検査方法及びその装置
【課題】
放射線の影響が大きい検査対象物の検査方法及びその装置において、局所的な視認性を改善することを可能にして視認性の良い画像を得られるようにする。
【解決手段】
放射線の影響が大きい検査対象物の内部をカメラで撮像して検査対象物の内部の画像を得、この撮像して得た画像を検査対象物から離れた放射線の影響の少ない場所で受信し、この受信した画像の中から検査対象物の内部の注目領域を設定し、この設定した注目領域の画像のコントラストを補正し、このコントラストを補正した画像を画面上に表示し、この画面上に表示されたコントラストが補正された画像を記憶手段に記憶する検査方法及びその装置とした。
放射線の影響が大きい検査対象物の検査方法及びその装置において、局所的な視認性を改善することを可能にして視認性の良い画像を得られるようにする。
【解決手段】
放射線の影響が大きい検査対象物の内部をカメラで撮像して検査対象物の内部の画像を得、この撮像して得た画像を検査対象物から離れた放射線の影響の少ない場所で受信し、この受信した画像の中から検査対象物の内部の注目領域を設定し、この設定した注目領域の画像のコントラストを補正し、このコントラストを補正した画像を画面上に表示し、この画面上に表示されたコントラストが補正された画像を記憶手段に記憶する検査方法及びその装置とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学カメラにより映像を取得して検査を行う技術に関し、特に検査対象物の内部の検査を行うのに適した検査方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電プラント等では、高い安全性が求められており、定期的に十分な検査を実施しなければならない。検査対象としては、例えば原子炉では、原子炉圧力容器や、容器内にあるシュラウド、炉心支持板等の構造物について検査が行われる。燃料集合体の検査など、原子炉以外の検査もある。
【0003】
検査方法の一つとして、光学カメラを用いて対象物の表面状態を撮像して得た画像を目視で検査する方法がある。この目視検査では、カメラを対象物に近づけて撮影し、得られた映像をディスプレイに表示して、検査員が目視で検査する場合がある。また、カメラの映像を後で確認できるように記録している。撮影箇所を移動できるように、カメラに駆動装置が付いていて遠隔操作できる機能が付けられているか、離れた場所から検査員が手動でカメラを操作できる機構を備えている。カメラからはカラーまたはグレースケールの動画情報を取得する。
検査はガンマ線などの放射線が多い環境の下で行われる場合がある。この場合には、放射線のため、カメラ内の電子回路が損傷し、その機能を喪失する。近年の微細化された半導体ほど損傷に弱いため、高分解能なカメラ素子や広ダイナミックレンジなカメラ素子、大量の画像信号を高速に伝送するために必要な集積回路は、ほとんど使用できない。放射線に対する耐久性を優先するには、電子回路をあまり使わないカメラを採用することとなり、低分解能で狭ダイナミックレンジなものとなっている。
【0004】
また、通常の検査時はカメラとともに照明を近づけて照らす。検査対象物が立体的で複雑な構造である場合、カメラを設置できる領域や検査用の照明の届く範囲が限られることとなり、部分的に照明不足や過剰となる。
【0005】
従って検査に用いるカメラ動画は適切な明るさで撮影することが難しいという課題がある。
【0006】
画像の明るさに関する視認性向上について、デジタルカメラの分野で暗い領域の明度と明るい領域の明度とから補正式を求めてコントラスト補正を行う方法が特開2009−271096公報(特許文献1)に開示されている。
【0007】
また、デジタルカメラの分野で露出条件を変化させた複数枚の画像から画像を合成する方法が特開2009−65350号公報(特許文献2)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−271096号公報
【特許文献2】特開2009−65350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載されている方法では、画像全体に対して同一のコントラスト補正をかけているため、注目領域の視認性を局所的に大幅に改善できるとは言えない。
特許文献2に記載されている方法では、露出条件を変化させた複数枚の画像が必要であるが、検査の信頼性を保障するためと、検査対象物が立体的で複雑な構造である場合、露出条件を任意に変更することは困難である。
【0010】
また、放射線環境下では放射線のカメラへの影響を低減するため放射線遮蔽体を備える構成が考えられる。この構成では、放射線による損傷が無いため高性能なカメラを使用することができるが、放射線遮蔽体を備える分、検査装置の小型化や軽量化が困難である。例えば、ガンマ線量を1割に低減するためには、ガンマ線の遮蔽材としてよく使われている鉛を用いても4センチメートル程度の厚みを必要とする。狭隘部での検査を考慮するとサイズや重量の観点から実用的ではない。
【0011】
また、検査対象物をカメラで撮像して得た画像を目視で検査する場合において、カメラ自体が有する画素分解能よりも高い分解能を有する映像を作成する方法が考えられる。この方法では、分解能を高めることはできるが、部分的に、照明不足や過剰のため低コントラストになった画像に対して、コントラストを改善することはできない。この点で視認性の悪さを解消できるとは言えない。
【0012】
本発明は、視認性の良い画像を目視検査に用いることを可能にする検査方法及びその装置を提供するものである。また、局所的な視認性を改善することを可能にする検査方法及びその装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記した課題を解決するために、本発明では、放射線の影響が大きい検査対象物の内部をカメラで撮像して検査対象物の内部の画像を得、この撮像して得た画像を検査対象物から離れた放射線の影響の少ない場所で受信し、この受信した画像の中から検査対象物の内部の注目領域を設定し、この設定した注目領域の画像のコントラストを補正し、このコントラストを補正した画像を画面上に表示し、この画面上に表示されたコントラストが補正された画像を記憶手段に記憶する検査対象物の検査方法とした。
【0014】
また、上記した課題を解決するために、本発明では検査装置を、放射線の影響が大きい検査対象物の内部を撮像して検査対象物の内部の画像を取得する撮像手段と、この撮像手段で撮像して取得した画像を検査対象物から離れた放射線の影響の少ない場所で受信してこの受信した画像を処理する画像処理手段と、この画像処理手段で処理した画像を表示する画面を有する出力手段と、この出力手段の画面に表示された画像を記憶する画像記憶手段とを備えて構成し、画像処理手段は、受信した画像の中から検査対象物の内部の注目領域を設定する注目領域設定部と、この注目領域設定部で設定した注目領域の画像のコントラストを補正する画像コントラスト補正部とを有し、出力手段は、画像コントラスト補正部でコントラストを補正した画像を画面上に表示するようにした。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、放射線の影響が大きい検査対象物を検査する装置において、コントラスト補正により、視認性の良い画像を検査に用いることが可能となった。また、注目領域を設定して補正することにより、放射線の影響が大きい検査対象物を検査する装置において、局所的に視認性を大幅に改善することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態における目視検査のシーケンスの例を表すフロー図である。
【図2A】本発明の実施の形態における目視検査装置の概略の構成を示すブロック図である。
【図2B】本発明の実施の形態における目視検査装置の画像処理手段の構成を示すブロック図である。
【図3A】一般的なコントラスト補正の例を示すグラフで、入力画像の明度の頻度分布に偏りが有る場合の入力画像の明度の頻度分布を示すグラフ、補正関数を示すグラフおよび出力画像の明度の頻度分布を示すグラフである。
【図3B】一般的なコントラスト補正の例を表すグラフで、入力画像の明度の頻度分布に偏りが無い場合の入力画像の明度の頻度分布を示すグラフ、補正関数を示すグラフおよび出力画像の明度の頻度分布を示すグラフである。
【図4A】本発明の実施の形態における暗い領域を注目領域に設定して暗い側の分布を拡張したコントラスト補正の例を示す入力画像の明度の頻度分布を示すグラフ、補正関数を示すグラフおよび出力画像の明度の頻度分布を示すグラフである。
【図4B】本発明の実施の形態における暗い領域を注目領域に設定して暗い側の分布をより大きく拡張したコントラスト補正の例を示す入力画像の明度の頻度分布を示すグラフ、補正関数を示すグラフおよび出力画像の明度の頻度分布を示すグラフである。
【図5A】本発明の実施の形態において、複数の領域に分割した状態を示す検査対象の画像を示す図である。
【図5B】本発明の実施の形態における複数の領域に分割した画像の各領域毎に適用する異なる補正関数の例を表すグラフである。
【図6A】本発明の実施の形態における入力画像の明度の頻度分布が中央に集中している画像のコントラストを補正する例を示す入力画像の明度の頻度分布を示すグラフ、補正関数を示すグラフおよび出力画像の明度の頻度分布を示すグラフである。
【図6B】本発明の実施の形態において、中心近傍を注目領域に自動設定した状態を示す検査対象の画像である。
【図6C】本発明の実施の形態において、入力画像の明度の頻度分布が中央に集中している画像のコントラストを補正する補正関数の例を示すグラフである。
【図7A】本発明の実施の形態におけるGUI上で注目領域を指定する例を示す検査対象の画像である。
【図7B】本発明の実施の形態におけるGUI上でコーナを指定して注目領域を設定する例を示す検査対象の画像である。
【図8A】本発明の実施の形態における目視検査を行うためのGUIの例で、1枚の画像を表示した画面の正面図である。
【図8B】本発明の実施の形態における目視検査を行うためのGUIの例で、2枚の画像を表示した画面の正面図である。
【図8C】本発明の実施の形態におけるGUIに表示される処理ON/OFFを表示するダイアログの一例を示す図である。
【図8D】本発明の実施の形態におけるGUIに表示される補正量の調整ゲージなどを表示するダイアログの一例を示す図である。
【図8E】本発明の実施の形態におけるGUIに表示される検査/調整を選択するボタンなどを表示するダイアログの一例を示す図である。
【図9A】本発明の実施の形態における明るい領域を注目領域に設定するコントラスト補正の例で、入力画像の明度の頻度分布を示すグラフ、補正関数を示すグラフおよび出力画像の明度の頻度分布を示すグラフである。
【図9B】本発明の実施の形態における補正関数の例を示すグラフである。
【図10A】本発明の実施の形態における目視検査の別のシーケンスの例を表すフロー図である。
【図10B】本発明の実施の形態における検査前確認手順のシーケンスの例を表すフロー図である。
【図10C】本発明の実施の形態における検査後確認手順のシーケンスの例を表すフロー図である。
【図11A】本発明の実施の形態において、拡張関数を適用したコントラスト補正関数の例を示すグラフである。
【図11B】本発明の実施の形態におけるコントラスト補正の対象とする検査対象の画像である。
【図11C】本発明の実施の形態における統計量を求め方法の例を表す図である。
【図12A】本発明の実施の形態における暗い領域を注目領域に自動設定するコントラスト補正に適用するコントラスト補正関数の例を示すグラフである。
【図12B】本発明の実施の形態における暗い領域を注目領域に設定してコントラスト補正して明度が一部逆転した出力画像を示す図である。
【図12C】本発明の実施の形態における暗い領域を注目領域に設定してコントラスト補正して周囲の領域の一部が飽和した出力画像を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態における欠陥候補近傍を注目領域に設定した検査対象の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図2Aは、本発明の一実施形態である目視検査装置の基本構成である。目視検査装置は、例えば、カメラ201、画像処理手段202、保存手段203、GUI204から構成される。検査対象物205が放射線の影響が大きい原子炉である場合、カメラ201のみを検査対象物205の近くに置いて検査を行い、カメラ201以外の画像処理手段202、保存手段203、GUI204は放射線量が多い環境の外に出す。また、カメラ201は、照明206や駆動部(図示せず)を備えていても良い。照明206は検査対象物205を照らす。カメラ201で検査対象物205を撮像して映像を取得する。カメラ201は、カラー映像またはグレースケール映像を撮像することができる。光学カメラ201の種類として、撮像管、CCD、CMOSなどを用いることができる。カメラ201からの映像は、ケーブル207を通して画像処理手段202に伝送する。カメラ201と画像処理手段202との通信は、無線で行っても良い。画像処理手段202は、図2Bに示すように、カメラ201で撮像した画像を入力する画像入力部2021、入力した画像を一旦記憶しておく画像メモリ部2022、画像メモリ2022に記憶された画像を用いて注目領域を設定する注目領域設定部2023、注目領域設定部2023で設定された注目領域のコントラストを補正するコントラスト補正部2024、注目領域のコントラストが補正された画像を出力する画像出力部2025を備えている。画像処理手段202はコントラスト補正した画像や補正前の画像を画像出力部202から出力してGUI204に表示し、保存手段203に記録して保存する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態である目視検査のシーケンスである。目視検査のシーケンスには、検査前に行う調整手順112と、実際に検査を行う検査手順101が含まれる。
【0019】
この調整手順112は、保存画像取得ステップS113、注目領域設定ステップS114、コントラスト補正ステップS115、画面表示ステップS116、条件調整ステップS117を含んで構成される。
【0020】
保存画像取得ステップS113では、過去の検査時に保存した映像118を保存手段203から取得する。または、検査対象物205を模擬した模擬検査対象物をカメラ201で撮像した映像を取得しても良い。模擬検査対象物は、立体的で複雑な構造を模擬し、部分的に照明不足や過剰となる状態を再現できるものが好ましい。
【0021】
注目領域設定ステップS114では、検査手順と同様に、取得した映像について注目領域を設定する。領域設定方法は、検査手順の領域設定方法と同様である。
【0022】
コントラスト補正ステップS115では、検査手順と同様に、注目領域に対し、予め設定した条件でコントラスト補正画像処理を行い、補正した画像を作成する。
【0023】
画面表示ステップS116では、検査手順と同様に、補正した画像を目視検査用にGUI204に表示する。
【0024】
条件調整ステップS117では、表示された画像をユーザが確認し、必要に応じてGUI204上で画像処理条件を調整する。GUI204上には画像処理に必要なパラメータを入力する画面を表示される。例えば、コントラスト補正処理のON/OFFを入力するボタン119や、コントラスト補正処理の強さを入力する調整ゲージ120等である。コントラスト補正処理のON/OFFは、照明状態を確認する際にはOFFにし、コントラスト補正状態を確認する際にはONにするのが好ましい。また、コントラスト補正処理の強さは、補正が足りない場合は強めに調整し、補正が過剰な場合は弱めに調整するのが好ましい。
【0025】
次に、検査手順101は、カメラ撮像ステップS102、注目領域設定ステップS103、コントラスト補正ステップS104、画面表示ステップS105から構成される。カメラの映像は動画であるため、上記のステップは原則としてフレーム毎に繰り返し実行される。
カメラ撮像ステップS102では、カメラ201により検査対象物205を撮像した映像106を取得する。
【0026】
注目領域設定ステップS103では、取得した映像106について注目領域を設定する。領域設定方法としては、例えば、予め定めた基準明度より暗いまたは明るい領域107を注目領域に自動設定する。または画像の中心近傍108を注目領域に自動設定する。またはGUI上でユーザがマウスカーソル109等で任意箇所110を注目領域として指定する。
【0027】
コントラスト補正ステップS104では、注目領域に対し、予め調整済みの条件又は予め設定しておいた条件でコントラスト補正画像処理を行い、補正した画像111を作成する。
画面表示ステップS105では、補正した画像111を目視検査用にGUI204に表示する。
【0028】
なお、目視検査のシーケンスにおいては、必ずしも検査前に調整手順112を実行する必要は無い。この場合、検査手順101のコントラスト補正ステップS104においては、予め設定しておいた条件でコントラスト補正画像処理を行う。
【0029】
次に、コントラスト補正ステップS115又はS104で行うコントラスト補正処理について説明する。
図3Aは、一般的なコントラスト補正の例である。図3Aのグラフ3001に示すように、ある入力画像について明度の頻度分布301をとった場合に暗い側に偏っていたとする。明度分布は最小から最大の範囲まで使用するのが好ましい。これを実現するための一般的なコントラスト補正の一つとして線形拡張がある。これは取得画像の明度の分布を調べて、その分布が最小から最大の範囲の一部に偏っている場合に、図3Aのグラフ3002に示すように最小から最大の範囲に分布を線形に拡張する方法である。この線形拡張を適用すると、図3Aのグラフ3003に示すように出力画像の明度の頻度分布302は濃度分布の形状を維持しながら最小から最大の範囲に分布する。図3Aのグラフ3002に示した線形拡張の関数303は入力明度の範囲を最小から最大の範囲に拡張して出力明度の範囲に変換する形となる。
【0030】
一方、図3Bには、入力画像の明度の頻度分布に偏りが無い場合の例を示す。図3Bのグラフ3004に示すような入力画像の明度の頻度分布304が最小から最大の範囲にわたっている場合には、図3Bのグラフ3006に示すように出力画像の明度の頻度分布305は拡張されず入力画像と同様である。図3Bのグラフ3005に示すように、この場合のコントラスト補正関数306は傾き1の直線となる。
【0031】
しかし、図3Bのグラフ3004に示すような明度分布の非常に暗い範囲307は人間の視覚特性において感度が悪いため、視認性を改善するためには、非常に暗い範囲307を明るい方に補正するのが好ましい。
【0032】
図4Aは暗い領域を注目領域に自動設定するコントラスト補正の例である。本実施例では、図4Aのグラフ4001に示すよう図3Aのグラフ3001と同様な明度の頻度分布401を有する入力画像に対して、補正調整の下限値404と補正調整の上限値405を設ける。
この入力画像に対して、図4Aのグラフ4002に示すように、入力明度401が補正調整の下限値404以下の場合は、拡張関数403をそのまま適用する。ここで、適用する関数は注目領域の明度範囲を拡張する効果があれば良く、線形拡張には限定しない。以下の説明においても線形拡張に限定しないものとする。
【0033】
入力明度が補正調整の上限値405以上の場合は、コントラスト補正をしない傾き1の関数406を適用する。入力明度が補正調整の下限値404以上、かつ、補正調整の上限値405以下の場合は、拡張関数403と傾き1の関数406を入力明度に応じて合成した合成関数408を適用する。このコントラスト補正関数409を適用すると、図4Aのグラフ4003に示すように出力画像の明度の頻度分布402は、暗い側の分布がより大きく拡張した分布となり、非常に暗い範囲407の視認性が向上する。
【0034】
ここで、コントラスト補正関数409を適用する際に、補正調整の下限値404や上限値405と比較する入力画像の明度値として当該画素の明度値そのものを用いても良いが、当該画素近傍の画素群の明度値から、平均値、重みつき平均値、中央値等の統計量を求めて比較に用いても良い。例えば、図11Bに示すような画素1101を対象とするとき、その明度値が図11Aに示すように明度値1102であり補正調整の下限値404より大きく、図11Aのグラフからこの明度値1102に対応するコントラスト補正関数409として拡張関数408を適用した場合の出力明度は1107となる。
【0035】
これに対して、図11Bに示す当該画素1101の近傍の画素群1103の明度値が図11Aに示すように明度値1104であり補正調整の下限値404より下に多く分布した場合、その平均値1105も補正調整の下限値404より下になるので近傍の画素群1103に対してはコントラスト補正関数として拡張関数403が適用されるが、当該画素1101の明度値1102にも近傍の画素群1103と同様にコントラスト補正関数として拡張関数403を適用することにより、拡張関数408を適用した場合の出力明度1107よりも大きい出力明度1106となる。これにより、暗い範囲に存在する近傍より明るい画素、即ち、欠陥候補部は周囲との明度差を損なわずに出力画像に反映することができる。
【0036】
また、入力画像の明度値から各画素の特徴量を求めて、特徴量が近い画素同士を同一の領域としてセグメンテーションし、同一領域の明度値から統計量を求めても良い。また、カメラ画像は動画であるため、図11Cに示すように最新のフレーム1108に加えて時間的に近い過去複数のフレーム1109の画像を用いて統計量を求めても良い。これにより、統計量を安定に算出することが可能となる。
【0037】
また、非常に暗い範囲407を特に注目したい場合、図4Bのグラフ4005に示すように拡張関数413の傾きを大きくする必要がある。
【0038】
更に、図4Bのグラフ4005に示すように、補正調整の下限値404以上、かつ、補正調整の上限値405以下の区間の合成関数418の傾きをそのままとすると、図4Bのグラフ4006に示すように出力画像の明度の頻度分布412は暗い側の分布がより大きく拡張した分布となるが、図4Bのグラフ4005に示すように明度分布の非常に明るい範囲420の補正関数419の傾きはほぼ0となる。しかしながら、傾きがほぼ0となると人間の視覚特性において感度が悪い。この補正関数419を非常に明るい範囲420に適用すると、この領域は視認性が悪化する。
【0039】
この時、拡張関数413の傾きの調整は、例えば、GUI204上に表示されたコントラスト補正処理の強さを入力する調整ゲージ120で行っても良い。
【0040】
これに対して、更に入力画像を図5Aのように複数の領域に分割し、分割領域毎に明度の頻度分布をとり、分割領域毎に異なる補正関数を適用する。例えば、暗い領域と明るい領域とが混在する分割領域501に対しては図4Aのグラフ4002に示した補正関数409を適用し、暗い領域しかない分割領域502に対しては図4Bのグラフ4005に示した補正関数419を適用するのが好ましい。これにより、暗い領域と明るい領域とが混在する分割領域501では、明るい領域の視認性を損なわずに暗い領域の視認性を向上させることができる。また、暗い領域しかない分割領域502では、暗い領域の視認性をさらに向上させることができる。分割領域は例えば格子状とし、その格子サイズはGUIで設定するようにしても良い。
【0041】
ここで、暗い領域と明るい領域とが混在する分割領域503と、暗い領域しかない分割領域504のように、両者が隣あっている場合、それぞれの補正関数が異なるため、そのまま適用すると両者の境界で明るさが不連続となり、目視検査を誤る可能性がある。
【0042】
これに対して、更に、前者の中心座標505、後者の中心座標506からの距離に応じて補正関数409と補正関数419を合成した関数を適用しても良い。例えば、中心座標505と、中心座標506の中間の座標507に対しては、図5Bのグラフに示すように補正関数409と補正関数419との中間の合成関数508を適用するのが好ましい。また、同様に、中心座標505、中心座標506、中心座標509、中心座標510の内部の座標511に対しては、中心座標505、中心座標506、中心座標509、中心座標510に対応する4つの補正関数から合成した補正関数を適用するのが好ましい。これにより、分割した領域の境界で明るさが不連続となることなくコントラスト補正を行うことが可能となる。
【0043】
図9A及びBは明るい領域を注目領域に自動設定するコントラスト補正の例である。図4A及びBの説明と同様に本実施例では、図9Aのグラフ9001に示すような明度の頻度分布901を有する入力画像に対して、グラフ9002に示すように、補正調整の上限値405以上の場合は、拡張関数903をそのまま適用する。入力明度が補正調整の下限値404以下の場合は、コントラスト補正をしない傾き1の関数406を適用する。入力明度が補正調整の下限値404以上、かつ、補正調整の上限値405以下の場合は、拡張関数903と傾き1の関数406を入力明度に応じて合成した合成関数904を適用する。このコントラスト補正関数905をグラフ9001の明度の頻度分布901を有する入力画像に適用すると、グラフ9003に示すように出力画像の明度の頻度分布902は、暗い側の分布がより大きく拡張した分布となり、グラフ9001に示した入力画像の明度の頻度分布901の非常に明るい範囲906の視認性が向上する。
【0044】
更に入力画像を図5Aのように複数の領域に分割し、分割領域毎に異なる補正関数を適用しても良い。これにより、暗い領域と明るい領域とが混在する分割領域501では、暗い領域の視認性を損なわずに明るい領域の視認性を向上させることができる。また、明るい領域しかない分割領域512では、明るい領域の視認性をさらに向上させることができる。
【0045】
更に、図5Bの説明と同様に、隣接する複数の分割領域の中心座標からの距離に応じて、図9Bのグラフに示すようにそれぞれの分割領域に対応する補正関数A907、補正関数B908、を合成した関数909を適用しても良い。これにより、分割した領域の境界で明るさが不連続となることなくコントラスト補正を行うことが可能となる。
【0046】
図6A乃至Cは、画像の中心近傍を注目領域に自動設定するコントラスト補正の例である。本実施例では、図6Bに示すような画像の中心近傍の領域108について、図6Aのグラフ6001に示すような明度の頻度分布601を調べて、その分布が最小から最大の範囲の一部に偏っている場合に、グラフ6002に示すようにコントラスト補正関数603を用いて最小から最大の範囲に分布を線形に拡張する。このコントラスト補正関数603を適用すると、グラフ6003に示すように出力画像の明度の頻度分布602は最小から最大の範囲に拡張される。これにより、画像の中心近傍の領域108の視認性が向上する。
【0047】
ここで、このコントラスト補正関数603を図6Bに示す画像の中心近傍の領域108だけに適用すると、周囲との境界で明るさが不連続となり、目視検査を誤る可能性がある。これに対して、更に、図6Bのように中心近傍の領域108の外側により大きい領域604を設定し、中心近傍の領域108の中心座標605と大きい領域604の外周座標606とからの距離に応じて補正関数603と傾き1の関数を合成した関数を適用しても良い。例えば、中心座標605と外周座標606の中間の座標607に対しては、図6Cのように補正関数603と補正関数608との中間の合成関数609を適用するのが好ましい。これにより、周囲との境界で明るさが不連続となることなくコントラスト補正を行うことが可能となる。
【0048】
図7A及びBはGUI上で注目領域をユーザが指定するコントラスト補正の例である。本実施例では、図7AのようにGUI上でユーザがマウスカーソル109等で任意箇所110を注目領域として指定する。図6A乃至Cで説明したのと同様に、任意箇所110を中心にしたある範囲の領域701について明度の頻度分布を調べて、その分布が最小から最大の範囲の一部に偏っている場合に、最小から最大の範囲に分布を線形に拡張する補正関数を適用する。これにより、任意箇所110を中心にしたある範囲の領域701の視認性が向上する。更に、図6A乃至Cで説明したのと同様に、周囲との境界で明るさが不連続となるため、補正関数から合成した合成関数を適用しても良い。これにより、周囲との境界で明るさが不連続となることなくコントラスト補正を行うことが可能となる。
【0049】
また、図7BのようにGUI上でユーザがマウスカーソル109等でコーナを指定して任意矩形領域702を注目領域として指定しても良い。
【0050】
図13は欠陥候補近傍を注目領域に自動設定するコントラスト補正の例である。放射線の影響が大きく、かつ大きな圧力がかかる原子炉などを検査対象物とする検査では構造物の細かい欠陥、特に応力腐食割れ(SCC:Stress Corrosion Cracking)という欠陥を対象としている。本実施例では、入力画像1301の中から周囲に比べて明度や色等が異なっている箇所を画像処理で識別し欠陥候補1302とする。この欠陥候補を中心とした近傍を注目領域1303に自動設定しても良い。この注目領域1303について、図6A乃至Cで説明したのと同様に明度の頻度分布を調べて、その分布が最小から最大の範囲の一部に偏っている場合に、最小から最大の範囲に分布を線形に拡張する。このコントラスト補正関数を適用すると、出力画像の明度の頻度分布は最小から最大の範囲に拡張される。これにより、注目領域1302の視認性が向上する。更に、図6A乃至Cで説明したのと同様に、周囲との境界で明るさが不連続となるため、補正関数から合成した合成関数を適用しても良い。これにより、周囲との境界で明るさが不連続となることなくコントラスト補正を行うことが可能となる。
【0051】
図10Aは、目視検査の別のシーケンスである。目視検査の別のシーケンスには、実際に検査を行う検査手順101の前後に、検査前確認手順1001、検査後確認手順1002が含まれる。また、図1の例と同様に検査前に調整を行う調整手順112が含まれていても良い。検査手順101及び検査前に調整を行う調整手順112は図1を用いて説明したものと同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0052】
検査前確認手順1001、検査後確認手順1002は、カメラが損傷する可能性を考慮して、カメラ映像の視認性を確認するための手順である。検査前後の視認性に問題無いことを確認することで、検査の信頼性を保障することができる。
【0053】
検査前確認手順1001は、検査手順101と同様に、図10Bに示すような手順、即ち、カメラ撮像ステップS1012、注目領域設定ステップS1013、コントラスト補正ステップS1014、画面表示ステップS1015を含んで構成される。カメラの映像は動画であるため、上記のステップは原則としてフレーム毎に繰り返し実行される。
【0054】
このうちカメラ撮像ステップS1012では、検査対象物205を模擬した模擬検査対象物を撮像した映像1003を取得する。また、画面表示ステップS1015で模擬検査対象物をユーザが視認できれば検査手順S101に進む。視認できなかった場合は、前述の調整手順112を行う。調整手順112が済んだら、検査手順101に進む。
【0055】
検査後確認手順1002は、検査前確認手順1001と同様に、カメラ撮像ステップS1022、注目領域設定ステップS1023、コントラスト補正ステップS1024、画面表示ステップS1025を含んで構成される。カメラの映像は動画であるため、上記のステップは原則としてフレーム毎に繰り返し実行される。
【0056】
このうちカメラ撮像ステップS1022では、検査前確認手順1001と同様に、通常、細いワイヤを模擬検査対象物とし、模擬検査対象物を撮像した映像1004を取得する。画面表示ステップS1025で模擬検査対象物をユーザが視認できれば検査の信頼性が保障される。
【0057】
コントラスト補正ステップS1024では、調整手順112で予め調整した状態を変えずに、検査前確認手順1001、検査手順101、検査後確認手順1002を実行するため、カメラの損傷が無い限り検査の信頼性が保障される。
【0058】
図8A乃至Eに目視検査を行うためのGUIの例を示す。図8Aのように、検査手順101では、通常、GUI204上にカメラ画像801を表示する。また、GUI204上にダイアログA802を表示しても良い。ダイアログA802には、図8Cに示すように処理ON/OFFを指定するボタン119を表示しても良い。またダイアログA802には、表示画像の切り替えボタン803を表示しても良い。切り替えボタン803を撮像画像にするとGUI204上のカメラ画像801は撮像画像に切り替わり、切り替えボタン803を処理結果にするとカメラ画像801は処理結果画像に切り替わり、切り替えボタン803を2画面にすると図8BのようにGUI204上に撮像画像804と処理結果画像805とが同時に表示される。更にダイアログA802にはGUI204上で確認したカメラ画像801と処理結果画像とにラベルを付けて保存するためのボタン8031を表示する。GUI204上にカメラ画像801と処理結果画像との何れか又は両方が表示されている状態でボタン8031をクリックすることにより、GUI204上に表示されている画像に適当なラベル(例えば撮像日時、撮像箇所のコード等)が付けられて保存手段203に記憶される。
【0059】
調整手順112ではGUI204上にダイアログB806を表示しても良い。ダイアログB806には、図8Dのように補正量の調整ゲージ120を表示しても良い。調整ゲージ120は前述の条件調整ステップS117でコントラスト補正処理の強さを入力するために使用する。ダイアログB806には、補正調整の下限値の調整ゲージ807、補正調整の上限値の調整ゲージ808を表示しても良い。両者は、図4A及びBで説明した補正調整の下限値404と補正調整の上限値405を調整することに使用する。これにより、視認性を向上させる明るさの範囲を適切に調整できる。ダイアログB806には、分割領域のサイズの調整ゲージ809を表示しても良い。サイズの調整ゲージ809は図5Aで説明した分割領域のサイズの設定に使用する。
【0060】
また、GUI204上には、図8Eに示すようなダイアログC810を表示して、検査/調整選択領域8101で検査手順101又は調整手順112に対応する検査または調整の何れかを選択する。また、GUI204上に表示されている撮像画像または処理結果に欠陥が有る場合には、ダイアログC810に欠陥有りの表示8102がされる。更に、GUI204上には、撮像箇所と撮像日時を表示するダイアログC811を表示する。
【0061】
次に、暗い領域を注目領域に自動設定するコントラスト補正の別の例を示す。図4Aで説明したコントラスト補正関数409は出力明度について連続性があった。しかしながら、注目領域に最適化した画像処理条件にするために、出力明度について連続性が無いコントラスト補正関数を用いても良い。例えば、図12Aのように入力明度が補正調整の下限値404以下の領域では、拡張関数403をそのまま適用する。入力明度が補正調整の下限値404以上の場合は、コントラスト補正をしない傾き1の関数406を適用する。このようなコントラスト補正関数1201を適用すると、入力明度が補正調整の下限値404と一致する点で出力明度は不連続となり、例えば、図12Bの出力画像1202のように、非常に暗かった領域1203が周囲の領域1204よりも明るくなり明度が一部逆転した画像となる。一方、分割領域の明度分布の大小にかかわらず一律に、暗い側の分布がより大きく拡張した分布となり、図4A又はBに示した非常に暗い範囲407の視認性が向上する。
【0062】
また、暗い領域を注目領域に自動設定するコントラスト補正の別の例を示す。図5A及びBの説明で暗い領域と明るい領域とが混在する分割領域501に対しては補正関数409を適用し、明るい領域の視認性を損なわずにコントラスト補正をした。しかしながら、注目領域に最適化した画像処理条件にするために、分割領域501に対して補正関数419を適用しても良い。これにより、明るい領域の視認性は悪化し、例えば、図12Cの出力画像1205のように周囲の領域1204の一部分1206で明度が飽和した画像となる。一方、分割領域の明度分布の大小にかかわらず一律に、暗い側の分布がより大きく拡張した分布となり、図4A又はBに示した非常に暗い範囲407の視認性が向上する。
【0063】
また、明るい領域を注目領域に自動設定する場合、画像の中心近傍を注目領域に自動設定する場合、注目領域をユーザが指定する場合、欠陥候補近傍を注目領域に自動設定する場合においても、上記と同様に注目領域に最適化した画像処理条件にするコントラスト補正を適用しても良い。
【0064】
上記に説明した実施例は本発明の一実施の形態を説明するものであって、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、上記実施例で説明した構成の一部をそれと等価な機能を有する手段で置き換えたものも、または、実質的でない機能の一部を省略したものも本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
106・・・映像 107・・・暗いまたは明るい領域 108・・・中心近傍 109・・・マウスカーソル 110・・・任意箇所 111・・・補正した画像 119・・・ボタン 120・・・調整ゲージ 201・・・カメラ
202・・・画像処理手段 203・・・保存手段 204・・・GUI
205・・・検査対象物 206・・・照明 207・・・ケーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学カメラにより映像を取得して検査を行う技術に関し、特に検査対象物の内部の検査を行うのに適した検査方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電プラント等では、高い安全性が求められており、定期的に十分な検査を実施しなければならない。検査対象としては、例えば原子炉では、原子炉圧力容器や、容器内にあるシュラウド、炉心支持板等の構造物について検査が行われる。燃料集合体の検査など、原子炉以外の検査もある。
【0003】
検査方法の一つとして、光学カメラを用いて対象物の表面状態を撮像して得た画像を目視で検査する方法がある。この目視検査では、カメラを対象物に近づけて撮影し、得られた映像をディスプレイに表示して、検査員が目視で検査する場合がある。また、カメラの映像を後で確認できるように記録している。撮影箇所を移動できるように、カメラに駆動装置が付いていて遠隔操作できる機能が付けられているか、離れた場所から検査員が手動でカメラを操作できる機構を備えている。カメラからはカラーまたはグレースケールの動画情報を取得する。
検査はガンマ線などの放射線が多い環境の下で行われる場合がある。この場合には、放射線のため、カメラ内の電子回路が損傷し、その機能を喪失する。近年の微細化された半導体ほど損傷に弱いため、高分解能なカメラ素子や広ダイナミックレンジなカメラ素子、大量の画像信号を高速に伝送するために必要な集積回路は、ほとんど使用できない。放射線に対する耐久性を優先するには、電子回路をあまり使わないカメラを採用することとなり、低分解能で狭ダイナミックレンジなものとなっている。
【0004】
また、通常の検査時はカメラとともに照明を近づけて照らす。検査対象物が立体的で複雑な構造である場合、カメラを設置できる領域や検査用の照明の届く範囲が限られることとなり、部分的に照明不足や過剰となる。
【0005】
従って検査に用いるカメラ動画は適切な明るさで撮影することが難しいという課題がある。
【0006】
画像の明るさに関する視認性向上について、デジタルカメラの分野で暗い領域の明度と明るい領域の明度とから補正式を求めてコントラスト補正を行う方法が特開2009−271096公報(特許文献1)に開示されている。
【0007】
また、デジタルカメラの分野で露出条件を変化させた複数枚の画像から画像を合成する方法が特開2009−65350号公報(特許文献2)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−271096号公報
【特許文献2】特開2009−65350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載されている方法では、画像全体に対して同一のコントラスト補正をかけているため、注目領域の視認性を局所的に大幅に改善できるとは言えない。
特許文献2に記載されている方法では、露出条件を変化させた複数枚の画像が必要であるが、検査の信頼性を保障するためと、検査対象物が立体的で複雑な構造である場合、露出条件を任意に変更することは困難である。
【0010】
また、放射線環境下では放射線のカメラへの影響を低減するため放射線遮蔽体を備える構成が考えられる。この構成では、放射線による損傷が無いため高性能なカメラを使用することができるが、放射線遮蔽体を備える分、検査装置の小型化や軽量化が困難である。例えば、ガンマ線量を1割に低減するためには、ガンマ線の遮蔽材としてよく使われている鉛を用いても4センチメートル程度の厚みを必要とする。狭隘部での検査を考慮するとサイズや重量の観点から実用的ではない。
【0011】
また、検査対象物をカメラで撮像して得た画像を目視で検査する場合において、カメラ自体が有する画素分解能よりも高い分解能を有する映像を作成する方法が考えられる。この方法では、分解能を高めることはできるが、部分的に、照明不足や過剰のため低コントラストになった画像に対して、コントラストを改善することはできない。この点で視認性の悪さを解消できるとは言えない。
【0012】
本発明は、視認性の良い画像を目視検査に用いることを可能にする検査方法及びその装置を提供するものである。また、局所的な視認性を改善することを可能にする検査方法及びその装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記した課題を解決するために、本発明では、放射線の影響が大きい検査対象物の内部をカメラで撮像して検査対象物の内部の画像を得、この撮像して得た画像を検査対象物から離れた放射線の影響の少ない場所で受信し、この受信した画像の中から検査対象物の内部の注目領域を設定し、この設定した注目領域の画像のコントラストを補正し、このコントラストを補正した画像を画面上に表示し、この画面上に表示されたコントラストが補正された画像を記憶手段に記憶する検査対象物の検査方法とした。
【0014】
また、上記した課題を解決するために、本発明では検査装置を、放射線の影響が大きい検査対象物の内部を撮像して検査対象物の内部の画像を取得する撮像手段と、この撮像手段で撮像して取得した画像を検査対象物から離れた放射線の影響の少ない場所で受信してこの受信した画像を処理する画像処理手段と、この画像処理手段で処理した画像を表示する画面を有する出力手段と、この出力手段の画面に表示された画像を記憶する画像記憶手段とを備えて構成し、画像処理手段は、受信した画像の中から検査対象物の内部の注目領域を設定する注目領域設定部と、この注目領域設定部で設定した注目領域の画像のコントラストを補正する画像コントラスト補正部とを有し、出力手段は、画像コントラスト補正部でコントラストを補正した画像を画面上に表示するようにした。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、放射線の影響が大きい検査対象物を検査する装置において、コントラスト補正により、視認性の良い画像を検査に用いることが可能となった。また、注目領域を設定して補正することにより、放射線の影響が大きい検査対象物を検査する装置において、局所的に視認性を大幅に改善することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態における目視検査のシーケンスの例を表すフロー図である。
【図2A】本発明の実施の形態における目視検査装置の概略の構成を示すブロック図である。
【図2B】本発明の実施の形態における目視検査装置の画像処理手段の構成を示すブロック図である。
【図3A】一般的なコントラスト補正の例を示すグラフで、入力画像の明度の頻度分布に偏りが有る場合の入力画像の明度の頻度分布を示すグラフ、補正関数を示すグラフおよび出力画像の明度の頻度分布を示すグラフである。
【図3B】一般的なコントラスト補正の例を表すグラフで、入力画像の明度の頻度分布に偏りが無い場合の入力画像の明度の頻度分布を示すグラフ、補正関数を示すグラフおよび出力画像の明度の頻度分布を示すグラフである。
【図4A】本発明の実施の形態における暗い領域を注目領域に設定して暗い側の分布を拡張したコントラスト補正の例を示す入力画像の明度の頻度分布を示すグラフ、補正関数を示すグラフおよび出力画像の明度の頻度分布を示すグラフである。
【図4B】本発明の実施の形態における暗い領域を注目領域に設定して暗い側の分布をより大きく拡張したコントラスト補正の例を示す入力画像の明度の頻度分布を示すグラフ、補正関数を示すグラフおよび出力画像の明度の頻度分布を示すグラフである。
【図5A】本発明の実施の形態において、複数の領域に分割した状態を示す検査対象の画像を示す図である。
【図5B】本発明の実施の形態における複数の領域に分割した画像の各領域毎に適用する異なる補正関数の例を表すグラフである。
【図6A】本発明の実施の形態における入力画像の明度の頻度分布が中央に集中している画像のコントラストを補正する例を示す入力画像の明度の頻度分布を示すグラフ、補正関数を示すグラフおよび出力画像の明度の頻度分布を示すグラフである。
【図6B】本発明の実施の形態において、中心近傍を注目領域に自動設定した状態を示す検査対象の画像である。
【図6C】本発明の実施の形態において、入力画像の明度の頻度分布が中央に集中している画像のコントラストを補正する補正関数の例を示すグラフである。
【図7A】本発明の実施の形態におけるGUI上で注目領域を指定する例を示す検査対象の画像である。
【図7B】本発明の実施の形態におけるGUI上でコーナを指定して注目領域を設定する例を示す検査対象の画像である。
【図8A】本発明の実施の形態における目視検査を行うためのGUIの例で、1枚の画像を表示した画面の正面図である。
【図8B】本発明の実施の形態における目視検査を行うためのGUIの例で、2枚の画像を表示した画面の正面図である。
【図8C】本発明の実施の形態におけるGUIに表示される処理ON/OFFを表示するダイアログの一例を示す図である。
【図8D】本発明の実施の形態におけるGUIに表示される補正量の調整ゲージなどを表示するダイアログの一例を示す図である。
【図8E】本発明の実施の形態におけるGUIに表示される検査/調整を選択するボタンなどを表示するダイアログの一例を示す図である。
【図9A】本発明の実施の形態における明るい領域を注目領域に設定するコントラスト補正の例で、入力画像の明度の頻度分布を示すグラフ、補正関数を示すグラフおよび出力画像の明度の頻度分布を示すグラフである。
【図9B】本発明の実施の形態における補正関数の例を示すグラフである。
【図10A】本発明の実施の形態における目視検査の別のシーケンスの例を表すフロー図である。
【図10B】本発明の実施の形態における検査前確認手順のシーケンスの例を表すフロー図である。
【図10C】本発明の実施の形態における検査後確認手順のシーケンスの例を表すフロー図である。
【図11A】本発明の実施の形態において、拡張関数を適用したコントラスト補正関数の例を示すグラフである。
【図11B】本発明の実施の形態におけるコントラスト補正の対象とする検査対象の画像である。
【図11C】本発明の実施の形態における統計量を求め方法の例を表す図である。
【図12A】本発明の実施の形態における暗い領域を注目領域に自動設定するコントラスト補正に適用するコントラスト補正関数の例を示すグラフである。
【図12B】本発明の実施の形態における暗い領域を注目領域に設定してコントラスト補正して明度が一部逆転した出力画像を示す図である。
【図12C】本発明の実施の形態における暗い領域を注目領域に設定してコントラスト補正して周囲の領域の一部が飽和した出力画像を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態における欠陥候補近傍を注目領域に設定した検査対象の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図2Aは、本発明の一実施形態である目視検査装置の基本構成である。目視検査装置は、例えば、カメラ201、画像処理手段202、保存手段203、GUI204から構成される。検査対象物205が放射線の影響が大きい原子炉である場合、カメラ201のみを検査対象物205の近くに置いて検査を行い、カメラ201以外の画像処理手段202、保存手段203、GUI204は放射線量が多い環境の外に出す。また、カメラ201は、照明206や駆動部(図示せず)を備えていても良い。照明206は検査対象物205を照らす。カメラ201で検査対象物205を撮像して映像を取得する。カメラ201は、カラー映像またはグレースケール映像を撮像することができる。光学カメラ201の種類として、撮像管、CCD、CMOSなどを用いることができる。カメラ201からの映像は、ケーブル207を通して画像処理手段202に伝送する。カメラ201と画像処理手段202との通信は、無線で行っても良い。画像処理手段202は、図2Bに示すように、カメラ201で撮像した画像を入力する画像入力部2021、入力した画像を一旦記憶しておく画像メモリ部2022、画像メモリ2022に記憶された画像を用いて注目領域を設定する注目領域設定部2023、注目領域設定部2023で設定された注目領域のコントラストを補正するコントラスト補正部2024、注目領域のコントラストが補正された画像を出力する画像出力部2025を備えている。画像処理手段202はコントラスト補正した画像や補正前の画像を画像出力部202から出力してGUI204に表示し、保存手段203に記録して保存する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態である目視検査のシーケンスである。目視検査のシーケンスには、検査前に行う調整手順112と、実際に検査を行う検査手順101が含まれる。
【0019】
この調整手順112は、保存画像取得ステップS113、注目領域設定ステップS114、コントラスト補正ステップS115、画面表示ステップS116、条件調整ステップS117を含んで構成される。
【0020】
保存画像取得ステップS113では、過去の検査時に保存した映像118を保存手段203から取得する。または、検査対象物205を模擬した模擬検査対象物をカメラ201で撮像した映像を取得しても良い。模擬検査対象物は、立体的で複雑な構造を模擬し、部分的に照明不足や過剰となる状態を再現できるものが好ましい。
【0021】
注目領域設定ステップS114では、検査手順と同様に、取得した映像について注目領域を設定する。領域設定方法は、検査手順の領域設定方法と同様である。
【0022】
コントラスト補正ステップS115では、検査手順と同様に、注目領域に対し、予め設定した条件でコントラスト補正画像処理を行い、補正した画像を作成する。
【0023】
画面表示ステップS116では、検査手順と同様に、補正した画像を目視検査用にGUI204に表示する。
【0024】
条件調整ステップS117では、表示された画像をユーザが確認し、必要に応じてGUI204上で画像処理条件を調整する。GUI204上には画像処理に必要なパラメータを入力する画面を表示される。例えば、コントラスト補正処理のON/OFFを入力するボタン119や、コントラスト補正処理の強さを入力する調整ゲージ120等である。コントラスト補正処理のON/OFFは、照明状態を確認する際にはOFFにし、コントラスト補正状態を確認する際にはONにするのが好ましい。また、コントラスト補正処理の強さは、補正が足りない場合は強めに調整し、補正が過剰な場合は弱めに調整するのが好ましい。
【0025】
次に、検査手順101は、カメラ撮像ステップS102、注目領域設定ステップS103、コントラスト補正ステップS104、画面表示ステップS105から構成される。カメラの映像は動画であるため、上記のステップは原則としてフレーム毎に繰り返し実行される。
カメラ撮像ステップS102では、カメラ201により検査対象物205を撮像した映像106を取得する。
【0026】
注目領域設定ステップS103では、取得した映像106について注目領域を設定する。領域設定方法としては、例えば、予め定めた基準明度より暗いまたは明るい領域107を注目領域に自動設定する。または画像の中心近傍108を注目領域に自動設定する。またはGUI上でユーザがマウスカーソル109等で任意箇所110を注目領域として指定する。
【0027】
コントラスト補正ステップS104では、注目領域に対し、予め調整済みの条件又は予め設定しておいた条件でコントラスト補正画像処理を行い、補正した画像111を作成する。
画面表示ステップS105では、補正した画像111を目視検査用にGUI204に表示する。
【0028】
なお、目視検査のシーケンスにおいては、必ずしも検査前に調整手順112を実行する必要は無い。この場合、検査手順101のコントラスト補正ステップS104においては、予め設定しておいた条件でコントラスト補正画像処理を行う。
【0029】
次に、コントラスト補正ステップS115又はS104で行うコントラスト補正処理について説明する。
図3Aは、一般的なコントラスト補正の例である。図3Aのグラフ3001に示すように、ある入力画像について明度の頻度分布301をとった場合に暗い側に偏っていたとする。明度分布は最小から最大の範囲まで使用するのが好ましい。これを実現するための一般的なコントラスト補正の一つとして線形拡張がある。これは取得画像の明度の分布を調べて、その分布が最小から最大の範囲の一部に偏っている場合に、図3Aのグラフ3002に示すように最小から最大の範囲に分布を線形に拡張する方法である。この線形拡張を適用すると、図3Aのグラフ3003に示すように出力画像の明度の頻度分布302は濃度分布の形状を維持しながら最小から最大の範囲に分布する。図3Aのグラフ3002に示した線形拡張の関数303は入力明度の範囲を最小から最大の範囲に拡張して出力明度の範囲に変換する形となる。
【0030】
一方、図3Bには、入力画像の明度の頻度分布に偏りが無い場合の例を示す。図3Bのグラフ3004に示すような入力画像の明度の頻度分布304が最小から最大の範囲にわたっている場合には、図3Bのグラフ3006に示すように出力画像の明度の頻度分布305は拡張されず入力画像と同様である。図3Bのグラフ3005に示すように、この場合のコントラスト補正関数306は傾き1の直線となる。
【0031】
しかし、図3Bのグラフ3004に示すような明度分布の非常に暗い範囲307は人間の視覚特性において感度が悪いため、視認性を改善するためには、非常に暗い範囲307を明るい方に補正するのが好ましい。
【0032】
図4Aは暗い領域を注目領域に自動設定するコントラスト補正の例である。本実施例では、図4Aのグラフ4001に示すよう図3Aのグラフ3001と同様な明度の頻度分布401を有する入力画像に対して、補正調整の下限値404と補正調整の上限値405を設ける。
この入力画像に対して、図4Aのグラフ4002に示すように、入力明度401が補正調整の下限値404以下の場合は、拡張関数403をそのまま適用する。ここで、適用する関数は注目領域の明度範囲を拡張する効果があれば良く、線形拡張には限定しない。以下の説明においても線形拡張に限定しないものとする。
【0033】
入力明度が補正調整の上限値405以上の場合は、コントラスト補正をしない傾き1の関数406を適用する。入力明度が補正調整の下限値404以上、かつ、補正調整の上限値405以下の場合は、拡張関数403と傾き1の関数406を入力明度に応じて合成した合成関数408を適用する。このコントラスト補正関数409を適用すると、図4Aのグラフ4003に示すように出力画像の明度の頻度分布402は、暗い側の分布がより大きく拡張した分布となり、非常に暗い範囲407の視認性が向上する。
【0034】
ここで、コントラスト補正関数409を適用する際に、補正調整の下限値404や上限値405と比較する入力画像の明度値として当該画素の明度値そのものを用いても良いが、当該画素近傍の画素群の明度値から、平均値、重みつき平均値、中央値等の統計量を求めて比較に用いても良い。例えば、図11Bに示すような画素1101を対象とするとき、その明度値が図11Aに示すように明度値1102であり補正調整の下限値404より大きく、図11Aのグラフからこの明度値1102に対応するコントラスト補正関数409として拡張関数408を適用した場合の出力明度は1107となる。
【0035】
これに対して、図11Bに示す当該画素1101の近傍の画素群1103の明度値が図11Aに示すように明度値1104であり補正調整の下限値404より下に多く分布した場合、その平均値1105も補正調整の下限値404より下になるので近傍の画素群1103に対してはコントラスト補正関数として拡張関数403が適用されるが、当該画素1101の明度値1102にも近傍の画素群1103と同様にコントラスト補正関数として拡張関数403を適用することにより、拡張関数408を適用した場合の出力明度1107よりも大きい出力明度1106となる。これにより、暗い範囲に存在する近傍より明るい画素、即ち、欠陥候補部は周囲との明度差を損なわずに出力画像に反映することができる。
【0036】
また、入力画像の明度値から各画素の特徴量を求めて、特徴量が近い画素同士を同一の領域としてセグメンテーションし、同一領域の明度値から統計量を求めても良い。また、カメラ画像は動画であるため、図11Cに示すように最新のフレーム1108に加えて時間的に近い過去複数のフレーム1109の画像を用いて統計量を求めても良い。これにより、統計量を安定に算出することが可能となる。
【0037】
また、非常に暗い範囲407を特に注目したい場合、図4Bのグラフ4005に示すように拡張関数413の傾きを大きくする必要がある。
【0038】
更に、図4Bのグラフ4005に示すように、補正調整の下限値404以上、かつ、補正調整の上限値405以下の区間の合成関数418の傾きをそのままとすると、図4Bのグラフ4006に示すように出力画像の明度の頻度分布412は暗い側の分布がより大きく拡張した分布となるが、図4Bのグラフ4005に示すように明度分布の非常に明るい範囲420の補正関数419の傾きはほぼ0となる。しかしながら、傾きがほぼ0となると人間の視覚特性において感度が悪い。この補正関数419を非常に明るい範囲420に適用すると、この領域は視認性が悪化する。
【0039】
この時、拡張関数413の傾きの調整は、例えば、GUI204上に表示されたコントラスト補正処理の強さを入力する調整ゲージ120で行っても良い。
【0040】
これに対して、更に入力画像を図5Aのように複数の領域に分割し、分割領域毎に明度の頻度分布をとり、分割領域毎に異なる補正関数を適用する。例えば、暗い領域と明るい領域とが混在する分割領域501に対しては図4Aのグラフ4002に示した補正関数409を適用し、暗い領域しかない分割領域502に対しては図4Bのグラフ4005に示した補正関数419を適用するのが好ましい。これにより、暗い領域と明るい領域とが混在する分割領域501では、明るい領域の視認性を損なわずに暗い領域の視認性を向上させることができる。また、暗い領域しかない分割領域502では、暗い領域の視認性をさらに向上させることができる。分割領域は例えば格子状とし、その格子サイズはGUIで設定するようにしても良い。
【0041】
ここで、暗い領域と明るい領域とが混在する分割領域503と、暗い領域しかない分割領域504のように、両者が隣あっている場合、それぞれの補正関数が異なるため、そのまま適用すると両者の境界で明るさが不連続となり、目視検査を誤る可能性がある。
【0042】
これに対して、更に、前者の中心座標505、後者の中心座標506からの距離に応じて補正関数409と補正関数419を合成した関数を適用しても良い。例えば、中心座標505と、中心座標506の中間の座標507に対しては、図5Bのグラフに示すように補正関数409と補正関数419との中間の合成関数508を適用するのが好ましい。また、同様に、中心座標505、中心座標506、中心座標509、中心座標510の内部の座標511に対しては、中心座標505、中心座標506、中心座標509、中心座標510に対応する4つの補正関数から合成した補正関数を適用するのが好ましい。これにより、分割した領域の境界で明るさが不連続となることなくコントラスト補正を行うことが可能となる。
【0043】
図9A及びBは明るい領域を注目領域に自動設定するコントラスト補正の例である。図4A及びBの説明と同様に本実施例では、図9Aのグラフ9001に示すような明度の頻度分布901を有する入力画像に対して、グラフ9002に示すように、補正調整の上限値405以上の場合は、拡張関数903をそのまま適用する。入力明度が補正調整の下限値404以下の場合は、コントラスト補正をしない傾き1の関数406を適用する。入力明度が補正調整の下限値404以上、かつ、補正調整の上限値405以下の場合は、拡張関数903と傾き1の関数406を入力明度に応じて合成した合成関数904を適用する。このコントラスト補正関数905をグラフ9001の明度の頻度分布901を有する入力画像に適用すると、グラフ9003に示すように出力画像の明度の頻度分布902は、暗い側の分布がより大きく拡張した分布となり、グラフ9001に示した入力画像の明度の頻度分布901の非常に明るい範囲906の視認性が向上する。
【0044】
更に入力画像を図5Aのように複数の領域に分割し、分割領域毎に異なる補正関数を適用しても良い。これにより、暗い領域と明るい領域とが混在する分割領域501では、暗い領域の視認性を損なわずに明るい領域の視認性を向上させることができる。また、明るい領域しかない分割領域512では、明るい領域の視認性をさらに向上させることができる。
【0045】
更に、図5Bの説明と同様に、隣接する複数の分割領域の中心座標からの距離に応じて、図9Bのグラフに示すようにそれぞれの分割領域に対応する補正関数A907、補正関数B908、を合成した関数909を適用しても良い。これにより、分割した領域の境界で明るさが不連続となることなくコントラスト補正を行うことが可能となる。
【0046】
図6A乃至Cは、画像の中心近傍を注目領域に自動設定するコントラスト補正の例である。本実施例では、図6Bに示すような画像の中心近傍の領域108について、図6Aのグラフ6001に示すような明度の頻度分布601を調べて、その分布が最小から最大の範囲の一部に偏っている場合に、グラフ6002に示すようにコントラスト補正関数603を用いて最小から最大の範囲に分布を線形に拡張する。このコントラスト補正関数603を適用すると、グラフ6003に示すように出力画像の明度の頻度分布602は最小から最大の範囲に拡張される。これにより、画像の中心近傍の領域108の視認性が向上する。
【0047】
ここで、このコントラスト補正関数603を図6Bに示す画像の中心近傍の領域108だけに適用すると、周囲との境界で明るさが不連続となり、目視検査を誤る可能性がある。これに対して、更に、図6Bのように中心近傍の領域108の外側により大きい領域604を設定し、中心近傍の領域108の中心座標605と大きい領域604の外周座標606とからの距離に応じて補正関数603と傾き1の関数を合成した関数を適用しても良い。例えば、中心座標605と外周座標606の中間の座標607に対しては、図6Cのように補正関数603と補正関数608との中間の合成関数609を適用するのが好ましい。これにより、周囲との境界で明るさが不連続となることなくコントラスト補正を行うことが可能となる。
【0048】
図7A及びBはGUI上で注目領域をユーザが指定するコントラスト補正の例である。本実施例では、図7AのようにGUI上でユーザがマウスカーソル109等で任意箇所110を注目領域として指定する。図6A乃至Cで説明したのと同様に、任意箇所110を中心にしたある範囲の領域701について明度の頻度分布を調べて、その分布が最小から最大の範囲の一部に偏っている場合に、最小から最大の範囲に分布を線形に拡張する補正関数を適用する。これにより、任意箇所110を中心にしたある範囲の領域701の視認性が向上する。更に、図6A乃至Cで説明したのと同様に、周囲との境界で明るさが不連続となるため、補正関数から合成した合成関数を適用しても良い。これにより、周囲との境界で明るさが不連続となることなくコントラスト補正を行うことが可能となる。
【0049】
また、図7BのようにGUI上でユーザがマウスカーソル109等でコーナを指定して任意矩形領域702を注目領域として指定しても良い。
【0050】
図13は欠陥候補近傍を注目領域に自動設定するコントラスト補正の例である。放射線の影響が大きく、かつ大きな圧力がかかる原子炉などを検査対象物とする検査では構造物の細かい欠陥、特に応力腐食割れ(SCC:Stress Corrosion Cracking)という欠陥を対象としている。本実施例では、入力画像1301の中から周囲に比べて明度や色等が異なっている箇所を画像処理で識別し欠陥候補1302とする。この欠陥候補を中心とした近傍を注目領域1303に自動設定しても良い。この注目領域1303について、図6A乃至Cで説明したのと同様に明度の頻度分布を調べて、その分布が最小から最大の範囲の一部に偏っている場合に、最小から最大の範囲に分布を線形に拡張する。このコントラスト補正関数を適用すると、出力画像の明度の頻度分布は最小から最大の範囲に拡張される。これにより、注目領域1302の視認性が向上する。更に、図6A乃至Cで説明したのと同様に、周囲との境界で明るさが不連続となるため、補正関数から合成した合成関数を適用しても良い。これにより、周囲との境界で明るさが不連続となることなくコントラスト補正を行うことが可能となる。
【0051】
図10Aは、目視検査の別のシーケンスである。目視検査の別のシーケンスには、実際に検査を行う検査手順101の前後に、検査前確認手順1001、検査後確認手順1002が含まれる。また、図1の例と同様に検査前に調整を行う調整手順112が含まれていても良い。検査手順101及び検査前に調整を行う調整手順112は図1を用いて説明したものと同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0052】
検査前確認手順1001、検査後確認手順1002は、カメラが損傷する可能性を考慮して、カメラ映像の視認性を確認するための手順である。検査前後の視認性に問題無いことを確認することで、検査の信頼性を保障することができる。
【0053】
検査前確認手順1001は、検査手順101と同様に、図10Bに示すような手順、即ち、カメラ撮像ステップS1012、注目領域設定ステップS1013、コントラスト補正ステップS1014、画面表示ステップS1015を含んで構成される。カメラの映像は動画であるため、上記のステップは原則としてフレーム毎に繰り返し実行される。
【0054】
このうちカメラ撮像ステップS1012では、検査対象物205を模擬した模擬検査対象物を撮像した映像1003を取得する。また、画面表示ステップS1015で模擬検査対象物をユーザが視認できれば検査手順S101に進む。視認できなかった場合は、前述の調整手順112を行う。調整手順112が済んだら、検査手順101に進む。
【0055】
検査後確認手順1002は、検査前確認手順1001と同様に、カメラ撮像ステップS1022、注目領域設定ステップS1023、コントラスト補正ステップS1024、画面表示ステップS1025を含んで構成される。カメラの映像は動画であるため、上記のステップは原則としてフレーム毎に繰り返し実行される。
【0056】
このうちカメラ撮像ステップS1022では、検査前確認手順1001と同様に、通常、細いワイヤを模擬検査対象物とし、模擬検査対象物を撮像した映像1004を取得する。画面表示ステップS1025で模擬検査対象物をユーザが視認できれば検査の信頼性が保障される。
【0057】
コントラスト補正ステップS1024では、調整手順112で予め調整した状態を変えずに、検査前確認手順1001、検査手順101、検査後確認手順1002を実行するため、カメラの損傷が無い限り検査の信頼性が保障される。
【0058】
図8A乃至Eに目視検査を行うためのGUIの例を示す。図8Aのように、検査手順101では、通常、GUI204上にカメラ画像801を表示する。また、GUI204上にダイアログA802を表示しても良い。ダイアログA802には、図8Cに示すように処理ON/OFFを指定するボタン119を表示しても良い。またダイアログA802には、表示画像の切り替えボタン803を表示しても良い。切り替えボタン803を撮像画像にするとGUI204上のカメラ画像801は撮像画像に切り替わり、切り替えボタン803を処理結果にするとカメラ画像801は処理結果画像に切り替わり、切り替えボタン803を2画面にすると図8BのようにGUI204上に撮像画像804と処理結果画像805とが同時に表示される。更にダイアログA802にはGUI204上で確認したカメラ画像801と処理結果画像とにラベルを付けて保存するためのボタン8031を表示する。GUI204上にカメラ画像801と処理結果画像との何れか又は両方が表示されている状態でボタン8031をクリックすることにより、GUI204上に表示されている画像に適当なラベル(例えば撮像日時、撮像箇所のコード等)が付けられて保存手段203に記憶される。
【0059】
調整手順112ではGUI204上にダイアログB806を表示しても良い。ダイアログB806には、図8Dのように補正量の調整ゲージ120を表示しても良い。調整ゲージ120は前述の条件調整ステップS117でコントラスト補正処理の強さを入力するために使用する。ダイアログB806には、補正調整の下限値の調整ゲージ807、補正調整の上限値の調整ゲージ808を表示しても良い。両者は、図4A及びBで説明した補正調整の下限値404と補正調整の上限値405を調整することに使用する。これにより、視認性を向上させる明るさの範囲を適切に調整できる。ダイアログB806には、分割領域のサイズの調整ゲージ809を表示しても良い。サイズの調整ゲージ809は図5Aで説明した分割領域のサイズの設定に使用する。
【0060】
また、GUI204上には、図8Eに示すようなダイアログC810を表示して、検査/調整選択領域8101で検査手順101又は調整手順112に対応する検査または調整の何れかを選択する。また、GUI204上に表示されている撮像画像または処理結果に欠陥が有る場合には、ダイアログC810に欠陥有りの表示8102がされる。更に、GUI204上には、撮像箇所と撮像日時を表示するダイアログC811を表示する。
【0061】
次に、暗い領域を注目領域に自動設定するコントラスト補正の別の例を示す。図4Aで説明したコントラスト補正関数409は出力明度について連続性があった。しかしながら、注目領域に最適化した画像処理条件にするために、出力明度について連続性が無いコントラスト補正関数を用いても良い。例えば、図12Aのように入力明度が補正調整の下限値404以下の領域では、拡張関数403をそのまま適用する。入力明度が補正調整の下限値404以上の場合は、コントラスト補正をしない傾き1の関数406を適用する。このようなコントラスト補正関数1201を適用すると、入力明度が補正調整の下限値404と一致する点で出力明度は不連続となり、例えば、図12Bの出力画像1202のように、非常に暗かった領域1203が周囲の領域1204よりも明るくなり明度が一部逆転した画像となる。一方、分割領域の明度分布の大小にかかわらず一律に、暗い側の分布がより大きく拡張した分布となり、図4A又はBに示した非常に暗い範囲407の視認性が向上する。
【0062】
また、暗い領域を注目領域に自動設定するコントラスト補正の別の例を示す。図5A及びBの説明で暗い領域と明るい領域とが混在する分割領域501に対しては補正関数409を適用し、明るい領域の視認性を損なわずにコントラスト補正をした。しかしながら、注目領域に最適化した画像処理条件にするために、分割領域501に対して補正関数419を適用しても良い。これにより、明るい領域の視認性は悪化し、例えば、図12Cの出力画像1205のように周囲の領域1204の一部分1206で明度が飽和した画像となる。一方、分割領域の明度分布の大小にかかわらず一律に、暗い側の分布がより大きく拡張した分布となり、図4A又はBに示した非常に暗い範囲407の視認性が向上する。
【0063】
また、明るい領域を注目領域に自動設定する場合、画像の中心近傍を注目領域に自動設定する場合、注目領域をユーザが指定する場合、欠陥候補近傍を注目領域に自動設定する場合においても、上記と同様に注目領域に最適化した画像処理条件にするコントラスト補正を適用しても良い。
【0064】
上記に説明した実施例は本発明の一実施の形態を説明するものであって、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、上記実施例で説明した構成の一部をそれと等価な機能を有する手段で置き換えたものも、または、実質的でない機能の一部を省略したものも本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
106・・・映像 107・・・暗いまたは明るい領域 108・・・中心近傍 109・・・マウスカーソル 110・・・任意箇所 111・・・補正した画像 119・・・ボタン 120・・・調整ゲージ 201・・・カメラ
202・・・画像処理手段 203・・・保存手段 204・・・GUI
205・・・検査対象物 206・・・照明 207・・・ケーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線の影響が大きい検査対象物の内部をカメラで撮像して該検査対象物の内部の画像を得、
該撮像して得た画像を前記検査対象物から離れた放射線の影響の少ない場所で受信し、
該受信した画像の中から前記検査対象物の内部の注目領域を設定し、
該設定した注目領域の画像のコントラストを補正し、
該コントラストを補正した画像を画面上に表示し、
該画面上に表示されたコントラストが補正された画像を記憶手段に記憶する
ことを特徴とする検査方法。
【請求項2】
前記注目領域を設定するステップにおいて、前記受信した画像を複数の領域に分割して各分割した領域において予め設定した基準明度よりも暗い領域又は明るい領域、又は、前記受信した画像を画面上に表示して該表示された画像上で指定された領域、又は、前記受信した画像を画面上に表示して該表示された画像の中心と該中心の近傍の領域の何れかを注目領域として設定することを特徴とする請求項1記載の検査方法。
【請求項3】
前記注目領域の画像のコントラストを補正することを、該注目領域の画像の各画素の明度に応じて補正することを特徴とする請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項4】
前記注目領域の画像のコントラストを補正することを、該注目領域の画像の各画素のうち予め設定した基準明度よりも暗い画素をより明るくするように重みをかけた補正、または前記注目領域の画像の各画素のうち予め設定した基準明度よりも明るい画素をより暗くするように重みをかけた補正を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項5】
前記画面上に表示された画像のコントラストを該画面上で再度補正し、該コントラストを再度補正した画像を前記記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の検査方法。
【請求項6】
前記画面上に表示したコントラストが補正された画像のうち欠陥が検出された画像にラベルを付して記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の検査方法。
【請求項7】
前記放射線の影響が大きい検査対象物が原子炉であり、該原子炉の内部の放射線が多い環境の下で前記カメラを用いて前記原子炉の内部を撮像することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の検査方法。
【請求項8】
前記カメラで撮像するときに、該カメラで撮像する前記検査対象物の内部を照明することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の検査方法。
【請求項9】
放射線の影響が大きい検査対象物の内部を撮像して該検査対象物の内部の画像を取得する撮像手段と、
該撮像手段で撮像して取得した画像を前記検査対象物から離れた放射線の影響の少ない場所で受信して該受信した画像を処理する画像処理手段と、
該画像処理手段で処理した画像を表示する画面を有する出力手段と、
該出力手段の画面に表示された画像を記憶する画像記憶手段と
を備え、前記画像処理手段は、前記受信した画像の中から前記検査対象物の内部の注目領域を設定する注目領域設定部と、該注目領域設定部で設定した注目領域の画像のコントラストを補正する画像コントラスト補正部とを有し、前記出力手段は、前記画像コントラスト補正部でコントラストを補正した画像を前記画面上に表示することを特徴とする検査装置。
【請求項10】
前記注目領域設定部は、前記受信した画像を複数の領域に分割して各分割した領域において予め設定した基準明度よりも暗い領域又は明るい領域、又は、前記受信した画像を画面上に表示して該表示された画像上で指定された領域、又は、前記受信した画像を画面上に表示して該表示された画像の中心と該中心の近傍の領域の何れかを注目領域として設定することを特徴とする請求項9記載の検査装置。
【請求項11】
前記注目領域設定部は、前記注目領域の画像のコントラストを補正することを、該注目領域の画像の各画素の明度に応じて補正することを特徴とする請求項9又は10に記載の検査装置。
【請求項12】
前記画像コントラスト補正部は、前記注目領域の画像のコントラストを補正することを、該注目領域の画像の各画素のうち予め設定した基準明度よりも暗い画素をより明るくするように重みをかけた補正、または前記注目領域の画像の各画素のうち予め設定した基準明度よりも明るい画素をより暗くするように重みをかけた補正を行うことを特徴とする請求項9又は10に記載の検査装置。
【請求項13】
前記出力手段は、前記コントラストを補正した画像を表示した画面上で該画像のコントラストを再度補正した画像を前記記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項9乃至12の何れかに記載の検査装置。
【請求項14】
前記画面上に表示したコントラストが補正された画像のうち欠陥が検出された画像にラベルを付して記憶手段に記憶することを特徴とする請求項9乃至13の何れかに記載の検査装置。
【請求項15】
前記放射線の影響が大きい検査対象物が原子炉であり、該原子炉の内部の放射線が多い環境の下で前記撮像手段で前記原子炉の内部を撮像することを特徴とする請求項9乃至14の何れかに記載の検査装置。
【請求項16】
前記検査対象物の内部を照明する照明手段を更に備え、該照明手段で照明された前記検査対象物の内部を前記撮像手段で撮像することを特徴とする請求項9乃至15の何れかに記載の検査方法。
【請求項1】
放射線の影響が大きい検査対象物の内部をカメラで撮像して該検査対象物の内部の画像を得、
該撮像して得た画像を前記検査対象物から離れた放射線の影響の少ない場所で受信し、
該受信した画像の中から前記検査対象物の内部の注目領域を設定し、
該設定した注目領域の画像のコントラストを補正し、
該コントラストを補正した画像を画面上に表示し、
該画面上に表示されたコントラストが補正された画像を記憶手段に記憶する
ことを特徴とする検査方法。
【請求項2】
前記注目領域を設定するステップにおいて、前記受信した画像を複数の領域に分割して各分割した領域において予め設定した基準明度よりも暗い領域又は明るい領域、又は、前記受信した画像を画面上に表示して該表示された画像上で指定された領域、又は、前記受信した画像を画面上に表示して該表示された画像の中心と該中心の近傍の領域の何れかを注目領域として設定することを特徴とする請求項1記載の検査方法。
【請求項3】
前記注目領域の画像のコントラストを補正することを、該注目領域の画像の各画素の明度に応じて補正することを特徴とする請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項4】
前記注目領域の画像のコントラストを補正することを、該注目領域の画像の各画素のうち予め設定した基準明度よりも暗い画素をより明るくするように重みをかけた補正、または前記注目領域の画像の各画素のうち予め設定した基準明度よりも明るい画素をより暗くするように重みをかけた補正を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項5】
前記画面上に表示された画像のコントラストを該画面上で再度補正し、該コントラストを再度補正した画像を前記記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の検査方法。
【請求項6】
前記画面上に表示したコントラストが補正された画像のうち欠陥が検出された画像にラベルを付して記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の検査方法。
【請求項7】
前記放射線の影響が大きい検査対象物が原子炉であり、該原子炉の内部の放射線が多い環境の下で前記カメラを用いて前記原子炉の内部を撮像することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の検査方法。
【請求項8】
前記カメラで撮像するときに、該カメラで撮像する前記検査対象物の内部を照明することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の検査方法。
【請求項9】
放射線の影響が大きい検査対象物の内部を撮像して該検査対象物の内部の画像を取得する撮像手段と、
該撮像手段で撮像して取得した画像を前記検査対象物から離れた放射線の影響の少ない場所で受信して該受信した画像を処理する画像処理手段と、
該画像処理手段で処理した画像を表示する画面を有する出力手段と、
該出力手段の画面に表示された画像を記憶する画像記憶手段と
を備え、前記画像処理手段は、前記受信した画像の中から前記検査対象物の内部の注目領域を設定する注目領域設定部と、該注目領域設定部で設定した注目領域の画像のコントラストを補正する画像コントラスト補正部とを有し、前記出力手段は、前記画像コントラスト補正部でコントラストを補正した画像を前記画面上に表示することを特徴とする検査装置。
【請求項10】
前記注目領域設定部は、前記受信した画像を複数の領域に分割して各分割した領域において予め設定した基準明度よりも暗い領域又は明るい領域、又は、前記受信した画像を画面上に表示して該表示された画像上で指定された領域、又は、前記受信した画像を画面上に表示して該表示された画像の中心と該中心の近傍の領域の何れかを注目領域として設定することを特徴とする請求項9記載の検査装置。
【請求項11】
前記注目領域設定部は、前記注目領域の画像のコントラストを補正することを、該注目領域の画像の各画素の明度に応じて補正することを特徴とする請求項9又は10に記載の検査装置。
【請求項12】
前記画像コントラスト補正部は、前記注目領域の画像のコントラストを補正することを、該注目領域の画像の各画素のうち予め設定した基準明度よりも暗い画素をより明るくするように重みをかけた補正、または前記注目領域の画像の各画素のうち予め設定した基準明度よりも明るい画素をより暗くするように重みをかけた補正を行うことを特徴とする請求項9又は10に記載の検査装置。
【請求項13】
前記出力手段は、前記コントラストを補正した画像を表示した画面上で該画像のコントラストを再度補正した画像を前記記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項9乃至12の何れかに記載の検査装置。
【請求項14】
前記画面上に表示したコントラストが補正された画像のうち欠陥が検出された画像にラベルを付して記憶手段に記憶することを特徴とする請求項9乃至13の何れかに記載の検査装置。
【請求項15】
前記放射線の影響が大きい検査対象物が原子炉であり、該原子炉の内部の放射線が多い環境の下で前記撮像手段で前記原子炉の内部を撮像することを特徴とする請求項9乃至14の何れかに記載の検査装置。
【請求項16】
前記検査対象物の内部を照明する照明手段を更に備え、該照明手段で照明された前記検査対象物の内部を前記撮像手段で撮像することを特徴とする請求項9乃至15の何れかに記載の検査方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【公開番号】特開2012−154893(P2012−154893A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16614(P2011−16614)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【Fターム(参考)】
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