説明

検査装置

【課題】積み重なったシートの紙頭(前縁)の位置がすべて揃っているか否かを正確かつ自動的に検出する検査装置を提供することを目的としたものである。
【解決手段】本発明に係る検査装置200は、積み重なったシートSの側面を撮像する電子式カメラ210と、電子式カメラ210により形成された画像における各画素の階調とこれに隣接する画素の階調との差に基づいて、シートの連続性を検出する画像処理装置220と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積み重なったシートの紙頭の突き揃いを検査する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来技術に係るカッター機械の構成の一例を示す模式図である。連続的に繋がった紙等のシートS1が、2つの回転するローラ11、12を有するリードインリール10によって、スリッター20に導かれる。シートS1は、スリッター20の回転する上刃21及び下刃22によって、その幅が所定の幅となるように連続的にカットされる。スリッターを通過したシートS1は、フィードロール30の回転する2つのローラ31、32の各外周面の間に挟まれることによって、下流側に引っ張られ、回転するドラム41、42を有するロータリーナイフ40に向かって搬送される。ドラム41、42のそれぞれの外周面に取り付けられた刃43、44が一定時間間隔ごとにシートS1を圧接することによって、シートS1は、所定の長さにカットされる。所定の長さにカットされたシートS2は、コンベヤ50の上の載置され下流側に搬送される。シートS2は、コンベヤ50との接触から離れた後、コンベヤ50の下流側下方に位置するレイボーイ60に向かって移動・落下し、その紙頭(前縁)aがレイボーイ60の停止壁61に当接して突き揃えられる。これにより、レイボーイ60には、所定の幅及び所定の長さを有する多数のシートS2が積み重なった状態で集積される。
【0003】
このように積み重なった多数のシートS2は、この後、印刷や断裁等の次の工程(図示しない)に供される。例えば、積み重なった状態のシートS2全体に対して、その紙尾(後縁)b側がギロチンによって断裁されたり、或いは、その紙頭aの位置を基準にして決められた所定の位置に印刷が施される。したがって、次の工程の前に、積み重なったシートS2の紙頭aの位置がすべて揃っているか否かを、正確かつ自動的に検査する必要がある。
【0004】
このような検査を行う手法として、図2に示すものが知られている。図2は、従来技術に係る検査手法を示す模式図である。図2に示すように、1組の透過型光電センサ71、72が、集積された多数のシートS2の紙尾b付近において互いに対向するように配置される。センサ71、72が規定寸法以上に飛び出したシートS2'の紙尾b'を検出することによって、紙頭a'の位置が揃っていないシートS2'の存在が、間接的に検出(推定)される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術に係る検査手法では、光電センサの感知精度に限界があることに加えて、集積される多数のシート間において寸法のバラツキが存在することもあるため、5mm程度以下の紙頭のずれを検出することは困難である。
また、この検査手法では、光電センサによってシートの紙頭を直接的に観測しているのではなく、光電センサによってシートの紙尾を観測することによって、シートの紙頭のずれの有無を間接的に推定しているに過ぎない。よって、例えば、或るシートの紙頭から紙尾に至るまでの距離が、他のシートのそれよりも大きい場合(すなわち、シート間の寸法にバラツキが生じている場合)には、たとえそのシートの紙頭の位置が他のシートの紙頭の位置と揃っていたとしても、そのシートの紙尾が飛び出してしまうため、そのシートの紙頭が揃っていない、と推定されることになる。
このように、上述した従来技術に係る検査手法には、積み重なったシートの紙頭の位置がすべて揃っているか否かを正確に検出することができない、という問題がある。
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであって、積み重なったシートの紙頭(前縁)の位置がすべて揃っているか否かを正確かつ自動的に検出する検査装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る検査装置は、積み重なったシートの側面を撮像する撮像手段と、該撮像手段により形成された画像における各画素の階調と該画素に隣接する隣接画素の階調との差に基づいて、シートの連続性を検出する検出手段と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シートの後縁から前縁に向かう水平方向(さらに必要に応じてシートの積み重なった鉛直方向に沿って)シートの連続性を検出することによって、シートの紙頭(前縁)の位置を検出することができる。これにより、積み重なったシートの中に紙頭の位置が突き揃い面からずれたシートが含まれているか否かを正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、従来技術に係るカッター機械の構成の一例を示す模式図である。
【図2】図2は、従来技術に係る検査手法を示す模式図である。
【図3】図3(a)は、シートSの前端部Cを撮像することにより得られた画像の一例を示す図である。図3(b)は、図3(a)に示したシートSにおける紙頭(前縁)a付近の領域Aを拡大して示す図である。
【図4】図4は、紙頭付近における画素の階調の変化に基づいて紙頭の位置を検出する具体的な手法を示す概念図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態に係る検査装置を用いた検査システムの具体例を示す模式図である。
【図6】図6は、シートSの側面の前端部分101における或る部分を拡大して撮像することによって得られた画像(紙頭のずれがない場合)の例を示す模式図である。
【図7】図7は、シートSの側面の前端部分101における或る部分を拡大して撮像することによって得られた画像(紙頭のずれがある場合)の例を示す模式図である。
【図8】図8は、シートSの側面の前端部分101における或る部分を拡大して撮像することによって得られた画像(紙頭のずれがある場合)の例を示す模式図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態に係る検査装置に含まれる画像処理装置により実行される水平方向に沿った検出手法の概念を示す模式図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態に係る検査装置に含まれる画像処理装置により実行される鉛直方向に沿った検出手法の概念を示す模式図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態に係る検査装置に含まれる画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.本発明の概要について
図3(a)は、シートSの前端部Cを撮像することにより得られた画像の一例を示す図である。図3(b)は、図3(a)に示したシートSにおける紙頭(前縁)a付近の領域Aを拡大して示す図である。
図3(b)における領域Bに示すように、シートSに対応する画素は高い階調(白色)を有し、シートS以外の領域に対応する画素は低い階調(黒色)を有し、シートSに対応する画素からシート以外の領域に対応する画素に向かう方向に沿って、画素の階調が減少していることが分かる。よって、シートSの紙頭a付近における画素の階調の変化に基づいて、紙頭aの位置を検出することができる。
【0010】
図4は、紙頭付近における画素の階調の変化に基づいて紙頭の位置を検出する具体的な手法を示す概念図である。
縦方向に1画素、横方向に10画素を有する画素群80は、図3(b)に示した領域Bに対応する。折れ線90は、各画素の階調を連続的に繋ぐことにより得られた線である。折れ線91は、隣接する画素同士の間における階調の差(微分値)を連続的に繋ぐことにより得られた線である。
【0011】
まず、検出方向として検出方向X(すなわち、シートS以外の領域からシートSに向かう方向)を用いた場合について説明する。シートSの紙頭(前縁)に対応する画素の階調とシートS以外の領域に対応する画素との間の微分値がそれ以外の画素間の微分値より大きくなるので、大きな微分値が存在する位置を検出することにより、シートSの紙頭の位置を検出することができる。
大きな微分値が存在する位置を検出するために、検出方向Xに沿って各微分値をしきい値と比較する。しきい値92(その値が30に設定されている)を用いた場合には、画素80aと画素80bとの間における微分値(その値は40)がしきい値92より大きいので、画素80bがシートSの紙頭を表示するものであり、画素80aがシートS以外の領域を表示するものであることが検出される。しきい値93(その値が50に設定されている)を用いた場合には、画素80bと画素80cとの間における微分値(その値が50に設定されている)を用いた場合には、画素80bと画素80cとの間における微分値(その値は60)がしきい値93より大きいので、画素80cがシートSの紙頭を表示するものであり、画素80bがシートS以外の領域を表示するものであることが検出される。
【0012】
次に、検出方向として検出方向Y(すなわち、シートSからシートS以外の領域に向かう方向)を場合には、画素80cと画素80bとの間における微分値(その値は60)がしきい値92及びしきい値93のいずれよりも大きいので、画像80cがシートSの紙頭を表示するものであり、画像80bがシートS以外の領域を表示するものであることが検出される。
【0013】
2.本発明に係る実施の形態について
次に、上述した本発明の技術的概念を具体的に実現した実施の形態について説明する。
図5は、本発明の実施の形態に係る検査装置を用いた検査システムの具体例を示す模式図である。検査システム100は、積み重なった多数のシートSと、シートSに対してその側面から照射するライト110と、多数のシートSの側面を撮像する電子式カメラ210及び電子式カメラ210により形成された画像を処理する画像処理装置220を含む検査装置200と、を含む。
【0014】
積み重なった多数のシートSの最上部には、特に紙頭a付近において、重り300が載置されている。シートSの上に重り300が載置されるのは、電子式カメラ210により形成された画像において、シートSの撓みによってシートS間に影が生ずることを抑えるためである。
【0015】
電子式カメラ210は、シートSの側面のうち前端部分101を撮像するために、この前端部分101に対向する位置に配置される。本実施の形態では、電子式カメラ210は、シートSの側面の前端部分101全体を1度で撮像するのではなく、この前端部分101を鉛直方向に沿って複数の部分に分割し、これら複数の部分を順次拡大して撮像する。これにより、得られる画像の分解能を向上させることができる。このような撮像を実現するために、電子式カメラ210を鉛直方向に沿って昇降させる機構(図示せず)を用いることもできるし、電子式カメラ210を固定し、積み重なったシートS自体を鉛直方向に沿って昇降させる機構(図示せず)を用いることもできる。或いはまた、必要な数の電子式カメラ210を鉛直方向に沿って順次配置する構成を採用することもできる。
【0016】
図6及び図7は、シートSの側面の前端部分101における或る部分を拡大して撮像することによって得られた画像の例を示す模式図である。図6に示す画像では、すべてのシートSの紙頭(前縁)aが突き揃い面102に沿って整列している。なお、突き揃い面102の前方には、シートS以外の領域Gが存在する。図7に示す画像では、シートS12の紙頭a12が突き揃い面102からずれた位置にあるため、シートS12の紙頭a12の前方に形成された隙間が三角形の影となって表示される。電子式カメラ210によって撮像されたこのような画像が、接続ライン215を介して画像処理装置220に送信される。
【0017】
画像処理装置220は、電子式カメラ210により形成された画像において、各画素の階調とこの画素に隣接する画素の階調との差に基づいて、シートSの連続性を検出する。図8に示す画像800を例にとると、画像処理装置220は、まず、この画像を構成するすべての画素(ここでは、便宜上、M行×N列の画素)について、その階調を算出して記憶する。次に、画像処理装置220は、画像800における第x行(1≦x≦M)について、第1列目の画素から第N列目の画素に向かう水平方向に沿って、隣接する画素同士の間における階調の差(微分値)を算出しつつ、算出した微分値をしきい値と比較する。この結果、図9に示すように、シートS12の紙頭a12を表示する鉛直方向に連続的に繋がる複数の画素P1〜P10を例にとると、画素P1の階調とこれに水平方向に隣接する水平隣接画素Q1の階調との差(微分値)は、しきい値を超えることになる。同様に、残りの画素P2〜P10の各々についても、この画素の階調と水平方向に隣接する対応する水平隣接画素Q2〜Q10の階調との差(微分値)が、しきい値を超えることになる。よって、画像処理装置200は、複数の画素P1〜P10がシートの紙頭を表示する画素であることを検出する。
【0018】
また、図9に示した画像において、画素Q1〜Q10がシートS12以外の領域ではなくシートS12に付着したゴミや汚れ等を表示するものであった場合であっても、画像処理装置220は、画素P1〜P10がシートS12の紙頭a12を表示する画素であると検出する可能性がある。
画素P1〜P10が実際にシートS12の紙頭a12を表示する画素であるならば、画素P1に水平方向に連続的に繋がる複数の画素Q1、R1及びS1のすべてが、シートS12以外の領域を表示する画素となるはずである。よって、好ましい実施の形態では、画像処理装置220は、対象とされている画素(例えば画素P1)に対して水平方向に連続的に繋がった「第1所定数」の水平隣接画素(例えば3つの水平隣接画素Q1、R1及びS1)から構成される水平対象画素について、隣接する水平対象画素同士の間における階調の差(すなわち、画素Q1の階調と画素R1の階調との差、及び、画素R1の階調と画素S1の階調との差)がすべてしきい値以下である場合にのみ、これら水平隣接画素Q1、R1及びS1がシートS12以外の領域を表示する画素であることを決定する。このような手法によれば、画素Q1〜Q10がシートS12に付着したゴミや汚れ等を表示し、画素R1〜R10及び画素S1〜S10がシートS12を表示するものであった場合、画素Q1(ゴミ等)の階調と画素R1(シート)の階調との差はしきい値を超えるので、画像処理装置220は、画素P1〜P10がシートの紙頭を表示する画素であると誤って検出することがなくなる。
【0019】
画像処理装置220は、上述したように画像において水平方向に沿ってシートの連続性を検出する手法のみを用いた場合であっても、シートの紙頭を表示する画素を充分に検出することができる。ところが、図10に示すように、撮像された画像においてシート間に水平方向に延びる影SH1が存在する場合には、水平方向に連続的に繋がる複数の画素(U9、V9、W9、・・・、C9、D9、E9、及び、U10、V10、W10、・・・、C10、D10、E10)がこの影SH1を表示することになる。このとき、影SH1の後縁SH1bの直前にあるシート部分を表示する画素T9(画素T10)の階調と、影SH1の後縁SH1bを表示する画素U9(画素U10)の階調との間の差が、しきい値を超える。また、画素T10の階調とこれに隣接する画素の階調との差もまたしきい値を超える。よって、画像処理装置220は、影SH1の後縁SH1bの直前にあるシート部分を表示する画素T9、T10が、シートの紙頭を表示する画素であると誤って決定してしまう可能性がある(なお、図10では、影SH1を表示する画素の番号を明確に示すために、影SH1は、白く表示されているが、実際には黒く表示される)。
【0020】
そこで、好ましい実施の形態では、画像処理装置220は、水平方向に沿ってシートの連続性を検出する手法に加えて、鉛直方向に沿ってシートの連続性を検出する手法をも利用することができる。具体的には、画像処理装置220は、画素T9、T10が、シートの紙頭を表示する画素であると判断した後、さらに、以下の処理を行う。まず、画像処理装置220は、画素T9に対して水平方向に隣接する画素U9を水平隣接画素と捉え、この水平隣接画素U9に対して鉛直方向に連続的に繋がった「第2所定数」(例えば3つ)の画素U10、J1及びJ2を鉛直隣接画素と捉える。さらに、画像処理装置220は、水平隣接画素U9と鉛直隣接画素U10、J1及びJ2とから構成される鉛直対象画素について、隣接する鉛直対象画素同士の間における階調の差(すなわち、画素U9、U10間における階調の差、画素U10、J1間における階調の差、及び、画素J1、J2間における階調の差)がすべてしきい値以下である場合にのみ、画素T9がシートの紙頭を表示する画素であると最終的に決定する。
【0021】
この手法によれば、画像に影SH1が存在していても、鉛直対象画素U9、U10間における階調の差はしきい値以下となるが、鉛直対象画素U10、J1間における階調の差はしきい値を超えるため、最終的には、画素T9はシートの紙頭を表示する画素とは判断されない。
第2所定数に関して、鉛直対象画素の鉛直方向における全体的な長さが各シート間に生ずる影の鉛直方向における長さより大きくなるように、第2所定数を設定することができる。このように第2設定数を設定すれば、各シート間に生ずる影の直前に位置する画素がシートの紙頭を表示する画素である、と誤って検出される事態を防止することができる。
【0022】
再度、図8に戻ると、上述した様々な実施の形態のいずれを用いたとしても、シートS12の紙頭a12を表現する画素(これらの画素は、鉛直方向に沿って連続的に繋がっている)を、確実に検出することができる。なお、これらの紙頭を表現するものとして検出された画素の各々の座標に基づいて、シートS12の紙頭の位置が突き揃い面102からどれだけ(例えば何mm)ずれているのかを割り出すこともできる。
【0023】
次に、画像処理装置220の具体的な構成例について、図11を参照して説明する。図11は、本発明の実施の形態に係る検査装置に含まれる画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【0024】
通信処理部201は、電子式カメラ200との間で有線又は無線通信を行い、電子式カメラ200により撮像及び形成された画像に関する情報を受信する。
記憶部202は、画像に関する情報を通信処理部201から受信して記憶する。また、記憶部202は、各部における処理結果等を含む様々な情報を記憶する。
階調算出部203は、記憶部202に記憶された画像に関する情報を受信し、この画像における各画素の階調を算出する。さらに、階調算出部203は、算出した階調に関する情報を記憶部202に記憶させる。
【0025】
水平方向検査部204は、記憶部202から画像に関する情報及びこの画像における各画素に関する情報を受け取り、水平方向に隣接する画素間における階調の差(微分値)を算出する。すなわち、水平方向検査部204は、(画像がM行×N列の画素により構成されていると考える)画像における第x行(1≦x≦M)について、第1列目の画素から第N列目の画素に向かう水平方向に沿って、水平方向に隣接する画素同士の間における階調の差(微分値)を算出する。水平方向検査部204は、算出した水平方向における微分値に関する情報を記憶部202に記憶させる。
【0026】
鉛直方向検査部205は、記憶部202から画像に関する情報及びこの画像における各画素に関する情報を受け取り、鉛直方向に隣接する画素間における階調の差(微分値)を算出する。すなわち、鉛直方向検査部205は、(画像がM行×N列の画素により構成されていると考える)画像における第y列(1≦x≦N)について、第1行目の画素から第M行目の画素に向かう鉛直方向に沿って、鉛直方向に隣接する画素同士の間における階調の差(微分値)を算出する。鉛直方向検査部205は、算出した鉛直方向における微分値に関する情報を記憶部202に記憶させる。
【0027】
検出部206は、記憶部202から、画像に関する情報、及び、この画像の水平方向における微分値(必要に応じてこの画像の鉛直方向における微分値)を受け取り、上述した手法に従って、画像において、いずれの画素がシートの紙頭を表示し、いずれの画素がシートの領域を表示し、いずれの画素がシート以外の領域を表示するものであるか等を検出する。
制御部207は、図示しないラインを介して各部の動作を制御する。
【0028】
なお、通信処理部201は、記憶部202に記憶された画像に関する情報を外部モニタ等に送信することもできる。これにより、操作者は、電子式カメラ210に撮像及び形成され、画像処理装置202に記憶され処理される画像を外部モニタ等によりチェックすることができる。
【0029】
また、画像処理装置220は、記憶部202に記憶された画像に対して様々な表示を合成する画像合成部208を付加的に含むこともできる。
画像合成部208は、例えば、図8に示すように、シートS12の紙頭a12を表示する画素として判断された鉛直方向に連続的に繋がる画素を縦断するエッジライン801を、この画像に合成することができる。同様に、図8に示すように、鉛直方向に隣接する2つの画素(上画素及び下画素)間における階調の差がしきい値を超えた場合であって、このような上画が水平方向に連続的に繋がる場合には、これら水平方向に連続的に繋がる画素を横断するエッジライン802を、この画像に合成することもできる。このように合成された画像は、記憶部202に記憶され、さらに通信処理部201によって外部モニタ等に送信される。
【0030】
このように、本発明の実施の形態によれば、シートの後縁から前縁に向かう水平方向(さらに必要に応じてシートの積み重なった鉛直方向に沿って)シートの連続性を検出することによって、シートの紙頭(前縁)の位置を検出することができる。これにより、積み重なったシートの中に紙頭の位置が突き揃い面からずれたシートが含まれているか否かを正確に検出することができる。
さらに、電子式カメラによる拡大倍率を増加させることによって、得られる画像の分解能を増加させることができるので、光電センサを用いた手法では不可能であった5mm程度の紙頭のすれだけでなく、必要に応じてさらに微小な紙頭のずれをも検出することが可能である。
さらにまた、シートの紙頭に向かってシートの連続性を検出する、すなわち、実際にシートの紙頭を観測するので、積み重なったシートの間に寸法のバラツキが生じているか否かに関係なく、紙頭の位置が突き揃い面からずれたシートが含まれているか否かをより確実に検出することができる。
【0031】
なお、上記実施の形態では、シートの側面を鉛直方向に沿って複数の部分に分割して撮像するために、電子式カメラ210を鉛直方向に沿って昇降させる構成、電子式カメラ210を固定し、シート自体を鉛直方向に沿って昇降させる構成、及び、複数の電子式カメラ210を鉛直方向に沿って配置する構成を採用した。
これに加えて、シートの側面を水平方向に沿って複数の部分に分割して撮像するために、電子式カメラ210を水平方向に沿って移動させる構成、電子式カメラ210を固定し、シート自体を水平方向に沿って移動させる構成、及び、複数の電子式カメラ210を水平方向に沿って配置する構成を用いることもできる。このような構成によれば、シートの紙頭が他のシートの紙頭の突き揃い面から大きくずれている場合であっても、これらのシートの中に紙頭の位置がずれたシートが存在することを確実に検出することができる。
【符号の説明】
【0032】
S シート
a シートの紙頭
100 検査システム
101 シートの側面の前端部
102 突き揃い面
200 検査装置
201 通信処理部
202 記憶部
203 階調算出部
204 水平方向検査部
205 鉛直方向検査部
206 検出部
208 画像合成部
210 電子式カメラ
220 画像処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積み重なったシートの側面を撮像する撮像手段と、
該撮像手段により形成された画像における各画素の階調と該画素に隣接する隣接画素の階調との差に基づいて、シートの連続性を検出する検出手段と、
を具備することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記検出手段は、
前記シートの後縁から前縁に向かう水平方向に沿って各画素の階調と該画素に対して該水平方向に隣接する水平隣接画素の階調との差を検出する第1検出手段を含み、
或る画素の階調と該画素に対して前記水平方向に隣接する水平隣接画素の階調との差がしきい値を超えた場合に、前記或る画素が前記シートの前縁を表示する画素であり、前記水平隣接画素が前記シート以外の領域を表示する画素であることを決定する、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記或る画素に対して前記水平方向に連続的に繋がった第1所定数の水平隣接画素から構成される水平対象画素について、隣接する水平対象画素同士の間における階調の差がすべてしきい値以下である場合にのみ、前記或る画素が前記シートの前縁を表示する画素であり、前記水平隣接画素が前記シート以外の領域を表示する画素であることを決定する、請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記検出手段は、
前記シートが積み重なった鉛直方向に沿って各画素の階調と該画素に対して該鉛直方向に隣接する鉛直隣接画素の階調との差を検出する第2検出手段を含み、
前記水平隣接画素と該水平隣接画素に対して前記鉛直方向に連続的に繋がった第2所定数の鉛直隣接画素とから構成される鉛直対象画素について、隣接する鉛直対象画素同士の間における階調の差がすべてしきい値以下である場合にのみ、前記或る画素が前記シートの前縁を表示する画素であり、前記水平隣接画素が前記シート以外の領域を表示する画素であることを決定する、請求項2又は請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記検出手段は、前記鉛直対象画素の前記鉛直方向における全体的な長さが各シートの間に生ずる影の前記鉛直方向における長さより大きくなるように、前記第2所定数を設定する、請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
前記撮像手段は、前記積み重なったシートの側面を鉛直方向に沿って複数に分割して撮像する、請求項1から請求項5のいずれかに記載の検査装置。
【請求項7】
前記撮像手段は、前記積み重なったシートの側面を水平方向に沿って複数に分割して撮像する、請求項1から請求項6のいずれかに記載の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−174777(P2011−174777A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38190(P2010−38190)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000244028)明産株式会社 (9)
【Fターム(参考)】