説明

検査装置および検査方法

【課題】検査対象に形成されたパターンの寸法や位置の変動を正確に求めることが可能な検査装置および検査方法を提供する。
【解決手段】パターンが形成された試料に光を照明し、試料の像を画像センサに結像して光学画像を取得し、光学画像を基準画像と比較してこれらの画像におけるパターンの寸法差が所定の範囲を超えたときに欠陥と判定する検査方法において、光の強度および画像センサの感度の内で少なくとも一方の時間的変動を取得し、この時間的変動とパターンの寸法差の時間的変動との関係を求めてパターンの寸法差を補正する。画像センサを試料に対し相対的に移動させることにより、試料全体の光学画像を取得しながら、所定時間毎に試料内に設けた別のパターンに画像センサを移動させて、画像センサの感度の時間的変動を求めることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置および検査方法に関し、より詳しくは、マスクなどの検査対象に形成されたパターンの寸法検査に用いられる検査装置および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大規模集積回路(LSI)の高集積化および大容量化に伴い、半導体素子に要求される回路線幅は益々狭くなっている。半導体素子は、回路パターンが形成された原画パターン(マスクまたはレチクルを指す。以下では、マスクと総称する。)を用い、いわゆるステッパと呼ばれる縮小投影露光装置でウェハ上にパターンを露光転写して回路形成することにより製造される。こうした微細な回路パターンをウェハに転写するためのマスクの製造には、微細パターンを描画可能な電子ビーム描画装置が用いられる。また、レーザビームを用いて描画するレーザビーム描画装置の開発も試みられている。尚、電子ビーム描画装置は、ウェハに直接回路パターンを描画する場合にも用いられる。
【0003】
多大な製造コストのかかるLSIの製造にとって、歩留まりの向上は欠かせない。一方、最近の代表的なロジックデバイスでは、数十nmの線幅のパターン形成が要求される状況となってきている。ここで、歩留まりを低下させる大きな要因としては、マスクのパターン欠陥や、露光転写時におけるプロセス諸条件の変動が挙げられる。これまでは、半導体ウェハ上に形成されるLSIパターン寸法の微細化に伴い、マスクの寸法精度を高めることで、プロセス諸条件の変動マージンを吸収することが行われてきた。このため、マスク検査においては、パターン欠陥として検出しなければならない寸法が微細化しており、極めて小さなパターンの位置誤差を検出することが必要になっている。こうしたことから、LSI製造に使用される転写用マスクの寸法を検査する検査装置に対しては、高い検査精度が要求されている。
【0004】
パターン欠陥を検出する手法には、ダイ−トゥ−ダイ(Die to Die)検査方式とダイ−トゥ−データベース(Die to Database)検査方式がある。ダイ−トゥ−ダイ検査方式は、同一のマスク内であって、その一部分または全体に同一のパターン構成を有する複数のチップが配置されている場合に、マスクの異なるチップの同一パターン同士を比較する検査方法である。この方式によれば、マスクのパターンを直接比較するので比較的簡単な装置構成で精度の高い検査が行える。しかし、比較するパターンの両方に共通して存在する欠陥は検出することができない。一方、ダイ−トゥ−データベース検査方式は、マスク製造に使用された設計パターンデータから生成される参照データと、マスク上の実際のパターンとを比較する検査方法である。参照画像を生成するための機構が必要になるので装置が大掛かりになるが、設計パターンデータとの厳密な比較が行える。1つのマスクに1つのチップ転写領域しかない場合にはこの方法しか採れない。
【0005】
ダイ−トゥ−データベース検査では、光源から出射された光が光学系を介して検査対象であるマスクに照射される。マスクはテーブル上に載置されており、テーブルが移動することによって照射された光がマスク上を走査する。マスクを透過または反射した光はレンズを介して画像センサ上に結像し、画像センサで撮像された光学画像は測定データとして比較部へ送られる。比較部では、測定データと参照データとが適当なアルゴリズムにしたがって比較される。そして、これらのデータが一致しない場合には欠陥ありと判定される(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
従来の検査装置では、画像センサで光学画像を撮像したマスクパターン像の正否を判定している。しかし、最近の微細化が進んだマスクにおいては、マスクパターンの線幅や、隣接パターンとの空隙距離に対する要求精度が高くなることによって、設計パターンデータを基に生成される参照データと検査装置が撮影したパターン像との比較だけでは、欠陥であるか否かを判別することが困難になっている。具体的には、光学画像を撮像する際の測定光の強度変化や画像センサの感度変化によって測定データに変動が生じ、参照データとの正確な差を求められないという問題がある。
【0007】
光学画像と参照画像を比較して、これらのパターン寸法の差を求める方法については、例えば、特許文献2に開示されている。特許文献2では、マスクに形成されているパターンを分割して検査領域を形成し、この検査領域毎にセンサデータに取り込まれている画素毎の線幅のデータを比較して画素毎の線幅の差を求める。得られた線幅の差の度数を集計し、その集計結果から平均値を計算して検査値を求める。そして、この検査値を参照データから設定した閾値と比較する。この方法によれば、線幅の検査を一定の検査領域で計算した線幅の差の平均値を求めて判定しているので、画素毎に求める場合に生じていたばらつきを減少させることができる。
【0008】
また、特許文献3では、光学画像と参照画像におけるパターンの寸法差を求め、光学画像を複数の計測領域に分けてブロック毎に寸法誤差を集計し、集計結果の内で所定の度数に達しないブロックの集計結果を除去する。そして、光学画像の補正値を求め、この補正値に基づいて光学画像を補正し、補正後の光学画像と参照画像を比較してマスクパターンの検査を行う。この方法によれば、パターンに欠けなどの欠陥部が存在しても、欠陥部の存在する集計結果が除去されるので、光学画像と参照画像とのパターン寸法差に対する信頼性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−112178号公報
【特許文献2】特許第3824542号明細書
【特許文献3】特許第3732794号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献2および3には、光学画像を撮像する際の測定光の強度変化や画像センサの感度変化によって測定データに変動が生じる問題について何ら記載も示唆もされていない。したがって、光学画像と参照画像との差を正確に求めることができず、欠陥であるか否かを正確に判断することはできない。本発明は、こうした点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、光学画像を撮像する際の測定光の強度や画像センサの感度が変化しても、検査対象に形成されたパターンの寸法や位置の変動を正確に求めることが可能な検査装置および検査方法を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様は、パターンが形成された試料に光を照明し、試料の像を画像センサに結像して、試料に形成されたパターンの寸法を検査する検査装置において、
画像センサから試料の光学画像を取得する部分と、
光学画像を基準画像と比較して、これらの画像におけるパターンの寸法差が所定の範囲を超えたときに欠陥と判定する部分とを有し、
欠陥と判定する部分は、光学画像と基準画像からパターンの見かけの寸法差を取得する部分と、
光の強度および画像センサの感度の内で少なくとも一方の時間的変動を取得する部分と、
光の強度および画像センサの感度の内で少なくとも一方の時間的変動と、パターンの寸法差の時間的変動との関係を取得する部分と、
見かけの寸法差からパターンの寸法差の時間的変動を引くことにより、パターンの真の寸法差を取得する部分とを有することを特徴とするものである。
【0013】
本発明の第1の態様において、基準画像は、パターンの設計データから作成された参照画像、または、試料で上記光学画像とは異なる領域にある上記パターンと同一のパターンの光学画像である。
【0014】
本発明の第2の態様は、パターンが形成された試料に光を照明し、試料の像を画像センサに結像して光学画像を取得し、光学画像を基準画像と比較してこれらの画像におけるパターンの寸法差が所定の範囲を超えたときに欠陥と判定する検査方法において、
光の強度および画像センサの感度の内で少なくとも一方の時間的変動を取得し、この時間的変動とパターンの寸法差の時間的変動との関係を求めてパターンの寸法差を補正することを特徴とするものである。
【0015】
換言すると、本発明の第2の態様は次のように言い表せる。
すなわち、パターンが形成された試料に光を照明し、試料の像を光学系を介し画像センサに結像して、試料に形成されたパターンの寸法を検査する検査方法において、
画像センサから試料の光学画像を取得する工程と、
光学画像を基準画像と比較して、これらの画像におけるパターンの見かけの寸法差を取得する工程と、
光の強度および画像センサの感度の内で少なくとも一方の時間的変動を取得する工程と、
光の強度および画像センサの感度の内で少なくとも一方の時間的変動と、パターンの寸法差の時間的変動との関係を取得する工程と、
見かけの寸法差からパターンの寸法差の時間的変動を引くことにより、パターンの真の寸法差を取得する工程と、
真の寸法差が所定の範囲を超えたときに欠陥と判定する工程とを有するものである。
【0016】
本発明の第2の態様においては、画像センサを試料に対し相対的に移動させることにより、試料全体の光学画像を取得しながら、所定時間毎に試料内に設けた別のパターンに画像センサを移動させて、画像センサの感度の時間的変動を求めることが好ましい。
【0017】
本発明の第2の態様において、基準画像は、パターンの設計データから作成された参照画像、または、試料で上記光学画像とは異なる領域にある上記パターンと同一のパターンの光学画像である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、検査対象に形成されたパターンの寸法や位置の変動を正確に求めることが可能な検査装置および検査方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態における検査装置の構成図である。
【図2】本実施の形態におけるデータの流れを示す概念図である。
【図3】フィルタ処理を説明する図である。
【図4】マスク測定データの取得手順を説明する図である。
【図5】画像センサで検出された光強度の経時変化を示す一例である。
【図6】真のパターン寸法エラー測定値を求める方法の説明図である。
【図7】従来のパターン寸法エラー測定値が測定毎に変化する様子を示す図である。
【図8】図7の見かけのパターン寸法エラー測定値から時間によるΔCDの変動量を除いてプロットし直した図である。
【図9】本実施の形態における比較回路の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本実施の形態における検査装置の構成図である。本実施の形態においては、フォトリソグラフィ法などで使用されるマスクを検査対象としている。
【0021】
図1に示すように、検査装置100は、光学画像取得部Aと制御部Bを有する。
【0022】
光学画像取得部Aは、光源103と、水平方向(X方向、Y方向)および回転方向(θ方向)に移動可能なXYθテーブル102と、透過照明系を構成する照明光学系170と、拡大光学系104と、フォトダイオードアレイ105と、センサ回路106と、レーザ測長システム122と、オートローダ130とを有する。
【0023】
制御部Bでは、検査装置100の全体の制御を司る制御計算機110が、データ伝送路となるバス120を介して、位置回路107、比較回路108、参照回路112、展開回路111、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、記憶装置の一例となる磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、フレキシブルディスク装置116、CRT117、パターンモニタ118およびプリンタ119に接続されている。XYθテーブル102は、テーブル制御回路114によって制御されたX軸モータ、Y軸モータおよびθ軸モータによって駆動される。これらのモータには、例えば、ステップモータが用いられる。
【0024】
データベース方式の基準データとなる設計パターンデータは、磁気ディスク装置109に格納されており、検査の進行に合わせて読み出されて展開回路111に送られる。展開回路111では、設計パターンデータがイメージデータ(ビットパターンデータ)に変換される。その後、このイメージデータは、参照回路112に送られて、基準画像となる参照画像の生成に用いられる。
【0025】
尚、図1では、本実施の形態で必要な構成成分を記載しているが、マスクを検査するのに必要な他の公知成分が含まれていてもよい。また、本実施の形態では、ダイ−トゥ−データベース検査方式を例にしているが、ダイ−トゥ−ダイ検査方式であってもよい。この場合には、マスク内の異なる領域にある同一パターンの一方の光学画像を基準画像として取り扱う。
【0026】
図2は、本実施の形態におけるデータの流れを示す概念図である。
【0027】
図2に示すように、設計者(ユーザ)が作成したCADデータ401は、OASISなどの階層化されたフォーマットの設計中間データ402に変換される。設計中間データ402には、レイヤ(層)毎に作成されて各マスクに形成される設計パターンデータが格納される。ここで、一般に、検査装置100は、OASISデータを直接読み込めるようには構成されていない。すなわち、検査装置100の製造メーカー毎に、独自のフォーマットデータが用いられている。このため、OASISデータは、レイヤ毎に各検査装置に固有のフォーマットデータ403に変換された後に検査装置100に入力される。尚、フォーマットデータ403は、検査装置100に固有のデータとすることができるが、描画装置と互換性のあるデータとしてもよい。
【0028】
フォーマットデータ403は、図1の磁気ディスク装置109に入力される。すなわち、フォトマスク101のパターン形成時に用いた設計パターンデータは、磁気ディスク装置109に記憶される。
【0029】
設計パターンに含まれる図形は、長方形や三角形を基本図形としたものである。磁気ディスク装置109には、例えば、図形の基準位置における座標(x,y)、辺の長さ、長方形や三角形等の図形種を区別する識別子となる図形コードといった情報であって、各パターン図形の形、大きさ、位置等を定義した図形データが格納される。
【0030】
さらに、数十μm程度の範囲に存在する図形の集合を一般にクラスタまたはセルと称するが、これを用いてデータを階層化することが行われている。クラスタまたはセルには、各種図形を単独で配置したり、ある間隔で繰り返し配置したりする場合の配置座標や繰り返し記述も定義される。クラスタまたはセルデータは、さらにフレームまたはストライプと称される、幅が数百μmであって、長さがフォトマスクのX方向またはY方向の全長に対応する100mm程度の短冊状領域に配置される。
【0031】
入力された設計パターンデータは、磁気ディスク装置109から制御計算機110を通して展開回路111によって読み出される。
【0032】
展開回路111は、設計パターンを図形毎のデータにまで展開し、その図形データの図形形状を示す図形コード、図形寸法などを解釈する。そして、所定の量子化寸法のグリッドを単位とするマス目内に配置されるパターンとして2値ないしは多値の設計画像データを展開する。展開された設計画像データは、センサ画素に相当する領域(マス目)毎に設計パターンにおける図形が占める占有率を演算する。そして、各画素内の図形占有率が画素値となる。
【0033】
上記のようにして2値ないしは多値のイメージデータ(設計画像データ)に変換された設計パターンデータは、次に参照回路112に送られる。参照回路112では、送られてきた図形のイメージデータである設計画像データに対して適切なフィルタ処理が施される。
【0034】
図3は、フィルタ処理を説明する図である。
【0035】
後述する、センサ回路106から得られた光学画像としてのマスク測定データ404は、光学系の解像特性やフォトダイオードアレイのアパーチャ効果等によってぼやけを生じた状態、言い換えれば空間的なローパスフィルタが作用した状態にある。したがって、画像強度(濃淡値)がデジタル値となった、設計側のイメージデータであるビットパターンデータにもフィルタ処理を施すことで、マスク測定データ404に合わせることができる。このようにしてマスク測定データ404と比較する参照画像を作成する。
【0036】
次に、図1および図4を用いてマスク測定データ404の取得方法を説明する。
【0037】
図1において、光学画像取得部Aによって、フォトマスク101の光学画像、すなわち、マスク測定データ404が取得される。ここで、マスク測定データ404は、設計パターンに含まれる図形データに基づく図形が描画されたマスクの画像である。マスク測定データ404の具体的な取得方法は、例えば、次に示す通りである。
【0038】
検査対象となるフォトマスク101は、XYθ各軸のモータによって水平方向および回転方向に移動可能に設けられたXYθテーブル102上に載置される。そして、フォトマスク101に形成されたパターンに対し、XYθテーブル102の上方に配置された光源103から光が照射される。より詳しくは、光源103から照射される光束が、照明光学系170を介してフォトマスク101に照射される。フォトマスク101の下方には、拡大光学系104、フォトダイオードアレイ105およびセンサ回路106が配置されている。フォトマスク101を透過した光は、拡大光学系104を介して、フォトダイオードアレイ105に光学像として結像する。ここで、拡大光学系104は、図示しない自動焦点機構によって自動的に焦点調整がなされるように構成されていてもよい。さらに、図示しないが、検査装置100は、フォトマスク101の下方から光を照射し、反射光を拡大光学系を介して第2のフォトダイオードアレイに導き、透過光と反射光を同時に採取するように構成されていてもよい。
【0039】
図4は、マスク測定データ404の取得手順を説明するための図である。
【0040】
検査領域は、図4に示すように、Y方向に向かって、スキャン幅Wの短冊状の複数の検査ストライプ20に仮想的に分割され、さらにその分割された各検査ストライプ20が連続的に走査されるようにXYθテーブル102の動作が制御され、X方向に移動しながら光学画像が取得される。フォトダイオードアレイ105には、図4に示されるようなスキャン幅Wの画像が連続的に入力される。第1の検査ストライプ20における画像を取得すると、今度はXYθテーブル102が逆方向に移動しながら、第2の検査ストライプ20について同様にスキャン幅Wの画像が連続的に入力される。第3の検査ストライプ20については、第2の検査ストライプ20における画像を取得する方向とは逆方向、すなわち、第1の検査ストライプ20における画像を取得した方向に移動しながら取得する。このように、連続的に画像を取得していくことで、無駄な処理時間を短縮することができる。
【0041】
フォトダイオードアレイ105に結像したパターンの像は、光電変換された後、さらにセンサ回路106でA/D(アナログデジタル)変換される。フォトダイオードアレイ105には、画像センサが設けられている。画像センサの例としては、TDI(Time Delay Integration)センサが挙げられる。例えば、XYθテーブル102がX軸方向に連続的に移動しながら、TDIセンサによってフォトマスク101のパターンが撮像される。
【0042】
XYθテーブル102は、制御計算機110の制御の下、テーブル制御回路114によって駆動され、X方向、Y方向、θ方向に駆動する3軸(X−Y−θ)モータの様な駆動系によって移動可能となっている。X軸モータ、Y軸モータ、θ軸モータには、例えば、ステップモータが用いられる。XYθテーブル102の移動位置は、レーザ測長システム122により測定されて位置回路107に送られる。また、XYθテーブル102上のフォトマスク101は、オートローダ制御回路113により駆動されるオートローダ130から自動的に搬送され、検査終了後には自動的に排出されるようになっている。
【0043】
センサ回路106から出力されたマスク測定データ404は、位置回路107から出力されたXYθテーブル102上でのフォトマスク101の位置を示すデータとともに、比較回路108に送られる。マスク測定データ404は、例えば8ビットの符号なしデータであり、各画素の明るさの階調を表現している。また、上述した参照画像も比較回路108に送られる。
【0044】
比較回路108では、センサ回路106から送られたマスク測定データ404と、参照回路112で生成した参照画像とが、適切な比較判定アルゴリズムを用いて比較される。比較は、透過画像のみ、反射画像のみ、または、透過と反射を組み合わせたアルゴリズムで行われる。また、欠陥の性状に応じて複数のアルゴリズムが選択される。各アルゴリズムには閾値がそれぞれ設定されており、その閾値を超える反応値を有するものが欠陥として検出される。この場合、まず、アルゴリズムに対して暫定的な閾値が設定され、この閾値に基づいて行った欠陥検査結果が、後述するレビュー工程でレビューされる。この処理を繰り返し、十分な欠陥検出感度が得られたと判定されると、上記暫定的な閾値がアルゴリズムの閾値として決定される。
【0045】
比較の結果、マスク測定データ404と参照画像の差異が閾値を超えた場合に、その箇所を欠陥と判断する。欠陥と判断されると、その座標と、欠陥判定の根拠となったマスク測定データ404および参照画像とが、マスク検査結果405として磁気ディスク装置109に保存される。
【0046】
マスク検査結果405は、検査装置100の外部装置であるレビュー装置500に送られる。レビューは、オペレータによって、検出された欠陥が問題となるものであるかどうかを判断する動作である。レビュー装置500では、欠陥1つ1つの欠陥座標が観察できるように、マスクが載置されたテーブルを移動させながら、マスクの欠陥箇所の画像を表示する。また同時に欠陥判定の判断条件や、判定根拠になった光学画像と参照画像を確認できるよう、画面上にこれらを並べて表示する。マスク上での欠陥とウェハ転写像への波及状況とをレビュー工程で並べて表示することで、マスクパターンを修正すべきか否かを判断するのが容易になる。尚、一般に、マスクからウェハへは1/4程度の縮小投影が行われるので、並べて表示する際にはこの縮尺も考慮する。
【0047】
検査装置100が検出した全欠陥は、レビュー装置500で判別される。判別された欠陥情報は、検査装置100に戻されて磁気ディスク装置109に保存される。そして、レビュー装置500で1つでも修正すべき欠陥が確認されると、マスクは、欠陥情報リスト406とともに、検査装置100の外部装置である修正装置600に送られる。パターン欠陥では、欠陥のタイプが凸系の欠陥か凹系の欠陥かによって修正方法が異なるので、欠陥情報リスト406には、凹凸の区別を含む欠陥の種別と欠陥の座標が添付される。例えば、遮光膜を削るのか補填するのかの区別、および、修正装置で修正すべき箇所のパターンを認識するために切り出したパターンデータが添付される。ここで、パターンデータには、上述のマスク測定データ404を利用できる。
【0048】
尚、検査装置100自身がレビュー機能を有していてもよい。この場合には、マスク検査結果405が、検査装置100のCRT117、または、別途準備される計算機の画面上に、欠陥判定の付帯情報とともに画像表示される。
【0049】
レビュー工程では、検査結果から作成されたデータを基にモニタに欠陥が表示され、オペレータは、これが本当に問題となる欠陥であるか否かを判定するとともに欠陥を分類する。具体的には、測定データである光学画像と参照画像から比較画像が生成され、比較画像に表示された欠陥がオペレータによってレビューされる。これらの画像における画素データは、画素毎の階調値で表現される。すなわち、各画素には、256段階の階調値を有するカラーパレットより0階調から255階調のいずれかの値が与えられ、これによって描画パターンや欠陥が表示される。
【0050】
光学画像は、実際に描画されたパターンを撮像して得られた画像であり、通常、パターンエッジの断面は、描画データで規定されるような理想的な形状にはならない。例えば、描画データではパターンの断面形状が矩形であったとしても、実際のパターンではなだらかなテーパ形状をとることが多い。このため、階調値はパターンエッジ付近で徐々に変化する。したがって、欠陥判定処理に際しては、どこがパターンエッジであるかを規定することが必要になる。例えば、階調値が大きく変動する箇所をパターンエッジとして、隣接するパターンエッジ間の距離を光学画像と参照画像とで比較する。そして、これらの距離の差をパターン寸法エラー測定値(ΔCD)と定義する。
【0051】
しかしながら、光学画像を撮像する際の測定光の強度が変化したり、画像センサの感度が変化したりすると、階調値が変動してパターンエッジの位置が変化する。すると、光学画像におけるパターンエッジ間の距離が変動するため、パターン寸法エラー測定値に変化が生じる。
【0052】
本実施の形態では、上記要因による測定値の変動を求め、これを見かけのパターン寸法エラー測定値(ΔCDe)から差し引くことにより、真のパターン寸法エラー測定値(ΔCD)を求める。以下では、ΔCDの具体的な算出方法について述べる。
【0053】
画像センサの感度は時間によって変化し、その変化は、画像センサで検出される光の強度(光量)変化となって現れる。図5は、画像センサで検出された光強度の経時変化を示す一例である。こうした関係は、例えば、図4で述べたようにしてX方向と−X方向に連続的に走査しながら光学画像を取得する過程で、所定時間毎にマスク基板内に設けられた光強度測定用のパターンに移動し、このパターンにおける光強度を測定することで求められる。
【0054】
図5の例では、時間の経過とともに検出される光量が減少している。すなわち、時間(t)が経過すると光強度(I)は減少する。尚、時間の経過とともに光強度が減少する場合や、増加と減少が入り混じる場合もある。
【0055】
図5の例の場合、時間(t)と光強度(I)との関係は、式(1)で近似できる。尚、場合に応じて多項式でフィッティングしてもよい。
【0056】

【0057】
また、時間(t)が経過したことによる寸法差の変動量をΔCD’(t)とすると、この値は式(2)で表わされる。
【0058】

【0059】
式(2)に式(1)を代入すると、式(3)のようになる。
【0060】

【0061】
真のパターン寸法エラー測定値ΔCDは、見かけのパターン寸法エラー測定値ΔCDeから時間(t)が経過したことによる寸法差の変動量(ΔCD’(t))を引いた値に等しい。すなわち、ΔCDは式(4)で表わされる。
【0062】

【0063】
ΔCDeとI(t)は測定により求められるので、定数A、Bが分かれば、ΔCDを求めることができる。図6を用いて上記関係をより具体的に説明する。
【0064】
図6において、(a)と(b)はそれぞれ同じマスクを模式化したものである。添え字の1番目の数字は行番号を、2番目の数字は列番号を、3番目の数字は同一マスクの測定回数をそれぞれ示す。符号111と符号112に描画されるパターンは同一のものであるが、符号111は1回目に寸法測定されることを示しており、符号112は、1回目の測定から所定時間をおいた後、2回目に寸法測定されることを示している。同様に、符号121と符号122、符号211と符号212、符号221と符号222もそれぞれ同一のパターンであり、(a)に示されるパターンについて1回目に寸法測定が行われ、(a)のパターンに対応する(b)のパターンについて2回目に寸法測定が行われる。
【0065】
例えば、符号111と符号112とは同じパターンの寸法を測定しているので、本来的にはパターン寸法エラー測定値は同じとなるはずである。それ故、符号111を測定し、所定時間経過後に符号112を測定したとき、これらの測定値に差があれば、それは画像センサの強度変化が原因と推測される。
【0066】
ΔCDの変動量であるΔCD’(t)は、式(2)で表わされる。したがって、図6の例において、4つのパターンのそれぞれにおける定数Aを平均した値(A(平均値))は、式(5)で表わされる。尚、式(5)において、例えば、ΔCDe112は、符号112の見かけのパターン寸法エラー測定値であり、ΔCDe111は、符号111の見かけのパターン寸法エラー測定値である。これらの差をとることにより、同じパターンにおける寸法エラーの経時変化、すなわちΔCD’(t)が求められる。また、式(5)において、例えば、I112は、符号112の光強度であり、I111は、符号111の光強度である。これらの差をとることにより、同じパターンにおける光強度の経時変化が求められる。
【0067】

【0068】
また、式(2)より、B=ΔCD’(t)−A×I(t)である。したがって、図6の例において、4つのパターンのそれぞれにおける定数Bを平均した値(B(平均値))は、式(6)で表わされる。
【0069】

【0070】
以上のようにして、定数Aおよび定数Bが求められる。
【0071】
さらに、上記を一般化すると次のようになる。座標(i,j)におけるパターンについて、そのΔCDの時間的な変動量をΔCD’i,j(t)とすれば、この値は式(7)で表わされる。
【0072】

【0073】
式(7)からAとBが決定される。時間tでの変動を異なる測定回の変動に置き換えると、測定回数が2回の場合、定数A(平均値)と定数B(平均値)はそれぞれ式(8)、式(9)で表わされる。尚、式(8)および式(9)において、nは行数を、nは列数を表す。
【0074】

【0075】

【0076】
図7は、従来のパターン寸法エラー測定値が測定毎に変化する様子を示したものである。尚、図7の横軸は測定箇所を表わしている。この図からわかるように、同じ測定箇所であれば、パターン寸法エラー測定値は本来的に同一であるはずであるが、1回目、2回目、3回目の測定値がいずれも異なる値となっている。具体的には、測定回数を重ねるにしたがってパターン寸法エラー測定値の値は小さくなっている。このことは、画像センサの感度の変動などを原因として、パターン寸法エラー測定値の中に時間的変動分が含まれるためと考えられる。つまり、図7におけるパターン寸法エラー測定値は見かけの値(ΔCDe)であり、この値からパターン寸法エラー測定値の時間的変動分(ΔCD’(t))を除くことが必要になる。
【0077】
図8は、図7に示した見かけのパターン寸法エラー測定値(ΔCDe)から、時間(t)が経過したことによる寸法差の変動量(ΔCD’(t))を除いてプロットし直したものである。図8によれば、測定回数が変わってもパターン寸法エラー測定値にほとんど変化はない。すなわち、この値は、真のパターン寸法エラー測定値と言える。真のパターン寸法エラー測定値が得られると、この値とパターン寸法設計値との差が許容範囲内となるように、電子ビーム描画装置の調整やリソグラフィ・プロセスの見直しなどが行われる。
【0078】
図9を用いて、比較回路の動作を説明する。尚、図1と同じ符号を付した部分は同じものであることを示している。
【0079】
センサ回路106から出力されたマスク測定データは、位置回路107から出力されたXYθテーブル102上でのマスクの位置を示すデータとともに、比較回路108に送られる。また、参照回路112でフィルタ処理を施された設計パターンデータは、参照画像となって比較回路108に送られる。比較回路108では、センサ回路106から送られたマスク測定データと、参照回路112で生成された参照画像とが比較される。
【0080】
図9に示すように、比較回路108は、パターン認識部108aと、寸法計測部108bと、寸法誤差判定部108cと、閾値可変設定部108dとを有する。
【0081】
パターン認識部108aでは、設計パターンデータを微分して、この設計パターンデータにおける設計パターンのエッジ方向が認識される。より詳しくは、設計パターンの幅方向における両端の各エッジ部において、隣接する一対の画素(エッジペア)をサーチして、設計パターンのエッジ方向が認識される。このため、パターン認識部108aは、走査手段、サーチ手段およびエッジ方向認識手段を有する。
【0082】
走査手段は、計測ウィンドウをX方向とY方向に移動させて、設計パターンの全体を走査する。尚、計測ウィンドウは、N×N画素、例えば、15×15画素、17×17画素または19×19画素などで構成されている。
【0083】
サーチ手段は、計測ウィンドウの中心画素である注目画素Qから、X方向、Y方向およびXY方向に対して±45°方向の4方向(+方向と−方向を考慮すると8方向)にそれぞれサーチを行う。
【0084】
エッジ方向認識手段は、上記8方向のサーチ結果から一対の画素があるサーチ方向を検出し、このサーチ方向と直交する方向に設計パターンのエッジ方向があると認識する。例えば、X方向のサーチにより、設計パターンの各両端でそれぞれエッジ点にあたる各画素を検出すると、これらの画素をエッジペアとする。そして、サーチ方向であるX方向に直交する方向、すなわち、Y方向をパターンのエッジ方向として認識する。
【0085】
図9に示す寸法計測部108bは、エッジ方向認識手段により検出されたエッジペアの各画素値に基づいて、設計パターンの両端の各エッジ点をサブ画素で検出する。そして、これらのエッジ点から設計パターンの幅方向の寸法を検出する。つまり、寸法計測部108bは、エッジ方向が認識された設計パターンの幅方向の画素値のプロファイルに対し、所定の閾値を用いてサブ画素でエッジ点を検出する。
【0086】
また、寸法計測部108bは、マスク測定データを読み取り、設計パターンで幅方向の寸法を算出したエッジ部の位置と同一位置のエッジ部から、マスク測定データの幅方向の寸法を算出する。このため、寸法計測部108bは、プロファイル取得手段、エッジ点検出手段、第1の幅寸法算出手段および第2の幅寸法算出手段を有する。
【0087】
プロファイル取得手段は、エッジ方向が認識されたエッジ部における設計パターンの幅方向の画素値のプロファイルを求める機能を有している。
【0088】
エッジ点検出手段は、プロファイル取得手段で取得したプロファイルに対し、所定の閾値を用いて設計パターンの両端の各エッジ点をサブ画素で検出する機能を有している。エッジ点の検出は、次のようにして行われる。例えば、設計パターンデータにおいて、画素値が「200」と「0」とに変化するところがエッジ点とすると、このエッジ点は閾値を用いて検出される。このとき、特定の画素の明るさが閾値に一致する場合と、2つの画素の明るさの間に閾値がある場合とがある。そして、X方向とY方向の寸法に対しては、複数のエッジペアの組み合わせがあり、それぞれ相対する両エッジ周辺の画素で構成されるテンプレートとして記憶されている。両エッジのエッジパターンが相対する同系のパターンとなったときにエッジペアとして認識される。
【0089】
第1の幅寸法算出手段は、エッジ点検出手段で検出された各エッジ点から設計パターンの幅方向の寸法を算出する機能を有する。
【0090】
第2の幅寸法算出手段は、マスク測定データを受け取り、エッジ方向認識手段で検出されたエッジペアの画素の位置と同一位置において、マスク測定データにおける幅方向の寸法を算出する機能を有する。
【0091】
図9に示す寸法誤差判定部108cは、寸法計測部108bにより取得された設計パターンの幅方向の寸法と、マスク測定データの幅方向の寸法とに基づいて、マスクに形成されたパターンの良否判定を行う。このため、寸法誤差判定部108cは、寸法誤差算出手段と判定手段を有している。
【0092】
寸法誤差算出手段は、設計パターンの幅方向の寸法とマスク測定データの幅方向の寸法との差から、パターン寸法エラー測定値を算出する。本実施の形態では、画像センサの感度の時間的変動と、パターン寸法エラー測定値の時間的変動との相関関係を求める。具体的には、パターン寸法エラー測定値を測定している間、一定時間毎に、画像センサの光強度変化測定用のパターンにおける光強度を測定し、その時間的変動からパターン寸法エラー測定値の時間的変動を求める。そして、得られたパターン寸法エラー測定値の時間的変動を見かけのパターン寸法エラー測定値から差し引くことにより、真のパターン寸法エラー測定値を求める。これにより、マスクに形成されたパターンの寸法や位置の変動を正確に求めることが可能となる。
【0093】
判定手段は、パターン寸法エラー測定値がオフセット値を超えると許容範囲外であると判定する。すなわち、プラス側の閾値よりも大きいとき、あるいは、マイナス側の閾値よりも小さいときに、このパターンを欠陥と判定する。
【0094】
図9に示す閾値可変設定部108dは、パターン寸法エラー測定値の度数分布を作成し、この度数分布に基づいて、上記の閾値またはオフセット値を可変設定する。これは、図1の展開回路111における演算処理の過程で設計パターンデータに誤差が生じたり、白系/黒系の背景によってマスク測定データのパターン形状が縮小したり、形状が小さくなるにしたがって非線形に形状が変化したりするためである。すなわち、こうした変化に応じて閾値やオフセット値を補正する必要がある。
【0095】
閾値可変設定部108dでは、度数分布作成手段と可変設定手段を有する。
【0096】
度数分布作成手段は、パターン寸法エラー測定値の度数分布を作成する。閾値は、マスクに形成されるパターンの線幅が細くなったり、コンタクトパターンが小さくなったりするほど、大きくする設定する必要がある。このため、寸法計測部108bがパターン寸法を測定すると、閾値可変設定部108dは、正常なマスクのパターンを用いてパターン寸法エラー測定値の度数分布を作成する。設計パターンの形状ずれは、作成した度数分布を用いて求められる。
【0097】
可変設定手段は、度数分布作成手段により作成された度数分布に基づいて、閾値またはオフセット値を可変設定する。また、設計パターンデータにおいて、設計パターンの白系/黒系の背景によっても位置ずれ量が異なるので、可変設定手段は、そうした背景のレベルに合わせて複数のオフセット値を決定する。さらに、度数分布からはパターンの線幅に対応するばらつきも分かるので、設計パターンの寸法に応じて複数の閾値を決定する。
【0098】
以上述べたように、本実施の形態では、まず、画像センサの感度の変動と、パターン寸法エラー測定値の変動との相関関係を求める。具体的には、パターン寸法エラー測定値を測定している間、一定時間毎に、画像センサの光強度変化測定用のパターンにおける光強度を測定し、その時間的変動からパターン寸法エラー測定値の変動を求める。そして、この値を見かけのパターン寸法エラー測定値から差し引くことにより、真のパターン寸法エラー測定値を求める。これにより、マスクに形成されたパターンの寸法や位置の変動を正確に求めることが可能となる。
【0099】
尚、上記したように、見かけのパターン寸法エラー測定値の変動要因には、光学画像を撮像する際の測定光の強度変化も挙げられるので、この変動をパターン寸法エラー測定値の変動との相関関係を加味することが好ましい。さらに、他の変動要因があればこれも加味することがより好ましい。
【0100】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することができる。
【0101】
また、上記実施の形態では、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要としない部分についての記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができることは言うまでもない。その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更し得る全てのパターン検査装置またはパターン検査方法は、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0102】
20 検査ストライプ
100 検査装置
101 フォトマスク
102 XYθテーブル
103 光源
104 拡大光学系
105 フォトダイオードアレイ
106 センサ回路
107 位置回路
108 比較回路
108a パターン認識部
108b 寸法計測部
108c 寸法誤差判定部
108d 閾値可変設定部
109 磁気ディスク装置
110 制御計算機
111 展開回路
112 参照回路
113 オートローダ制御回路
114 テーブル制御回路
115 磁気テープ装置
116 フレキシブルディスク装置
117 CRT
118 パターンモニタ
119 プリンタ
120 バス
122 レーザ測長システム
130 オートローダ
170 照明光学系
401 CADデータ
402 設計中間データ
403 フォーマットデータ
404 マスク測定データ
405 マスク検査結果
406 欠陥情報リスト
401 ウェハ転写シミュレータ
500 レビュー装置
600 修正装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンが形成された試料に光を照明し、前記試料の像を画像センサに結像して、前記試料に形成されたパターンの寸法を検査する検査装置において、
前記画像センサから前記試料の光学画像を取得する部分と、
前記光学画像を基準画像と比較して、これらの画像における前記パターンの寸法差が所定の範囲を超えたときに欠陥と判定する部分とを有し、
前記欠陥と判定する部分は、前記光学画像と前記基準画像から前記パターンの見かけの寸法差を取得する部分と、
前記光の強度および前記画像センサの感度の内で少なくとも一方の時間的変動を取得する部分と、
前記光の強度および前記画像センサの感度の内で少なくとも一方の時間的変動と、前記パターンの寸法差の時間的変動との関係を取得する部分と、
前記見かけの寸法差から前記パターンの寸法差の時間的変動を引くことにより、前記パターンの真の寸法差を取得する部分とを有することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記基準画像は、前記パターンの設計データから作成された参照画像、または、前記試料で前記光学画像とは異なる領域にある前記パターンと同一のパターンの光学画像であることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
パターンが形成された試料に光を照明し、前記試料の像を画像センサに結像して光学画像を取得し、前記光学画像を基準画像と比較してこれらの画像における前記パターンの寸法差が所定の範囲を超えたときに欠陥と判定する検査方法において、
前記光の強度および前記画像センサの感度の内で少なくとも一方の時間的変動を取得し、該時間的変動と前記パターンの寸法差の時間的変動との関係を求めて前記パターンの寸法差を補正することを特徴とする検査方法。
【請求項4】
前記画像センサを前記試料に対し相対的に移動させることにより、前記試料全体の光学画像を取得しながら、所定時間毎に前記試料内に設けた別のパターンに前記画像センサを移動させて、前記画像センサの感度の時間的変動を求めることを特徴とする請求項3に記載の検査方法。
【請求項5】
前記基準画像は、前記パターンの設計データから作成された参照画像、または、前記試料で前記光学画像とは異なる領域にある前記パターンと同一のパターンの光学画像であることを特徴とする請求項3または4に記載の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−196728(P2011−196728A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61687(P2010−61687)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(504162958)株式会社ニューフレアテクノロジー (669)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】