説明

検知器および検知器ユニット

【課題】センサおよび検知器本体を接続するケーブルの長さの変更が容易であり、接続ケーブルで接続されたセンサの耐衝撃性を向上させ、かつ、取り扱いの簡便な検知器および検知器ユニットを提供する。
【解決手段】センサ11に設けた接続ピンを、センサ基板に形成した接続孔に挿入してセンサ11を接続可能に形成し、かつ、接続孔に挿入可能なケーブルピンを備えたコネクタ部22を一端に有する延長ケーブル21を接続可能に形成してある接続部40、および、接続部40と接続ケーブル20によって接続され、センサ11が外部環境の変化を検知した際に出力する検知出力を受けて演算する検出部32をケーシング31の内部に備えた検知器本体30、を有する検知器X、および、当該検知器Xと延長ケーブル21と、を有する検知器ユニットY。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部環境の変化を検知するセンサを備えた検知部、および、前記検知部と接続ケーブルによって接続され、前記センサが外部環境の変化を検知した際に出力する検知出力を受けて演算する検出部をケーシングの内部に備えた検知器本体、を有する検知器、および、当該検知器を有する検知器ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
検知器として、例えば特許文献1には、酸素ガス濃度を測定するポータブル型のガス検知器が記載してある。このガス検知器は、電源部や表示部を設けた検知器本体と、ガスセンサを内蔵したセンサケース(検知部)とを接続ケーブルで接続して構成することができる。
このように接続ケーブルで検知部を検知器本体と別体とすることで、例えば、酸素濃度が不明なマンホール内に検知部を下ろし、マンホールの外(地上)で検知器本体を遠隔操作しながら酸素ガスの測定を行うことができる。これにより、測定者が、酸素ガス濃度が著しく低い危険な環境で酸素ガス測定の操作を行う必要がなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−77754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の検知器において、酸素ガス濃度を測定できる場所は、接続ケーブルで接続された検知部が届く範囲内となっていた。仮に、酸素ガス濃度を測定しようとする場所が、接続ケーブルで接続された検知部が届く範囲より外にある場合は、当該接続ケーブルより長い別の接続ケーブルを検知器本体に接続する必要があった。
このとき、酸素ガス濃度を測定しようとする場所が、接続ケーブルで接続された検知部が届く範囲であるか否か、当該場所を確認するまで判断できない場合、複数の長さを有する接続ケーブルを準備するか、単一の非常に長い接続ケーブルを準備する必要があった。
【0005】
また、検知部は測定者の手元を離れて例えばマンホール内を下ろす際に、当該検知部が他物に接触してセンサに衝撃が加わって損傷する虞があった。
【0006】
さらに、例えば検知部に内蔵されたセンサを交換する際には、交換作業が容易に行なえる構成であることが望ましい。
【0007】
従って、本発明の目的は、センサおよび検知器本体を接続するケーブルの長さの変更が容易であり、接続ケーブルで接続されたセンサの耐衝撃性を向上させ、かつ、取り扱いの簡便な検知器および検知器ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る検知器の第一特徴構成は、センサに設けた接続ピンを、センサ基板に形成した接続孔に挿入して前記センサを接続可能に形成し、かつ、前記接続孔に挿入可能なケーブルピンを備えたコネクタ部を一端に有する延長ケーブルを接続可能に形成してある接続部、および、前記接続部と接続ケーブルによって接続され、前記センサが外部環境の変化を検知した際に出力する検知出力を受けて演算する検出部をケーシングの内部に備えた検知器本体、を有した点にある。
【0009】
本構成によれば、接続孔がセンサに設けた接続ピンおよび延長ケーブルに設けたケーブルピンの何れとも接続できるため、接続部において、センサ或いは延長ケーブルの何れかを接続することができる。
【0010】
接続部にセンサを接続した場合は、当該接続部は外部環境の変化を検知する検知部とすることができる。一方、接続部にコネクタ部を介して延長ケーブルを接続した場合は、検知器のケーブルの長さは、接続ケーブルの長さおよび延長ケーブルの長さを加えたものとなる。
【0011】
延長ケーブルにおいて、コネクタ部とは反対側の端部に接続部を設けることで、当該接続部においても、センサ或いは延長ケーブルの何れかを接続することができる。これにより、複数の延長ケーブルを接続することができるため、検知器のケーブルの長さを所望の長さに容易に変更することができる。最後に接続した延長ケーブルに設けた接続部にはセンサを接続すればよい。
このように、本発明の検知器であれば、接続部において、センサが接続される接続孔に、当該センサの替わりにて延長ケーブルを接続して検知器のケーブルの長さを容易に変更することができる。従って、例えば単一の非常に長い接続ケーブルを準備する必要はない。
【0012】
本発明に係る検知器の第二特徴構成は、前記センサ基板に、前記コネクタ部に形成された前記コネクタ部の接続姿勢を保持する接続姿勢保持突起に対応する接続姿勢保持孔部を前記センサ基板の重心から偏心した位置に形成した点にある。
【0013】
本構成によれば、コネクタ部のケーブルピンを接続孔に接続すれば、接続姿勢保持突起および接続姿勢保持孔部を嵌め合うことができる。当該接続姿勢保持孔部はセンサ基板の重心から偏心した位置に形成されるため、接続姿勢保持突起および接続姿勢保持孔部を嵌め合う姿勢は、特定の姿勢に限定される。例えば接続姿勢保持突起が周方向に位置ズレした姿勢では接続姿勢保持孔部に嵌め合わせることはできないため、コネクタ部のケーブルピンおよび接続孔を誤った姿勢で接続するのを防止することができる。
【0014】
本発明に係る検知器の第三特徴構成は、前記接続部は、前記センサあるいは前記コネクタ部を収容する筒状のキャップ部材、および、弾性体によって形成されて当該キャップ部材を覆う筒状のキャップカバーを備え、前記キャップ部材の外表面において、当該外表面の周方向に亘って凸設された周方向凸部、および、前記周方向凸部に交わるように凸設された交差凸部を形成し、前記キャップカバーの内表面において、前記周方向凸部および前記交差凸部に対応して凹設された周方向凹部および交差凹部をそれぞれ形成した点にある。
【0015】
本構成によれば、接続部は、センサあるいはコネクタ部を収容する筒状のキャップ部材、および、弾性体によって形成されてキャップ部材を覆うキャップカバーを備えるため、仮に接続部が他物と接触したとしても、弾性体で形成されたキャップカバーに衝撃を吸収させることができるため、センサあるいはコネクタ部の耐衝撃性が向上する。
【0016】
また、本構成では、キャップ部材の外表面に周方向凸部および交差凸部が形成され、キャップカバーの内表面に周方向凸部および交差凸部に対応して凹設された周方向凹部および交差凹部が形成されている。そのため、周方向凸部および周方向凹部、交差凸部および交差凹部、をそれぞれ嵌合させた状態でキャップ部材をキャップカバーで覆った場合、キャップ部材およびキャップカバーが位置ズレするのを防止できる。
即ち、キャップ部材にキャップカバーを装着したときに、周方向凸部および周方向凹部が嵌合した状態であれば、接続部の軸芯方向に互いが位置ズレするのを確実に防止することができる。また、交差凸部および交差凹部が嵌合した状態であれば、接続部の周方向に互いが位置ズレするのを確実に防止することができる。
【0017】
これにより、一旦キャップ部材にキャップカバーを装着すれば、これら部材を一体物として扱うことができる。従って、センサ交換や、接続部に接続してあるコネクタ部の接続を解除する場合に、キャップ部材およびキャップカバーを一体に操作できるため、例えばキャップ部材からキャップカバーを離脱させた後にキャップ部材を外して行なう場合に比べて、センサ交換を省力化することができる。
【0018】
また、経年劣化などによりキャップカバーのみを交換する際には、弾性体であるキャップカバーを拡径するなどしてキャップ部材に装着、或いは、キャップ部材から離脱させる作業を容易に行なうことができる。
【0019】
従って、本構成の検知器であれば、特にセンサへの耐衝撃性を向上させ、かつ、当該接続部の取り扱い性を向上させることができる。
【0020】
本発明に係る検知器ユニットの第一特徴構成は、センサに設けた接続ピンを、センサ基板に形成した接続孔に挿入して前記センサを接続可能に形成し、かつ、前記接続孔に挿入可能なケーブルピンを備えたコネクタ部を一端に有する延長ケーブルを接続可能に形成してある接続部、および、前記接続部と接続ケーブルによって接続され、前記センサが被検知ガスを検知した際に出力する検知出力を受けて演算する検出部をケーシングの内部に備えた検知器本体、を有する検知器と、前記接続孔に挿入可能なケーブルピンを備えたコネクタ部を一端に有する延長ケーブルと、を有する点にある。
【0021】
本構成の検知器ユニットでは、接続孔がセンサに設けた接続ピンおよび延長ケーブルに設けたケーブルピンの何れとも接続できるため、接続部において、センサ或いは延長ケーブルの何れかを接続することができる。そのため、接続部にコネクタ部を介して延長ケーブルを接続した場合は、検知器のケーブルの長さは、接続ケーブルの長さおよび延長ケーブルの長さを加えたものとなる。
従って、本発明の検知器ユニットであれば、接続部において、センサが接続される接続孔に、センサの替わりにて延長ケーブルを接続して検知器のケーブルの長さを容易に変更することができる。さらに、複数の延長ケーブルを接続することができるため、検知器のケーブルの長さを所望の長さに容易に変更することができる。
【0022】
本発明に係る検知器ユニットの第二特徴構成は、前記コネクタ部に、前記コネクタ部の接続姿勢を保持する接続姿勢保持突起を形成し、前記センサ基板に、前記接続姿勢保持突起に対応する接続姿勢保持孔部を前記センサ基板の重心から偏心した位置に形成した点にある。
【0023】
本構成によれば、コネクタ部のケーブルピンを接続孔に接続すれば、接続姿勢保持突起および接続姿勢保持孔部を嵌め合うことができる。当該接続姿勢保持孔部はセンサ基板の重心から偏心した位置に形成されるため、接続姿勢保持突起および接続姿勢保持孔部を嵌め合う姿勢は、特定の姿勢に限定される。そのため、例えば接続姿勢保持突起が周方向に位置ズレした姿勢では接続姿勢保持孔部に嵌め合わせることはできないため、コネクタ部のケーブルピンおよび接続孔を誤った姿勢で接続するのを防止することができる。
【0024】
また、仮に接続姿勢保持突起および接続姿勢保持孔部が存在しない状態であればコネクタ部およびセンサケースが周方向に相対回転してケーブルピンが捻じ切れる虞がある。しかし、本構成のように接続姿勢保持突起および接続姿勢保持孔部を嵌め合った状態では、コネクタ部およびセンサケースを周方向に相対回転させることはできないため、上述したようなケーブルピンが捻じ切れることを未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の検知器および検知器ユニットの概略図である。
【図2】接続部周辺の断面図である。
【図3】検知部の分解図である。
【図4】検知部の軸芯に垂直な断面図である。
【図5】接続部においてコネクタ部を接続する場合の要部概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜4に示したように、本発明の検知器Xは、センサ11に設けた接続ピン11aを、センサ基板16aに形成した接続孔16dに挿入してセンサ11を接続可能に形成し、かつ、接続孔16dに挿入可能なケーブルピン22aを備えたコネクタ部22を一端に有する延長ケーブル21を接続可能に形成してある接続部40を備える。
さらに、検知器Xは、接続部40と接続ケーブル20によって接続され、センサ11が外部環境の変化を検知した際に出力する検知出力を受けて演算する検出部32をケーシング31の内部に備えた検知器本体30を備える。
【0027】
即ち、本発明の検知器Xは、接続部40において、センサ11を接続する態様(図1(a))、或いは、延長ケーブル21を接続する態様がある(図1(b))。
【0028】
図1(a)のように、接続部40にセンサ11を接続した場合は、当該接続部40は外部環境の変化を検知する検知部10となる。
【0029】
一方、図1(b)のように、接続部40にコネクタ部22を介して延長ケーブル21を接続した場合は、延長ケーブル21の端部(コネクタ部22とは反対側の端部)には、センサ11を内蔵した検知部10を設ける。この検知部10の構成は接続部40の構成と同様であり、内蔵されたセンサ11に替えて、さらに延長ケーブル21を接続することができる。
このように、本発明の検知器Xであれば、接続部40において、センサ11が接続される接続孔16dに、センサ11の替わりにて延長ケーブル21を接続して検知器Xのケーブルの長さを容易に変更することができる。さらに、複数の延長ケーブル21を接続することができるため、検知器Xのケーブルの長さを所望の長さに容易に変更することができる。
【0030】
(接続部)
接続部40は、センサ11あるいはコネクタ部22を収容する筒状のキャップ部材12、および、弾性体によって形成されて当該キャップ部材12を覆う筒状のキャップカバー13を備える。
【0031】
当該センサ11は、外部環境の変化を検知するセンサであればよい。当該センサ11として、酸素センサ、COセンサ、都市ガスセンサなどのガスセンサ、火災センサなどを使用することができるが、これに限られるものではない。
ガスセンサは、被検知ガスを検知するものであれば、どのような態様であってもよい。例えば、酸素センサは酸素ガスを検出でき、COセンサは不完全燃焼で発生する一酸化炭素ガスを検出でき、都市ガスセンサは炭化水素ガス等の漏洩ガスを検出することができるものであれば、公知の半導体式センサ素子や接触燃焼式センサ素子などが使用できる。
火災センサは、温度の上昇を感知する温度センサや、煙感知機能を有する公知の散乱光式煙センサなどが使用できる。
本実施形態では、被検知ガスとして酸素ガスを検知する酸素ガスセンサ11を備えた場合について説明する。
【0032】
コネクタ部22は、接続孔16dに挿入可能なケーブルピン22aを備える。本実施形態では、二本(正極、負極)のケーブルピン22aを備えた場合について説明するが、これに限られるものではない。
【0033】
また、コネクタ部22には、当該コネクタ部22を接続孔に挿入したときのコネクタ部22の接続姿勢を保持する接続姿勢保持突起22bが形成してある(図5)。当該接続姿勢保持突起22bは、コネクタ部22においてセンサ基板16a(センサベース16b)に対向する面に凸設する。当該接続姿勢保持突起22bは、例えば、二本のケーブルピン22aを基準として左右非対称となる位置に一つ設けるとよいが、この態様に限られるものではない。例えば接続姿勢保持突起22bを複数設けた場合、複数の接続姿勢保持突起22bのうちのひとつをコネクタ部22と別体にしてもよい。
【0034】
センサ基板16aには、接続姿勢保持突起22bに対応する孔部である接続姿勢保持孔部16eをセンサ基板16aの重心Oから偏心した位置に形成する。接続姿勢保持孔部16eの設置数は、例えば接続姿勢保持突起22bの設置数と同じにすればよい。
【0035】
コネクタ部22のケーブルピン22aを接続孔16dに接続すれば、接続姿勢保持突起22bおよび接続姿勢保持孔部16eを嵌め合うことができる。接続姿勢保持孔部16eはセンサ基板16aの重心Oから偏心した位置に形成されるため、接続姿勢保持突起22bおよび接続姿勢保持孔部16eを嵌め合う姿勢は、特定の姿勢に限定される。そのため、例えば接続姿勢保持突起22bが周方向に位置ズレした姿勢では接続姿勢保持孔部16eに嵌め合わせることはできないため、コネクタ部22のケーブルピン22aおよび接続孔16dを誤った姿勢で接続するのを防止することができる。
また、例えばケーブルピン22aが一本である場合には、コネクタ部22のケーブルピン22aを接続孔16dに接続した後に、コネクタ部22が周方向に位置ズレする虞がある。しかし、接続姿勢保持突起22bおよび接続姿勢保持孔部16eを嵌め合うことで、当該接続後にコネクタ部22が周方向に位置ズレするのを防止することができる。
【0036】
コネクタ部22において、センサ基板16a(センサベース16b)に対向する面には、板状の延長基板22cが配設してある。
【0037】
酸素ガスセンサ11は、板状のセンサベース16bおよびセンサ基板16aを介してセンサケース16c上に配置してある(図2(a))。センサ基板16aおよびセンサケース16cは、酸素ガスセンサ11に設けた接続ピン11aを挿入する接続孔16dを有する。当該接続孔16dには、延長ケーブル21の一端に備えたコネクタ部22に設けたケーブルピン22aを挿入することが可能である(図2(b))。
【0038】
当該センサケース16cは、筒状のキャップ部材12の一方の開口部12eを塞ぐようにキャップ部材12に嵌め込まれる。センサケース16cの接続ケーブル20の側は、ケーブルコネクタ18と接続する。
【0039】
キャップ部材12は、概ね筒状を呈しており、その内部に酸素ガスセンサ11あるいはコネクタ部22を収容している。上述したキャップ部材12の一方の開口部12eの反対側に形成されたキャップ開口部12dは、被検知ガスが流通する。キャップ部材12は、どのような材料で形成してもよいが、例えば公知の樹脂や金属など、比較的硬質な材料で形成すれば、酸素ガスセンサ11あるいはコネクタ部22を収容する空間の形状を維持し易くなる。好ましくは、キャップ部材12は弾性体で形成されるキャップカバー13より硬質の材料で形成するとよい。
【0040】
キャップ部材12は、その先端側12cほど縮径するテーパ状に形成するとよい。この場合、キャップ部材12を覆うキャップカバー13の着脱が容易となる。
【0041】
キャップ部材12の両端の開口付近には、キャップ部材12の内部を水密にするため、それぞれ、Oリング17が配置してある。
【0042】
キャップ部材12の内側には、被検知ガスが流通するキャップ開口部12dを覆うように通気性かつ防水性を有する撥水シート15を付設してもよい。当該撥水シート15をキャップ部材12に装着することで、被検知ガスに接触できる状態を維持しながら酸素ガスセンサ11を確実に防水することができる。
【0043】
キャップ部材12の外表面には、当該外表面の周方向に亘って凸設された周方向凸部12a、および、周方向凸部12aに交わるように凸設された交差凸部12bが形成してある。
本実施形態では、一本の周方向凸部12aおよび四本の交差凸部12bを設けた場合を示したが、これに限られるものではない。
【0044】
キャップカバー13は、概ね筒状を呈しており、その一端に形成されたカバー開口部13dは、被検知ガスが流通する。即ち、キャップ部材12をキャップカバー13で覆ったときに、酸素ガスセンサ11が酸素ガスを検知できるように、キャップ部材12のキャップ開口部12d、および、キャップカバー13のカバー開口部13dがそれぞれ連通するように構成する。
【0045】
キャップカバー13は、ゴムなどの樹脂製の弾性体である。そのため、キャップカバー13によってキャップ部材12の外表面を覆うことにより、仮に検知部10或いは接続部40が他物と接触したとしても、弾性体で形成されたキャップカバー13に衝撃を吸収させることができるため、検知部10或いは接続部40の耐衝撃性が向上する。また、キャップカバー13をキャップ部材12に装着或いは離脱させる場合には、弾性体であるキャップカバー13を拡径するなどして、キャップ部材12に装着或いはキャップ部材12から離脱させる作業を容易に行なうことができる。
【0046】
キャップカバー13の先端側の外周には、凸状に形成したリブ13cを設けるとよい。これにより、例えば、酸素濃度が不明なマンホール内に接続部40(検知部10)を下ろして酸素濃度を測定する場合、接続部40(検知部10)の先端がマンホールの壁面に接触するようなことがあったとしても、弾性体であるキャップカバー13の先端側の外周に形成されたリブ13cが肉厚に形成されるため、接続部40(検知部10)に及ぼす衝撃を緩和することができる。
【0047】
キャップカバー13の内表面には、周方向凸部12aおよび交差凸部12bに対応して凹設された周方向凹部13aおよび交差凹部13bが形成してある。
【0048】
本発明では、キャップカバー13によってキャップ部材12の外表面を覆った際に、周方向凸部12aおよび周方向凹部13a、交差凸部12bおよび交差凹部13b、をそれぞれ嵌合させた状態とすることができる。よって、キャップ部材12にキャップカバー13を装着したときに、周方向凸部12aおよび周方向凹部13aが嵌合した状態であれば、検知部10の軸芯方向に互いが位置ズレするのを確実に防止することができる。また、交差凸部12bおよび交差凹部13bが嵌合した状態であれば、接続部40(検知部10)の周方向に互いが位置ズレするのを確実に防止することができる。
【0049】
これにより、一旦キャップ部材12にキャップカバー13を装着すれば、例えば接続部40において内蔵された酸素ガスセンサ11を交換する際、或いは、接続部40に接続してあるコネクタ部22の接続を解除する際には、キャップ部材12に装着されたキャップカバー13をキャップカバー13の周方向に回転させる、あるいは、キャップ部材12に装着されたキャップカバー13をキャップカバー13の軸芯方向に移動させたとしても、両者の位置ズレを防止できるため、キャップ部材12およびキャップカバー13を一体物のように扱うことができる。
【0050】
本実施形態では、キャップカバー13の外表面の側面には、周方向に等間隔に凸設された複数の外表面リブ13eが形成してある。このように複数の外表面リブ13eを設けることで、キャップカバー13をその周方向に回転させる際には、複数の外表面リブ13eが滑り止めとなって、当該回転の操作を行い易くなる。
【0051】
(接続ケーブルおよび延長ケーブル)
接続ケーブル20は、その一端側がケーブルコネクタ18を介して接続部40と接続し、その他端側が検知器本体30と接続する。当該接続ケーブル20は、例えば同軸ケーブルのように酸素ガスセンサ11に電力を供給でき、かつ、酸素ガスセンサ11が検知した検知出力を検知器本体30に供することができる態様であれば、何れの公知のケーブルを使用してもよい。
【0052】
また、延長ケーブル21は、その一端側に設けたコネクタ部22を介して接続部40と接続し、その他端側には接続部40を設ける。当該接続部40は、酸素ガスセンサ11或いは延長ケーブル21を接続できる。複数の延長ケーブル21を接続した場合には、最後に接続した延長ケーブル21に設けた接続部40には酸素ガスセンサ11を接続すればよい。
延長ケーブル21はキャップ開口部12dおよびカバー開口部13dを貫通している。延長ケーブル21がキャップ開口部12dおよびカバー開口部13dと干渉するのを防止するため、延長ケーブル21の外周には、キャップ開口部12dおよびカバー開口部13dを貫通する保護チューブ23を設けてある。
【0053】
本発明の検知器Xおよび延長ケーブル21のセットを、検知器ユニットYとして供することができる。当該検知器ユニットYには、同一の長さの延長ケーブル21を複数含んでもよく、異なる長さの延長ケーブル21を複数含んでもよい。
【0054】
(検知器本体)
検知器本体30は、接続部40と接続ケーブル20によって接続され、酸素ガスセンサ11が被検知ガスである酸素を検知した際に出力する検知出力を受けて演算する検出部32をケーシング31の内部に備える。
【0055】
検出部32は、酸素ガスセンサ11が酸素ガスを検知した検知出力に基づき、酸素ガス濃度を算出する濃度算出手段(図外)を備える。算出した結果は、アナログ表示或いはデジタル表示が可能な表示部33によって表示する。
【0056】
また、検知器本体30は、電源部や、検出部32からの信号を受けて警報を発する報知部(図外)を備える。報知部は、例えば検出部32において、酸素ガスセンサ11が所定の濃度以下の酸素ガスしか検知しないと判定した状態が継続した場合、音声あるいはランプの点滅などによる報知が行なえるように構成するとよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、外部環境の変化を検知するセンサを備えた検知部、および、前記検知部と接続ケーブルによって接続され、前記センサが外部環境の変化を検知した際に出力する検知出力を受けて演算する検出部をケーシングの内部に備えた検知器本体、を有する検知器、および、当該検知器を有する検知器ユニットに利用できる。
【符号の説明】
【0058】
X 検知器
Y 検知器ユニット
11 センサ
11a 接続ピン
12 キャップ部材
12a 周方向凸部
12b 交差凸部
13 キャップカバー
13a 周方向凹部
13b 交差凹部
16a センサ基板
16d 接続孔
16e 接続姿勢保持孔部
20 接続ケーブル
21 延長ケーブル
22 コネクタ部
22a ケーブルピン
22b 接続姿勢保持突起
30 検知器本体
31 ケーシング
32 検出部
40 接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサに設けた接続ピンを、センサ基板に形成した接続孔に挿入して前記センサを接続可能に形成し、かつ、前記接続孔に挿入可能なケーブルピンを備えたコネクタ部を一端に有する延長ケーブルを接続可能に形成してある接続部、および、
前記接続部と接続ケーブルによって接続され、前記センサが外部環境の変化を検知した際に出力する検知出力を受けて演算する検出部をケーシングの内部に備えた検知器本体、を有する検知器。
【請求項2】
前記センサ基板に、前記コネクタ部に形成された前記コネクタ部の接続姿勢を保持する接続姿勢保持突起に対応する接続姿勢保持孔部を前記センサ基板の重心から偏心した位置に形成した請求項1に記載の検知器。
【請求項3】
前記接続部は、前記センサあるいは前記コネクタ部を収容する筒状のキャップ部材、および、弾性体によって形成されて当該キャップ部材を覆う筒状のキャップカバーを備え、
前記キャップ部材の外表面において、当該外表面の周方向に亘って凸設された周方向凸部、および、前記周方向凸部に交わるように凸設された交差凸部を形成し、
前記キャップカバーの内表面において、前記周方向凸部および前記交差凸部に対応して凹設された周方向凹部および交差凹部をそれぞれ形成してある請求項1または2に記載の検知器。
【請求項4】
センサに設けた接続ピンを、センサ基板に形成した接続孔に挿入して前記センサを接続可能に形成し、かつ、前記接続孔に挿入可能なケーブルピンを備えたコネクタ部を一端に有する延長ケーブルを接続可能に形成してある接続部、および、
前記接続部と接続ケーブルによって接続され、前記センサが被検知ガスを検知した際に出力する検知出力を受けて演算する検出部をケーシングの内部に備えた検知器本体、を有する検知器と、
前記接続孔に挿入可能なケーブルピンを備えたコネクタ部を一端に有する延長ケーブルと、を有する検知器ユニット。
【請求項5】
前記コネクタ部に、前記コネクタ部の接続姿勢を保持する接続姿勢保持突起を形成し、前記センサ基板に、前記接続姿勢保持突起に対応する接続姿勢保持孔部を前記センサ基板の重心から偏心した位置に形成した請求項4に記載の検知器ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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