説明

検査用油供給装置

【課題】ポンプによる脈動を取り除く構造を維持しながら、検査時のサイクルタイムをコスト高を招くこと無く短くし、油へのエアの溶け込みを抑制することができる検査用油供給装置を提供する。
【解決手段】メインタンク12からの油がポンプ22で充填されるサブタンクを第一サージタンク31と第二サージタンク32で構成する。一方のサージタンクに貯留された油を規定圧力に加圧してワーク11に供給する油供給中に、メインタンク12から他方のサージタンクへの油の充填を可能とする。前記油供給中で無いサージタンクとメインタンク12との間での油の循環を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査で使用する油を供給する検査用油供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁弁の性能検査を行う際には、実際の使用状態を作り出す必要があり、この使用状態に適合した規定圧力や温度の油を供給する為に、図7に示すように、検査用油供給装置801が使用されていた。
【0003】
この検査用油供給装置801では、検査対象の電磁弁を構成するワーク811からの油が戻されるメインタンク812を備えており、該メインタンク812では、戻された油が所定温度となるように温度制御が行われている。このメインタンク812の油は、ポンプ813及び第一バルブ814を介して供給されるが、前記ポンプ813による脈動の影響を取り除くために、一旦サージタンク815に貯留するように構成されている。
【0004】
該サージタンク815でも、貯留された油を所定温度に維持するための温度制御が行われており、この温度制御は、貯留された油を加熱するヒータと攪拌機とによって構成されている(図示省略)。
【0005】
このサージタンク815は、第二バルブ821を介して大気解放822できる一方、所定圧のエアがエア圧供給部823から第三バルブ824を介して供給されるように構成されており、このエアで所定圧に加圧された油を、第四バルブ825を介して前記ワーク811に供給できるように構成されている。
【0006】
この検査用油供給装置801より供給された油で前記ワーク811の検査を行う際には、図8に示すように、油供給工程(SB1)において、前記第三バルブ824を開放して前記サージタンク815の油を前記所定圧に維持した状態で、前記第四バルブ825を開放して当該サージタンク815内の油をワーク811へ供給して検査を行う。
【0007】
検査が終了した測定終了時には、前記第三バルブ824を閉鎖して前記エアの供給を停止するとともに、前記第四バルブ825を閉鎖して前記ワーク811への油の供給を停止した後、前記第二バルブ821を開放して前記サージタンク815を大気解放する大気解放工程(SB2)を行う。
【0008】
そして、前記ワーク811を交換した後、次の油供給工程(SB3)において、前記第二バルブ821を閉鎖した後、前記第三バルブ824を開放して前記サージタンク815の油を前記所定圧に維持した状態で、前記第四バルブ825を開放して当該サージタンク815内の油を前記ワーク811へ供給して検査を行う。
【0009】
これらを繰り返すことによって前記サージタンク815内の油が所定量以下となった際には、充填工程(SB4)において、前記第三バルブ824を閉鎖して前記エアの供給を停止するとともに前記第四バルブ825を閉鎖して前記ワーク811への油の供給を停止し、前記第二バルブ821を開放して前記サージタンク815を大気解放してから、前記第一バルブ841を開放して前記メインタンク812からポンプ813によって前記サージタンク815へ油を充填し、前記油供給工程(SB1)へ戻って、前記各工程(SB1〜SB4)を繰り返す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような検査用油供給装置801にあっては、前記サージタンク815内を加圧中に前記メインタンク812から油を充填することができず、油充填中は、ワーク811へ油を供給することができない。
【0011】
このため、メインタンク812からの油の充填とワーク811への油の供給とを交互に行わなければならず、サイクルタイムが長くなるという問題があった。
【0012】
これを解消する為に、前記サージタンク815を大容量化して充填回数を減ら方法が採用されているが、油の温度を保つためにサージタンク815にヒータと攪拌機とを設けなければならず、コスト高を招いてしまう。また、油への加圧状態が長くなるため、エアの溶け込みが生じ易くなる。
【0013】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、ポンプによる脈動を取り除く構造を維持しながら、検査時のサイクルタイムをコスト高を招くこと無く短くし、油へのエアの溶け込みを抑制することができる検査用油供給装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するために本発明の検査用油供給装置にあっては、メインタンクで温度制御された油をポンプによってサブタンクに充填するとともに、該サブタンクに貯留された油をエア圧で一定圧に加圧して検査対象物に供給する検査用油供給装置において、前記サブタンクを第一サージタンクと第二サージタンクとで構成し、一方のサージタンクに貯留された油を一定圧に加圧して前記検査対象物に供給する油供給中に、前記メインタンクから他方のサージタンクへの油の充填を可能とするとともに、前記油供給中で無いサージタンクと前記メインタンク間での油の循環を可能とする通流経路を構成した。
【0015】
すなわち、メインタンクからの油を、サブタンクを構成する第一及び第二サージタンクにポンプで充填した後、各サージタンクに貯留された油をエア圧で一定圧に加圧して検査対象物に供給するため、ポンプによる脈動が取り除かれる。
【0016】
そして、メインタンクで温度制御された油がポンプで充填されるサブタンクは、第一サージタンクと第二サージタンクとで構成されており、一方のサージタンクの油を検査対象物へ供給中に、他方のサージタンクへメインタンクからの油を充填することができる。
【0017】
このため、一方のサージタンクに油を充填しながら他方のサージタンクから検査対象物へ油を供給することができるため、前記第一及び第二サージタンクを油供給用として交互に使用することで、前記検査対象物への油の供給が連続して行われる。
【0018】
また、前記各サージタンクを切り替えて使用することで、各サージタンクの容量を検査時に使用する必要容量まで小さくすることができ、前記各サージタンクが小型化される。
【0019】
これに伴って、各サージタンク内の油を一回の検査で使い切ることができるため、複数回検査が行える容量の油を貯留する従来と比較して、経過時間に伴う油温の低下を抑えることができ、ヒータや攪拌機などの温度制御が不要となる。
【0020】
また、前記各サージタンクを小型化することによって、各サージタンクでの油の貯留時間が短くなるので、油へのエアの溶け込みが低減される。
【0021】
そして、油供給中で無いサージタンクでは、前記メインタンクで温度制御された油をサージタンクとの間で循環することができ、前記メインタンクと前記サージタンク間での油温の温度差の発生が防止される。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明の検査用油供給装置にあっては、メインタンクからの油をサブタンクを構成する第一及び第二サージタンクにポンプで充填した後、各サージタンクに貯留された油をエア圧で一定圧に加圧して検査対象物に供給するため、ポンプによる脈動を取り除いた油を前記検査対象物に供給することができる。
【0023】
これにより、前記ポンプによる脈動を取り除く効果を従来通り維持することができ、脈動に起因した検査結果への影響を排除することができる。
【0024】
また、一方のサージタンクに油を充填しながら他方のサージタンクから検査対象物へ油を供給することができるため、前記第一及び第二サージタンクを油供給用として交互に使用することで、前記検査対象物への油の供給を連続的に行うことができる。
【0025】
このため、サージタンクへ油を充填する油充填中は、検査対象に油を供給することができなかった従来と比較して、次の検査開始までの時間を短縮することができ、サイクルタイムを短くし、検査効率を高めることができる。
【0026】
また、前記各サージタンクを切り替えて使用することで、各サージタンクの容量を検査時に使用する必要容量まで小さくすることがきる。これにより、前記各サージタンクの小型化を図ることができる。
【0027】
そして、このサージタンクの小型化に伴って、各サージタンク内の油を一回の検査で使い切ることができるため、複数回検査が行える容量の油を貯留する従来と比較して、経過時間に伴う油温の低下を抑えることができる。これにより、油温を維持するためのヒータや攪拌機などの温度制御設備が不要となり、低コスト化を図ることができる。
【0028】
また、前記各サージタンクを小型化することによって、各サージタンクでの油の貯留時間が短くなるので、油へのエアの溶け込みを低減することができる。
【0029】
そして、前記油供給中で無いサージタンクでは、前記メインタンクで温度制御された油をサージタンクとの間で循環することで、前記メインタンクと前記サージタンク間での油温の温度差の発生を防止することができる。
【0030】
これにより、サージタンクに油が充填されてから供給が開始される間での待機時間が長くなる場合であっても、各サージタンクに温度制御設備を設けること無く、油温を一定に保つことができる。
【0031】
したがって、前記ポンプによる脈動を取り除く構造を維持しながら、検査時のサイクルタイムをコスト高を招くこと無く短くし、油へのエアの溶け込みを抑制することができる検査用油供給装置となり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。
【0033】
図1及び図2は、本実施の形態にかかる検査用油供給装置1を示す図であり、該検査用油供給装置1は、性能検査を行う電磁弁に実使用状態に適合した規定圧力や規定温度の油2を供給する装置である。
【0034】
この検査用油供給装置1は、検査対象の電磁弁を構成するワーク11から戻された油2を回収する大容量のメインタンク12を備えており、該メインタンク12には、戻された油2を加熱するヒータ13や温度センサ14等が設けられている。これにより、このメインタンク12内の油2は、前記規定温度となるように温度制御されている。
【0035】
このメインタンク12には、温度制御された油2をサブタンクに充填するための油充填回路21が接続されており、該油充填回路21は、前記メインタンク12からの油2を送出する為のポンプ22を備えている。
【0036】
この油充填回路21からの油2が充填されるサブタンクは、第一サージタンク31と第二サージタンク32とによって構成されており、両サージタンク31,32は、前記メインタンク12より小容量に形成されている。
【0037】
前記第一サージタンク31に接続された前記油充填回路21の経路には、第一油充填バルブ41が設けられており、前記第二サージタンク32に接続された前記油充填回路21の経路には、第二油充填バルブ42が設けられている。各油充填バルブ41,42は、独立して開閉可能に構成されており、図外の制御装置からの制御信号に従って開閉作動するように構成されている。
【0038】
前記第一サージタンク31は、図2に示したように、第一大気解放バルブ51を介して、大気解放52できるように構成されており、前記第二サージタンク32は、第二大気解放バルブ53を介して、大気解放52できるように構成されている。
【0039】
前記第一サージタンク31は、第一エア加圧バルブを61介して、エア圧供給回路62に接続されており、前記第二サージタンク32は、第二エア加圧バルブ63を介して、前記エア圧供給回路62に接続されている。該エア圧供給回路62は、空気供給源に接続された複数のバルブやレギュレータによって構成されており、設定した圧力のエアを供給できるように構成されている(図1参照)。
【0040】
前記第一サージタンク31は、第一ワーク供給バルブ71を介して油供給路72に接続されており、前記第二サージタンク32は、第二ワーク供給バルブ73を介して前記油供給路72に接続されている。この油供給路72には、検査対象となるワーク11を交換可能にセットできるように構成されており、セットされたワーク11に前記第一又は第二サージタンク31,32からの油2を供給できるように構成されている。
【0041】
前記第一サージタンク31は、第一油戻しバルブ81を介して前記メインタンク12に接続されており、この第一サージタンク31が油2で満たされた際に、当該第一サージタンク31と前記メインタンク12との間で油2を循環させる第一循環回路82が形成されている。
【0042】
また、前記第二サージタンク32には、第二油戻しバルブ91を介して前記メインタンク12に接続されており、この第二サージタンク32が油2で満たされた際に、当該第二サージタンク32と前記メインタンク12との間で油2を循環させる第二循環回路92が形成されている。
【0043】
これにより、前記両サージタンク31,32の一方のサージタンクに貯留された油2を前記規定圧力に加圧しながら前記ワーク11に供給する油供給中に、前記メインタンク12からの油を他方のサージタンクへ充填するとともに、前記油供給中で無いサージタンクと前記メインタンク12との間で油2を循環する通流経路101が構成されている。
【0044】
前記各バルブ41,42,51,53,61,63,71,73,81,91や前記ポンプ22や前記ヒータ13や前記温度センサ14は、パソコン等で構成された図外の制御装置に接続されており、該制御装置からの制御信号に従って作動するように構成されている。
【0045】
これにより、前記制御装置が予め設定されたシーケンスプログラムに従って動作することにより、当該検査用油供給装置1が作動するように構成されており、その一例が図3から図5に示されている。
【0046】
詳述すると、前記第一サージタンク31及び前記第二サージタンク32に油2が充填された準備状態(S1)において、前記第一油充填バルブ41及び前記第一油戻しバルブ81を開放するとともに、前記第二油充填バルブ42及び前記第二油戻しバルブ91を開放した状態で前記ポンプ22を作動することによって、前記各サージタンク31,32と前記メインタンク12との間で油を循環させる。これにより、前記各サージタンク31,32での油温を前記規定温度に保持する。
【0047】
このとき、前記両大気解放バルブ51,53と、前記両エア加圧バルブ61,63は閉鎖されており、エアの通流は無いものとする。
【0048】
測定を開始してワーク11に油2を供給する油供給工程(S2)では、前記第一油充填バルブ41を閉鎖して前記メインタンク12から前記第一サージタンク31への油2の供給を停止するとともに、前記第一油戻しバルブ81を閉鎖して前記第一サージタンク31から前記メインタンク12への油2の通流を停止して、前記メインタンク12と前記第一サージタンク31間での油2の循環を停止する。
【0049】
その後、前記第一エア加圧バルブ61を開放して、エア圧供給回路62からのエア圧を前記第一サージタンク31へ供給して当該第一サージタンク31の油圧を前記規定圧力に加圧に加圧しながら、前記第一ワーク供給バルブ71を開放して、前記規定温度で前記規定圧力に保たれた当該第一サージタンク31の油2をワーク11に供給し、この供給された油2を利用して前記ワーク11の検査を行う。
【0050】
このとき、前記メインタンク12と前記第二サージタンク32との間では、油2を循環させておく。
【0051】
検査が終了し空になった前記第一サージタンク31に油を充填する充填工程(S3)では、前記第一エア加圧バルブ61を閉鎖してエア圧供給回路62からのエア圧の供給を停止すると同時に、前記第一ワーク供給バルブ71を閉鎖して前記ワーク11への油2の供給を停止した後、前記第一大気開放バルブ51を開放して当該第一サージタンク31を大気解放するとともに、前記第一油充填バルブ41を開放して前記メインタンク12からの油2を前記第一サージタンク31へ充填する。
【0052】
この間も、前記メインタンク12と前記第二サージタンク32との間で油2を循環させておく。
【0053】
このとき、前記第一サージタンク31への油2の充填が完了した際には、当該第一サージタンク31と前記メインタンク12との間で油2を循環させ、この状態で、次のワーク11の検査が開始されるまで待機する。
【0054】
そして、次のワーク11の検査を開始する際には、当該ワーク11に油2を供給する油供給工程(S4)では、前記第二油充填バルブ42を閉鎖して前記メインタンク12から前記第二サージタンク32への油2の供給を停止するとともに、前記第二油戻しバルブ91を閉鎖して前記第二サージタンク32から前記メインタンク12への油2の通流を停止して、前記メインタンク12と前記第二サージタンク32間での油2の循環を停止する。
【0055】
その後、前記第二エア加圧バルブ63を開放して、エア圧供給回路62からのエア圧を前記第二サージタンク32へ供給して当該第二サージタンク32の油圧を前記規定圧力に加圧に加圧しながら、前記第二ワーク供給バルブ73を開放して、前記規定温度で前記規定圧力に保たれた当該第二サージタンク32の油2をワーク11に供給し、この供給された油2を利用して前記ワーク11の検査を行う。
【0056】
このとき、前記メインタンク12と前記第一サージタンク31との間では、油2を循環させておく。
【0057】
検査が終了し空になった前記第二サージタンク32に油2を充填する充填工程(S5)では、前記第二エア加圧バルブ63を閉鎖してエア圧供給回路62からのエア圧の供給を停止すると同時に、前記第二ワーク供給バルブ73を閉鎖して前記ワーク11への油2の供給を停止した後、前記第二大気開放バルブ53を開放して当該第二サージタンク32を大気解放するとともに、前記第二油充填バルブ42を開放して前記メインタンク12からの油2を前記第二サージタンク32へ充填する。
【0058】
この間も、前記メインタンク12と前記第一サージタンク31との間で油2を循環させておく。
【0059】
このとき、前記第二サージタンク32への油2の充填が完了した際には、当該第二サージタンク32と前記メインタンク12との間で油2を循環させ、この状態で、次のワーク11の検査が開始されるまで待機する。
そして、次のワーク11の検査を開始する際には、前記ステップS2へ戻って、前記各ステップS2〜S5を繰り返す。
【0060】
なお、図6は、前記検査用油供給装置1の動作を示すタイミングチャートであり、バルブ閉鎖がローレベルライン、バルブ開放がハイレベルラインで示されている。
【0061】
このタイミングチャートでは、前記ワーク11の試験時間を「10」、各サージタンク31,32への油2の充填時間を「5」、大気解放時間を「2」、バルブ開閉を「1」とした際の各部の動作が示されており、各サージタンク31,32への充填が完了した時点で、当該サージタンク31,32とメインタンク12との間で油2を循環する油循環工程が図中「循環中」として示されている。
【0062】
以上の構成にかかる本実施の形態において、前記メインタンク12からの油2を、サブタンクを構成する第一及び第二サージタンク31,32にポンプ22で充填した後、各サージタンク31,32に貯留された油2をエア圧で前記規定圧力に加圧して検査対象物としてのワーク11に供給するため、前記ポンプ22による脈動が取り除かれる。
【0063】
このように、前記ポンプ22による脈動を取り除いた油2を前記ワーク11に供給することができるため、前記ポンプ22による脈動を取り除く効果を従来通り維持することができ、脈動に起因した検査結果への影響を排除することができる。
【0064】
そして、前記メインタンク12で温度制御された油2が前記ポンプ22で充填されるサブタンクは、前記第一サージタンク31と前記第二サージタンク32とで構成されており、一方のサージタンクの油2を前記ワーク11へ供給中に、前記メインタンク12からの油2を他方のサージタンクに充填することができる。
【0065】
このように、一方のサージタンクに油2を充填しながら他方のサージタンクから前記ワーク11へ油2を供給することができるので、前記第一及び第二サージタンク31,32を油供給用として交互に使用することで、前記ワーク11への油2の供給を連続的に行うことができる。
【0066】
よって、サージタンクへ油2を充填する油充填中は、ワーク11に油2を供給することができなかった従来と比較して、次の検査開始までの時間を短縮することができ、サイクルタイムを短くし、検査効率を高めることができる。
【0067】
また、前記各サージタンク31,32を切り替えて使用することで、各サージタンク31,32の容量を検査時に使用する必要容量まで小さくすることができ、前記各サージタンク31,32の小型化を図ることができる。
【0068】
そして、このサージタンク31,32の小型化に伴って、各サージタンク31,32内の油2を一回の検査で使い切ることができるため、複数回検査が行える容量の油2を貯留する従来と比較して、経過時間に伴う油温の低下を抑えることができる。
【0069】
これにより、油温を維持するためのヒータや攪拌機などの温度制御設備の前記各サージタンク31,32への設置が不要となり、低コスト化を図ることができる。
【0070】
また、前記各サージタンク31,32を小型化することによって、加圧された各サージタンク31,32での油2の貯留時間が短くなる。これにより、貯留された油2へのエアの溶け込みを低減することができる。
【0071】
そして、前記油供給中で無いサージタンクでは、前記メインタンク12で温度制御された油2をサージタンクとの間で循環することで、前記メインタンク12と前記サージタンク間での油温の温度差の発生を防止することができる。
【0072】
これにより、サージタンクに油2が充填されてから供給が開始される間での待機時間が長くなる場合であっても、各サージタンク31,32に温度制御設備を設けること無く、油温を一定に保つことができる。
【0073】
したがって、前記ポンプ22による脈動を取り除く構造を維持しながら、検査時のサイクルタイムをコスト高を招くこと無く短くし、油2へのエアの溶け込みを抑制することができる検査用油供給装置1となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施の形態を示す回路図である。
【図2】同実施の形態を示すブロック図である。
【図3】同実施の形態の動作を示す説明図である。
【図4】図3に続く動作を示す説明図である。
【図5】図4に続く動作を示す説明図である。
【図6】同実施の形態の動作を示すタイミングチャートである。
【図7】従来の検査用油供給装置を示すブロック図である。
【図8】同従来の動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0075】
1 検査用油供給装置
2 油
11 ワーク
12 メインタンク
22 ポンプ
31 第一サージタンク
32 第二サージタンク
62 エア供給回路
101 通流経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインタンクで温度制御された油をポンプによってサブタンクに充填するとともに、該サブタンクに貯留された油をエア圧で一定圧に加圧して検査対象物に供給する検査用油供給装置において、
前記サブタンクを第一サージタンクと第二サージタンクとで構成し、一方のサージタンクに貯留された油を一定圧に加圧して前記検査対象物に供給する油供給中に、前記メインタンクから他方のサージタンクへの油の充填を可能とするとともに、前記油供給中で無いサージタンクと前記メインタンク間での油の循環を可能とする通流経路を構成したことを特徴とする検査用油供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−276172(P2009−276172A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126842(P2008−126842)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000220505)日本電産トーソク株式会社 (189)
【Fターム(参考)】