図5(b)では、ビーカーのようなものから溶出液3を直接チャック付きポリ袋1内に投入している様子を図示しているが、チャック付きポリ袋1への溶出液3の投入方法はこれに限られるものではない。例えば、投入量がわずかであって、かつ、投入量の正確性を期す必要がある場合には、シリンジやピペットなどを用いて投入することが好ましい。さらに、上記第1の実施形態で示した、溶出液パック2を用いて、溶出液3を投入することもできる。
【0067】
ここで、図5(a)および図5(b)では、容器であるチャック付きポリ袋1に、まず試料5を投入して、その後、溶出液3を投入する順序で説明したが、この順序は逆でもよく、溶出液3を投入した後に試料5を投入してもかまわない。さらに、溶出液パック2を用いる場合には、試料5と溶出液パック2とを同時に容器1内に投入した後、図4に示したようにして溶出液パック2を破いて容器1内に溶出液3を放出させることもできる。
【0068】
なお、本実施形態では、6価クロムの含有量の測定として、温水抽出のジフェニルカルバジド吸光光度簡易分析法を用いることとする。この場合の溶出液は、試料や検査対象物質である6価クロムとのとの不所望な反応を抑え、また、検査試薬との反応による溶出液の発色をよくして、正確な6価クロムの含有量を測定するため、硬度50ppm以下の水が用いられる。このような溶出液として、一般に純水とも称されるイオン交換水や、さらには、蒸留水を用いることが好ましい。もちろん、本発明にかかる測定方法における溶出液は、これらに限られるものではなく、測定対象物質や測定に用いられる検査試薬との関連から指定されたものを適宜用いることとなる。
【0069】
図5(c)は、容器であるチャック付きポリ袋1内に、試料5であるねじと溶出液3であるイオン交換水が投入された状態を示す。本実施形態の検査方法では、容器として変形可能なチャック付きポリ袋1を使用しているため、容器内に投入する溶出液3の量が少なくても、試料5であるねじと溶出液3であるイオン交換水との接触を十分に確保することができる。このため、チャック付きポリ袋1内に投入される溶出液3の量は、図5(c)に示すように、試料5であるねじが溶出液3で覆われる程度あれば十分である。本実施形態の場合、溶出液3の投入量は5mlとした。
【0070】
なお、図5(c)で示した、試料5であるねじと溶出液3とが容器に投入された状態で、溶出液3から気泡を取り除くことが好ましい。特に、試料5であるねじの表面部分には、気泡が残りやすいが、気泡が存在すると試料5と溶出液3との接触が妨げられ、試料5に含有されている6価クロム成分が溶出液3に十分溶出しないという事態が生じてしまう。このような事態を回避するために、特に試料5と溶出液3との間の気泡は確実に取り除くことが好ましい。
【0071】
気泡は、容器であるチャック付きポリ袋1ごと、試料5を溶出液3内で軽く揺する等して振動を加えたり、気泡のある部分をチャック付きポリ袋1の外側から指で押さえたりすることで、除去することができる。なお、本実施形態では、容器を透明のチャック付きポリ袋1としているため、容器1外部から気泡の位置や除去できたか否かを確認できるので、気泡の除去が容易となる。
【0072】
その後、チャック付きポリ袋1内の脱気と密封を行う。上述したように、本実施形態で示す検査方法では、温水抽出のジフェニルカルバジド吸光光度簡易分析法を用いる。そして、後述するように、容器であるチャック付きポリ袋1を密閉した状態で、所定温度の温水に浸すことで、溶出液3の温度を規定の80℃とする。この場合に、容器であるチャック付きポリ袋1内に多量の空気が残っていると、この空気が膨張してチャックの密閉が損なわれる恐れがあるため、あらかじめチャック付きポリ袋1内の空気を脱気しておくことが好ましい。また、チャックを閉めて容器1を密閉することで、後述する溶出処理の際に、容器から試料や溶出液がこぼれてしまったり、逆に、容器内に溶出処理のための温水が侵入してしまったりすることを確実に防止できる。このため、レトルト食品を温水で暖めるような手軽な作業で、溶出処理を行うことができる。
【0073】
図5(d)は、試料5から溶出液3への6価クロム成分の溶出処理を行っている状態を示している。本実施形態では、図5(d)に示すように、チャック1bを閉めて密閉したチャック付きポリ袋1ごと温水容器6に入れた温水7に浸して、試料5に含有されている6価クロム成分の溶出液3への溶出を行う。この温水容器6は、加熱手段8で暖めることで、溶出処理を行っている所定時間のあいだ、所定の温度に保たれる。本実施形態に示す、温水抽出のジフェニルカルバジド吸光光度簡易分析法での所定温度は80±2℃であり、溶出時間は10±1分間である。
【0074】
加熱手段8は、ホットプレートや恒温炉など各種のものを使用することができる。また、チャック付きポリ袋1を浸す温水7は、チャック付きポリ袋内1の溶出液3を、本実施形態の場合は10分と指定されている所定の溶出時間、所定の温度80℃に保つことができればよい。したがって、本実施形態のように溶出時間が10分と短い場合には、加熱手段8によって常に保温のための加熱処理を行うのではなく、所定の温度に暖めた温水7を保温性のある保温容器に入れて、その中にチャック付きポリ袋1を浸すようにしてもよい。このようにすることで、本実施形態で示す含有物質の検査を、より簡易に行うことができる。なお、上記したように、本発明にかかる検査方法では、容器内に投入する溶出液を必要最小限に抑えることができるので、容器ごと温水につけることで、短時間で溶出液の温度を所定の80℃にすることができる。
【0075】
溶出処理の終了後、チャック付きポリ袋1を温水7から取り出し、図5(e)に示すように、チャック付きポリ袋1から試料5を取り出す。本実施形態での温水抽出のジフェニルカルバジド吸光光度簡易分析法のように、溶出液3への試料5からの溶出処理の時間が定められている場合には、試料5の取り出しを速やかに行う必要がある。そして、容器1内に溶出液3のみが残存している状態でチャック付きポリ袋1のチャック1cを密閉し、溶出液3の温度が室温に下がるまで放冷する。
【0076】
なお、試料5に含まれる測定対象物質と溶出液3との反応時間に特に制限がない場合には、この図5(e)で示した、試料5の取り出し作業は不要となる。特に、測定対象物質の含有量を求めるのではなく、試料中5に測定対象物質が含有されているか否かのみを簡易的に検出する場合などでは、溶出液3の温度が所定温度から下がった状態でも、なるべく長い時間、溶出液3と試料5とを接触させておくことが望ましい。このようにすることで、測定対象物質の成分が少しでも多く溶出液に溶出することが期待でき、測定対象物質が含有されているか否かの検査をより確実に実施できるからである。
【0077】
溶出液3の温度が、本実施形態で行う温水抽出のジフェニルカルバジド吸光光度簡易分析法によって定まった、試薬反応温度である15〜40℃まで下がった後、図5(f)に示すように、容器1内に検査試薬4であるジフェニルカルバジドを投入する。検査試薬4の投入後、容器1を数回振り溶出液3と検査試薬4を混ぜる。その後、1分間放置して、溶出液3の色を標準色シートの色彩パターンと比較することで、試料5に含有していた6価クロムの濃度を検出することができる。
【0078】
以上のように、本実施形態での検査方法は、試料と溶出液とを内蔵した状態で任意にその形状を変形させることができる容器を用いることで、試料と溶出液とを確実に接触させることができ、少ない溶出液を用いながら、試料中に含まれる測定対象物質の溶出を行うことができる。このため、試料中に含まれる測定対象物質の含有量が少ない場合でも、含有物質の検査を容易に、かつ、確実に行うことができる。
【0079】
また、本実施形態にかかる検査方法では、容器の形状を任意に変形させることができるため、検査対象の試料の一部にのみ検出対象物質が含まれている場合にも、試料の所望の位置に溶出液を接触させることができるので、溶出液の液量を多くすることなく検査ができるというメリットがある。
【0080】
図6は、本発明の実施形態にかかる6価クロム含有量の検査方法を、検査対象試料としての管球に用いた場合の状態を示す。
【0081】
図6に示すように、本実施形態に示す検査方法では、容器として、内部に管球10がちょうど入る大きさのチャック付きポリ袋1を用いることができる。管球10では、その容積の大部分を占めるガラス球部分11には、6価クロムが含有されている可能性はなく、6価クロムが含有されているとすれば、管球10の先端部の口金部分12である。この口金部分12の中では、まず、金属製の口金14にクロメート処理がなされている場合があり、6価クロムが検出される場合がある。また、口金14とガラス球部分11との間のセラミック部分13に、商標や製品名などが印刷されている場合があるが、この印字15に塗料の成分として6価クロムが含まれる場合がある。
【0082】
このように、検査対象の試料において、検出対象物質が含有されている場所が限られる場合でも、本実施形態の検査方法では、容器であるチャック付きポリ袋の形状を変形させることができ、管球10がちょうど内蔵できる大きさのチャック付きポリ袋1を用いて試料である管球10を固定しながら、口金14のみが浸かる量の溶出液3を用いて確実に溶出処理が行え、管球10の6価クロム含有量を検査することができる。特に、管球のように、全体を溶出液に浸そうとした場合に、浮き上がってしまって容易に固定できない試料の場合でも、チャック付きポリ袋1が変形してガラス球部分11を抑えることになり、溶出処理を行っている間、口金14と溶出液3とを接触させておくことができる。このため、管球10を試料として非破壊状態で6価クロムの検出を行うことができる。
【0083】
図7は、本発明の実施形態にかかる6価クロム含有量の検査方法を、検査対象試料として管球の口金部分に用いた場合の状態を示す。図7に示すように、同じく管球を試料とした場合であるが、その口金部分12のみを試料としている。そして、図7に示す場合においては、6価クロムは、口金14には含有されておらず、セラミック部13に印刷された印字15に塗料としてのみ含有されているとする。
【0084】
このような場合でも、本実施形態にかかる検査方法では、容器であるチャック付きポリ袋1を変形させて、印字15部分と溶出液3とを接触させることができる。また、チャック付きポリ袋1が透明であるため、試料である口金部分12を回転させて、その印字15部分をより溶出液3に接触しやすい方向に向けることができる。
【0085】
このようにすることで、試料の表面の一部にのみ検査対象物質が含有されている場合でも、溶出液の量を多くすることなく、確実に検出することができる。
【0086】
以上説明したように、本実施形態にかかる検査方法では、容器内に投入する溶出液の液量を減らすことができるので、多量の溶出液を取り扱わなくてはならない場合と比較して、検査の手順自体を簡素化でき、また、検査対象試料において検出対象物質の含有量が微量である場合、また、その含有部分が限られている場合でも、確実に検査対象物質の検出を行うことができる。
【0087】
以上、本発明にかかる検査方法およびその検査方法に用いることができる検査キットについて、各実施の形態として、検出対象物質として6価クロムを例示し、6価クロムの含有量をジフェニルカルバジド比色法で測定する場合について具体的に説明した。しかし、この説明は本発明適用対象を限定するものではない。
【0088】
検査対象物質が6価クロムである場合でも、その検出方法はジフェニルカルバジド比色法に限られるものではなく、また、その含有量を特定する方法でなくても、6価クロムが含有されているか否かを簡易的に判断するための検査方法であってもかまわない。
【0089】
また、検出対象物質も6価クロムに限られるものではなく、検査対象試料を溶出液に接触させる溶出処理を行って検出対象物質を溶出させ、溶出液に検査試薬を反応させて、検出対象物質が含有されているか否かやその含有量を測定する検査方法であれば、各種物質を検出対象物質とすることができる。
【0090】
さらに、溶出液としても、上記各実施形態ではイオン交換水や蒸留水等の不純物が溶け込んでいない水を用いる例を説明したが、これに限られるものではない。例えば、クエン酸、酢酸、エチレンジアミン4酢酸、アスコルビン酸等の有機酸を溶出液として用いることにより、これら有機酸が有する、金属イオンに対してキレートを形成し取り込む性質を利用して、測定試料に含まれる検出対象物質が金属である場合に、これを効果的に取り込ませることができる。なお、上記例示した有機酸は、酸化しやすい性質を有するため、溶出液パックを用いて密閉して用いることが好ましい。また、上記例示した他の有機酸に対して酸化防止剤としての働きをするアスコルビン酸等、酸化防止剤を上記の有機酸に含有させることも、有機酸の酸化防止方法として好ましい。
【0091】
また、容器として、チャック付きポリ袋を用いた場合を例示したが、本発明にかかる検査方法、および検査キットに用いられる容器は、これに限られるものではなく、試料と溶出液とを内蔵した状態でその形状を任意に変形することができるものであれば、特に制限はない。この場合、容器が袋状であれば、試料や溶出液の投入と取り出しが容易に行え便利である。また、容器が透明であれば、試料と溶出液との接触状態を容器の外側から容易に確認することができる。また、チャック付きポリ袋のチャックのように、封入口を開閉できる機構を有することで、容器内に試料と溶出液の投入を行う際には封入口を開放し、容器内で溶出処理を行う際には封入口を閉じることで、検査作業を容易に、かつ、確実に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上のように、本発明の検査方法および検査キットは、溶出液量が低減できて検出精度を向上させ、かつ、簡易に検査をすることができるので、検査対象試料と接触させた溶出液に、検出対象物質を溶出させて検査する検査方法、および、その検査キットとして、産業上利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施の形態にかかる検査キットを構成する部材の外観を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる検査キットでの、溶出液パックのバリエーションを示す図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる検査キットでの、溶出液パックの他のバリエーションを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる検査キットで、容器内で溶出液パックを破いて溶出液を放出させる状況を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる検査方法での検査手順の流れを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかる検査方法で、試料の一部に検出対象が含有している場合の検査状況を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態にかかる検査方法で、試料の一部に検出対象が含有している場合の他の検査状況を示す図である。
【図8】従来の検査方法における検査の状況を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
1 チャック付きポリ袋(容器)
2 溶出液パック
3 溶出液
4 検査試薬
5 試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の中に試料と溶出液とを入れ、
前記容器内で前記試料と前記溶出液とを接触させて溶出処理を行った後、
検査試薬を用いて、前記試料から前記溶出液に溶出した成分を検出する検査方法において、
前記容器として、前記試料と前記溶出液とを内蔵した状態で、任意にその形状を変形することができるものを用いることを特徴とする検査方法。
【請求項2】
前記容器が、透明な袋状である請求項1に記載の検査方法。
【請求項3】
前記容器が、開閉可能な封入口を有する請求項1または2に記載の検査方法。
【請求項4】
前記容器が、チャック付きポリ袋である請求項3に記載の検査方法。
【請求項5】
前記溶出液が封入された溶出液パックを前記容器に入れた後、前記容器の中で前記溶出液パックを破いて前記容器内に前記溶出液を放出させる請求項1から4のいずれか1項に記載の検査方法。
【請求項6】
前記溶出液が、硬度50ppm以下の水である請求項1から5のいずれか1項に記載の検査方法。
【請求項7】
前記溶出液が、イオン交換水である請求項1から5のいずれか1項に記載の検査方法。
【請求項8】
前記溶出処理を行った後に前記容器から前記試料を取り出し、前記容器内に前記検査試薬を投入して、前記検査試薬と前記溶出液とを反応させる請求項1から7のいずれか1項に記載の検査方法。
【請求項9】
前記溶出処理が、前記容器を所定温度の液体に浸した状態で行われる請求項1から8のいずれか1項に記載の検査方法。
【請求項10】
6価クロムの検出を目的とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の検査方法。
【請求項11】
試料中に含有されている成分を、前記試料と接触させた溶出液に溶出させて検出する検査方法に用いられる検査キットであって、
前記試料と前記溶出液とを内蔵した状態で、任意にその形状を変形することができる容器と、
前記溶出液が封入され、前記容器の中で破かれて前記溶出液を前記容器内に放出する溶出液パックとを有することを特徴とする検査キット。
【請求項12】
前記溶出液の封入量が異なる複数の前記溶出液パックを有する請求項11に記載の検査キット。
【請求項13】
前記溶出液に溶出した成分を判別する、検査試薬をさらに有する請求項11または12に記載の検査キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−265035(P2009−265035A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−117719(P2008−117719)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】