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検査方法および検査容器
説明

検査方法および検査容器

【課題】液体試薬を入れた検査容器を保存しておき必要な時に簡便に検査を行い、検査の際の液体試薬の蒸発量を精度良く把握して検査精度の向上を図ること。
【解決手段】試薬カートリッジ1内に複数の試薬セル4を形成し、その1つにアクリジンオレンジを、他の試薬セル4に検査用液体試薬を導入して密閉保存する。アクリジンオレンジおよび検査用液体試薬は、各試薬セル4内の一定距離で対峙する2面間に架け渡された液柱5の状態で保持される。検査時には、透明樹脂やガラス等で形成された試薬カートリッジ1を介してアクリジンオレンジの液柱5に検査光を照射し、検査時吸光度を測定する。この検査時吸光度と保存開始時に試薬カートリッジ1に記録しておいた初期吸光度との差に基づき、アクリジンオレンジの蒸発量および他の検査用液体試薬の蒸発量を算出して検査結果を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の検査用液体試薬を微量ずつ保存可能な試薬収容室を有する検査容器、および、このような検査容器内に保存した検査用液体試薬により検査を行う際の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検体検査などにおいて、液体試薬を予め反応室内に入れておき、この反応室内に血液や血漿などの検体を分注して液体試薬と反応させる検査容器が用いられている。特許文献1の密閉型反応容器は、流路で接続された混合室および反応室と、混合室を加圧して反応室側に反応溶液を送る混合加圧・吸引エアシリンジを備えている。特許文献1では、混合室に予め液体試薬をセットした状態にしておき、検査を行う際には、混合室の上面を封止している弾性部材にピペットの先端を刺して混合室内に検体を分注する。検体と試薬は、混合加圧・吸引エアシリンジを細かく往復運動させることにより混合室内で攪拌されて反応溶液となり、反応室側に送液される。
【0003】
反応室内に液体試薬を入れた状態で検査容器を保存しておくようにすれば、必要なときにこの検査容器を用いて簡易に検査を行うことができるため便利である。しかしながら、液体試薬を検査容器に入れた後に時間が経過すると、反応室内の空気と液体試薬が反応したり、液体試薬中の水分が蒸発して濃度が変化し、検査精度が低下するおそれがある。特に、微量の液体試薬を用いる場合には、少しの蒸発量でも試薬の濃度に対する影響が大きく、検査結果に対する影響も大きい。
【0004】
そこで、液体試薬の濃度変化あるいは蒸発量などの状態変化を何らかの方法でモニターすることにより、液体試薬の濃度変化を考慮して検査結果を補正できるようにして、検査精度を向上させることが考えられる。容器内に密閉保存した液体試薬の状態変化をモニターする方法としては、特許文献2に記載されているものがある。特許文献2では、試薬ボトル内の液体試薬を検査時にその都度分注して用いる分析装置において、試薬ボトルのキャップ開放時間(開閉サイクル数)を記憶しておき、検査時点までの累積開放時間から試薬の蒸発や空気中の成分との反応による劣化状態を評価する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−286733号公報
【特許文献2】特開2000−131324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2のように累積開放時間から液体試薬の状態変化を評価する方法では、試薬容器を密閉している期間中の蒸発量を評価することはできないため、開閉せずに保存することを想定した検査容器内における液体試薬の蒸発量や濃度変化を評価することはできない。
【0007】
本発明の課題は、上記のような問題点に鑑みて、液体試薬を入れて保存しておいた検査容器を用いて必要なときに簡便に検査を行うことができ、検査の際に、保存期間中の液体試薬の蒸発量を正確に把握して検査精度の向上を図ることが可能な検査方法、および、このような検査方法に用いられる検査容器を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の検査方法は、
複数の試薬収容室を有する検査容器を用意し、
前記複数の試薬収容室のいずれかに、前記検査容器の外部から吸光度を測定可能な状態で蒸発量モニター用液体試薬を封入すると共に、他の前記試薬収容室の少なくとも1つに検査用液体試薬を封入し、
前記封入したときの前記蒸発量モニター用試薬の初期吸光度を記録しておき、
前記検査用液体試薬を用いて検査を行う際には、
前記蒸発量モニター用試薬の検査時吸光度を測定し、当該測定した検査時吸光度と前記初期吸光度に基づき、前記検査用液体試薬の検査時の状態を把握することを特徴としている。
【0009】
本発明では、このように、検査容器内に検査用液体試薬と共に蒸発量モニター用液体試薬を封入した状態で保存しておくので、必要なときにこの検査容器を取り出して簡便に検査を行うことができる。また、検査容器を開閉せずに外部から蒸発量モニター用液体試薬の吸光度を測定できる。よって、測定した検査時吸光度と予め記憶しておいた初期吸光度に基づき、蒸発量モニター用液体試薬の封入時から検査時までの間に生じた状態変化(濃度変化や蒸発量など)を正確に把握でき、この状態変化に基づき、同じ容器内に保存されていた検査用液体試薬の検査時の状態を正確に把握できる。よって、この状態変化に基づき、同じ容器内に保存されていた検査用液体試薬の検査時の状態を正確に把握することが可能であり、検査精度の向上を図ることができる。また、検査を行う前に検査容器内の検査用液体試薬の状態の良否を判定して検査容器を選別することなども可能である。
【0010】
ここで、前記検査用液体試薬を用いて検査を行う際には、前記検査用液体試薬を封入した前記試薬収容室内に検体を導入して、当該試薬収容室内において前記検体と前記検査用液体試薬を反応させるとよい。このように、試薬収容室を反応室として用いれば、検査を簡便に行うことができる。また、試薬収容室から他の反応室に試薬を分注する操作によって検査用液体試薬の状態に影響を及ぼすおそれがないので、検査精度の低下を抑制できる。
【0011】
このとき、前記検査時吸光度と前記初期吸光度に基づいて、前記検査用液体試薬の蒸発量あるいは濃度変化を算出し、当該算出した蒸発量あるいは濃度変化に基づいて検査結果を補正するとよい。蒸発量モニター用液体試薬の吸光度の変化を把握できれば、蒸発量モニター用液体試薬の濃度変化および蒸発量を正確に算出でき、算出した蒸発量に基づき、同じ検査容器内で保存されている検査用液体試薬の蒸発量あるいは濃度変化を精度良く算出できる。よって、この算出結果に基づいて正確に検査結果を補正することが可能となり、検査精度の向上を図ることができる。また、保存期間や保存状態が異なる検査容器および検査用液体試薬を用いた検査結果の比較も容易となる。
【0012】
本発明において、前記初期吸光度を前記検査容器に表示しておき、当該検査容器から読み取った前記初期吸光度と前記検査時吸光度に基づき、前記検査用液体試薬の蒸発量あるいは濃度変化を算出するとよい。このとき、前記初期吸光度を含む情報を格納したバーコードを前記検査容器に表示しておくとよい。このように、初期吸光度を検査容器に表示しておけば、必要なときに容易かつ確実に初期吸光度を知ることができる。よって、容易かつ正確に、検査用液体試薬の検査時の状態を把握できる。
【0013】
また、本発明において、各試薬収容室に、所定間隔で対峙する透明な入射窓および出射窓を設けておき、前記蒸発量モニター用液体試薬および前記検査用液体試薬を、前記入射窓の内面と前記出射窓の内面との間に橋架された液柱の状態で、密閉した各試薬収容室内に保持させる構成にするとよい。液体試薬は、表面張力によって入射窓と出射窓との間に一定の長さの液柱状に保持させることが可能であり、このようにすれば、蒸発量モニター用液体試薬を通過する際の光路長を蒸発量に拘らず一定にすることができる。よって、測定した検査時吸光度に基づいて、検査用液体試薬の検査時の状態を容易かつ正確に行うことができる。
【0014】
このとき、前記入射窓の内面および前記出射窓の内面における互いに正対する各位置に、円形の溝、あるいは、段差状に突出した円形突出部分を形成しておき、前記溝の内側の円形面、あるいは、前記円形突出部分の頂部の円形面を親水面とし、且つ、当該親水面の外周側を撥水面としておくことにより、正対する前記親水面の間に、前記蒸発量モニター用液体試薬あるいは前記検査用液体試薬を液柱状に橋架した状態に保持させる構成にすることができる。このような構成により、予め設定した位置に液体試薬の液柱を形成して液柱の状態を保持させることができる。
【0015】
前記蒸発量モニター用液体試薬としては、アクリジンオレンジなどのモル吸光係数が高く安定している試薬を用いるとよい。このような試薬を用いれば、長期保存後でも正確に吸光度を測定できる。また、吸光度の測定結果に基づいて精度良く蒸発量を算出できる。
【0016】
ここで、本発明の検査方法は、所定深さの複数の凹部が上面に形成された容器本体と、当該容器本体の前記上面に装着可能な蓋体を有し、各凹部の底部と、前記容器本体に装着したときに各底部と正対する前記蓋体の部分との一方に前記入射窓を設けると共に、他方に前記出射窓を設けておき、前記容器本体の前記上面に前記蓋体を装着することにより、前記各凹部の上部開口を前記蓋体により密閉して前記複数の試薬収容室を形成した構成の検査容器を用いて行うことができる。
【0017】
また、前記検査容器に、前記試薬収容室と外部を連通する連通部を形成した状態と、当該連通部を形成しない状態に変位可能な開閉部を設けておき、前記連通部を形成した状態において、当該連通部を通って前記検査容器の外部から前記試薬収容室内に検体の液滴を飛ばして前記液柱に着滴させるとよい。例えば、インクジェットヘッドを用いて前記検査容器の外部から前記連通部に向けて検体の液滴を飛ばし、前記液柱に着滴させるとよい。このようにすれば、非接触で検査容器の外部から検体を分注して、液柱の状態の検査用液体試薬と反応させることができる。
【0018】
次に、本発明の検査容器は、
所定深さの複数の凹部が上面に形成された容器本体と、当該容器本体の上面に装着可能な蓋体を有し、
各凹部の底部と、前記容器本体に装着したときに各底部と対峙する前記蓋体の部分との一方に設けられた透明な入射窓と、他方に設けられた透明な出射窓を備え、
前記容器本体の上面に前記蓋体を装着することにより、各凹部の上部開口を前記蓋体により密閉して前記複数の試薬収容室を形成可能に構成され、且つ、密閉された各試薬収容室内における前記入射窓の内面と前記出射窓の内面との間の所定長さの光路上に、蒸発量モニター用液体試薬あるいは検査用液体試薬を保持可能に構成され、
上記の検査方法による検査に用いられることを特徴としている。
【0019】
また、本発明の検査容器において、前記容器本体は円板状プレートであり、前記複数の凹部は、前記円板状プレートの上面の外周縁際に周方向に等間隔に形成されており、各凹部の側壁面から前記円板状プレートの径方向外側に延びる第1貫通孔の他端が、前記円板状プレートの外周面に周方向に等間隔に並んで開口しており、前記第2容器は、前記円板状プレートに装着したときに前記円板状プレートの上面に当接して前記凹部の上部開口を塞ぐ円板状の蓋板部と、当該蓋板部の外周縁に形成されており前記円板状プレートの外周面が内接する円環状の周壁部を備える円形の上蓋であり、前記周壁部には、当該周壁部を径方向に貫通する前記凹部と同一数の第2貫通孔が、周方向に等間隔に形成されており、前記周壁部の内側に嵌合した前記円板状プレートの前記上蓋に対する周方向の相対回転位置を調整することにより、前記各凹部に連通している各第1貫通孔を、各第2貫通孔と連通可能に形成されている構成を適用することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、検査容器内に検査用液体試薬と共に蒸発量モニター用液体試薬を封入した状態で保存しておくので、必要なときにこの検査容器を取り出して簡便に検査を行うことができる。また、検査容器を開閉せずに外部から蒸発量モニター用液体試薬の吸光度を測定でき、測定した検査時吸光度と予め記憶しておいた初期吸光度に基づき、蒸発量モニター用液体試薬の封入時から検査時までの間に生じた状態変化(濃度変化や蒸発量など)を正確に把握できる。よって、この状態変化に基づき、同じ容器内に保存されていた検査用液体試薬の検査時の状態を正確に把握することが可能であり、検査精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る試薬カートリッジの分解斜視図である。
【図2】本発明に係る試薬カートリッジの断面図である。
【図3】試薬カートリッジを装填した検査装置の斜視図である。
【図4】試薬カートリッジを装填した検査装置の断面図(図3のA−A断面図)である。
【図5】アクリジンオレンジの時間経過に伴う状態変化を示すグラフである。
【図6】試薬プレートを上蓋に対して相対回転させる前後の液柱の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る検査容器およびこの検査容器を用いた検査方法について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
(検査容器の構成)
図1は本発明に係る試薬カートリッジの分解斜視図であり、図1(a)は斜め上方から見た図、図1(b)は斜め下方から見た図である。また、図2は試薬カートリッジの断面図である。試薬カートリッジ1(検査容器)は、所定の厚さの円形の試薬プレート2(容器本体/円板状プレート)と、試薬プレート2の上面に装着可能な円形の上蓋3(蓋体)を備えている。試薬プレート2の中心には、試薬プレート2を厚さ方向に貫通する軸孔21が形成されている。試薬プレート2の上面中央には円形凸部22が形成され、試薬プレート2の裏面中央には円形凹部23が形成されている。この円形凸部22および円形凹部23の中央に軸孔21の両端が開口している。
【0024】
試薬プレート2の外周面の上部には、試薬プレート2の下部よりも一回り外周径が小さい小径部24が形成されている。この小径部24の高さは、試薬プレート2の厚さの半分程度の高さとなっている。一方、上蓋3には、円板状の蓋板部31の外周縁から下側に延びる円環状の周壁部32が形成されている。従って、試薬プレート2の上面に上蓋3を被せて周壁部32の内側に小径部24を嵌合させ、更に、上蓋3における蓋板部31の中央に形成された円形開口31aに試薬プレート2の円形凸部22を嵌合させることにより、試薬プレート2に上蓋3を装着できる。
【0025】
試薬プレート2の上面の外周縁際には、複数の円形の凹部25が周方向に等間隔に並んで形成されている。試薬プレート2に上蓋3を装着すると、上蓋3における蓋板部31の下面が試薬プレート2の上面に密着し、且つ、周壁部32の内周面に小径部24の外周面が密着した状態となる。そのため、蓋板部31の下面部分によって各凹部25の上部開口が閉鎖され、試薬カートリッジ1の内部に、凹部25の数と同数の試薬セル4(試薬収容室)が形成される。
【0026】
試薬プレート2における小径部24の外周面には、各凹部25の側壁面から径方向外側に延びる貫通孔28(第1貫通孔/開閉部)の一端が開口している。これらの貫通孔28は、小径部24の外周面上に周方向に等間隔に配置されている。一方、上蓋3の周壁部32には、貫通孔28と同一径の貫通孔35(第2貫通孔/開閉部)が貫通孔28と同一数形成されており、これらの貫通孔35は、周方向に等間隔に配置されている。
【0027】
上蓋3と試薬プレート2は、上蓋3を試薬プレート2に装着した状態で、周方向に相対回転可能に構成されている。すなわち、上蓋3における蓋板部31の下面を試薬プレート2の上面に摺接させると同時に、上蓋3における周壁部32の内周面と小径部24の外周面とを摺接させて、上蓋3と試薬プレート2を相対回転させることが可能である。従って、試薬プレート2に上蓋3を装着した後、各貫通孔28と各貫通孔35とが重なるように上蓋3の相対回転位置を調整して、各試薬セル4の内部空間と外部とを連通させる連通部(連通した状態の貫通孔28と貫通孔35)を形成することができる。また、各貫通孔28と各貫通孔35とが重ならないように上蓋3の相対回転位置を調整して、各試薬セル4を密閉することができる。
【0028】
各貫通孔28と各貫通孔35をずらすように上蓋3の相対回転位置を調整して試薬セル4を密閉した状態では、各凹部25の底面26は、蓋板部31の下面部分における各凹部25と対峙する円形部分である各閉鎖面33と対峙している。本実施形態では、各凹部25の平面形状は円形であり、且つ、一定の深さに形成されている。従って、各底面26と各閉鎖面33の平面形状はいずれも円形であり、互いに平行な面となっている。
【0029】
各底面26と各閉鎖面33における互いに正対する各位置には、それぞれ、同一径の円形の溝27および溝34が形成されている。試薬セル4の内側面のうち、各底面26における溝27に囲まれた円形面27aの部分には親水加工が施されている。また、溝27の内側および溝27よりも外側の部分には撥水加工が施されている。同様に、溝34に囲まれた円形面34aの部分には親水加工が施され、溝34の内部および溝34よりも外側の部分には撥水加工が施されている。そして、凹部25の側面にも撥水加工が施されている。
【0030】
このような構成において、円形面27aと円形面34aの間に液体試薬を導入すると、試薬の表面張力により、円形面27aと円形面34aの間に架け渡された液体試薬の液柱5を形成できる。このとき、各底面26と各閉鎖面33に溝27、溝34のような段差状の境界を形成し、さらに、各溝とその内側との境界を親水面と撥水面の境界としておくことにより、液体試薬が段差を越えて撥水面側に広がるのが抑制され、液柱5の形状がくずれにくい。なお、溝27、溝34に代えて円形突出部分を形成し、その頂部の円形面を親水面としてもよい。本実施形態では、数μl程度の微量の液体試薬を用いて検査を行うことを想定しており、各試薬セル4の容積は小さく、円形面27aと円形面34aとの間の距離も短い。そのため、液柱5の長さを十分短くすることができ、その点からも、液柱5の形状がくずれにくくなっている。
【0031】
試薬プレート2および上蓋3は、透明樹脂やガラスなどの透明素材により形成されている。上記のように、各試薬セル4は、互いに平行な状態で対峙している円形面27aおよび円形面34aの間に試薬の液柱5を形成するので、試薬プレート2における円形面27aの部分と、上蓋3における円形面34aの部分との一方を、液柱5に吸光度測定用の検査光を照射するための入射窓として用いることができる。また、他方を、液柱5を通過した光を外部に出射させるための出射窓として用いることができる。ここで、各凹部25の深さは一定であるので、円形面27aと円形面34aの距離は常に一定である。従って、円形面27aおよび円形面34aを入射窓および出射窓として用いれば、各試薬セル4内を通過する際の光路長は一定となる。なお、このような入射窓および出射窓を確保するためには、少なくとも試薬プレート2における各円形面27aの部分および上蓋3における各円形面34aの部分のみを透明素材とすればよく、他の部分については不透明な素材により形成してもよい。
【0032】
(検査装置の構成)
次に、上記構成の検査容器を用いて生化学検査を行うための検査装置について説明する。図3は試薬カートリッジを装填した検査装置の斜視図、図4は試薬カートリッジを装填した検査装置の断面図(図3のA−A断面図)である。検査装置6は、試薬カートリッジ1を装填するための装填台61を備えており、この装填台61の上端部分には、試薬プレート2の裏面の円形凹部23と相補形状をなす円形凸部62が形成されている。また、円形凸部62の上端面の中央には開口が形成されてその内側に軸受け部が設けられており、この軸受け部によって回転自在に支持された回転軸63が、円形凸部62の上端面から上向きに突出している。回転軸63を回転駆動させるためのモータ等は装填台61の内部に収容されている。試薬カートリッジ1は、軸孔21および円形凹部23に回転軸63および円形凸部62を嵌合させることにより、装填台61の上部に水平な状態で装填される。試薬カートリッジ1を回転軸63に対して相対回転不能に嵌合させることにより、回転軸63を回転駆動させて試薬カートリッジ1の回転位置を調整することができる。
【0033】
検査装置6は、装填台61に隣接して配置された吸光度測定用の検査光照射部64および受光部65を備えている。検査光照射部64および受光部65は、装填台61に装填した試薬カートリッジ1の外周縁部分を上下方向に挟む位置に支持されている。本実施形態では、上蓋3の上面側に検査光照射部64が配置され、試薬プレート2の下面側に受光部65が配置されているが、この配置は上下逆でもよい。検査装置6は、試薬カートリッジ1の回転軸63を中心とする回転位置を適宜調整することにより、検査光照射部64から受光部65に至る光路が、試薬カートリッジ1における所望の試薬セル4の中央を上下方向に貫通する光路となるように、試薬カートリッジ1を位置決め可能に構成されている。これにより、検査光照射部64から受光部65に至る光路が、各試薬セル4内に形成された液柱5内を通る光路となるように試薬カートリッジ1を位置決めし、各試薬セル4内に保持されている試薬の吸光度を測定することができる。
【0034】
また、検査装置6は、装填台61に隣接して配置された検体分注機構66を備えている。この検体分注機構66は、公知のインクジェットヘッドと同様の機構により微量の検体を吐出可能に構成されている。すなわち、検体分注機構66は、装填台61に装填された試薬カートリッジ1の外周面に吐出口67aを向けて配置されているノズル67と、ノズル67の後端側に設けられ、ノズル67に送り出す検体を収容しているタンク68と、ノズル67内の検体を吐出させるためのアクチュエータ69などを備えている。タンク68は、ノズル67に連通する検体供給流路に着脱可能に構成されており、タンク68の部分を使い捨てにすることができる。例えば、血液などの検体を用いる場合は、採血器具の血液収容部をそのままタンク68として装着できるようにすれば、ノズル67に検体を供給する際の手間を省略できる。また、検体への異物の混入や検体との接触による感染などを防止できる。また、タンク68内に予め血漿分離機能を有するフィルタなどをセットしておき、タンク68内に導入した血液から血漿成分を分離してノズル67に導入できるようにしてもよい。
【0035】
ノズル67の吐出口67aは、試薬カートリッジ1の外周面に形成されている各貫通孔35と同一高さとなるように設置されている。そのため、装填台61にセットされた試薬カートリッジ1の回転位置を適宜調整すれば、吐出口67aを各貫通孔35と正対させることができる。このとき、上蓋3側の各貫通孔35と試薬プレート2側の各貫通孔28とが連通していれば、吐出口67aから吐出した検体の液滴を、各貫通孔28と各貫通孔35を通って各試薬セル4内に分注することができる。
【0036】
試薬セル4は、試薬カートリッジ1の外周縁部に周方向に等角度間隔で配置されているので、この角度間隔ずつ試薬カートリッジ1を回転させながらノズル67から検体を分注すれば、各試薬セル4に順次微量の検体を分注することができる。各試薬セル4内には、上述したような試薬の液柱5が形成されているので、ノズル67の吐出口から飛んだ液滴を液柱5に着滴させて試薬と反応させることが可能である。また、ある試薬セル4の貫通孔35と吐出口67aとを正対させたときに、他の試薬セル4が検査光照射部64と受光部65との間に位置するように検査装置6の各部を設置しておけば、吸光度測定と検体の分注を同時に行うことも可能であり、そのための位置決めも容易となる。
【0037】
(検査方法)
本実施形態では、上記構成の試薬カートリッジ1に予め液体試薬を導入して密閉したものを検査に備えて保存しておき、必要な時に必要な数の試薬カートリッジ1を保存場所から取り出して検査を行う。ここで、各試薬カートリッジ1にはそれぞれ12個の試薬セル4が設けられているが、そのうち1つのセルには、この検査容器内における各液体試薬の蒸発量をモニターするための試薬としてアクリジンオレンジ(蒸発量モニター用試薬)を封入しておき、他の11個のセルには、検体と反応させるための検査用液体試薬を封入しておく。11個の試薬セル4にそれぞれ異なった検査用液体試薬を封入しておけば、この試薬カートリッジ1によって一度に最大限11種類の検査を行うことが可能である。なお、1つの試薬カートリッジ1に設ける試薬セル4の数は12個に限定されず、必要な検査用液体試薬の種類数や一度に検査を行う検体数などに応じて適宜変更が可能である。
【0038】
アクリジンオレンジは、時間が経過しても状態が変化しにくい安定した試薬である。また、アクリジンオレンジはモル吸光係数が高いため、吸光度の変化を測定することにより、その濃度変化や蒸発量を精度良く判定することが可能である。図5(a)〜(c)は、アクリジンオレンジ(濃度10μM/L、液量4μL)の時間の経過に伴う状態変化を示すグラフである。図5(a)は蒸発量の変化のグラフ、図5(b)は吸光度の変化のグラフ、図5(c)は図5(a)(b)に基づいて作成された蒸発量と吸光度の対応関係のグラフである。図5(c)によれば、アクリジンオレンジの蒸発量と吸光度はおおむね比例関係にある。そこで、試薬セル4内に密閉したアクリジンオレンジの吸光度を検査光照射部64および受光部65を用いて測定し、測定結果と対応する蒸発量を図5(c)のグラフから読み取ることにより、アクリジンオレンジの蒸発量を算出することができる。
【0039】
試薬カートリッジ1内の各試薬セル4内にアクリジンオレンジあるいは検査用試薬を液柱5の状態で封入する方法としては、例えば、上蓋3を装着していない試薬プレート2上の各凹部25にアクリジンオレンジあるいは検査用液体試薬をそれぞれ所定量ずつ分注して、各底面26の中央の円形面27a上に、表面張力で半球状に盛り上がった状態に液体試薬を着滴させる。そして、この状態で上蓋3を装着することにより、液体試薬の頂部を上蓋3の下面の円形面34aと接触させ、液柱5を形成すると同時に試薬セル4を形成して密閉する方法などが用いられる。あるいは、各円形面34aに半球状に盛り上がった状態に液体試薬を着滴させた上蓋3を試薬プレート2に装着して、液体試薬の頂部を円形面27aと接触させて液柱5を形成してもよい。
【0040】
各試薬セル4に各液体試薬を封入したら、試薬カートリッジ1の表面に、試薬セル4への導入時点でのアクリジンオレンジの初期吸光度を読み取り可能な状態で記録しておく。例えば、初期吸光度をコード化したバーコードラベル7を試薬カートリッジ1の表面に貼り付けておく。貼り付け位置は、吸光度測定用の検査光を遮らず、且つ、検体分注用の貫通孔35を閉鎖しないように設定する。本実施形態では、上蓋3の上面に貼り付けている。なお、試薬カートリッジ1の表面に初期吸光度を直接記載しておいてもよいし、目視で読み取り可能となるようにコード化せずに記載してもよい。また、アクリジンオレンジの初期吸光度に対応する初期濃度、初期液量、試薬セル4内の光路長などを記録しておいて吸光度を算出できるようにしてもよいし、保存開始時期や製造者、保存場所などの他の情報を含めて記録しておいてもよい。
【0041】
血液や血漿などを検体とする検体検査を行う際には、まず、予め液体試薬を封入して保存しておいた試薬カートリッジ1を取り出し、検査装置6の装填台61に装填する。次に、アクリジンオレンジの液柱5が形成されている試薬セル4を検査光照射部64と受光部65との間に位置決めして、アクリジンオレンジの吸光度を測定する。そして、事前にあるいはこの時点でバーコードラベル7から読み取った初期吸光度と、測定により得られた検査時吸光度に基づき、アクリジンオレンジの蒸発量を算出する。例えば、図5(c)のグラフを用いて、初期吸光度から検査時吸光度までの吸光度の変化に対応する蒸発量の変化量を読み取り、この変化量をアクリジンオレンジの蒸発量とする。
【0042】
一方、検体を各試薬セル4に分注するために、被験者の血液が導入された採血器具から血液が収容されたタンク68を外し、検体分注機構66に装着してノズル67に検体を供給する。例えば、血漿を検体とする場合には、タンク68内のフィルタで分離された血液中の血漿成分を、ノズル67に供給する。
【0043】
一方、所望の検査用液体試薬が導入されている試薬セル4の貫通孔35を検体分注機構66の吐出口67aに正対させるために、装填台61に装填した試薬カートリッジ1を所定量だけ回転させて、試薬カートリッジ1を位置決めする。このとき、図示しない相対回転機構により、試薬プレート2を上蓋3に対して相対回転させ、内側の貫通孔28を外側の貫通孔35と連通させ、連通孔が吐出口67aと正対するように位置決めする。各試薬セル4は、試薬カートリッジ1に各液体試薬を導入した後は貫通孔28と貫通孔35を連通させない状態とすることにより密閉状態とされている。なお、試薬プレート2を上蓋3に対して相対回転させて貫通孔35と貫通孔28とを連通させる動作は、試薬カートリッジ1を装填台61に装填する前に行っておいてもよいが、検査用液体試薬と外気との接触時間を短縮するためには、分注直前に行うのが望ましい。
【0044】
この状態で、検体分注機構66のアクチュエータ69を作動させて吐出口67aから検体(血漿)の液滴を飛ばし、貫通孔35および貫通孔28を通って試薬セル4内の液柱5に検体(血漿)を着滴させることにより、検体(血漿)を分注する。他の試薬セル4にも検体(血漿)を分注する場合には、試薬セル4の配置角度間隔に応じた回転量だけ試薬カートリッジ1を回転させ、この回転動作と連動させてアクチュエータ69を作動させることにより、各試薬セル4に検体(血漿)を順次分注する。各試薬セル4への検体(血漿)の分注は、一度に行っても良いし、所定量ずつ複数回に分けて行っても良い。分注が終了したら、試薬プレート2を上蓋3に対して逆方向に相対回転させて各試薬セル4を再び閉鎖する。そして、各試薬セル内で検体(血漿)と検査用液体試薬を反応させる。
【0045】
なお、アクリジンオレンジの吸光度測定は、各試薬セル4への検体(血漿)の分注直前ではなく、分注作業中や、分注終了直後などの各タイミングで行うことも可能である。貫通孔35と貫通孔28を連通させる前のタイミングで吸光度測定を行えば、保存中の蒸発量のみを算出できるが、分注作業終了時のタイミングで吸光度測定を行えば、保存中および分注作業中の蒸発量を算出できる。検査用液体試薬が微量であるため、分注作業中の外気との接触による蒸発量の検査結果への影響が懸念される場合には、分注作業中の蒸発量を算出すれば、より精度の良い検査を行うことができる。
【0046】
各試薬セル4内において検査用液体試薬と検体(血漿)を反応させるためには、混合溶液の攪拌を行う必要がある。本実施形態では、分注直前に貫通孔28と貫通孔35を連通させるために試薬プレート2を上蓋3に対して相対回転させているので、この動作によって液柱5の両端を支持している円形面27aと円形面34aが試薬カートリッジ1の周方向に相対移動している。図6(a)は、試薬プレート2を上蓋3に対して相対回転させる前の液柱5の状態を示す説明図であり、図6(b)は相対回転させた後の液柱5の状態を示す説明図である。この図に示すように、円形面27aと円形面34aが相対移動することにより液柱5が傾いて変形し、この動作によって分注前の液柱5内に流れが生じる。このように流れを発生させた液柱5に検体(血漿)を分注すると、分注直後から、検体(血漿)と検査用液体試薬の混合溶液の攪拌が開始される。更に、分注後に再度試薬プレート2を上蓋3に対して分注前とは逆方向に相対回転させて貫通孔28と貫通孔35を連通させない状態にすることにより、分注後の液柱内にさらに流れが生じ、攪拌が進む。
【0047】
ここで、各試薬セル4に検体(血漿)を分注する前、あるいは、分注した後に、試薬プレート2を上蓋3に対して僅かに相対回転させた後、同じ量だけ逆回転させて元に戻す往復捻り動作を繰り返し行うようにすれば、各試薬セル4内で液柱5が傾いて元に戻る動作が繰り返されるので、さらに流れを大きくすることができ、効率的に攪拌を進めることができる。
【0048】
検体(血漿)と検査用液体試薬との反応が完了した後、各試薬セル4を検査光照射部64と受光部65の間に位置決めし、反応溶液に対する吸光度測定を行う。そして、この測定結果に基づいて検査結果が導き出される。ここで、反応時点での検査用液体試薬は、保存中の蒸発により試薬カートリッジ1に密閉して保存開始した時点よりも濃度が濃くなっているが、保存中の蒸発量は、同一の検査容器内に同一環境で保存されていたアクリジンオレンジの蒸発量と同程度であると推定できる。そこで、反応時点での検査用液体試薬は、アクリジンオレンジの検査時吸光度および初期吸光度から算出した蒸発量と同量だけ蒸発していたと推定し、このことを考慮して検査結果を評価することができる。このとき、蒸発量に基づいて検査結果を補正すれば、検査結果の評価が容易となる。また、保存期間が異なることなどにより蒸発量が異なる検査用試薬を用いた検査結果同士の比較を行うことも可能となる。
【0049】
このように、上記構成では、蒸発量モニター用の試薬として試薬カートリッジ1内の複数の試薬セル4の1つにアクリジンオレンジなどの安定した試薬を封入しておき、他の試薬セル4に検査用液体試薬を封入して保存しておくので、必要なときに簡便に検査を行うことができる。また、アクリジンオレンジを透明部材の間に液柱の状態に保持させておくので、内部の検査用液体試薬に影響を与えずに、アクリジンオレンジの検査時吸光度を測定できる。そして、測定した検査時吸光度と初期吸光度に基づき、保存中の各検査用液体試薬の蒸発量や濃度変化を正確に把握できる。よって、長期保存した試薬カートリッジ1を用いた場合でも精度良く検査結果を評価でき、検査精度の向上を図ることができる。また、検査を行う前に試薬カートリッジ1内の検査用液体試薬の状態の良否を判定して試薬カートリッジ1を選別することなども可能である。
【0050】
また、初期吸光度をコード化したバーコードを試薬カートリッジ1の表面に表示しておくことにより、必要なときに適宜バーコードを読み取って容易かつ確実に初期吸光度を知ることができる。
【0051】
更に、上記構成では、試薬プレート2と上蓋3を相対回転させる往復捻り動作によって検査用液体試薬と検体の混合溶液を攪拌しているので、攪拌棒や空気流などを用いずに、簡単な装置構成および動作によって、液柱5の状態で保持されている微量の混合溶液を攪拌できる。よって、攪拌中の蒸発量を低減でき、攪拌棒への付着によって混合溶液の液量が減少することもない。
【0052】
そして、上記構成では、上蓋3の試薬プレート2に対する相対回転位置を調整して液柱5の側方に設けた貫通孔28と貫通孔35を重ねることにより、各液柱5の側方に連通孔を形成することができる。よって、この連通孔から、インクジェットヘッドなどの液滴吐出機構を用いて、各試薬セル4内に非接触で検体を分注できる。このような構成により、検査用液体試薬を試薬セル4内に液柱5の状態に保持したままで検体分注および攪拌を行うことができる。また、液柱状の反応溶液に対して吸光度測定を行うことが可能である。
【0053】
(改変例)
(1)上記構成では、蒸発量モニター用液体試薬としてアクリジンオレンジを用いているが、保存中の変化が少なく安定した試薬であれば、他の試薬を用いても良い。
【0054】
(2)上記構成では、円形の試薬カートリッジ1を用いたが、試薬カートリッジを、複数の試薬セル4が直線状に並んで形成された長方形の平面形状にすることも可能であり、他の形状にしてもよい。複数の試薬セル4を直線状に配置した場合には、上蓋をその配列方向にスライドさせることにより、各試薬セル4と外部とを連通させる状態と連通させない状態に変位させることができる。また、このスライド動作によって液柱を変形させて攪拌することができる。
【0055】
(3)上記構成では、上蓋3を試薬プレート2に対して相対回転させる動作によって、貫通孔35と貫通孔28を連通させる動作と、液柱5を傾けることによる攪拌動作を同時に行っていたが、上蓋3の蓋板部31と周壁部32を相対回転可能に組み付けた構成にすれば、これらの動作を独立に行うことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の検査方法および検査容器は、検体検査に限定されず、微量の液体試薬および検体を用いるマイクロ化学反応一般に適用できる。
【符号の説明】
【0057】
1…試薬カートリッジ(検査容器)、2…試薬プレート(容器本体/円板状プレート)、3…上蓋(蓋体)、4…試薬セル(試薬収容室)、5…液柱、6…検査装置、7…バーコードラベル、21…軸孔、22…円形凸部、23…円形凹部、24…小径部、25…凹部、26…底面、27…溝、27a…円形面、28…貫通孔(第1貫通孔/開閉部)、31…蓋板部、31a…円形開口、32…周壁部、33…閉鎖面、34…溝、34a…円形面、35…貫通孔(第2貫通孔/開閉部)、61…装填台、62…円形凸部、63…回転軸、64…検査光照射部、65…受光部、66…検体分注機構、67…ノズル、67a…吐出口、68…タンク、69…アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の試薬収容室を有する検査容器を用意し、
前記複数の試薬収容室のいずれかに、前記検査容器の外部から吸光度を測定可能な状態で蒸発量モニター用液体試薬を封入すると共に、他の前記試薬収容室の少なくとも1つに検査用液体試薬を封入し、
前記封入したときの前記蒸発量モニター用試薬の初期吸光度を記録しておき、
前記検査用液体試薬を用いて検査を行う際には、
前記蒸発量モニター用試薬の検査時吸光度を測定し、当該測定した検査時吸光度と前記初期吸光度に基づき、前記検査用液体試薬の検査時の状態を把握することを特徴とする検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載の検査方法において、
前記検査用液体試薬を用いて検査を行う際には、
前記検査用液体試薬を封入した前記試薬収容室内に検体を導入して、当該試薬収容室内において前記検体と前記検査用液体試薬を反応させることを特徴とする検査方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の検査方法において、
前記検査時吸光度と前記初期吸光度に基づいて、前記検査用液体試薬の蒸発量あるいは濃度変化を算出し、当該算出した蒸発量あるいは濃度変化に基づいて検査結果を補正することを特徴とする検査方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかの項に記載の検査方法において、
前記初期吸光度を前記検査容器に表示しておき、
当該検査容器から読み取った前記初期吸光度と前記検査時吸光度に基づき、前記検査用液体試薬の蒸発量あるいは濃度変化を算出することを特徴とする検査方法。
【請求項5】
請求項4に記載の検査方法において、
前記初期吸光度を含む情報を格納したバーコードを前記検査容器に表示しておくことを特徴とする検査方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかの項に記載の検査方法において、
各試薬収容室に、所定間隔で対峙する透明な入射窓および出射窓を設けておき、
前記蒸発量モニター用液体試薬および前記検査用液体試薬を、前記入射窓の内面と前記出射窓の内面との間に橋架された液柱の状態で、各試薬収容室内に保持させることを特徴とする検査方法。
【請求項7】
請求項6に記載の検査方法において、
前記入射窓の内面および前記出射窓の内面における互いに正対する各位置に、円形の溝、あるいは、円形突出部分を形成しておき、
前記溝に囲まれた円形面、あるいは、前記円形突出部分の頂部の円形面を親水面とし、且つ、当該親水面の外周側を撥水面としておくことにより、正対する前記親水面の間に、前記蒸発量モニター用液体試薬あるいは前記検査用液体試薬を液柱状に橋架した状態に保持させることを特徴とする検査方法。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかの項に記載の検査方法において、
前記蒸発量モニター用液体試薬として、アクリジンオレンジを用いることを特徴とする検査方法。
【請求項9】
請求項6ないし8のいずれかの項に記載の検査方法において、
前記検査容器は、所定深さの複数の凹部が上面に形成された容器本体と、当該容器本体の前記上面に装着可能な蓋体を有し、
各凹部の底部と、前記容器本体に装着したときに各底部と正対する前記蓋体の部分との一方に前記入射窓を設けると共に、他方に前記出射窓を設けておき、
前記容器本体の前記上面に前記蓋体を装着することにより、前記各凹部の上部開口を前記蓋体により密閉して前記複数の試薬収容室を形成することを特徴とする検査方法。
【請求項10】
請求項9に記載の検査方法において、
前記検査容器に、前記試薬収容室と外部を連通する連通部を形成した状態と、当該連通部を形成しない状態に変位可能な開閉部を設けておき、
前記連通部を形成した状態において、当該連通部を通って前記検査容器の外部から前記試薬収容室内に検体の液滴を飛ばして前記液柱に着滴させることを特徴とする検査方法。
【請求項11】
請求項10に記載の検査方法において、
インクジェットヘッドを用いて前記検査容器の外部から前記連通部に向けて検体の液滴を飛ばし、前記液柱に着滴させることを特徴とする検査方法。
【請求項12】
所定深さの複数の凹部が上面に形成された容器本体と、当該容器本体の上面に装着可能な蓋体を有し、
各凹部の底部と、前記容器本体に装着したときに各底部と対峙する前記蓋体の部分との一方に設けられた透明な入射窓と、他方に設けられた透明な出射窓を備え、
前記容器本体の上面に前記蓋体を装着することにより、各凹部の上部開口を前記蓋体により密閉して前記複数の試薬収容室を形成可能に構成され、且つ、密閉された各試薬収容室内における前記入射窓の内面と前記出射窓の内面との間の所定長さの光路上に、蒸発量モニター用液体試薬あるいは検査用液体試薬を保持可能に構成され、
請求項1ないし11のいずれかの項に記載の検査方法による検査に用いられることを特徴とする検査容器。
【請求項13】
請求項12に記載の検査容器において、
前記容器本体は円板状プレートであり、
前記複数の凹部は、前記円板状プレートの上面の外周縁際に周方向に等間隔に形成されており、
各凹部の側壁面から前記円板状プレートの径方向外側に延びる第1貫通孔の他端が、前記円板状プレートの外周面に周方向に等間隔に並んで開口しており、
前記蓋体は、前記円板状プレートに装着したときに前記円板状プレートの上面に当接して前記凹部の上部開口を塞ぐ円板状の蓋板部と、当該蓋板部の外周縁に形成されており前記円板状プレートの外周面が内接する円環状の周壁部を備え、
当該周壁部には、当該周壁部を径方向に貫通する前記凹部と同一数の第2貫通孔が、周方向に等間隔に形成されており、
前記周壁部の内側に嵌合した前記円板状プレートの前記上蓋に対する周方向の相対回転位置を調整することにより、前記各凹部に連通している各第1貫通孔を、各第2貫通孔と連通可能に形成されていることを特徴とする検査容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−181375(P2010−181375A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27486(P2009−27486)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】