説明

検査装置

【課題】異種容器や不具合を有する容器などの異常容器をより高い精度で判別することができる検査装置を提供する。
【解決手段】検査装置100は、容器12を斜め上方から撮像する第1カメラ20と、第1カメラ20によって撮像された画像において認識される容器の口部の位置に基づいて該容器が正常容器であるか異常容器であるかを判定する処理部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を検査する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンベアによって搬送されてくるケースに収納された瓶の有無を検出するために、超音波近接スイッチを利用することが記載されている。この超音波近接スイッチは、センサ部及びアンプ部を有する。このセンサ部は、周期的に超音波を発射しそのエコーを受信する。アンプ部は、センサ部がエコーを受信したときは出力をHにし、エコーを受信しないときは出力をLにする。
【特許文献1】特開平4−120493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ビール瓶は、市場で回収されて、一般的にはプラスチック製の函に収容された状態でビール工場に搬送されてくる。このような函の中には、様々な種類及び様々な状態の瓶が収容されている可能性がある。このような瓶から異種の瓶を取り除くと共に目的瓶のうち不具合を有する瓶を取り除いて再利用する必要がある。また、瓶は、函の中で傾いていたり、その底と函の底面との間に異物が挟まっていたり、王冠が再打栓されていたり、口部に異物が詰め込まれていたり、というように様々な状態でありうることが経験的に分かっている。
【0004】
異種瓶を検知するために超音波センサを利用して瓶の高さを検知する検査装置があるが、このような検査装置では、函内で瓶が傾いている場合などにおいて瓶の高さを誤って検知し、目的瓶を異種瓶であると判定したり、逆に、異種瓶を目的瓶であると判定をしたりすることがある。
【0005】
また、上記の超音波センサを利用して瓶の高さを検知する検査装置では、高さが目的瓶と同じであるものの不適切な瓶、例えば、王冠が打栓された瓶、異種瓶、汚れを有する瓶、異物が付着した瓶、口部が破損した瓶、函に逆さに入れられた瓶などを判別することができない。
【0006】
本発明は、上記の課題認識を基礎としてなされたものであり、例えば、異種容器や不具合を有する容器などの異常容器をより高い精度で判別することができる検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の検査装置は、容器を検査するように構成され、容器を斜め上方から撮像する第1カメラと、前記第1カメラによって撮像された画像において認識される容器の口部の位置に基づいて該容器が正常容器であるか異常容器であるかを判定する処理部とを備える。
【0008】
本発明の好適な実施形態によれば、前記処理部は、前記第1カメラによって撮像された画像において認識される容器の口部の位置に基づいて該容器の高さを決定し、その高さに基づいて該容器が正常容器であるか異常容器であるかを判定する。
【0009】
本発明の好適な実施形態によれば、前記検査装置は、前記第1カメラによって撮像された画像において容器の口部がリング形状の高輝度部を形成するように容器を照明する照明部を更に備えることが好ましい。
【0010】
本発明の好適な実施形態によれば、前記処理部は、前記高さのほか、前記リング形状の高輝度部が欠損部を有しない完全なリング形状であるか、欠損部を有する不完全なリング形状であるかに基づいて前記判定を実施することが好ましい。
【0011】
本発明の好適な実施形態によれば、前記検査装置は、前記検査装置は、略鉛直下方に向けて配置された第2カメラを更に備え、前記処理部は、前記第1カメラによって撮像された画像における容器の口部の位置のほか、前記第2カメラによって撮像された画像に基づいて得られる容器の口部の水平面内における位置に基づいて容器の高さを決定することが好ましい。
【0012】
本発明の好適な実施形態によれば、容器は、容器の最上端から順に第1凸面、第2凸面を有し、前記第1及び第2凸面は、容器の側方に凸をなす面であり、前記処理部は、前記第1カメラで撮像される容器の画像に前記リング形状の高輝度部と、前記リング形状の高輝度部の下方に位置するスポット形状の高輝度部とが含まれない場合に、当該容器が異常容器であると判定し、前記スポット形状の高輝度部は、前記第2凸面によって形成されることが好ましい。
【0013】
本発明の好適な実施形態によれば、前記検査装置は、上部が開口した函を搬送するコンベアによって搬送されてくる函に収容された複数の容器を検査するように構成されうる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、例えば、異種容器や不具合を有する容器などの異常容器をより高い精度で判別することができる検査装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0016】
図1及び図2は、本発明の好適な実施形態の検査装置の概略構成を示す図である。図3は、図1及び図2に示す検査装置における画像処理システムの概略構成を示すブロック図である。
【0017】
本発明の好適な実施形態の検査装置100は、容器12を検査する検査装置として構成される。検査装置100は、複数の容器(例えば、ビール瓶)12を収容した函10をガイド60によってガイドしながら搬送するコンベア50によって函10に収容された状態で搬送されてくる容器12を検査する。函10は、上部に開口を有し、該開口を通して函10の外部から容器12の少なくとも口部及びその周辺を観察することができる。
【0018】
容器12は、典型的には、函10に収容された状態で市場から回収されてくる。検査装置100で検査され、正常容器のみを収容していると判定された函10は、次工程の装置、例えば、アンケーサーに対して正常品搬送経路を通して搬送される。一方、検査装置100で検査され、少なくとも1つの異常容器を収容していると判定された函10は、例えば、目視による検査のために正常品搬送経路から排斥されうる。ここで、正常容器とは、異常が発見されなかった容器を意味し、異常容器とは、異常が発見された容器を意味する。異常とは、例えば、目的容器とは異なる容器、即ち異種容器であること、目的容器でるが不具合(例えば、口部に欠損を有すること、王冠が打栓されていること)を有する容器であることを意味する。
【0019】
検査装置100は、容器12を斜め上方から撮像する第1カメラ20と、第1カメラ20によって撮像された画像において認識される容器の口部の位置に基づいて容器12が正常容器であるか異常容器であるかを判定する処理部80とを備える。処理部80は、例えば、第1カメラ20によって撮像された画像において認識される容器の口部の位置に基づいて該容器の高さを決定しその高さに基づいて該容器が正常容器であるか異常容器であるかを判定することができるが、第1カメラ20によって撮像された画像において認識される容器の口部の位置に基づいて直接に該容器が正常容器であるか異常容器であるかを判定してもよい。後者の方法では、例えば、第1カメラ20によって撮像された画像において認識される容器の口部の位置が所定領域内に入っているか否かに応じて該容器が正常容器であるか異常容器であるかを判定することができる。
【0020】
処理部80は、異常容器が含まれる函10については、正常品搬送経路から排斥されるように、不図示の排斥装置に対して排斥命令を送信しうる。或いは、処理部80は、異常容器が含まれる函10が発見された際に警報を発し、及び/又は、コンベア50を停止させてもよい。
【0021】
第1カメラ20は、複数台設けられてもよい。例えば、2台の第1カメラ20を設ける場合には、互いに反対方向から函10内の容器12を視野内に収めるように、それらが配置されることが好ましい。これは、函10の上部によって複数の容器12の一部が第1カメラ20の視野から隠される場合に有効である。
【0022】
前述のように、処理部80は、第1カメラ20によって撮像された画像において認識される容器12の口部の位置に基づいて容器12の高さを決定しうる。図4〜図6を参照して第1カメラ20によって撮像された画像に基づいて容器12の口部の高さを決定する原理を説明する。なお、図5において、末尾に”i”を付した符号によって表示されたものは、画像22aの一部であって、”i”が付されていない符号によって表示された物体又はその一部の画像である。
【0023】
図4に容器12A、12B、12Cとして示すように、容器12の口部12aの高さに応じて、第1カメラ20の視野(画角)F内において、第1カメラ20の光軸AXに対する容器12の口部12aの位置も変化する。つまり、図5に示すように、容器12の口部12aの高さに応じて、第1カメラ20によって撮像された画像22aにおいて認識される容器の口部12aiの位置が変化する。更に具体的には、口部12aが光軸AX付近に位置する容器12Aの口部12aは、第1カメラ20によって撮像される画像22aにおいて略中央に位置する。口部12aが光軸AXよりも上側に位置する容器12Bの口部12aは、第1カメラ20によって撮像される画像22aにおいて上側に位置する。口部12aが光軸AXよりも下側に位置する容器12Cの口部12aは、第1カメラ20によって撮像される画像22aにおいて下側に位置する。
【0024】
以上より、第1カメラ20によって撮像された画像22aに基づいて容器12の口部12aの高さ(つまり、容器の高さ)を決定することができることが分かる。ここで、画像22a中における口部12aiの位置に基づく口部12aの高さの決定は、例えば、画像22a中における口部12aiの位置を口部12aの高さに変換する関数又は変換テーブルに基づいて行なうことができる。この関数又は変換テーブルは、例えば、検査装置の出荷時、設置時又はメンテナンス時にキャリブレーションによって生成してもよいし、幾何学に従って計算によって求めてもよい。
【0025】
画像22a中における容器の口部12aiの認識は、該口部12aiがリング形状の高輝度部を形成するように容器12を照明する照明部30を設けると容易である。この高輝度部は、画像22aを適切な閾値を使って2値化することによって抽出されうる。図6は、2値化によって抽出された口部12aiを模式的に示している。
【0026】
ところで、上記の方法は、容器12の口部12aの水平面内における位置が変化した場合に該口部12aの高さの決定結果に誤差を齎しうる。図7に示すように、容器12の口部12aの水平面内における位置がHだけ変化した場合、口部12aの高さの決定結果は、Aに相当する分だけ誤差を含むことになる。
【0027】
この誤差が許容レベルを超える場合には、第1カメラ20によって撮像された画像22aにおける容器の口部12aiの位置のほか、容器12の口部12aの水平面内における位置に基づいて容器12の高さを決定することが好ましい。具体的には、容器12の口部12aの水平面内における位置を検知する手段として、例えば、略鉛直下方に向けて配置された第2カメラ40を設けることが好ましい。処理部80は、第1カメラ20によって撮像された画像22aにおける容器の口部12aiの位置のほか、第2カメラ40によって撮像された画像に基づいて得られる容器の口部12aの水平面内における位置に基づいて、容器の高さを決定する。具体的には、容器12の高さ(容器の口部の高さ)は、第1カメラ20によって撮像された画像222aにおける容器の口部12aiの位置及び第2カメラ40によって撮像された画像に基づいて得られる容器の口部12aの水平面内における位置の関数として表現することができるので、この関数に従って容器12の高さ(容器の口部の高さ)を決定することができる。
【0028】
図8に示す係数マトリックスのように、第2カメラ40によって撮像された画像に基づいて得られる容器の口部12aの水平面内における位置を複数の領域R11〜R55に区分し、それらの領域ごとに、第1カメラ20によって撮像された画像22aにおける容器の口部12aiの位置を容器12の高さに変換するための係数を定めてもよい。例えば、容器の口部12aが領域R33の中に位置する場合には、領域R33に割り当てられた係数に従って第1カメラ20によって撮像された画像22aにおける容器の口部12aiの位置を容器12の高さに変換すればよい。
【0029】
処理部80は、容器12の高さ(容器の口部の高さ)のほか、容器12の口部が正常状態であるかどうかに基づいて、容器が正常容器であるか異常容器であるかを判定してもよい。処理部80は、容器の高さのほか、例えば、リング形状の高輝度部が図9(a)に例示するように欠損部を有しない完全なリング形状であるか、図9(b)に例示するように欠損部を有する不完全なリング形状であるかに基づいて、容器が正常容器であるか異常容器であるかを判定することができる。ここで、図9(b)に例示した不完全なリング形状は、例えば、容器12の口部12aが欠損部を有することを意味する。
【0030】
処理部80は、更に他の情報に基づいて、容器が正常容器であるか異常容器であるかを判定することもできる。例えば、容器12は、図10に示すように、容器12の最上端から順に第1凸面(リップ)12a、第2凸面12b(かぶら)を有しうる。ここで、第1凸面12a及び第2凸面12bは、容器12の側方に凸をなす面である。
【0031】
図11は、図10に示す容器12を第1カメラ20で撮像して2値化した画像を模式的に示している。この画像は、リング形状の高輝度部12aiと、該リング形状の高輝度部12aiの下方に位置するスポット形状の高輝度部12biとを含みうる。リング形状の高輝度部12aiは、第1凸面12aによって形成され、スポット形状の高輝度部12biは、第2凸面12bによって形成されうる。
【0032】
処理部80は、第1カメラ20で撮像される容器の画像にリング形状の高輝度部12aiとスポット形状の高輝度部12biとが含まれない場合に、当該容器が異常容器であると判定しうる。これにより、例えば、第2凸面12bを有しない容器が混入している場合に、その容器を異常容器として判定することができる。
【0033】
ここまでは、説明の簡単化のために、1本の容器12の口部及びその周辺の画像を挙げて説明したが、函10に複数の容器12が収容されている場合には、複数の容器12の口部が第1カメラ20によって撮像されることは言うまでもない。図12は、函10に収容された複数の容器12を第1カメラ20で撮像し、それらの容器の口部を抽出するために撮像画像を2値化した画像を模式的に示している。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の好適な実施形態の検査装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の好適な実施形態の検査装置の概略構成を示す図である。
【図3】図1及び図2に示す検査装置における画像処理システムの概略構成を示すブロック図である。
【図4】容器を斜め上方から撮像するカメラによって撮像された画像に基づいて容器の口部の高さを決定する原理を説明する図である。
【図5】容器を斜め上方から撮像するカメラによって撮像された画像に基づいて容器の口部の高さを決定する原理を説明する図である。
【図6】容器を斜め上方から撮像するカメラによって撮像された画像に基づいて容器の口部の高さを決定する原理を説明する図である。
【図7】容器を斜め上方から撮像するカメラによって撮像された画像に基づいて容器の口部の高さを決定する原理を説明する図である。
【図8】水平面内における容器の口部の位置を考慮して容器の高さを決定するための方法(係数マトリックス)を説明する図である。
【図9】口部に欠損部を有する異常容器を判別する方法を説明する図である。
【図10】容器の一例を示す図である。
【図11】図10に示す容器を斜め上方からカメラで撮像し2値化した画像を模式的に示す図である。
【図12】函に収容された複数の容器を斜め上方からカメラで撮像し、それらの容器の口部を抽出するために撮像画像を2値化した画像を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0035】
100 検査装置
10 函
12、12A、12B、12C 容器
12a 口部(第1凸面)
12ai 口部の画像
12b 第2凸面
20 第1カメラ
22a 第1カメラによって撮像された画像
30 照明部
40 第2カメラ
50 コンベア
60 ガイド
80 処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を検査する検査装置であって、
容器を斜め上方から撮像する第1カメラと、
前記第1カメラによって撮像された画像において認識される容器の口部の位置に基づいて該容器が正常容器であるか異常容器であるかを判定する処理部と、
を備えることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記第1カメラによって撮像された画像において認識される容器の口部の位置に基づいて該容器の高さを決定し、その高さに基づいて該容器が正常容器であるか異常容器であるかを判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記第1カメラによって撮像された画像において容器の口部がリング形状の高輝度部を形成するように容器を照明する照明部を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記高さのほか、前記リング形状の高輝度部が欠損部を有しない完全なリング形状であるか、欠損部を有する不完全なリング形状であるかに基づいて前記判定を実施することを特徴とする請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記検査装置は、略鉛直下方に向けて配置された第2カメラを更に備え、
前記処理部は、前記第1カメラによって撮像された画像における容器の口部の位置のほか、前記第2カメラによって撮像された画像に基づいて得られる容器の口部の水平面内における位置に基づいて、容器の高さを決定する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項6】
容器は、容器の最上端から順に第1凸面、第2凸面を有し、前記第1及び第2凸面は、容器の側方に凸をなす面であり、
前記処理部は、前記第1カメラで撮像される容器の画像に前記リング形状の高輝度部と、前記リング形状の高輝度部の下方に位置するスポット形状の高輝度部とが含まれない場合に、当該容器が異常容器であると判定し、
前記スポット形状の高輝度部は、前記第2凸面によって形成される、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の検査装置。
【請求項7】
上部が開口した函を搬送するコンベアによって搬送されてくる函に収容された複数の容器を検査するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−14413(P2009−14413A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174535(P2007−174535)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(399101463)オリオンビール株式会社 (6)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】