説明

検査装置およびタッチパネルの検査方法

【課題】簡便なタッチパネルの検査の可能とし、表示素子上のタッチパネルの検査に好適な検査装置およびタッチパネルの検査方法を提供する。
【解決手段】検査装置1を、導電性を有する基板2上に、光導電性を有する層である光導電層3を配置して構成する。検査装置1では、導電性の基板2がグラウンドに接続され、タッチパネル4の上に配置される。そして、光5をタッチパネル4の検査位置に向けて下方側から照射する。タッチパネル4を透過した光5により、光導電層3を照射して受光部6を導電性にして、受光部6を、基板2を介して接地接続させてタッチパネル4の検査を行う。表示素子上のタッチパネル4を検査する場合は、表示素子での表示によって表示素子から放射される光5を用い、光導電層3を照射して受光部6を導電性にしてタッチパネル4の検査を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置およびタッチパネル検査方法に関し、特にタッチパネルの検査に用いられる検査装置およびその検査装置を用いたタッチパネルの検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やスマートフォンやPDA(パーソナルデジタルアシスタント)等の携帯電子機器では、画面の大型化への要求が大きく、スイッチやテンキー等の入力装置を配置できる領域が少なくなっている。また、液晶ディスプレイ等の表示素子に表示された画像を参照しながら表示画像に触れ、操作者に分かりやすく情報の入力ができる情報入力方法の実現が求められている。そのため、最近タッチパネル付きの表示装置への要求が高まっている。
【0003】
タッチパネルは、上述した液晶ディスプレイ等の表示素子の上に配置され、表示素子上の表示に従い操作者が指やペン等で操作面に触れた場合、そのタッチ位置を検出する入力装置の総称である。タッチパネルにおける接触位置検出の方式としては、抵抗膜方式や静電容量方式等がある。
抵抗膜方式のタッチパネルでは、表面に透明電極の配設された2枚の基板を、互いの透明電極が対向するように離間して配置する。そのため2枚の基板を必要として薄型化が難しい。また、従来の抵抗膜方式タッチパネルでは、基板を押して対向する電極間をショートさせる構造であるため、摩耗等を生じて耐久性に乏しい。
【0004】
静電容量方式のタッチパネルでは、使用する基板を1枚として薄型化することも可能であり、特に携帯電子機器に好適な方式である。静電容量方式は、人間が導体であり、操作者の指がグランドとして機能することを利用する。例えば、タッチパネルの基板上にマトリクス状に配置されたセンシング用の電極に指がタッチすると、指とそのタッチ位置にある電極との間に容量が形成され、そうした変化を制御回路等により検知する。そして、指のタッチの位置座標情報が読み出され、タッチ位置の検出が行われる。
【0005】
以上のようなタッチパネルでは、表示素子上での正確なタッチ入力を可能とするよう、タッチ位置の正確な検出が求められる。例えば、静電容量方式のタッチパネルでは、操作面内に、構成部材に起因する容量の分布が形成された場合、微細な容量変化を検出できないことがある。また、タッチパネルを表示素子の上に配置するに際し、所望とする位置に正確に配置されないこと等がある。そうした場合、タッチパネルでは、正確なタッチ位置の検出ができないことがあった。したがって、タッチパネルでは、例えば、製造時等において、タッチ位置の正確な検出ができるか否かを検査する、タッチパネルの検査が非常に重要となる。
【0006】
タッチパネルの検査に関する技術として、特許文献1には、タッチパネルを載置するステージと、人間の指を代替するペン部材と、ペン部材を支持するアーム部材とを備えたタッチパネルの検査装置が記載されている。この特許文献1に記載のタッチパネルの検査装置では、ステージ上にタッチパネルを載置し、タッチパネル専用のペン部材をアーム部材の先端に固定し、タッチパネルの操作面にペン部材の先端が乗るようにアーム部材を軸支するレール部材の高さを調節し固定する。そして、ペン部材によりタッチパネルの所望の位置に荷重をかけて、タッチパネルの検査を行っている。
【0007】
また、特許文献2には、静電容量方式のタッチパネルの検査に好適なタッチパネルの検査装置が記載されている。この特許文献2に記載の検査装置は、タッチパネル上に配置される絶縁基板と、その絶縁基板のタッチパネル側の面に形成されている複数の電極と、その複数の電極それぞれを互いに独立に接地させるスイッチとを有する。そして、特許文献2に記載のタッチパネルの検査装置は、タッチパネル上に載置され、検査装置の接地電位となる電極により指のタッチ操作を模擬することができる。その結果、特許文献2に記載のタッチパネルの検査装置では、タッチパネルの所望の位置における検査を簡便に実施することを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−303051号公報
【特許文献2】特開2010−44730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載されたタッチパネルの検査装置では、装置が大規模になってしまう問題や、ペン部材をタッチパネルに直接に当てるため、タッチパネル表面に傷が発生する等の問題があった。さらに、その検査装置は、機械的にペン部材を動作させるため、検査時間が長時間になるという問題もあった。
【0010】
特許文献2に記載されたタッチパネルの検査装置では、タッチパネルの検査のために、各電極の電位を制御するためのソフトウェアを別途準備する必要が生じる場合があった。そして、近年のタッチパネルでは、タッチ位置の検出精度を向上させるため、電極構造を微細化するとともに、より多数の電極を配置することがある。その場合、特許文献2に記載されたタッチパネルの検査装置では、構成する電極の数が増大し、それら電極の電位の制御に大きな負担が掛かることがあった。
また、特許文献2に記載されたタッチパネルの検査装置では、検査対象となるタッチパネルの所望位置での検査を確実に実現するため、タッチパネルに対し検査装置を正確に載置させる必要がある。すなわち、検査対象であるタッチパネルと検査装置との間で正確な位置合わせが必要となり、タッチパネルの検査作業を煩雑なものとしていた。
【0011】
また、上述したように、実際に使用する際のタッチパネルは、液晶ディスプレイ等の表示素子の上に配置され、表示素子上の表示に従いタッチ操作がなされて、そのタッチ位置を検出する。したがって、タッチパネルの検査においても、表示素子の上にタッチパネルを配置した状態での検査が求められることがある。その場合、表示素子上の表示に対応させながらタッチパネルの検査をすることが求められる場合がある。しかしながら、特許文献2に記載されたタッチパネルの検査装置では、電極を備えた絶縁基板を表示素子の上のタッチパネル上に配置する必要があり、光透過性の低い絶縁基板に遮蔽されて表示素子上の表示が確認できないことがあった。その結果、実際の表示素子上での表示の位置とタッチパネル上での検査位置との間で整合性がとれているか否かを正確に判断することができないことがあった。
【0012】
そのため、装置が大規模になることがなく、タッチパネルを傷つけることもなく簡便な方法によりタッチパネルの検査を行うことができ、さらに、実際に表示素子上に配置された状態でのタッチパネルの検査に好適な検査装置およびそれを用いたタッチパネルの検査方法が求められている。
【0013】
本発明は、以上のタッチパネルの検査に用いられる検査装置やタッチパネルの検査方法の問題に鑑みてなされたものである。
すなわち、本発明の目的は、タッチパネルを傷つけることを抑えて簡便にタッチパネルの検査を行うことができ、実際の表示素子上で行われるタッチパネルの検査にも好適な検査装置およびそれを用いたタッチパネルの検査方法を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の態様は、タッチパネル上に配置される検査装置であって、
導電性を有する基板上に、光導電性を有する光導電層を配置して構成されることを特徴とする検査装置に関する。
【0016】
本発明の第1の態様において、基板は、絶縁性の絶縁基板とその絶縁基板の光導電層側の面に配置された導電層とを有し、導電性を有するように構成されたものであることが好ましい。
【0017】
本発明の第1の態様において、絶縁基板は透明基板であり、導電層は透明導電層であることが好ましい。
【0018】
本発明の第1の態様において、光導電層の周囲を側面側および基板が存在する面側からカバーするように、遮光性のカバーを備えることが好ましい。
【0019】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の検査装置を用いたタッチパネルの検査方法であって、
本発明の第1の態様の検査装置をタッチパネル上に配置し、
導電性を有する基板または導電層を接地接続するとともに、タッチパネルの、検査装置の配置されない反検査装置側から、タッチパネルの検査位置に向けて光を照射し、
タッチパネルを透過した光により、検査装置の光導電層を照射してその光導電層の受光部を導電性にし、
その受光部を、導電層を介して接地接続させてタッチパネルの検査を行うことを特徴とするタッチパネルの検査方法に関する。
【0020】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様の検査装置を用いたタッチパネルの検査方法であって、
本発明の第1の態様の検査装置を、表示素子上に載置されたタッチパネルの上に配置し、
導電性を有する基板または導電層を接地接続するとともに、タッチパネルの検査位置と対向する位置にある表示素子の表示部分で表示を行って、表示部分からの光をタッチパネルの検査位置に向けて照射し、
タッチパネルを透過した光により、検査装置の光導電層を照射してその光導電層の受光部を導電性にし、
その受光部を、導電層を介して接地接続してタッチパネルの検査を行うことを特徴とするタッチパネルの検査方法に関する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、タッチパネルを傷つけることを抑えて簡便にタッチパネルの検査を行うことができ、実際の表示素子上で行われるタッチパネルの検査にも好適な検査装置およびそれを用いたタッチパネルの検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態の検査装置の構造を説明する断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の検査装置を用いたタッチパネルの検査方法を説明する図である。
【図3】本発明の第2実施形態の検査装置の構造を説明する断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態の検査装置を用いたタッチパネルの検査方法を説明する図である。
【図5】本発明の第3実施形態の検査装置の構造を説明する断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態の検査装置の構造を説明する断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態の検査装置を用いた、表示素子上のタッチパネルの検査方法を説明する図である。
【図8】本発明の第2実施形態の検査装置を用いた、表示素子上のタッチパネルの検査方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、適宜図面を用い、本発明の実施形態である検査装置およびタッチパネルの検査方法について説明する。尚、各実施形態を示すそれぞれの図面において、共通する構成要素については同一の符号を付し、重複する説明は可能な限り省略することにする。
【0024】
[実施の形態1]
図1は、本発明の第1実施形態の検査装置の構造を説明する断面図である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態の検査装置1は、導電性を有する基板2上に(図1では下側にあたる。)、光導電性を有する層である光導電層3を配置して構成される。そして、光導電層3を配置した側から静電容量方式のタッチパネル(図示されない)上に配置され、静電容量方式のタッチパネルに好適な検査装置として使用することができる。
【0026】
図1に示す本実施形態の検査装置1の基板2は、導電性を有する。基板2は導電性の材料から全体を構成することが可能である。例えば、銅やアルミニウムやステンレス鋼等の金属を用いて基板2を構成することができる。
【0027】
図1に示す本実施の形態の検査装置1の光導電層3は、光の照射を受けて抵抗値が下がる性質、すなわち上述の光導電性を有する。例えば、光導電層3は、光の照射を受けて抵抗値が下がる性質を備えた材料を用いて形成される。光については、紫外光、可視光、または赤外光とすることが可能であるが、特に可視光の照射を受けて抵抗値が下がる性質を備えた材料を用いて形成されることが好ましい。また、光導電層3の具体的な構成材料としては、アモルファスシリコン、硫化カドミウム(CdS)およびセレン化カドミウム(CdSe)を挙げることができる。光導電層3の厚さについては、導電性の基板2によるタッチパネルへの干渉を抑制できる厚さとすることが好ましい。具体的には、0.1mm〜2mmの厚さとすることが好ましい。
【0028】
また、光導電層3については、基板2の全面をカバーするようにベタ状に形成することが可能であるが、タッチパネル(図示されない)の検査位置が予め決められている場合には、その検査位置に対応するように適宜パターニングされた形状を有していてもよい。
尚、基板2と光導電層3との間には、それらを接着するための接着層を設けることも可能である。その場合、その接着層は、導電性の接着剤を用いて構成されることが好ましい。
【0029】
図2は、本発明の第1実施形態の検査装置を用いたタッチパネルの検査方法を説明する図である。
【0030】
本実施形態のタッチパネルの検査方法では、本実施形態の検査装置1を用いて静電容量方式であるタッチパネル4の検査を行う。検査装置1では、導電性の基板2がグラウンドに接続され、光導電層3が検査対象であるタッチパネル4の側を向くようにされて、タッチパネル4の上に配置される。このとき、検査装置1の光導電層3は、タッチパネル4と接触する必要はない。後述するように、タッチパネル4の電極(図示されない)と光導電層3との間の容量形成が、タッチパネル4に感知できる水準となるような位置に配置されることが好ましい。
【0031】
そして、光5をタッチパネル4の下方側から照射する。光5については、可視光等、検査装置1の光導電層3が照射を受けて感応し、光導電層3の抵抗値を低下させる光が選択される。光源としては、太陽光、蛍光灯およびLED等を挙げることができる。このとき、光5の照射位置は、タッチパネル4の検査すべき位置となる。
【0032】
図2に示すように、光5は、検査対象であるタッチパネル4の所望の検査位置に向けて、検査装置1が配置されていない反検査装置側から照射される。光5は、タッチパネル4に到達し、タッチパネル4の検査位置を透過して、タッチパネル4のもう一方の検査装置側に配置された検査装置1に到達する。そして、その光5は、タッチパネル4の検査位置に対向する、検査装置1の光導電層3の特定部分を照射する。光5の照射を受けた光導電層3の部分は受光部6となり、受光部6では抵抗値が低下して導電性を備えた部分として機能する。光導電層3は導電性の基板2上に配置されており、受光部6は、基板2を介して接地接続することになる。その結果、静電容量方式のタッチパネル4では、受光部6と対向する部分、すなわち、光5が透過したタッチパネル4の検査位置において、その部分の電極(図示されない)と受光部6との間で容量が形成されることになる。
【0033】
そして、そうした電極での容量形成は、タッチパネル4の制御回路(図示されない)等により検知される。すなわち、操作者の指や金属棒等を用いた、タッチパネル4へのタッチ操作が再現されることになる。そして、検査対象であるタッチパネル4では、所望とする検査位置において、高い確実性を持ってタッチ位置の検出検査が行われる。
こうして、本実施形態のタッチパネルの検査方法では、本実施形態の検査装置1を用い、簡便に正確なタッチパネルの検査を行うことができる。
【0034】
[実施の形態2]
図3は、本発明の第2実施形態の検査装置の構造を説明する断面図である。
【0035】
図3に示すように、本実施形態の検査装置11は、絶縁性の基板12上に、導電性を有する導電層13を配置し、その導電層13の上に上述した検査装置1と同様の光導電層3を配置して構成される。そして、検査装置11は、光導電層3を配置した側から静電容量方式のタッチパネル(図示されない)上に配置され、静電容量方式のタッチパネルに好適な検査装置として使用することができる。
【0036】
図3に示す本実施形態の検査装置11の基板12は、絶縁性の絶縁基板である。例えば、ガラスや樹脂等を用いて構成することができる。そして、基板12は、ガラスや光透過性の高い樹脂等から構成され、透明基板とすることが可能である。
導電層13は導電性を有する層であり、銀や銅を含む金属等の導電性材料から構成することが可能である。また、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、酸化スズ(SnO)およびZnO(酸化亜鉛)等の光透過性の高い導電膜を形成可能な材料から構成することも可能である。すなわち、導電層13は、光透過性の高い導電性の材料から構成され、透明導電層とすることが可能である。
【0037】
尚、導電層13については、基板12と光導電層3との間を接着するための接着層とすることも可能である。その場合、その接着層は、導電性の接着剤を用いて構成されることが好ましい。そして、その導電性の接着剤は、光透過性の高い透明接着剤であることがより好ましい。
また、導電層13については、基板2の全面をカバーするようにベタ状に形成することが可能であるが、タッチパネル4の検査位置が予め決められている場合等では、その検査位置に対応するようにパターニングされた形状を有していてもよい。
【0038】
図4は、本発明の第2実施形態の検査装置を用いたタッチパネルの検査方法を説明する図である。
【0039】
本実施形態のタッチパネルの検査方法では、本実施形態の検査装置11を用いて静電容量方式であるタッチパネル4の検査を行う。検査装置11では、絶縁性の基板2の上に配置された導電層13がグラウンドに接続され、光導電層3が検査対象であるタッチパネル4の側を向くようにされて、タッチパネル4の上に配置される。このとき、検査装置11の光導電層3は、タッチパネル4と接触する必要はない。後述するように、タッチパネル4の電極(図示されない)と光導電層3との間の容量形成が、タッチパネル4に感知できる水準となるような位置に配置されることが好ましい。
そして、光5をタッチパネル4の下方側から照射する。このとき、光5の照射位置は、タッチパネル4の検査すべき位置となる。
【0040】
図4に示すように、光5は、検査対象であるタッチパネル4の所望とする検査位置に向け、検査装置11が配置されていない反検査装置側から照射される。光5は、タッチパネル4に到達し、タッチパネル4の検査位置を透過し、タッチパネル4のもう一方の側に配置された検査装置11に到達する。そして、その光5は、タッチパネル4の検査位置に対向する、検査装置11の光導電層3の特定部分を照射する。光5の照射を受けた光導電層3の部分は受光部6となり、受光部6では抵抗値が低下して導電性を備えた部分として機能する。光導電層3は基板2上の導電層13上に配置されており、受光部6は、導電層13を介して接地接続することになる。その結果、静電容量方式のタッチパネル4では、受光部6と対向する部分、すなわち、光5が透過したタッチパネル4の所望とする検査位置において、その部分の電極(図示されない)と受光部6との間で容量が形成される。
【0041】
そして、そうした電極での容量形成は、タッチパネル4の制御回路(図示されない)等により検知される。すなわち、操作者の指や金属棒等を用いた、タッチパネル4へのタッチ操作が再現されることになる。そして、検査対象であるタッチパネル4では、所望とする検査位置において、高い確実性を持ってタッチ位置の検出検査が行われる。
こうして、本実施形態のタッチパネルの検査方法では、本実施形態の検査装置11を用い、簡便に正確なタッチパネルの検査を行うことができる。
【0042】
このとき、本実施形態のタッチパネルの検査方法では、基板12と導電層13が光透過性の高い材料から構成された検査装置11を用いることができる。そして、その検査装置11を用い、タッチパネル4上での光5の照射位置を検査装置11の上方等から確認しながらタッチパネル4の検査を行うことが可能である。その場合、例えば、検査装置11の基板12を光透過性の高いガラスや樹脂から構成して透明基板とし、導電層13を上述したITO等の光透過性の高い導電性材料から構成して透明導電層とすることが好ましい。使用する検査装置11をそのような構成とすることにより、検査対象であるタッチパネル4の検査位置を確認しながら、タッチパネル4の検査を行うことが可能となる。
【0043】
その場合、上述したように、光導電層3については、基板12の全面をカバーするようにベタ状に形成することが可能であるが、タッチパネル4の検査位置に対応するように適宜パターニングされた形状を有していてもよい。光導電層3のパターン形状を適宜選択することにより、検査対象であるタッチパネル4の検査位置の確認がより容易となって、タッチパネル4の検査をより正確に行うことが可能となる。
【0044】
また、本実施形態のタッチパネルの検査方法では、上述のように、使用する検査装置11の基板12と導電層13を光透過性の高い材料から構成することにより、光5の照射方向を検査装置11が配置された側からとすることも可能である。すなわち、光5を、タッチパネル4の上に配置された検査装置11の上方から、タッチパネル4の検査位置に向けて照射し、タッチパネル4の検査位置に対向する受光部6を導電性にして接地接続し、タッチパネル4の検査を行うことも可能である。
【0045】
[実施の形態3]
図5は、本発明の第3実施形態の検査装置の構造を説明する断面図である。
【0046】
図5に示すように、本実施形態の検査装置21は、導電性を有する基板2上に、光導電性を有する層である光導電層3を配置するとともに、光導電層3の周囲を側面側および基板2が存在する面側(図5における上面側)からカバーするように、遮光性のカバー22を設けて構成される。カバー22は、例えば、図示されない支持部材を介在させて基板2の上に配置する構造とすることが可能である。このとき、カバー22の内側の面は光の反射を抑制するように加工されていることが好ましい。以上の構成を有する本実施形態の検査装置21は、上述した本発明の第1実施形態である検査装置1が遮光性のカバー22を備えた構造を有する。検査装置21は、静電容量方式のタッチパネル(図示されない)上に配置され、タッチパネルの検査時に遮光して、検査のノイズとなる外光の影響の排除することを可能にする。そして、検査装置21は、静電容量方式のタッチパネルに好適な検査装置として使用することができる。
【0047】
本発明の第3実施形態の検査装置を用いたタッチパネルの検査方法については、上述した本発明の第1実施形態の検査装置を用いたタッチパネルの検査方法と同様とすることができる。
【0048】
[実施の形態4]
図6は、本発明の第4実施形態の検査装置の構造を説明する断面図である。
【0049】
図6に示すように、本実施形態の検査装置31は、絶縁性の絶縁基板である基板12上に、導電性を有する導電層13を配置する。そして、その導電層13の上に光導電層3を配置するとともに、光導電層3の周囲を側面側および基板12が存在する面側(図6における上面側)からカバーするように、遮光性のカバー32を設けて構成される。カバー32は、例えば、図示されない支持部材を介在させて基板2の上に配置する構造とすることが可能である。このとき、カバー32の内側の面は光の反射を抑制するように加工されていることが好ましい。以上の構成を有する本実施形態の検査装置31は、上述した本発明の第2実施形態である検査装置11が遮光性のカバー32を備えた構造を有する。そして、検査装置31は、静電容量方式のタッチパネル(図示されない)上に配置され、タッチパネルの検査時に遮光して、検査のノイズとなる外光の影響の排除することを可能にする。そして、検査装置31は、静電容量方式のタッチパネルに好適な検査装置として使用することができる。また、カバー32は、検査装置31とカバー32との間に検査者が介在できるような検査室、例えば、暗室であってもよい。
【0050】
本発明の第4実施形態の検査装置を用いたタッチパネルの検査方法については、検査に使用する光を、カバー32でカバーされない側であるタッチパネル(図示されない)の下方側から照射することにより、上述した本発明の第2実施形態の検査装置を用いたタッチパネルの検査方法と同様に実施することができる。
【0051】
次に、本実施形態の検査装置を用い、表示素子上に配置された状態のタッチパネルを検査する方法について説明する。
【0052】
[実施の形態5]
図7は、本発明の第1実施形態の検査装置を用いた、表示素子上のタッチパネルの検査方法を説明する図である。
【0053】
図7に示すように、本実施形態のタッチパネルの検査方法では、本実施形態の検査装置1を用い、表示素子41上に配置された静電容量方式のタッチパネル4の検査を行う。このとき、検査装置1の光導電層(図示されない)は、タッチパネル4と接触する必要はない。後述するように、タッチパネル4の電極(図示されない)と光導電層(図示されない)との間の容量形成が、タッチパネル4に感知できる水準となるような位置に配置されることが好ましい。
【0054】
表示素子41としては、その表示面から観察者側に放射される光の量を制御して表示を行うように構成された表示素子41が好ましい。例えば、LEDや蛍光灯等を用いたバックライトを備えた透過型の液晶表示素子や、自発光型のEL表示素子や有機EL表示素子やLED表示素子を挙げることができる。特に、タッチパネルが多用される携帯電子機器の表示素子として好適に使用される透過型の液晶表示素子や有機EL表示素子が好ましい。
【0055】
本実施形態のタッチパネルの検査方法では、検査対象となるタッチパネル4を載置した表示素子41において、タッチパネル4の検査位置である検査部分42に対向する位置にある表示部分43で表示を行う。そして、表示部分43からの光の放射が十分になされるようにする。このとき、表示素子41の表示部分43以外の部分では、黒表示をするかまたは表示部分43に比べて放射される光量が低減されるように制御された表示を行う。
【0056】
図7に示すように、表示素子41の表示部分43から放射された光45は、タッチパネル4の検査部分42を透過し、タッチパネル4の上方に配置された検査装置1の光導電層(図示されない)の対向する部分を照射する。光45の照射を受けた光導電層(図示されない)の部分である受光部6では抵抗値が低下し、導電性を備えた部分として機能する。検査装置1の光導電層(図示されない)は導電性の基板(図示されない)上に配置されており、受光部6は、その基板(図示されない)を介して接地接続することになる。その結果、静電容量方式のタッチパネル4では、受光部6と対向する部分、すなわち、光45が透過したタッチパネル4の検査部分42において、タッチパネル4の電極(図示されない)と受光部6との間で容量が形成されることになる。
【0057】
そして、そうしたタッチパネル4の電極での容量形成は、タッチパネル4の制御回路(図示されない)等により検知される。すなわち、操作者の指や金属棒等を用いた、タッチパネル4へのタッチ操作が再現されることになる。そして、検査対象であるタッチパネル4では、所望とする検査位置において、高い確実性を持ってタッチ位置の検出検査が行われる。
こうして、本実施形態のタッチパネルの検査方法では、本実施形態の検査装置1を用い、検査対象であるタッチパネルを表示素子41上に載置した状態で、簡便に正確なタッチパネルの検査を行うことができる。
【0058】
尚、本実施形態のタッチパネルの検査方法では、本実施形態の検査装置21を用い、検査対象であるタッチパネル4を表示素子41上に載置した状態で、外光を適宜遮断し、検査のノイズとなる外光の影響の排除しながら、簡便に正確なタッチパネル4の検査を行うことも可能である。
【0059】
[実施の形態6]
図8は、本発明の第2実施形態の検査装置を用いた、表示素子上のタッチパネルの検査方法を説明する図である。
【0060】
図8に示すように、本実施形態のタッチパネルの検査方法では、本実施形態の検査装置11を用い、表示素子41上に配置された静電容量方式のタッチパネル4の検査を行う。このとき、検査装置11の光導電層(図示されない)は、タッチパネル4と接触する必要はない。後述するように、タッチパネル4の電極(図示されない)と光導電層(図示されない)との間の容量形成が、タッチパネル4に感知できる水準となるような位置に配置されることが好ましい。
表示素子41としては、上述した本実施形態の検査装置1を用いた検査方法と同様のものとすることが可能である。
【0061】
本実施形態のタッチパネルの検査方法では、上述した本実施形態の検査装置1を用いた検査方法と同様に、検査対象となるタッチパネル4を載置した表示素子41において、タッチパネル4の検査部分42に対向する位置にある表示部分43で表示を行う。そして表示部分43からの光の放射が十分になされるようにする。このとき、表示素子41の表示部分43以外の部分では、黒表示をするかまたは表示部分43に比べて放射される光量が低減されるように制御された表示を行う。
【0062】
図8に示すように、表示素子41の表示部分43から放射された光45は、タッチパネル4の検査部分42を透過し、タッチパネル4の上方に配置された検査装置11の光導電層(図示されない)の対向する部分を照射する。光45の照射を受けた光導電層(図示されない)の部分である受光部6では抵抗値が低下し、導電性を備えた部分として機能する。検査装置11の光導電層(図示されない)は導電性の基板(図示されない)上に配置されており、受光部6は、その基板(図示されない)を介して接地接続することになる。その結果、静電容量方式のタッチパネル4では、受光部6と対向する部分、すなわち、光45が透過したタッチパネル4の検査部分42において、タッチパネル4の電極(図示されない)と受光部6との間で容量が形成されることになる。
【0063】
そして、そうしたタッチパネル4の電極での容量形成は、タッチパネル4の制御回路(図示されない)等により検知される。すなわち、操作者の指や金属棒等を用いた、タッチパネル4へのタッチ操作が再現されることになる。そして、検査対象であるタッチパネル4では、所望とする検査位置において、タッチ位置の検出検査が行われる。
【0064】
このとき、本実施形態のタッチパネルの検査方法では、検査装置11について、基板(図示されない)と導電層(図示されない)とを光透過性の高い材料から構成し、装置全体の光透過性を高めたものを用いることが可能である。そうすることにより、タッチパネル4上での光45の照射位置を検査装置11の上方等から検査者が確認し、そのうえでタッチパネル4の検査を行うことが可能となる。その場合、例えば、検査装置11の基板(図示されない)を光透過性の高いガラスや樹脂から構成し、導電層(図示されない)を上述したITO等の光透過性の高い導電性材料から構成することが好ましい。そのような構成の検査装置11を用いることにより、本実施形態のタッチパネルの検査方法では、表示素子41での表示を確認しながら検査対象であるタッチパネル4の検査を行うことが可能となる。そして、表示素子41の表示部分43の位置に対する、タッチパネル4上のタッチ位置の整合性を確認しながら、高い確実性を持ってタッチパネル4の検査を行うことが可能となる。
【0065】
尚、外光によるノイズの発生を防止するために、光導電層の周囲を側面側および基板が存在する面側をカバーする遮光性のカバーを配置することが好ましい。このとき、カバーは暗室のような検査室であってもよく、カバーである検査室の中に、検査装置を備え、検査者が検査室内で検査をすることが好ましい。
【0066】
またその場合、上述したように、検査装置11について、光導電層(図示されない)が基板(図示されない)の全面をカバーするようにベタ状に形成されたものを用いることが可能である。また、検査装置11について、表示素子41の表示部分43の表示パターンや、タッチパネル4の検査部分42の形状と配置等を考慮して、導電層(図示されない)が適宜パターニングされた形状を有するものを用いてもよい。すなわち、表示素子41が液晶表示素子や有機EL表示素子である場合、それらの表示パターンを構成する画素電極の形状や配置に対応するように、検査装置11では、光導電層(図示されない)をパターニングされた形状とすることが可能である。こうして、検査装置11の光導電層のパターン形状を適宜選択することにより、検査装置11では、基板(図示されない)上に光導電層(図示されない)の形成されない領域も形成することができる。そして、本実施形態のタッチパネルの検査方法では、表示素子41での表示を確認しながら行うタッチパネル4の検査をより容易なものとすることができ、タッチパネル4の検査をより正確に行うことが可能となる。
【0067】
こうして、本実施形態のタッチパネルの検査方法では、本実施形態の検査装置11を用い、検査対象であるタッチパネル4を表示素子41上に載置した状態で、簡便に正確なタッチパネルの検査を行うことができる。
【0068】
尚、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0069】
1、11、21、31 検査装置
2、12 基板
3 光導電層
4 タッチパネル
5、45 光
6 受光部
13 導電層
22、32 カバー
41 表示素子
42 検査部分
43 表示部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネル上に配置される検査装置であって、
導電性を有する基板上に、光導電性を有する光導電層を配置して構成されることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記基板は、絶縁性の絶縁基板と当該絶縁基板の前記光導電層側の面に配置された導電層とを有し、導電性を有するように構成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記絶縁基板は透明基板であり、前記導電層は透明導電層であることを特徴とする請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記光導電層の周囲を側面側および前記基板が存在する面側からカバーするように、遮光性のカバーを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の検査装置を用いたタッチパネルの検査方法であって、
前記検査装置をタッチパネル上に配置し、
前記導電性を有する基板または前記導電層を接地接続するとともに、前記タッチパネルの、前記検査装置の配置されない反検査装置側から、前記タッチパネルの検査位置に向けて光を照射し、
前記タッチパネルを透過した前記光により、前記検査装置の前記光導電層を照射して当該光導電層の受光部を導電性にし、
前記受光部を、前記導電層を介して接地接続させて前記タッチパネルの検査を行うことを特徴とするタッチパネルの検査方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の検査装置を用いたタッチパネルの検査方法であって、
前記検査装置を、表示素子上に載置されたタッチパネルの上に配置し、
前記導電性を有する基板または前記導電層を接地接続するとともに、前記タッチパネルの検査位置と対向する位置にある前記表示素子の表示部分で表示を行って、前記表示部分からの光を前記タッチパネルの検査位置に向けて照射し、
前記タッチパネルを透過した前記光により、前記検査装置の前記光導電層を照射して当該光導電層の受光部を導電性にし、
前記受光部を、前記導電層を介して接地接続して前記タッチパネルの検査を行うことを特徴とするタッチパネルの検査方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate