説明

検査装置

【課題】 低温槽と、低温槽内で被検査物を搬送するコンベアを備えている検査装置において、コンベアのチェーンに堆積した氷を効果的に除去することができる検査装置を提供すること。
【解決手段】 検査装置100は、低温槽6とコンベア2a、2bを備えている。コンベア2a、2bは、低温槽6内で回転駆動されるチェーン4a、4bを備えている。チェーン4a、4bは、環状となるように連結される複数のプレート部材を有している。隣接するプレート部材の端部同士は回転可能に連結されている。プレート部材の端部同士を連結する連結部には、氷掻き取り用のリブが設けられている。チェーンが回転駆動してチェーン軌道の曲率が変化すると、プレート部材間で相対回転が生じ、リブによって連結部に堆積している氷が掻き取られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温状態で被検査物を検査する検査装置に関する。特に、低温槽と、低温槽内で被検査物を搬送するコンベアを備えている検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置等の電子部品を検査する方法の一つとして、低温における電子部品の動作を検査する検査方法が知られている。この方法では、低温槽内に被検査物をコンベア等で搬送して被検査物の動作を検査する。
【0003】
コンベアは、モータ等によって回転駆動されるチェーンを備えている。チェーンは、通常、複数のプレート部材によって構成されている。複数のプレート部材は、端部同士を順に回転可能に連結し、最初のプレート部材の一端と最後のプレート部材の一端を回転可能に連結することで全体として環状に形成されている。チェーンには、通常、被検査物を載置する載置部(例えば、ベルト)が取付けられている。チェーンを回転駆動すると、載置部も回転駆動され、載置部上の被検査物が低温槽内で搬送される。低温槽内は通常0℃以下の雰囲気温度に設定されており、被検査物が低温槽内に搬入される際や低温槽内から搬出される際に低温槽内に外部雰囲気が流入するため、低温槽内で氷結が発生しやすい。コンベアのチェーンに氷結が発生すると、チェーンに堆積した氷によってチェーンの駆動ができなくなり、搬送不良の原因となる。特に、隣接するプレート部材を連結する連結部に氷が堆積すると、一方のプレート部材に対して他方のプレート部材が相対回転ができなくなる。これによって、チェーンの可撓性が失われ、チェーンの回転駆動が不能となる。
【0004】
なお、特許文献1には、コンベアベルトに堆積した氷を除去することができる搬送装置が開示されている。この技術によると、コンベアベルトに対向してスクレーバを設けることによって、コンベアベルトがスクレーバ近傍を通過するときにコンベアベルトに堆積している氷が除去される。
【0005】
【特許文献1】実開昭62−144823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術は、コンベアベルトの表面に堆積した氷を除去するものであって、コンベアベルトを駆動するチェーンに堆積した氷を除去するものではない。このため、特許文献1の技術によってはチェーンに堆積した氷による搬送不良を解決することはできない。
【0007】
上記の課題に鑑み、本発明は、低温槽と、低温槽内で被検査物を搬送するコンベアを備えている検査装置において、コンベアのチェーンに堆積した氷を除去することができる検査装置を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、低温槽とコンベアを備えている検査装置に関する。コンベアは、低温槽内で被検査物を搬送する。
本発明の検査装置では、コンベアが、低温槽内で回転駆動されるチェーンを備えている。チェーンは、環状となるように連結される複数のプレート部材を有している。隣接するプレート部材の端部同士は回転可能に連結されている。プレート部材の端部同士を連結する連結部には氷掻き取り用のリブが設けられている。
【0009】
本発明の検査装置によると、チェーンを回転駆動することによってコンベアが駆動され、被検査物が搬送される。チェーンは環状に形成されているため、チェーンの軌道上には、その曲率が変化する部分が存在する。チェーン軌道の曲率が変化すると、その部分において、隣接するプレート部材間で相対回転が生じる。隣接するプレート部材間で相対回転が生じると、連結部に設けられているリブによって連結部に堆積している氷が掻き取られる。隣接するプレート部材間で相対回転が生じる度に連結部の氷が掻き取られるため、チェーンに堆積した氷を効果的に除去することができる。
【0010】
本発明の検査装置では、氷掻き取り用のリブが、連結されている2つのプレート部材の対向する2つの面の少なくとも一方に複数形成されていることが好ましい。また、複数のリブが連結部の回転中心から外側に向かって伸びていることが好ましい。この構成によると、一方のプレート部材に対して他方のプレート部材が回転するときに、連結部の回転中心から外側に伸びるリブによって氷を効果的に掻き取ることができる。
【0011】
本発明の検査装置は、ヒータとセンサとヒータ制御装置を備えていることが好ましい。センサは、低温槽内に配置されるとともにその表面に形成される氷の厚みを検知することが好ましい。ヒータ制御装置は、センサで検知された氷の厚みに応じてヒータを制御することが好ましい。このセンサは、直列に接続されている複数のコンデンサを備えていることが好ましい。また、複数のコンデンサの電極板間の距離が各々異なっていることが好ましい。ヒータ制御装置は、電極板間の合成容量の変化に基づいてヒータを制御することが好ましい。
【0012】
低温槽内に発生した氷結を除去する方法として、ヒータでコンベア等に発生した氷結部を加熱することによって氷を溶解させる方法が挙げられる。しかし、ヒータを定常的にオンしていると、過大なエネルギーを消費してしまう。上記の構成によると、センサ内の複数のコンデンサの各々の電極板間に形成された氷の厚みに応じて複数のコンデンサの合成容量が変化する。この合成容量の変化に基づいてヒータが制御される。即ち、センサ内に形成された氷の厚みに応じてヒータが制御される。このため、ヒータを定常的にオンする必要を無くすことができ、省エネルギーを図ることができる。
【0013】
また、本発明は、低温槽内で被検査物を安定して搬送することができるコンベアを提供する。本発明のコンベアは、モータと、モータによって回転駆動されるチェーンと、チェーンに取付けられており、被検査物が載置される載置部とを備えている。チェーンは、環状となるように連結される複数のプレート部材を有している。隣接するプレート部材の端部同士は回転可能に連結されている。プレート部材の端部同士を連結する連結部に氷掻き取り用のリブが設けられている。この構成であっても、隣接するプレート部材間で相対回転が生じると、連結部に設けられているリブによって連結部に堆積している氷が掻き取られる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、低温槽と、低温槽内で被検査物を搬送するコンベアを備えている検査装置において、コンベアのチェーンに堆積した氷を効果的に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
下記に説明する実施例の好ましい特徴を列記する。
(第1特徴)検査装置が、電子部品の低温動作を検査するための装置である。
(第2特徴)複数のリブが、連結部の中心から外側に向かって螺旋状に伸びている。
(第3特徴)複数のリブが、スプロケットの回転方向と逆方向に伸びる螺旋状に形成されている。
【実施例】
【0016】
(第1実施例)
図1は、本発明の第1実施例に係る検査装置100の模式的な側面図を示す。検査装置100は、電子部品の低温動作を検査するための検査装置である。図1に示すように、検査装置100は、低温槽6と、コンベア2a、2bと、ヒータ12と、センサ8と、ヒータ制御装置10を備えている。
【0017】
低温槽6は、被検査物14である電子部品を検査するための部屋である。低温槽6には、被検査物14を搬入するための搬入口6bと、被検査物14を搬出するための搬出口6aが設けられている。低温槽6内は、図示しない冷却設備によって冷却され、雰囲気温度が0℃以下となるように構成されている。低温槽6内は、冷却エリア16と検査エリア18に区切られている。検査エリア18には、図示しない検査装置(測定装置、コンタクトピン等)が配設されている。搬入口6bから搬入された被検査物14は、冷却エリア16で冷却される。冷却された被検査物14は、検査エリア18で検査される。すなわち、まず、コンタクトピンを被検査物14に接触させることで、被検査物14と測定装置が電気的に接続される。次いで、被検査物14を電気的に駆動し、正常に動作するか否かが測定装置で測定される。検査された被検査物14は搬出口6aから搬出される。
【0018】
コンベア2bは、低温槽6の冷却エリア16内に配設されている。コンベア2bの始端は低温槽6の搬入口6bに位置し、コンベア2bの終端は冷却エリア16と検査エリア18の境界に位置している。搬入口6bから低温槽6内に搬入された被検査物14は、コンベア2b上に載置され、コンベア2bによって冷却エリア16内を搬送される。
【0019】
コンベア2aは、低温槽6の検査エリア18内に配設されている。コンベア2aの始端は、コンベア2bの終端に接続されている。コンベア2aの終端は、低温槽6外に位置している。コンベア2a上には、コンベア2bによって冷却エリア16内を搬送された被検査物14が載せられる。この被検査物14は、コンベア2bによって検査エリア16内を通って搬出口6aより低温槽6外に搬出される。
【0020】
ヒータ12は、冷却エリア16と検査エリア18に跨って、コンベア3a、3bの側面と対向する位置に配設されている。ヒータ12は、コンベア3a、3bを加熱する。ヒータ12は、ヒータ制御装置10に接続されている。ヒータ12のオン/オフは、ヒータ制御装置10によって制御される。
【0021】
センサ8は、低温槽6内に配設されている。センサ8は、その表面に形成される氷の厚みを検知するためのセンサである。センサ8は、ヒータ制御装置10に接続されている。センサ8で測定される周波数の値は、ヒータ制御装置10に入力される。センサ8の詳細な構造は、後で説明する。
【0022】
ヒータ制御装置10は、低温槽6内に配設されている。ヒータ制御装置10は、センサ8とヒータ12に接続されている。ヒータ制御装置10には、センサ8で測定された周波数の値が入力される。ヒータ制御装置10は、センサ8から出力される周波数の値に基づいてセンサ8の表面に形成された氷の厚みを判定し、氷の厚みが所定の厚み以上となるとヒータ12をオンし、氷の厚みが所定の厚み未満となるとヒータ12をオフする。なお、本実施例では、ヒータ制御装置10を低温槽6内に配設したが、ヒータ制御装置10を配設する位置は限定されない。ヒータ制御装置10を低温槽6外に配設してもよい。
【0023】
次に、コンベア2b,2aの構造を詳細に説明する。なお、コンベア2aの構成は、コンベア2bと同一であるため、ここでは、コンベア2bのみを説明する。
コンベア2bは、モータ(図示しない)と、スプロケット3c、3dと、チェーン4bと、ベルト(図示しない)を備えている。モータの出力軸には、図示しない伝達機構を介して駆動スプロケット3dが接続されている。駆動スプロケット3dはコンベア2bの始端に配されており、コンベア2bの終端には従動スプロケット3cが配されている。チェーン4bは、スプロケット3c、3dに取付けられている。チェーン4bには、被検査物14を載置するベルトが取付けられている。モータが回転すると、駆動スプロケット3dが反時計回り(図の矢印Bの方向)に回転する。駆動スプロケット3dが回転すると、チェーン4bが反時計回り(図の矢印Aの方向)に回転する。チェーン4bが反時計回りに回転すると、ベルトも反時計回りに回転し、ベルト上の被検査物14が低温槽6内で搬送される。
【0024】
ここで、チェーン4bの詳細な構造について説明する。チェーン4bは、複数のプレート部材を有している。複数のプレート部材は環状となるように連結されている。図2に、チェーン4bの一部4b1(図1参照)の上面を拡大した図を示す。図3に、チェーン4bの一部4b1の側面を拡大した図を示す。図2、図3に示すように、チェーン4bは、複数のプレート部材20a〜d・・,20h〜e・・と、連結ピン22a〜d・・を有している。
【0025】
プレート部材20bの一端(右端)は、連結ピン22bに回転可能に取付けられている。この連結ピン22bには、プレート部材20cの一端(左端)も回転可能に取付けられている。これによって、プレート部材20bは、プレート部材20cに対して回転可能に連結されている。同様に、プレート部材20c,20d・・が回転可能に連結され、これらプレート部材20a〜d・・が全体として環状に連結されている。また、プレート部材20h〜e・・も、プレート部材20a〜d・・と同様に回転可能に連結され、これらプレート部材20h〜e・・が全体として環状に連結されている。プレート部材20a〜d・・,20h〜e・・は、図示しない止め輪によって連結ピン22a〜d・・からの脱落が防止されている。なお、隣接する連結ピン(例えば、22a,22b)と、これら連結ピンに連結されたプレート部材(例えば、20b,20h)によって囲まれる空間(例えば、27a)には、スプロケット3c,3dの外周に形成された歯が噛み合うようになっている。
【0026】
図4に、隣接する2つのプレート部材20e、20fの上面を拡大した図を示す。図4に示すように、プレート部材20eの一方の端部(プレート部材20f側の端部)には、氷掻き取り部24が形成されている。この氷掻き取り部24は、プレート部材20eのプレート部材20fと対向する面に形成されている。プレート部材20fの一端(プレート部材20g側の端部)にも氷掻き取り部24が形成されている。同様に、全てのプレート部材20a〜d・・,20h〜e・・には、それぞれ1つの氷掻き取り部24が形成されている。即ち、隣接するプレート部材同士が連結された連結部には、それぞれ1つの氷掻き取り部24が形成されている。これら氷掻き取り部24の中心には、連結ピン22a〜d・・が貫通する貫通孔25(図5に図示)が形成されている。隣接するプレート部材は、連結ピン22a〜d・・回り(すなわち、氷掻き取り部24)回りに相対回転が可能となっている。
【0027】
図5に、氷掻き取り部24の側面を拡大した図を示す。図5に示すように、氷掻き取り部24には複数のリブ26が設けられている。複数のリブ26は、連結ピン22の回転中心23から外側に向かって反時計回りの方向に伸びる螺旋状に形成されている。氷掻き取り部24には貫通孔25が設けられている。この貫通孔25には、連結ピン22が回転可能に差し込まれている。なお、氷掻き取り部24(リブ26)は、プレート部材20と一体に製作してもよいし、プレート部材20と別体に製作した後にプレート部材20に固定してもよい。
【0028】
次に、センサ8の構造について詳細に説明する。図7に、センサ8の模式的な拡大図を示す。図7に示すように、センサ8は、直列に接続されている複数のコンデンサC1,C2,C3と、発信回路32と、周波数測定回路34を備えている。コンデンサC1は、電極板28aと電極板28bによって形成されている。コンデンサC2は、電極板28bと電極板28cによって形成されている。コンデンサC3は、電極板28cと電極板28dによって形成されている。複数のコンデンサC1,C2,C3は、発信回路32と直列に接続されている。発信回路32は、複数のコンデンサC1,C2,C3の両端に所定の周波数の正弦波信号を印加する。周波数測定回路34は、複数のコンデンサC1,C2,C3の両端に並列に接続されている。周波数測定回路34は、複数のコンデンサC1,C2,C3の合成容量に基づいて変化する周波数を測定する。図面中、参照符号30は電極板28a、28b、28c、28dに堆積している氷を示す。電極板28a〜28dの間の距離は、距離が狭い箇所から順にW1、W2、W3となっている。電極板28a〜28dの面積は各々異なっている。このため、複数のコンデンサC1,C2,C3の各々は静電容量が異なっている。
【0029】
このセンサ8では、コンデンサC1の電極板間に形成されている氷30の厚みが距離W1に達する前は、コンデンサC1〜C3の各々の電極板の間に電荷が蓄えられている。
電極板28aと電極板28bの間に形成されている氷30の厚みが増して距離W1に達すると、コンデンサC1の電極板間が短絡する。その結果、コンデンサC1〜C3の合成容量が変化する。
さらに、コンデンサC2の電極板間に形成されている氷30の厚みが増して距離W2に達すると、コンデンサC2の電極板間が短絡して、コンデンサC1〜C3の合成容量がさらに変化する。
さらに、コンデンサC3の電極板間に形成されている氷30の厚みが増して距離W3に達すると、コンデンサC3の電極板間が短絡して、コンデンサC1〜C3の合成容量がさらに変化する。
【0030】
上述した検査装置100によると、チェーン4a、4bを図示A方向に回転駆動することによってコンベア2a、2bが駆動され、被検査物14が低温槽6内で搬送される。チェーン4bは、スプロケット3d〜3c間ではチェーン4bの軌道が直線なので、隣接するプレート部材20同士の間で相対回転が生じない。このため、この間をプレート部材20が移動する間に、そのプレート部材20の連結部に氷が堆積しやすい。チェーン4bが、スプロケット3c,3dに噛み合い始めてから噛み合いが完全に完了するまでの間は、プレート部材同士が相対回転する。すなわち、先行するプレート部材が後行するプレート部材に対して反時計回りに回転する(図6(a)の状態)。チェーン4bが、スプロケット3c,3dとの噛み合いが解かれ始めてから噛み合いが完全に解かれるまでの間は、プレート部材同士が相対回転する。すなわち、先行するプレート部材が後行するプレート部材に対して時計回りに回転する(図6(b)の状態)。隣接するプレート部材同士で相対回転が生じると、リブ26によって隣接するプレート部材の連結部に堆積している氷が効果的に掻き取られる。
同様にチェーン4aにおいても、チェーン4aがスプロケット3a,3bと噛み合い始める際、及び、スプロケット3a,3bとの噛み合いが解かれる際に、プレート部材同士が相対回転する。これによって、チェーン4aに堆積している氷が掻き取られる。
【0031】
また、検査装置100では、複数のコンデンサC1,C2,C3の合成容量が変化すると、周波数測定回路34で測定される周波数の値が変化する。ヒータ制御装置10では、センサ8の周波数測定回路34で測定された周波数の変化に基づいて、ヒータ12を制御する。即ち、センサ8内に形成された氷の厚みに応じてヒータ12が制御される。このため、ヒータ12を定常的にオンする必要を無くすことができ、省エネルギーを図ることができる。
【0032】
チェーン4a、4bに堆積した氷によってチェーン4a、4bの可撓性が失われると、チェーン4a、4bの回転駆動速度が減少し、検査槽6内で被検査物14が搬送される時間が長くなる。このため、被検査物14である電子部品の表面に氷結が発生しやすい。電子部品の表面に氷結が発生すると、検査エリア18で被検査物14の検査が行われるときに、コンタクトピンと電子部品との間で接触不良が生じやすい。検査装置100によると、チェーン4a、4bに堆積している氷を除去することによって、チェーン4a、4bの回転駆動速度が減少することを防止することができ、被検査物14となる電子部品の表面に氷結が発生するのを防止することができる。このため、コンタクトピンと電子部品との接触性を確保することができる。これによって、電子部品の低温動作検査をより確実に行うことができる。
【0033】
また、検査装置100では、チェーン4a,4bの軌道が直線上の位置では、プレート部材の連結部から氷が掻き取られず、チェーン4a,4bに氷が堆積しやすい。このため、チェーン4a,4bが、直線軌道からスプロケット3c,3dに噛み合い始め、その噛み合いが完了するまでの間(図6(a)の状態)は、プレート部材の連結部から多くの氷が掻き取られる。検査装置100では、複数のリブ26が、スプロケット3c,3dの回転方向と逆方向にシフトする螺旋状に形成されているので、スプロケット3c,3dに噛み合い始めてから噛み合いが完了するまでの間は、氷が掻き取られる方向に向かってリブ26が螺旋状に伸びる形状となっている。このため、より効果的に氷を掻き取ることができる。
【0034】
上記の実施例では、リブ26の形状が螺旋状になっているが、リブ26の形状は限定されない。例えば、隣接プレート部材の連結部の回転中心24aから外側に向かって放射状に伸びていてもよいし、楔形状に伸びていてもよい。この場合であっても、隣接するプレート部材間で相対回転が生じる度に、リブ26によって連結部に堆積した氷が掻き取られる。
【0035】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施例である検査装置100の模式的な側面図を示す。
【図2】検査装置100のチェーンの一部の上面を拡大した図を示す。
【図3】検査装置100のチェーンの一部の側面を拡大した図を示す。
【図4】隣接する2つのプレート部材の上面を拡大図した図を示す。
【図5】連結部の側面を拡大した図を示す。
【図6】プレート部材の一部が、スプロケットの一部に接触したときの側面を拡大した図を示す。
【図7】センサの拡大図を示す。
【符号の説明】
【0037】
2:コンベア
3a〜3d:スプロケット
4a、4b:チェーン
4b1:チェーンの一部
6:低温槽
6a:搬出口
6b:搬入口
8:センサ
10:ヒータ制御装置
12:ヒータ
14:被検査物
16:冷却エリア
18:検査エリア
20a〜20h:プレート部材
22:連結ピン
23:回転中心
24:氷掻き取り部
25:貫通孔
26:リブ
28a〜28d:電極板
30:氷
32:発信回路
34:周波数測定回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温槽と、その低温槽内で被検査物を搬送するコンベアと、を備えている検査装置であり、
コンベアは、低温槽内で回転駆動されるチェーンを備えており、
そのチェーンは、環状となるように連結される複数のプレート部材を有しており、隣接するプレート部材の端部同士は回転可能に連結されており、
プレート部材の端部同士を連結する連結部に氷掻き取り用のリブが設けられていることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記リブは、連結されている2つのプレート部材の対向する2つの面の少なくとも一方に複数形成されており、それら複数のリブが連結部の回転中心から外側に向かって伸びていることを特徴とする請求項1の検査装置。
【請求項3】
ヒータと、低温槽内に配置されるとともにその表面に形成される氷の厚みを検知するセンサと、そのセンサで検知された氷の厚みに応じてヒータを制御するヒータ制御装置をさらに備えており、
そのセンサは、直列に接続されている複数のコンデンサを備えており、その複数のコンデンサの電極板間の距離が各々異なっており、
前記ヒータ制御装置は、前記複数のコンデンサの合成容量の変化に基づいて前記ヒータを制御することを特徴とする請求項1又は2の検査装置。
【請求項4】
低温槽内で被検査物を搬送するコンベアであり、
モータと、
モータによって回転駆動されるチェーンと、
チェーンに取付けられており、被検査物が載置される載置部と、を備えており、
前記チェーンは、環状となるように連結される複数のプレート部材を有しており、隣接するプレート部材の端部同士は回転可能に連結されており、
プレート部材の端部同士を連結する連結部に氷掻き取り用のリブが設けられていることを特徴とするコンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−76892(P2010−76892A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247366(P2008−247366)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】