検査装置、検査方法、検査プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体
【課題】高精度な印刷品質検査が行える検査装置、検査方法、検査プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供する。
【解決手段】検査装置100は、印刷面の読み取り画像により印刷物の印刷品質を検査する装置であって、読み取り画像を検査対象画像G2として所得し、印刷データをリッピングした画像を基準画像G1として取得する取得手段11と、取得した基準画像G1において、画素値の変化を表す平坦度を解析する解析手段12と、解析結果の平坦度に基づき、検査用の閾値を、画像領域の種別ごとに切り換え、基準画像G1と検査対象画像G2との比較から得た画素値の差分が検査用の閾値を超過しているか否かの判定結果に基づき、領域種別ごとに印刷品質を検査するように制御する制御手段13と、を有することを特徴とする。
【解決手段】検査装置100は、印刷面の読み取り画像により印刷物の印刷品質を検査する装置であって、読み取り画像を検査対象画像G2として所得し、印刷データをリッピングした画像を基準画像G1として取得する取得手段11と、取得した基準画像G1において、画素値の変化を表す平坦度を解析する解析手段12と、解析結果の平坦度に基づき、検査用の閾値を、画像領域の種別ごとに切り換え、基準画像G1と検査対象画像G2との比較から得た画素値の差分が検査用の閾値を超過しているか否かの判定結果に基づき、領域種別ごとに印刷品質を検査するように制御する制御手段13と、を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷面の読み取り画像により印刷物の印刷品質を検査する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
商業印刷では、品質管理が厳しく行われる。例えば、印刷物が意図した通りに印刷(高品質に印刷)されたか否かの確認作業が行われ、その工程で厳しく検査される。商業印刷では、検査対象となる印刷物が大量となることから、このような確認作業を、作業員の目視によって行うことは、非効率であり、かつ検査結果が一定でない(ムラが発生してしまう)点が懸念される。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1に開示される技術により、印刷物の品質検査を自動化することができる。具体的に、特許文献1には、入力された製版データから、印刷領域内の印刷される領域(トナー/インクが載る箇所:以下「画線部」という)と印刷されない領域(トナー/インクが載らない箇所:以下「非画線部」という)とを判別し、製版データと印刷面から読み取った読み取り画像との濃度(又は光量)を、判別した画線部及び非画線部ごとに比較し、比較結果(差分)と検査用の閾値とを用いた欠陥判定処理を行うことで、印刷物の品質検査を自動化する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、画線部における印刷品質の検査精度が低いという問題がある。
【0005】
例えば、画線部には、絵柄やエッジなどの画素値の変化が大きい領域(平坦度が低い領域)と、背景などの画素値の変化が小さい領域(平坦度が高い領域)が混在する場合がある。この場合、画素値の変化が小さい領域では、画素値の変化が大きい領域に比べて、微少な画素値の変化であっても、人の目に認識されやすく、印刷品質に影響を及ぼしてしまう。
【0006】
そのため、同じ画線部であっても、画素値の変化が小さい領域と画素値の変化が大きい領域とでは、異なる閾値を用いた欠陥判定処理を行うことが望ましい。なぜなら、例えば、画素値の変化が大きい領域に対応する検査用の閾値を、画素値の変化が小さい領域に対する欠陥判定処理に用いた場合には、閾値が大きすぎることから、欠陥箇所を判定できない。一方、画素値の変化が小さい領域に対応する検査用の閾値を、画素値の変化が大きい領域に対する欠陥判定処理に用いた場合には、閾値が小さすぎることから、本来、該当しない箇所まで、欠陥箇所と判定されてしまう。
【0007】
本発明は上記従来技術の問題点を鑑み提案されたものであり、高精度な印刷品質検査が行える検査装置、検査方法、検査プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る検査装置は、印刷面の読み取り画像により印刷物の印刷品質を検査する検査装置であって、前記読み取り画像を検査対象画像として所得し、印刷データをリッピングした画像を基準画像として取得する取得手段と、取得した基準画像において、画素値の変化を表す平坦度を解析する解析手段と、解析結果の平坦度に基づき、検査用の閾値を、画像領域の種別ごとに切り換え、前記基準画像と前記検査対象画像との比較から得た画素値の差分が前記検査用の閾値を超過しているか否かの判定結果に基づき、領域種別ごとに印刷品質を検査するように制御する制御手段と、を有している。
【0009】
このような構成によって、本発明に係る検査装置は、印刷面の読み取り画像を検査対象画像として所得し、印刷データをリッピングした画像を基準画像として取得する。検査装置は、取得した基準画像において、画素値の変化を表す平坦度を解析する。検査装置は、解析結果の平坦度に基づき、画線部における画像領域の種別ごとに検査用の閾値(欠陥判定基準)を切り換える。検査装置は、画像領域にあたる基準画像の画素と検査対象画像の画素とを比較し、該当画素値の差分が閾値を超過しているか否かを判定し、判定結果に基づき、印刷面の欠陥箇所を検査する。
【0010】
これによって、本発明に係る検査装置では、高精度な印刷品質検査を行うことができる。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る検査方法は、印刷面の読み取り画像により印刷物の印刷品質を検査する検査装置における検査方法であって、前記読み取り画像を検査対象画像として所得し、印刷データをリッピングした画像を基準画像として取得する取得手順と、前記取得手順により取得された基準画像において、画素値の変化を表す平坦度を解析する解析手順と、前記解析手順による解析結果の平坦度に基づき、検査用の閾値を、画像領域の種別ごとに切り換え、前記基準画像と前記検査対象画像との比較から得た画素値の差分が前記検査用の閾値を超過しているか否かの判定結果に基づき、領域種別ごとに印刷品質を検査するように制御する制御手順と、を有している。
【0012】
このような手順によって、本発明に係る検査方法は、印刷面の読み取り画像を検査対象画像として所得し、印刷データをリッピングした画像を基準画像として取得し、取得した基準画像において、画素値の変化を表す平坦度を解析し、解析結果の平坦度に基づき、画像領域の種別ごとに検査用の閾値(欠陥判定基準)を切り換え、画像領域にあたる基準画像の画素と検査対象画像の画素とを比較し、該当画素値の差分が閾値を超過しているか否かを判定し、判定結果に基づき、印刷面の欠陥箇所を検査するという動作を実現する。
【0013】
これによって、本発明に係る検査方法では、高精度な印刷品質検査が可能な環境を提供できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、基準画像(印刷データをリッピングした画像)の解析により得た画素値の変化を表す平坦度に応じて、欠陥判定処理で用いる閾値(欠陥判定基準)を、画像領域の種別ごとに切り換えることで、高精度な印刷品質検査が行える検査装置、検査方法、検査プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る検査システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る検査装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】従来の検査処理例を示す図である。
【図4】画像領域における画素値の差分の違いを示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る検査機能の構成例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る画像領域種別と平坦度との関係を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る差分検出方法の例を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る欠陥検査時の基本処理手順例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る欠陥検査時の処理手順例(その1)を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る欠陥検査時の処理手順例(その2)を示すフローチャートである。
【図11】検査機能が動作する画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図12】検査機能が動作する画像形成装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る検査機能の構成例を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る欠陥検査時の処理手順例を示すフローチャートである。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る背景領域に対する欠陥検査時の処理手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下「実施形態」という)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
[第1の実施形態]
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る検査システム1010の構成例を示す図である。
図1には、スキャナ140と検査装置100とが、所定のデータ伝送路N(例えば「ネットワークケーブル」や「シリアル/パラレルケーブル」など)で接続される構成例が示されている。
【0018】
スキャナ140は、印刷物の印刷面を光学的に読み取り、読み取り画像を取得する読み取り装置である。一方、検査装置100は、印刷物の印刷品質を検査する情報処理装置である。
【0019】
これにより、利用者は、次のような印刷物の印刷品質を検査するサービス(以下「検査サービス」という)を利用することができる。例えば、利用者は、検査装置100に、印刷物を得るための印刷データをリッピングした画像を、印刷品質を検査する上での基準画像として入力する。次に、利用者は、スキャナ140で印刷物の印刷面を読み取る。
【0020】
その結果、スキャナ140から検査装置100に読み取り画像が送信される。検査装置100では、受信した読み取り画像と入力された基準画像との比較により画素値の差分が検出され、検出された画素値の差分と設定された検査用の閾値(欠陥判定基準)とに基づく欠陥判定処理が行われる。これにより、利用者は、印刷品質の検査結果を得ることができる。
【0021】
以上のように、本実施形態に係る検査システム1では、上記システム構成により、印刷物の検査サービスを提供することができる。なお、上記検査システム1010では、1台の検査装置100に対して、複数のスキャナ140が接続される構成であってもよい。これにより、商業印刷のような大量の印刷物を検査する場合、複数のスキャナ140により複数の印刷物を同じに読み取り、検査装置100において欠陥判定処理を並列処理することで、印刷品質の検査を効率的に実施することができる。
【0022】
<ハードウェア構成>
次に、本実施形態に係る検査装置100のハードウェア構成について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る検査装置のハードウェア構成例を示す図である。
図2に示すように、検査装置100は、入力装置101、表示装置102、ドライブ装置103、RAM(Random Access Memory)104、ROM(Read Only Memory)105、CPU(Central Processing Unit)106、インタフェース装置107、及びHDD(Hard Disk Drive)108などを備え、それぞれがバスBで相互に接続されている。
【0023】
入力装置101は、キーボードやマウスなどを含み、検査装置100に各操作信号を入力するのに用いられる。表示装置102は、ディスプレイなどを含み、検査装置100による処理結果を表示する。
【0024】
インタフェース装置107は、検査装置100をデータ伝送路Nに接続するインタフェースである。これにより、検査装置100は、インタフェース装置107を介して、スキャナ140を含む通信機能を有する他の機器とデータ通信を行うことができる。
【0025】
HDD108は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。格納されるプログラムやデータには、検査装置全体を制御する情報処理システム(例えば「Windows(商標又は登録商標)」や「UNIX(商標又は登録商標)」などの基本ソフトウェアであるOS(Operating System))、及びシステム上において各種機能(例えば「検査機能」)を提供するアプリケーションなどがある。また、HDD108は、格納しているプログラムやデータを、所定のファイルシステム及び/又はDB(Data Base)により管理している。
【0026】
ドライブ装置103は、着脱可能な記録媒体103aとのインタフェースである。これにより、検査装置100は、ドライブ装置103を介して、記録媒体103aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体103aには、例えば、フロッピー(商標又は登録商標)ディスク、CD(Compact Disk)、及びDVD(Digital Versatile Disk)、ならびに、SDメモリカード(SD Memory card)やUSBメモリ(Universal Serial Bus memory)などがある。
【0027】
ROM105は、電源を切っても内部データを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。ROM105には、検査装置100の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、情報処理システム設定、及びネットワーク設定などのプログラムやデータが格納されている。RAM104は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。CPU106は、上記記憶装置(例えば「HDD」や「ROM」など)から、プログラムやデータをRAM上に読み出し、処理を実行することで、装置全体の制御や搭載機能を実現する演算装置である。
【0028】
以上のように、本実施形態に係る検査装置100では、上記ハードウェア構成により、上記検査サービスを提供することができる。
【0029】
<検査機能>
本実施形態に係る検査機能について説明する。
本実施形態に係る検査装置100では、印刷面の読み取り画像(以下「検査対象画像」という)と印刷データをリッピングした画像(以下「基準画像」という)とを取得する。検査装置100は、取得した基準画像において、画素値の変化を表す平坦度を解析する。検査装置100は、解析結果の平坦度から、種別ごとの画像領域を判別し、判別した画像領域に対する検査用の閾値(欠陥判定基準)を決定する。検査装置100は、判別した画像領域にあたる基準画像の画素と判別した画像領域と同じ位置にあたる検査対象画像の画素とを比較し、該当画素値の差分を検出する。検査装置100は、検出した差分が閾値を超過しているか否かを判定し、印刷面の欠陥箇所を検査する。本実施形態に係る検査装置100は、このような検査機能を有している。
【0030】
《従来の検査処理》
図3は、従来の検査処理例を示す図である。
図3に示すように、従来の欠陥検査処理では、まず、基準画像と検査対象画像とを取得すると(ステップS101)、取得した基準画像に基づき、印刷物の印刷面における印刷領域内の画線部/非画線部を特定する(ステップS102)。
【0031】
次に、従来の欠陥検査処理では、特定した画線部/非画線部に対して、各欠陥判定処理が実行されるように制御する(ステップS103)。
【0032】
画線部に対する欠陥判定処理では、特定した画線部にあたる基準画像と特定した画線部と同じ位置にあたる検査対象画像との画像特徴(濃度又は光量)を比較し、差分を検出し(ステップS104)、検出した差分が閾値1(画線部に対応する検査用の閾値)以上か否かを判定する(ステップS105)。その結果、欠陥判定処理では、差分が閾値1以上であった場合に、印刷領域内の画線部の異常(欠陥箇所)を検出する。
【0033】
また、非画線部に対する欠陥判定処理では、特定した非画線部にあたる基準画像と特定した非画線部と同じ位置にあたる検査対象画像との画像特徴(濃度又は光量)を比較し、差分を検出し(ステップS106)、検出した差分が閾値2(非画線部に対応する検査用の閾値)以上か否かを判定する(ステップS107)。その結果、欠陥判定処理では、差分が閾値2以上であった場合に、印刷領域内の非画線部の異常(欠陥箇所)を検出する。
【0034】
このような、従来の方法では、次のような理由から、画線部における印刷品質の検査精度が低いという問題がある。
【0035】
図4は、画像領域における画素値の差分の違いを示す図である。
例えば、画線部には、(A)に示すような画素値の変化が大きい領域(平坦度が低い領域)と、(B)に示すような画素値の変化が小さい領域(平坦度が高い領域)が存在する。
【0036】
(A)には、画線部が絵柄領域であった場合に、基準画像G1と検査対象画像G2との同じ位置の画素値(例えば「RGB値」)を比較し、差分を検出した例が示されている。これによると、基準画像G1と検査対象画像G2との差分は、10程度の値である。
【0037】
一方、(B)には、画線部が背景領域で、白スジ/黒スジ現象(欠陥)が発生した場合の例が示されている。(A)と(B)とを目視して分かるように、画素値の変化が小さい領域では、画素値の変化が大きい領域に比べて、微少な画素値の変化であっても、人の目に認識されやすく、印刷品質に影響を及ぼしてしまう。つまり、人の目は、画素値の変化が大きい領域の微少な画素値の変化に対して鈍感である一方、画素値の変化が小さい領域の微少な画素値の変化に対して敏感であるという視覚特性を有している。
【0038】
このような画素値の変化が小さい領域の場合、基準画像G1と検査対象画像G2との同じ位置の画素値を比較し、差分を検出すると、差分は、白スジ現象の場合10以下の値であり、黒スジ現象の場合5程度の値である。
【0039】
そのため、例えば、画素値の変化が大きい領域に対応する検査用の閾値を、画素値の変化が小さい領域に対する欠陥判定処理に用いた場合には、閾値が大きすぎることから、欠陥箇所を判定できない。一方、画素値の変化が小さい領域に対応する検査用の閾値を、画素値の変化が大きい領域に対する欠陥判定処理に用いた場合には、閾値が小さすぎることから、本来、該当しない箇所まで、欠陥箇所と判定(誤判定)されてしまう。
【0040】
このように、同じ画線部であっても、画素値の変化が小さい領域と画素値の変化が大きい領域とでは、異なる閾値を用いた欠陥判定処理を行うことが望ましい。
【0041】
そこで、本実施形態に係る検査装置100では、基準画像G1(印刷データをリッピングした画像)の解析により得た画素値の変化を表す平坦度に応じて、欠陥判定処理で用いる閾値(欠陥判定基準)を、画像領域の種別ごとに切り換える仕組みとした。
【0042】
これにより、本実施形態に係る検査装置100では、画素値の変化が小さい領域(平坦度が高い領域)に対して、画素値の変化が大きい領域(平坦度が低い領域)に比べて厳しい欠陥判定基準で印刷品質の検査(感度の高い検査)が行われる。その結果、高精度な印刷品質検査が行える。
【0043】
以下に、本実施形態に係る検査機能の構成とその動作について説明する。
図5は、本実施形態に係る検査機能の構成例を示す図である。
図5に示すように、本実施形態に係る検査機能は、画像取得部11、平坦度解析部12、及び検査制御部13などを有している。
【0044】
画像取得部11は、基準画像G1と検査対象画像G2とを取得する機能部である。画像取得部11は、印刷データをリッピングした画像の入力を受け付けるとこで、基準画像G1を取得する。また、画像取得部11は、印刷面の読み取り画像をスキャナ140から受信することで、検査対象画像G2を取得する。
【0045】
平坦度解析部12は、取得した基準画像G1において、画素値の変化を表す平坦度を解析する機能部である。平坦度解析部12は、画像取得部11から受け取った基準画像G1の平坦度を解析する。具体的には、次のように平坦度を解析する。平坦度解析部12は、例えば、予め決められた矩形領域(「5x5」、「7x7」、「9x9」など)における画素値(RGB値)の標準偏差又は分散(ばらつき)を算出し、直接平坦度とする。また、平坦度解析部12は、例えば、予め決められた矩形領域の注目画素と注目画素に隣接する画素(以下「隣接画素」という)との画素値(RGB値)の差分又は平均値を算出し、直接平坦度とする。また、矩形領域の画素値(RGB値)を代表値に変換する量子化を行ってもよい。
【0046】
なお、平坦度の解析に基準画像G1を用いる理由は、基準画像G1が印刷データをリッピングした画像であり、画素値が安定しているからである。また、本実施形態では、画素値にRGB値を用いているが、この限りでない。RGB以外の色空間の値であってもよい。
【0047】
ここで、本実施形態における平坦度の解析例を示す。
図6は、本実施形態に係る画像領域種別と平坦度との関係を示す図である。
(A)には、基準画像G1における画像領域の種別例が示されている。まず、基準画像G1では、画線部と非画線部の領域が存在する。画線部は、印刷領域内にトナー/インクが載る箇所である。一方、非画線部は、印刷領域内にトナー/インクが載らない箇所である。以下の説明では、上記非画線部を「紙白領域」をいう。
【0048】
また、画線部には、「背景領域」、「エッジ領域」、及び「絵柄領域」などが存在する。「背景領域」は、画素値の変化が小さい領域であり、「エッジ領域」及び「絵柄領域」は、画素値の変化が大きい領域である。
【0049】
本実施形態に係る平坦度解析部12は、これらの領域の平坦度を解析する。(B)には、(A)に示した基準画像G1の解析結果例が示されている。
(B)には、平坦度解析部12が、上述した平坦度の算出方法により、基準画像G1から8段階の平坦度を表す値を算出した例(解析結果例)が示されている。つまり、平坦度解析部12が、基準画像G1における画素値の変化量を0から7の代表値に変換した例が示されている。本実施形態では、画素値の変化が最も小さい画素に対して、平坦度を表す値'0'が割り当てられており、画素値の変化が最も大きい画素に対して、平坦度を表す値'7'が割り当てられている。その間の変化量に対しては、平坦度を表す値1から6が段階的に割り当てられている。
【0050】
これにより、本実施形態では、8段階の平坦度を表す値(大きければ平坦でないことを表す値)から、基準画像G1における画線部の「背景領域」、「エッジ領域」、及び「絵柄領域」などを判別することができる。例えば、「背景領域」は、画素値の変化が最も小さいことから、平坦度を表す値'0'に基づき判別できる。次に、「絵柄領域」は、「背景領域」より画素値の変化が大きく、「エッジ領域」より画素値の変化が小さいことから、平坦度を表す値'1'から'6'に基づき判別できる。次に、「エッジ領域」は、画素値の変化が最も大きいことから、平坦度を表す値'7'に基づき判別できる。
【0051】
なお、「紙白領域」は、「画線部」の「背景領域」と同様に、平坦度を表す値'0'に基づき判別できるが、非画線部なので、紙の色や印刷データなどの各種情報に基づき判別することもできる。例えば、予めスキャナ140により読み取ったRGB値を所定の記憶領域(例えば「検査装置が備えるRAM」など)に保持しておき、保持する画素値に該当する基準画像G1の領域を「紙白領域」と判別できる。また、印刷データに含まれる余白情報や、基準画像G1の白の画素値(RGB値:255,255,255)などから、「紙白領域」を判別してもよい。
【0052】
検査制御部13は、平坦度に応じて、種別ごとの画像領域に対する印刷品質検査を制御する機能部である。本実施形態に係る検査機能では、種別ごとの画像領域に対する検査用の閾値(欠陥判定基準)を決定する処理と、基準画像G1と検査対象画像G2との比較から画素値の差分を検出する処理と、検出した差分に基づく閾値判定から印刷面の欠陥箇所を検査する処理などが実行される。検査制御部13は、これらの処理を制御する。よって、検査制御部13は、領域判別部(閾値決定部)131、差分検出部132、及び判定部(欠陥検出部)133などを有している。
【0053】
領域判別部(閾値決定部)131は、平坦度解析部12による解析結果(算出された平坦度を表す値)に基づき、基準画像G1における種別ごとの画像領域を判別する機能部である。領域判別部131は、上述したように、算出された平坦度を表す値に基づき、画線部の「背景領域」、「エッジ領域」、及び「絵柄領域」などを判別する。
【0054】
また、領域判別部131は、判別した画像領域に対して、検査用の閾値(欠陥判定基準)を決定する。上述したように、画線部の検査精度を向上させるためには、平坦度が高く滑らかな領域(画素値の変化が小さい領域)と平坦度が低く滑らかでない領域(画素値の変化が大きい領域)と、異なる閾値を用いた欠陥判定処理を行うことが望ましい。よって、領域判定部131では、予め段階的に設定しておいた複数の閾値(例えば「45」、「30」、「15」、「4」などの設定値)を、判別した画像領域の種別ごとに割り当てることで、欠陥判定処理時に用いる検査用の閾値(欠陥判定基準)を決定する。具体的には、次のような方法で検査用の閾値(欠陥判定基準)を決定する。
【0055】
例えば、判別された領域が画線部の「背景領域」の場合には、画線部において、注目画素と隣接画素との画素値の変化量(差)が最も小さく、微少な画素値の変化を検出しなければならないため、非画線部(「紙白領域」)や画線部(「絵柄領域」や「エッジ領域」)の他の領域に比べて最も小さい値(例えば「4」の設定値)を検査用の閾値として決定する。
【0056】
一方、判別された領域が画線部の「エッジ領域」の場合には、画線部において、注目画素と隣接画素との画素値の変化量(差)が最も大きく、微少な画素値の変化を検出する必要がないため、画線部の他の領域(「背景領域」や「絵柄領域」)に比べて最も大きい値(例えば「45」の設定値)を検査用の閾値として決定する。
【0057】
また、判別された領域が画線部の「絵柄領域」の場合には、画線部において、注目画素と隣接画素との画素値の変化量(差)が「背景領域」より大きく、かつ、「エッジ領域」より小さいことから、画線部の他の領域(「背景領域」や「エッジ領域」)に比べて中間の値(例えば「15」の設定値)を検査用の閾値として決定する。
【0058】
また、判別される領域の中で非画線部の「紙白領域」は、平坦度が最も高い。しかし、非画線部の「紙白領域」では、紙面上の汚れが欠陥箇所にあたり、その特性を考えると、注目画素(紙面上の汚れにあたる画素)と隣接画素との画素値の変化量(差)が大きく、微少な画素値の変化を検出すればよい。そのため、非画線部の「紙白領域」の場合には、画線部の「絵柄領域」と「エッジ領域」に割り当てた設定値の中間の値(例えば「30」の設定値)を検査用の閾値として決定する。
【0059】
このように、検査制御部13では、基準画像G1の解析により得た画素値の変化を表す平坦度に応じて、検査用の閾値(欠陥判定基準)が、画像領域の種別ごと(「紙白領域」、「背景領域」、「絵柄領域」、及び「エッジ領域」ごと)に切り換えられる。つまり、検査制御部13では、基準画像G1の平坦度に応じて、欠陥箇所の検出感度が切り換えられる。
【0060】
差分検出部132は、基準画像G1と画像取得部11から受け取った検査対象画像G2との比較から画素値の差分を検出する機能部である。差分検出部132は、判別した画像領域にあたる基準画像G1の画素と判別した画像領域と同じ位置にあたる検査対象画像G2の画素とを比較し、該当画素値の差分を検出する。具体的には、次のような方法で画素値の差分を検出する。
【0061】
図7は、本実施形態に係る差分検出方法の例を示す図である。
(A)には、画素同士の差分を検出する方法(以下「差分検出方法1」という)、(B)には、所定の矩形領域内の1画素あたりの平均差分を検出する方法(以下「差分検出方法2」という)が示されている。
【0062】
(A)に示す差分検出方法1では、基準画像G1と検査対象画像G2との間で、同じ位置の画素同士の画素値(RGB値)を比較し、差分の絶対値(R,G,Bの色成分ごとの差分値)を算出することで、画素同士の差分を検出している。
【0063】
一方(B)に示す差分検出方法2では、まず、基準画像G1と検査対象画像G2との間で、同じ位置の矩形領域R1,R2(以下総称する場合「矩形領域R」という)の各画素同士の画素値(RGB値)を比較し、画素値の差分の絶対値(R,G,Bの各色成分ごとの差分値)を算出する。例えば、(B)には、9つの隣接画素を有する「3x3」の矩形領域Rにおいて、各画素A〜I同士が比較され、その結果、9つの差分(画素A〜Iそれぞれに対応する差分値)が算出されている。次に、比較画素数分の差分値を累積加算し(差分総和を算出し)、累積加算値(差分総和値)を、矩形領域Rの面積に相当する画素数(9)で除算することで、矩形領域内の1画素あたりの平均差分(1画素あたりの平均差分値)を検出している。
【0064】
なお、上記矩形領域Rの範囲(フィルタサイズ)設定は、検出したい欠陥箇所に応じて変更するようにしてもよい。例えば、「背景領域」に発生する白スジ/黒スジ現象を検出したい場合には、発生範囲の特性に応じて、「3x3」でなく「3x7」や「7x3」などの範囲に変更してもよい。つまり、本実施形態では、判別された画像領域ごとに、差分検出方法2で用いる矩形領域Rの範囲を切り換えることもできる。
【0065】
このように、検査制御部13では、上記差分検出方法に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との間の画素値の差分が検出される。
【0066】
判定部(欠陥検出部)133は、欠陥判定処理を実行する機能部である。判定部133は、差分検出部132により検出された差分が、領域判別部131により決定された閾値(種別ごとの画像領域に対応する検査用の閾値)を超過しているか否かを判定し、判定結果に従って、印刷面に欠陥箇所が存在するか否かを判断する(印刷面の欠陥箇所を検査する)。具体的には、次のような方法で印刷面に欠陥箇所が存在するか否かを判断する。例えば、検出された差分が閾値を超過していると判定された場合には、検査対象画像G2の画像領域に異常(欠陥)があると判断する。
【0067】
このように、検査制御部13では、判別された画像領域ごとに欠陥判定が行われ、印刷面の欠陥箇所が検査される。
【0068】
以上のように、本実施形態に係る検査機能は、上記各機能部が連携動作することにより実現される。なお、本実施形態に係る検査機能は、検査装置100に搭載(インストール)されるプログラム(検査機能を実現するソフトウェア)が、演算装置(例えば「CPU」)により、記憶装置(例えば「HDD」や「ROM」など)からメモリ(RAM)上に読み出され、以下の処理が実行されることで実現される。
【0069】
本実施形態に係る検査機能の詳細な動作(機能部群の連携動作)について、処理手順を示すフローチャートを用いて説明する。
【0070】
《検査機能の主な処理》
図8は、本実施形態に係る欠陥検査時の基本処理手順例を示すフローチャートである。
図8に示すように、検査装置100は、画像取得部11により、基準画像G1及び検査対象画像G2を取得する(ステップS201)。このとき、画像取得部11は、入力を受け付けた基準画像G1を取得し、スキャナ140から受信した検査対象画像G2を取得する。
【0071】
次に、検査装置100は、平坦度解析部12により、基準画像G1の平坦度を解析する(ステップS202)。このとき、平坦度解析部12は、画像取得部11から基準画像G1を受け取り、予め決められた矩形範囲Rにおける画素値の標準偏差又は分散(ばらつき)を算出する方法や、予め決められた矩形範囲Rの注目画素と隣接画素との画素値(RGB値)の差分又は平均値を算出する方法などにより、直接平坦度を求める。
【0072】
次に、検査装置100は、検査制御部13により、平坦度に応じて、種別ごとの画像領域に対する印刷品質検査が制御される。
【0073】
検査制御部13が有する領域判別部131は、平坦度解析部12から受け取った解析結果(算出された平坦度を表す値)に基づき、基準画像G1における画線部及び非画線部の各領域を判別する(ステップS203)。このとき、領域判別部131は、紙の色や印刷データなどの各種情報に基づき非画線部の「紙白領域」を判別し、算出された平坦度を表す値に基づき、画線部の「背景領域」、「絵柄領域」、及び「エッジ領域」などの各領域を判別する。なお、本処理手順例では、8段階の平坦度を表す値(大きければ平坦でないことを表す値)が求められることを想定しており、画線部における平坦度を表す値'0'の領域を「背景領域」とし、平坦度を表す値'1'から'6'の領域を「絵柄領域」とし、平坦度を表す値'7'の領域を「エッジ領域」として判別している。
【0074】
また、領域判別部131は、予め段階的に設定しておいた複数の設定値AからD(設定値の関係式:D>A>C>B)を、判別した画像領域の種別ごとに割り当て、検査用の閾値(欠陥判定基準)を決定する。なお、本処理手順例では、最も数値が大きい設定値Dを「エッジ領域」の閾値とし、最も数値の小さい設定値Bを「背景領域」の閾値とし、設定値Dの次に数値が大きい設定値Aを「紙白領域」の閾値とし、設定値Aの次に数値が大きい設定値Cを「絵柄領域」の閾値として決定している。
【0075】
次に、検査制御部13が有する差分検出部132は、領域判別部131による判別結果に基づき、種別ごとの画像領域に対する欠陥判定処理が実行される。
【0076】
(a)紙白領域に対する処理
差分検出部132は、領域判別部131により判別された領域が非画線部の「紙白領域」であった場合に(ステップS204:YES)、上述した差分検出方法1に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との画素同士を比較し、画素値の差分を検出する(ステップS205)。このとき、差分検出部132は、基準画像G1と検査対象画像G2との間で、同じ位置の画素同士の画素値(RGB値)を比較し、差分の絶対値(R,G,Bの色成分ごとの差分値)を、画素値の差分として検出する。
【0077】
次に、検査制御部13が有する判定部133は、差分検出部132により検出された差分が、「紙白領域」の閾値A(紙白領域の欠陥判定基準)以上か否かを判定する(ステップS206)。その結果、判定部133は、差分が閾値A以上であった場合に(ステップS206:YES)、検査対象画像G2の「紙白領域」に発生した異常(欠陥)を検出する。
【0078】
つまり、検査制御部13は、非画線部の「紙白領域」では、判別された画像領域の中で、最も平坦度が高いが、微少な画素値の変化を検出する必要がないため、画線部の「絵柄領域」と「エッジ領域」とに割り当てる設定値の中間の値の閾値Aを用いて欠陥検査を行う。
【0079】
(b)背景領域に対する処理
差分検出部132は、領域判別部131により判別された領域が非画線部でなく、画線部の「背景領域」であった場合に(ステップS204:NO,ステップS207:YES)、上述した差分検出方法1に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との画素同士を比較し、画素値の差分を検出する(ステップS208)。
【0080】
次に、判定部133は、差分検出部132により検出された差分が、「背景領域」の閾値B(背景領域の欠陥判定基準)以上か否かを判定する(ステップS209)。その結果、判定部133は、差分が閾値B以上であった場合に(ステップS209:YES)、検査対象画像G2の「背景領域」に発生した異常(欠陥)を検出する。
【0081】
つまり、検査制御部13は、画線部の「背景領域」では、微少な画素値の変化を検出しなければならないため、非画線部(「紙白領域」)や画線部(「絵柄領域」や「エッジ領域」)の他の領域に比べて最も小さい値の閾値Bを用いて欠陥検査を行う。
【0082】
(c)絵柄領域に対する処理
差分検出部132は、領域判別部131により判別された領域が「背景領域」でなく、「絵柄領域」であった場合に(ステップS207:NO,ステップS210:YES)、上述した差分検出方法1に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との画素同士を比較し、画素値の差分を検出する(ステップS211)。
【0083】
次に、判定部133は、差分検出部132により検出された差分が、「絵柄領域」の閾値C(絵柄領域の欠陥判定基準)以上か否かを判定する(ステップS212)。その結果、判定部133は、差分が閾値C以上であった場合に(ステップS212:YES)、検査対象画像G2の「絵柄領域」に発生した異常(欠陥)を検出する。
【0084】
つまり、検査制御部13は、画線部の「絵柄領域」では、画素値の変化量(差)が「背景領域」より大きく、かつ、「エッジ領域」より小さいことから、画線部の他の領域(「背景領域」や「エッジ領域」)に比べて中間の値の閾値Cを用いて欠陥検査を行う。
【0085】
(d)エッジ領域に対する処理
差分検出部132は、領域判別部131により判別された領域が「絵柄領域」でなく、「エッジ領域」であった場合に(ステップS210:NO)、上述した差分検出方法1に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との画素同士を比較し、画素値の差分を検出する(ステップS213)。
【0086】
次に、判定部133は、差分検出部132により検出された差分が、「エッジ領域」の閾値C(エッジ領域の欠陥判定基準)以上か否かを判定する(ステップS214)。その結果、判定部133は、差分が閾値D以上であった場合に(ステップS214:YES)、検査対象画像G2の「エッジ領域」に発生した異常(欠陥)を検出する。
【0087】
つまり、検査制御部13は、画線部の「エッジ領域」では、微少な画素値の変化を検出する必要がないため、画線部の他の領域(「背景領域」や「絵柄領域」)に比べて最も大きい値の閾値Dを用いて欠陥検査を行う。
【0088】
このように、本実施形態に係る検査装置100では、基準画像G1の解析により得た画素値の変化を表す平坦度に応じて、欠陥判定処理で用いる閾値(欠陥判定基準)を、画像領域の種別ごとに切り換える。つまり、平坦度から判別された画像領域ごとに、その領域にあった検査用の閾値(欠陥判定基準)が用いられる。これにより、本実施形態では、画素値の変化が大きい領域(平坦度が低い領域)に対する過剰な欠陥検出(欠陥箇所の誤判定)を防止し、一方で、画素値の変化が小さい領域(平坦度が高い領域)に対して厳しい欠陥検出が行われる。
【0089】
なお、上記には、差分検出方法1を用いた場合の処理手順例を示したが、この限りでない。差分検出方法1の代わりに、差分検出方法2を用いてもよい。
【0090】
この場合、上記ステップS205,S208,S211,S213の処理は、次のような手順となる。差分検出部132は、基準画像G1と検査対象画像G2との同じ位置の矩形領域Rの各画素同士を比較し、1画素あたりの平均差分を検出する。このとき、差分検出部132は、まず、基準画像G1と検査対象画像G2との間で、同じ位置の矩形領域Rの各画素同士の画素値(RGB値)を比較し、画素値の差分の絶対値(R,G,Bの各色成分ごとの差分値)を算出する。次に、差分検出部132は、比較画素数分の差分値が累積加算された差分総和値を、矩形領域Rの面積に相当する画素数で除算し、1画素あたりの平均差(R,G,Bの色成分ごとの1画素あたりの平均差分値)を検出する。
【0091】
これにより、上記ステップS206,S208,S212,S214の処理では、算出された1画素あたりの平均差と検査用の閾値(欠陥判定基準)とにより欠陥判定処理が行われる。
【0092】
《検査機能の処理:その2》
また、上記機能構成の説明では、差分検出部132による2つの差分検出方法について説明を行った。その中で、差分検出方法2は、差分検出方法1に比べて精度の高い検出方法である。よって、差分検出部132では、検査用の閾値(欠陥判定基準)と同様に、判別された画像領域に対して、上述した差分検出方法1又は2のどちらの方法を適用するかを切り換えるようにしてもよい。具体的には、次の通りである。
【0093】
例えば、画線部において、判別された領域が「絵柄領域」や「エッジ領域」の場合には、差分検出方法1を適用し、一方、判別された領域が「背景領域」の場合には、「絵柄領域」や「エッジ領域」などの領域に比べて精度の高い差分検出方法2を適用する。なお、ここでいう「差分検出方法の適用」とは、差分検出部132を、差分検出方法1又は2のどちらかの方法に従って機能させることを意味する。
【0094】
この場合の欠陥検査時の処理手順例を以下に示す。
図9は、本実施形態に係る欠陥検査時の処理手順例(その1)を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、図8の処理手順と異なる点(ステップS305,S308,S311,S313の処理)についてのみ説明する。
【0095】
(a)紙白領域に対する処理
差分検出部132は、領域判別部131により判別された領域が非画線部の「紙白領域」であった場合に(ステップS304:YES)、差分検出方法1に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との画素同士を比較し、画素値の差分を検出する(ステップS305)。
【0096】
つまり、検査制御部13は、非画線部の「紙白領域」では、微少な画素値の変化を検出する必要がないため、相対的に精度の低い差分検出方法1を用いて差分検出を行う。
【0097】
(b)背景領域に対する処理
差分検出部132は、領域判別部131により判別された領域が非画線部でなく、画線部の「背景領域」であった場合に(ステップS304:NO,ステップS307:YES)、差分検出方法2に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との同じ位置の矩形領域Rの各画素同士を比較し、1画素あたりの平均差分を検出する(ステップS308)。
【0098】
つまり、検査制御部13は、画線部の「背景領域」では、微少な画素値の変化を検出しなければならないため、相対的に精度の高い差分検出方法2を用いて差分検出を行う。
【0099】
(c)絵柄領域に対する処理
差分検出部132は、領域判別部131により判別された領域が「背景領域」でなく、「絵柄領域」であった場合に(ステップS307:NO,ステップS310:YES)、差分検出方法1に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との画素同士を比較し、画素値の差分を検出する(ステップS311)。
【0100】
つまり、検査制御部13は、画線部の「絵柄領域」では、微少な画素値の変化を検出する必要がないため、相対的に精度の低い差分検出方法1を用いて差分検出を行う。
【0101】
(d)エッジ領域に対する処理
差分検出部132は、領域判別部131により判別された領域が「絵柄領域」でなく、「エッジ領域」であった場合に(ステップS310:NO)、差分検出方法1に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との画素同士を比較し、画素値の差分を検出する(ステップS313)。
【0102】
つまり、検査制御部13は、画線部の「エッジ領域」では、微少な画素値の変化を検出する必要がないため、相対的に精度の低い差分検出方法1を用いて差分検出を行う。
【0103】
このように、本実施形態に係る検査装置100では、基準画像G1の平坦度に応じて、検査用の閾値(欠陥判定基準)及び差分検出方法を、画像領域の種別ごとに切り換える。つまり、平坦度から判別された画像領域ごとに、その領域にあった検査用の閾値(欠陥判定基準)及び差分検出方法が用いられる。これにより、本実施形態では、高精度な印刷品質検査が行える。
【0104】
《検査機能の処理:その3》
また、本実施形態に係る検査機能は、検出した欠陥の種別を判別する機能(以下「欠陥判別機能」という)と連携動作するようにしてもよい。欠陥判別機能は、種別ごとの画像領域から検出された差分データに基づき、欠陥の種別を判別する。なお、欠陥判別機能は、判別する欠陥の種類に応じて、その判別方法を変更する必要がある。よって、以下には、判別する欠陥を、「背景領域」に発生した白スジ/黒スジ現象として説明する。
【0105】
図10は、本実施形態に係る欠陥検査時の処理手順例(その2)を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、図9の処理手順と異なる点(ステップS411の欠陥判別処理)についてのみ説明する。
図10に示すように、検査装置100は、検査制御部13により、領域ごとに差分検出処理及び欠陥判定処理が行われると、種別ごとの画像領域から検出された差分データに基づき、検出された欠陥が白スジ/黒スジ現象か否かを判定する(ステップS415)。このとき、検査装置100では、次のような処理により白スジ/黒スジ現象を判別する。
【0106】
検査装置100は、まず、差分データ(検査用の閾値を超過した差分値)に基づき、検査対象画像G2においてラベリング処理を行う。ここでいう「ラベリング処理」とは、連結画素(例えば「8つの画素群」)に同じラベルを付加することで複数の領域をグループとして分類する画像処理を意味する。よって、検査装置100では、上記ラベリング処理により、検査対象画像上の欠陥箇所に該当する外接矩形の画像領域が特定される。
【0107】
次に、検査装置100は、特定された外接矩形の画像領域の幅、高さ、及び縦横比が、予め設定しておいた矩形幅、高さ、及び縦横比の閾値(欠陥判別基準)以上か否かを判定する。なお、幅、高さ、及び縦横比の閾値(欠陥判別基準)は、判別する欠陥に応じて設定しておく。
【0108】
その結果、検査装置100は、特定された外接矩形の画像領域の幅、高さ、及び縦横比が、各閾値以上であった場合に(ステップS415:YES)、検査対象画像G2に発生した欠陥が白スジ/黒スジ現象と判別する。
【0109】
なお、上記ラベリング処理では、外接矩形の画像領域が複数特定される場合がある。このような場合、検査装置100は、外接矩形の画像領域の隣接距離を画像の座標空間(画素の座標値)から算出し、算出した隣接距離が、予め設定しておいた隣接距離の閾値未満であれば、該当する外接矩形を1つの画像領域として統合する。その結果、検査装置100は、統合した画像領域の幅、高さ、及び統合した外接矩形数などに基づき、検出された欠陥箇所の密集度から、欠陥の種別を判別してもよい。
【0110】
<変形例>
ここで、上記実施形態に対する変形例を説明する。
【0111】
《変形例1》
上記実施形態では、検査装置100を検査機能が動作するハードウェア環境として説明したが、この限りでない。例えば、図11に示すような画像処理装置であってもよい。
【0112】
図11は、検査機能が動作する画像処理装置200のハードウェア構成例を示す図である。
図11に示すように、画像処理装置200は、コントローラ210及びスキャナ240などを備え、それぞれが相互にバスBで接続されている。
【0113】
スキャナ240は、印刷物を光学的に読み取り、読み取り画像を生成する読み取り装置である。コントローラ210は、CPU211、記憶装置212、ネットワークI/F213、及び外部記憶I/F214などを備える制御基板であり、それぞれが相互にバスBで接続されている。
【0114】
記憶装置212は、RAM、ROM、及び/又はHDDなどを含み、各種プログラムやデータを格納し保持する装置である。CPU211は、ROMやHDDから、プログラムやデータをRAM(メモリ)上に読み出し、処理を実行する(読み出したプログラムやデータの処理を実行する)ことで、装置全体の制御や搭載機能を実現する演算装置である。よって、上述した検査機能は、RAM上に読み出されたプログラムがCPU211により実行されることで実現できる。
【0115】
ネットワークI/F213は、画像処理装置200をデータ伝送路Nに接続するインタフェースである。これにより、画像処理装置200は、ネットワークI/F213を介して、通信機能を有する他の機器とデータ通信を行うことができる。外部記憶I/F214は、外部記憶装置にあたる記録媒体214aとのインタフェースである。記録媒体214aには、例えば、SDメモリカードやUSBメモリなどがある。これにより、画像処理装置200は、外部記憶I/F214を介して、記録媒体214aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。
【0116】
以上のように、画像処理装置100では、上記ハードウェア構成により、印刷物の検査サービスを当該装置単体で提供することができる。
【0117】
《変形例2》
また、例えば、図12に示すように、MFP(Multifunction Peripheral)などの画像形成装置であってもよい。
【0118】
図12は、検査機能が動作する画像形成装置300のハードウェア構成例を示す図である。
図12に示すように、画像形成装置300は、コントローラ310、操作パネル320、プロッタ330、及びスキャナ340などを備え、それぞれが相互にバスBで接続されている。
【0119】
操作パネル320は、入力部や表示部を備えており、機器情報などの各種情報を利用者に提供したり、動作設定や動作指示などの各種利用者操作を受け付けたりする入力・表示装置である。プロッタ330は、画像形成部材を備えており、用紙に出力画像を形成する印刷装置である。出力画像を形成する方式には、例えば、電子写真プロセスやインクジェット方式などがある。
【0120】
コントローラ310は、CPU311、記憶装置312、ネットワークI/F313、及び外部記憶I/F314などを備える制御基板であり、それぞれが相互にバスBで接続されている。
【0121】
記憶装置312は、RAM、ROM、及びHDDなどを含み、各種プログラムやデータを格納及び/又は保持する装置である。CPU311は、ROMやHDDから、プログラムやデータをRAM上に読み出し、処理を実行する(記憶装置から読み出したプログラムやデータの処理を実行する)ことで、装置全体の制御や搭載機能を実現する演算装置である。よって、上述した検査機能は、RAM上に読み出されたプログラムがCPU311により実行されることで実現できる。
【0122】
ネットワークI/F313は、画像形成装置300をデータ伝送路Nに接続するインタフェースである。これにより、画像形成装置300は、ネットワークI/F313を介して、通信機能を有する他の機器とデータ通信を行うことができる。外部記憶I/F314は、外部記憶装置にあたる記録媒体314aとのインタフェースである。記録媒体314aには、例えば、SDメモリカードやUSBメモリなどがある。これにより、画像形成装置300は、外部記憶I/F314を介して、記録媒体314aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。
【0123】
以上のように、画像形成装置300でも、上記ハードウェア構成により、画像処理装置200と同様に、印刷物の検査サービスを当該装置単体で提供することができる。
【0124】
また、上記実施形態では、スキャナ140と検査装置100とが接続される検査システム1010について説明を行ったが、この限りでない。例えば、検査装置100が、上記画像処理装置200や上記画像形成装置300と接続される構成であってもよい。この場合、上記画像処理装置200や上記画像形成装置300からは、検査装置100に対して、検査対象画像G2が送信されることになる。
【0125】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る検査装置100によれば、画像取得部11により、基準画像G1及び検査対象画像G2を取得する。次に、検査装置100は、平坦度解析部12により、取得した基準画像G1において、画素値の変化を表す平坦度を解析する。
【0126】
その結果、検査装置100は、検査制御部13により、解析結果の平坦度から、種別ごとの画像領域を判別し、判別した画像領域に対する検査用の閾値(欠陥判定基準)を決定する。その後、検査制御部13は、判別した画像領域にあたる基準画像G1の画素と判別した画像領域と同じ位置にあたる検査対象画像G2の画素とを比較し、該当画素値の差分を検出する。これにより、検査制御部13は、検出した差分が閾値を超過しているか否かを判定し、印刷面の欠陥箇所を検査する。
【0127】
これによって、本実施形態に係る検査装置100では、画素値の変化が小さい領域(平坦度が高い領域)に対して、画素値の変化が大きい領域(平坦度が低い領域)に比べて厳しい欠陥判定基準で印刷品質の検査(感度の高い検査)が行われる。その結果、高精度な印刷品質検査が行える。
【0128】
[第2の実施形態]
本実施形態と第1の実施形態との違いは、画線部の「背景領域」が判別された際に、検査対象画像を解析して得た平坦度に応じて、該領域に対する欠陥判定処理で用いる閾値(欠陥判定基準)を切り換える点である。
【0129】
なお、以降の説明では、第1の実施形態と異なる点についてのみ説明し、同じ点については、同一参照符号を付し、その説明を省略する。
【0130】
<検査機能>
図13は、本実施形態に係る検査機能の構成例を示す図である。
図13に示すように、平坦度解析部12は、画像取得部11から受け取った検査対象画像G2においても、基準画像G1と同様に、画素値の変化を表す平坦度を解析する。具体的な解析方法は、第1の実施形態で示した通りである。よって、本実施形態では、平坦度解析部12が、基準画像G1と検査対象画像G2との2つの解析結果(基準画像G1を解析して得た平坦度を表す値及び検査対象画像G2を解析して得た平坦度を表す値)を保持することになる。
【0131】
検査制御部13は、これらの解析結果を受け取ると、領域判別部131により、基準画像G1の解析結果に基づき、種別ごとの画像領域を判別し、各領域に対して、検査用の閾値(欠陥判定基準)を決定する。
【0132】
このとき、検査制御部13では、領域判別部131により、画線部の「背景領域」が判別された場合、次のように検査用の閾値(欠陥判定基準)を決定する。
【0133】
まず、領域判別部131は、受け取った解析結果のうち、「背景領域」と判別された基準画像G1の画像領域と同じ位置の検査対象画像G2の画像領域に対応する平坦度を表す値を参照する。なお、基準画像G1と検査対象画像G2とは、平坦度解析部12による解析時に画像の座標空間が調整されているものとする。
【0134】
領域判別部131は、参照値に基づき、検査対象画像G2の画像領域が平坦か否かを判定する。具体的には、「背景領域」と判別された基準画像G1の画像領域と同じ位置の検査対象画像G2の画像領域に対応する平坦度を表す値が、予め設定しておいた閾値(例えば「2」)以上か否かを判定する。
【0135】
例えば、基準画像G1では「背景領域」と判別された画像領域に対して、該画像領域と同じ位置の検査対象画像G2の画像領域が平坦でない場合、何らかの欠陥が存在していることが考えられる。
【0136】
そのため、領域判別部131では、上記判定処理により、検査対象画像G2の画像領域の平坦度が閾値以上であった場合に、基準画像G1では「背景領域」と判別された画像領域と同じ位置の検査対象画像G2の画像領域に欠陥が存在すると想定し、微少な画素値の変化を検出可能な値(例えば「4」)を、「背景領域」に対応する検査用の第1閾値(欠陥判定基準)として決定する。
【0137】
一方、検査対象画像G2の画像領域の平坦度が閾値未満であった場合には、検査対象画像G2の画像領域に欠陥が存在しないと想定し、欠陥が存在すると想定した場合の値より大きい値(例えば「10」)を、「背景領域」に対応する検査用の第2閾値(欠陥判定基準)として決定する。
【0138】
また、検査制御部13では、領域判別部131による上記判定結果(平坦度の閾値超過)に基づき、欠陥が存在すると想定した場合と存在しないと想定した場合とで、精度の異なる差分検出処理及び欠陥判定処理を行うように制御する。具体的には、次のように制御する。
【0139】
検査対象画像G2の画像領域の平坦度が閾値以上であった場合(欠陥が存在すると想定した場合)には、差分検出部132が、第1の実施形態で示した差分検出方法2に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との差分(矩形領域内の1画素あたりの平均差分)を検出する。また、判定部133が、検出された差分が、上記第1閾値以上か否かを判定し、「背景領域」の欠陥箇所を検出する。なお、上記差分検出方法2の実行では、矩形領域Rの範囲を、「背景領域」に発生する白スジ/黒スジ現象を検出する場合に用いる「3x7」や「7x3」などの範囲に変更してもよい。
【0140】
一方、検査対象画像G2の画像領域の平坦度が閾値未満であった場合(欠陥が存在しないと想定した場合)には、差分検出部132が、第1の実施形態で示した差分検出方法1に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との差分(画素同士の差分)を検出する。また、判定部133が、検出された差分が、上記第2閾値以上か否かを判定し、「背景領域」の欠陥箇所を検出する。
【0141】
これにより、本実施形態では、画素値の変化が小さい領域(平坦度が高い領域)に対して、検査対象画像G2を解析して得た平坦度に基づき、欠陥の存在を予測し、欠陥の存在が予測された画像領域に対して、厳しい欠陥判定基準で印刷品質の検査(感度の高い検査)が行われる。その結果、高精度な印刷品質検査が効率よく行える。
【0142】
以上のように、本実施形態に係る検査機能は、上記各機能部が連携動作することにより実現される。なお、本実施形態に係る検査機能は、検査装置100に搭載されるプログラムが、演算装置により、記憶装置からメモリ上に読み出され、以下の処理が実行されることで実現される。
【0143】
本実施形態に係る検査機能の詳細な動作について、処理手順を示すフローチャートを用いて説明する。
【0144】
《検査機能の処理》
図14は、本実施形態に係る欠陥検査時の処理手順例を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、第1の実施形態に示した処理手順と異なる点(ステップS502,S508の処理)についてのみ説明する。
図14に示すように、検査装置100は、画像取得部11により、基準画像G1及び検査対象画像G2を取得すると(ステップS501)、平坦度解析部12により、基準画像G1及び検査対象画像G1それぞれの平坦度を解析する(ステップS502)。このとき、平坦度解析部12は、基準画像G1と検査対象画像G2と画像の座標空間を調整し、両画像の解析結果を対応づける。両画像の解析結果は、平坦度解析部12から検査制御部13に渡される。
【0145】
次に、検査装置100は、検査制御部13により、受け付けた基準画像G1の解析結果(基準画像を解析して得た平坦度)に応じて、種別ごとの画像領域に対する印刷品質検査が制御される。
【0146】
このとき、検査制御部13は、領域判別部131により、画線部の「背景領域」が判別された場合(ステップS504:NO,ステップS507:YES)、図15に示すような欠陥検査処理を実行する(ステップS508)。
【0147】
《背景領域に対する欠陥検査処理》
図15は、本実施形態に係る背景領域に対する欠陥検査時の処理手順例を示すフローチャートである。
検査制御部13は、領域判別部131により、検査対象画像G2の解析結果に基づき、基準画像G1の「背景領域」に対応する検査対象画像G2の画像領域が平坦か否かを判定する(ステップS601)。このとき、領域判別部131は、受け取った解析結果のうち、検査対象画像G2の解析結果を参照し、参照値(検査対象画像を解析して得た平坦度を表す値)が、予め設定しておいた閾値以上か否かを判定する。
【0148】
領域判別部131は、参照値が閾値未満であった場合に(ステップS601:YES)、検査対象画像G2の該当画像領域に欠陥が存在しないと想定し、差分検出部132が、差分検出方法1に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との差分(画素同士の差分)を検出する(ステップS602)。
【0149】
次に、判定部133が、差分検出部132により検出された差分が、検査用の閾値B1以上か否かを判定する(ステップS603)。なお、検査用の閾値B1は、参照値が閾値未満であった場合に、領域判別部131により、欠陥が存在すると想定した場合の値より大きい値を、検査用の第2閾値(欠陥判定基準)として決定した値である。
【0150】
その結果、判定部133は、差分が閾値B1以上であった場合に(ステップS603:YES)、検査対象画像G2の該当画像領域に発生した異常(欠陥)を検出する。
【0151】
一方、領域判別部131は、参照値が閾値以上であった場合に(ステップS601:NO)、検査対象画像G2の該当画像領域に欠陥が存在すると想定し、差分検出部132が、差分検出方法2に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との差分(矩形領域内の1画素あたりの平均差分)を検出する(ステップS604)。
【0152】
次に、判定部133が、差分検出部132により検出された差分が、検査用の閾値B2以上か否かを判定する(ステップS605)。なお、検査用の閾値B2は、参照値が閾値以上であった場合に、領域判別部131により、微少な画素値の変化を検出可能な値を、検査用の第1閾値(欠陥判定基準)として決定した値である。
【0153】
その結果、判定部133は、差分が閾値B2以上であった場合に(ステップS605:YES)、検査対象画像G2の該当画像領域に発生した異常(欠陥)を検出する。
【0154】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る検査装置100によれば、画像取得部11により、基準画像G1及び検査対象画像G2を取得する。次に、検査装置100は、平坦度解析部12により、取得した基準画像G1及び検査対象画像G2において、画素値の変化を表す平坦度を解析する。
【0155】
その結果、検査装置100は、検査制御部13により、基準画像G2を解析して得た平坦度から、種別ごとの画像領域を判別し、判別した画像領域に対する検査用の閾値(欠陥判定基準)を決定する。
【0156】
このとき、検査制御部13は、画素値の変化が小さい領域(平坦度が高い領域)が判別されると、検査対象画像G2を解析して得た平坦度のうち、判別された基準画像G1の画像領域に対応する検査対象画像G2の画像領域を解析して得た平坦度を参照する。検査制御部13は、参照した平坦度に基づき、欠陥の存在を予測し、欠陥の存在が予測された画像領域に対して、厳しい欠陥判定基準を決定する。
【0157】
その後、検査制御部13は、判別した画像領域にあたる基準画像G1の画素と判別した画像領域と同じ位置にあたる検査対象画像G2の画素とを比較し、該当画素値の差分を検出する。これにより、検査制御部13は、検出した差分が閾値を超過しているか否かを判定し、印刷面の欠陥箇所を検査する。
【0158】
これによって、本実施形態に係る検査装置100では、第1の実施形態と同様の効果を奏するとともに、画素値の変化が小さい領域(平坦度が高い領域)に対して、印刷品質検査が効率よく行える。
【0159】
ここまで、上記実施形態の説明を行ってきたが、上記実施形態に係る「検査機能」は、図を用いて説明を行った各処理手順を、動作環境(プラットフォーム)にあったプログラミング言語でコード化したプログラムが、検査装置100(コンピュータ)が備える演算装置により実行されることで実現される。
【0160】
上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体103aに格納することができる。これにより、例えば、上記プログラムは、記録媒体103aに記憶させることで、ドライブ装置103を介して、検査装置100にインストールすることができる。また、検査装置100は、インタフェース装置107を備えていることから、電気通信回線を用いて上記プログラムをダウンロードし、インストールすることもできる。
【0161】
また、上記実施形態では、画素値の変化を8段階で表す平坦度の例を示したが、この限りでない。例えば、平坦度は、画素値の変化を表す段階設定に従って決定できる。なお、段階設定は、検査精度を考慮して予め設定しておけばよい。
【0162】
また、上記実施形態では、平坦度に基づき、画線部の「背景領域」、「絵柄領域」、及び「エッジ領域」などの3つの画像領域を判別する例を示したが、この限りでない。例えば、より少ない領域を判別するようにしてもよいし、より多くの領域を判別するようにしてもよい。なお、判別する画像領域の数は、画線部の領域種別と平坦度の範囲との割り当てにより決定される。
【0163】
また、上記実施形態で示した領域種別ごとの差分検出処理は、例えば、検査装置100に画像処理プロセッサ(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)が備えられている場合、並列処理することもできる。この場合、領域種別ごとに検出された差分を、所定の記憶領域に一時保持し、演算装置で実行される欠陥判定処理で、保持された差分を参照することで検査機能を実現できる。
【0164】
また、上記実施形態では、基準画像G1及び検査対象画像G2において、平坦度の解析を行っているが、この限りでない。例えば、基準画像G1を解析して得た平坦度から画線部の「背景領域」が判別された場合に、検査対象画像G2の平坦度を解析するようにしてもよい。
【0165】
最後に、上記実施形態に挙げた形状や構成に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した要件に、本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0166】
11 画像取得部
12 平坦度解析部
13 検査制御部
131 領域判別部(検査用閾値決定部)
132 差分検出部
133 判定部
100 検査装置(情報処理装置)
101 入力装置
102 表示装置
103 ドライブ装置(a:記録媒体)
104 RAM(揮発性の半導体メモリ)
105 ROM(不揮発性の半導体メモリ)
106 CPU(演算装置)
107 インタフェース装置(NIC:Network I/F Card)
108 HDD(不揮発性の記憶装置)
140,240,340 スキャナ(読み取り装置)
200 画像処理装置
300 画像形成装置
210,310 コントローラ(制御基板)
211,311 CPU
212,312 記憶装置(ROM,RAM,HDDなど)
213,313 ネットワークI/F
214,314 外部記憶I/F
1010 検査システム
B バス
G 画像(1:基準画像,2:検査対象画像)
N データ伝送路(ネットワーク)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0167】
【特許文献1】特開2006−88562号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷面の読み取り画像により印刷物の印刷品質を検査する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
商業印刷では、品質管理が厳しく行われる。例えば、印刷物が意図した通りに印刷(高品質に印刷)されたか否かの確認作業が行われ、その工程で厳しく検査される。商業印刷では、検査対象となる印刷物が大量となることから、このような確認作業を、作業員の目視によって行うことは、非効率であり、かつ検査結果が一定でない(ムラが発生してしまう)点が懸念される。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1に開示される技術により、印刷物の品質検査を自動化することができる。具体的に、特許文献1には、入力された製版データから、印刷領域内の印刷される領域(トナー/インクが載る箇所:以下「画線部」という)と印刷されない領域(トナー/インクが載らない箇所:以下「非画線部」という)とを判別し、製版データと印刷面から読み取った読み取り画像との濃度(又は光量)を、判別した画線部及び非画線部ごとに比較し、比較結果(差分)と検査用の閾値とを用いた欠陥判定処理を行うことで、印刷物の品質検査を自動化する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、画線部における印刷品質の検査精度が低いという問題がある。
【0005】
例えば、画線部には、絵柄やエッジなどの画素値の変化が大きい領域(平坦度が低い領域)と、背景などの画素値の変化が小さい領域(平坦度が高い領域)が混在する場合がある。この場合、画素値の変化が小さい領域では、画素値の変化が大きい領域に比べて、微少な画素値の変化であっても、人の目に認識されやすく、印刷品質に影響を及ぼしてしまう。
【0006】
そのため、同じ画線部であっても、画素値の変化が小さい領域と画素値の変化が大きい領域とでは、異なる閾値を用いた欠陥判定処理を行うことが望ましい。なぜなら、例えば、画素値の変化が大きい領域に対応する検査用の閾値を、画素値の変化が小さい領域に対する欠陥判定処理に用いた場合には、閾値が大きすぎることから、欠陥箇所を判定できない。一方、画素値の変化が小さい領域に対応する検査用の閾値を、画素値の変化が大きい領域に対する欠陥判定処理に用いた場合には、閾値が小さすぎることから、本来、該当しない箇所まで、欠陥箇所と判定されてしまう。
【0007】
本発明は上記従来技術の問題点を鑑み提案されたものであり、高精度な印刷品質検査が行える検査装置、検査方法、検査プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る検査装置は、印刷面の読み取り画像により印刷物の印刷品質を検査する検査装置であって、前記読み取り画像を検査対象画像として所得し、印刷データをリッピングした画像を基準画像として取得する取得手段と、取得した基準画像において、画素値の変化を表す平坦度を解析する解析手段と、解析結果の平坦度に基づき、検査用の閾値を、画像領域の種別ごとに切り換え、前記基準画像と前記検査対象画像との比較から得た画素値の差分が前記検査用の閾値を超過しているか否かの判定結果に基づき、領域種別ごとに印刷品質を検査するように制御する制御手段と、を有している。
【0009】
このような構成によって、本発明に係る検査装置は、印刷面の読み取り画像を検査対象画像として所得し、印刷データをリッピングした画像を基準画像として取得する。検査装置は、取得した基準画像において、画素値の変化を表す平坦度を解析する。検査装置は、解析結果の平坦度に基づき、画線部における画像領域の種別ごとに検査用の閾値(欠陥判定基準)を切り換える。検査装置は、画像領域にあたる基準画像の画素と検査対象画像の画素とを比較し、該当画素値の差分が閾値を超過しているか否かを判定し、判定結果に基づき、印刷面の欠陥箇所を検査する。
【0010】
これによって、本発明に係る検査装置では、高精度な印刷品質検査を行うことができる。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る検査方法は、印刷面の読み取り画像により印刷物の印刷品質を検査する検査装置における検査方法であって、前記読み取り画像を検査対象画像として所得し、印刷データをリッピングした画像を基準画像として取得する取得手順と、前記取得手順により取得された基準画像において、画素値の変化を表す平坦度を解析する解析手順と、前記解析手順による解析結果の平坦度に基づき、検査用の閾値を、画像領域の種別ごとに切り換え、前記基準画像と前記検査対象画像との比較から得た画素値の差分が前記検査用の閾値を超過しているか否かの判定結果に基づき、領域種別ごとに印刷品質を検査するように制御する制御手順と、を有している。
【0012】
このような手順によって、本発明に係る検査方法は、印刷面の読み取り画像を検査対象画像として所得し、印刷データをリッピングした画像を基準画像として取得し、取得した基準画像において、画素値の変化を表す平坦度を解析し、解析結果の平坦度に基づき、画像領域の種別ごとに検査用の閾値(欠陥判定基準)を切り換え、画像領域にあたる基準画像の画素と検査対象画像の画素とを比較し、該当画素値の差分が閾値を超過しているか否かを判定し、判定結果に基づき、印刷面の欠陥箇所を検査するという動作を実現する。
【0013】
これによって、本発明に係る検査方法では、高精度な印刷品質検査が可能な環境を提供できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、基準画像(印刷データをリッピングした画像)の解析により得た画素値の変化を表す平坦度に応じて、欠陥判定処理で用いる閾値(欠陥判定基準)を、画像領域の種別ごとに切り換えることで、高精度な印刷品質検査が行える検査装置、検査方法、検査プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る検査システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る検査装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】従来の検査処理例を示す図である。
【図4】画像領域における画素値の差分の違いを示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る検査機能の構成例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る画像領域種別と平坦度との関係を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る差分検出方法の例を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る欠陥検査時の基本処理手順例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る欠陥検査時の処理手順例(その1)を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る欠陥検査時の処理手順例(その2)を示すフローチャートである。
【図11】検査機能が動作する画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図12】検査機能が動作する画像形成装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る検査機能の構成例を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る欠陥検査時の処理手順例を示すフローチャートである。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る背景領域に対する欠陥検査時の処理手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下「実施形態」という)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
[第1の実施形態]
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る検査システム1010の構成例を示す図である。
図1には、スキャナ140と検査装置100とが、所定のデータ伝送路N(例えば「ネットワークケーブル」や「シリアル/パラレルケーブル」など)で接続される構成例が示されている。
【0018】
スキャナ140は、印刷物の印刷面を光学的に読み取り、読み取り画像を取得する読み取り装置である。一方、検査装置100は、印刷物の印刷品質を検査する情報処理装置である。
【0019】
これにより、利用者は、次のような印刷物の印刷品質を検査するサービス(以下「検査サービス」という)を利用することができる。例えば、利用者は、検査装置100に、印刷物を得るための印刷データをリッピングした画像を、印刷品質を検査する上での基準画像として入力する。次に、利用者は、スキャナ140で印刷物の印刷面を読み取る。
【0020】
その結果、スキャナ140から検査装置100に読み取り画像が送信される。検査装置100では、受信した読み取り画像と入力された基準画像との比較により画素値の差分が検出され、検出された画素値の差分と設定された検査用の閾値(欠陥判定基準)とに基づく欠陥判定処理が行われる。これにより、利用者は、印刷品質の検査結果を得ることができる。
【0021】
以上のように、本実施形態に係る検査システム1では、上記システム構成により、印刷物の検査サービスを提供することができる。なお、上記検査システム1010では、1台の検査装置100に対して、複数のスキャナ140が接続される構成であってもよい。これにより、商業印刷のような大量の印刷物を検査する場合、複数のスキャナ140により複数の印刷物を同じに読み取り、検査装置100において欠陥判定処理を並列処理することで、印刷品質の検査を効率的に実施することができる。
【0022】
<ハードウェア構成>
次に、本実施形態に係る検査装置100のハードウェア構成について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る検査装置のハードウェア構成例を示す図である。
図2に示すように、検査装置100は、入力装置101、表示装置102、ドライブ装置103、RAM(Random Access Memory)104、ROM(Read Only Memory)105、CPU(Central Processing Unit)106、インタフェース装置107、及びHDD(Hard Disk Drive)108などを備え、それぞれがバスBで相互に接続されている。
【0023】
入力装置101は、キーボードやマウスなどを含み、検査装置100に各操作信号を入力するのに用いられる。表示装置102は、ディスプレイなどを含み、検査装置100による処理結果を表示する。
【0024】
インタフェース装置107は、検査装置100をデータ伝送路Nに接続するインタフェースである。これにより、検査装置100は、インタフェース装置107を介して、スキャナ140を含む通信機能を有する他の機器とデータ通信を行うことができる。
【0025】
HDD108は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。格納されるプログラムやデータには、検査装置全体を制御する情報処理システム(例えば「Windows(商標又は登録商標)」や「UNIX(商標又は登録商標)」などの基本ソフトウェアであるOS(Operating System))、及びシステム上において各種機能(例えば「検査機能」)を提供するアプリケーションなどがある。また、HDD108は、格納しているプログラムやデータを、所定のファイルシステム及び/又はDB(Data Base)により管理している。
【0026】
ドライブ装置103は、着脱可能な記録媒体103aとのインタフェースである。これにより、検査装置100は、ドライブ装置103を介して、記録媒体103aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体103aには、例えば、フロッピー(商標又は登録商標)ディスク、CD(Compact Disk)、及びDVD(Digital Versatile Disk)、ならびに、SDメモリカード(SD Memory card)やUSBメモリ(Universal Serial Bus memory)などがある。
【0027】
ROM105は、電源を切っても内部データを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。ROM105には、検査装置100の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、情報処理システム設定、及びネットワーク設定などのプログラムやデータが格納されている。RAM104は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。CPU106は、上記記憶装置(例えば「HDD」や「ROM」など)から、プログラムやデータをRAM上に読み出し、処理を実行することで、装置全体の制御や搭載機能を実現する演算装置である。
【0028】
以上のように、本実施形態に係る検査装置100では、上記ハードウェア構成により、上記検査サービスを提供することができる。
【0029】
<検査機能>
本実施形態に係る検査機能について説明する。
本実施形態に係る検査装置100では、印刷面の読み取り画像(以下「検査対象画像」という)と印刷データをリッピングした画像(以下「基準画像」という)とを取得する。検査装置100は、取得した基準画像において、画素値の変化を表す平坦度を解析する。検査装置100は、解析結果の平坦度から、種別ごとの画像領域を判別し、判別した画像領域に対する検査用の閾値(欠陥判定基準)を決定する。検査装置100は、判別した画像領域にあたる基準画像の画素と判別した画像領域と同じ位置にあたる検査対象画像の画素とを比較し、該当画素値の差分を検出する。検査装置100は、検出した差分が閾値を超過しているか否かを判定し、印刷面の欠陥箇所を検査する。本実施形態に係る検査装置100は、このような検査機能を有している。
【0030】
《従来の検査処理》
図3は、従来の検査処理例を示す図である。
図3に示すように、従来の欠陥検査処理では、まず、基準画像と検査対象画像とを取得すると(ステップS101)、取得した基準画像に基づき、印刷物の印刷面における印刷領域内の画線部/非画線部を特定する(ステップS102)。
【0031】
次に、従来の欠陥検査処理では、特定した画線部/非画線部に対して、各欠陥判定処理が実行されるように制御する(ステップS103)。
【0032】
画線部に対する欠陥判定処理では、特定した画線部にあたる基準画像と特定した画線部と同じ位置にあたる検査対象画像との画像特徴(濃度又は光量)を比較し、差分を検出し(ステップS104)、検出した差分が閾値1(画線部に対応する検査用の閾値)以上か否かを判定する(ステップS105)。その結果、欠陥判定処理では、差分が閾値1以上であった場合に、印刷領域内の画線部の異常(欠陥箇所)を検出する。
【0033】
また、非画線部に対する欠陥判定処理では、特定した非画線部にあたる基準画像と特定した非画線部と同じ位置にあたる検査対象画像との画像特徴(濃度又は光量)を比較し、差分を検出し(ステップS106)、検出した差分が閾値2(非画線部に対応する検査用の閾値)以上か否かを判定する(ステップS107)。その結果、欠陥判定処理では、差分が閾値2以上であった場合に、印刷領域内の非画線部の異常(欠陥箇所)を検出する。
【0034】
このような、従来の方法では、次のような理由から、画線部における印刷品質の検査精度が低いという問題がある。
【0035】
図4は、画像領域における画素値の差分の違いを示す図である。
例えば、画線部には、(A)に示すような画素値の変化が大きい領域(平坦度が低い領域)と、(B)に示すような画素値の変化が小さい領域(平坦度が高い領域)が存在する。
【0036】
(A)には、画線部が絵柄領域であった場合に、基準画像G1と検査対象画像G2との同じ位置の画素値(例えば「RGB値」)を比較し、差分を検出した例が示されている。これによると、基準画像G1と検査対象画像G2との差分は、10程度の値である。
【0037】
一方、(B)には、画線部が背景領域で、白スジ/黒スジ現象(欠陥)が発生した場合の例が示されている。(A)と(B)とを目視して分かるように、画素値の変化が小さい領域では、画素値の変化が大きい領域に比べて、微少な画素値の変化であっても、人の目に認識されやすく、印刷品質に影響を及ぼしてしまう。つまり、人の目は、画素値の変化が大きい領域の微少な画素値の変化に対して鈍感である一方、画素値の変化が小さい領域の微少な画素値の変化に対して敏感であるという視覚特性を有している。
【0038】
このような画素値の変化が小さい領域の場合、基準画像G1と検査対象画像G2との同じ位置の画素値を比較し、差分を検出すると、差分は、白スジ現象の場合10以下の値であり、黒スジ現象の場合5程度の値である。
【0039】
そのため、例えば、画素値の変化が大きい領域に対応する検査用の閾値を、画素値の変化が小さい領域に対する欠陥判定処理に用いた場合には、閾値が大きすぎることから、欠陥箇所を判定できない。一方、画素値の変化が小さい領域に対応する検査用の閾値を、画素値の変化が大きい領域に対する欠陥判定処理に用いた場合には、閾値が小さすぎることから、本来、該当しない箇所まで、欠陥箇所と判定(誤判定)されてしまう。
【0040】
このように、同じ画線部であっても、画素値の変化が小さい領域と画素値の変化が大きい領域とでは、異なる閾値を用いた欠陥判定処理を行うことが望ましい。
【0041】
そこで、本実施形態に係る検査装置100では、基準画像G1(印刷データをリッピングした画像)の解析により得た画素値の変化を表す平坦度に応じて、欠陥判定処理で用いる閾値(欠陥判定基準)を、画像領域の種別ごとに切り換える仕組みとした。
【0042】
これにより、本実施形態に係る検査装置100では、画素値の変化が小さい領域(平坦度が高い領域)に対して、画素値の変化が大きい領域(平坦度が低い領域)に比べて厳しい欠陥判定基準で印刷品質の検査(感度の高い検査)が行われる。その結果、高精度な印刷品質検査が行える。
【0043】
以下に、本実施形態に係る検査機能の構成とその動作について説明する。
図5は、本実施形態に係る検査機能の構成例を示す図である。
図5に示すように、本実施形態に係る検査機能は、画像取得部11、平坦度解析部12、及び検査制御部13などを有している。
【0044】
画像取得部11は、基準画像G1と検査対象画像G2とを取得する機能部である。画像取得部11は、印刷データをリッピングした画像の入力を受け付けるとこで、基準画像G1を取得する。また、画像取得部11は、印刷面の読み取り画像をスキャナ140から受信することで、検査対象画像G2を取得する。
【0045】
平坦度解析部12は、取得した基準画像G1において、画素値の変化を表す平坦度を解析する機能部である。平坦度解析部12は、画像取得部11から受け取った基準画像G1の平坦度を解析する。具体的には、次のように平坦度を解析する。平坦度解析部12は、例えば、予め決められた矩形領域(「5x5」、「7x7」、「9x9」など)における画素値(RGB値)の標準偏差又は分散(ばらつき)を算出し、直接平坦度とする。また、平坦度解析部12は、例えば、予め決められた矩形領域の注目画素と注目画素に隣接する画素(以下「隣接画素」という)との画素値(RGB値)の差分又は平均値を算出し、直接平坦度とする。また、矩形領域の画素値(RGB値)を代表値に変換する量子化を行ってもよい。
【0046】
なお、平坦度の解析に基準画像G1を用いる理由は、基準画像G1が印刷データをリッピングした画像であり、画素値が安定しているからである。また、本実施形態では、画素値にRGB値を用いているが、この限りでない。RGB以外の色空間の値であってもよい。
【0047】
ここで、本実施形態における平坦度の解析例を示す。
図6は、本実施形態に係る画像領域種別と平坦度との関係を示す図である。
(A)には、基準画像G1における画像領域の種別例が示されている。まず、基準画像G1では、画線部と非画線部の領域が存在する。画線部は、印刷領域内にトナー/インクが載る箇所である。一方、非画線部は、印刷領域内にトナー/インクが載らない箇所である。以下の説明では、上記非画線部を「紙白領域」をいう。
【0048】
また、画線部には、「背景領域」、「エッジ領域」、及び「絵柄領域」などが存在する。「背景領域」は、画素値の変化が小さい領域であり、「エッジ領域」及び「絵柄領域」は、画素値の変化が大きい領域である。
【0049】
本実施形態に係る平坦度解析部12は、これらの領域の平坦度を解析する。(B)には、(A)に示した基準画像G1の解析結果例が示されている。
(B)には、平坦度解析部12が、上述した平坦度の算出方法により、基準画像G1から8段階の平坦度を表す値を算出した例(解析結果例)が示されている。つまり、平坦度解析部12が、基準画像G1における画素値の変化量を0から7の代表値に変換した例が示されている。本実施形態では、画素値の変化が最も小さい画素に対して、平坦度を表す値'0'が割り当てられており、画素値の変化が最も大きい画素に対して、平坦度を表す値'7'が割り当てられている。その間の変化量に対しては、平坦度を表す値1から6が段階的に割り当てられている。
【0050】
これにより、本実施形態では、8段階の平坦度を表す値(大きければ平坦でないことを表す値)から、基準画像G1における画線部の「背景領域」、「エッジ領域」、及び「絵柄領域」などを判別することができる。例えば、「背景領域」は、画素値の変化が最も小さいことから、平坦度を表す値'0'に基づき判別できる。次に、「絵柄領域」は、「背景領域」より画素値の変化が大きく、「エッジ領域」より画素値の変化が小さいことから、平坦度を表す値'1'から'6'に基づき判別できる。次に、「エッジ領域」は、画素値の変化が最も大きいことから、平坦度を表す値'7'に基づき判別できる。
【0051】
なお、「紙白領域」は、「画線部」の「背景領域」と同様に、平坦度を表す値'0'に基づき判別できるが、非画線部なので、紙の色や印刷データなどの各種情報に基づき判別することもできる。例えば、予めスキャナ140により読み取ったRGB値を所定の記憶領域(例えば「検査装置が備えるRAM」など)に保持しておき、保持する画素値に該当する基準画像G1の領域を「紙白領域」と判別できる。また、印刷データに含まれる余白情報や、基準画像G1の白の画素値(RGB値:255,255,255)などから、「紙白領域」を判別してもよい。
【0052】
検査制御部13は、平坦度に応じて、種別ごとの画像領域に対する印刷品質検査を制御する機能部である。本実施形態に係る検査機能では、種別ごとの画像領域に対する検査用の閾値(欠陥判定基準)を決定する処理と、基準画像G1と検査対象画像G2との比較から画素値の差分を検出する処理と、検出した差分に基づく閾値判定から印刷面の欠陥箇所を検査する処理などが実行される。検査制御部13は、これらの処理を制御する。よって、検査制御部13は、領域判別部(閾値決定部)131、差分検出部132、及び判定部(欠陥検出部)133などを有している。
【0053】
領域判別部(閾値決定部)131は、平坦度解析部12による解析結果(算出された平坦度を表す値)に基づき、基準画像G1における種別ごとの画像領域を判別する機能部である。領域判別部131は、上述したように、算出された平坦度を表す値に基づき、画線部の「背景領域」、「エッジ領域」、及び「絵柄領域」などを判別する。
【0054】
また、領域判別部131は、判別した画像領域に対して、検査用の閾値(欠陥判定基準)を決定する。上述したように、画線部の検査精度を向上させるためには、平坦度が高く滑らかな領域(画素値の変化が小さい領域)と平坦度が低く滑らかでない領域(画素値の変化が大きい領域)と、異なる閾値を用いた欠陥判定処理を行うことが望ましい。よって、領域判定部131では、予め段階的に設定しておいた複数の閾値(例えば「45」、「30」、「15」、「4」などの設定値)を、判別した画像領域の種別ごとに割り当てることで、欠陥判定処理時に用いる検査用の閾値(欠陥判定基準)を決定する。具体的には、次のような方法で検査用の閾値(欠陥判定基準)を決定する。
【0055】
例えば、判別された領域が画線部の「背景領域」の場合には、画線部において、注目画素と隣接画素との画素値の変化量(差)が最も小さく、微少な画素値の変化を検出しなければならないため、非画線部(「紙白領域」)や画線部(「絵柄領域」や「エッジ領域」)の他の領域に比べて最も小さい値(例えば「4」の設定値)を検査用の閾値として決定する。
【0056】
一方、判別された領域が画線部の「エッジ領域」の場合には、画線部において、注目画素と隣接画素との画素値の変化量(差)が最も大きく、微少な画素値の変化を検出する必要がないため、画線部の他の領域(「背景領域」や「絵柄領域」)に比べて最も大きい値(例えば「45」の設定値)を検査用の閾値として決定する。
【0057】
また、判別された領域が画線部の「絵柄領域」の場合には、画線部において、注目画素と隣接画素との画素値の変化量(差)が「背景領域」より大きく、かつ、「エッジ領域」より小さいことから、画線部の他の領域(「背景領域」や「エッジ領域」)に比べて中間の値(例えば「15」の設定値)を検査用の閾値として決定する。
【0058】
また、判別される領域の中で非画線部の「紙白領域」は、平坦度が最も高い。しかし、非画線部の「紙白領域」では、紙面上の汚れが欠陥箇所にあたり、その特性を考えると、注目画素(紙面上の汚れにあたる画素)と隣接画素との画素値の変化量(差)が大きく、微少な画素値の変化を検出すればよい。そのため、非画線部の「紙白領域」の場合には、画線部の「絵柄領域」と「エッジ領域」に割り当てた設定値の中間の値(例えば「30」の設定値)を検査用の閾値として決定する。
【0059】
このように、検査制御部13では、基準画像G1の解析により得た画素値の変化を表す平坦度に応じて、検査用の閾値(欠陥判定基準)が、画像領域の種別ごと(「紙白領域」、「背景領域」、「絵柄領域」、及び「エッジ領域」ごと)に切り換えられる。つまり、検査制御部13では、基準画像G1の平坦度に応じて、欠陥箇所の検出感度が切り換えられる。
【0060】
差分検出部132は、基準画像G1と画像取得部11から受け取った検査対象画像G2との比較から画素値の差分を検出する機能部である。差分検出部132は、判別した画像領域にあたる基準画像G1の画素と判別した画像領域と同じ位置にあたる検査対象画像G2の画素とを比較し、該当画素値の差分を検出する。具体的には、次のような方法で画素値の差分を検出する。
【0061】
図7は、本実施形態に係る差分検出方法の例を示す図である。
(A)には、画素同士の差分を検出する方法(以下「差分検出方法1」という)、(B)には、所定の矩形領域内の1画素あたりの平均差分を検出する方法(以下「差分検出方法2」という)が示されている。
【0062】
(A)に示す差分検出方法1では、基準画像G1と検査対象画像G2との間で、同じ位置の画素同士の画素値(RGB値)を比較し、差分の絶対値(R,G,Bの色成分ごとの差分値)を算出することで、画素同士の差分を検出している。
【0063】
一方(B)に示す差分検出方法2では、まず、基準画像G1と検査対象画像G2との間で、同じ位置の矩形領域R1,R2(以下総称する場合「矩形領域R」という)の各画素同士の画素値(RGB値)を比較し、画素値の差分の絶対値(R,G,Bの各色成分ごとの差分値)を算出する。例えば、(B)には、9つの隣接画素を有する「3x3」の矩形領域Rにおいて、各画素A〜I同士が比較され、その結果、9つの差分(画素A〜Iそれぞれに対応する差分値)が算出されている。次に、比較画素数分の差分値を累積加算し(差分総和を算出し)、累積加算値(差分総和値)を、矩形領域Rの面積に相当する画素数(9)で除算することで、矩形領域内の1画素あたりの平均差分(1画素あたりの平均差分値)を検出している。
【0064】
なお、上記矩形領域Rの範囲(フィルタサイズ)設定は、検出したい欠陥箇所に応じて変更するようにしてもよい。例えば、「背景領域」に発生する白スジ/黒スジ現象を検出したい場合には、発生範囲の特性に応じて、「3x3」でなく「3x7」や「7x3」などの範囲に変更してもよい。つまり、本実施形態では、判別された画像領域ごとに、差分検出方法2で用いる矩形領域Rの範囲を切り換えることもできる。
【0065】
このように、検査制御部13では、上記差分検出方法に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との間の画素値の差分が検出される。
【0066】
判定部(欠陥検出部)133は、欠陥判定処理を実行する機能部である。判定部133は、差分検出部132により検出された差分が、領域判別部131により決定された閾値(種別ごとの画像領域に対応する検査用の閾値)を超過しているか否かを判定し、判定結果に従って、印刷面に欠陥箇所が存在するか否かを判断する(印刷面の欠陥箇所を検査する)。具体的には、次のような方法で印刷面に欠陥箇所が存在するか否かを判断する。例えば、検出された差分が閾値を超過していると判定された場合には、検査対象画像G2の画像領域に異常(欠陥)があると判断する。
【0067】
このように、検査制御部13では、判別された画像領域ごとに欠陥判定が行われ、印刷面の欠陥箇所が検査される。
【0068】
以上のように、本実施形態に係る検査機能は、上記各機能部が連携動作することにより実現される。なお、本実施形態に係る検査機能は、検査装置100に搭載(インストール)されるプログラム(検査機能を実現するソフトウェア)が、演算装置(例えば「CPU」)により、記憶装置(例えば「HDD」や「ROM」など)からメモリ(RAM)上に読み出され、以下の処理が実行されることで実現される。
【0069】
本実施形態に係る検査機能の詳細な動作(機能部群の連携動作)について、処理手順を示すフローチャートを用いて説明する。
【0070】
《検査機能の主な処理》
図8は、本実施形態に係る欠陥検査時の基本処理手順例を示すフローチャートである。
図8に示すように、検査装置100は、画像取得部11により、基準画像G1及び検査対象画像G2を取得する(ステップS201)。このとき、画像取得部11は、入力を受け付けた基準画像G1を取得し、スキャナ140から受信した検査対象画像G2を取得する。
【0071】
次に、検査装置100は、平坦度解析部12により、基準画像G1の平坦度を解析する(ステップS202)。このとき、平坦度解析部12は、画像取得部11から基準画像G1を受け取り、予め決められた矩形範囲Rにおける画素値の標準偏差又は分散(ばらつき)を算出する方法や、予め決められた矩形範囲Rの注目画素と隣接画素との画素値(RGB値)の差分又は平均値を算出する方法などにより、直接平坦度を求める。
【0072】
次に、検査装置100は、検査制御部13により、平坦度に応じて、種別ごとの画像領域に対する印刷品質検査が制御される。
【0073】
検査制御部13が有する領域判別部131は、平坦度解析部12から受け取った解析結果(算出された平坦度を表す値)に基づき、基準画像G1における画線部及び非画線部の各領域を判別する(ステップS203)。このとき、領域判別部131は、紙の色や印刷データなどの各種情報に基づき非画線部の「紙白領域」を判別し、算出された平坦度を表す値に基づき、画線部の「背景領域」、「絵柄領域」、及び「エッジ領域」などの各領域を判別する。なお、本処理手順例では、8段階の平坦度を表す値(大きければ平坦でないことを表す値)が求められることを想定しており、画線部における平坦度を表す値'0'の領域を「背景領域」とし、平坦度を表す値'1'から'6'の領域を「絵柄領域」とし、平坦度を表す値'7'の領域を「エッジ領域」として判別している。
【0074】
また、領域判別部131は、予め段階的に設定しておいた複数の設定値AからD(設定値の関係式:D>A>C>B)を、判別した画像領域の種別ごとに割り当て、検査用の閾値(欠陥判定基準)を決定する。なお、本処理手順例では、最も数値が大きい設定値Dを「エッジ領域」の閾値とし、最も数値の小さい設定値Bを「背景領域」の閾値とし、設定値Dの次に数値が大きい設定値Aを「紙白領域」の閾値とし、設定値Aの次に数値が大きい設定値Cを「絵柄領域」の閾値として決定している。
【0075】
次に、検査制御部13が有する差分検出部132は、領域判別部131による判別結果に基づき、種別ごとの画像領域に対する欠陥判定処理が実行される。
【0076】
(a)紙白領域に対する処理
差分検出部132は、領域判別部131により判別された領域が非画線部の「紙白領域」であった場合に(ステップS204:YES)、上述した差分検出方法1に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との画素同士を比較し、画素値の差分を検出する(ステップS205)。このとき、差分検出部132は、基準画像G1と検査対象画像G2との間で、同じ位置の画素同士の画素値(RGB値)を比較し、差分の絶対値(R,G,Bの色成分ごとの差分値)を、画素値の差分として検出する。
【0077】
次に、検査制御部13が有する判定部133は、差分検出部132により検出された差分が、「紙白領域」の閾値A(紙白領域の欠陥判定基準)以上か否かを判定する(ステップS206)。その結果、判定部133は、差分が閾値A以上であった場合に(ステップS206:YES)、検査対象画像G2の「紙白領域」に発生した異常(欠陥)を検出する。
【0078】
つまり、検査制御部13は、非画線部の「紙白領域」では、判別された画像領域の中で、最も平坦度が高いが、微少な画素値の変化を検出する必要がないため、画線部の「絵柄領域」と「エッジ領域」とに割り当てる設定値の中間の値の閾値Aを用いて欠陥検査を行う。
【0079】
(b)背景領域に対する処理
差分検出部132は、領域判別部131により判別された領域が非画線部でなく、画線部の「背景領域」であった場合に(ステップS204:NO,ステップS207:YES)、上述した差分検出方法1に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との画素同士を比較し、画素値の差分を検出する(ステップS208)。
【0080】
次に、判定部133は、差分検出部132により検出された差分が、「背景領域」の閾値B(背景領域の欠陥判定基準)以上か否かを判定する(ステップS209)。その結果、判定部133は、差分が閾値B以上であった場合に(ステップS209:YES)、検査対象画像G2の「背景領域」に発生した異常(欠陥)を検出する。
【0081】
つまり、検査制御部13は、画線部の「背景領域」では、微少な画素値の変化を検出しなければならないため、非画線部(「紙白領域」)や画線部(「絵柄領域」や「エッジ領域」)の他の領域に比べて最も小さい値の閾値Bを用いて欠陥検査を行う。
【0082】
(c)絵柄領域に対する処理
差分検出部132は、領域判別部131により判別された領域が「背景領域」でなく、「絵柄領域」であった場合に(ステップS207:NO,ステップS210:YES)、上述した差分検出方法1に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との画素同士を比較し、画素値の差分を検出する(ステップS211)。
【0083】
次に、判定部133は、差分検出部132により検出された差分が、「絵柄領域」の閾値C(絵柄領域の欠陥判定基準)以上か否かを判定する(ステップS212)。その結果、判定部133は、差分が閾値C以上であった場合に(ステップS212:YES)、検査対象画像G2の「絵柄領域」に発生した異常(欠陥)を検出する。
【0084】
つまり、検査制御部13は、画線部の「絵柄領域」では、画素値の変化量(差)が「背景領域」より大きく、かつ、「エッジ領域」より小さいことから、画線部の他の領域(「背景領域」や「エッジ領域」)に比べて中間の値の閾値Cを用いて欠陥検査を行う。
【0085】
(d)エッジ領域に対する処理
差分検出部132は、領域判別部131により判別された領域が「絵柄領域」でなく、「エッジ領域」であった場合に(ステップS210:NO)、上述した差分検出方法1に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との画素同士を比較し、画素値の差分を検出する(ステップS213)。
【0086】
次に、判定部133は、差分検出部132により検出された差分が、「エッジ領域」の閾値C(エッジ領域の欠陥判定基準)以上か否かを判定する(ステップS214)。その結果、判定部133は、差分が閾値D以上であった場合に(ステップS214:YES)、検査対象画像G2の「エッジ領域」に発生した異常(欠陥)を検出する。
【0087】
つまり、検査制御部13は、画線部の「エッジ領域」では、微少な画素値の変化を検出する必要がないため、画線部の他の領域(「背景領域」や「絵柄領域」)に比べて最も大きい値の閾値Dを用いて欠陥検査を行う。
【0088】
このように、本実施形態に係る検査装置100では、基準画像G1の解析により得た画素値の変化を表す平坦度に応じて、欠陥判定処理で用いる閾値(欠陥判定基準)を、画像領域の種別ごとに切り換える。つまり、平坦度から判別された画像領域ごとに、その領域にあった検査用の閾値(欠陥判定基準)が用いられる。これにより、本実施形態では、画素値の変化が大きい領域(平坦度が低い領域)に対する過剰な欠陥検出(欠陥箇所の誤判定)を防止し、一方で、画素値の変化が小さい領域(平坦度が高い領域)に対して厳しい欠陥検出が行われる。
【0089】
なお、上記には、差分検出方法1を用いた場合の処理手順例を示したが、この限りでない。差分検出方法1の代わりに、差分検出方法2を用いてもよい。
【0090】
この場合、上記ステップS205,S208,S211,S213の処理は、次のような手順となる。差分検出部132は、基準画像G1と検査対象画像G2との同じ位置の矩形領域Rの各画素同士を比較し、1画素あたりの平均差分を検出する。このとき、差分検出部132は、まず、基準画像G1と検査対象画像G2との間で、同じ位置の矩形領域Rの各画素同士の画素値(RGB値)を比較し、画素値の差分の絶対値(R,G,Bの各色成分ごとの差分値)を算出する。次に、差分検出部132は、比較画素数分の差分値が累積加算された差分総和値を、矩形領域Rの面積に相当する画素数で除算し、1画素あたりの平均差(R,G,Bの色成分ごとの1画素あたりの平均差分値)を検出する。
【0091】
これにより、上記ステップS206,S208,S212,S214の処理では、算出された1画素あたりの平均差と検査用の閾値(欠陥判定基準)とにより欠陥判定処理が行われる。
【0092】
《検査機能の処理:その2》
また、上記機能構成の説明では、差分検出部132による2つの差分検出方法について説明を行った。その中で、差分検出方法2は、差分検出方法1に比べて精度の高い検出方法である。よって、差分検出部132では、検査用の閾値(欠陥判定基準)と同様に、判別された画像領域に対して、上述した差分検出方法1又は2のどちらの方法を適用するかを切り換えるようにしてもよい。具体的には、次の通りである。
【0093】
例えば、画線部において、判別された領域が「絵柄領域」や「エッジ領域」の場合には、差分検出方法1を適用し、一方、判別された領域が「背景領域」の場合には、「絵柄領域」や「エッジ領域」などの領域に比べて精度の高い差分検出方法2を適用する。なお、ここでいう「差分検出方法の適用」とは、差分検出部132を、差分検出方法1又は2のどちらかの方法に従って機能させることを意味する。
【0094】
この場合の欠陥検査時の処理手順例を以下に示す。
図9は、本実施形態に係る欠陥検査時の処理手順例(その1)を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、図8の処理手順と異なる点(ステップS305,S308,S311,S313の処理)についてのみ説明する。
【0095】
(a)紙白領域に対する処理
差分検出部132は、領域判別部131により判別された領域が非画線部の「紙白領域」であった場合に(ステップS304:YES)、差分検出方法1に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との画素同士を比較し、画素値の差分を検出する(ステップS305)。
【0096】
つまり、検査制御部13は、非画線部の「紙白領域」では、微少な画素値の変化を検出する必要がないため、相対的に精度の低い差分検出方法1を用いて差分検出を行う。
【0097】
(b)背景領域に対する処理
差分検出部132は、領域判別部131により判別された領域が非画線部でなく、画線部の「背景領域」であった場合に(ステップS304:NO,ステップS307:YES)、差分検出方法2に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との同じ位置の矩形領域Rの各画素同士を比較し、1画素あたりの平均差分を検出する(ステップS308)。
【0098】
つまり、検査制御部13は、画線部の「背景領域」では、微少な画素値の変化を検出しなければならないため、相対的に精度の高い差分検出方法2を用いて差分検出を行う。
【0099】
(c)絵柄領域に対する処理
差分検出部132は、領域判別部131により判別された領域が「背景領域」でなく、「絵柄領域」であった場合に(ステップS307:NO,ステップS310:YES)、差分検出方法1に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との画素同士を比較し、画素値の差分を検出する(ステップS311)。
【0100】
つまり、検査制御部13は、画線部の「絵柄領域」では、微少な画素値の変化を検出する必要がないため、相対的に精度の低い差分検出方法1を用いて差分検出を行う。
【0101】
(d)エッジ領域に対する処理
差分検出部132は、領域判別部131により判別された領域が「絵柄領域」でなく、「エッジ領域」であった場合に(ステップS310:NO)、差分検出方法1に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との画素同士を比較し、画素値の差分を検出する(ステップS313)。
【0102】
つまり、検査制御部13は、画線部の「エッジ領域」では、微少な画素値の変化を検出する必要がないため、相対的に精度の低い差分検出方法1を用いて差分検出を行う。
【0103】
このように、本実施形態に係る検査装置100では、基準画像G1の平坦度に応じて、検査用の閾値(欠陥判定基準)及び差分検出方法を、画像領域の種別ごとに切り換える。つまり、平坦度から判別された画像領域ごとに、その領域にあった検査用の閾値(欠陥判定基準)及び差分検出方法が用いられる。これにより、本実施形態では、高精度な印刷品質検査が行える。
【0104】
《検査機能の処理:その3》
また、本実施形態に係る検査機能は、検出した欠陥の種別を判別する機能(以下「欠陥判別機能」という)と連携動作するようにしてもよい。欠陥判別機能は、種別ごとの画像領域から検出された差分データに基づき、欠陥の種別を判別する。なお、欠陥判別機能は、判別する欠陥の種類に応じて、その判別方法を変更する必要がある。よって、以下には、判別する欠陥を、「背景領域」に発生した白スジ/黒スジ現象として説明する。
【0105】
図10は、本実施形態に係る欠陥検査時の処理手順例(その2)を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、図9の処理手順と異なる点(ステップS411の欠陥判別処理)についてのみ説明する。
図10に示すように、検査装置100は、検査制御部13により、領域ごとに差分検出処理及び欠陥判定処理が行われると、種別ごとの画像領域から検出された差分データに基づき、検出された欠陥が白スジ/黒スジ現象か否かを判定する(ステップS415)。このとき、検査装置100では、次のような処理により白スジ/黒スジ現象を判別する。
【0106】
検査装置100は、まず、差分データ(検査用の閾値を超過した差分値)に基づき、検査対象画像G2においてラベリング処理を行う。ここでいう「ラベリング処理」とは、連結画素(例えば「8つの画素群」)に同じラベルを付加することで複数の領域をグループとして分類する画像処理を意味する。よって、検査装置100では、上記ラベリング処理により、検査対象画像上の欠陥箇所に該当する外接矩形の画像領域が特定される。
【0107】
次に、検査装置100は、特定された外接矩形の画像領域の幅、高さ、及び縦横比が、予め設定しておいた矩形幅、高さ、及び縦横比の閾値(欠陥判別基準)以上か否かを判定する。なお、幅、高さ、及び縦横比の閾値(欠陥判別基準)は、判別する欠陥に応じて設定しておく。
【0108】
その結果、検査装置100は、特定された外接矩形の画像領域の幅、高さ、及び縦横比が、各閾値以上であった場合に(ステップS415:YES)、検査対象画像G2に発生した欠陥が白スジ/黒スジ現象と判別する。
【0109】
なお、上記ラベリング処理では、外接矩形の画像領域が複数特定される場合がある。このような場合、検査装置100は、外接矩形の画像領域の隣接距離を画像の座標空間(画素の座標値)から算出し、算出した隣接距離が、予め設定しておいた隣接距離の閾値未満であれば、該当する外接矩形を1つの画像領域として統合する。その結果、検査装置100は、統合した画像領域の幅、高さ、及び統合した外接矩形数などに基づき、検出された欠陥箇所の密集度から、欠陥の種別を判別してもよい。
【0110】
<変形例>
ここで、上記実施形態に対する変形例を説明する。
【0111】
《変形例1》
上記実施形態では、検査装置100を検査機能が動作するハードウェア環境として説明したが、この限りでない。例えば、図11に示すような画像処理装置であってもよい。
【0112】
図11は、検査機能が動作する画像処理装置200のハードウェア構成例を示す図である。
図11に示すように、画像処理装置200は、コントローラ210及びスキャナ240などを備え、それぞれが相互にバスBで接続されている。
【0113】
スキャナ240は、印刷物を光学的に読み取り、読み取り画像を生成する読み取り装置である。コントローラ210は、CPU211、記憶装置212、ネットワークI/F213、及び外部記憶I/F214などを備える制御基板であり、それぞれが相互にバスBで接続されている。
【0114】
記憶装置212は、RAM、ROM、及び/又はHDDなどを含み、各種プログラムやデータを格納し保持する装置である。CPU211は、ROMやHDDから、プログラムやデータをRAM(メモリ)上に読み出し、処理を実行する(読み出したプログラムやデータの処理を実行する)ことで、装置全体の制御や搭載機能を実現する演算装置である。よって、上述した検査機能は、RAM上に読み出されたプログラムがCPU211により実行されることで実現できる。
【0115】
ネットワークI/F213は、画像処理装置200をデータ伝送路Nに接続するインタフェースである。これにより、画像処理装置200は、ネットワークI/F213を介して、通信機能を有する他の機器とデータ通信を行うことができる。外部記憶I/F214は、外部記憶装置にあたる記録媒体214aとのインタフェースである。記録媒体214aには、例えば、SDメモリカードやUSBメモリなどがある。これにより、画像処理装置200は、外部記憶I/F214を介して、記録媒体214aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。
【0116】
以上のように、画像処理装置100では、上記ハードウェア構成により、印刷物の検査サービスを当該装置単体で提供することができる。
【0117】
《変形例2》
また、例えば、図12に示すように、MFP(Multifunction Peripheral)などの画像形成装置であってもよい。
【0118】
図12は、検査機能が動作する画像形成装置300のハードウェア構成例を示す図である。
図12に示すように、画像形成装置300は、コントローラ310、操作パネル320、プロッタ330、及びスキャナ340などを備え、それぞれが相互にバスBで接続されている。
【0119】
操作パネル320は、入力部や表示部を備えており、機器情報などの各種情報を利用者に提供したり、動作設定や動作指示などの各種利用者操作を受け付けたりする入力・表示装置である。プロッタ330は、画像形成部材を備えており、用紙に出力画像を形成する印刷装置である。出力画像を形成する方式には、例えば、電子写真プロセスやインクジェット方式などがある。
【0120】
コントローラ310は、CPU311、記憶装置312、ネットワークI/F313、及び外部記憶I/F314などを備える制御基板であり、それぞれが相互にバスBで接続されている。
【0121】
記憶装置312は、RAM、ROM、及びHDDなどを含み、各種プログラムやデータを格納及び/又は保持する装置である。CPU311は、ROMやHDDから、プログラムやデータをRAM上に読み出し、処理を実行する(記憶装置から読み出したプログラムやデータの処理を実行する)ことで、装置全体の制御や搭載機能を実現する演算装置である。よって、上述した検査機能は、RAM上に読み出されたプログラムがCPU311により実行されることで実現できる。
【0122】
ネットワークI/F313は、画像形成装置300をデータ伝送路Nに接続するインタフェースである。これにより、画像形成装置300は、ネットワークI/F313を介して、通信機能を有する他の機器とデータ通信を行うことができる。外部記憶I/F314は、外部記憶装置にあたる記録媒体314aとのインタフェースである。記録媒体314aには、例えば、SDメモリカードやUSBメモリなどがある。これにより、画像形成装置300は、外部記憶I/F314を介して、記録媒体314aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。
【0123】
以上のように、画像形成装置300でも、上記ハードウェア構成により、画像処理装置200と同様に、印刷物の検査サービスを当該装置単体で提供することができる。
【0124】
また、上記実施形態では、スキャナ140と検査装置100とが接続される検査システム1010について説明を行ったが、この限りでない。例えば、検査装置100が、上記画像処理装置200や上記画像形成装置300と接続される構成であってもよい。この場合、上記画像処理装置200や上記画像形成装置300からは、検査装置100に対して、検査対象画像G2が送信されることになる。
【0125】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る検査装置100によれば、画像取得部11により、基準画像G1及び検査対象画像G2を取得する。次に、検査装置100は、平坦度解析部12により、取得した基準画像G1において、画素値の変化を表す平坦度を解析する。
【0126】
その結果、検査装置100は、検査制御部13により、解析結果の平坦度から、種別ごとの画像領域を判別し、判別した画像領域に対する検査用の閾値(欠陥判定基準)を決定する。その後、検査制御部13は、判別した画像領域にあたる基準画像G1の画素と判別した画像領域と同じ位置にあたる検査対象画像G2の画素とを比較し、該当画素値の差分を検出する。これにより、検査制御部13は、検出した差分が閾値を超過しているか否かを判定し、印刷面の欠陥箇所を検査する。
【0127】
これによって、本実施形態に係る検査装置100では、画素値の変化が小さい領域(平坦度が高い領域)に対して、画素値の変化が大きい領域(平坦度が低い領域)に比べて厳しい欠陥判定基準で印刷品質の検査(感度の高い検査)が行われる。その結果、高精度な印刷品質検査が行える。
【0128】
[第2の実施形態]
本実施形態と第1の実施形態との違いは、画線部の「背景領域」が判別された際に、検査対象画像を解析して得た平坦度に応じて、該領域に対する欠陥判定処理で用いる閾値(欠陥判定基準)を切り換える点である。
【0129】
なお、以降の説明では、第1の実施形態と異なる点についてのみ説明し、同じ点については、同一参照符号を付し、その説明を省略する。
【0130】
<検査機能>
図13は、本実施形態に係る検査機能の構成例を示す図である。
図13に示すように、平坦度解析部12は、画像取得部11から受け取った検査対象画像G2においても、基準画像G1と同様に、画素値の変化を表す平坦度を解析する。具体的な解析方法は、第1の実施形態で示した通りである。よって、本実施形態では、平坦度解析部12が、基準画像G1と検査対象画像G2との2つの解析結果(基準画像G1を解析して得た平坦度を表す値及び検査対象画像G2を解析して得た平坦度を表す値)を保持することになる。
【0131】
検査制御部13は、これらの解析結果を受け取ると、領域判別部131により、基準画像G1の解析結果に基づき、種別ごとの画像領域を判別し、各領域に対して、検査用の閾値(欠陥判定基準)を決定する。
【0132】
このとき、検査制御部13では、領域判別部131により、画線部の「背景領域」が判別された場合、次のように検査用の閾値(欠陥判定基準)を決定する。
【0133】
まず、領域判別部131は、受け取った解析結果のうち、「背景領域」と判別された基準画像G1の画像領域と同じ位置の検査対象画像G2の画像領域に対応する平坦度を表す値を参照する。なお、基準画像G1と検査対象画像G2とは、平坦度解析部12による解析時に画像の座標空間が調整されているものとする。
【0134】
領域判別部131は、参照値に基づき、検査対象画像G2の画像領域が平坦か否かを判定する。具体的には、「背景領域」と判別された基準画像G1の画像領域と同じ位置の検査対象画像G2の画像領域に対応する平坦度を表す値が、予め設定しておいた閾値(例えば「2」)以上か否かを判定する。
【0135】
例えば、基準画像G1では「背景領域」と判別された画像領域に対して、該画像領域と同じ位置の検査対象画像G2の画像領域が平坦でない場合、何らかの欠陥が存在していることが考えられる。
【0136】
そのため、領域判別部131では、上記判定処理により、検査対象画像G2の画像領域の平坦度が閾値以上であった場合に、基準画像G1では「背景領域」と判別された画像領域と同じ位置の検査対象画像G2の画像領域に欠陥が存在すると想定し、微少な画素値の変化を検出可能な値(例えば「4」)を、「背景領域」に対応する検査用の第1閾値(欠陥判定基準)として決定する。
【0137】
一方、検査対象画像G2の画像領域の平坦度が閾値未満であった場合には、検査対象画像G2の画像領域に欠陥が存在しないと想定し、欠陥が存在すると想定した場合の値より大きい値(例えば「10」)を、「背景領域」に対応する検査用の第2閾値(欠陥判定基準)として決定する。
【0138】
また、検査制御部13では、領域判別部131による上記判定結果(平坦度の閾値超過)に基づき、欠陥が存在すると想定した場合と存在しないと想定した場合とで、精度の異なる差分検出処理及び欠陥判定処理を行うように制御する。具体的には、次のように制御する。
【0139】
検査対象画像G2の画像領域の平坦度が閾値以上であった場合(欠陥が存在すると想定した場合)には、差分検出部132が、第1の実施形態で示した差分検出方法2に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との差分(矩形領域内の1画素あたりの平均差分)を検出する。また、判定部133が、検出された差分が、上記第1閾値以上か否かを判定し、「背景領域」の欠陥箇所を検出する。なお、上記差分検出方法2の実行では、矩形領域Rの範囲を、「背景領域」に発生する白スジ/黒スジ現象を検出する場合に用いる「3x7」や「7x3」などの範囲に変更してもよい。
【0140】
一方、検査対象画像G2の画像領域の平坦度が閾値未満であった場合(欠陥が存在しないと想定した場合)には、差分検出部132が、第1の実施形態で示した差分検出方法1に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との差分(画素同士の差分)を検出する。また、判定部133が、検出された差分が、上記第2閾値以上か否かを判定し、「背景領域」の欠陥箇所を検出する。
【0141】
これにより、本実施形態では、画素値の変化が小さい領域(平坦度が高い領域)に対して、検査対象画像G2を解析して得た平坦度に基づき、欠陥の存在を予測し、欠陥の存在が予測された画像領域に対して、厳しい欠陥判定基準で印刷品質の検査(感度の高い検査)が行われる。その結果、高精度な印刷品質検査が効率よく行える。
【0142】
以上のように、本実施形態に係る検査機能は、上記各機能部が連携動作することにより実現される。なお、本実施形態に係る検査機能は、検査装置100に搭載されるプログラムが、演算装置により、記憶装置からメモリ上に読み出され、以下の処理が実行されることで実現される。
【0143】
本実施形態に係る検査機能の詳細な動作について、処理手順を示すフローチャートを用いて説明する。
【0144】
《検査機能の処理》
図14は、本実施形態に係る欠陥検査時の処理手順例を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、第1の実施形態に示した処理手順と異なる点(ステップS502,S508の処理)についてのみ説明する。
図14に示すように、検査装置100は、画像取得部11により、基準画像G1及び検査対象画像G2を取得すると(ステップS501)、平坦度解析部12により、基準画像G1及び検査対象画像G1それぞれの平坦度を解析する(ステップS502)。このとき、平坦度解析部12は、基準画像G1と検査対象画像G2と画像の座標空間を調整し、両画像の解析結果を対応づける。両画像の解析結果は、平坦度解析部12から検査制御部13に渡される。
【0145】
次に、検査装置100は、検査制御部13により、受け付けた基準画像G1の解析結果(基準画像を解析して得た平坦度)に応じて、種別ごとの画像領域に対する印刷品質検査が制御される。
【0146】
このとき、検査制御部13は、領域判別部131により、画線部の「背景領域」が判別された場合(ステップS504:NO,ステップS507:YES)、図15に示すような欠陥検査処理を実行する(ステップS508)。
【0147】
《背景領域に対する欠陥検査処理》
図15は、本実施形態に係る背景領域に対する欠陥検査時の処理手順例を示すフローチャートである。
検査制御部13は、領域判別部131により、検査対象画像G2の解析結果に基づき、基準画像G1の「背景領域」に対応する検査対象画像G2の画像領域が平坦か否かを判定する(ステップS601)。このとき、領域判別部131は、受け取った解析結果のうち、検査対象画像G2の解析結果を参照し、参照値(検査対象画像を解析して得た平坦度を表す値)が、予め設定しておいた閾値以上か否かを判定する。
【0148】
領域判別部131は、参照値が閾値未満であった場合に(ステップS601:YES)、検査対象画像G2の該当画像領域に欠陥が存在しないと想定し、差分検出部132が、差分検出方法1に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との差分(画素同士の差分)を検出する(ステップS602)。
【0149】
次に、判定部133が、差分検出部132により検出された差分が、検査用の閾値B1以上か否かを判定する(ステップS603)。なお、検査用の閾値B1は、参照値が閾値未満であった場合に、領域判別部131により、欠陥が存在すると想定した場合の値より大きい値を、検査用の第2閾値(欠陥判定基準)として決定した値である。
【0150】
その結果、判定部133は、差分が閾値B1以上であった場合に(ステップS603:YES)、検査対象画像G2の該当画像領域に発生した異常(欠陥)を検出する。
【0151】
一方、領域判別部131は、参照値が閾値以上であった場合に(ステップS601:NO)、検査対象画像G2の該当画像領域に欠陥が存在すると想定し、差分検出部132が、差分検出方法2に従って、基準画像G1と検査対象画像G2との差分(矩形領域内の1画素あたりの平均差分)を検出する(ステップS604)。
【0152】
次に、判定部133が、差分検出部132により検出された差分が、検査用の閾値B2以上か否かを判定する(ステップS605)。なお、検査用の閾値B2は、参照値が閾値以上であった場合に、領域判別部131により、微少な画素値の変化を検出可能な値を、検査用の第1閾値(欠陥判定基準)として決定した値である。
【0153】
その結果、判定部133は、差分が閾値B2以上であった場合に(ステップS605:YES)、検査対象画像G2の該当画像領域に発生した異常(欠陥)を検出する。
【0154】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る検査装置100によれば、画像取得部11により、基準画像G1及び検査対象画像G2を取得する。次に、検査装置100は、平坦度解析部12により、取得した基準画像G1及び検査対象画像G2において、画素値の変化を表す平坦度を解析する。
【0155】
その結果、検査装置100は、検査制御部13により、基準画像G2を解析して得た平坦度から、種別ごとの画像領域を判別し、判別した画像領域に対する検査用の閾値(欠陥判定基準)を決定する。
【0156】
このとき、検査制御部13は、画素値の変化が小さい領域(平坦度が高い領域)が判別されると、検査対象画像G2を解析して得た平坦度のうち、判別された基準画像G1の画像領域に対応する検査対象画像G2の画像領域を解析して得た平坦度を参照する。検査制御部13は、参照した平坦度に基づき、欠陥の存在を予測し、欠陥の存在が予測された画像領域に対して、厳しい欠陥判定基準を決定する。
【0157】
その後、検査制御部13は、判別した画像領域にあたる基準画像G1の画素と判別した画像領域と同じ位置にあたる検査対象画像G2の画素とを比較し、該当画素値の差分を検出する。これにより、検査制御部13は、検出した差分が閾値を超過しているか否かを判定し、印刷面の欠陥箇所を検査する。
【0158】
これによって、本実施形態に係る検査装置100では、第1の実施形態と同様の効果を奏するとともに、画素値の変化が小さい領域(平坦度が高い領域)に対して、印刷品質検査が効率よく行える。
【0159】
ここまで、上記実施形態の説明を行ってきたが、上記実施形態に係る「検査機能」は、図を用いて説明を行った各処理手順を、動作環境(プラットフォーム)にあったプログラミング言語でコード化したプログラムが、検査装置100(コンピュータ)が備える演算装置により実行されることで実現される。
【0160】
上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体103aに格納することができる。これにより、例えば、上記プログラムは、記録媒体103aに記憶させることで、ドライブ装置103を介して、検査装置100にインストールすることができる。また、検査装置100は、インタフェース装置107を備えていることから、電気通信回線を用いて上記プログラムをダウンロードし、インストールすることもできる。
【0161】
また、上記実施形態では、画素値の変化を8段階で表す平坦度の例を示したが、この限りでない。例えば、平坦度は、画素値の変化を表す段階設定に従って決定できる。なお、段階設定は、検査精度を考慮して予め設定しておけばよい。
【0162】
また、上記実施形態では、平坦度に基づき、画線部の「背景領域」、「絵柄領域」、及び「エッジ領域」などの3つの画像領域を判別する例を示したが、この限りでない。例えば、より少ない領域を判別するようにしてもよいし、より多くの領域を判別するようにしてもよい。なお、判別する画像領域の数は、画線部の領域種別と平坦度の範囲との割り当てにより決定される。
【0163】
また、上記実施形態で示した領域種別ごとの差分検出処理は、例えば、検査装置100に画像処理プロセッサ(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)が備えられている場合、並列処理することもできる。この場合、領域種別ごとに検出された差分を、所定の記憶領域に一時保持し、演算装置で実行される欠陥判定処理で、保持された差分を参照することで検査機能を実現できる。
【0164】
また、上記実施形態では、基準画像G1及び検査対象画像G2において、平坦度の解析を行っているが、この限りでない。例えば、基準画像G1を解析して得た平坦度から画線部の「背景領域」が判別された場合に、検査対象画像G2の平坦度を解析するようにしてもよい。
【0165】
最後に、上記実施形態に挙げた形状や構成に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した要件に、本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0166】
11 画像取得部
12 平坦度解析部
13 検査制御部
131 領域判別部(検査用閾値決定部)
132 差分検出部
133 判定部
100 検査装置(情報処理装置)
101 入力装置
102 表示装置
103 ドライブ装置(a:記録媒体)
104 RAM(揮発性の半導体メモリ)
105 ROM(不揮発性の半導体メモリ)
106 CPU(演算装置)
107 インタフェース装置(NIC:Network I/F Card)
108 HDD(不揮発性の記憶装置)
140,240,340 スキャナ(読み取り装置)
200 画像処理装置
300 画像形成装置
210,310 コントローラ(制御基板)
211,311 CPU
212,312 記憶装置(ROM,RAM,HDDなど)
213,313 ネットワークI/F
214,314 外部記憶I/F
1010 検査システム
B バス
G 画像(1:基準画像,2:検査対象画像)
N データ伝送路(ネットワーク)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0167】
【特許文献1】特開2006−88562号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷面の読み取り画像により印刷物の印刷品質を検査する検査装置であって、
前記読み取り画像を検査対象画像として所得し、印刷データをリッピングした画像を基準画像として取得する取得手段と、
取得した基準画像において、画素値の変化を表す平坦度を解析する解析手段と、
解析結果の平坦度に基づき、検査用の閾値を、画像領域の種別ごとに切り換え、前記基準画像と前記検査対象画像との比較から得た画素値の差分が前記検査用の閾値を超過しているか否かの判定結果に基づき、領域種別ごとに印刷品質を検査するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
解析結果の平坦度から、前記基準画像における種別ごとの画像領域を判別し、予め設定しておいた複数の設定値の中から、判別した画像領域に対応する検査用の閾値を決定することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
判別した画像領域が、印刷箇所にあたる画像領域であって、
画素値の変化が小さく平坦度の高い領域であった場合に、最も小さい値の前記設定値を該領域に対応する検査用の閾値として決定し、
一方、画素値の変化が大きく平坦度の低い領域であった場合に、最も大きい値の前記設定値を該領域に対応する検査用の閾値として決定することを特徴とする請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
判別した画像領域にあたる前記基準画像の画素と判別した画像領域と同じ位置にあたる前記検査対象画像の画素とを比較し、該当画素値の差分を検出し、検出した差分が前記検査用の閾値以上か否かを判定し、判定結果に基づき、印刷面の欠陥箇所を検査することを特徴とする請求項2又は3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記基準画像と前記検査対象画像との間で、同じ位置の画素同士の画素値を比較し、差分の絶対値を算出することで、画素同士の差分を検出する第1差分検出処理を実行することを特徴とする請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記基準画像と前記検査対象画像との間で、同じ位置の矩形領域の各画素同士の画素値を比較し、画素値の差分の絶対値を算出し、比較画素数分の差分値を累積加算した差分総和値を、前記矩形領域に含まれる画素数で除算することで、前記矩形領域内の1画素あたりの平均差分を検出する第2差分検出処理を実行することを特徴とする請求項4又は5に記載の検査装置。
【請求項7】
前記制御手段は、
解析結果の平坦度に基づき、判別された画像領域の種別ごとに前記第1差分検出処理又は前記第2差分検出処理を実行することを特徴とする請求項5又は6に記載の検査装置。
【請求項8】
前記制御手段は、
判別した画像領域が、画素値の変化が小さく平坦度の高い領域であった場合に、前記第2差分検出処理を該領域に対して実行する差分検出処理として決定し、
一方、判別した画像領域が、画素値の変化が大きく平坦度の低い領域であった場合に、前記第1差分検出処理を該領域に対して実行する差分検出処理として決定することを特徴とする請求項7に記載の検査装置。
【請求項9】
前記解析手段は、
前記基準画像及び前記検査対象画像において前記平坦度を解析し、
前記制御手段は、
前記基準画像を解析して得た平坦度から、前記基準画像における種別ごとの画像領域を判別し、判別した画像領域が、画素値の変化が小さく平坦度の高い領域であった場合に、前記検査対象画像を解析して得た平坦度が、予め設定しておいた所定の閾値以上か否かを判定し、判定結果に基づき、前記検査用の閾値を切り換えることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項10】
前記制御手段は、
前記検査対象画像を解析して得た平坦度が、予め設定しておいた所定の閾値以上であった場合に、予め設定しておいた所定の閾値未満であった場合に比べて、小さい値を前記検査用の閾値として決定することを特徴とする請求項9に記載の検査装置。
【請求項11】
前記制御手段は、
前記検査対象画像を解析して得た平坦度が、予め設定しておいた所定の閾値以上であった場合に、前記第2差分検出処理を該領域に対して実行する差分検出処理として決定し、
一方、前記検査対象画像を解析して得た平坦度が、予め設定しておいた所定の閾値未満であった場合に、前記第1差分検出処理を該領域に対して実行する差分検出処理として決定することを特徴とする請求項9又は10に記載の検査装置。
【請求項12】
前記解析手段は、
予め決められた矩形領域における画素値の標準偏差又は分散を算出することで平坦度を解析することを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項13】
前記解析手段は、
予め決められた矩形領域の注目画素と該注目画素に隣接する隣接画素との画素値の差分又は平均値を算出することで平坦度を解析することを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項14】
印刷面の読み取り画像により印刷物の印刷品質を検査する検査装置における検査方法であって、
前記読み取り画像を検査対象画像として所得し、印刷データをリッピングした画像を基準画像として取得する取得手順と、
前記取得手順により取得された基準画像において、画素値の変化を表す平坦度を解析する解析手順と、
前記解析手順による解析結果の平坦度に基づき、検査用の閾値を、画像領域の種別ごとに切り換え、前記基準画像と前記検査対象画像との比較から得た画素値の差分が前記検査用の閾値を超過しているか否かの判定結果に基づき、領域種別ごとに印刷品質を検査するように制御する制御手順と、を有することを特徴とする検査方法。
【請求項15】
印刷面の読み取り画像により印刷物の印刷品質を検査する検査装置における検査プログラムであって、
コンピュータを、
前記読み取り画像を検査対象画像として所得し、印刷データをリッピングした画像を基準画像として取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された基準画像において、画素値の変化を表す平坦度を解析する解析手段と、
前記解析手段による解析結果の平坦度に基づき、検査用の閾値を、画像領域の種別ごとに切り換え、前記基準画像と前記検査対象画像との比較から得た画素値の差分が前記検査用の閾値を超過しているか否かの判定結果に基づき、領域種別ごとに印刷品質を検査するように制御する制御手段として機能させる検査プログラム。
【請求項16】
請求項15に記載のプログラムを記憶した、コンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
印刷面の読み取り画像により印刷物の印刷品質を検査する検査装置であって、
前記読み取り画像を検査対象画像として所得し、印刷データをリッピングした画像を基準画像として取得する取得手段と、
取得した基準画像において、画素値の変化を表す平坦度を解析する解析手段と、
解析結果の平坦度に基づき、検査用の閾値を、画像領域の種別ごとに切り換え、前記基準画像と前記検査対象画像との比較から得た画素値の差分が前記検査用の閾値を超過しているか否かの判定結果に基づき、領域種別ごとに印刷品質を検査するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
解析結果の平坦度から、前記基準画像における種別ごとの画像領域を判別し、予め設定しておいた複数の設定値の中から、判別した画像領域に対応する検査用の閾値を決定することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
判別した画像領域が、印刷箇所にあたる画像領域であって、
画素値の変化が小さく平坦度の高い領域であった場合に、最も小さい値の前記設定値を該領域に対応する検査用の閾値として決定し、
一方、画素値の変化が大きく平坦度の低い領域であった場合に、最も大きい値の前記設定値を該領域に対応する検査用の閾値として決定することを特徴とする請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
判別した画像領域にあたる前記基準画像の画素と判別した画像領域と同じ位置にあたる前記検査対象画像の画素とを比較し、該当画素値の差分を検出し、検出した差分が前記検査用の閾値以上か否かを判定し、判定結果に基づき、印刷面の欠陥箇所を検査することを特徴とする請求項2又は3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記基準画像と前記検査対象画像との間で、同じ位置の画素同士の画素値を比較し、差分の絶対値を算出することで、画素同士の差分を検出する第1差分検出処理を実行することを特徴とする請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記基準画像と前記検査対象画像との間で、同じ位置の矩形領域の各画素同士の画素値を比較し、画素値の差分の絶対値を算出し、比較画素数分の差分値を累積加算した差分総和値を、前記矩形領域に含まれる画素数で除算することで、前記矩形領域内の1画素あたりの平均差分を検出する第2差分検出処理を実行することを特徴とする請求項4又は5に記載の検査装置。
【請求項7】
前記制御手段は、
解析結果の平坦度に基づき、判別された画像領域の種別ごとに前記第1差分検出処理又は前記第2差分検出処理を実行することを特徴とする請求項5又は6に記載の検査装置。
【請求項8】
前記制御手段は、
判別した画像領域が、画素値の変化が小さく平坦度の高い領域であった場合に、前記第2差分検出処理を該領域に対して実行する差分検出処理として決定し、
一方、判別した画像領域が、画素値の変化が大きく平坦度の低い領域であった場合に、前記第1差分検出処理を該領域に対して実行する差分検出処理として決定することを特徴とする請求項7に記載の検査装置。
【請求項9】
前記解析手段は、
前記基準画像及び前記検査対象画像において前記平坦度を解析し、
前記制御手段は、
前記基準画像を解析して得た平坦度から、前記基準画像における種別ごとの画像領域を判別し、判別した画像領域が、画素値の変化が小さく平坦度の高い領域であった場合に、前記検査対象画像を解析して得た平坦度が、予め設定しておいた所定の閾値以上か否かを判定し、判定結果に基づき、前記検査用の閾値を切り換えることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項10】
前記制御手段は、
前記検査対象画像を解析して得た平坦度が、予め設定しておいた所定の閾値以上であった場合に、予め設定しておいた所定の閾値未満であった場合に比べて、小さい値を前記検査用の閾値として決定することを特徴とする請求項9に記載の検査装置。
【請求項11】
前記制御手段は、
前記検査対象画像を解析して得た平坦度が、予め設定しておいた所定の閾値以上であった場合に、前記第2差分検出処理を該領域に対して実行する差分検出処理として決定し、
一方、前記検査対象画像を解析して得た平坦度が、予め設定しておいた所定の閾値未満であった場合に、前記第1差分検出処理を該領域に対して実行する差分検出処理として決定することを特徴とする請求項9又は10に記載の検査装置。
【請求項12】
前記解析手段は、
予め決められた矩形領域における画素値の標準偏差又は分散を算出することで平坦度を解析することを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項13】
前記解析手段は、
予め決められた矩形領域の注目画素と該注目画素に隣接する隣接画素との画素値の差分又は平均値を算出することで平坦度を解析することを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項14】
印刷面の読み取り画像により印刷物の印刷品質を検査する検査装置における検査方法であって、
前記読み取り画像を検査対象画像として所得し、印刷データをリッピングした画像を基準画像として取得する取得手順と、
前記取得手順により取得された基準画像において、画素値の変化を表す平坦度を解析する解析手順と、
前記解析手順による解析結果の平坦度に基づき、検査用の閾値を、画像領域の種別ごとに切り換え、前記基準画像と前記検査対象画像との比較から得た画素値の差分が前記検査用の閾値を超過しているか否かの判定結果に基づき、領域種別ごとに印刷品質を検査するように制御する制御手順と、を有することを特徴とする検査方法。
【請求項15】
印刷面の読み取り画像により印刷物の印刷品質を検査する検査装置における検査プログラムであって、
コンピュータを、
前記読み取り画像を検査対象画像として所得し、印刷データをリッピングした画像を基準画像として取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された基準画像において、画素値の変化を表す平坦度を解析する解析手段と、
前記解析手段による解析結果の平坦度に基づき、検査用の閾値を、画像領域の種別ごとに切り換え、前記基準画像と前記検査対象画像との比較から得た画素値の差分が前記検査用の閾値を超過しているか否かの判定結果に基づき、領域種別ごとに印刷品質を検査するように制御する制御手段として機能させる検査プログラム。
【請求項16】
請求項15に記載のプログラムを記憶した、コンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図4】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図4】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2012−103225(P2012−103225A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254469(P2010−254469)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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