説明

検知システム

【課題】検知システムにおいて、障害物等によって検知エリア内に死角が生じる場合であっても、検知領域を広げて1つのセンサで所望する領域内における動体を検知する。
【解決手段】本システム1は、センサ付照明器具2と、センサ付照明器具2から投射される送信波を反射する反射板3とを備える。センサ付照明器具2は、光源21と、送信波の対象物からの返信波により動体を検知するセンサ22と、センサ22による検知信号に基づき光源21の点灯制御を行う制御部23とを備える。光源21は、通路41略中央の天井部分に設置され、通路41全体を照明する。センサ22は通路41突き当りの壁面41cに設置され、送信波を通路41に沿って通路42の外方壁面42aに向けて投射する。反射板3は、曲がり角に設置され、センサ22からの送信波を通路42に沿って反射する。さらに反射板3は、通路42にいる人10からの返信波をセンサ22に向かって反射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、領域内の動体を検知する検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、領域内の動体を検知する装置として、検知エリアに入る人を検知したときに光源を自動的に点灯させるセンサ付照明器具が知られている。このようなセンサ付照明器具には、主として検知エリア内における温度変化によって動体を検知するPIR(Passive Infrared Ray)センサが取り付けられている。
【0003】
しかしながら、センサ付照明器具を設置する環境によっては、障害物等によってセンサの検知エリア内に死角が生じる場合があり、1つのセンサでは所望する領域内において、温度変化を感知できず、動体を検知できないことがある。また、領域内の動体を検知する装置として、送信波の対象物からの返信波により動体を検知するアクティブ型のセンサを備えた装置がある(例えば、特許文献1乃至4参照)。しかしながら、これらの技術においても、センサの検知エリア内に死角が生じる環境における上記の問題を解消することができない。
【特許文献1】特開2001−305220号公報
【特許文献2】特開平4−339282号公報
【特許文献3】特許第3569988号公報
【特許文献4】特開2004−264166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、障害物等によって検知エリア内に死角が生じて検知範囲が制限される場合であっても、1つのセンサで検知範囲が広がり、所望する領域内における動体を検知することができる検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、所定領域内の動体を検知する検知システムであって、送信波の対象物からの返信波により動体を検知するアクティブセンサと、前記アクティブセンサから離隔して設けられる反射板部とを備え、前記反射板部は、前記アクティブセンサからの送信波を当該アクティブセンサから離れる方向へ反射すると共に、前記対象物からの返信波をアクティブセンサへ反射するものである。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、前記アクティブセンサは、電波式センサであるものである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1に記載の発明において、前記反射板部は、前記アクティブセンサからの送信波が当たる壁面に設けられるものである。
【0008】
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3に記載の発明において、反射板部は、平らな金属板で成るものである。
【0009】
請求項5の発明は、請求項3に記載の発明において、前記アクティブセンサからの送信波を透過する材質で覆われたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アクティブセンサからの送信波が、反射板部によってアクティブセンサから離れる方向へ反射され、且つ対象物からの返信波が反射板部によってアクティブセンサへ反射されるので、センサの検知範囲が広がり、死角となる領域内の動体を1つのアクティブセンサで検知することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る検知システムについて図1及び図2を参照して説明する。図1及び図2は本実施形態に係る検知システム1の構成を示す。検知システム1は、人が所定領域内に進入したことを検知して屋内照明を行うものであり、本実施形態においては曲がり角のある屋内通路に配備されている。検知システム1は、人の存在を検知すると点灯するセンサ付照明器具2と、センサ付照明器具2から投射される動体検知用の送信波を反射する反射板3とを備える。センサ付照明器具2及び反射板3の設置箇所については後述する。
【0012】
センサ付照明器具2は、光源21と、上記送信波の対象物からの返信波により動体を検知するセンサ(アクティブセンサ)22と、センサ22による検知信号に基づいて光源21の点灯制御を行う制御部23とを備える。センサ22は、送信波として赤外線を投射する赤外線センサであって、対象物からの返信波の赤外線強度によって当該センサ22から対象物までの距離を測定することにより、所定距離内に動体が存在するか否かを検知する。制御部23は、センサ22による検知信号に基づいて、人が所定領域内に進入したか否かを判断し、人が進入した場合には光源21を一定時間点灯させる。反射板3は、赤外線を反射する素材で形成される。
【0013】
光源21は、制御部23と共に通路41略中央の天井部分に設置されており、通路41全体を照明する。また、センサ22は通路41突き当りの壁面41cに設置されており、送信波を通路41に沿って通路42の外方壁面42aに向けて投射する。なお、センサ22と制御部23は、通路41突き当りの壁面41c及び天井部分に沿わせた信号線(図示しない)により接続されている。反射板3は、曲がり角に設置されており、センサ22からの送信波を通路42に沿って反射するよう配されている。これにより反射板3は、通路42にいる人10からの返信波をセンサ22に向かって反射する。
【0014】
本実施形態に係る検知システム1によれば、センサ22からの送信波が反射板3によって通路42に沿って反射され、且つ反射された送信波の、通路42にいる人10からの返信波がセンサ22に向かって反射されるので、センサ22の死角となる領域、すなわち本実施形態においては通路42内の動体を検知することができる。そのため、通路42を通る人10が曲がり角を曲がって通路41に進入する前には、光源21を点灯させることが可能となる。
【0015】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る検知システムについて図3乃至図6を参照して説明する。図3及び図4は本実施形態に係る検知システム1の構成を示す。検知システム1は、第1実施形態と同様の屋内通路に配備されている。検知システム1は、第1実施形態と構成の異なるセンサ付照明器具5及び複数の反射板6a、6b、6cを備える。センサ付照明器具5は、光源51と、送信波としてミリ波を投射して送信波の対象物からの返信波により動体を検知するセンサ52と、センサ52によるアナログ検知信号を増幅する増幅回路部53と、増幅回路部53による増幅信号をデジタル信号に変換する検波回路部54と、検波回路部54によるデジタル信号に基づいて光源51の点灯制御を行う制御部55とを備える。
【0016】
図5は、センサ付照明器具5の上記各ブロックの出力信号の一例を示す。センサ52は、上記送信波及び返信波によってミリ波が動体に当たることで生じるドップラー周波数を検出し、図5(a)に示すアナログ信号sを出力する。増幅回路部53は、センサ52からのアナログ検知信号sを増幅し、図5(b)に示す増幅信号AG・sを出力する。検波回路部54は、予め設定されたしきい値を参照して増幅回路部53からの増幅信号AG・sがしきい値未満のときに0、しきい値以上のときに1とするデジタル変換を行い、図5(c)に示すデジタル信号Cを出力する。制御部55は、検波回路部54からのデジタル信号C取得したとき、センサ52の検知エリア内に人が存在すると判断し、光源51を予め設定しておいた時間間隔点灯させるように、図5(d)に示す点灯信号Sを出力する。反射板6a、6b、6cの各々は、センサ52からの送信波を反射し、且つ通路42にいる人10からの返信波をセンサ52に向かって反射する。反射板6a、6b、6cの各々は、ミリ波を反射する金属部材で形成されており、その表面はミリ波を透過可能な、金属部材の劣化を防止する材質で覆われている。
【0017】
図3に戻り、本実施形態においてセンサ付照明器具5の光源51及びセンサ52は、一体的に通路41の略中央の天井部分に設置されている。反射板6aは、通路42の曲がり角付近の外方壁面42aに設置され、反射板6bは、通路42の曲がり角付近の内方壁面42bに設置され、反射板6cは、通路41の略中央部の外方壁面41aに設置される。
【0018】
次に、上記のように構成された検知システム1において、各反射板6a、6b、6cの設置状況に応じたセンサ52の検知エリアについて図6を用いて説明する。図6(a)のように、反射板6a、6b、6cが設置されていない場合、通路42の曲がり角付近の内方壁面42bによってセンサ52の死角となる領域が生じ、センサ52の検知エリアは領域61となる。そのため、人10が通路41に進入するまではセンサ付照明器具5の光源51が点灯していないことがある。
【0019】
図6(b)のように、反射板6aが設置されている場合、センサ52からの送信波が、当該反射板6aによって通路42の内方壁面42bに向かって反射され、センサ52の検知エリアは拡大されて領域62となる。図6(c)のように、反射板6a及び反射板6bが設置されている場合、反射板6aによって反射された送信波が反射鏡6bによって通路42の外方壁面42aに向かって反射され、センサ52の検知エリアは更に拡大されて領域63となる。図6(d)のように、反射板6cが設置されている場合、センサ52からの送信波が当該反射板6cによって通路42の外方壁面42aに向かって反射され、センサ52の検知エリアは拡大されて領域64となる。図6(e)のように、反射板6a、6b、6cが設置されている場合、センサ52の検知エリアは領域65となる。
【0020】
本実施形態による検知システム1においても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。ここで、本実施形態においては、検知エリアが拡大可能な場所のみに反射板を設置したが、センサ52からの送信波が投射される全ての場所に反射板を設置することで、センサ52の死角となる領域(通路42)内の動体を検知できるだけでなく、マルチパスによってセンサ52の検知感度が上昇する。
【0021】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る検知システムについて図7及び図8を参照して説明する。図7は本実施形態に係る検知システム1の構成を示す。本実施形態においては、検知システム1は、踊り場のある屋内階段に配備されている。センサ付照明器具5は、第2の実施形態と同様の構成であって、センサ付照明器具5の光源51及びセンサ52は、一体的に踊り場73の外方壁面73a上部に設置され、光源51は踊り場73全体を照明する。また、反射板6aは、階段71の外方壁面71aと踊り場73の外方壁面73aとの境界部周辺、及び踊り場73の外方壁面73aと階段72の外方壁面72aとの境界部周辺に設置され、反射板6bは、階段71上段側の内方壁面71b、及び階段72下段側の内方壁面72bに設置され、反射板6cは、踊り場73の内方壁面73bに設置される。
【0022】
次に、上記のように構成された検知システム1において、各反射板6a、6b、6cの設置状況に応じたセンサ52の検知エリアについて図8を用いて説明する。図8(a)のように、反射板6a、6b、6cが設置されていない場合、踊り場73の内方壁面73bと、センサ付照明器具5を覆うセンサカバーによってセンサ52の死角となる領域が生じ、センサ52の検知エリアは領域81となる。そのため、人が踊り場73に進入するまではセンサ付照明器具5の光源51が点灯していないことがある。
【0023】
図8(b)のように、反射板6aが設置されている場合、センサ52からの送信波が、当該反射板6aによって階段71の内方壁面71b及び階段72の内方壁面72bに向かって反射され、センサ52の検知エリアが拡大されて領域82となる。図8(c)のように、反射板6a及び反射板6bが設置されている場合、反射板6aによって反射されたミリ波が反射板6bによって反射され、センサ52の検知エリアは更に拡大されて領域83となる。図8(d)のように、反射板6cが設置されている場合、センサ52からの送信波が、当該反射板6cによって踊り場73の外方壁面73aに向かって反射され、センサ52の検知エリアは拡大されて領域84となる。図8(e)のように、反射板6a、6b、6cが設置されている場合、センサ52の検知エリアは領域85となる。
【0024】
本実施形態による検知システム1においても、上述と同様の効果が得られ、センサ52の死角となる領域、すなわち本実施形態においては階段71及び階段72と、踊り場73の外方壁面73a近傍内の動体を検知することができる。
【0025】
なお、本発明は、上記各種実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上述においては、センサ22又は52が動体を検知したときに光源51を点灯させるようにしたが、センサ22又は52をパソコンに接続して、センサ22又は52が動体を検知した履歴をデータとして記録するようにしたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態に係る検知システムを示す概念図、(b)は同検知システムを示す平面図。
【図2】上記検知システムを示すブロック図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る検知システムを示す概念図。
【図4】上記検知システムを示すブロック図。
【図5】(a)は上記検知システムのセンサ付照明器具におけるアナログ信号sを示す図、(b)は同センサ付照明器具における増幅信号AG・sを示す図、(c)は同センサ付照明器具におけるデジタル信号Cを示す図、(d)は同センサ付照明器具における点灯信号Sを示す図。
【図6】(a)は上記検知システムにおいて反射板が設置されていない場合のセンサ検知エリアを示す平面図、(b)は反射板6aが設置されている場合のセンサ検知エリアを示す平面図、(c)は反射板6a及び6bが設置されている場合のセンサ検知エリアを示す平面図、(d)は反射板6cが設置されている場合のセンサ検知エリアを示す平面図、(e)は反射板6a乃至6cが設置されている場合のセンサ検知エリアを示す平面図。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る検知システムを示す概念図。
【図8】(a)は上記検知システムにおいて反射板cが設置されていない場合のセンサ検知エリアを示す平面図、(b)は反射板6aが設置されている場合のセンサ検知エリアを示す平面図、(c)は反射板6a及び6eが設置されている場合のセンサ検知エリアを示す平面図、(d)は反射板6cが設置されている場合のセンサ検知エリアを示す平面図、(e)は反射板6a乃至6cが設置されている場合のセンサ検知エリアを示す平面図。
【符号の説明】
【0027】
1 検知システム
22、52 センサ(アクティブセンサ)
3、6a、6b、6c 反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定領域内の動体を検知する検知システムであって、
送信波の対象物からの返信波により動体を検知するアクティブセンサと、前記アクティブセンサから離隔して設けられる反射板部とを備え、
前記反射板部は、前記アクティブセンサからの送信波を当該アクティブセンサから離れる方向へ反射すると共に、前記対象物からの返信波をアクティブセンサへ反射することを特徴とする検知システム。
【請求項2】
前記アクティブセンサは、電波式センサであることを特徴とする請求項1に記載の検知システム。
【請求項3】
前記反射板部は、前記アクティブセンサからの送信波が当たる壁面に設けられることを特徴とする請求項1に記載の検知システム。
【請求項4】
前記反射板部は、平らな金属板で成ることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の検知システム。
【請求項5】
前記反射板部は、前記アクティブセンサからの送信波を透過する材質で覆われたことを特徴とする請求項3に記載の検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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