検査治具
【課題】簡易な構成で反応容器の開口部の内径が所定範囲内であるか否かを容易に判定することができる検査治具を提供する。
【解決手段】少なくとも開口部10aが弾性部材で形成された反応容器10を着脱自在に保持する保持部2と、開口部10aに嵌合し、開口部10aの内径が所定範囲内である場合に嵌合状態を維持する突起部3を有し、突起部3を支持する支持部4と、保持部2上に設けられ、突起部3先端を開口部10aに向けて支持部4を案内し、突起部3を開口部10aに一定の力で挿入させる案内部5と、を備え、反応容器10が突起部3と嵌合状態を維持した場合に反応容器10は良品であると判定する。
【解決手段】少なくとも開口部10aが弾性部材で形成された反応容器10を着脱自在に保持する保持部2と、開口部10aに嵌合し、開口部10aの内径が所定範囲内である場合に嵌合状態を維持する突起部3を有し、突起部3を支持する支持部4と、保持部2上に設けられ、突起部3先端を開口部10aに向けて支持部4を案内し、突起部3を開口部10aに一定の力で挿入させる案内部5と、を備え、反応容器10が突起部3と嵌合状態を維持した場合に反応容器10は良品であると判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体と試薬とを収容して反応させる反応容器の開口部の内径を判定する検査治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、血液や体液などの検体と試薬とを反応させた反応液を測定して免疫項目を分析する自動分析装置が知られている。この自動分析装置は、検体のキャーリーオーバーや洗浄不良による測定結果の変動を防止するため、ディスポーザブル型の反応容器を使用している(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−83992号公報
【特許文献2】特開平4−203916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の自動分析装置は、反応容器の開口部に移送ユニットが備えるロッド部を嵌合させ、反応容器がロッド部と嵌合した状態で移送される。このため、ロッド部に嵌合する反応容器の開口部の内径が所定範囲内である必要がある。
【0005】
しかしながら、反応容器の開口部の内径が所定範囲内であるか否かを判定する場合、工業顕微鏡などを用いて内径の寸法を計測する必要があり、操作者に過大な作業負担を与えるという問題点があった(特許文献2参照)。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で反応容器の開口部の内径が所定範囲内であるか否かを容易に判定することができる検査治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる検査治具は、少なくとも開口部が弾性部材で形成された反応容器を着脱自在に保持する保持部と、前記開口部に嵌合し、前記開口部の内径が所定範囲内である場合に嵌合状態を維持する突起部を有し、該突起部を支持する支持部と、前記保持部上に設けられ、前記突起部先端を前記開口部に向けて前記支持部を案内し、前記突起部を前記開口部に一定の力で挿入させる案内部と、
を備え、前記反応容器が前記突起部と嵌合状態を維持した場合に該反応容器は良品であると判定することを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる検査治具は、上記の発明において、前記案内部は、前記突起部の軸中心が前記開口部の軸中心に一致するように案内することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる検査治具は、上記の発明において、前記案内部は、筒状に形成され、前記支持部は、前記案内部内に挿入されることによって前記開口部に案内されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる検査治具は、上記の発明において、前記保持部側に向けて前記支持部を付勢する弾性体を備え、前記突起部は、前記支持部が前記弾性体により前記保持部に向けて付勢された状態で前記開口部に嵌合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる検査治具は、少なくとも開口部が弾性部材で形成された反応容器の開口部に嵌合し、この開口部の内径が所定範囲内である場合に嵌合状態を維持する突起部を設け、案内部が突起部を反応容器の開口部に一定の力で挿入させ、反応容器が突起部と嵌合状態を維持した場合に反応容器が良品と判定することにより、簡易な構成で反応容器の開口部の内径が所定範囲内であるか否かを容易に判定することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、この発明にかかる検査治具の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によって発明は限定されるものではない。また、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1における検査治具の概略構成を示す斜視図である。また、図2は、図1のA−A線断面図である。この実施の形態1にかかる検査治具1は、血液や体液などの検体を分析する自動分析装置に用いる反応容器の開口部の内径が所定範囲内であるか否かを検査する場合に使用されるものである。
【0014】
検査治具1は、図1および図2に示すように、反応容器10を保持する保持部2と、反応容器10の開口部10aに嵌合する突起部3を支持する支持部4と、突起部3の先端を反応容器10の開口部10aに向けて支持部4を案内する案内部5とを備える。
【0015】
保持部2は、板状の部材をなし、中央に反応容器10を保持する孔部2aを有する。孔部2aは、円柱状をなし、反応容器10を着脱自在に保持する。保持部2の四隅には、脚6がそれぞれ設けられ、保持部2を支持する。4本の脚6は、底板7に支持されている。
【0016】
支持部4は、板状の部材をなし、両端にそれぞれ案内部5が挿通される孔部4aを有し、中央下部で突起部3を支持する。突起部3は、先端が半球状をなし、反応容器10の開口部10aに嵌合する。突起部3は、図2に示すように、断面の内径W1が反応容器10の開口部10aの内径W2より大きく形成される。突起部3は、反応容器10の開口部10aの内径W2が所定範囲内である場合に開口部10aと嵌合状態を維持する。
【0017】
案内部5は、円柱状をなし、摩擦係数が低い素材、たとえば、ポリアセタールによって実現される。案内部5は、保持部2の孔部2aの両側に設けられる。案内部5は、突起部3の先端を保持部2が保持する反応容器10の開口部10aに向け、突起部3の軸中心が反応容器10の開口部10aの軸中心に一致するように支持部4を案内する。ここで、一定の力とは、支持部4を所定位置から落下させた場合に突起部3および支持部4を含む自重によって反応容器10の開口部10aの内径W2が広がるように変形し、突起部3が反応容器10の開口部10aに嵌合する力をいう。また、所定位置は、規格内で製造された良品の反応容器10の開口部10aに突起部3が嵌合する高さをもとに予め設定される。
【0018】
つぎに、反応容器10について説明する。図3は、反応容器を示す斜視図である。反応容器10は、図3に示すように、容量が数mL〜数十mL程度の微少な容器であり、上部に開口部10aを有する。反応容器10は、少なくとも開口部10aが弾性部材、たとえば、環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂によって形成される。
【0019】
ここで、図4を参照して、上述した検査治具1の動作について説明する。図4は、検査治具1の動作を示す断面図である。検査治具1は、図4に示すように、保持部2の孔部2aに反応容器10を保持させ、支持部4を案内部5の所定位置で待機させる(図4(a))。
【0020】
その後、検査治具1は、支持部4を案内部5の所定位置から落下させ、突起部3を反応容器10の開口部10aに嵌合させる(図4(b))。このとき、案内部5は、突起部3の軸中心が開口部10aの軸中心に一致するように支持部4を案内するため、突起部3が反応容器10の開口部10aに一定の力で挿入される。
【0021】
その後、検査治具1は、反応容器10が良品の場合、支持部4を持ち上げると反応容器10が突起部3と嵌合状態を維持し、支持部4とともに反応容器10が保持部2から持ち上がる(図4(c))。これに対して、検査治具1は、反応容器10が不良の場合、支持部4を持ち上げると反応容器10が突起部3との嵌合が外れ、反応容器10が保持部2に残る(図4(d))。
【0022】
この実施の形態1では、反応容器10の開口部10aに嵌合し、反応容器10の開口部10aの内径が所定範囲内である場合に嵌合状態を維持する突起部3を設け、案内部5が突起部3を反応容器10の開口部10aに一定の力で挿入し、反応容器10が突起部3と嵌合状態を維持した場合に反応容器10が良品であると判定することにより、簡易な構成で反応容器10の開口部10aの内径が所定範囲内であるか否かを容易に判定することができる。また、検査治具1は、簡易な構成のため、操作者による携帯が容易である。
【0023】
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、突起部を支持する支持部を案内部の所定位置から落下させ、反応容器の開口部に突起部を嵌合させていたが、この実施の形態2では、保持部側に向けて支持部を付勢する弾性体によって突起部を反応容器の開口部に嵌合させるようにしている。
【0024】
図5は、この実施の形態2にかかる検査治具20の概略構成を示す斜視図である。図6は、図5のB−B線断面図である。検査治具20は、図5および図6に示すように、保持部2側に向けて支持部4を付勢する弾性体21を備える。弾性体21は、引っ張りバネによって実現され、保持部2に設けた接続部22と支持部4に設けた接続部23との間に架設される。
【0025】
以上のように構成される検査治具20は、図6に示すように、支持部4を弾性体21のバネ力に抗して保持部2から引き離し、反応容器10を保持部2に保持させる。その後、検査治具20は、保持部2から引き離した支持部4を解放し、支持部4が弾性体21のバネ力によって保持部2側へ付勢され、図7に示すように、突起部3が開口部10aに一定の力で挿入される。ここで、弾性体21の弾性係数は、たとえば、規格内で製造された良品の反応容器10の開口部10aに突起部3が嵌合する力をもとに予め設定される。なお、弾性体21は、必ずしも引っ張りバネである必要はなく、たとえば、伸縮するゴムであってもよい。
【0026】
この実施の形態2では、突起部3は、支持部4が弾性体21により保持部2側に向けて付勢された状態で反応容器10の開口部10aに嵌合する。したがって、突起部3は、弾性体21によって反応容器10の開口部10aに一定の力で嵌合することができるため、支持部4の移動を案内する案内部5の長さを短くすることができ、検査治具20が小型化され、携帯性を向上させることができる。さらに、実施の形態1と同様に、簡易な構成で反応容器10の開口部10aの内径が所定範囲内であるか否かを容易に判定することができる。また、弾性体21を用いて突起部3を反応容器10の開口部10aに嵌合させているため、検査治具20を配置する方向を横向きにすることができ、様々な設置状態に対応することができる。
【0027】
(実施の形態3)
つぎに、この発明の実施の形態3について説明する。この実施の形態3では、案内部は、筒状に形成され、この案内部内に支持部が挿入されることによって反応容器の開口部に突起部を案内するようにしている。
【0028】
図8は、この実施の形態3にかかる検査治具30の概略構成を示す斜視図である。図9は、図8のC−C線断面図である。図8および図9に示すように、案内部31は、筒状に形成され、保持部2上に設けられる。支持部32は、円柱状に形成され、中央下部で突起部3を支持する。また、支持部32の上部には、ロッド部33が設けられている。支持部32は、案内部31内に挿入されることによって反応容器10の開口部10aに案内され、突起部3が反応容器10の開口部10aに一定の力で挿入される。
【0029】
この実施の形態3では、案内部31を筒状に形成し、支持部32を案内部31内に挿入することによって、突起部3を反応容器10の開口部10aに一定の力で確実に挿入することができる。したがって、保持部2上に案内部31を1箇所のみ設けることによって、検査治具30が小型化され、携帯性を向上させることができる。さらに、実施の形態1と同様に、簡易な構成で反応容器10の開口部10aの内径が所定範囲内であるか否かを容易に判定することができる。
【0030】
なお、上述した実施の形態1〜3においては、突起部3の先端部の形状を変更することも可能である。図10は、上述した実施の形態1〜3の第1変形例にかかる突起部の変形例を示す斜視図である。同図に示す突起部41は、テーパー状の嵌合部41aが形成される。嵌合部41aは、上述した実施の形態1〜3のように、反応容器10の開口部10aに嵌合する。
【0031】
図11は、上述した実施の形態1〜3の第2変形例にかかる突起部の変形例を示す斜視図である。同図に示す突起部42は、立方体の嵌合部42aが形成される。嵌合部42aは、上述した実施の形態1〜3のように、反応容器10の開口部10aに嵌合する。
【0032】
図12は、上述した実施の形態1〜3の第3変形例にかかる突起部の変形例を示す斜視図である。同図に示す突起部43は、三角柱の嵌合部43aが形成される。嵌合部43aは、上述した実施の形態1〜3のように、反応容器10の開口部10aに嵌合する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施の形態1にかかる検査治具の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示すA−A線断面図である。
【図3】反応容器を示す斜視図である。
【図4】検査治具の動作を示す断面図である。
【図5】実施の形態2にかかる検査治具の概略構成を示す斜視図である。
【図6】図5に示すB−B線断面図である。
【図7】図5に示した弾性体が圧縮した状態を説明する図である。
【図8】実施の形態3にかかる検査治具の概略構成を示す斜視図である。
【図9】図8に示すC−C線断面図である。
【図10】この実施の形態1〜3にかかる突起部の第1変形例を示す斜視図である。
【図11】この実施の形態1〜3にかかる突起部の第2変形例を示す斜視図である。
【図12】この実施の形態1〜3にかかる突起部の第3変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
1,20,30 検査治具
2 保持部
2a,8 孔部
3,41,42,43 突起部
41a,42a,43a 嵌合部
4,32 支持部
5,31 案内部
6 脚
7 底板
10 反応容器
10a 開口部
21 弾性体
22,23 接続部
33 ロッド部
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体と試薬とを収容して反応させる反応容器の開口部の内径を判定する検査治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、血液や体液などの検体と試薬とを反応させた反応液を測定して免疫項目を分析する自動分析装置が知られている。この自動分析装置は、検体のキャーリーオーバーや洗浄不良による測定結果の変動を防止するため、ディスポーザブル型の反応容器を使用している(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−83992号公報
【特許文献2】特開平4−203916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の自動分析装置は、反応容器の開口部に移送ユニットが備えるロッド部を嵌合させ、反応容器がロッド部と嵌合した状態で移送される。このため、ロッド部に嵌合する反応容器の開口部の内径が所定範囲内である必要がある。
【0005】
しかしながら、反応容器の開口部の内径が所定範囲内であるか否かを判定する場合、工業顕微鏡などを用いて内径の寸法を計測する必要があり、操作者に過大な作業負担を与えるという問題点があった(特許文献2参照)。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で反応容器の開口部の内径が所定範囲内であるか否かを容易に判定することができる検査治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる検査治具は、少なくとも開口部が弾性部材で形成された反応容器を着脱自在に保持する保持部と、前記開口部に嵌合し、前記開口部の内径が所定範囲内である場合に嵌合状態を維持する突起部を有し、該突起部を支持する支持部と、前記保持部上に設けられ、前記突起部先端を前記開口部に向けて前記支持部を案内し、前記突起部を前記開口部に一定の力で挿入させる案内部と、
を備え、前記反応容器が前記突起部と嵌合状態を維持した場合に該反応容器は良品であると判定することを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる検査治具は、上記の発明において、前記案内部は、前記突起部の軸中心が前記開口部の軸中心に一致するように案内することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる検査治具は、上記の発明において、前記案内部は、筒状に形成され、前記支持部は、前記案内部内に挿入されることによって前記開口部に案内されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる検査治具は、上記の発明において、前記保持部側に向けて前記支持部を付勢する弾性体を備え、前記突起部は、前記支持部が前記弾性体により前記保持部に向けて付勢された状態で前記開口部に嵌合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる検査治具は、少なくとも開口部が弾性部材で形成された反応容器の開口部に嵌合し、この開口部の内径が所定範囲内である場合に嵌合状態を維持する突起部を設け、案内部が突起部を反応容器の開口部に一定の力で挿入させ、反応容器が突起部と嵌合状態を維持した場合に反応容器が良品と判定することにより、簡易な構成で反応容器の開口部の内径が所定範囲内であるか否かを容易に判定することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、この発明にかかる検査治具の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によって発明は限定されるものではない。また、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1における検査治具の概略構成を示す斜視図である。また、図2は、図1のA−A線断面図である。この実施の形態1にかかる検査治具1は、血液や体液などの検体を分析する自動分析装置に用いる反応容器の開口部の内径が所定範囲内であるか否かを検査する場合に使用されるものである。
【0014】
検査治具1は、図1および図2に示すように、反応容器10を保持する保持部2と、反応容器10の開口部10aに嵌合する突起部3を支持する支持部4と、突起部3の先端を反応容器10の開口部10aに向けて支持部4を案内する案内部5とを備える。
【0015】
保持部2は、板状の部材をなし、中央に反応容器10を保持する孔部2aを有する。孔部2aは、円柱状をなし、反応容器10を着脱自在に保持する。保持部2の四隅には、脚6がそれぞれ設けられ、保持部2を支持する。4本の脚6は、底板7に支持されている。
【0016】
支持部4は、板状の部材をなし、両端にそれぞれ案内部5が挿通される孔部4aを有し、中央下部で突起部3を支持する。突起部3は、先端が半球状をなし、反応容器10の開口部10aに嵌合する。突起部3は、図2に示すように、断面の内径W1が反応容器10の開口部10aの内径W2より大きく形成される。突起部3は、反応容器10の開口部10aの内径W2が所定範囲内である場合に開口部10aと嵌合状態を維持する。
【0017】
案内部5は、円柱状をなし、摩擦係数が低い素材、たとえば、ポリアセタールによって実現される。案内部5は、保持部2の孔部2aの両側に設けられる。案内部5は、突起部3の先端を保持部2が保持する反応容器10の開口部10aに向け、突起部3の軸中心が反応容器10の開口部10aの軸中心に一致するように支持部4を案内する。ここで、一定の力とは、支持部4を所定位置から落下させた場合に突起部3および支持部4を含む自重によって反応容器10の開口部10aの内径W2が広がるように変形し、突起部3が反応容器10の開口部10aに嵌合する力をいう。また、所定位置は、規格内で製造された良品の反応容器10の開口部10aに突起部3が嵌合する高さをもとに予め設定される。
【0018】
つぎに、反応容器10について説明する。図3は、反応容器を示す斜視図である。反応容器10は、図3に示すように、容量が数mL〜数十mL程度の微少な容器であり、上部に開口部10aを有する。反応容器10は、少なくとも開口部10aが弾性部材、たとえば、環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂によって形成される。
【0019】
ここで、図4を参照して、上述した検査治具1の動作について説明する。図4は、検査治具1の動作を示す断面図である。検査治具1は、図4に示すように、保持部2の孔部2aに反応容器10を保持させ、支持部4を案内部5の所定位置で待機させる(図4(a))。
【0020】
その後、検査治具1は、支持部4を案内部5の所定位置から落下させ、突起部3を反応容器10の開口部10aに嵌合させる(図4(b))。このとき、案内部5は、突起部3の軸中心が開口部10aの軸中心に一致するように支持部4を案内するため、突起部3が反応容器10の開口部10aに一定の力で挿入される。
【0021】
その後、検査治具1は、反応容器10が良品の場合、支持部4を持ち上げると反応容器10が突起部3と嵌合状態を維持し、支持部4とともに反応容器10が保持部2から持ち上がる(図4(c))。これに対して、検査治具1は、反応容器10が不良の場合、支持部4を持ち上げると反応容器10が突起部3との嵌合が外れ、反応容器10が保持部2に残る(図4(d))。
【0022】
この実施の形態1では、反応容器10の開口部10aに嵌合し、反応容器10の開口部10aの内径が所定範囲内である場合に嵌合状態を維持する突起部3を設け、案内部5が突起部3を反応容器10の開口部10aに一定の力で挿入し、反応容器10が突起部3と嵌合状態を維持した場合に反応容器10が良品であると判定することにより、簡易な構成で反応容器10の開口部10aの内径が所定範囲内であるか否かを容易に判定することができる。また、検査治具1は、簡易な構成のため、操作者による携帯が容易である。
【0023】
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、突起部を支持する支持部を案内部の所定位置から落下させ、反応容器の開口部に突起部を嵌合させていたが、この実施の形態2では、保持部側に向けて支持部を付勢する弾性体によって突起部を反応容器の開口部に嵌合させるようにしている。
【0024】
図5は、この実施の形態2にかかる検査治具20の概略構成を示す斜視図である。図6は、図5のB−B線断面図である。検査治具20は、図5および図6に示すように、保持部2側に向けて支持部4を付勢する弾性体21を備える。弾性体21は、引っ張りバネによって実現され、保持部2に設けた接続部22と支持部4に設けた接続部23との間に架設される。
【0025】
以上のように構成される検査治具20は、図6に示すように、支持部4を弾性体21のバネ力に抗して保持部2から引き離し、反応容器10を保持部2に保持させる。その後、検査治具20は、保持部2から引き離した支持部4を解放し、支持部4が弾性体21のバネ力によって保持部2側へ付勢され、図7に示すように、突起部3が開口部10aに一定の力で挿入される。ここで、弾性体21の弾性係数は、たとえば、規格内で製造された良品の反応容器10の開口部10aに突起部3が嵌合する力をもとに予め設定される。なお、弾性体21は、必ずしも引っ張りバネである必要はなく、たとえば、伸縮するゴムであってもよい。
【0026】
この実施の形態2では、突起部3は、支持部4が弾性体21により保持部2側に向けて付勢された状態で反応容器10の開口部10aに嵌合する。したがって、突起部3は、弾性体21によって反応容器10の開口部10aに一定の力で嵌合することができるため、支持部4の移動を案内する案内部5の長さを短くすることができ、検査治具20が小型化され、携帯性を向上させることができる。さらに、実施の形態1と同様に、簡易な構成で反応容器10の開口部10aの内径が所定範囲内であるか否かを容易に判定することができる。また、弾性体21を用いて突起部3を反応容器10の開口部10aに嵌合させているため、検査治具20を配置する方向を横向きにすることができ、様々な設置状態に対応することができる。
【0027】
(実施の形態3)
つぎに、この発明の実施の形態3について説明する。この実施の形態3では、案内部は、筒状に形成され、この案内部内に支持部が挿入されることによって反応容器の開口部に突起部を案内するようにしている。
【0028】
図8は、この実施の形態3にかかる検査治具30の概略構成を示す斜視図である。図9は、図8のC−C線断面図である。図8および図9に示すように、案内部31は、筒状に形成され、保持部2上に設けられる。支持部32は、円柱状に形成され、中央下部で突起部3を支持する。また、支持部32の上部には、ロッド部33が設けられている。支持部32は、案内部31内に挿入されることによって反応容器10の開口部10aに案内され、突起部3が反応容器10の開口部10aに一定の力で挿入される。
【0029】
この実施の形態3では、案内部31を筒状に形成し、支持部32を案内部31内に挿入することによって、突起部3を反応容器10の開口部10aに一定の力で確実に挿入することができる。したがって、保持部2上に案内部31を1箇所のみ設けることによって、検査治具30が小型化され、携帯性を向上させることができる。さらに、実施の形態1と同様に、簡易な構成で反応容器10の開口部10aの内径が所定範囲内であるか否かを容易に判定することができる。
【0030】
なお、上述した実施の形態1〜3においては、突起部3の先端部の形状を変更することも可能である。図10は、上述した実施の形態1〜3の第1変形例にかかる突起部の変形例を示す斜視図である。同図に示す突起部41は、テーパー状の嵌合部41aが形成される。嵌合部41aは、上述した実施の形態1〜3のように、反応容器10の開口部10aに嵌合する。
【0031】
図11は、上述した実施の形態1〜3の第2変形例にかかる突起部の変形例を示す斜視図である。同図に示す突起部42は、立方体の嵌合部42aが形成される。嵌合部42aは、上述した実施の形態1〜3のように、反応容器10の開口部10aに嵌合する。
【0032】
図12は、上述した実施の形態1〜3の第3変形例にかかる突起部の変形例を示す斜視図である。同図に示す突起部43は、三角柱の嵌合部43aが形成される。嵌合部43aは、上述した実施の形態1〜3のように、反応容器10の開口部10aに嵌合する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施の形態1にかかる検査治具の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示すA−A線断面図である。
【図3】反応容器を示す斜視図である。
【図4】検査治具の動作を示す断面図である。
【図5】実施の形態2にかかる検査治具の概略構成を示す斜視図である。
【図6】図5に示すB−B線断面図である。
【図7】図5に示した弾性体が圧縮した状態を説明する図である。
【図8】実施の形態3にかかる検査治具の概略構成を示す斜視図である。
【図9】図8に示すC−C線断面図である。
【図10】この実施の形態1〜3にかかる突起部の第1変形例を示す斜視図である。
【図11】この実施の形態1〜3にかかる突起部の第2変形例を示す斜視図である。
【図12】この実施の形態1〜3にかかる突起部の第3変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
1,20,30 検査治具
2 保持部
2a,8 孔部
3,41,42,43 突起部
41a,42a,43a 嵌合部
4,32 支持部
5,31 案内部
6 脚
7 底板
10 反応容器
10a 開口部
21 弾性体
22,23 接続部
33 ロッド部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも開口部が弾性部材で形成された反応容器を着脱自在に保持する保持部と、
前記開口部に嵌合し、前記開口部の内径が所定範囲内である場合に嵌合状態を維持する突起部を有し、該突起部を支持する支持部と、
前記保持部上に設けられ、前記突起部先端を前記開口部に向けて前記支持部を案内し、前記突起部を前記開口部に一定の力で挿入させる案内部と、
を備え、前記反応容器が前記突起部と嵌合状態を維持した場合に該反応容器は良品であると判定することを特徴とする検査治具。
【請求項2】
前記案内部は、前記突起部の軸中心が前記開口部の軸中心に一致するように案内することを特徴とする請求項1に記載の検査治具。
【請求項3】
前記案内部は、筒状に形成され、
前記支持部は、前記案内部内に挿入されることによって前記開口部に案内されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の検査治具。
【請求項4】
前記保持部側に向けて前記支持部を付勢する弾性体を備え、
前記突起部は、前記支持部が前記弾性体により前記保持部に向けて付勢された状態で前記開口部に嵌合することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の検査治具。
【請求項1】
少なくとも開口部が弾性部材で形成された反応容器を着脱自在に保持する保持部と、
前記開口部に嵌合し、前記開口部の内径が所定範囲内である場合に嵌合状態を維持する突起部を有し、該突起部を支持する支持部と、
前記保持部上に設けられ、前記突起部先端を前記開口部に向けて前記支持部を案内し、前記突起部を前記開口部に一定の力で挿入させる案内部と、
を備え、前記反応容器が前記突起部と嵌合状態を維持した場合に該反応容器は良品であると判定することを特徴とする検査治具。
【請求項2】
前記案内部は、前記突起部の軸中心が前記開口部の軸中心に一致するように案内することを特徴とする請求項1に記載の検査治具。
【請求項3】
前記案内部は、筒状に形成され、
前記支持部は、前記案内部内に挿入されることによって前記開口部に案内されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の検査治具。
【請求項4】
前記保持部側に向けて前記支持部を付勢する弾性体を備え、
前記突起部は、前記支持部が前記弾性体により前記保持部に向けて付勢された状態で前記開口部に嵌合することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の検査治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−210345(P2010−210345A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55558(P2009−55558)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(510005889)ベックマン コールター, インコーポレイテッド (174)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(510005889)ベックマン コールター, インコーポレイテッド (174)
【Fターム(参考)】
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