説明

検査装置および検査方法

【課題】検査対象受体の外面に液体が付着した場合でも、正確な計測結果を得ることができる検査装置および検査方法を提供する。
【解決手段】検査装置では、液体を収容した検査対象受体2を保持する箱状の受体ホルダ100が主軸を中心に回転される。受体ホルダ100が所定量回転されたのち、貯留部23に光を透過させて液体が計測される。受体ホルダ100は、受体ホルダ100の両側面に対向配置された計測口120と、回転時に遠心方向の下流側を向く側面に設けられた排出口130とを備える。検査対象受体2が受体ホルダ100に挿入されると、検査対象受体2の貯留部23が計測口120から露出され、且つ、検査対象受体2が遠心方向の下流側に排出口130から露出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学的、医学的、生物学的な検査を行うための検査装置および検査方法に関する。詳細には、検査対象受体を回転軸から離間した位置に保持し、検査対象受体を回転させて遠心力を付与する検査装置および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マイクロチップまたは検査チップと呼ばれる検査対象受体を遠心処理して、生体物質および化学物質等を検査する検査装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような検査装置では、検査対象受体を保持した受体ホルダを回転させることで、検査対象受体に遠心力を付与する。その後、検査対象受体に収容された液体(例えば、検体と試薬とが撹拌された液体)に光源から光を射出し、液体を透過した光をセンサで受光することで、検査結果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−8875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検査対象受体内に液体を収容する場合、ユーザは検査対象受体に形成された注入口に液体を滴下したのち、注入口をシール体で封止する。このとき、液体の滴下量が多すぎたり、液体の滴下位置が注入口から外れたりすると、不要な液体が検査対象受体の外面に付着することがある。この状態で遠心処理を行っても、受体ホルダの内部から不要な液体が排出されずに、検査対象受体の外面に残存することがある。そうすると、残存した液体が計測に射出される光を妨げてしまい、検査結果に誤差を生じるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、検査対象受体の外面に液体が付着した場合でも、正確な計測結果を得ることができる検査装置および検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る検査装置は、液体が注入される注入口と、前記注入口から注入された前記液体が移動可能な流路と、前記流路の下流側に移動した前記液体が貯留される貯留部とが形成された検査対象受体を、前記検査対象受体から離間した軸線を中心に回転させて、遠心力によって前記液体を前記流路内で移動させる検査装置であって、前記検査対象受体を挿脱可能な内部空間を有し、前記流路の延設方向と前記軸線を含む仮想的な平面とが平行をなす姿勢で、前記検査対象受体を保持する箱状の受体ホルダと、前記検査対象受体が保持される前記受体ホルダを、前記軸線を中心に回転させる駆動部と、前記駆動部によって前記受体ホルダが所定量回転されたのち、前記流路の延設方向と交差する方向に延びる光を前記貯留部に透過させて、前記液体を計測する計測部とを備え、前記受体ホルダは、前記流路の延設方向と略平行な前記受体ホルダの両側面に対向配置された一対の開口部であって、前記検査対象受体が前記受体ホルダに挿入されている状態で、前記貯留部が前記流路の延設方向と交差する方向に露出されて、前記計測部による計測時に前記貯留部を通る光路が形成される計測口と、前記計測口が設けられた両側面とは異なる前記受体ホルダの他側面のうちで、前記駆動部による回転時に前記遠心方向の下流側を向く側面に設けられた開口部であって、前記検査対象受体が前記受体ホルダに挿入されている状態で、前記検査対象受体を前記遠心方向の下流側に露出させる排出口とを備える。
【0007】
上記検査装置では、検査対象受体を保持する箱状の受体ホルダが軸線を中心に回転されて、流路の延設方向と軸線を含む仮想的な平面とが平行をなす姿勢で保持された検査対象受体に遠心力が付与される。受体ホルダが所定量回転されたのち、貯留部に光を透過させて液体が計測される。受体ホルダは、両側面に対向配置された計測口と、回転時に遠心方向の下流側を向く側面に設けられた排出口とを備える。検査対象受体が受体ホルダに挿入されると、貯留部が計測口から露出され、且つ、検査対象受体が遠心方向の下流側に排出口から露出される。これにより、検査装置による回転時には、検査対象受体の外面に付着した液体が遠心方向の下流側に移動して、排出口を介して受体ホルダの外部に排出される。検査装置による計測時には、貯留部を通る光路が計測口を介して形成されて、液体が計測される。したがって、検査対象受体の外面に液体が付着した場合でも、正確な計測結果を得ることができる。
【0008】
上記検査装置において、前記排出口は、前記計測口から前記遠心方向の下流側に延びる位置よりも上方で開口してもよい。この場合、検査対象受体の外面に付着した液体は、回転時の遠心力によって検査対象受体の外面上を移動して、計測口よりも上方に設けられた排出口から排出されるため、液体が計測口に付着することを抑制できる。
【0009】
上記検査装置において、前記排出口は、前記検査対象受体が前記受体ホルダに挿入されている状態で、前記注入口から前記遠心方向の下流側に延びる位置で開口してもよい。この場合、注入口から検査対象受体の外面に漏出した液体は、排出口まで遠心方向の下流側に向けて最短距離で移動する。したがって、注入口から漏出した液体を、確実に排出口まで移動させて、受体ホルダの外部に排出することができる。
【0010】
上記検査装置において、前記軸線からみて前記受体ホルダが回転される範囲の外側、且つ、前記排出口から前記遠心方向の下流側に延びる位置に設けられ、前記受体ホルダの回転時に前記排出口から排出される前記液体を受ける液受け部をさらに備えてもよい。この場合、受体ホルダから排出された液体は、受体ホルダが回転される範囲の外側で、液受け部によって受けられる。よって、受体ホルダから排出された液体が、検査装置の意図しない部位に飛散することを抑制できる。
【0011】
上記検査装置において、前記計測部は、前記受体ホルダが回転される範囲の外側から前記計測口に光を射出する光源と、前記計測口から射出される光を、前記受体ホルダが回転される範囲の外側で受光するセンサとを有し、前記排出口から前記遠心方向の下流側に延びる位置よりも下方に設けられ、前記受体ホルダの回転時に前記排出口から排出される前記液体が、前記光源および前記センサの少なくとも一方に付着することを防止する液保護部をさらに備えてもよい。この場合、液保護部によって、受体ホルダが回転される範囲の外側に飛散した液体が、光源およびセンサの少なくとも一方に付着することを防止できる。
【0012】
本発明の一態様に係る検査方法は、上記検査装置で実行され、前記検査対象受体に収容された前記液体を遠心処理して計測する検査方法であって、前記検査対象受体が保持された前記受体ホルダを、前記駆動部によって前記検査方法で使用可能な最大回転数で回転させる第一遠心工程と、前記第一遠心工程の実行後、前記駆動部によって前記最大回転数以下の回転数で回転させる第二遠心工程と、前記第二遠心工程の実行後、前記計測部によって前記液体が計測される規定位置に、前記受体ホルダを移動させる計測位置移動工程と、前記計測位置移動工程の実行後、前記計測部によって前記計測口を通る光路が形成されて、前記貯留部を透過する光に基づいて前記液体を計測する計測工程とを備える。
【0013】
上記検査方法では、検査対象受体が保持された受体ホルダが、最大回転数で回転されたのち、最大回転数以下の回転数で回転される。その後、規定位置に移動された受体ホルダを対象に計測口を通る光路が形成されて、貯留部を透過する光に基づいて液体が計測される。これによれば、最初に受体ホルダが最大回転数で回転されることで、検査対象受体の外面に付着した液体が確実に遠心方向下流側の排出口まで移動される。以降は、検査対象受体に不要な液体が付着していない状態のもと、最大回転数以下の回転数に基づく最適な遠心力で、検査対象受体内で液体の移動や撹拌等を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】受体ホルダ100が定常状態にある、検査装置1の左側面図である。
【図2】受体ホルダ100が変位状態にある、検査装置1の左側面図である。
【図3】図1に示す検査装置1の平面図である。
【図4】図1に示す検査装置1を斜め上方からみた斜視図である。
【図5】受体ホルダ100の斜視図である。
【図6】検査対象受体2の正面図である。
【図7】検査対象受体2が収容された受体ホルダ100の正面図である。
【図8】検査対象受体2が収容された受体ホルダ100の右側面図である。
【図9】制御装置90の電気的構成を示すブロック図である。
【図10】検査装置1で実行されるメイン処理のフローチャートである。
【図11】定常状態で公転された受体ホルダ100における、検査対象受体2の状態変化を示す図である。
【図12】変位状態で公転された受体ホルダ100における、検査対象受体2の状態変化を示す図である。
【図13】遠心処理後の受体ホルダ100における、検査対象受体2の状態変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を具体化した実施の形態について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、単なる説明例である。
【0016】
本実施形態では、検査対象である液体(以下、検体と呼ぶ。)および検体に混合される液体(以下、試薬と呼ぶ。)を収容可能な検査対象受体2を用いて、検査装置1で検査が行われる場合を例示する。検査装置1は、検査対象受体2から離間した垂直軸を中心とした回転によって、検査対象受体2に遠心力を付与することができる。また、検査装置1は、検査対象受体2を水平軸まわりに回転させることによって、検査対象受体2に付与される遠心力の方向(以下、遠心方向と呼ぶ。)を切り替え可能である。
【0017】
図1〜図4を参照して、検査装置1の概略構造について説明する。以下の説明では、図1および図2の上方、下方、右方、左方、紙面手前側、紙面奥側を、それぞれ、検査装置1の上方、下方、前方、後方、右方、左方とする。図3の上方、下方、右方、左方、紙面手前側、紙面奥側を、それぞれ、検査装置1の左方、右方、前方、後方、上方、下方とする。なお、理解を容易にするために、図1および図2では上部筐体30を仮想線で示し、図3では上部筐体30の天板が取り除かれた状態を示す。図4では、上板32に設置された各部材のうち、上部筐体30、受体ホルダ100、ターンテーブル33のみを図示している。
【0018】
図1〜図4に示すように、検査装置1は、上部筐体30、下部筐体31、ターンテーブル33、受体ホルダ100、角度変更機構34、制御装置90などを備える。下部筐体31は、検査装置1の設置面に四隅の脚部50で支持されており、ターンテーブル33を垂直軸まわりに回転させる駆動機構が内部に設けられている。ターンテーブル33は、下部筐体31の上面側に設けられた、受体ホルダ100が上方に保持される円盤状の回転体である。受体ホルダ100は、検査対象受体2を内部に保持する箱状体である。角度変更機構34は、ターンテーブル33に設けられた、受体ホルダ100を水平軸まわりに回転させる駆動機構である。上部筐体30は、下部筐体31の上側に固定されており、検査対象受体2に収容された液体を光学的に計測する計測部7が内部に設けられている。制御装置90は、検査装置1の遠心処理や計測処理等を制御するコントローラである。
【0019】
下部筐体31の詳細構造を説明する。下部筐体31は、枠部材を組み合わせた箱状のフレーム構造を有する。下部筐体31の上面には、平面視長方形の板材である上板32が設けられている。上板32の上側には、ターンテーブル33が回転自在に設けられている。下部筐体31の内部には、ターンテーブル33を回転させる機構が、次のように設けられている。
【0020】
下部筐体31の内部には、前後方向(図1、図2では左右方向)へ水平に延びる中フレーム部材52が架設されている。下部筐体31内の後方寄りに、ターンテーブル33を回転させるための駆動力を供給する主軸モータ35が設置されている。主軸モータ35の軸36は、上方に突出しており、プーリ37が固定されている。平面視で下部筐体31の中央部には、下部筐体31の内部から上方に延びる垂直な主軸57が設けられている。主軸57は、上板32を貫通して、下部筐体31の上側に突出している。主軸57の上端部は、平面視でターンテーブル33の中央部に接続されている。
【0021】
上板32の直下には、主軸57が貫通する保持金具である支持部材53が設けられている。支持部材53は、一対のフレーム54によって中フレーム部材52に固定されている。主軸57は、支持部材53によって回転自在に保持されている。主軸57における支持部材53の下側には、プーリ38が固定されている。プーリ37、38に亘って、ベルト39が掛け渡されている。主軸モータ35が軸36を回転させると、プーリ37、ベルト39、プーリ38を介して駆動力が主軸57に伝達される。このとき、主軸57の回転に連動して、ターンテーブル33が主軸57を中心に回転する。
【0022】
下部筐体31内の前方寄りに、下部筐体31の底面から上板32の下面まで垂直に延びるガイドレール56が設けられている。T字型板状の連結金具であるT型プレート48は、ガイドレール56に沿って下部筐体31内で上下方向に移動可能である。T型プレート48の左側(図1、図2では紙面奥側)の面には、横長の溝部80が形成されている。
【0023】
先述の主軸57は、内部が中空の筒状体である。内軸40は、主軸57の内部で上下方向に移動可能な垂直軸である。内軸40の上端部は、主軸57内を貫通して後述のラックギア43に接続されている。主軸57の下側には、中フレーム部材52に固定された軸受55が設けられている。軸受55の下方には、T型プレート48の後端部に固定された軸受41が設けられている。軸受41の内部には、図示外のベアリングが設けられるとともに、内軸40の下端部が挿入されている。内軸40の中間部および下端部は、それぞれ、軸受55、41によって回転自在に保持される。
【0024】
T型プレート48の左側には、T型プレート48を上下動させるためのステッピングモータ51が、図示外の固定具によって固定されている。ステッピングモータ51の軸58は、右側(図1、図2では紙面手前側)に向けて突出しており、先端に円盤状のカム板59が固定されている。カム板59の右側の面には、円柱状の突起70が設けられている。突起70の先端部は先述の溝部80に挿入されているため、突起70は溝部80内を摺動可能である。ステッピングモータ51が軸58を回転させると、カム板59の回転に連動して突起70が上下動する。このとき、溝部80に挿入されている突起70に連動して、T型プレート48がガイドレール56に沿って上下動する。
【0025】
角度変更機構34の詳細構造を説明する。角度変更機構34は、ターンテーブル33の上面に固定された、一対のL字型板状の連結金具であるL型プレート60を有する。各L型プレート60は、ターンテーブル33の中心近傍に固定された基部から上方に延び、且つ、その上端部がターンテーブル33の径方向外側に向けて延びている。一対のL型プレート60の間には、内軸40に固定されたラックギア43が設けられている。ラックギア43は、縦長の金属製の板状部材であり、両端面にギアが各々刻まれている。
【0026】
各L型プレート60の延設方向の先端側では、ギア45が有する水平な軸46が回転自在に軸支されている。軸46は受体ホルダ100に固定されているため、ギア45の回転に連動して受体ホルダ100も軸46を中心に回転する。ギア45とラックギア43との間には、L型プレート60によって水平軸まわりに回転自在に支持されたピニオンギア44が介在している。ピニオンギア44は、ギア45およびラックギア43にそれぞれ噛合している。
【0027】
ラックギア43の上端部には、円柱状のガイド部材42が設けられている。一対のフレーム62の上端部は、板状の上部プレート61にそれぞれ固定されている。ガイド部材42は、上部プレート61の中央部に形成された開口部に挿入された状態で、上下方向に摺動可能に保持されている。ラックギア43の上下動に連動して、ピニオンギア44、ギア45がそれぞれ従動回転し、ひいては受体ホルダ100が軸46を中心に回転する。
【0028】
本実施形態では、主軸モータ35がターンテーブル33を回転駆動するのに伴って、受体ホルダ100が主軸57(すなわち、垂直軸)を中心に回転して、検査対象受体2に遠心力が付与される。受体ホルダ100の垂直軸まわりの回転を、「公転」と呼ぶ。一方、ステッピングモータ51が内軸40を上下動させるのに伴って、受体ホルダ100が軸46(すなわち、水平軸)を中心に回転して、検査対象受体2に作用する遠心方向が相対変化する。受体ホルダ100の水平軸まわりの回転を、「自転」と呼ぶ。なお、受体ホルダ100は、自転および公転に伴う角度変化に関係なく、後述の流路24、25(図6参照)の延設方向と主軸57を含む仮想的な平面(つまり、垂直面)とが平行をなす姿勢で、検査対象受体2を内部に保持する。
【0029】
T型プレート48が可動範囲の最下端まで下降した状態(図1参照)では、ラックギア43も可動範囲の最下端まで下降する。このとき、受体ホルダ100は、自転角度が0度の状態(以下、定常状態と呼ぶ。)になる。一方、T型プレート48が可動範囲の最上端まで上昇した状態(図2参照)では、ラックギア43も可動範囲の最上端まで上降する。このとき、受体ホルダ100は、定常状態から90度水平軸まわりに回転した状態(以下、変位状態と呼ぶ。)になる。つまり、受体ホルダ100が自転可能な角度幅(以下、自転可能範囲と呼ぶ。)は、定常状態(0度)から変位状態(90度)までの範囲である。
【0030】
上部筐体30の詳細構造を説明する。上部筐体30は、枠部材を組み合わせた箱状のフレーム構造を有し、上板32の後部上側に設置されている。より詳細には、上部筐体30は、ターンテーブル33の回転中心(つまり、主軸57)からみて、受体ホルダ100が回転される範囲の外側に設けられている。上部筐体30は、ターンテーブル33の外周側において平面視で円弧状に延びる対向壁81を有する。
【0031】
上部筐体30の内部に設けられた計測部7は、後述の流路24、25(図6参照)の延設方向と交差する方向(本実施形態では、流路24、25の延設方向と直交する水平方向)に延びる光を、計測対象の検査対象受体2(詳細には、後述の貯留部23)に透過させることで、検査対象受体2内の液体を計測する。計測部7は、計測光を発する光源71と、光源71から発せられた計測光を検出する光センサ72とを有する。
【0032】
光源71は検査装置1の左後部に設けられる一方、光センサ72は検査装置1の右後部に設けられている。つまり、光源71および光センサ72は、受体ホルダ100の回転範囲の外側において、ターンテーブル33の左右両側に配置されている。光源71は、検査装置1の右側に向けて計測光を発する発光部71Aを有する。光センサ72は、検査装置1の左側から射出される計測光を受ける受光部72Aを有する。光源71と光センサ72とを結ぶ光路の高さ位置は、定常状態の受体ホルダ100を基準として、後述の計測口120(図5参照)の高さ位置と等しい。対向壁81には、発光部71Aおよび受光部72Aを上部筐体30の外部に露出させるための露出口85、86が形成されている。
【0033】
本実施形態では、計測位置の受体ホルダ100に保持されている検査対象受体2が、計測対象の検査対象受体2となる。主軸57を中心に公転する受体ホルダ100が計測位置(図3、図4参照)に存在する場合、受体ホルダ100が定常状態であれば、検査装置1の左右方向に延びる計測光が後述の計測口120を通る。より具体的には、計測位置の受体ホルダ100は、受体ホルダ100はターンテーブル33の回転中心よりも後方に位置して、平面視で計測光が受体ホルダ100の前後面に対して直交する。
【0034】
さらに、対向壁81には、液受け部82および液保護部83、84が形成されている。液受け部82は、公転中の受体ホルダ100の排出口130(図5参照)から排出される液体を受ける部位である。液保護部83、84は、それぞれ、公転中の受体ホルダ100の排出口130から排出される液体が、光源71および光センサ72に付着することを防止する部位である。
【0035】
液受け部82は、液体を吸収可能なシート状のスポンジであり、受体ホルダ100の回転範囲の外側、且つ、後述の排出口130から遠心方向(つまり、水平方向)の下流側に延びる位置に設けられている。液受け部82は、受体ホルダ100の自転に応じて上下動する後述の排出口130の可動範囲を含む上下幅で、対向壁81の表面を被覆する。よって、液受け部82の下端部の高さ位置は、定常状態の受体ホルダ100を基準として、最下端の排出口130(本実施形態では、開口部132)の高さ位置以下である。液受け部82の上端部の高さ位置は、変位状態の受体ホルダ100を基準として、最上端の排出口130(本実施形態では、開口部131)の高さ位置以上である。
【0036】
液保護部83、84は、受体ホルダ100の回転範囲の外側、且つ、後述の排出口130から遠心方向(つまり、水平方向)の下流側に延びる位置よりも下方に設けられている。具体的には、液保護部83は、露出口85の上側に設けられた、対向壁81からターンテーブル33側に突出する板状の凸部である。液保護部84は、露出口86の上側に設けられた、対向壁81からターンテーブル33側に突出する板状の凸部である。液保護部83、84は、それぞれ、対向壁81を流れ落ちる液体が露出口85、86に進入するのを妨げる。
【0037】
図5を参照して、受体ホルダ100の詳細構造を説明する。以下の説明では、図5の上方、下方、右下方、左上方、左下方、左上方を、それぞれ、受体ホルダ100の上方、下方、左方、右方、前方、後方とする。先述したように、ターンテーブル33の上方には、一対の受体ホルダ100がターンテーブル33の回転中心を挟んで対向配置されている。各受体ホルダ100は、上側以外を取り囲む壁部(底壁101、右壁102、左壁103、前壁104、後壁105)を有し、上側に開口部107が形成されている。開口部107は、後述の検査対象受体2に対応して平面視で長方形状に形成されている。よって、検査対象受体2は、開口部107を介して受体ホルダ100が有する内部空間に挿脱可能である。
【0038】
受体ホルダ100は、開口部107を開閉可能な蓋106を有する。蓋106は、開口部107よりも一回り大きい平面視で長方形状の板状部材である。右壁102の上端部には、蓋106の長手方向の一端部を回転自在に支持するヒンジ110が設けられている。一方、蓋106の長手方向の他端部には、ロック機構111が設けられている。ロック機構111は、レバー部材113および支持部材112から構成される。レバー部材113は、上下に延びる小片の板状体であって、下端部に係止爪114を有し、上端部に押圧部115を有する。支持部材112は、レバー部材113の長手方向中央部を回動可能に支持する。
【0039】
左壁103の上端部には、蓋106が閉じられた状態で、係止爪114が嵌まる凹部109が形成されている。レバー部材113は、図示外のばねによって、係止爪114を凹部109に係止する方向に付勢される。これにより、受体ホルダ100内に検査対象受体2が挿入されて蓋106が閉じられると、ロック機構111によって蓋106の自然開放が防止される。この状態では、蓋106の内面が検査対象受体2の上端部に当接して、検査対象受体2が受体ホルダ100の内部で固定される。なお、受体ホルダ100に対して検査対象受体2を挿脱する場合は、ユーザは押圧部115を操作することで蓋106を開放することができる。
【0040】
なお、L型プレート60から延びる軸46は後壁105に連結されており、軸46の回転に伴って受体ホルダ100が自転する(図1〜図3参照)。受体ホルダ100が定常状態である場合、ヒンジ110がターンテーブル33の内側を向き、ロック機構111がターンテーブル33の外側を向くように保持される(図1、図3参照)。したがって、定常状態の受体ホルダ100が公転されている場合、左壁103が遠心方向の下流側を向き、右壁102側が遠心方向の上流側を向く。一方、受体ホルダ100が変位状態である場合、ヒンジ110が下側を向き、ロック機構111が上側を向くように保持される(図2参照)。したがって、変位状態の受体ホルダ100が公転されている場合、底壁101が遠心方向の下流側を向き、蓋106が遠心方向の上流側を向く。
【0041】
さらに、本実施形態の受体ホルダ100は、計測口120および排出口130を備える。計測口120は、検査対象受体2に貯留された液体を計測するための開口部である。排出口130は、検査対象受体2の外面に付着した液体を排出するための開口部である。
【0042】
計測口120は、受体ホルダ100の両側面である前壁104および後壁105に対向配置された一対の開口部121、122である。計測口120は、受体ホルダ100における遠心方向の下流側、且つ、定常状態で重力方向の下流側となる位置に設けられる。より具体的には、開口部121は前壁104の左下部分(図5では右下部分)に設けられ、開口部122は後壁105の左下部分(図5では右下部分)に設けられている。開口部121、122は、同一の正方形状に形成されており、受体ホルダ100の内部空間を介して前後方向に連通している。
【0043】
排出口130は、計測口120が設けられた両側面とは異なる受体ホルダ100の他側面のうちで、遠心方向の下流側を向く側面である左壁103に設けられた開口部である。排出口130は、検査対象受体2が受体ホルダ100に収容された状態で、注入口201、202(図6参照)に対応する位置に設けられる。本実施形態では、2つの注入口201、202に対応して、排出口130として2つの開口部131、132が設けられている。
【0044】
より具体的には、定常状態の受体ホルダ100を基準として、開口部131は貯留部21と同一の高さ位置(すなわち、左壁103の上端縁)に設けられ、開口部132は貯留部22と同一の高さ位置(すなわち、左壁103の開口部132よりも下側)に設けられる。開口部131、132は、同一の横長矩形状に形成されており、受体ホルダ100の内部空間に連通している。さらに、排出口130は、計測口120から遠心方向の下流側に延びる位置よりも上方で開口している。より具体的には、受体ホルダ100が先述の自転可能範囲内で自転する場合には、排出口130は常に計測口120よりも上方に位置する。
【0045】
図6を参照して、検査対象受体2の詳細構造を説明する。以下の説明では、図6の上方、下方、左方、右方、紙面手前側、紙面奥側を、それぞれ、検査対象受体2の上方、下方、右方、左方、前方、後方とする。検査対象受体2は、正面視で正方形状をなし、所定の厚みを有する透明な合成樹脂の板材20を主体とする。板材20の正面には、3つの窪みである貯留部21、22、23と、2つの溝部である流路24、25とが形成されている。
【0046】
貯留部21は、検査対象受体2の右上部分(図6では左上部分)に形成され、検査対象受体2に注入された検体が貯留される。貯留部22は、検査対象受体2の貯留部21の下側に形成され、検査対象受体2に注入された試薬が貯留される。貯留部23は、検査対象受体2の左下部分(図6では右下部分)に形成され、遠心処理によって検体および試薬を撹拌した液体が貯留される。流路24は、貯留部21から貯留部23まで延び、注入された検体が遠心力に応じて移動可能である。流路25は、貯留部22から貯留部23まで延び、注入された試薬が遠心力に応じて移動可能である。
【0047】
板材20の正面は、透明の合成樹脂の薄板から構成されたカバー部材200によって封止されている。カバー部材200には、貯留部21に検体を注入するための開口である注入口201と、貯留部22に試薬を注入するための開口である注入口202とが形成されている。なお、検体および試薬が注入されたのち、注入口201および注入口202に封止パッチ210がそれぞれ貼り付けられる。これにより、貯留部21、22に貯留された検体および試薬は、注入口201、202から検査対象受体2の外部に流出することが防止される。
【0048】
図7および図8を参照して、検査対象受体2が収容された受体ホルダ100について説明する。検査対象受体2は、受体ホルダ100と前後左右方向が一致するように、開口部107を介して受体ホルダ100内へ縦方向に挿入される。蓋106が閉じられると、受体ホルダ100内で検査対象受体2が固定される。
【0049】
これにより、検査対象受体2の貯留部23は、計測口120を介して、流路24、25の延設方向と交差する方向(本実施形態では、流路24、25の延設方向と直交する水平方向)に露出される。詳細には、開口部121、122を介して、貯留部23が受体ホルダ100の前方および後方にそれぞれ露出される。また、検査対象受体2の左側面は、排出口130を介して、遠心方向の下流側(本実施形態では、受体ホルダ100の左方)に露出される。詳細には、検査対象受体2の左側面のうちで、注入口201、202の高さ位置に相当する部位が、開口部131、132を介して露出される。
【0050】
図9を参照して、制御装置90の電気的構成について説明する。制御装置90は、検査装置1の主制御を司るCPU91と、各種データを一時的に記憶するRAM92と、制御プログラムを記憶したROM93とを有する。CPU91には、制御装置90に対する指示を入力するための操作部94、各種データやプログラムを記憶するハードディスク装置(HDD)95、各種情報を表示するディスプレイ96などが接続されている。
【0051】
さらに、CPU91には、公転コントローラ97、自転コントローラ98、計測コントローラ99などが接続されている。公転コントローラ97は、主軸モータ35を回転駆動することで、受体ホルダ100の公転を制御する。自転コントローラ98は、ステッピングモータ51を回転駆動することで、受体ホルダ100の自転を制御する。計測コントローラ99は、光源71の発光制御および光センサ72の検出制御を行うことで、検査対象物の光学計測を実行する。
【0052】
図10〜図13を参照して、検査装置1を用いた検査方法について説明する。ユーザはメイン処理(図10)の実行前に、検査対象受体2の貯留部21、22にそれぞれ検体および試薬を滴下し、注入口201、202をそれぞれ封止パッチ210で封止する。その後、ユーザは検査対象受体2を受体ホルダ100内に挿入し、操作部94から処理開始のコマンドを入力する。これにより、CPU91は、ROM93に記憶されている制御プログラムに基づいて、以下のメイン処理(図10)を実行する。なお、図11および図12では、検査対象受体2に作用する遠心方向を矢印で示している。
【0053】
まず、自転コントローラ98は、受体ホルダ100を定常状態(図1参照)になるまで自転させる(S1)。公転コントローラ97は、定常状態の受体ホルダ100を最大回転数で公転させる(S3)。公転コントローラ97は、受体ホルダ100の単位時間あたりの公転数(つまり、ターンテーブル33の単位時間あたりの回転数)を制御可能である。最大回転数は、遠心処理時に制御可能な回転数の範囲のうちで、最も大きい回転数である。
【0054】
つまり、メイン処理(図10)の開始直後は、受体ホルダ100が定常状態で第一所定時間(例えば、10秒)に亘って最大回転数で公転される。これにより、図11に示すように、貯留部21内の検体は、遠心力によって流路24を経由して貯留部23に流入する。貯留部22内の試薬は、遠心力によって流路25を経由して貯留部23に流入して、検体と混合する。
【0055】
ところで、ユーザが注入口201、202から液体(検体および試薬)を滴下する場合に、液体の滴下量が多すぎたり、滴下位置が注入口201、202から外れたりすると、液体がカバー部材200の表面(特に、注入口201、202の近傍)に付着することがある。この状態で受体ホルダ100が公転されると、カバー部材200の表面に付着した液体は遠心方向に移動する。また、封止パッチ210の貼り付けが不十分な場合も、受体ホルダ100の公転時に液体が注入口201、202から漏出して、カバー部材200の表面を遠心方向に移動する。
【0056】
本実施形態の受体ホルダ100には、公転時に遠心方向の下流側を向く左壁103に、排出口130(開口部131、132)が設けられている。上記のステップS3では、定常状態の受体ホルダ100が公転されるのに伴って、受体ホルダ100の内部で不要な液体が検査対象受体2の外面(具体的には、カバー部材200の表面)を移動して、排出口130を介して受体ホルダ100の外部に排出される。なお、「第一所定時間」は、検査対象受体2に不要な液体が残存しなくなるまで(つまり、排出口130から不要な液体が全て排出されるまで)、定常状態の受体ホルダ100の公転を継続する時間であることが好適である。
【0057】
また、排出口130(開口部131、132)は、不要な液体が付着または漏出しやすい注入口201、202の遠心方向下流側に設けられている。よって、注入口201、202から遠心方向に移動する液体は、排出口130まで最短距離で移動して、受体ホルダ100の外部に確実に排出される。さらに、上記のステップS3では、受体ホルダ100に最大回転量の遠心力が付与されるため、検査対象受体2から不要な液体を排出口130まで確実に移動させることができる。
【0058】
排出口130から排出された液体は、さらに遠心方向に飛散して、受体ホルダ100の回転範囲の外側で液受け部82によって受け止められる。よって、受体ホルダ100から排出された液体が、検査装置1の意図しない部位に飛散することを抑制できる。さらに、液保護部83、84によって、受体ホルダ100の回転範囲の外側に飛散した液体が、光源71および光センサ72に付着することが防止される。
【0059】
ステップS3が実行されてから第一所定時間が経過すると、自転コントローラ98は公転中の受体ホルダ100を90度自転させて(S5)、受体ホルダ100が変位状態(図2参照)となる。これにより、図12に示すように、受体ホルダ100が変位状態で第二所定時間(例えば、10秒)に亘って公転される。ただし、ステップS5では、公転コントローラ97が受体ホルダ100を最大回転数以下の最適な回転数で公転させる。貯留部23内では、検体および試薬の混合液が遠心方向の変化によって撹拌される。
【0060】
ステップS5が実行されてから第二所定時間が経過すると、自転コントローラ98は公転中の受体ホルダ100が−90度自転させて(S7)、受体ホルダ100が定常状態(図1参照)となる。これにより、図11に示すように、受体ホルダ100が定常状態で第三所定時間(例えば、10秒)に亘って公転される。ただし、ステップS7では、公転コントローラ97が受体ホルダ100を最大回転数以下の最適な回転数で公転させる。貯留部23内では、検体および試薬の混合液が遠心方向の変化によって撹拌される。
【0061】
本実施形態の受体ホルダ100は、少なくとも定常状態である場合、排出口130が計測口120から遠心方向の下流側に延びる位置よりも上方に存在する(図11参照)。したがって、定常状態で公転される受体ホルダ100の内部で、検査対象受体2の外面を移動する不要な液体が計測口120に進入することが防止される。なお、「第二所定時間」および「第三所定時間」は、貯留部23内で混合液を撹拌するのに十分な公転時間であることが好適である。
【0062】
ステップS7が実行されてから第三所定時間が経過すると、定常状態に復帰した受体ホルダ100が計測位置(図3、図4参照)に停止するように、公転コントローラ97は公転を終了する(S9)。公転が終了すると、図13に示すように、受体ホルダ100では混合液が重力に従って貯留部23の下部に溜まる。この状態で計測コントローラ99は、遠心処理後の検査対象受体2内に存在する液体の光計測を実行する(S11)。具体的には、光源71から光センサ72に向けて計測光が射出される。この計測光は、計測位置の受体ホルダ100の計測口120を経由するため、計測口120から露出する検査対象受体2の貯留部23を透過する光路を形成する。計測光は貯留部23内の混合液を透過する際に減衰するため、光センサ72の受光量に基づいて検査結果が得られる。ステップS11の実行後、メイン処理(図10)が終了される。
【0063】
以上説明したように、本実施形態の検査装置1によれば、検査装置1の遠心処理時には、検査対象受体2の外面に付着した液体が遠心方向の下流側に移動して、排出口130を介して受体ホルダ100の外部に排出される。検査装置1の計測処理時には、貯留部23を通る光路が計測口120を介して形成されて、液体が計測される。したがって、検査対象受体2の外面に液体が付着した場合でも、正確な計測結果を得ることができる。
【0064】
また、検査装置1のメイン処理(図10)では、最初に受体ホルダ100が最大回転数で回転されることで、検査対象受体2の外面に付着した液体が確実に遠心方向下流側の排出口130まで移動される。以降は、検査対象受体2に不要な液体が付着していない状態のもと、最大回転数以下の回転数に基づく最適な遠心力で、検査対象受体2内で液体の移動や撹拌等を行うことができる。
【0065】
上記実施形態において、主軸モータ35が本発明の「駆動部」に相当する。ステップS3が本発明の「第一遠心工程」に相当する。ステップS5、S7が本発明の「第二遠心工程」に相当する。ステップS9が本発明の「計測位置移動工程」に相当する。ステップS11が本発明の「計測工程」に相当する。
【0066】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、各種の変形が可能なことはいうまでもない。例えば、検査対象受体2や受体ホルダ100の構造、受体ホルダ100の自転角度や遠心方向などは単なる例示であり、測定する条件に合わせて決定すればよい。
【0067】
すなわち、上記実施形態の検査装置1では、受体ホルダ100の自転角度が0度〜90度である。これに代えて、検査装置1は他の角度範囲(例えば、0度〜180度)で、受体ホルダ100を自転させてもよい。また、受体ホルダ100の構造は、その内部に収容される検査対象受体2の構造に応じて適宜変更することができる。具体的には、計測口120は、遠心処理後の検査対象受体2における液体の貯留部に対応する位置に設けられればよい。なお、排出口130は、遠心方向の下流側を向く受体ホルダ100の側面の少なくとも一部に設けられればよい。
【符号の説明】
【0068】
1 検査装置
2 検査対象受体
7 計測部
23 貯留部
24 流路
25 流路
35 主軸モータ
71 光源
72 光センサ
82 液受け部
83 液保護部
84 液保護部
100 受体ホルダ
120 計測口
121 開口部
122 開口部
130 排出口
131 開口部
132 開口部
201 注入口
202 注入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が注入される注入口と、前記注入口から注入された前記液体が移動可能な流路と、前記流路の下流側に移動した前記液体が貯留される貯留部とが形成された検査対象受体を、前記検査対象受体から離間した軸線を中心に回転させて、遠心力によって前記液体を前記流路内で移動させる検査装置であって、
前記検査対象受体を挿脱可能な内部空間を有し、前記流路の延設方向と前記軸線を含む仮想的な平面とが平行をなす姿勢で、前記検査対象受体を保持する箱状の受体ホルダと、
前記検査対象受体が保持される前記受体ホルダを、前記軸線を中心に回転させる駆動部と、
前記駆動部によって前記受体ホルダが所定量回転されたのち、前記流路の延設方向と交差する方向に延びる光を前記貯留部に透過させて、前記液体を計測する計測部とを備え、
前記受体ホルダは、
前記流路の延設方向と略平行な前記受体ホルダの両側面に対向配置された一対の開口部であって、前記検査対象受体が前記受体ホルダに挿入されている状態で、前記貯留部が前記流路の延設方向と交差する方向に露出されて、前記計測部による計測時に前記貯留部を通る光路が形成される計測口と、
前記計測口が設けられた両側面とは異なる前記受体ホルダの他側面のうちで、前記駆動部による回転時に前記遠心方向の下流側を向く側面に設けられた開口部であって、前記検査対象受体が前記受体ホルダに挿入されている状態で、前記検査対象受体を前記遠心方向の下流側に露出させる排出口と
を備えたことを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記排出口は、前記計測口から前記遠心方向の下流側に延びる位置よりも上方で開口することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記排出口は、前記検査対象受体が前記受体ホルダに挿入されている状態で、前記注入口から前記遠心方向の下流側に延びる位置で開口することを特徴とする請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記軸線からみて前記受体ホルダが回転される範囲の外側、且つ、前記排出口から前記遠心方向の下流側に延びる位置に設けられ、前記受体ホルダの回転時に前記排出口から排出される前記液体を受ける液受け部をさらに備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の検査装置。
【請求項5】
前記計測部は、前記受体ホルダが回転される範囲の外側から前記計測口に光を射出する光源と、前記計測口から射出される光を、前記受体ホルダが回転される範囲の外側で受光するセンサとを有し、
前記排出口から前記遠心方向の下流側に延びる位置よりも下方に設けられ、前記受体ホルダの回転時に前記排出口から排出される前記液体が、前記光源および前記センサの少なくとも一方に付着することを防止する液保護部をさらに備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の検査装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の検査装置で実行され、前記検査対象受体に収容された前記液体を遠心処理して計測する検査方法であって、
前記検査対象受体が保持された前記受体ホルダを、前記駆動部によって前記検査方法で使用可能な最大回転数で回転させる第一遠心工程と、
前記第一遠心工程の実行後、前記駆動部によって前記最大回転数以下の回転数で回転させる第二遠心工程と、
前記第二遠心工程の実行後、前記計測部によって前記液体が計測される規定位置に、前記受体ホルダを移動させる計測位置移動工程と、
前記計測位置移動工程の実行後、前記計測部によって前記計測口を通る光路が形成されて、前記貯留部を透過する光に基づいて前記液体を計測する計測工程と
を備えたことを特徴とする検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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