説明

検査用の照明装置およびこれを備えた検査システム

【課題】複数の検査対象部位を有する検査対象物の検査を行う場合でも、各検査対象部位に対してそれぞれ適切に照明して、検査精度を良好に維持しつつ検査時間を短縮する。
【解決手段】互いに異なる色の光を出射する複数の光源装置LG、LB、LRと、各光源装置からの光を変調する空間光変調素子25と、空間光変調素子からの光を基板Sの被検査面Saに投射する投射光学系28と、空間光変調素子を所定の映像信号にしたがって制御することにより、投射光学系からの光の投射パターンを形成する画像表示制御部74とを備え、投影パターンを形成するための映像信号は、被検査面における検査対象部位の位置情報に基づき生成され、これにより、空間光変調素子制御部が、検査対象部位に対応する画像領域を含む投射パターンを形成する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査用の照明装置およびこれを備えた検査システムに関し、特に、複数の検査対象部位を有する基板等の検査対象物の検査に好適な照明装置および検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品が搭載されたプリント基板等の検査に関し、基板の外観をカメラで撮影し、得られた画像から電子部品の固定状態等を判定する方法が普及している。この種の検査では、検査対象部位に対する照明が検査精度(画像処理や目視検査の精度)の良否に影響を及ぼすため、照明の色や照射角度等に関して様々な工夫がなされている。
【0003】
例えば、多色発光型の複数のLEDランプを有する検査用の照明装置において、カメラの光軸を取り囲み、かつ基板上の撮像対象領域に対して所定の角度幅をもつ範囲に各LEDランプを配置し、各LEDランプの点灯状態を制御して照明光の色彩および照射角度を変更することにより、検査の内容に応じた照明パターンを実現するものが存在する(特許文献1参照)。
【0004】
この従来技術によれば、撮像対象領域に対する照射角度の範囲が異なる領域毎に各LEDランプを分類し、それら領域単位で各LEDランプの点灯状態を制御する構成としたため、特に、はんだの鏡面性を利用してはんだの傾斜状態を検査する場合に同じ照明装置を用いて検査に適した照明を実施できるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−47290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載のような従来技術により、表面特性等が互いに異なる複数の検査対象部位を有する基板等の検査対象物を検査する場合には、各検査対象部位を同時に検査することができない(すなわち、検査対象部位毎に適切な照明に切り替えてその都度撮像を行う必要がある)ため、同じ照明装置で繰り返し検査を行うか、或いは複数の照明装置を準備する必要があった。
【0007】
また、互いに形状(2次元形状)が異なる複数の検査対象部位を有する基板等の検査対象物を検査する場合には、各検査対象部位の形状に応じた照明パターンとすることが望ましいが、上記従来技術では、そのような照明パターンを実現することは困難であった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みて案出されたものであり、複数の検査対象部位を有する検査対象物の検査を行う場合でも、各検査対象部位に対してそれぞれ適切に照明して、検査精度を良好に維持しつつ検査時間を短縮することができる検査用の照明装置およびこれを備えた検査システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の検査用の照明装置は、互いに異なる色の光を出射する複数の光源装置と、前記各光源装置からの光を変調する空間光変調素子と、前記空間光変調素子からの光を検査対象物の被検査面に投射する投射光学系と、前記空間光変調素子を所定の映像信号にしたがって制御することにより、前記投射光学系からの光の投射パターンを形成する空間光変調素子制御部とを備え、前記映像信号は、前記被検査面における検査対象部位の位置情報に基づき生成され、前記空間光変調素子制御部は、前記検査対象部位に対応する画像領域を含む投射パターンを形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このように本発明によれば、複数の検査対象部位を有する検査対象物の検査を行う場合でも、検査対象部位の位置情報に基づき生成された映像信号によって検査用の投射パターンを形成することにより、各検査対象部位に対してそれぞれ適切に照明することができる。その結果、検査精度を良好に維持しつつ検査時間を短縮することが可能となるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係る検査用の照明装置3を備えた検査システム1の構成図
【図2】図1中の照明装置3に内蔵される光学エンジンユニット15の要部構成図
【図3】図1中の照明装置3に内蔵される光学エンジンユニット15の要部斜視図
【図4】図2中の緑色レーザ光源装置LGにおける緑色レーザ光の状況を示す模式図
【図5】第1実施形態に係る検査システム1の機能ブロック図
【図6】第1実施形態に係る照明装置3による基板Sの被検査面Saに対する照明パターンの一例を示す図
【図7】図6に示した照明パターンに位置ずれが発生した場合の例を示す図
【図8】図1に示した検査システム1の台形補正機能に関する説明図
【図9】図1に示した検査システム1の検査時における照明方法の動作フロー図
【図10】第2実施形態に係る検査システム1の要部を示す構成図
【図11】第3実施形態に係る検査システム1の要部を示す構成図
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、検査用の照明装置において、互いに異なる色の光を出射する複数の光源装置と、前記各光源装置からの光を変調する空間光変調素子と、前記空間光変調素子からの光を検査対象物の被検査面に投射する投射光学系と、前記空間光変調素子を所定の映像信号にしたがって制御することにより、前記投射光学系からの光の投射パターンを形成する空間光変調素子制御部とを備え、前記映像信号は、前記被検査面における検査対象部位の位置情報に基づき生成され、前記空間光変調素子制御部は、前記検査対象部位に対応する画像領域を含む投射パターンを形成する構成とする。
【0013】
これによると、複数の検査対象部位を有する検査対象物の検査を行う場合でも、検査対象部位の位置情報に基づき生成された映像信号によって検査用の投射パターンを形成することにより、各検査対象部位に対してそれぞれ適切に照明することができる。その結果、検査精度を良好に維持しつつ検査時間を短縮することが可能となる。
【0014】
また、第2の発明は、上記第1の発明に関し、前記検査対象部位に対応する前記画像領域は、前記検査対象部位以外のその他の領域に対応する画像領域とは異なる色を有する構成とする。
【0015】
これによると、検査対象部位の識別性や視認性を向上させるように色が定められた投射パターンを簡易な構成により形成して、検査対象部位の検査精度を高めることができる。
【0016】
また、第3の発明は、上記第1または第2の発明に関し、前記検査対象物は基板であり、前記検査対象部位は前記基板に搭載された電子部品である構成とする。
【0017】
これによると、基板に搭載された電子部品が照明によりハイライトされてその識別性や視認性が向上し、その欠陥や欠落を容易に検出することが可能となる。
【0018】
また、第4の発明は、上記第1から第3の発明のいずれかに関し、前記光源装置には、赤外光または紫外光の少なくとも一方を出射する光源装置が含まれる構成とする。
【0019】
これによると、可視光に加えて赤外光や紫外光を用いて投射パターンを形成することにより、検査対象物における検査対象部位を識別または視認するための構成の自由度が高まる。
【0020】
また、第5の発明は、上記第1から第4の発明のいずれかに関し、前記被検査面における異なる部位の光の反射光照度を検出する複数の照度センサを更に備え、前記照度センサの検出結果に基づき、前記投射パターンの台形歪みを補正する台形歪み補整部を更に備えた構成とする。
【0021】
これによると、検査対象物の被検査面に直交する方向ではなく斜めから光を投射した場合でも、照度ムラを抑えて検査対象部位をより適切に照明することができる。
【0022】
また、第6の発明は、上記第1から第5の発明のいずれかに関し、前記投射光学系からの光は、前記被検査面を横切る帯状の光であり、前記映像信号は、前記被検査面における前記帯状の光の投射位置に応じて変更される構成とする。
【0023】
これによると、投射光学系からの光の投射可能領域が被検査面に比べて小さい場合であっても、被検査面を走査するように投射光学系からの光を投射することにより、各検査対象部位に対して適切な照明を実施することができる。
【0024】
また、第7の発明は、上記第1から第6の発明のいずれかに係る検査用の照明装置を備えた検査システムであって、前記被検査面を撮像する撮像装置と、前記撮像装置による撮像画像の画像処理を行うことにより、前記検査対象部位の位置および当該検査対象部位に対応する前記画像領域の位置をそれぞれ取得する画像処理部と、前記画像処理部によって取得された前記検査対象部位の位置と前記画像領域の位置とが一致するように前記映像信号を生成する照明制御部とを更に備えた構成とする。
【0025】
これによると、検査対象部位に向けて投射された画像領域の位置と、撮像された検査対象部位の位置とのずれを解消するように投射パターンが形成されるため、検査対象部位に対してより適切な照明を実施することができる。
【0026】
また、第8の発明は、上記第1から第6の発明のいずれかに係る検査用の照明装置を備えた検査システムであって、前記被検査面を撮像する撮像装置と、前記撮像装置による撮像画像をオペレータに対して表示するディスプレイ装置と、前記投射パターンを変更するための情報をオペレータが入力するための入力装置とを更に備えた構成とする。
【0027】
これによると、オペレータは、ディスプレイ装置に表示される撮像画像を確認しながら投射パターンを容易に変更することができるため、検査対象部位に対してより適切な照明を実施することができる。
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0029】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る検査用の照明装置3を備えた検査システム1の概略を示す構成図である。検査システム1は、検査対象物である基板(電子回路基板)Sに搭載された電子部品等(導体パターンやはんだ付け部位などを含む)の欠陥、欠落、及び固定状態等を検査するものであり、基板Sの外観を撮像するカメラ(撮像装置)2と、カメラ2の撮像時に基板Sの被検査面(ここでは、部品面側)Saに対して照明を行う照明装置3と、カメラ2および照明装置3に実行させる各種動作を設定すると共に、カメラ2が撮像した画像の画像処理等を行うPC(Personal Computer)4とを主として備える。
【0030】
基板Sの被検査面Saには、検査システム1による検査の対象となる複数の検査対象部位が存在する。ここでは、表面実装されたLSIパッケージ(電子部品)5,6、導電性材料で形成された所定の導体パターン7、及び管理用の情報表示部8を検査対象部位とした例を示すが、基板やこれに搭載される電子部品等の構成はここに示すものに限らず種々の変更が可能である。基板Sは搬送ベルトB上を搬送され、図1に示す検査位置において被検査面Saがカメラ2によって撮像される。
【0031】
カメラ2は、CCD(Charge Coupled Device)等からなるイメージセンサを内蔵する周知の構成を有しており、撮像により生成された動画像データまたは静止画像データをPC4に送出する。カメラ2は、その光軸が被検査面Saに対して略垂直の関係となるように基板Sの上方に配置されているが、被検査面Sa上の立体物を検出するために多少の角度をもたせて配置してもよい。
【0032】
照明装置3は、検査位置にある基板Sに対して上方から照明光10を投射する。これにより、被検査面Saに重なるように照明用の画面Pが形成される。照明光10の光軸は、被検査面Saに垂直な方向に対して傾斜して配置されているが、これに限らずカメラ2の光軸と同様に被検査面Saに対して略垂直に配置してもよい。
【0033】
PC4は、カメラ2および照明装置3とそれぞれケーブルを介して通信可能に接続されており、カメラ2が撮像した画像を表示するLCD(ディスプレイ装置)11と、カメラ2および照明装置3の各種動作の設定をオペレータが入力するための入力装置12とを有している。なお、検査システム1には、PC4に限らず同様の機能を有する任意の情報処理装置を用いることが可能である。
【0034】
図2は、図1中の照明装置3に内蔵される光学エンジンユニット15の要部構成図であり、図3は、光学エンジンユニット15の要部斜視図である。この光学エンジンユニット15は、基板検査時の照明用として所要の画像を投写するものであり、緑色レーザ光を出力する緑色レーザ光源装置LGと、赤色レーザ光を出力する赤色レーザ光源装置LRと、青色レーザ光を出力する青色レーザ光源装置LBと、映像信号に応じて各レーザ光源装置LG、LR、LBからのレーザ光を空間的に変調して像を形成する液晶反射型の空間光変調素子25と、各レーザ光源装置LG、LR、LBからのレーザ光を反射させて空間光変調素子25に照射させるとともに空間光変調素子25から出射された変調レーザ光を透過させる偏光ビームスプリッタ26と、各レーザ光源装置LG、LR、LBから出射されるレーザ光を偏光ビームスプリッタ26に導くリレー光学系27と、偏光ビームスプリッタ26を透過した変調レーザ光を外部(基板Sの被検査面Sa)に投射する投射レンズを含む投射光学系28とを備えている。
【0035】
照明装置3は、いわゆるフィールドシーケンシャル方式(時分割表示方式)でカラー画像を表示するものであり、各レーザ光源装置LG、LR、LBから各色のレーザ光が時分割で順次出力され、各色のレーザ光による画像が残像によってカラー画像として認識される。
【0036】
リレー光学系27は、各レーザ光源装置LG、LR、LBから出射される各色のレーザ光を平行ビームに変換するコリメータレンズ31〜33と、コリメータレンズ31〜33を通過した各色のレーザ光を所要の方向に導く第1および第2のダイクロイックミラー34、35と、ダイクロイックミラー34、35により導かれたレーザ光を拡散させる拡散板36と、拡散板36を通過したレーザ光を収束レーザに変換するフィールドレンズ37とを備えている。
【0037】
投射光学系28の投射口28aから外部に向けてレーザ光が出射される側を前側とすると、青色レーザ光源装置LBから青色レーザ光が後方に向けて出射される。この青色レーザ光の光軸に対して緑色レーザ光の光軸および赤色レーザ光の光軸が互いに直交するように、緑色レーザ光源装置LGおよび赤色レーザ光源装置LRから緑色レーザ光および赤色レーザ光が出射され、この青色レーザ光、赤色レーザ光、および緑色レーザ光が、2つのダイクロイックミラー34、35で同一の光路に導かれる。すなわち、青色レーザ光と緑色レーザ光が第1のダイクロイックミラー34で同一の光路に導かれ、青色レーザ光および緑色レーザ光と赤色レーザ光が第2のダイクロイックミラー35で同一の光路に導かれる。
【0038】
第1および第2のダイクロイックミラー34、35は、表面に所定の波長のレーザ光を透過および反射させるための膜が形成されたものであり、第1のダイクロイックミラー34は、青色レーザ光を透過するとともに緑色レーザ光を反射させる。第2のダイクロイックミラー35は、赤色レーザ光を透過するとともに青色レーザ光および緑色レーザ光を反射させる。
【0039】
これらの各光学部材は、銅やアルミ等の熱伝導性の高い材料で形成した筐体41に支持されている。筐体41は、各レーザ光源装置LG、LR、LBで発生した熱を放熱する放熱体として機能し、アルミニウムや銅などの熱伝導性の高い材料で形成されている。また、筐体41には、空間光変調素子25、偏光ビームスプリッタ26、リレー光学系27、及び投射光学系28等が取り付けられている。筐体41の上部開口は、投射光学系28以外から外部にレーザ光が漏れることを防ぐために、金属製の蓋39によって密閉される。
【0040】
緑色レーザ光源装置LGは、筐体41の本体部21aから側方に向けて突出した状態で筐体41に形成された取付板42に取り付けられている。この取付板42は、リレー光学系27の収容スペースの前方と側方にそれぞれ位置する前壁部43と側壁部44とが直交する角部から当該前壁部43を延長するように側壁部44に直交する向きに突出する。赤色レーザ光源装置LRは、ホルダ45に保持された状態で側壁部44の外面に取り付けられている。青色レーザ光源装置LBは、ホルダ46に保持された状態で前壁部43の外面に取り付けられている。なお、緑色レーザ光源装置LGについては、赤色レーザ光源装置LRと同様に側壁部44の外面に取り付ける構成も可能である。
【0041】
赤色レーザ光源装置LRおよび青色レーザ光源装置LBは、いわゆるCANパッケージで構成され、レーザ光を出力するレーザチップが、ステムに支持された状態で缶状の外装部の中心軸上に光軸が位置するように配置されたものであり、外装部の開口に設けられたガラス窓からレーザ光が出射される。この赤色レーザ光源装置LRおよび青色レーザ光源装置LBは、ホルダ45、26に開設された取付孔47、48に圧入するなどしてホルダ45、26に対して固定される。青色レーザ光源装置LBおよび赤色レーザ光源装置LRのレーザチップの発熱は、ホルダ45、26を介して筐体41に伝達されて放熱される。各ホルダ45、26は、アルミニウムや銅などの熱伝導率の高い材料で形成されている。
【0042】
赤色レーザ光は、640nmの波長を有するが、少なくとも赤色と認識できるものであればよく、例えばピーク波長が610〜750nmの範囲となる波長領域のものを用いるとよい。また、青色レーザ光は、450nmの波長を有するが、少なくとも青色と認識できるものであればよく、例えばピーク波長が435〜480nmの範囲となる波長領域のものを用いるとよい。
【0043】
緑色レーザ光源装置LGは、図2に示すように、励起用レーザ光を出力する半導体レーザ51と、半導体レーザ51から出力された励起用レーザ光を集光する集光レンズであるFAC(Fast-Axis Collimator)レンズ52およびロッドレンズ53と、励起用レーザ光により励起されて基本レーザ光(赤外レーザ光)を出力する固体レーザ素子54と、基本レーザ光の波長を変換して半波長レーザ光(緑色レーザ光)を出力する波長変換素子55と、固体レーザ素子54とともに共振器を構成する凹面ミラー56と、励起用レーザ光および基本波長レーザ光の漏洩を阻止するガラスカバー57と、各部を支持する基台58と、各部を覆うカバー体59とを備えている。
【0044】
図4は、図2中の緑色レーザ光源装置LGにおける緑色レーザ光の状況を示す模式図である。半導体レーザ51のレーザチップ61は、波長808nmの励起用レーザ光を出力する。FACレンズ52は、レーザ光のファースト軸(光軸方向に対して直交し且つ図の紙面に沿う方向)の拡がりを低減する。ロッドレンズ53は、レーザ光のスロー軸(図の紙面に対して直交する方向)の拡がりを低減する。
【0045】
固体レーザ素子54は、いわゆる固体レーザ結晶であり、ロッドレンズ53を通過した波長808nmの励起用レーザ光により励起されて波長1064nmの基本波長レーザ光(赤外レーザ光)を出力する。この固体レーザ素子54は、Y(イットリウム)VO(バナデート)からなる無機光学活性物質(結晶)にNd(ネオジウム)をドーピングしたものであり、より具体的には、母材であるYVOのYに蛍光を発する元素であるNd+3に置換してドーピングしたものである。
【0046】
固体レーザ素子54におけるロッドレンズ53に対向する側には、波長808nmの励起用レーザ光に対する反射防止と、波長1064nmの基本波長レーザ光および波長532nmの半波長レーザ光に対する高反射の機能を有する膜62が形成されている。固体レーザ素子54における波長変換素子55に対向する側には、波長1064nmの基本波長レーザ光および波長532nmの半波長レーザ光に対する反射防止の機能を有する膜63が形成されている。
【0047】
波長変換素子55は、いわゆるSHG(Second Harmonics Generation)素子であり、固体レーザ素子54から出力される波長1064nmの基本波長レーザ光(赤外レーザ光)の波長を変換して波長532nmの半波長レーザ光(緑色レーザ光)を生成する。この波長変換素子55は、強誘電体結晶に、分極が反転した領域とそのままの領域を交互に形成した、周期的な分極反転構造を備えたものであり、分極反転周期方向(分極反転領域の配列方向)に基本波長レーザ光を入射させる。なお、強誘電体結晶には、例えばLN(ニオブ酸リチウム)にMgOを添加したものが用いられる。
【0048】
波長変換素子55における固体レーザ素子54に対向する側には、波長1064nmの基本波長レーザ光に対する反射防止と、波長532nmの半波長レーザ光に対する高反射の機能を有する膜64が形成されている。波長変換素子55における凹面ミラー56に対向する側には、波長1064nmの基本波長レーザ光および波長532nmの半波長レーザ光に対する反射防止の機能を有する膜65が形成されている。
【0049】
凹面ミラー56は、波長変換素子55に対向する側に凹面を有し、この凹面には、波長1064nmの基本波長レーザ光に対する高反射と、波長532nmの半波長レーザ光に対する反射防止の機能を有する膜66が形成されている。これにより、固体レーザ素子54の膜62と凹面ミラー56の膜66との間で、波長1064nmの基本波長レーザ光が共振して増幅される。
【0050】
波長変換素子55では、固体レーザ素子54から入射した波長1064nmの基本波長レーザ光の一部が波長532nmの半波長レーザ光に変換され、変換されずに波長変換素子55を通過した波長1064nmの基本波長レーザ光は、凹面ミラー56で反射されて波長変換素子55に再度入射し、波長532nmの半波長レーザ光に変換される。この波長532nmの半波長レーザ光は、波長変換素子55の膜64で反射されて波長変換素子55から出射される。
【0051】
ここで、固体レーザ素子54から波長変換素子55に入射して波長変換素子55で波長変換されて波長変換素子55から出射されるレーザ光のビームB1と、凹面ミラー56で一旦反射されて波長変換素子55に入射して膜64で反射されて波長変換素子55から出射されるレーザ光のビームB2とが互いに重なり合う状態では、波長532nmの半波長レーザ光と波長1064nmの基本波長レーザ光とが干渉を起こして出力が低下する。
【0052】
そこでここでは、波長変換素子55を光軸方向に対して傾斜させて、入射面および出射面での屈折作用により、レーザ光のビームB1、B2が互いに重なり合わないようにして、波長532nmの半波長レーザ光と波長1064nmの基本波長レーザ光との干渉を防ぐようにしており、これにより出力低下を避けることができる。
【0053】
なお、図2に示したガラスカバー57には、波長808nmの励起用レーザ光および波長1064nmの基本波長レーザ光が外部に漏洩することを防止するため、これらのレーザ光を透過しない膜が形成されている。
【0054】
前記の例では、緑色レーザ光源装置LGのレーザチップ61、固体レーザ素子54、および波長変換素子55がそれぞれ、波長808nmの励起用レーザ光、波長1064nmの基本波長レーザ光(赤外レーザ光)、および波長532nmの半波長レーザ光(緑色レーザ光)を出力するものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。最終的に緑色レーザ光源装置LGから出力されるレーザ光が緑色と認識できるものであればよく、例えばピーク波長が500nm〜560nmの範囲となる波長領域のレーザ光を出力するようにするとよい。また、緑色レーザ光源装置LGについては、上述のように赤外レーザ光の波長を変換するものではなく、赤色レーザ光源装置LRおよび青色レーザ光源装置LBと同様に、緑色レーザ光を出力する半導体レーザチップを用いてもよい。
【0055】
図5は、図1に示した検査システム1の機能ブロック図であり、図6は、基板Sの被検査面Saに対する照明パターンの一例を示す図である。
【0056】
照明装置3は、光学部品が収容された光学エンジンユニット15と、この光学エンジンユニット15内の光学部品を制御するための基板などが収容された制御ユニット16とで構成される。
【0057】
制御ユニット16には、各色のレーザ光源装置LG、LR、LBを制御するレーザ光源制御部71と、PC4から入力される映像信号に基づいて空間光変調素子25を制御する画像表示制御部(空間光変調素子制御部)74と、PC4から供給される電力をレーザ光源制御部71および画像表示制御部74に供給する電源部75と、各部を総括的に制御する主制御部(台形歪み補正部)76とを有している。
【0058】
主制御部76は、画像表示制御部74から入力される画像表示信号に基づき、各色のレーザ光源装置LG、LR、LBの点灯を制御する制御信号として、各レーザ光源装置LG、LR、LBの点灯を許可する点灯許可信号と、赤色、緑色および青色の各レーザ光源装置LG、LR、LBをそれぞれ点灯させる点灯信号を生成して、これらの制御信号をレーザ光源制御部71に出力する。なお、詳細は後述するが、主制御部76は照明光(投写画像)の台形歪みを補正する機能を有している。
【0059】
レーザ光源制御部71は、主制御部76から入力される制御信号に基づき、各レーザ光源装置LG、LR、LBに対する駆動電流の印加を制御するための駆動制御信号(Ig、Ir、及びIb)を各レーザ光源装置LG、LR、LBに出力する。
【0060】
画像表示制御部74は、PC4から入力される映像信号に基づき、空間光変調素子25の動作を制御する制御信号として、基準電圧信号および画素電圧信号を生成して、これらの制御信号を空間光変調素子25に出力する。画素電圧信号については、空間光変調素子25が有する画素数分の信号数が存在する。
【0061】
空間光変調素子25は、反射型の液晶表示素子、いわゆるLCOS(Liquid Crystal On Silicon)であり、シリコン基板上に形成した液晶層を透過したレーザ光をシリコン基板上の反射層で反射させて出射させる構成のものである。この空間光変調素子25では、画像表示制御部74から入力される画素電圧信号に応じてレーザ光の出力(輝度)が増減し、各色のレーザ光源装置LG、LR、LBから時分割で入力される各色のレーザ光の出力を増減することで、所要の色相を表示させることができる。 また、この空間光変調素子25は、画像表示制御部74から入力される基準電圧信号に基づいて極性(pおよびn)が制御され、画素電圧信号は、基準電圧信号に応じて正負が反転する。
【0062】
PC4は、基板Sに含まれる各検査対象部位の位置情報および各検査対象部位に対する照明情報に基づき照明用の映像信号を生成する照明制御部81と、カメラ2の撮像画像について基板Sの検査に必要な画像処理を行う画像処理部82とを有する。ここで、検査対象部位の位置情報には、検査対象部位の位置および形状(輪郭)等の情報が含まれる。また、検査対象部位に対する照明情報には、検査対象部位に投写される画像の色(色相、明度、彩度)、照度および形状等の情報が含まれる。なお、PC4における各部の機能は、所定の制御プログラムに基づく情報処理によって実現される。
【0063】
照明制御部81は、画像処理部82による画像処理結果や、オペレータによる入力装置12(図1参照)からの操作入力により検査対象部位の位置情報を取得する。この場合、画像処理部82は、周知の画像認識技術を用いて被検査面Saの画像認識を実施することにより、各検査対象部位の輪郭を抽出してそれらの位置を推定することができる。また、オペレータは、基板Sの製品仕様に基づき検査対象部位の位置情報および検査対象部位に対する照明情報を予めPC4に入力しておくことができる。これにより、照明装置3では、画像表示制御部74が空間光変調素子25からの光に基づく画面により任意の照明パターン(すなわち、投射光学系28からの光の投射パターン)を形成することが可能となり、基板Sにおいて表面特性等が互いに異なる各検査対象部位に対して同時に適切な照明(すなわち、各検査対象部位の識別性や視認性を向上させる照明)を行うことができる。
【0064】
ここで、照明パターンについては、各検査対象部位に対してそれぞれ任意の色、照度及び形状(輪郭)を有する1以上の画像領域(光の投射領域)が設定される。本実施形態では、図6に示すように、被検査面Saから所定の高さを有する立体的なLSIパッケージ5,6に対してそれらを横切る複数のライン状の画像領域85,86がそれぞれ設定される。また、被検査面Saにおいて矩形状の領域を占める導体パターン7に対して所定の色を有する矩形の画像領域87が設定される。同様に、被検査面Saにおいて矩形状の領域を占める管理用の情報表示部8に対して所定の色を有する矩形の画像領域88が設定される。これにより、オペレータは、投写されたライン状の画像が歪むことにより、LSIパッケージ5,6の欠落を確認することができ、また、矩形画像の投写により導体パターン7や情報表示部8がハイライトされて視認性が向上することにより、それらの欠陥の有無を確認することができる。
【0065】
なお、検査対象部位に投写される画像の色については、例えば、検査対象部位の主要部分と同色または補色を選択することができ、場合によってはモノクロームも可能である。検査対象部位の構成によっては、1つの画像領域内において複数の色(例えば、グラデーション)を設定することも可能である。また、検査対象部位に投写される画像の輪郭形状については、被検査面Sa(平面視)において検査対象部位が占める領域と同一か、或いは当該領域に対して僅かに拡大または縮小された形状とすることができる。また、被検査面Saにおいて検査対象部位以外のその他の領域(少なくとも検査対象部位の周囲の所定領域)については、検査対象部位に対応する画像領域の色とは異なる色とし、例えば、白色の画像(白色光)を投写することができる。また、基板Sの検査は、オペレータによらずに周知の画像認識技術を用いて画像処理部82が自動で行う構成としてもよい。
【0066】
図7は、図6に示した照明パターンに位置ずれが発生した場合の例を示す図である。検査システム1では、照明装置3の設置位置の誤差や、基板Sの搬送誤差等により、各検査対象部位の位置とそれらに対応する画像領域の位置とが一致しない場合がある。これに対し、画像処理部82は、撮像画像の画像認識を実施することにより、各検査対象部位に投写された画像の輪郭を抽出して各画像領域の位置を推定することができ、更に、照明制御部81は、画像処理部82から取得した各検査対象部位の位置情報とそれらに対応する各画像領域の位置とを比較し、両者の位置(例えば、重心位置)が一致するように映像信号を生成(補正)することができる。その結果、照明パターンの位置ずれが解消されて、図6に示したような適切な照明パターンが得られる。
【0067】
図8は、図1に示した検査システム1の台形補正機能に関する説明図である。上述のように照明装置3の照明光10の光軸が被検査面Saに対して傾斜して配置された場合には、図8に示すように本来矩形として投写されるべき画面(全体画像)Pが台形状に歪んだ形状となる。
【0068】
そこで、検査システム1では、複数のフォトディテクタ(照度センサ)95a〜95dが設けられており、これらフォトディテクタ95a〜95dにより、画面Pの各部(ここでは、基準となる矩形領域の各頂点付近)Pa〜Pdにおける反射光照度をそれぞれ測定する。そして、照明装置3の主制御部76(図5参照)は、反射光照度の測定結果に基づき台形歪み補正(キーストーン補正)を行う。より詳細には、主制御部76は、各部における反射光照度を所定の基準照度(ここでは、各部の平均照度)と比較し、基準照度よりも大きい部位については、縮小方向に歪んでいると判定して画面中心から外側に向けて拡大するするように画面Pを補正する。一方、基準照度よりも小さい部位については、拡大方向に歪んでいると判定して画面中心に向けて内側に縮小するように画面Pを補正する。
【0069】
このような反射光照度の測定と、台形歪み補正の処理とを繰り返し実施するにより、画面Pを歪みのない矩形画面とすることができ、また、画面Pの各部Pa〜Pdにおける反射光強度を均一化することができる。その結果、被検査面Saにおける照度ムラを抑えて検査対象部位をより適切に照明することができる。なお、図8に示したフォトディテクタ95a〜95dは、照明装置3に内蔵または付設することが可能であり、必要な光学系(集光レンズ等)を併せて設けることができる。
【0070】
図9は、図1に示した検査システム1の検査時における照明方法の概要を示す動作フロー図である。まず、PC4の照明制御部81は、予めオペレータによって入力された各検査対象部位の位置情報および照明情報を取得する(ST101)。ここで、各検査対象部位の位置情報については、カメラ2による基板Sの撮像画像の画像認識結果に基づき取得してもよい。続いて、照明制御部81は、それら位置情報および照明情報に基づき映像信号を生成する(ST102)。
【0071】
照明装置3の画像表示制御部74は、照明制御部81から取得した映像信号に基づき空間光変調素子25の動作を制御する制御信号を生成する(ST103)。そして、空間光変調素子25は、画像表示制御部74からの制御信号に基づき各色のレーザ光源装置LG、LR、LBから時分割で入力される各色のレーザ光の出力を増減することで各検査対象部位に対して所定の色、照度及び形状を有する画像を投写する(ST104)。
【0072】
その後、照明装置3の主制御部76は、照明画面における各部の反射光照度の測定結果に基づき台形歪み補正を行う(ST105)。続いて、PC4の画像処理部82は、照明光が照射された基板Sの撮像画像をカメラ2より取得し、この撮像画像の画像認識を実施する(ST106)。
【0073】
照明制御部81は、画像処理部82の画像認識結果に基づき照明パターンの位置ずれの有無を判定する(ST107)。そこで、照明制御部81は、照明パターンの位置ずれが生じている場合には(ST107:Yes)、検査対象部位の位置とそれらに対応する各画像領域の位置とを一致させるように映像信号を補正する。これにより、各検査対象部位に対して位置合わせされた画像が投写される。
【0074】
なお、上記ステップST106,ST107は、オペレータの操作に基づき実行することもできる。例えば、オペレータは、LCD11に表示された基板Sの撮像画像から照明パターンの位置ずれを確認した場合、入力装置12やマウス、タッチパネル等を操作することによってその位置ずれを補正し、この操作に基づき照明制御部81に映像信号を生成させることができる。このとき、オペレータは、照明パターンの位置ずれを補正する操作と共に、各検査対象部位に投影される画像の色や形状等を微調整することも可能である。
【0075】
このように本願発明に係る検査システム1では、各検査対象部位に対してそれぞれ適切に照明することができるため、検査精度を良好に維持しつつ検査時間を短縮することが可能となる。また、映像信号に基づく画面によって照明を行う構成としたため、検査対象部位の識別性や視認性を向上させるための投射パターンを簡易な構成により実現することができるという利点がある。特に、基板Sに搭載された電子部品等を照明によりハイライトすることができ、その識別性や視認性が向上し、その欠陥や欠落を容易に検出することが可能となる。
【0076】
<第2実施形態>
図10は、第2実施形態に係る検査システム1の要部を示す構成図である。図10では、上述の第1実施形態と同様の構成要素について同一の符号が付されている。また、第2実施形態において、以下で特に言及しない事項については、第1実施形態の場合と同様とする。
【0077】
第2実施形態では、照明装置3からの照明光が、基板Sの被検査面Saの全体に照射されるもではなく、図10に示すように、矢印Aで示す基板Sの搬送方向と垂直の方向に基板Sを横切るスリット光(帯状の光)91である点において上述の第1実施形態の場合とは異なる。また、カメラ2には搬送ベルトBと同期して作動するラインセンサカメラが用いられる。
【0078】
この第2実施形態に係る検査システム1では、基板Sが搬送ベルトB上を搬送される際に、基板Sの搬送方向先端から末端に向けてスリット光91に基づく画面Pが走査され、スリット光91が投射された各部位をカメラ2が連続的に撮像する。この場合、PC4により生成される映像信号は、上述の第1実施形態における映像信号の一部を切り出したものと同等であり、スリット光91に基づく画面Pは被検査面Saに対する投写位置(走査位置)に応じて変更される。また、PC4の画像処理部82は、得られた複数の撮像画像を結合する処理を行うことにより、第1実施形態の場合と同様の被検査面Saの全体を表示する画像を生成することができる。
【0079】
このような構成により、照明装置3からの光の投射可能領域が被検査面Saに比べて小さくその全体を照明することが難しい場合でも、スリット光91を用いて各検査対象部位に対して適切な照明を実施することができる。
【0080】
<第3実施形態>
図11は、第3実施形態に係る検査システム1の要部を示す構成図である。図11では、上述の第1施形態と同様の構成要素について同一の符号が付されている。また、第3実施形態において、以下で特に言及しない事項については、第1実施形態の場合と同様とする。
【0081】
第3実施形態では、可視光に限らず赤外光や紫外光を用いて照明を行う点において、上述の第1実施形態の場合とは異なる。図11に示すように、光学エンジンユニット15には、緑色、赤色及び青色の各レーザ光源装置LG、LR、LBに加えて、赤外光を出力する赤外レーザ光源装置LIRおよび紫外光を出力する紫外レーザ光源装置LUVが設けられている。これらレーザ光源装置LIR、LUVは、所要の光学系を介して緑色、赤色及び青色の各レーザ光源装置LG、LR、LBと同一の光路に導かれるように照明装置内に配置することができる。
【0082】
この第3実施形態に係る検査システム1では、例えば、基板Sの管理用の情報表示部8に蛍光インクを用いて特殊情報を印刷しておき、紫外レーザ光源装置LUVによって情報表示部8に対して紫外光からなる画像を投写することにより、発光した(可視化された)特殊情報を読み取ることができる。また、カメラ2を赤外線撮像が可能な構成とし、赤外レーザ光源装置LIRによって基板Sに赤外光からなる画像を投写して基板Sの検査を実施することも可能である。このように、可視光に加えて赤外光や紫外光を用いて照明パターンを形成することにより、基板における検査対象部位を識別または視認するための構成の自由度が高まる。
【0083】
本発明を特定の実施形態に基づいて説明したが、これらの実施形態はあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。本発明に係る検査システムの構成は種々の変更が可能であり、例えば、情報処理装置の機能をカメラや照明装置に付加した構成も可能である。また、本発明の検査用の照明装置は基板検査用だけでなく、例えば、ディスプレイ、太陽電池、電子部品等の、検査用、位置認識用等の産業用の画像処理照明装置にも対応可能である。なお、上記実施形態に示した本発明に係る検査用の照明装置およびこれを備えた検査システムの各構成要素は、必ずしも全てが必須ではなく、少なくとも本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明に係る検査用の照明装置およびこれを備えた検査システムは、複数の検査対象部位を有する検査対象物の検査を行う場合でも、各検査対象部位に対してそれぞれ適切に照明して、検査精度を良好に維持しつつ検査時間を短縮することを可能とし、検査用の照明装置およびこれを備えた検査システムとして有用である。
【符号の説明】
【0085】
1 検査システム
2 カメラ(撮像装置)
5,6 LSIパッケージ(電子部品)
11 LCD(ディスプレイ装置)
12 入力装置
25 空間光変調素子
28 投射光学系
74 画像表示制御部(空間光変調素子制御部)
76 主制御部(台形歪み補正部)
82 画像処理部
95a〜95d フォトディテクタ(照度センサ)
91 スリット光(帯状の光)
LB 青色レーザ光源装置
LG 緑色レーザ光源装置
LR 赤色レーザ光源装置
LIR 赤外レーザ光源装置
LUV 紫外レーザ光源装置
S 基板(検査対象物)
Sa 被検査面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる色の光を出射する複数の光源装置と、
前記各光源装置からの光を変調する空間光変調素子と、
前記空間光変調素子からの光を検査対象物の被検査面に投射する投射光学系と、
前記空間光変調素子を所定の映像信号にしたがって制御することにより、前記投射光学系からの光の投射パターンを形成する空間光変調素子制御部と
を備え、
前記映像信号は、前記被検査面における検査対象部位の位置情報に基づき生成され、
前記空間光変調素子制御部は、前記検査対象部位に対応する画像領域を含む投射パターンを形成することを特徴とする検査用の照明装置。
【請求項2】
前記検査対象部位に対応する前記画像領域は、前記検査対象部位以外のその他の領域に対応する画像領域とは異なる色を有することを特徴とする請求項1に記載の検査用の照明装置。
【請求項3】
前記検査対象物は基板であり、前記検査対象部位は前記基板に搭載された電子部品であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の検査用の照明装置。
【請求項4】
前記光源装置には、赤外光または紫外光の少なくとも一方を出射する光源装置が含まれることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の検査用の照明装置。
【請求項5】
前記被検査面における異なる部位の光の反射光照度を検出する複数の照度センサを更に備え、
前記照度センサの検出結果に基づき、前記投射パターンの台形歪みを補正する台形歪み補整部を更に備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の検査用の照明装置。
【請求項6】
前記投射光学系からの光は、前記被検査面を横切る帯状の光であり、
前記映像信号は、前記被検査面における前記帯状の光の投射位置に応じて変更されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の検査用の照明装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の検査用の照明装置を備えた検査システムであって、
前記被検査面を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置による撮像画像の画像処理を行うことにより、前記検査対象部位の位置および当該検査対象部位に対応する前記画像領域の位置をそれぞれ取得する画像処理部と、
前記画像処理部によって取得された前記検査対象部位の位置と前記画像領域の位置とが一致するように前記映像信号を生成する照明制御部と
を更に備えたことを特徴とする検査システム。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の検査用の照明装置を備えた検査システムであって、
前記被検査面を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置による撮像画像をオペレータに対して表示するディスプレイ装置と、
前記投射パターンを変更するための情報をオペレータが入力するための入力装置とを更に備えたことを特徴とする検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−113828(P2013−113828A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263247(P2011−263247)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】