説明

検査装置およびその使用方法

【課題】高価なシリンジポンプなどを用いることなく微小量の試薬を精度良く分注でき、検体、試薬の変更時に分注機構の洗浄作業を不要とした検査装置を提案すること。
【解決手段】臨床検査装置1は、液滴吐出ヘッド1と液体貯留部21とを備え、液滴吐出ヘッド1は、駆動ユニット11(1)〜11(3)と、これらに着脱可能に装着された使い捨てのノズルカートリッジ13(1)〜13(3)からなり、駆動ユニットには圧電素子102が搭載され、ノズルカートリッジにはノズル33、圧力発生用流路34および貯留部32のみが形成されている。空のノズルカートリッジを駆動ユニットに装着して液体貯留部21においてノズル33から洗浄液を吸引して排出することでノズルカートリッジ内を洗浄した後、液体貯留部21においてノズル33からノズルカートリッジ内に薬液を吸引し、検査チップ4に対峙する位置においてノズル33から薬液の液滴を吐出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体(試料)に試薬を加え、反応させることで、定量・定性分析する検査装置、例えば、一般生化学検査、免疫検査などの検査を行うための検査装置に関するものである。さらに詳しくは、インクジェットプリンタに使用されているインクジェットヘッドと同様な機構の液滴吐出ヘッドを用いて、検体検査用の薬液あるいは検体を、検体と試液を反応させるための検査チップに分注する検査装置および、その使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
検査装置は、特許文献1に記載されているように、試薬容器から反応容器に試薬を分注する試薬分注機構と、検体容器から反応容器に検体を分注する検体分注機構と、反応容器内での検体と試薬の反応状態を測定する光学式などの測定部を備えている。生化学検査、臨床検査は比色反応、吸光度などにより検体中の被検出物の量を測定するので、検体および試薬の分注量を高精度に制御する必要がある。このため、試薬の分注および検体の分注には一般に高価なシリンジポンプ式のディスペンサが用いられている。ディスペンサは、検査対象の検体、あるいは使用する検査用の試薬が変わるごとに、綿密に洗浄し、洗浄によって発生した廃液を処理する必要がある。
【特許文献1】特開2002−311036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の分注機構では、微小な分注量を高い精度で制御するための高価なシリンジポンプ等が使用されており、検査装置のコストダウンには不利である。シリンジポンプは内筒をピストンが摺動し、移動するため、構造が複雑であり、耐久性にも大きな課題がある。また、試薬、検体などを変える度にコンタミネーションが起こらないよう、ディスペンサの洗浄作業を綿密に行う必要があるので、検査作業効率が悪く、短時間で各種の検査を行うには適していない。
【0004】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、高価なシリンジポンプなどを用いることなく微小量の試薬などを精度良く分注でき、また、検体および試薬の変更時に分注機構の洗浄作業を不要とした検査装置、およびその使用方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の検査装置は、
ノズルから液滴を吐出可能であると共に、当該ノズルを介して液体を内部に吸引可能な液滴吐出ヘッドと、
この液滴吐出ヘッドを、待機位置、前記ノズルから液滴を吐出する液滴吐出位置、および前記ノズルから液体を吸引する液体吸引位置に搬送するヘッドキャリッジと、
前記液体吸引位置において前記液滴吐出ヘッドによって吸引される液体を貯留している液体貯留部と、
前記液滴吐出位置において前記液滴吐出ヘッドから吐出された液滴を付着させるための検査チップを載置する検査テーブルと、
前記ノズルから液体を吸引するために必要な吸引力を前記液滴吐出ヘッドに供給するヘッド吸引ポンプとを有し、
前記液滴吐出ヘッドは、
ノズルカートリッジと駆動ユニットを備えており、
前記ノズルカートリッジは、前記ノズルと、当該ノズルを介して吸引された液体を貯留するための貯留部と、前記ノズルおよび前記貯留部の間を連通している圧力発生用流路とを備えており、
前記駆動ユニットは、前記ノズルカートリッジが着脱可能な状態で装着されるカートリッジ装着部と、当該カートリッジ装着部に装着された前記ノズルカートリッジの前記圧力発生用流路の内容積を変化させて前記ノズルから液滴を吐出させるための圧力変動を発生させるアクチュエータとを備えていることを特徴としている。
【0006】
本発明では、ヘッドキャリッジに搭載されている駆動ユニットのカートリッジ装着部にノズルカートリッジを装着すると、インクジェットプリンタのインクジェットヘッドと同様な機構の液滴吐出ヘッドが構成される。また、ノズルカートリッジの側ではなく、駆動ユニットの側に高価な圧電素子などのアクチュエータが搭載されている。薬液を分注するためには、液滴吐出ヘッドを液体貯留部に移動し、ここにおいてヘッド吸引ポンプを用いて、ノズルからノズルカートリッジの貯留部に検体検査に必要な量の薬液を吸引し、しかる後に、液体吐出位置に移動して、検体が供給されている検査チップの所定の部位に向けて、薬液をノズルから吐出すればよい。
【0007】
本発明によれば、インクジェットヘッドと同様な機構を採用して、薬液の分注をノズルから液滴を吐出することにより行っているので、分注される薬液の量を高精度に制御することができ、検体検査を精度良く行うことができる。また、試薬あるいは検体を変えて検査を行う場合には、ノズルカートリッジを駆動ユニットから抜き、新たなノズルカートリッジに交換するだけでよく、分注機構の洗浄作業などが不要である。さらに、駆動ユニットから外した使用済みのノズルカートリッジには高価がアクチュエータが搭載されていないので、ノズルカートリッジを安価に構成でき、これを使い捨てとしても費用効率が低下することがない。さらに、シリンジポンプの内筒とピストンのように摺動する部位がないため、耐久性にも優れている。
【0008】
ここで、使用済みのノズルカートリッジに薬液などが残ったまま廃棄することは環境汚染の点から望ましくないので、前記待機位置において前記ノズルを吸引して前記ノズルカートリッジ内の液体を吸引して回収するための廃液回収部を配置しておくことが望ましい。
【0009】
また、空のノズルカートリッジに異物などが付着している場合には、それによって検体あるいは試薬が汚染され、検査精度が低下するおそれがある。そこで、前記液体貯留部に、検体検査用の薬液を貯留している薬液貯留部と、前記液体吐出ヘッドを洗浄するための洗浄液を貯留している洗浄液貯留部とを配置しておくことが望ましい。この場合には、ノズルカートリッジに洗浄液を吸引し、廃液回収部において洗浄液を外部に吸引して排出させることにより、ノズルカートリッジ内を洗浄できる。
【0010】
次に、前記ヘッドキャリッジは、前記液滴吐出ヘッドを、前記待機位置から前記液滴吐出位置を経由して前記液体吸引位置に至る直線状のヘッド移動経路に沿って移動させるものとすることができる。
【0011】
この場合には、検査チップ供給機構によって前記検査チップが供給される検査テーブルを、前記ヘッド移動経路とは異なる方向、例えば直交する方向に移動可能にしておけば、液体吐出ヘッドのノズルと検査チップの相対位置を任意に設定できる。
【0012】
一方、検体検査においては複数種類の薬液が使用される場合が多い。このため、前記液滴吐出ヘッドを、複数の前記駆動ユニットおよび前記ノズルカートリッジを備えた構成とし、前記液体貯留部には、少なくとも前記ノズルカートリッジに対応する数の液体貯留部を配置し、各液体貯留部に異なる薬液を貯留しておけばよい。
【0013】
ここで、本発明において用いる前記液体吐出ヘッドは次の構成のものを採用することができる。すなわち、前記ノズルカートリッジは、前記駆動ユニットの前記カートリッジ装着部に着脱可能に装着される装着部を備え、当該装着部に、前記圧力発生用流路および、当該圧力発生用流路の一部を規定している面外方向に振動可能な流路側振動板とが形成されている。前記駆動ユニットは、前記カートリッジ装着部である装着穴と、この装着穴内に配置された面外方向に振動可能な駆動側振動板と、前記装着穴内において前記駆動側振動板に対向した位置に配置された弾性部材と、前記アクチュエータである圧電素子とを備えている。また、前記駆動側振動板は、前記装着穴に挿入された前記装着部の前記流路側振動板に当接可能な位置に配置され、前記圧電素子によって振動するようになっている。さらに、前記弾性部材は、前記装着穴に挿入された前記装着部によって弾性変形して、当該装着部を弾性復帰力によって前記駆動側振動板に向けて付勢可能な位置に配置されている。
【0014】
次に、本発明は、上記構成の検査装置のうち、前記廃液回収部および前記洗浄液貯留部を備えた検査装置の使用方法であって、
前記待機位置にある前記駆動ユニットに空の前記ノズルカートリッジを装着して前記液滴吐出ヘッドを構成し、
前記液滴吐出ヘッドを前記液体吸収位置に移動して、前記ノズルから前記洗浄液を吸引し、
前記液滴吐出ヘッドを前記待機位置に戻して、前記ノズルカートリッジ内の前記洗浄液を、前記ノズルを介して前記廃液回収部に吸引回収し、
前記液滴吐出ヘッドを前記液体吸引位置に移動して、前記ノズルから検体検査に必要な量の前記薬液を吸引して前記貯留部に溜め、
前記液滴吐出ヘッドを前記液体吐出位置に移動して、前記ノズルから前記検査チップに前記薬液を吐出し、
前記液滴吐出ヘッドを前記待機位置に戻すことを特徴としている。
【0015】
ここで、前記駆動ユニットに装着されている前記ノズルカートリッジを交換する際には、前記待機位置において、前記ノズルを介して前記ノズルカートリッジ内に残っている薬液を前記廃液回収部に吸引回収し、しかる後に、当該ノズルカートリッジを前記駆動ユニットから外して廃棄することが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の検査装置では、インクジェットプリンタに使用されているインクジェットヘッドと同様な機構の液滴吐出ヘッドを用いて、薬液の分注をノズルから液滴を吐出する形態で行っている。したがって、分注される薬液の量を高精度に制御することができ、検体検査を精度良く行うことができる。
【0017】
また、試薬あるいは検体を変えて検査を行う場合には、ノズルカートリッジを駆動ユニットから抜き、新たなノズルカートリッジに交換するだけでよく、分注機構の洗浄作業などが不要である。
【0018】
さらに、駆動ユニットから外した使用済みのノズルカートリッジにはアクチュエータが搭載されていないので、ノズルカートリッジを安価に構成でき、これを使い捨てとしても費用効率が低下することがない。さらに、アクチュエータが摺動する構成ではないので、耐久性にも優れている。
【0019】
一方、本発明の検査装置の使用方法では、使用済みのノズルカートリッジに残っている薬液を廃液回収部に吸引回収し、空にした使用済みのノズルカートリッジを廃棄しているので、環境汚染を引き起こすことが無いなどの利点がある。
【0020】
また、新しい空のノズルカートリッジを装着した場合には、薬液を吸引する前に、洗浄液の吸引および排出動作を行って、異物などを除去している。したがって、空のノズルカートリッジに付着していた異物によって検体あるいは試薬が汚染され、検査精度が低下するなどの弊害を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した検査装置の例として臨床検査装置の実施の形態を説明する。
【0022】
(全体構成)
図1は本実施の形態に係る臨床検査装置の主要部分の概略構成図であり、図2はその正面図であり、図3は図1のIII−III線で切断した部分を示す概略断面図である。これらの図を参照して臨床検査装置の全体構成を説明する。
【0023】
臨床検査装置1は、矩形枠状の装置フレーム2の底面中央部分に取り付けた前後方向(Y方向)に出し入れ可能な検査テーブル3を有している。検査テーブル3には、検体が予め供給されている1枚の検査チップ4が載置されるようになっている。検査チップ4は、装置フレーム2の後側中央部分に取り付けられているチップマガジン5に収納されている。検査チップ4については詳細を後述する(図6、7参照)。
【0024】
装置フレーム2には、検査テーブル3の上方を経由して左右方向(X方向)に往復移動可能なヘッドキャリッジ6が取り付けられている。キャリッジ6は、X方向に掛け渡したキャリッジガイド軸7に沿って、キャリッジモータ8a、タイミングベルト8b、プーリ8cなどからなるキャリッジ駆動機構によってX方向に移動する。ヘッドキャリッジ6には、検体検査用の薬液を検査チップ4に分注するための液滴吐出ヘッド10が搭載されている。
【0025】
液滴吐出ヘッド10は、キャリッジ6に搭載されている3連式の駆動ユニット11(1)〜11(3)と、これらの駆動ユニット11(1)〜11(3)のそれぞれの装着穴12(1)〜12(3)に着脱可能に上側から装着される3本のノズルカートリッジ13(1)〜13(3)とを備えている。
【0026】
図3から分かるように、ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)は、その上半部分が薬液を貯留するための貯留部31とされ、その下半部分が装着穴12(1)〜12(3)に装着可能な装着部32とされている。この装着部32の先端には液滴吐出用のノズル33が形成されており、装着部32の内部には、液滴をノズル33から吐出させるために必要な圧力変動を発生させるための圧力発生用流路34が形成されている。圧力発生用流路34の一端がノズル33に連通しており、その他端が貯留部31に連通している。液滴吐出ヘッド10の詳細については後述する(図8〜図13参照)。
【0027】
次に、図1、3に示すように、ヘッドキャリッジ6には、3本のノズルカートリッジ13(1)〜13(3)を覆う状態に、吸引流路板14が着脱可能な状態で装着されている。吸引流路板14の上面には不図示のフィルムで封鎖された各ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)の貯留部31内に連通する3本の吸引流路14a〜14cが形成されている。これらの吸引流路14a〜14cの一端は、図3から分かるように、各ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)の貯留部31の内部に連通している。これらの吸引流路14a〜14cの他端は、ヘッドキャリッジ6と装置フレーム2の間にU状に湾曲させて架け渡したフレキシブル配線板15に沿って引き出されている不図示の可撓性の吸引チューブを介して、装置フレーム2の背面に搭載されているヘッド吸引ポンプ16の吸引ポート(図示せず)に繋がっている。
【0028】
吸引チューブと吸引ポートの間には三方電磁弁(図示せず)が配置されている。三方電磁弁を切り替えることにより、ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)の内部をヘッド吸引ポンプ16によって吸引可能である。また、ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)とヘッド吸引ポンプ16の間を切断して、ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)の貯留部31内を大気開放できるようになっている。
【0029】
次に、装置フレーム2の底部における検査テーブル3の一方の側には、廃液回収ユニット17が配置されている。廃液回収ユニット17は、ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)のノズル33が形成されている先端部分を覆うためのキャップ18と、チューブポンプなどの廃液回収ポンプ19と、廃液回収ポンプ19によって吸引された廃液の回収部(図示せず)とを備えている。キャップ18をノズルカートリッジ13(1)〜13(39の先端部分に被せて、廃液回収ポンプ19を駆動することにより、各ノズル33を介して各ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)内の液体を外部に排出して回収することができるようになっている。
【0030】
装置フレーム2の底部における検査テーブル3の他方の側には、液体貯留ユニット21が配置されている。この液体貯留ユニット21は、マトリックス状に液体貯留用のウエル22が形成されているウエルプレート23と、このウエルプレート23を昇降させるための昇降ユニット24とを備えている。例えば、3行5列のウエル22(1,1)〜22(3,5)が形成されており、各行の間隔は3本のノズルカートリッジ13(1)〜13(3)のノズル33に対応した間隔とされている。
【0031】
例えば、1列分の3個のウエル22(1,1)〜22(3,1)は洗浄液が貯留された洗浄液貯留部である。残りのウエルは薬液貯留部であり、第1行目の4個のウエル22(1,2)〜(1,5)は試薬(指標薬)が貯留された試薬貯留部、第2行目の4個のウエル22(2,2)〜22(2,5)は反応薬が貯留された反応薬貯留部、第3行目の4個のウエル22(3,2)〜22(3,5)は緩衝薬が貯留された緩衝薬貯留部である。
【0032】
なお、図2に破線で示すように、検査テーブル3における検査チップ4の載置位置の下方の部位には、検査チップ4における検体の反応結果を計測あるいは分析するための分析ユニット25が配置されている。また、液送ポンプユニット26が配置されている。
【0033】
ここで、図2を参照して、ヘッドキャリッジ6に搭載されている液滴吐出ヘッド10の移動位置について説明する。液滴吐出ヘッド10は、その各ノズル33が、廃液回収ユニット17に対峙した待機位置10Aと、検査テーブル3上の検査チップ4に対峙した分注位置10B(液滴吐出位置)と、液体貯留部21における洗浄液貯留用のウエル22(1,1)〜22(3,1)に対峙した洗浄液吸引位置10Cと、これら以外のウエルの各列に対峙した4箇所の薬液吸引位置10Dを経由するヘッド移動経路に沿って搬送されるようになっている。なお、図2は、液滴吐出ヘッド10のノズル33が3列目のウエル2(1,3)〜2(3,3)に位置している状態を示してあり、図1は、液滴吐出ヘッド10が待機位置10Aに位置している状態を示してある。
【0034】
(分注動作)
次に、図4および図5は、臨床検査装置1における動作のうち、主に薬液分注動作を示す説明図である。
【0035】
まず図1、3に示すように、待機位置10Aに待機しているヘッドキャリッジ6に搭載されている駆動ユニット11(1)〜11(3)の装着穴12(1)〜12(3)に、空のノズルカートリッジ13(1)〜13(3)をそれぞれ装着して、液滴吐出ヘッド10を構成する。また、各ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)の上に吸引流路板14を取り付ける。
【0036】
次に、図4(a)に示すように、検査テーブル3を前方に引き出し、チップマガジン5から取り出された検査チップ4を検査テーブル3における予め定めた位置に載せる。検査チップ4を載せた後に、検査テーブル3を元の位置に引き込む。
【0037】
この後は、図4(b)に示すように、ヘッドキャリッジ6によって液滴吐出ヘッド10を洗浄液吸引位置10Cに移動する。洗浄液吸引位置10Cにおいて、昇降ユニット24によってウエルプレート23を上昇させ、各ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)のノズル33が形成されている先端部分を洗浄液貯留部であるウエル22(1,1)〜22(3,1)に貯留されている洗浄液内に差し込む。この状態で、ヘッド吸引ポンプ16を駆動して、各ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)の貯留部31の内部を負圧状態にする。これにより、各ノズル33を介して、各ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)の貯留部31の内部に洗浄液が吸引される。
【0038】
次に、図4(c)に示すように、ヘッドキャリッジ6によって液滴吐出ヘッド10を待機位置10Aに戻し、廃液回収ユニット17のキャップ18を上昇させて、各ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)のノズル33を密閉状態で覆う(図3参照)。この状態で廃液回収ポンプ19を駆動して、各ノズル33を介して、各ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)の内部から洗浄液を吸い出して回収する。これにより、各ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)における貯留部31の内部、圧力発生用流路34およびノズル33が洗浄される。
【0039】
この後は、図5(a)に示すように、ヘッドキャリッジ6によって液滴吐出ヘッド10を薬液吸引位置10Dに移動し、各ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)の各ノズル33を薬液貯留部としての第2〜第5のウエル列のいずれかに位置決めする。この状態で、昇降ユニット24によってウエルプレート23を上昇させ、各ノズル33を各ウエルに貯留されている薬液内に差し込む。次に、ヘッド吸引ポンプ16を駆動して、各ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)の貯留部31の内部を負圧状態にする。これにより、各ノズル33を介して、各ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)の貯留部31の内部に薬液が吸引される。例えば、各ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)の貯留部31に、それぞれ、指標薬、反応薬および緩衝薬が吸引される。
【0040】
次に、図5(b)に示すように、ヘッドキャリッジ6によって液滴吐出ヘッド10を分注位置10Bに移動し、検査チップ4に各ノズル33から薬液を必要回数吐出する。これにより、検査チップ4に各薬液が分注される。例えば、液滴吐出ヘッド10の各ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)のノズル33を順次に検査チップ4の吐出位置に位置決めして、各ノズル33から薬液を吐出する。各ノズル33と検査チップ4の吐出位置との位置決めは、検査テーブル3をY方向に移動させることにより行われる。この後は、液滴吐出ヘッド10を待機位置に戻す。
【0041】
上記の図4(a)の検体導入と、図5(a)の薬液吸引と、図5(b)の薬液分注動作を繰り返し行うことにより、必要枚数分の検査チップ4に各薬液を分注することができる。
【0042】
同一種類の薬液の分注が終了した後は、図5(c)に示すように、液滴吐出ヘッド10を待機位置に戻す。そして、廃液回収ユニット17のキャップ18を上昇させて、各ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)のノズル33を密閉状態で覆う(図3参照)。この状態で廃液回収ポンプ19を駆動して、各ノズル33を介して、各ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)の内部に残っている薬液を吸い出して回収する。空となった使用済みの各ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)を、各駆動ユニット11(1)〜11(3)から取り外して廃棄する。
【0043】
(検査チップ)
図6および図7を参照して検査チップ4の一例を説明する。図6(a)および(b)は、検査チップ4を示す斜視図および検査テーブル3に載せた状態を示す概略断面図であり、図7(a)〜(c)は検査チップ4の平面図、正面図および縦断面図である。
【0044】
検査チップ4は扁平な矩形状の基板41を備えており、この基板41の平坦な表面42には、円形の検体および緩衝薬の導入孔43と、円形の指標薬の導入孔44と、円形の反応薬の導入孔45と、長円形の反応チャンバ46とが形成されている。導入孔43、44、45にはそれぞれ連通溝47、48、49が繋がっており、これらの連通溝47〜49は途中位置で合流して反応チャンバ46に繋がっている。反応チャンバ46は連通溝50を介して基板41の内部に形成した測定セル51に繋がっている。
【0045】
検査テーブル3に載せた検査チップ4の各導入孔43〜45には、液滴吐出ヘッド10によって、指標薬、反応薬および緩衝薬がそれぞれ分注される。本例では、先に述べたように、ノズルカートリッジ13(1)のノズル33から指標薬が吐出され、ノズルカートリッジ13(2)のノズル33から反応薬が吐出され、ノズルカートリッジ13(3)のノズル33から緩衝薬が吐出される。これらの導入孔43〜45に分注された薬液は、毛細管力によって各連通溝47〜49に沿って反応チャンバ46に移動する。緩衝薬と共に反応チャンバ46に移動した検体(例えば血しょう)がここで反応薬と反応する。
【0046】
次に、測定セル51は、基板41の裏面から垂直に突出している光透過性の突出板部分52の内部に形成された微小幅の通路である。測定セル51は、突出板部分52の端面に開けた接続孔53に連通している。接続孔53は気体透過性および液体不透過性のフィルム54で封鎖されている。フィルム54としては、例えば、ゴアテックス(商品名)を用いることができる。
【0047】
図6(b)に示すように、検査テーブル3の上面には、検査チップ4の装着用凹部55が形成されており、この凹部55の底中央には検査チップ4の突出板部分52が差し込まれる溝56が形成されている。検査テーブル3には、この溝56の両側に配置された白色レーザ光源57および受光部58を備えた光学式測定部を備えた分析ユニット25が配置されている。そして、例えば、分析ユニット25によって吸光度が計測される。
【0048】
検査テーブル3に検査チップ4を装着すると、検査チップ4の測定セル51に連通している接続孔53が、フィルム54を介して、液送ポンプユニット26の吸引ポート(図示せず)に接続された状態になる。液送ポンプユニット26を駆動して測定セル51を負圧状態にすると、連通溝50を介して測定セル51に連通している反応チャンバ46に溜まっている検体および薬液が当該測定セル51に導入される。導入された検体の反応状態を表す吸光度が、分析ユニット25の測定部によって測定される。
【0049】
(液滴吐出ヘッド)
次に、図8〜図13を参照して液滴吐出ヘッド10の構造を詳細に説明する。液滴吐出ヘッド10を構成している各駆動ユニット11(1)〜11(3)は同一構造であり、また、各ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)も同一構造である。よって、以下の説明においては、駆動ユニット11(1)およびノズルカートリッジ13(1)からなる液滴吐出ヘッド100の部分を説明する。
【0050】
図8(a)および(b)は液滴吐出ヘッド100を後側および前側から見た場合の斜視図である。図9は液滴吐出ヘッド100を分離した状態の斜視図である。図10(a)および(b)は液滴吐出ヘッド100の正面図および縦断面図である。まず、これらの図を参照して液滴吐出ヘッド100の主要構成を説明する。
【0051】
液滴吐出ヘッド100は、アクチュエータとして圧電素子102が内蔵されている駆動ユニット11(1)と、先端にノズル33が形成されているノズルカートリッジ13(1)とを有している。ノズルカートリッジ13(1)は駆動ユニット11(1)に対して取り外し可能な状態で装着されている。
【0052】
ノズルカートリッジ13(1)は、円筒状の貯留部31と、この貯留部31の先端面から同軸状に突出している装着部32とを備えている。装着部32の先端面の中心にノズル33が形成されており、装着部32の内部にはノズル33に連通した圧力発生用流路34が形成されている。この圧力発生用流路34の一方の側面は面外方向に振動可能な流路側振動板109によって規定されている。
【0053】
駆動ユニット11(1)は、装着部32が着脱可能な状態で挿入されている装着穴12(1)を備えている。この装着穴12(1)の内周面の一部は面外方向に振動可能な駆動側振動板112によって規定されている。この駆動側振動板112の背面側に積層型のピエゾ素子からなる圧電素子102が配置されており、圧電素子102が変位すると駆動側振動板112が振動する。また、駆動側振動板112に対向している装着穴12(1)の内周面部分は弾性部材113によって規定されている。
【0054】
駆動側振動板112は、装着穴12(1)に挿入されたノズルカートリッジ13(1)の装着部32の流路側振動板109に当接可能な位置に配置されている。また、弾性部材113は、挿入された装着部32によって装着穴12(1)の外方に弾性変形させられ、その弾性復帰力によって装着部32を駆動側振動板112に向けて付勢した状態となっている。したがって、装着部32を弾性部材113による付勢力に逆らって装着穴12(1)から引き抜くことができ、装着部32を引き抜くことにより、図9に示すように、駆動ユニット11(1)からノズルカートリッジ13(1)を分離させることができる。
【0055】
次に、図11は駆動ユニット11(1)とノズルカートリッジ13(1)が分離した状態を縦断面と共に示す斜視図であり、図12はノズルカートリッジ13(1)の分解斜視図であり、図13は駆動ユニット11(1)の分解斜視図である。これらの図も参照して、ノズルカートリッジ13(1)および駆動ユニット11(1)の構造を更に詳細に説明する。
【0056】
まず、ノズルカートリッジ13(1)の貯留部31は、その後端が開口部121となっており、当該貯留部31の中空部122と、開口部121から挿入された扁平なカップ状のピストン123によって液密状態の液体貯留室124が形成されている。ここに、ノズル33から吸引した薬液を貯留可能である。開口部121はキャップ126で封鎖されているが、当該キャップ126とピストン123の間は、キャップ126に形成した不図示の大気連通孔を介して大気開放されている。ピストン123は、液体貯留室124が空の状態においては、その底面127の側に位置している。薬液が吸引されると、それに伴って液密状態を保持したまま、キャップ126の側に移動する。また、液体貯留室124に貯留されている薬液の消費に伴って、液密状態を保持したまま、底面127の側に移動する。
【0057】
先に述べたように、ノズルカートリッジ13(1)には吸引流路板14が被せられ、当該吸引流路板14に形成されている吸引流路14aがキャップ126の不図示の大気連通孔に連通した状態になっている(図1、図3参照)。したがって、液体貯留室124をヘッド吸引ポンプ16の側に連通させ、この状態で当該ヘッド吸引ポンプ16を駆動すると、ノズル33から圧力発生用流路34を介して液体貯留室124内に液体が吸引される。
【0058】
次に、貯留部31の先から同軸状に突出している装着部32は、貯留部31と一体形成されている一定厚さ、および一定幅の突出板128と、この突出板128の表面に装着した流路基板129と、この流路基板129の表面に貼り付けられている流路側振動板109とを備えている。突出板128には、裏面中央から垂直に突出している突条部131が一体形成されている。図12に示すように、当該突出板128の表面には流路基板129を装着するための凹部132が形成されている。流路基板129の表面には圧力発生用流路34を形成するための流路溝133が形成されており、この流路溝133の先端は液滴吐出ノズル33を形成するためのノズル溝134に連通している。流路溝133の後端には細い連通溝135が形成されており、この連通溝135は、液体貯留室124の底面127を貫通して当該液体貯留室124に繋がっている液体供給穴136に連通している。
【0059】
この流路基板129の表面に貼り付けられている流路側振動板109は、流路基板129に対応する輪郭形状をした薄い外周縁部分137と、この外周縁部分137によって取り囲まれている厚い中央部分138とを備えている。中央部分138は流路溝133の開口形状よりも一回り小さな領域に形成されている。この構成の流路基板129の裏面側はほぼ平坦面とされ、その中央部分138の上面部分は細長い長方形の平坦面とされ、この平坦面が駆動側振動板112に当接する当接面139となっている。
【0060】
流路基板129の表面に流路側振動板109を貼り合わせることにより、これらの間に、ノズル33、圧力発生用流路34、液体供給穴136に連通した連通路140が形成される。
【0061】
この構成のノズルカートリッジ13(1)の貯留部31および突出板128からなる部品、流路基板129、流路側振動板108は、ステンレススチール、ガラス、シリコン、プラスチックなどの各種の素材から形成することができる。使い捨ての場合には、少なくとも貯留部31および突出板128からなる部品を廉価なプラスチック素材から形成することが望ましい。
【0062】
次に、駆動ユニット11(1)の構造を説明する。駆動ユニット11(1)は、装着穴12(1)が形成されているユニットケース141を備えている。このユニットケース141における装着穴12(1)の挿入側の開口部142の形状は、ノズルカートリッジ13(1)の装着部32の輪郭形状と相補的な形状をしており、これらの輪郭形状によって装着部32を装着穴12(1)に挿入する際の向きが規定されている。
【0063】
装着穴12(1)に挿入された装着部32における流路側振動板109に対峙する装着穴内周面部分は、ユニットケース141に取り付けた駆動側振動板112によって規定されている。この駆動側振動板112は、流路側振動板109の平坦な当接面139に対峙する平坦な対峙面143を備えている。この対峙面143における当接面139に対峙する領域内の部位には、その上端部分に1個の突起144、その下端部分に2個の突起145、146が形成されており、これらの3個の突起144ないし146が流路側振動板108の当接面139に当接するようになっている。
【0064】
この駆動側振動板112の対峙面143の裏面側には圧電素子102が配置されている。圧電素子102はセラミック製などの固定板147に取り付けられており、固定板147はユニットケース141に取り付けられている。圧電素子102の変位面102aが駆動側振動板112の対峙面143の裏面に当接状態に保持されている。したがって、駆動側振動板112は圧電素子102の変位に伴って振動する。
【0065】
一方、装着穴12(1)における駆動側振動板112とは反対側の内周面部分、すなわち、装着部32における突条部131に対峙する部位には細長い直方体形状の弾性部材113が配置されている。この弾性部材113の表面は僅かに装着穴12(1)の内方に突出しており、挿入された突条部131によって外方に押し潰され、これによって発生する弾性復帰力によって装着部32を反対側の駆動側振動板112に向けて付勢している。
【0066】
したがって、装着部32の流路側振動板109の当接面139は所定の付勢力で駆動側振動板112の対峙面143に形成されている3個の突起144ないし146に押し付けられている。この結果、圧電素子102によって駆動側振動板112が振動すると、これに追従して、流路側振動板108における剛性の高い中央部分138が撓むことなく全体として振動し、圧力発生用流路34の容積が増減してその内圧が変動する。
【0067】
なお、ユニットケース141における挿入側の開口部142が形成されている端面部分148からはほぼ180度の弧を張る円弧状支持板149が突出している。装着穴12(1)に装着部32が挿入された状態のノズルカートリッジ13(1)における貯留部31の先端側の外周面部分が当該円弧状支持板149によって保持され、ノズルカートリッジ13(1)のガタツキが防止される。また、ユニットケース141の側面にはフレキシブルケーブル150が取り付けられており、ここを介して圧電素子102の電極に駆動電圧が供給される。
【0068】
なお、ユニットケース141もステンレススチール、ガラス、シリコン、プラスチックなどの各種の素材から形成することができる。製造コストを低減するためには、プラスチック製の射出成形品とすることが望ましい。
【0069】
このように構成した液滴吐出ヘッド100では、ノズルカートリッジ13(1)の装着部32が駆動ユニット11(1)の装着穴12(1)に挿入された状態においては、装着部32によって弾性部材113が弾性変形させられており、当該弾性部材113の弾性復帰力によって装着部32の流路側振動板108が駆動ユニット11(1)の側の駆動側振動板112の3個の突起144ないし146に当接した状態に保持される。
【0070】
圧電素子102によって駆動側振動板112を振動させると、この駆動側振動板112に当接状態に保持されている流路側振動板109も一緒に振動する。すなわち、その剛性の高い中央部分138が平板状態のまま全体として面外方向に振動し、圧力発生用流路34の容積が変動する。本例では引き打ちにより液滴を吐出させるようにしている。そのために、まず、圧電素子102を収縮させる。これにより駆動側振動板112が流路側振動板109から後退する方向に変位する。流路側振動板109は駆動側振動板112に押し付けられているので、駆動側振動板112に追従して駆動側振動板112の側に変位する。この結果、圧力発生用流路34の容積が一時的に増加する。しかる後は圧電素子102が伸長し、流路側振動板109が押し戻され、圧力発生用流路34の容積が減少し内圧が一時的に増加し、これによって、ノズル33から薬液の液滴が吐出する。
【0071】
ここで、ノズルカートリッジ13(1)の装着部32は弾性部材113の弾性復帰力によって駆動ユニット11(1)の装着穴12(1)に保持されており、その弾性復帰力による付勢力に逆らって装着部32を装着穴12(1)から引き抜くという簡単な操作により、ノズルカートリッジ13(1)を駆動ユニット11(1)から取り外すことができる。したがって、先に述べたように、使用済みのノズルカートリッジ13(1)のみを交換すればよく、圧電素子102を備えた高価な駆動ユニット11(1)はそのまま継続して用いることができるので経済的である。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態に係る臨床検査装置1では、インクジェットプリンタに使用されているインクジェットヘッドと同様な機構の液滴吐出ヘッド10を用いて、薬液の分注をノズル33から液滴を吐出する形態で行っている。したがって、分注される薬液の量を高精度に制御することができ、検体検査を精度良く行うことができる。
【0073】
また、試薬あるいは検体を変えて検査を行う場合には、ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)を駆動ユニット11(1)〜11(3)から抜き、新たなノズルカートリッジに交換するだけでよく、分注機構の洗浄作業などが不要である。ノズルカートリッジ13(1)〜13(3)は圧電素子が搭載されておらず、安価に製造できる。よって、これを使い捨てとしても費用効率が低下することがない。
【0074】
さらに、使用済みのノズルカートリッジ13(1)〜13(3)に残っている薬液を廃液回収ユニット17に吸引回収し、空にした使用済みのノズルカートリッジ13(1)〜13(3)を廃棄しているので、環境汚染を引き起こすことが無いなどの利点がある。
【0075】
さらには、新しい空のノズルカートリッジ13(1)〜13(3)を装着した場合には、薬液を吸引する前に、洗浄液の吸引および排出動作を行って、異物などを除去している。したがって、空のノズルカートリッジに付着していた異物によって検体あるいは試薬が汚染され、検査精度が低下するなどの弊害を防止できる。
【0076】
(その他の実施の形態)
なお、上記の例では、インクジェット方式の液滴吐出ヘッド10を用いて、指標薬、反応薬などの薬液を分注している。検体も液滴吐出ヘッド10を用いて検体チップ4に分注することも可能である。
【0077】
また、上記の例では、液滴吐出ヘッド10は3連式であるが、2連、1連あるいは4連以上の構造としてもよいことは勿論である。
【0078】
さらに、上記の例は臨床検査装置に関するものであるが、本発明は他の検査装置にも同様に適用可能である。例えば、試料または試薬を一定量正確に注入するガスクロマトグラフィや高速液体クロマトグラフィ(HPLC)などの検査装置にも本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明を適用した臨床検査装置の主要部分の概略構成図である。
【図2】図1の臨床検査装置の正面図である。
【図3】図1のIII−III線で切断した部分の断面図である。
【図4】図1の臨床検査装置の分注動作を示す説明図である。
【図5】図1の臨床検査装置の分注動作を示す説明図である。
【図6】検査チップの斜視図および検査テーブルに装着した状態の断面図である。
【図7】検査チップの平面図、正面図および断面図である。
【図8】図1の臨床検査装置の液滴吐出ヘッドを示す斜視図である。
【図9】図8の液滴吐出ヘッドの分離状態を示す斜視図である。
【図10】図8の液滴吐出ヘッドの正面図および縦断面図である。
【図11】図8の液滴吐出ヘッドの分離状態を縦断面と共に示す斜視図である。
【図12】図8の液滴吐出ヘッドのノズルカートリッジの分解斜視図である。
【図13】図8の液滴吐出ヘッドの駆動ユニットの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0080】
1 臨床検査装置、2 装置フレーム、3 検査テーブル、4 検査チップ、5 チップマガジン、6 ヘッドキャリッジ、7 キャリッジガイド軸、8a キャリッジモータ、8b タイミングベルト、8c プーリ、10 液滴吐出ヘッド、10A 待機位置、10B 分注位置、10C 洗浄液吸引位置、10D 薬液吸引位置、11(1)〜11(3) 駆動ユニット、12(1)〜12(3) 装着穴、13(1)〜13(3) ノズルカートリッジ、14 吸引流路板、14a〜14c 吸引流路、15 フレキシブル配線板、16 ヘッド吸引ポンプ、17 廃液回収ユニット、18 キャップ、19 廃液回収ポンプ、21 液体貯留部、22(1,1)〜22(3,5) ウエル、23 ウエルプレート、24 昇降ユニット、25 分析ユニット、26 液送ポンプ、31 貯留部、32 装着部、33 ノズル、34 液体流路、41 基板、42 表面、43〜45 導入孔、46 反応チャンバ、47〜50 連通溝、51 測定セル、52 突出板部分、53 接続孔、54 フィルム、55 装着用凹部、56 溝、57 レーザ光源、58 受光部、100 液滴吐出ヘッド、102 圧電素子、102a 変位面、109 流路側振動板、112 駆動側振動板、113 弾性部材、121 開口部、122 中空部、123 ピストン、124 液体貯留室、126 キャップ、127 先端面、128 突出板、129 流路基板、131 突条部、132 凹部、133 流路溝、134 ノズル溝、135 連通溝、136 液体供給穴、137 外周縁部分、138 中央部分、139 当接面、140連通路、141 ユニットケース、142 開口部、143 対峙面、144〜146 突起、147 固定板、148 端面部分、149 円弧状支持板、150 フレキシブルケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから液滴を吐出可能であると共に、当該ノズルを介して液体を内部に吸引可能な液滴吐出ヘッドと、
この液滴吐出ヘッドを、待機位置、前記ノズルから液滴を吐出する液滴吐出位置、および前記ノズルから液体を吸引する液体吸引位置に搬送するヘッドキャリッジと、
前記液体吸引位置において前記液滴吐出ヘッドによって吸引される液体を貯留している液体貯留部と、
前記液滴吐出位置において前記液滴吐出ヘッドから吐出された液滴を付着させるための検査チップを載置する検査テーブルと、
前記ノズルから液体を吸引するために必要な吸引力を前記液滴吐出ヘッドに供給するヘッド吸引ポンプとを有し、
前記液滴吐出ヘッドは、
ノズルカートリッジと駆動ユニットを備えており、
前記ノズルカートリッジは、前記ノズルと、当該ノズルを介して吸引された液体を貯留するための貯留部と、前記ノズルおよび前記貯留部の間を連通している圧力発生用流路とを備えており、
前記駆動ユニットは、前記ノズルカートリッジが着脱可能な状態で装着されるカートリッジ装着部と、当該カートリッジ装着部に装着された前記ノズルカートリッジの前記圧力発生用流路の内容積を変化させて前記ノズルから液滴を吐出させるための圧力変動を発生させるアクチュエータとを備えていることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記待機位置において前記ノズルを吸引して前記ノズルカートリッジ内の液体を吸引して回収するための廃液回収部を有していることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記液体貯留部は、検体検査用の薬液を貯留している薬液貯留部と、前記液体吐出ヘッドを洗浄するための洗浄液を貯留している洗浄液貯留部とを備えていることを特徴とする請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記ヘッドキャリッジは、前記液滴吐出ヘッドを、前記待機位置から前記液滴吐出位置を経由して前記液体吸引位置に至る直線状のヘッド移動経路に沿って移動させるものであることを特徴とする請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記検査テーブルを、前記ヘッド移動経路とは異なる方向に移動させる検査チップ供給機構を有していることを特徴とする請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
前記液滴吐出ヘッドは、複数の前記駆動ユニットおよび前記ノズルカートリッジを備えており、
前記液体貯留部は、少なくとも前記ノズルカートリッジに対応する数の液体貯留部を備えていることを特徴とする請求項5に記載の検査装置。
【請求項7】
前記液滴吐出ヘッドの前記ノズルカートリッジは、前記駆動ユニットの前記カートリッジ装着部に着脱可能に装着される装着部を備え、当該装着部に、前記圧力発生用流路および、当該圧力発生用流路の一部を規定している面外方向に振動可能な流路側振動板とが形成されており、
前記液滴吐出ヘッドの前記駆動ユニットは、前記カートリッジ装着部である装着穴と、この装着穴内に配置された面外方向に振動可能な駆動側振動板と、前記装着穴内において前記駆動側振動板に対向した位置に配置された弾性部材と、前記アクチュエータである圧電素子とを備えており、
前記駆動側振動板は、前記装着穴に挿入された前記装着部の前記流路側振動板に当接可能な位置に配置され、前記圧電素子によって振動するようになっており、
前記弾性部材は、前記装着穴に挿入された前記装着部によって弾性変形して、当該装着部を弾性復帰力によって前記駆動側振動板に向けて付勢可能な位置に配置されていることを特徴とする請求項1ないし6のうちのいずれかの項に記載の検査装置。
【請求項8】
請求項3に記載の検査装置の使用方法であって、
前記待機位置にある前記駆動ユニットに空の前記ノズルカートリッジを装着して前記液滴吐出ヘッドを構成し、
前記液滴吐出ヘッドを前記液体吸収位置に移動して、前記ノズルから前記洗浄液を吸引し、
前記液滴吐出ヘッドを前記待機位置に戻して、前記ノズルカートリッジ内の前記洗浄液を、前記ノズルを介して前記廃液回収部に吸引回収し、
前記液滴吐出ヘッドを前記液体吸引位置に移動して、前記ノズルから検体検査に必要な量の前記薬液を吸引して前記貯留部に溜め、
前記液滴吐出ヘッドを前記液体吐出位置に移動して、前記ノズルから前記検査チップに前記薬液を吐出し、
前記液滴吐出ヘッドを前記待機位置に戻すことを特徴とする検査装置の使用方法。
【請求項9】
前記駆動ユニットに装着されている前記ノズルカートリッジを交換する際には、前記待機位置において、前記ノズルを介して前記ノズルカートリッジ内に残っている薬液を前記廃液回収部に吸引回収し、
しかる後に、当該ノズルカートリッジを前記駆動ユニットから外して廃棄することを特徴とする請求項8に記載の検査装置の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−185505(P2008−185505A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−20556(P2007−20556)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】